(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075672
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】記録装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/77 20060101AFI20240528BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20240528BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240528BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H04N5/77
H04N5/92 010
G07C5/00 Z
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043347
(22)【出願日】2024-03-19
(62)【分割の表示】P 2022017602の分割
【原出願日】2014-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】尾野 久雄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】記録済みの映像に上書きして新たな映像を録画する記録装置において、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制した記録装置を提供すること。
【解決手段】車両において撮像した映像を、記録済みの映像に上書き録画する連続録画機能を備えたドライブレコーダは、車両が所定の停車状態である場合に上書きを抑制する上書抑制機能を備え、上書抑制機能は、連続録画を一時停止することで上書きを抑制する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において撮像した映像を、記録済みの映像に上書き録画する機能を備えた記録装置において、
前記車両が事故にあった可能性があるかを判断し、当該事故にあった可能性がある場合には、前記上書きを抑制する機能を備え、
前記上書きを抑制する機能は、
前記撮像した映像を画像認識して前記事故に相当する状況が写り込んだシーンが検出された場合に前記車両が前記事故にあった可能性があると判断して前記上書きを抑制する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記事故に相当する状況は、変形した前記車両またはケガ人が発生した状況である
請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記上書きを抑制する機能は、前記撮像した映像を画像認識して相手の救出、本人のケガ、前記相手との話しをしていることの少なくともいずれか1つが検出された場合に前記上書きを抑制する
請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記上書きを抑制する機能は、前記相手の救出、前記本人のケガ、前記相手との話しをしていることの少なくともいずれか1つが検出されてから第1の所定時間経過後に前記上書きを抑制する
請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記上書きを抑制する機能は、前記相手の救出、前記本人のケガ、前記相手との話しをしていることの少なくともいずれか1つが検出されてから前記相手の救出、前記本人のケガ、前記相手との話しをしていることのいずれも検出されなくなった後に前記上書きを抑制する
請求項3に記載の記録装置。
【請求項6】
前記上書きを抑制する機能は、2人以上の人物が第2の所定時間を超えて認識された場合に前記相手との話しをしていることを検出する
請求項3から5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記上書きを抑制する機能は、第3の所定時間内に前記本人が認識されたことと認識されなくなったことが繰り返された場合に前記本人のケガを検出する
請求項3から5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の記録装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における映像を記録する記録装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両における映像を記録する記録装置が知られている。例えば、車両における映像として車両内あるいは車両外の車両周辺の映像を撮像して記録する記録装置として、ドライブレコーダが知られている(例えば、特許文献1参照。)。ドライブレコーダによる映像は、例えば車両が事故に巻き込まれたり事故を起こしたりしたとき、記録された映像を再生して見ることで、事故原因を究明するために役立っている。
【0003】
従来のドライブレコーダは所定の衝撃発生等のイベント発生の前後数十秒間の映像を記録するイベント記録機能を有するものが主流であったが、映像を記録する記録媒体の価格の低下などから、最近のドライブレコーダでは常時録画機能を有するものが増えている。例えば、車両の走行中、常時連続して録画するドライブレコーダが知られており、このようなドライブレコーダは、事故等のイベントが発生した瞬間の映像も、それ以外の映像も含めて、常時記録されるため、録画の取りこぼしが無い反面、大容量の画像記憶メモリーを必要とする。メモリーの記憶容量が一杯になった場合に新たなメモリーカードに入れ替えるのは困難であるため、常時録画は、例えばSDカード等の記録媒体の容量が概ねいっぱいになるまで記録し、いっぱいになると古い映像を消去して現在の映像を上書き保存するなどしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
常時録画の欠点は、事故等のイベントが発生した瞬間の映像ではない録画の必要がない映像も録画して記録済みの映像に上書き保存するため、時として保存が必要な画像も上書きで消えてしまう可能性がある。
例えば、事故時にエンジンを切らずに、相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしている間に事故時の画像が上書きされてしまう、あるいは、前日の走行画像の保存が必要であった場合、それを忘れて翌日エンジンスターターでエンジンを始動した場合、アイドリング中に前日画像が上書きされてしまうなどである。
ドライブレコーダの主目的は、事故の記録であるが、事故に遭遇し録画画像を残したい場合、連続録画を止めるか、別途画像の保存をする等しないと、事故の記録が上書きにより消えてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、こうした従来のドライブレコーダ等の問題点に鑑みてなされたものであり、記録済みの映像に上書きして現在の映像を録画する記録装置において、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制した記録装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)車両において撮像した映像を、記録済みの映像に上書き録画する機能を備えた記録装置において、車両が所定の停車状態である場合に前記上書きを抑制する機能を備えるとよい。
このようにすれば、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。例えば記録装置の電源を切らなくても事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制させることができる。
【0008】
車両において撮像した映像としては、例えば、車両内あるいは車両外の車両周辺の映像とするとよい。特に車両外の映像としては、走行する車両の周辺の映像とするとよい。映像は、例えば車両に設置したカメラ等の撮像手段から取得する構成とするとよい。特に車室内に設置された撮像手段から取得した映像とするとよい。
本記録装置は、例えば、マイコン等の制御手段で構成するとよい。
【0009】
映像の録画は、例えば記録手段に対して行うようにするとよく、特にデジタル化して記録するための記憶手段に対して行うようにするとよい。記憶手段としては例えばメモリーカード等の記録媒体とするとよい。
記録済みの映像としては、例えば、イベント記録による記録済みの映像とし、上書き録画する映像もイベント記録による映像とすることもできるが、特に、連続的に映像を記録する連続録画による記録済みの映像に連続録画による映像を上書き録画する構成において、顕著な効果を奏する。特に、記録装置への電源が供給されている場合に記録を連続的に行う常時記録による記録済みの映像に常時録画による映像を上書き録画する構成において最も顕著な効果を奏する。
【0010】
所定の停車状態としては、例えば後述する(4)のように、所定時間停車した状態とするとよい。このようにすれば、この所定時間を超える停車状態が継続した場合に、特に事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。
上書きの抑制としては、例えば後述する(7)から(9)、(13)のようにするとよい。特に、上書きの抑制としては上書きの停止とするとよい。
【0011】
さらに、車両が前記所定の停車状態でない場合には、前記上書きの抑制を実行しない状態を備えるとよく、特に車両が前記所定の停車状態でない場合には前記上書きの抑制を実行しない構成とするとよい。このようにすれば、事故等のイベントが発生した瞬間の映像をより確実に記録することができ、かつ、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができ、両者をよりよいバランスで両立させることができる。
【0012】
(2)連続録画機能を備え、前記上書き録画は、連続録画の記録済み映像に対して行い、前記上書きを抑制する機能は、連続録画の抑制による構成とするとよい。
このようにすれば、連続録画によって事故等のイベントが発生した瞬間の記録済みの連続録画の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。
【0013】
連続録画としては、ある時間にわたって連続的に映像を記録するものとするとよいが、特に、イベントの発生とは因果関係を持たずに記録するものとするとよく、特にイベントの発生とは無関係に記録するものとするとよい。特に連続記録は、記録装置への電源が供給されているときに原則として記録を連続させる常時記録とするとよく、このようにすれば、常時録画によって、事故等のイベントが発生した瞬間の記録済みの常時録画の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができるという、顕著な効果を奏する。
【0014】
連続録画としては、例えば、記録装置が、イベント録画機能を備える場合には、イベント録画機能による録画時間よりも長い時間にわたって連続的に記録するものとするとよい。このようにすれば連続録画によって記録済みの映像についても上書きが抑制され事故等のイベントが発生した瞬間の記録済みの連続録画の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができ、イベント録画機能による映像の記録がイベントとみなされない程度の衝撃等により記録されていなかった場合に連続録画の映像によって事故等のイベントの瞬間の映像を確認できる可能性を高めることができ、またイベント録画機能による映像の記録がなされている場合であってもそのイベント録画による映像よりも長い時間にわたって記録された連続録画の映像によってより長時間にわたって事故等のイベントの前後の状況等を確認できるという顕著な効果を奏する。
【0015】
(3)イベント録画機能を備え、前記上書きの抑制中は、イベント録画機能による録画を行えるようにした構成とするとよい。
このようにすれば、上書きを抑制している間に、例えば事故等のイベントが発生した場合であっても、イベント録画機能による録画がなされることとなり、より確実に事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。特に所定の停車状態である場合に上書きが抑制されるため、停車時に事故が発生した場合に、より確実にその事故等の瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。停車中の事故の発生もあるため、イベント録画機能による録画をさせるようにしておくことが望ましい。
【0016】
特に、イベント録画機能によって録画された映像は、上書きを行わなわない構成とするとさらに確実に事故等の瞬間の映像が消去されてしまうことを防止できる。
上書きの抑制中にイベント録画機能による録画を行えるようにした構成としては、例えば、各種の事故等のイベントを検知するセンサやスイッチ等からの信号を取得し、例えばその信号が所定のイベントの発生と判断できる状態を示す場合に、その判断がなされた前後の所定の時間分の映像をイベント録画による映像として記録する構成とするとよい。例えば、センサの値が所定の閾値を超えた場合やスイッチの押下が検出された場合をトリガーとして、そのトリガーが発せられた場合にのみ、その前後の時間、録画をするようにするとよい。
【0017】
(4)前記所定の停車状態として、所定時間以上停止した状態を備えるとよい。
このようにすれば、停車した状態での映像が走行中に記録した記録済みの映像に上書きして記録され続けることを防止することができる。したがって、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が停車中の映像で消去されてしまうおそれを抑制することができる。
【0018】
(5)前記車両が事故にあった可能性があるかを判断し、事故にあった可能性がある場合には、前記上書きを抑制する機能を備えるとよい。
このようにすれば、より確実に、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。
【0019】
車両が事故にあった可能性があるかの判断は、例えば、所定の閾値以上の衝撃を検出した場合、OBD等の診断システム等から取得した車両に備えるECU等の故障診断情報が故障を示す情報である場合、エアバッグ等が動作したことを検知した場合、映像を画像認識して事故に相当する画像が検出された場合等とするとよい。また、車両が事故にあった可能性があるかの判断としては、例えば次の(6)のようにするとよい。
【0020】
(6)前記所定の停車状態として、衝撃の検知後、所定時間内に車両が停車したことを備える構成とするとよい。
このようにすれば、より確実に、事故が発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。事故の場合、一般的に、衝撃を検知した後、所定時間内に停車するという行動が執られることを見出した。特に、所定の時間は、衝撃の検知後、数十秒以内に停止した場合とするとよい。
【0021】
(7)前記上書きの抑制として、録画を停止すること、前記上書きされるまでの時間を長くするように記録方法を変更すること、前記映像の記録による時間あたりの記録に必要な容量を減少させること、録画する映像のフレームレートを小さくすること、録画する映像の画素数を少なくすることの少なくともいずれか1つを行う機能を備えるとよい。
このようにすれば、記録済みの映像に含まれる事故等のイベントが発生した瞬間の映像が上書きによって消去されてしまう可能性を低減できる。
【0022】
特に、万一の場合を想定して映像の記録に使用するメモリーをセーブして録画を続けるようにしたり、上書きされるまでの時間を長くするように変更する処理をしたりするとよい。
フレームレートを小さくする構成としては、特に、抑制しない場合は数十フレーム/秒で映像を記録する一方、抑制する場合には数フレーム/秒程度(例えば1fps)のように、両者の間で、秒間のフレーム数につき桁を変える程度の変更をするとよい。前記映像の記録による時間あたりの記録に必要な容量や録画する映像の画素数などについてもその数の桁が変わる程度の変更を行うとよい。
【0023】
(8)前記上書きの抑制として、上書きで消えないようにするとよい。
このようにすれば、記録済みの映像に含まれる事故等のイベントが発生した瞬間の映像が上書きによって消えることがなくなり、より確実に、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを無くすことができる。
上書きで消えないようにする構成としては、例えば、次の(9)のようにするとよい。
【0024】
(9)前記上書きの抑制として、上書き禁止にする、上書き領域でない領域へコピーする、または、上書き領域でない領域へ移動する、の少なくともいずれか1つを行う構成とするとよい。
このようにすれば、さらに確実に事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。
【0025】
上書き禁止にする構成としては、例えば、記録する映像を所定の時間単位で1つのファイルとして記録していき、そのファイルの属性としてファイルの生成を完了する際に上書き禁止属性を付与するとよい。上書き領域でない領域へコピーする構成としては、例えば上書き可能領域と上書き禁止領域とを分けておき、上書き可能領域に記録された映像データを、上書き禁止領域にコピーする構成とするとよい。上書き領域でない領域へ移動する構成としては、例えば上書き可能領域と上書き禁止領域とを分けておき、上書き可能領域に記録された映像データを、上書き禁止領域に移動する構成とするとよい。上書き可能領域と上書き禁止領域は例えば異なるフォルダとしたり、異なるドライブとしたり、あるいは異なるファイルシステムとしたりするとよい。
【0026】
特に、移動またはコピーして記憶する先のフォルダ内での上書きはあり得ないようにするとよい。
例えば、連続録画機能を備え、前記上書きの抑制として、連続録画による上書き領域でない領域へコピーする、または連続録画による上書き領域でない領域へ移動する、の少なくともいずれか1つを行う構成とするとよい。
【0027】
(10)前記車両が所定の走行状態となった場合には、前記上書きの抑制を終了する構成とするとよい。
このようにすれば、車両が走行しているという事故等のイベントが発生しやすい状況の映像をより確実に記録させることができるとともに、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。
【0028】
特に、車両が所定の走行状態となった場合には、上書きの抑制を開始する前の映像の記録状態に戻すとよい。
所定の走行状態としては、前記所定の停車状態ではない状態とするとよく、特に車両が走行を開始した状態とするとよい。
【0029】
(11)前記所定の停車状態は、振動検知手段から取得した振動状態が所定の状態であること、車両から取得した速度情報が所定の状態であること、測位手段から取得した位置情報に基づく速度情報が所定の状態であること、GPS受信手段から取得した速度情報が所定の状態であることの少なくともいずれか1つに基づいて判定する構成とするとよい。例えば、いずれの所定の状態も実際の停車状態でとりうる状態とするとよく、特に走行している状態では取り得ない状態とするとよい。また、例えば停車状態で実測した状態を記憶しておきその記憶されたパターンと一致するか否かに基づいて所定の状態にあるか判定するとよい。振動検知手段から取得した振動状態の所定の状態としては、例えば、走行時の振動特性とは異なる停車時の振動特性を記憶しておき、停車時の振動特性と一致する場合には停車状態と判定するようにするとよい。
特に、これらのうち少なくともいずれか2に基づいて判定する構成とするとよい。このようにすれば、より確実に所定の停車状態にあるかを弁別できる。
【0030】
(12)ユーザからの操作に基づいて現在記録中の映像を含む所定の範囲の映像への上書きを抑制する機能を備え、電源の遮断があっても、電源遮断前の所定の範囲の映像も含めて上書きを抑制する機能を備えるとよい。
このようにすれば、事故時に事故の映像の上書きを抑制する操作をせずに、事故によりあるいはエンジンを切るなどして記録装置の電源が切られた場合であっても、再度電源が供給されたときに、電源遮断前の所定の範囲を映像の上書きをその時点で抑制させることができる。
【0031】
(13)相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した場合に、前記上書きを抑制する機能を備えるとよい。
このようにすれば、さらに確実に事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。
【0032】
相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した場合としては、例えば、相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した直後としてもよいが、所定時間経過後とするとよく、例えば、相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した後、これらを検出しなくなった後とするとよい。このようにすれば、救出や話し合いの様子も抑制せずに記録される一方、これらの時間は比較的短時間であるから、記録済みの事故時の映像が上書きされて消されているという状況を抑制できる。本人のケガ、相手との話し等をしている状態であるという判定は、例えば顔認識等の画像認識処理により、車両において撮像した映像中の人を認識する機能を備え、当該人を認識している時間が予め記憶された所定のパターンであるか否かに基づいて行うようにしてもよい。例えば2人以上の人物が所定の時間を超えて認識された場合や、所定の時間内に同一人物が認識されたりされなくなったりすることを繰り返す場合には上書きを抑制するようにするとよい。
【0033】
(14)エンジンスターターでエンジンを始動したことを検出した場合に、前記上書きを抑制する機能を備える構成とするとよい。
このようにすれば、エンジンスターターでエンジンを始動させてアイドリングをしている間の映像によって、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを低減することができる。
【0034】
例えば、事故時及びその前後録画データをより確実に記憶保存する事を目的として特に次の(15)から(23)のようにするとよい。これらは特に車両が事故をおこした場合や、事故を目撃して救助を行う場合等においては、直ぐに車両を停車させる事に着目したものである。例えば、連続録画では上書きで記録済みの映像が消えるという問題、イベント録画は例えばセンサが検知しなかった場合、または、ボタン操作をしなかった場合などに記憶保存されない問題を解決することができる。
【0035】
(15)事故の直後であるか否かを判断し、事故の直後であると判断した場合に、前記上書きの抑制をする機能を備えるとよい。
このようにすれば、事故時及びその前後の映像をより確実に記憶保存する事ができる。より具体的な構成としては、例えば(17)(18)のようにするとよい。
【0036】
(16)事故後、安全な場所に車を移動させたか否かを判断し、事故後、安全な場所に車を移動させたと判断した場合に、前記上書きの抑制をする機能を備えるとよい。
このようにすれば、事故時及びその前後の映像をより確実に記憶保存する事ができる。より具体的な構成としては、例えば(19)のようにするとよい。この場合の上書きの抑制は、特に、事故前後の時点を含む映像に対して行うようにするとよい。安全な場所か否かは、予め安全な場所の領域情報等を記憶しておき、記憶されたこの領域範囲内に、検出した現在位置が含まれるか否かに基づいて判定するとよい。あるいは、予め安全でない場所の領域情報等を記憶しておき、現在位置がこの領域外であるか否かに基づいて判定するとよい。特に道路上は安全でない場所の領域とするとよい。
【0037】
(17)連続録画機能を備え、前記所定の停車状態として、停車状態になったことを備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、その前後所定時間の連続録画の記録済み映像について前記上書きの抑制を行う構成とするとよい。
前述した着目点の様に事故等の発生時には、その直後に停車する。よって、停車前後の映像を専用フォルダ等に記憶させるなど上書きの抑制をすれば、事故等の録画が記録されている可能性が高いので、事故時及びその前後録画データをより確実に記憶保存することができる。
【0038】
上述した(1)から(14)においてもいえるが、特に(15)以降においては、上書きの抑制として、例えば、記録済み映像の録画データ(撮像データ)またはそれを含む録画データファイルを特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに移動、またはコピーして記憶するとよい。そして、上書きの抑制としては、上書き禁止のフォルダ等への移動またはコピーとしてもよいが、例えば、街中の走行等では停車は頻繁にするので専用フォルダ等は上書き許可で行うのが実用的である。このように上書き許可で専用フォルダ等へ移動またはコピーする方法での上書きの抑制を行うことで、専用フォルダ等の中のデータ量は、連続録画のデータ量よりは少ないデータ量とできるので、連続録画と同じ記憶容量を使用するなら上書きで消される確率は低くなり有益である。
【0039】
前後所定時間は、例えば、イベント録画機能と連続録画機能がある場合にはイベント録画による録画時間よりも長く、連続録画機能による録画時間よりも短い時間とするとよい。例えば、停車の数十秒前から数分前を始まりとし停車の数十秒から数分後を終わりとした範囲の上書きを抑制するとよい。特に停車後より停車前の上書き抑制時間を長くした方がよく、前は1~3分程度、後は数十秒から1分程度がよい。あまり長くするとメモリー容量が多くなり、上書き等で消される可能性も高くなってしまうが、このようにすれば、メモリー容量も大きなものとする必要がなくなり、消される可能性も低くなるとともに、事故に遭遇するまでの過程や事故後の過程を、十分に含めて、事故時の内容を確実に記録することができる。
【0040】
連続録画は、連続録画の映像を所定時間ごとにファイル単位で記憶する構成とするとよい。この構成では記録済みの映像は、所定時間ごとにファイル単位で作成されることになり、上書きされていくことになる。特に(17)の構成を備える場合など、所定時間は1分程度とするとよい。このようにファイル単位を例えば1分程度とすると、停車時のファイル及び1~2前までのファイル、及び1つ後のファイルとして簡単に処理できる。
【0041】
(18)連続録画機能を備え、前記上書きの抑制として連続録画の記録を前記所定の停車状態であるかに応じて別の記憶領域に記録し、それぞれの記憶領域内で前記上書き録画をする機能を備えるとよい。
このようにすれば、車両が長時間所定の停車状態となったとしても、所定の停車状態でない状態の映像(例えば走行中の映像)を、所定の停車状態である状態の映像で上書きしてしまうことを抑制できる。所定の停車状態であるときの連続録画もメモリー容量の制限から上書き録画した方がよい。
【0042】
別の記憶領域としては、別に管理される記憶領域とするとよく、例えば、異なるフォルダ、または、異なるドライブなどとするとよい。
「所定の停車状態であるかに応じて」としては、「所定の停車状態である場合と所定の停車状態でない場合とで」とするとよい。別の記憶領域として、例えば、所定の停車状態である場合用の記憶領域と、所定の停車状態でない場合用の記憶領域とを設けるとよい。「所定の停車状態であるかに応じて」としては、「所定の停車状態であるか否かが変化したときすぐに」としてもよいが、「所定の停車状態であるか否かが変化したときすぐに」としなくてもよい。特に、連続録画機能を、例えば、所定時間(例えば1分)毎のファイル単位でファイルを生成していく構成の場合、所定の停車状態でない状態から所定の停車状態である状態へ変化したとき、あるいは、所定の停車状態である状態から所定の停車状態でない状態へ変化したときに、すぐに、ファイルの保存先の記憶領域を切り替える処理を行ってもよいが、現在記録中のファイル単位のファイルの記録単位時間(例えば前記1分)の記録が終わるまでは、ファイルの保存先の記憶領域を切り替えずに、当該記録中のファイル単位のファイルの記録が終わった時点で、所定の停車状態であるか否かを判定してその判定で、所定の停車状態であるか否かを判定して、ファイルの保存先の記憶領域を決定するとよい。
【0043】
連続録画を、例えば、走行中と停車中に分け、連続録画の記録は、走行中と停車中で別のフォルダに記録し、それぞれのフォルダ内で上書き記憶するとよい。この様にすれば長時間エンジンを停止せずに停車しても停車中に走行時の録画が上書きで消される事を防止でき、停車中の事故も記録できる。停車中の連続録画もメモリー容量の制限から上書きの方がよい。
【0044】
(19)連続録画機能を備え、前記所定の停車状態として、車両が停車し所定時間停車が継続した状態を備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、前記停車を開始した時間の前後所定時間の連続録画の記録済みの映像について前記上書きの抑制を行う構成とするとよい。
このようにすれば、停車するたびに上書きの抑制がなされることを防止でき、少ないメモリー容量のように、映像の記録容量が少ない場合にも消去する確率を減らすことができる。
【0045】
また、特に、「車両が停車し所定時間停車が継続した状態」の「所定時間停車が継続」する時間としては、一般の信号待ち程度での停車時間を上回る程度の時間とするとよい。一般の信号待ち程度での停車時間では上書きの抑制をせず、比較的長く停車した場合に上書きの抑制をする様にするとよい。このようにすれば、信号待ちのたびに上書きの抑制がされてしまうことを防止でき、上書きの抑制の頻度を減らせ、少ないメモリー容量でも消去する確率は減らすことができる。
【0046】
特に、3分~5分程度とするとよい。このようにすれば、エンジンを切り忘れて停車中の連続録画で事故時の記録が上書きされる可能性が高くなる事を防止できる。また、これより短い時間で通常走行を再開した場合には事故でないか、重大な事故ではないと考えられるため、上書きの抑制が過剰に働き、記憶領域を上書きが抑制された映像で満たされていくことを防止でき、連続録画の録画可能領域を圧迫するおそれも少なくできる。特に後述する(26)の構成を、組み合わせると更によい。
【0047】
また、車両が停車したが、所定時間停車が継続しなかった場合には、前記停車を開始した時間の前後所定時間の連続録画の記録済みの映像についての前記上書きの抑制は行わない構成とするとよい。また(17)の構成を備えない(19)の構成とするとよい。
【0048】
(20)連続録画機能を備え、本装置の電源が遮断された場合に、当該電源の遮断直前、当該電源遮断前の停車を開始した時点、または、当該電源遮断前の前記所定の停車状態となった時点の少なくともいずれか1の時点を含む前記連続録画の記録済み映像について、前記上書きの抑制を行う機能を備えるとよい。
【0049】
事故時等でエンジンを停止せずに長時間停車する事により連続録画の上書きで事故時等の録画が消される可能性を少なくする方策は重要であるが、実際には事故時でもエンジンを停止して停車/駐車するケースの方が多いと思われる。この場合、エンジンを停止する前にイベント録画されていればよいが、イベント録画機能を有しない構成の場合やイベント録画機能を有していてもイベントとして判定されないなどしてイベント録画されない場合、事故処理後の走行で連続録画の事故時映像が上書きで消される可能性があるが、このようにすれば、このような事態を防止することができ、より確実に事故時等の映像を記録されることができる。特に本装置の電源が、車両から供給され、当該車両のエンジンが停止した場合などに当該車両からの電源供給が遮断される構成とすると、毎回、エンジンの停止前の録画が記憶される事になる。特に、上書きの抑制としては、例えば専用のフォルダを設け上書き記録する様にするとよい。また「1の時点を含む」としては、例えば1の時点の前後所定時間とするとよい。
上記(20)の構成例として、例えば、車両が停車後、本記録装置の電源が遮断された場合、停車前後所定時間の連続録画の記録済み映像について上書きの抑制処理を行うとよい。
【0050】
(21)前記電源の遮断時に電源を供給可能なバックアップ電源を備え、前記電源の遮断時には、前記上書きの抑制は前記バックアップ電源で行う構成とするとよい。
このようにすれば、より確実に上書きの抑制を行うことができる。なお、バックアップ電源を備えない構成や、バックアップ電源を備えているがバックアップ電源の容量が低下している場合などには、次に電源が投入された起動後に前記上書きの抑制を行うようにするとよい。
【0051】
特に例えば(20)の処理をこのように行うとよい。例えば、バックアップ電源がある場合はバックアップ電源で上書きの抑制処理を行った後に電源をオフし、バックアップ電源が搭載されていない場合、またはバックアップ電源の容量が低下している場合には、次に電源が投入された起動後に上書きの抑制処理を行うとよい。電源が遮断された後に処理する必要があるのでこの様にするとよい。
【0052】
(22)測位機能を備え、前記上書きの抑制は、測位された場所が、予め設定された場所である場合には、前記上書きの抑制を行わない機能を備えるとよい。
例えば自宅や勤務先の駐車場等、日常的によく駐車する場所での事故の記録は不要な場合が多いので、例えばこうした記録の不要な場所を予め設定しておき、上書きの抑制処理は行わない様にするとよい。その分、事故時の記録等必要な画像が上書きで消える確率を減らせる。上書きの抑制処理を行わない場所の設定は、例えば、その場所でボタン操作等の指示が入力された場合に、位置の記憶及び設定をするとよい。特に例えば(20)の構成において(22)の構成を備えるとよい。
【0053】
(23)連続録画機能を備え、前記所定の停車状態として、車両が停車した後に走行して再停車し、当該再停車の時間が所定時間以上となった状態を備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、前記停車の前後の連続録画の映像及び前記再停車の前後の連続録画の映像について前記上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば、事故後、安全な場所に車を移動させた場合に、事故時の映像と、安全な場所に移動したときの映像とをより確実に記憶保存する事ができる。
【0054】
より具体的には例えば、連続録画において、車両が停車した場合、その前後所定時間の連続録画の録画データまたはそれを含む録画データファイルを一時記憶し、その後車両が走行し再停車した場合において、その停車時間が所定時間以上であった場合、再停車時前後所定時間の録画データまたはそれを含む録画データファイルと、一時記憶した録画データまたはそれを含む録画データファイルを、特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに移動、またはコピーして記憶する構成とするとよい。一時記憶は所定の速度以上で走行を再開したら消す様にしてもよい。
所定時間以上の停車の1つ前の停車時まで処理するだけでなく、2つ前までや3つ前まで同様の上書きの抑制を行うようにしてもよい。
【0055】
(24)連続録画機能を備え、前記所定の停車状態として、車両の停車の時間が所定時間以上になった状態を備え、車両が停車する毎にその時刻を記憶し、停車が当該所定時間以上続いたらその時刻及びそれより所定前までの記憶された停車の時刻の前後の所定時間の記憶済みの連続録画の映像について前記上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば、例えば、事故後、安全な場所に車を移動させる際に複数回停車した場合であったとしても、事故時の映像とその複数回停車させた際の映像とをより確実に記憶保存することができる。また、時刻を記憶する構成としたので、停車ごとに映像データを一時記憶しておく構成よりも、必要な一時記憶の記憶容量が少なくてすみ簡単にコストの上昇を抑えることができる。
【0056】
所定前としては、その回数でもよいし、時間でもよい。例えば4回としたり、例えば5分としたりするとよい。時間と回数との双方の条件を設けるとよい。例えば4回及び5分とするとよい。
時刻としては、停車の終了時刻や停車中の時刻としてもよいが、停車の開始時刻とするとよい。毎回の停車時刻を記憶しておき、所定時間以上継続する停車があったら、それより所定前の停車時の停車開始前後の録画を保存する様にするとよい。
より具体的には、例えば車両が停車したら、停車する毎に停車を開始した時刻を記憶し、停車が所定時間以上続いたら、その停車の開始時刻及びそれより所定前までの停車の開始時刻の前後所定時間の録画が記憶された連続録画データ、またはそれを含む連続録画データファイルを特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに、移動、またはコピーして記憶するとよい。
【0057】
(25)連続録画機能を備え、前記所定の停車状態であると判定した場合に、前記複数の異なる時点を上書きの抑制の対象として決定し、決定した時点とその前後を含む時間の記録済みの映像について前記上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば各時点とその前後映像データを各時点においてRAM等に一時記憶しておく構成よりも、必要な一時記憶の記憶容量が少なくてすみ簡単にコストの上昇を抑えることができるとともに、事故時の映像とそれに関連する時点の映像などをより確実に記憶保存することができる。
【0058】
(26)前記所定の停車状態であるかの判定において停車時間が所定時間以上であることを条件とする構成であって、車両が停車し、所定時間以上停車が継続する前に車からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなす構成とするとよい。
車両が停車後直ぐにエンジンが停止されれば、それ以上連続録画は進まないので停車中に上書きで消される事はないが、再びエンジンを始動させて走行を開始すれば連続録画が開始するので上書きで消される可能性があるため保存処理をしておいた方がよい。
例えば、(18)から(25)の構成において、車両が停車し、所定時間以上停車が継続する前に車からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなし保存処理する構成とするとよい。
【0059】
また(26)のようにすれば、停車時間に、エンジン停止中の時間を含まなくて済む構成に容易にすることができる。このような構成では、電源供給終了時や電源供給開始時に停車時間を求めるための処理をしなくて済む。例えば、停車時間の判定をするために、例えば電源の供給時に、エンジン停止前の最終記録時刻とエンジン始動時の時刻とから停車時間を求める処理などをする必要がなくなる。
【0060】
(27)車からの供給電源が遮断された際に、前記所定の停車状態であると判定され、前記上書きの抑制を行う場合には、バックアップ電源で処理するか、次に電源が投入されて回路が起動した時点で処理するとよい。
記録装置(例えばドライブレコーダー)が電池を搭載していれば電池で保存処理をした後記録装置(例えばドライブレコーダー)を停止させればよいが、電池を搭載していない場合や電池が消耗している場合もあるので、次に電源を入れた時処理する様にした方がよい。
例えば、(27)のように、車からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなし、例えば(18)から(27)のいずれかの構成において、所定時間停車したと判定された結果、上書きの抑制を行う構成において(23)の構成を備えると特によい。
【0061】
(28)前記停車は、車両の停車後、所定の速度以上で走行するまでは当該停車が継続されているとみなす機能を備えるとよい。
このようにすれば、所定の速度未満の場合には停車とみなして上述した構成を実現できる。特に、所定の速度は、例えば渋滞に相当する時速数キロメートル程度の速度とするとよい。例えば渋滞時のように、少し進んでは止まることを繰り返す場合、多数の上書きの抑制がなされてしまうことを防止することができる。所定の速度はユーザ設定できるようにするとなおよい。
【0062】
(29)前記上書きの抑制は、前記映像を、所定のフォルダ、所定の記憶領域、所定の記憶媒体のいずれか1への記憶で行い、当該記憶について、上書き禁止、上書き許可に予め設定、または設定変更を可能とし、上書き許可の場合、上書きで記憶が消される確率を連続録画の上書きより低くした構成とするとよい。
上書き禁止か許可か、どちらが最適か予め明確な場合は最初(例えば出荷時)からどちらかに設定しておき、ユーザの使い方により設定した方がよい場合は設定変更できる様にするとよい。上書き許可の場合でも、上書きで記憶が消される確率を連続録画の上書きより低くすることでより確実に事故時等の映像を記録することができる。
映像としては記録済み映像とするとよい。
【0063】
(30)常時録画機能を備え、前記所定のフォルダ、前記所定の記憶領域または前記所定の記憶媒体への記憶は、常時録画及びイベント録画とは異なるフォルダ、記憶領域または記憶媒体に記憶する構成とするとよい。
このようにすれば、常時録画、イベント録画からの影響を減らすことができる。また常時録画、イベント録画への影響を減らすことができる。そして、検索が容易になる。
【0064】
(31)連続録画機能及びイベント録画機能を備え、前記停車中も連続録画及びイベント録画は継続して実行する構成とするとよい。
このようにすれば、例えば取りこぼしや上書きで消えた場合の補完になる。また連続録画、イベント録画と併用すると、より事故時等の録画保存の信頼性が高まる。
上述した(1)から(31)の各項に記載の構成は、基本的には任意に組み合わせることができ、矛盾の発生しない範囲で複数の項を組み合わせるとよい。組み合わせの際には各項の思想に基づき当業者の通常の創作能力を発揮して各項を組み合わせることができる。各項に記載の構成要素に同名のものがある場合には、当該同名の構成要素は異なる要素として構成してもよいが、同一の要素として構成するとよい。例えば、「連続録画機能」は各項ごとに異なる連続録画機能として、「第一の連続録画機能」・・・「第nの連続録画機能」のようにn個の連続録画機能として構成してもよいが、その一部または全部を同一の連続録画機能とするとよい。また例えば「所定の停車状態」は、例えば各項に記載のものを別々に判定して、例えばそれぞれ異なる記録対象に対して上書きの抑制を行うようにしてもよいが、各項に記載のものの少なくとも一部または全部を組み合わせて判定して同一の記録対象に対して上書きの抑制を行うようにするとよい。
【0065】
(1)から(31)について、例えば、連続録画機能を備えるとともに、イベント録画機能を備える構成においてもさらに確実に事故等の映像を検証可能となる。特に、イベント録画機能による記録済の映像を連続録画機能による記録済みの映像に上書きして記録していく機能を備える構成など、イベント録画機能による記録済の映像を連続録画機能による記録済みの映像よりも優先して記録する構成を備える場合により顕著な効果を奏する。
(32)上述した記録装置の機能は、コンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】ドライブレコーダの斜視図((a)は背面側、(b)は正面側)。
【
図3】内部に収容された撮像ユニットの斜視図((a)は背面側、(b)は正面側)。
【
図4】ドライブレコーダの電気的構成を説明するブロック図。
【
図7】ドライブレコーダとパソコンとの間のデータ移動を説明する説明図。
【
図8】パソコンで表示される動作設定画面の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
記録装置の一例として
図1に例示するドライブレコーダ1は、撮像ユニット等が収容された略円柱状の本体ケース2を備えている。本体ケース2は、取り付け用のブラケット3を介して、例えば、車両のフロントガラス等に取り付け可能である。
【0068】
ブラケット3は、略円柱状の本体ケース2に外挿される保持リングと、この保持リングに外接する略平板状の取付プレート5と、を備えている。ブラケット3の保持リングに内挿配置された本体ケース2の端部は、略ドーナツ状のキャップ4を螺入可能に構成されている。本体ケース2の回転角度を調整した状態でキャップ4を螺入すれば、ブラケット3に対して本体ケース2を固定可能である。ブラケット3に対する本体ケース2の回転角度を調整すれば、ドライブレコーダ1の俯角を変更して撮影範囲を調整可能である。
ドライブレコーダ1は、CCDカメラ13のレンズ14を所定の方向(一般には正面方向)を向くように、取付プレート5を介して例えばフロントウィンドウ等に取り付け可能である。
【0069】
螺入したキャップ4の端部と略面一をなす本体ケース2の側端面には、DCジャック16へのアクセス孔171、及びパソコン等から延設されたUSBケーブルを接続可能なUSBポート172が穿孔されている。本体ケース2の逆側の側端面には、SDカードを挿入するための挿入口181が設けられている。挿入口181に隣接する位置には、LED(表示部)181Aが配置されている。LED181Aは、挿入口181に挿入された記憶媒体の一例としてのメモリーカードであるSDカードへのデータアクセス中に点灯する。
【0070】
本体ケース2は、略円柱形状を縦に2分割したような部品であるカメラカバー2b及び背面カバー2aとを組み合わせた中空ケースである。背面カバー2aの表面には、ホルダー本体7aを回動可能に保持するホルダー7(
図2)、操作手段となるプッシュボタン8、9、及びパイロットランプ用照光ブロック10、11等が配設されている。カメラカバー2bの表面には、CCDカメラ13のレンズ14が露出している。
【0071】
図2のホルダー本体7aには、振動検知手段の一例である加速度センサ15が搭載されている。ホルダー7では、ホルダー本体7aの回動に応じて加速度センサ15を基準位置となる水平方向に配置させることが可能となっている。作用した衝撃など車両の状況が反映された物理量の計測値である加速度が加速度センサ15によって計測される。
【0072】
本体ケース2の内部には、撮像ユニット21が収容されている。
図3(a)及び(b)に示すように、撮像ユニット21は、メイン基板22とサブ基板25とを重ねた基板構造を有するユニットである。メイン基板22には、撮像手段の一例であるCCDカメラ13、GPS受信手段の一例であるGPS受信機24、DCジャック16、図示しない電源回路等が実装されている。また、サブ基板25に対面するメイン基板22の実装面には、制御手段の一例である制御コントローラ30(
図4参照。)をなす図示しない1チップマイコンが実装されている。
【0073】
サブ基板25には、プッシュボタン8、9に対応するスイッチ27、28が配置され、パイロットランプ用照光ブロック10、11に対応するLED291、292が配置されている。さらに、サブ基板25には、加速度センサ15から延設された信号線を接続するための図示しないコネクタが設けられている。メイン基板22に対面するサブ基板25の実装面には、SDカードを装着してデータを読み書きするための媒体収容部の一例であるSDカードリーダ311が実装されている。
【0074】
ドライブレコーダ1は、
図4のごとく、制御手段の一例である制御コントローラ30を中心として電気的に構成されている。制御コントローラ30には、CCDカメラ13、加速度センサ15、GPS受信機24、SDカードリーダ311、データベース32がそれぞれ接続されている。
制御コントローラ30は、図示しないCPU、記憶手段の一例であるフラッシュROMやROMやRAMなど本体メモリーをなすメモリー、タイマ等が1チップに組み込まれたマイコンを中心として構成されている。
【0075】
制御コントローラ30のROMには、GPS受信機24によって受信されたGPS情報を処理するGPS情報処理プログラム、CCDカメラ13による撮像画像を本体メモリーあるいはSDカードに保存させる画像処理プログラム、及びOS(Operation System)等の各種プログラムが記憶されている。
【0076】
GPS受信機24は、制御コントローラ30の指示に沿って現在時間における自車の位置情報を検出する受信機である。GPS受信機24による検出タイミングは、本例では1秒毎に設定されている。検出する位置情報は、自車の位置、速度、緯度、経度、高度である。GPS受信機24は、検出した位置情報を制御コントローラ30に入力する。
CCDカメラ13は、レンズ14を介して前方風景を撮影し、撮像データを取得する撮像手段である。CCDカメラ13は、データ圧縮及びデジタル変換を実行可能なインターフェース部33を介して撮像データを制御コントローラ30に入力する。
加速度センサ15は、3軸(X、Y、Z)それぞれの方向の加速度及び傾きを検出する3軸タイプのセンサであって、検出値を制御コントローラ30に入力する。
SDカードリーダ311は、制御コントローラ30の制御に基づいてSDカードのデータを読み書きする。
【0077】
なお、制御コントローラ30の制御によりSDカードに記録されるデータとしては、CCDカメラ13による撮像データ(撮像画像)、GPS受信機24による位置データや速度データ等、加速度センサ15による加速度データなどがある。これらの各データは、記録した時間を相互に関連付けて記録されている。このような相互の関連付けにより、撮像データの再生と同期して、その時々の位置データや速度データや加速度データを取得可能である。速度データ、位置データ、加速度データ等と共に撮像データを同期して記録することもできる。
【0078】
データベース32は、制御コントローラ30内、あるいは制御コントローラ30に外付けした例えばEEPROM等の不揮発性メモリーである。データベース32内には、車両が所定の停止状態であることを判定するための判定パターンが記憶されている。車両の停止情報の判定パターンの一例は、例えば、車両が停止状態に保持された時間が所定時間以上となったパターンである。
【0079】
車両イグニッションのオン切換に応じてドライブレコーダ1に対する通電が開始されると、SDカードに記憶された設定情報が読み出されて本体メモリー(RAM)にデータコピーされ、その設定情報に従う動作が開始される。なお、SDカードに設定情報が記憶されていない場合には、本体メモリー(ROM)に記憶されたデフォルト(初期設定)の設定情報が本体メモリー(RAM)にデータコピーされる。
【0080】
設定情報は、録画サイズ、フレームレート、画質などの設定に関する情報である。ユーザー毎の個別設定については、パソコン35を利用して生成してSDカードに記憶させた後、そのSDカードをドライブレコーダ1にセットする必要がある。デフォルト設定は、上記のようにドライブレコーダ1のROMに予め格納されているため、パソコン35等を利用することなく設定可能である。
【0081】
以上のような構成のドライブレコーダ1の動作について、
図5に例示する制御コントローラ30による制御の流れを中心として説明する。
ドライブレコーダ1が電源オン状態に切り換わったとき、制御コントローラ30は、本体メモリー(RAM)にコピーされた設定情報を読み出すと共に、データベース32に記憶された停止状態の判定パターンを読み出す。制御コントローラ30は、読み出した設定情報に沿って撮像を行い映像を取得すると共に、連続録画機能の一例の制御として、撮像した映像をSDカードの記録領域に連続的に記録する連続記録動作の一例である連続録画を実行する(S101)。ドライブレコーダ1は、上書抑制機能が有効になっている場合を除き、電源供給状態では、常時、連続録画を実行する。そのため、この連続録画は、常時録画となっている。
【0082】
連続録画中の制御コントローラ30は、
図6のように一連の撮像データをSDカードに記録する。同図中の各SDカードのマス目は、記憶領域を区画して管理する際の例えばセクター等のブロックを模式的に表している。
【0083】
制御コントローラ30は、SDカードが初期化状態であれば、
図6Aのように録画(撮像データの記録)を実行する。SDカードの記憶領域が一杯になった場合には、同
図BのようにマスターのSDカードの記憶領域を消去して空き領域を生成する。このときの消去の順番は、SDカードの記憶領域のうち、記録された撮像データが古い(撮像タイミングが古い)ものから順番であり、同図のごとく1、2、3・・・の順番で撮像データを消去する。制御コントローラ30は、このように古い撮像データを消去しながら、同
図Cのように新しい撮像データを記録していく。このような記録動作を繰返し実行することにより、撮像した映像を連続的に録画する。
【0084】
なお、例えば、
図6Aに例示するようにSDカードに撮像データが14番のブロックまで記録された状態で、車両イグニッションがオフに切り換えられて電源供給が遮断された場合、制御コントローラ30は、その後、車両イグニッションがオン切換されたとき、SDカードの15番のブロックから撮像データの記録を継続する。
【0085】
制御コントローラ30は、連続録画の実行中では(
図5中のS102:YES)、データベース32から読み出した停止状態の判定パターンを利用し、車両が所定の停止状態にあるか否かの判定を繰返し実行する(S103)。制御コントローラ30は、GPS受信機24が取得した速度情報を利用し、車両が所定の停止状態にあるか否かを判定する。具体的には、速度情報が表す速度が時速1km未満の状態が所定時間の一例である3分間に渡って保持されたときに、車両が所定の停止状態にあると判定する。
【0086】
制御コントローラ30は、例えば車両が停止状態に保持された時間が所定時間の一例である3分以上という判定パターンが現在の車両状態と一致したとき、車両が所定の停止状態にあると判定して上書抑制機能を実行する(S103:YES)。以下の説明において、3分以上に渡って車両が停止状態に保持された状態を所定の停止状態という。上書抑制機能の実行中では、制御コントローラ30は、連続録画機能による連続録画を一時的に停止し(S104)、これにより、新たな撮像データの上書きによる記録済みの撮像データの消去を防止する制御を行う。一方、所定の停止状態でなければ(S103:NO)、上書きによる録画を継続する(S114)。
【0087】
制御コントローラ30は、上書抑制機能による連続録画の一時停止中に(S102:NO)、GPS受信機24が取得した速度情報を利用し、車両が所定の走行状態に移行したか否かを判定する(S123)。所定の走行状態に移行したときには(S123:YES)、上書抑制機能による連続録画の停止を解除し、連続録画を再開する(S124)。本例では、所定の走行状態の一例として、車両の走行開始によりGPS受信機24が取得した速度情報が例えば時速5kmを超えたことにより前記所定の停止状態ではなくなった状態を設定している。以下の説明では、この状態を所定の走行状態と記載する。このように車両の走行開始に応じて連続録画を再開すれば、事故等のイベントが発生しやすい走行中の映像をより確実に記録できる。一方、所定の走行状態でなければ(S123:NO)、上書抑制機能による録画停止の状態を保持する(S134)。
【0088】
以上のような制御は、電源供給が停止されるまで繰返し実行され(S105:NO)、電源がOFFになったときに終了となる(S105:YES)。なお、例えば電力を蓄えるキャパシタ等を設けておき、電源供給が遮断されたときには、そのキャパシタに蓄えた電力を利用して録画終了処理を実行してから全ての動作を停止するように制御すると良い。
【0089】
なお、制御コントローラ30は、所定の停止状態や所定の走行状態を判定するに当たって、車両が停車後、例えば時速5kmなどの所定の速度以上で走行するまではその停車が継続されているとみなす。このようにすれば、所定の速度の一例である時速5km未満の場合には停車とみなして所定の停止状態や所定の走行状態を判定できる。所定の速度は、例えば渋滞に相当する時速数キロメートル程度の速度とするとよい。例えば渋滞時のように、少し進んでは止まることを繰り返す場合、多数の上書きの抑制がなされてしまうことを防止することができる。所定の速度はユーザ設定できるようにするとなおよい。
【0090】
SDカードに記録された撮像データは、ドライブレコーダ1向けのアプリケーションソフトがインストールされたタブレット型コンピュータや設置型のパソコン等を利用して閲覧可能である。カードスロットを備えるパソコン等であれば、ドライブレコーダ1から抜き取ったSDカードをそのカードスロットにセットすることにより、記録された撮像データを閲覧できる(
図7参照。)。SDカードがセットされたままのドライブレコーダ1を車両から持ち出し、USBケーブルを介してパソコン等に接続し、SDカードに記録された撮像データを閲覧することも可能である。
【0091】
撮像データを閲覧可能な状態のパソコン等では、ドライブレコーダ1の動作設定を変更等可能である。パソコン等で動作設定画面(
図8)を表示させた状態であれば、画面解像度、フレームレートなどの各種の動作設定項目を変更等できる。パソコンを利用して設定された設定情報はSDカードに記憶され、その後、通電が開始されたとき読み出されてドライブレコーダ1の本体側に設定される。
【0092】
以上のように構成されたドライブレコーダ1は、車両が所定の停車状態である場合に上書きを抑制する機能を備えている。このドライブレコーダ1では、停車した状態での映像が走行中に記録した記録済みの映像(撮像データ)に上書きして記録され続けることを防止できるので、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれが少ない。連続録画が継続される場合であれば、例えばドライブレコーダ1の電源を切って上書きを伴う連続録画を停止させる必要がある一方、上書抑制機能を実行すれば、電源を切らなくても事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまう状況を未然に回避できる。
【0093】
一方、車両が停止しても停止時間が例えば3分間等の所定時間に満たず前記所定の停止状態と判定されない状態では、上書抑制機能が有効にならず連続録画が継続される。上書抑制機能について、このような設定を採用すれば、連続録画によって、事故等のイベントが発生した瞬間の映像をより確実性高く記録できるうえ、上書抑制機能によって、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制できる。このように上書抑制機能によれば、映像の記録と保存とをより良いバランスで両立させることができる。
【0094】
本例のドライブレコーダ1のように、連続録画による記録済みの映像に上書きして新たに取得した映像を録画する構成において、上書抑制機能が特に顕著な効果を奏する。特に、通電中に録画を連続的に行い記録済みの映像を上書き消去しながら映像を録画する常時録画を実行する本例のドライブレコーダ1においては、上書抑制機能は最も顕著な効果を奏する。
【0095】
ドライブレコーダ1では、上書抑制機能の実行契機となる所定の停車状態として、所定時間の一例である3分間に渡って停車した状態を設定している。ドライブレコーダ1によれば、所定時間を超える停車状態が継続した場合に、特に事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを確実性高く抑制できる。
【0096】
さらに、ドライブレコーダ1は、車両が前記所定の停車状態でない場合には、上書抑制機能を実行しないように構成されている。このような構成を採用すれば、事故等のイベントが発生した瞬間の映像をより確実に記録することができ、かつ、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができ、両者をよりよいバランスで両立できる。
【0097】
ドライブレコーダ1では、GPS受信機24から取得した速度情報を利用して所定の停止状態が判定される。例えば、振動検知手段の一例である加速度センサ15が計測した加速度を元にして特定される振動状態が例えば加速度が0.05G以下等の所定の状態であること、車両から取得した速度情報が例えば時速1km以下等の所定の状態であること、測位手段から取得した位置情報に基づく速度情報が例えば時速1km以下等の所定の状態であること、GPS受信機24から取得した速度情報が例えば時速1km以下等の所定の状態であることの少なくともいずれか1つに基づいて車両が所定の停止状態にあるか否かを判定する構成とするとよい。特に、これらのうち少なくともいずれか2つに基づいて判定する構成とするとよい。このようにすれば、より確実に所定の停車状態にあるかを弁別できる。
例えば、上記のいずれの所定の状態も実際の停車状態でとりうる状態とするとよく、特に走行している状態では取り得ない状態とするとよい。また、例えば停車状態で実測した状態を記憶しておきその記憶されたパターンと一致するか否かに基づいて所定の状態にあるか判定するとよい。振動検知手段から取得した振動状態の所定の状態としては、例えば、走行時の振動特性とは異なる停車時の振動特性を記憶しておき、停車時の振動特性と一致する場合には停車状態と判定するようにするとよい。
【0098】
なお、連続録画は、連続録画の映像を所定時間ごとにファイル単位で記憶する構成とするとよい。この構成では記録済みの映像は、所定時間ごとにファイル単位で作成されることになり、上書きされていくことになる。特に、車両が所定の停車状態となった場合に、その前後所定時間の連続録画の記録済み映像について上書きの抑制を行う構成の場合では、所定時間は1分程度とするとよい。このようにファイル単位を例えば1分程度とすると、停車時のファイル及び1~2つ前までのファイル、及び1つ後のファイルとして簡単に処理できる。
【0099】
また、上書きの抑制として連続録画の記録を前記所定の停車状態であるか否かに応じて異なる記憶領域に記録し、それぞれの記憶領域内で前記上書き録画をする機能を備えるとよい。このようにすれば、車両が長時間に渡って所定の停車状態となったとしても、所定の停車状態でない状態の映像(例えば走行中の映像)を、所定の停車状態である状態の映像で上書きしてしまうことを抑制できる。所定の停車状態であるときの連続録画もメモリー容量の制限から上書きの方がよい。
【0100】
別の記憶領域としては、別に管理される記憶領域とするとよく、例えば、異なるフォルダ、または、異なるドライブなどとするとよい。例えば、
図9のようにSDカードの挿入口181、182を備えるドライブレコーダ1を採用し、所定の停車状態である場合には挿入口181のSDカードの記憶領域に連続録画の記録を実行し、所定の停車状態でない場合には挿入口182のSDカードの記憶領域に連続録画の記録を実行すると良い。
【0101】
「所定の停車状態であるかに応じて」としては、「所定の停車状態である場合と所定の停車状態でない場合とで」とするとよい。別の記憶領域として、例えば、所定の停車状態である場合用の記憶領域と、所定の停車状態でない場合用の記憶領域とを設けるとよい。「所定の停車状態であるかに応じて」としては、「所定の停車状態であるか否かが変化したときすぐに」としてもよいが、「所定の停車状態であるか否かが変化したときすぐに」としなくてもよい。特に、連続録画機能を、例えば、所定時間(例えば1分)毎のファイル単位でファイルを生成していく構成の場合、所定の停車状態でない状態から所定の停車状態である状態へ変化したとき、あるいは、所定の停車状態である状態から所定の停車状態でない状態へ変化したときに、すぐに、ファイルの保存先の記憶領域を切り替える処理を行ってもよいが、現在記録中のファイル単位のファイルの記録単位時間(例えば前記1分)の記録が終わるまでは、ファイルの保存先の記憶領域を切り替えずに、当該記録中のファイル単位のファイルの記録が終わった時点で、所定の停車状態であるか否かを判定してその判定で、所定の停車状態であるか否かを判定して、ファイルの保存先の記憶領域を決定するとよい。
【0102】
連続録画を、例えば、走行中と停車中とで区別し、連続録画の記録は、走行中と停車中で別のフォルダに記録し、それぞれのフォルダ内で上書き記憶するとよい。この様にすれば長時間エンジンを停止せずに停車しても停車中に走行時の録画が上書きで消される事態を防止でき、停車中の事故も記録できる。停車中の連続録画もメモリー容量の制限から上書きの方がよい。
【0103】
また、特に、「車両が停車し所定時間停車が継続した状態」の「所定時間停車が継続」する時間としては、一般の信号待ち程度での停車時間を上回る程度の時間とするとよい。一般の信号待ち程度での停車時間では上書きの抑制をせず、比較的長く停車した場合に上書きの抑制をする様にするとよい。このようにすれば、信号待ちのたびに上書きの抑制がされてしまうことを防止でき、上書きの抑制の頻度を減らせ、少ないメモリー容量でも消去する確率は減らすことができる。
【0104】
特に、3分~5分程度とするとよい。このようにすれば、エンジンを切り忘れて停車中の連続録画で事故時の記録が上書きされる可能性が高くなる事を防止できるとともに、これより短い時間で通常走行を再開した場合には事故でないか、重大な事故ではないと考えられるので上書きの抑制が過剰に働き、上書きが抑制された映像で記憶領域が満たされていくことを防止でき、連続録画の録画可能領域を圧迫するおそれも少なくできる。
【0105】
また、車両が停車したが、所定時間停車が継続しなかった場合には、前記停車を開始した時間の前後所定時間の連続録画の記録済みの映像についての前記上書きの抑制は行わない構成とするとよい。
【0106】
所定の停車状態として、車両が停車した後に走行して再停車し、当該再停車の時間が例えば2分間等の所定時間以上となった状態を備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、前記停車の前後の連続録画の映像及び前記再停車の前後の連続録画の映像について前記上書きの抑制を行うとよい。このようにすれば、事故後、安全な場所に車を移動させた場合に、事故時の映像と、安全な場所に移動したときの映像とをより確実に記憶保存する事ができる。
【0107】
より具体的には例えば、連続録画において、車両が停車した場合、その前後に渡る例えば1分間等の所定時間の連続録画の録画データ(撮像データ)またはそれを含む録画データファイルを一時記憶し、その後車両が走行し再停車した場合において、その停車時間が例えば2分間等の所定時間以上であった場合、再停車時前後に渡る例えば1分間等の所定時間の録画データまたはそれを含む録画データファイルと、一時記憶した録画データまたはそれを含む録画データファイルを、特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに移動、またはコピーして記憶する構成とするとよい。一時記憶は例えば時速5km等の所定の速度以上で走行を再開したら消す様にしてもよい。
所定時間以上の停車の1つ前の停車時まで処理するだけでなく、2つ前までや3つ前まで同様の上書きの抑制を行うようにしてもよい。
【0108】
前記所定の停車状態として、車両の停車の時間が例えば3分間等の所定時間以上になった状態を備え、車両が停車する毎にその時刻を記憶し、停車が当該所定時間以上続いたらその時刻及びそれより後述する所定前までに記憶された停車の時刻の前後の所定時間の記憶済みの連続録画の映像について上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば、例えば、事故後、安全な場所に車を移動させる際に複数回停車した場合であったとしても、事故時の映像とその複数回停車させた際の映像とをより確実に記憶保存することができる。また、時刻を記憶する構成としたので、停車ごとに映像データを一時記憶しておく構成よりも、必要な一時記憶の記憶容量が少なくてすみ簡単にコストの上昇を抑えることができる。
【0109】
所定前としては、その回数でもよいし、時間でもよい。例えば4回としたり、例えば5分としたりするとよい。時間と回数との双方の条件を設けるとよい。例えば4回及び5分とするとよい。
時刻としては、停車の終了時刻や停車中の時刻としてもよいが、停車の開始時刻とするとよい。毎回の停車時刻を記憶しておき、所定時間以上継続する停車があったら、それより所定前の停車時の停車開始前後の録画を保存する様にするとよい。
より具体的には、例えば車両が停車したら、停車する毎に停車を開始した時刻を記憶し、停車が所定時間以上続いたら、その停車の開始時刻及びそれより所定前までの停車の開始時刻の前後所定時間の録画が記憶された連続録画データ、またはそれを含む連続録画データファイルを特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに、移動、またはコピーして記憶するとよい。
【0110】
前記所定の停車状態であると判定した場合に、前記複数の異なる時点を上書きの抑制の対象として決定し、決定した時点とその前後を含む時間の記録済みの映像について前記上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば各時点とその前後映像データを各時点においてRAM等の本体メモリーに一時記憶しておく構成よりも、必要な一時記憶の記憶容量が少なくてすみ簡単にコストの上昇を抑えることができるとともに、事故時の映像とそれに関連する時点の映像などをより確実に記憶保存することができる。
【0111】
前記所定の停車状態であるかの判定において停車時間が所定時間以上であることを条件とする構成であって、車両が停車し、所定時間以上停車が継続する前に車からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなす構成とするとよい。
車両が停車後直ぐにエンジンが停止されれば、それ以上連続録画は進まないので停車中に上書きで消される事はないが、再びエンジンを始動させて走行を開始すれば連続録画が開始するので上書きで消される可能性があるので保存処理をしておいた方がよい。
また、上記のような停車が継続したとみなす構成を採用すれば、停車時間に、エンジン停止中の時間を含まなくて済む構成に容易にすることができる。このような構成では、電源供給終了時や電源供給開始時に停車時間を求めるための処理をしなくて済む。例えば、停車時間の判定をするために、例えば電源の供給時に、エンジン停止前の最終記録時刻とエンジン始動時の時刻とから停車時間を求める処理などをする必要がなくなる。
【0112】
車両からの供給電源が遮断された際に、前記所定の停車状態であると判定され、前記上書きの抑制を行う場合には、バックアップ電源で処理するか、次に電源が投入されて回路が起動した時点で処理するとよい。
電池を搭載するドライブレコーダであれば、電池で保存処理をした後、動作を停止させればよいが、電池を搭載していない場合や電池が消耗している場合もあるので、次に電源を入れた時処理する様にした方がよい。
【0113】
上書きの抑制は、映像を、所定のフォルダ、所定の記憶領域、所定の記憶媒体のいずれか1への記憶で行い、当該記憶について、上書き禁止、上書き許可に予め設定、または設定変更を可能とし、上書き許可の場合、上書きで記憶が消される確率を連続録画の上書きより低くした構成とするとよい。
上書き禁止か許可か、どちらが最適か予め明確な場合は最初(例えば出荷時)からどちらかに設定しておき、ユーザの使い方により設定した方がよい場合は設定変更できる様にするとよい。上書き許可の場合でも、上書きで記憶が消される確率を連続録画の上書きより低くすることでより確実に事故時等の映像を記録することができる。
【0114】
電源が供給されている間、常時、連続録画を行う常時録画機能を備え、前記所定のフォルダ、前記所定の記憶領域または前記所定の記憶媒体への記憶は、常時録画及びイベント録画とは異なるフォルダ、記憶領域または記憶媒体に記憶する構成とするとよい。
このようにすれば、常時録画、イベント録画からの影響を減らすことができる。また常時録画、イベント録画への影響を減らすことができる。そして、検索が容易になる。
【0115】
(実施例2)
本例は、先のドライブレコーダ1に基づき、上書きを抑制するためにユーザが操作する操作手段の一例である上書抑制ボタン80(
図10参照。)を追加した例である。
制御コントローラ30(
図4参照。)は、連続録画の実行中に上書抑制ボタン80が操作されたとき、現在記録中の映像を含む例えば1分間にわたる録画範囲など所定の範囲の映像への上書きを抑制する。制御コントローラ30は、電源の遮断があった場合であっても、電源遮断前の例えば1分間に渡る録画範囲など所定の範囲の映像も含めて上書きを抑制する。
【0116】
このドライブレコーダ1は、事故時に上書抑制ボタン80を操作せずに、事故によりあるいはエンジンを切るなどしてドライブレコーダ1の電源が切られた場合に非常に有効となる。再度電源が供給されたときに、電源遮断前の所定の範囲を映像の上書きをその時点で抑制させることができる。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0117】
(実施例3)
本例は、先のドライブレコーダのいずれかを基にして、エンジンスターターによるエンジン始動を検出する機能を追加したドライブレコーダの例である。
ドライブレコーダは、エンジン回転数を表す信号を含む車両信号を取り込む通信ポートを備えている。
【0118】
制御コントローラ30(
図4参照。)は、例えば300回転等の閾値に満たなかったエンジン回転数がその閾値を超えたとき、エンジンの始動を検出する。そして、エンジン始動を検出したとき、記録済みの撮像データの上書きを抑制するように制御する。
【0119】
本例のドライブレコーダであれば、エンジンスターターでエンジンを始動させてアイドリングをしている間の映像によって、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれが少なくなっている。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0120】
(実施例4)
本例は、先のドライブレコーダのいずれかを基にして、車両が所定の停止状態になったときに上書きを抑制する対象を時間的に拡大した例である。
このドライブレコーダの制御コントローラ30(
図4参照。)は、車両が所定の停車状態となった場合に、その前後所定時間の連続録画の記録済み映像について上書きの抑制する制御を実行する。
【0121】
例えば事故等の発生時には、その直後に停車するドライバーが多いことから、停車前後の映像を専用フォルダ等に記憶させるなど上書きの抑制をすれば、事故等の録画が記録されている可能性が高い。したがって、所定の停車状態となった時点の前後所定時間の撮像データの上書きを抑制する本例のドライブレコーダによれば、事故時及びその前後録画データをより確実に記憶保存することができる。
【0122】
例えば、実施例10で後述するイベント録画機能と連続録画機能とを備えるドライブレコーダの場合であれば、上記の前後所定時間については、イベント録画による録画時間よりも長く、連続録画機能による録画時間よりも短い時間とするとよい。例えば、停車の数十秒前から数分前を始まりとし、停車の数十秒から数分後を終わりとした範囲の上書きを抑制するとよい。特に停車後より停車前の上書き抑制時間を長くした方がよく、前は1~3分程度、後は数十秒から1分程度がよい。あまり長くするとメモリー容量が多くなり、上書き等で消される可能性も高くなってしまうが、このようにすれば、メモリー容量も大きなものとする必要がなくなり、消される可能性も低くなるとともに、事故に遭遇するまでの過程や事故後の過程を、十分に含めて、事故時の内容を確実に記録することができる。
【0123】
なお、車両が所定の停車状態となった場合に、前記停車を開始した時間の前後所定時間の連続録画の記録済みの映像について前記上書きの抑制を行う構成とするとよい。このようにすれば、停車するたびに上書きの抑制がなされることを防止でき、少ないメモリー容量のように、映像の記録容量が少ない場合にも消去する確率を減らすことができる。
その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0124】
(実施例5)
本例は、先のドライブレコーダ1のいずれかを基にして、電源が遮断された場合の制御を変更した例である。
このドライブレコーダの制御コントローラ30(
図4参照。)は、ドライブレコーダ1の電源が遮断されたとき、電源の遮断直前、電源遮断前の停車を開始した時点、または、電源遮断前の前記所定の停車状態となった時点の少なくともいずれか1の時点を含む連続録画の記録済み映像について、上書きの抑制を行う制御を実行する。
【0125】
事故時等でエンジンを停止せずに長時間停車する事により連続録画の上書きで事故時等の録画が消される可能性を少なくする方策は重要であるが、実際には事故時でもエンジンを停止して停車/駐車するケースの方が多いと思われる。この場合、エンジンを停止する前にイベント録画されていればよいが、イベント録画機能を有しない構成の場合やイベント録画機能を有していてもイベントとして判定されないなどしてイベント録画されない場合、事故処理後の走行で連続録画の事故時映像が上書きで消される可能性があるが、このようにすれば、これのような自体を防止することができ、より確実に事故時等の映像を記録されることができる。特にドライブレコーダ1の電源が、車両から供給され、当該車両のエンジンが停止した場合などに当該車両からの電源供給が遮断される構成とすると、毎回、エンジンの停止前の録画が記憶される事になる。特に、上書きの抑制としては、例えば専用のフォルダを設け上書き記録する様にするとよい。また「1の時点を含む」としては、例えば1の時点の前後所定時間とするとよい。例えば、車両が停車後、ドライブレコーダ1の電源が遮断された場合、停車前後所定時間の連続録画の記録済み映像について上書きの抑制処理を行うとよい。
【0126】
また、電源の遮断時に電源を供給可能なバックアップ電源を備え、電源の遮断時には、上書きの抑制はバックアップ電源で行う構成とするとよい。このように構成されたドライブレコーダであれば、より確実に上書きの抑制を行うことができる。なお、バックアップ電源を備えない構成や、バックアップ電源を備えているがバックアップ電源の容量が低下している場合などには、次に電源が投入された起動後に上書きの抑制を行うようにするとよい。
【0127】
特に例えば、電源の遮断直前、電源遮断前の停車を開始した時点、または、電源遮断前の前記所定の停車状態となった時点の少なくともいずれか1の時点を含む連続録画の記録済み映像について、上書きを抑制するために次のような処理を行うとよい。例えば、バックアップ電源がある場合はバックアップ電源で上書きの抑制処理を行った後に電源をオフし、バックアップ電源が搭載されていない場合、またはバックアップ電源の容量が低下している場合には、次に電源が投入された起動後に上書きの抑制処理を行うとよい。電源が遮断された後に処理する必要があるのでこの様にするとよい。
その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0128】
(実施例6)
本例は、先のドライブレコーダのいずれかを基にして、車両位置に応じて上書きを抑制する制御を切り換える構成を追加した例である。
このドライブレコーダの制御コントローラ30(
図4参照。)は、例えばGPS受信機24によって測位された場所が、予め設定された場所であるか否かを判断する処理を実行する。制御コントローラ30は、車両の場所が予め設定された場所である場合には、上書きの抑制を行わない。
【0129】
例えば自宅や勤務先の駐車場等、日常的によく駐車する場所での事故の記録は不要な場合が多いので、例えばこうした記録の不要な場所を予め設定しておき、上書きの抑制処理は行わない様にするとよい。その分、事故時の記録等必要な画像が上書きで消える確率を減らせる。上書きの抑制処理を行わない場所の設定は、例えば、その場所でボタン操作等の指示が入力された場合に、位置の記憶及び設定をするとよい。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内で他の実施例と同様である。
【0130】
(実施例7)
本例は、先のドライブレコーダ1のいずれかに基づき、所定の停止状態の判定パターンを変更した例である。
このドライブレコーダ1は、振動を検知する図示しない振動検知手段を備えている。制御コントローラ30(
図4参照。)は、この振動検知手段が検出した振動の大きさやパターンに応じて衝撃の大きさを検知し、その衝撃の大きさが所定の閾値以上であったときに事故の可能性が高いと判断する。
【0131】
本例のドライブレコーダ1では、所定の停車状態を判定するための判定パターンとして、閾値以上の衝撃が検知された後、所定時間の一例である数十秒以内に車両が停止したパターンがデータベース32に記憶されている。衝撃が発生した後、所定時間内に車両が停止したとき、制御コントローラ30は、停止状態の判定パターンと実際の車両状態が合致するか否かを判断し、合致していれば所定の停止状態と判定する。実施例1と同様、所定の停止状態であれば、連続録画を停止して上書抑制機能を実行して、記録済みの撮像データの消去を防止する。
【0132】
本例の停止状態の判定パターンは、一般的なドライバーが事故に遭ったとき、衝撃が発生した後、所定時間内に停車するという行動が採られることが多いという知見に基づく判定パターンである。このような判定パターンを採用すれば、より確実に、事故等のイベントが発生した瞬間の映像の撮像データが消去されてしまうおそれを抑制できる。
【0133】
なお、本例では、所定の閾値以上の大きさの衝撃を検知した場合に事故の可能性があると判断しているが、これに代えて、あるいは加えて、事故の可能性を判断する場合として、OBD等の診断システム等から取得した車両ECU等の故障診断情報が故障を示す情報である場合、エアバッグ等が動作したことを検知した場合、映像を画像認識して事故に相当する状況が写り込んだシーンが検出された場合等を設定することもできる。事故に相当する状況とは、例えば、変形した車両や怪我人が発生した状況等である。
【0134】
相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出する機能をドライブレコーダに設け、いずれかが検出されたときに上書抑制機能を有効に制御することも良い。このようにすれば、さらに確実に事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることは、例えば、撮像された映像を画像認識して検出すると良い。
【0135】
相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した場合としては、例えば、相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した直後としてもよいが、例えば2分間等の所定時間経過後とするとよく、例えば、相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていることの少なくともいずれか1つを検出した後、これらを検出しなくなった後とするとよい。このようにすれば、救出や話し合いの様子も映像に記録される一方、これらの時間は比較的短時間であるから、記録済みの事故時の映像の撮像データが上書きされて消されているという状況を抑制できる。相手の救出、本人のケガ、相手との話し等をしていること等を検出する方法としては、例えば、撮像した映像に関する画像認識によって検出すると良い。本人のケガ、相手との話し等をしている状態であるという判定は、例えば顔認識等の画像認識処理により、車両において撮像した映像中の人を認識する機能を備え、当該人を認識している時間が予め記憶された所定のパターンであるか否かに基づいて行うようにしてもよい。例えば2人以上の人物が例えば2分間等の所定の時間を超えて認識された場合や、例えば3分間等の所定の時間内に同一人物が認識されたりされなくなったりすることを繰り返す場合には上書きを抑制するようにするとよい。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0136】
(実施例8)
本例は、先のドライブレコーダのいずれかを基にして、上書抑制機能の制御内容を変更した例である。
本例の上書抑制機能では、所定の停止状態のときでも連続録画は完全には停止されない。本例のドライブレコーダ1の制御コントローラ30(
図4参照。)は、所定の停止状態と判定したとき、上書き消去されるまでの時間を長く確保できるよう、連続録画による映像の記録方法等を変更し、記録済みの映像が消去される可能性を低くする。
【0137】
制御コントローラ30は、所定の停止状態ではないとき、例えば毎秒30フレームで映像を記録する連続録画を実行する。一方、所定の停止状態と判定したときには、上書抑制機能により例えば毎秒1フレーム等フレーム数を少なくした連続録画に切り換える。
【0138】
このドライブレコーダ1によれば、所定の停止状態と判定したとき、映像の記録に要するメモリーの容量をセーブしつつ連続録画を継続できる。所定の停止状態の継続中に、例えば事故の相手と口論となる等、万一の場合にも対応できるようになり、経緯の証明等に役立つ映像証拠を確保できる。一方、所定の停止状態と判定したときには、上書抑制機能によって映像の記録に要するメモリー資源をセーブするので、事故等のイベントが発生した瞬間の記録済みの映像が上書きによって消去されてしまうおそれが少なくなる。
【0139】
フレームレートを小さくする構成としては、通常の連続録画では毎秒数十フレームで映像を記録する一方、上書抑制機能の実行中では毎秒数フレーム程度(例えば1fps)のように、フレームレートをヒト桁小さくする程度の変更をするとよい。
【0140】
フレームレートの変更に代えて、あるいは加えて記録する映像の画素数を変更することも良い。画素数については、例えば640×480ドットを320×240ドットに変更したり、画素数をヒト桁小さくする程度の変更を行うと良い。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0141】
(実施例9)
本例は、先のドライブレコーダ1のいずれかを基にして、上書抑制機能による制御の内容を変更した例である。
本例のドライブレコーダ1の上書抑制機能では、制御コントローラ30(
図4参照。)は、記録済みの撮像データが上書きで消えないように制御する。上書きで消えないように制御する構成として、以下の方法の少なくともいずれかが採用される。
(1)記録済みの撮像データを上書き禁止にする。
(2)連続録画の書込み領域である上書き領域以外の領域に、撮像データをコピーする。
(3)上書き領域でない領域へ、撮像データを移動する。
【0142】
これら(1)~(3)の方法を採用すれば、記録済みの映像に含まれる事故等のイベントが発生した瞬間の映像が上書きによって消えることがなくなり、より確実に、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれを無くすことができる。各方法は、例えば以下のように構成するとよい。
【0143】
(1)上書き禁止にする構成としては、例えば、記録する映像を所定の時間単位で1つのファイルとして記録していき、そのファイルの属性として上書き属性を付与するとよい。
(2)上書き領域でない領域へコピーする構成としては、例えば上書き可能領域と上書き禁止領域とを分けておき、上書き可能領域に記録された映像データを、上書き禁止領域にコピーする構成とするとよい。
(3)上書き領域でない領域へ移動する構成としては、例えば上書き可能領域と上書き禁止領域とを分けておき、上書き可能領域に記録された映像データを、上書き禁止領域に移動する構成とするとよい。上書き可能領域と上書き禁止領域は例えば異なるフォルダとしたり、異なるドライブとしたり、あるいは異なるファイルシステムとすると良い。
【0144】
なお、例えば、記録済み映像の撮像データまたはそれを含む撮像データファイルを特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに移動、またはコピーして記憶するとよい。そして、上書きの抑制としては、上書き禁止のフォルダ等への移動またはコピーとしてもよいが、例えば、街中の走行等では停車は頻繁にするので専用フォルダ等は上書き許可で行うのが実用的である。このように上書き許可で専用フォルダ等へ移動またはコピーする方法での上書きの抑制を行うことで、専用フォルダ等の中のデータ量は、連続録画のデータ量よりは少ないデータ量となるので、連続録画と同じ記憶容量を使用するなら上書きで消される確率は低くなり有益である。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0145】
(実施例10)
本例は、先のドライブレコーダのいずれかを基にして、事故等のイベントを契機として録画を実行するイベント録画機能を追加した例である。
【0146】
本例のドライブレコーダの制御コントローラ30(
図4参照。)は、加速度センサ15が検出した加速度について閾値との比較を実行する。制御コントローラ30は、所定の閾値を超える加速度が発生したというイベントを契機として、その発生時点の前後に渡る映像を記録するイベント録画を実行する。
【0147】
制御コントローラ30は、連続録画の実行中に上記のイベントが発生したとき、連続録画と並行して、イベントの発生時点の前後に渡る所定期間の映像を上書き禁止で記録するイベント録画を実行する。上書抑制機能を有効に制御している最中にイベントが発生したときには、SDカードの記憶領域の空き領域を利用し、イベント発生時点の前後の映像を上書き禁止で記録する。SDカードの記憶領域の空きが十分でない場合には、本体メモリーの記憶領域にイベント発生時点の前後の映像を上書き禁止で記録する。なお、イベント発生時点の前後の映像の撮像データは、速度データ、位置データ、加速度データ等と共に同期して記録される。
【0148】
このようにすれば、上書きを抑制している間に、例えば事故等のイベントが発生した場合であっても、イベント録画機能による録画がなされることとなり、事故等のイベントが発生した瞬間の映像が消去されてしまうおそれをより確実に抑制できる。特に所定の停車状態である場合に上書きが抑制されるため、停車時に事故が発生した場合に、より確実にその事故等の瞬間の映像が消去されてしまうおそれを抑制することができる。停車中の事故の発生もあるため、イベント録画機能による録画をさせるようにしておくことが望ましい。
【0149】
本例のドライブレコーダ1では、イベント録画による映像の撮像データを上書き禁止で記録するので、確実に事故等の瞬間の映像が消去されてしまうことを防止できる。
本例では、イベントの発生を検出するために加速度センサ15の出力信号を利用した例であるが、他のセンサの出力信号を利用しても良く、スイッチ等からの信号を利用してイベントの発生を検出することも良い。
【0150】
なお、イベント録画機能を備えたドライブレコーダでは、イベント録画機能による録画時間よりも連続録画機能による録画時間を長時間に設定すると良い。このようにすれば連続録画による記録済みの映像についても上書きが抑制され事故等のイベントが発生した瞬間の記録済みの連続録画の映像が消去されてしまうおそれを抑制できる。イベントとみなされない程度の小さな衝撃等であったためにイベント録画が実行されなかった場合に、連続録画の映像によって事故等のイベントの瞬間の映像を確認できる可能性を高めることができる。また、イベント録画機能による映像の記録がなされている場合であってもそのイベント録画による映像よりも長い時間にわたって記録された連続録画の映像によってより長時間にわたって事故等のイベントの前後の状況等を確認できるという顕著な効果を奏する。
【0151】
前記停車中も連続録画及びイベント録画は継続して実行する構成とするとよい。このようにすれば、例えば取りこぼしや上書きで消えた場合の補完になる。また連続録画、イベント録画と併用すると、より事故時等の録画保存の信頼性が高まる。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0152】
(実施例11)
先のドライブレコーダ1のいずれかについて、好ましい構成の例示である。
例えば、事故時及びその前後録画データをより確実に記憶保存する事を目的として以下の(a)から(i)のように構成すると良い。これらは特に車両が事故を起こした場合や、事故を目撃して救助を行う場合等においては、直ぐに車両を停車させる事に着目したものである。例えば、連続録画では上書きで記録済みの映像が消えるという問題、イベント録画は例えばセンサが検知しなかった場合、または、ボタン操作をしなかった場合などに記憶保存されない問題を解決することができる。
【0153】
(a)事故の直後であるか否かを判断し、事故の直後であると判断した場合に、上書きの抑制をする機能を備えるとよい。
このようにすれば、事故時及びその前後の映像をより確実に記憶保存する事ができる。より具体的な構成としては、例えば下記の(c)、(d)のようにするとよい。
【0154】
(b)事故後、安全な場所に車を移動させたか否かを判断し、事故後、安全な場所に車を移動させたと判断した場合に、上書きの抑制をする上書抑制機能を備えるとよい。
このようにすれば、事故時及びその前後の映像をより確実に記憶保存する事ができる。より具体的な構成としては、例えば下記の(e)のようにするとよい。この場合の上書きの抑制は、特に、事故前後の時点を含む映像に対して行うようにするとよい。
安全な場所か否かは、予め安全な場所の領域情報等を記憶しておき、記憶されたこの領域範囲内に、検出した現在位置が含まれるか否かに基づいて判定するとよい。あるいは、予め安全でない場所の領域情報等を記憶しておき、現在位置がこの領域外であるか否かに基づいて判定するとよい。特に道路上は安全でない場所の領域とするとよい。
【0155】
(c)連続録画機能を備え、前記所定の停車状態として、停車状態になったことを備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、その前後所定時間の連続録画の記録済み映像について上書きの抑制を行う構成とするとよい。
事故等の発生時には、その直後に停車するドライバーが多いことから、停車前後の映像を専用フォルダ等に記憶させるなど上書きの抑制をすれば、事故等の録画が記録されている可能性が高いので、事故時及びその前後録画データをより確実に記憶保存することができる。
【0156】
前後所定時間は、例えば、イベント録画機能と連続録画機能がある場合には、イベント録画による録画時間よりも長く、連続録画機能による録画時間よりも短い時間とするとよい。例えば、停車の数十秒前から数分前を始まりとし、停車の数十秒から数分後を終わりとした範囲の上書きを抑制するとよい。特に停車後より停車前の上書き抑制時間を長くした方がよく、前は1~3分程度、後は数十秒から1分程度がよい。あまり長くするとメモリー容量が多くなり、上書き等で消される可能性も高くなってしまうが、このようにすれば、メモリー容量も大きなものとする必要がなくなり、消される可能性も低くなるとともに、事故に遭遇するまでの過程や事故後の過程を、十分に含めて、事故時の内容を確実に記録することができる。
【0157】
連続録画は、連続録画の映像を所定時間ごとにファイル単位で記憶する構成とするとよい。この構成では記録済みの映像は、所定時間ごとにファイル単位で作成されることになり、上書きされていくことになる。特に(c)の構成を備える場合、所定時間は1分程度とするとよい。このようにファイル単位を例えば1分程度とすると、停車時のファイル及び1~2前までのファイル、及び1つ後のファイルとして簡単に処理できる。
【0158】
(d)上書きの抑制として連続録画の記録を所定の停車状態であるか否かに応じて異なる記憶領域に記録し、それぞれの記憶領域内で前記上書き録画をする機能を備えるとよい。
このようにすれば、車両が長時間に渡って所定の停車状態となったとしても、所定の停車状態でない状態の映像(例えば走行中の映像)を、所定の停車状態である状態の映像で上書きしてしまうことを抑制できる。所定の停車状態であるときの連続録画もメモリー容量の制限から上書きの方がよい。
【0159】
別の記憶領域としては、別に管理される記憶領域とするとよく、例えば、異なるフォルダ、または、異なるドライブなどとするとよい。
「所定の停車状態であるかに応じて」としては、「所定の停車状態である場合と所定の停車状態でない場合とで」とするとよい。別の記憶領域として、例えば、所定の停車状態である場合用の記憶領域と、所定の停車状態でない場合用の記憶領域とを設けるとよい。「所定の停車状態であるかに応じて」としては、「所定の停車状態であるか否かが変化したときすぐに」としてもよいが、「所定の停車状態であるか否かが変化したときすぐに」としなくてもよい。特に、連続録画機能を、例えば、所定時間(例えば1分)毎のファイル単位でファイルを生成していく構成の場合、所定の停車状態でない状態から所定の停車状態である状態へ変化したとき、あるいは、所定の停車状態である状態から所定の停車状態でない状態へ変化したときに、すぐに、ファイルの保存先の記憶領域を切り替える処理を行ってもよいが、現在記録中のファイル単位のファイルの記録単位時間(例えば前記1分)の記録が終わるまでは、ファイルの保存先の記憶領域を切り替えずに、当該記録中のファイル単位のファイルの記録が終わった時点で、所定の停車状態であるか否かを判定してその判定で、所定の停車状態であるか否かを判定して、ファイルの保存先の記憶領域を決定するとよい。
【0160】
連続録画を、例えば、走行中と停車中に分け、連続録画の記録は、走行中と停車中で別のフォルダに記録し、それぞれのフォルダ内で上書き記憶するとよい。この様にすれば長時間エンジンを停止せずに停車しても停車中に走行時の録画が上書きで消される事態を防止でき、停車中の事故も記録できる。停車中の連続録画もメモリー容量の制限から上書きの方がよい。
【0161】
(e)前記所定の停車状態として、車両が停車し所定時間に渡って停車が継続した状態を備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、前記停車を開始した時間の前後所定時間の連続録画の記録済みの映像について前記上書きの抑制を行う構成とするとよい。
このようにすれば、停車するたびに上書きの抑制がなされることを防止でき、少ないメモリー容量のように、映像の記録容量が少ない場合にも消去する確率を減らすことができる。
【0162】
また、特に、「車両が停車し所定時間停車が継続した状態」の「所定時間停車が継続」する時間としては、一般の信号待ち程度での停車時間を上回る程度の時間とするとよい。一般の信号待ち程度での停車時間では上書きの抑制をせず、比較的長く停車した場合に上書きの抑制をする様にするとよい。このようにすれば、信号待ちのたびに上書きの抑制がされてしまうことを防止でき、上書きの抑制の頻度を減らせ、少ないメモリー容量でも消去する確率は減らすことができる。
【0163】
特に、3分~5分程度とするとよい。このようにすれば、エンジンを切り忘れて停車中の連続録画で事故時の記録が上書きされる可能性が高くなる事を防止できるとともに、これより短い時間で通常走行を再開した場合には事故でないか、重大な事故ではないと考えられるので上書きの抑制が過剰に働き、上書きが抑制された映像で記憶領域が満たされていくことを防止でき、連続録画の録画可能領域を圧迫するおそれも少なくできる。特に後述する(l)の構成を、組み合わせると更によい。
【0164】
また、車両が停車したが、所定時間停車が継続しなかった場合には、前記停車を開始した時間の前後所定時間の連続録画の記録済みの映像についての前記上書きの抑制は行わない構成とするとよい。また(c)の構成を備えない(e)の構成とするとよい。
【0165】
(f)ドライブレコーダ1の電源が遮断された場合に、当該電源の遮断直前、当該電源遮断前の停車を開始した時点、または、当該電源遮断前の前記所定の停車状態となった時点の少なくともいずれか1の時点を含む前記連続録画の記録済み映像について、上書きの抑制を行う機能を備えるとよい。
【0166】
事故時等でエンジンを停止せずに長時間停車する事により連続録画の上書きで事故時等の録画が消される可能性を少なくする方策は重要であるが、実際には事故時でもエンジンを停止して停車/駐車するケースの方が多いと思われる。この場合、エンジンを停止する前にイベント録画されていればよいが、イベント録画機能を有しない構成の場合やイベント録画機能を有していてもイベントとして判定されないなどしてイベント録画されない場合、事故処理後の走行で連続録画の事故時映像が上書きで消される可能性があるが、このようにすれば、これのような自体を防止することができ、より確実に事故時等の映像を記録されることができる。特にドライブレコーダ1の電源が、車両から供給され、当該車両のエンジンが停止した場合などに当該車両からの電源供給が遮断される構成とすると、毎回、エンジンの停止前の録画が記憶される事になる。特に、上書きの抑制としては、例えば専用のフォルダを設け上書き記録する様にするとよい。また「1の時点を含む」としては、例えば1の時点の前後所定時間とするとよい。
上記(f)の構成例として、例えば、車両が停車後、ドライブレコーダ1の電源が遮断された場合、停車前後所定時間の連続録画の記録済み映像について上書きの抑制処理を行うとよい。
【0167】
(g)電源の遮断時に電源を供給可能なバックアップ電源を備え、電源の遮断時には、上書きの抑制はバックアップ電源で行う構成とするとよい。
このようにすれば、より確実に上書きの抑制を行うことができる。なお、バックアップ電源を備えない構成や、バックアップ電源を備えているがバックアップ電源の容量が低下している場合などには、次に電源が投入された起動後に上書きの抑制を行うようにするとよい。
【0168】
特に例えば(f)の処理をこのように行うとよい。例えば、バックアップ電源がある場合はバックアップ電源で上書きの抑制処理を行った後に電源をオフし、バックアップ電源が搭載されていない場合、またはバックアップ電源の容量が低下している場合には、次に電源が投入された起動後に上書きの抑制処理を行うとよい。電源が遮断された後に処理する必要があるのでこの様にするとよい。
【0169】
(h)GPS受信機24(
図4)によって測位された場所が、予め設定された場所である場合には、前記上書きの抑制を行わない機能を備えるとよい。
例えば自宅や勤務先の駐車場等、日常的によく駐車する場所での事故の記録は不要な場合が多いので、例えばこうした記録の不要な場所を予め設定しておき、上書きの抑制処理は行わない様にするとよい。その分、事故時の記録等必要な画像が上書きで消える確率を減らせる。上書きの抑制処理を行わない場所の設定は、例えば、その場所でボタン操作等の指示が入力された場合に、位置の記憶及び設定をするとよい。特に例えば(f)の構成において(h)の構成を備えるとよい。
【0170】
(i)所定の停車状態として、車両が停車した後に走行して再停車し、当該再停車の時間が所定時間以上となった状態を備え、車両が当該所定の停車状態となった場合に、前記停車の前後の連続録画の映像及び前記再停車の前後の連続録画の映像について前記上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば、事故後、安全な場所に車を移動させた場合に、事故時の映像と、安全な場所に移動したときの映像とをより確実に記憶保存する事ができる。
【0171】
より具体的には例えば、連続録画において、車両が停車した場合、その前後所定時間の連続録画の録画データまたはそれを含む録画データファイルを一時記憶し、その後車両が走行し再停車した場合において、その停車時間が所定時間以上であった場合、再停車時前後所定時間の録画データまたはそれを含む録画データファイルと、一時記憶した録画データまたはそれを含む録画データファイルを、特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに移動、またはコピーして記憶する構成とするとよい。一時記憶は所定の速度以上で走行を再開したら消す様にしてもよい。
所定時間以上の停車の1つ前の停車時まで処理するだけでなく、2つ前までや3つ前まで同様の上書きの抑制を行うようにしてもよい。
【0172】
(j)前記所定の停車状態として、車両の停車の時間が所定時間以上になった状態を備え、車両が停車する毎にその時刻を記憶し、停車が当該所定時間以上続いたらその時刻及びそれより所定前までの記憶された停車の時刻の前後の所定時間の記憶済みの連続録画の映像について上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば、例えば、事故後、安全な場所に車を移動させる際に複数回停車した場合であったとしても、事故時の映像とその複数回停車させた際の映像とをより確実に記憶保存することができる。また、時刻を記憶する構成としたので、停車ごとに映像データを一時記憶しておく構成よりも、必要な一時記憶の記憶容量が少なくてすみ簡単にコストの上昇を抑えることができる。
【0173】
所定前としては、その回数でもよいし、時間でもよい。例えば4回としたり、例えば5分としたりするとよい。時間と回数との双方の条件を設けるとよい。例えば4回及び5分とするとよい。
時刻としては、停車の終了時刻や停車中の時刻としてもよいが、停車の開始時刻とするとよい。毎回の停車時刻を記憶しておき、所定時間以上継続する停車があったら、それより所定前の停車時の停車開始前後の録画を保存する様にするとよい。
より具体的には、例えば車両が停車したら、停車する毎に停車を開始した時刻を記憶し、停車が所定時間以上続いたら、その停車の開始時刻及びそれより所定前までの停車の開始時刻の前後所定時間の録画が記憶された連続録画データ、またはそれを含む連続録画データファイルを特定のフォルダ、特定の記憶領域、特定の記憶媒体のどれかに、移動、またはコピーして記憶するとよい。
【0174】
(k)前記所定の停車状態であると判定した場合に、前記複数の異なる時点を上書きの抑制の対象として決定し、決定した時点とその前後を含む時間の記録済みの映像について前記上書きの抑制を行うとよい。
このようにすれば各時点とその前後映像データを各時点においてRAM等の本体メモリーに一時記憶しておく構成よりも、必要な一時記憶の記憶容量が少なくてすみ簡単にコストの上昇を抑えることができるとともに、事故時の映像とそれに関連する時点の映像などをより確実に記憶保存することができる。
【0175】
(l)前記所定の停車状態であるかの判定において停車時間が所定時間以上であることを条件とする構成であって、車両が停車し、所定時間以上停車が継続する前に車からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなす構成とするとよい。
車両が停車後直ぐにエンジンが停止されれば、それ以上連続録画は進まないので停車中に上書きで消される事はないが、再びエンジンを始動させて走行を開始すれば連続録画が開始するので上書きで消される可能性があるので保存処理をしておいた方がよい。
例えば、(d)から(k)の構成において、車両が停車し、所定時間以上停車が継続する前に車からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなし保存処理する構成とするとよい。
【0176】
また、(l)のように構成すれば、停車時間に、エンジン停止中の時間を含まなくて済む構成に容易にすることができる。このような構成では、電源供給終了時や電源供給開始時に停車時間を求めるための処理をしなくて済む。例えば、停車時間の判定をするために、例えば電源の供給時に、エンジン停止前の最終記録時刻とエンジン始動時の時刻とから停車時間を求める処理などをする必要がなくなる。
【0177】
(m)車両からの供給電源が遮断された際に、前記所定の停車状態であると判定され、前記上書きの抑制を行う場合には、バックアップ電源で処理するか、次に電源が投入されて回路が起動した時点で処理するとよい。
電池を搭載するドライブレコーダであれば、電池で保存処理をした後、動作を停止させればよいが、電池を搭載していない場合や電池が消耗している場合もあるので、次に電源を入れた時処理する様にした方がよい。
例えば、(m)のように、車両からの供給電源が遮断された場合は所定時間以上停車が継続したとみなし、例えば(d)から(m)のいずれかの構成において、所定時間停車したと判定された結果、上書きの抑制を行う構成において(i)の構成を備えると特によい。
【0178】
(n)前記停車は、車両の停車後、所定の速度以上で走行するまでは当該停車が継続されているとみなす機能を備えるとよい。
このようにすれば、所定の速度未満の場合には停車とみなして上述した構成を実現できる。特に、所定の速度は、例えば渋滞に相当する時速数キロメートル程度の速度とするとよい。例えば渋滞時のように、少し進んでは止まることを繰り返す場合、多数の上書きの抑制がなされてしまうことを防止することができる。所定の速度はユーザ設定できるようにするとなおよい。
【0179】
(o)上書きの抑制は、映像を、所定のフォルダ、所定の記憶領域、所定の記憶媒体のいずれか1への記憶で行い、当該記憶について、上書き禁止、上書き許可に予め設定、または設定変更を可能とし、上書き許可の場合、上書きで記憶が消される確率を連続録画の上書きより低くした構成とするとよい。
上書き禁止か許可か、どちらが最適か予め明確な場合は最初(例えば出荷時)からどちらかに設定しておき、ユーザの使い方により設定した方がよい場合は設定変更できる様にするとよい。上書き許可の場合でも、上書きで記憶が消される確率を連続録画の上書きより低くすることでより確実に事故時等の映像を記録することができる。
【0180】
(p)常時録画機能を備え、前記所定のフォルダ、前記所定の記憶領域または前記所定の記憶媒体への記憶は、常時録画及びイベント録画とは異なるフォルダ、記憶領域または記憶媒体に記憶する構成とするとよい。
このようにすれば、常時録画、イベント録画からの影響を減らすことができる。また常時録画、イベント録画への影響を減らすことができる。そして、検索が容易になる。
【0181】
(q)連続録画機能及びイベント録画機能を備え、前記停車中も連続録画及びイベント録画は継続して実行する構成とするとよい。
このようにすれば、例えば取りこぼしや上書きで消えた場合の補完になる。また連続録画、イベント録画と併用すると、より事故時等の録画保存の信頼性が高まる。
なお、その他の構成及び作用効果については、矛盾を生じない範囲内において他の実施例と同様である。
【0182】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組合せた技術を包含している。
【0183】
例示した各構成は、基本的には任意に組み合わせることができ、矛盾の発生しない範囲で複数の構成を組み合わせるとよい。組み合わせの際には各構成の思想に基づき当業者の通常の創作能力を発揮して各項を組み合わせることができる。各構成に記載の構成要素に同名のものがある場合には、当該同名の構成要素は異なる要素として構成してもよいが、同一の要素として構成するとよい。例えば、「連続録画機能」は各構成ごとに異なる連続録画機能として、「第一の連続録画機能」・・・「第nの連続録画機能」のようにn個の連続録画機能として構成してもよいが、その一部または全部を同一の連続録画機能とするとよい。また例えば「所定の停車状態」は、例えば各構成に記載のものを別々に判定して、例えばそれぞれ異なる記録対象に対して上書きの抑制を行うようにしてもよいが、各構成に記載のものの少なくとも一部または全部を組み合わせて判定して同一の記録対象に対して上書きの抑制を行うようにするとよい。
各実施例内に記載した構成要素、課題を解決するための手段に記載の構成要素や思想を適用した要素は、矛盾を生じない範囲内において任意に組み合わせて実施例とするとよい。
【符号の説明】
【0184】
1 ドライブレコーダ
2 本体ケース
8、9 プッシュボタン
13 CCDカメラ
15 加速度センサ
181 挿入口
181A LED
24 GPS受信機
30 制御コントローラ
311 SDカードリーダ
32 データベース
35 パソコン
361 SDカードリーダライタ
45 モニター