(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075594
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】規則性多孔質固体電解質構造体、それを含む電気化学デバイス、その製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 1/06 20060101AFI20240528BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240528BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240528BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240528BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20240528BHJP
H01M 4/46 20060101ALI20240528BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240528BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20240528BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240528BHJP
H01M 12/08 20060101ALI20240528BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20240528BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240528BHJP
H01M 8/1062 20160101ALI20240528BHJP
H01M 8/1053 20160101ALI20240528BHJP
H01M 8/1023 20160101ALI20240528BHJP
H01M 8/1039 20160101ALI20240528BHJP
H01M 8/1016 20160101ALI20240528BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20240528BHJP
H01G 11/56 20130101ALI20240528BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240528BHJP
C25B 13/02 20060101ALI20240528BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20240528BHJP
C25B 13/07 20210101ALI20240528BHJP
C25B 13/04 20210101ALI20240528BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240528BHJP
H01M 8/1253 20160101ALI20240528BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/36 A
H01M4/38 Z
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/485
H01M4/46
H01M4/66 A
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M12/08 K
H01M10/054
H01M10/052
H01M8/1062
H01M8/1053
H01M8/1023
H01M8/1039
H01M8/1016
H01M8/10 101
H01G11/56
H01G11/84
C25B13/02 301
C25B13/08 301
C25B13/07
C25B13/04 301
H01M8/12 101
H01M8/1253
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031840
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2020543368の分割
【原出願日】2019-02-15
(31)【優先権主張番号】62/631,324
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】501073817
【氏名又は名称】ユニバシティ オブ メリーランド カレッジ パーク
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】ワックスマン,エリック,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マクオーウェン,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ユンフィ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ヤン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気化学デバイスにおいて使用する、規則性多孔質ミクロ構造体を含む固体型電解質構造体およびその使用方法を提供する。
【解決手段】イオン伝導性材料である固体型電解質構造体は、3D印刷可能な組成物を使用して、3D印刷により形成することができる。3D印刷可能な組成物は、イオン伝導性材料および少なくとも1つの分散剤、バインダー、可塑剤または溶媒あるいは1種もしくは複数種の分散剤、バインダー、可塑剤または溶媒の任意の組合せを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のイオン伝導性材料からなり、第1の表面を有する基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配置された第1の規則性多孔質ミクロ構造体であって、
少なくとも1つの特徴により画定された細孔を有し、前記少なくとも1つの特徴が、30
0μm以下の少なくとも1つの寸法を有し、前記特徴が、第2のイオン伝導性材料からな
る、第1の規則性多孔質ミクロ構造体と、
を備える、固体型電解質構造体。
【請求項2】
前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、1~1000μmの高さを有する、請求項1
に記載の固体型電解質構造体。
【請求項3】
前記細孔がそれぞれ、前記基板に平行な平面内に1μm~1000μmの少なくとも1
つの寸法を有し、および/または独立して、1~1000μmの高さを有する、請求項1
に記載の固体型電解質構造体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特徴の前記少なくとも1つの寸法が1μm~200μmである、
請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項5】
前記基板が、100μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項6】
前記第2のイオン伝導性材料が、前記第1のイオン伝導性材料と同じかまたは異なる、
請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項7】
前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、複数の柱状構造、1つの線構造、1つの格子
構造、1つの多層格子構造またはそれらの組合せを備える、請求項1に記載の固体型電解
質構造体。
【請求項8】
前記特徴が線であり、前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、前記基板の前記第1の
表面上に配列された平行線の層である、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項9】
前記複数の平行線が、近接した線から形成されたラスタパターンである、請求項8に記
載の固体型電解質構造体。
【請求項10】
前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、平行線の前記第1の層上に配置された平行線
の第2の層を備える、請求項8に記載の固体型電解質構造体。
【請求項11】
平行線の前記第2の層が、前記第1の層の前記平行線に対して格子角度をなす、請求項
10に記載の固体型電解質構造体。
【請求項12】
前記格子角度が1~90(両端を含む)およびその間の整数値を含むすべての値である
、請求項11に記載の固体型電解質構造体。
【請求項13】
前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体が複数の層を備え、各層が、平行線の隣接層上に
配置された前記第2のイオン伝導性材料の平行線を備える、請求項8に記載の固体型電解
質構造体。
【請求項14】
前記特徴が、前記基板の前記第1の表面に対して概して垂直な方向に延びる柱であり、
前記ミクロ構造体が、前記基板の前記第1の表面上に2次元配列で配列された複数の特徴
である、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項15】
各柱が、1μm~1000μmの高さを有する、請求項14に記載の固体型電解質構造
体。
【請求項16】
各柱が、50μm~200μmの高さを有する、請求項15に記載の固体型電解質構造
体。
【請求項17】
前記基板が、前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、前記基板の前記第2の表
面上に配置された第2の規則性多孔質ミクロ構造体をさらに含み、前記第2の規則性多孔
質ミクロ構造体が、少なくとも1つの第2の特徴により画定された細孔を有し、前記少な
くとも1つの第2の特徴が、200μm未満の直径を有し、前記第2の特徴が、第3のイ
オン伝導性材料を含む、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項18】
前記第3のイオン伝導性材料が、前記第1のイオン伝導性材料および/もしくは前記第
2のイオン伝導性材料と同じである、または前記第1のイオン伝導性材料および/もしく
は前記第2のイオン伝導性材料と異なる、請求項17に記載の固体型電解質構造体。
【請求項19】
前記第2の規則性多孔質ミクロ構造体が、複数の柱状構造、1つの線構造、1つの格子
構造または1つの多層格子構造を備える、請求項17に記載の固体型電解質構造体。
【請求項20】
イオン伝導性ポリマー材料、イオン伝導性無機材料またはそれらの組合せを含む、請求
項17に記載の固体型電解質構造体。
【請求項21】
前記基板が、前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する、前記基板の前記第2の
表面上に配置されたイオン伝導性材料を含む不規則性多孔質ミクロ構造体をさらに含む、
請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項22】
前記イオン伝導性材料がイオン伝導性ポリマー性材料である、請求項1に記載の固体型
電解質構造体。
【請求項23】
前記イオン伝導性ポリマー性材料が、ポリ(エチレン)(PE)類、ポリ(エチレンオ
キシド)(PEO)類、ポリ(プロピレン)(PP)類、ポリ(プロピレンオキシド)類
、PEO含有コポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(アクリロニトリル-
co-メチルアクリレート)、PVdF含有コポリマー、PMMAコポリマーおよびそれ
らの組合せから選ばれたイオン伝導性ポリマーならびに、任意選択で、伝導性塩を含む、
請求項22に記載の固体型電解質構造体。
【請求項24】
前記イオン伝導性材料が、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導性材料ま
たはマグネシウムイオン伝導性材料である、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項25】
前記リチウムイオン伝導性材料がリチウム-ガーネット材料である、請求項24に記載
の固体型電解質構造体。
【請求項26】
前記リチウム-ガーネット材料がLi7-xLa3-yM1
yZr2-zM2
zO12
(式中、0より大きく、かつ2未満のx、
M1は、Ba、Ca、Yおよびそれらの組合せから選ばれ、
M2は、Nb、Taおよびそれらの組合せから選ばれる)
である、請求項25に記載の固体型電解質構造体。
【請求項27】
前記リチウム-ガーネット材料が、カチオンドープLi5La3M2
2O12(式中、
M2は、Nb、Zr、Taまたはそれらの組合せである)、カチオンドープLi6La2
BaTa2O12、カチオンドープLi7La3Zr2O12またはカチオンドープLi
6BaY2M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Taまたはそれらの組合せである
)であり、前記カチオンドーパントが、バリウム、イットリウム、亜鉛またはそれらの組
合せである、請求項25に記載の固体型電解質構造体。
【請求項28】
前記リチウム-ガーネット材料が、Li5La3Nb2O12、Li5La3Ta2O
12、Li7La3Zr2O12、Li6La2SrNb2O12、Li6La2BaN
b2O12、Li6La2SrTa2O12、Li6La2BaTa2O12、Li7Y
3Zr2O12、Li6.4Y3Zr1.4Ta0.6O12、Li6.5La2.5B
a0.5TaZrO12、Li6BaY2M1
2O12、Li7Y3Zr2O12、Li
6.75BaLa2Nb1.75Zn0.25O12、Li6.75BaLa2Ta1.
75Zn0.25O12またはそれらの組合せである、請求項25に記載の固体型電解質
構造体。
【請求項29】
前記ナトリウム伝導性材料が、Na3Zr2Si2PO12(NASICON)または
β-アルミナである、請求項24に記載の固体型電解質構造体。
【請求項30】
前記マグネシウム伝導性材料がMgZr4P6O24である、請求項24に記載の固体
型電解質構造体。
【請求項31】
前記イオン伝導性材料が、結晶ドメイン、多結晶ドメイン、非晶ドメインまたはそれら
の組合せを含む、請求項24に記載の固体型電解質構造体。
【請求項32】
前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体の少なくとも一部に配置されたカソード材料をさ
らに含む、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項33】
前記イオン伝導性カソード材料が伝導性炭素材料を含み、前記イオン伝導性カソード材
料が、任意選択で、有機またはゲルイオン伝導性電解質をさらに含む、請求項32に記載
の固体型電解質構造体。
【請求項34】
前記カソード材料が、硫黄、空気または酸素である、請求項32に記載の固体型電解質
構造体。
【請求項35】
前記カソード材料が、リチウム含有カソード材料、ナトリウム含有カソード材料または
マグネシウム含有カソード材料である、請求項32に記載の固体型電解質構造体。
【請求項36】
前記リチウム含有カソード材料が、LiCoO2、LiFePO4、Li2MMn3O
8(式中、Mは、Fe、Coおよびそれらの組合せから選択される)、LiMn2O4、
LiNiCoAlO2、LiNixMnyCozO2(式中、x+y+z=1)およびそ
れらの組合せから選ばれる、請求項35に記載の固体型電解質構造体。
【請求項37】
前記ナトリウム含有材料が、Na2V2O5、P2-Na2/3Fe1/2Mn1/2
O2、Na3V2(PO4)3、NaMn1/3Co1/3Ni1/3PO4、およびN
a2/3Fe1/2Mn1/2O2@グラフェン複合材、ならびにそれらの組合せから選
ばれる、請求項35に記載の固体型電解質構造体。
【請求項38】
前記マグネシウム含有材料が、ドープマンガン酸化物およびその組合せから選ばれる、
請求項36に記載の固体型電解質構造体。
【請求項39】
前記第1の規則性多孔質ミクロ構造体の少なくとも一部に配置されたアノード材料をさ
らに含む、請求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項40】
前記アノードが金属アノードである、請求項39に記載の固体型電解質構造体。
【請求項41】
前記アノードが、リチウム含有アノード材料、ナトリウム含有材料またはマグネシウム
含有材料である、請求項39に記載の固体型電解質構造体。
【請求項42】
前記リチウム含有アノード材料が、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)およびそ
の組合せから選ばれる、請求項41に記載の固体型電解質構造体。
【請求項43】
前記ナトリウム含有アノード材料が、Na2C8H4O4、Na0.66Li0.22
Ti0.78O2およびそれらの組合せから選ばれる、請求項41に記載の固体型電解質
構造体。
【請求項44】
前記マグネシウム含有アノード材料が、Mg2Siおよびその組合せから選ばれる、請
求項43に記載の固体型電解質構造体。
【請求項45】
前記アノードが、炭素、ケイ素、スズまたはそれらの組合せを含む、請求項39に記載
の固体型電解質構造体。
【請求項46】
前記ミクロ構造体がカソード側多孔質ミクロ構造体であり、前記ミクロ構造体が複数の
柱状構造を備え、前記カソード材料がリチウム含有材料である、または前記ミクロ構造体
が格子構造もしくは多層格子構造を備え、カソード材料が硫黄である、請求項1に記載の
固体型電解質構造体。
【請求項47】
前記固体型電解質構造体の前記基板が、1μm~100μmの少なくとも1つの寸法を
有し、および/またはその上に配置された前記カソード材料を有する前記固体型電解質構
造体の前記規則性多孔質ミクロ構造体が、1μm~1mmの少なくとも1つの寸法を有し
、および/またはその上に配置された前記アノード材料を有する前記固体型電解質構造体
の前記規則性多孔質ミクロ構造体が、少なくとも1つの寸法1μm~1mmを有する、請
求項1に記載の固体型電解質構造体。
【請求項48】
請求項1に記載の1つまたは複数の固体型電解質構造体を含む電気化学デバイス。
【請求項49】
イオン伝導性バッテリー、電解セル、キャパシタ、燃料電池または燃料電池/バッテリ
ーである、請求項48に記載の電気化学デバイス。
【請求項50】
カソード材料またはアノード材料と、
請求項1に記載の固体型電解質構造体であって、
前記カソード材料または前記アノード材料は、前記固体型電解質構造体の規則性多孔質
領域の少なくとも一部に配置されており、緻密領域は、前記カソード材料および前記アノ
ード材料を含まない、固体型電解質構造体と、
前記カソード材料または前記アノード材料の少なくとも一部に配置された集電体と、
を備える固体型イオン伝導性バッテリーである、請求項48に記載の電気化学デバイス
。
【請求項51】
前記固体型電解質構造体が、
カソード側集電体;または
アノード側集電体
を含む、請求項50に記載の電気化学デバイス。
【請求項52】
前記集電体または前記カソード側集電体もしくはアノード側集電体が、伝導性金属、伝
導性金属合金であるか、または炭素を含む、請求項50または51に記載の電気化学デバ
イス。
【請求項53】
前記カソード材料(存在する場合)、前記アノード材料(存在する場合)、前記固体型
電解質構造体および前記集電体がセルを形成し、前記固体型イオン伝導性バッテリーが複
数の前記セルを備え、前記セルの各隣接対がバイポーラ板により分離されている、請求項
51に記載の電気化学デバイス。
【請求項54】
前記イオン伝導性固体型バッテリーの前記固体型電解質構造体が、前記バッテリーの充
電および/または放電の間、前記固体型電解質構造体の前記規則性多孔質領域内に、かつ
そこからイオンが拡散するように構成されている、請求項50に記載の電気化学デバイス
。
【請求項55】
i)イオン伝導性材料、または
ii)加熱されたときイオン伝導性無機材料を生成する前駆体材料の組合せ;および
分散剤、バインダー、可塑剤または溶媒のうちの少なくとも1つ
を含む、3D印刷可能な組成物。
【請求項56】
前記イオン伝導性材料がポリマー性材料である、請求項55に記載の3D印刷可能な組
成物。
【請求項57】
前記ポリマー性材料が、ポリ(エチレン)(PE)類、ポリ(エチレンオキシド)(P
EO)類、ポリ(プロピレン)(PP)類、ポリ(プロピレンオキシド)類、PEO含有
コポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(アクリロニトリル-co-メチル
アクリレート)、PVdF含有コポリマー、PMMAコポリマーおよびそれらの組合せか
ら選ばれたイオン伝導性ポリマーを含む、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項58】
前記ポリマー性材料が伝導性塩を含む、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項59】
前記イオン伝導性材料、または金属酸化物粉末の組合せが、(組成物の全重量に基づい
て)10~90wt.%で存在する、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項60】
前記イオン伝導性材料が、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導性材料ま
たはマグネシウムイオン伝導性材料である、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項61】
前記リチウムイオン伝導性材料がリチウム-ガーネットセラミック材料である、請求項
60に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項62】
前記リチウム-ガーネットセラミック材料がLi7-xLa3-yM1yZr2-zM
2
zO12
(式中、0より大きく、かつ2未満のx、
M1は、Ba、Ca、Yおよびそれらの組合せから選ばれ、
M2は、Nb、Taおよびそれらの組合せから選ばれる)
である、請求項61に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項63】
前記リチウム-ガーネット材料が、カチオンドープLi5La3M2
2O12(式中、
M2は、Nb、Zr、Taまたはそれらの組合せである)、カチオンドープLi6La2
BaTa2O12、カチオンドープLi7La3Zr2O12またはカチオンドープLi
6BaY2M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Taまたはそれらの組合せである
)であり、前記カチオンドーパントが、バリウム、イットリウム、亜鉛またはそれらの組
合せである、請求項61に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項64】
前記リチウム-ガーネットセラミック材料が、Li5La3Nb2O12、Li5La
3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li6La2SrNb2O12、Li6L
a2BaNb2O12、Li6La2SrTa2O12、Li6La2BaTa2O12
、Li7Y3Zr2O12、Li6.4Y3Zr1.4Ta0.6O12、Li6.5L
a2.5Ba0.5TaZrO12、Li6BaY2M1
2O12、Li7Y3Zr2O
12、Li6.75BaLa2Nb1.75Zn0.25O12、Li6.75BaLa
2Ta1.75Zn0.25O12またはそれらの組合せである、請求項61に記載の3
D印刷可能な組成物。
【請求項65】
前記ナトリウム伝導性材料が、Na3Zr2Si2PO12(NASICON)または
β-アルミナである、請求項60に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項66】
前記マグネシウム伝導性材料がMgZr4P6O24である、請求項60に記載の3D
印刷可能な組成物。
【請求項67】
前記イオン伝導性材料が、結晶ドメイン、多結晶ドメイン、非晶ドメインもしくはそれ
らの組合せを含む、または単結晶性である、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項68】
前記イオン伝導性材料がリチウム含有材料粒子であり、前記リチウム含有材料粒子が、
10~10,000nmの平均サイズを有する、またはセラミック粉末粒子が、10~1
0,000nmの平均サイズを有する、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項69】
前記分散剤が、(組成物の全重量に基づいて)0.01~10wt.%で存在する、請
求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項70】
前記分散剤が、ブローンメンヘーデン魚油、トウモロコシ油、サフラワー油、亜麻仁油
、グリセロールトリオレエート、ポリ(ビニルブチラール)、脂肪酸エステルおよびそれ
らの組合せから選ばれる、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項71】
前記バインダーが、(組成物の全重量に基づいて)20~50wt.%で存在する、請
求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項72】
前記バインダーが、ビニルポリマー、アクリルポリマー、セルロース、ポリエチレン、
ポリプロピレンカーボネートおよびポリテトラフルオロエチレン、ならびにそれらの組合
せから選ばれる、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項73】
前記可塑剤が、(組成物の全重量に基づいて)0~20wt.%で存在する、請求項5
5に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項74】
前記可塑剤が、フタレート、ポリオール、トリアルキルホスフェートおよび同種のもの
、ならびにそれらの組合せから選ばれる、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項75】
前記溶媒が、(組成物の全重量に基づいて)0~10wt.%で存在する、請求項55
に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項76】
前記溶媒が、アルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、α-テルピネオ
ール、水およびそれらの組合せから選ばれる、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物
。
【請求項77】
100~1,000,000cPの粘度を有し、および/または降伏応力が0Paより
大きい、もしくは0Paに等しい、請求項55に記載の3D印刷可能な組成物。
【請求項78】
規則性多孔質固体型電解質の製造方法であって、
a)緻密層上に配置された規則性固体型電解質前駆体材料の第1の層が形成されるよう
に、前記緻密層上に配置された請求項55に記載の組成物の第1の層を形成するために、
あらかじめ選択された量の請求項55に記載の組成物を堆積させることと、
b)規則性固体型電解質前駆体材料の第2の層において形成され、規則性固体型電解質
材料の前記第2の層が、規則性多孔質固体型材料の前記第1の層の少なくとも一部に配置
されるように、請求項55に記載の組成物の第2の層を形成するために、あらかじめ選択
された量の請求項55に記載の組成物を任意選択で堆積させることと、
c)任意選択で、所定の時間待つこと、および/または前記層を加熱することと、
d)任意選択で、b)の前記堆積を繰り返すこと、および、任意選択で、c)を所望の
回数繰り返すことと、
e)規則性固体型電解質前駆体材料の前記層を乾燥することと、
f)前記規則性多孔質固体型電解質を形成するために、前記層または規則性固体型電解
質前駆体材料構造体を加熱することと、
を備える、製造方法。
【請求項79】
前記曝露および形成が3Dプリンタを使用して行われる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
規則性固体型電解質前駆体材料の前記層のすべてが、同じ公称組成を有する、請求項7
8に記載の方法。
【請求項81】
規則性固体型電解質前駆体材料の前記層のうちの2つ以上が、異なる公称組成を有する
、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
請求項55に記載の組成物の第1の層の前記堆積が、異なる公称組成を有する領域を有
する第1の層を形成するために、請求項55に記載の第1の組成物、および請求項55に
記載の第1の組成物とは異なる組成を有する請求項55に記載の第2の組成物を堆積させ
ることを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
請求項55に記載の組成物の第1の層の前記堆積が、第1の特徴を形成し、次いで、請
求項55に記載の組成物の第2の層の堆積が、第2の特徴を形成し、前記第1の特徴およ
び第2の特徴が、異なる形状を有する、請求項78に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月15日に出願された米国特許仮出願第62/631,324
号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれ
る。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
本発明は、NASAグレン研究センターから受けたNNC16CA03Cおよびエネル
ギー省から受けたDE-EE0008201の下、政府の支援によりなされた。政府は、
本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本開示は概して、規則性固体型電解質構造体に関する。
とりわけ本開示は概して、規則性固体型電解質構造体の製造方法および電気化学デバイ
スにおける規則性固体型電解質構造体の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ガーネット型Li7La3Zr2O12(LLZ)などの固体型リチウム伝導体は、バ
ッテリー技術に革命をもたらし得るこれらの材料が持つ利点のために、固体型リチウムバ
ッテリー用電解質として非常に大きな関心を生んだ。それらは一般に、より安全な不燃性
材料であり、従来のLiイオンバッテリー電解質において使用される、これらのバッテリ
ーが発火する恐れがある主な理由と見なされている揮発性のカーボネート溶媒および反応
性のリチウム塩とは異なる。さらに、ガーネット型リチウム伝導体の多くは、高い電気化
学的安定性を有する。LLZは特にリチウム金属に対して安定であり、選ばれたリチウム
金属のバッテリーアノードは、任意の電極において最も高い比容量および最も負の酸化還
元電位を有する。しかし、リチウム金属は、セルを短絡させて破局故障を招くLiデンド
ライト成長のために、液体電解質を含む従来のLiイオンバッテリーでは使用することが
できない。Li金属なしでは、達成可能なバッテリーのエネルギー密度は限定される。
【0005】
固体型バッテリーにおけるLLZおよび類似の固体電解質の商業化を妨げている主な障
害は、高いセル面積比抵抗(ASR)であり、これは、厚い電解質のインピーダンスおよ
び不十分な電極-電解質の接触によって引き起こされる界面インピーダンスの両方の寄与
による。電解質の高インピーダンスは、それ自体、2つの因子:比較的低い伝導度および
長い拡散距離によって引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不十分な電極-電解質の接触は問題を悪化させる。液体電解質は濡らすことができ、電
極表面と共形となることができるが、固体電解質では不可能であり、これは、電極と電解
質との間の全領域の界面を大幅に制限する。
さらに、ガーネット電解質および他のセラミック電解質は、典型的には平坦な平面形態
で研究され、すなわち、電解質粉末がペレットにプレスされ、焼結されて、均一な高密度
を達成し、これにより、強度および高い伝導度が与えられる。しかし、ペレットの平面形
状は、電極とのあらゆる界面が幾何学的な接触領域のみに限定されることを意味する。電
解質と電極との間の均一な固体-固体接触の実現における困難に関連するこの因子は、固
体電解質が知られている高い界面インピーダンスに寄与する。これらの因子のそれぞれが
高抵抗セルに寄与し、バッテリーにおいて実現可能な電流密度を著しく制限し、これでは
標準的な液体電解質Liイオン技術と競うことができない。
【0007】
3D印刷技術は、様々な構造-特性関係を広範囲の長さスケールで迅速に探索すること
ができるその能力で有名ではある。しかし、固体電解質の3D印刷の報告は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、規則性多孔質ミクロ構造体を含む固体型電解質構造体およびその使用を提供
する。固体型電解質構造体は、固体型電解質として使用することができる。本開示はまた
、規則性多孔質ミクロ構造体を含む固体型電解質の製造方法およびそれを製造するための
組成物も提供する。
【0009】
ある態様において、本開示は規則性多孔質固体型電解質構造体を提供する。規則性多孔
質固体型電解質構造体は、本開示の1種または複数種の3D印刷可能な組成物を使用して
、および/または本開示の3D印刷の方法により製造することができる。
【0010】
固体型電解質構造体は、イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはマ
グネシウムイオン)を、例えば、アノードとカソードとの間で伝導する。固体型電解質構
造体は、基板であってよい緻密領域(例えば、緻密層)を有し、これは、1つまたは複数
の規則性多孔質ミクロ構造体(例えば、規則性多孔質層)により支持されている。固体型
電解質構造体の規則性多孔質ミクロ構造体は規則性多孔質構造を有する。規則性多孔質構
造は、固体型電解質構造体の1つまたは複数の特徴により形成されている。固体型電解質
構造体は、固体型電解質構造体の規則性ミクロ構造体の少なくとも一部に配置されたカソ
ード材料および/またはアノード材料を有してよい。
【0011】
ある態様において、本開示は、規則性多孔質固体型電解質構造体を3D印刷するための
組成物を提供する。この組成物は、本開示の固体型電解質を製造するために(例えば、本
開示の方法において)使用されてよい。3D印刷可能な組成物は、イオン伝導性材料(例
えば、イオン伝導性ポリマー性材料、例えば、イオン伝導性ポリマーなど、イオン伝導性
無機材料、例えば、イオン伝導性無機粉末など、またはイオン伝導性ハイブリッドポリマ
ー/無機材料)、または加熱されたときイオン伝導性無機材料(例えば、イオン伝導性セ
ラミック材料)を生成する前駆体材料(例えば、粉末)(例えば、金属酸化物、カーボネ
ート、ナイトレートおよび同種のものなど)の組合せ;および分散剤、バインダー、可塑
剤または溶媒のうちの少なくとも1つ(例えば、1種もしくは複数種の分散剤、1種もし
くは複数種のバインダー、1種もしくは複数種の可塑剤、またはさらに1種の溶媒、ある
いはそれらのうちの1つもしくは複数の任意の組合せまたはそれらの任意の組合せ)を含
む。
【0012】
ある態様において、本開示は、規則性多孔質固体型電解質構造体を3D印刷する方法を
提供する。この方法では、本開示の1種または複数種の組成物が使用されてよく、および
/またはこの方法が、本開示の規則性多孔質固体型電解質構造体を製造するために使用さ
れてよい。この方法では、緻密層上に配置された規則性固体型電解質前駆体材料の1つま
たは複数の層を形成するために、同じかまたは異なる組成物を使用することができる。こ
の方法は、同じ特徴、または少なくとも1つの異なる形状を有する前駆体材料特徴の組合
せの堆積を含んでよい。この前駆体材料は、(例えば、個々の特徴および/もしくは層が
堆積される間に、または前駆体材料の特徴および/もしくは層のすべてが堆積された後に
)乾燥させてよい。堆積が完了した後、規則性固体型電解質前駆体材料は、固体型電解質
構造体を提供するために加熱される(例えば、焼結される)。この方法は、3Dプリンタ
上で行われてよい。規則性多孔質固体型電解質の製造方法の非限定的な例が本明細書に記
載されている。
【0013】
ある態様において、本開示は電気化学デバイスを提供する。このデバイスは、本開示の
1つまたは複数の固体型電解質構造体を含む。デバイスの非限定的な例には、バッテリー
、電解セル、キャパシタ、燃料電池または燃料電池/バッテリーデバイスが含まれる。こ
のデバイスは、リチウムイオン伝導性デバイス、ナトリウムイオン伝導性デバイスまたは
マグネシウムイオン伝導性デバイスであってよい。
【0014】
本開示の性質および目的をより完全に理解するために、以下の詳細な説明を添付図面と
併せて参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】固体電解質構造体を3D印刷するためのプロセスの概略図である。この場合、インクはLLZ基板上に印刷され、これは、共形インクを使用して3D印刷されたLLZ膜、またはLLZテープであり得る。構造体の高さは層を加えることにより高くなり、異なる設計を基板のいずれの側にも印刷することができる。乾燥したら、3D印刷されたLLZインクおよび基板は、バインダーの完全燃焼および焼結のために炉内に置かれ、そうすると、バッテリーアセンブリを完成させるための電極浸透の準備が整う。
【
図2(a)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、サブミクロンLLZ粉末の粒子サイズ分布および(挿入)SEM像を示す図である。
【
図2(b)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、堆積直後の自己支持性インクの安定性を示す、-50°傾けた堆積されたインクの写真である。
【
図2(c)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、純粋な立方相ガーネットを示す、インクを調製するために使用されたLLZのXRDを示す図である。
【
図2(d)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、ニュートン挙動および粘度450cPを有する共形インク(緑色)と対比した、降伏応力(τ)280Paおよび粘度1500cPを有する自己支持性インクのレオロジーデータを示す図である。
【
図2(e)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、使用される溶媒の量を変更することにより粘度を制御した3種の共形インクのレオロジーデータを示す図である。1.0(緑色)、1.1(黒色)および1.2(灰色)の規格化した溶媒割合の増加は、粘度(η)の低下に対応する。
【
図2(f)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、共形インクの堆積された単層の写真である。
【
図2(g)】LLZ粉末およびそれから調製されたインクの特性を示し、5~10μm厚を有する焼結後のインクの単層のSEM断面像を示す図である。
【
図3】線パターン(a、d、g)、格子パターン(b、e、h)および柱パターン(c、f、i)を含む、印刷および焼結された共形インク(d~f)および自己支持性インク(g~i)を比較する、3D印刷されたLLZミクロ構造体の図(a~c)およびSEM像(d~i)である。各パターンは、インクの異なるレオロジー特性に適応するように変更を加えた類似の印刷スクリプトを使用して印刷された。
【
図4(a)】LLZ基板上の積層配列パターンの3D印刷されたLLZ格子間のLi充填細孔の概略図である。
【
図4(b)】3D印刷されたLLZ|Li金属界面(赤線)の断面SEMを示す図である。
【
図4(c)】様々な電流密度におけるLi|3D印刷されたLLZ|Li金属セルのDCサイクルを示す図である。各プレーティング/ストリッピングサイクルの長さは1h(h=時間)であった。
【
図5】ポロジェンありとなしでインクを3D印刷して、多層構造体内に不規則な孔を作り出す能力を示す、多孔質-緻密二層構造体のSEM断面像を示す図である。
【
図6】自己支持性インクを使用した印刷されたままの柱の写真である。
【
図7(1)】3D印刷プロセスのビデオスクリーンショットを示す図である。セラミックノズルが基板表面に近づき、分配インクが基板に接触する。
【
図7(2)】3D印刷プロセスのビデオスクリーンショットを示す図である。このノズルが上向きに動き、柱を作り出す。
【
図7(3)】3D印刷プロセスのビデオスクリーンショットを示す図である。このノズルが上向きに動き、柱を作り出す。
【
図7(4)】3D印刷プロセスのビデオスクリーンショットを示す図である。次いで、このノズルが右に動いて、次の柱を印刷する。上述の4つの画像は約1秒間にわたる。
【
図8】印刷のために使用されたLLZ粉末の粒子サイズ分布およびX線回折パターンを示す図である。
【
図9(a)】ガーネット:バインダー比2.08:1を有する3D印刷LLCZNガーネットインクのレオロジーデータを示す図である。
【
図9(b)】ガーネット:バインダー比1.85:1を有する3D印刷LLCZNガーネットインクのレオロジーデータを示す図である。溶媒wt%が各線上に示されている。
【
図10(a)】3D印刷された低粘度LLCZNインクの5×5cm単層薄膜の写真である。
【
図10(b)】焼結された膜のSEM断面像である。
【
図10(c)】低粘度共形インクを使用して印刷された焼結されたLLCZN線パターンのSEM断面像である。
【
図10(d)】高粘度自己支持性インクを使用して印刷された焼結されたLLCZN線パターンのSEM断面像である。
【
図11(a)】3D印刷されたLLCZNガーネットインクの画像であり、典型的な印刷領域の写真である。
【
図11(b)】3D印刷されたLLCZNガーネットインクの画像であり、ラスタパターンおよび他の印刷変数を調整することにより様々な線の太さおよび間隔を有する線パターンの顕微鏡像である。
【
図11(c)】3D印刷されたLLCZNガーネットインクの画像であり、ラスタパターンおよび他の印刷変数を調整することにより様々な線の太さおよび間隔を有する線パターンの顕微鏡像である。
【
図11(d)】3D印刷されたLLCZNガーネットインクの画像であり、ラスタパターンおよび他の印刷変数を調整することにより様々な線の太さおよび間隔を有する線パターンの顕微鏡像である。
【
図12】ガーネット基板上のアスペクト比0.65~1.8を有する印刷されたままの3D印刷された多層柱構造体の写真(上)およびガーネット基板上のアスペクト比0.65~1.8を有する焼結された3D印刷された多層柱構造体のSEM像(下)である。
【
図13】ガーネット基板上の印刷されたままの3D印刷された多層格子構造体の写真(上)およびガーネット基板上の焼結された3D印刷された多層格子構造体のSEM像(下)である。
【
図14】化学拡散(左)対電気移動(右)の図である。
【
図15】セルが放電されるときの電極内のLi濃度を可視化した図である(初期は濃青色)。初期(充電)状態が左に示されており、右に向かって放電状態になる。
【
図16】放電中のガーネットピラー内のリチウム輸送を示す図である。
【
図17】平均リチウムにより決定される所与のボクセルの電位を決定するために使用されたリチウム化曲線を示す図である。
【
図18】層格子構造内のリチウム輸送に対する電解質特徴の影響を示す図である。
【
図19(a)】格子構造体について(電解質構造体の多孔度を85%、高さを200μmに固定することにより)固定された電極負荷および様々な特徴直径を用いた時間に応じた電極リチウム化のモデル化を示す図である。
【
図19(b)】柱構造体について(電解質構造体の多孔度を85%、高さを200μmに固定することにより)固定された電極負荷および様々な特徴直径を用いた時間に応じた電極リチウム化のモデル化を示す図である。
【
図19(c)】特徴直径に応じたこれらの構造体の相対(充電/放電)Cレートを示す図である。
【
図20】選択された実証された3Dガーネット構造体:特徴直径75μmならびに間隔300μmおよび500μm(それぞれ多孔度80%および89%)を有する二層格子構造体、直径150μm、高さ225μmおよび間隔500μm(多孔度93%)を有する柱構造体、ならびに比較のための二層のモデル化を示す図である。
【
図21(a)】質量負荷約14mg/cm
2 NMCおよび電流密度10~30mA/gに対するカソード側に二層格子構造体を使用した60℃でのLi-NMCバッテリーの電気化学的性能を示し、室温(青色)および60℃(赤色)での全セルのEISを示す図である。
【
図21(b)】質量負荷約14mg/cm
2 NMCおよび電流密度10~30mA/gに対するカソード側に二層格子構造体を使用した60℃でのLi-NMCバッテリーの電気化学的性能を示し、サイクル数に対する放電容量を示す図である。
【
図21(c)】質量負荷約14mg/cm
2 NMCおよび電流密度10~30mA/gに対するカソード側に二層格子構造体を使用した60℃でのLi-NMCバッテリーの電気化学的性能を示し、選択されたサイクル1および5(10mA/g)ならびにサイクル10および13(30mA/g)の電圧プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特許請求される主題が特定の実施形態および例に関して説明されるが、本明細書に記載
の利益および特徴をすべて提供するわけではない実施形態および例を含む他の実施形態お
よび例も本開示の範囲内である。本開示の範囲から逸脱することなく構造的に、論理的に
、プロセスステップに、および電子的に様々な変更を加えることができる。
【0017】
値の範囲が本明細書に開示される。この範囲は下限値および上限値の例を示す。他に記
載されていない限り、この範囲は、最小値(下限値または上限値のいずれか)の大きさま
でのすべての値および記載された範囲の値の間の範囲を含む。
【0018】
本開示は、規則性多孔質ミクロ構造体を含む固体型電解質構造体およびその使用を提供
する。固体型電解質構造体は、固体型電解質として使用することができる。本開示はまた
、規則性多孔質ミクロ構造体を含む固体型電解質の製造方法およびそれを製造するための
組成物も提供する。
【0019】
ある態様において、本開示は規則性多孔質固体型電解質構造体を提供する。規則性多孔
質固体型電解質構造体は、本開示の1種または複数種の3D印刷可能な組成物を使用して
、および/または本開示の3D印刷の方法により製造することができる。
【0020】
固体型電解質構造体は、イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネ
シウムイオンまたは同種のもの)を、例えば、アノードとカソードとの間で伝導する。固
体型電解質構造体は、基板であってよい緻密領域(例えば、緻密層)を有し、これは、1
つまたは複数の規則性多孔質ミクロ構造体(例えば、規則性多孔質層)により支持されて
いる。規則性多孔質ミクロ構造体は、同じイオン伝導性材料または、独立して、異なるイ
オン伝導性材料を含んでよい。
【0021】
固体型電解質構造体の規則性多孔質ミクロ構造体は規則性多孔質構造を有する。規則性
多孔質構造は、固体型電解質構造体の1つまたは複数の特徴により形成されている。規則
性多孔質ミクロ構造体が存在する場合、2つのミクロ構造体の細孔構造は同じでも、異な
っていてもよい。個々のミクロ構造体の細孔構造は、例えば、その後のスクリーン印刷ス
テップまたは浸透ステップにおいて、例えば、加工ステップに適応させ(例えば、ある種
の細孔構造は、電極材料(例えば、電荷貯蔵材料)(例えば、カソード材料またはアノー
ド材料)で充填するのがより容易な場合がある)、所望の電極材料容量、すなわち、伝導
性材料(例えば、Li+、Na+、Mg2+)が電極材料中に貯蔵される程度を達成する
よう選択されてよい。ミクロ構造体はまた、緻密相(固体電解質)のイオン伝導を電極層
内に広げて、電極内のイオン伝導および電極/電解質界面での電荷移動反応に起因する界
面抵抗の両方の点から電極抵抗を低減し、後者は、より大きい電極/電解質界面積を有す
ることにより改善される。
【0022】
固体型イオン伝導性電解質材料は、バッテリーの充電および/または放電の間、固体型
イオン伝導性電解質材料の多孔質領域(例えば、多孔質層)内に、かつそこからイオン(
例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはマグネシウムイオン)が拡散するよう
に構成されている。ある実施形態において、固体型イオン伝導性バッテリーは、バッテリ
ーの充電および/または放電の間、固体型イオン伝導性電解質材料の多孔質領域内に、か
つそこからイオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはマグネシウムイオ
ン)が拡散するように構成された1つまたは2つの多孔質領域(例えば、多孔質層)を含
む固体型イオン伝導性電解質材料を含む。
【0023】
固体型電解質構造体は、基板と呼ばれることもあるイオン伝導性材料の緻密層の表面上
に配置された少なくとも1つの規則性多孔質ミクロ構造体を含む。この構造体は、イオン
伝導性材料の緻密層の両側に配置された2つの規則性多孔質ミクロ構造体を有してよい。
【0024】
規則性多孔質ミクロ構造体は細孔を備える。細孔はボイドと呼ばれることもある。細孔
は、イオン伝導性材料を含む特徴により画定される。特徴の非限定的な例には、柱、線、
格子、それらの組合せおよび同種のものが含まれる。特徴は、3D印刷により形成するこ
とができる。規則性多孔質ミクロ構造体は多層構造体(例えば、2~100層、その間の
すべての整数の層および範囲を含む)であってよい。多層構造体には、柱、線、格子、そ
れらの組合せおよび同種のものが含まれ得る。
【0025】
細孔は、様々なサイズを有してよい。例えば、規則性多孔質ミクロ構造体は、基板(例
えば、第1の表面)に平行な平面内で測定される1μm~2000μm(例えば、1~1
000μm)の少なくとも1つの寸法(例えば、直径)を有する複数の細孔を備え、およ
び/または規則性多孔質ミクロ構造体は、(例えば、基板(例えば、第1の表面)に対し
て垂直に測定される1μm~2000μm(例えば、1~1000μm)の高さを有する
複数の細孔を備える。細孔は、実質的に同じ(または同じ)サイズを有してよく、または
1つもしくは複数の異なるサイズを有してよい。「実質的に」によって、個々の細孔サイ
ズの差が5%以下または1%以下であることを意味する。
【0026】
特徴は、様々なサイズを有してよい。例えば、規則性多孔質ミクロ構造体は、複数の特
徴を備え、かつ300μm以下の少なくとも1つの寸法(例えば、直径)を有する少なく
とも1つの特徴により画定された細孔を有する。様々な例において、規則性多孔質ミクロ
構造体は、1μm~200μmおよびその間の整数のミクロン値を含むすべての値の少な
くとも1つの寸法(例えば、直径)を有する少なくとも1つの特徴により画定された細孔
を有する複数の特徴を備える。特徴は、実質的に同じ(または同じ)サイズを有してよく
、または1つもしくは複数の異なるサイズを有してよい。
【0027】
特徴は、様々な量の緻密層(例えば、基板)表面上に配置されてよい。例えば、特徴は
、緻密層の外面の10~90%(その間のすべての整数%値および範囲を含む)の上に配
置されている。他の例では、特徴は、緻密層の外面の15~50%または20~40%の
上に配置されている。
【0028】
規則性多孔質ミクロ構造体は、様々な厚さを有してよい。厚さは、ミクロ構造体の高さ
と呼ばれることもある。厚いミクロ構造体(例えば、最大2000μm(例えば、最大1
000μm)の厚さを有するミクロ構造体)を有することが望ましい。
【0029】
緻密層は、様々な厚さを有してよい。例えば、緻密層は、100μm以下(例えば、5
~30μm)の厚さを有する。緻密層は基板と呼ばれることもある。
【0030】
緻密層および規則性多孔質ミクロ構造体は、様々なイオン伝導性材料(例えば、リチウ
ムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導性材料およびマグネシウムイオン伝導性材料
)から形成することができる。イオン伝導性材料は、イオン伝導性無機(例えば、セラミ
ック)材料、イオン伝導性ポリマー性(例えば、イオン伝導性ポリマー材料)、またはイ
オン伝導性ハイブリッド材料(例えば、イオン伝導性無機(例えば、セラミック材料)お
よびイオン伝導性ポリマー性(例えば、ポリマー)材料の両方を含むであってよい。緻密
層および規則性多孔質ミクロ構造体は、同じかまたは異なるイオン伝導性材料であってよ
い。個々のミクロ構造体は、同じかまたは異なるイオン伝導性材料の特徴を有してよい。
【0031】
緻密層は、イオン伝導性ポリマー材料を含んでよい。様々なイオン伝導性ポリマー材料
を使用することができる。ポリマー材料は、1種もしくは複数種のイオン伝導性ポリマー
、1種もしくは複数種のイオン伝導性コポリマーまたはそれらの組合せを含んでよい。こ
の(複数種の)ポリマーおよび/または(複数種の)コポリマーの分子量は特に限定され
ない。例えば、デバイス(例えば、固体型イオン伝導性バッテリー)の性能(例えば、イ
オン伝導度)要件に応じて、(複数種の)ポリマーおよび/または(複数種の)コポリマ
ーは、幅広い分子量を有することができる。ポリマー性材料は、(複数種の)伝導性ポリ
マーおよび/または(複数種の)伝導性コポリマーならびに(複数種の)非伝導性ポリマ
ーおよび/または(複数種の)非伝導性コポリマーの混合物を含んでよい。
イオン伝導性ポリマーの例が本明細書に記載されている。(複数種の)ポリマーおよび
/またはコポリマーは、様々な構造(例えば、二次構造)を有することができる。様々な
例において、(複数種の)ポリマーおよび/または(複数種の)コポリマーは、非晶性、
結晶性またはそれらの組合せである。(複数種の)ポリマーおよび/またはコポリマーが
低い結晶化度を有することが望ましい場合がある。
【0032】
緻密層は、無機材料を含んでよい。緻密層は、規則性多孔質ミクロ構造体のものと同じ
無機材料であってよい。
【0033】
一例として、緻密層はガーネット材料である。ガーネット材料の非限定的な例には、リ
チウムガーネット材料、ドープリチウムガーネット材料、リチウムガーネット複合材料お
よびそれらの組合せが含まれる。リチウムガーネット材料の非限定的な例には、Li3相
リチウムガーネットSSE材料(例えば、Li3M1Te2O12(式中、M1は、Y、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、T
aなどのランタニドまたはそれらの組合せである)およびLi3+xNd3Te2-xO
12(式中、xは、0.05~1.5である)、Li5相リチウムガーネットSSE材料
(例えば、Li5La3M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Ta、Sbまたはそ
れらの組合せである)、カチオン置換Li5La3M2
2O12、例えば、Li6M1L
a3M2
2O12(式中、M1は、Mg、Ca、Sr、Baまたはそれらの組合せである
)およびLi7La3M2
2O12(式中、M2は、Zr、Snまたはそれらの組合せで
ある)など;Li6相リチウムガーネットSSE材料(例えば、Li6M1La2M2
2
O12(式中、M1は、Mg、Ca、Sr、Baまたはそれらの組合せであり、M2は、
Nb、Taまたはそれらの組合せである);カチオンドープLi6La2BaTa2O1
2;カチオンドープLi6BaY2M2
2O12(式中、M2は、Nb、Taまたはそれ
らの組合せであり、カチオンドーパントは、バリウム、イットリウム、亜鉛またはそれら
の組合せである)、Li7相リチウムガーネットSSE材料(例えば、立方晶Li7La
3Zr2O12およびLi7Y3Zr2O12、);カチオンドープLi7La3Zr2
O12;Li5+2xLa3、Ta2-xO12(式中、xは、0.1~1である)、L
i6.8(La2.95,Ca0.05)(Zr1.75,Nb0.25)O12(LL
CZN)、Li6.4Y3Zr1.4Ta0.6O12、Li6.5La2.5Ba0.
5TaZrO12、Li6BaY2M1
2O12、Li7Y3Zr2O12、Li6.7
5BaLa2Nb1.75Zn0.25O12またはLi6.75BaLa2Ta1.7
5Zn0.25O12)、リチウムガーネット複合材料(例えば、リチウムガーネット-
伝導性炭素マトリックスまたは他の材料との複合材)が含まれる。リチウムイオン伝導性
SSE材料の他の例には、3mol% YSZドープLi7.06La3Zr1.94Y
0.06O12および8mol% YSZドープLi7.16La3Zr1.94Y0.
06O12などの立方晶ガーネット型材料が含まれる。適したLi-ガーネットSSE材
料の追加の例には、Li5La3Nb2O12、Li5La3Ta2O12、Li7La
3Zr2O12、Li6La2SrNb2O12、Li6La2BaNb2O12、Li
6La2SrTa2O12、Li6La2BaTa2O12、Li7Y3Zr2O12、
Li6.4Y3Zr1.4Ta0.6O12、Li6.5La2.5Ba0.5TaZr
O12、Li7Y3Zr2O12、Li6.75BaLa2Nb1.75Zn0.25O
12またはLi6.75BaLa2Ta1.75Zn0.25O12が含まれるが、これ
らに限定されない。
【0034】
緻密層はナトリウムイオン伝導性材料であり得る。例えば、緻密層材料は、β’’-A
l2O3、Na4Zr2Si2PO12(NASICON)またはカチオンドープNAS
ICON(例えば、Na4ZrAlSi2PO12、Na4ZrFeSi2PO12、N
a3Zr1.94Y0.06Si2PO12、Na4ZrSbSi2PO12またはNa
4ZrDySi2PO12)を含む。
【0035】
緻密層はマグネシウムイオン伝導性材料であり得る。例えば、緻密層材料は、Mg1+
x(Al,Ti)2(PO4)6、NASICON型マグネシウムイオン伝導性材料(例
えば、Mg1-2x(Zr1-xMx)4P6O24)またはMg1-2x(Zr1-x
Mx)(WO4)3(式中、xは、0.01~0.5である)を含む。
【0036】
固体型電解質構造体のイオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイ
オン伝導性材料またはマグネシウムイオン伝導性材料であってよい。固体型電解質構造体
のイオン伝導性材料は、無機イオン伝導性材料、ポリマー性イオン伝導性材料またはそれ
らの組合せであってよい。
【0037】
規則性多孔質ミクロ構造体のイオン伝導性材料はイオン伝導性ポリマー性材料であって
よい。様々な伝導性ポリマー性材料を使用することができる。ポリマー性材料は、1種も
しくは複数種のイオン伝導性ポリマー、1種もしくは複数種のイオン伝導性コポリマーま
たはそれらの組合せを含んでよい。この(複数種の)ポリマーおよび/または(複数種の
)コポリマーの分子量は特に限定されない。例えば、デバイス(例えば、固体型イオン伝
導性バッテリー)の性能(例えば、イオン伝導度)要件に応じて、(複数種の)ポリマー
および/または(複数種の)コポリマーは、幅広い分子量を有することができる。ポリマ
ー性材料は、(複数種の)伝導性ポリマーおよび/または(複数種の)伝導性コポリマー
ならびに(複数種の)非伝導性ポリマーおよび/または(複数種の)非伝導性コポリマー
の混合物を含んでよい。適した伝導性ポリマーの例は、当技術分野において既知である。
【0038】
ポリマー性材料は、伝導性塩を含んでよい。塩の非限定的な例には、リチウム塩(例え
ば、LiTFSEおよび同種のもの)、ナトリウム塩およびマグネシウム塩ならびにイオ
ン性液体が含まれる。適した塩およびイオン性液体の例は、当技術分野において既知であ
る。
【0039】
(複数種の)ポリマーおよび/またはコポリマーは、様々な構造(例えば、二次構造)
を有することができる。様々な例において、(複数種の)ポリマーおよび/または(複数
種の)コポリマーは、非晶性、結晶性またはそれらの組合せである。(複数種の)ポリマ
ーおよび/またはコポリマーが低い結晶化度を有することが望ましい場合がある。
【0040】
イオン伝導性ポリマー性材料の非限定的な例には、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(
エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレン)(PP)、ポリ(プロピレンオキシ
ド)、PEO含有コポリマー(例えば、ポリスチレン(PS)-PEOコポリマーおよび
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)-PEOコポリマー)、ポリアクリロニトリ
ル(PAN)、ポリ(アクリロニトリル-co-メチルアクリレート)、PVdF含有コ
ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン(PVdF
-co-HFP))、PMMAコポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート-co
-エチルアクリレート))およびそれらの組合せから選ばれたイオン伝導性ポリマーなら
びに、任意選択で、伝導性塩(例えば、イオン性液体)を含む材料が含まれる。
【0041】
規則性多孔質ミクロ構造体のイオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性材料、ナトリ
ウムイオン伝導性材料またはマグネシウムイオン伝導性材料であってよい。規則性多孔質
ミクロ構造体のイオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導
性材料またはマグネシウムイオン伝導性材料であってよい。適したリチウムイオン伝導性
材料、ナトリウムイオン伝導性材料およびマグネシウムイオン伝導性材料の例は、当技術
分野において既知である。イオン伝導性材料は、様々な構造および/または組成を有して
よい。リチウムイオン伝導性材料はセラミック材料であってよい。リチウムイオン伝導性
材料はリチウム-ガーネット材料であってよい。イオン伝導性材料の例が本明細書に記載
されている。
【0042】
固体型電解質構造体は、固体型電解質構造体の規則性ミクロ構造体の少なくとも一部に
配置されたカソード材料および/またはアノード材料を有してよい。カソード材料および
アノード材料の例が本明細書に記載されている。
【0043】
ある種のカソード材料を含む特定のミクロ構造体を使用することが望ましい場合がある
。ミクロ構造体とカソード材料とのある種の組合せは、プロセスの利点および/または改
善されたデバイス性能をもたらすことができる。例えば、ミクロ構造体はカソード側多孔
質ミクロ構造体であり、このミクロ構造体は複数の柱状構造を備え、カソード材料はリチ
ウム含有材料である。別の例において、ミクロ構造体は格子構造または多層格子構造を備
え、カソード材料は硫黄である。
【0044】
固体型電解質は、基板の一部に配置された不規則な多孔質ミクロ構造体を含んでよい。
適した不規則な多孔質ミクロ構造体の非限定的な例が、2014年3月21日に出願され
た国際出願番号PCT/US14/31492、2016年11月30日に出願された米
国特許出願第15/364,528号に記載されており、多孔質層に関するこれらの開示
は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
ある態様において、本開示は、規則性多孔質固体型電解質構造体を3D印刷するための
組成物を提供する。この組成物は、本開示の固体型電解質を製造するために(例えば、本
開示の方法において)使用されてよい。
【0046】
本開示は、固体電解質組成物(本明細書においてインクと呼ばれることもある)を提供
し、これは、ミクロンスケールの特徴を印刷するために使用することができ、基板の表面
と共形であり、例えば、5~10μmの焼結された固体電解質膜を作り出すものから、自
己支持性であり、例えば、積層配列構造体または「ログ-キャビン」型構造体などの構造
体をもたらすものにわたる構造体を作り出すように調整することができる。これらのイン
クは、
特定の目的、例えば、所望のレオロジー特性および/または構造特性のためにインクの
組成を変更することにより操作することができる幅広いレオロジー特性を有することがで
きる。一例として、固体電解質材料はLLZガーネットである。
【0047】
3D印刷可能な組成物は、イオン伝導性材料(例えば、イオン伝導性ポリマー性材料、
例えば、イオン伝導性ポリマーなど、イオン伝導性無機材料、例えば、イオン伝導性無機
粉末など、またはイオン伝導性ハイブリッドポリマー/無機材料)、または加熱されたと
きイオン伝導性無機材料(例えば、イオン伝導性セラミック材料)を生成する前駆体材料
(例えば、粉末)(例えば、金属酸化物、カーボネート、ナイトレートおよび同種のもの
など)の組合せ;および分散剤、バインダー、可塑剤または溶媒のうちの少なくとも1つ
(例えば、1種もしくは複数種の分散剤、1種もしくは複数種のバインダー、1種もしく
は複数種の可塑剤、またはさらに1種の溶媒、あるいはそれらのうちの1つもしくは複数
の任意の組合せまたはそれらの任意の組合せ)を含む。様々な例において、イオン伝導性
材料または前駆体材料ならびに、存在する場合、(複数種の)分散剤、(複数種の)バイ
ンダー、(複数種の)可塑剤および(複数種の)溶媒の組合せの重量%は100%に等し
い。
【0048】
イオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性材料、ナトリウムイオン伝導性材料または
マグネシウムイオン伝導性材料であってよい。イオン伝導性材料は、無機イオン伝導性材
料、ポリマー性イオン伝導性材料またはそれらの組合せであってよい。
【0049】
様々なイオン伝導性ポリマー性材料を使用することができる。イオン伝導性ポリマー性
材料は、1種もしくは複数種のイオン伝導性ポリマー、1種もしくは複数種のイオン伝導
性コポリマーまたはそれらの組合せを含んでよい。(複数種の)イオン伝導性ポリマーお
よび/または(複数種の)イオン伝導性コポリマーの分子量は特に限定されない。例えば
、デバイス(例えば、固体型イオン伝導性バッテリー)の性能(例えば、イオン伝導度)
要件に応じて、(複数種の)イオン伝導性ポリマーおよび/または(複数種の)イオン伝
導性コポリマーは、幅広い分子量を有することができる。(複数種の)イオン伝導性ポリ
マーおよび/または(複数種の)イオン伝導性コポリマーの非限定的な例には、ポリ(エ
チレン)(PE)類、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)類、ポリ(プロピレン)(P
P)類、ポリ(プロピレンオキシド)類、PEO含有コポリマー(例えば、ポリスチレン
(PS)-PEOコポリマーおよびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)-PEO
コポリマー)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(アクリロニトリル-co-メチ
ルアクリレート)、PVdF含有コポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン-co-ヘ
キサフルオロプロピレン(PVdF-co-HFP))、PMMAコポリマー(例えば、
ポリ(メチルメタクリレート-co-エチルアクリレート))およびそれらの組合せが含
まれる。ポリマー性材料は、伝導性塩(例えば、イオン性液体)を含んでよい。
【0050】
イオン伝導性材料は無機材料であってよい。例えば、イオン伝導性材料は、リチウムイ
オン伝導性無機材料、ナトリウムイオン伝導性無機材料またはマグネシウムイオン伝導性
無機材料である。イオン伝導性無機材料は、粒子の形態であってよい。この無機材料は、
本明細書に記載の様々な量およびサイズで存在してよい。
【0051】
組成物は、1種もしくは複数種の分散剤、1種もしくは複数種のバインダー、1種もし
くは複数種の可塑剤、1種もしくは複数種の溶媒またはそれらの組合せを含むことができ
る。個々の分散剤、バインダー、可塑剤または溶媒は、分散剤、バインダー、可塑剤、溶
媒またはそれらの組合せと見なすこともできる。分散剤、バインダー、可塑剤および溶媒
の様々な例が本明細書に記載されている。(複数種の)分散剤、(複数種の)バインダー
、(複数種の)可塑剤または(複数種の)溶媒は、本明細書に記載の様々な量で存在して
よい。組成物は、分散剤、バインダー、可塑剤、溶媒またはそれらの組合せとして働く1
種または複数種の成分を有してよい。
【0052】
組成物が、その組成物を3D印刷可能にする1つまたは複数の特性を有することが望ま
しい。例えば、組成物は、100~1,000,000cP(例えば、500~50,0
00cP)(その間のすべての整数のcP値および範囲を含む)の粘度を有し、および/
または降伏応力は0Paより大きい、もしくは0Paに等しい。
【0053】
ある態様において、本開示は、規則性多孔質固体型電解質構造体を3D印刷する方法を
提供する。この方法では、本開示の1種または複数種の組成物が使用されてよく、および
/またはこの方法が、本開示の規則性多孔質固体型電解質構造体を製造するために使用さ
れてよい。
【0054】
この方法では、緻密層上に配置された規則性固体型電解質前駆体材料の1つまたは複数
の層を形成するために、同じかまたは異なる組成物を使用することができる。この方法は
、同じ特徴、または少なくとも1つの異なる形状を有する前駆体材料特徴の組合せの(例
えば、単層または複数の層への)堆積を含んでよい。この前駆体材料は、(例えば、個々
の特徴および/もしくは層が堆積される間に、または前駆体材料の特徴および/もしくは
層のすべてが堆積された後に)乾燥させてよい。堆積が完了した後、規則性固体型電解質
前駆体材料は、固体型電解質構造体を提供するために加熱される(例えば、焼結される)
。この方法は、3Dプリンタ上で行われてよい。規則性多孔質固体型電解質の製造方法の
非限定的な例が本明細書に記載されている。
【0055】
ある態様において、本開示は電気化学デバイスを提供する。このデバイスは、本開示の
1つまたは複数の固体型電解質構造体を含む。
【0056】
様々な電気化学デバイスが、本開示の1つまたは複数の固体型電解質構造体を含むこと
ができる。デバイスの非限定的な例には、バッテリー、電解セル、キャパシタ、燃料電池
または燃料電池/バッテリーデバイスが含まれる。このデバイスは、リチウムイオン伝導
性デバイス、ナトリウムイオン伝導性デバイスまたはマグネシウムイオン伝導性デバイス
であってよい。
【0057】
バッテリーは固体型バッテリーであってよく、これは再充電可能なバッテリーであって
よい。固体型バッテリー(例えば、リチウムイオン固体型電解質バッテリー、ナトリウム
イオン固体型電解質バッテリーまたはマグネシウムイオン固体型電解質バッテリー)は、
様々な追加の構造部品(バイポーラ板、外装、およびワイヤを接続するための電気接点/
リードなどを備えてよい。ある実施形態において、バッテリーはバイポーラ板をさらに備
える。ある実施形態において、バッテリーは、バイポーラ板および外装、ならびにワイヤ
を接続するための電気接点/リードをさらに備える。ある実施形態において、リピートバ
ッテリーセルユニットがバイポーラ板により分離されている。
【0058】
カソード材料(存在する場合)、アノード材料(存在する場合)、SSE材料、カソー
ド側(第1の)集電体(存在する場合)およびアノード側(第2の)集電体(存在する場
合)がセルを形成してよい。この場合、固体型イオン伝導性バッテリーは、1つまたは複
数のバイポーラ板により分離された複数のセルを備える。バッテリー内のセルの数はバッ
テリーの性能要件(例えば、電圧出力)によって決まり、製作上の制約によってのみ制限
される。例えば、固体型イオン伝導性バッテリーは、1~500個のセル(その間のすべ
ての整数個のセルおよび範囲を含む)を備える。
【0059】
一例として、固体型イオン伝導性バッテリーは、a)カソード材料;b)本開示の金属
合金層を備えるアノード;c)固体型電解質材料;およびd)任意選択で、カソード材料
またはリチウム金属アノードの少なくとも一部に配置された集電体を含む。
【0060】
固体型バッテリーは、様々なカソード材料を含むことができる。カソード材料の例には
、イオン伝導性(例えば、リチウム、ナトリウムまたはマグネシウムイオン伝導性)バッ
テリーにおいて使用される既知のカソード材料が含まれるが、これに限定されない。カソ
ード材料は、金属合金層に対して特異的であってよい。
【0061】
カソード材料の例には、伝導性炭素材料、硫黄(S)、酸素(O2)、有機硫化物また
は多硫化物(例えば、カルビン多硫化物および共重合硫黄)および同種のものが含まれる
が、これらに限定されない。伝導性炭素材料は、任意選択で、有機またはゲルイオン伝導
性電解質をさらに含む。
【0062】
カソード材料は空気電極であり得る。空気電極に適した材料の例には、空気カソードを
備える固体型リチウムイオンバッテリーにおいて使用されるもの、例えば、メッシュ(例
えば、PVDFバインダーなどのポリマーバインダー)内に束縛された大表面積炭素粒子
(例えば、伝導性カーボンブラックであるSuper P)および触媒粒子(例えば、α
-MnO2ナノロッド)が含まれる。
【0063】
リチウムイオン伝導性バッテリーの場合、カソード材料はリチウム含有材料であり得る
。例えば、リチウムイオン伝導性カソード材料は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸
化物(NMC、LiNixMnyCozO2(式中、x+y+z=1))、LiNi1/
3Co1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、リチウムマン
ガン酸化物(LMO)、例えばLiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4、リン酸
鉄リチウム(LFP)、例えばLiFePO4、LiMnPO4およびLiCoPO4、
ならびにLi2MMn3O8(式中、Mは、Fe、Coおよびそれらの組合せから選択さ
れる)である。イオン伝導性カソード材料は高エネルギーイオン伝導性カソード材料、例
えばLi2MMn3O8(式中、Mは、Fe、Coおよびそれらの組合せから選択される
)であり得る。一例として、リチウムイオン伝導性カソード材料はLiCoO2である。
【0064】
ナトリウムイオン伝導性バッテリーの場合、カソード材料はナトリウム含有材料であり
得る。ナトリウム含有材料の例には、NaxMO2材料(x=0.17~0.67、M=
Mn、Ni、Coまたはそれらの組合せ)(例えば、NaxMnO2、Nax[NiyM
n1-y]O2、y=0~1)、NaxCoO2、Nax[Ni1/3Co1/3Mn1
/3]O2)、NaMPO4(M=Fe、Mn)材料、Na2Fe2(SO4)3材料、
Na3V2(PO4)3材料および同種のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
マグネシウムイオン伝導性バッテリーの場合、カソード材料は、マグネシウム含有材料
、FeS2材料、MoS2材料、TiS2材料および同種のものであり得る。マグネシウ
ム含有材料の例には、MgMSiO4(M=Fe、Mn、Co)材料およびMgFePO
4F材料および同種のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
電子伝導性材料をイオン伝導性カソード材料の一部として使用することが望ましい場合
がある。例えば、イオン伝導性カソード材料は、導電性炭素材料(例えば、グラフェンま
たはカーボンブラック)も含み、イオン伝導性カソード材料は、任意選択で、有機または
ゲルイオン伝導性電解質をさらに含む。電子伝導性材料は、イオン伝導性カソード材料か
ら分離していてよい。例えば、電子伝導性材料(例えば、グラフェン)は、SSE電解質
構造体の多孔質領域の表面(例えば、細孔表面)の少なくとも一部に配置されており、イ
オン伝導性カソード材料は、導電性材料(例えば、グラフェン)の少なくとも一部に配置
されている。
【0067】
様々な集電体を使用することができる。集電体の例には、伝導性金属または伝導性金属
合金が含まれるが、これらに限定されない。適した集電体は、当技術分野において既知で
ある。
【0068】
カソード材料、アノード、SSE材料および集電体は、セルを形成することができる。
一例として、固体型バッテリーは複数のセルを備え、セルの各隣接対はバイポーラ板によ
り分離されている。
【0069】
様々な製造品が、本開示の1つまたは複数のデバイスを備えることができる。製造品の
非限定的な例には、消費者製品、例えば、デジタルカメラ、パーソナルデジタルアシスタ
ント(PDA)、携帯電話(例えば、スマートフォン)、腕時計、電動工具、温度計、リ
モートカーロック、レーザポインタ、MP3プレーヤ、補聴器、電卓、玩具(例えば、リ
モコン玩具)、電源(例えば、バックアップシステム、例えば、非常用電源バックアップ
、無停電電源、ならびに風力および太陽光発電システムなどの代替エネルギー源用電力貯
蔵)、監視または警報システム、医療デバイス/機器、移動装置(例えば、電動車椅子お
よび階段昇降機)、ポータブルパワーパック、輸送手段(例えば、電動の乗り物、例えば
、車、バスおよびモーターサイクル)、充電ステーションおよび同種のものなどが含まれ
るが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書に開示の様々な実施形態および例に記載の方法のステップは、本開示の方法を
行うのに十分である。したがって、一例として、ある方法は、本明細書に開示の方法のス
テップの組合せから実質的になる。別の例において、ある方法は、そのようなステップか
らなる。
【0071】
以下のステートメントは、本開示の固体型電解質構造体、電気化学デバイス、固体型電
解質構造体の製造方法、および3D印刷可能な組成物の非限定的な例を提供する。
ステートメント1.本明細書に記載の第1のイオン伝導性材料からなり、第1の表面を
有する本明細書に記載の基板;および基板の第1の表面上に配置された本明細書に記載の
第1の規則性多孔質ミクロ構造体であって、少なくとも1つの特徴により画定された細孔
を有し、少なくとも1つの特徴が、300μm未満(例えば、1μm~300μm)の少
なくとも1つの寸法(例えば、直径)を有し、特徴が、本明細書に記載の第2のイオン伝
導性材料からなる、第1の規則性多孔質ミクロ構造体を含む、固体型電解質構造体。特徴
は、緻密層の外面の10~90%、15~50%または20~40%の上に配置されてよ
い。複数の特徴が多層構造体を形成してよい。
ステートメント2.第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、2000μm以下(例えば、
1000μm以下)(例えば、1~2000μmまたは1~1000μm)の高さを有す
る、ステートメント1に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント3.細孔がそれぞれ、1μm~2000μm(例えば、1~1000ま
たは1μm~200μm))(両端を含む)およびその間の整数値を含むすべての値の少
なくとも1つの寸法(例えば、直径)を有する、ステートメント1または2に記載の固体
型電解質構造体。
ステートメント4.少なくとも1つの特徴の少なくとも1つの寸法(例えば、直径)が
1μm~200μm(両端を含む)およびその間の整数値を含むすべての値である、先行
するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント5.基板が、100μm以下(例えば、5~30μm)の厚さを有する
、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント6.第2のイオン伝導性材料が、第1のイオン伝導性材料と同じかまた
は異なる、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント7.第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、1つの柱状構造、複数の柱状
構造、1つの線構造、1つの格子構造、1つの多層格子構造またはそれらの組合せを備え
る、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント8.特徴が線であり、第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、基板の第1
の表面上に配列された平行線の層である、先行するステートメントのいずれか1項に記載
の固体型電解質構造体。
ステートメント9.複数の平行線が、近接した線から形成されたラスタパターンである
、ステートメント8に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント10.第1の規則性多孔質ミクロ構造体が、平行線の第1の層上に配置
された平行線の第2の層を備える、ステートメント8に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント11.平行線の第2の層が、第1の層の平行線に対して格子角度をなす
、ステートメント10に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント12.格子角度が1~90(両端を含む)およびその間の整数値を含む
すべての値である、ステートメント11に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント13.第1の規則性多孔質ミクロ構造体が複数の層(例えば、2~10
0層)を備え、各層が、平行線の隣接層上に配置された第2のイオン伝導性材料の平行線
を備える、ステートメント8に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント14.特徴が、基板の第1の表面に対して概して垂直な方向に延びる柱
であり、ミクロ構造体が、基板の第1の表面上に2次元配列で配列された複数の特徴であ
る、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント15.各柱が、1μm~1000μm(両端を含む)およびその間の整
数値を含むすべての値の高さを有する、ステートメント14に記載の固体型電解質構造体
。
ステートメント16.各柱が、50μm~200μm(両端を含む)およびその間の整
数値を含むすべての値の高さを有する、ステートメント15に記載の固体型電解質構造体
。
ステートメント17.基板が、第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、基板の第2
の表面上に配置された本明細書に記載の第2の規則性多孔質ミクロ構造体をさらに含み、
第2の規則性多孔質ミクロ構造体が、少なくとも1つの第2の特徴により画定された細孔
を有し、少なくとも1つの第2の特徴が、200μm未満の直径を有し、第2の特徴が、
第3のイオン伝導性材料を含む、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型
電解質構造体。
ステートメント18.本明細書に記載の第3のイオン伝導性材料が、第1のイオン伝導
性材料および/もしくは第2のイオン伝導性材料と同じである、または第1のイオン伝導
性材料および/もしくは第2のイオン伝導性材料と異なる、ステートメント17に記載の
固体型電解質構造体。
ステートメント19.第2の規則性多孔質ミクロ構造体が、複数の柱状構造、1つの線
構造、1つの格子構造または1つの多層格子構造を備える、ステートメント17に記載の
固体型電解質構造体。
ステートメント20.固体型電解質構造体(例えば、第1の規則性多孔質ミクロ構造体
、第2の規則性多孔質ミクロ構造体、基板またはそれらの組合せ)が、イオン伝導性ポリ
マー材料、イオン伝導性無機材料(例えば、セラミック材料)またはそれらの組合せを含
む(例えば、イオン伝導性ポリマー材料、イオン伝導性無機材料(例えば、セラミック材
料)またはそれらの組合せである)、ステートメント17に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント21.基板が、第1の表面とは反対側の第2の表面を有する、基板の第
2の表面上に配置されたイオン伝導性材料を含む本明細書に記載の不規則性多孔質ミクロ
構造体をさらに含む、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造
体。
ステートメント22.イオン伝導性材料がイオン伝導性ポリマー性材料である、先行す
るステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント23.イオン伝導性ポリマー性材料が、本明細書に記載のイオン伝導性
ポリマー(例えば、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、
ポリ(プロピレン)(PP)、ポリ(プロピレンオキシド)、PEO含有コポリマー(例
えば、ポリスチレン(PS)-PEOコポリマーおよびポリ(メチルメタクリレート)(
PMMA)-PEOコポリマー)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(アクリロニ
トリル-co-メチルアクリレート)、PVdF含有コポリマー(例えば、ポリフッ化ビ
ニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン(PVdF-co-HFP))、PMMAコ
ポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート-co-エチルアクリレート))および
それらの組合せから選ばれたイオン伝導性ポリマー)ならびに、任意選択で、伝導性塩(
例えば、リチウム塩、例えば、LiTFSEなど、またはイオン性液体)を含む、先行す
るステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント24.イオン伝導性材料が、本明細書に記載のリチウムイオン伝導性材
料、本明細書に記載のナトリウムイオン伝導性材料または本明細書に記載のマグネシウム
イオン伝導性材料である、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質
構造体。
ステートメント25.リチウムイオン伝導性材料が本明細書のリチウム-ガーネット材
料である、ステートメント24に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント26.リチウム-ガーネット材料がLi7-xLa3-yM1
yZr2
-zM2
zO12(式中、0より大きく、かつ2未満のx、M1は、Ba、Ca、Yおよ
びそれらの組合せから選ばれ、M2は、Nb、Taおよびそれらの組合せから選ばれる)
である、ステートメント25に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント27.リチウム-ガーネット材料が、カチオンドープLi5La3M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Taまたはそれらの組合せである)、カチオンド
ープLi6La2BaTa2O12、カチオンドープLi7La3Zr2O12またはカ
チオンドープLi6BaY2M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Taまたはそれ
らの組合せである)であり、カチオンドーパントが、バリウム、イットリウム、亜鉛また
はそれらの組合せである、ステートメント25に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント28.リチウム-ガーネット材料が、Li5La3Nb2O12、Li
5La3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li6La2SrNb2O12、L
i6La2BaNb2O12、Li6La2SrTa2O12、Li6La2BaTa2
O12、Li7Y3Zr2O12、Li6.4Y3Zr1.4Ta0.6O12、Li6
.5La2.5Ba0.5TaZrO12、Li6BaY2M1
2O12、Li7Y3Z
r2O12、Li6.75BaLa2Nb1.75Zn0.25O12、Li6.75B
aLa2Ta1.75Zn0.25O12またはそれらの組合せである、ステートメント
25に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント29.ナトリウム伝導性材料が、Na3Zr2Si2PO12(NAS
ICON)またはβ-アルミナである、ステートメント24に記載の固体型電解質構造体
。
ステートメント30.マグネシウム伝導性材料がMgZr4P6O24である、ステー
トメント24に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント31.イオン伝導性材料が、結晶ドメイン、多結晶ドメイン、非晶ドメ
インまたはそれらの組合せを含む(例えば、多結晶性もしくは非晶性またはそれらの組合
せである)、ステートメント25に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント32.第1の規則性多孔質ミクロ構造体の少なくとも一部に配置された
カソード材料をさらに含む、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解
質構造体。
ステートメント33.イオン伝導性カソード材料が伝導性炭素材料を含み、イオン伝導
性カソード材料が、任意選択で、有機またはゲルイオン伝導性電解質をさらに含む、ステ
ートメント32に記載の電気化学デバイス。
ステートメント34.カソード材料が、硫黄、空気または酸素である、ステートメント
32に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント35.カソード材料が、リチウム含有カソード材料、ナトリウム含有カ
ソード材料またはマグネシウム含有カソード材料である、ステートメント32に記載の固
体型電解質構造体。
ステートメント36.リチウム含有カソード材料が、LiCoO2、LiFePO4、
Li2MMn3O8(式中、Mは、Fe、Coおよびそれらの組合せから選択される)、
LiMn2O4、LiNiCoAlO2、LiNixMnyCozO2(式中、x+y+
z=1(例えば、0.5:0.3:0.2))およびそれらの組合せから選ばれる、ステ
ートメント35に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント37.ナトリウム含有材料が、Na2V2O5、P2-Na2/3Fe
1/2Mn1/2O2、Na3V2(PO4)3、NaMn1/3Co1/3Ni1/3
PO4、およびNa2/3Fe1/2Mn1/2O2@グラフェン複合材、ならびにそれ
らの組合せから選ばれる、ステートメント35に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント38.マグネシウム含有材料が、ドープマンガン酸化物およびその組合
せから選ばれる、ステートメント36に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント39.第1の規則性多孔質ミクロ構造体の少なくとも一部に配置された
本明細書に記載のアノード材料をさらに含む、先行するステートメントのいずれか1項に
記載の固体型電解質構造体。
ステートメント40.アノードが本明細書に記載の金属アノード(例えば、リチウム金
属、ナトリウム金属またはマグネシウム金属)である、ステートメント39に記載の固体
型電解質構造体。
ステートメント41.アノードが、本明細書に記載のリチウム含有アノード材料、本明
細書に記載のナトリウム含有材料または本明細書のマグネシウム含有材料である、ステー
トメント39に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント42.リチウム含有アノード材料が、チタン酸リチウム(Li4Ti5
O12)およびその組合せから選ばれる、ステートメント41に記載の固体型電解質構造
体。
ステートメント43.ナトリウム含有アノード材料が、Na2C8H4O4、Na0.
66Li0.22Ti0.78O2およびそれらの組合せから選ばれる、ステートメント
41に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント44.マグネシウム含有アノード材料が、Mg2Siおよびその組合せ
から選ばれる、ステートメント43に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント45.アノードが、炭素、ケイ素、スズまたはそれらの組合せ(例えば
、Si-C、Sn-C、SixSny、SiOおよび同種のもの)を含む、ステートメン
ト39に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント46.ミクロ構造体がカソード側多孔質ミクロ構造体であり、ミクロ構
造体が複数の柱状構造を備え、カソード材料がリチウム含有材料である、またはミクロ構
造体が格子構造もしくは多層格子構造を備え、カソード材料が硫黄である、先行するステ
ートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント47.固体型電解質構造体の基板(例えば、緻密層)が、1μm~10
0μm(例えば、5μm~30μmまたは10μm~20μm)の少なくとも1つの寸法
(例えば、厚さ)を有し、および/またはその上に配置されたカソード材料を有する固体
型電解質構造体の規則性多孔質ミクロ構造体が、1μm~1mm(例えば、20μm~2
00μm)の少なくとも1つの寸法(例えば、厚さ)を有し、および/またはその上に配
置されたアノード材料を有する固体型電解質構造体の規則性多孔質ミクロ構造体が、少な
くとも1つの寸法(例えば、厚さ)1μm~1mm(例えば、20μm~200μm)を
有する、先行するステートメントのいずれか1項に記載の固体型電解質構造体。
ステートメント48.先行するステートメントのいずれか1項に記載の1つまたは複数
の固体型電解質構造体を含む電気化学デバイス。
ステートメント49.イオン伝導性バッテリー、電解セル、キャパシタ、燃料電池また
は燃料電池/バッテリーである、ステートメント48に記載の電気化学デバイス。
ステートメント50.カソード材料またはアノード材料(例えば、本明細書に記載のカ
ソード材料またはアノード材料);固体型電解質構造体(例えば、例えば、ステートメン
ト1に記載の固体型電解質構造体などの固体型電解質構造体)であって、カソード材料ま
たはアノード材料は、固体型電解質構造体の規則性多孔質領域の少なくとも一部に配置さ
れており、緻密領域は、カソード材料およびアノード材料を含まない、固体型電解質構造
体、ならびにカソード材料またはアノード材料の少なくとも一部に配置された集電体(例
えば、本明細書に記載の集電体)を含む固体型イオン伝導性バッテリーである、ステート
メント48に記載の電気化学デバイス。
ステートメント51.固体型電解質構造体が、カソード側集電体;またはアノード側集
電体を含む、ステートメント50に記載の電気化学デバイス。
ステートメント52.集電体またはカソード側集電体もしくはアノード側集電体が、伝
導性金属、伝導性金属合金であるか、または炭素を含む(もしくは、である)、ステート
メント50または51に記載の電気化学デバイス。例えば、集電体は、独立して伝導性金
属、伝導性金属合金であるか、または炭素を含む(もしくは、である)。
ステートメント53.カソード材料(存在する場合)、アノード材料(存在する場合)
、固体型電解質構造体および集電体がセルを形成し、固体型イオン伝導性バッテリーが複
数のセルを備え、セルの各隣接対がバイポーラ板により分離されている、ステートメント
50~52のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
ステートメント54.イオン伝導性固体型バッテリーの固体型電解質構造体が、バッテ
リーの充電および/または放電の間、固体型電解質構造体の規則性多孔質領域内に、かつ
そこからイオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはマグネシウムイオン
)が拡散するように構成されている、ステートメント50~53のいずれか1項に記載の
電気化学デバイス。
ステートメント55.i)本明細書に記載のイオン伝導性材料(例えば、本明細書に記
載のイオン伝導性ポリマー、本明細書に記載のイオン伝導性無機材料、例えば、イオン伝
導性無機材料(例えば、粉末)など、または本明細書に記載のイオン伝導性ハイブリッド
ポリマー/無機材料(例えば、本明細書に記載のイオン伝導性ポリマー性材料および本明
細書に記載のイオン伝導性無機材料を含む))、またはii)加熱されたとき本明細書に
記載のイオン伝導性無機材料(例えば、イオン伝導性セラミック材料)を生成する本明細
書に記載の前駆体材料(例えば、粉末)(例えば、金属酸化物、カーボネート、ナイトレ
ートおよび同種のものなど)の組合せ;および本明細書に記載の分散剤、本明細書に記載
のバインダー、本明細書に記載の可塑剤または本明細書に記載の溶媒のうちの少なくとも
1つを含む、3D印刷可能な組成物。例えば、イオン伝導性材料または前駆体材料ならび
に、存在する場合、(複数種の)分散剤、(複数種の)バインダー;(複数種の)可塑剤
および(複数種の)溶媒の組合せの重量%は100%に等しい。
ステートメント56.イオン伝導性材料がポリマー性材料(例えば、イオン伝導性ポリ
マー、イオン伝導性コポリマーまたはそれらの組合せを含む)である、ステートメント5
5に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント57.ポリマー性材料が、本明細書に記載のイオン伝導性ポリマー(例
えば、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピ
レン)(PP)、ポリ(プロピレンオキシド)、PEO含有コポリマー(例えば、ポリス
チレン(PS)-PEOコポリマーおよびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)-
PEOコポリマー)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(アクリロニトリル-co
-メチルアクリレート)、PVdF含有コポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン-c
o-ヘキサフルオロプロピレン(PVdF-co-HFP))、PMMAコポリマー(例
えば、ポリ(メチルメタクリレート-co-エチルアクリレート))から選ばれたイオン
伝導性ポリマー)およびそれらの組合せを含む、ステートメント56に記載の3D印刷可
能な組成物。
ステートメント58.ポリマー性材料が、本明細書に記載の伝導性塩(例えば、イオン
性液体)を含む、ステートメント56または57に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント59.イオン伝導性材料、または前駆体材料(例えば、金属酸化物、カ
ーボネート、ナイトレートおよびまたは同種のもの)の組合せが、(組成物の全重量に基
づいて)10~90wt.%(例えば、50~80wt.%または60~66wt.%)
で存在する、ステートメント55~58のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント60.イオン伝導性材料が、本明細書に記載のリチウムイオン伝導性材
料、本明細書に記載のナトリウムイオン伝導性材料または本明細書に記載のマグネシウム
イオン伝導性材料である、ステートメント55~59のいずれか1項に記載の3D印刷可
能な組成物。
ステートメント61.リチウムイオン伝導性材料が、本明細書に記載のリチウム-ガー
ネットセラミック材料である、ステートメント60に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント62.リチウム-ガーネットセラミック材料がLi7-xLa3-yM
1yZr2-zM2
zO12(式中、0より大きく、かつ2未満のx、M1は、Ba、C
a、Yおよびそれらの組合せから選ばれ、M2は、Nb、Taおよびそれらの組合せから
選ばれる)である、ステートメント61に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント63.リチウム-ガーネット材料が、カチオンドープLi5La3M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Taまたはそれらの組合せである)、カチオンド
ープLi6La2BaTa2O12、カチオンドープLi7La3Zr2O12またはカ
チオンドープLi6BaY2M2
2O12(式中、M2は、Nb、Zr、Taまたはそれ
らの組合せである)であり、カチオンドーパントが、バリウム、イットリウム、亜鉛また
はそれらの組合せである、ステートメント61に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント64.リチウム-ガーネットセラミック材料が、Li5La3Nb2O
12、Li5La3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li6La2SrNb2
O12、Li6La2BaNb2O12、Li6La2SrTa2O12、Li6La2
BaTa2O12、Li7Y3Zr2O12、Li6.4Y3Zr1.4Ta0.6O1
2、Li6.5La2.5Ba0.5TaZrO12、Li6BaY2M1
2O12、L
i7Y3Zr2O12、Li6.75BaLa2Nb1.75Zn0.25O12、Li
6.75BaLa2Ta1.75Zn0.25O12またはそれらの組合せである、ステ
ートメント61に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント65.ナトリウム伝導性材料が、Na3Zr2Si2PO12(NAS
ICON)またはβ-アルミナである、ステートメント60に記載の3D印刷可能な組成
物。
ステートメント66.マグネシウム伝導性材料がMgZr4P6O24である、ステー
トメント60に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント67.イオン伝導性材料が、結晶ドメイン、多結晶ドメイン、非晶ドメ
インもしくはそれらの組合せを含む(例えば、多結晶性または非晶性である)、または単
結晶性である、ステートメント55~66のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物
。
ステートメント68.イオン伝導性材料がイオン伝導性材料含有粒子(例えば、リチウ
ム含有、ナトリウム含有またはマグネシウム含有材料粒子)であり、イオン伝導性材料含
有粒子(例えば、リチウム含有、ナトリウム含有またはマグネシウム含有材料粒子)が、
10~10,000nm(例えば、50~500nm)の平均サイズ(例えば、最長寸法
)を有する、または本明細書に記載のセラミック粉末粒子が、10~10,000nm(
例えば、50~500nm)の平均サイズ(例えば、最長寸法)を有する、ステートメン
ト55~67のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント69.分散剤が、(組成物の全重量に基づいて)0.01~10wt.
%(例えば、0.5~1wt%)で存在する、ステートメント55~68のいずれか1項
に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント70.分散剤が、ブローンメンヘーデン魚油、トウモロコシ油、サフラ
ワー油、亜麻仁油、グリセロールトリオレエート、ポリ(ビニルブチラール)、脂肪酸エ
ステルおよびそれらの組合せから選ばれる、ステートメント55~69のいずれか1項に
記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント71.バインダーが、(組成物の全重量に基づいて)20~50wt.
%(例えば、30~38wt%)で存在する、ステートメント55~70のいずれか1項
に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント72.バインダーが、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルブチラール
(PVB)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルおよび同種のもの)、アクリルポリ
マー(例えば、ポリアクリレートエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアク
リレートおよび同種のもの)、セルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースおよび同種のもの);ポリエチレン、ポリプロピレンカ
ーボネート、ポリテトラフルオロエチレンおよびESL 441(商標登録されたテキサ
ノールベースの組成物)ならびにそれらの組合せ(例えば、α-テルピネオール溶媒との
バインダーの使用としてのエチルセルロース)から選ばれる、ステートメント55~71
のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント73.可塑剤が、(組成物の全重量に基づいて)0~20wt.%で存
在する、ステートメント55~72のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント74.可塑剤が、フタレート(例えば、アルキルフタレート、例えば、
n-ブチルフタレート、ジメチルフタレートおよび同種のものなど、ならびにアリールフ
タリエート、例えば、ベンジルブチルフタレート(BBP)および同種のものなど)、ポ
リオール(例えば、グリセロール、グリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ
アルキレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコールおよび同種
のものなど)、トリアルキルホスフェート(例えば、トリ-n-ブチルホスフェートおよ
び同種のもの)および同種のもの、ならびにそれらの組合せから選ばれる、ステートメン
ト55~73のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント75.溶媒が、(組成物の全重量に基づいて)0~10wt.%(例え
ば、0.01~3wt.%)で存在する、ステートメント55~74のいずれか1項に記
載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント76.溶媒が、アルコール(例えば、エタノール、プロパノール(例え
ば、イソプロパノールおよびn-プロパノールなど)、ブタノール(例えば、n-ブタノ
ールなど)、ペンタノール、ヘキサノールおよび同種のもの)、トルエン、キシレン、メ
チルエチルケトン、α-テルピネオール、水およびそれらの組合せから選ばれる、ステー
トメント55~75のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント77.100~1,000,000cP(例えば、500~50,00
0cP)の粘度を有し、および/または降伏応力が0Paより大きい、もしくは0Paに
等しい、ステートメント55~76のいずれか1項に記載の3D印刷可能な組成物。
ステートメント78.規則性多孔質固体型電解質の製造方法であって、緻密層上に配置
された(例えば、本明細書に記載の1つの特徴または複数の特徴を備える)前駆体材料(
すなわち、規則性固体型電解質前駆体材料)の第1の層が形成されるように、緻密層上に
配置された(例えば、本明細書に記載の1つの特徴または複数の特徴を備える)ステート
メント55~77のいずれか1項に記載の組成物の第1の層を形成するために、あらかじ
め選択された量のステートメント55~77のいずれか1項に記載の組成物を堆積させる
こと;(例えば、本明細書に記載の1つの特徴または複数の特徴を備える)前駆体材料(
すなわち、規則性固体型電解質前駆体材料)の第2の層において形成され、(例えば、本
明細書に記載の1つの特徴または複数の特徴を備える)前駆体材料(すなわち、規則性固
体型電解質前駆体材料)の第2の層が、前駆体材料(すなわち、規則性固体型電解質前駆
体材料)の第1の層の少なくとも一部に配置されるように、ステートメント55~77の
いずれか1項に記載の組成物の第2の層を形成するために、あらかじめ選択された量のス
テートメント55~77のいずれか1項に記載の組成物を任意選択で堆積させること;任
意選択で、所定の時間待つこと、および/または層を加熱すること;任意選択で、b)の
堆積を繰り返すこと、および、任意選択で、c)を所望の回数繰り返すこと;ならびにe
)前駆体材料(すなわち、規則性固体型電解質前駆体材料/構造体)の層を乾燥すること
(例えば、(複数種の)液体、例えば、(複数種の)溶媒などを除去すること);ならび
にe)規則性多孔質固体型電解質を形成するために、母セラミック粉末床内の前駆体材料
(すなわち、規則性固体型電解質前駆体材料/構造体)の層)規則性固体型電解質前駆体
材料構造体を加熱すること(例えば、例えば、ある雰囲気中、例えば、酸素雰囲気中など
で焼結すること)を含む、製造方法。
ステートメント79.曝露および形成が3Dプリンタを使用して行われる(例えば、分
配が、少なくとも1つの印刷ヘッドからである)、ステートメント78に記載の方法。
ステートメント80.規則性固体型電解質材料の層のすべてが、同じ公称組成を有する
(例えば、同じ3D印刷可能な組成物から形成されている)、ステートメント78または
79に記載の方法。
ステートメント81.規則性固体型電解質材料の層のうちの2つ以上が、異なる公称組
成を有する(例えば、2種以上の3D印刷可能な組成物から形成されている)、ステート
メント78~80のいずれか1項に記載の方法。
ステートメント82.ステートメント55~77のいずれか1項に記載の組成物の第1
の層の堆積が、異なる公称組成を有する領域を有する第1の層を形成するために、ステー
トメント55~77のいずれか1項に記載の第1の組成物、およびステートメント55~
77のいずれか1項に記載の第1の組成物を堆積させることを含む、ステートメント78
~81のいずれか1項に記載の方法。
ステートメント83.ステートメント55~77のいずれか1項に記載の組成物の第1
の層の堆積が、第1の構造体を形成し、ステートメント55~77のいずれか1項に記載
の組成物の第2の層の堆積が、第2の構造体を形成し、第1の構造体および第2の構造体
が、異なる形状を有する、ステートメント78~81のいずれか1項に記載の方法。
【0072】
以下の実施例は、本開示を例示するために提示される。それらは、いかなる点において
も限定するものではない。
【実施例0073】
この実施例では、固体型電解質構造体、固体型電解質構造体を含むデバイスおよびその
特性評価、固体型電解質構造体の製造方法、ならびに3D印刷可能な組成物を説明する。
【0074】
この実施例では、LLZ固体電解質からなる薄い非平面状の複雑な構造を明らかにする
、印刷および焼結された構造体のサンプリングを説明する。ガーネットインクの有効性を
実証するために、対称なLi|3D印刷されたLLZ|Liセルを低ASRでサイクルさ
せる。他の設計も本開示に記載のインクを用いて得ることができる。本明細書に記載の材
料を用いた3D印刷を使用して、固体型バッテリーに、より低い全セルASRならびによ
り高いエネルギーおよび電力密度を与えることができる。
【0075】
図1は、3D印刷プロセスを使用したセル製作の概要を示す。
この方法は、系統的な研究のための他の方法では実験室規模での生成が困難であり得る
多種多様な規則性高表面積LLZ構造体を印刷することができる。これらの構造体の例に
は、線、格子、柱、積層配列または組合せが含まれる。まず、印刷された特徴の幅は、印
刷ヘッドにおいて使用されているノズルのサイズに依存し、これは、12.5~125μ
mの範囲である。次いで、特徴の高さは、追加の層を印刷することにより容易に高くなる
。しかし、印刷された特徴の厳密な形状およびそれらがどのように互いにかつ基板に接続
するかは、インク自体の特性に強く依存する。具体的には、粒子サイズ、バインダー系、
溶媒ブレンドおよび割合は、インクレオロジーおよびその結果得られる構造型にとって極
めて重要である。ミクロンスケールの特徴を印刷するために、固体電解質粒子は、好まし
くは、所望の特徴幅よりも1桁を超えて小さい。加えて、サブミクロン粒子は、より容易
に分散し、懸濁して保たれ、これは、印刷および保管を通じてインク特性を一定に保つの
に役立つ。LLZ電解質の粒子サイズは、単純なボールミル粉砕またはゾルゲル合成経路
により減少させることができる。
図2aは、インクに使用されたLLZの典型的な粒子サ
イズ分布(平均粒子サイズ約300nm)およびSEM像を示す。
【0076】
インクを構成するために2つのバインダー系を選んだ。そのそれぞれは、分配されたイ
ンクのインクレオロジーおよび特性に異なる影響を与える。ベンジルブチルフタレート(
BBP)可塑剤を含むポリビニルブチラール(PVB)バインダーが第1のバインダー系
であり、商標登録されたテキサノールベースの組成物であるESL 441が第2のバイ
ンダー系である。
図2bおよび
図2dに示す通り、2つのバインダー系によるインクのレ
オロジーは劇的に異なる。PVB-BBPバインダーベースのインクは、ニュートン挙動
を示し、粘度1090cPを有するが、粘度は、インク中の溶媒の量を変更することによ
り容易に変更することができる(
図2e)。ESLバインダーベースのインクは、降伏応
力280Paおよび粘度1500cPと共に、根本的に異なるビンガム塑性挙動を示す。
ビンガム塑性挙動は、ESLバインダー系自体の結果であり、それによってインクは高剪
断応力下でない限りその形状を保持する。バインダー系の異なる特性を利用して、異なる
タイプの印刷された構造体を生成することができる。PVB-BBPバインダー系は、そ
のレオロジー挙動のために、その上が印刷される表面を部分的に濡らし、かつその表面と
共形となるインクを生成する(
図3d)。PVB-BBPインク(以下、「共形インク」
と呼ぶ)は、その共形性およびパターン内の他の線との継ぎ目のない接合のために、固体
電解質の薄い均質な膜の印刷に適切である。共形インクを使用して印刷された5×5cm
の均質な膜の実証を
図2fに示した。この膜の単層を焼結することにより、高純度の立方
相LLZガーネット(
図2c)による5~10μmの自立型高密度膜が実現した(
図2g
)。大部分の領域において、この膜は全体にわたって単一結晶粒のみである。これは、費
用がかかる、または生産量が少ない薄膜堆積法(例えば、PLD、ALDなど)を用いず
に10μm未満のLLZ電解質の緻密層を製作する能力を初めて実証するものである。P
VB-BBPバインダー系を同じく使用した、さらに規模を拡大できる類似のテープキャ
スティング法では最近、14μmの緻密層が実現した。不規則な多孔質-緻密二層、例え
ばHitzらによって最近実証されたものも、類似のインクを用いた3D印刷により製造
することができる(
図5)。したがって、例外的に薄い高密度を生成できる。
【0077】
LLZ電解質を生成することが可能であり、これは、固体型バッテリーの高インピーダ
ンスの問題を解決するのに役立ち得る。規則性構造体を作り出すために使用されるとき、
共形インクは、低いアスペクト比を有する丸みのある線または柱を作り出す(
図3d~図
3f)。これは、インクの低粘度および濡れ性に起因する。共形インクの別の特性は、互
いに交差する線を印刷したとき継ぎ目のない接合部を作り出すその能力であり(
図3e)
、これは、高強度構造部材を作り出したり、またはイオン伝導経路の数を増やしたりする
のに有用であり得る。
【0078】
共形インクとは異なり、ESLバインダーインクのビンガム塑性挙動は、印刷直後にそ
の形状を保つ構造的特徴を作り出す(
図3g~
図3i)。注目すべきことに、このインク
(以下、「自己支持性」インクと呼ぶ)のその後の印刷された層は、それぞれ積層配列構
造体および柱構造体を示す
図3h~
図3iに示す通り、印刷後および焼結プロセスを通じ
て垂れることなくそれ自身を支持することができる。共形インク(
図3d~
図3f)また
は自己支持性インク(
図3g~
図3i)のいずれかを用いて印刷された類似の設計を比較
すると、自己支持性インクを用いて印刷されたものが、より高いアスペクト比、したがっ
て、より大きい表面積を有することは明らかである。例えば、共形インク(
図3d)およ
び自己支持性インク(
図3g)を用いて印刷された線パターンのアスペクト比は、それぞ
れ0.37および0.83である。積層配列構造体は、第2の印刷された層の下側により
作り出された露出部のために、表面積がさらに大きい。
【0079】
2つの異なるタイプのLLZインクのみを使用して多種多様な構造体を印刷することが
でき、おそらく、セル特性および性能に対する電解質-電極界面構造特性(屈曲、表面積
など)の影響の迅速な調査が可能になる。
【0080】
結果は、他の方法により生成されたLLZペレットと同じ特性を有することができるL
LZ固体電解質を3D印刷する能力を実証するものである。固体電解質を3D印刷する能
力は、特有の規則性構造体の製作を可能にするのに対し、ダイプレス法およびテープキャ
スティング法は、平面形状および不規則な孔に限定される。
2つのタイプの3D印刷可能なLLZインクが、異なる構造上の目的のために開発され
た。「共形」インクおよび「自己支持性」インクを使用して、均一な膜から柱、積層「ロ
グ-キャビン」型構造体まで多種多様な異なる構造体を作り出し、探索することができる
。これらのインク組成物はLLZに限定されず、他のセラミック材料を印刷するために使
用することができることに留意されたい。これらのインクは、安全で高エネルギー密度の
固体型バッテリーを実現するための固体電解質の研究を可能にし、その中の1つが、電気
化学的特性および機械的特性(すなわち、電極/電解質界面接触、セルインピーダンス、
機械的強度など)に対する、固体電解質を使用した3次元電解質構造の影響である。
【0081】
方法。LLZ合成。CaドープおよびNbドープLi
7La
3Zr
2O
12ガーネット
を、先述の固相合成またはゾル-ゲル法により調製した。固相合成については、化学量論
量のLa
2O
3(GFS Chemicals、99.9%)、ZrO
2(Infram
at Advanced Materials)、CaCO
3(Carolina、La
boratory Grade)、Nb
2O
5(Alfa Aesar、99.9%)お
よび10%過剰LiOH-H
2O(Alfa Aesar、98%)を、イソプロパノー
ル中の直径5mmのY
2O
3安定化ZrO
2(YSZ)粉砕媒体を用いて1日間ミル粉砕
した。次いで、前駆体を乾燥し、900℃で焼成した。X線回折による相分析を
図2cに
示した。所望の粒子サイズを得るために、焼成した粉末を5mmのYSZ粉砕媒体を用い
てイソプロパノール中でミル粉砕し、続いて2mmの媒体でミル粉砕して、粒子サイズを
1μm未満にさらに減少させた。ゾル-ゲル法については、化学量論量のLa(NO
3)
3(99.9%、Alfa Aesar)、ZrO(NO
3)
x(99.9%、Alfa
Aesar)、LiNO
3(99%、Alfa Aesar)、NbCl
5(99.9
9%、Alfa Aesar)およびCa(NO
3)
2(99.9%、Sigma Al
drich)を脱イオン水に溶解し、5%wt過剰LiNO
3を加えて、高温プロセス中
のリチウム揮発を補った。前駆体を800℃で10時間焼成し、200プルーフエタノー
ル中で48時間ボールミル粉砕して、立方相ガーネット粉末(平均粒子サイズ300nm
)を得た。各方法により生成された粉末は特性上類似していた。
【0082】
インク組成物。「共形インク」については、LLZ粉末(37%)をまず、n-ブタノ
ール(99%、Alfa Aesar):α-テルピネオール(96%、Alfa Ae
sar)の7:3混合物中の分散剤としての少量のブローンメンヘーデン魚油(Z-3、
Tape Casting Warehouse,Inc.)と振動ミルで24時間混合
した。混合物が均質になったら、ポリビニルブチラールバインダー(PVB、B-98、
Tape Casting Warehouse,Inc.)およびブチルベンジルフタ
レート可塑剤(BBP、S-160、Tape Casting Warehouse,
Inc.)を重量比1.6:1で加えて、全固形分負荷を30%にした。印刷前にインク
を振動ミル内で24時間混合した。
【0083】
ガーネット粉末20%、Electro Science Lab(ESL)441テ
キサノールベースのバインダー系10%および200プルーフエタノール70%から構成
される希薄懸濁液をまず生成することにより「自己支持性インク」を生成し、2mmのイ
ットリア安定化ジルコニア球状ミル粉砕媒体を使用して24時間ボールミル粉砕して、ガ
ーネット粉末を分散させた。ボールミル粉砕後、懸濁液をThinkyミキサー内の25
0ml HDPEジャーに移し、1,500rpmで30分間混合して、溶媒を蒸発させ
、印刷スラリーを生成する。
【0084】
3D印刷。2つのSmartPumpを備え、ノズル開口部が12.5、25または1
25μmのセラミックノズルを用いたnScrypt 3Dn-300プリンタを使用し
てインクを印刷した。均一で均質な膜を製作するために、インクをマイラーシート上に印
刷した。規則性構造体を印刷するために、構造支持のための、3D印刷された均一な膜と
特性上同一である先述の多孔質-緻密多層LLZテープ基板上にインクを印刷した。すべ
ての場合において、印刷ステージを30~35℃まで加熱して、乾燥プロセスを促進した
。次いで、3D印刷された構造体を他の場所に記載の焼結法と類似の管状炉内で母粉末床
内で焼結した。
【0085】
材料特性評価。LLZ粉末の相特性評価をメリーランド大学のX線結晶学センターでB
ruker D8 X線回折計を使用して実施した。粒子サイズデータをN-メチル-2
-ピロリジノン溶媒中のLLZおよびTriton X-100分散剤の希薄溶液につい
てHoriba Partica LA-950レーザ回折粒子サイズ分布分析装置を使
用して収集した。レオロジーデータを1~100Hz、25℃でTA Instrume
nts DHR-2レオメーターを使用して収集した。UMD AIMLabのHita
chi SU-70 SEMおよびUMD FabLabのHitachi S-340
0 SEMをLLZ粉末および焼結されたLLZ 3D印刷された層を画像化するために
使用した。