(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075591
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】音に基づいて液体分注器内の液体接触および液体体積を決定するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01F 13/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G01F13/00 321M
【審査請求】有
【請求項の数】81
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031217
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2021577138の分割
【原出願日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】62/869,725
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505243216
【氏名又は名称】メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ペイ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】コヴァックス,サンダー
(57)【要約】
【課題】音に基づいて液体分注器と液体との接触かどうかを決定するための、および/または液体分注器内の液体体積を決定するための、デバイスおよび方法が提供される。
【解決手段】一実施形態によれば、液体分注器は、音生成器と音響センサとを含み、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つは、分注チャンバ部分内に配設されている。一実施形態によれば、液体分注器は、音生成器および音響センサを含み、さらに1つ以上の側導管を含み、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つは、1つ以上の側導管のうちのそれぞれのキャビティ内に配設され、1つ以上の側導管の各々のキャビティおよびコネクタは、音響センサによって感知される音の周波数範囲内で共鳴がない。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分注器であって、前記液体分注器は、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を備える、液体分注器。
【請求項2】
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、請求項1に記載の液体分注器。
【請求項3】
前記音生成器および前記音響センサは、互いに向き合うように位置決めされているか、または同じ側に位置決めされている、請求項1または2に記載の液体分注器。
【請求項4】
前記分注チャンバは、前記第1の開口部および前記第2の開口部を除いて囲まれている、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、請求項2に記載の液体分注器。
【請求項6】
前記感知された音は、前記分注チャンバ内で感知された音圧を含み、前記分注チップに関する前記情報は、前記感知された音圧に基づいて識別される、請求項5に記載の液体分注器。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記分注チップが、前記分注チャンバ部分の前記第1の部分と完全に結合されているかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、請求項2~6のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項8】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
液体分注器であって、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を含む、液体分注器と、
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システム。
【請求項9】
前記液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、
前記ピストンチャンバ内で前記ピストンを駆動するように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、請求項8に記載の液体分注器システム。
【請求項10】
前記音生成器および前記音響センサは、互いに向き合うように位置決めされているか、または同じ側に位置決めされている、請求項8または9に記載の液体分注器システム。
【請求項11】
前記分注チャンバは、前記第1の開口部および前記第2の開口部を除いて囲まれている、請求項8~10のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項12】
前記制御回路は、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、請求項8~11のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項13】
前記感知された音は、前記分注チャンバ内で感知された音圧を含み、前記分注チップに関する前記情報は、前記感知された音圧に基づいて識別される、請求項12に記載の液体分注器システム。
【請求項14】
前記制御回路は、
前記分注チップが、前記分注チャンバ部分の前記第1の部分と完全に結合されているかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、請求項8~13のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項15】
液体分注器であって、前記液体分注器は、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
1つ以上の側導管であって、前記1つ以上の側導管の各々は、それぞれのキャビティと、前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続しているそれぞれのコネクタチャネルとを有する、1つ以上の側導管と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の側導管のうちの1つの前記それぞれのキャビティ内に配設されており、前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、前記音響センサによって感知された前記音の周波数範囲内で共鳴がない、音響センサと、を備える、液体分注器。
【請求項16】
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、請求項15に記載の液体分注器。
【請求項17】
前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、ヘルムホルツ共鳴がない、請求項15または16に記載の液体分注器。
【請求項18】
前記それぞれのキャビティの横方向の寸法は、前記1つ以上の側導管の各々に対する前記それぞれのコネクタの横方向の寸法と同じである、請求項17に記載の液体分注器。
【請求項19】
前記1つ以上の側導管内の音響共鳴は、100Hz~4kHzの周波数範囲外にある、請求項15~18のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項20】
前記1つ以上の側導管内の前記音響共鳴は、200Hz~1kHzの周波数範囲外にある、請求項19に記載の液体分注器。
【請求項21】
前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティは、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つを収容するように構成されている、請求項15~20のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項22】
前記1つ以上の側導管は、単一の側導管を含み、かつ前記音生成器および前記音響センサのうちの一方が、前記単一の側導管内に収容されており、前記音生成器および前記音響センサのうちの他方が、前記分注チャンバ部分に収容されている、請求項21に記載の液体分注器。
【請求項23】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
液体分注器であって、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を備える、液体分注器システム。
【請求項24】
前記液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、
前記ピストンチャンバ内で前記ピストンを駆動するように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、請求項23に記載の液体分注器システム。
【請求項25】
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、請求項23または24に記載の液体分注器システム。
【請求項26】
前記分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、前記1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよび前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、
前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、ヘルムホルツ共鳴がない、請求項23~25のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項27】
前記それぞれのキャビティの横方向の寸法は、前記1つ以上の側導管の各々に対する前記それぞれのコネクタの横方向の寸法と同じである、請求項26に記載の液体分注器システム。
【請求項28】
前記1つ以上の側導管内の音響共鳴は、100Hz~4kHzの周波数範囲外にある、請求項23~27のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項29】
前記1つ以上の側導管内の前記音響共鳴は、200Hz~1kHzの周波数範囲外にある、請求項28に記載の液体分注器システム。
【請求項30】
前記1つ以上の側導管の各々の、前記キャビティは、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つを収容するように構成されている、請求項26~29のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項31】
前記1つ以上の側導管は、単一の側導管を含み、前記音生成器および前記音響センサのうちの一方が、前記単一の側導管内に収容されており、前記音生成器および前記音響センサのうちの他方が、前記分注チャンバ部分に収容されている、請求項30に記載の液体分注器システム。
【請求項32】
液体分注器であって、前記液体分注器は、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、
前記分注チャンバと前記ピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、前記分注チャンバを前記ピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバに音を生成するように構成された音生成器と、
前記生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサと、を備える、液体分注器。
【請求項33】
制御回路であって、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または
前記感知された音に基づく前記分注チップ内の前記液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された、制御回路をさらに備える、請求項32に記載の液体分注器。
【請求項34】
分注チャンバ内の気柱共鳴の長さは、前記ピストンの移動によって影響を受けない、請求項32または33に記載の液体分注器。
【請求項35】
前記音響フィルタは、音反射フィルタまたは吸音フィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項36】
前記音反射フィルタは、前記分注チャンバ内の気柱共鳴の長さを、前記ピストンチャンバ内の気柱共鳴の長さから隔離するように構成されている、請求項35に記載の液体分注器。
【請求項37】
前記音反射フィルタは、空気を透過しない、請求項35または36に記載の液体分注器。
【請求項38】
前記吸音フィルタは、前記ピストンの移動によって引き起こされる音を低減するように構成されている、請求項35~37のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項39】
前記吸音フィルタは、空気透過性でありかつ音を抑制する、請求項35~38のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項40】
前記音響フィルタは、連続気泡発泡体、空気通路を備えた独立気泡発泡体、または繊維状材料のうちの少なくとも1つでできている、請求項32~39のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項41】
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、請求項32~40のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項42】
前記分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、前記1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよび前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の側導管内に配設されており、前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、前記音響センサによって感知された前記音の周波数範囲内で共鳴がない、請求項32~41のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項43】
前記制御回路は、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、請求項33~42のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項44】
前記制御回路は、
前記分注チップが、前記分注チャンバ部分の前記第1の部分と完全に結合されているかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、請求項32~43のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項45】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
液体分注器であって、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバと前記ピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、前記分注チャンバを前記ピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバに音を生成するように構成された音生成器と、
前記生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサと、を備える、液体分注器と、
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または
前記感知された音に基づく前記分注チップ内の前記液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システム。
【請求項46】
前記液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、
前記ピストンチャンバ内で前記ピストンを駆動するように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、請求項45に記載の液体分注器システム。
【請求項47】
分注チャンバ内の気柱共鳴の長さは、前記ピストンの移動によって影響を受けない、請求項45または46に記載の液体分注器システム。
【請求項48】
前記音響フィルタは、音反射フィルタまたは吸音フィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項49】
前記音反射フィルタは、前記分注チャンバ内の気柱共鳴の長さを、前記ピストンチャンバ内の気柱共鳴の長さから隔離するように構成されている、請求項48に記載の液体分注器システム。
【請求項50】
前記音反射フィルタは、空気を透過しない、請求項48または49に記載の液体分注器システム。
【請求項51】
前記吸音フィルタは、前記ピストンの移動によって引き起こされる音を低減するように構成されている、請求項48~50のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項52】
前記吸音フィルタは、空気透過性でありかつ音を抑制する、請求項48~51のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項53】
前記音響フィルタは、連続気泡発泡体、空気通路を備えた独立気泡発泡体、または繊維状材料のうちの少なくとも1つでできている、請求項45~52のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項54】
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、請求項46~53のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項55】
前記分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、前記1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよび前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の側導管内に配設されており、前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、前記音響センサによって感知された前記音の周波数範囲内で共鳴がない、請求項45~54のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項56】
前記制御回路は、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、請求項45~56のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項57】
前記制御回路は、
前記分注チップが、前記分注チャンバ部分の前記第1の部分と完全に結合されているかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、請求項46~56のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項58】
液体分注器と液体との接触を検出する方法であって、
音響センサを介して、時間ウィンドウ内で前記音響センサによって感知された音に関連付けられた、複数の電圧値を取得することと、
前記複数の電圧値の各々を二乗して、前記時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、
前記時間ウィンドウに対する前記複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、
前記複数の二乗電圧値の前記平均値に基づいて、前記時間ウィンドウ中に前記液体分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を含む、方法。
【請求項59】
前記液体との前記接触が起こったかどうかを決定することは、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記複数の電圧値は、時間領域にわたって取得される、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の電圧値は、周波数領域にわたって取得される、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記音響センサによって感知される前記音は、前記液体分注器内を伝わる音から感知される、請求項58~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記音響センサまたは前記感知された音の源である音生成器のうちの少なくとも1つが、前記液体分注器の内部内に設置されている、請求項58~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
液体分注器と液体との接触を検出するためのコントローラであって、
メモリと、
前記液体分注器に含まれ、音を感知し、時間ウィンドウ内で感知された前記音に基づいて複数の電圧値を生成するように構成された、前記メモリおよび前記音響センサに結合された制御回路とを備え、前記制御回路は、
前記音響センサを介して、前記複数の電圧値を取得することと、
前記複数の電圧値を二乗して、前記時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、
前記時間ウィンドウに対する前記複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、
前記複数の二乗電圧値の前記平均値に基づいて、前記時間ウィンドウ中に前記液体分注器と液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を行うように構成されている、コントローラ。
【請求項67】
前記制御回路は、前記液体との前記接触が起こったかどうかを、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、によって判断する、請求項66に記載のコントローラ。
【請求項68】
前記複数の電圧値は、時間領域にわたって取得される、請求項66または67に記載のコントローラ。
【請求項69】
前記複数の電圧値は、周波数領域にわたって取得される、請求項66~68のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項70】
前記複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、請求項66~69のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項71】
前記所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有する、請求項70に記載のコントローラ。
【請求項72】
前記音響センサによって感知される前記音は、前記液体分注器内を伝わる音から感知される、請求項66~71のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項73】
気液境界を検出するための液体分注器システムであって、
液体分注器であって、
前記液体分注器の内部に音を生成するように構成された音生成器、および
前記生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサ、を備える、液体分注器と、
制御回路であって、前記音響センサに結合され、
音響センサを介して、時間ウィンドウ内で前記音響センサによって感知された音に関連付けられた、複数の電圧値を取得することと、
前記複数の電圧値の各々を二乗して、前記時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、
前記時間ウィンドウに対する前記複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、
前記複数の二乗電圧値の前記平均値に基づいて、前記時間ウィンドウ中に前記液体分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を行うように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システム。
【請求項74】
前記制御回路は、前記液体との前記接触が起こったかどうかを、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、によって判断する、請求項73に記載の液体分注器。
【請求項75】
前記複数の電圧値は、時間領域にわたって取得される、請求項73または74に記載の液体分注器。
【請求項76】
前記複数の電圧値は、周波数領域にわたって取得される、請求項73~75のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項77】
前記複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、請求項73~76のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項78】
前記所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有する、請求項77に記載の液体分注器。
【請求項79】
前記音響センサによって感知される前記音は、前記液体分注器内を伝わる音から感知される、請求項73~78のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項80】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
少なくとも1つの試験信号を提供するように構成された制御回路と、
液体分注器と、を備え、前記液体分注器は、
中に分注チャンバを含む分注器本体と、
前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の前記少なくとも1つの音を感知し、前記制御回路に少なくとも1つの応答信号を提供するように構成された、音響センサと、を含み、
前記制御回路は、前記少なくとも1つの応答信号をチップ存在閾値信号値と比較して、液体分注チップの存在を決定するように構成されている、液体分注器システム。
【請求項81】
前記制御回路は、
チップなし条件において、ターゲット周波数で少なくとも1つの試験信号を生成することと、
前記チップなし条件の間に受信された、前記少なくとも1つの応答信号に基づいて、前記チップ存在閾値信号値を決定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項80に記載の液体分注器システム。
【請求項82】
前記制御回路は、
前記液体分注チップの存在の通知を出力するようにさらに構成されている、請求項80または81に記載の液体分注器システム。
【請求項83】
液体分注器システムで実行される、液体チップ分注チップ存在を同定する方法であって、
制御回路によって、少なくとも1つの試験信号を提供することと、
分注チャンバを有する分注器本体、音生成器、ならびに音響センサを含む液体分注器によって、少なくとも1つの試験信号を受信することと、
前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、前記音生成器によって少なくとも1つの試験音を生成することと、
前記音響センサによって、前記分注チャンバ内の少なくとも1つの音を感知することと、
前記音響センサによって、前記少なくとも1つの音に基づく少なくとも1つの応答信号を、前記制御回路に提供することと、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ存在閾値信号値と比較して、液体分注チップの存在を決定することと、を含む、方法。
【請求項84】
チップなし条件において、ターゲット周波数で少なくとも1つの試験信号を生成することと、
前記チップなし条件の間に受信された、前記応答信号に基づいて、前記チップ存在閾値信号値を決定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記液体分注チップの存在の通知を出力することをさらに含む、請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
少なくとも1つの試験信号を提供するように構成された制御回路と、
液体分注器と、を備える液体分注器システムであって、前記液体分注器は、
中に分注チャンバを含む分注器本体と、
前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の前記少なくとも1つの音を感知し、前記制御回路に少なくとも1つの応答信号を提供するように構成された、音響センサと、を含み、
前記制御回路は、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較して、液体分注チップの同一性を決定するように構成されている、液体分注器システム。
【請求項87】
前記制御回路は、
液体分注チップの存在を検証するようにさらに構成されている、請求項86に記載の液体分注器システム。
【請求項88】
前記制御回路は、
前記液体分注チップの同一性の通知を出力するようにさらに構成されている、請求項86または87に記載の液体分注器システム。
【請求項89】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号はチップ応答音響スペクトルを含み、かつ
前記制御回路は、
前記チップ応答音響スペクトルと、1つ以上の格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のピアソン相関係数を決定することにより、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較するようにさらに構成されている、請求項86~88のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項90】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号は応答音響スペクトルを含み、かつ
前記制御回路は、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ周波数応答パターンに一致させることにより、前記応答信号をチップ同定メトリックと比較するようにさらに構成されている、請求項86~89のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項91】
液体分注器システムにおける液体分注チップの同一性を決定する方法であって、
制御回路を介して、少なくとも1つの試験信号を提供することと、
分注チャンバを有する分注器本体、音生成器、ならびに音響センサを含む液体分注器によって、前記少なくとも1つの試験信号を受信することと、
前記音生成器によって、前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成することと、
前記音響センサによって、前記分注チャンバ内の前記少なくとも1つの音を感知することと、
前記音響センサによって、前記少なくとも1つの音による少なくとも1つの応答信号を提供することと、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較して、液体分注チップの同一性を決定することと、を含む、方法。
【請求項92】
液体分注チップの存在を検証することをさらに含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記液体分注チップの同一性の通知を出力することをさらに含む、請求項91または92に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号はチップ応答音響スペクトルを含み、前記方法は、
前記チップ応答音響スペクトルと、1つ以上の格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のピアソン相関係数を決定することにより、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較することをさらに含む、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号は応答音響スペクトルを含み、前記方法は、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ周波数応答パターンに一致させることにより、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較することをさらに含む、請求項91~94のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連事項
本出願は、2019年7月2日に出願された先行米国出願第62/869,725号の利益を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、音に基づいて液体分注器内の液体接触および液体体積を検出するための、デバイスおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
液体分注器を使用して、液体を貯蔵するリザーバから目標位置に特定の量の液体を輸送することができる。液体分注器および液体分注器のピストンを動かすことのできる自動液体分注器システムを使用して、液体分注器の使用を自動化することができる。例えば、自動分注器システムは、液体分注器を制御して、液体リザーバから特定の量の液体を引き込み、人間が介入することなく、もしくはほとんど介入することなく、特定の量の液体を目標位置に分注することができる。液体を引き込むために、自動分注器システムは、液体分注器の分注チップが液体に十分に接触するまで液体分注器を下げ得、次に、特定の量に達するまで液体を液体分注器に引き込み得る。特定の量の液体を正確に引き込むために、自動分注器システムは、液体分注器の分注チップが液体に接触するまで、液体分注器を十分に下げることができる必要がある。さらに、自動分注器システムは、分注チップが液体中に過度に下がると液体が液体分注器の分注チップの外壁に付着し、ひいては分注チップによって運ばれる液体の量にエラーが発生する可能性があるため、液体分注器の分注チップが液体中に過度に下がらないことを確実にする必要がある。したがって、分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することによって気液境界を正確に検出するための、様々なアプローチが開発されてきた。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の実施形態の一態様は、液体分注器に関する。液体分注器は、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む。液体分注器は、分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された、音生成器をさらに含む。液体分注器は、分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサをさらに含み、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが分注チャンバ部分内に配設されている。液体分注器は、分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、感知された音に基づいて判断するための制御回路をさらに含み得る。
【0005】
本明細書の実施形態の一態様は、液体分注器に関する。液体分注器は、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、1つ以上の側導管であって、1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティと、それぞれのキャビティを分注チャンバに接続しているそれぞれのコネクタチャネルとを有する、1つ以上の側導管と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む。液体分注器は、分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された、音生成器をさらに含む。液体分注器は、分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサをさらに含み、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つは、1つ以上の側導管のそれぞれの1つのキャビティ内に配設されており、1つ以上の側導管の各々のキャビティおよびコネクタは、音響センサによって感知された音の周波数範囲内で共鳴がない。液体分注器は、分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに含み得る。
【0006】
本明細書の実施形態の一態様は、液体分注器に関する。液体分注器は、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む分注器本体と、分注チャンバとピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、分注チャンバをピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む。液体分注器は、分注チャンバに音を生成するように構成された、音生成器をさらに含む。液体分注器は、生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された、音響センサをさらに含む。液体分注器は、感知された音に基づいて、分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または感知された音に基づく分注チップ内の液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された、制御回路をさらに含み得る。
【0007】
本明細書の実施形態の一態様は、液体分注器と液体との接触を検出する方法に関する。本方法は、音響センサを介して、時間ウィンドウ内で音響センサによって感知された音に関連付けられた複数の電圧値を取得することを含む。本方法は、複数の電圧値の各々を二乗して、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することをさらに含む。本方法は、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値の平均値を計算することをさらに含む。本方法は、複数の二乗電圧値の平均値に基づいて、時間ウィンドウ中に液体分注器の分注器チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の前述した特徴および他の特徴、目的、ならびに利点は、添付図面に例示されるように、本明細書の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。それらの添付図面は、本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成し、本発明の原理を説明すること、および当業者が本発明を作製および使用することを可能にすることにさらに役立つ。それら図面は、縮尺通りではない。
【
図1A】チップ-液体接触を検出するように構成されている、液体を輸送および分注するための液体分注器システムのブロック図を示す。
【
図1B】液体分注器システムのコントローラのブロック図を示す。
【
図2A】チップ-液体接触の検出を検出するように構成された液体分注器システムを示す、例示的な図である。
【
図2B】
図2Aに示す液体分注器の一部分の断面図を示す、例示的な図である。
【
図2C】チップ-液体接触を検出するように構成された液体分注器システム298を示す、別の例示的な図である。
【
図2D】
図2Cに示す液体分注器の一部分の断面図を示す、例示的な図である。
【
図3】液体分注器の一例の断面図を示す、例示的な図である。
【
図4】接続チャネルおよびキャビティを含む側導管の形状に基づく音の共鳴周波数の計算を示す。
【
図5A】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された、短い側導管を備えた例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図5AA】
図5Aに示す実施形態に関して、接続チャネルおよびキャビティを含む側導管の形状に基づく音の共鳴周波数の計算を示す、例示的な図である。
【
図5B】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された、単一の短い側導管を備えた例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図5C】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された、単一の短い側導管を備えた例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図6】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するための、例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図7】本明細書の一実施形態による、キャビティの幅と接続チャネルの幅とが実質的に同じであるときの、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す。
【
図8A-8C】本明細書の一実施形態による、キャビティの幅および接続チャネルの幅が実質的に同じであるときの液体分注器に基づく実験結果を示す図である。
【
図9A】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するための、例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図9AA】
図9Aに示す実施形態に関して、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す例示的な図である。
【
図10A】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するための、例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図10AA】
図10Aに示す実施形態に関して、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す例示的な図である。
【
図11A】本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された、短い側導管を備えた例示的な液体分注器の断面図を示す例示的な図である。
【
図11AA】
図11Aに示す実施形態に関して、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す例示的な図である。
【
図12】本明細書の一実施形態による、液体分注器の断面図を含めた液体分注器システムを示す例示的な図である。
【
図13】本明細書の一実施形態による、液体分注器内に実装された例示的な音響フィルタを示す例示的な図である。
【
図14A】音響フィルタなしの一実施形態による、ピストンチャンバ内の様々なピストン位置における音響信号の周波数スペクトル、および分注器チップ内の異なる液位を示すプロットを示す、例示的な図である。
【
図14B】音響フィルタありの一実施形態による、ピストンチャンバ内の様々なピストン位置における音響信号の周波数スペクトル、および分注器チップ内の異なる液位を示すプロットを示す、例示的な図である。
【
図15A】音響フィルタがポリエチレン(PE)でできている場合の、音響フィルタの異なる厚さでの音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図15B】音響フィルタがポリウレタン(PU)でできている場合の、音響フィルタの異なる厚さでの音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図16A】音響フィルタの厚さが5mmのときに、分注チップ内の異なる液位が異なる周波数に対応することを示す、例示的な図である。
【
図16B】音響フィルタの厚さが10mmのときに、分注チップ内の異なる液位が異なる周波数に対応することを示す、例示的な図である。
【
図17】本明細書の一実施形態による、音響フィルタを備える液体分注器の断面図を含めた液体分注器システムを示す例示的な図である。
【
図18】音の振幅を使用してチップ-液体接触を検出するときの、ホワイトノイズに起因する誤検知エラーを示す例示的な図である。
【
図19】音の振幅を用いてチップ-液体接触を検出するときの、シングルトーンノイズに起因する誤検知エラーを示す例示的な図である。
【
図20】気流ノイズに起因する誤検知エラーを示す例示的な図を示す。
【
図21】分注器と液体との接触を検出するための例示的な方法のフロー図を示す。
【
図22】複数のチップ条件で実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図23】本明細書の実施形態と一致するチップ存在検出の方法のフロー図を示す。
【
図24】複数の分注チップタイプについて実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図25A-25E】複数の分注チップタイプについて実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図26A-26E】1つの分注チップについて複数の温度で実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図27A-27E】1つの分注チップについて複数の温度で実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図28A-28D】1つの分注チップについて複数の温度および複数の体積レベルで実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図29】複数の分注チップタイプについて実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【
図30】本明細書の実施形態と一致するチップ同定の方法のフロー図を示す。
【
図31】音響センサから出力された電圧を処理するためのブロック図を示す、例示的なブロック図である。
【
図32】音の平均出力または平均強度に関連付けられた値に基づいてチップ-液体接触が検出されるときの、誤検知エラーの除去を示す例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、本来、単なる例示的なものであり、本発明、ならびに本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の技術分野、背景技術、簡単な要約、または以下の詳細な説明で提示される任意の明示的または暗示的な理論によって拘束される意図はない。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、ピペットなどの液体分注器によって液体接触を検出するための装置および方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、液体分注器内の液体体積を決定するための装置および方法に関する。液体を液体分注器に効果的に引き込むことを提供するために、自動液体分注器システムを構成して、分注チップと液体との接触(例えば、チップ-液体接触)がいつ起こったかを検出することができる。1つのアプローチは、音響センサによって感知された音の特性の変化を検出することによって、液体分注器のチップがいつ液体に接触するかを検出することができる。特に、液体分注器は、分注チップに接続された分注チャンバを含み得、分注チャンバは、特定の音の特性を提供し得る。分注チップが液体に接触すると、少なくとも液体が分注チップをブロックすることにより、分注チャンバ内の音の特性が変化し得る。したがって、音生成器が液体分注器の分注チャンバ内を伝わる音を生成し得、音響センサが液体分注器の分注チャンバ内で生成された音から生じる音響信号を感知し得るように、音生成器および音響センサが、液体分注器とともに実装され得る。自動液体分注器システムは、自動液体分注器システムが音響センサによって感知された音響信号の顕著な変化を検出したときに、液体分注器のチップが液体に接触したと判断することができる。さらに、本明細書に記載の実施形態は、チップ-液体接触の検出の精度を改善し、自動液体分注器システムの構造および/または感知された音響信号に基づく検出の方法に基づくエラーを最小限に抑える。
【0011】
音響センサおよび音生成器は、液体分注器の構造内に実装され得る。例えば、液体分注器内の音響信号を感知する音響センサと、液体分注器の内部に音を提供する音生成器とは、液体分注器の分注チャンバに接続されたそれぞれの突出した側面構造内に配設され得る。そのような突出した構造は、側導管と呼ばれ得、音響センサおよび音生成器をそれぞれ収容するのに十分な空間を提供するために、分注チャンバから外向きに延在し得る。本明細書に記載の実施形態は、側導管が延びて、チップ-液体接触の検出にエラーを引き起こす、望ましくない音響共鳴をもたらす可能性のある構造を形成するのを防ぐ。例えば、側導管によって形成された音響共鳴が、チップ-液体接触の検出に関連付けられた音響共鳴の近くに入ると、チップ-液体接触を判断するための閾値が側導管の寸法変化に敏感になる可能性がある。一例では、寸法変化は、側導管内のセンサおよび/または生成器の位置の変化に起因する、側導管内のキャビティ体積の変化を含み得る。さらに、本明細書に記載の実施形態は、同様にして液体体積感知の実装を妨げることを防ぐ。例えば、側導管によって形成される共鳴は、さもなければ音響センサによって感知される音響スペクトルにかなりの歪みをもたらし得、ピーク周波数と所望の液体体積との間に明確な関係を構築することを困難にし得る。したがって、本明細書に記載の発明は、音響センサおよび音生成器を収容する構造への改善を提供して、これらの望ましくない音響共鳴を低減または回避する。
【0012】
本明細書の実施形態の一態様は、音生成器および音響センサを含む構造の改善による、チップ-液体接触の検出の精度の改善に関する。一実施形態では、液体分注器の分注チャンバは、側導管を使用する代わりに、音生成器および音響センサが分注チャンバ部分内に配設され得るように構成され得る。この実施形態では、分注チャンバから突出しかつ分注チャンバに接続された側導管がないので、突出した側導管によって引き起こされる望ましくない音響共鳴を低減または回避することができる。別の実施形態によれば、液体分注器の分注チャンバから突出する側導管を使用して、音生成器および音響センサを収容することができ、側導管の構造は、望ましくない音響共鳴を回避できるように構成することができる。特に、各側導管の長さは、側導管によって引き起こされる共鳴周波数を特定の範囲に維持するために、側導管の開口部および内部空間と比較して特定の長さに制限することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、液体分注器はまた、液体分注器の分注チャンバに接続されたピストンチャンバを有し得る。ピストンチャンバはピストンを受容し、ピストンの移動を導くことができ、その結果、液体が、ピストンの移動によって誘導される圧力によって引き込まれ得るかまたは分注され得る。ピストンの移動は、音響センサによって感知され得る追加のノイズを引き起こす可能性がある。ピストンの移動によって引き起こされる音響特性の他の変化は、音響センサによって感知される音響信号にエラーをもたらし得る。したがって、本開示は、以下でより詳細に説明するように、ピストンの移動の悪影響を低減または排除するためのアプローチを提供する。
【0014】
本明細書の実施形態の一態様は、液体分注器の分注チャンバとピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタを実装することによって、チップ-液体接触の検出の精度を改善すること、および/またはチップ内の液体の感知(液体体積感知)の精度を実質的に改善することに関する。より具体的には、音響フィルタは、音響フィルタが分注チャンバをピストンチャンバから音響的に分離することができるように選択および位置決めすることができる。このようにして、音響センサによって感知される音響信号への、ピストンチャンバ内のピストンの移動が及ぼす影響を、減少させるかまたはなくすことができる。
【0015】
さらに、音響センサによって感知された音響信号を使用してチップ-液体接触を検出するために、いくつかのアプローチが開発され得る。例えば、チップ-液体接触は、音響センサによって感知された音響信号に基づいて、振幅/位相または音響インピーダンスの変化を測定することによって検出され得る。ただし、このようなアプローチでは、バックグラウンドノイズが増加するにつれて、チップ-液体接触の誤検出率が高くなり得る。液体分注器は一定のノイズのある環境で動作している可能性があるため、バックグラウンドノイズはチップ-液体接触を検出する際に考慮すべき重要な要素である。したがって、本開示は、以下でより詳細に説明するように、バックグラウンドノイズによる影響がより少ない、チップ-液体接触を検出するためのアプローチを提供する
【0016】
本明細書の実施形態の一態様は、音響センサによって感知された音響信号を処理してチップ-液体接触を検出するための、改善されたアプローチを使用することによって、チップ-液体接触の検出の精度を改善することに関する。振幅/位相または音響インピーダンスのみに依存する代わりに、音響センサによって感知された音の音響パワーまたは音響強度が監視され得る。特に、音響パワーまたは音響強度に関連付けられた値に検出された変化に基づいて、チップ-液体接触を検出することができる。
【0017】
図1Aは、液体を輸送および分注するための、液体分注器システム100(例えば、自動ピペッティングシステム)のブロック図を示す。液体分注器システム100は、液体分注器システム100の様々な構成要素を制御するように構成されたコントローラ110と、液体を輸送するための液体分注器130と、液体分注器130のピストン170を駆動するためのピストン駆動装置180と、液体分注器130を駆動するための液体分注器輸送装置185とを含み得る。一実施形態では、コントローラ110は、液体分注器130の一部であり得、または液体分注器130とは別個のデバイスであり得る。一実施形態では、液体分注器130はピペットであり得、かつ液体分注器システム100は自動ピペットシステムであり得る。ピストン駆動装置180は、ピストン170を駆動するためにコントローラ110によって制御される1つ以上のモーターを含み得、ピストン170と結合され得る。液体分注器輸送装置185は、液体分注器130を駆動するためにコントローラ110によって制御される1つ以上のモーターを含み得、液体分注器130と結合され得る。液体分注器130は、音を生成するように構成された音生成器150と、音響信号を感知するように構成された音響センサ160とを含み得る。液体分注器130のピストン170は、液体分注器130内を移動して、液体分注器130内に圧力を生成して、液体を液体分注器130内に引き込むか、または液体を液体分注器130から外に分注するように構成され得る。液体分注器130は、音生成器150と音響センサ160とを含む、分注器本体131を含み得る。分注器本体131は、ピストン170を受容し、かつピストン170の移動を導くように構造化され得る。
【0018】
コントローラ110は、以下でより詳細に論じるように、音響センサ160によって感知された音響信号を受信して処理するように、かつ液体分注器130と液体との接触が起こったかどうかを(例えば、分注チップを介して)検出するように構成され得る。コントローラ110は、音生成器150を制御して音を生成するように構成され得る。例えば、コントローラ110は、音の周波数、音のタイプ、音の持続時間、音の強度/音量など、音生成器150によって音を生成するための様々な設定値を設定することができる。コントローラ110は、ピストン駆動装置180を制御してピストン170を駆動するようにさらに構成され得る。例えば、コントローラ110は、コントローラ110が、液体を液体分注器130内に引き込むかまたは液体を分注器130から外に分注するかを決定するかどうかに基づいて、ピストン駆動装置180を制御してピストン170を駆動することができる。コントローラ110は、液体分注器輸送装置185を制御して液体分注器130を駆動するようにさらに構成され得る。例えば、コントローラ110は、液体分注器輸送装置185を制御して、その結果、液体分注器輸送装置185が液体分注器130を液体リザーバに移動させて、液体リザーバから液体を引き込み、液体分注器130が液体を分注するための目標位置に移動できるようにすることができる。
【0019】
一実施形態では、コントローラ110は、有線または無線通信を介して、液体分注器130(例えば、音生成器150および音響センサ160)、ピストン駆動装置180、および液体分注器輸送装置185と通信するように構成され得る。例えば、コントローラ110は、シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)、I2C(集積回路間)バス、RS-232インタフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェース、イーサネットインタフェース、Bluetooth(登録商標)インタフェース、IEEE 802.11インタフェース、またはそれらの任意の組み合わせを介して、液体分注器130、ピストン駆動装置180、および/または液体分注器輸送装置185と通信するように構成され得る。一実施形態では、コントローラ110は、周辺機器相互接続(PCI)バスなどのローカルコンピュータバスを介して、液体分注器130、ピストン駆動装置180、および/または液体分注器輸送装置185と通信するように構成され得る。一実施形態では、コントローラ110は、液体分注器130から分離することができ、上記で論じた無線または有線接続を介して、分注器130と通信することができる。一実施形態では、コントローラ110は、液体分注器130の一体型構成要素であってもよく、液体分注器130の他の構成要素および/またはピストン駆動装置180、および/または液体分注器輸送装置185と、上記で論じたローカルコンピュータバスを介して通信してもよい。いくつかの場合では、コントローラ110は、液体分注器130のみを制御する専用コントローラであってもよい。他の場合では、コントローラ110は、液体分注器130を含む複数の液体分注器を制御するように構成されていてもよい。一実施形態では、コントローラ110と液体分注器130とは、同じ施設(例えば、研究室)に設置されている。別の実施形態では、コントローラ110は、液体分注器130、ピストン駆動装置180、および液体分注器輸送装置185から遠隔にあってもよく、ネットワーク接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)接続)を介して、液体分注器130、ピストン駆動装置180、および液体分注器輸送装置185と通信するように構成されていてもよい。
【0020】
図1Bは、液体分注器システム100のコントローラ110のブロック図を示す。ブロック図に示すように、コントローラ110は、制御回路111、通信インタフェース113、および非一時的コンピュータ可読媒体115(例えば、メモリまたは他のコンピュータ可読記憶媒体)を含む。一実施形態では、制御回路111は、1つ以上のプロセッサ、プログラマブル論理回路(PLC)もしくはプログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の任意の制御回路を含み得る。
【0021】
一実施形態では、通信インタフェース113は、液体分注器130(例えば、音生成器150および音響センサ160)、ピストン駆動装置180、および液体分注器輸送装置185と通信するように構成された、1つ以上の構成要素を含み得る。例えば、通信インタフェース113は、有線または無線プロトコルを介して通信を実行するように構成された、通信回路を含み得る。一例として、通信回路には、SPIコントローラ、I2Cコントローラ、RS-232ポートコントローラ、USBコントローラ、イーサネットコントローラ、Bluetooth(登録商標)コントローラ、PCIバスコントローラ、他の任意の通信回路、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0022】
一実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体115は、コンピュータメモリを含み得る。コンピュータメモリには、例えば、フラッシュ、電気的消去可能プログラムマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ソリッドステート統合メモリ、および/またはハードディスクドライブ(HDD)が含まれ得る。いくつかの場合では、本明細書で説明される様々な方法は、非一時的コンピュータ可読媒体115に格納されたコンピュータ実行可能命令(例えば、コンピュータコード)を介して実行され得る。そのような場合、制御回路111は、コンピュータ実行可能命令(例えば、
図18に示されるステップ)を実施するように構成された、1つ以上のプロセッサを含み得る。
【0023】
コントローラ110は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器117をさらに含み得る。アナログ-デジタル変換器117は、任意選択の構成要素であってよい。一実施形態では、音響センサ160からの出力信号はアナログ信号であり、したがってアナログ-デジタル変換器117を使用してデジタル信号に変換することができ、これによりそれらの信号を制御回路111によってさらに処理できる。コントローラ110は、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル-アナログ変換器119をさらに含み得る。デジタル-アナログ変換器119は、任意選択の構成要素であってよい。一実施形態では、音生成器150の入力信号はアナログ信号であり、したがってデジタル-アナログ変換器119を使用して、制御回路111から生成されたデジタル信号より導出することができる。
【0024】
コントローラ110は、信号調整回路121をさらに含み得る。信号調整回路121は、様々なアナログ信号を操作し得、これにより、アナログ信号がさらなる処理のために次のステージの要件を満たすようにすることができる。信号調整回路121は、入力信号を受信し、入力信号を増幅し、増幅された入力信号を出力信号として出力する、増幅器を含み得る。一態様では、増幅器を使用して入力信号を増幅し得、これにより、音生成器150から出力された音は、制御回路111から生じた入力信号に基づいて所望の音量範囲に到達することができる。一実施形態では、アナログ増幅器を使用して、音響センサ160によって感知された音に関連付けられた入力信号を増幅して、音響センサ160の出力信号が、アナログ-デジタル変換器117の入力範囲に一致する所望のレベルに到達できるようにすることができる。信号調整回路121は、信号用のアクティブフィルタ/パッシブフィルタをさらに含み得る。例えば、フィルタは、カットオフ周波数より低い周波数の信号を通過させ、カットオフ周波数またはそれより高い周波数の信号を廃棄するように構成された、ローパスフィルタであってもよい。ローパスフィルタを使用して、よりなだらかな形式の入力信号を出力できる。よって、ローパスフィルタを使用してノイズを低減することができる。一実施形態では、音響センサ160からの出力信号は、例えば、音響センサ160からの出力信号の初期平滑化を実施するために、ローパスフィルタを通過し得る。
【0025】
図2Aは、チップ-液体接触を検出するように構成された液体分注器システム200を示す、例示的な図である。
図2Bは、液体分注器システム200の液体分注器230の一部分の断面図を示す例示的な図である。液体分注器システム200は、
図1の液体分注器システム100の例示的な実施形態であり得、したがって、液体分注器システム200の構成要素は、液体分注器システム100の構成要素に対応し得る。液体分注器システム200は、コントローラ110によって制御される液体分注器230を含む。液体分注器230は、分注チャンバ部分240およびピストンチャンバ部分275を含む、分注器本体231を含み得る。液体分注器230の分注器本体231は、ハウジング235内に含まれ得、これは任意選択の構造であってもよい。
【0026】
分注チャンバ部分240は、分注チャンバ241を含み、分注チャンバ241は、分注チャンバ241の第1の部分243に第1の開口部を有し、ピストンチャンバ277に接続されている分注チャンバ241の第2の部分245に、第2の開口部を有する。第1の部分243は、分注チャンバ241の第1の端部にあり得、第2の部分245は、分注チャンバ241の第2の端部にあり得る。液体分注器230は、ピストン270をさらに含み、ピストン270は、分注器本体231のピストンチャンバ部分275内のピストンチャンバ277によって受容されかつ導かれる。分注チャンバ241の第1の部分243は、分注チップ247などの分注チップと結合するように構成されている。分注チップ247は、第1の部分243に恒久的に取り付けられていてもよく、または第1の部分243に取り外し可能に取り付けられてもよい。一例では、分注チップ247は、分注チャンバ部分240の一部であり得る。分注チップ247のキャビティ、分注チャンバ241、およびピストンチャンバ277は互いに接続されているので、ピストン270を動かして、分注チャンバ241内の圧力を変化させて、液体を分注チップ247に引き込むことができる。液体分注器システム200は、液体分注器230を駆動するように構成された液体分注器輸送装置285を含み、ピストンチャンバ277内でピストン270を駆動するように構成された、ピストン駆動装置280を含む。分注チップ247は、5μl~1000μlの範囲の体積を分注するように構成することができるが、他の体積も企図される。例示的な実施形態では、分注チップ247は、350μl体積のチップである。さらに、分注チップ247は、TECANブランドまたはRAININブランドのチップなどの既製の自動化チップ、または静電容量感知を採用するように適合された導電性タイプのチップを含むことができる。さらに、分注チップ247は、5μl/秒~700μl/秒の範囲の様々な分注速度で分注することができるが、他の速度も企図される。例えば、非限定的な例示的な実施形態では、分注チップ247は、約600μl/秒で分注するように適合されている。
【0027】
一例では、液体分注器輸送装置285は、液体分注器230を液体290が入っている液体リザーバ295の上に移動させ、分注チップ247が液体290に接触するまで、液体分注器230を液体290に向かって下げることができる。分注チップ247が液体290に接触したことをコントローラ110が検出すると、コントローラ110は、液体分注器輸送装置285を制御して、液体分注器230の動きを停止させ得る。次に、コントローラ110は、ピストン駆動装置280をさらに制御して、ピストン270を上方に移動させて、特定の量の液体290を分注チップ247に引き込むことができる。特定の量の液体290が引き込まれた後、コントローラ110は、ピストン駆動装置280を制御してピストン270の動きを停止させ、液体分注器輸送装置285を制御して液体分注器230を目標位置に移動させることができる。目標位置に到達すると、コントローラ110は、ピストン駆動装置280を制御して、ピストン270を下方に移動させて、分注チップ247から液体を分注することができる。
【0028】
液体分注器230の分注器本体231は、分注チャンバ241内に音響共鳴を誘導するために分注チャンバ241内に音を生成する、音生成器250を含み得る。液体分注器230の分注器本体231は、分注チャンバ241からの音を感知することができる、音響センサ260を含むことができる。
図2Aに示される非限定的な例示的な実施形態は、音生成器250および音響センサ260が互いに対向するように配設され、かつ互いに離間して配設されていることを示す。ただし、音生成器250および音響センサ260の配置および相対位置は、
図2Aの例に限定されない。例えば、別の例では、音生成器250および音響センサ260は、互いに対向していなくてもよく、かつ/または互いに隣接して配設されていてもよい。
【0029】
図2Cは、チップ-液体接触を検出するように構成された、液体分注器システム298を示す別の例示的な図である。
図2Cの液体分注器システム298は、音生成器250の位置を除いて、
図2Aの液体分注器システム200と同様であり得る。特に、液体分注器システム298内の音生成器250は、液体分注器230の外側に設置することができる。一態様では、液体分注器システム298には、音生成器250によって生成された音が音響センサ260に伝わるようにするための、開口部または間隙があってもよい。
図2Dは、液体分注器システム298の液体分注器230の一部分の断面図を示す例示的な図である。上記で論じたように、
図2Cの液体分注器システム298は、音生成器250の位置を除いて、
図2Aの液体分注器システム200と同様であり得る。よって、
図2Dは、
図2Bと同じ特徴を示す。
【0030】
図3は、液体分注器330の断面図を示す例示的な図である。一実施形態では、液体分注器330は、液体分注器230の一実施形態であり得る。
図3に示される実施形態では、液体分注器は、分注チャンバ部分340およびピストンチャンバ部分375を含む、分注器本体331を含む。分注チャンバ部分340は、その中に分注チャンバ341を有する。分注チャンバ340は、分注チャンバ340の第1の部分343に第1の開口部を有し得、分注チャンバ340の第2の部分345に第2の開口部を有し得る。分注チャンバ340の第1の部分343は、分注チップ347と結合されている。分注チャンバ341は、第2の部分345で第2の開口部を介して、ピストンチャンバ部分375のピストンチャンバ377に接続されている。ピストンチャンバ377は、ピストン370をピストンチャンバ377内で直線運動で導いて、液体を液体分注器330内に引き込み、かつ液体を液体分注器330から外に(例えば、分注チップ347を介して)分注するように構成されている。液体は、分注チップ347のチップキャビティ349内に引き込まれ得、ピストン370の移動に基づいて、チップキャビティ349から外に分注され得る。
【0031】
分注器本体331は、第1のキャビティ357を有する第1の側導管355と、第1のキャビティ357を分注チャンバ341に接続する第1の接続チャネル359とをさらに含む。音生成器350は、第1のキャビティ357内に配設され得、分注チャンバ341内に音響共鳴を誘導するための音を生成し得る。分注器本体331は、第2のキャビティ367を有する第2の側導管365と、第2のキャビティ367を分注チャンバ341に接続する第2の接続チャネル369とをさらに含む。音響センサ360は、第2のキャビティ367内に配設され得、分注チャンバ341からの音を感知することができる。
【0032】
図3に示される実施形態では、第1の導管355および第2の導管365は、分注チャンバ部分340から突出している。さらに、大きなサイズの第1の導管355および第2の導管365は、それぞれ、大きなサイズの音生成器350および音響センサ360に対応するように実装されている。以下でより詳細に説明するように、第1の導管355および第2の導管365の構造は、分注チップ347が液体に接触したかどうかを検出する際のエラーの一因となる可能性がある。例えば、望ましくないエラーを回避するために、第1の導管355および/または第2の導管365によって引き起こされる音響共鳴は、チップ-液体接触を検出するために使用される周波数範囲外にあるべきである。一例では、チップ-液体接触を検出するための所望の周波数範囲は、200Hz~1kHz、または好ましくは100Hz~4kHzであり得る。したがって、第1の導管および/または第2の導管によって引き起こされる音響共鳴は、この記載された周波数範囲外にあるべきである。
【0033】
図4は、側導管の形状に基づく側導管の接続チャネルでの、音の共鳴周波数の計算を示す。接続チャネル459によって提供される開口部などの小さな開口部を有するキャビティ457などのキャビティを持つ構造は、ヘルムホルツ共鳴器を形成することができる。一実施形態では、
図3の第1の側導管355の第1のキャビティ357および第1の接続チャネル359は、それぞれ、キャビティ457および接続チャネル459と同様の構造を有し得る。一実施形態では、
図3の第2の側導管365の第2のキャビティ367および第2の接続チャネル369は、キャビティ457および接続チャネル459と同様の構造を有し得る。
【0034】
図4に示される実施形態では、側導管は、既知の体積Vを有するキャビティ457と、ネック長さLを有する接続チャネル459とを有し得、接続チャネル459は、開口部面積Aを有する。ここで、cは音速を示し、共鳴周波数fは、以下の式に基づいて計算され得る。
【数1】
【0035】
キャビティ457および接続チャネル459によって形成されるヘルムホルツ共鳴器は、音響スペクトルに歪みを加えることができるノッチフィルタとして機能し得る。特に、ヘルムホルツ共鳴器によって導入される共鳴周波数fは、チップ-液体接触を検出するために使用される音の周波数範囲に干渉し得る。一例では、キャビティ幅、キャビティ長さ、およびネック長さLは、各々が15mmであり得、接続チャネル幅は4mmであり得る。このような例では、体積Vは約2649mm3であり得、開口部面積Aは12.56mm2であり得、音速は343m/秒(または343000mm/秒)である。この例では、上記の式によると、共鳴周波数fは約971Hzとなり得る。チップ-液体接触を検出するために使用される音の周波数範囲が200Hz~1kHz、または好ましくは100Hz~4kHzである場合、971Hzの共鳴周波数はこの周波数範囲内に入るため、チップ-液体接触との検出に干渉し得る。したがって、音生成器と音響センサとを収容する構造は、チップ-液体接触を検出するために使用される周波数範囲内に入る音響共鳴を回避するように設計すべきである。
【0036】
一実施形態によれば、側導管は、共鳴周波数fが、チップ-液体接触を検出するために使用される音の周波数範囲外にあるように設計され得る。したがって、側導管のキャビティおよびコネクタは、チップ-液体接触を検出するために音響センサによって感知される音の周波数範囲内に、音響共鳴がないように構成され得る。一実施形態では、キャビティの体積V、ならびに側導管のコネクタの開口部面積Aおよびネック長さLは、共鳴周波数fがチップ-液体接触を検出するために使用される音の周波数範囲外にあるように、決定され得る。例えば、チップ-液体接触を検出するための好ましい周波数範囲は、100Hz~4kHzであり得る。よって、そのような例では、開口部面積A、体積V、およびネック長さLは、100Hz未満または4kHz超の周波数であることを確実にするように選択され得る。上記の式に基づいて、共鳴周波数は、開口部面積Aを増加させる、かつ/または体積Vを減少させる、かつ/またはネック長さLを減少させることによって、チップ-液体接触を検出するために使用される周波数範囲を超えて増加させることができる。例えば、小さい音生成器および音響センサを選択することにより、体積Vを減少させ、かつ/またはネック長さLを減少させることが可能となる。したがって、音の周波数範囲外の共鳴周波数fを有する構造は、共鳴周波数fによって引き起こされるエラーを低減または排除し得るため、このような構造により、チップ-液体接触の検出、ならびにチップの存在の検出(例えば、チップが排出されたかどうかの検出)もしくは分注チップのタイプの検出の精度が改善され得る。
【0037】
図5Aは、本明細書の一実施形態による、液体分注器530の音響センサによって感知される音の周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された側導管を備えた、例示的な液体分注器530の断面図を示す例示的な図である。
図5AAは、
図5Aに示される実施形態のための、接続チャネルおよびキャビティを含む側導管の形状に基づく音の共鳴周波数の計算を示す、例示的な図である。
図5Aでは、参照符号535、540、541、543、545、547、549、570、575、および577によって表される部分は、それぞれ、
図3を参照して上記で論じた、参照符号340、341、343、345、347、349、370、375、および377によって表される部分と同様の特徴を有する。したがって、参照符号535、540、541、543、545、545、549、570、575、および577の詳細な議論は省略する。
【0038】
図5Aによって示される実施形態では、液体分注器530は、第1のキャビティ557を有する第1の側導管555と、第1のキャビティ557を分注チャンバ541に接続する第1のコネクタチャネル559とを含む、分注器本体531を有する。音生成器550は、第1のキャビティ557内に配設され得、分注チャンバ541内に音響共鳴を誘導するための音を生成し得る。分注器本体531は、第2のキャビティ567を有する第2の側導管565と、第2のキャビティ567を分注チャンバ541に接続する第2のコネクタチャネル569とを含む。音響センサ560は、第2のキャビティ567内に配設され得、分注チャンバ541内の音を感知することができる。音生成器550および音響センサ560の配置、ならびに実装される側導管の数は、
図5Aに示される例に限定されなくてもよい。例えば、別の例では、音生成器および/または音響センサが、単一の側導管内に配設されてもよい。
【0039】
図5Aに示される実施形態では、液体分注器530の音生成器550は、
図3の液体分注器330の音生成器350よりも小さい。さらに、
図5Aによって示される実施形態に関しては、液体分注器530の音響センサ560は、
図3の液体分注器330の音響センサ360よりも小さい。したがって、
図3の液体分注器330と比較すると、各側導管のキャビティの体積Vは減少している。さらに、
図3の液体分注器330と比較すると、各側導管の接続チャネルの長さに対応するネック長さLもまた短縮されている。
図5Aに示すような、キャビティの体積Vおよびネック長さLの減少は、より小さな音生成器およびより小さな音響センサを実装することによって達成され得る。
図5Aに示される実施形態では、液体分注器530の音生成器550は、
図3の液体分注器330の音生成器350よりも小さい。さらに、
図5Aによって示される実施形態では、液体分注器530の音響センサ560は、
図3の液体分注器330の音響センサ360よりも小さい。キャビティの体積Vとネック長さLを減少させることにより、共鳴周波数fは、チップ-液体接触の検出に使用される音の周波数範囲を超える周波数に増加する。
【0040】
図3および4を参照する上記の例では、体積Vが2649mm
3であり、ネック長さLが15mmであり、開口部面積Aが12.56mm
2であり得、かつ音速が343m/秒である場合、共鳴周波数fは、約971Hzとなる。
図5Aにおいて、一例では、キャビティ幅は5mmに短縮され得、キャビティ長さおよびネック長さLは各々4mmに短縮され得、一方、コネクタチャネル幅を4mmとされ得る。この例では、各側導管のキャビティ体積Vを78.5mm
3に減少させることができ、一方、コネクタチャネルの開口部面積Aは12.56m
2にされ得、音速は343m/秒(または343000mm/秒)である。よって、共鳴周波数fは、約10.9kHzとなる。チップ-液体接触を検出するための好ましい周波数範囲が100Hz~4kHzの場合、10.9kHzの共鳴周波数fは、チップ-液体接触を検出するための周波数範囲外であるため、チップ-液体接触の検出に悪影響を与えない。この例は、体積Vとネック長さLを減少させると、共鳴周波数fが増加して、チップ-液体接触を検出するための周波数範囲を超えるか、さもなければ範囲外になる可能性があることを示している。
【0041】
図5Bは、本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された単一の短い側導管を備えた、例示的な液体分注器580の断面図を示す例示的な図である。
図5Bに示される実施形態は、
図5Aに示される実施形態の変形形態と見なすことができる。
図5Bの実施形態では、
図5Aに示されるような2つの側導管を有する代わりに、単一の側導管が実装されている。
図5Bによって示される実施形態では、液体分注器580は、第1のキャビティ557を有する第1の側導管555と、第1のキャビティ557を分注チャンバ541に接続する第1のコネクタチャネル559とを含む、分注器本体531’を有する。音生成器550は、第1のキャビティ557内に配設され得、分注チャンバ541内に音響共鳴を誘導するための音を生成し得る。分注器本体531’は、第2の側導管を有さない。したがって、音響センサ560は、分注チャンバ部分540の第2のキャビティ567’内に配設され得、分注チャンバ541内の音を感知することができる。
【0042】
図5Cは、本明細書の一実施形態による、音を感知するための周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された単一の短い側導管を備えた、例示的な液体分注器590の断面図を示す例示的な図である。
図5Cに示される実施形態は、
図5Aに示される実施形態の変形形態と見なすことができる。
図5Cの実施形態では、
図5Aに示されるような2つの側導管を有する代わりに、単一の側導管が実装されている。
図5Cによって示される実施形態では、分注器本体531”は、第2のキャビティ567を有する第2の側導管565と、第2のキャビティ567を分注チャンバ541に接続する第2のコネクタチャネル569とを含む。音響センサ560は、第2のキャビティ567内に配設され得、分注チャンバ541内の音を感知することができる。分注器本体531”は、第1の側導管を有さない。したがって、音生成器550は、分注チャンバ部分540内の第1のキャビティ557”内に配設され得、分注チャンバ541内に音響共鳴を誘発するための音を生成することができる。
【0043】
一実施形態によれば、液体分注器は、音生成器および/または音響センサならびに接続チャネルを収容するためのキャビティの構造によって引き起こされる、ヘルムホルツ共鳴を回避するように設計され得る。一態様では、ヘルムホルツ共鳴器構造を回避するために、キャビティの幅およびコネクタチャネル幅の幅を、実質的に同じに維持することができる。一態様では、側導管によって引き起こされるヘルムホルツ共鳴を回避するために、側導管の実装を回避することができる。一例では、音生成器および音響センサは、液体分注器の分注チャンバ部分内に配設されてもよい。例えば、液体分注器の分注チャンバ内に収まるのに十分小さい音生成器および音響センサを選択することにより、分注チャンバ部分から突出する側導管は不要であり、したがって、側導管の構造によって引き起こされ得るヘルムホルツ共鳴を回避することができる。ヘルムホルツ共鳴を回避することにより、チップ-液体接触を検出する際に発生する歪みが軽減され得る。さらに、ヘルムホルツ共鳴を回避することにより、液体体積検知および/またはチップ存在検出の精度が改善され得る。
【0044】
図6は、本明細書の実施形態による、液体分注器630の音響センサによって感知される音の周波数範囲内の音響共鳴を回避するための、例示的な液体分注器630の断面図を示す例示的な図である。
図6の例示的な液体分注器630は、望ましくない音響共鳴を生成し得るヘルムホルツ共鳴器構造を回避するように構成されており、側導管を有さなくてもよい。一実施形態では、液体分注器630は、液体分注器330の一実施形態であり得る。
図6に示される実施形態では、液体分注器630は、分注チャンバ部分640およびピストンチャンバ部分675を含む、分注器本体631を含む。分注チャンバ部分640は、その中に分注チャンバ641を有する。分注チャンバ641は、分注チャンバ640の第1の部分643に第1の開口部を有し得、分注チャンバ640の第2の部分645に第2の開口部を有し得る。分注チャンバ641の第1の部分643は、分注チップ647と結合されている。分注チャンバ641は、第2の部分645で第2の開口部を介して、ピストンチャンバ部分675のピストンチャンバ677に接続されている。ピストンチャンバ677は、ピストン670をピストンチャンバ677内で直線運動で導いて、液体を液体分注器630内に引き込み、かつ液体を液体分注器630から外に(例えば、分注チップ647を介して)分注するように構成されている。液体は、分注チップ647のチップキャビティ649内に引き込まれ得、ピストン670の動きに基づいて、チップキャビティ649から外に分注され得る。
【0045】
図6に示すように、分注チャンバ641は、第1の部分643の第1の開口部と、第2の部分645の第2の開口部との間で、長手方向に延在する長手方向経路を有し得る。音生成器650は、分注チャンバ641の長手方向経路に音を提供するために分注チャンバ641内に位置決めされ得る。一実施形態では、音響センサ660は、分注チャンバ641の長手方向経路から直接音を感知するために、分注チャンバ641内に位置決めされ得る。
図6に示す例では、音生成器650と音響センサ660とは、分注器本体631の同じ側に設置されている。ただし、音響センサ660の位置に対する音生成器650の位置は、
図6に示される例に限定されない。一実施形態では、音生成器650および/または音響センサ660は、分注チャンバ部分641から突出していなくてもよい。
【0046】
図6に示すように、液体分注器630の分注器本体631は、第1のキャビティ657と、第1のキャビティ657を分注チャンバ641に接続する第1のコネクタチャネル659とを有する。音生成器650は、第1のキャビティ657内に配設され得、分注チャンバ641内に音響共鳴を誘導するための音を生成し得る。分注器本体631は、第2のキャビティ667と、第1のキャビティ657と分注チャンバ647とを接続する第2のコネクタチャネル669とを含む。音響センサ660は、第2のキャビティ667内に配設され得、分注チャンバ641内の音を感知することができる。第1のキャビティ657の幅および第1のコネクタチャネル659の幅は実質的に同じであるため、第1のキャビティ657および第1のコネクタチャネル659はヘルムホルツ共鳴器を形成しない。したがって、液体分注器630にヘルムホルツ共鳴は存在せず、ひいてはそのような音響共鳴によって引き起こされるエラーは、低減もしくは排除され得る。以下で詳細に論じるように、第1のコネクタチャネル659の長さLに基づく共鳴は、異なって計算され得る。同様に、第2のキャビティ667の幅および第1のコネクタチャネル669の幅が実質的に同じであるときは、第1のキャビティ667および第1のコネクタチャネル669もヘルムホルツ共鳴器を形成しない。
【0047】
図7は、キャビティの幅と接続チャネルの幅とが実質的に同じであるときの、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す。一実施形態では、
図5Aの液体分注器530の第1のキャビティ557および第1の接続チャネル559が、それぞれ、
図7のキャビティ757および接続チャネル759と同様の構造を有し得る。一実施形態では、第2のキャビティ567は第1のキャビティ557と同様の構造を有し得、かつ第2のキャビティ567に接続されており接続チャネル559と同様の、接続チャネルが存在し得る。
【0048】
図7に示される実施形態では、接続チャネル759は、ネック長さLを有する。一実施形態では、音生成器は、キャビティ757内に配設され得、ネック長さLは、音生成器と分注チャンバとの間の距離を表すことができる。ここで、cは音速を表し、nは調和数を表し、接続チャネル759での共鳴周波数fは、以下の式に基づいて計算することができる。
【数2】
、
ここで、n=1、3、5、7、・・・である。
【0049】
例えば、上記で論じたように、チップ-液体接触を検出するための所望の周波数範囲は、200Hz~1kHz、または好ましくは100Hz~4kHzであり得る。このような例では、共鳴周波数fは100Hz~4kHzの範囲外であることが好ましい。調和数が1、かつ共鳴周波数fが4kHzのとき、ネック長さLは約21mmである。したがって、調和数が1のときに、共鳴周波数fが100Hz~4kHzの範囲外である、4kHzより高くなるようにするには、ネック長さLを21mm未満にすべきである。換言すれば、共鳴周波数fがチップ-液体接触を検出するための所望の周波数範囲外となることを確実にするためには、より短いネック長さLが好ましい場合がある。
【0050】
図8Aは、非常に短い接続チャネルを有するかもしくは接続チャネルを有さない液体分注器に基づく、実験的な音響スペクトルを示す図である。
図8Aに示される実施形態では、接続チャネルのネック長さLが約0mmのときに、「チップオープン」状態(液体に接触する前)と「チップクローズ」状態(液体に接触しているとき)との間の音響信号の大きさの差は、約900Hzにおいて11.9dBである。
図8Bは、中程度の長さを有する接続チャネルを有する液体分注器に基づく実験結果を示す図である。
図8Bは、接続チャネルのネック長さLが約12mmのときに、「チップオープン」状態(液体に接触する前)と「チップクローズ」状態(液体に接触しているとき)との間の音響信号の大きさの差が、約900Hzにおいて9.35dBであることを示しており、これは、
図8Aで観察された音響信号の大きさの差よりも小さい。
図8Cは、長い接続チャネルを有する液体分注器に基づく実験結果を示す図である。
図8Cは、接続チャネルのネック長さLが約25mmのときに、「チップオープン」状態(液体に接触する前)と「チップクローズ」状態(液体に接触しているとき)との間の音響信号の大きさの差が、約900Hzにおいて8.3dBであることを示しており、これは、
図8Aおよび
図8Bで観察された音響信号の大きさの差よりも小さい。
【0051】
上記で論じたように、調和数が1のときに、共鳴周波数fが100Hz~4kHzの範囲外である、4kHzより高くなるようにするには、ネック長さLを21mm未満にすべきである。
図8Cのネック長さLが21mmよりわずかに大きいことにより、共鳴周波数fは100Hz~4kHzの範囲内にあり得るため、音響信号の測定に干渉する可能性がある。25mmのネック長さLによって引き起こされるこのような干渉により、「チップオープン」状態と「チップクローズ」状態との間の大きさの差が、ネック長さLが約0のときよりも小さくなる可能性がある。
図8Cのネック長さLが21mmよりはるかに大きいことにより、共鳴周波数fは100Hz~4kHzの範囲内にあるため、
図8Bに示す場合よりも、音響信号の測定にさらに大きく干渉する可能性がある。
図8A~8Cに示すように、ネック長さLが(例えば、21mmを超えて)、共鳴周波数fがチップ-液体接触を検出するための周波数範囲内にある点まで増加するにつれて、チップ-液体接触の検出は低下する。
【0052】
さらに、
図8A~8Cに示すように、チップがないとき(例えば、「チップなし」状態)の音響信号の大きさは、接続チャネルのネック長さLが増加するにつれて、チップが存在するとき(例えば、「チップオープン」状態および「チップクローズ」状態)の音響信号の大きさに、より類似するようになる。したがって、チップがないときの音響信号の大きさは、接続チャネルのネック長さLが増加するにつれて、チップが存在するときの音響信号の大きさと区別しにくくなる。特に、チップが液体分注器上に存在するかどうかを検出するための周波数範囲は、200Hz~1kHz、または好ましくは100Hz~4kHzであり得る。よって、接続チャネルのネック長さLが(例えば、21mmを超えて)、共鳴周波数fがチップ存在を検出するための周波数範囲内にある点まで増加すると、分注器でのチップ存在の検出は低下する。よって、上記で論じたように、ネック長さLが長いことは望ましくない可能性があり、側導管を低減または排除することにより、チップ-液体接触検出および/またはチップ存在検出におけるエラーが低減された、改善された結果を提供することができる。
【0053】
図9Aは、本明細書の一実施形態による、液体分注器930の音響センサによって感知される音の周波数範囲内の音響共鳴を回避するための、例示的な液体分注器930の断面図を示す例示的な図である。
図9AAは、
図9Aに示される実施形態に対する、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す、例示的な図である。
図9Aの例示的な液体分注器930は、望ましくない音響共鳴を生成し得るヘルムホルツ共鳴器構造を回避するように構成されており、側導管を有さなくてもよい。
図9Aでは、参照符号935、940、941、943、945、947、949、970、975、および977によって表される部分は、それぞれ、
図3を参照して上記で論じた、参照符号640、641、643、645、647、649、670、675、および677によって表される部分と同様の特徴を有する。したがって、参照符号935、940、941、943、945、947、949、970、975、および977の詳細な議論は省略する。
【0054】
図9Aに示すように、音生成器950は、分注チャンバ941の長手方向経路に音を提供するために、分注チャンバ941の第1のキャビティ957内に位置決めされ得る。音響センサ960は、分注チャンバ941の長手方向経路から直接音を感知するために、分注チャンバ941の第2のキャビティ967内に位置決めされ得る。
図9Aに示す例では、音生成器950と音響センサ960とは、同じ側に設置されている。液体分注器930の分注器本体931はまた、第1のキャビティ957を分注チャンバ941に接続する、第1のコネクタチャネル959も有し得る。第1のキャビティ957の幅および第1のコネクタチャネル959の幅は実質的に同じであるため、第1のキャビティ957および第1のコネクタチャネル959はヘルムホルツ共鳴器を形成しない。同様に、第2のキャビティ967の幅および第2のコネクタチャネル969の幅が実質的に同じであるため、第2のキャビティ967および第2のコネクタチャネル969はヘルムホルツ共鳴器を形成しない。したがって、液体分注器930にヘルムホルツ共鳴は存在せず、ひいてはそのような音響共鳴によって引き起こされるエラーが低減もしくは排除され得る。
【0055】
キャビティ(例えば、第1のキャビティ957および第2のキャビティ967)によって形成される共鳴周波数は、上記で論じたように、式、
【数3】
に基づいて計算され得る。
図9Aのネック長さLはゼロに近いため、結果として生じるコネクタチャネル959での共鳴周波数fは、非常に高い。例えば、調和数が1、かつネック長さLが1mmの場合、共鳴周波数fは85.75kHzであり、チップ-液体接触を検出するための周波数範囲(例えば、100Hz~4kHz)よりもはるかに大きい。したがって、共鳴周波数fがチップ-液体接触を検出するための周波数範囲外となることを確実にするためには、より短いネック長さLが好ましい。
【0056】
図10Aは、本明細書の一実施形態による、液体分注器1030の音響センサによって感知される音の周波数範囲内の音響共鳴を回避するための、例示的な液体分注器1030の断面図を示す例示的な図である。
図10AAは、
図10Aに示される実施形態のための、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す、例示的な図である。
図10Aの例示的な液体分注器1030は、望ましくない音響共鳴を生成し得るヘルムホルツ共鳴器構造を回避するように構成されており、側導管を有さなくてもよい。
図10Aでは、参照符号1035、1040、1041、1043、1045、1047、10410、1070、1075、および1077によって表される部分は、それぞれ、
図6を参照して上記で論じた、参照符号640、641、643、645、647、6410、670、675、および677によって表される部分と同様の特徴を有する。したがって、参照符号1035、1040、1041、1043、1045、1047、1049、1070、1075、および1077の詳細な議論は省略する。
【0057】
図10Aに示すように、音生成器1050は、分注チャンバ1041の長手方向経路に音を提供するために、分注チャンバ1041の第1のキャビティ1057内に位置決めされ得る。音響センサ1060は、分注チャンバ1041の長手方向経路から直接音を感知するために、分注チャンバ1041の第2のキャビティ1067内に位置決めされ得る。
図10Aに示す例では、音生成器1050と音響センサ1060とは、対向する側に設置されている。液体分注器1030の分注器本体1031はまた、第1のキャビティ1057を分注チャンバ1041に接続する第1のコネクタチャネル1059も有し得る。第1のキャビティ1057の幅および第1のコネクタチャネル1059の幅は実質的に同じであるため、第1のキャビティ1057および第1のコネクタチャネル1059はヘルムホルツ共鳴器を形成しない。同様に、第2のキャビティ1067の幅および第2のコネクタチャネル1069の幅は実質的に同じであるため、第2のキャビティ1067および第2のコネクタチャネル1069はヘルムホルツ共鳴器を形成しない。したがって、液体分注器1030にヘルムホルツ共鳴は存在せず、ひいてはそのような音響共鳴によって引き起こされるエラーは、低減もしくは排除され得る。
【0058】
キャビティ(例えば、第1のキャビティ1057および第2のキャビティ1067)によって形成される共鳴周波数は、上記で論じたように、式、
【数4】
に基づいて計算され得る。
図10Aのネック長さLはゼロに近いため、結果として生じるコネクタチャネル1059での共鳴周波数fは非常に高く、これは
図9Aと同様の結果である。例えば、調和数が1、かつネック長さLが1mmの場合、共鳴周波数fは85.75kHzであり、チップ-液体接触を検出するための周波数範囲(例えば、100Hz~4kHz)よりもはるかに大きい。
【0059】
図11Aは、本明細書の一実施形態による、液体分注器の音響センサによって感知される音の周波数範囲内の音響共鳴を回避するように構造化された側導管を備えた、例示的な液体分注器1130の断面図を示す例示的な図である。
図11AAは、
図11Aに示される実施形態のための、キャビティと分注チャンバとの間の接続チャネルにおける音の共鳴周波数の計算を示す、例示的な図である。
図11Aでは、参照符号1135、1140、1141、1143、1145、1147、1149、1170、1175、および1177によって表される部分は、それぞれ、
図3を参照して上記で論じた、参照符号340、341、343、345、347、349、370、375、および377によって表される部分と同様の特徴を有する。したがって、参照符号1135、1140、1141、1143、1145、1147、1149、1170、1175、および1177の詳細な議論は省略する。
【0060】
図11Aによって示される実施形態では、液体分注器1130は、第1のキャビティ1157を有する第1の側導管1155と、第1のキャビティ1157を分注チャンバ1141に接続する第1のコネクタチャネル1159とを含む、分注器本体1131を有する。音生成器1150は、第1のキャビティ1157内に配設され得、分注チャンバ1141内に音響共鳴を誘導するための音を生成し得る。分注器本体1131は、第2のキャビティ1167を有する第2の側導管1165と、第2のキャビティ1167を分注チャンバ1141に接続する第2のコネクタチャネル1169とを含む。音響センサ1160は、第2のキャビティ1167内に配置され得、分注チャンバ1141内の音を感知することができる。
図11Aによって示される実施形態では、第1のコネクタチャネル1159および第2のコネクタチャネル1169の幅は、それぞれ第1のキャビティ1157および第2のキャビティ1167の幅と、実質的に同じである。したがって、第1のキャビティ1157および第1のコネクタチャネル1159はヘルムホルツ共鳴器を形成せず、第2のキャビティ1167および第2のコネクタチャネル1169もヘルムホルツ共鳴器を形成しない。音生成器1150および音響センサ1160の配置、ならびに実装される側導管の数は、
図11Aに示される例に限定されなくてもよい。例えば、別の例では、音生成器および音響センサが、単一の側導管内に配置されてもよい。
【0061】
キャビティ(例えば、第1のキャビティ1157および第2のキャビティ1167)によって形成される共鳴周波数は、上記で論じたように、式、
【数5】
に基づいて計算され得る。
図10Aのネック長さLは長いが、第1のコネクタチャネル1159で生じる共鳴周波数fが、チップ-液体接触を検出するための周波数範囲(例えば、100Hz~4kHz)の外にあることができるように、ネック長さLを選択することができる。例えば、上記で論じたように、調和数が1の場合、ネック長さLが21mm未満である限り、共鳴周波数fは4kHzより大きくなる。このような例では、ネック長さLが21mm未満である限り、共鳴周波数fは、チップ-液体接触を検出するための周波数範囲よりも大きくなり、エラーがほとんど生じ得ないかもしくはまったく生じ得ない。
【0062】
図12は、本明細書の実施形態による、液体分注器の断面図を含めた液体分注器システム1200を示す例示的な図である。液体分注器システム1200は、コントローラ110によって制御される液体分注器1230を含む。
図12に示す液体分注器1230は、
図10Aの液体分注器1030と同様の構造を有するため、液体分注器1230の構造に関する詳細は、上記で論じた液体分注器1030の構造に関する詳細と同様である。
図12は、液体分注器1230が液体分注器1030の構造と同様の構造を有していることを示すが、液体分注器1230の構造は液体分注器1030の構造に限定されず、
図5Aの液体分注器530もしくは
図6の液体分注器630もしくは
図9Aの液体分注器930もしくは
図11Aの液体分注器1130などの、別のタイプの液体分注器を、液体分注器1230として使用することができる。液体分注器システム1200は、液体分注器1230を駆動するように構成された液体分注器輸送装置1285と、液体分注器1230のピストン1270を駆動するように構成されたピストン駆動装置1280とをさらに含む。例えば、コントローラ110は、液体分注器輸送装置1285を制御して、液体分注器1230をリザーバ1295に貯蔵された液体1290に向かって移動させることができるとき。コントローラ110は、音生成器1250を制御して音を生成することができ、かつ音響センサ1260を利用して、液体分注器1230の分注チャンバ内の音を感知することができる。感知された音に基づいて、コントローラ110が、分注チップ1247と液体1290との接触が起こったと判断すると、コントローラ110は、液体分注器輸送装置1285を制御して液体分注器1230の動きを停止させ、コントローラ110は、ピストン駆動装置1280を制御してピストン1270を駆動し、液体を分注チップ1247に引き込むことができる。上記で論じたように、液体分注器システム1200によるチップ-液体接触の検出は、液体分注器530、液体分注器630、液体分注器930、液体分注器1030、および液体分注器1130などの実施形態を使用して改善される。
【0063】
本開示の一態様によれば、液体分注器の分注チャンバと液体分注器のピストンチャンバとの間に、音響フィルタが実装され得、音響フィルタは、分注チャンバをピストンチャンバから分離するように構成されている。上記で論じたように、ピストンの移動は、音響センサによって感知される音に影響を与え得る、分注チャンバ内の追加のノイズもしくは音響特性の変化を引き起こす可能性がある。例えば、ピストンを動かすモーターからのノイズまたはピストンチャンバ内で動いているピストンからのノイズなどのノイズは、チップ-液体接触の検出および/または液体体積の感知に悪影響を与え得る。さらに、ピストンは、ピストンチャンバの囲まれた部分(enclosed portion)を画定することができ、この囲まれた部分とは、ピストンによって囲まれた、かつ分注チャンバに接続された、ピストンチャンバ部分である。ピストンチャンバ内のピストンの位置が、囲まれた部分の体積を定義し得るので、ピストンチャンバの囲まれた部分の体積は、ピストンの移動に基づいて変化し得る。囲まれた部分の体積の変化もまた、音響センサが感知する音に影響を与え得る。分注チャンバをピストンチャンバから音響的に分離することができる音響フィルタを実装することにより、ピストンの移動によって生じるエラーを低減または排除することができる。
【0064】
ピストンチャンバと分注チャンバとの間に配設される音響フィルタは、ピストンチャンバと分注チャンバとの間を空気が移動できるように構成すべきである。一実施形態では、音響フィルタは、ピストンチャンバからの音(例えば、ピストンの移動からのノイズ)を消音するように構成された吸音フィルタであってもよい。吸音フィルタである音響フィルタは、空気がピストンチャンバと分注チャンバとの間の音響フィルタを通過できるように、空気透過性材料でできていてもよい。吸音フィルタは、連続気泡発泡材料(例えば、ポリウレタン)または繊維状材料(例えば、グラスウール)または多孔質材料でできていてもよい。
【0065】
一実施形態では、音響フィルタは、分注チャンバの気柱共鳴の長さをピストンチャンバの気柱共鳴の長さから分離するように構造化された音反射フィルタであり得、ピストンチャンバの気柱共鳴の長さは、ピストンの移動によって変化する。音反射フィルタは空気透過性でない場合がある。よって、音反射フィルタを音響フィルタとして使用する場合は、音響フィルタとともに空気通路も実装して、空気が空気通路を介してピストンチャンバと分注チャンバとの間を通過できるようにする。一実施形態では、音反射フィルタは、空気が空気通路を介してピストンチャンバと分注チャンバとの間の音響フィルタを通過できるように、空気通路を備えた独立気泡発泡体(例えば、ポリエチレン)でできていてもよい。一実施形態では、発泡体は、ピストンの移動中に空気の通過を妨げることなく、ピストンチャンバに圧縮的に適合できる厚さに構成することができる。一実施形態では、音反射フィルタは、可撓性材料でできていてもよい。このような態様では、ピストンの移動によって誘導された圧力差に起因する音反射フィルタの形状の変化(例えば、収縮)の結果として、空気通路が形成され得る。
【0066】
図13は、本明細書の実施形態による、液体分注器内に実装された例示的な音響フィルタを示す例示的な図である。
図13は、コントローラ110によって制御される液体分注器1330を示す。液体分注器1330は、
図2の分注器230と同様であり得る。液体分注器1330は、分注チャンバ1341を有する分注チャンバ部分1340と、ピストンチャンバ1377を有するピストンチャンバ部分1375とを含む、分注器本体1331を含み得る。分注チャンバ1341は、分注チャンバ部分1340の第1の部分1343に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分1340の第2の部分1345に第2の開口部を有する。ピストンチャンバ1377は、第2の部分1345の第2の開口部を介して分注チャンバ1341に接続されている。分注器本体1331は、任意選択の構造であり得るハウジング1335内に含まれ得る。液体分注器1330は、ピストン1370をさらに含み、ピストン1370は、ピストンチャンバ1375によって受容されかつ導かれる。第1の部分1343は、分注チップ1347などの分注チップと結合するように構成されている。分注チップ1347は、第1の部分1343に恒久的に取り付けられていてもよく、または第1の部分1343に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0067】
図13に示される実施形態では、音響フィルタ1379は、ピストンチャンバ1377と分注チャンバ1341との間に配設されている。一実施形態では、音響フィルタ1379は、音響フィルタ1379が、分注チャンバ1341をピストンチャンバ1377から音響的に分離することができるように構成され得る。さらに、音響フィルタ1379は、空気がピストンチャンバ1377と分注チャンバ1341(例えば、粗い表面テクスチャを有する)との間を通過し、ピストン1370の移動が液体を引き込むかまたは分注できるように構成され得る。
【0068】
一実施形態では、音響フィルタ1379は、液体体積感知の結果を実質的に改善することができ、液体体積は、音響センサによって感知された音に基づいて感知される。
図14Aは、音響フィルタなしの実施形態による、ピストンチャンバ内の様々なピストン位置(PL)における音響信号の周波数スペクトル、および分注器チップ内の異なる液位を示すプロットを示す、例示的な図である。
図14Bは、音響フィルタありの実施形態による、ピストンチャンバ内の様々なピストン位置(PL)における音響信号の周波数スペクトル、および分注器チップ内の異なる液位を示す、プロットを示す例示的な図である。
図14Aに示す、音響フィルタが実装されていないときの実施形態では、周波数スペクトルは、ピストンの位置に基づいて大幅に変化する。上記で論じたように、ピストン位置に基づく周波数スペクトルの変化は、ピストンチャンバ内の囲まれた部分の体積の変化によるものである。一方、
図14Bに示す、音響フィルタが実装されているときの実施形態では、ピストンの位置は周波数スペクトルにほとんど影響を及ぼさない。したがって、音響フィルタを実装することにより、液体体積検知に関して、音響スペクトルに対するピストン位置の影響を低減または排除することができる。
【0069】
一実施形態では、音響フィルタのタイプによって、異なる効果が得られ得る。上記で論じたように、音響フィルタは、独立気泡フィルタまたは連続気泡フィルタであってよい。場合によっては、独立気泡フィルタ(例えば、ポリエチレン製)は、連続気泡フィルタ(例えば、ポリウレタン製)より多くの利点をもたらし得る。
図15Aは、音響フィルタがポリエチレン(PE)でできている場合の、音響フィルタの異なる厚さでの音響スペクトルを示す例示的な図である。
図15Aによって示される実施形態では、ピストンの位置は、音響フィルタが薄い(例えば、5mm)か厚い(例えば、10mm)かに関係なく、音響スペクトルにほとんど影響を及ぼさない。
図15Bは、音響フィルタがポリウレタン(PU)でできている場合の、音響フィルタの異なる厚さでの音響スペクトルを示す例示的な図である。
図15Bに示される実施形態では、ピストン位置は、音響フィルタが厚いとき(例えば、10mm)に音響スペクトルにいくらかの影響を及ぼし、ピストン位置は、音響フィルタが薄いとき(例えば、5mm)に音響スペクトルに大きな影響を及ぼす。したがって、
図15Aおよび15Bによって示される実施形態の、いくつかの例では、音響フィルタとして独立気泡フィルタを利用することが好ましい場合がある。
【0070】
分注チャンバとピストンチャンバとの間に実装された音響フィルタは、分注チャンバをピストンチャンバから音響的に分離するので、ピストンチャンバの囲まれた部分の体積の変化は、音響センサによって感知される音の周波数にほとんどもしくはまったく影響を及ぼさない。気柱長さが変化すると、音響共鳴周波数も変化する。音響フィルタが実装されている場合、音響センサによって感知される音の共鳴周波数は、分注チャンバおよび分注チップの気柱長さに依存する。分注チャンバ内および分注チップ内の気柱長さは、分注チップ内の液体体積に基づいて変化する。したがって、分注チップ内の液体体積は、音響センサによって感知される音の共鳴周波数に基づいて推定することが可能である。周波数と体積の相関関係は、ルックアップテーブルを介して確立し得る。例えば、ルックアップテーブルは、所与のタイプの分注チップ(例えば、350μlの分注チップまたは1000μlの分注チップ)に対する、測定された共鳴周波数と液体体積との間の1対1の関係を示し得る。さらに、分注チップが液体分注器と正しく結合されていない場合がある。そのような場合、感知される音の周波数は、分注チップが液体分注器と正しく結合されているときに感知される音の周波数とは、異なる可能性がある。音の周波数を監視することにより、コントローラ110は、分注チップが液体分注器と正しく結合されているかどうかを判断することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、分注チャンバ内の共鳴周波数および音の大きさを監視することによって、コントローラ110は、どのタイプの分注チップが液体分注器と結合されているか、かつ/またはチップが結合されていないかを判断し得る。
【0072】
図16Aは、音響フィルタの厚さが5mmのときに、分注チップ内の異なる液位が異なる周波数に対応することを示す、例示的な図である。
図16Bは、音響フィルタの厚さが10mmのときに、分注チップ内の異なる液位が異なる周波数に対応することを示す、例示的な図である。
図16Aおよび
図16Bの両方が、分注チップ内の液位が増加するにつれて周波数が増加することを示している。
図16Bは、より厚い音響フィルタは、ピストンの位置に関係なく、ややより一貫した結果をもたらすことを示している。
【0073】
さらに、分注チップ内の体積変化に基づいて感知される音が変化し得るため、異なるタイプの分注チップは、音響センサによって感知される音に基づいて識別することができる。例えば、様々なタイプの分注チップに関する音の周波数スペクトルの配列を、複数のルックアップテーブルに含めることができる。したがって、コントローラ110は、測定されたスペクトルが、対応するルックアップテーブルに格納されたスペクトルに一致するものを見つけた場合、分注チップのタイプを識別することができ得る。
【0074】
図17は、本明細書の実施形態による、液体分注器の断面図を含めた液体分注器システム1700を示す例示的な図である。液体注器システム1700は、コントローラ110によって制御される液体分注器1730を含む。液体分注器1730は、分注チャンバ1741とピストンチャンバ1777との間に配設された、音響フィルタ1779を含む。音響フィルタ1779を除いて、
図17に示す液体分注器1730は、
図10Aの液体分注器1030と同様の構造を有するため、液体分注器1730の構造に関する詳細は、上記で論じた液体分注器530の構造に関する詳細と同様である。
図17は、液体分注器1730が、液体分注器530に音響フィルタ1779を実装した構造と同様の構造を有することを示すが、液体分注器1730の構造は液体分注器530の構造に限定されず、
図5Aの液体分注器530もしくは
図6の液体分注器630もしくは
図9Aの液体分注器930もしくは
図11Aの液体分注器1130などの、別のタイプの液体分注器を、音響フィルタ1779を実装した液体分注器1730として使用することができる。液体分注器システム1700は、液体分注器1730を駆動するように構成された液体分注器輸送装置1785と、液体分注器1730のピストン1770を駆動するように構成されたピストン駆動装置1780とをさらに含む。例えば、コントローラ110は、液体分注器輸送装置1785を制御して、液体分注器1730をリザーバ1795に貯蔵された液体1790に向かって移動させることができるとき。コントローラ110は、音生成器1750を制御して音を生成することができ、かつ音響センサ1760を利用して、液体分注器1730の分注チャンバ1741内の音を感知することができる。感知された音に基づいて、コントローラ110が、分注チップ1747と液体1790との接触が起こったと判断すると、コントローラ110は、液体分注器輸送装置285を制御して液体分注器1730の動きを停止させ、コントローラ110は、ピストン駆動装置1780を制御してピストン1770を駆動し、液体を分注チップ1747に引き込むことができる。上記のように、音響フィルタ1779は、分注チャンバ1741をピストンチャンバ1777から音響的に分離するので、ピストン1770の移動は、音響センサ1760によって感知される音にほとんどもしくは全く影響を及ぼさない。
【0075】
別の態様によれば、チップ-液体接触を正確に検出するために、音響センサによって感知された音を処理するための改善された方法が所望される。上記のように、感知された音の振幅/位相または音響インピーダンスの変化に基づいてチップ-液体接触を検出することは、(例えば、周囲ノイズまたはエラーイベントを生成する別の異常に起因する)望ましくないエラーを発生させる可能性がある。例えば、振幅/位相または音響インピーダンスに基づいてチップ-液体接触を検出することは、一般的に誤検知エラーの悪影響を受け、誤検知エラーの割合はバックグラウンド音響ノイズの増加とともに増加する。
【0076】
図18は、音の振幅を使用してチップ-液体接触を検出するときの、ホワイトノイズに起因する誤検知エラーを示す例示的な図である。
図18の図は、実験結果を、経時的な音の振幅のグラフで示している。グラフの一点鎖線は、チップ-液体接触が起こったかどうかを判断するための、振幅閾値を示す。この実験では、実際のチップ-液体接触は、2000ミリ秒で起こった。
図18の実線で示すように、バックグラウンドに周囲ノイズ(例えば、65dBcの周囲ノイズ)のみが存在するとき、音の振幅の大きさは約2000ミリ秒でのみ振幅閾値を超え、したがって、コントローラ110は、2000ミリ秒でのみチップ-液体接触を検出する。一方、
図18の破線で示すように、バックグラウンドにホワイトノイズ(例えば、85dBcのホワイトノイズ)が存在するときは、音の振幅はノイズが多いように見え、矢印で示すように、音の振幅は振幅閾値を2回超えてから、2000ミリ秒のマーク地点で再び閾値を超える。したがって、
図18の図は、単一周波数での音の振幅を使用してチップ-液体接触を検出したときに、バックグラウンド音響ノイズが増加するにつれて、誤検知エラーが増加することを示している。
【0077】
図19は、同じ周波数の音の振幅を使用してチップ-液体接触を検出するときの、シングルトーンノイズに起因する誤検知エラーを示す図の例である。
図19の図は、実験結果を、経時的な音の振幅のグラフで示している。グラフの一点鎖線は、チップ-液体接触が起こったかどうかを判断するための、振幅閾値を示す。この実験では、実際のチップ-液体接触は、約2000ミリ秒で起こった。
図19の実線で示すように、バックグラウンドに周囲ノイズのみが存在する場合、音の振幅の大きさは、約2000ミリ秒のみで振幅閾値を超える。一方、
図19の破線で示すように、バックグラウンドノイズが周波数430Hz、90dBCのシングルトーンノイズであるときは、430Hzでの音の振幅は、矢印で示すように、1100ミリ秒~1700ミリ秒の間で閾値を大幅に下回り、その後、急上昇し、実際の接触が起こった2000ミリ秒のマーク地点で再び閾値を下回る。
【0078】
バックグラウンドノイズが存在する場合、音生成器の音響強度を上げて、バックグラウンドノイズの重要性を低くすることができる。ただし、このようなアプローチには、音生成器の音響強度を上げても、特定のタイプのバックグラウンドノイズが依然として大きな影響を及ぼすという制限がある。さらに、音響強度を上げると、高い消費電力、音生成器および/またはコントローラ110の温度の上昇、全高調波歪みの上昇、ならびに音生成器および/または音響センサの寿命の低下などのマイナス影響を与える可能性がある。
図20は、気流ノイズに起因する誤検知エラーを示す例示的な図を示す。
図20の実験中、音の振幅は、音生成器で8.2倍の利得で設定している。
図20に示す実施形態では、強い空気流が液体分注器の周囲に導入し、ひいては実質的なバックグラウンドノイズを追加する場合、音生成器の音響強度を上げても、空気流の風切りノイズが多くの誤検知エラーの原因となるのを防ぐことはできなかった。
【0079】
本開示の一態様によれば、感知された音の振幅/位相または音響インピーダンスを監視する代わりに、感知された音の音響強度または音響パワーを監視して、液体分注器のチップが液体に接触したかどうかを検出することができる。一実施形態では、音響パワーまたは音響強度に関連付けられた値は、時間ウィンドウにわたって平均化され得、平均値が、チップ-液体接触を検出するために監視され得る。
【0080】
音響パワーSPは、以下の式に基づいて計算することができ、ここで、Aは音波伝播に垂直な領域、Iは音響強度、pは音圧、Z
0は特性音響インピーダンスである。
【数6】
【0081】
領域Aおよび特性音響インピーダンスZ
0が一定であると仮定すると、音響パワーSPは、二乗音圧p
2に直線的に比例する。音響センサは音圧を感知し、音圧に対応して電圧振幅
【数7】
を出力し得る。よって、感知された音に応じた音響センサからの電圧振幅
【数8】
出力は、音圧pに直線的に比例する。したがって、二乗電圧振幅
【数9】
の変化を監視することによって、コントローラ110は、音響パワーSPの変化を検出することができる。同様の理由で、二乗電圧振幅
【数10】
の変化を監視することによって、コントローラ110は、音強度Iも音圧の二乗p
2に線形に比例するので、音響強度Iの変化を検出することができる。
【0082】
図21は、分注器と液体との接触を検出するための例示的な方法2100のフロー図を示す。方法2100は、例えば、コントローラ110の制御回路111によって実施され得る。一実施形態では、本方法は、制御回路111が、音響センサを介して、時間ウィンドウ内で音響センサによって感知された音に関連付けられた複数の電圧値を取得するステップまたは動作2101で開始し得る。動作2103で、制御回路111は、複数の電圧値の各々を二乗して、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得する。動作2105で、制御回路111は、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値の平均値を計算する。動作2107で、制御回路111は、複数の二乗電圧値の平均値に基づいて、時間ウィンドウ中に液体分注器と液体との接触が起こったかどうかを判断する。
【0083】
例えば、一実施形態によれば、音響センサは、音を感知し、時間ウィンドウ内で感知された音に関連付けられた電圧値を生成する。コントローラ110は、設定された時間ウィンドウにわたって音響センサから出力された電圧の電圧値を取得し、各々の電圧値を二乗し、次いで、設定された時間ウィンドウにわたって二乗された電圧値の平均値を決定する。二乗電圧の平均値を使用して、時間ウィンドウ中に液体分注器のチップが液体に接触したかどうかを判断することができる。
【0084】
一実施形態では、制御回路111は、時間領域にわたって複数の電圧値を取得し得る。一実施形態では、制御回路111は、周波数領域にわたって複数の電圧値を取得し得る。このような態様では、複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得され得る。一実施形態では、所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有し得る。
【0085】
例えば、電圧値は、時間領域および/または周波数領域にわたって取得され得る。周波数領域にわたって電圧値を取得する場合、電圧値は、広い周波数帯域(例えば、200Hz~1kHz、または好ましくは100Hz~4kHZ)で取得され得る。
【0086】
単一周波数で監視されている信号は、エラーを引き起こす可能性がある。エラーは、単一周波数ではなく、周波数帯域にわたって(例えば、複数の周波数にわたって)信号を監視することによって低減され得る。一例では、周波数帯域(例えば、200Hz~1kHzまたは100Hz~4kHZ)にわたる平均電力に関連付けられた値を使用して、チップ-液体接触を検出する。信号処理の観点から、周波数帯域で複数の周波数にわたって複数のデータサンプルをサンプリングすることは、時間ウィンドウにわたって複数の時点で複数のデータサンプルをサンプリングすることと同じである。しかしながら、時間ウィンドウにわたって監視される信号を監視することは、検出目的でそれほど複雑なハードウェアおよびアルゴリズムを必要としないため、好適な方法であり得る。
【0087】
一例では、周波数帯域が100Hz~4kHZであることを考慮すると、好ましい時間ウィンドウおよびサンプル数は以下のようになる。周波数帯域の上限は、音響センサのサンプリングレートの2分の1に設定することができる。音響センサのサンプルレート(S)を8kHzとすると、周波数帯域の上限は、4kHz(0.5S)になる。合計80(N)個のサンプルは、10ミリ秒(N/S)の時間ウィンドウを生成する。これにより、周波数帯域の下限は、100Hzに設定することができる。対応する周波数帯域の分解能もまた、(周波数×2)/N=100Hzとなり、これは検出目的に適していると見なされる。一方、より緩和された下限(例えば、200Hz以上)を取得するには、時間ウィンドウを5ミリ秒未満にすることができる。所与の時間ウィンドウでは、より高いサンプルレート(例えば、16kHz、48kHz、96kHzなど)が好ましい場合があるが、これは、収集されるサンプルが多いほど平均化のためのデータが多くなり、これにより全体的なノイズを低下させるからである。
【0088】
一実施形態では、音響センサによって感知される音は、液体分注器内を伝わる音から感知され得る。例えば、音響センサは、液体分注器130内、例えば、液体分注器の分注チャンバ内を伝わる音を感知することができる。液体分注器内を伝わる音は、液体分注器内の音生成器によって生成された音から生じる音を含み得る。生成される音は、シングルトーン信号、マルチトーン信号、ホワイトノイズ、ピンクノイズなどである可能性がある。一実施形態では、液体分注器内を伝わる音は、液体分注器の外に設置された音生成器および/または液体分注器内に設置された音生成器よって生成された音から生じる音を含み得る。
【0089】
一例では、任意のタイプの検出に携わる前に、コントローラ110は、音生成器を制御してパイロット音を生成し、所望の共鳴を誘導することができる。このようにして、認識可能な音の振幅変化は、チップ-液体接触が起こったときに、所望の共鳴周波数で起こる。パイロット音は、シングルトーン信号、マルチトーン信号、ホワイトノイズ、ピンクノイズなどである可能性がある。一実施形態では、シングルトーン信号は、チップ-液体検出における最適な信号対ノイズ比(SNR)を提供し得る。そのような実施形態では、シングルトーン信号は、最適な結果を得るために、分注チャンバの機械的共鳴と一致する必要がある。よって、シングルトーン信号が使用されるときのそのような実施形態では、異なるチップタイプは、異なる周波数を有するシングルトーン信号を必要とし得る。
【0090】
一実施形態では、動作2107における制御回路111は、液体との接触が起こったかどうかを、複数の二乗電圧値の平均値が閾値未満のときに液体との接触が起こったと判断することと、複数の二乗電圧値の平均値が閾値以上のときに液体との接触が起こらなかったと判断することと、によって判断する。
【0091】
例えば、コントローラ110は、二乗電圧値の平均値に基づいて、時間ウィンドウ中に液体分注器のチップが液体に接触したかどうかを判断することができる。特に、コントローラ110は、平均値が閾値未満の場合、チップが時間ウィンドウ中に液体に接触したと判断し得、平均値が閾値以上の場合、チップが液体に接触しなかったと判断し得る。
【0092】
一例では、時間ウィンドウのサイズは、20ミリ秒以上であり得る。例えば、時間ウィンドウが20ミリ秒に設定されている場合、コントローラ110は、チップが20ミリ秒ごとに液体に接触したかどうかを判断することができる。音響センサによって音響信号が48kHzでサンプリングされるシナリオを考慮すると、時間ウィンドウが20ミリ秒の場合、20ミリ秒ごとに960個のサンプルが収集されるため、平均値は960サンプルごとに1回計算される。
【0093】
一実施形態では、音響センサまたは感知された音の源である音生成器のうちの少なくとも1つは、液体分注器の内部に設置されている。例えば、
図2、3、5、および6などの様々な図面に示すように、音響センサは液体分注器内に設置され得、音生成器は液体分注器内または液体分注器の外側に設置され得る。好ましい実施形態では、音響センサは液体分注器内に設置され得、一方、音生成器は、液体分注器内または液体分注器の外側のいずれかに設置され得る。
【0094】
さらなる実施形態では、本明細書で論じられる構造、デバイス、および方法が、追加の感知動作のためにさらに使用されてもよい。感知方法を改善するために、キャビティに関する構造的提案が、以下の実施形態のいずれかでさらに使用されてもよい。
【0095】
さらなる実施形態では、
図22~23に関して説明するように、自動ピペッティングシステム100が、チップ存在検出の方法を実行し得る。チップ存在検出方法は、任意のコントローラ(例えば、コントローラ110)、液体分注システム(例えば、液体分注システム100、200、298、1200、1700)、液体分注器(例えば、液体分注器130、230、330、530、580、590、630、930、1030、1330)およびそれらの構成部品のいずれかまたはすべてを含む、本明細書で論じる任意の適切なシステムおよびハードウェアを用いて実行され得る。しかしながら、本明細書に記載のチップ存在検出方法は、本明細書で論じる特定のハードウェアおよびデバイスに限定されず、任意の適切な制御システムおよび液体分注システムによって実装され得る。例えば、チップ存在検出の方法は、本明細書に記載の液体分注システムによって、コントローラ、例えば
図1Bに記載したコントローラ110、と併せて実装され得、その構成部品のいずれか(制御回路111、通信インタフェース113、非一時的コンピュータ可読媒体115(例えば、メモリもしくは他のコンピュータ可読記憶媒体))を採用して、チップ存在検出方法を実装し得る。一実施形態では、制御回路111は、1つ以上のプロセッサ、プログラマブル論理回路(PLC)もしくはプログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の任意の制御回路を含み得る。さらなる実施形態では、例えば
図1Bに関して記載したように、コントローラ110は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器117、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル-アナログ変換器119、および/またはアナログ信号がさらなる処理のためにそれらの次のステージの要件を満たすことができるように様々なアナログ信号を操作することができる、信号調整回路121を含み得る。
【0096】
一実施形態では、制御回路(例えば、
図1Bに示す制御回路111)は、分注チップが分注チャンバ部分(例えば、
図2Bおよび2Dの240、または340、540、640など)の第1の部分(例えば、
図2Aおよび2Cの243、または343、543、643など)に正しく結合されているかどうかを、複数の二乗電圧値の平均値に基づいて、かつ/または単一の周波数もしくは複数の周波数での電圧値に直接基づいて、判断し得る。分注チップと分注チャンバ部分の第1の部分との間に気密シールを提供するために、分注チップが分注チャンバ部分の第1の部分と完全に結合されているときは、分注チップは分注チャンバ部分の第1の部分と正しく結合されていると見なされ得る。分注チップが液体分注器と正しく結合されているときに感知される音の二乗電圧の平均値は、分注チップが液体分注器と正しく結合されていないときの二乗電圧の平均値とは異なり得る。二乗電圧の平均値を監視することにより、コントローラ110は、分注チップが液体分注器と正しく結合されているかどうかを判断することができる。例えば、液体分注器は、液体分注器と結合された部分に分注チップのチップ開口部よりも大きな開口部を有するので、分注チップが液体分注器と正しく結合されていないときは、複数の二乗電圧値の平均値が大きくなる可能性がある。したがって、複数の二乗電圧値の平均値の相対的な増加がチップ存在閾値を超える場合、コントローラ110は、分注チップが液体分注器と正しく結合されていないと判断することができる。さらなる実施形態では、液体分注チップの存在または不在を判断するために、1つ以上の周波数での電圧値が、チップ検出閾値と比較され得る。
【0097】
図22は、複数のチップ条件について実験的に取得された音響スペクトルを示す例示的な図である。
図22は、複数のチップ条件での周波数範囲にわたる液体分注器システムの振幅応答をdB単位で示している。分注チップなし、1000μlの分注チップあり、および350μlの分注チップありの場合の液体分注器についての音響応答スペクトルを表示する。
図22に示すように、各応答スペクトルのパターンはやや類似しているが、振幅のピークおよび谷の周波数位置は、各チップ条件間で異なっている。例えば、分注チップなしの場合、振幅のピークは約570Hz地点にあるが、1000μlの分注チップおよび350μlの分注チップでは、同じ周波数が生成する応答は大幅に低い。したがって、異なる周波数での振幅応答の差を採用して、分注チップの存在および/または分注チップのタイプを識別することができる。本明細書の実施形態と一致するシステムは、ターゲット周波数でのシステムの音響応答を比較して、分注チップの有無を決定することができる。このような判断の例を、以下で論じる。
【0098】
図23は、本明細書の実施形態と一致するチップ存在検出の方法のフロー図を示す。方法2300は、本明細書で論じる液体分注器システムおよびデバイスのいずれかで採用することができる。方法2300の動作および/またはステップは、コントローラ110などの本明細書で論じる任意の適切な制御システムによって実行され得、またはより一般には、液体分注器システム100、200、298、1200、1700などの本明細書で論じる液体分注器システムによって実行され得る。実施形態では、本明細書で論じる分注チャンバのキャビティに対する構造的改善は、チップ存在検出の方法2300に採用される液体分注器システムおよびデバイスに適用され得る。
【0099】
方法2300については、周波数および電圧を有する信号に関して以下で論じる。本明細書で論じるように、液体分注器システムにおける以下に開示される試験信号もしくはポーリング信号などの信号は、液体分注器システムの音生成器に提供され、音生成器は、試験信号またはポーリング信号の周波数であって試験信号またはポーリング信号の電圧(試験信号電圧と呼ばれ得る)に対応する大きさを有する周波数、に対応する周波数(例えば、周波数成分)を有する音響出力を発生させる。音響センサが音響出力を検出し、音響出力の周波数および大きさに対応する周波数および電圧を有する応答信号が、液体分注器システムの制御回路(例えば、111)に提供される。
【0100】
動作2302で、液体分注器システムは、チップが取り付けられていない状態で較正される。オペレータは、較正ステップを実施する前に、分注チップが分注システムに取り付けられていないことを確認してもよい。一実施形態では、較正動作2302は、ターゲット周波数で、少なくとも1つの信号試験応答、またはより一般にはシステム試験応答を測定することを含む。信号応答は、ターゲット周波数で提供される試験信号に応答して測定される。適切な試験信号を提供するために、システム特性に従って試験信号電圧の適切な大きさを選択することができる。
【0101】
ターゲット周波数は、例えば、複数のチップ条件下での液体分注器システムの音響スペクトルの分析に基づいて、選択され得る。音響スペクトルは、液体分注器システムで予想される複数のチップ条件に従って収集され得る。例えば、音響スペクトルは、使用することが予想され得る液体分注チップの、チップなし条件およびチップ存在条件を含む、予想される各チップ条件の音響スペクトルを含み得る。本明細書で使用する場合、チップなし条件とは、液体分注器システムに分注チップが取り付けられていない状態を指す。チップ存在条件とは、液体分注器システムに液体分注チップが取り付けられている状態を指す。実施形態では、音響スペクトルは、予想されるチップ条件のサブセットのみを含み得る。ターゲット周波数は、例えば、チップなし条件と、音響スペクトルで説明される1つ以上のチップ存在条件との間に有意差を示す周波数に従って、選択される。実施形態では、1つ以上のチップ存在条件は、音響スペクトルにおけるすべての既知のチップ存在条件を含み得る。例えば、
図22に示す音響スペクトルに基づいて、570Hzが選択され得るが、これは、チップなし条件で+5dBのマグニチュード応答を示し、かつ(350μlのチップおよび1000μlのチップに関する)両方のチップ存在条件でおよそ-15dBのマグニチュード応答を示すためである。570Hzは一例に過ぎず、他の実施形態では別の周波数をターゲット周波数として使用してもよい。液体分注器システムが異なれば、音響特性も異なり得、ターゲット周波数で異なる値の選択が必要となる。
【0102】
動作2304で、チップなし条件での試験信号を使用するターゲット周波数でのシステム試験応答を使用して、チップ存在閾値を設定する。チップ存在閾値は、チップなし条件での試験信号のターゲット周波数でのシステム試験応答電圧(音圧に対応している)のパーセンテージとして設定され得る。例えば、チップ存在閾値は、チップなし条件のシステム試験応答電圧の20%設定できる。他の例では、チップ存在閾値は、20%より高い、例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%などに、または20%より低い、例えば10%、5%に設定され得る。さらなる実施形態では、チップ存在閾値は、チップなし条件での試験信号ターゲット周波数で音生成器によって生成される音響出力のパーセンテージとして設定され得る。
【0103】
動作2306で、液体分注器システムは、ターゲット周波数および試験信号電圧でポーリング信号を提供し、システムポーリング応答電圧を検出する。ポーリング信号は、オペレータコマンドおよび/またはシステムワークフローに従って1回提供され得る。ポーリング信号は連続的に提供されてもよく、例えば、信号が中断することなく提供されてもよい。ポーリング信号は、実質的に連続的に提供されてもよい。また、ポーリング信号は、一定の間隔、例えば、毎秒、毎ミリ秒、毎マイクロ秒などで提供されてもよい。
【0104】
動作2308で、チップの存在が判断および出力され得る。例えば、システムポーリング応答電圧がチップ存在閾値を超える場合、液体分注器システムのコントローラ110は、チップが存在せず、システムがチップなし条件にあると判断することができる。システムのポーリング応答電圧がチップ存在閾値を超えない場合、チップが存在すると判断される。ポーリング応答電圧がチップ存在閾値と等しい場合、システムはどちらの判断にも設定できる。
【0105】
液体分注器システムは、チップ存在閾値の判断に従って、チップ存在閾値を出力する。出力は、任意の適切な形式、例えば、ディスプレイ上の通知、状態の変化を示す連続音もしくは音、光などで提供され得る。出力は、連続的に提供してもよく、ポーリング信号に応答して提供されてもよく、かつ/または状態の変化に応答してのみ提供されてもよい。
【0106】
図23に関して論じる実施形態は、
図22に示すように、チップなし条件応答がチップ存在応答を超えるターゲット周波数を採用している。さらなる実施形態では、チップ存在条件応答がチップなし条件応答を超えるターゲット周波数を選択することができる。本方法の他の動作は、状況に応じて調整され得る。
【0107】
さらなる実施形態では、自動ピペッティングシステム100は、
図24~30に関して説明するように、チップ同定の方法を実施することができる。チップ同定方法は、任意のコントローラ(例えば、コントローラ110)、液体分注システム(例えば、液体分注システム100、200、298、1200、1700)、液体分注器(例えば、液体分注器130、230、330、530、580、590、630、930、1030、1330)およびそれらの構成部品のいずれかまたはすべてを含む、本明細書で論じる任意の適切なシステムおよびハードウェアを用いて実行され得る。しかしながら、本明細書に記載のチップ同定方法は、本明細書で論じる特定のハードウェアおよびデバイスに限定されず、任意の適切な制御システムおよび液体分注システムによって実装され得る。例えば、チップ同定の方法は、本明細書に記載の液体分注システムによって、コントローラ、例えば
図1Bに記載したコントローラ110、と併せて実装され得、その構成部品のいずれか(制御回路111、通信インタフェース113、非一時的コンピュータ可読媒体115(例えば、メモリもしくは他のコンピュータ可読記憶媒体))を採用して、チップ同定方法を実装し得る。一実施形態では、制御回路111は、1つ以上のプロセッサ、プログラマブル論理回路(PLC)もしくはプログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の任意の制御回路を含み得る。さらなる実施形態では、例えば
図1Bに関して記載したように、コントローラ110は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器117、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル-アナログ変換器119、および/またはアナログ信号がさらなる処理のためにそれらの次のステージの要件を満たすことができるように様々なアナログ信号を操作することができる、信号調整回路121を含み得る。
【0108】
一実施形態では、制御回路111(
図1B)は、複数の二乗電圧の平均値に基づいて、分注チップ(例えば、
図2Aの247、または347、547、647など)に関する情報を識別し得、複数の二乗電圧値は、音響センサに関連付けられた圧応答の一部であり得る。音響センサ(例えば、260、360など)によって感知される音は、分注チップの構造に基づいて変化し得るため、音響センサによって感知される音に基づいて、異なるタイプの分注チップを識別することができる。例えば、感知された音に基づく二乗電圧値の平均値を使用して、異なるタイプの分注チップを区別することができる。実施形態では、複数の二乗電圧値の平均値の代わりに、電圧応答が、そのようなチップ同定のために直接使用されてもよい。
【0109】
再び
図22を参照すると、分注チップは、チップなし条件とは異なる音響スペクトルを発生させるだけでなく、異なる分注チップが互いに異なる音響スペクトルを発生させることが分かる。したがって、液体分注器システムは、システムに取り付けられた分注チップのタイプを1つ以上の試験信号に対する応答に従って判断するように構成され得る。例えば、768Hzの試験信号は、1000μlの分注チップ対350μlの分注チップでは大幅に異なる応答を示す。いくつかの実施形態では、異なる分注チップの音響スペクトル全体を比較して、分注チップの同一性を決定することができる。さらなる実施形態において、選択されたターゲット周波数の離散的な数は、分注チップの同一性を決定するための比較のために選択され得る。
【0110】
図24は、複数の分注チップタイプについて実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
図24は、4つの異なるチップタイプ(10μl、50μl、350μl、および1,000μl)ならびにチップなし条件での周波数範囲にわたる振幅応答を、dB単位で示している。
図24に示すように、スペクトルのパターンはやや類似しているが、振幅応答は異なるチップ条件間で異なっている。したがって、異なる周波数での振幅応答の差を採用して、いくつかの分注チップ選択肢の中から特定の分注チップを識別することができる。液体分注器システムなどの、本明細書の実施形態と一致するシステムは、1つ以上のターゲット周波数でのシステムの音響応答を比較して、分注チップのタイプを決定することができる。
【0111】
実施形態では、2つの音響スペクトルは、ピアソン相関係数(PCC)を使用して比較され得る。PCCは、2つの変数間の線形相関の尺度を提供する。PCCは、2つのデータ系列間の類似性をデータ系列の長さ全体にわたって表すために使用され得る。PCCが正確であるときは完全な線形相関を表し、PCCがゼロのときは線形相関がないことを表す。
【0112】
図25A~28Dは、複数の分注チップタイプについて、異なる実験条件下で実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
【0113】
図25A~25Eは、複数の分注チップタイプについて、追加のノイズがある場合とない場合で実験的に取得された音響スペクトルを示す例示的な図である。液体分注チップを採用する機器は、様々なファン、例えば、熱電冷却器(TEC)ファン、換気ファン、および他のファンを採用し得、これらはノイズを生成し得る。
図25A~25Eは、チップなし条件(
図25A)、1,000μlの分注チップ(
図25B)、350μlの分注チップ(
図25C)、50μlの分注チップ(
図25D)、および10μlの分注チップ(
図25E)についての周波数範囲にわたる振幅応答を、ノイズを追加するためのファンがある状態(WF(with fan)-ファンあり条件)とファンがない状態(NF(no fan)-ファンなし条件)で測定してdB単位で示したものである。
図25A~25Eのデータセットの類似性を決定するためにPCCを使用することにより、各チップのファンなしのデータセットが、他のデータセットに対するよりも、同じチップのファンありのデータセットとより密接に相関していることを示すことができる。これらの結果を表1および2に示す。表1は、各ファンなし条件のPCCを、他のファンなし条件の各々と比較したものを示す。表2は、各ファンなし条件のPCCを、各ファンあり条件と比較したものを示す。したがって、音響スペクトル間の相関を決定することを使用して、ノイズが変化する条件で分注チップの同一性を確実に決定することができる。
【表1】
【表2】
【0114】
図26A~26Eは、1,000μlの分注チップ条件について、複数の実験にわたる4つの異なる温度で実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
図26A~26Dは、20℃、25℃、30℃、および35℃での、1,000μl分注チップ条件についての周波数の範囲にわたる振幅応答を、dB単位で示している。
図26A~26Dの各々は、3つの周波数掃引の結果を示している。
図26Eは、同じ図上で上記4つの異なる温度の音響スペクトルを示している。PCCを使用して
図26A~26Eのデータセットの類似性を決定することにより、チップ条件が変更されない場合に、結果として生じる音響スペクトルが、異なる温度においてさえ高度に相関することを示すことができる。
図26A~26Dのデータセットはまた、
図25Bのデータセットと比較して、その実験のファンなし条件およびファンあり条件との高い相関を実証することができる。
図27A~27Eは、350μlの分注チップ条件について、複数の実験にわたる4つの異なる温度で実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
図27A~27Dは、20℃、25℃、30℃、および35℃での、350μl分注チップ条件についての周波数の範囲にわたる振幅応答を、dB単位で示している。
図27A~27Dの各々は、3つの周波数掃引の結果を示している。
図27Eは、同じ図上で上記4つの異なる温度の音響スペクトルを示している。PCCを使用して
図27A~27Eのデータセットの類似性を決定することにより、チップ条件が変更されない場合に、結果として生じる音響スペクトルが、異なる温度においてさえ高度に相関することを示すことができる。
図27A~27Dのデータセットはまた、
図25Cのデータセットと比較して、その実験のファンなし条件およびファンあり条件との高い相関を実証することができる。
【0115】
図28A~28Dは、音生成器からの3つの異なるレベルの音響出力を使用する複数の実験にわたる4つの異なる温度での、チップなし条件について実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
図28A~28Dは、20℃、25℃、30℃、および35℃での、チップなし条件についての周波数の範囲にわたる振幅応答を、dB単位で示している。
図28A~28Dの各々は、異なるスピーカー音量で実施された3つの周波数掃引の結果を示している。PCCを使用して
図28A~28Dのデータセットの類似性を決定することにより、チップ条件が変更されない場合に、結果として生じる音響スペクトルが、異なる温度および異なる音量においてさえ高度に相関することを示すことができる。
図28A~28Dのデータセットはまた、
図25Aのデータセットと比較して、その実験のファンなし条件およびファンあり条件との高い相関を実証することができる。
【0116】
図26A~28Dに示すデータは、音響スペクトル間の相関関係を決定することを使用して、温度が変化する条件および音量が変化する条件において分注チップの同一性を確実に決定できることを実証する。
図26A~28Eに示すデータは、様々な液体分注チップに関連付けられた音響スペクトルが、温度、音量、および周囲ノイズが変化する間、比較的安定したままであることをさらに示している。これらの実験中に記録した音響スペクトルは、変化する条件を考慮した堅牢性を示し、潜在的に交絡する実験条件に直面するなかで音響スペクトルの比較がチップタイプの識別を確実なものにでき得ることを示している。実施形態では、PCCを使用した結果は、いくつかの技術によって改善され得る。例えば、2つのデータセット間のPCCを決定する前に、振幅を線形から対数スケールに変換してもよい。別の例では、データ品質を改善し、過剰なノイズを排除するために、ローパスフィルタを使用した前処理をスペクトル全体にわたって実施してもよい。カットオフ周波数は、ナイキスト周波数の関数として、例えば、ナイキスト周波数の0.2または他の任意の適切な値で選択され得る。
【0117】
図29は、複数の分注チップタイプについて実験的に取得した音響スペクトルを示す例示的な図である。
図29は、4つの異なるチップタイプ(10μl、50μl、350μl、および1,000μl)ならびにチップなし条件での周波数範囲にわたる振幅ゲインを、dB単位で示している。
図29はさらに、分注チップの同一性を決定するための比較に使用され得る複数のターゲット周波数を示している。
【0118】
一実施形態では、複数の分注チップタイプの中から1つの液体分注チップを識別することは、音響スペクトル全体を使用するのではなく、各液体分注チップの3つのターゲット周波数測定値に基づいて実施され得る。一実施形態では、3つのターゲット周波数測定値は、異なる液体分注チップに関連付けられた音響スペクトルの共鳴ピーク位置に従って選択され得る。例えば、1,000μlの分注チップは、
図29の周波数F1と周波数F3との間に共鳴ピークを有する唯一の分注チップである。したがって、Mag(F2)-Mag(F1)は正であり、Mag(F3)-Mag(F2)は負である。このパターンは、1,000μlの分注チップにのみ当てはまる。
図29に示すように、350μlの液体分注チップのピークはF4付近またはF3とF5との間にあり、50μlの液体分注チップのピークはF7付近またはF6とF8との間にあり、10μlの液体分注チップのピークはF9の近くまたはF8とF10との間にある。したがって、4つの液体分注チップの各々は、3つの別個の周波数でのシステム応答の加算または減算を含む単純な比較によって、一意に識別することができる。
図29に示すように、ターゲット周波数は、各ターゲット周波数間の所定の間隔に従って選択され得る。さらなる実施形態では、ターゲット周波数は、音響スペクトルの共鳴ピークが2つのターゲット周波数の間に入り、第3のターゲット周波数も2つのターゲット周波数の間に入るように、音響スペクトルの分析に従って選択され得る。区別する必要のある分注チップの数および共鳴ピークの位置に応じて、使用するターゲット周波数の数を減らすかもしくは増やしてもよい。
【0119】
図30は、本明細書の実施形態と一致するチップ同定(同一性決定)の方法のフロー図を示す。方法3000は、本明細書で論じる液体分注器システムおよびデバイスのいずれかで採用することができる。方法3000の動作および/またはステップは、本明細書で論じる任意の適切な制御システム(例えば、
図1Bのコントローラ110)によって実行され得る。実施形態では、本明細書で論じる分注チャンバのキャビティに対する構造的改善は、チップ同一性決定の方法3000に採用される液体分注器システムおよびデバイスに適用され得る。
【0120】
方法3000については、周波数および電圧を有する信号に関して以下で論じる。本明細書で論じるように、液体分注器システムにおける以下に開示される試験信号もしくはポーリング信号などの信号は、液体分注器システムの音生成器に提供され、液体分注器システムは次いで、試験信号もしくはポーリング信号の周波数に対応する周波数を有する、かつ試験信号もしくはポーリング信号の電圧に対応する大きさを有する、音響出力を生成する。音響センサが音響出力に対する音響応答または他のシステム応答を検出し、音響応答の周波数および大きさに対応する周波数および電圧を有する応答信号が、液体分注器システムの制御回路(例えば、111)に提供される。
【0121】
動作3002で、方法3000は、分注チップの存在を検証することを含む。分注チップの存在は、例えば、
図23に関して上記で論じたチップ存在検出方法2300を介して保証され得る。さらなる実施形態では、チップ存在検出は、電気的検出、機械的検出、光学的検出、オペレータによる手動検出などの任意の適切な手段によって実施されてよい。
【0122】
動作3004で、方法3000は、複数のターゲット周波数でポーリング信号を提供することを含む。一実施形態では、複数のターゲット周波数は、複数の個別のターゲット周波数を含み得る。一実施形態では、複数のターゲット周波数はまた、特定の周波数増分で特定の周波数範囲にわたる完全な周波数掃引も含み得る。
【0123】
動作3006で、方法3000は、チップ同定を決定することを含む。チップ同定は、複数のターゲット周波数でのシステム応答と1つ以上のチップ同定メトリックとの比較に従って決定され、この比較に従って液体分注チップの同一性を決定する。複数のターゲット周波数でのシステム応答を1つ以上のチップ同定メトリックと比較することは、いくつかのやり方で実施され得る。
【0124】
一実施形態では、チップ同定メトリックは、システム応答と格納された1つ以上の音響スペクトルとの間の閾値PCCであり得る。複数のターゲット周波数は、周波数範囲にわたる周波数掃引を含み得る。この複数のターゲット周波数で提供されるポーリング信号は、チップ応答音響スペクトルを生成する。チップ応答音響スペクトルは、液体分注器システムの制御回路(例えば、111)によって格納されアクセス可能な1つ以上のチップ同定音響スペクトルと比較され得る。チップ同定音響スペクトルは、例えば、ルックアップテーブルに格納され得る。
【0125】
チップ同定音響スペクトルは、事前に決定され、液体分注器システムの制御回路に関連付けられたか、または液体分注器システムの制御回路によってアクセス可能な、1つ以上の記憶媒体に格納され得る。チップ同定音響スペクトルは、例えば、周囲温度25℃、液体分注器システムによって生成されるかもしくはそれを模倣する環境ノイズ、環境ノイズを克服するのに十分な大きさだが音響センサを飽和させない標準的な音生成器音量、ならびに約200Hz~3kHz、500Hz~2500kHz、および/または任意の適切な範囲の周波数範囲、といった標準的な条件下で確立できる。これによって生成されたチップ同定音響スペクトルは、信号内のアーチファクトまたはノイズを除去するために、例えばローパスフィルタを介してさらにフィルタリングされ得る。チップ同定音響スペクトルは、別のデバイスによって事前に確立され、液体分注器システムにインポートされてもよい。チップ同定スペクトルは、初期設定または較正動作中に液体分注器システムによって確立されてもよい。チップ同定スペクトルは、較正がアップデートされた状態に保たれるように、間隔を置いてさらに再確立されてもよい。
【0126】
チップ応答音響スペクトルと格納されたチップ同定音響スペクトルとの間の比較は、PCCの計算、および/またはこれらのデータセットを比較する他の任意の適切な方法を含み得る。PCC閾値を超える最大PCC値は、チップ応答音響スペクトルを生成するために使用される分注チップの同定を決定するために使用され得る。例えば、オペレータが350μlのチップを液体分注器システムに取り付ける場合がある。次いで、液体分注器システムの制御回路(例えば、111)は、取り付けられたチップのチップ応答音響スペクトルを取得し、チップ応答音響スペクトルと、格納された1つ以上のチップ同定音響スペクトルとの間にPCCを生成する。上記で論じたように、この例における350μl分注チップのチップ応答音響スペクトルと、350μl分注チップの格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のPCCは、最大値を有し、これは取り付けられたチップが350μl分注チップに最も近いことを示している。システムはさらに閾値チェックを実施して、350μlの分注チップ応答音響スペクトルが、PCC閾値などの所定のレベルを超える格納された350μlの分注チップデータとも一致することを決定することができる。例えば、PCC閾値は、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、および/または0.95であり得る。PCC閾値要件は、検出されたチップが実際に350μlの分注チップであり、その350μlの分注チップに最も近い未知の分注チップではないことを検証することができる。実施形態では、液体分注器システムは、PCC閾値を超えない分注チップが取り付けられている場合に、未知のチップが取り付けられたことを示す、注意(alert)または警告(warning)を提供するように構成されてもよい。
【0127】
別の実施形態では、チップ同定メトリックは、同定されている液体分注チップの3つのターゲット周波数でのシステム応答が、格納されたチップ応答パターンと一致するという要件を含んでもよい。上記で、例えば
図29に関して論じたように、複数のターゲット周波数は、予測された応答振幅ピークに基づいて分注チップを識別するために選択された、一連のターゲット周波数を含み得る。選択された3つのターゲット周波数でのシステム応答は、スペクトル全体をポーリングすることなく、チップ応答音響スペクトルにおけるピークの位置を識別できる。例えば、
図29を参照すると、1000μlの分注チップの場合、チップ同定メトリックは、F1、F2、およびF3でのシステム応答が、マグニチュード(F2)-マグニチュード(F1)が正で、マグニチュード(F3)-マグニチュード(F2)が負である、格納されたチップ応答パターンと一致するかどうかを判断し得るものである。既知の各分注チップは、チップ同定メトリックとして格納されたチップ応答パターンを有し得る。複数のターゲット周波数でのシステム応答を各チップ応答パターンと比較して、取り付けられた分注チップの同一性を決定することができる。複数のターゲット周波数が格納されたいかなるチップ応答パターンとも一致しない状況において、液体分注器システムは、未知の分注チップが取り付けられたことを注意または警告するように構成されてもよい。
【0128】
動作3008で、方法3000は、決定された液体分注チップタイプを出力することを含む。上記で論じたように、液体分注チップタイプの同一性は、複数のターゲット周波数とチップ同定メトリックとの間の比較に従って決定される。液体分注器システムは、液体分注チップタイプの同一性を、例えば、音調(tone)もしくは音(sound)によって、一連のライトによって、ディスプレイ上に、などの任意の適切な方法で、出力するように構成されている。
【0129】
液体分注チップタイプを決定する方法3000は、液体分注チップの存在を決定する方法2300と組み合わせることができる。例えば、液体分注器システムは、チップの存在を継続的に監視し、液体分注チップの検出時にディスプレイ通知または他の通知を更新するように構成されてもよい。液体分注器システムは、チップの存在を決定した後、液体分注チップ同定モードで動作し、取り付けられた液体分注チップの同一性を示すディスプレイ通知または他の通知に継続的な更新を提供するように構成されてもよい。
【0130】
実施形態では、チップ同定メトリックは、チップ同一性のためのチップなし条件を含むようにさらに構成されてもよい。したがって、液体分注チップ同定方法3000において、液体分注チップの同定を決定することは、チップが存在しないことを決定することを含み得る。このような実施形態では、チップ存在検証動作3002は必要とされない場合がある。
【0131】
実施形態では、チップ存在検出方法2300およびチップ同定方法3000は、各々がそれ自体の液体分注チップを有する複数の液体分注デバイスもしくはモジュールを含む、液体分注器システムで実施され得る。実施形態では、チップ存在検出方法2300および液体分注チップ同定方法3000は、複数の液体分注モジュールで同時に実施され得る。予想されることとは反対に、本明細書に記載の実験は、複数の液体部分注モジュール間のクロストークが、存在結果および同定結果に干渉しないことを実証している。
【0132】
表3は、560Hzのチップ存在検出ポーリング信号で同時にポーリングされた、10mm間隔で離間した7つの液体分注デバイスモジュールからの電圧応答結果を示している。7つの分注モジュールの各々につき、6つのデータポイントが取得される。表4は、(560Hzで)同時に行われた7つの液体分注モジュールチップ存在検出ポーリング信号の、最初の2つからの電圧応答結果を示している。2つのモジュールの各々につき、6つのデータポイントが取得される。表3および表4の結果を比較することによって示されるように、モジュール#1および#2の電圧応答は、モジュール#3~#7のチップ存在検出ポーリング信号のアクティブ化の有無にかかわらず、実質的に類似している。したがって、チップ存在検出方法およびチップ同定方法は、液体分注器システムの複数の液体分注モジュールで同時に実施することができる。このような同時実施により、各モジュールを別々に試験する必要がないため、チップ存在通知およびチップ同定通知を更新するために必要な時間が短縮され得る。
【表3】
【表4】
【0133】
図31は、音響センサから出力された電圧を処理するためのブロック図を示す、例示的なブロック
図3500である。ブロック
図3500で実施される機能は、コントローラ110によって実施され得る。3510で、音響センサから出力された電圧はコントローラ110によって受け取られ、ローパスフィルタ(例えば、信号調整回路121のローパスフィルタ)を通過する。ローパスフィルタは、電圧出力のノイズを低減し、かつ/または電圧出力の帯域幅を制限して、アンチエイリアシング効果を低減、および/または信号対ノイズ比を向上させることができる。その後、3520で、ローパスフィルタからの出力は、アナログ-デジタル変換器(例えば、アナログ-デジタル変換器117)を通過して、出力をアナログ電圧値からデジタル電圧値に変換する。3530で、電圧値は(例えば、制御回路111によって)各々二乗され、二乗電圧値を生成する。上記で論じたように、二乗電圧値は、音響パワーまたは音響強度に直線的に比例する。設定された時間ウィンドウにわたる二乗電圧値の平均値は、(例えば、制御回路111によって)決定され得、二乗電圧値の平均値は、設定された時間ウィンドウ内の平均電力または平均強度に関連付けられる。よって、上記で論じたように、二乗電圧値の平均値を監視して、チップ-液体接触が起こったかどうかを判断、および/またはチップが液体分注器に結合されたかどうかを判断することができる。
【0134】
図32は、音の平均出力または平均強度に関連付けられた値に基づいてチップ-液体接触が検出されるときの、誤検知エラーの除去を示す例示的な図である。
図32の図は、音の経時的な平均電力または平均強度に関連付けられた値の実験結果をグラフで示している。グラフの一点鎖線は、チップ-液体接触が起こったかどうかを判断するための、閾値を示す。この実験では、実際のチップ-液体接触は、2000ミリ秒で起こった。
図32に示す実施形態では、ホワイトノイズ(灰色の実線)、400Hzのシングルトーンノイズ(点線)、強い風ノイズ(黒の実線)などの様々なタイプのバックグラウンドノイズがあっても、誤検知エラーは検出されない。
【0135】
さらなる実施形態として、以下が挙げられる
実施形態1は、液体分注器であって、該液体分注器は、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を備える、液体分注器である。
【0136】
実施形態2は、分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、実施形態1に記載の液体分注器である。
【0137】
実施形態3は、音生成器および音響センサが、互いに向き合うように位置決めされているか、または同じ側に位置決めされている、実施形態1または2に記載の液体分注器である。
【0138】
実施形態4は、分注チャンバが、第1の開口部および第2の開口部を除いて囲まれている、実施形態1~3のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0139】
実施形態5は、制御回路が、感知された音に基づいて、分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、実施形態2または3に記載の液体分注器である。
【0140】
実施形態6は、感知された音が、分注チャンバ内で感知された音圧を含み、分注チップに関する情報が、感知された音圧に基づいて識別される、実施形態5に記載の液体分注器である。
【0141】
実施形態7は、制御回路が、分注チップが分注チャンバ部分の第1の部分と完全に結合されているかどうかを、感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、実施形態1~3のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0142】
実施形態8は、液体分注器システムであって、該液体分注器システムは、液体分注器であって、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を含む、液体分注器と、分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システムである。
【0143】
実施形態9は、液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、ピストンチャンバ内でピストンを動かすように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、実施形態8に記載の液体分注器システムである。
【0144】
実施形態10は、音生成器および音響センサが、互いに向き合うように位置決めされているか、または同じ側に位置決めされている、実施形態8または9に記載の液体分注器システムである。
【0145】
実施形態11は、分注チャンバが、第1の開口部および第2の開口部を除いて囲まれている、実施形態8~10のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0146】
実施形態12は、制御回路が、感知された音に基づいて、分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、実施形態8~11のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0147】
実施形態13は、感知された音が、分注チャンバ内で感知された音圧を含み、分注チップに関する情報が、感知された音圧に基づいて識別される、実施形態8~12のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0148】
実施形態14は、制御回路が、分注チップが分注チャンバ部分の第1の部分と完全に結合されているかどうかを、感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、実施形態8~13のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0149】
実施形態15は、液体分注器であって、該液体分注器は、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバが分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、1つ以上の側導管であって、1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティと、それぞれのキャビティを分注チャンバに接続しているそれぞれのコネクタチャネルとを有する、1つ以上の側導管と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバが第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器からの外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが1つ以上の側導管のうちの1つのそれぞれのキャビティ内に配設されており、1つ以上の側導管の各々の、それぞれのキャビティおよびそれぞれのコネクタは、音響センサによって感知された音の周波数範囲内で共鳴がない、音響センサと、を備える、液体分注器である。
【0150】
実施形態16は、分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、実施形態15に記載の液体分注器である。
【0151】
実施形態17は、1つ以上の側導管の各々の、それぞれのキャビティおよびそれぞれのコネクタはヘルムホルツ共鳴がない、実施形態15または16に記載の液体分注器である。
【0152】
実施形態18は、それぞれのキャビティの横方向の寸法が、1つ以上の側導管の各々に対するそれぞれのコネクタの横方向の寸法と同じである、実施形態15~17のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0153】
実施形態19は、1つ以上の側導管内の音響共鳴が、100Hz~4kHzの周波数範囲外にある、実施形態15~18のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0154】
実施形態20は、1つ以上の側導管内の音響共鳴が、200Hz~1kHzの周波数範囲外にある、実施形態15~19のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0155】
実施形態21は、1つ以上の側導管の各々の、それぞれのキャビティが、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つを収容するように構成されている、実施形態15~20のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0156】
実施形態22は、1つ以上の側導管が、単一の側導管を含み、かつ音生成器および音響センサのうちの一方が、単一の側導管内に収容されており、音生成器および音響センサのうちの他方が、分注チャンバ部分に収容されている、実施形態15~21のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0157】
実施形態23は、液体分注器システムであって、該液体分注器システムは、液体分注器であって、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を備える、液体分注器システムである。
【0158】
実施形態24は、液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、ピストンチャンバ内でピストンを動かすように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、実施形態23に記載の液体分注器システムである。
【0159】
実施形態25は、分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、実施形態23または24に記載の液体分注器システムである。
【0160】
実施形態26は、分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよびそれぞれのキャビティを分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、1つ以上の側導管の各々の、それぞれのキャビティおよびそれぞれのコネクタは、ヘルムホルツ共鳴がない、実施形態23~25のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0161】
実施形態27は、それぞれのキャビティの横方向の寸法が、1つ以上の側導管の各々に対するそれぞれのコネクタの横方向の寸法と同じである、実施形態23~26のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0162】
実施形態28は、1つ以上の側導管内の音響共鳴が、100Hz~4kHzの周波数範囲外にある、実施形態23~27のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0163】
実施形態29は、1つ以上の側導管内の音響共鳴が、200Hz~1kHzの周波数範囲外にある、実施形態23~28のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0164】
実施形態30は、1つ以上の側導管の各々の、キャビティが、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つを収容するように構成されている、実施形態23~29のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0165】
実施形態31は、1つ以上の側導管が、単一の側導管を含み、かつ音生成器および音響センサのうちの一方が、単一の側導管内に収容されており、音生成器および音響センサのうちの他方が、分注チャンバ部分に収容されている、実施形態23~30のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0166】
実施形態32は、液体分注器であって、該液体分注器は、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器からの外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、分注チャンバとピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、分注チャンバをピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む、分注器本体と、分注チャンバに音を生成するように構成された音生成器と、生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサと、を備える、液体分注器である。
【0167】
実施形態33は、感知された音に基づいて、分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または感知された音に基づく分注チップ内の液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された、制御回路をさらに備える、実施形態32に記載の液体分注器である。
【0168】
実施形態34は、分注チャンバ内の気柱共鳴の長さが、ピストンの移動によって影響を受けない、実施形態32または33に記載の液体分注器である。
【0169】
実施形態35は、音響フィルタが、音反射フィルタまたは吸音フィルタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態32~34のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0170】
実施形態36は、音反射フィルタが、分注チャンバ内の気柱共鳴の長さを、ピストンチャンバ内の気柱共鳴の長さから隔離するように構成されている、実施形態32~35のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0171】
実施形態37は、音反射フィルタが空気を透過しない、実施形態32~36のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0172】
実施形態38は、吸音フィルタが、ピストンの移動によって引き起こされる音を低減するように構成されている、実施形態32~37のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0173】
実施形態39は、吸音フィルタが、空気透過性でありかつ音を抑制する、実施形態32~38のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0174】
実施形態40は、音響フィルタが、連続気泡発泡体、空気通路を備えた独立気泡発泡体、または繊維状材料のうちの少なくとも1つでできている、実施形態32~39のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0175】
実施形態41は、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが分注チャンバ部分内に配設されている、実施形態32~40のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0176】
実施形態42は、分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよびそれぞれのキャビティを分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが、1つ以上の側導管内に配設されており、1つ以上の側導管の各々の、それぞれのキャビティおよびそれぞれのコネクタは、音響センサによって感知された音の周波数範囲内で共鳴がない、実施形態32~41のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0177】
実施形態43は、制御回路が、感知された音に基づいて、分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、実施形態32~42のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0178】
実施形態44は、制御回路が、分注チップが分注チャンバ部分の第1の部分と完全に結合されているかどうかを、感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、実施形態32~43のいずれか1つに記載の液体分注器である。
【0179】
実施形態45は、液体分注器システムであって、該液体分注器システムは、液体分注器であって、分注器本体であって、中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、分注チャンバは、分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、ピストンチャンバは、第2の開口部を介して分注チャンバに接続されており、ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を液体分注器内に引き込みかつ液体を液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、分注チャンバとピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、分注チャンバをピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む、分注器本体と、分注チャンバに音を生成するように構成された音生成器と、生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサと、を備える、液体分注器と、分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または感知された音に基づく分注チップ内の液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システムである。
【0180】
実施形態46は、液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、ピストンチャンバ内でピストンを動かすように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、実施形態45に記載の液体分注器システムである。
【0181】
実施形態47は、分注チャンバ内の気柱共鳴の長さが、ピストンの移動によって影響を受けない、実施形態45または46に記載の液体分注器システムである。
【0182】
実施形態48は、音響フィルタが、音反射フィルタまたは吸音フィルタのうちの少なくとも1つを含む、実施形態45または46に記載の液体分注器システムである。
【0183】
実施形態49は、音反射フィルタが、分注チャンバ内の気柱共鳴の長さを、ピストンチャンバ内の気柱共鳴の長さから隔離するように構成されている、実施形態45~48のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0184】
実施形態50は、音反射フィルタが空気を透過しない、実施形態45~49のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0185】
実施形態51は、吸音フィルタが、ピストンの移動によって引き起こされる音を低減するように構成されている、実施形態45~50のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0186】
実施形態52は、吸音フィルタが、空気透過性でありかつ音を抑制する、実施形態45~51のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0187】
実施形態53は、音響フィルタが、連続気泡発泡体、空気通路を備えた独立気泡発泡体、または繊維状材料のうちの少なくとも1つでできている、実施形態45~52のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0188】
実施形態54は、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが分注チャンバ部分内に配設されている、実施形態45~53のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0189】
実施形態55は、分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよびそれぞれのキャビティを分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、音生成器または音響センサのうちの少なくとも1つが、1つ以上の側導管内に配設されており、1つ以上の側導管の各々の、それぞれのキャビティおよびそれぞれのコネクタは、音響センサによって感知された音の周波数範囲内で共鳴がない、実施形態45~54のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0190】
実施形態56は、制御回路が、感知された音に基づいて、分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、実施形態45または46に記載の液体分注器システムである。
【0191】
実施形態57は、制御回路が、分注チップが分注チャンバ部分の第1の部分と完全に結合されているかどうかを、感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、実施形態45~56のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0192】
実施形態58は、液体分注器と液体との接触を検出する方法であって、音響センサを介して、時間ウィンドウ内で音響センサによって感知された音に関連付けられた、複数の電圧値を取得することと、複数の電圧値の各々を二乗して、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、複数の二乗電圧値の平均値に基づいて、時間ウィンドウ中に液体分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を含む、方法である。
【0193】
実施形態59は、液体との接触が起こったかどうかを決定することが、液体との接触が、複数の二乗電圧値の平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、液体との接触が、複数の二乗電圧値の平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、を含む、実施形態58に記載の方法である。
【0194】
実施形態60は、複数の電圧値が時間領域にわたって取得される、実施形態58または59に記載の方法である。
【0195】
実施形態61は、複数の電圧値が周波数領域にわたって取得される、実施形態58~60のいずれか1つに記載の方法である。
【0196】
実施形態62は、複数の電圧値が複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、実施形態58~61のいずれか1つに記載の方法である。
【0197】
実施形態63は、所定の周波数帯域が1kHz超の帯域幅を有する、実施形態58~62のいずれか1つに記載の方法である。
【0198】
実施形態64は、音響センサによって感知される音が、液体分注器内を伝わる音から感知される、実施形態58~63のいずれか1つに記載の方法である。
【0199】
実施形態65は、音響センサまたは感知された音の源である音生成器のうちの少なくとも1つが、液体分注器の内部内に設置されている、実施形態58~64のいずれか1つに記載の方法である。
【0200】
実施形態66は、液体分注器と液体との接触を検出するためのコントローラであって、メモリと、液体分注器に含まれ、音を感知し、時間ウィンドウ内で感知された音に基づいて複数の電圧値を生成するように構成された、該メモリおよび音響センサに結合された制御回路とを備え、制御回路は、音響センサを介して、複数の電圧値を取得することと、複数の電圧値を二乗して、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、複数の二乗電圧値の平均値に基づいて、時間ウィンドウ中に液体分注器と液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を行うように構成されている、コントローラである。
【0201】
実施形態67は、制御回路が、液体との接触が起こったかどうかを、液体との接触が、複数の二乗電圧値の平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、液体との接触が、複数の二乗電圧値の平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、によって判断する、実施形態66に記載のコントローラである。
【0202】
実施形態68は、複数の電圧値が時間領域にわたって取得される、実施形態66または67に記載のコントローラである。
【0203】
実施形態69は、複数の電圧値が周波数領域にわたって取得される、実施形態66~68のいずれか1つに記載のコントローラである。
【0204】
実施形態70は、複数の電圧値が複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、実施形態66~69のいずれか1つに記載のコントローラである。
【0205】
実施形態71は、所定の周波数帯域が1kHz超の帯域幅を有する、実施形態66~70のいずれか1つに記載のコントローラである。
【0206】
実施形態72は、音響センサによって感知される音が、液体分注器内を伝わる音から感知される、実施形態66~70のいずれか1つに記載のコントローラである。
【0207】
実施形態73は、気液境界を検出するための液体分注器システムであって、液体分注器の内部に音を発生させるように構成された音生成器、および生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサ、を備える、液体分注器と、制御回路であって、音響センサに結合され、音響センサを介して、時間ウィンドウ内で音響センサによって感知された音に関連付けられた、複数の電圧値を取得することと、複数の電圧値の各々を二乗して、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、複数の二乗電圧値の平均値に基づいて、時間ウィンドウ中に液体分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を行うように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システムである。
【0208】
実施形態74は、制御回路が、液体との接触が起こったかどうかを、液体との接触が、複数の二乗電圧値の平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、液体との接触が、複数の二乗電圧値の平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、によって判断する、実施形態73に記載の液体分注器システムである。
【0209】
実施形態75は、複数の電圧値が時間領域にわたって取得される、実施形態73または74に記載の液体分注器システムである。
【0210】
実施形態76は、複数の電圧値が周波数領域にわたって取得される、実施形態73~75のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0211】
実施形態77は、複数の電圧値が複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、実施形態73~76のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0212】
実施形態78は、所定の周波数帯域が1kHz超の帯域幅を有する、実施形態73~77のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0213】
実施形態79は、音響センサによって感知される音が、液体分注器内を伝わる音から感知される、実施形態73~78のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0214】
実施形態80は、少なくとも1つの試験信号を提供するように構成された制御回路と、液体分注器と、を備える液体分注器システムであって、液体分注器は、中に分注チャンバを含む分注器本体と、制御回路からの少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成するように構成された音生成器と、分注チャンバ内の少なくとも1つの音を感知し、制御回路に少なくとも1つの応答信号を提供するように構成された音響センサと、を含み、制御回路は、少なくとも1つの応答信号をチップ存在閾値信号値と比較して、液体分注チップの存在を決定するように構成されている、液体分注器システムである。
【0215】
実施形態81は、制御回路が、チップなし条件において、ターゲット周波数で少なくとも1つの試験信号を生成することと、チップなし条件の間に受信された、少なくとも1つの応答信号に基づいて、チップ存在閾値信号値を決定することと、を行うようにさらに構成されている、実施形態80に記載の液体分注器システムである。
【0216】
実施形態82は、制御回路が、液体分注チップの存在の通知を出力するようにさらに構成されている、実施形態80または81に記載の液体分注器システムである。
【0217】
実施形態83は、液体分注器システムで実行される、液体チップ分注チップ存在を同定する方法であって、制御回路によって、少なくとも1つの試験信号を提供することと、分注チャンバを有する分注器本体、音生成器、ならびに音響センサを含む液体分注器によって、少なくとも1つの試験信号を受信することと、制御回路からの少なくとも1つの試験信号に応答して、音生成器によって少なくとも1つの試験音を生成することと、音響センサによって、分注チャンバ内の少なくとも1つの音を感知することと、音響センサによって、少なくとも1つの音に基づく少なくとも1つの応答信号を、制御回路に提供することと、少なくとも1つの応答信号をチップ存在閾値信号値と比較して、液体分注チップの存在を決定することと、を含む、方法である。
【0218】
実施形態84は、チップなし条件において、ターゲット周波数で少なくとも1つの試験信号を生成することと、チップなし条件の間に受信された、応答信号に基づいて、チップ存在閾値信号値を決定することと、を行うようにさらに構成されている、実施形態83に記載の方法である。
【0219】
実施形態85は、液体分注チップの存在の通知を出力することをさらに含む、実施形態83または84に記載の方法である。
【0220】
実施形態86は、液体分注器システムであって、該液体分注器システムは、少なくとも1つの試験信号を提供するように構成された制御回路と、液体分注器と、を備える液体分注器システムであって、液体分注器は、中に分注チャンバを含む分注器本体と、制御回路からの少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成するように構成された音生成器と、分注チャンバ内の少なくとも1つの音を感知し、制御回路に少なくとも1つの応答信号を提供するように構成された音響センサと、を含み、制御回路は、少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較して、液体分注チップの同一性を決定するように構成されている、液体分注器システムである。
【0221】
実施形態87は、制御回路が、液体分注チップの存在を検証するようにさらに構成されている、実施形態86に記載の液体分注器システムである。
【0222】
実施形態88は、制御回路が、液体分注チップの同一性の通知を出力するようにさらに構成されている、実施形態86または87に記載の液体分注器システムである。
【0223】
実施形態89は、少なくとも1つの試験信号が周波数掃引を含み、少なくとも1つの応答信号がチップ応答音響スペクトルを含み、かつ制御回路が、チップ応答音響スペクトルと、1つ以上の格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のピアソン相関係数を決定することにより、少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較するようにさらに構成されている、実施形態86~88のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0224】
実施形態90は、少なくとも1つの試験信号が周波数掃引を含み、少なくとも1つの応答信号が応答音響スペクトルを含み、かつ制御回路が、少なくとも1つの応答信号をチップ周波数応答パターンに一致させることにより、応答信号をチップ同定メトリックと比較するようにさらに構成されている、実施形態86~89のいずれか1つに記載の液体分注器システムである。
【0225】
実施形態91は、液体分注器システムにおける液体分注チップの同一性を決定する方法であって、制御回路を介して、少なくとも1つの試験信号を提供することと、分注チャンバを有する分注器本体、音生成器、ならびに音響センサを含む液体分注器によって、少なくとも1つの試験信号を受信することと、音生成器によって、制御回路からの少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成することと、音響センサによって、分注チャンバ内の少なくとも1つの音を感知することと、音響センサによって、少なくとも1つの音による少なくとも1つの応答信号を提供することと、少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較して、液体分注チップの同一性を決定することと、を含む、方法である。
【0226】
実施形態92は、液体分注チップの存在を検証することをさらに含む、実施形態91に記載の方法である。
【0227】
実施形態93は、液体分注チップの同一性の通知を出力することをさらに含む、実施形態91または92に記載の方法である。
【0228】
実施形態94は、少なくとも1つの試験信号が周波数掃引を含み、少なくとも1つの応答信号がチップ応答音響スペクトルを含み、上記方法が、チップ応答音響スペクトルと、1つ以上の格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のピアソン相関係数を決定することにより、少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較することをさらに含む、実施形態91~93のいずれか1つに記載の方法である。
【0229】
実施形態95は、少なくとも1つの試験信号が周波数掃引を含み、少なくとも1つの応答信号が応答音響スペクトルを含み、上記方法が、少なくとも1つの応答信号をチップ周波数応答パターンに一致させることにより、少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較することをさらに含む、実施形態91~94のいずれか1つに記載の方法である。
【0230】
本発明による様々な実施形態を上記で説明してきたが、それらの実施形態は、単なる例示および例、ならびに非限定的なものとして提示されていることを理解されたい。形式および詳細における様々な変更が、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、その点で行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物に従ってのみ、定義されるべきである。本明細書に考察された各実施形態、および本明細書に引用された各参考文献のそれぞれの特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用することができることも理解されるであろう。本明細書で考察されたすべての特許および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分注器であって、前記液体分注器は、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
1つ以上の側導管であって、前記1つ以上の側導管の各々は、それぞれのキャビティと、前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続しているそれぞれのコネクタチャネルとを有する、1つ以上の側導管と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の側導管のうちの1つの前記それぞれのキャビティ内に配設されており、前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、前記音響センサによって感知された前記音の周波数範囲内で共鳴がない、音響センサと、を備える、液体分注器。
【請求項2】
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、請求項1に記載の液体分注器。
【請求項3】
前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、ヘルムホルツ共鳴がない、請求項1または2に記載の液体分注器。
【請求項4】
前記それぞれのキャビティの横方向の寸法は、前記1つ以上の側導管の各々に対する前記それぞれのコネクタの横方向の寸法と同じである、請求項3に記載の液体分注器。
【請求項5】
前記1つ以上の側導管内の音響共鳴は、100Hz~4kHzの周波数範囲外にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項6】
前記1つ以上の側導管内の前記音響共鳴は、200Hz~1kHzの周波数範囲外にある、請求項5に記載の液体分注器。
【請求項7】
前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティは、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つを収容するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項8】
前記1つ以上の側導管は、単一の側導管を含み、かつ前記音生成器および前記音響センサのうちの一方が、前記単一の側導管内に収容されており、前記音生成器および前記音響センサのうちの他方が、前記分注チャンバ部分に収容されている、請求項7に記載の液体分注器。
【請求項9】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
液体分注器であって、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバ内で音響共鳴を誘導するための音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の音を感知するように構成された音響センサであって、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、音響センサと、を備える、液体分注器システム。
【請求項10】
前記液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、
前記ピストンチャンバ内で前記ピストンを駆動するように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、請求項9に記載の液体分注器システム。
【請求項11】
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するように構成された制御回路をさらに備える、請求項9または10に記載の液体分注器システム。
【請求項12】
前記分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、前記1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよび前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、
前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、ヘルムホルツ共鳴がない、請求項9~11のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項13】
前記それぞれのキャビティの横方向の寸法は、前記1つ以上の側導管の各々に対する前記それぞれのコネクタの横方向の寸法と同じである、請求項12に記載の液体分注器システム。
【請求項14】
前記1つ以上の側導管内の音響共鳴は、100Hz~4kHzの周波数範囲外にある、請求項12に記載の液体分注器システム。
【請求項15】
前記1つ以上の側導管内の前記音響共鳴は、200Hz~1kHzの周波数範囲外にある、請求項12に記載の液体分注器システム。
【請求項16】
前記1つ以上の側導管の各々の、前記キャビティは、前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つを収容するように構成されている、請求項12~15のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項17】
前記1つ以上の側導管は、単一の側導管を含み、前記音生成器および前記音響センサのうちの一方が、前記単一の側導管内に収容されており、前記音生成器および前記音響センサのうちの他方が、前記分注チャンバ部分に収容されている、請求項16に記載の液体分注器システム。
【請求項18】
液体分注器であって、前記液体分注器は、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、
前記分注チャンバと前記ピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、前記分注チャンバを前記ピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバに音を生成するように構成された音生成器と、
前記生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサと、を備える、液体分注器。
【請求項19】
制御回路であって、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または
前記感知された音に基づく前記分注チップ内の前記液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された、制御回路をさらに備える、請求項18に記載の液体分注器。
【請求項20】
分注チャンバ内の気柱共鳴の長さは、前記ピストンの移動によって影響を受けない、請求項18または19に記載の液体分注器。
【請求項21】
前記音響フィルタは、音反射フィルタまたは吸音フィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項22】
前記音反射フィルタは、前記分注チャンバ内の気柱共鳴の長さを、前記ピストンチャンバ内の気柱共鳴の長さから隔離するように構成されている、請求項21に記載の液体分注器。
【請求項23】
前記音反射フィルタは、空気を透過しない、請求項21または22に記載の液体分注器。
【請求項24】
前記吸音フィルタは、前記ピストンの移動によって引き起こされる音を低減するように構成されている、請求項21~23のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項25】
前記吸音フィルタは、空気透過性でありかつ音を抑制する、請求項21~24のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項26】
前記音響フィルタは、連続気泡発泡体、空気通路を備えた独立気泡発泡体、または繊維状材料のうちの少なくとも1つでできている、請求項18~25のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項27】
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、請求項18~26のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項28】
前記分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、前記1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよび前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の側導管内に配設されており、前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、前記音響センサによって感知された前記音の周波数範囲内で共鳴がない、請求項18~27のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項29】
前記制御回路は、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、請求項19~28のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項30】
前記制御回路は、
前記分注チップが、前記分注チャンバ部分の前記第1の部分と完全に結合されているかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、請求項19~29のいずれか一項に記載の液体分注器。
【請求項31】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
液体分注器であって、
分注器本体であって、
中に分注チャンバを含む分注チャンバ部分であって、前記分注チャンバは、前記分注チャンバ部分の第1の部分に第1の開口部を有し、前記分注チャンバ部分の第2の部分に第2の開口部を有し、前記第1の部分が分注チップと結合するように構成された分注チャンバ部分と、
中にピストンチャンバを含むピストンチャンバ部分であって、前記ピストンチャンバは、前記第2の開口部を介して前記分注チャンバに接続されており、前記ピストンチャンバ内で直線運動でピストンを導いて、液体を前記液体分注器内に引き込みかつ液体を前記液体分注器から外に分注するように構成されたピストンチャンバ部分と、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバと前記ピストンチャンバとの間に配設された音響フィルタであって、前記分注チャンバを前記ピストンチャンバから音響的に分離するように構成された音響フィルタと、を含む、分注器本体と、
前記分注チャンバに音を生成するように構成された音生成器と、
前記生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサと、を備える、液体分注器と、
前記分注チップと液体との接触が起こったかどうか、または
前記感知された音に基づく前記分注チップ内の前記液体の体積、のうちの少なくとも1つを決定するように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システム。
【請求項32】
前記液体分注器を動かすように構成された、液体分注器輸送装置と、
前記ピストンチャンバ内で前記ピストンを駆動するように構成された、ピストン駆動装置と、をさらに備える、請求項31に記載の液体分注器システム。
【請求項33】
分注チャンバ内の気柱共鳴の長さは、前記ピストンの移動によって影響を受けない、請求項31または32に記載の液体分注器システム。
【請求項34】
前記音響フィルタは、音反射フィルタまたは吸音フィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項35】
前記音反射フィルタは、前記分注チャンバ内の気柱共鳴の長さを、前記ピストンチャンバ内の気柱共鳴の長さから隔離するように構成されている、請求項34に記載の液体分注器システム。
【請求項36】
前記音反射フィルタは、空気を透過しない、請求項34または35に記載の液体分注器システム。
【請求項37】
前記吸音フィルタは、前記ピストンの移動によって引き起こされる音を低減するように構成されている、請求項34~36のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項38】
前記吸音フィルタは、空気透過性でありかつ音を抑制する、請求項34~37のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項39】
前記音響フィルタは、連続気泡発泡体、空気通路を備えた独立気泡発泡体、または繊維状材料のうちの少なくとも1つでできている、請求項31~38のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項40】
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つが前記分注チャンバ部分内に配設されている、請求項32~39のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項41】
前記分注器本体が1つ以上の側導管をさらに含み、前記1つ以上の側導管の各々が、それぞれのキャビティおよび前記それぞれのキャビティを前記分注チャンバに接続するそれぞれのコネクタを有し、
前記音生成器または前記音響センサのうちの少なくとも1つは、前記1つ以上の側導管内に配設されており、前記1つ以上の側導管の各々の、前記それぞれのキャビティおよび前記それぞれのコネクタは、前記音響センサによって感知された前記音の周波数範囲内で共鳴がない、請求項31~40のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項42】
前記制御回路は、
前記感知された音に基づいて、前記分注チップに関する情報を識別するようにさらに構成されている、請求項31~41のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項43】
前記制御回路は、
前記分注チップが、前記分注チャンバ部分の前記第1の部分と完全に結合されているかどうかを、前記感知された音に基づいて判断するようにさらに構成されている、請求項32~42のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項44】
液体分注器と液体との接触を検出する方法であって、
音響センサを介して、時間ウィンドウ内で前記音響センサによって感知された音に関連付けられた、複数の電圧値を取得することと、
前記複数の電圧値の各々を二乗して、前記時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、
前記時間ウィンドウに対する前記複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、
前記複数の二乗電圧値の前記平均値に基づいて、前記時間ウィンドウ中に前記液体分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を含む、方法。
【請求項45】
前記液体との前記接触が起こったかどうかを決定することは、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の電圧値は、時間領域にわたって取得される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記複数の電圧値は、周波数領域にわたって取得される、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記音響センサによって感知される前記音は、前記液体分注器内を伝わる音から感知される、請求項44~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記音響センサまたは前記感知された音の源である音生成器のうちの少なくとも1つが、前記液体分注器の内部内に設置されている、請求項44~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
液体分注器と液体との接触を検出するためのコントローラであって、
メモリと、
前記液体分注器に含まれ、音を感知し、時間ウィンドウ内で感知された前記音に基づいて複数の電圧値を生成するように構成された、前記メモリおよび前記音響センサに結合された制御回路とを備え、前記制御回路は、
前記音響センサを介して、前記複数の電圧値を取得することと、
前記複数の電圧値を二乗して、前記時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、
前記時間ウィンドウに対する前記複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、
前記複数の二乗電圧値の前記平均値に基づいて、前記時間ウィンドウ中に前記液体分注器と液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を行うように構成されている、コントローラ。
【請求項53】
前記制御回路は、前記液体との前記接触が起こったかどうかを、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、によって判断する、請求項52に記載のコントローラ。
【請求項54】
前記複数の電圧値は、時間領域にわたって取得される、請求項52または53に記載のコントローラ。
【請求項55】
前記複数の電圧値は、周波数領域にわたって取得される、請求項52~54のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項56】
前記複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、請求項52~55のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項57】
前記所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有する、請求項56に記載のコントローラ。
【請求項58】
前記音響センサによって感知される前記音は、前記液体分注器内を伝わる音から感知される、請求項52~57のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項59】
気液境界を検出するための液体分注器システムであって、
液体分注器であって、
前記液体分注器の内部に音を生成するように構成された音生成器、および
前記生成された音から生じる音響信号を感知するように構成された音響センサ、を備える、液体分注器と、
制御回路であって、前記音響センサに結合され、
音響センサを介して、時間ウィンドウ内で前記音響センサによって感知された音に関連付けられた、複数の電圧値を取得することと、
前記複数の電圧値の各々を二乗して、前記時間ウィンドウに対する複数の二乗電圧値を取得することと、
前記時間ウィンドウに対する前記複数の二乗電圧値の平均値を計算することと、
前記複数の二乗電圧値の前記平均値に基づいて、前記時間ウィンドウ中に前記液体分注器の分注チップと液体との接触が起こったかどうかを判断することと、を行うように構成された制御回路と、を備える、液体分注器システム。
【請求項60】
前記制御回路は、前記液体との前記接触が起こったかどうかを、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値未満のときに起こったと判断することと、
液体との接触が、前記複数の二乗電圧値の前記平均値が閾値以上のときに起こらなかったと判断することと、によって判断する、請求項59に記載の液体分注器システム。
【請求項61】
前記複数の電圧値は、時間領域にわたって取得される、請求項59または60に記載の液体分注器システム。
【請求項62】
前記複数の電圧値は、周波数領域にわたって取得される、請求項59~61のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項63】
前記複数の電圧値は、複数の周波数を含む所定の周波数帯域にわたって取得される、請求項59~62のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項64】
前記所定の周波数帯域は、1kHz超の帯域幅を有する、請求項63に記載の液体分注器システム。
【請求項65】
前記音響センサによって感知される前記音は、前記液体分注器内を伝わる音から感知される、請求項59~64のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項66】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
少なくとも1つの試験信号を提供するように構成された制御回路と、
液体分注器と、を備え、前記液体分注器は、
中に分注チャンバを含む分注器本体と、
前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の前記少なくとも1つの音を感知し、前記制御回路に少なくとも1つの応答信号を提供するように構成された、音響センサと、を含み、
前記制御回路は、前記少なくとも1つの応答信号をチップ存在閾値信号値と比較して、液体分注チップの存在を決定するように構成されている、液体分注器システム。
【請求項67】
前記制御回路は、
チップなし条件において、ターゲット周波数で少なくとも1つの試験信号を生成することと、
前記チップなし条件の間に受信された、前記少なくとも1つの応答信号に基づいて、前記チップ存在閾値信号値を決定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項66に記載の液体分注器システム。
【請求項68】
前記制御回路は、
前記液体分注チップの存在の通知を出力するようにさらに構成されている、請求項66または67に記載の液体分注器システム。
【請求項69】
液体分注器システムで実行される、液体チップ分注チップ存在を同定する方法であって、
制御回路によって、少なくとも1つの試験信号を提供することと、
分注チャンバを有する分注器本体、音生成器、ならびに音響センサを含む液体分注器によって、少なくとも1つの試験信号を受信することと、
前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、前記音生成器によって少なくとも1つの試験音を生成することと、
前記音響センサによって、前記分注チャンバ内の少なくとも1つの音を感知することと、
前記音響センサによって、前記少なくとも1つの音に基づく少なくとも1つの応答信号を、前記制御回路に提供することと、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ存在閾値信号値と比較して、液体分注チップの存在を決定することと、を含む、方法。
【請求項70】
チップなし条件において、ターゲット周波数で少なくとも1つの試験信号を生成することと、
前記チップなし条件の間に受信された、前記応答信号に基づいて、前記チップ存在閾値信号値を決定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記液体分注チップの存在の通知を出力することをさらに含む、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
液体分注器システムであって、前記液体分注器システムは、
少なくとも1つの試験信号を提供するように構成された制御回路と、
液体分注器と、を備える液体分注器システムであって、前記液体分注器は、
中に分注チャンバを含む分注器本体と、
前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成するように構成された音生成器と、
前記分注チャンバ内の前記少なくとも1つの音を感知し、前記制御回路に少なくとも1つの応答信号を提供するように構成された、音響センサと、を含み、
前記制御回路は、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較して、液体分注チップの同一性を決定するように構成されている、液体分注器システム。
【請求項73】
前記制御回路は、
液体分注チップの存在を検証するようにさらに構成されている、請求項72に記載の液体分注器システム。
【請求項74】
前記制御回路は、
前記液体分注チップの同一性の通知を出力するようにさらに構成されている、請求項72または73に記載の液体分注器システム。
【請求項75】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号はチップ応答音響スペクトルを含み、かつ
前記制御回路は、
前記チップ応答音響スペクトルと、1つ以上の格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のピアソン相関係数を決定することにより、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較するようにさらに構成されている、請求項72~74のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項76】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号は応答音響スペクトルを含み、かつ
前記制御回路は、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ周波数応答パターンに一致させることにより、前記応答信号をチップ同定メトリックと比較するようにさらに構成されている、請求項72~75のいずれか一項に記載の液体分注器システム。
【請求項77】
液体分注器システムにおける液体分注チップの同一性を決定する方法であって、
制御回路を介して、少なくとも1つの試験信号を提供することと、
分注チャンバを有する分注器本体、音生成器、ならびに音響センサを含む液体分注器によって、前記少なくとも1つの試験信号を受信することと、
前記音生成器によって、前記制御回路からの前記少なくとも1つの試験信号に応答して、少なくとも1つの試験音を生成することと、
前記音響センサによって、前記分注チャンバ内の前記少なくとも1つの音を感知することと、
前記音響センサによって、前記少なくとも1つの音による少なくとも1つの応答信号を提供することと、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較して、液体分注チップの同一性を決定することと、を含む、方法。
【請求項78】
液体分注チップの存在を検証することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記液体分注チップの同一性の通知を出力することをさらに含む、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号はチップ応答音響スペクトルを含み、前記方法は、
前記チップ応答音響スペクトルと、1つ以上の格納されたチップ同定音響スペクトルとの間のピアソン相関係数を決定することにより、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較することをさらに含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも1つの試験信号は周波数掃引を含み、前記少なくとも1つの応答信号は応答音響スペクトルを含み、前記方法は、
前記少なくとも1つの応答信号をチップ周波数応答パターンに一致させることにより、前記少なくとも1つの応答信号をチップ同定メトリックと比較することをさらに含む、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】