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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075601
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】陰圧創傷療法のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024032978
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2020571500の分割
【原出願日】2019-07-08
(31)【優先権主張番号】1811449.6
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
2.THUNDERBOLT
3.Linux
4.WINDOWS
5.VXWORKS
(71)【出願人】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブランドリーニ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】クインタナー、フェリックス、クラレンス
(57)【要約】
【課題】陰圧創傷療法において使用するための新規な装置、システム、デバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】本明細書には、陰圧器具のいくつかの実施形態、およびそれらを創傷の治療において使用する方法が開示されている。いくつかの実施形態は、吸引チャネルから分離した空気リークチャネルを有する、創傷部位に接続するための改善された流体コネクタまたは吸引アダプタを対象とする。
【選択図】図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷部位に陰圧を提供するための装置であって、前記装置が、
頂部層、底部層及び中間層であって、前記頂部層、前記底部層及び前記中間層のそれぞれが可撓性の液体不浸透性材料から構築されており、前記頂部層、前記底部層及び前記中間層のそれぞれが近位端及び遠位端を有する、頂部層、底部層及び中間層と、
前記頂部層と前記中間層との間に少なくとも部分的に画定される上部流体通路であって、前記上部流体通路が、近位端及び遠位端を有し、前記上部流体通路が、前記頂部層と前記中間層との間に位置付けられた上部チャネルスペーサ層を備え、前記上部流体通路が、前記上部流体通路の前記遠位端に向かって空気リークから空気を提供するように構成されている、上部流体通路と、
前記中間層と前記底部層との間に少なくとも部分的に画定される下部流体通路であって、前記下部流体通路が、陰圧源と流体連通するように構成されており、前記下部流体通路が、前記中間層と前記底部層との間に位置付けられた下部チャネルスペーサ層を備える、下部流体通路と、
前記底部層の前記遠位端にある少なくとも2つの開口部であって、前記少なくとも2つの開口部の少なくとも1つの開口部が、前記下部流体通路に流体接続されている、装置。
【請求項2】
前記創傷部位に陰圧を提供するために前記陰圧源からの陰圧が前記下部流体通路に加えられたとき、前記上部流体通路と前記下部流体通路との間の流体の流れは、前記底部層の前記遠位端の前記少なくとも2つの開口部のみを通過するように導かれる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記上部チャネルスペーサ層が、発泡体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記下部チャネルスペーサ層が、3D編み材料または3D布帛材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記頂部層及び前記底部層それぞれが、拡大された遠位端を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記頂部層及び前記底部層の前記拡大された端が矩形である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記頂部層及び前記底部層の前記拡大された端が涙滴形状を形成する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記底部層が、ドレープに取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記底部層が、アプリケータに取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記アプリケータが、前記少なくとも2つの開口部の少なくとも1つの直下に置かれる少なくとも1つのアパーチャを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記空気リークが、前記上部流体通路の前記近位端に隣接して配設されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記空気リークが、フィルタを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記上部チャネルスペーサ層の遠位端は、前記下部チャネルスペーサ層の遠位端よりも、さらに遠位に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記下部チャネルスペーサ層の前記近位端と流体連通するコネクタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの開口部は第1の開口部及び第2の開口部を含み、前記第1の開口部が、前記第2の開口部よりも前記底部層の前記遠位端に近い、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記中間層の前記遠位端が、前記頂部層の前記遠位端及び前記底部層の前記遠位端の少なくとも1つの近位にある、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
創傷部位に陰圧を提供するための装置であって、前記装置が、
近位端及び遠位端を有する細長いブリッジであって、前記細長いブリッジが、前記創傷部位に陰圧を提供するように構成された第1の流体通路、及び、前記創傷部位に向かって空気リークを提供するように構成された第2の流体通路を備える、細長いブリッジと、
前記細長いブリッジの前記遠位端にあるアプリケータであって、前記アプリケータが少なくとも2つの開口部を備える、アプリケータと、
を備え、
前記創傷部位に陰圧を提供するために陰圧源からの陰圧が前記第1の流体通路に加えられたとき、前記第2の流体通路と前記第1の流体通路との間の流体の流れは、前記アプリケータの前記少なくとも2つの開口部のみを通過するように導かれる、装置。
【請求項18】
前記第1の流体通路及び前記第2の流体通路の各々が、変形可能なスペーサを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の流体通路及び前記第2の流体通路が、隣り合わせに置かれている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記アプリケータが、ドレープに取り付けられるように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
創傷を治療する方法であって、前記方法が、
吸引アダプタを提供することであって、前記吸引アダプタが、
近位端及び遠位端を有する細長いブリッジ部分であって、前記細長いブリッジが、創傷部位に陰圧を提供するように構成された第1の流体通路、及び前記創傷部位に向かって空気リークを提供するように構成された第2の流体通路を備える、細長いブリッジ部分、
前記細長いブリッジの前記遠位端にあるアプリケータ、を備え、前記アプリケータが、第1の開口部、及び前記第1の開口部から離間した第2の開口部を備え、
前記第1の流体通路が、前記第1の開口部に流体接続し、前記第2の流体通路が、前記第2の開口部に流体接続する、提供することと、
前記アプリケータの前記第1の開口部及び前記第2の開口部を、前記創傷を覆うドレープの1つ以上のアパーチャの上に位置決めすることと、
前記ドレープに対して前記吸引アダプタをシールすることと、
前記吸引アダプタを通して前記創傷に陰圧を印加することと、を含み、空気が、前記創傷部位に向かって前記空気リークを通り、前記ドレープの下で前記第2の開口部を通り、そして前記第1の開口部を通って、前記第1の流体通路へと引き出される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の実施形態は、減圧療法または局所陰圧(TNP)療法を用いて、創傷を被覆かつ治療するための方法および装置に関する。具体的には、限定するものではないが、本明細書に開示された実施形態は、陰圧療法デバイス、TNPシステムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムの使用方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
ヒトまたは動物の治癒プロセスを助けるための、多くの異なるタイプの創傷被覆材が知られている。様々なタイプの創傷被覆材には、様々なタイプの材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。局所陰圧(TNP)療法は、真空補助閉鎖療法、陰圧創傷療法(NPWT)、または減圧創傷療法とも称されることがあり、創傷の治癒率を改善するための有益な機構として広く認識されている。こうした療法は、切開創傷、開放創、および腹部創などの広範な創傷に適用することができる。
【0003】
TNP療法は、組織浮腫を軽減し、血流を促し、肉芽組織の形成を促進させ、過剰な滲出物を除去することによって創傷の閉鎖および治癒を支援し、細菌負荷、ひいては、創傷への感染を低減し得る。その上、TNP療法は、創傷の外部障害を減らし、より迅速な治癒を促す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、陰圧創傷療法において使用するための装置、システム、デバイス、および方法を対象とする。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、創傷部位に陰圧を提供するための装置であって、装置が、
頂部層、底部層、および中間層であって、各層が、可撓性の液体不浸透性材料から構築されており、かつ互いに付着し、層の各々が、近位端および遠位端、およびそれらの間に延在する細長い部分を有する、頂部層、底部層、および中間層と、
頂部層と中間層との間に少なくとも部分的に画定される上部流体通路であって、上部流体通路が、近位端および遠位端を有し、上部流体通路が、上部層と中間層との間に位置付けられた上部チャネルスペーサ層を備え、上部流体通路が、上部流体通路の遠位端に向かって空気リークから空気を提供するように構成されている、上部流体通路と、
中間層と底部層との間に少なくとも部分的に画定される下部流体通路であって、下部流体通路が、陰圧源と流体連通するように構成されており、下部流体通路が、中間フィルム層と下部フィルム層との間に位置付けられた下部チャネルスペーサ層を備える、下部流体通路と、
底部層の遠位端にある第1の開口部および第2の開口部と、を備え、第1の開口部が、第2の開口部から離間しており、第1の開口部が、上部流体通路に流体接続し、第2の開口部が、下部流体通路に流体接続する、装置が提供される。
【0006】
先行する段落または他の実施形態に記載の装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、上部チャネルスペーサ層は発泡体を含み得、かつ/または下部チャネルスペーサ層は3D編み材料もしくは3D布帛材料を含み得る。いくつかの実施形態では、頂部層および底部層の各々は、拡大された遠位端を有し得る。頂部層および底部層の拡大された端は、矩形であってもよく、かつ/または涙滴形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、底部層は、アプリケータに取り付けられ得、かつ/またはドレープに取り付けられるように構成され得る。アプリケータは、第1の開口部および第2の開口部の直下に置かれた2つのアパーチャを備え得る。いくつかの実施形態では、空気リークは上部流体通路の近位端に隣接して配設され得、かつ/または空気リークはフィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、上部流体通路および下部流体通路は、互いに流体的に分離していてもよい。第1の開口部は、第2の開口部よりも底部層の遠位端に近い場合がある。中間層の遠位端は、頂部層および底部層の遠位端の近位にあってもよい。いくつかの実施形態では、装置は、下部チャネルスペーサ層の近位端と流体連通するコネクタをさらに備え得る。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、創傷部位に陰圧を提供するための装置であって、装置が、
近位端および遠位端を有する細長いブリッジであって、細長い本体が、創傷部位に陰圧を提供するように構成された第1の流体通路、および創傷部位に向かって空気リークを提供するように構成された第2の流体通路を備える、細長いブリッジと、
細長いブリッジの遠位端にあるアプリケータと、を備え、アプリケータが、第1の開口部、および第1の開口部から離間した第2の開口部を備え、
第1の流体通路が、第1の開口部に流体接続し、第2の流体通路が、第2の開口部に流体接続する、装置が提供される。
【0008】
先行する段落または他の実施形態に記載の装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の流体通路および第2の流体通路の各々は、変形可能なスペーサを備え得る。第1の流体通路の変形可能なスペーサは、3D編み材料または3D布帛材料を含み得、かつ/または第2の流体通路の変形可能なスペーサは、発泡体を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の流体通路は、第1の流体通路の上方に置くことができる。代替的に、第1の流体通路および第2の流体通路が、隣り合わせに置くことができる。いくつかの実施形態では、第1の流体通路および第2の流体通路は、細長いブリッジ内で互いに流体的に分離していてもよい。第1の流体通路および第2の流体通路は、流体不浸透性層によって分離され得る。いくつかの実施形態では、アプリケータは、ドレープに取り付けられるように構成され得る。第1の開口部は、第2の開口部よりもアプリケータの遠位端に近い場合がある。装置は、アプリケータの創傷面側に配設されている接着剤をさらに備え得る。いくつかの実施形態では、空気リークは、細長いブリッジの近位端に隣接して配設されている開口部を介して提供され得る。空気リークはフィルタを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、陰圧創傷療法装置を動作させる方法であって、方法が、
陰圧源を創傷の上に置かれた創傷被覆材に流体連結する流体流路内の総流量を決定することであって、創傷被覆材が、制御された空気リークから創傷被覆材にガスを提供するように構成された空気リーク路に流体接続し、空気リーク路が、流体流路に沿って延在するが、流体流路から流体的に分離している、決定することと、
総流量を監視することに応答して、少なくとも1つの動作状態の表示を提供することであって、
総流量が流れ閾値を満たさないと決定することに応答して、流体流路内に遮断状態が存在するという表示を提供すること、
総流量が流れ閾値を満たすと決定することに応答して、通常動作状態が存在するという表示を提供すること、によって、提供することと、を含み、
方法が、陰圧創傷療法装置のコントローラによって実施される、方法が提供される。
【0010】
先行する段落または他の実施形態に記載の方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施例では、流れ閾値は、流体流路内の予想流量に相当し得る。予想流量は、通常動作状態下の流体経路内の流量に相当し得る。いくつかの実施形態では、総流量を決定することは、陰圧源を動作させるモータの速度を測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、第1の期間中に第1の複数のモータ速度を測定することと、第1の複数のモータ速度を平均化することと、をさらに含み、平均は、流量を示す。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、創傷を治療する方法であって、方法が、
吸引アダプタを提供することであって、吸引アダプタが、
近位端および遠位端を有する細長いブリッジ部分であって、細長いブリッジが、創傷部位に陰圧を提供するように構成された第1の流体通路、および創傷部位に向かって空気リークを提供するように構成された第2の流体通路を備える、細長いブリッジ部分、
細長いブリッジの遠位端にあるアプリケータ、を備え、アプリケータが、第1の開口部、および第1の開口部から離間した第2の開口部を備え、
第1の流体通路が、第1の開口部に流体接続し、第2の流体通路が、第2の開口部に流体接続する、提供することと、
アプリケータの第1の開口部および第2の開口部を、創傷を覆うドレープの1つ以上のアパーチャの上に位置決めすることと、
ドレープに対して吸引アダプタをシールすることと、
吸引アダプタを通して創傷に陰圧を印加することと、を含み、空気が、創傷部位に向かって空気リークを通り、ドレープの下で第2の開口部を通り、そして第1の開口部を通って、第1の流体通路へと引き出される、方法が提供される。
【0012】
先行する段落または他の実施形態に記載の方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、ドレープの1つ以上のアパーチャは、第1のアパーチャおよび第2のアパーチャを含み得、位置決めすることは、アプリケータの第1の開口部とドレープの第1のアパーチャとを整列させること、およびアプリケータの第2の開口部とドレープの第2のアパーチャとを整列させることを含み得る。
【0013】
創傷部位に陰圧を提供するための装置、デバイス、キット、および関連する方法の他の実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの実施形態による減圧創傷療法システムを例示している。
図2】いくつかの実施形態によるポンプアセンブリおよびキャニスタを例示している。
図3】いくつかの実施形態によるポンプアセンブリの電気的構成要素概略図を例示している。
図4A】ポンプを備える陰圧創傷治療システムの実施形態を例示しており、創傷に適用される可撓性の吸引アダプタを例示している。
図4B図4Aの実施形態を例示しており、可撓性の吸引アダプタが創傷の上に置かれている。
図5A】陰圧創傷治療システムにおいて使用され得る可撓性の吸引アダプタの等角図を例示している。
図5B図5Aの可撓性の吸引アダプタの分解図を例示している。
図5C図5Bの可撓性の吸引アダプタの近位端の拡大図を例示している。
図5D図2Aの可撓性の吸引アダプタの近位端の拡大切り欠き図を例示している。
図5E図5Aの可撓性の吸引アダプタの上面図を例示している。
図5F図5Aの可撓性の吸引アダプタの側面図を例示している。
図5G図5Aの可撓性の吸引アダプタの下面図を例示している。
図6】代替的な可撓性の吸引アダプタの分解図を例示している。
図7A】陰圧創傷治療デバイスで使用され得る3D布帛の上面図を例示している。
図7B図7Aの3D布帛の下面図を例示している。
図7C図7Aの3D布帛の側面切り欠き図を例示している。
図8A図5Aに例示される吸引アダプタに接続され得る、2つ以上の突出部を有するコネクタの実施形態を例示している。
図8B図5Aに例示される吸引アダプタに接続され得る、2つ以上の突出部を有するコネクタの実施形態を例示している。
図9A】陰圧創傷治療システムで使用され得る可撓性の吸引アダプタの分解図を例示している。
図9B図9Aの可撓性の吸引アダプタの上面図を例示している。
図9C図9Aの可撓性の吸引アダプタの断面図を例示している。
図10】いくつかの実施形態による、陰圧を印加するためのシステムの図を例示している。
図11A】陰圧デバイスを含む陰圧創傷治療システムを例示しており、いくつかの実施形態に従って、創傷に適用されている一対の可撓性の吸引アダプタを例示している。
図11B図11Aの実施形態を例示しており、可撓性の吸引アダプタが創傷の上に置かれている。
図12】いくつかの実施形態による、陰圧を印加するためのシステムの図を例示している。
図13】いくつかの実施形態による、1つ以上の動作状態を決定および表示するためのプロセスのフロー図を例示している。
図14】いくつかの実施形態による、1つ以上の動作状態を決定および表示するためのプロセスのフロー図を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概要
本明細書に開示される実施形態は、減圧により創傷を治療する装置、システム、デバイス、および方法に関する。本明細書で使用される場合、-XmmHgなどの減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、通常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低くなる)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高くなる)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0016】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(TNP)または減圧療法システムで使用するように適用可能である。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、または過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減することができる。さらに、この療法により、創傷の障害を少なくし、より迅速な治癒につなげることができる。TNP療法システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。いくつかの実施形態では、TNP療法は、閉鎖の反対位置の組織を安定化するのに役立つ。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0017】
陰圧システム
図1は、創傷空洞110の内側に置かれた創傷充填材130を含む、陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を例示しており、創傷空洞は、創傷カバー120によってシールされている。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管といった流路140は、例えばポンプアセンブリ150といった、減圧を供給するように構成された陰圧創傷療法デバイスを有する創傷カバー120に接続される。創傷カバー120は、創傷空洞110に流体連通することができる。図1に例示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプアセンブリは、キャニスタレスポンプアセンブリ(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管140を介して運ばれることを意味する)であることができる。しかしながら、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に装着され、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。創傷充填材130は、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグなどの任意の好適なタイプであってもよい。創傷充填材130は、それが実質的に空洞を充填するように、創傷空洞110に適合することができる。創傷カバー120は、創傷空洞110を覆う実質的に流体不浸透性のシールを提供することができる。創傷カバー120は、頂部側および底部側を有することができ、底部側は、創傷空洞110を粘着的に(または任意の他の好適な手法において)シールする。本明細書で開示される導管140もしくは内腔またはいくつかの他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意の他の好適な材料から形成され得る。
【0018】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端を受容するように構成されたポート(図示せず)を有し得る。他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創傷空洞内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷空洞110に供給するための創傷カバー120を通り抜けるか、またはその下を通ることができる。導管140は、ポンプアセンブリ150によって提供される減圧圧力を創傷空洞110に供給するように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的にシールされた流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。創傷カバー120および創傷充填材130は、単一物品または一体化された単一ユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされ得る。次いで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプアセンブリ150といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用され得る。
【0019】
創傷カバー120は、治療される創傷部位の上に位置し得る。創傷カバー120は、創傷部位を覆う実質的にシールされた空洞またはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開および他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの部品は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0020】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管140がポンプアセンブリ150から迅速にかつ容易に除去され得るようにポンプアセンブリ150および管140を構成することは、必要に応じて、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管とポンプとの間の任意の好適な接続を有するように構成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリ150は、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgの陰圧を送達するように構成され得る。これらの圧力は、通常の周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHg~-150mmHgであり得る。代替的に、最高-75mmHg、最高-80mmHg、または-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替的に、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ150により供給され得る。いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリ150は、連続的または断続的な陰圧療法を提供するように構成されている。連続療法は、-25mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下で送達され得る。断続的な療法は、低い陰圧設定値と高い陰圧設定値との間で送達され得る。低い設定値は、0mmHgより上、0mmHg、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、または-180mmHgより下に設定され得る。高い設定値は、-25mmHgより上、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下に設定できる。断続的な療法の間、低い設定値での陰圧を第1の継続時間にわたって送達することができ、かつ第1の継続時間の終了時には、高い設定値での陰圧を第2の継続時間にわたって送達することができる。第2の継続時間の終了時には、低い設定値での陰圧を送達することができる。第1および第2の継続時間は、同一の値または異なる値とすることができる。第1および第2の継続時間は、以下の範囲から選択することができる:2分より短い、2分、3分、4分、6分、8分、10分、または10分よりも長い。いくつかの実施形態では、低い設定値と高い設定値との間の切り替えを行うことは、ステップ波形、矩形波、正弦波形等に従って実施することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、TNPシステム100は、ポンプアセンブリ150に接続された複数の創傷被覆材を含み得る。ポンプアセンブリ150を用いた複数の創傷被覆材を有するTNPシステムの性能および創傷治癒能力(流体管理など)は、単一ポンプのセットアップを伴う標準的な単一創傷被覆材のそれと同等であるか、または超えることができる。
【0023】
動作時に、創傷充填材130は創傷空洞110内に挿入され、創傷カバー120は創傷空洞110をシールするように置かれる。ポンプアセンブリ150は、創傷充填材130を介して創傷空洞110に送られる陰圧源を創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に保存され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または1つ以上の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0024】
本出願のポンプアセンブリおよび他の実施形態とともに利用され得る創傷被覆材としては、Smith&Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico被覆材が挙げられる。本明細書に記載される被覆材のいずれも、被覆材とポンプアセンブリとの間の、Smith and NephewのRenasys Soft Portコネクタまたはインターフェースとともに使用できる。例えば、Renasys Soft Portコネクタは、流路140内に位置付けられて、創傷被覆材のポートとして機能することができる。他の実施形態では、他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0025】
ポンプアセンブリおよびキャニスタ
図2は、いくつかの実施形態によるポンプアセンブリ230およびキャニスタ220の前面図200を例示している。例示されるように、ポンプアセンブリ230とキャニスタが接続され、それによって、TNPデバイスまたはシステムを形成する。ポンプアセンブリ230は、アラームを示すように構成される視覚的インジケータ202およびTNPシステムの状態を示すように構成される視覚的インジケータ204などの1つ以上のインジケータを含む。インジケータ202および204は、通常のまたは適切な動作状態、ポンプ停止、ポンプまたは停電に供給される電力、創傷カバーまたは流れ経路内の漏れの検出、吸引遮断、無流状態、キャニスタフル状態、または他の同様のまたは好適な状態またはそれらの組み合わせをユーザに警告することを含む、システムの様々な動作状態または停止状態を患者または医療提供者などのユーザに警告するように構成され得る。ポンプアセンブリ230は、追加のインジケータを含むことができる。ポンプアセンブリは、単一のインジケータまたは複数のインジケータを使用することができる。任意の好適なインジケータは、例えば、視覚的な、聴覚的な、触覚的なインジケータなどとして使用され得る。インジケータ202は、例えば、キャニスタフル、低電力、導管140の接続解除、創傷シール120におけるシール破壊などのアラーム状態を示すように構成され得る。インジケータ202は、ユーザの注意を引くために赤い点滅ライトを表示するように構成され得る。インジケータ204は、例えば、療法送達は正常である、漏れが検出されたなどのTNPシステムの状態を示すように構成され得る。インジケータ204は、例えば、緑、黄などの1つ以上の異なる色の光を表示するように構成され得る。例えば、緑色の光は、TNPシステムが適切に動作しているときに放出されてもよく、黄色の光は、警告を示すために放出されてもよい。
【0026】
ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリの場合に形成される凹部208内に装着される、ディスプレイまたはスクリーン206を含む。ディスプレイ206は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。ディスプレイ206は、取扱説明動画などの視聴覚(AV)コンテンツの再生を支持することができる。本明細書で説明されるように、ディスプレイ206は、いくつかのスクリーンまたはグラフィックユーザインターフェース(GUI)がTNPシステムの動作を構成する、制御する、および監視するように構成され得る。ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリの場合に形成されるグリップ部分210を含む。グリップ部分210は、例えば、キャニスタ220の取り外しの間などに、ユーザがポンプアセンブリ230を保持することを支持するように構成され得る。キャニスタ220は、例えば、キャニスタ220が流体で充填されたときなどに、別のキャニスタと置換され得る。
【0027】
ポンプアセンブリ230は、ユーザがTNPシステムを動作させ、かつその動作を監視することを可能にするように構成されている、1つ以上のキーまたはボタン212を含む。例示されるように、ボタン212a、212b、および212cが含まれる。ボタン212aは、ポンプアセンブリ230の電源を入れる/切るための電源ボタンとして構成され得る。ボタン212bは、陰圧療法の供給のためのプレイ/ポーズボタンとして構成され得る。例えば、ボタン212bを押すことにより、療法を開始することができ、その後ボタン212bを押すことにより、療法を停止または終了することができる。ボタン212cは、ディスプレイ206またはボタン212をロックするように構成され得る。例えば、ボタン212cは、ユーザが故意でなく療法の供給を変えることがないように押され得る。ボタン212cは、制御をアンロックするために押下され得る。他の実施形態では、追加的なボタンが、使用されてもよいか、または例示したボタン212a、212bまたは212cのうち1つ以上が、省かれてもよい。複数のキーの押下またはキーの連続的な押下は、ポンプアセンブリ230を動作させるために使用され得る。
【0028】
ポンプアセンブリ230は、カバーに形成された1つ以上のラッチ凹部222を含む。例示的実施形態では、2つのラッチ凹部222は、ポンプアセンブリ230の側部に形成され得る。ラッチ凹部222は、1つ以上のキャニスタラッチ221を使用してキャニスタ220の取り付けおよび分離を可能にするように構成され得る。ポンプアセンブリ230は、創傷空洞110から除去される空気を逃がすことができるための空気出口224を含む。ポンプアセンブリに入る空気は、抗菌フィルタなどの1つ以上の好適なフィルタを通り抜けることができる。これは、ポンプアセンブリの再利用性を維持することができる。ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリ230に携帯ストラップを接続するための、または受け台を取り付けるための1つ以上のストラップ装着部226を含む。例示的実施形態では、2つのストラップ装着部226は、ポンプアセンブリ230の側部に形成され得る。いくつかの実施形態では、様々な特徴は省かれるか、または様々な追加的な特徴がポンプアセンブリ230に加えられる。
【0029】
キャニスタ220は、創傷空洞110から除去される流体(例えば、滲出液)を保持するように構成されている。キャニスタ220は、キャニスタをポンプアセンブリ230に取り付けるための1つ以上のラッチ221を含む。例示的実施形態では、キャニスタ220は、キャニスタの側部に2つのラッチ221を含む。キャニスタ220の外部は、キャニスタが実質的に不透明であり、またキャニスタの中身が平面視で実質的に隠されるように、つや消しプラスチックから形成され得る。キャニスタ220は、キャニスタの場合に形成されるグリップ部分214を含む。グリップ部分214は、例えば、装置230からのキャニスタの取り外しの間などに、ユーザがポンプアセンブリ220を保持することを可能にするように構成され得る。キャニスタ220は、実質的に透明な窓216を含み、それはまた、量の目盛りを含むことができる。例えば、例示される300mLのキャニスタ220は、50mL、100mL、150mL、200mL、250mLおよび300mLの目盛りを含む。キャニスタの他の実施形態は、異なる量の流体を保持することができ、異なる目盛り尺度を含むことができる。例えば、キャニスタは、800mLのキャニスタとすることができる。キャニスタ220は、導管140に接続するための管状のチャネル218を含む。いくつかの実施形態では、グリップ部分214などのこれらの特徴のうちの1つ以上が省かれるか、または様々な追加的な特徴がキャニスタ220に加えられる。いくつかの開示されるキャニスタは、凝固剤を含んでもよいか、または凝固剤を省いてもよい。
【0030】
電子機器およびソフトウェア
図3は、いくつかの実施形態による、ポンプアセンブリ230などの、ポンプアセンブリの電気的構成要素概略図300を例示している。電気的構成要素は、ユーザ入力を受け入れ、ユーザに出力を提供し、ポンプアセンブリおよびTNPシステムを操作し、ネットワーク接続を提供するように動作することができる。電気的構成要素は、1つ以上のプリント回路基板(PCB)上に装着され得る。例示されるように、ポンプアセンブリは複数のプロセッサを含み得る。様々なタスクを異なるプロセッサに配分する、または割り当てるために、複数のプロセッサを利用することが有利であり得る。第1のプロセッサは、ユーザ活動に関与することができ、第2のプロセッサは、ポンプを制御することに関与することができる。このように、ポンプを制御する活動は、より高いレベルの応答性を必要とする場合(より高いリスクレベルに対応する)があるが、専用プロセッサに任せることができ、それによって、ユーザとのやりとりのため、完了により時間がかかる場合があるユーザインターフェースタスクに中断されなくなる。
【0031】
ポンプアセンブリは、ユーザ入力を受け入れ、ユーザに出力を提供するための、ディスプレイ206、ボタン212などの1つ以上の構成要素を操作するように構成されたユーザインターフェースプロセッサまたはコントローラ310を含み得る。ポンプアセンブリへの入力およびポンプアセンブリからの出力は、入力/出力(I/O)モジュール320によって制御できる。例えば、I/Oモジュールは、シリアル、パラレル、ハイブリッドポートなどの1つ以上のポートからデータを受信し得る。プロセッサ310はまた、データを受信し、1つ以上のUSBポート、SDポート、コンパクトディスク(CD)ドライブ、DVDドライブ、FireWireポート、Thunderboltポート、PCI Expressポートなどの1つ以上の拡張モジュール360にデータを提供する。プロセッサ310は、他のコントローラまたはプロセッサとともに、プロセッサ310の内部または外部にあり得る、1つ以上のメモリモジュール350にデータを保存する。RAM、ROM、磁気メモリ、固体メモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)などの揮発性または不揮発性メモリを含む任意の好適なタイプのメモリを使用し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、プロセッサ310は、低電力プロセッサなどの汎用コントローラとすることができる。他の実施形態では、プロセッサ310はアプリケーションに特化したプロセッサであり得る。プロセッサ310は、ポンプアセンブリの電子アーキテクチャ内の「中央」プロセッサとして構成され得、プロセッサ310は、ポンプ制御プロセッサ370、通信プロセッサ330、および1つ以上の追加的プロセッサ380(例えば、ディスプレイ206を制御するためのプロセッサ、ボタン212を制御するためのプロセッサなど)などの他のプロセッサの動作を連携し得る。プロセッサ310は、Linux、Windows CE、VxWorksなどの好適なオペレーティングシステムを実行し得る。
【0033】
ポンプ制御プロセッサ370は、陰圧源またはポンプ390の動作を制御するように構成され得る。ポンプ390は、膜ポンプ、蠕動ポンプ、回転ポンプ、回転ベーンポンプ、スクロールポンプ、ねじポンプ、液封式ポンプ、圧電気変換器によって操作されるポンプ(例えば、膜ポンプ)、ボイスコイルポンプなどの好適なポンプとし得る。ポンプ制御プロセッサ370は、1つ以上の圧力センサから受信したデータを使用して、流体流路内の圧力を測定し、流体流量を計算し、ポンプを制御し得る。ポンプ制御プロセッサ370は、所望のレベルの陰圧が創傷空洞110内で達成されるように、ポンプモータといったアクチュエータを制御し得る。所望のレベルの陰圧は、圧力設定またはユーザによって選択され得る。様々な実施形態では、ポンプ制御プロセッサ370は、パルス幅変調(PWM)を使用してポンプアクチュエータ(例えば、ポンプモータ)を制御する。ポンプアクチュエータを駆動するための制御信号は、0~100%のデューティサイクルPWM信号とし得る。ポンプ制御プロセッサ370は、流量計算を実施し、流路内の様々な条件を検出し得る。ポンプ制御プロセッサ370は、プロセッサ310に情報を通信し得る。ポンプ制御プロセッサ370は、内部メモリを含むか、またはメモリ350を利用することができる。ポンプ制御プロセッサ370は、低電力プロセッサであってもよい。
【0034】
通信プロセッサ330は、有線または無線接続を提供するように構成され得る。通信プロセッサ330は、データを送受信するために1つ以上のアンテナ340を利用し得る。通信プロセッサ330は、以下のタイプの接続のうちの1つ以上を提供することができる。全地球測位システム(GPS)技術、セルラー接続(例えば、2G、3G、LTE、4G)、Wi-fi接続、インターネット接続など。接続は、ポンプアセンブリ位置トラッキング、資産管理、コンプライアンス監視、遠隔選択、ログ、アラーム、他の運転データのアップロード、治療設定の調節、ソフトウェア、またはファームウェアのアップグレードなど、様々な活動に使用し得る。通信プロセッサ330は、GPS/セルラー2つの機能を提供できる。セルラー機能は、例えば、3G機能であり得る。このような場合、GPSモジュールが大気条件、建物または地形の干渉、衛星ジオメトリなどの様々な要因により衛星接続を確立できない場合、デバイスの位置は、携帯電話認証、三角測量、フォワードリンクタイミングを使用することなどによる、3Gネットワーク接続を使用して決定できる。ポンプアセンブリはSIMカードを含み得、SIMベースの位置情報を取得し得る。
【0035】
通信プロセッサ330は、プロセッサ310に情報を通信し得る。通信プロセッサ330は、内部メモリを含むか、またはメモリ350を利用することができる。通信プロセッサ330は、低電力プロセッサであり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリは、位置付けデータ、療法パラメータ、ログ、デバイスデータなどのうちの1つ以上といった、様々なデータを追跡し、保存し得る。ポンプアセンブリは、療法および他の動作データを追跡およびログできる。データは、例えば、メモリ350内で保存され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330によって提供される接続を使用して、デバイスは、ポンプアセンブリによって保存され、維持され、または追跡された任意のデータをアップロードすることができる。例えば、療法期間といった、療法送達情報を含む活動ログ、アラームタイプや発生時刻を含むアラームログ、内部エラー情報や送信エラーなどを含むエラーログ、時間毎、日毎などで演算され得る療法期間情報、特定の療法プログラムを最初に適用してからの療法期間を含む療法合計時間、生涯の療法情報、シリアル番号やソフトウェアバージョン、電池レベルなどといったデバイス情報、デバイス位置情報、患者情報などの情報を、リモートコンピュータまたはサーバにアップロードすることができる。デバイスはまた、治療法選択およびパラメータ、ファームウェアおよびソフトウェアパッチおよびアップグレードなど、様々な運転データをダウンロードし得る。ポンプアセンブリは、1つ以上のブラウザプログラム、メールプログラム、アプリケーションソフトウェア(例えば、アプリケーション)などを使用して、インターネット閲覧機能を提供することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプアセンブリのハウジングの位置といった、ポンプアセンブリの位置を、ポンプアセンブリに近接する(例えば、10メートル以内、20メートル以内、または50メートル以内など)他のデバイスに通信するために、アンテナ340を使用することができる。通信プロセッサ330は、実装に応じて他のデバイスと一方向または双方向の通信を実施できる。通信プロセッサ330によって送信される通信は、ポンプアセンブリの近傍にある1つ以上の他のポンプアセンブリに対してポンプアセンブリを一意的に識別するための情報を識別することを含み得る。例えば、情報を識別することは、シリアル番号、またはシリアル番号に由来する値を含むことができる。通信プロセッサ330によって送信された通信の信号強度が、制御されて(例えば、一定または実質的に一定のレベルで維持されて)、別のデバイスが、デバイスとポンプアセンブリとの間の距離といった、ポンプアセンブリまでの距離を決定することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプアセンブリの近傍にある他のデバイスと通信することができ、それにより、通信プロセッサ330は、それ自体でポンプアセンブリから他のデバイスまでの距離を決定することができる。このような実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプアセンブリから他のデバイスまでの距離、または経時的な距離変化の表示を記録し、保存することができ、通信プロセッサ330はその後、この情報を他のデバイスに提供することができる。例えば、通信プロセッサ330は、ポンプアセンブリがデバイスの被覆面積から取り外される時間を決定し、その後、被覆面積に戻される際に、この時間をデバイスに報告することができる。
【0040】
可撓性の吸引アダプタ
図4A図6は、図1に例示される実施形態と同様の陰圧創傷治療システム5501の実施形態を例示している。ここで、システム5501は、近位端5503および遠位端5505を含むブリッジ部分5502を有する可撓性の吸引アダプタ5500と、可撓性の吸引アダプタ5500を形成するブリッジ部分5502の遠位端5505にあるアプリケータ5520と、を備え得る。コネクタ5504は、図4Bに示されるように、チャネル5512および/または5516のうちの少なくとも1つに接続するように、ブリッジ部分5502の近位端5503に配設されていることが好ましい。キャップ5536がシステム5501に提供され得る(場合によっては、例示されるように、コネクタ5504に取り付けられ得る)。キャップ5536は、流体が近位端5503から漏出するのを防止するときに有用であり得る。システム5501は、ポンプまたは陰圧を供給できる陰圧ユニット5534などの、陰圧源を含み得る。ポンプは、創傷から除去され得る創傷滲出液および他の流体を貯蔵するための、キャニスタまたは他の容器も備えることが好ましい。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、図2に関連して説明されるポンプ200であってもよい。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、Smith&Nephewによって販売されるRENASYS GOポンプであってもよい。ポンプ5534は、管5540を介してコネクタ5504に接続され得る。使用時、アプリケータ5520は、好適に準備された創傷5530の上に置かれたドレープ5531に形成されたアパーチャ5535の上に置かれ、場合によっては、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で充填され得る。続いて、ポンプ5534が管5540を介してコネクタ5504に接続されると、ポンプが起動され、それによって、陰圧が創傷に供給される。陰圧の印加は、創傷5530の所望するレベルの治癒が達成されるまで印加され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、ブリッジ部分5502は、上部層5510と中間層5514との間に位置付けられた上部チャネル層5512を備えることができ、下部チャネル層5516が中間層5514と底部層5518との間に位置付けられている。好ましくは、層5510、5514、および5518は、近位端と遠位端との間に延在する細長い部分を有し、かつ流体不浸透性の材料、例えば、ポリウレタンなどのポリマーからなり得る。当然のことながら、層5510、5514、および5518は各々、半浸透性材料を含む異なる材料から構築され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、層5510、5514、および5518のうちの1つ以上は、少なくとも部分的に透明であってもよい。図5Bに例示されるように、上部層5510および下部層5518は、それらの長さの大部分にわたって湾曲していても、丸みを帯びていても、外向きに凸状であってもよい。組み立ての間、例えば、層5510、5514、および5518は、層を一緒に溶接または付着するために一緒につまむことができる。そうすることで、チャネル5512および5516の近位端を、これらの層の間に挟み、それに伴って、チャネル5512、5516の近位端を部分的に圧縮し、これらの上述の近位端の上に層5510、5514、5518を伸展させることができる。当然のことながら、ブリッジ部分5502に使用される材料の近位端は、必ずしも丸みを帯びているか、または湾曲しているとは限らない場合があり、図6に示されるように、実質的に四角に切られて真っ直ぐなままでもよい。
【0042】
上部チャネル層5512および下部チャネル層5516は、好ましくは、近位端5503から遠位端5505まで延在する細長い層であり、各々が好ましくは、例えば、ポリエチレンまたはポリウレタンといった連続気泡発泡体を含む多孔質材料を含み得る。いくつかの実施形態では、上部チャネル層5512および下部チャネル層5516のうちの1つ以上は、布帛、例えば、編まれたもしくは織られたスペーサ布帛(ポリエステルで編まれた3D布帛、Baltex 7970.RTM.、もしくはGehring 879.RTM.など)、または不織布材料からなり得る。好適な材料はまた、テリー織またはループパイル材料を含み得る。繊維は必ずしも織物である必要はなくてもよく、フェルトおよび植毛(Flotex.RTM.などの材料を含む)繊維材料を含み得る。選択された材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧および/または吐出された空気を創傷部位へ伝達するのに適しており、かつまた以下で説明されるように、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗をチャネル層5512および5516に与える場合がある。一実施形態では、上部チャネル層5512はポリウレタンなどの連続気泡発泡体を含み得、下部チャネル層は本明細書に記載の布帛を含み得る。別の実施形態では、上部チャネル層は任意選択であり、その代わりに、システムは開放上部チャネルを備え得る。図5Bに例示される実施形態では、上部チャネル層5512は、湾曲した、丸みを帯びた、または上向きに凸状の上部表面と、実質的に平坦な下部表面と、を有し得、下部チャネル層5516は、湾曲した、丸みを帯びた、または下向きに凸状の下部表面と、実質的に平坦な上部表面と、を有し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、布帛は、三次元(3D)構造を有し得、1つ以上のタイプの繊維が、繊維が全三次元方向に延在する構造を形成する。かかる布帛は、場合によっては、ウィッキング、流体の輸送、および/または陰圧の伝達を助け得る。チャネル5512および/または5516が、システム5501内に包まれている間に変位するか、またはねじれる(これにより、それぞれのチャネルの性能が陰圧下で損なわれる場合がある)ことを防止するために、いくつかの実施形態では、チャネル5512および/または5516を、層5510、5514、および5518のうちの1つ以上に付着させるか、または別様に固設することが好ましい場合がある。特定の実施形態では、これらの材料は、開放されたままであり、かつ陰圧療法で使用される通常の圧力、例えば、より高い値およびより低い値が可能であるが、40~150mmHgの圧力下で、陰圧を創傷面積に伝えることができる。いくつかの実施形態では、布帛は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を含んでもよく、場合によっては、陰圧の印加の下で、チャネル5516が崩れるのを防止するのに有用であり得る。他の実施形態では、チャネル5516に使用される布帛は、1.5mm~6mmであってもよく、より好ましくは、布帛は、3mm~6mmの厚さであってもよく、布帛の1つまたはいくつかの個別の層からなり得る。他の実施形態では、チャネル5512は、1.2~3mmの厚さであってもよく、かつ好ましくは1.5mmよりも厚くてもよい。追加的に、先に説明したように、システム5501に使用される材料は、好ましくは、適合する材料および柔らかい材料であり、それにより患者の皮膚に押し付けられる創傷治療システムに起因する場合がある、圧迫性褥瘡および他の合併症を回避するのに役立ち得る。3D布帛のさらなる例を図7A図7Cにおいて以下で考察する。
【0044】
好ましくは、層5510、5514、および5518、ならびにチャネル層5512および5516の遠位端は、(創傷部位の上に置かれるように)それらの遠位端で拡大され、「涙滴」または他の拡大された形状を形成し得る。少なくとも層5512、5514、5516、および5518の遠位端は、少なくとも1つの貫通アパーチャを備えることもできる。このアパーチャは、これらのアパーチャがこれらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るので、創傷滲出液のドレナージのため、および創傷への陰圧の印加のためだけでなく、デバイスの製造中にも有用であり得る。
【0045】
さらに図5Bおよび図5Cならびに図6を参照すると、チャネルコネクタ5506がブリッジ部分5502の近位端5503に提供されており、チャネルコネクタ5506は、確実な流体接続を作り出すように、下部チャネル層5516に埋め込まれるように構成されていることが好ましい。チャネルコネクタ5506は、いくつかの実施形態では、チャネル5516内に形成されている、予め作られた空洞内に挿入されてもよく、図6に例示されるように、この空洞は、切り取られ得るか、またはさねはぎ接合の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ5506は、以下の図8Aおよび図8Bに記載のコネクタのうちの1つであってもよい。チャネルコネクタ5506の一方の端が下部チャネル層5516に埋め込まれている状態で、チャネルコネクタ5506の反対側の端は、一実施形態では、コネクタ管5507と接続または連通していてもよいが、いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ5506は、コネクタ5504に直接接続され得るか、またはそうでなければ、陰圧源に接続された管5540に直接接続され得る。コネクタ管5507を使用する場合、結果として生じるアセンブリは、コネクタ5504をそれに取り付けることを可能にし得る。例えば、コネクタ管5507の外表面上に配設されたリングで固設されたキャップリーシュ5527を介して、吸引アダプタに固設され得るキャップ5536。キャップ5536は、滲出液および他の創傷流体が漏れ出るのを防止するように、例えば、コネクタ5504において、吸引アダプタの端を覆うために使用され得る。コネクタ5504は、陰圧源に接続された管5540と接続するよう構成されていることが好ましい。コネクタ5504は、例えば、コネクタ5504を管5540および/またはキャップ5536に固設するのを助けるためのリップまたは他のかかる構造を備え得るが、クイックディスコネクトカップリング、ルアーロック、クリスマスツリー、および他のかかるコネクタを含む、他のコネクタのタイプが可能であることが理解されよう。
【0046】
上部層5510は、好ましくはブリッジ部分5502の厚さの少なくとも下方に延在する追加の材料を含むことができ、この材料を使用して、流体密接シールを形成するように、他の層に接合または溶接することができる。より具体的には、組み立ての間、上部層5510は、流体密接シールを形成するように、例えば、溶融すること、溶接すること、または接着剤を用いることによって、下部層5518に取り付けられ得る(遠位端および近位端のアパーチャを除く)。中間層5514は、頂部層5510および底部層5518に取り付けられることが好ましい。いくつかの実施形態では、流体密接シールを作り出すように、コネクタ5504および/または5506、ならびに管5507を、層5510、5514、5518のうちの少なくとも1つに取り付けるか、または接合することが好ましい場合がある。より確実な接続を提供するために、いくつかの実施形態は、下部層5518上に作られた溶接部5532を備えることもできる。下部チャネル5516は、それを貫通して作られた穴またはアパーチャを有することができ、これらを使用して、下部チャネル5516を、溶接部5532を介して、下部層5518に溶接することができる。したがって、穴5533を通して作られた溶接部5532を介した、下部チャネル5516と下部層5518とのこの溶接は、様々な層およびチャネルがシフトまたは変位することを防止するのを助ける場合がある。言うまでもなく、他の固設手段、例えば、接着剤などを使用することができること、およびかかる配置を上部チャネル5512でも使用することができることが理解されよう。
【0047】
特定の実施形態では、例えば、図5A図6に例示されるように、制御された空気リーク5524は、ブリッジ部分5502の上、例えば、その近位端に配設され得る。この空気リーク5524は、空気リーク5524が上部チャネル5512と流体連通するように、上部層5510を通って延在する開口部またはチャネルを備え得る。吸引アダプタ5500への吸引の適用時、空気は空気リーク5524を通って入り、上部チャネル5512に沿って、近位端5503から遠位端5505まで移動する。次いで、空気は、層5512、5514、5516、および5518の遠位端を通り、アパーチャを通って通過することによって、下部チャネル5516内に吸引される。空気リーク5524は、フィルタ5525を含むことが好ましい。空気リーク5524は、創傷滲出液または他の流体が空気リーク5524またはそのフィルタ5525と接触し、かつ場合によっては、それらを閉塞するか、またはそれらと干渉する可能性を最小限に抑えるように、ブリッジ部分5502の近位端に位置することが好ましい。いくつかの実施形態では、このフィルタ5525は、微生物および細菌を排除することができる微孔性膜であり、45μmより大きい粒子を濾過することができる。好ましくは、フィルタ5525は、1.0μmより大きい粒子、より好ましくは0.2μmより大きい粒子を排除し得る。有利なことに、いくつかの実施形態は、例えば、水、シャンプーなどの一般的な家庭用液体、および他の界面活性剤に少なくとも部分的に耐化学性であるフィルタ5525を提供し得る。いくつかの実施形態では、フィルタ5525を閉塞する任意の異物を取り除くには、吸引アダプタ5500に真空を再印加すること、および/またはフィルタ5525の露出した外側部分をふき取ることで十分な場合がある。フィルタ5525は、アクリル、ポリエーテルサルフォン、またはポリテトラフルオロエチレンなどの好適な抵抗性ポリマーからなり得、かつ疎油性および/または疎水性であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ5525はまた、支持バッキング層、例えば、不織布ポリエステル支持体を備え得る。空気リーク5524は、追加の陰圧がシステム5501に印加されると、それほど増加しない比較的一定の空気の流れを供給することが好ましい。空気リーク5524を通る空気の流れが増加する吸引アダプタ5500の実施形態では、追加の陰圧が印加されると、この増加した空気の流れは、最小限に抑えられ、かつ吸引アダプタ5500に印加される陰圧に比例して増加しないことが好ましい。
【0048】
特定の実施形態では、制御された空気リーク5524に提供されるフィルタ5525はシステム5501において、より多くの、歩行可能な、動く患者に使用するのに有用であり得る。例えば、耐薬品性のフィルタは、陰圧源に再接続されると、フィルタの機能性を損なうことなく、患者が入浴するかまたはシャワーを浴びることを可能にし得る。次いで、空気リーク5524を遮断する任意の閉塞または流体を、例えば、フィルタ5525をふき取るか、または陰圧を吸引アダプタ5500に再印加することによって、取り除くことができる。かかるシステムはまた、例えば、入浴に付随して起こる、システム5501および任意の様々な創傷被覆材材料の取り外し、およびその後の再印加が必要ではなく、患者が陰圧源の接続解除をする必要がないという利点を有し得る。これは、本治療システムの費用対効果および使いやすさの改善において、有意な利点を伴い得る。
【0049】
吸引アダプタ5500は、吸引アダプタ5500がねじれているか、または重みが付けられていても、一貫した流体の流れを提供するように構築されていることが好ましい。例えば、患者に使用する場合、ブリッジ部分5502は、それ自体の上に折り畳まれ得るか、またはそうでなければ、上に患者を横転させて、それに伴って、吸引アダプタ5500の少なくとも一部分の上に患者の体重を置くことができる。典型的には、先行技術の被覆材および流体コネクタは、かかる状況で遮断されるか、または無効になり、場合によっては、圧迫潰瘍などの合併症に寄与し得る。しかしながら、ここで、特定の実施形態は、ねじれているか、または重みが付けられている場合に、改善された遮断抵抗を提供する。好ましくは上述のようにチャネル層5512および5516を採用することによって、より好ましくは発泡体チャネル層5512および布帛チャネル層5516を採用することによって、吸引アダプタ5500は、陰圧が陰圧源を通して印加されている間、少なくとも0.08L/分、好ましくは0.12L/分の空気リーク5524を通る流量を維持することができる。さらなる実施形態は、少なくとも10L/日または6.9ml/分の下部チャネル5516を通る、創傷部位からの流体滲出液のドレナージを取り扱うことができるように、吸引アダプタ5500も提供する。特定の実施形態は、これらの流量を、直径が1インチのロッドを通してブリッジ部分を押下する重量、例えば、12kgの重量で維持するために、吸引アダプタ5500を提供する。いくつかの実施形態では、これらの流量は、ブリッジ部分5502がそれ自体の上に、同じ重量で、または例えば、4.75kgの重量が折り畳まれた領域の上に直接置かれた状態で、ねじれている間も維持される。吸引アダプタ5500は、例えば、40時間を超える長期間にわたっても折り畳みまたはねじれに耐えることができ、かつ上に折り畳まれるか、またはねじれる前の性能と比較して、性能(例えば、流量)の点でいかなる劣化も示さないことが好ましい。好ましくは、吸引アダプタ5500の実施形態は、陰圧源の陰圧レベルに近い創傷で陰圧を伝達し、維持することもできる。例えば、創傷で維持される圧力の許容可能なレベルは、陰圧源で設定された陰圧の+-.25mmHg以内であってもよく、この圧力は、吸引アダプタ5500が陰圧を印加する時間の95%以内で、このレベルに維持されることが好ましい。許容可能な圧力レベルとしては、40~120mmHgの圧力範囲を挙げることができるが、200mmHgのレベルが正常に使用された。
【0050】
さらに図4A図5Bおよび図6を参照すると、吸引アダプタ5500は、創傷部位の上に置くように設計されたアプリケータ5520も含む。好ましくは、アプリケータ5520は、可撓性の層5550、例えば、ポリエチレンまたはポリウレタンを備え、その下部(創傷に面する)側には接着剤の層を有する。任意選的に、使用前に取り外し可能である保護剥離層5529を接着層の上に置くことができる。いくつかの実施形態では、層5550の可撓性により、より剛性のある取り外し可能なバッキング層5552をアプリケータ5520の上部側に提供して、アプリケータ5520の取り扱いを容易にすることができる。アプリケータ5520は、遠位端5505に、例えば、両面接着テープ5528のセクションを使用する、ブリッジ5502のための取り付け点を備えることが好ましい。両面接着テープ5528は、ブリッジ5502をアプリケータ5520に付着させる前に取り外される追加の保護剥離層によって保護され得る。異なる取り付け方法、例えば、加熱シール、溶接、または好適な接着剤も企図されることが理解されよう。いくつかの実施形態は、ブリッジ5502およびアプリケータ5520を、別個の取り付け手段を必要としない単一のユニットとして製造することも可能にし得る。アプリケータ5520は、それ自体を貫通し、かつ創傷部位の上に置かれるように設計されている、少なくとも1つのアパーチャ5526を備えることが好ましく、創傷部位を陰圧源および空気リークに流体接続するように機能しながら、創傷部位から創傷滲出液を引き出すための導管としても機能し得る。
【0051】
使用時、図4Aおよび図4Bを参照すると、システム5501は、図1に関連して説明されるシステム100などの、本明細書で先に開示した他の実施形態と同様の様式で使用され得る。創傷部位5530は、好適な様式で洗浄および準備されることが好ましく、創傷部位には、必要に応じて、創傷パッキング材料、続いてドレープ5531が置かれる。次いで、創傷部位へのドレープを通るアパーチャ5535が作り出されるが、いくつかの実施形態は、予め作られたアパーチャ5535を有し得る。続いて、オペレータは、アパーチャ5535の上にアプリケータ部分5520を位置決めすることができる。バッキング層5529(存在する場合)をアプリケータ部分5520の下側の接着層から取り外した後、アプリケータはドレープ5531にシールされ、バッキング層5552(存在する場合)もアプリケータ部分5520から取り外される。次いで、管5540などの流体導管をコネクタ5504に接続することができる。管5540は、アプリケータを創傷部位に適用する前に、コネクタ5504に接続することもできる。流体導管は、陰圧源5534に接続され、好ましくは、それらの間に介在する創傷滲出液を収容するのに好適な容器を有する。次いで、創傷部位が所望の治癒レベルまで進行するまで、陰圧の印加を創傷部位5530に実現することができる。
【0052】
システム5501の使用中、創傷部位5530からの創傷滲出液は、下部チャネル層5516を通る陰圧によって引き出される。空気リーク5524により、空気は上部チャネル層5512を通り、層5512、5514、5516、および5518の遠位端を通ってアパーチャ内へと通過することができる。陰圧は、上部チャネル層を通って通過する空気を、陰圧源またはポンプに向かって下部チャネル層5516へと引き戻す。いくつかの実施形態では、制御された空気リーク5524は、吸引アダプタ5500を通る空気の一定の流れを提供し、次いで、これを使用して、遮断または漏れが存在するかどうかを決定することができる。遮断の原因としては、例えば、下部チャネル5516が創傷破片で閉塞される状況を挙げることができる。漏れの原因としては、例えば、創傷部位上へのドレープの不適切なシール、またはシステムに過剰な空気の漏れをもたらす吸引アダプタ5500への物理的損傷を挙げることができる。遮断または漏れは、特定の実施形態では、ポンプが一定の陰圧を維持するように作動している間に、ポンプの速度を測定することによって決定され得る。ポンプ速度は、ポンプに送られる電圧または信号の量を測定することによって間接的に測定することもできる。
【0053】
図7A図7Cは、本明細書に記載の様々な実施形態、例えば、図4A図6に例示される吸引アダプタのブリッジ部分5502に使用され得る3D布帛の図を例示している。発泡体などの他の多孔質材料が、本明細書に記載の実施形態、例えば、図5Bおよび図5Cに例示される上部チャネル5512および/または下部チャネル5516で使用され得るが、一部の状況では、3D布帛の使用が有利である場合がある。特定の3D布帛が、圧縮中、例えば、患者の体重が吸引アダプタの上に直接置かれている場合、もしくは陰圧が印加されている場合、および/または流体吸引アダプタがねじれているか、もしくは折り畳まれている場合であっても、流体吸引アダプタから陰圧および創傷滲出液を伝える際に良好に機能することが見出されている。許容できる程度に機能することが見出されている一部の3D布帛としては、ポリエステルで編まれた3D布帛、Baltex 7970.RTM.、Gehring 879.RTM.、またはCoolmax.RTM.が挙げられる。当然のことながら、他の繊維および布帛タイプが、3D布帛を作るために部分的または全体的に使用されてもよく、かつこれらのタイプとしては、ナイロン、ビスコース、コットン、および他の合成マイクロファイバーなどのポリアミドが挙げられるが、これに限定されない。3D布帛は、Nomex.RTM.およびKevlar.RTM.などの繊維から少なくとも部分的に構築することもできる。本明細書の他の場所で開示される他のタイプの織物および材料を使用することもできる。
【0054】
一実施形態では、図7A図7Cに例示されるように、3D布帛は、底部側5603、頂部側5605、および開放中間面積5607を備え得る。図7Aは、3D布帛の底部(創傷に面する)側5603を例示しており、これは、布帛を横切って長さの方向に延在する長方形または楕円形の開口部5611を作り出すように織られ得る。一実施形態では、長方形または楕円形の開口部5611は、底部層の表面積の10~45%(または約10%~約45%)、より好ましくは10%~30%(または約10%~約30%)の開放面積を表すか、または提供する。ここで、繊維は、繊維の毛細管作用によって繊維に沿って運ばれる創傷流体に加えて、創傷流体のバルク輸送を可能にする、これらのより大きな開口部または細孔も含むように、(例えば、縦編みによって)編まれる。3D布帛の遠位端に任意選的に形成されるアパーチャ(図5Bおよび図6に例示される)は、創傷の破片および流体のバルク排出を助けることもできる。
【0055】
図7Bは、本明細書に記載のように使用され得る3D布帛の頂部側5605を例示している。一実施形態では、この頂部側5605は、底部側5603のより大きな楕円形のアパーチャ5611を有していないが、長さの方向および略横方向に、または布帛の幅を横切って斜めに延在する繊維によって画定される開口部5613を有し得る。例示されるように、これらの開口部は略菱形である。一実施形態では、これらの開口部5613は、底部層の開放面積よりも、例えば、30%~50%(または約30%~約50%)大きい開放面積を表すか、または提供し得る。当然のことながら、ここで提示される布帛は非限定的な例であり、異なる布帛の構成および向きが可能であり、例えば、頂部側5605が創傷に面するように下向きに置かれ、底部側5603が上向きに面することが理解されよう。
【0056】
図7Cは、3D布帛の断面を例示している(布帛の垂直な繊維上の球状の突出部は切断プロセスのアーチファクトである)。垂直に延在する繊維5609は、中間の開放面積5607を通って延在するように織られてもよく、底部層5603および頂部層5605にも接続される。好ましくは、開放中間層5607に存在する繊維5609は、布帛の圧縮を防止するのを助けるのに十分な硬さを有する。この図に例示されるように、および理論に拘束されることを望まないが、うまく機能することが見出された3D布帛は、多くの場合、陰圧の印加中に、滲出液および他の流体が創傷部位から離れて効果的に輸送されるのを可能にし得る、中間部分のより大きな開放面積5607を含むが、より高密度に織られた外層5603、5605は、追加の引張強度および毛細管ウィッキング作用を提供することを助ける場合がある。例えば、中間層は、50%超(または約50%超)の開放容積を含み得る。明らかに、結果として生じる吸引アダプタおよびシステムが患者との快適な使用のために十分な可撓性を保つことができない場合があるため、結果として生じる布帛は、過度に厚くすることも、硬すぎる繊維で構成することもできない。
【0057】
吸引アダプタの様々な要件を説明するために、使用中に3D布帛の性能特性を調整することがしばしば有利である。特に、例えば、圧縮時に、布帛を通る滲出液の流量は、布帛の空隙率を考慮することによって簡素化され得る。かかる状況では、再び理論に拘束されることを望まないが、布帛の空隙率、ひいては、流体が通って進むために利用可能な空間は、3D布帛を作り出す際に使用される繊維の編みパターン、中に使用される繊維の厚さ、およびそれらのそれぞれの(特に、圧縮時の)硬さおよび硬度によって、部分的に決定され得る。繊維はまた、表面の性質(繊維が平坦であっても、テクスチャ加工されていてもよい)、および結果として生じる布帛に使用される繊維またはフィラメントの数によって修正され得る。圧縮抵抗は、布帛の垂直軸で使用される繊維またはモノフィラメントの選択によって影響を受ける場合があり、かつ概して、より硬い材料は、この軸の圧縮抵抗を改善する。疎水性などの他の材料性質が役割を果たす場合がある。場合によっては、流体のウィッキングを改善するように、例えば、親水性ポリマーを用いて、親水性であるように布帛を処置することが有益である場合がある。特定の吸引アダプタとともに使用される3D布帛の好ましい実施形態は、Baltex.RTM.布帛がかかる様式で処置された場合に、正しく作動することが見出されている。他の可能性のある処置としては、タンパク質が使用中に付着および蓄積するのを防止するための親油性コーティングを挙げることができ、これは、詰まりおよび創傷部位への圧力の喪失を引き起こし得る。
【0058】
陰圧の印加中に3D布帛を通る流量は、層状に流れている間、ベルヌーイの定理に従う別個のオリフィスプレートとして各開口部を考慮することによって近似することができる。計算を簡略化するために、3D布帛の所与の面積の開口部の面積を使用することができる。したがって、3D布帛は、陰圧の印加の下で必要とされる圧縮抵抗および結果として生じる流量などの要因間の良好なバランスを達成するように最適化され得る。さらなる最適化も、本明細書に記載の実施形態での用途に対して調整される3D布帛の硬さおよび流量を用いて行われる。3D布帛の性質および寸法の最適化も、硬すぎる布帛は適切に屈曲しない場合があり、かつ患者にとって不快である場合もあるため、必要とされる流量および硬さと布帛の適合性との間のバランスを考慮することが好ましい。3D布帛は、好ましくは、組織に対して圧縮されたときに曲がり、それによって、組織の圧縮(例えば、患者の骨性隆起部に対する)、および後に続く可能性のある、圧迫潰瘍などの不快感および損傷を防止するように設計される必要がある。例えば、布帛の寸法は、吸引アダプタの最終的な使用のために、指などの遠位末端の場合はより小さく、腹部創傷および熱傷創傷の場合はより大きく、調整され得る。硬すぎる布帛は、圧迫潰瘍および他のかかる合併症を引き起こす場合もあるが、より大きな寸法で許容できる程度に機能し得る。
【0059】
実際には、本明細書で先に説明したように、3D布帛を使用した吸引アダプタの実施形態を通る流量は、陰圧の印加中に、少なくとも0.08L/分、好ましくは最大10L/分であり、少なくとも10L/日の流体滲出液のドレナージを取り扱うことができる必要がある。吸引アダプタのいくつかの実施形態は、腹部創傷を含む、はるかに大きい創傷を取り扱うように構成することができ、場合によっては、少なくとも0.5L/時または12L/日で滲出することができる。より極端な場合では、使用されるポンプ(例えば、RENASYS EZ)は、最大16L/分まで真空にすることができ、それによって、1分未満で120mmHgの陰圧レベルまで大きな創傷を真空にすることができる。3D布帛によって計算される圧力降下は最小限に抑えられる必要があり、創傷部位で測定される陰圧のレベルは、陰圧源で測定される圧力レベルの25mmHg以内であることが好ましい。印加される陰圧が増加するにつれて圧力降下は増加する(したがって、25mmHgの目標に達するのがより困難になる)が、創傷治療システムの実施形態は、この目標圧力を少なくとも200mmHgの陰圧に維持することができることが好ましい。吸引アダプタおよびシステムは、約40mmHg~200mmHgと推定される陰圧に必要な圧力範囲内で機能することが好ましい。200mmHg超の圧力範囲が可能であるが、これらは一部の状況では、患者の不快感を引き起こすことがある。装置はまた、20mmHgなどのより低い圧力範囲で機能し得るが、かかる低い圧力レベルでは、陰圧から生じる療法の効果は、デバイスがドレナージデバイスとしてより作用することで減少する場合がある。陰圧治療システムの実施形態は、陰圧が創傷に印加される時間の95%以内に、これらの目標圧力を創傷部位で維持することができることが好ましい。いくつかの実施形態では、布帛は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を含んでもよく、場合によっては、陰圧の印加の下で、チャネル5516が崩れるのを防止するのに有用であり得る。他の実施形態では、チャネル5516に使用される布帛は、1.5mm~6mmであってもよく、より好ましくは、布帛は、3mm~6mmの厚さであってもよく、布帛の1つまたはいくつかの個別の層からなり得る。他の実施形態では、チャネル5512は、1.2~3mmの厚さであってもよく、かつ好ましくは1.5mmよりも厚くてもよい。3D布帛は、布帛の元の厚さの10%以下の圧縮で少なくとも5.3psiの負荷に耐えることができることが好ましい。さらに、3D布帛は、15psiの負荷に供された場合、元の厚さの半分未満まで圧縮に抵抗することも可能であり得る。
【0060】
好ましい実施形態では、3D布帛を、150および225デニールの糸を使用して100%ポリエステルから織って、1平方ヤード当たりおよそ23~25オンスの重量の布帛を産出することができる。これらの場合、布帛は、およそ5.8~6.8mmの厚さであってもよい。布帛の底部部分は、図7Aに例示されるものと同様に、いくつかの開口部または細孔5611を有することもでき、これらは、細長い、矩形、または楕円形の形状であってもよく、それらの長軸が布帛に沿って長さの方向に向けられていてもよい。開口部5611は、布帛を横切って長さの方向に延在する複数の列、例えば、2~5つの列、またはより好ましくは、図7Aに例示されるように3つの列に配置され得る。開口部5611は、列の各々において互いに等距離に離間してもよく、1つの列から別の列へと千鳥状パターンを形成することができる。一実施形態では、各列は、2インチ(または約50mm)当たりおよそ6~10個の開口部、より好ましくは8個の開口部を有し得る。布帛の所与の幅または横寸法に沿って、開口部によって形成される横列は、21/8インチ(または約54mm)当たりおよそ6~10個の開口部、より好ましくは8個の開口部の間隔を有し得る。一実施形態では、開口部は、長さの方向に約1/16インチ~約1インチの長さ、および幅の方向に約1/32インチ~1/2インチの幅を有し得る。一実施例では、開口部は、長さ方向におよそ1/8インチ(または約3.2mm)、および横に1/32インチ(または約0.79mm)の寸法がある。3D布帛は、一実施形態では、約50~100mm、より好ましくは約60mmの全長と、約5~15mm、より好ましくは約9mmの幅と、約6mmの厚さと、を有し得る。
【0061】
本明細書に記載のシステムの実施形態は、満足のいくように機能することが試験され、見出された。かかる試験は、本明細書に記載の実施形態から吸引アダプタを構築することによって実施した。次いで、吸引アダプタの遠位端を、制御可能であり、かつ創傷流体の流量を変化させ得る、模擬創傷流体の供給源を備える模擬創傷空洞の上に置かれたドレープ上に作られたアパーチャの上に置いた。いくつかの事例では、模擬創傷空洞を発泡体またはいくつかの他の創傷パッキング材料で包装もした。一部の試験では、模擬創傷流体は、5:1の水対グリセロール混合物とし、他の試験では、濾過したウマ血清(英国Oxoidから入手可能)を使用した。次いで、吸引アダプタの近位端を、陰圧源、この場合はポンプに接続した。次いで、流量試験および他の測定を、様々な陰圧範囲、ならびに模擬滲出液の流量および空気リーク量で行った。
【0062】
図8Aは、先に説明したコネクタ5506と同様のコネクタ5704の実施形態を例示しており、これを使用して、陰圧源を、本明細書に記載のものなどの吸引アダプタのチャネル5716にしっかりと接続することができる。例えば、このチャネル5716は、上部チャネル5512、またはより好ましくは図55および図56の下部チャネル5516であってもよい。概して、かかるコネクタ5704は、陰圧源から陰圧治療システムへのより確実な接続を提供するのに有用であり得る。これらのコネクタ5704の使用は任意選択であり、本明細書に記載のすべての実施態様において必要ではない場合がある。使用時に、コネクタ5704に接続された管5740が引っ張るか、または他の外部の力が何らかの方法でコネクタ5704を、それが取り付けられているチャネル5716から離して係脱する場合がある。かかる状況では、創傷への陰圧の印加は低減または停止され得る。コネクタ5704をシステムの残りの部分に固設するためのさらなる手段は、上述のように、存在する場合に治療システムの他の層をコネクタ5704に接合するか、または取り付けることを含み得る。コネクタ5704は、チャネルで使用される布帛または材料との確実な接続を作り出すように設計することができ、3D布帛または3D編み材料を使用する場合、コネクタ5704のいくつかの実施形態は、材料の一部分または材料の布帛と係合するか、またはそれらに取り付けられて、より確実な接続を作り出すように構成される。コネクタ5704の実施形態は、コネクタの接続解除および/または故障が発生する前に、好ましくはコネクタが、接続されているチャネルから係脱するように、最大20kgの引張力に耐えることができることが好ましい。他の実施形態は、より低い引張力に耐えるように構成することができ、かつ患者の怪我(例えば、吸引アダプタおよび/または四肢の周りのドレナージ管の収縮)を防止するように、解放するように調整され得ることが理解されよう。
【0063】
図8Bは、コネクタ5704aの好ましい円筒形の本体から遠位に長さの方向に延在する2つ以上の突出部5752を備えるコネクタ5704aの実施形態を例示している。本体は、コネクタ5704aの本体を通って長さの方向に延在する中央チャネル5755も備える。突出部5752は、それに取り付けられた1つ以上の逆棘5754を追加的に備え得る。これらの逆棘5754は、チャネル5716内に押し込まれるか、または挿入されるときに、アンカーとして機能するように近位に角度付けられていることが好ましい。チャネル5716が3D布帛または編み材料である場合、逆棘5754は、中の繊維に係合して、より確実な接続を作り出すように構成されている。コネクタ5704aの近位端では、円錐台形の形態で提供され得るリップ5756も、管5740への接続のために提供され得る。管5740は、例えば、プレス嵌めによって、コネクタ5704a(および本明細書に記載の他のコネクタ)に接続され得るが、他の接続手段が可能である。管5740は、図6の管5507と同一であってもよいし、または陰圧源との流体連通を提供するために使用される任意の他の管であってもよい。これらのコネクタの、特に遠位端における、特徴は、陰圧を伝えるために使用される管の端に組み込まれてもよく、これにより、これらの管は吸引アダプタシステムに直接接続され得る。コネクタについての先の説明に関する追加の開示が見出され得る、かかる出願の例としては、2015年6月9日に発行された「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」と題する米国特許第9,050,398号が挙げられ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
分離した空気リークを備える可撓性の吸引アダプタ
図9A図9Cは、図4A図8Bに例示され、かつそれらに関して説明されている可撓性の吸引アダプタ5500の実施形態と同様の、可撓性の吸引アダプタ900の実施形態を例示している。図9Aは、吸引アダプタ900の分解図を例示し、図9Bは、吸引アダプタ900の上面図を例示している。追加的に、図9Cは、吸引アダプタ900の断面図を例示している。吸引アダプタ900は、近位端903および遠位端905を有するブリッジ部分902と、可撓性の吸引アダプタ900を形成するブリッジ部分902の遠位端905にあるアプリケータ920と、を含み得る。可撓性の吸引アダプタは、可撓性の吸引アダプタ5500と同様の様式で構築されていることが好ましく、ブリッジ部分902は、先に説明したのと同様の二重層配置から構築され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ブリッジ部分902は、上部層910と中間層914との間に位置付けられた上部チャネル層912を含むことができ、下部チャネル層916が中間層914と底部層918との間に位置付けられている。
【0065】
特定の実施形態では、例えば、図9A図9Cに例示されるように、制御された空気リーク924は、ブリッジ部分902の上、例えば、その近位端に隣接して配設され得る。この空気リーク924は、空気リーク924が上部チャネル912と流体連通するように、上部層910を通って延在する開口部またはチャネルを備え得る。空気リーク924は、フィルタ925を含み得る。
【0066】
アプリケータ920は、遠位端905に、例えば、両面接着テープ928のセクションを使用する、ブリッジ部分902のための取り付け点を備えることが好ましい。異なる取り付け方法、例えば、加熱シール、溶接、または好適な接着剤も企図されることが理解されよう。
【0067】
コネクタ904は、チャネル912および/または916のうちの少なくとも1つに接続するように、ブリッジ部分902の近位端903に配設され得る。キャップ936が吸引アダプタ900に提供され得る(場合によっては、例示されるように、コネクタ904に取り付けられ得る)。図9Aに例示されるように、チャネルコネクタ906がブリッジ部分902の近位端903に提供されていてもよく、チャネルコネクタ906は、確実な流体接続を作り出すように、下部チャネル層916に埋め込まれるように構成されていることが好ましい。チャネルコネクタ906の一方の端が下部チャネル層916に埋め込まれている状態で、チャネルコネクタ906の反対側の端は、一実施形態では、コネクタ管907と接続または連通していてもよいが、いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ906は、コネクタ904に直接接続され得るか、または陰圧源に接続された管に直接接続され得る。
【0068】
吸引アダプタ900の構成要素の各々は、吸引アダプタ5500の各対応する構成要素と同様であってもよく、したがって、以下に記される場合を除き、本明細書の先の吸引アダプタ5500の各対応する構成要素の説明は、吸引アダプタ900の各構成要素にも適用される。
【0069】
吸引アダプタ5500と同様の様式で、上部流体通路は、上部層910と中間層914とによって、それらの間に画定され得る。図9Cに示されるようないくつかの実施形態では、上部層910および下部層918は、遠位端905で中間層914よりもさらに延在し、これにより、上流体通路を上部層910と下部層918との間に部分的に画定することもできる。上部流体通路は、上部チャネルスペーサ層912を含み得る。下部流体通路は、下部チャネルスペーサ層916を含み得る。上部層910が遠位端905で中間層914よりもさらに延在する、いくつかの実施形態では、上部チャネルスペーサ層912は、遠位端912で中間層914および下部チャネルスペーサ層916よりもさらに延在して、上部層910を支持することもできる。図9A図9Cに示されるように、いくつかの実施形態では、層910、914、および918、ならびにチャネル層912および916の遠位端は、(創傷部位の上に置かれるように)それらの遠位端で拡大され、「涙滴」または他の拡大された形状を形成し得る。少なくとも層912および916の遠位端は、少なくとも1つの貫通アパーチャを備えることもできる。このアパーチャは、これらのアパーチャがこれらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るので、創傷滲出液のドレナージのため、および創傷への陰圧の印加のためだけでなく、デバイスの製造中にも有用であり得る。さらなる実施形態では、上部流体チャネルは、補助スペーサ層970が上部チャネルスペーサ層912の遠位端を支持するように、上部チャネルスペーサ層912の遠位端の下および下部チャネルスペーサ層916の遠位端の遠位に置かれた補助スペーサ層970をさらに含み得る。図9Aおよび図9Cに示されるように、補助スペーサ層970は、1つ以上のアパーチャを含むことができ、スペーサ層912の遠位端で1つ以上のアパーチャと整列され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、図9Aおよび図9Cに示されるように、吸引アダプタ900は、下部層918にある2つのアパーチャ、空気リークチャネルアパーチャ952と、吸引アパーチャ954と、を含み、どちらも、下部層918、例えば、下部層918の拡大された遠位端に形成されている。いくつかの実施形態では、空気リークアパーチャ952および/または吸引アパーチャ954は、複数のより小さな穴として形成され得る。例示されるように、アパーチャ952および954は離間されていてもよく、アパーチャ954はアパーチャ952の近位に位置する。これらのアパーチャが両方とも下部層918の中央長手方向軸上に位置していてもよいし、または一方もしくは両方のアパーチャが中央長手方向軸上に位置していなくてもよい。アプリケータ920は、空気リークチャネルアパーチャ952および吸引アパーチャ954と整列するように構成された2つの開口部962および926を有し得る。
【0071】
図9Cに示されるように、空気リークチャネルアパーチャ952は、上部チャネルスペーサ層912を有する上部流体チャネルに流体接続され、それによって、空気リーク924から空気リークチャネルアパーチャ952まで遠位に延在する空気リークの流れを形成することができる。図9Cに示されるように、この空気リークの流れは、補助スペーサ層970を通って延在する。また、吸引アパーチャ954は、下部チャネルスペーサ層916を有する下部流体チャネルに流体接続され、それによって、コネクタ904および/または陰圧源から遠位に延在する吸引の流れを形成することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、上部層910は、中間層914および/または下部層918と流体密接シールを形成することができ、中間層914は、下部層918と流体密接シールを形成することができ、これにより、空気リーク924から空気リークチャネルアパーチャ952まで遠位に延在する上部流体チャネルが、コネクタ904から吸引アパーチャ954まで遠位に延在する下部流体チャネルと流体分離され得る。図9Cに示されるように、いくつかの実施形態では、中間層914の遠位端は、補助スペーサ層970と下部チャネルスペーサ層916との間に延在し、下部層918でシールされ、それによって、上部流体チャネルと下部流体チャネルとを分離し得る。上部層910、中間層914、および下部層918は、例えば、溶融、溶接、または接着剤を用いることによって、本明細書で先に説明した任意の手段を使用して互いにシールされ得る。
【0073】
空気リークアパーチャ952および吸引アパーチャ954は、吸引アパーチャ954に引っ張られた創傷滲出液が空気リークアパーチャ952に入らないように、互いに十分に離間していてもよい。いくつかの実施形態では、上部流体チャネルは、創傷滲出液が上部流体チャネル内に入るのを防止し、かつ上部流体チャネルを遮断するために、空気リークアパーチャ952に隣接するフィルタ(図示せず)を含み得る。フィルタは、空気リークからの空気が創傷被覆材に提供されることを可能にするために空気に対して浸透性であり得るが、液体または細菌に対しては不浸透性であり得る。空気リークアパーチャ952に配設されたフィルタは、本明細書で先に説明したフィルタ5525と同様であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、下部流体チャネルは、吸引アパーチャ954に隣接するフィルタ(図示せず)を含み得る。フィルタは、創傷滲出液が下部流体チャネルに入るのを実質的に防止するように構成され得る。好ましくは、フィルタは、液体に対して不浸透性であり得るが、ガスに対しては透過性であり得、液体バリアとして作用し、かつ液体が創傷被覆材から逃げないことを確保するために提供され、それによって、創傷流体を収集するためのキャニスタが、吸引アダプタと陰圧源との間に必要とされない場合がある。フィルタは疎水性であってもよい。フィルタは、創傷被覆材の上で吸引アダプタおよび/またはカバーフィルムに取り付けられ得るか、またはシールされ得る。例えば、フィルタは、吸引アダプタ900に成型され得るか、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、吸引アダプタ900の下部層918に付着され得る。
【0075】
補助スペーサ970は、制御された空気リークからの空気の伝達に好適な任意の可撓性材料から構築され得る。補助スペーサ970は、本明細書で先に説明したように、上部チャネルスペーサ層912、5512、および下部チャネルスペーサ層916、5516に好適な任意の材料、例えば、ポリエチレンもしくはポリウレタンなどの連続気泡発泡体、または編まれたもしくは織られたスペーサ布帛(例えば、ポリエステルで編まれた3D布帛、Baltex 7970.RTM.、もしくはGehring 879.RTM.)などの布帛、または不織布材料から構築され得る。
【0076】
図9Aおよび図9Cに例示される実施形態900では、両面接着テープ928を吸引アパーチャ926および954の周りに付着させ、それによって、アプリケータ920を下部層918に固設する。しかしながら、いくつかの実施形態では、両面接着テープ928は、空気リークアパーチャ952および962、またはアパーチャ962/952および926/954の両方の周りに付着されるようにサイズ決めおよび形状決めされ得る。いくつかの実施形態では、吸引アダプタ900は、空気リークアパーチャ952および962の周りに付着される、接着テープ928と同様の追加の両面接着テープ(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、両面接着テープ(複数可)に加えて、またはその代替として、アプリケータを、接着剤および/または溶接で下部層918に取り付けることができる。
【0077】
動作中、図9A図9Cに記載の実施形態は、創傷被覆材から陰圧源まで延在する吸引流路から流体的に分離されている、創傷被覆材内に延在する空気リーク路を提供する。この実施形態は、図5A図6の実施形態とは異なり、空気リーク路が創傷被覆材の上方の吸引流路と流体接続する。図5A図6の実施形態では、アパーチャ5526が遮断されている場合、例えば、吸引アダプタが、創傷の上に置かれた創傷カバーに形成された開口部の上に適切に位置付けられていない場合、またはアパーチャ5526が創傷滲出液によって遮断されている場合、陰圧源は、動作し続け、空気リークから空気を引き出すことによって、吸引アダプタから空気を引き出すことができる。これは、吸引アダプタの遮断、または創傷カバーの開口部の上の吸引アダプタのずれを検出することを困難にする場合がある。本明細書に記載の吸引流路から流体的に分離された空気リーク路を有することによって、吸引アパーチャ926が遮断されている場合に、陰圧源は、空気リークが創傷を通ってのみ流れることになるため、吸引アダプタから空気を引き出すことを中止する場合がある。したがって、これにより、吸引アダプタの遮断を検出することができる。さらに、分離されている制御された空気リーク路を有することによって、空気リークの干渉なしに、吸引流路を通る流れまたは圧力を測定することが容易になり得る。
【0078】
図9A図9Cは、流体的に分離または隔離された空気リークチャネル(上部流体チャネル)および吸引チャネル(下部流体チャネル)を有する可撓性の吸引アダプタ900の例を例示しているが、隔離された空気リークおよび吸引チャネルを流体的に分離した可撓性の吸引アダプタ900の他の配置が可能である。例えば、空気リークチャネルおよび吸引チャネルは、一方のチャネルが他方のチャネルの頂部の上に置かれる代わりに、隣り合わせに配設され得る。いくつかの実施形態では、物理的に分離された2つの柔らかい管を創傷床に接続することができ、一方の管は、陰圧源からの伝達を許容する手段としてのみ作用し得、他方の管は、制御された空気リークからの空気が創傷内に流れることを許容する空気リークチャネルとしてのみ作用する。
【0079】
図10は、いくつかの実施形態による、陰圧を印加するため、例えば、吸引アダプタ900、または分離された空気リーク路を有する任意の吸引アダプタを利用するためのシステム1000の図を例示している。例示されるように、システム1000は、1つ以上の創傷部位に陰圧を供給するように、流体流路1040を介して、創傷被覆材1006と流体接続する陰圧源1022を含む。流体流路1040は、コネクタ1052によって接続される、吸引アダプタ1020および管1042を含む。吸引アダプタ1020は、吸引アダプタ1020に空気を入れるように構成された空気リーク1012も含む。
【0080】
図10に例示されるように、吸引アダプタ1020は、較正されたリーク路1026と、吸引路1024と、を含む。吸引路1024は、創傷被覆材1006を通して創傷部位に陰圧を供給するように、コネクタ1052を通って流体流路1040に流体接続する。較正されたリーク路1026は、空気リークからの空気を、創傷被覆材1006を通して創傷内に供給するように、空気リーク1012に流体接続する。図10に示されるように、較正されたリーク路1026および吸引路1024は、図9A図9Cに関して本明細書で先に説明したように、創傷を通ってのみ互いに流体接続することができる。いくつかの実施形態では、空気リーク1012は、流体流路内の任意の好適な場所に配設され得る。例えば、空気リーク1012は、コネクタ1052に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、空気リークは、システムのコントローラによって、電子的または電気機械的に調整されて、リークを閉じるか、または、広げることができる。例えば、コントローラは、空気リークと通信して、各空気リークを個別に、またはユニットとして、開閉することができる。例えば、空気リークはソレノイド弁であってもよい。空気リークとコントローラとの間の通信は、有線でも無線でもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、陰圧が陰圧源を通して印加されている間は、吸引アダプタ1020は空気リーク1012を通して一定の漏れ量を維持することができる。いくつかの実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9ml/分またはそれ以上(+/-.5mL/分、または別の好適な偏差)の空気リークを支持し得る。いくつかの実施形態は、10、20、30、40、50、60、70、80、90ml/分またはそれ以上(+/-数mL/分、または別の好適な偏差)の空気リークを支持し得る。いくつかの実施形態は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9L/分またはそれ以上(+/-数センチリットル/分、または別の好適な偏差)の空気リークを支持し得る。いくつかの実例では、漏れ量は、制御されたリーク経路(CLP)で考察することができ、ここではCLPは好適な定数である。例えば、空気リークは、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の漏れ量を有してもよい。例えば、漏れ量が0.1L/分の場合、1CLPは0.1L/分に相当し、5CLPは0.5L/分に対応し得るなどである。陰圧源は、より高負荷の空気リークが存在する場合は、より作動しなければならず、電源をより速く消耗させることになる。したがって、いくつかの実施形態では、比較的低い漏れ量が選択される。
【0082】
複数の被覆材陰創傷治療
図11Aおよび図11Bは、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システム400を例示している。システム400a、400b(合わせて400)は、ポンプアセンブリ、または、陰圧を供給できる陰圧ユニット434を含み得る。いくつかの実施形態では、陰圧ユニット434は、図2に描かれているものと同じである。陰圧ユニット434は、1つ以上の創傷に陰圧を供給するように、1つ以上の創傷被覆材406a、406b(合わせて406と称される)との流体接続にあり得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材406と陰圧ユニット434との間の流体接続は、流体流路(例えば、陰圧流を介して創傷から吸引される流体の経路)と称される。例えば、第1の流体流路は、陰圧ユニット434から第1の創傷被覆材406aへの流体接続を提供する構成要素を含み得る。非限定的な例として、第1の流体流路は、創傷被覆材406aから陰圧ユニット434までの経路、または第1の創傷被覆材406aから陰圧ユニット434と流体接続にある分岐取付部444の入口までの経路を含み得る。例示されるように、システム400は、図9A図9Cに関して説明した吸引アダプタ900および/または図10に関して説明した吸引アダプタ1020などの複数の吸引アダプタを介して、陰圧ユニット434と流体接続する、複数の創傷被覆材(および対応する流体流路)を含み得る。したがって、吸引アダプタ900および1020、ならびにそれらの本明細書に記載の構成要素に関する説明は、システム400aおよび400bの吸引アダプタ、ならびにそれらの構成要素にも適用され得る。例えば、システム400aおよび400bのための吸引アダプタは、吸引チャネルから流体的に分離されている、制御されたリークチャネルを含み得る。創傷被覆材および流体流路はそれぞれ、システム内の別の創傷被覆材または流体流路の特徴または要素と一致するか、またはそれらに類似した様々な特徴または要素を含み得る。参照しやすいように、1つ以上の対応する特徴または要素は、対応するアルファベットなしの参照番号を使用して集合的に称され得る。例えば、ブリッジ402aおよびブリッジ402bは、ブリッジ402と集合的に称され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、集合的に称された要素は同一ではなく、異なる特徴または属性を有することができることに留意されたい。
【0083】
図11Aを参照すると、システム400aは、吸引アダプタ900または1020などの吸引アダプタを含むことができ、近位端403および遠位端405を有するブリッジ402と、可撓性の吸引インターフェースまたはアダプタを形成するブリッジ402の遠位端405にあるアプリケータ420と、を含む。陰圧ユニット434は、創傷滲出液および創傷からの除去され得る他の流体を保存するためのキャニスタまたは他の容器を含み得る。陰圧ユニット434は、図2に関して説明した陰圧ユニット5534であってもよい。代替的に、または、さらに、創傷被覆材406が創傷滲出物および他の流体を回収することができ、キャニスタが存在しない場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、1つのキャニスタが創傷被覆材毎に提供されている、といったように、複数のキャニスタが提供される。いくつかの実施形態では、陰圧ユニット434を、Smith & Nephewによって製造されるようなRenasysタッチデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、Renasys Soft Port以外のコネクタ、または、Renasys Touch以外のデバイスが使用されてもよい。
【0084】
図11Bは、可撓性の吸引アダプタが創傷の上に置かれている、図11Aの実施形態を例示している。いくつかの実施形態では、アプリケータ420は、好適に準備された創傷430の上に配置される、ドレープ431に形成されるアパーチャ435の上に置かれ、それは、いくつかの事例では、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい。続いて、管440または入口マニホールド分岐取付部またはコネクタ444を介して陰圧ユニット434がコネクタ404に接続された状態で、陰圧ユニット434が起動され、それによって、流体流路を介して創傷に陰圧が供給される。陰圧の印加は、創傷430の所望するレベルの治癒が達成されるまで行われてもよい。2つの創傷および創傷被覆材が図11Aおよび図11Bに例示されているが、陰圧ユニット434は、いくつかの実施形態では2つより多い創傷への治療を提供できる。いくつかの実装例では、陰圧創傷療法を1つの創傷に提供することができる。
【0085】
添付文書
陰圧ユニット434は、1つ以上の管440、442、1つ以上のブリッジ402、または入口マニホールド分岐取付部444を介して、創傷被覆材406と流体接続することができる。例えば、陰圧ユニット434は、管440と、入口マニホールド分岐取付部444と、管442と、ブリッジ402とを介して、複数の創傷被覆材406と流体接続し得る。別の例として、マニホールド分岐取付部444は、管440を使用することなく、陰圧ユニット434に直接接続され得る。図11Aおよび図11Bに例示されるように、入口マニホールド分岐取付部444は、複数の被覆材導管取付部分445a、445bを介して、陰圧ユニット434を複数の流体流路に接続するように構成され得る。入口マニホールド分岐取付部444は、接合部を介して陰圧取付部分446に流体接続されるよう構成された、任意の数の被覆材導管取付部分445を含み得る。例えば、入口マニホールド分岐取付部は、2つの被覆材導管取付部分445a、445b、3つの被覆材導管取付部分、または4つ以上の被覆材導管取付部分を含み得る。
【0086】
複数の被覆材導管取付部分445は、第1の被覆材導管取付部分445aと、第2の被覆材取付部分445bと、を含み得る。しかしながら、より多いかまたはより少ない被覆材導管取付部分が、入口マニホールド分岐取付部444に含まれ得ることが理解されよう。被覆材導管取付部分445の各々は、接合部から離れて延在し、接合部の遠位にある入口を含むシャフトを含む。入口は、流体流路の少なくとも一部分を陰圧ユニット434へ流体接続するように構成される。
【0087】
入口マニホールド分岐取付部444はまた、1つ以上の陰圧取付部分446を含むことができる。陰圧取付部分446の各々は、接合部から離れて延在するシャフトと、接合部の遠位にある入口と、を含み得る。入口(複数可)は、陰圧ユニット434に流体接続するように構成され得る。例えば、入口は、導管またはポンプの対応する雄または雌コネクタに取り付ける、雄または雌非ルアーコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、陰圧取付部分446は、管440または他の導管を介して、陰圧ユニット434に取り付けられる。陰圧取付部分446はまた、陰圧ユニット434のハウジングに直接取り付けられてもよい(または一体化されてもよい)。
【0088】
入口マニホールド分岐取付部444または導管は、流体を流体流路に入れる、代替的に、流体流路を通る流体の流れまたは通過を遮断または制限するように構成され得る、組み込まれた1つ以上の弁、クランプ、キャップ、空気リーク、または他の流れレギュレータ機構を含み得る。いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取付部444における弁、空気リーク、または他の流れ規制機構は、電子的に開閉され得る。例えば、陰圧ユニット434のコントローラは、弁、空気リークなどと通信して、個々に、またはユニットとしてそれぞれを開閉することができる。この通信は、有線でも無線でもよい。
【0089】
被覆材導管取付部分445は、入口マニホールド分岐取付部のY(2つの創傷)、W(3つの創傷)、または他の形状の頂部部分を形成するシャフトを含み得る。被覆材導管シャフトの近位端とポンプ導管シャフトの遠位端は、接合部で合わせることができる。いくつかの実施形態では、接合部を中心としたシャフトの回転を可能にするヒンジを含むことができる。いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取付部は、W形状コネクタ(図6に例示)であり得る。これらなどの実施形態では、入口マニホールド分岐取付部は、3つ以上の被覆材導管取付部分と、1つの陰圧取付部分と、を含み得る。
【0090】
入口マニホールド分岐取付部は、剛性プラスチックまたは可撓性のプラスチック管を含むことができ、また、代替的に、患者の快適性を高め、入口マニホールド分岐取付部444が圧力点になるのを防止する、柔らかいシリコンスリーブで包み込むことができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取付部を利用して陰圧ユニットを複数の創傷被覆材406に取り付けることにより、陰圧ユニットが複数の創傷430から同時に流体を吸引することができる。そのようなシステムの性能および創傷治癒能力(流体管理など)は、単一ポンプのセットアップを伴う標準的な単一創傷被覆材のそれと同等であるか、または超えることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、一体化した入口マニホールド(図示せず)が、入口マニホールド分岐取付部444の代わりに使用され得る。これらのような事例では、1つ以上の流体流路が、一体化した入口マニホールドの1つ以上の入口を介してポンプに流体接続できるように、陰圧ユニット434またはポンプハウジング内に入口マニホールドを組み込むことができる。一体化した入口マニホールドは、分割取付部(本明細書に記載のY形状またはW形状の分岐取付部と類似する)を含むか、または、ポンプと流体接続にある1つ以上の、別に一体化した入口を含むことができる。
【0093】
動作状態の決定
いくつかの実施形態では、システム400は、陰圧を1つ以上の創傷に印加することができる。創傷の1つ以上における(例えば、1つ以上の創傷被覆材下)陰圧レベルは、陰圧源での陰圧レベルに十分に近い場合がある。例えば、創傷において維持される圧力の許容レベルは、陰圧設定値の±1mmHg、±5mmHg、±10mmHg、±25mmHgなど以内であり得る。いくつかの実施形態では、この圧力は、システム400がそれに印加される陰圧を有する時間の95%(または別の好適なパーセント)以内において、このレベルで維持され得る。いくつかの実施形態では、許容圧力レベルは、-40~-120mmHgの圧力範囲を含み得る。しかしながら、他の圧力レベルを本明細書に記載するように使用してもよい。
【0094】
本明細書でより詳細に記載するように、流体流路のうちの1つ以上における、空気リーク424、5524、924、または1012などの1つ以上の空気リークを利用して、システム内の1つ以上の動作状態を決定することができる。例えば、空気リークは、比較的一定である空気、ガス、または他の流体流を流体流路へ入れることができる、制御された空気リークとすることができる。いくつかの実施形態では、空気リークから流体流路への流れは、システムに印加される追加陰圧としてはそこまで増加しない。しかしながら、システムにおける空気リークの存在は、定常状態が達成されたときに(例えば、陰圧設定値に到達したときに)システムを通して実質的に一定のベースライン流れを維持し得る。同様に、空気リークの存在は、創傷において所望の陰圧レベルを維持するよう、陰圧源をさらに作動させる必要があり得る。したがって、システムは、流体流路(複数可)を通る流れを監視することによって、1つ以上の動作状態(遮断、漏れ、キャニスタフル、吸引アダプタのずれなど)の有無を決定し得、その動作状態は、例えば、陰圧源の活動を監視することに基づいて、直接的または間接的に測定され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、各流体流路は、空気リークを含み得(図11Aおよび図11Bに例示されるように)、それぞれの流体流路の各空気リークは、システムに異なる流量の空気、ガス、または他の流体を入れることができる。言い換えれば、システムの空気リークはそれぞれ、異なる漏れ量を有し得る。例えば、空気リークの漏れ量は、空気リークのサイズまたは形状、空気リークがフィルタを含むかどうか、サイズまたは多孔性レベルまたはフィルタ、空気リークまたはフィルタの閉塞レベルなどに少なくとも部分的に基づき得る。流体流路に入る流体は、流体流路の流量を増加させる。
【0096】
したがって、システム400の各流体流路は、異なる流量を有し得る。システム400の総流量(TFR)(例えば、各創傷被覆材への流れの集約)は、監視され、計算され、または決定され、さらに、システム400の動作状態を決定するために使用され得る。動作状態は、例えば、「無流」状態(例えば、すべての流路が塞がれる)と、1つ以上の流路の遮断状態(例えば、遮断状態が第1の流体流路内に存在する、遮断状態が第2の流体流路内に存在するなど)と、キャニスタフル状態と、通常状態(例えば、流体流路のいずれにも遮断が存在しない)などを含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、システム400は、決定された総流量および1つ以上の流れ閾値の比較に基づいて、患者または介護者にシステム400の動作状態を伝える、警報などの表示を提供することができる。いくつかの実施形態では、システム400の動作状態に対応する流れ閾値は、予め決定されている。いくつかの実施形態では、流れ閾値は、システムの特定のモード(例えば、校正モード)中の、流量や圧力といった、システム400の動的測定値または計算値に少なくとも部分的に基づいている。
【0098】
図12は、いくつかの実施形態による、陰圧を印加するためのシステムの図を例示している。例示されるように、システム500は、それぞれが流体流路540aおよび540bと接続する吸引アダプタ528aおよび528bを通って、1つ以上の創傷部位に陰圧を供給するように、流体流路540d、入口マニホールド分岐取付部544、および流体流路540a、540bを介して、創傷被覆材506a、506bと流体接続する陰圧源522を含む。吸引路528aは、コネクタ530を用いて流れチャネル540aと接続することができ、吸引路528bは、コネクタ530を用いて流れチャネル540bと接続することができる。第1の流体流路540aおよび第2の流体流路540bの各々は、流体を制御された空気リーク路526aおよび526bにそれぞれ入れるように構成された空気リーク512、514を含む。制御された空気リーク路526aおよび526bは、制御された空気リーク路および吸引路が創傷床を通って流体的にのみ接続するように、吸引チャネル528aおよび528bで流体的に分離され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、空気リークは、システムのコントローラによって、電子的または電気機械的に調節されて、リークを閉じるか、または広げることができる。例えば、コントローラは、空気リークと通信して、各空気リークを個別に、またはユニットとして、開閉することができる。例えば、空気リークはソレノイド弁であってもよい。空気リークとコントローラとの間の通信は、有線でも無線でもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、陰圧が陰圧源を通して印加されている間は、システム500または1000は空気リークを通して一定の漏れ量を維持することができる。いくつかの実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9ml/分またはそれ以上(+/-.5mL/分、または別の好適な偏差)の空気リークを支持し得る。いくつかの実施形態は、10、20、30、40、50、60、70、80、90ml/分またはそれ以上(+/-数mL/分、または別の好適な偏差)の空気リークを支持し得る。いくつかの実施形態は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9L/分またはそれ以上(+/-数センチリットル/分、または別の好適な偏差)の空気リークを支持し得る。いくつかの実例では、漏れ量は、制御されたリーク経路(CLP)で考察することができ、ここではCLPは好適な定数である。例えば、空気リークは、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の漏れ量を有してもよい。例えば、漏れ量が0.1L/分の場合、1CLPは0.1L/分に相当し、5CLPは0.5L/分に対応し得るなどである。陰圧源は、より高負荷の空気リークが存在する場合は、より作動しなければならず、電源をより速く消耗させることになる。したがって、いくつかの実施形態では、比較的低い漏れ量が選択される。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1の空気リーク512は、第2の空気リーク514とは異なる、異なる漏れ量を有する。例えば、第1の空気リークは1 CLPの漏れ量を有し得、第2の空気リークは2 CLPの漏れ量を有し得る。代替的に、第1の空気リークは0.5CLPの漏れ量を有し得、第2の空気リークは1 CLPの漏れ量を有し得る。しかしながら、システムの漏れ量は、任意の好適な流量であり得ることに留意されたい。漏れ量が異なるため、第1の流体流路520aおよび第2の流体流路520bは、異なる流量を有し得る。代替的に、第1の空気リーク512および第2の空気リーク514は、等しいか、またはほぼ等しく(例えば、+/-0.1L/分、または別の好適な偏差)あってよい。例えば、第1の空気リーク512および第2の空気リーク514は1CLPの漏れ量を有し得る。しかしながら、システムの漏れ量は、任意の好適な流量であり得ることに留意されたい。漏れ量が等しいため、第1の流体流路520aおよび第2の流体流路520bは、類似の流量を有し得る。いくつかの実施形態では、システムの総流量(TFR)は、システムの1つ以上の創傷被覆材からの流れの集約である。したがって、いくつかの実例では、TFRは、流体流路520dの流量と同等であり得る。
【0102】
流量監視
システム500または1000は、例えば、陰圧源522または1022の活動を監視することに基づいて、システム内のTFRを監視または決定することができる。特定の実施形態では、流量監視は、ポンプ制御プロセッサ(図3のポンプ制御プロセッサ370など)を単独で、またはプロセッサ(図3のユーザインターフェースプロセッサ310など)との組み合わせによって実施され得る。流量を監視することは、とりわけ、1つ以上の創傷に対して療法が適切に送達されることを確実にするため、遮断、キャニスタフル状態、無流状態、1つ以上の流体流路における漏れ、高圧を検出し、流量が非安全(例えば、危険なほど高い)ではないことを確実にするために、使用され得る。
【0103】
特定の実装例では、システムは、例えば、流体流路内に位置付けられた1つ以上の流量計を使用して、直接的に流量監視を実施する。いくつかの実施形態では、システムは、アクチュエータの活動を監視することによって、といった、陰圧源の活動を測定または監視することによって、間接的に流量監視を実施する。例えば、システムは、タコメータを使用して真空ポンプモータの速度を監視すること、ポンプに供給される電流または電圧(例えば、PWM信号の電流または電圧)を監視することなどを含む、真空ポンプモータの活動を監視することができる。システムは、これらの特性のうちの1つ以上を連続的に監視して、陰圧源の活動を決定できる。
【0104】
いくつかの実施形態では、タコメータ(ホール効果センサなど)を使用して、ポンプモータの活性レベルを測定することができる。タコメータは、100ミリ秒または別の好適な期間のように、定期的に読み取ることができ、32秒間または別の好適な持続時間といった、ある時間時間にわたる定期的な読取値を組み合わせる(例えば、平均化する)ことができる。組み合わされたタコメータ読取値は、流量を決定するために使用され得、次いで、漏れ検出、遮断検出、最大流量を制限するなどのために使用され得る。組み合わされたタコメータ読取値(例えば、カウントまたはパルス)は、システムのTFR(例えば創傷被覆材に関連する各流体流路の流れの集約)が決定されるように、1つ以上の変換方程式または表を使用して、流量(例えば、mL/分)に変換され得る。いくつかの実施形態では、TFRは、以下の方程式に従って決定される。
TFR=C×F×P+C
TFRが総流量である場合、Fはポンプタコメータ信号の周波数であり、Pはポンプによって生成される圧力(例えば、陰圧設定値)であり、CおよびCは、好適な定数(所定の陰圧源に対して決定される)である。決定された流量は、1つ以上の遮断閾値などの様々な流量閾値と比較して、遮断、漏れ、キャニスタフルなどの特定の状態の有無を決定することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、システムのために総流量を決定することができる。TFRは、陰圧源によって見られる漏れ量の合計に相当し得る。例えば、予想されるTFRは、例えば、1つ以上の変換方式または表などを使用して、校正モードに決定され得る。予想されるTFRは、空気リークが存在しないなどの場合に、定常状態動作(例えば、陰圧設定値に達したとき)のTFRに相当し得る。その後、システムは、TFRを監視し、それを1つ以上の漏れまたは流量閾値と比較して、遮断、無流、通常動作、キャニスタフルなどといった、特定の状態の有無を決定することができる。いくつかの実装例では、予想されるTFRは、非定常状態に決定され得る。特定の事例では、2つ以上の、予想されるTFRが利用され得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、決定された流量が1つ以上の流れ閾値を満たさないときに、遮断状態が検出される。例えば、30秒または別の好適な期間といった一定期間に、遮断状態が存在する場合、遮断警報が有効にされ得る。このアプローチは、過渡事象によってシステムが1つ以上の動作状態の存在を誤って報告しないように、ヒステリシスを実装することができる。システムが複数の創傷被覆材を含む実施形態では、創傷被覆材毎に異なる遮断警報が有効にされ得る。決定された流量が1つ以上の流れ閾値を超えると、遮断警報が無効にされ得る。いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上の流体流路における遮断とキャニスタフル状態とを区別することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流量流路における遮断および流体の存在は、流路内の任意の好適な場所に位置付けられ得る、1つ以上の圧力センサ(図示せず)からのデータを処理することによって検出される。いくつかの実施形態では、圧力センサは、陰圧源の入口に、またはその近くに位置付けられる。この検出は、ポンプによって送達される圧力レベルの増加、圧力レベルの低下、ポンプの停止、ポンプ速度の変更、ポンプのケイデンスの変更など、ポンプの1つ以上の設定を変更することによって強化され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、標準温度および標準圧力(例えば、1atm)に正規化された時間当たりの、流体流路で移動する空気、ガス、または他の流体の体積として、流量が推定され得る。流量は、次の式に従って、250ミリ秒毎、または他の任意の好適な時間値など、定期的に演算され得る。
TFR=スロープ×タコメータ+インターセプト
【0109】
タコメータは、ショートタコメータ平均(例えば、最新のタコメータ読取値の平均(例えば、2.5秒以上、または別の好適な期間)であり、Hzで測定され得る)であり、スロープおよびインターセプトは、陰圧設定値に基づいた定数である。スロープおよびインターセプトの値は、所定の陰圧源のために、可能な圧力設定値(例えば、-25Mmhg、-40Mmhg、-50Mmhg、-60Mmhg、-70Mmhg、-80Mmhg、-90Mmhg、-100Mmhg、-120Mmhg、-140Mmhg、-160Mmhg、-180Mmhg、-200Mmhg)に設定され得る。ポンプ速度に応じた流れは、より低い流量でより効率的となるようポンプが設計され得るため、単一ラインとしては最適適合ではない場合がある。このため、スロープおよびインターセプト値は、様々な設定値および様々なポンプのために予め演算され得る。本明細書に記載されるように、決定された流量は、様々な流れ閾値と比較されて、遮断状態、無流状態、キャニスタフル状態、異常状態、通常状態などといった特定の動作状態の有無を決定し得る。
【0110】
さらに、システムは、1つ以上のセンサを使用して、流体流路内の圧力を決定および監視し得る。例えば、流体流路は、創傷被覆材406において、またはその近くに、入口マニホールド分岐取付部444において、またはその近くに、または流体流路上の任意の他の場所に、圧力センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリは、ポンプアセンブリの入口(またはキャニスタ接続)内またはその近くに圧力センサを含む。この圧力センサは、キャニスタ内の圧力(またはキャニスタレスシステムでは被覆材内またはその近くで)圧力を測定し得る。ポンプアセンブリは、ミリ秒または他の任意の好適な時間など、キャニスタ内の圧力を継続的に測定し得る。最新の圧力センサ読取値の好適な数が平均化されて、1つ以上の誤った読取値による影響を軽減することができる。
【0111】
決定された総流量に基づいて、ポンプアセンブリは、本明細書に記載の様々な動作状態を監視および検出し得る。これらの状態のうちの1つ以上は、例えば、図13および図14に例示されるフロー図700または800によって検出され得る。1つ以上の流体流路における遮断は、総流量を1つ以上の流れ閾値と比較することによって、決定され得る。比較は、2分間または他の任意の好適な期間といった期間にわたり、またはそうした期間中に、継続的に、または実質的に連続的に実施されるような、ヒステリシスを実施し得る。予想されるTFRも設定値に依存し得るため、1つ以上の流れ閾値は、特定の圧力設定値に基づいて選択または決定され得る。すなわち、遮断を検出するには、ポンプアセンブリは、特定の圧力設定値に相当する複数の流れ閾値を利用することができる。代替的に、または、さらに、流れ閾値は、1つ以上の空気リークの漏れ量に基づいて選択または決定され得る。本明細書で説明したように、流量は、ポンプ速度を検出および監視することによって、間接的に決定され得る。
【0112】
1つ以上の流れ閾値が、(例えば、ある期間にわたって)満たされている場合または満たされていない場合、システムは、流体流路のうちの少なくとも1つに遮断があると決定し、警報(例えば、視覚的、聴覚的、または触覚的)を起動すること、陰圧の動作を一時停止することなどを含み得る、表示を提供する。例えば、遮断の有無を決定するため、ポンプアセンブリは、2分間の間、または他の任意の好適な時間中に、総流量が流れ閾値を満足するか、超えるか、または下回るかどうかを決定し得る。タコメータの定期的なサンプリングによって、総流量は定期的な時間間隔で更新され得るため、ポンプアセンブリは、総流量を、2分間にわたって流れ閾値に更新されているものとして、比較し得る。2分の間隔の間に決定された総流量が各々、流れ閾値を満たすか、超えるか、または下回ると、遮断が検出され得る。代替的に、または追加的に、10のうち9または他の任意の好適な数といった、計算された総流量のうちの大部分が流れ閾値を満たすか、超えるか、または下回る場合、遮断が検出され得る。検出された遮断は、5秒間または他の任意の好適な期間といった、一定期間において、1つ以上の流れ閾値を下回る(またはそれを超える)と、解消され得る。
【0113】
閾値の値は、本明細書に記載のように決定され得る、流体流路の陰圧設定値および予想される流量に基づいて、選択または決定される値といった、任意の好適な流れ閾値であってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、流体の流れを直接測定するために、1つ以上の流れセンサまたは流量計が使用され得る。いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリは、本明細書に記載の技術のうちの1つ以上を利用して、ポンプを制御し、様々な条件を検出し得る。ポンプアセンブリは、様々な技術によって決定されたパラメータを使用することを、好適に調停するよう構成され得る。例えば、ポンプアセンブリは、タコメータによって測定されるポンプ速度に基づくなど、間接的に、および流量計を使用することによってなど、直接的に決定される流量を調停することができる。特定の実施形態では、ポンプアセンブリは、流量を間接的に決定し、間接的に決定された流量が不正確または信頼できないと考えられる場合など、必要な場合には、流量の直接的な決定に頼ることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、複数の創傷の治療のためにYまたはW接続特徴を選択すること、または起動させることは、遮断、漏れ、キャニスタフル状態などといった、1つ以上の動作状態の検出を変更または修正することができる。YまたはW接続特徴を起動させることは、本明細書に記載の様々な閾値のうちの1つ以上を調節することができる。いくつかの実施形態では、システムは、YまたはWコネクタが存在することを自動的に検出する。例えば、単一の創傷被覆材が、1CLPの漏れ量を有して接続される場合、システムは、予想される1CLP漏れよりも大きな漏れを検出することによって、Yコネクタが存在することを自動的に検出することができる。例えば、システムは、例えば、2CLPの漏れ量のある別の流路が存在することを確認するようユーザを促し得る。ユーザが確認したら、システムが遮断を検出することを知ることになり、漏れ量の決定の少なくとも一部に基づいて流れ閾値を決定できる。3つの流路とのWコネクタに類似の決定を使用することができる。例えば、前の例に続き、システムが予想された3CLP漏れよりも大きい漏れを検出した場合、システムは、Wコネクタが存在することを検出し得、別の流路が、例えば、4CLPの漏れ量が存在することを確認するよう、ユーザに促し得る。いくつかの実施形態では、類似のアプローチを、4つ以上の創傷が治療されているときに利用することができる。
【0116】
図13は、いくつかの実施形態による、1つ以上の動作状態を決定および表示するプロセス700のフロー図を例示している。いくつかの実施形態では、プロセス700は、システムの1つ以上のコントローラといった、減圧創傷療法システム500によって実装される。
【0117】
ブロック702では、プロセス700は1つ以上の動作パラメータを決定する。例えば、プロセス700は、取り付けられた創傷被覆材の数、取り付けられた創傷被覆材に対応する流体流路が空気リークを含むかどうか、1つ以上の空気リークの漏れ量、システムの予想される総流量(TFR)、流体流路それぞれの予想される流量、1つ以上の流れ閾値、陰圧源の動作のレベルなどを決定し得る。いくつかの実施形態では、プロセス600は、校正モードで、こうした決定のうちの1つ以上を実施できる。代替的に、これらの決定の一部またはすべては、それぞれの創傷被覆材の取り付け時に、プロセスによって自動的に検出または受信され得る。いくつかの実施形態では、ユーザが動作パラメータのいくつかまたはすべてを入力することができ、または、プロセスが内部計算を実施するか、または変換方程式または表を利用できる。
【0118】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、プロセス700は、予想よりも高い漏れ量を検出することによって、1つ以上の取り付けられた創傷被覆材の有無を検出することができる。例えば、プロセスは、予想よりも高い漏れ量を検出することによって、Yコネクタが存在することを自動的に検出し、別の流路が存在することをユーザに確認させるよう促し得る。ユーザが確認したら、プロセスは遮断を検出する方法を決定することになる。他の実施形態では、プロセスは創傷被覆材がいつ取り付けられるかを検出し得、取り付けられた創傷被覆材に基づいて空気リークの仕様を知ることになる。
【0119】
プロセス700は、取り付けられた創傷被覆材のそれぞれに対応する流体流路のそれぞれの予想される流量を決定することもできる。本明細書に記載されるように、流体流路の各々は、空気リークが位置する流体流路の中へと流体を入れるよう構成され得る、1つ以上の空気リークを含み得る。さらに、空気リークの各々は、異なる漏れ量(例えば、流体が流体流路内に入れられる量)を有し得る。したがって、流体流路の各々は、異なる予想流量を有し得る。
【0120】
創傷被覆材の数、または1つ以上の空気リークの漏れ量に少なくとも部分的に基づいて、プロセス700は複数の流れ閾値を決定することができる。例えば、プロセスは、それぞれが異なる流量を有する2つの創傷被覆材を有し得る。プロセスは、第1の流れ閾値が、第1の流体流路内の予想される流量と、第2の流体流路内の予想される流量との集約に等しい流量に相当することを決定し得る。第2の流れ閾値は、第2の流体流路内の予想される流量に相当する。第3の流れ閾値は、第1の流体流路内の予想される流量に相当する。したがって、次いで、監視されたTFRが第1の流れ閾値を満たす場合、システムは通常動作している。次いで、監視されたTFRが第2の流れ閾値は満たすが、第3の流れ閾値は満たさない場合、プロセスは第1の流体流路が遮断されていると決定し得る。流量が第2の流体流路の予想される流量と等しいとき、プロセスは第2の流体流路の流れを検出しているのみであるため、プロセスはこの決定をし得る。よって、プロセスは第1の流体流路からのいずれの流れも検出しないので、プロセスは第1の流体流路が遮断されていると決定し得る。いくつかの実施形態では、閾値のうちの1つ以上は、例えば、動作中の変動性を許容するために、予想される流量よりも高く、またはより低くてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、流れ閾値は、システムの漏れ量に相当し得る。例えば、システムは2つの創傷被覆材を有し得る。各創傷被覆材が、関連付けられた流体流路を有し得る。第1の創傷被覆材に関連付けられた第1の流体流路は、1 CLPの空気リークを含む。第2の創傷被覆材に関連付けられた第2の流体流路は、2 CLPの空気リークを含む。プロセス700は、第1の流れ閾値は3CLPの漏れ量に相当し、第2の流れ閾値は、2CLPの漏れ量に相当し、第3の流れ閾値は、1CLPに相当すると決定し得る。したがって、プロセスが1CLPのTFR(例えば、第3の閾値は満たすが、第2の閾値および第3の閾値は満たさない)を検出する場合、プロセスは第2の流体流路が遮断されていると決定し得る。プロセスは、TFRが1CLPに等しい場合、システムが第1の流体流路の流れを検出しているのみであるため、この決定をし得る。よって、プロセスは第2の流体流路からの流れを検出しないので、プロセスは第2の流体流路が遮断されていると決定し得る。同様に、プロセスが2CLPのTFR(例えば、TFRが第2の閾値は満たすが、第3の閾値は満たさない)を検出する場合、プロセスは第1の流体流路が遮断されていると決定し得る。同様に、プロセスが3CLPのTFR(例えば、TFRが第3の閾値を満たす)を検出する場合、プロセスは、第1の流体流路と第2の流体流路のどちらも遮断されておらず、システムが通常動作していると決定し得る。また、プロセスが流れを検出しない場合、プロセスは、例えば、流体流路すべてが遮断されているか、またはキャニスタがフルであるためのシステムの遮断を決定し得る。これは、以下の表にまとめられている。
【表1】
【0122】
いくつかの実施形態では、誤りを説明できるように、閾値のうちの1つ以上がより高い、または低い場合がある。例えば、第1の空気リークは1CLPと等しいが、第1の流れ閾値は、閾値が1CLPをわずかに下回るか、またはわずかに高くなるよう、わずかなバッファ(例えば、0.03、0.05、0.1、0.15、0.2、または0.25CLP)を提供する。類似のバッファを他の流れ閾値に使用することができる。例えば、第1および第2の閾値は、それぞれ0.5および1CLPとすることができ、プロセスは次の決定を行うことができる。
【表2】
【0123】
ブロック704では、プロセス700は、本明細書に記載の流量監視技術のうちの1つ以上を利用して、総流量(TFR)を監視する。このプロセスは、1つ以上のこうした技術が並列に実行される場合、複数の流量監視技術を使用して決定された流量の間で好適に調停し得る。特定の実施形態では、プロセスは、ポンプ速度に基づいた流量決定などの技術のうちの1つを実行し、必要に応じて1つ以上の他の技術を利用することができる。様々な実施形態では、プロセスは、決定された流量が誤っているかまたは信頼できないと考えられる場合に、1つ以上の他の技術を利用することができる。いくつかの実施形態では、総流量は、プロセスの流路の各々の流れの集約に相当する。例えば、総流量は、第1の流体流路の流れと第2の流体流路の流れとの集約に相当し得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、監視されたTFRは、システムが通常動作しているかを決定するために、予想されるTFRと比較され得る。したがって、監視されたTFRを予測されたTFRと比較することによって(例えば、監視されたTFRから予想されたTFRを引くことによって)、プロセス700は、予想される流量からの現在の流量の偏差を決定できる。この偏差は、1つ以上の動作状態の有無によるものとすることができる。
【0125】
ブロック706では、プロセス700は、監視されたTFRが、予想されるTFRに相当し得る第1の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しい、またはそれを超える)かどうかを決定する。第1の流れ閾値が満たされる場合、次いで、ブロック708では、システムはシステムが通常動作していることを表示することができる。ブロック708での表示、またはプロセス700の他の任意のブロックは、本明細書に記載のアプローチのいずれかを使用して実施され得る。
【0126】
監視されたTFRが第1の閾値を満たさない場合、プロセス700はブロック710に移行し、ここでは監視されたTFRが第2の流れ閾値を満たすかどうかを決定する。第2の流れ閾値が満たされる場合(例えば、TFRが第2の流れ閾値に等しいか、または上回る)、次いで、ブロック712では、プロセス700は、第1の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、TFRが第2の閾値を満たす(および第1の流れ閾値は満たさない)と決定することに基づいて、プロセスは、それが第2の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0127】
監視されたTFRが第2の閾値を満たさない場合、プロセス700はブロック714に移行し、ここでは監視されたTFRが第3の流れ閾値を満たすかどうかを決定する。第3の流れ閾値が満たされる場合(例えば、TFRが第3の閾値に等しいか、または上回る)、次いで、ブロック716では、プロセスは、第2の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、TFRが第3の閾値を満たす(および第1および第2の閾値は満たさない)と決定することに基づいて、プロセスは、それが第1の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0128】
監視されたTFRが第3の閾値を満たさない場合、プロセス700はブロック718に移行し、ここではシステムが遮断されていることを決定および表示する。
【0129】
プロセス700と併せて提供される実施例は、概して、第1および第2の創傷被覆材を有するシステムに関するが、同様の技術が、任意の数の創傷被覆材を有するシステムに対して実施され得ることに留意されたい。
【0130】
さらに、プロセス700の一部として、より少ない、より多い、または異なるブロックが使用され得ることが理解されよう。例えば、プロセス700は、例えば、1つ以上の漏れ量が等しいか、またはほぼ等しい場合(例えば、±0.1L/分または別の好適な偏差)、より少ないブロックを含み得る。上述のように、システムは2つの創傷被覆材を有することができ、それぞれの創傷被覆材は関連する流体流路を有することができる。例えば、第1の創傷被覆材に関連付けられた第1の流体流路は、1CLPの空気リークを含むことができ、第2の創傷被覆材に関連付けられた第2の流体流路もまた、1CLPの空気リークを含むことができる。したがって、プロセス700は、2CLPの漏れ量に相当する第1の流れ閾値と、1CLPの漏れ量に相当する第2の流れ閾値という、2つの流れ閾値を利用できる。プロセス700が1CLPのTFR(例えば、第1の閾値は満たすが、第2の閾値は満たさない)を検出する場合、プロセスは第1または第2の流体流路のいずれかが遮断されていると決定し得る。プロセス700は、TFRが1CLPに等しい場合、プロセスが流体流路のうちの1つからの流れを検出しているのみであるため、この決定をし得る。いくつかの事例では、プロセスは流体流路が遮断されていると決定し得るが、他の事例では、プロセスは、流体流路のうちの1つのどこかに遮断が発生したことを決定または表示することができる。プロセス700が2CLPのTFR(例えば、TFRが第2の閾値を満たす)を検出する場合、プロセスは、第1の流体流路と第2の流体流路のどちらも遮断されておらず、システムが通常動作していると決定し得る。また、プロセスが流れを検出しない場合、プロセスは、例えば、流体流路すべてが遮断されているか、またはキャニスタがフルであるためのシステムの遮断を決定し得る。これは、以下の表にまとめられている。
【表3】
【0131】
図14は、いくつかの実施形態による、1つ以上の動作状態を決定および表示するためのプロセス800のフロー図を例示している。いくつかの実施形態では、プロセス800は、システムの1つ以上のコントローラといった、減圧創傷療法システム600によって実装される。
【0132】
ブロック802では、図7のブロック702を参照して説明されたものと同様に、プロセス800は、1つ以上の動作パラメータを決定する。例えば、プロセスは、取り付けられた創傷被覆材の数、取り付けられた創傷被覆材に対応する流体流路が空気リークを含むかどうか、1つ以上の空気リークの漏れ量、総流量、システムの予想される総流量(TFR)、流体流路の各々の予想される流量、1つ以上の流れ閾値、ポンプの動作のレベルなどを決定し得る。いくつかの実施形態では、プロセスは、校正モードで、こうした決定のうちのいくつかまたはすべてを実施できる。代替的に、これらの動作パラメータの一部またはすべては、それぞれの創傷被覆材の取り付け時に、プロセスによって自動的に検出または受信され得る。いくつかの実施形態では、ユーザが動作パラメータのいくつかまたはすべてを入力することができ、または、プロセスが内部計算を実施するか、または変換方程式または表を利用できる。
【0133】
本明細書に記載されるように、プロセス800は、予想よりも高い漏れ量を検出することによって、1つ以上の取り付けられた創傷被覆材の有無を検出することができる。例えば、プロセスは、予想よりも高い漏れ量を検出することによって、Wコネクタが存在することを自動的に検出し、別の流路が存在することをユーザに確認させるよう促し得る。ユーザが確認したら、プロセスは遮断を検出する方法を知ることになる。他の実施形態では、プロセスは創傷被覆材がいつ取り付けられるかを検出し得、取り付けられた創傷被覆材に基づいて空気リークの仕様を知ることになる。
【0134】
プロセス800は、複数の流れ閾値を決定することができる。この実施例では、プロセスは、少なくとも7つの流れ閾値を決定できる。しかしながら、より多くの、またはより少ない流れ閾値が決定され得ることに留意すべきである。図7のブロック702に関連して記載した通り、流れ閾値は、1つ以上の動作状態の存在下で、システムのTFRに相当することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1の流れ閾値は、第1の流体流路の予想される流量(予想される第1の流量)と、第2の流体流路の予想される流量(予想される第2の流量)と、第3の流体流路の予想される流量(予想される第3の流量)との集約に等しい流量に相当する。第2の流れ閾値は、予想される第2の流量と予想される第3の流量との集約に等しい流量に相当する。第3の流れ閾値は、予想される第1の流量と予想される第3の流量との集約に等しい流量に相当する。第4の流れ閾値は、予想される第1の流量と予想される第2の流量との集約に等しい流量に相当する。第5の流れ閾値は、予想される第3の流量に等しい流量に相当する。第6の流れ閾値は、予想される第2の流量に等しい流量に相当する。第7の流れ閾値は、予想される第1の流量に等しい流量に相当する。
【0136】
例えば、第1の流体流路は1CLPの漏れ量を有し得、第2の流体流路は3 CLPの漏れ量を有し得、第3の流体流路は5CLPの漏れ量を有し得る。第1の流れ閾値は、9CLPに等しい(例えば、すべての漏れ量の集約)漏れ量に相当する。第2の流れ閾値は、8CLPに等しい漏れ量に相当する。第3の流れ閾値は、6CLPに等しい漏れ量に相当する。第4の流れ閾値は、5CLPに等しい漏れ量に相当する。第5の流れ閾値は、4CLPに等しい漏れ量に相当する。第6の流れ閾値は、3CLPに等しい漏れ量に相当する。第7の流れ閾値は、1CLPに等しい漏れ量に相当する。これは以下のようにまとめられている。
【表4】
【0137】
いくつかの実施形態では、流れ閾値の順序は、空気リークの漏れ量に基づいて変化し得る。
【0138】
ブロック804では、図7のブロック704を参照して記載されるものと同様に、プロセス800は、本明細書に記載の流量監視技術のうちの1つ以上を利用してTFRを監視する。
【0139】
ブロック806では、プロセス800は、監視されたTFRが第1の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しい、またはそれを超える)かどうかを判断する。第1の流れ閾値が満たされる場合、次いで、ブロック808では、プロセスはシステムが通常動作していることを表示することができる。ブロック808での表示、またはプロセス800の他の任意のブロックは、本明細書に記載のアプローチのいずれかを使用して実施され得る。
【0140】
監視されたTFRが第1の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック810に移行し、監視されたTFRが第2の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超える)かどうかを決定する。第2の流れ閾値が満たされる(および第1の流れ閾値は満たされていない)場合、次いで、ブロック812では、プロセスは、第1の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスは、それが第2および第3の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0141】
監視されたTFRが第2の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック814に移行し、ここでは監視されたTFRが第3の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超える)かどうかを決定する。第3の流れ閾値が満たされる(および第1および第2の流れ閾値は満たされていない)場合、次いで、ブロック816では、プロセスは、第2の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスは、それが第1および第3の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0142】
監視されたTFRが第3の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック818に移行し、ここでは監視されたTFRが第4の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超える)かどうかを決定する。第4の流れ閾値が満たされる(および第1、第2、および第3の流れ閾値は満たされていない)場合、次いで、ブロック820では、プロセスは、第1および第2の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスは、それが第3の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0143】
監視されたTFRが第4の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック822に移行し、ここでは監視されたTFRが第5の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超える)かどうかを決定する。第5の流れ閾値が満たされる(および第1から第4の流れ閾値は満たされていない)場合、次いで、ブロック824では、プロセスは、第3の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスは、それが第1および第2の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0144】
監視されたTFRが第5の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック826に移行し、ここでは監視されたTFRが第6の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超える)かどうかを決定する。第6の流れ閾値が満たされる(および第1から第5の流れ閾値は満たされていない)場合、次いで、ブロック828では、プロセスは、第1および第3の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスは、それが第2の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0145】
監視されたTFRが第6の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック830に移行し、ここでは監視されたTFRが第7の流れ閾値を満たす(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超える)かどうかを決定する。第7の流れ閾値が満たされる(および第1から第6の流れ閾値は満たされていない)場合、次いで、ブロック832では、プロセスは、第2および第3の流体流路内に遮断状態が存在することを表示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスは、それが第1の流体流路からの流れのみを検出していると決定することができる。
【0146】
ブロック834では、プロセス800は、どの流れ閾値も満たされていないと決定し、システムの遮断状態を表示する。
【0147】
プロセス800と併せて提供される実施例は、第1、第2、および第3の創傷被覆材を有するシステムに関するが、同様の技術が、任意の数の創傷被覆材を有するシステムに対して実施され得ることに留意されたい。
【0148】
較正されたリーク路を有する陰圧創傷療法システムの実施例、実施形態、方法、プロセス、またはデバイスは、「MULTIPLE DRESSING NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEM WITH CALIBRATED LEAK PATHS」と題する、2018年3月15日に出願された国際出願第PCT/EP2018/056494号にさらに提供されおり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0149】
用語
実施形態によっては、本明細書に記載されるプロセスのいずれかの特定の動作、作用、事象、または機能は、異なる順序で実施され得、追加、融合、または完全に除外され得る(例えば、プロセスの実践にすべてが必要となるわけではないなど)。さらに、特定の実施形態では、動作、作用、機能、または事象は、例えば、マルチスレッド処理、割込処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通じて、または他のパラレルアーキテクチャー上で、シーケンシャルにではなく、同時に実施することができる。
【0150】
例示されるシステムの様々な構成要素の処理は、複数の機械、ネットワーク、および他のコンピューティングリソースにわたって分散され得る。さらに、システムの2つ以上の構成要素を、より少ない構成要素に組み合わせることができる。図示されたシステムの様々な構成要素を、専用コンピュータハードウェアシステムおよび/またはコンピューティングデバイスではなく、1つ以上の仮想マシンに実装することができる。同様に、図示されたデータレポジトリは、例えば、ストレージエリアネットワークまたは他の分散ストレージシステムを含む、物理的および/またはロジカルデータストレージを表し得る。さらに、いくつかの実施形態において、示される構成要素の間の接続は、ハードウェア間の実際の接続というよりはむしろデータの流れの経路を示す。可能な接続のいくつかの例が示されているが、示された構成要素の任意のサブセットは、様々な実装例の構成要素の他の任意のサブセットと通信可能である。
【0151】
添付の出願書類に列挙されている可能性のあるものを含む、上記の特許および出願、ならびに他の参考文献が、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の態様は、必要に応じて修正して、本明細書に記載の様々な参考文献のシステム、機能、および概念を採用して、さらなる実装例を提供することができる。
【0152】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特徴、材料、特性、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特性のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスの工程のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0153】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされ得る。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて行われる実際のステップは、図に示されたステップとは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで行われる実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアもしくはファームウェアとして実装されてもよい。プロセッサ、ASIC、FPGAなどのハードウェア構成要素には論理回路が含まれ得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、そのすべてが本開示の範囲内に収まることになる。
【0154】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまで及び、これには本明細書に記載された特徴および利点のすべてを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、実施形態によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0155】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということを伝えることを意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」などの用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特性、行為、および動作などを排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの1つ、一部、またはすべてを意味することになる。同様に、「および(and)/または(or)」という用語は、2つ以上の項目の列挙に関して、言葉の以下の解釈のすべて:列挙内の項目も任意の1つ、列挙内のすべての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0156】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを伝えるのに一般的に用いられる文脈とともに、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つと、Yのうちの少なくとも1つと、Zのうちの少なくとも1つとを含むことを必要とするという示唆を通常意図しない。
【0157】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0158】
本明細書に記載の実施形態のいずれを、キャニスタあり、またはキャニスタなしで使用することができる。本明細書に記載される被覆材実施形態のいずれかも、創傷滲出液を吸収および保存することができる。
【0159】
本開示の範囲は、特定の実施形態の説明によって制限されることは意図されておらず、請求項によって定義されてもよい。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷部位に陰圧を提供するための装置であって、前記装置が、
頂部層、底部層、および中間層であって、各層が、可撓性の液体不浸透性材料から構築されており、かつ互いに付着し、前記層の各々が、近位端および遠位端、およびそれらの間に延在する細長い部分を有する、頂部層、底部層、および中間層と、
前記頂部層と前記中間層との間に少なくとも部分的に画定される上部流体通路であって、前記上部流体通路が、近位端および遠位端を有し、前記上部流体通路が、前記上部層と前記中間層との間に位置付けられた上部チャネルスペーサ層を備え、前記上部流体通路が、前記上部流体通路の前記遠位端に向かって空気リークから空気を提供するように構成されている、上部流体通路と、
前記中間層と前記底部層との間に少なくとも部分的に画定される下部流体通路であって、前記下部流体通路が、陰圧源と流体連通するように構成されており、前記下部流体通路が、中間フィルム層と下部フィルム層との間に位置付けられた下部チャネルスペーサ層を備える、下部流体通路と、
前記底部層の前記遠位端にある第1の開口部および第2の開口部と、を備え、前記第1の開口部が、前記第2の開口部から離間しており、前記第1の開口部が、前記上部流体通路に流体接続し、前記第2の開口部が、前記下部流体通路に流体接続する、装置。
[付記項2]
前記上部チャネルスペーサ層が、発泡体を含む、付記項1に記載の装置。
[付記項3]
前記下部チャネルスペーサ層が、3D編み材料または3D布帛材料を含む、付記項1または2に記載の装置。
[付記項4]
前記頂部層および前記底部層の各々が、拡大された遠位端を有する、付記項1~3のいずれか一項に記載の装置。
[付記項5]
前記頂部層および前記底部層の前記拡大された端が、矩形である、付記項4に記載の装置。
[付記項6]
前記頂部層および前記底部層の前記拡大された端が、涙滴形状である、付記項4に記載の装置。
[付記項7]
前記底部層が、ドレープに取り付けられるように構成されている、付記項1~6のいずれか一項に記載の装置。
[付記項8]
前記底部層が、アプリケータに取り付けられている、付記項1~7のいずれか一項に記載の装置。
[付記項9]
前記アプリケータが、前記第1の開口部および前記第2の開口部の直下に置かれる2つのアパーチャを備える、付記項8に記載の装置。
[付記項10]
前記空気リークが、前記上部流体通路の前記近位端に隣接して配設されている、付記項1~9のいずれか一項に記載の装置。
[付記項11]
前記空気リークが、フィルタを含む、付記項1~10のいずれか一項に記載の装置。
[付記項12]
前記上部流体通路および前記下部流体通路が、互いに流体的に分離している、付記項1~11のいずれか一項に記載の装置。
[付記項13]
前記下部チャネルスペーサ層の前記近位端と流体連通するコネクタをさらに備える、付記項1~12のいずれか一項に記載の装置。
[付記項14]
前記第1の開口部が、前記第2の開口部よりも前記底部層の前記遠位端に近い、付記項1~13のいずれか一項に記載の装置。
[付記項15]
前記中間層の前記遠位端が、前記頂部層および前記底部層の前記遠位端の近位にある、付記項1~14のいずれか一項に記載の装置。
[付記項16]
創傷部位に陰圧を提供するための装置であって、前記装置が、
近位端および遠位端を有する細長いブリッジであって、細長い本体が、前記創傷部位に陰圧を提供するように構成された第1の流体通路、および前記創傷部位に向かって空気リークを提供するように構成された第2の流体通路を備える、細長いブリッジと、
前記細長いブリッジの前記遠位端にあるアプリケータと、を備え、前記アプリケータが、第1の開口部、および前記第1の開口部から離間した第2の開口部を備え、
前記第1の流体通路が、前記第1の開口部に流体接続し、前記第2の流体通路が、前記第2の開口部に流体接続する、装置。
[付記項17]
前記第1の流体通路および前記第2の流体通路の各々が、変形可能なスペーサを備える、付記項16に記載の装置。
[付記項18]
前記第1の流体通路の前記変形可能なスペーサが、3D編み材料または3D布帛材料を含む、付記項17に記載の装置。
[付記項19]
前記変形可能なスペーサの前記第2の流体通路が、発泡体を含む、付記項17または18に記載の装置。
[付記項20]
前記第2の流体通路が、前記第1の流体通路の上方に置かれている、付記項16~19のいずれか一項に記載の装置。
[付記項21]
前記第1の流体通路および前記第2の流体通路が、隣り合わせに置かれている、付記項16~20のいずれか一項に記載の装置。
[付記項22]
前記第1の流体通路および前記第2の流体通路が、前記細長いブリッジ内で互いに流体的に分離している、付記項16~21のいずれか一項に記載の装置。
[付記項23]
前記第1の流体通路および前記第2の流体通路が、流体不浸透性層によって分離されている、付記項16~22のいずれか一項に記載の装置。
[付記項24]
前記アプリケータが、ドレープに取り付けられるように構成されている、付記項16~23のいずれか一項に記載の装置。
[付記項25]
前記空気リークが、前記細長いブリッジの前記近位端に隣接して配設されている開口部を介して提供される、付記項16~24のいずれか一項に記載の装置。
[付記項26]
前記空気リークが、フィルタを含む、付記項16~25のいずれか一項に記載の装置。
[付記項27]
前記第1の開口部が、前記第2の開口部よりも前記アプリケータの前記遠位端に近い、付記項16~26のいずれか一項に記載の装置。
[付記項28]
前記アプリケータの創傷面側に配設されている接着剤をさらに備える、付記項16~27のいずれか一項に記載の装置。
[付記項29]
陰圧創傷療法装置を動作させる方法であって、前記方法が、
陰圧源を創傷の上に置かれた創傷被覆材に流体連結する流体流路内の総流量を決定することであって、前記創傷被覆材が、制御された空気リークから前記創傷被覆材にガスを提供するように構成された空気リーク路に流体接続し、前記空気リーク路が、前記流体流路に沿って延在するが、前記流体流路から流体的に分離している、決定することと、
前記総流量を監視することに応答して、少なくとも1つの動作状態の表示を提供することであって、
前記総流量が流れ閾値を満たさないと決定することに応答して、前記流体流路内に遮断状態が存在するという表示を提供すること、
前記総流量が前記流れ閾値を満たすと決定することに応答して、通常動作状態が存在するという表示を提供すること、によって、提供することと、を含み、
前記方法が、前記陰圧創傷療法装置のコントローラによって実施される、方法。
[付記項30]
前記流れ閾値が、前記流体流路内の予想流量に相当する、付記項29に記載の方法。
[付記項31]
前記予想流量が、前記通常動作状態下の前記流体経路内の流量に相当する、付記項30に記載の方法。
[付記項32]
前記総流量を決定することが、前記陰圧源を動作させるモータの速度を測定することを含む、付記項29~31のいずれかに記載の方法。
[付記項33]
第1の期間中に第1の複数のモータ速度を測定することと、前記第1の複数のモータ速度を平均化することと、をさらに含み、前記平均が、前記流量を示す、付記項32に記載の方法。
[付記項34]
創傷を治療する方法であって、前記方法が、
吸引アダプタを提供することであって、前記吸引アダプタが、
位端および遠位端を有する細長いブリッジ部分であって、前記細長いブリッジが、創傷部位に陰圧を提供するように構成された第1の流体通路、および前記創傷部位に向かって空気リークを提供するように構成された第2の流体通路を備える、細長いブリッジ部分、
記細長いブリッジの前記遠位端にあるアプリケータ、を備え、前記アプリケータが、第1の開口部、および前記第1の開口部から離間した第2の開口部を備え、
記第1の流体通路が、前記第1の開口部に流体接続し、前記第2の流体通路が、前記第2の開口部に流体接続する、提供することと、
前記アプリケータの前記第1の開口部および前記第2の開口部を、前記創傷を覆うドレープの1つ以上のアパーチャの上に位置決めすることと、
前記ドレープに対して前記吸引アダプタをシールすることと、
前記吸引アダプタを通して前記創傷に陰圧を印加することと、を含み、空気が、前記創傷部位に向かって前記空気リークを通り、前記ドレープの下で前記第2の開口部を通り、そして前記第1の開口部を通って、前記第1の流体通路へと引き出される、方法。
[付記項35]
前記ドレープの前記1つ以上のアパーチャが、第1のアパーチャおよび第2のアパーチャを含み、位置決めすることが、前記アプリケータの前記第1の開口部と前記ドレープの前記第1のアパーチャとを整列させること、および前記アプリケータの前記第2の開口部と前記ドレープの前記第2のアパーチャとを整列させることを含む、付記項34に記載
の方法。
[付記項36]
前述の説明の1つ以上の特徴を含む、創傷部位に陰圧を提供するためのアパーチャ。
[付記項37]
前述の説明の1つ以上の特徴を含む、陰圧創傷療法装置を動作させる方法。
[付記項38]
前述の説明の1つ以上の特徴を含む、創傷を治療する方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
【外国語明細書】