(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007569
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】サーバ装置、空気調和装置の管理方法、および空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/49 20180101AFI20240110BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20240110BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192892
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2023107833の分割
【原出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2022105880
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 仁
(72)【発明者】
【氏名】片岡 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】井川 慎介
(72)【発明者】
【氏名】高木 元輝
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA64
3L260FC33
3L260JA12
(57)【要約】
【課題】空気調和装置の管理を十分に行うことができるようにする。
【解決手段】サーバ装置(60)は、空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断された場合に、該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断された場合に、該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを備えるサーバ装置。
【請求項2】
前記第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可するか否かを判断する制御部(62)を備え、
前記第1送信部(61b)は、前記制御部(62)の判断結果に基づき前記第2情報を送信する
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記第1情報は、前記ユーザに関する情報を含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の据え付け状態に関する情報を含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の据え付け場所に関する情報を含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記第1情報は、据え付けされた状態の前記空気調和装置(10)の画像データを含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の試運転に関する情報を含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記第2情報は、前記空気調和装置(10)の運転に必要な運転定数を含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記第1受信部(61a)は、前記空気調和装置(10)、または該空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)から送信される前記第1情報を受信する
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記第1送信部(61b)は、前記空気調和装置(10)、または該空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)に前記第2情報を送信する
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の使用に関する契約情報を含む
請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記契約情報は、契約に対する前記ユーザまたは前記据え付け作業者の合意情報を含む
請求項11に記載のサーバ装置。
【請求項13】
前記合意情報は、前記空気調和装置(10)の据え付けに関する契約に対する前記ユーザまたは前記据え付け作業者の合意情報である
請求項12に記載のサーバ装置。
【請求項14】
空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報をネットワーク(N)を介して受信するステップと、
前記第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断されたときに該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報をネットワーク(N)を介して対象となる空気調和装置(10)に送信するステップとを含む
空気調和装置の管理方法。
【請求項15】
空気調和装置(10)、または空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)と、
サーバ装置(60)とを備えた空調システムであって、
前記サーバ装置(60)は、
前記空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断されたときに該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを有し、
前記空気調和装置(10)または前記端末装置(70)は、
前記第1情報を前記サーバ装置(60)へ送信する第2送信部(52a)と、
前記サーバ装置(60)から送信された前記第2情報を受信する第2受信部(52b)とを有する
空調システム。
【請求項16】
前記空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知する検知部(53)と、
前記検知部(53)が前記空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知すると、該空気調和装置(10)の運転を禁止する空調制御部(50)と、
前記検知部(53)が前記空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知すると、該空気調和装置(10)の据え付け位置の確認を促す報知部(41)と
を備えている
請求項15に記載の空調システム。
【請求項17】
前記空気調和装置(10)には、前記サーバ装置(60)のアドレス情報を含む2次元コードが付され、
前記端末装置(70)は、前記2次元コードを読み取ることで前記サーバ装置(60)と通信可能である
請求項15または請求項16に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、空気調和装置の管理方法、および空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の空気調和装置では、空気調和装置の据え付け後に、据え付けのチェック項目を入力できる。チェック項目に基づき据え付けが適正に行われていると、空気調和装置の運転が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の空気調和装置では、判断を行うためのコントローラが現地に設けられる。コントローラは、情報を処理するためのリソースが限られるため、空気調和装置の管理を十分に行うことができないことがある。
【0005】
本開示の目的は、空気調和装置の管理を十分に行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断された場合に、該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを備えるサーバ装置である。
【0007】
第1の態様では、サーバ装置(60)の第1受信部(61a)が第1情報を受信する。第1情報は、空気調和装置(10)のユーザまたは空気調和装置(10)の据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む。サーバ装置(60)に第1情報が受信されることで、第1情報に基づき空気調和装置(10)の運転を開始するか否かを判断することができる。この判断は、自動で行ってもよいし、人が行ってもよい。次いで、サーバ装置(60)の第1送信部(61b)は、空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する。第2情報に基づき空気調和装置(10)の運転を開始できる。以上のように、第1の態様では、空気調和装置(10)の運転の開始を判断するために、サーバ装置(60)を用いるので、空気調和装置(10)の管理を十分に行うことができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可するか否かを判断する制御部(62)を備え、前記第1送信部(61b)は、前記サーバ制御部(62)の判断結果に基づき第2情報を送信する。
【0009】
第2の態様では、サーバ装置の制御部(62)が、第1情報に基づき空気調和装置(10)の運転を許可するか否かを判断する。サーバ装置の制御部(62)は、現地のコントローラなどと比べて、十分な情報を処理できるので、空気調和装置(10)の管理を十分に行うことができる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記第1情報は、前記ユーザに関する情報を含む。
【0011】
第3の態様では、ユーザに関する情報に基づき、空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の据え付け状態に関する情報を含む。
【0013】
第4の態様では、空気調和装置(10)の据え付け状態に関する情報に基づき、空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。このため、例えば据え付け不良時には、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の据え付け場所に関する情報を含む。
【0015】
第5の態様では、空気調和装置(10)の据え付け場所に応じたリスクを考慮して空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記第1情報は、据え付けされた状態の前記空気調和装置(10)の画像データを含む。
【0017】
第6の態様では、空気調和装置(10)の画像データに基づき、空気調和装置(10)の据え付け状態や据え付け場所を特定できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つにおいて、前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の試運転に関する情報を含む。
【0019】
第7の態様では、空気調和装置(10)の試運転の結果に基づいて、空気調和装置(10)の本運転の可否を判断できる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つにおいて、前記第2情報は、前記空気調和装置(10)の運転に必要な運転定数を含む。
【0021】
第8の態様では、第1送信部(61b)は、空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報として、空気調和装置(10)の運転に必要な運転定数を送信する。
【0022】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、前記第1受信部(61a)は、前記空気調和装置(10)、または該空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)から送信される前記第1情報を受信する。
【0023】
第9の態様では、空気調和装置(10)、または端末装置(70)が第1情報を送信する。第1受信部(61a)は、この第1情報を受信する。
【0024】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記第1送信部(61b)は、前記空気調和装置(10)、または該空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)に前記第2情報を送信する。
【0025】
第10の態様では、第1送信部(61b)が、第2情報を空気調和装置(10)または端末装置(70)に送信する。
【0026】
第11の態様は、第1~第10のいずれか1つの態様において、前記第1情報は、前記空気調和装置(10)の使用に関する契約情報を含む。
【0027】
第11の態様では、空気調和装置(10)の契約情報に基づいて、空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0028】
第12の態様は、第11の態様において、前記契約情報は、契約に対する前記ユーザまたは前記据え付け作業者の合意情報を含む。
【0029】
第12の態様では、契約に対するユーザまたは据え付け作業者の合意情報に基づいて、空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0030】
第13の態様は、第12の態様において、前記合意情報は、前記空気調和装置(10)の据え付けに関する契約に対する前記ユーザまたは前記据え付け作業者の合意情報である。
【0031】
第13の態様では、据え付けに関する契約に対する合意情報に基づいて、空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0032】
第14の態様は、空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報をネットワーク(N)を介して受信するステップと、
前記第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断されたときに該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報をネットワーク(N)を介して対象となる空気調和装置(10)に送信するステップとを含む
空気調和装置の管理方法である。
【0033】
第15の態様は、空気調和装置(10)、または空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)と、サーバ装置(60)とを備えた空調システムであって、前記サーバ装置(60)は、前記空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断されたときに該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを有し、前記空気調和装置(10)または前記端末装置(70)は、前記第1情報を前記サーバ装置(60)へ送信する第2送信部(52a)と、前記サーバ装置(60)から送信された前記第2情報を受信する第2受信部(52b)とを有する空調システムである。
【0034】
第16の態様は、第15の態様において、前記空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知する検知部(53)と、前記検知部(53)が前記空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知すると、該空気調和装置(10)の運転を禁止する空調制御部(50)と、前記検知部(53)が前記空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知すると、該空気調和装置(10)の据え付け位置の確認を促す報知部(41)とを備えている。
【0035】
第16の態様では、検知部(53)により空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことが検知されると、空調制御部(50)が空気調和装置(10)の運転を禁止するとともに、報知部(41)が空気調和装置(10)の据え付け位置の確認を促す。
【0036】
第17の態様は、第15または第16の態様において、前記空気調和装置(10)には、前記サーバ装置(60)のアドレス情報を含む2次元コードが付され、前記端末装置(70)は、前記2次元コードを読み取ることで前記サーバ装置(60)と通信可能である。
【0037】
第17の態様では、空気調和装置(10)に付された2次元コードを端末装置(70)が読み取ることで、端末装置(70)からサーバ装置(60)に容易に通信できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の配管系統図である。
【
図2】
図2は、空気調和装置の概略の斜視図である。
【
図4】
図4は、空調システムの概略の全体構成図である。
【
図5】
図5は、空気調和装置の据え付け時における管理方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例2の空調システムの概略の全体構成図である。
【
図7】
図7は、変形例2の室内機の概略の斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例3の空気調和装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0040】
《実施形態》
本実施形態の空調システム(S)は、空気調和装置(10)とサーバ装置(60)とを有する。空気調和装置(10)は、例えば一般家屋に設置される。サーバ装置(60)は、複数の空気調和装置(10)とネットワーク(N)を介して接続される。サーバ装置(60)は、空気調和装置(10)が現地に据え付けられたときに、空気調和装置(10)の運転の可否を判断するために用いられる。
【0041】
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、空気調和装置(10)の概略の配管系統図であり、
図2は、空気調和装置(10)の概略の斜視図である。
【0042】
空気調和装置(10)は、対象空間の空気の温度を調節する。対象空間は室内空間(I)である。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。冷房運転では、空気調和装置(10)が室内空間(I)の空気を冷却する。暖房運転では、空気調和装置(10)が室内空間(I)の空気を加熱する。
【0043】
空気調和装置(10)は、冷媒回路(11)を備える。冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒回路(11)は、冷媒を循環させることにより冷凍サイクルを行う。
【0044】
空気調和装置(10)は、室外機(20)、室内機(30)、第1連絡配管(12)、第2連絡配管(13)を備える。空気調和装置(10)は、1つの室外機(20)と1つの室内機(30)とを有するペア式である。第1連絡配管(12)は、ガス連絡配管であり、第2連絡配管(13)は、液連絡配管である。
【0045】
室外機(20)は、室外に設置される。室外機(20)は、室外ケーシング(20a)と、室外ケーシング(20a)に収容される室外側要素とを備える。室外側要素は、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、膨張弁(23)、四方切換弁(24)、および室外ファン(25)を含む。
【0046】
圧縮機(21)は、揺動ピストン式、ロータリ式、スクロール式などの回転式圧縮機である。室外熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式である。四方切換弁(24)は、第1状態(
図1の実線で示す状態)と第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出部と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入部と第1連絡配管(12)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出部と第1連絡配管(12)とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入部と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させる。室外ファン(25)は、プロペラファンである。
【0047】
室内機(30)は、室内ケーシング(30a)と、室内ケーシング(30a)に収容される室内側要素とを備える。室内側要素は、室内熱交換器(31)および室内ファン(32)を含む。室内熱交換器(31)は、フィンアンドチューブ式である。室内ファン(32)は、クロスフローファンである。
【0048】
(1-1)冷媒
冷媒回路(11)の冷媒は、可燃性の冷媒である。本例の冷媒は、強燃性の自然冷媒であるプロパン(R290)である。自然冷媒は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も低く、環境への負荷が少ない冷媒である。可燃性の冷媒は、自然冷媒であるアンモニア(R717)でもよい。冷媒は、強燃性の自然冷媒であるメタン(R50)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)でもよい。冷媒は、ジフルオロメタン(R32)、 2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)1,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)であってもよい。冷媒は、単一冷媒であってもよいし、他の冷媒を混合した混合冷媒であってもよい。
【0049】
(1-2)冷媒漏洩センサ
空気調和装置(10)は、冷媒漏洩センサ(35)を備える。冷媒漏洩センサ(35)は、冷媒の漏洩を検知するセンサである。冷媒漏洩センサ(35)は、空気調和装置(10)に外部からの電力が供給されることにより作動する。冷媒漏洩センサ(35)は、室内機(30)の室内ケーシング(30a)の内部に配置される。冷媒漏洩センサ(35)は、室内空間(I)に配置されてもよい。冷媒漏洩センサ(35)は、その周囲の冷媒の濃度が所定値を越える条件が成立すると、冷媒が漏洩したことを示す信号を出力する。冷媒漏洩センサ(35)は、上記条件が成立すると発報する警報装置を含んでいてもよい。
【0050】
(1-3)空調制御部
図3に示すように、空調制御部(50)は、室内コントローラ(IC)、室外コントローラ(OC)、およびリモートコントローラ(RC)を有する。空調制御部(50)は、空気調和装置(10)を制御する。
【0051】
室外コントローラ(OC)は、室外機(20)に設けられる。室外コントローラ(OC)は、室外ケーシング(20a)の内部に配置される。室外コントローラ(OC)は、圧縮機(21)、膨張弁(23)、四方切換弁(24)、および室外ファン(25)を制御する。厳密には、室外コントローラ(OC)は、圧縮機(21)の運転および停止、圧縮機(21)の回転数、膨張弁(23)の開度、四方切換弁(24)の状態、室外ファン(25)の運転および停止、室外ファン(25)の回転数を制御する。
【0052】
室内コントローラ(IC)は、室内機(30)に設けられる。室内コントローラ(IC)は、室内ケーシング(30a)の内部に配置される。室内コントローラ(IC)は、室内ファン(32)を制御する。具体的には、室内コントローラ(IC)は、室内ファン(32)の運転および停止、室内ファン(32)の回転数を制御する。室内コントローラ(IC)には、冷媒漏洩センサ(35)から出力された信号が入力される。
【0053】
室内コントローラ(IC)と室外コントローラ(OC)とは、有線または無線である第1伝送線(W1)によって接続される。室内コントローラ(IC)と室外コントローラ(OC)とは互いに信号の授受が可能に構成される。
【0054】
室内コントローラ(IC)には、記憶部(51)が設けられる。記憶部(51)は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリで構成される。記憶部(51)には、空気調和装置(10)の運転を行うための運転パラメータである運転定数が記憶される。本例の空気調和装置(10)の出荷時には、記憶部(51)には、この運転定数が記憶されない。このため、空気調和装置(10)に運転定数が記憶されるまでの間は、空気調和装置(10)の運転を行うことができない。詳細は後述するが、この運転定数は、サーバ装置(60)によって空気調和装置(10)へ送信される。
【0055】
リモートコントローラ(RC)は、室内空間(I)に設置される。リモートコントローラ(RC)は、ユーザ等が空気調和装置(10)の運転を切り換えるための装置である。リモートコントローラ(RC)と室内コントローラ(IC)とは、無線または有線である第2伝送線(W2)によって接続される。リモートコントローラ(RC)と室内コントローラ(IC)とは互いに信号の授受が可能に構成される。
【0056】
リモートコントローラ(RC)は、表示部(41)および操作部(42)を有する。表示部(41)は、本開示の報知部の一例である。表示部(41)は、液晶画面などのディスプレイである。操作部(42)は、ユーザが操作するボタンなどで構成される。表示部(41)および操作部(42)は、タッチパネルにより兼用されてもよい。
【0057】
リモートコントローラ(RC)は、操作部(42)の操作などに応じて、室内コントローラ(IC)に運転指令を出力する。この運転指令は、空気調和装置(10)の運転および停止を切り換えるための指令、空気調和装置(10)の運転モード(冷房運転や暖房運転)を切り換えるための指令、室内空間(I)の目標温度(設定温度)を切り換えるための指令を含む。
【0058】
室内コントローラ(IC)、室外コントローラ(OC)、およびリモートコントローラ(RC)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0059】
空調制御部(50)は、ネットワーク(N)と接続するための第1通信インターフェース(52)を有する。第1通信インターフェース(52)は、例えば室内コントローラ(IC)に設けられる。第1通信インターフェース(52)は、無線または有線によってネットワーク(N)と接続する。本例の第1通信インターフェース(52)は、機能的な要素として、第2送信部(52a)と第2受信部(52b)とを有する。第2送信部(52a)は、第1情報をサーバ装置(60)へ送信する。第2受信部(52b)は、サーバ装置(60)からの第2情報を受信する。
【0060】
(2)運転動作
空気調和装置(10)は冷房運転と暖房運転とを行う。
【0061】
冷房運転では、四方切換弁(24)が第1状態になる。圧縮機(21)で圧縮した冷媒が室外熱交換器(22)で放熱した後、膨張弁(23)で減圧する。減圧した冷媒は、室内熱交換器(31)で蒸発する。室内熱交換器(31)によって冷却された空気は室内空間(I)へ供給される。室内熱交換器(31)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入される。
【0062】
暖房運転では、四方切換弁(24)が第2状態になる。暖房運転では、圧縮機(21)で圧縮した冷媒が室内熱交換器(31)で放熱した後、膨張弁(23)で減圧する。室内熱交換器(31)によって加熱された空気は室内空間(I)へ供給される。減圧した冷媒は、室外熱交換器(22)で蒸発した後、圧縮機(21)に吸入される。
【0063】
(3)サーバ装置の概要
サーバ装置(60)は、ネットワーク(N)に接続される。サーバ装置(60)は、ネットワーク(N)を介して現地の空気調和装置(10)と接続される。空調システム(S)では、サーバ装置(60)と、複数の空気調和装置(10)とがネットワーク(N)を介して通信可能になっている。例えば空気調和装置(10)のメーカなどが、サーバ装置(60)を管理する。
【0064】
図4に示すように、サーバ装置(60)は、第2通信インターフェース(61)と、サーバ制御部(62)とを有する。第2通信インターフェース(61)は、機能的な要素として、第1受信部(61a)と、第1送信部(61b)とを有する。第1受信部(61a)は、第1情報を受信する。サーバ制御部(62)は、本開示の制御部の一例である。サーバ制御部(62)は、受信した第1情報に基づき、空気調和装置(10)の運転の可否を判断する。第1送信部(61b)は、サーバ制御部(62)の判断結果に基づき、第2情報を送信する。
【0065】
(3-1)第1情報
第1情報は、空気調和装置(10)が設置される現地側の情報である。第1情報は、ユーザに関する情報、据え付け作業者に関する情報、および空気調和装置(10)に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0066】
ユーザに関する情報は、ユーザの氏名、ユーザの住所、およびユーザの連絡先の少なくとも1つを含む。
【0067】
据え付け作業者に関する情報は、据え付け作業者の氏名、据え付け作業者の住所、および据え付け作業者の連絡先の少なくとも1つを含む。
【0068】
空気調和装置(10)に関する情報は、空気調和装置(10)の据え付け状態に関する情報、空気調和装置(10)の据え付け場所に関する情報、据え付けされた状態の空気調和装置(10)の画像データ、空気調和装置(10)の試運転に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0069】
空気調和装置(10)の据え付け状態に関する情報は、空気調和装置(10)の据え付け時におけるチェック項目を含む。具体的には、この情報は、ボルトやナットなどの締結状態、冷媒配管のロウ付けなどの接続状態、断熱材や配管カバーなどの取付状態、ドレンホースの取付状態、電気配線の接続状態などを含む。
【0070】
据え付け状態に関する情報は、空気調和装置(10)が据え付けられる空間の室温、外気温度、室外機(20)の周囲環境の情報などを含んでいてもよい。
【0071】
空気調和装置(10)の据え付け場所に関する情報は、空気調和装置(10)の据え付け場所の住所、家屋における空気調和装置(10)の具体的な据え付け位置を含む。具体的な据え付け位置の情報は、空気調和装置(10)がどの階にあるか、どの部屋に設置されるのか、空気調和装置(10)の設置高さなどの情報を含む。空気調和装置(10)が例えば地下室や、半地下室に設置されると、冷媒の漏洩に起因するリスクが増大する。地下室や半地下室などの空間は、冷媒が溜まり込み易いからである。このため、空気調和装置(10)の据え付け場所に関する情報は、空気調和装置(10)の運転に伴うリスクを評価するのに役立つ。
【0072】
据え付けられた状態の空気調和装置(10)の画像データは、カメラ装置によって取得される。カメラ装置は、空気調和装置(10)に搭載されてもよいし、空気調和装置(10)と別体の装置であってもよい。画像データは、空気調和装置(10)の据え付け状態や、据え付け場所を視覚的に特定するのに役立つ。
【0073】
空気調和装置(10)の試運転に関する情報は、据え付け作業者が空気調和装置(10)を試運転する際に取得される。空気調和装置(10)の試運転に関する情報は、空気調和装置(10)の運転時における圧縮機(21)の回転数、室外熱交換器(22)や室内熱交換器(31)を流れる冷媒の温度、圧縮機(21)の吐出側や吸入側の冷媒の温度の少なくとも1つを含む。これらの情報は、空気調和装置(10)において、適切な冷凍サイクルが行われているかを評価するのに役立つ。適切な冷凍サイクルが行われているか否かは、試運転時に取得したパラメータに基づき得られるモリエル線図と、設計上のモリエル線図とを比較して行ってもよい。
【0074】
第1情報は、空気調和装置(10)の使用に関する契約情報を含む。この契約情報は、契約に対するユーザまたは据え付け作業者の合意情報を含む。合意情報は、空気調和装置(10)の据え付けに関する契約に対するユーザまたは据え付け作業者の合意情報である
ユーザや据え付け作業者は、空気調和装置(10)の使用時における安全を確保する観点から、空気調和装置(10)の使用に関する契約を守る必要がある。この契約は、ユーザや据え付け作業者と、空気調和装置(10)のメーカや販売業者との間の契約である。この契約は、ユーザや据え付け作業者が契約書、所定の端末装置、あるいはリモートコントローラ(RC)の表示部(41)により確認できる。端末装置は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどを含む。使用に関する契約としては、例えば空気調和装置(10)が指定の据え付け作業者により設置されること、空気調和装置(10)の据え付け場所が所定の安全基準を満たす指定の位置に設置されること、などがある。
【0075】
ユーザや据え付け作業者は、これらの契約に対して合意する場合、合意を示すサインをリモートコントローラ(RC)や端末装置などを用いて入力できる。この場合、ユーザや据え付け作業者のサインが、合意情報に対応する。合意情報は、必ずしもサインでなくてもよく、ユーザが契約に合意した際に、端末装置やリモートコントローラ(RC)を介して入力された情報であればよい。もし、ユーザや据え付け作業者が、この契約に違反する場合、ユーザや据え付け作業者は、空気調和装置(10)のメーカや販売業者の保証を受けることができない。
【0076】
第1情報は、例えばユーザや据え付け作業者などがリモートコントローラ(RC)を操作することにより、空調制御部(50)に入力される。第1情報は、ユーザや据え付け作業者などが前記端末装置に入力されてもよい。この場合、端末装置に入力された第1情報は、無線または有線を介して空調制御部(50)に送信される。
【0077】
(3-2)第2情報
第2情報は、サーバ装置(60)から空気調和装置(10)へ送信される情報である。第2情報は、サーバ装置(60)側において、空気調和装置(10)の運転を許可する判断がなされると、サーバ装置(60)側から空気調和装置(10)側へ送信される。
【0078】
本例の第2情報は、空気調和装置(10)の運転定数を含む。空気調和装置(10)に送信された運転定数は、空調制御部(50)の記憶部(51)に格納される。これにより、その後には、空気調和装置(10)の運転が許可される。第2情報は、運転定数でなくてもよく、例えば空気調和装置(10)の運転を許可するフラグを成立するための信号であってもよい。
【0079】
(4)管理方法および制御
空気調和装置(10)の据え付け時における管理方法、および空調システムの制御について詳細に説明する。
【0080】
図5に示すように、ステップS11において空気調和装置(10)の据え付け作業が完了すると、ステップS12において、ユーザなどはリモートコントローラ(RC)や端末装置を用いて上述した第1情報を入力する。第1情報は、テキストによって入力されてもよいし、チェックボックスやプルダウンメニューから選択されてもよい。第1情報が空調制御部(50)に入力されると、ステップS13において、空気調和装置(10)はサーバ装置(60)へ第1情報を送信する。具体的には、第2送信部(52a)はネットワーク(N)を介してサーバ装置(60)の第1受信部(61a)に第1情報を送信する。なお、第1情報には、発信元の空気調和装置(10)の識別情報が関連付けられる。したがって、サーバ装置(60)は、受信した第1情報が、どの空気調和装置(10)に対応するかを特定できる。
【0081】
ステップS14において、サーバ装置(60)の第1受信部(61a)が第1情報を受信すると、ステップS15において、サーバ制御部(62)は第1情報に基づき、空気調和装置(10)の運転可否を判断する第1条件が成立するか否かを判断する。
【0082】
第1条件は、例えば次のa)~f)の条件の少なくとも1つを含む。
【0083】
a)第1情報にユーザに関する情報が含まれていること、b)第1情報に据え付け作業者に関する情報が含まれていること、c)空気調和装置(10)の据え付け状態が所定の条件を満たすこと、d)空気調和装置(10)の据え付け場所が所定の条件を満たすこと、e)空気調和装置(10)の試運転の結果が良好であったこと、f)空気調和装置(10)の使用に関する契約に対してユーザや据え付け作業者の合意が得られていること
第1情報にユーザに関する情報が含まれない場合、正規のユーザが空気調和装置(10)を使用していない可能性がある。したがって、この場合、条件a)が成立せず、空気調和装置(10)の運転が許可されない。
【0084】
第1情報に据え付け作業者に関する情報が含まれない場合、所定の据え付け作業者が空気調和装置(10)を据え付けていない可能性がある。したがって、この場合、条件b)が成立せず、空気調和装置(10)の運転が許可されない。
【0085】
空気調和装置(10)の据え付け作業が所定の条件を満たさない場合、空気調和装置(10)の運転に伴うリスクが大きくなる。したがって、この場合、条件c)が成立せず、空気調和装置(10)の運転が許可されない。ここでいう所定の条件とは、例えば冷媒配管、水配管、電気配線などの接続状態が良好であることなどである。
【0086】
空気調和装置(10)が例えば地下室や半地下室に設置されているなどの理由で、空気調和装置(10)の据え付け場所が所定の条件を満たさいない場合、空気調和装置(10)の運転に伴うリスクが大きくなる。したがって、この場合、条件d)が成立せず、空気調和装置(10)の運転が許可されない。
【0087】
空気調和装置(10)の試運転の結果、何らかの不具合が生じた場合、その後の空気調和装置(10)の運運転に伴うリスクが大きくなる。したがって、この場合、条件e)が成立せず、空気調和装置(10)の運転が許可されない。
【0088】
空気調和装置(10)の契約に対してユーザや据え付け作業者の合意情報(例えばサイン)が得られていない場合、ユーザや据え付け作業者が空気調和装置(10)の使用に関するルールを遵守しておらず、空気調和装置(10)の運転に伴うリスクが大きくなる。したがって、この場合、条件f)が成立せず、空気調和装置(10)の運転が許可されない。
【0089】
第1情報に、据え付けされた状態の空気調和装置(10)の画像データが含まれる場合、サーバ制御部(62)は、画像データに基づき空気調和装置(10)の運転の可否を判断する。この場合、サーバ制御部(62)は、画像データを解析することで、空気調和装置(10)の据え付け状態や据え付け場所を特定し、条件c)や条件d)の判定を行う。
【0090】
ステップS16において、第1条件が成立しないと判断された場合、処理はステップS17に移行する。ステップS17では、サーバ装置(60)が第2情報を送信する。具体的には、第1送信部(61b)がネットワーク(N)を介して第2受信部(52b)に第2情報を送信する。第1送信部(61b)は、第1情報に関連付けられた空気調和装置(10)の識別情報に基づき、どの空気調和装置(10)に第2情報を発信するかを特定する。
【0091】
ステップS18において、空気調和装置(10)が第2情報を受信すると、ステップS19において、空気調和装置(10)の運転が許可される。具体的には、空調制御部(50)に第2信号に含まれる運転定数が入力されると、この運転定数が記憶部(51)に格納される。その結果、その後には、この運転定数に基づく空気調和装置(10)の運転が許可される。
【0092】
ステップS16において、第1条件が成立しないと判断された場合、処理はステップS20に移行する。ステップS20では、サーバ装置(60)が第3情報を送信する。具体的には、第1送信部(61b)がネットワーク(N)を介して空調制御部(50)に第3情報を送信する。ここで、第3情報は、空気調和装置(10)の運転を許可しないことを示す信号である。空気調和装置(10)に第3情報が入力された場合、空気調和装置(10)の運転は禁止されたままである。この場合、例えばステップS22において、報知部である表示部(41)に、空気調和装置(10)の運転ができない旨が表示される。第1条件が成立しない場合に、サーバ装置(60)は、ユーザや据え付け作業者の端末装置に、空気調和装置(10)の運転ができない旨を通知するようにしてもよい。
【0093】
(5)特徴
(5-1)
実施形態のサーバ装置(60)は、空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断された場合に、該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを備える。
【0094】
実施形態の空調システム(S)は、空気調和装置(10)と、サーバ装置(60)とを備え、サーバ装置(60)は、空気調和装置(10)のユーザまたは据え付け作業者に関する情報、または空気調和装置(10)に関する情報を含む第1情報を受信する第1受信部(61a)と、該第1情報に基づき前記空気調和装置(10)の運転を許可すると判断されたときに該空気調和装置(10)の運転を開始するために必要な第2情報を送信する第1送信部(61b)とを有し、空気調和装置(10)は、第1情報を前記サーバ装置(60)へ送信する第2送信部(52a)と、サーバ装置(60)から送信された前記第2情報を受信する第2受信部(52b)とを有する。
【0095】
このように、空気調和装置(10)からの第1情報をサーバ装置(60)に送る構成では、空気調和装置(10)の運転の可否をサーバ装置(60)側で容易に行うことができる。サーバ装置(60)であれば、情報処理のための十分なリソースが得られるので、空気調和装置(10)の管理を十分に行うことができる。サーバ装置(60)であれば、複数の空気調和装置(10)の第1情報を、現地にいかずとも容易に集約できる。
【0096】
(5-2)
実施形態のサーバ装置(60)あるいは空調システム(S)は、第1情報に基づき空気調和装置(10)の運転を許可するか否かを判断するサーバ制御部(62)を備え、第1送信部(61b)は、サーバ制御部(62)の判断結果に基づき第2情報を送信する。
【0097】
これにより、第1情報に基づき空気調和装置(10)の運転の可否を自動的に判断できる。
【0098】
(5-3)
第1情報は、ユーザに関する情報を含むので、ユーザに関する情報に基づき空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。したがって、正規のユーザが空気調和装置(10)を利用としていない場合に、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。
【0099】
第1情報は、空気調和装置(10)の据え付け状態に関する情報を含むので、空気調和装置(10)の据え付け状態に基づき空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。したがって、正規の据え付け作業者が空気調和装置(10)の据え付けを行っていない場合や、ユーザが単独で空気調和装置(10)の据え付けを行った場合に、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。
【0100】
第1情報は、空気調和装置(10)の据え付け場所に関する情報を含む。このため、例えば空気調和装置(10)が地下室や半地下室に設置され、冷媒漏洩に起因するリスクが高い場合に、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。
【0101】
特に、本実施形態では、冷媒として可燃性の冷媒(例えばプロパン)を用いている。このため、冷媒漏洩に起因するリスクが高くなる。これに対し、本実施形態では、空気調和装置(10)が冷媒の漏洩のリスクが高い箇所に設置された場合に、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。したがって、空気調和装置(10)の信頼性を向上できる。
【0102】
第1情報は、据え付けされた状態の空気調和装置(10)の画像データを含む。このため、画像データに基づき、空気調和装置(10)の据え付け状態や据え付け場所を特定し、この特定結果に基づいて空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0103】
第1情報は、空気調和装置(10)の試運転に関する情報を含むので、試運転の結果が良好でない場合に、空気調和装置(10)の本運転を禁止できる。
【0104】
(5-4)
第1情報は、空気調和装置(10)の使用に関する契約情報を含むので、契約情報に基づき空気調和装置(10)の運転の可否を判断できる。
【0105】
特に、契約情報は、契約に対するユーザまたは据え付け作業者の合意情報を含むので、サインなどの合意が得られない場合に、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。
【0106】
さらに、合意情報は、空気調和装置(10)の据え付けに関する契約に対するユーザまたは据え付け作業者の合意情報である。このため、空気調和装置(10)の据え付けに関する規則が十分に守られていない場合に、空気調和装置(10)の運転を禁止できる。
【0107】
(5-5)
第2情報は、空気調和装置(10)の運転に必要な運転定数を含む。このため、空気調和装置(10)の運転が許可されるまでの間に、空気調和装置(10)が誤って運転されてしまうことを確実に防止できる。
【0108】
(6)変形例
上記実施形態は、以下のような変形例の構成としてもよい。以下には、原則として、上記実施形態と異なる点について説明する。
【0109】
(6-1)変形例1:運転の可否の判定
空気調和装置(10)の運転の可否は、サーバ装置(60)側の第1情報を確認した管理者が行ってもよい。管理者が空気調和装置(10)の運転を許可する場合、管理者は、サーバ装置(60)から第2情報を発信するための指令をサーバ装置(60)に入力する。
【0110】
サーバ制御部(62)は、機械学習によって得た学習済みモデルを用いて空気調和装置(10)の運転の可否を判断してもよい。サーバ制御部(62)は、第1情報を入力値とし、学習済みモデルによって得られた運転の可否の結果を出力値とする。学習済みモデルは、サーバ装置(60)に集約された第1情報と、管理者が決定した運転可否の結果とを関連付けた教師データを用いて生成されてもよい。第1情報に上記の画像データを含む場合、学習済みモデルは、画像データを入力値とした運転の可否の結果を出力値とする。
【0111】
(6-2)変形例2:端末装置によって通信する例
上述した実施形態では、空気調和装置(10)とサーバ装置(60)との間で、第1情報および第2情報の通信を行っている。しかしながら、
図6に示すように、空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)と、サーバ装置(60)との間で、第1情報や第2情報の通信を行ってもよい。
【0112】
変形例2の空調システム(S)は、空気調和装置(10)と、空気調和装置(10)と通信可能な端末装置(70)と、サーバ装置(60)とを備える。端末装置(70)は、ユーザや据え付け作業者が用いる。端末装置(70)は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどで構成される。端末装置(70)は、無線または有線である通信線(74)を介して、対応する空気調和装置(10)と接続される。
【0113】
端末装置(70)は、端末側表示部(71)、端末側操作部(72)、およびカメラ(73)を有する。端末側表示部(71)は、本開示の報知部の一例である。端末側表示部(71)は、液晶画面などのディスプレイである。端末側操作部(72)は、ユーザが操作するタッチパネル、キーボード、ボタンなどで構成される。端末側表示部(71)および端末側操作部(72)は、タッチパネルにより兼用されてもよい。
【0114】
カメラ(73)は、ユーザや据え付け作業者の操作により、画像データを取得する。このため、据え付けられた状態の空気調和装置(10)の画像データを、端末装置(70)のカメラ(73)によって容易に取得できる。
【0115】
変形例2では、実施形態の第1通信インターフェース(52)が端末装置(70)に設けられる。第1通信インターフェース(52)は、機能的な要素として、第2送信部(52a)と第2受信部(52b)とを有する。
【0116】
図7に示すように、変形例2の空気調和装置(10)には、2次元コード(80)が付される。2次元コード(80)は、例えばQRコード(登録商標)であるが、DataMatrix、MaxiCodeなどの他のコードであってもよい。本例の2次元コード(80)は、室内ケーシング(30a)の外面にシールなどを用いて付される。2次元コードは、サーバ装置(60)のアドレス情報を含む。端末装置(70)は、カメラ(73)によって撮像した2次元データを情報として読み込む機能を有する。つまり、端末装置(70)は、2次元コードを読み取ることでサーバ装置(60)と通信可能である
変形例2では、空気調和装置(10)の据え付け作業が終わると、ユーザや据え付け作業者が、端末装置(70)を用いて第1情報を入力する。端末装置(70)のカメラ(73)を用いて2次元コード(80)を読み込むことで、端末装置(70)にサーバ装置(60)のアドレス情報が入力される。このため、端末装置(70)からサーバ装置(60)に容易にアクセスできる。
【0117】
端末装置(70)に入力された第1情報は、ネットワーク(N)を介してサーバ装置(60)に送信される。サーバ装置(60)からの第2情報は、ネットワーク(N)を介して端末装置(70)の第2受信部(52b)に受信される。第2情報を受信した端末装置(70)は、通信線(74)を介して第2情報を空気調和装置(10)に送信する。これにより、空気調和装置(10)の運転が許可される。
【0118】
サーバ装置(60)からの第3情報は、ネットワーク(N)を介して端末装置(70)の第2受信部(52b)に受信される。第3情報を受信した端末装置(70)は、空気調和装置(10)の運転ができない旨を端末側表示部(71)に表示する。これにより、ユーザや据え付け作業者は、空気調和装置(10)の運転が許可されなかったことを速やかに知ることができる。
【0119】
なお、変形例2において、サーバ装置(60)第2情報を、空気調和装置(10)に送信するようにしてもよい。具体的には、サーバ装置(60)からの第2情報は、ネットワーク(N)を介して空気調和装置(10)の第2受信部(52b)に受信される。これにより、端末装置(70)を介さずに、空気調和装置(10)の運転を許可することができる。
【0120】
変形例2において、サーバ装置(60)の第3情報を、空気調和装置(10)に送信するようにしてもよい。具体的には、サーバ装置(60)からの第3情報は、ネットワーク(N)を介して空気調和装置(10)の第2受信部(52b)に受信される。これにより、端末装置(70)を介さずに、空気調和装置(10)の運転を禁止したままとすることができる。この場合、上述した実施形態と同様、空気調和装置(10)の表示部(41)が、空気調和装置(10)の運転ができない旨を表示してもよい。
【0121】
(6-3)変形例3:空気調和装置の位置の変更を検知する構成
図8に示す変形例3の空調システム(S)は、空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知する検知部(53)を備える。検知部(53)は、例えば室内機(30)に取り付けられる加速度センサや、傾斜センサで構成される。検知部(53)の出力信号は空調制御部(50)に入力される。
【0122】
検知部(53)が空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知すると、空調制御部(50)が空気調和装置(10)の運転を禁止する。このため、例えば空気調和装置(10)が地下室などの冷媒漏洩のリスクが高い箇所に設置されたとしても、空気調和装置(10)は運転を行うことができない。したがって、空気調和装置(10)の信頼性を向上できる。
【0123】
検知部(53)が空気調和装置(10)の据え付け位置が変更されたことを検知すると、報知部は空気調和装置(10)の据え付け位置の確認を促す。報知部は、例えばリモートコントローラ(RC)の表示部(41)や、端末装置(70)の端末側表示部(71)である。報知部は、ユーザなどに据え付け位置の確認を促す。このことを確認したユーザは、例えば据え付け作業者、メンテメンス業者、メーカ、販売業者などに連絡し、所定の対策を施す。したがって、空気調和装置(10)の安全管理を十分に行うことができる。
【0124】
(7)その他の実施形態
上述した空気調和装置(10)は、1つの室内機(30)と1つの室外機(20)とを有するペア式である。しかしながら、空気調和装置(10)は、2つ以上の室内機(30)を有する室内マルチ式や、2つ以上の室外機(20)を有する室内マルチ式であってもよい。
【0125】
空気調和装置(10)は、空気を換気する換気装置、空気を浄化する空気清浄装置、空気を加湿したり除湿したりする調湿装置であってもよい。つまり、ここでいう「空気調和」、空気の温度調節だけでなく、空気の換気、空気の清浄、空気の湿度調節を含む意味である。
【0126】
空気調和装置(10)は、冷媒の漏洩に対する対策装置を備えていてもよい。対策装置は、冷媒の漏洩を検知することで空気を攪拌するファン、空気を換気する換気装置、冷媒配管を閉鎖する遮断弁などを含む。このファンは、室内ファン(32)であってもよい。
【0127】
報知部は、音声や光を発する装置であってもよい。
【0128】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0129】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上に説明したように、本開示は、サーバ装置、空気調和装置の管理方法、および空調システムについて有用である。
【符号の説明】
【0131】
10 空気調和装置
41 表示部(報知部)
50 空調制御部
52a 第2送信部
52b 第2受信部
53 検知部
60 サーバ装置
61a 第1受信部
61b 第1送信部
62 サーバ制御部(制御部)
70 端末装置
80 2次元コード
N ネットワーク
S 空調システム