(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075806
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240529BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058787
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】桝田 佳明
(72)【発明者】
【氏名】畑野 啓介
(72)【発明者】
【氏名】関 大一
(72)【発明者】
【氏名】戸田 淳
(72)【発明者】
【氏名】納土 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】大池 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】大岡 豊
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直人
(72)【発明者】
【氏名】坂元 俊起
(72)【発明者】
【氏名】森川 隆史
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA03
4M118CA22
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA38
4M118GA02
4M118GB01
4M118GB07
4M118GB09
4M118GB11
4M118GB13
4M118GC08
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4M118GC14
4M118GD03
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4M118GD07
4M118GD08
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4M118GD20
4M118HA02
4M118HA07
4M118HA09
4M118HA11
4M118HA23
4M118HA24
4M118HA25
4M118HA31
4M118HA33
5C024BX04
5C024CY47
5C024EX18
5C024EX24
5C024EX42
5C024EX43
5C024GX03
5C024GX07
5C024GY31
5C024GZ36
(57)【要約】
【課題】フレアの影響を抑制することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】本開示による撮像装置は、光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、画素領域上に設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、オンチップレンズと保護部材との間を接着する樹脂層とを備え、樹脂層および保護部材の厚みをTとし、光の入射方向から見た画素領域の対角線の長さをLとし、保護部材の臨界角をθcとすると、T≧L/2/tanθc(式2)またはT≧L/4/tanθc(式3)を満たす。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備え、
前記樹脂層および前記保護部材の厚みをTとし、光の入射方向から見た前記画素領域の対角線の長さをLとし、前記保護部材の臨界角をθcとすると、
T≧L/2/tanθc (式2)
T≧L/4/tanθc (式3)
式2または式3を満たす、撮像装置。
【請求項2】
前記保護部材にはガラスが用いられ、
臨界角θcは、約41.5°である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記保護部材上に設けられた凹レンズをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記保護部材上に設けられた凸レンズをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記保護部材の下または前記保護部材中に設けられ、該保護部材の厚みを変更するアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記保護部材の側面に設けられた光吸収膜をさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記保護部材上に設けられた反射防止膜をさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記保護部材上または該保護部材内に設けられた赤外線カットフィルタをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記保護部材上に設けられたフレネルレンズをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記保護部材上に設けられたメタレンズをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記保護部材上に設けられ、孔を有する遮光膜をさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記入射方向から見た平面視において、前記画素の幅が第1幅W1のときに、前記厚みTが第1厚みT1以上であり、
前記画素の幅が前記第1幅よりも小さい第2幅W2(W2<W1)のときに、前記厚みTは前記第1厚みT1よりも厚い第2厚みT2(T2>T1)以上である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
第2幅W2が前記第1幅W1の2分の1である場合、前記第2厚みT2は、前記第1厚みT1の2倍である、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記画素のそれぞれに対して複数のオンチップレンズが設けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
複数の前記画素に対して1つのオンチップレンズが設けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記画素領域と前記オンチップレンズとの間に設けられたカラーフィルタと、
隣接する前記画素間上の前記カラーフィルタ内に設けられた第1遮光膜とをさらに備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項17】
隣接する前記画素間上の前記第1遮光膜上に第2遮光膜をさらに備える、請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層と、
前記保護部材上に設けられたレンズとを備える、撮像装置。
【請求項19】
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられ、前記画素ごとに設けられた複数のオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備える、撮像装置。
【請求項20】
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられ、複数の前記画素ごとに設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備える、撮像装置。
【請求項21】
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられ、複数の前記画素ごとに設けられたオンチップレンズと、
前記画素領域と前記オンチップレンズとの間に設けられたカラーフィルタと、
隣接する前記画素間上の前記カラーフィルタ内に設けられた第1遮光膜と、
前記カラーフィルタおよび前記第1遮光膜上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備える、撮像装置。
【請求項22】
前記画素領域は、画像を生成するために用いられる画素信号を出力する有効画素領域を少なくとも含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項23】
前記画素領域は、暗出力の基準となる画素信号を出力するOB(Optical Black)画素領域をさらに含む、請求項22に記載の撮像装置。
【請求項24】
前記OB画素領域は、前記有効画素領域の周囲を囲むように設け得られている、請求項23に記載の撮像装置。
【請求項25】
前記画素領域は、前記有効画素領域の特性を安定させるダミー画素領域をさらに含む、請求項23に記載の撮像装置。
【請求項26】
前記ダミー画素領域は、前記OB画素領域の周囲を囲むように設け得られている、請求項25に記載の撮像装置。
【請求項27】
前記画素領域は、フォトダイオードを有する画素が配置された有効感光領域を含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項28】
前記画素領域は、フォトダイオードを有する画素が配置されていない外部領域をさらに含む、請求項27に記載の撮像装置。
【請求項29】
前記外部領域は、前記有効感光領域の周りに設けられている、請求項28に記載の撮像装置。
【請求項30】
前記画素領域は、ウエハから半導体パッケージを切り分ける終端領域をさらに含む、請求項29に記載の撮像装置。
【請求項31】
前記終端領域は、前記外部領域の周りに設けられている、請求項30に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置をチップサイズまで小型化したWCSP(Wafer level Chip Size Package)が開発されている。WCSPの固体撮像装置では、半導体基板の上面側にカラーフィルタやオンチップレンズが設けられ、その上にガラスシール樹脂を介してガラス基板を固定する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許公開第2017/163924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、半導体基板とガラス基板とがガラスシール樹脂によってキャビティレス構造で固定された場合、強い光が入射すると、画素上のオンチップレンズで反射された光がガラス基板の上面でさらに反射し、他の画素に再入射してしまうことがある。これにより、再入射した光の干渉によりフレアと呼ばれるノイズが発生する場合がある。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、フレアの影響を抑制することができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の撮像装置は、光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、画素領域上に設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、オンチップレンズと保護部材との間を接着する樹脂層とを備え、樹脂層および保護部材の厚みをTとし、光の入射方向から見た画素領域の対角線の長さをLとし、保護部材の臨界角をθcとすると、
T≧L/2/tanθc (式2)
T≧L/4/tanθc (式3)
式2または式3を満たす。
【0007】
保護部材にはガラスが用いられ、臨界角θcは、約41.5°である。
【0008】
保護部材上に設けられた凹レンズをさらに備える。
【0009】
保護部材上に設けられた凸レンズをさらに備える。
【0010】
保護部材の下または保護部材中に設けられ、該保護部材の厚みを変更するアクチュエータをさらに備える。
【0011】
保護部材の側面に設けられた光吸収膜をさらに備える。
【0012】
保護部材上に設けられた反射防止膜をさらに備える。
【0013】
保護部材上または該保護部材内に設けられた赤外線カットフィルタをさらに備える。
【0014】
保護部材上に設けられたフレネルレンズをさらに備える。
【0015】
保護部材上に設けられたメタレンズをさらに備える。
【0016】
保護部材上に設けられ、孔を有する遮光膜をさらに備える。
【0017】
入射方向から見た平面視において、画素の幅が第1幅W1のときに、厚みTが第1厚みT1以上であり、画素の幅が第1幅よりも小さい第2幅W2(W2<W1)のときに、厚みTは第1厚みT1よりも厚い第2厚みT2(T2>T1)以上である。
【0018】
第2幅W2が第1幅W1の2分の1である場合、第2厚みT2は、第1厚みT1の2倍である。
【0019】
画素のそれぞれに対して複数のオンチップレンズが設けられている。
【0020】
複数の画素に対して1つのオンチップレンズが設けられている。
【0021】
画素領域とオンチップレンズとの間に設けられたカラーフィルタと、隣接する画素間上のカラーフィルタ内に設けられた第1遮光膜とをさらに備える。
【0022】
隣接する画素間上の第1遮光膜上に第2遮光膜をさらに備える。
【0023】
本開示の一側面の撮像装置は、光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、画素領域上に設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、オンチップレンズと保護部材との間を接着する樹脂層と、保護部材上に設けられたレンズとを備える。
【0024】
本開示の一側面の撮像装置は、光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、画素領域上に設けられ、画素ごとに設けられた複数のオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、オンチップレンズと保護部材との間を接着する樹脂層とを備える。
【0025】
本開示の一側面の撮像装置は、光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、画素領域上に設けられ、複数の画素ごとに設けられたオンチップレンズと、オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、オンチップレンズと保護部材との間を接着する樹脂層とを備える。
【0026】
本開示の一側面の撮像装置は、光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、画素領域上に設けられ、複数の画素ごとに設けられたオンチップレンズと、画素領域とオンチップレンズとの間に設けられたカラーフィルタと、隣接する画素間上のカラーフィルタ内に設けられた第1遮光膜と、カラーフィルタおよび第1遮光膜上に設けられた保護部材と、オンチップレンズと保護部材との間を接着する樹脂層とを備える。
【0027】
画素領域は、画像を生成するために用いられる画素信号を出力する有効画素領域を少なくとも含む。
【0028】
画素領域は、暗出力の基準となる画素信号を出力するOB(Optical Black)画素領域をさらに含む。
【0029】
OB画素領域は、有効画素領域の周囲を囲むように設け得られている。
【0030】
画素領域は、有効画素領域の特性を安定させるダミー画素領域をさらに含む。
【0031】
ダミー画素領域は、OB画素領域の周囲を囲むように設け得られている。
【0032】
画素領域は、フォトダイオードを有する画素が配置された有効感光領域を含む。
【0033】
画素領域は、フォトダイオードを有する画素が配置されていない外部領域をさらに含む。
【0034】
外部領域は、有効感光領域の周りに設けられている。
【0035】
画素領域は、ウエハから半導体パッケージを切り分ける終端領域をさらに含む。
【0036】
終端領域は、外部領域の周りに設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図8】画素センサ基板およびリングフレアを示す概略平面図。
【
図9】
図8の画素領域の対角線の方向に沿った概略断面図。
【
図10】
図8の画素領域の対角線の方向に沿った概略断面図。
【
図11】第2実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図12】第3実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図13】第4実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図14】第5実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図15】第6実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図16】第7実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図17】第6実施形態の変形例による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図18】第8実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図19】第9実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図20】第10実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図21】第11実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図22】第11実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略平面図。
【
図23】第12実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図24】第12実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略平面図。
【
図25】第13実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図26】第13実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略平面図。
【
図27】第14実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図28】第15実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図29】変形例による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図。
【
図30】本技術を適用した撮像装置の主な構成例を示す図。
【
図31】撮像素子の、各領域の構成を説明するための断面図。
【
図32】半導体パッケージの構成を模式的に平面視したときの図。
【
図33】半導体パッケージの構成を示す模式断面図。
【
図34】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
【
図35】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0039】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による固体撮像装置の外観概略図を示している。
【0040】
図1に示される固体撮像装置1は、下側基板11と上側基板12とが積層されて構成された積層基板13がパッケージ化された半導体パッケージである。固体撮像装置1は、図中の矢印で示される方向から入射される光を電気信号へ変換して出力する。
【0041】
下側基板11には、不図示の外部基板と電気的に接続するための裏面電極であるはんだボール14が、複数、形成されている。
【0042】
上側基板12の上面には、R(赤)、G(緑)、またはB(青)のカラーフィルタ15とオンチップレンズ16が形成されている。また、上側基板12は、オンチップレンズ16を保護するための保護部材18と、シール部材17を介してキャビティレス構造で接続されている。保護部材18には、例えば、ガラス、窒化ケイ素、サファイア、樹脂等の透明な材料が用いられる。シール部材17には、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等の透明な接着材料が用いられる。
【0043】
例えば、上側基板12には、
図2Aに示されるように、光電変換を行う画素が2次元配列された画素領域21と、画素の制御を行う制御回路22が形成されており、下側基板11には、画素から出力された画素信号を処理する信号処理回路などのロジック回路23が形成されている。
【0044】
あるいはまた、
図2Bに示されるように、上側基板12には、画素領域21のみが形成され、下側基板11に、制御回路22とロジック回路23が形成される構成でもよい。
【0045】
以上のように、ロジック回路23または制御回路22及びロジック回路23の両方を、画素領域21の上側基板12とは別の下側基板11に形成して積層させる。これにより、1枚の半導体基板に、画素領域21、制御回路22、およびロジック回路23を平面方向に配置した場合と比較して、固体撮像装置1としてのサイズを小型化することができる。
【0046】
以下では、少なくとも画素領域21が形成される上側基板12を、画素センサ基板12と称し、少なくともロジック回路23が形成される下側基板11を、ロジック基板11と称して説明を行う。
【0047】
【0048】
積層基板13は、画素32が2次元アレイ状に配列された画素領域21と、垂直駆動回路34と、カラム信号処理回路35と、水平駆動回路36と、出力回路37と、制御回路38と、入出力端子39となどを含む。
【0049】
画素32は、光電変換素子としてのフォトダイオードと、複数の画素トランジスタを有して成る。画素32の回路構成例については、
図4を参照して後述する。
【0050】
制御回路38は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また積層基板13の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路38は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路34、カラム信号処理回路35及び水平駆動回路36などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。制御回路38は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路34、カラム信号処理回路35及び水平駆動回路36等に出力する。
【0051】
垂直駆動回路34は、例えばシフトレジスタによって構成され、所定の画素駆動配線40を選択し、選択された画素駆動配線40に画素32を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素32を駆動する。すなわち、垂直駆動回路34は、画素領域21の各画素32を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素32の光電変換部において受光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線41を通してカラム信号処理回路35に供給する。
【0052】
カラム信号処理回路35は、画素32の列ごとに配置されており、1行分の画素32から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路35は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)およびAD(Analogue-to-Digital)変換等の信号処理を行う。
【0053】
水平駆動回路36は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路35の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路35の各々から画素信号を水平信号線42に出力させる。
【0054】
出力回路37は、カラム信号処理回路35の各々から水平信号線42を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。出力回路37は、例えば、バファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理などが行われる場合もある。入出力端子39は、外部と信号のやりとりをする。
【0055】
以上のように構成される積層基板13は、CDS処理とAD変換処理を行うカラム信号処理回路35が画素列ごとに配置されたカラムAD方式と呼ばれるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0056】
【0057】
図4に示される画素32は、電子式のグローバルシャッタ機能を実現する構成を示している。
【0058】
画素32は、光電変換素子としてのフォトダイオード51、第1転送トランジスタ52、メモリ部(MEM)53、第2転送トランジスタ54、FD(フローティング拡散領域)55、リセットトランジスタ56、増幅トランジスタ57、選択トランジスタ58、及び排出トランジスタ59を有する。
【0059】
フォトダイオード51は、受光量に応じた電荷(信号電荷)を生成し、蓄積する光電変換部である。フォトダイオード51のアノード端子が接地されているとともに、カソード端子が第1転送トランジスタ52を介してメモリ部53に接続されている。また、フォトダイオード51のカソード端子は、不要な電荷を排出するための排出トランジスタ59とも接続されている。
【0060】
第1転送トランジスタ52は、転送信号TRXによりオンされたとき、フォトダイオード51で生成された電荷を読み出し、メモリ部53に転送する。メモリ部53は、FD55に電荷を転送するまでの間、一時的に電荷を保持する電荷保持部である。
【0061】
第2転送トランジスタ54は、転送信号TRGによりオンされたとき、メモリ部53に保持されている電荷を読み出し、FD55に転送する。
【0062】
FD55は、メモリ部53から読み出された電荷を信号として読み出すために保持する電荷保持部である。リセットトランジスタ56は、リセット信号RSTによりオンされたとき、FD55に蓄積されている電荷が定電圧源VDDに排出されることで、FD55の電位をリセットする。
【0063】
増幅トランジスタ57は、FD55の電位に応じた画素信号を出力する。すなわち、増幅トランジスタ57は定電流源としての負荷MOS60とソースフォロワ回路を構成し、FD55に蓄積されている電荷に応じたレベルを示す画素信号が、増幅トランジスタ57から選択トランジスタ58を介してカラム信号処理回路35(
図3)に出力される。負荷MOS60は、例えば、カラム信号処理回路35内に配置されている。
【0064】
選択トランジスタ58は、選択信号SELにより画素32が選択されたときオンされ、画素32の画素信号を、垂直信号線41を介してカラム信号処理回路35に出力する。
【0065】
排出トランジスタ59は、排出信号OFGによりオンされたとき、フォトダイオード51に蓄積されている不要電荷を定電圧源VDDに排出する。
【0066】
転送信号TRX及びTRG、リセット信号RST、排出信号OFG、並びに選択信号SELは、画素駆動配線40を介して垂直駆動回路34から供給される。
【0067】
画素32の動作について簡単に説明する。
【0068】
まず、露光開始前に、Highレベルの排出信号OFGが排出トランジスタ59に供給されることにより排出トランジスタ59がオンされ、フォトダイオード51に蓄積されている電荷が定電圧源VDDに排出され、全画素のフォトダイオード51がリセットされる。
【0069】
フォトダイオード51のリセット後、排出トランジスタ59が、Lowレベルの排出信号OFGによりオフされると、画素領域21の全画素で露光が開始される。
【0070】
予め定められた所定の露光時間が経過すると、画素領域21の全画素において、転送信号TRXにより第1転送トランジスタ52がオンされ、フォトダイオード51に蓄積されていた電荷が、メモリ部53に転送される。
【0071】
第1転送トランジスタ52がオフされた後、各画素32のメモリ部53に保持されている電荷が、行単位に、順次、カラム信号処理回路35に読み出される。読み出し動作は、読出し行の画素32の第2転送トランジスタ54が転送信号TRGによりオンされ、メモリ部53に保持されている電荷が、FD55に転送される。そして、選択トランジスタ58が選択信号SELによりオンされることで、FD55に蓄積されている電荷に応じたレベルを示す信号が、増幅トランジスタ57から選択トランジスタ58を介してカラム信号処理回路35に出力される。
【0072】
以上のように、
図4の画素回路を有する画素32は、露光時間を画素領域21の全画素で同一に設定し、露光終了後はメモリ部53に電荷を一時的に保持しておいて、メモリ部53から行単位に順次電荷を読み出すグローバルシャッタ方式の動作(撮像)が可能である。
【0073】
なお、画素32の回路構成としては、
図4に示した構成に限定されるものではなく、例えば、メモリ部53を持たず、いわゆるローリングシャッタ方式による動作を行う回路構成を採用することもできる。
【0074】
また、画素32は、一部の画素トランジスタを複数画素で共有する共有画素構造とすることもできる。例えば、第1転送トランジスタ52、メモリ部53、および第2転送トランジスタ54を画素32単位に有し、FD55、リセットトランジスタ56、増幅トランジスタ57、および選択トランジスタ58を4画素等の複数画素で共有する構成などを取り得る。
【0075】
次に、
図5を参照して、積層基板13の詳細構造について説明する。
図5は、固体撮像装置1の一部分を拡大して示した断面図である。
【0076】
ロジック基板11には、例えばシリコン(Si)で構成された半導体基板81(以下、シリコン基板81という。)の上側(画素センサ基板12側)に、多層配線層82が形成されている。この多層配線層82により、
図2の制御回路22やロジック回路23が構成されている。
【0077】
多層配線層82は、画素センサ基板12に最も近い最上層の配線層83a、中間の配線層83b、及び、シリコン基板81に最も近い最下層の配線層83cなどからなる複数の配線層83と、各配線層83の間に形成された層間絶縁膜84とで構成される。
【0078】
複数の配線層83は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)などを用いて形成され、層間絶縁膜84は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などで形成される。複数の配線層83及び層間絶縁膜84のそれぞれは、全ての階層が同一の材料で形成されていてもよし、階層によって2つ以上の材料を使い分けてもよい。
【0079】
シリコン基板81の所定の位置には、シリコン基板81を貫通するシリコン貫通孔85が形成されており、シリコン貫通孔85の内壁に、絶縁膜86を介して接続導体87が埋め込まれることにより、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)88が形成されている。絶縁膜86は、例えば、SiO2膜やSiN膜などで形成することができる。
【0080】
なお、
図5に示されるシリコン貫通電極88では、内壁面に沿って絶縁膜86と接続導体87が成膜され、シリコン貫通孔85内部が空洞となっているが、内径によってはシリコン貫通孔85内部全体が接続導体87で埋め込まれることもある。換言すれば、貫通孔の内部が導体で埋め込まれていても、一部が空洞となっていてもどちらでもよい。このことは、後述するチップ貫通電極(TCV:Through Chip Via)105などについても同様である。
【0081】
シリコン貫通電極88の接続導体87は、シリコン基板81の下面側に形成された再配線90と接続されており、再配線90は、はんだボール14と接続されている。接続導体87及び再配線90は、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、チタンタングステン合金(TiW)、ポリシリコンなどで形成することができる。
【0082】
また、シリコン基板81の下面側には、はんだボール14が形成されている領域を除いて、再配線90と絶縁膜86を覆うように、ソルダマスク(ソルダレジスト)91が形成されている。
【0083】
一方、画素センサ基板12には、シリコン(Si)で構成された半導体基板101(以下、シリコン基板101という。)の下側(ロジック基板11側)に、多層配線層102が形成されている。この多層配線層102により、
図2の画素領域21の画素回路が構成されている。
【0084】
多層配線層102は、シリコン基板101に最も近い最上層の配線層103a、中間の配線層103b、及び、ロジック基板11に最も近い最下層の配線層103cなどからなる複数の配線層103と、各配線層103の間に形成された層間絶縁膜104とで構成される。
【0085】
複数の配線層103及び層間絶縁膜104として使用される材料は、上述した配線層83及び層間絶縁膜84の材料と同種のものを採用することができる。また、複数の配線層103や層間絶縁膜104が、1または2つ以上の材料を使い分けて形成されてもよい点も、上述した配線層83及び層間絶縁膜84と同様である。
【0086】
なお、
図5の例では、画素センサ基板12の多層配線層102は3層の配線層103で構成され、ロジック基板11の多層配線層82は4層の配線層83で構成されているが、配線層の総数はこれに限られず、任意の層数で形成することができる。
【0087】
シリコン基板101内には、PN接合により形成されたフォトダイオード51が、画素32ごとに形成されている。
【0088】
また、図示は省略されているが、多層配線層102とシリコン基板101には、第1転送トランジスタ52、第2転送トランジスタ54などの複数の画素トランジスタや、メモリ部(MEM)53なども形成されている。
【0089】
カラーフィルタ15とオンチップレンズ16が形成されていないシリコン基板101の所定の位置には、画素センサ基板12の配線層103aと接続されているシリコン貫通電極109と、ロジック基板11の配線層83aと接続されているチップ貫通電極105が、形成されている。
【0090】
チップ貫通電極105とシリコン貫通電極109は、シリコン基板101上面に形成された接続用配線106で接続されている。また、シリコン貫通電極109及びチップ貫通電極105のそれぞれとシリコン基板101との間には、絶縁膜107が形成されている。さらに、シリコン基板101の上面には、絶縁膜(平坦化膜)108を介して、カラーフィルタ15やオンチップレンズ16が形成されている。
【0091】
以上のように、
図1に示される固体撮像装置1の積層基板13は、ロジック基板11の多層配線層82側と、画素センサ基板12の多層配線層102側とを貼り合わせた積層構造となっている。
図5では、ロジック基板11の多層配線層82と、画素センサ基板12の多層配線層102との貼り合わせ面が、破線で示されている。
【0092】
また、固体撮像装置1の積層基板13では、画素センサ基板12の配線層103とロジック基板11の配線層83が、シリコン貫通電極109とチップ貫通電極105の2本の貫通電極により接続され、ロジック基板11の配線層83とはんだボール(裏面電極)14が、シリコン貫通電極88と再配線90により接続されている。これにより、固体撮像装置1の平面積を、極限まで小さくすることができる。
【0093】
さらに、積層基板13と保護部材18との間を、キャビティレス構造にして、シール部材17により貼り合わせることにより、高さ方向についても低くすることができる。
【0094】
したがって、
図1に示される固体撮像装置1によれば、より小型化した半導体装置(半導体パッケージ)を実現することができる。
【0095】
図6は、固体撮像装置の画素領域21を示す概略断面図である。画素領域21は、画素(有効画素)32を含む領域であり、画素領域21の上にはカラーフィルタ15およびオンチップレンズ16が設けられている。尚、画素領域21は、後述するように、OB(Optical Black)画素および/またはダミー画素を含んでいてもい。オンチップレンズ16上には、樹脂層としてのシール部材17が設けられており、その上に、保護部材18が設けられている。保護部材18は、シール部材17によってオンチップレンズ16上に接着されている。オンチップレンズ16上のシール部材17および保護部材18の厚みをTとする。
【0096】
図7は、リングフレアが発生する位置を示す説明図である。尚、
図7では、オンチップレンズ16の下にある構成の図示は省略されている。
【0097】
入射光Linが保護部材18およびシール部材17を介してオンチップレンズ16に入射する。オンチップレンズ16に入射した入射光Linのほとんどは、画素領域21において検出される。一方、入射光Linの一部は、オンチップレンズ16の表面において反射する。反射光の光源LSは、入射光Linがオンチップレンズ16で反射された反射光の光源を示す。反射光Lr1~Lrm(mは整数)は、回折反射光であり、例えば、Lr1は1次回折光であり、Lr2は2次回折光であり、Lr3は3次回折光であり、反射光Lrmはm次回折光である。mは回折次数である。尚、
図7では、回折次数mが4以上の高次回折光の図示は省略されている。
【0098】
ここで、反射光Lrmの回折角をθmとすると、回折次数mと回折角θmとの関係は、下記式1となる。
n×d×sinθm=m×λ (式1)
尚、nは保護部材18および/またはシール部材17の屈折率であり、dは画素32のセルサイズの2倍であり、λは入射光Linの波長である。式1によれば、回折次数mが大きくなるに従って、反射光Lrmの回折角θmも大きくなる。例えば、
図7の2次回折光Lr2の回折角θ2は、1次回折光Lr1の回折角θ1よりも大きく、3次回折光Lr3の回折角θ3は、2次回折光Lr2の回折角θ2よりも大きい。
【0099】
回折角θmが回折次数mとともに大きくなると、回折角θmが保護部材18の臨界角θcを超えるときがある。例えば、回折角θ1、θ2が臨界角θc未満であり、回折角θ3以降が臨界角θc以上であるとする。この場合、反射光Lr1、Lr2は、保護部材18から外部の空気中へ進み、リングフレアをほとんど生成しない。しかし、反射光Lr3以降の回折反射光は、保護部材18とその外部の空気との境界において全反射してオンチップレンズ16へ再入射し、リングフレアRFを生成する。尚、光源LSは、或る画素32のオンチップレンズ16の表面に位置し、リングフレアRFは、他の画素32のオンチップレンズ16の表面に位置する。従って、光源LSおよび反射光Lr3の入射位置の高さレベルは、ともにオンチップレンズ16の表面であり、ほぼ等しい。
【0100】
図8は、画素センサ基板12およびリングフレアRFを示す概略平面図である。光の入射方向(Z方向)から見た平面視において、光がZ方向から画素領域21に照射されたとする。このとき、リングフレアRFの原因となる反射光Lr3が画素領域21内に入射すると、反射光Lr3が画素領域21の画素32によって検出され、リングフレアRFが画像に映り込む。一方、リングフレアRFの原因となる反射光Lr3が画素領域21に入射せず、その外側に出ていると、リングフレアRFは、画像に映らない。即ち、リングフレアRFが画像に映り込まないようにするためには、画素領域21内のいずれの位置に光を照射しても、即ち、光源LSが画素領域21内のどの位置であっても、反射光Lr3が画素領域21に入射せず、画素領域21の外側に出るようにすればよい。
【0101】
例えば、
図8のリングフレアRF1は、画素領域21に重複しており、反射光Lr3が画素領域21内に入射していることを示している。よって、リングフレアRFが画像に映り込んでしまう。
図8のリングフレアRF2は、画素領域21に重複せず、反射光Lr3が画素領域21内に入射していないことを示している。よって、リングフレアRFは、画像に映り込まない。
【0102】
Z方向から見た平面視において、リングフレアRFは、画素領域21の任意の頂点から最も遠い頂点までの対角線Lの距離よりも大きければ、画像に映り込まない。例えば、
図8に示すように、画素領域21が略四角形であり、光源LSが画素領域21の1つの頂点にある場合、リングフレアRFの半径は、RF2のように、画素領域21の対角線Lよりも大きければよい。
【0103】
図9、
図10Aおよび
図10Bは、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面図である。
図9は、画素領域21の一端(角)の光源LSを図示している。反射光Lr1~Lrmが保護部材18の表面において回折角θ1~θmで入射している。尚、
図9では、回折次数mが4以上の高次回折光の図示は省略されている。また、本明細書および図面では、リングフレアRFの原因となる反射光Lr3の再入射位置を、リングフレアRFとも呼ぶ場合がある。
【0104】
ここで、光源LSからリングフレアRFまでの距離DLRを画素領域21の対角線Lよりも大きくするためには、保護部材18およびシール部材17の厚みTが式2を満たすようにすればよい。尚、θcは保護部材18から外部(空気)への反射光Lrの臨界角である。
T≧L/2/tanθc (式2)
【0105】
図9において、保護部材18およびシール部材17の厚みTは、式2を満たさず、距離DLRは、画素領域21の対角線Lよりも小さい。よって、リングフレアRFが画素領域21に入っており、画像に映り込んでしまう。
【0106】
一方、
図10Aに示す保護部材18およびシール部材17の厚みTは、
図9に示すそれよりも厚い。
図10Aの保護部材18およびシール部材17の厚みTは式2を満たすものとする。この場合、距離DLRは、画素領域21の対角線Lよりも大きくなり、リングフレアRFが画素領域21の外側へ出る。これにより、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制できる。勿論、この場合、回折次数mが4以上の反射光によるリングフレア(図示せず)も画素領域21の外側へ出ている。よって、反射光Lr3以降の高次回折反射光によるリングフレアRFが画像に映り込むことを抑制できる。つまり、本実施形態によれば、保護部材18およびシール部材17の厚みTが式2を満たすことによって、臨界角θc以上の回折角を有する全ての反射光のリングフレアが画素領域21に外側に出る。これにより、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制し、リングフレアRFの影響を抑制することができる。
【0107】
具体例として、保護部材18およびシール部材17がガラスである場合、ガラスから空気への光の臨界角θcは約41.5度である。さらに、画素領域21の対角線Lの距離が5mmであるとすると、保護部材18およびシール部材17の厚みTは、式2から約2.8mm以上にすればよい。
【0108】
尚、画素領域21がダミー画素を有する場合、対角線Lは、画素領域21の有効画素の対角線としてもよい。一方、対角線Lは、画素領域21の有効画素およびダミー画素の両方を含めた対角線としてもよい。また、画素領域21が多角形の場合、Lは、頂点間の距離の最大値とすればよい。
【0109】
このように、本実施形態によれば、保護部材18およびシール部材17の厚みTが式2を満たすようにすることによって、光源LSからリングフレアRFまでの距離DLRを、画素領域21の対角線Lよりも大きくすることができる。これにより、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制することができる。
【0110】
本実施形態において、1つの保護部材18を厚くしてもよく、複数の保護部材18を積層して全体としての厚みを厚くしてもよい。尚、保護部材18およびシール部材17の厚みTを厚くすることは、撮像装置の低背化(小型化)に反する。従って、保護部材18およびシール部材17の厚みTの上限は、撮像装置の厚みの許容範囲に応じて決定される。
【0111】
図10Aを参照して説明した上記実施形態は、入射光Linの光源があまり集光されず、入射光Linがほぼ平行に画素領域21に入射する場合に成り立つ。
【0112】
一方、
図10Bは、入射光Linが図示しないレンズ等で集光されている様子を示している。入射光Linが集光されている場合、入射光Linは、画素領域21のほぼ中心の直上の点から画素領域21へ放射状に入射する。従って、画素領域21の端部では、入射光Lin自体が斜めに入射する。このため、画素領域21の端部を光源LSとする反射光は、画素領域21の外部へ反射されリングフレアを生成しない。一方、画素領域21の中心部では、入射光LinがZ方向から略垂直に入射する。この場合、画素領域21の中心部を光源LSとする反射光が、リングフレアRFを発生させ得る。この場合、光源LSからリングフレアRFまでの距離DLRを画素領域21の中心部から端部までの距離L/2よりも大きくするためには、保護部材18およびシール部材17の厚みTが式3を満たすようにすればよい。
T≧L/4/tanθc (式3)
保護部材18およびシール部材17の厚みTが式3を満たすことによって、臨界角θc以上の回折角を有する全ての反射光のリングフレアが画素領域21に外側に出る。これにより、入射光Linを集光する場合であっても、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制し、リングフレアRFの影響を抑制することができる。
【0113】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図11は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0114】
第2実施形態によれば、凹レンズLNS1が画素領域21の保護部材18上に設けられている。凹レンズLNS1には、例えば、ガラス(SiO2)、ナイトライド(SiN)、サファイヤ(Al2O3)、樹脂等の透明材料が用いられる。低次の回折反射光(例えば、Lr1、L2)は、画素領域21および凹レンズLNS1の中心よりも光源LSに比較的近い凹レンズLNS1の表面に達する。この場合、低次の反射光Lr1、L2の回折角θ1、θ2は、凹レンズLNS1の曲面により、上記第1実施形態の回折角θ1、θ2よりもそれぞれ小さくなる。従って、低次の反射光Lr1、L2の回折角θ1、θ2は、臨界角θcを超え難く、凹レンズLNS1の表面を通過しやすい。
【0115】
一方、高次の反射光(例えば、Lr3)は、画素領域21および凹レンズLNS1の中心よりも光源LSから遠い凹レンズLNS1の表面に達する。この場合、高次の反射光Lr3の回折角θ3は、凹レンズLNS1の曲面により、第1実施形態の回折角θ3よりも逆に大きくなる。従って、回折角θ3は臨界角θcを容易に超え、高次の反射光Lr3は、オンチップレンズ16に達する前に画素領域21の外側に出射し易くなる。即ち、リングフレアRFは、画素領域21の外側に形成される。
【0116】
このように、保護部材18上に凹レンズLNS1を設けることによって、凹レンズLNS1の中心よりも光源LSに近い凹レンズLNS1の表面に達する低次反射光は、臨界角θcを超え難い。逆に、凹レンズLNS1の中心よりも光源LSから遠い凹レンズLNS1の表面に達する高次反射光は、画素領域21の外側に出射する。これにより、保護部材18およびシール部材17の厚みTを維持したまま、あるいは、あまり厚くすることなく、リングフレアRFの発生を抑制することができる。あるいは、距離DLRを画素領域21の対角線Lよりも大きくすることができ、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制することができる。
【0117】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第2実施形態は、第1実施形態の効果を得ることができる。
【0118】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図12は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0119】
第3実施形態によれば、凸レンズLNS2が画素領域21の保護部材18上に設けられている。凸レンズLNS2には、例えば、ガラス(SiO2)、ナイトライド(SiN)、サファイヤ(Al2O3)、樹脂等の透明材料が用いられる。凸レンズLNS2の曲面によって、回折反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmは、第1実施形態の回折角θ1~θmよりも小さくなる。従って、回折角θ1~θmは、臨界角θcを超え難くなっている。
回折角θ1~θmが臨界角θcを超えない条件は、式3で表される。
12.113×e0.92782×L/R≦θc (式3)
尚、式3は、凸レンズLNS2がガラスの場合である。Rは凸レンズLNS2の曲率半径である。
【0120】
このように、保護部材18上に凸レンズLNS2を設けることによって、保護部材18およびシール部材17の厚みTを維持したまま、あるいは、あまり厚くすることなく、リングフレアRFの発生を抑制することができる。その結果、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制することができる。
【0121】
第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第3実施形態は、第1実施形態の効果を得ることができる。
【0122】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図13は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0123】
第4実施形態によれば、保護部材18の下または保護部材18中にアクチュエータの一例として圧電素子PZが設けられている。圧電素子PZには、例えば、PbTiO
3等の透明な圧電材料が用いられる。圧電素子PZは、例えば、
図3の制御回路38によってコンタクトCNTを介して給電され、厚みが変化する。圧電素子PZの厚みが変化することにより、保護部材18およびシール部材17の厚みTが変化する。保護部材18およびシール部材17の厚みTを制御することにより、リングフレアRFの発生位置を制御することができる。
【0124】
第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第4実施形態は、第1実施形態の効果を得ることができる。
【0125】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図14は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0126】
第5実施形態によれば、保護部材18の側面に光吸収膜SHLDが設けられている。光吸収膜SHLDには、例えば、黒カラーフィルタ(樹脂)、光吸収率の高い金属(例えば、ニッケル、銅、炭素鋼)等が用いられる。光吸収膜SHLDは、例えば、全反射した反射光Lr3が保護部材18の側面から外部へ出射しないようにすることができる。これにより、反射光Lr3が外部にある他のデバイス(図示せず)に悪影響を与えないようにすることができる。また、光吸収膜SHLDは、反射光Lr3を吸収するので、画素領域21内の画素32にも入射しない。これにより、第5実施形態は、リングフレアRFの発生を抑制することができる。
【0127】
第5実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第5実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
尚、光吸収膜SHLDは、保護部材18の側面の全体に設けられてもよいが、その側面の上部または下部に部分的に設けられていてもよい。
【0129】
(第6実施形態)
図15は、第6実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図15は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0130】
第6実施形態によれば、保護部材18の上面に反射防止膜ARが設けられている。反射防止膜ARには、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、TiO2、MgF2、Al2O3、CeF3、ZrO2、CeO2、ZnSあるいはこれらの積層膜等が用いられる。反射防止膜ARは、入射光Linが保護部材18の表面で反射することを抑制するとともに、反射光Lr1~Lrmが保護部材18の表面において反射し難くする。これにより、固体撮像装置1の感度を向上させることができるとともに、反射光Lr1~Lrmが画素領域21に再入射することを抑制することができる。その結果、反射光Lr1~Lrmが外部にある他のデバイス(図示せず)に悪影響を与えないようにすることができる。また、リングフレアRFの発生を抑制することができる。
【0131】
第6実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第6実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0132】
第6実施形態による固体撮像装置1は、高感度カメラ等の用途に用いられ得る。
【0133】
(第7実施形態)
図16は、第7実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図16は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0134】
第7実施形態によれば、保護部材18の上面に赤外線カットフィルタIRCFが設けられている。赤外線カットフィルタIRCFには、例えば、反射防止設計としてシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、TiO2、MgF2、Al2O3、CeF3、ZrO2、CeO2、ZnSあるいはこれらの積層膜、または赤外吸収ガラス等が用いられる。赤外線カットフィルタIRCFは、入射光Linから赤外成分をカットし、それ以外の可視光成分を通過させる。これにより、固体撮像装置1は、可視光に基づく画像を生成することができる。
【0135】
第7実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第7実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0136】
第7実施形態による固体撮像装置1は、監視カメラ等の用途に用いられ得る。
【0137】
図17は、第6実施形態の変形例による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図17の変形例では、赤外線カットフィルタIRCFが保護部材18内の中間部に設けられている。このように、赤外線カットフィルタIRCFは、保護部材18内の中間部に設けられても本実施形態の効果は失われない
【0138】
(第8実施形態)
図18は、第8実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図18は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0139】
第8実施形態によれば、保護部材18の上面にフレネルレンズLNS3が設けられている。フレネルレンズLNS3には、例えば、ガラス(SiO2)、ナイトライド(SiN)、サファイヤ(Al2O3)、樹脂等の透明材料が用いられる。フレネルレンズLNS3は、凸レンズLNS2と同様に、曲面によって回折反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmを小さくする。従って、回折角θ1~θmは、臨界角θcを超え難くなっている。フレネルレンズLNS3を用いることによって、固体撮像装置1は、第3実施形態のそれよりも高さを低くすることができる。第8実施形態のその他の構成は、第3実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第8実施形態は、第3実施形態の効果を得ることができる。
図示しないが、フレネルレンズLNS3は、凹レンズLNS1と同様の特性を有するように構成してもよい。これにより、第8実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0140】
(第9実施形態)
図19は、第9実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図19は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0141】
第9実施形態によれば、保護部材18の上面にメタレンズLNS4が設けられている。メタレンズLNS4は、回折反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmを臨界角θcよりも小さくし、あるいは、リングフレアRFを画素領域21の外側に出すことができる。即ち、メタレンズLNS4は、凸レンズLNS2または凹レンズLNS1のように機能することができる。これにより、第9実施形態は、第2または第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0142】
(第10実施形態)
図20は、第10実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図20は、
図8の画素領域21の対角線Lの方向に沿った概略断面に対応する。
【0143】
第10実施形態によれば、保護部材18の上面にピンホールPHを有する遮光膜SHLD2が設けられている。遮光膜SHLD2には、例えば、ニッケル、銅等の遮光性金属が用いられる。遮光膜SHLD2の中心には、ピンホールPHが設けられており、入射光Linは、このピンホールPHのみから入射する。ピンホールPHは、遮光膜SHLD2のほぼ中心に設けられている。これにより、回折反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmを臨界角θcよりも小さくすることができる。これにより、第10実施形態は、リングフレアRFの発生を抑制することができる。第10実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0144】
(画素32のサイズと保護部材18の厚みとの関係)
図9または
図10Aに示す画素32のサイズが変わると、オンチップレンズ16の大きさが変わる。従って、リングフレアRFが画像に映り込まない適切な保護部材18およびシール部材17の厚みTは、画素32のサイズに依っても変わる。例えば、Z方向から見た画素32のサイズ(幅)が第1幅W1のときに、保護部材18およびシール部材17の厚みが第1厚みT1以上である場合に、リングフレアRFが画像に映り込まないものとする。この場合、画素32の幅が第1幅W1よりも小さい第2幅W2(W2<W1)のとき、保護部材18およびシール部材17の厚みは、第1厚みT1よりも厚い第2厚みT2(T2>T1)以上にすることが好ましい。これは、画素32のサイズが小さくなることに伴って、オンチップレンズ16も小さくなり、反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmが大きくなるからである。
【0145】
例えば、第2幅W2が第1幅W1の2分の1である場合、回折角θ1~θmはそれぞれ約2倍となり、第2厚みT2は、第1厚みT1の約2倍以上にすることが好ましい。例えば、画素32のサイズ(対角線Lの長さ)が約2μmの場合に、回折角θ3が約20度であった。これに対し、画素32のサイズ(対角線Lの長さ)が約1μmとした場合、回折角θ3が約40度となる。この場合、厚みT2は、厚みT1の約2倍以上にすればよい。つまり、画素32のサイズが小さくなると、反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmが大きくなり、臨界角θcを超えやすくなる。従って、画素32のサイズが小さいほど、保護部材18の厚みを厚くすることが好ましい。これにより、リングフレアRFが画像に映り込むことを効果的に抑制することができる。
【0146】
(第11実施形態)
図21は、第11実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図22は、第11実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略平面図である。
図21および
図22は、1つの画素32の概略断面および概略平面を示している。
【0147】
第11実施形態では、複数のオンチップレンズ16が画素32のそれぞれに対して設けられている。例えば、1つの画素32に対して4つの同一オンチップレンズ16が略均等に配置されている。即ち、
図22に示すように、4つのオンチップレンズ16が1つの画素32上に2行2列で配置されている。
【0148】
このように、オンチップレンズ16と画素32とが1対1で対応しておらず、複数のオンチップレンズ16が1つの画素32上に略均等に配置されていることによって、反射光Lr1~Lrmが分散される。その結果、リングフレアRFも分散され、画像に映り込むリングフレアRFの輪郭をぼかすことができる。
【0149】
第11実施形態のその他の構成は、上記実施形態のいずれかの構成と同様でよい。これにより、第11実施形態は、他の実施形態の効果も得ることができる。尚、画素センサ基板12およびフォトダイオード51の上には、保護膜215が形成されている。保護膜215には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられている。保護膜215の上には、隣接する画素32間に設けられた遮光膜SHLD3が設けられている。遮光膜SHLD3には、例えば、ニッケル、銅等の遮光性金属が用いられる。遮光膜SHLD3は、隣接する画素32への光の漏れ込みを抑制する。保護膜215および遮光膜SHLD3の上には、カラーフィルタ15を形成する領域を平坦化するための平坦化膜217が形成されている。平坦化膜217には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。平坦化膜217の上には、カラーフィルタ15が形成されている。カラーフィルタ15には、複数のカラーフィルタが画素毎に設けられており、各カラーフィルタの色は、例えば、ベイヤ配列に従って並べられている。
【0150】
(第12実施形態)
図23は、第12実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図24は、第12実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略平面図である。
図23および
図24は、1つの画素32の概略断面および概略平面を示している。
【0151】
第12実施形態では、1つの画素32に対して9個の同一オンチップレンズ16が略均等に配置されている。即ち、
図24に示すように、9つのオンチップレンズ16が1つの画素32上に3行3列で配置されている。
【0152】
このように、複数のオンチップレンズ16が1つの画素32上に略均等に配置されていることによって、反射光Lr1~Lrmが分散される。その結果、リングフレアRFも分散され、画像に映り込むリングフレアRFの輪郭をぼかすことができる。
【0153】
第12実施形態のその他の構成は、上記実施形態のいずれかの構成と同様でよい。これにより、第12実施形態も、他の実施形態の効果も得ることができる。
【0154】
さらに、図示しないが、k行k列(kは4以上の整数)のオンチップレンズ16が1つの画素32上に略均等に配置されていてもよい。kを増大させることによって、反射光Lr1~Lrmがさらに分散され、画像に映り込むリングフレアRFの輪郭をさらにぼかすことができる。
【0155】
(第13実施形態)
図25は、第13実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
図26は、第13実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略平面図である。
図25および
図26は、1つの画素32の概略断面および概略平面を示している。
【0156】
第13実施形態では、複数の画素32に対して1つのオンチップレンズ16が設けられている。例えば、
図26に示すように、1つのオンチップレンズ16が2行2列の4つの画素32上に配置されている。
【0157】
このように、1のオンチップレンズ16が複数の画素32上に配置されていることによって、回折反射光Lr1~Lrmの回折角θ1~θmが緩和(低下)し、臨界角θcを超える反射光が少なくなる。例えば、1つのオンチップレンズ16が4つの画素32上に配置されている場合、臨界角θcを超える反射光は4分の1になる。その結果、リングフレアRFが画像に映り込むことを抑制することができる。
【0158】
第13実施形態のその他の構成は、上記実施形態のいずれかの構成と同様でよい。これにより、第13実施形態も、他の実施形態の効果も得ることができる。
【0159】
図示しないが、さらに、1つのオンチップレンズ16がk行k列(kは3以上の整数)の画素32上に配置されていてもよい。kを増大させることによって、臨界角θcを超える反射光がさらに少なくなり、リングフレアRFが画像に映り込むことをさらに抑制することができる。
【0160】
(第14実施形態)
図27は、第14実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
【0161】
第14実施形態では、画素32とオンチップレンズ16との間に設けられたカラーフィルタ15内に遮光膜SHLD3が設けられている。遮光膜SHLD3には、例えば、ニッケル、銅等の遮光性金属が用いられる。遮光膜SHLD3は、隣接する画素32間上に設けられており、隣接する画素32間の光の漏れ(クロストーク)を抑制することができる。
【0162】
第14実施形態のその他の構成は、上記実施形態のいずれかの構成と同様でよい。これにより、第14実施形態は、他の実施形態の効果も得ることができる。
【0163】
(第15実施形態)
図28は、第15実施形態による固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。
【0164】
第15実施形態では、カラーフィルタ15内の遮光膜SHLD3上に遮光膜SHLD4がさらに設けられている。遮光膜SHLD4には、例えば、ニッケル、銅等の遮光性金属が用いられる。遮光膜SHLD4は、隣接する画素32間の上方に設けられており、遮光膜SHLD3とともに、隣接する画素32間の光の漏れ(クロストーク)をさらに抑制することができる。
【0165】
第15実施形態のその他の構成は、上記実施形態のいずれかの構成と同様でよい。これにより、第15実施形態は、他の実施形態の効果も得ることができる。
【0166】
(変形例)
図29は、変形例による固体撮像装置1の構成例を示す概略断面図である。
【0167】
図29の変形例では、下側基板(ロジック基板)11と上側基板(画素センサ基板)12の接続方法が、
図5の基本構造と異なる。
【0168】
即ち、
図5の基本構造では、ロジック基板11と画素センサ基板12が、シリコン貫通電極151とチップ貫通電極152の2本の貫通電極を用いて接続されていたのに対して、本変形例では、ロジック基板11の多層配線層82内の最上層の配線層83aと、画素センサ基板12の多層配線層102内の最下層の配線層103cの金属結合(Cu-Cu接合)により接続されている。
【0169】
本変形例において、固体撮像装置1下側のはんだボール14との接続方法は、
図5の基本構造と同様である。すなわち、シリコン貫通電極88がロジック基板11の最下層の配線層83cと接続されることにより、はんだボール14と積層基板13内の配線層83及び配線層103とが接続されている。
【0170】
一方、本変形例においては、シリコン基板81の下面側に、はんだボール14が接続される再配線90と同一層に、電気的にはどこにも接続されていないダミー配線211が、再配線90と同一の配線材料で形成されている点が、
図5の基本構造と異なる。
【0171】
このダミー配線211は、ロジック基板11側の最上層の配線層83aと、画素センサ基板12側の最下層の配線層103cの金属結合(Cu-Cu接合)時の凹凸の影響を低減するためのものである。すなわち、Cu-Cu接合を行う際に、シリコン基板81の下面の一部の領域のみに再配線90が形成されていると、再配線90の有無による厚みの差で凹凸が発生する。従って、ダミー配線211を設けることで、凹凸の影響を低減することができる。
【0172】
(画素領域21の変形例1)
図30は、本技術を適用した撮像装置の主な構成例を示す図である。撮像素子100は、裏面照射型のCMOSイメージセンサである。撮像素子100の光照射面には、中央部に有効画素領域1101が形成され、その有効画素領域1101の周囲を囲むようにOB画素領域1102が形成される。また、そのOB画素領域1102の周囲を囲むようにダミー画素領域1103が形成され、さらにその外側は周辺回路が形成される周辺回路1104となっている。
【0173】
図31は、この撮像素子100の、各領域の構成を説明するための断面図である。図中上側が、光照射面(裏面側)となる。すなわち、被写体からの光は、図中上から下に向かって撮像素子100に入射する。
【0174】
撮像素子100は、その入射光の進行方向に対して多層構造を有する。つまり、撮像素子100に入射された光は、各層を透過するように進行する。
【0175】
なお、
図31においては、有効画素領域1101乃至ダミー画素領域1103の一部の画素(各領域の境界近傍)の構成と、周辺回路1104の一部の構成のみが示されている。
【0176】
有効画素領域1101乃至ダミー画素領域1103において、撮像素子100の半導体基板1120には、フォトダイオード等の光電変換素子であるセンサ部1121が画素毎に形成される。このセンサ部1121同士の間は、画素分離領域1122となる。
【0177】
有効画素領域1101乃至ダミー画素領域1103の各画素の構成は、基本的に同様である。ただし、有効画素領域1101は、入射した光を光電変換し、画像を形成するための画素信号を出力する。ダミー画素領域1103は、有効画素領域1101およびOB画素領域1102の画素特性を安定させるために設けられた領域であるので、この領域の画素出力は、基本的に使用されない(暗出力(黒レベル)基準には用いられない)。なお、ダミー画素領域1103は、カラーフィルタ層1153や集光レンズ1154形成時のOB画素領域1102から周辺回路1104までのパターン間差による形状変化を抑制する役目も担っている。
【0178】
また、OB画素領域1102とダミー画素領域1103の各画素は、絶縁膜1151中に形成される遮光膜1152により、その画素から光が入射しないように遮光されている。したがって理想的には、OB画素領域からの画素信号が暗出力(黒レベル)基準となる。実際には、有効画素領域1101からの光の回り込み等により画素値が浮いてしまうことがあるので、撮像素子100は、この影響を抑制するように構成されている。
【0179】
例えば、OB画素領域1102の各画素のセンサ部1121は、感度を低下させるために、半導体基板1120の深部まで形成されず、表面側の浅い領域のみに形成されている。
【0180】
また、半導体基板1120の、有効画素領域1101の各画素のセンサ部1121と交わらない程深部(裏面側)には、OB画素領域1102からダミー画素領域1103に対して、電子の通り道となる伝送路領域1123が形成されている。
【0181】
半導体基板1120の表面側には、シリコン(Si)-配線層間膜界面1131と配線層1140が積層される。配線層1140には、複数層の配線1141と、絶縁材により構成される、各配線1141間の配線層間膜1142とが形成される。
【0182】
半導体基板1120の裏面側には、絶縁膜1151、カラーフィルタ層1153、および集光レンズ1154が積層される。上述したように、OB画素領域1102とダミー画素領域1103の絶縁膜1151内には、光を遮光する遮光膜1152が形成される。これにより画像での黒レベル設定と、周辺回路への光入射によるデバイス弊害の防止とを実現している。
【0183】
周辺回路1104には、読み出しゲート、読み出した信号電荷を垂直方向に転送する垂直電荷転送部、および、水平電荷転送部等が形成される。
【0184】
本技術は、上記変形例1による画素領域21にも適用してもよい。画素領域21は、有効画素領域1101のみであってもよいが、有効画素領域1101に加えて、OB画素領域1102および/またはダミー画素領域1103をさらに含んでいてもよい。
【0185】
(画素領域21の変形例2)
【0186】
図32は、半導体パッケージ200の構成を模式的に平面視したときの図である。半導体パッケージ200は、有効感光領域A1、有効感光領域外A2、終端部A3に大きく分かれる。
【0187】
有効感光領域A1は、シリコン基板213の表面に設けられたフォトダイオード214を有する画素が配置されている領域である。有効感光領域外(外部領域)A2は、フォトダイオード214を有する画素が配置されていない領域であり、有効感光領域A1の周りに設けられた領域である。終端部A3は、例えば、ウエハから半導体パッケージ200を切り分けるための領域であって、半導体パッケージ200の端部(以下、チップ端と称する)を含む領域である。終端部A3は、有効感光領域外A2の周りに設けられている。
【0188】
ところで、マイクロレンズ層220は、第1の有機材料層219と第2の有機材料層222に挟まれた状態とされている。近年のCSP(Chip Size Package)においては、低背化、小型化を実現するために、キャビティレスCSPが普及しつつある。このキャビティレスCSPにおいては、空間に充填する低屈材樹脂(第2の有機材料層222に該当)と、マイクロレンズ層220とで屈折率に差を付けるために、マイクロレンズ層220の材料として高屈折率(高屈)を持つ無機材料SiNが用いられることが多い。
【0189】
このような構造においては、マイクロレンズ層220を構成するSiNは、高い膜応力を有し、そのようなマイクロレンズ層220の周辺は第2の有機材料層222としての樹脂で囲まれている状態である。このような状態だと、高温時にマイクロレンズ層220の周辺の第2の有機材料層222が軟化して膜応力が解放され、マイクロレンズ層220のレンズの変形が発生してしまう可能性がある。レンズの変形が発生すると、シューディングや色むらなどの画質の劣化が発生する可能性があるため、このようなレンズの変形を防ぐ必要がある。
【0190】
そこで、
図33に示したように、有効感光領域外A2の部分に、ダミーレンズ251を設ける。ダミーレンズ251は、マイクロレンズ層220と同一の材料(無機材料SiN(窒化ケイ素、シリコンナイトライド)など)が用いられ、マイクロレンズ層220のレンズと同一の大きさ、形で形成される。換言すれば、マイクロレンズ層220は、本来、有効感光領域外A2に設ける必要はないが、有効感光領域外A2にもマイクロレンズ層220を延長し、ダミーレンズ251として設けることで、レンズの変形を防ぐことが可能となる。
【0191】
このようなダミーレンズ251の形成は、マイクロレンズ層220の形成時に形成することができるため、工程数が増加することなく、形成することが可能である。
【0192】
このように、マイクロレンズ層220と単位面積当たりの力と同一の力を有する構造体を、マイクロレンズ層220と同一の材料(無機材料)と同一の材料で有効画素領域外A2に構成することで、マイクロレンズ層220とダミーレンズ251とで応力のバランスをとることができる。
【0193】
終端部A3には、マイクロレンズ層220のレンズとは異なる形状であるが、マイクロレンズ層220やダミーレンズ251と同一の材料で、有効感光領域外A2からのダミーレンズ251からの延長として、平坦な膜302が設けられている。なお膜302は、マイクロレンズ層やダミーレンズ251と同一の材料でなくても良い。
【0194】
このように、ダミーレンズ251を設けることで、有効感光領域A1のマイクロレンズ層220とダミーレンズ251とで応力のバランスをとることができ、マイクロレンズ層220に変形が発生するようなことを防ぐことが可能となる。
【0195】
本技術は、上記変形例2による画素領域21にも適用してもよい。
【0196】
本技術は、上記変形例2による画素領域21にも適用してもよい。画素領域21は、以下の有効画素領域A1のみであってもよいが、有効画素領域A1に加えて、有効感光領域外A2および/または終端部A3をさらに含んでいてもよい。
【0197】
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0198】
図34は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0199】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図34に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0200】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0201】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0202】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0203】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0204】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0205】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0206】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0207】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0208】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図34の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0209】
図35は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0210】
図35では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0211】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0212】
なお、
図35には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0213】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0214】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0215】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0216】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0217】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031等に適用され得る。
【0218】
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備え、
前記樹脂層および前記保護部材の厚みをTとし、光の入射方向から見た前記画素領域の対角線の長さをLとし、前記保護部材の臨界角をθcとすると、
T≧L/2/tanθc (式2)
T≧L/4/tanθc (式3)
式2または式3を満たす、撮像装置。
(2)
前記保護部材にはガラスが用いられ、
臨界角θcは、約41.5°である、(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記保護部材上に設けられた凹レンズをさらに備える、(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記保護部材上に設けられた凸レンズをさらに備える、(1)または(2)に記載の撮像装置。
(5)
前記保護部材の下または前記保護部材中に設けられ、該保護部材の厚みを変更するアクチュエータをさらに備える、(1)または(2)に記載の撮像装置。
(6)
前記保護部材の側面に設けられた光吸収膜をさらに備える、(1)から(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(7)
前記保護部材上に設けられた反射防止膜をさらに備える、(1)から(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(8)
前記保護部材上または該保護部材内に設けられた赤外線カットフィルタをさらに備える、(1)から(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(9)
前記保護部材上に設けられたフレネルレンズをさらに備える、(1)から(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(10)
前記保護部材上に設けられたメタレンズをさらに備える、(1)から(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(11)
前記保護部材上に設けられ、孔を有する遮光膜をさらに備える、(1)から(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(12)
前記入射方向から見た平面視において、前記画素の幅が第1幅W1のときに、前記厚みTが第1厚みT1以上であり、
前記画素の幅が前記第1幅よりも小さい第2幅W2(W2<W1)のときに、前記厚みTは前記第1厚みT1よりも厚い第2厚みT2(T2>T1)以上である、(1)から(11)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(13)
第2幅W2が前記第1幅W1の2分の1である場合、前記第2厚みT2は、前記第1厚みT1の2倍である、(12)に記載の撮像装置。
(14)
前記画素のそれぞれに対して複数のオンチップレンズが設けられている、(1)から(13)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(15)
複数の前記画素に対して1つのオンチップレンズが設けられている、(1)から(13)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(16)
前記画素領域と前記オンチップレンズとの間に設けられたカラーフィルタと、
隣接する前記画素間上の前記カラーフィルタ内に設けられた第1遮光膜とをさらに備える、(1)から(15)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(17)
隣接する前記画素間上の前記第1遮光膜上に第2遮光膜をさらに備える、(16)に記載の撮像装置。
(18)
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層と、
前記保護部材上に設けられたレンズとを備える、撮像装置。
(19)
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられ、前記画素ごとに設けられた複数のオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備える、撮像装置。
(20)
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられ、複数の前記画素ごとに設けられたオンチップレンズと、
前記オンチップレンズ上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備える、撮像装置。
(21)
光電変換を行う複数の画素が配列された画素領域と、
前記画素領域上に設けられ、複数の前記画素ごとに設けられたオンチップレンズと、
前記画素領域と前記オンチップレンズとの間に設けられたカラーフィルタと、
隣接する前記画素間上の前記カラーフィルタ内に設けられた第1遮光膜と、
前記カラーフィルタおよび前記第1遮光膜上に設けられた保護部材と、
前記オンチップレンズと前記保護部材との間を接着する樹脂層とを備える、撮像装置。
(22)
前記画素領域は、画像を生成するために用いられる画素信号を出力する有効画素領域を少なくとも含む、(1)から(21)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(23)
前記画素領域は、暗出力の基準となる画素信号を出力するOB(Optical Black)画素領域をさらに含む、(22)に記載の撮像装置。
(24)
前記OB画素領域は、前記有効画素領域の周囲を囲むように設け得られている、(23)に記載の撮像装置。
(25)
前記画素領域は、前記有効画素領域の特性を安定させるダミー画素領域をさらに含む、(23)に記載の撮像装置。
(26)
前記ダミー画素領域は、前記OB画素領域の周囲を囲むように設け得られている、(25)に記載の撮像装置。
(27)
前記画素領域は、フォトダイオードを有する画素が配置された有効感光領域を含む、(1)から(21)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(28)
前記画素領域は、フォトダイオードを有する画素が配置されていない外部領域をさらに含む、(27)に記載の撮像装置。
(29)
前記外部領域は、前記有効感光領域の周りに設けられている、(28)に記載の撮像装置。
(30)
前記画素領域は、ウエハから半導体パッケージを切り分ける終端領域をさらに含む、(29)に記載の撮像装置。
(31)
前記終端領域は、前記外部領域の周りに設けられている、(30)に記載の撮像装置。
【0219】
尚、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0220】
1 固体撮像装置、11 下側基板、12 上側基板、15 カラーフィルタ、16 オンチップレンズ、17 シール樹脂、18 保護部材、21 画素領域、22 制御回路、23 ロジック回路、32 画素