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特開2024-75698生物学的インジケータを用いた液体化学滅菌システム
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  • 特開-生物学的インジケータを用いた液体化学滅菌システム 図1
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  • 特開-生物学的インジケータを用いた液体化学滅菌システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075698
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】生物学的インジケータを用いた液体化学滅菌システム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/22 20060101AFI20240528BHJP
   A61L 2/28 20060101ALI20240528BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240528BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C12Q1/22
A61L2/28
G01N33/50 Z
A61B1/12 510
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044886
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2021535873の分割
【原出願日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】62/782,931
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/782,949
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】フライヤー・ベンジャミン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤバラン・プラバカラン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ヤン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特に内視鏡滅菌に適用されるような、液体化学滅菌ルーチンの妥当性を評価するための器械および技術を提供する。
【解決手段】滅菌システムによって滅菌された医療装置の無菌性を判定する方法であって、微生物のキャリアを収容するバイアルをキャビティ内に挿入するステップと、バイアル内に針を貫通させるステップと、液体化学滅菌剤を、針を通してバイアル内に導入するステップと、液体化学滅菌剤が中に配置されたバイアルをインキュベートするステップと、針を通してバイアルから液体化学滅菌剤を引き出すステップと、針を通してバイアル内に中和剤を導入するステップと、針を通してバイアルから中和剤を引き出すステップと、針を通してバイアル内に増殖培地を導入するステップと、増殖培地が中に配置されたバイアルをインキュベートするステップと、を含む、方法とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌システムによって滅菌された医療装置の無菌性を判定する方法であって、
微生物のキャリアを収容するバイアルをキャビティ内に挿入するステップと、
前記バイアル内に針を貫通させるステップと、
液体化学滅菌剤を、前記針を通して前記バイアル内に導入するステップと、
前記液体化学滅菌剤が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記液体化学滅菌剤を引き出すステップと、
前記針を通して前記バイアル内に中和剤を導入するステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記中和剤を引き出すステップと、
前記針を通して前記バイアル内に増殖培地を導入するステップと、
前記増殖培地が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記増殖培地の視覚的特徴の変化をモニターし判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚的特徴は、蛍光強度を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ある量の前記液体化学滅菌剤を前記医療装置の内腔に通してから、前記量の前記液体化学滅菌剤を前記バイアル内に導入するステップをさらに含み、前記医療装置は、内視鏡である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記増殖培地が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップは、前記バイアルを約50℃~約60℃の温度に加熱するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記液体化学滅菌剤が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップは、前記バイアルを約30℃~約50℃の温度に加熱するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記滅菌システムは、複数の流体供給源、チューブ、弁、およびポンプを含み、前記方法は、前記流体供給源、前記チューブ、前記弁、および前記ポンプのうちの少なくともいくつかを、前記液体化学滅菌剤で滅菌するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記液体化学滅菌剤は、過酢酸または過酸化水素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記針を貫通させるステップは、前記針が前記バイアルのバリアを貫通するように前記滅菌システムを開放構成から閉鎖構成に移動させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記中和剤は、メタ重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記液体化学滅菌剤は、第1の時間の間、前記バイアルに留まり、前記中和剤は、第2の時間の間、前記バイアルに留まり、前記第1の時間は、前記第2の時間にほぼ等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記増殖培地が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップは、30分にほぼ等しい第3の時間の間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医療装置の無菌性を判定する方法であって、
微生物のキャリアを収容するバイアルを器具のキャビティ内に挿入するステップと、
前記器具の第1のセグメントを前記器具の第2のセグメントに対して移動させて前記バイアルを針で貫通させるステップと、
少なくとも1つの流体を、前記針を通して前記バイアル内に導入するステップと、
前記少なくとも1つの流体が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記少なくとも1つの流体を引き出すステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの流体は、液体化学滅菌剤または増殖培地である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記針を通して前記バイアル内に中和剤を導入するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記導入するステップは、少なくとも1つのバルブと少なくとも1つのチューブとによって前記バイアルに流体接続された第1のポンプによって実施され、前記引き出すステップは、少なくとも1つのバルブと少なくとも1つのチューブとによって前記バイアルに流体接続された第2のポンプによって実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
非一時的記憶媒体が、前記少なくとも1つの流体が前記バイアルに導入されまたは前記バイアルから引き出されるように、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを作動させ前記少なくとも1つのバルブを方向付けるように、プロセッサに命令する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記器具は、前記バイアルに隣接する加熱要素をさらに含み、前記導入するステップは、前記加熱要素によって実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ある量の前記少なくとも1つの流体を前記医療装置の内腔に通してから、前記量の前記少なくとも1つの流体を前記バイアル内に導入するステップをさらに含み、前記医療装置は、内視鏡である、前記請求項13に記載の方法。
【請求項20】
医療装置の無菌性を判定する方法であって、
微生物のキャリアを収容するバイアルを器具のキャビティ内に挿入するステップと、
前記器具の第1のセグメントを前記器具の第2のセグメントに対して移動させて前記バイアルを針で貫通させるステップと、
液体化学滅菌剤を、前記針を通して前記バイアル内に導入するステップと、
前記液体化学滅菌剤が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記液体化学滅菌剤を引き出すステップと、
前記針を通して前記バイアル内に中和剤を導入するステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記中和剤を引き出すステップと、
前記針を通して前記バイアル内に増殖培地を導入するステップと、
前記増殖培地が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本明細書に開示される主題は、特に内視鏡滅菌に適用されるような、液体化学滅菌ルーチンの妥当性を評価するための器械および技術に関する。
【0002】
〔背景〕
医療装置は、典型的には使用前に滅菌されて、対象に感染症を引き起こし得る、汚染された装置が対象に使用され得る可能性を最小にする。ガスプラズマおよびエチレンオキシド(EtO)を伴うかまたは伴わない、蒸気、過酸化水素、および気相滅菌などの様々な滅菌技術を使用することができる。
【0003】
特定の滅菌技術は、周囲圧力または大気圧以外の圧力で実施される。例えば、Johnson & Johnson companyのEthicon US, LLCの1部門である、Advanced Sterilization Productsの、STERRAD(登録商標)System、STERRAD(登録商標)NX SystemまたはSTERRAD(登録商標)100NX Systemは、過酸化水素を気化し、例えば26.66Pa(200ミリトル)未満の低圧で動作する、滅菌システムまたは滅菌器の例である。
【0004】
内腔を有する様々な細長い医療装置、例えば内視鏡は、様々な理由で、蒸気滅菌剤、例えば気化した過酸化水素により滅菌することが難しい。例えば、内腔内の圧力は内腔の入口から長さおよび直径の関数として減少するので、滅菌剤が内腔全体を通過し、内腔のすべての表面に到達することを確実にするために、圧力低下を克服しなければならない。さらに、内腔は破片を集めるか、またはリンス水のような流体によってブロックされ得る。
【0005】
しばしば、蒸気ベースの滅菌ルーチンは、生物学的インジケータまたは化学的インジケータのような滅菌インジケータを組み込み、これは滅菌サイクルの有効性の指標を提供し得る。このようなインジケータは、滅菌チャンバ内で内視鏡の近くに位置付けられ得るが、滅菌するのが最も困難な内視鏡の部分が典型的には内視鏡の内腔の奥深くにあるため、内視鏡の無菌性を評価するには信頼できない場合がある。
【0006】
〔開示の概要〕
本明細書には、バイアル、バイアル内に配置されたキャリア、および流体管理システムを含む、滅菌システムが開示される。流体管理システムは、バイアルに液体を送達するためにバイアルに接続可能な出力を含む。そのような液体には、少なくとも、液体化学滅菌剤(例えば、過酢酸)および中和剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)が含まれる。したがって、流体管理システムは、液体化学滅菌剤の供給源と、中和剤の供給源と、を含むことができる。滅菌システムは、流体管理システムの出力に接続された針を有する第1のセグメントと、バイアルを収容するキャビティを有する第2のセグメントと、を含む器具をさらに含み得る。第1のセグメントおよび第2のセグメントは、ヒンジによって接続され得、ヒンジを中心として第1のセグメントが回転すると、針がバイアルを貫通する。バイアルは、やはり針によって貫通され得るカバーを含むことができる。内腔を有する医療装置(例えば、内視鏡)を、針と出力との間に接続することができる。
【0007】
バイアル内のキャリアは、例えば、その上またはその中に配置された胞子または微生物を含む。例えば、キャリアは、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス胞子を含み得る。滅菌システムは、胞子または微生物の成長を促進するために使用され得る増殖培地(例えば、α-MUG)を含み得る。したがって、流体管理システムは、液体増殖培地の供給源を含むことができる。代替的または追加的に、増殖培地は、第2のバイアル内に提供され、第2のキャビティ内に配置されてもよい。
【0008】
滅菌システムは、滅菌システムにおいて滅菌サイクルを受けたか、または受けている医療装置の無菌性(またはその欠如)を判定するために使用され得る。この方法は、微生物のキャリアを収容するバイアルを器具のキャビティに挿入するステップと、針をバイアル内に貫通させるステップと、液体化学滅菌剤を、針を通してバイアル内に導入するステップと、を含み得る。さらに、内視鏡のような医療装置の内腔を滅菌剤の供給源と針との間に接続することができ、滅菌剤は、バイアルに導入される前に内腔を通って流れる。次いで、バイアルは、液体化学滅菌剤がその中に配置されている間、約30℃~約50℃、例えば35℃でインキュベートされ得る。インキュベーション後、液体化学滅菌剤は、針を通してバイアルから引き出され得る。
【0009】
次に、中和剤が、針を通してバイアル内に導入され、次いで針を通してバイアルから引き出され得る。次いで、増殖培地は、流体管理システムの増殖培地の供給源から、または器具の第2のキャビティ内に配置された第2のバイアルから、針を通してバイアル内に導入され得る。次いで、バイアル、すなわち、キャリアおよび増殖培地を中に配置したバイアルを、約50℃~約60℃、例えば57℃でインキュベートすることができる。
【0010】
バイアルがインキュベートされている間、増殖培地の視覚的特徴が、視覚的特徴に対する変化を判定するためにモニターされ得る。視覚的特徴は、蛍光強度を含み得る。
【0011】
滅菌サイクルの任意のステップで、好ましくは第1のステップまたは最終ステップで、システムは、その流体構成要素、例えばチューブ、弁およびポンプのうちの少なくともいくつかを、これらの構成要素を通して液体化学滅菌剤を流すことにより、滅菌することができる。
【0012】
本明細書は、本明細書に記載された主題を特に指摘して明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられるが、その主題は、特定の実施例の以下の説明を、添付図面と併せ読むことによって、よりよく理解されると考えられ、添付図面では、同様の参照符号は同じ要素を特定している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】滅菌効力の評価を助けるために液体化学滅菌システムと共に使用される開放構成にある器具の概略図を描く。
図2】閉鎖構成にある図1の器具の概略図を描く。
図3図1および図2の器具ならびに液体化学滅菌システムと共に使用される流体管理システムのブロック図を描く。
【0014】
〔発明を実施するための形態〕
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同一の番号が付されている図面を参照して読むべきである。必ずしも縮尺どおりではない図面は、選択された実施形態を描いており、本発明の範囲を限定することを意図しない。詳細な説明は、限定としてではなく、例として、本発明の原理を示している。この説明は、当業者が本発明を製造および使用することを明らかに可能にし、本発明を実施するための最良の形態であると現在考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適応形、変形例、代替物および使用を説明する。
【0015】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、部品または構成要素の集合が、本明細書に記載されるような、その意図された目的のために機能することを可能にする、適切な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。さらに、本明細書で使用される場合、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、および「対象」は、任意のヒトまたは動物の対象を指し、システムまたは方法をヒト使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用が、好ましい実施形態に相当する。
【0016】
液体化学滅菌剤、例えば過酸化水素または過酢酸を使用する、内視鏡のための自動滅菌設備およびルーチンが、蒸気化学滅菌剤を使用する内視鏡の滅菌に関連する特定の欠点を克服するために開発されている。しかしながら、蒸気ベースのプロセスと同様に、内視鏡が滅菌されたかどうかを評価するための信頼性の高い技術の開発は、依然として課題である。さらに、蒸気ベースのプロセスで使用される生物学的インジケータは、液体ベースのプロセスでの使用には適していない。というのは、このようなインジケータは、ガス状滅菌剤を除去するように設計されているが、液体滅菌剤は除去しないからである。さらに、そのようなインジケータは、典型的には、増殖培地を収容するアンプルを破壊することをユーザーに要求する。したがって、液体化学滅菌剤が使用される場合、残留液体滅菌剤によるユーザーへの火傷の危険性が残る。したがって、ユーザーの介入を必要としない液体化学滅菌剤と共に使用するための生物学的インジケータを操作することができるシステムを提供することが有利であろう。しかしながら、このようなシステムは、汚染物質が中に蓄積するのを避けるために滅菌されるように設計されるべきである。本明細書で提案されるのは、これらの設計要件にさらに取り組む、液体化学滅菌剤を使用する滅菌ルーチンによって内視鏡が滅菌されたかどうかを決定するために使用され得る、装置および方法である。
【0017】
図1および図2は、液体化学滅菌システムと共に使用され得るか、またはその一部を形成し得る器具100を表す。器具100は、システムによる滅菌ルーチンを受ける医療装置、特に内視鏡の評価を支援することができる。図1は、開放され未使用の構成にある器具100を表し、図2は、閉鎖構成にある器具100を示す。器具100は、ヒンジ106、例えばライブヒンジによって第2のセグメント104に接合された第1のセグメント102を含む。第1のキャビティ108および第2のキャビティ110が、第2のセグメント104内に形成され得る。毛細管または中空針、例えば第1の針116および第2の針118を保持するのに適した管状通路が、第1のセグメント102内に形成され得る。さらに、加熱コイル136および138などの加熱要素が、第2のセグメント104内に配置され得る。加熱コイル136および138は、好ましくは、キャビティ108内に配置された液体を加熱するために使用され得るように、キャビティ108に隣接して配置される。加熱コイル136および138は、電気を通すための接点を底部に含むことができる。図示されていないが、器具100は、液体の視覚的特徴に対する変化、例えば、第1のキャビティ108内の液体の色変化または蛍光強度変化を評価することができる光源および光検出器などの構成要素をさらに含み得る。代替的に、そのような構成要素は、キャビティ108が滅菌システム内で配置され得る場所に隣接して位置し得る。
【0018】
第1のキャビティ108および第2のキャビティ110は液体を保持するのに適している。代替的または追加的に、それらは、その中に配置されたバイアルの位置を維持するのに適している。例えば、図1に示すように、第1のバイアル112を第1のキャビティ108内に配置することができ、第2のバイアル114を第2のキャビティ110内に配置することができる。液体がキャビティのうちの一方または両方に直接、すなわちバイアルなしで配置される実施形態では、そのキャビティは、流体にアクセスするために破られ得るカバーで密封され得る。例えば、箔、例えばアルミニウムの層を使用して、キャビティ108、キャビティ110、またはその両方を覆うことができる。箔の層は、例えば、針116、118、またはその両方によって、破られても、穿孔されてもよい。第1のバイアル112、第2のバイアル114、またはその両方を組み込んだ実施形態では、バイアルは、バイアルを密封するために個々に覆われ得る。図1および図2に示すように、第1のバイアル112はカバー120を含み、第2のバイアル114はカバー122を含む。したがって、バイアル112および114は、滅菌ルーチンを開始する前にキャビティ108および110内に配置され、滅菌ルーチンの後にそこから除去され得る滅菌済消耗品として提供され得る。
【0019】
バイアル112および114は、生物学的インジケータの特徴をさらに含み得る。具体的には、微生物、例えば、胞子、もしくは活性酵素の供給源を収容するか、またはそれらを含浸させたディスクまたはキャリア132である。キャリア132は、第1のバイアル112内に配置することができる。バチルス、ゲオバチルス、およびクロストリジウム種由来の胞子が、化学滅菌剤を用いた滅菌プロセスをモニターするためにしばしば使用される。したがって、キャリア132は、バチルス、ゲオバチルスおよび/またはクロストリジウム種由来の胞子を含浸させることができる。例えば、滅菌プロセス抵抗性胞子は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス胞子、バチルス・ズブチリス胞子、バチルス・アトロフェウス(Bacillus atrophaeus)胞子、バチルス・メガテリウム胞子、バチルス・コアグランス胞子、クロストリジウム・スポロゲネス胞子、バチルス・プミルス胞子、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得るが、これらに限定されない。
【0020】
キャリア132は吸水性であってよく、濾紙から形成され得る。布、不織ポリプロピレン、レーヨンまたはナイロンのようなシート状材料、および微孔性ポリマー材料も使用することができる。金属(例えば、アルミニウムもしくはステンレス鋼)、ガラス(例えば、ガラスビーズもしくはガラス繊維)、磁器、またはプラスチックなどの非吸水性材料も使用に適している。さらに、キャリア110は、上述の材料の組み合わせで構成することができる。いくつかの実施形態では、キャリア110は、約0.1~0.5mmの厚さを有することができる。
【0021】
さらに、増殖培地134を第2のバイアル114内に配置することができる。増殖培地は、キャリア132上に配置された任意の生存能力のある微生物または他の生物学的活性源の増殖を促進することができなければならない。好ましくは、微生物は、増殖培地の酵素基質と相互作用して、例えば増殖培地に色変化または蛍光強度変化を引き起こすことによって、増殖培地の視覚的特徴の変化を作り出す、酵素を生成するように選択される。増殖培地中で微生物が増殖を続けると、増殖培地中の検出可能な生成物の濃度が増加する。特定の実施形態では、検出可能な生成物は、フルオロフォアである。したがって、検出可能な生成物の濃度の増加は、蛍光の増加を引き起こす。すなわち、検出可能な生成物は、蛍光強度の変化を介して検出可能である。
【0022】
滅菌サイクルの効力を検出するために使用され得る酵素および酵素基質は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1991年12月17日に発行された「Rapid Method for Determining Efficacy of a Sterilization Cycle and Rapid Read-Out Biological Indicator」と題された米国特許第5,073,488号;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1995年5月23日に発行された「Rapid Read-Out Biological Indicator」と題された米国特許第5,418,167号;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1993年6月29日に発行された「Rapid Read-Out Sterility Indicator」と題された米国特許第5,223,401号;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月26日に発行された「Biological Sterilization Indicator」と題された米国特許第9,322,046号において特定されている。
【0023】
適切な酵素には、加水分解酵素および/またはバチルス・ズブチリスなどの胞子形成微生物に由来する酵素が含まれ得る。例示的な生物学的インジケータにおいて有用であり得る胞子形成微生物由来の酵素は、β-D-グルコシダーゼ、α-D-グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ブチレートエステラーゼ、カプリレートエステラーゼリパーゼ、ミリステートリパーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、バリンアミノペプチダーゼ、キモトリプシン、ホスホヒドロラーゼ、α-D-ガラクトシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、チロシンアミノペプチダーゼ、フェニルアラニンアミノペプチダーゼ、β-D-グルクロニダーゼ、α-L-アラビノフラノシダーゼ、N-アセチル-β-グルコサミノダーゼ、β-D-セロビオシダーゼ、アラニンアミノペプチダーゼ、プロリンアミノペプチダーゼ、脂肪酸エステラーゼ、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0024】
本明細書に開示されるような滅菌サイクルの効力を決定するためのいくつかの例示的な方法において、酵素基質は、検出可能な生成物に変換される。例えば、酵素基質は、第1の発光スペクトル(例えば、第1の蛍光発光スペクトル)によって特徴付けられ得、検出可能な生成物は、第2の発光スペクトル(例えば、第2の蛍光発光スペクトル)によって特徴付けられ得る。
【0025】
本明細書に開示されるような滅菌サイクルの効力を決定するためのいくつかの例示的な方法において、使用の適切な酵素基質は、蛍光発生酵素基質を含み得る。有用な蛍光発生酵素基質は、蛍光発生4-メチルウンベリフェリル誘導体(4-メチルウンベリフェロン(「4-Mu」)に加水分解可能)、7-アミド-4-メチル-クマリンの誘導体、ジアセチルフルオレセイン誘導体、フルオレスカミンおよびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0026】
例示的な4-メチルウンベリフェリル誘導体は、4-メチルウンベリフェリル-2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド、4-メチルウンベリフェリルアセタート、4-メチルウンベリフェリル-N-アセチル-β-D-ガラクトサミニド、4-メチルウンベリフェリル-N-アセチル-α-D-グルコサミニド、4-メチルウンベリフェリル-N-アセチル-β-D-グルコサミニド、2’-(4-メチルウンベリフェリル)-α-D-N-アセチルノイラミン酸、4-メチルウンベリフェリルα-L-アラビノフラノシド、4-メチルウンベリフェリルα-L-アラビノシド、4-メチルウンベリフェリルブチレート、4-メチルウンベリフェリル13-D-セロビオシド、メチルウンベリフェリルβ-D-N、N’ジアセチルキトビオシド、4-メチルウンベリフェリルエライデート、4-メチルウンベリフェリルβ-D-フコシド、4-メチルウンベリフェリルα-L-フコシド、4-メチルウンベリフェリルβ-L-フコシド、4-メチルウンベリフェリルα-D-ガラクトシド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトシド、4-メチルウンベリフェリルα-D-グルコシド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-グルコシド、4-メチルウンベリフェリル(3-D-グルクロニド、4-メチルウンベリフェリルp-グアニジノベンゾアート、4-メチルウンベリフェリルヘプタノアート、4-メチルウンベリフェリルα-D-マンノピラノシド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-マンノピラノシド、4-メチルウンベリフェリルオレアート、4-メチルウンベリフェリルパルミテート、4-メチルウンベリフェリルホスフェート、4-メチルウンベリフェリルプロピオネート、4-メチルウンベリフェリルステアレート、4-メチルウンベリフェリルサルフェート、4-メチルウンベリフェリルβ-D-N,N’、N’’-トリアセチルキトトリオース、4-メチルウンベリフェリル2,3,5-トリ-o-ベンゾイル-α-L-アラビノフラノシド、4-メチルウンベリフェリル-p-トリメチルアンモニウムシンナメートクロリド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-キシロシドおよびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0027】
特定の実施形態では、蛍光応答は、酵素を含み、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスの発芽において重要であると考えられる、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス胞子殻に見出される、天然に存在するα-グルコシダーゼ酵素に基づくことができる。α-グルコシダーゼを用いて、4-メチルウンベリフェリルα-D-グルコピラノシド(α-MUG)の4-メチルウンベリフェリル部分とグルコースとの間の結合を加水分解することができる。α-MUGは蛍光性ではない。しかしながら、部分の加水分解および分離の後、4-メチルウンベリフェロン(4-MU)生成物は蛍光性である。4-MUは、約360nm~370nmの波長を有する光を放出する光源などの外部エネルギー源によって励起されると蛍光を発する。このように励起された4-MUは、約440nm~460nmの波長を有する光を放出する。特定の実施形態では、光源は、約365nmの波長を有する光を放出し、4-MUは、450nmの波長を有する光を放出する。4-MUの蛍光はpH依存性である。例えば、365nmの波長の光により励起した場合、放出された光の強度はpH10.3で最も高くなる。この強度は、およそpH7までpHと共に減少する。このpHを下回ると、強度は無視できる程度になる。
【0028】
前記に基づいて、キャリア132および増殖培地134はバイアル112内で組み合わせられるので、バイアル112は生物学的インジケータと考えられ得る。
【0029】
針116および118は、キャビティ108および110とそれぞれ整列され、その結果、器具100を図1の開放構成から図2の閉鎖構成に移行させると、針116および118は、カバー120および122を穿刺して、それぞれバイアル112および114に入り込み、液体をバイアル112および114に導入するか、またはバイアル112および114から除去することができる。針116および118は、閉鎖構成において、対応するバイアルの底部と接触するか、またはほぼ接触して、そこから液体の全てまたは実質的に全てを除去することができるように、十分な長さであるべきである。キャリア132がバイアル112の底部に配置されると、針116はその表面に接触するか、またはほぼ接触することができる。
【0030】
器具100、すなわち、少なくとも第1のセグメント102、第2のセグメント104、およびヒンジ106は、任意の適切な製造方法、例えば、射出成形、機械加工、または3D印刷によって製造することができる。いくつかの特徴、例えば、針116および118、ならびに加熱コイル136および138が別個のプロセスによって製造される実施形態では、それらは、例えば、圧入によって、またはエポキシなどの接着剤を使用して、組み立てられ、器具内に固定され得る。
【0031】
チューブが、キャビティまたはバイアルからの流体の移送を可能にするために、針116および118に接続され得る。例えば、第1のチューブ124を針116に接続することができ、第2のチューブ126を針118に接続することができる。チューブ124および126はそれぞれ、多方向弁130を介して第3のチューブ128に接続され得る。チューブ128は、液体滅菌システムの流体管理システム200に接続することができ、システムは、種々の液体をバイアル112および114に導入し、かつバイアル112および114から除去することができる。
【0032】
液体滅菌システムの流体管理システム200を図3にブロック形式で示す。システム200は、液体の様々な供給源、例えば、液体化学滅菌剤、例えば過酢酸または過酸化水素、の供給源250、ならびに、滅菌剤を中和するために使用され得る、液体還元剤または中和剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムもしくは重亜硫酸ナトリウム、の供給源252、を含む。オプションとして、増殖培地の供給源254をさらに提供してもよい。増殖培地の供給源254を含む実施形態では、システム200は、キャビティ110、バイアル114、および増殖培地134を欠く器具100と共に使用され得る。システム200は、排水路256をさらに含んでもよい。
【0033】
様々なチューブおよび弁が、チューブ124および128(および、供給源254が使用されない場合は126)を介して、供給源250および252(および、使用される場合は254)ならびに排水路256を、器具100に接続する。いくつかの実施形態において、内視鏡10は、供給源250、252または254のいずれか1つからの液体がバイアル112に入る前にまず内視鏡の内腔を通って流れるように、システム200とチューブ128との間に配置され得る。しかしながら、典型的には、供給源250からの滅菌剤のみが内視鏡10を通って流れ、これは、バイアル112を用いて生じる無菌性の評価を助けることができ、内腔を含む内視鏡の、より正確な指標を提供するはずである。
【0034】
図3に示されるように、システム200は、チューブ260、262、264、266、268、269、270、272、274、278、280、281および283を含む。チューブ280、弁289、または弁289とチューブ128との間の接合部のいずれかは、システム200からの出力と考えられ得、したがって、本明細書では出力と呼ぶことができる。システム200は、三方向弁であってもよい弁282、284、286、288および289も含む。システム200はまた、ポンプ290および292を含む。したがって、供給源250からの滅菌剤は、ポンプ292によって、供給源250からバイアル112へと、チューブ260、弁282、チューブ269、弁284、チューブ270、弁286、チューブ272、弁288、チューブ278、チューブ280を介して進められ、次いで、弁289を介してシステム200からチューブ128、チューブ124、および針116へと出力され得る。オプションとして、滅菌剤の一部が弁289を介してシステム200から出力される前に、滅菌剤は、チューブ281、医療装置(例えば、内視鏡10)の内腔、チューブ283、チューブ278、チューブ280、および弁289を含む再循環ラインを通って流れてもよい。供給源252からの中和剤は、ポンプ292によって、供給源252からバイアル112まで、チューブ262、弁282、チューブ269、弁284、チューブ270、弁286、チューブ272、弁288、チューブ278、チューブ280を介して進められ、次いで、弁289を介してシステム200からチューブ128、チューブ124、および針116へと出力され得る。
【0035】
増殖培地は、バイアル114から、または供給源254から、バイアル112に供給され得る。図2を参照すると、増殖培地134がバイアル114からバイアル112に供給される場合、弁130は、チューブ128および126が流体連通するが、チューブ124とは流体連通しないように配向される。増殖培地134は、増殖培地134がチューブ128内に収容されるまで、ポンプ290から発生する圧力下でバイアル114から除去され得る。次に、弁130の向きは、チューブ128および124が流体連通するが、チューブ126とは流体連通しないように変更される。次いで、増殖培地134は、ポンプ292によって生成された圧力下で、チューブ128からバイアル112内に前進され得る。増殖培地が供給源254から供給される場合、それは、ポンプ292によって供給源254からバイアル112へと、チューブ264、弁284、チューブ270、弁286、チューブ272、弁288、チューブ278、チューブ280を介して進められ、次いで、弁289を介してシステム200から、チューブ128、チューブ124、および針116へと出力され得る。
【0036】
システムの排水またはフラッシングは、液体がチューブ266および268を介して排水路256に流れ込み得るように、弁を開いてポンプ290を動作させることによって達成することができる。排水は、システム200のプライミング、システム200の滅菌、または再利用のためのシステム200の準備に役立ち得る。
【0037】
滅菌システムは、プロセッサ、非一時的記憶媒体、およびユーザーインターフェースをさらに含み得る。非一時的記憶媒体は、流体が上述のように供給源250、252、254(含まれている場合)からバイアル112、114(含まれている場合)へと移送され得るように、様々なポンプを起動し、様々な弁を方向付けるようにプロセッサに命令することができるコンピュータ実行可能命令またはソフトウェアを含むことができる。プロセッサはまた、増殖培地の色または蛍光に対して何らかの変化があったかどうかを決定し、それに基づいて、滅菌サイクルを中止するか、またはユーザーインターフェースを介してユーザーにフィードバックを提供することができるように、光検出器からの入力を受け取ることができる。
【0038】
本明細書に図示および記載した実施形態により、出願人は、自動液体化学滅菌システムによって実施される滅菌ルーチンの効力を評価するための方法およびその変形例を考案した。本方法および変形例は、以下のステップを含むことができる。第一に、微生物のキャリア(例えば、132)を含むバイアル(例えば、112)を提供することができる。バイアルは、それを収容するキャビティ内に配置され得、その中に挿入され得るチューブまたは針(例えば、116、280)に対してそれを位置決めし得、これは、バイアルの頂部を密封するバリア(例えば、120)を貫通するステップを含み得る。さらに、バリアを貫通するステップは、器具(例えば、100)を閉じて器具の構成を開放構成(例えば、図1)から閉鎖構成(例えば、図2)に変更することを含み、これにより針がバリアを貫通してバイアル内に配置される。器具100は、滅菌システムの滅菌チャンバ内に配置することができ、それにより、器具およびバイアル112の外側は、医療装置、例えば内視鏡と並んで滅菌ルーチンに供され得る。
【0039】
チューブまたは針がバイアル内に位置付けられた後、液体輸送の様々なステップが開始され得る。第一に、バイアルを満たすのに十分な量の液体化学滅菌剤、例えば過酢酸または過酸化水素が、液体化学滅菌剤の供給源、例えば供給源250からバイアル内に導入される。特定の変形例では、液体化学滅菌剤は、バイアル112に到達する前に内視鏡の少なくとも1つの内腔を通って流れることができる。次いで、バイアルおよび滅菌剤を、例えば加熱要素136および138を介して、約30℃~約60℃に加熱することができ、これは、滅菌剤と微生物との間の不活化速度を増加させることによって、滅菌剤がBI内の微生物を殺すのを支援する。過酢酸を用いると、不活性化速度は約35℃で最大になることができる。その後、液体化学滅菌剤をバイアルから取り出し、システムから排出することができる。第二に、バイアルを満たすのに十分な量の中和剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸ナトリウムが、中和剤の供給源、例えば供給源252からバイアルに導入される。次いで、その量の中和剤をバイアルから取り出し、システムから排出することができる。好ましい変形例では、過酢酸および中和剤は、それらが内視鏡と接触しているのとほぼ同じ時間バイアル内に留まる。第三に、増殖培地をバイアルに導入することができる。そのための2つの技術については、上記で詳しく説明した。
【0040】
バイアル内に増殖培地がある状態で、滅菌サイクルの効力の評価を開始してもよい。第一に、加熱要素(例えば、136および138)を起動してバイアルをインキュベートし、滅菌剤の除去後に生存することができた任意の胞子の成長を刺激することができる。例えば、インキュベーションは、バイアルの温度を約50℃~約60℃、例えば57℃に、約30分間維持することができる。器具100が光源および検出器を含む実施形態では、滅菌システムは、バイアル内の増殖培地の視覚的特徴に対する変化を30分間全体またはその一部にわたって評価して、いずれかの胞子が生存することができたかどうかを判定し、それに基づいて、滅菌サイクルが有効であったかどうかを判定することができる。器具100が加熱要素、光源および検出器、またはそれらの組み合わせを含まない実施形態では、バイアルは、器具100および滅菌システムから取り出され、出願人によって製造された市販のSTERRAD VELOCITY(商標)システムのリーダーなどの生物学的インジケータ評価装置のウェル内に配置され得る。次いで、STERRAD VELOCITY(商標)リーダー、ASP部品番号43220は、バイアルをインキュベートし、任意の色または蛍光変化の発生についてその中の増殖培地を評価し、滅菌サイクルが有効であったかどうかを決定する。
【0041】
この方法のさらなる変形例では、システム200は、液体化学滅菌剤をその構成要素の全てを通して流して、それ自体を滅菌することができる。加えて、システム200は、その構成要素を液体のうちの1つで満たし、システムをその液体でプライミングしてから、ある量のその液体をバイアルに導入するステップを開始することができる。
【0042】
〔実施の態様〕
(1) 滅菌システムであって、
バイアルと、
前記バイアル内に配置されたキャリアと、
前記バイアルに液体を送達するために前記バイアルに接続可能な出力を有する流体管理システムであって、前記流体管理システムは、
液体化学滅菌剤の供給源、および、
中和剤の供給源、
を含む、流体管理システムと、
を含む、滅菌システム。
(2) 器具をさらに含み、前記器具は、
前記出力に接続された針を含む第1のセグメントと、
前記バイアルを収容するキャビティを含む第2のセグメントと、
ヒンジであって、前記ヒンジを中心として前記第1のセグメントが回転すると、前記針が前記バイアルを貫通するように、前記第1のセグメントを前記第2のセグメントに接続する、ヒンジと、
を含む、実施態様1に記載の滅菌システム。
(3) 前記針と前記出力との間に接続された内腔を有する医療装置をさらに含む、実施態様2に記載の滅菌システム。
(4) 前記医療装置は、内視鏡を含む、実施態様3に記載の滅菌システム。
(5) 増殖培地を収容する第2のバイアルを収容する第2のキャビティをさらに含む、実施態様2に記載の滅菌システム。
【0043】
(6) 前記流体管理システムは、増殖培地の供給源をさらに含む、実施態様2に記載の滅菌システム。
(7) 前記器具は、前記キャビティに隣接して配置された加熱要素をさらに含む、実施態様6に記載の滅菌システム。
(8) 前記液体化学滅菌剤は、過酢酸を含む、実施態様6に記載の滅菌システム。
(9) 前記増殖培地は、α-MUGを含む、実施態様8に記載の滅菌システム。
(10) 前記キャリアは、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス胞子を含む、実施態様9に記載の滅菌システム。
【0044】
(11) 前記バイアルは、カバーを含む、実施態様1に記載の滅菌システム。
(12) キャビティおよび針を有する器具を含む滅菌システムによって滅菌された医療装置の無菌性を判定する方法であって、
微生物のキャリアを収容するバイアルを前記キャビティに挿入するステップと、
前記針を前記バイアル内に貫通させるステップと、
液体化学滅菌剤を、前記針を通して前記バイアル内に導入するステップと、
前記液体化学滅菌剤が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記液体化学滅菌剤を引き出すステップと、
前記針を通して前記バイアルに中和剤を導入するステップと、
前記針を通して前記バイアルから前記中和剤を引き出すステップと、
前記針を通して前記バイアル内に増殖培地を導入するステップと、
前記増殖培地が中に配置された前記バイアルをインキュベートするステップと、
を含む、方法。
(13) 前記増殖培地の視覚的特徴をモニターするステップをさらに含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記視覚的特徴の変化を判定するステップをさらに含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記視覚的特徴は、蛍光強度を含む、実施態様13に記載の方法。
【0045】
(16) ある量の前記液体化学滅菌剤を前記医療装置の内腔に通してから、前記量の前記滅菌剤を前記バイアル内に導入するステップをさらに含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記増殖培地が中に入った前記バイアルをインキュベートするステップは、前記バイアルを約50℃~約60℃の温度に加熱するステップを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記増殖培地が中に入った前記バイアルをインキュベートするステップは、前記バイアルを約57℃に加熱するステップを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記液体化学滅菌剤が中に入った前記バイアルをインキュベートするステップは、前記バイアルを約30℃~約50℃の温度に加熱するステップを含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記液体化学滅菌剤が中に入った前記バイアルをインキュベートするステップは、前記バイアルを約35℃に加熱するステップを含む、実施態様19に記載の方法。
【0046】
(21) 前記滅菌システムは、複数の流体供給源、チューブ、弁、およびポンプを含み、前記方法は、前記流体供給源、前記チューブ、前記弁、および前記ポンプのうちの少なくともいくつかを、前記液体化学滅菌剤で滅菌するステップをさらに含む、実施態様19に記載の方法。
(22) 前記液体化学滅菌剤は、過酢酸を含む、実施態様20に記載の方法。
(23) 前記医療装置は、内視鏡を含む、実施態様16に記載の方法。
図1
図2
図3
【外国語明細書】