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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075802
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】円筒形電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20240529BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240529BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240529BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/107
H01M50/184 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050085
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高正
(72)【発明者】
【氏名】矢冨 翔太
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC06
5H011FF02
5H011GG02
5H011HH12
5H011KK01
5H043AA04
5H043CA03
5H043CA12
5H043GA22
5H043GA24
5H043GA30
5H043JA02E
5H043JA13E
5H043KA15E
5H043KA29E
5H043KA45D
5H043LA00E
5H043LA02D
5H043LA11E
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】絶縁板が割れにくくて、異常発熱時に絶縁板のガス排気孔が塞がりにくい円筒形電池を提供すること。
【解決手段】円筒形電池10が、有底筒状の外装缶16、外装缶16内に収容される巻回形の電極体14、外装缶16の開口を塞ぐ封口体17、及び、外装缶16内に配置され、軸方向に関して封口体17と電極体14との間に位置する上部絶縁板18を備える。上部絶縁板18が、外周面53を含むと共に第1材料で構成される外側部分51と、外側部分51よりも径方向内側に位置すると共に第1材料よりも硬い第2材料で構成される内側部分52を含む。上部絶縁板18が、外側部分51よりも径方向内側に位置する部分を含む第1貫通孔を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の外装缶と、
前記外装缶内に収容される巻回形の電極体と、
前記外装缶の開口を塞ぐ封口体と、
前記外装缶内に配置され、軸方向に関して前記封口体と前記電極体との間に位置する絶縁板と、を備え、
前記絶縁板が、外周面を含むと共に第1材料で構成される外側部分と、前記外側部分よりも径方向の内側に位置すると共に前記第1材料よりも硬い第2材料で構成される内側部分とを含み、
前記絶縁板が、前記外側部分よりも前記径方向の内側に位置する部分を含む貫通孔を有する、円筒形電池。
【請求項2】
前記外装缶において前記封口体を収容している封口部の前記径方向の外径が、前記外装缶において前記電極体を収容している胴体部の前記径方向の外径よりも小さい、請求項1に記載の円筒形電池。
【請求項3】
前記第1材料の引っ張り伸びは40%以上であって、前記第1材料のの曲げ弾性率は3000MPa以下であり、
前記第2材料は、ガラス繊維を混合したフェノール樹脂である、請求項1又は2に記載の円筒形電池。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記内側部分に設けられる、請求項1から3のいずれか1つに記載の円筒形電池。
【請求項5】
前記軸方向から見たときの平面視において、前記貫通孔の開口面積が、前記絶縁板の外縁で囲まれた領域の面積の1/3以上である、請求項1から4のいずれか1つに記載の円筒形電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、円筒形電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒形電池としては、特許文献1に記載されているものがある。この円筒形電池では、封口体と電極体の間に絶縁板を配置することで、電極体の負極と封口体との電気的な接続を防止している。また、この円筒形電池では、電池が異常発熱した際に電極体で生じる高温のガスを排気するための排気弁を封口体に設けると共に、当該ガスを封口体側に通過させるための貫通孔を絶縁板に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-103131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池を高容量化するためには、電極体を大きくする必要があるが、電極体が大きくなると、電池が異常発熱した際に発生するガスの量も大きくなるため、ガスを封口体側に流動させる貫通孔を確実に確保するために絶縁板の強度を高くする必要がある。しかし、絶縁板の強度を高くすると、電池がその落下等で外部から外力を受けて変形したときに絶縁板の外縁部が割れ易くなるため、その破片で電極体が損傷する虞がある。
【0005】
そこで、本開示の目的は、絶縁板が割れにくくて、しかも、異常発熱時に絶縁板のガス排気孔が塞がりにくい円筒形電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の円筒形電池は、有底筒状の外装缶と、外装缶内に収容される巻回形の電極体と、外装缶の開口を塞ぐ封口体と、外装缶内に配置され、軸方向に関して封口体と電極体との間に位置する絶縁板と、を備え、絶縁板が、外周面を含むと共に第1材料で構成される外側部分と、外側部分よりも径方向の内側に位置すると共に第1材料よりも硬い第2材料で構成される内側部分とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る円筒形電池によれば、絶縁板を割れにくく、しかも、異常発熱時に絶縁板のガス排気孔が塞がりにくくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る円筒形電池の軸方向の断面図である。
図2A】上部絶縁板を軸方向の外側から見たときの平面図である。
図2B図2AのA‐A線断面図である。
図3A】比較例1の上部絶縁板を軸方向の外側から見たときの平面図である。
図3B図3AのB‐B線断面図である。
図4】変形例の上部絶縁板における図2Aに対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る円筒形電池の実施形態について詳細に説明する。なお、本開示の円筒形電池は、一次電池でもよく、二次電池でもよい。また、水系電解質を用いた電池でもよく、非水系電解質を用いた電池でもよい。以下では、一実施形態である円筒形電池10として、非水電解質を用いた非水電解質二次電池(リチウムイオン電池)を例示するが、本開示の円筒形電池はこれに限定されない。
【0010】
以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施形態では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、本明細書では、説明の便宜上、円筒形電池10の軸方向(高さ方向)の封口体17側を「上」とし、軸方向の外装缶16の底側を「下」とする。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る円筒形電池10の軸方向の断面図である。図1に示すように、円筒形電池10は、巻回型の電極体14、非水電解質(図示せず)、電極体14及び非水電解質を収容する有底筒状で金属製の外装缶16、及び外装缶16の開口部を塞ぐ封口体17を備える。電極体14は、長尺状の正極11と長尺状の負極12が長尺状の2枚のセパレータ13を介して巻回された構造を有する。
【0012】
負極12は、リチウムの析出を防止するために、正極11よりも一回り大きな寸法で形成される。即ち、負極12は、正極11より長手方向及び幅方向(短手方向)に長く形成される。また、2枚のセパレータ13は、少なくとも正極11よりも一回り大きな寸法で形成され、例えば正極11を挟むように配置される。負極12は、電極体14の巻き始め端を構成してもよい。しかし、一般的には、セパレータ13が負極12の巻き始め側端を超えて延出し、セパレータ13の巻き始め側端が電極体14の巻き始め端となる。
【0013】
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、およびこれらの2種以上の混合溶媒等を用いてもよい。非水溶媒は、これら溶媒の水素原子の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有してもよい。なお、非水電解質は液体電解質に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。電解質塩には、LiPF等のリチウム塩が使用される。
【0014】
正極11は、正極集電体と、正極集電体の両面に形成された正極合剤層とを有する。正極集電体には、アルミニウム、アルミニウム合金など、正極11の電位範囲で安定な金属箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合剤層は、正極活物質、導電剤、及び結着剤を含む。正極11は、例えば正極集電体上に正極活物質、導電剤、及び結着剤等を含む正極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧縮して正極合剤層を集電体の両面に形成することにより作製できる。
【0015】
正極活物質は、リチウム含有金属複合酸化物を主成分として構成される。リチウム含有金属複合酸化物に含有される金属元素としては、Ni、Co、Mn、Al、B、Mg、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Sr、Zr、Nb、In、Sn、Ta、W等が挙げられる。好ましいリチウム含有金属複合酸化物の一例は、Ni、Co、Mn、Alの少なくとも1種を含有する複合酸化物である。
【0016】
正極合剤層に含まれる導電剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。正極合剤層に含まれる結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが例示できる。これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩等のセルロース誘導体、ポリエチレンオキシド(PEO)などが併用されてもよい。
【0017】
負極12は、負極集電体と、負極集電体の両面に形成された負極合剤層を有する。負極集電体には、銅、銅合金など、負極12の電位範囲で安定な金属箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合剤層は、負極活物質、及び結着剤を含む。負極12は、例えば負極集電体上に負極活物質、及び結着剤等を含む負極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧縮して負極合剤層を集電体の両面に形成することにより作製できる。
【0018】
負極活物質には、一般的に、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出する炭素材料が用いられる。好ましい炭素材料は、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、塊状人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛などの黒鉛である。負極合剤層には、負極活物質として、ケイ素(Si)を含有するSi材料が含まれていてもよい。また、負極活物質には、Si以外のリチウムと合金化する金属、当該金属を含有する合金、当該金属を含有する化合物等が用いられてもよい。
【0019】
負極合剤層に含まれる結着剤には、正極11の場合と同様に、フッ素樹脂、PAN、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等を用いてもよいが、好ましくはスチレン-ブタジエンゴム(SBR)又はその変性体を用いる。負極合剤層には、例えばSBR等に加えて、CMC又はその塩、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコールなどが含まれていてもよい。
【0020】
セパレータ13には、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータ13の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、セルロースなどが好ましい。セパレータ13は、単層構造、積層構造のいずれでもよい。セパレータ13の表面には、耐熱層などが形成されてもよい。
【0021】
図1に示すように、正極リード20は、正極集電体における巻回方向の中央部等の中間部に電気的に接続され、負極リード21は、負極集電体における巻回方向の巻き終わり端部に電気的に接続される。しかし、負極リードは、負極集電体における巻回方向の巻き始め端部に電気的に接続されてもよい。又は、電極体が2つの負極リードを有して、一方の負極リードが、負極集電体における巻回方向の巻き始め端部に電気的に接続され、他方の負極リードが、負極集電体における巻回方向の巻き終わり端部に電気的に接続されてもよい。又は、負極集電体における巻回方向の巻き終わり側端部を外装缶の内面に当接させることで、負極と外装缶を電気的に接続してもよい。
【0022】
円筒形電池10は、電極体14の上方に上部絶縁板18を有し、電極体14の下方に下部絶縁板19を有する。正極リード20は、上部絶縁板18の第1貫通孔55(図2A参照)を通って封口体17側に延び、負極リード21は、下部絶縁板19の外側を通って、外装缶16の底部68側に延びる。正極リード20は封口体17の底板である端子板23の下面に溶接等で接続され、端子板23と電気的に接続された封口体17の天板である封口板26が正極端子となる。また、負極リード21は外装缶16の底部68の内面に溶接等で接続され、外装缶16が負極端子となる。
【0023】
円筒形電池10は、外装缶16と封口体17との間に配置される樹脂製のガスケット27を更に備える。ガスケット27は、外装缶16と封口体17に挟持され、封口体17を外装缶16に対して絶縁する。ガスケット27は、電池内部の気密性を保つためのシール材の役割と、外装缶16と封口体17を絶縁する絶縁材としての役割を有する。外装缶16は、円筒外周面の軸方向の一部に環状の溝入れ部34を有する。
【0024】
溝入れ部34は、例えば、円筒外周面の一部を、径方向内側にスピニング加工して径方向内方側に窪ませることで形成できる。外装缶16は、溝入れ部34を含む有底筒状部30と、環状の肩部38を有する。有底筒状部30は、電極体14と非水電解質を収容し、肩部38は、有底筒状部30の開口側の端部から径方向内方側に折り曲げられて該内方側に延びる。肩部38は、外装缶16の上端部を内側に折り曲げて封口体17の周縁部45にかしめる際に形成される。封口体17は、肩部38と溝入れ部34の間にガスケット27を介して外装缶16にかしめ固定される。このようにして、円筒形電池10の内部空間を密閉する。
【0025】
外装缶16の外径は、溝入れ部34を境に変化している。詳しくは、外装缶16において封口体17を収容している封口部41の径方向の外径が、外装缶16において電極体14を収容している胴体部42の径方向の外径よりも小さくなっている。封口部41は、溝入れ部34よりも軸方向上側に位置し、胴体部42は、溝入れ部34よりも軸方向下側に位置する。
【0026】
外装缶16は、例えば、次のように作製できる。先ず、鋼板に絞り加工を施すことにより、平板状の鋼板から有底で略円筒形状の金属部材を作製する。その後、この金属部材に、下部絶縁板19、2つのリード20,21を接合した電極体14、及び上部絶縁板18をその順に挿入する。次に、金属部材の軸方向の開口側の端部を縮径金型を用いて径方向内方に変形させて縮径する。その後、縮径されて径が小さくなっている個所にガスケット27と封口体17を配置する。続いて、金属部材において外径が変動する箇所の周辺にスピニング加工を施して、溝入れ部34を形成する。最後に、金属部材の開口側の端部を径方向内方側に折り曲げて肩部38を形成することで外装缶16を作製できる。
【0027】
封口体17は、電極体14側から順に、端子板23、下弁体24a、絶縁部材25、上弁体24b、及び封口板26が積層された構造を有する。下弁体24a及び上弁体24bは、排気弁24を構成する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。端子板23は、少なくとも1つの貫通孔23aを有する。また、下弁体24aと上弁体24bは、各々の中央部で接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。
【0028】
円筒形電池10が異常発熱して、円筒形電池10の内圧が上昇すると、下弁体24aが上弁体24bを封口板26側に押し上げるように変形して破断し、下弁体24aと上弁体24bの間の電流経路が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体24bが破断して、封口板26の貫通孔26aからガスが排出される。このガスの排出により、円筒形電池10の内圧が過度に上昇して円筒形電池10が破裂することを防止し、円筒形電池10の安全性を高くしている。
【0029】
次に、上部絶縁板18の構造について詳細に説明する。図1に示すように、上部絶縁板18は、外周面53を含むと共に第1材料で構成される外側部分51と、外側部分51よりも径方向の内側に位置すると共に第1材料よりも硬い第2材料で構成される内側部分52を含む。外側部分51と内側部分52は、例えば互いに異なる樹脂材料で構成され、上部絶縁板18は、例えば2色成形で形成される。図2Aは、上部絶縁板18を軸方向の外側から見たときの平面図であり、図2Bは、図2AのA‐A線断面図である。
【0030】
図2A及び図2Bに示すように、外側部分51は円環形状を有し、外周面53は円筒外周面になっている。また、外側部分51は、円筒内周面54を有し、外周面53の中心軸は、円筒内周面54の中心軸と略一致する。図2Aに示すように、内側部分52は、半円形状の第1貫通孔55を有する。第1貫通孔55は、正極リード20を通過させると共に円筒形電池10が異常発熱したときに電極体14で発生した高温ガスを封口体17側に流動させるために上部絶縁板18に設けられる。また、第1貫通孔55は、上方から注液された非水電解質(例えば、電解液)を胴体部42の方に流動させるために設けられる。
【0031】
軸方向から見たときの平面視において、第1貫通孔55の開口面積は、上部絶縁板18の外縁59で囲まれた領域の面積の1/3以上かつ1/2以下になっている。第1貫通孔55の円弧状の内縁55aは、略周方向に延在している。内側部分52は、1以上の第2貫通孔56を更に有する。第2貫通孔56の開口面積は、第1貫通孔55の開口面積よりも小さくなっている。第2貫通孔56は、上方から注液された非水電解質を胴体部42内に均一かつ円滑に充填するために上部絶縁板18に設けられる。なお、第1貫通孔55の開口形状は、半円形状に限らず如何なる形状でもよい。また、軸方向から見たときの平面視において、第1貫通孔の開口面積は、上部絶縁板の外縁で囲まれた領域の面積の1/3未満でもよく、1/2よりも大きくてもよい。また、上部絶縁板は、第2貫通孔を有さなくてもよい。
【0032】
以上、円筒形電池10によれば、上部絶縁板18が、外周面53を含むと共に第1材料で構成される外側部分51と、外側部分51よりも径方向内側に位置すると共に第1材料よりも硬い第2材料で構成される内側部分52を含む。また、上部絶縁板18が、外側部分51よりも径方向内側に位置する部分を含む第1貫通孔55を有する。
【0033】
したがって、円筒形電池10の外縁部を構成する外側部分51を柔らかくて柔軟性に富んだ材料で構成できるので、外部からの外力を外側部分51で吸収できる。したがって、上部絶縁板18が割れにくく、上部絶縁板18の破片によって電極体14が損傷することを効果的に抑制又は防止できる。
【0034】
また、円筒形電池10の内側部分52を硬い材料で構成しているので、円筒形電池10の異常発熱時に内側部分52が溶けて第1貫通孔55の少なくとも一部を塞ぐことを効果的に抑制又は防止できる。したがって、円筒形電池10の異常発熱時に電極体14で発生した高温のガスを確実かつ円滑に封口体17側に導くことができて、高温のガスの排気方向を制御でき、所望の排気を行うことができる。よって、円筒形電池10を搭載した機器の安全性を高くできる。
【0035】
また、外装缶16において封口体17を収容している封口部41の径方向の外径が、外装缶16において電極体14を収容している胴体部42の径方向の外径よりも小さい。
【0036】
円筒形電池を高容量化する場合、一般的には、外装缶の大径化に伴って封口体の外径も大径化する必要があるが、そのまま大径化をすると、封口体の強度低下となるため、部品材料の厚みを上げ、強度を確保する必要がある。しかし、そのような部品材料の厚みの増加は、円筒形電池の重量増加や、円筒形電池のコスト増につながる。
【0037】
これに対し、上記構成によれば、封口部41の内径を変動させずに容量を大きくすることができるので、十分な強度を有する既存の封口体17を用いて外装缶16の開口を封止できる。したがって、封口体17の十分な強度を確保できるだけでなく、円筒形電池10の重量増加やコスト増を抑制できる。更には、容量が異なる複数の円筒形電池で封口体17を共通化できるので、封口体17の量産化につながり、円筒形電池10のコストを更に低減することができる。
【0038】
また、第1貫通孔55は、内側部分52に設けられる。
【0039】
上記構成によれば、円筒形電池10の異常発熱時に発生した高温のガスを封口体17側に導く第1貫通孔55の全部分を硬い内側部分52で画定できる。したがって、円筒形電池10の異常発熱時に第1貫通孔55を確実に確保でき、高温のガスの流動方向を確実に制御でき、当該ガスを封口板26の貫通孔26aから確実に排気できる。よって、円筒形電池10の異常発熱時に外装缶16の側壁や缶の底部に生じた孔からガスが噴出する制御不能のガスの排気を確実に防止でき、高い安全性を実現できる。
【0040】
また、軸方向から見たときの平面視において、第1貫通孔55の開口面積が、上部絶縁板18の外縁で囲まれた領域の面積の1/3以上になっている。
【0041】
上記構成によれば、円筒形電池10が異常発熱したときに高温のガスを円滑に封口体17側に流動させることができる。また、第1貫通孔55を用いて正極リード20を容易に端子板23に接合することができ、非水電解質を胴体部42内により迅速かつ円滑に浸透させることができる。
【0042】
<平板圧壊試験及び燃焼試験>
本願発明者は、次に説明する実施例1~4の円筒形電池と比較例1~5の円筒形電池の夫々に次に説明する平板圧壊試験と燃焼試験を施した。なお、本開示の円筒形電池が実施例1~4の円筒形電池に限定されないことは言うまでもなく、例えば、本開示の円筒形電池の上部絶縁板の寸法や材料が、実施例1~4の上部絶縁板の寸法や材料に限定されないことをは言うまでもない。
【0043】
[実施例1の円筒形電池]
(上部絶縁板の作製)
【0044】
図2A及び図2Bに示す形状を有する上部絶縁板18を作製した。詳しくは、ガラス繊維を混合したフェノール樹脂からなる外径16mm、厚み0.3mmの内側部分を作製し、外径20mm、厚み0.3mmとなるようポリプロピレンを流し込み成形することで上部絶縁板18を作製した。図2Aに示すように、上部絶縁板18に、第1貫通孔55を設けると共に、3つの第2貫通孔56を設けた。
【0045】
(正極の作製)
正極活物質としてLi(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oを使用した。正極活物質100(重量比)、結着剤としてポリフッ化ビニリデンフルオライド2.0(重量比)、及び導電剤としてアセチレンブラック2.0(重量比)を液状成分(NMP)に混合させて正極合剤ペーストを調製した。次に、調製した正極合剤ペーストを、アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に、正極タブの接続部分を除いて塗布し、乾燥して、正極合剤層を形成した。そのようにして作製した正極の前駆体を、圧縮し、正極を得た。また、正極タブを、正極の中央部分に接合した。
【0046】
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイトを使用した。負極活物質100(重量比)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンフルオライド1.0(重量比)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1.0(重量比)と、適量の水とを、双腕式練合機にて攪拌し、負極ペーストを得た。その負極合剤ペーストを、銅箔からなる負極集電体の両面に、負極タブの接続部分を除いて塗布し、乾燥して負極合剤層を形成した。そのようにして作製した負極の前駆体を、圧縮し、負極を得た。また、負極タブを、負極の巻き終わり側の端部に接合した。
【0047】
(電極体の作製)
Φ4の巻芯を用いて上記のようにして作製された正極板と負極板とオレフィン系樹脂からなる微多孔膜のセパレータとを巻取機により巻回し、巻き終り側の終端部に絶縁性の巻き止めテープを取り付けた後、巻芯から取り外すことで円筒状の電極体を作製した。
【0048】
(非水電解質の調製)
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを、体積比40:60(1気圧、25℃換算)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPFを1.0M(モル/リットル)の割合で溶解したものを非水電解質とした。
【0049】
(円筒形電池の作製)
電極体を、高さ74.5mm、直径22mmの外装缶に挿入し、縮径後(22mm⇒21mm)、開口部から上部絶縁板を挿入し、続いて、外装缶の開口部に絶縁性の樹脂(ガスケット)を配置した。その後、上から封口体を嵌め込み、非水電解質を注入し、プレス機により封口体とガスケットを外装缶の開口部にかしめ固定した。作製した電池の定格容量を、5.0Ahとした。
【0050】
[実施例2の円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を実施例2の円筒形電池とした。実施例2の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図2A及び図2Bに示す形状を有する上部絶縁板を作製した。ガラス繊維を混合したフェノール樹脂からなる外径16mm、厚み0.3mmの内側部分を作製し、外径20mm、厚み0.3mmとなるようポリエチレンを流し込み成形することで上部絶縁板を作製した。図2Aを参照して、上部絶縁板に、実施例1の第1貫通孔55と同一(形状及び大きさが同一であるという意味、以下同様)の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一(形状及び大きさが同一であるという意味、以下同様)の3つの第2貫通孔を設けた。
【0051】
[実施例3の円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を実施例3の円筒形電池とした。実施例3の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図2A及び図2Bに示す形状を有する上部絶縁板を作製した。ガラス繊維を混合したフェノール樹脂からなる外径16mm、厚み0.3mmの内側部分を作製し、外径20mm、厚み0.3mmとなるようポリビニルカーボネートを流し込み成形することで上部絶縁板を作製した。図2Aを参照して、上部絶縁板に、実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔を設けた。
【0052】
[実施例4の円筒形電池]
実施例1の上部絶縁板と略同一であって実施例1の上部絶縁板と作製方法が異なる上部絶縁板を用いたことのみが実施例1と異なる円筒形電池を実施例4の円筒形電池とした。詳しくは、ガラス繊維を混合したフェノール樹脂を用い、外径16mm、厚み0.3mmの絶縁板(内周側部品)を打ち抜き加工等で作製した。また、ポリプロピレンを用いて、外径20mm、内径16mm、厚み0.3mmのリング状の絶縁板(外周側部品)を打ち抜き加工等で作製した。その後、外周側部品の貫通孔に内周側部品を嵌め込んで外周側部品と内周側部品を一体化して上部絶縁板を作製した。内周側部品に実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔を設けた。
【0053】
[比較例1の円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を比較例1の円筒形電池とした。比較例1の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図3Aは、比較例1の上部絶縁板218を軸方向の外側から見たときの平面図であり、図3Bは、図3AのB‐B線断面図である。図3A及び図3Bに示すように、上部絶縁板218は、外側部分と内側部分が同じ材料であるガラス繊維を混合したフェノール樹脂で構成されている。上部絶縁板218は、外径が20mmであって、厚みが0.3mmであり、打ち抜き加工により作製した。図2A及び図3Aに示すように、上部絶縁板218に、実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔255を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔256を設けた。
【0054】
[比較例2の円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を比較例2の円筒形電池とした。比較例2の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図3A及び図3Bに示す形状を有する上部絶縁板を作製した。比較例1の円筒形電池と同様に、比較例2の上部絶縁板は、外側部分と内側部分を同じ材料で構成した。詳しくは、外側部分と内側部分を、同じ材料であるポリプロピレンで構成し、外径が20mmで、厚みが0.3mmの比較例2の上部絶縁板を打ち抜き加工により作製した。図2A及び図3Aを参照して、上部絶縁板に、実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔を設けた。
【0055】
[比較例3の円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を比較例3の円筒形電池とした。比較例3の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図2A及び図2Bに示す形状を有する上部絶縁板を作製した。ガラス繊維を混合したフェノール樹脂からなる外径16mm、厚み0.3mmの内側部分を作製し、外径20mm、厚み0.3mmとなるようアクリルを流し込み成形することで上部絶縁板を作製した。図2Aを参照して、上部絶縁板に、実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔を設けた。
【0056】
[比較例4の円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を比較例4の円筒形電池とした。比較例4の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図2A及び図2Bに示す形状を有する上部絶縁板を作製した。ガラス繊維を混合したフェノール樹脂からなる外径16mm、厚み0.3mmの内側部分を作製し、外径20mm、厚み0.3mmとなるようフェノールを流し込み成形することで上部絶縁板を作製した。図2Aを参照して、上部絶縁板に、実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔を設けた。
【0057】
[比較例5円筒形電池]
実施例1と上部絶縁板のみ異なる円筒形電池を比較例4の円筒形電池とした。比較例5の上部絶縁板を次のように作製した。詳しくは、図2A及び図2Bに示す形状を有する上部絶縁板を作製した。ポリプロピレンからなる外径16mm、厚み0.3mmの内側部分を作製し、外径20mm、厚み0.3mmとなるようガラス繊維を混合したフェノール樹脂を流し込み成形することで上部絶縁板を作製した。図2Aを参照して、上部絶縁板に、実施例1の第1貫通孔55と同一の第1貫通孔を設けると共に、実施例1の3つの第2貫通孔56と同一の3つの第2貫通孔を設けた。
【0058】
[上部絶縁板の物性評価]
(引張伸び)
上記平板圧壊試験と上記燃焼試験を行った各円筒形電池における、上部絶縁板の外側部分の引張伸びと、上部絶縁板の内側部分の引張伸びを、ASTM D638を用いて評価した。ここで、試験片として、ASTM1号試験片を用いた。また、試験速度として、5mm/minを採用した。
【0059】
(曲げ弾性率)
上記平板圧壊試験と上記燃焼試験を行った各円筒形電池における、上部絶縁板の外側部分の曲げ弾性率と、上部絶縁板の内側部分の曲げ弾性率を、ASTM D790を用いて評価した。ここで、試験片として、127×12.7×6.4mmtを採用した。また、試験速度として、2.5mm/minを採用した。
【0060】
[平板圧壊試験]
平板圧壊試験前に、放電(CC):0.2CA×2.5Vを行った。
圧壊は、略平行に配置した2つの平板で円筒形電池を挟んで円筒形電池を圧縮することで行った。圧壊は、円筒形電池をその直径が10%小さくなるまで圧縮する10%変形圧壊(2つの平板での圧縮距離を変形前の円筒形電池の直径の10%とする圧壊)と、円筒形電池をその直径が25%小さくなるまで圧縮する25%変形圧壊(2つの平板での圧縮距離を変形前の円筒形電池の直径の25%とする圧壊)の2つを行った。
圧壊速度として、15mm/secを採用した。
試験温度として、25℃を採用した。
各円筒形電池において、5つのサンプルで5回の試験を行った。
試験後の電極体上部の上部絶縁板割れによる短絡痕の有無を確認することで試験の評価を行った。
【0061】
[燃焼試験]
燃焼試験前に、(CCCV):0.3CA×4.20V,0.05CAカットを行った。
円筒形電池とガスバーナー先端の距離を38mmに設定した。
円筒形電池の側面をガスバーナーで加熱して、円筒形電池を無理やり異常発熱させて燃焼させた。
各円筒形電池において、5つのサンプルで5回の試験を行った。
加熱後に排気弁が作動して破裂に至らなかったものをOKと評価し、排気弁が作動したものの電池が破裂したものをNGと評価した。
【0062】
[試験結果]
試験結果を表1に示す。
【表1】
【0063】
表1に示すように、10%圧壊試験では、全ての円筒形電池で短絡痕が確認できず、10%の圧壊では、上部絶縁板の破損が生じなかった。他方、25%圧壊試験では、実施例1~4の円筒形電池で短絡痕が確認できなくて上部絶縁板の破損が生じなかった一方、比較例1、3、4の円筒形電池で、短絡が発生し、特に、外側部分の材料が硬い比較例1、4の円筒形電池に関して、全て又は殆ど全てのサンプルで短絡が発生した。したがって、外側部分の材料として、柔らかくで柔軟性に富んだ材料を選択することで、上部絶縁板の破損を効果的に抑制又は防止できる。
【0064】
また、燃焼試験に関しては、実施例1~4の全ての円筒形電池で排気弁が適切に作動して破裂に至らなかったのに対し、内側部分を柔らかいポリプロピレンで構成した比較例2、5の円筒形電池で、5個のうちの2個で破裂が発生した。したがって、内側部分を硬い材料で構成すれば、ガスの流動通路を確実に確保できて、円筒形電池の異常発熱時に円筒形電池が破裂することを効果的に抑制又は防止できる。なお、比較例2、5で生じた破裂は、燃焼試験で、柔らかいポリプロピレンが溶けて貫通孔の少なくとも一部を塞いだことに起因するものと推察される。
【0065】
実施例1~4の円筒形電池の全ては、第1材料の引っ張り伸びが40%以上であって、第1材料の曲げ弾性率が3000MPa以下であり、第2材料が、ガラス繊維を混合したフェノール樹脂である。しかし、外周面を含むと共に第1材料で構成される外側部分と、外側部分よりも径方向の内側に位置すると共に第1材料よりも硬い第2材料で構成される内側部分とを含む上部絶縁板を採用すれば、外側部分で外力を吸収でき、しかも、円筒形電池の異常発熱時に内側部分が溶けてガスの流動経路を塞ぎにくくなる。よって、その条件を満足すれば、絶縁板を割れにくくでき、しかも、異常発熱時に絶縁板のガスの流動経路を塞がりにくくできる。
【0066】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、外装缶16において封口体17を収容している封口部41の径方向の外径が、外装缶16において電極体14を収容している胴体部42の径方向の外径よりも小さい場合について説明した。しかし、外装缶において封口体を収容している封口部の径方向の外径は、外装缶において電極体を収容している胴体部の径方向の外径と同一でもよく、その外径よりも大きくてもよい。
【0068】
また、図2Aに示すように、正極リード20を挿通するための第1貫通孔55が半円形状の開口を有する場合について説明した。また、上部絶縁板18をその外縁59の直径と厚さ方向を含む平面で2分割したときに、第1貫通孔55が一方側の領域に存在する場合について説明した。しかし、上部絶縁板における正極リードを挿通するための第1貫通孔のレイアウトは、図2Aに示すレイアウトに限らず、如何なるレイアウトでもよい。例えば、正極リードを挿通するための第1貫通孔は、上部絶縁板の径方向の中央部に設けられてもよい。
【0069】
また、第1貫通孔55を、内側部分52に形成し、第1貫通孔55の周囲が全周に亘って内側部分52に取り囲まれている場合について説明した。しかし、図4、すなわち、変形例の上部絶縁板118における図2Aに対応する平面図に示すように、第1貫通孔155は、柔らかい外側部分151と、硬い内側部分152とで画定されてもよい。そして、第1貫通孔155の内面の一部155aが外側部分151で構成され、第1貫通孔155の内面の他の部分155bが内側部分152で構成されてもよい。要は、上部絶縁板は、外側部分よりも径方向の内側に位置する部分を含む貫通孔を有していればよい。
【符号の説明】
【0070】
10 円筒形電池、 11 正極、 12 負極、 13 セパレータ、 14 電極体、 16 外装缶、 17 封口体、 18,118 上部絶縁板、 19 下部絶縁板、 20 正極リード、 21 負極リード、 23 端子板、 24 排気弁、 25 絶縁部材、 26 封口板、 27 ガスケット、 30 有底筒状部、 41 封口部、 42 胴体部、 51,151 外側部分、 52,152 内側部分、 53 外周面、 54 円筒内周面、 55,155 第1貫通孔、 55a 内縁、 56 第2貫通孔、 59 外縁、 68 底部。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4