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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000758
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/50 20230101AFI20231226BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20231226BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20231226BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231226BHJP
   H10B 41/50 20230101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L27/11575
H01L27/11556
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/11548
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099646
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 靖
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA35
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA53
5F083JA56
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR05
5F083PR25
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH11
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】好適に製造可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1領域(RMH)及び第2領域(RHU)を備える基板と、積層方向(Z)に積層された複数の導電層(110)と、第1領域に設けられ複数の導電層と対向する半導体層(120)と、第2領域に設けられ複数の導電層に接続された複数のビアコンタクト電極(CC)と、第2領域に設けられ複数の導電層の少なくとも一部に囲まれた外周面を備える複数の絶縁部材(HR)と、を備える。第1絶縁部材(HR1)は、積層方向から見て第1ビアコンタクト電極と重なる。第2絶縁部材(HR2)は、積層方向から見て複数のビアコンタクト電極と重ならない。第1ビアコンタクト電極の積層方向の一方側の面は、第1導電層及び第1絶縁部材と接触する。積層方向から見て、複数の導電層の少なくとも一部の、第2絶縁部材を囲む面の内側には、導電部材及び半導体部材が設けられていない。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ第1領域及び第2領域を備える基板と、
前記基板の表面と交差する積層方向に積層され、前記第1領域及び前記第2領域にわたって前記第1方向に延伸する複数の導電層と、
前記第1領域に設けられ、前記積層方向に延伸し、前記複数の導電層と対向する半導体層と、
前記複数の導電層と前記半導体層との間に設けられた電荷蓄積膜と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向から見て前記複数の導電層の外縁の一部を介して前記第1方向に並ぶ前記複数の導電層の複数のテラス部に接続された複数のビアコンタクト電極と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向から見て、前記複数の導電層の少なくとも一部に囲まれた外周面を備える複数の絶縁部材と
を備え、
前記複数の絶縁部材は、
前記積層方向から見て、前記複数のビアコンタクト電極のうちの一つである第1ビアコンタクト電極と重なる第1絶縁部材と、
前記積層方向から見て、前記複数のビアコンタクト電極のいずれとも重ならない第2絶縁部材と
を含み、
前記第1ビアコンタクト電極の前記積層方向の一方側の面は、前記複数の導電層のうちの一つである第1導電層との接触面と、前記第1絶縁部材との接触面と、を備え、
前記積層方向から見て、前記複数の導電層の少なくとも一部の、前記第2絶縁部材を囲む面の内側には、導電部材及び半導体部材が設けられていない
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1ビアコンタクト電極の前記積層方向の前記一方側の面の、前記第1方向の長さを第1の長さとし、
前記第1絶縁部材の外周面を囲む前記複数の導電層のうち、前記第1ビアコンタクト電極に最も近いものに対応する前記積層方向の位置において、前記第1絶縁部材の前記第1方向の長さを第2の長さとすると、
前記第1の長さは、前記第2の長さよりも大きい
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の絶縁部材は、前記積層方向から見て、前記第1ビアコンタクト電極と重なる第3絶縁部材を更に含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1方向に並ぶ第1領域及び第2領域を備える基板と、
前記基板の表面と交差する積層方向に積層され、前記第1領域及び前記第2領域にわたって前記第1方向に延伸する複数の導電層と、
前記第1領域に設けられ、前記積層方向に延伸し、前記複数の導電層と対向する半導体層と、
前記複数の導電層と前記半導体層との間に設けられた電荷蓄積膜と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向から見て前記複数の導電層の外縁の一部を介して前記第1方向に並ぶ前記複数の導電層の複数のテラス部に接続された複数のビアコンタクト電極と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向から見て、前記複数の導電層の少なくとも一部に囲まれた外周面を備える複数の絶縁部材と
を備え、
前記複数の絶縁部材の少なくとも2つは、前記積層方向から見て、前記複数のビアコンタクト電極のうちの一つである第1ビアコンタクト電極と重なる
半導体記憶装置。
【請求項5】
第1方向に並ぶ第1領域及び第2領域を備える基板と、
前記基板の表面と交差する積層方向に積層され、前記第1領域及び前記第2領域にわたって前記第1方向に延伸する複数の導電層と、
前記第1領域に設けられ、前記積層方向に延伸し、前記複数の導電層と対向する半導体層と、
前記複数の導電層と前記半導体層との間に設けられた電荷蓄積膜と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向から見て前記複数の導電層の外縁の一部を介して前記第1方向に並ぶ前記複数の導電層の複数のテラス部に接続された複数のビアコンタクト電極と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向から見て、前記複数の導電層の少なくとも一部に囲まれた外周面を備える複数の絶縁部材と
を備え、
前記複数の絶縁部材は、前記積層方向から見て、前記複数のビアコンタクト電極のうちの一つである第1ビアコンタクト電極と重なる第1絶縁部材を含み、
前記積層方向と垂直であり、前記第1ビアコンタクト電極を含む断面における前記第1ビアコンタクト電極の中心位置を第1中心位置とし、
前記積層方向と垂直であり、前記第1絶縁部材、及び、前記複数の導電層のうちの前記第1絶縁部材の外周面を囲む一つを含む断面における前記第1絶縁部材の中心位置を第2中心位置とすると、
前記積層方向から見て、前記第1中心位置は、前記第2中心位置と重ならない
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、この基板の表面と交差する積層方向に積層された複数の導電層と、これら複数の導電層に対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁膜は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の絶縁性の電荷蓄積膜やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積膜等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0197874号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0358590号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0051989号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0301687号明細書
【特許文献5】特開2021-141276号公報
【特許文献6】特開2021-150408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に製造可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ第1領域及び第2領域を備える基板と、基板の表面と交差する積層方向に積層され、第1領域及び第2領域にわたって第1方向に延伸する複数の導電層と、第1領域に設けられ、積層方向に延伸し、複数の導電層と対向する半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に設けられた電荷蓄積膜と、第2領域に設けられ、積層方向から見て複数の導電層の外縁の一部を介して第1方向に並ぶ複数の導電層の複数のテラス部に接続された複数のビアコンタクト電極と、第2領域に設けられ、積層方向から見て、複数の導電層の少なくとも一部に囲まれた外周面を備える複数の絶縁部材と、を備える。複数の絶縁部材は、積層方向から見て、複数のビアコンタクト電極のうちの一つである第1ビアコンタクト電極と重なる第1絶縁部材と、積層方向から見て、複数のビアコンタクト電極のいずれとも重ならない第2絶縁部材と、を含む。第1ビアコンタクト電極の積層方向の一方側の面は、複数の導電層のうちの一つである第1導電層との接触面と、第1絶縁部材との接触面と、を備える。積層方向から見て、複数の導電層の少なくとも一部の、第2絶縁部材を囲む面の内側には、導電部材及び半導体部材が設けられていない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図2】同半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図3図2に示す構造をA-A´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
図4図3のBで示した部分の模式的な拡大図である。
図5】同半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図6】同半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図7図5及び図6に示す構造をC-C´線及びD-D´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
図8】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図9】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図10】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図11】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図12】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図13】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図14】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図15】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図16】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図17】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図18】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図19】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図20】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図21】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図22】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図23】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図24】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図25】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図26】比較例に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
図27】第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な平面図である。
図28図27に示す構造をC-C´線及びD-D´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
図29】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図30】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図31】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図32】第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な平面図である。
図33図32に示す構造をC-C´線及びD-D´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
図34】同半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図35】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図36】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図37】他の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。
図38】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図39】同製造方法を示す模式的な断面図である。
図40】他の実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書においては、基板の表面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の表面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の表面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0011】
また、本明細書においては、基板の表面と交差する方向を積層方向と呼ぶ場合がある。また、積層方向と交差する所定の面に沿った方向を第1方向、この面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向と呼ぶことがある。積層方向は、Z方向と一致していても良いし、一致していなくても良い。また、第1方向及び第2方向は、X方向及びY方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0012】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0013】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な平面図である。図2は、同半導体記憶装置の模式的な平面図であり、図1の一部を拡大して示している。図3は、図2に示す構造をA-A´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。図4は、図3のBで示した部分の模式的な拡大図である。尚、図4は、YZ断面を示しているが、半導体層120の中心軸に沿ったYZ断面以外の断面(例えば、XZ断面)を観察した場合にも、図4と同様の構造が観察される。図5は、同半導体記憶装置の模式的な平面図であり、図1の一部を拡大して示している。尚、図5では、後述する絶縁層102等の一部の構成を省略している。図6は、同半導体記憶装置の模式的な平面図である。図6のX方向及びY方向の範囲は、図5のX方向及びY方向の範囲と対応している。図6には、所定の導電層110の高さ位置に対応するXY断面を示している。尚、図6では、図示の都合上、フックアップ領域RHUに設けられた高誘電率絶縁層111を図示しており、メモリホール領域RMHに設けられた高誘電率絶縁層111を省略している。図7は、図5及び図6に示す構造をC-C´線及びD-D´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
【0014】
図1に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向及びY方向に並ぶ4つのメモリセルアレイ領域RMCAが設けられる。また、メモリセルアレイ領域RMCAには、メモリホール領域RMHと、メモリホール領域RMHに対してX方向正側及びX方向負側の領域に設けられたフックアップ領域RHUと、が設けられている。また、半導体基板100のY方向の端部には、周辺回路領域RPCが設けられている。
【0015】
尚、図示の例では、フックアップ領域RHUがメモリセルアレイ領域RMCAのX方向の両端部に設けられている。しかしながら、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、フックアップ領域RHUは、メモリセルアレイ領域RMCAのX方向の両端部又は一端部に設けられていても良いし、メモリセルアレイ領域RMCAのX方向の中央部に設けられていても良い。
【0016】
メモリセルアレイ領域RMCAは、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKを備える。メモリブロックBLKは、例えば図2に示す様に、Y方向に並ぶ複数のストリングユニットSUを備える。Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、ブロック間構造STが設けられる。また、Y方向において隣り合う2つのストリングユニットSUの間には、酸化シリコン(SiO)等のストリングユニット間絶縁層SHEが設けられる。
【0017】
[メモリホール領域RMHの構造]
メモリブロックBLKは、例えば図3に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、これら複数の導電層110の下方に設けられた配線層112と、Z方向に延伸する複数の半導体層120と、複数の導電層110及び複数の半導体層120の間に設けられたゲート絶縁膜130と、を備える。
【0018】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の形状を備える。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層101が設けられている。また、最上層の導電層110の上面には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層102が設けられている。
【0019】
複数の導電層110は、NANDフラッシュメモリのワード線WL及びこれに接続された複数のメモリセル(メモリトランジスタ)のゲート電極として機能する。以下の説明では、この様な導電層110を、導電層110(WL)と呼ぶ場合がある。これら複数の導電層110(WL)は、それぞれ、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。Y方向に隣り合う2つのメモリブロックBLKに着目した場合、これら2つのメモリブロックBLK中の、Z方向に並ぶ複数の導電層110(WL)及びこれらの上下面に設けられた複数の絶縁層101は、ブロック間構造STを介してY方向に分断されている。
【0020】
複数の導電層110(WL)よりも下方に位置する一又は複数の導電層110は、NANDフラッシュメモリのソース側の選択ゲート線SGS及びこれに接続された複数の選択トランジスタのゲート電極として機能する。以下の説明では、この様な導電層110を、導電層110(SGS)と呼ぶ場合がある。Y方向に隣り合う2つのメモリブロックBLKに着目した場合、これら2つのメモリブロックBLK中の、一又は複数の導電層110(SGS)及びこれらの上下面に設けられた複数の絶縁層101は、ブロック間構造STを介してY方向に分断されている。
【0021】
複数の導電層110(WL)よりも上方に位置する一又は複数の導電層110は、それぞれ、NANDフラッシュメモリのドレイン側の選択ゲート線SGD及びこれに接続された複数の選択トランジスタのゲート電極として機能する。以下の説明では、この様な導電層110を、導電層110(SGD)と呼ぶ場合がある。
【0022】
図2に示す様に、これら複数の導電層110(SGD)のY方向の幅YSGDは、導電層110(WL)のY方向の幅YWLよりも小さい。
【0023】
複数の導電層110(SGD)は、それぞれ、ストリングユニットSU毎に電気的に独立している。各メモリブロックBLK中において、Y方向に隣り合う2つのストリングユニットSUに着目した場合、これら2つのストリングユニットSU中の、一又は複数の導電層110(SGD)は、ストリングユニット間絶縁層SHEを介してY方向に分断されている。Y方向に隣り合う2つのメモリブロックBLKの、一方に含まれる複数のストリングユニットSUのうち他方に最も近いもの、及び、他方に含まれる複数のストリングユニットSUのうち一方に最も近いものに着目した場合、これら2つのストリングユニットSU中の、一又は複数の導電層110(SGD)は、ブロック間構造STを介してY方向に分断されている。
【0024】
図4に示す様に、導電層110の上面、下面及び半導体層120との対向面には、高誘電率絶縁層111が設けられている。高誘電率絶縁層111は、例えば、アルミナ(Al)等の金属酸化物を含む。高誘電率絶縁層111は、例えば、酸化シリコン(SiO)よりも大きな誘電率を有する。また、高誘電率絶縁層111は、例えば、窒化シリコン(SiN)よりも大きな誘電率を有する。
【0025】
配線層112(図3)は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、配線層112の下面には、タングステン(W)等の金属、タングステンシリサイド等の導電部材又はその他の導電部材が設けられていても良い。配線層112は、NANDフラッシュメモリのソース線の一部として機能する。
【0026】
半導体層120は、図2に示す様に、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体層120は、NANDフラッシュメモリのメモリセル(メモリトランジスタ)及び選択トランジスタのチャネル領域として機能する。半導体層120は、略円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125が設けられている。また、半導体層120の外周面は、それぞれ、導電層110に設けられた貫通孔によって囲まれており、この様な貫通孔の内周面と対向している。
【0027】
半導体層120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等を含む。半導体層120の、導電層110(WL)と対向する領域はノンドープであっても良い。半導体層120の、導電層110(SGD)に対向する領域は、ノンドープであっても良いし、ホウ素(B)等のP型の不純物を含んでいても良い。半導体層120の、導電層110(SGS)に対向する領域の少なくとも一部は、ノンドープであっても良い。半導体層120の、導電層110(SGS)に対向する領域の一部は、リン(P)等のN型の不純物を含んでいても良い。
【0028】
半導体層120の上端部には、図3に示す様に、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域121が設けられている。この不純物領域121は、ビアコンタクト電極Ch,Vy(図2)を介してビット線BL(図2)に接続される。尚、図2に示す様に、一つのストリングユニットSUに対応する複数の半導体層120は、全て異なるビット線BLに接続されている。図2の例では、X方向に並ぶ複数の半導体層120を含む列が、一つのストリングユニットSUに対応して、Y方向に4つ並んでいる。これら4つの列に含まれる複数の半導体層120は、全て異なるビット線BLに接続されている。
【0029】
図3に示す様に、半導体層120の下端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域122が設けられている。この不純物領域122は、上記配線層112に接続されている。尚、一つのメモリセルアレイ領域RMCA図1)に対応する複数の半導体層120は、全て共通の配線層112に接続される。
【0030】
ゲート絶縁膜130は、半導体層120の外周面を覆う略円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、例えば図4に示す様に、半導体層120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の電荷を蓄積可能な膜を含む。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、例えば図3に示す様に、半導体層120と配線層112との接触部を除く半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0031】
尚、図4には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示している。しかしながら、ゲート絶縁膜130に含まれる電荷蓄積膜は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートでも良い。
【0032】
ストリングユニット間絶縁層SHEは、例えば図2及び図3に示す様に、X方向及びZ方向に延伸する。ストリングユニット間絶縁層SHEは、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。ストリングユニット間絶縁層SHEの下端は、最上層に位置する導電層110(WL)の下面よりも上方に位置する。また、ストリングユニット間絶縁層SHEの下端は、最下層に位置する導電層110(SGD)の下面よりも下方に位置する。また、ストリングユニット間絶縁層SHEの上端のZ方向の位置は、最上層に位置する導電層110(SGD)の上面よりも上方に位置する。
【0033】
ブロック間構造STは、例えば図2及び図3に示す様に、X方向及びZ方向に延伸する電極140と、電極140のY方向の両側面に設けられた酸化シリコン(SiO)等の絶縁層141と、を備える。電極140は、絶縁層141を介して、Z方向に並ぶ複数の導電層110及びこれらの間に設けられた複数の絶縁層101、並びに、絶縁層102からY方向に離間する。電極140及び絶縁層141の下端は、配線層112に接続されている。電極140は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含む導電部材であっても良い。また、電極140は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等の半導体部材であっても良い。電極140は、導電部材及び半導体部材の双方を含んでいても良い。電極140は、NANDフラッシュメモリのソース線の一部として機能する。
【0034】
ビアコンタクト電極Chは、例えば図2に示す様に、半導体層120に対応して、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。ビアコンタクト電極Chは、Z方向に延伸し、下端において半導体層120の不純物領域121に、上端においてビアコンタクト電極Vy(図2)に接続されている。
【0035】
ビット線BLは、図2に示す様に、Y方向に延伸し、X方向に並ぶ。ビット線BLのX方向におけるピッチは、X方向に並ぶ複数の半導体層120のX方向におけるピッチの1/4倍である。ビット線BLは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。上述したビアコンタクト電極Vyは、Z方向から見て、ビット線BLとビアコンタクト電極Chとが重なる位置に設けられている。
【0036】
[フックアップ領域RHUの構造]
フックアップ領域RHUには、図5及び図7に示す様に、複数の導電層110のテラス部Tが設けられている。テラス部Tは、例えば、導電層110の上面のうち、上方から見て、他の導電層110と重ならない部分である。これら複数のテラス部Tは、図7に示す様に、上述した絶縁層102によって覆われている。
【0037】
図示の例では、上方から数えて3n+1番目(nは0以上の整数)の導電層110(WL)に対応する複数のテラス部Tが、上方から見て、X方向に並んでいる。また、3n+1番目の導電層110(WL)のテラス部Tと、3n+4番目の導電層110(WL)のテラス部Tとの間には、3n+1番目~3n+3番目の導電層110(WL)の、外縁の一部E1が設けられている。図示の例において、外縁の一部E1は、導電層110のX方向の端面であり、Y方向に延伸する。
【0038】
同様に、図示の例では、上方から数えて3n+2番目の導電層110(WL)に対応する複数のテラス部Tが、上方から見て、X方向に並んでいる。また、3n+2番目の導電層110(WL)のテラス部Tと、3n+5番目の導電層110(WL)のテラス部Tとの間には、3n+2番目~3n+4番目の導電層110(WL)の、外縁の一部E1が設けられている。
【0039】
同様に、図示の例では、上方から数えて3n+3番目の導電層110(WL)に対応する複数のテラス部Tが、上方から見て、X方向に並んでいる。また、3n+3番目の導電層110(WL)のテラス部Tと、3n+6番目の導電層110(WL)のテラス部Tとの間には、3n+3番目~3n+5番目の導電層110(WL)の、外縁の一部E1が設けられている。
【0040】
また、図示の例では、上方から数えて3n+1番目の導電層110(WL)に対応するテラス部Tが、それぞれ、3n+2番目及び3n+3番目の導電層110(WL)に対応する2つのテラス部Tと、上方から見て、Y方向に並んでいる。また、3n+1番目の導電層110(WL)のテラス部Tと、3n+2番目の導電層110(WL)のテラス部Tとの間には、3n+1番目の導電層110(WL)の、外縁の一部E2が設けられている。同様に、3n+2番目の導電層110(WL)のテラス部Tと、3n+3番目の導電層110(WL)のテラス部Tとの間には、3n+2番目の導電層110(WL)の、外縁の一部E2が設けられている。図示の例において、外縁の一部E2は、導電層110(WL)のY方向の端面であり、X方向に延伸する。
【0041】
また、図5に示す様に、フックアップ領域RHUには、Y方向に並ぶ複数の支持絶縁部材列HRRが設けられている。支持絶縁部材列HRRは、それぞれ、X方向に並ぶ複数の支持絶縁部材HRを備える。支持絶縁部材HRは、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。支持絶縁部材HRは、図7に示す様に、絶縁層102、並びに、複数の導電層110及び絶縁層101を貫通してZ方向に延伸する。支持絶縁部材HRの外周面は、それぞれ、導電層110に設けられた貫通孔によって囲まれている。図6に示す様に、支持絶縁部材HRの外周面は、図4を参照して説明した高誘電率絶縁層111を介して、この様な貫通孔の内周面に対向する。ただし、支持絶縁部材HRの外周面は、この様な貫通孔の内周面に接していても良い。尚、本実施形態では、Z方向から見て、この貫通孔の内側に、導電部材も半導体部材も設けられておらず、絶縁部材のみ(支持絶縁部材HR及び高誘電率絶縁層111のみ、又は、支持絶縁部材HRのみ)が設けられている。
【0042】
また、図5に示す様に、フックアップ領域RHUには、複数のテラス部Tに対応して設けられた複数のビアコンタクト電極CCが設けられている。図5の例では、複数のビアコンタクト電極CCが、Z方向から見て、導電層110の外縁の一部E1を介してX方向に並ぶ。また、1つのメモリブロックBLKに対応して、3つのビアコンタクト電極CCが、Z方向から見て、導電層110の外縁の一部E2を介してY方向に並ぶ。ビアコンタクト電極CCは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、これら複数のビアコンタクト電極CCの外周面には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層CCSWが設けられている。ビアコンタクト電極CC及び絶縁層CCSWは、図7に示す様に、絶縁層102を貫通してZ方向に延伸し、下端において、導電層110のテラス部Tに接続されている。
【0043】
尚、図5図7には、複数の支持絶縁部材HRとして、支持絶縁部材HR1と、支持絶縁部材HR2と、を例示している。支持絶縁部材HR1は、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CCと重なる。また、Z方向から見て、支持絶縁部材HR1の中心位置は、いずれかのビアコンタクト電極CCの中心位置と、重なる(略一致する)。一方、支持絶縁部材HR2は、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CCと重ならない。従って、Z方向から見て、支持絶縁部材HR2の中心位置は、いずれのビアコンタクト電極CCの中心位置とも重ならない(略一致しない)。
【0044】
また、図5図7の例では、複数のビアコンタクト電極CCが、Z方向から見て、導電層110と重なる部分と、支持絶縁部材HR1と重なる部分と、を備える。また、複数のビアコンタクト電極CCの下面の直径が、支持絶縁部材HR1の上端部の直径よりも大きい。複数のビアコンタクト電極CCの下面は、それぞれ、導電層110との接触面と、支持絶縁部材HR1との接触面と、を備える。
【0045】
尚、支持絶縁部材HRの、Z方向から見た場合の中心位置は、例えば、次の様な方法によって規定しても良い。例えば、いずれかの導電層110に対応する高さ位置のXY断面(例えば、図6に例示する様な断面)において、支持絶縁部材HRの外接円の中心点、又は、支持絶縁部材HRの画像上の重心を、中心位置として規定しても良い。
【0046】
また、支持絶縁部材HR1の上端部の直径は、例えば、次の様な方法によって規定しても良い。例えば、着目する支持絶縁部材HR1の下端よりも上方、上端よりも下方に設けられた複数の導電層110のうち、最も上方に設けられたものに対応する高さ位置のXY断面において、支持絶縁部材HR1の外接円の直径を、支持絶縁部材HR1の上端部の直径として規定しても良い。また、図7に例示する様なXZ断面、又は、YZ断面において、支持絶縁部材HR1の上述した様な高さ位置におけるX方向の長さ、又は、Y方向の長さを、支持絶縁部材HR1の上端部の直径として規定しても良い。
【0047】
また、ビアコンタクト電極CCの、Z方向から見た場合の中心位置は、例えば、次の様な方法によって規定しても良い。例えば、着目するビアコンタクト電極CCの下端よりも上方、上端よりも下方のいずれかの高さ位置のXY断面において、ビアコンタクト電極CCの外接円の中心点、又は、ビアコンタクト電極CCの画像上の重心を、中心位置として規定しても良い。
【0048】
[製造方法]
次に、図8図25を参照して、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図8及び図15図21は、同製造方法について説明するための模式的な断面図であり、図3に対応する断面を示している。図9図14及び図22図25は、同製造方法について説明するための模式的な断面図であり、図7に対応する断面を示している。
【0049】
本実施形態に係る半導体記憶装置の製造に際しては、図示しない半導体ウェハの上面に、周辺回路を形成する。また、この半導体ウェハの上方に、例えば図8に示す様に、シリコン等の半導体層112A、酸化シリコン等の犠牲層112B、窒化シリコン(SiN)等の犠牲層112C、酸化シリコン等の犠牲層112D、及び、シリコン等の半導体層112Eを形成する。また、図8及び図9に示す様に、複数の絶縁層101及び複数の犠牲層110Aを交互に形成する。犠牲層110Aは、例えば、窒化シリコン(SiN)等を含む。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行う。
【0050】
次に、例えば図10に示す様に、フックアップ領域RHUにおいて複数の絶縁層101及び複数の犠牲層110Aの一部を除去し、複数のテラス部TAを形成する。テラス部TAは、例えば、犠牲層110Aの上面のうち、上方から見て、他の犠牲層110Aと重ならない部分である。この工程では、例えば、図9に示す様な構造の上面にレジストを形成する。また、犠牲層110Aの除去、絶縁層101の除去、及び、レジストの一部の除去を繰り返し行う。尚、レジストの除去は、ウェットエッチング等の等方性のエッチングによって行う。
【0051】
次に、例えば図11に示す様に、複数のテラス部TAを覆う酸化シリコン(SiO)等の絶縁層102を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0052】
次に、例えば図12に示す様に、複数の半導体層120に対応する位置に、複数のメモリホールMHを形成する。また、複数の支持絶縁部材HRに対応する位置に、複数のビアホールHRAを形成する。メモリホールMH及びビアホールHRAは、それぞれ、Z方向に延伸し、絶縁層101及び犠牲層110A、半導体層112E、犠牲層112D,112C,112Bを貫通し、半導体層112Aの上面を露出させる貫通孔である。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0053】
次に、例えば図13に示す様に、レジストRgを形成する。これにより、複数のメモリホールMHがレジストRgによって覆われ、且つ、複数のビアホールHRAが露出した構造を形成する。
【0054】
次に、例えば図14に示す様に、複数のビアホールHRAの内部に、支持絶縁部材HRを形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIEによって行う。また、支持絶縁部材HRの形成後、レジストRgを除去する。
【0055】
次に、例えば図15及び図16に示す様に、複数のメモリホールMHの内部に、ゲート絶縁膜130、半導体層120、及び、絶縁層125を形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIEによって行う。
【0056】
次に、例えば図17に示す様に、図16に示す様な構造の上面に、絶縁層102を形成する。また、ブロック間構造STに対応する位置に、溝STAを形成する。溝STAは、Z方向及びX方向に延伸し、絶縁層102、絶縁層101及び犠牲層110A、半導体層112E、並びに、犠牲層112DをY方向に分断し、犠牲層112Cの上面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0057】
次に、例えば図18に示す様に、配線層112を形成する。この工程では、例えば、ウェットエッチング等の方法によって犠牲層112B,112C,112Dが除去される。また、ウェットエッチング等の方法によってゲート絶縁膜130の一部が除去され、半導体層120の一部の外周面を露出させる。また、エピタキシャル成長等の方法によって配線層112を形成する。
【0058】
次に、例えば図19に示す様に、溝STAを介して犠牲層110Aを除去する。これにより、Z方向に並ぶ複数の空隙110Bが形成される。換言すれば、Z方向に並ぶ複数の絶縁層101と、この絶縁層101を支持する構造と、を含む中空構造が形成される。メモリホール領域RMHでは、メモリホールMH内の構造(半導体層120、ゲート絶縁膜130及び絶縁層125)によって、絶縁層101が支持される。フックアップ領域RHUでは、支持絶縁部材HRによって、絶縁層101が支持される。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0059】
次に、例えば図20に示す様に、Z方向に並ぶ複数の空隙110Bに、複数の導電層110を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。尚、図20では図示を省略するものの、この工程では、空隙110Bに導電層110を形成する前に、図4を参照して説明した高誘電率絶縁層111を形成する。
【0060】
次に、例えば図21に示す様に、溝STAの内部に、ブロック間構造STを形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIEによって行う。また、図3に示す様に、一又は複数の導電層110(SGD)をY方向に分断するストリングユニット間絶縁層SHE形成する。この工程は、例えば、CVD及びRIEによって行う。
【0061】
次に、例えば図22に示す様に、図3に対応する構造の上面に、絶縁層102を形成する。また、図23に示す様に、複数のビアコンタクト電極CCに対応する位置に、複数のコンタクトホールCCAを形成する。コンタクトホールCCAは、それぞれ、Z方向に延伸し、絶縁層102を貫通し、導電層110のテラス部Tを露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0062】
本実施形態に係る製造方法では、コンタクトホールCCAの形成に際して、絶縁層102だけでなく、コンタクトホールCCAの底面に露出した支持絶縁部材HRも除去する。これにより、コンタクトホールCCAの下方に、図12を参照して説明した複数のビアホールHRAの一部が、再度形成される。尚、この工程において除去されない支持絶縁部材HRは、図5及び図7を参照して説明した支持絶縁部材HR2となる。
【0063】
次に、例えば図24に示す様に、絶縁層102の上面、コンタクトホールCCAの内周面及び底面、並びに、ビアホールHRAの内部に、絶縁層CCSWAを形成する。絶縁層CCSWAは、ビアホールHRAを埋め込む程度に厚く、コンタクトホールCCAを埋め込まない程度に薄い。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0064】
次に、図25に示す様に、絶縁層CCSWAの、コンタクトホールCCAの底面に形成された部分を除去して、テラス部Tを露出させる。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。この工程により、コンタクトホールCCAの下方に、図5及び図7を参照して説明した支持絶縁部材HR1が形成される。
【0065】
次に、図7に示す様に、コンタクトホールCCAの内部に、ビアコンタクト電極CCを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0066】
その後、図2を参照して説明したビアコンタクト電極Ch,Vy、ビット線BL等を形成し、ダイシング等による個片化を行うことにより、第1実施形態に係る半導体記憶装置が形成される。
【0067】
[比較例]
図26は、比較例に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。比較例に係る半導体記憶装置では、Z方向から見て、いずれの支持絶縁部材HRもビアコンタクト電極CCと重ならない。
【0068】
比較例に係る半導体記憶装置の製造に際しては、図22及び図23を参照して説明した工程において、複数のコンタクトホールCCAが、複数の支持絶縁部材HRを避けて形成される。また、比較例に係る半導体記憶装置の製造に際しては、図24及び図25を参照して説明した工程を実行しない。
【0069】
ここで、図22及び図23を参照して説明した工程(コンタクトホールCCAを形成する工程)は、絶縁層102を構成する酸化シリコン(SiO)等の材料が比較的除去されやすく、導電層110を構成する窒化チタン(TiN)、タングステン(W)等の材料が比較的除去されにくい条件で実行される。従って、コンタクトホールCCAの底面に導電層110のみが露出する場合、コンタクトホールCCAの下端位置を、比較的好適に制御することが可能である。
【0070】
ただし、支持絶縁部材HRは、絶縁層102と同様に、酸化シリコン(SiO)等の材料から形成される。従って、コンタクトホールCCAの底面に、導電層110だけでなく、支持絶縁部材HRが露出してしまうと、コンタクトホールCCAが、対応する導電層110の下方にまで形成されてしまい、導電層110間の短絡に繋がってしまう恐れがある。
【0071】
この様な現象を避けるためには、例えば、支持絶縁部材HRを、コンタクトホールCCAから十分離れた位置に配置することも考えられる。しかしながら、支持絶縁部材HR間の距離が大きくなってしまうと、図19に対応する工程において、絶縁層101が撓んでしまう場合がある。
【0072】
また、半導体記憶装置の高集積化に伴い、Z方向に並ぶ導電層110の数が増大し、図23を参照して説明したコンタクトホールCCAのアスペクト比も増大しつつある。その結果、コンタクトホールCCAの形成に際し、RIEがZ方向に対して傾いた方向に進行してしまい、コンタクトホールCCAが斜めに形成されて、コンタクトホールCCAの底面に、支持絶縁部材HRが露出してしまう恐れが生じている。
【0073】
[第1実施形態の効果]
本実施形態に係る半導体記憶装置の製造に際しては、図23を参照して説明した工程において、支持絶縁部材HRの一部を除去する。また、図24を参照して説明した工程において、除去された支持絶縁部材HRに対応するビアホールHRAを絶縁層CCSWAによって埋め込む。また、図25を参照して説明した工程において、絶縁層CCSWAの一部を除去し、テラス部Tを露出させる。
【0074】
この様な方法では、図24を参照して説明した工程において、ビアホールHRAを絶縁層CCSWAによって埋め込むため、コンタクトホールCCAの底面に支持絶縁部材HRが露出してしまっても、上述の様な導電層110間の短絡を好適に抑制可能である。従って、支持絶縁部材HRの配置を、ビアコンタクト電極CCの配置とは独立して調整可能であり、例えば、図19を参照して説明した工程において、絶縁層101が撓んでしまわない程度に支持絶縁部材HRを密に配置することが出来る。また、導電層110及び支持絶縁部材HR1と接触するビアコンタクト電極CCの下面の位置において、Z方向から見た支持絶縁部材HR1の外周面の全体がビアコンタクト電極CCの外周面の内側に位置する様に、ビアコンタクト電極CCと支持絶縁部材HR1とが重なる配置も、採用可能である。
【0075】
[第2実施形態]
図5図7を参照して説明した様に、第1実施形態では、Z方向から見て、一つのビアコンタクト電極CCが、一つの支持絶縁部材HRと重なる。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示であり、Z方向から見て、一つのビアコンタクト電極CCが複数の支持絶縁部材HRと重なっても良い。この様な構成でも、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。また、ビアコンタクト電極CCと導電層110との接触面積を増大させて、コンタクト抵抗を低減可能である。以下、この様な構成について例示する。
【0076】
図27は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な平面図である。図28は、図27に示す構造をC-C´線及びD-D´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
【0077】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0078】
ただし、図27において、複数の支持絶縁部材HRとしては、支持絶縁部材HR1及び支持絶縁部材HR2に加え、支持絶縁部材HR3を例示している。第2実施形態に係るビアコンタクト電極CC2は、それぞれ、複数の(図示の例では7つの)支持絶縁部材HR(1つの支持絶縁部材HR1、及び、6つの支持絶縁部材HR3)と重なる。
【0079】
図27に示す様に、支持絶縁部材HR3は、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CC2と重なる部分と、ビアコンタクト電極CC2と重ならない部分と、を備える。従って、導電層110及び支持絶縁部材HRと接触するビアコンタクト電極CCの下面の位置において、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CCの外周面と支持絶縁部材HR3の外周面とが交差している。また、Z方向から見て、支持絶縁部材HR3の中心位置は、いずれのビアコンタクト電極CC2の中心位置とも重ならない(略一致しない)。
【0080】
次に、図29図31を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図29図31は、同製造方法について説明するための模式的な断面図であり、図28に対応する断面を示している。
【0081】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に製造される。
【0082】
ただし、第1実施形態に係る製造方法では、図23を参照して説明した工程において、各コンタクトホールCCAの底面に一つずつ支持絶縁部材HRが露出し、この様な支持絶縁部材HRが除去される。
【0083】
一方、第2実施形態に係る製造方法では、図23に対応する工程において、図29に示す様に、各コンタクトホールCCAの底面に複数の(図示の例では7つの)支持絶縁部材HRが露出し、この様な支持絶縁部材HRが除去される。
【0084】
また、図24に対応する工程では、図30に示す様に、各コンタクトホールCCAの内部において、複数の(図示の例では7つの)ビアホールHRA中に絶縁層CCSWAが埋め込まれる。
【0085】
また、図25に対応する工程では、図31に示す様に、第1実施形態と同様に、絶縁層CCSWAの、コンタクトホールCCAの底面に形成された部分を除去して、テラス部Tを露出させる。
【0086】
[第3実施形態]
図5図7を参照して説明した様に、第1実施形態及び第2実施形態では、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CC,CC2の中心位置が、支持絶縁部材HR1の中心位置と、重なる(略一致する)。しかしながら、図12を参照して説明したビアホールHRAの位置決めと、図23を参照して説明したコンタクトホールCCAの位置決めとは、異なる工程で実行されるため、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CC,CC2の中心位置は、支持絶縁部材HRの中心位置と、重ならない(略一致しない)場合がある。また、ビアコンタクト電極CC,CC2と導電層110とを接触させるためには、Z方向から見て、ビアコンタクト電極CC,CC2の中心位置と、支持絶縁部材HRの中心位置とが、重ならなくても良い(略一致しなくても良い)。この様な構成でも、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することが可能である。以下、この様な構成について例示する。
【0087】
図32は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な平面図である。図33は、図32に示す構造をC-C´線及びD-D´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
【0088】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0089】
ただし、第3実施形態に係るビアコンタクト電極CC3の中心位置は、Z方向から見て、いずれの支持絶縁部材HRの中心位置とも重ならない(略一致しない)。
【0090】
第3実施形態では、ビアコンタクト電極CC3が、Z方向から見て一つの支持絶縁部材HRのみと重なっていても良いし、二以上の支持絶縁部材HRと重なっていても良い。
【0091】
尚、図32には、複数の支持絶縁部材HRとして、支持絶縁部材HR2及び支持絶縁部材HR3を例示している。
【0092】
ただし、例えば、複数のビアコンタクト電極CC,CC2は、いずれかの支持絶縁部材HRの中心位置と重なるものと、いずれの支持絶縁部材HRの中心位置とも重ならないものと、の双方を含んでいても良い。例えば、第1実施形態に係る半導体記憶装置は、ビアコンタクト電極CC及び支持絶縁部材HR1に加え、ビアコンタクト電極CC3及び支持絶縁部材HR3を備えていても良い。
【0093】
次に、図34図36を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明する。図34図36は、同製造方法について説明するための模式的な断面図であり、図33に対応する断面を示している。
【0094】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に製造される。
【0095】
ただし、第1実施形態に係る製造方法では、図23を参照して説明した工程において、各コンタクトホールCCAの中心軸が、いずれかの支持絶縁部材HRの中心軸と、略一致する。
【0096】
一方、第3実施形態に係る製造方法では、図23に対応する工程において、図34に示す様に、各コンタクトホールCCAの中心軸が、いずれの支持絶縁部材HRの中心軸とも、略一致しない。図示の例では、一部の支持絶縁部材HRが、Z方向から見てコンタクトホールCCAと重なる部分と、Z方向から見てコンタクトホールCCAと重ならない部分と、を備え、前者のみが除去されている。
【0097】
また、図24に対応する工程では、図35に示す様に、各コンタクトホールCCAの内部において、ビアホールHRA中に絶縁層CCSWAが埋め込まれる。
【0098】
次に、図25に対応する工程では、図36に示す様に、第1実施形態と同様に、絶縁層CCSWAの、コンタクトホールCCAの底面に形成された部分を除去して、テラス部Tを露出させる。
【0099】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明した。しかしながら、以上において例示した構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は、適宜調整可能である。
【0100】
図37図39は、他の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す模式的な断面図である。図40は、他の実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な断面図である。
【0101】
第1実施形態~第3実施形態に係る製造方法では、図23を参照して説明した工程、又は、これに対応する工程において、例えば図37に例示する様に、ビアホールHRAの内周面とコンタクトホールCCAの底面とを連続させるような曲面が形成されても良い。この様な方法では、図示の様に、ビアホールHRAの間口が広がる。従って、図24を参照して説明した工程において、図38に示す様に、絶縁層CCSWを、ビアホールHRA中に好適に埋め込むことが出来る。尚、図示の例では、図25を参照して説明した工程において、図39に示す様に、コンタクトホールCCAの底面に、上記曲面が露出している。
【0102】
その結果、図40に示す様に、この様な方法によって製造された半導体記憶装置では、ビアコンタクト電極CCの下面の、導電層110との接触面に、ビアコンタクト電極CC側に向かって凸となる様な曲面が形成される。
【0103】
尚、図40には、第1実施形態に係る半導体記憶装置において、ビアコンタクト電極CCと導電層110との接触面に、ビアコンタクト電極CC側に向かって凸となる様な曲面が形成される例を示した。しかしながら、第2実施形態又は第3実施形態に係る半導体記憶装置においても、ビアコンタクト電極CC2,CC3と導電層110との接触面に、ビアコンタクト電極CC2,CC3側に向かって凸となる様な曲面が形成されても良い。
【0104】
また、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置では、上述の様に、導電層110の支持絶縁部材HRに対応する貫通孔の内部に、導電部材も半導体部材も設けられておらず、絶縁部材のみが設けられている。第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置において、図40に例示する様な構造を採用する場合であっても、基本的には、導電層110の支持絶縁部材HRに対応する貫通孔の内部に、導電部材も半導体部材も設けられない。しかしながら、導電層110の貫通孔のうち、この導電層110に接続されたビアコンタクト電極CCとZ方向から見て重なるものの内部には、図40に例示する様に、導電部材として、ビアコンタクト電極CCの一部が設けられる場合がある。尚、少なくとも、導電層110の貫通孔のうち、支持絶縁部材HR2に対応するものの内部には、導電部材も半導体部材も設けられない。
【0105】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体ウェハの上面に周辺回路を形成し、この半導体ウェハに対して図8図25を参照して説明した工程を実行することにより、製造される。しかしながら、図8図25を参照して説明した工程は、周辺回路が形成される半導体ウェハとは別のウェハに対して実行しても良い。例えば、1つ目のウェハに周辺回路を形成し、2つ目のウェハに図8図25を参照して説明した工程を実行し、1つ目のウェハと2つ目のウェハとを貼合し、2つ目のウェハを除去しても良い。第2実施形態及び第3実施形態に係る半導体記憶装置についても、同様である。
【0106】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
100…半導体基板、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁膜、131…トンネル絶縁膜、132…電荷蓄積膜、133…ブロック絶縁膜、CC…ビアコンタクト電極、HR…支持絶縁部材、RMH…メモリホール領域、RHU…フックアップ領域。
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