(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075807
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20240529BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20240529BHJP
H01R 13/631 20060101ALN20240529BHJP
【FI】
H01R13/533 D
H01R13/46 A
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059337
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB20
5E021HB05
5E021HC16
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF02
5E087FF12
5E087LL22
5E087MM05
5E087MM08
5E087RR15
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で、機器側コネクタに対する電線側コネクタの変位を抑制することができる、新規な構造のコネクタユニットを開示する。
【解決手段】コネクタユニット10は、機器側コネクタ14は、機器側端子18と機器側ハウジング20を有し、電線側コネクタ16は、電線側端子56と電線側ハウジング58を有し、電線側ハウジング58は、一端側に機器側ハウジング20への嵌合部60を有し、他端側に電線保持部62を有し、電線保持部62から、機器側コネクタ14と電線側コネクタ16の嵌合方向と交差する方向に、電線54が延出しており、機器側ハウジング20は、嵌合方向で電線側コネクタ16の嵌合部60が載置される載置面37と、載置面37から嵌合方向に突出して、電線54の延出方向で嵌合部60の外側周壁61aの外周面に接触する変位規制部44a,44b,46a,46bを有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に固定される機器側コネクタと、前記機器側コネクタに接続される電線側コネクタを含む、コネクタユニットであって、
前記機器側コネクタは、機器側端子と前記機器側端子を収容して前記機器に固定される機器側ハウジングを有し、
前記電線側コネクタは、電線の端末に接続された電線側端子と、前記電線側端子を収容して前記機器側ハウジングに嵌合される電線側ハウジングを有し、
前記電線側ハウジングは、一端側に前記機器側ハウジングへの嵌合部を有し、他端側に電線保持部を有し、前記電線保持部から、前記電線が延出しており、
前記機器側ハウジングは、嵌合方向で前記電線側コネクタの前記嵌合部が載置される載置面と、前記載置面から前記嵌合方向に突出して、前記嵌合部の周壁の外周面に接触する変位規制部を有している、
コネクタユニット。
【請求項2】
前記電線側ハウジングの前記嵌合部を間に配置した両側の部位に、前記変位規制部がそれぞれ設けられている、請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記機器側コネクタは、前記載置面から前記嵌合方向に突出して、隙間を隔てて前記変位規制部に対向して配置され、前記嵌合部の前記周壁の内周面に接触する対向壁部を有している、請求項1または請求項2に記載のコネクタユニット。
【請求項4】
前記変位規制部が、延在して設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタユニット。
【請求項5】
前記変位規制部が、相互に離隔する複数箇所に点在して設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器側コネクタと機器側コネクタに接続される電線側コネクタを含む、コネクタユニットが開示されている。機器側コネクタは、機器側端子と機器側端子を収容して機器に固定される機器側ハウジングを有している。電線側コネクタは、電線の端末に接続された電線側端子を収容して機器側ハウジングに嵌合される電線側ハウジングを有している。電線側ハウジングは、一端側に機器側ハウジングへの嵌合部、他端側に電線保持部を有しており、電線保持部から、機器側コネクタと電線側コネクタの嵌合方向と交差する方向に、電線が延出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコネクタユニットでは、機器側コネクタと電線側コネクタのハウジング同士が、ボルト締結されることにより相互に固定されているが、近年の車両の小型化・省スペース化の影響により、ボルト締結構造を採用できない場合がある。そこで、機器側ハウジングと電線側ハウジングの間に複数のロック構造を設けることが考えられる。
【0005】
ところが、ロック構造を構成する係止部と被係止部の間には嵌合後に隙間が生じることから、車載時の振動等により、機器側コネクタに対する電線側コネクタの変位が発生する。その結果、機器側端子と電線側端子の接点間に微摺動摩擦が生じて接触抵抗値が増大するおそれがあった。
【0006】
そこで、簡易な構造で、機器側コネクタに対する電線側コネクタの変位を抑制することができる、新規な構造のコネクタユニットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタユニットは、機器に固定される機器側コネクタと、前記機器側コネクタに接続される電線側コネクタを含む、コネクタユニットであって、前記機器側コネクタは、機器側端子と前記機器側端子を収容して前記機器に固定される機器側ハウジングを有し、前記電線側コネクタは、電線の端末に接続された電線側端子と、前記電線側端子を収容して前記機器側ハウジングに嵌合される電線側ハウジングを有し、前記電線側ハウジングは、一端側に前記機器側ハウジングへの嵌合部を有し、他端側に電線保持部を有し、前記電線保持部から、前記電線が延出しており、前記機器側ハウジングは、嵌合方向で前記電線側コネクタの前記嵌合部が載置される載置面と、前記載置面から前記嵌合方向に突出して、前記嵌合部の周壁の外周面に接触する変位規制部を有している、コネクタユニットである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のコネクタユニットによれば、簡易な構造で、機器側コネクタに対する電線側コネクタの変位を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、機器側コネクタに電線側コネクタが嵌合されたコネクタユニットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のコネクタユニットを別の方向から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1におけるIII-III断面拡大図であって、機器側ハウジングと電線側ハウジングのみを示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の電線側コネクタを別の方向から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4のコネクタユニットの機器側端子と電線側端子を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る、機器側コネクタに電線側コネクタが嵌合されたコネクタユニットを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7のコネクタユニットを別の方向から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態3に係る、コネクタユニットを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタユニットは、
(1)機器に固定される機器側コネクタと、前記機器側コネクタに接続される電線側コネクタを含む、コネクタユニットであって、前記機器側コネクタは、機器側端子と前記機器側端子を収容して前記機器に固定される機器側ハウジングを有し、前記電線側コネクタは、電線の端末に接続された電線側端子と、前記電線側端子を収容して前記機器側ハウジングに嵌合される電線側ハウジングを有し、前記電線側ハウジングは、一端側に前記機器側ハウジングへの嵌合部を有し、他端側に電線保持部を有し、前記電線保持部から、前記電線が延出しており、前記機器側ハウジングは、嵌合方向で前記電線側コネクタの前記嵌合部が載置される載置面と、前記載置面から前記嵌合方向に突出して、前記嵌合部の周壁の外周面に接触する変位規制部を有している、コネクタユニットである。
【0011】
先ず、本発明者は、機器側コネクタに対する電線側コネクタの変位の原因について、鋭意検討した。電線側コネクタにおいて、機器側コネクタに嵌合される嵌合部から離れた位置に電線保持部が設けられており、電線保持部から電線が延出している。そのため、車載時の振動等により、嵌合部を中心として嵌合部から離隔する方向に延び出す電線をアームとする回転変位力が電線側コネクタに及ぼされることを見出した。そこで、本開示のコネクタユニットでは、機器側ハウジングの電線側コネクタの嵌合部が載置される載置面において、機器側コネクタと電線側コネクタの嵌合方向に突出する変位規制部を設けた。変位規制部は、嵌合部の周壁の外周面に接触している構造を採用した。電線側ハウジングの嵌合部を中心として嵌合部から離隔する方向に延び出す電線をアームとする回転変位力が電線側コネクタに及ぼされた際には、電線側ハウジングの嵌合部の周壁の外周面が変位規制部に押圧される。これにより、電線側コネクタの回転方向の変位が防止または抑制される。その結果、機器側ハウジングの載置面に突出する変位規制部を設けるという簡易な構造で、機器側コネクタに対する電線側コネクタの変位を抑制することができる。それゆえ、機器側端子と電線側端子の接点間に微摺動摩擦が生じることを防止または抑制して、良好な接触抵抗値を安定して維持し得る。
【0012】
(2)前記電線側ハウジングの前記嵌合部を間に配置した両側の部位に、前記変位規制部がそれぞれ設けられている、ことが好ましい。電線側ハウジングの嵌合部を間に配置した両側で、電線側ハウジングの嵌合部の周壁の外周面が変位規制部に押圧されることから、電線側ハウジングの嵌合部を中心として電線をアームとする電線側コネクタの回転方向の変位を一層安定して防止または抑制することができる。
【0013】
(3)前記機器側コネクタは、前記載置面から前記嵌合方向に突出して、隙間を隔てて前記変位規制部に対向して配置され、前記嵌合部の前記周壁の内周面に接触する対向壁部を有している、ことが好ましい。機器側コネクタが、隙間を隔てて変位規制部に対向して配置され、嵌合部の周壁の内周面に接触する対向壁部を有している。それゆえ、変位規制部と対向壁部の間に嵌合部の周壁が挟まれている構造となる。その結果、電線側コネクタの回転方向の変位に際して、変位規制部に押圧された嵌合部の周壁を、対向壁部で保持することができ、電線側コネクタの嵌合部の周壁の変形を阻止して、電線側コネクタの回転方向の変位を一層安定して防止または抑制することができる。
【0014】
(4)前記変位規制部が、延在して設けられている、ことが好ましい。変位規制部が延在して設けられていることから、電線側ハウジングの嵌合部の周壁を広い範囲で安定して保持することができ、電線側コネクタの回転方向の変位を一層安定して防止または抑制することができる。また、変位規制部の剛性の向上を図ることもできる。
【0015】
(5)前記変位規制部が、相互に離隔する複数箇所に点在して設けられている、ことが好ましい。変位規制部が相互に離隔する複数箇所に点在して設けられていることから、電線側ハウジングの嵌合部の周壁を広い範囲で安定して保持することができる。それゆえ、電線側コネクタの回転方向の変位を一層安定して防止または抑制することができる。また、電線側ハウジングが合成樹脂製とされた場合には、変位規制部の射出成型時のひけ等の変形を有利に抑制できる。
【0016】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のコネクタユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のコネクタユニット10について、
図1から
図6を用いて説明する。
図3に示すように、コネクタユニット10は、インバータ等の機器11の筐体12の一部に固定された機器側コネクタ14と、機器側コネクタ14に接続される電線側コネクタ16を含んでいる。なお、コネクタユニット10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上下方向,左右方向,前後方向を、図中に示す上下方向,左右方向および前後方向を基準として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0018】
<機器側コネクタ14>
図4に示すように、機器側コネクタ14は、一対の機器側端子18,18と、一対の機器側端子18,18を収容して機器11に固定される機器側ハウジング20を有している。
【0019】
<機器側ハウジング20>
図4に示すように、機器側ハウジング20は合成樹脂製であり、前後方向および左右方向に延出する矩形平板状の固定部22を有している。固定部22の四隅には、図示しないボルトを用いて機器側コネクタ14を筐体12に固定するためのボルト挿通孔24が貫設されている。固定部22の中央部には、上方に向かって突出されかつ上方に開口する、前方側筒状部26aと後方側筒状部26bが設けられている。ここで、前方側に突設された前方側筒状部26aの突出寸法が、後方側に突設された後方側筒状部26bの突出寸法よりも、大きくされている。前方側筒状部26aの外周面の前面には、左右方向中央部において上下方向の全長に亘って延びる位置決め突条28が設けられ、位置決め突条28の左方に離隔した位置には左右方向に離隔して上下方向の全長に亘って延びる一対の位置決め突条30,30が設けられている。また、後方側筒状部26bの外周面の後面には、左右方向中央部において上下方向の全長に亘って延びる位置決め突条32が設けられている。加えて、前方側筒状部26aの外周面の側面における後端部には、上下方向中央部において左右方向外方に向かって突出する一対の円筒状のロック係合突部34,34が設けられている。なお、機器側ハウジング20を構成する固定部22の上面は、後述する電線側コネクタ16との嵌合方向で電線側コネクタ16の嵌合部60が載置される載置面37とされている。
【0020】
また、前方側筒状部26aの内側には、後方および左右方向に離隔した位置に、一対の半筒状の筒部38,38が後方および上方に開口して設けられている。一対の半筒状の筒部38,38は、前方側筒状部26aよりも固定部22から上方に向かって高く突出している。一対の半筒状の筒部38,38は、前方側筒状部26aと対向する壁部の上半分がスリット40によって周方向に離隔し片持ち梁状となるように構成されている。
【0021】
さらに、固定部22の前端部の左右方向中央部には、上方に突出しかつ左右方向に延びる前側突条部44が設けられ、固定部22の後端部の左右方向中央部には、上方に突出しかつ左右方向に延びる後側突条部46が設けられている。前側突条部44は、中央部において後方に向かって突出する突起状の変位規制部44aと、右端側において変位規制部44aよりも幅広に後方に向かって突出する突起状の変位規制部44bと、を有している。変位規制部44aは、位置決め突条28と一対の位置決め突条30,30の間に配置されており、変位規制部44bは、位置決め突条28の右側に配置されている。後側突条部46は、左端側および右端側において変位規制部44bと同様に幅広に前方に向かって突出する突起状の変位規制部46aと、中央部において変位規制部46aよりも低背とされた突起状の変位規制部46bと、を有している。変位規制部46bは、前後方向で位置決め突条32と対向する位置に配置されている。ここで、前側突条部44,変位規制部44a,変位規制部44bと、後側突条部46の変位規制部46aは、上方に向かって略同じ高さ寸法で突設されている。
【0022】
加えて、
図2に示すように、固定部22の中央部には、下方に向かって突出された角筒形状を有する機器側端子保持部48が設けられている。機器側端子保持部48の突出先端面には、一対の機器側端子18,18の下端部が露呈されている。一対の機器側端子18,18の下端部の間には、矩形平板状の隔壁50が下方に向かって突設されている。
【0023】
<機器側端子18>
図6に示すように、機器側端子18は、帯状の金属部材の下端部がL字状に屈曲されて形成されている。機器側端子18の下端部は、左右方向に向かって延び出して、筐体12内のインバータ等の機器11に接続される。機器側端子18の上端部は、上方向に向かって延び出して、後述する電線側コネクタ16の電線側端子56に接続されている。なお、機器側端子18の上端部には、絶縁性のキャップ52が取り付けられている。この結果、一対の筒部38,38とキャップ52との協働により、筐体12に取り付けられた機器側コネクタ14の機器側端子18の金属製の部位に作業者等の手指が触れることが有利に防止されている。なお、機器側ハウジング20には、一対の機器側端子18,18の下端部がそれぞれ左右方向の逆方向に向かって延び出すように配設されている。
【0024】
<電線側コネクタ16>
電線側コネクタ16は、一対の電線54,54の端末にそれぞれ接続された電線側端子56と、電線側端子56を収容して機器側ハウジング20に嵌合される合成樹脂製の電線側ハウジング58を有している。
【0025】
<電線側ハウジング58>
電線側ハウジング58は合成樹脂製であり、全体としてL字状に屈曲して下方および後方に開口する筒形状を有している。
図5に示すように、電線側ハウジング58は、一端側である前端側に機器側ハウジング20に嵌合する嵌合部60を有している。嵌合部60において、一対の電線側端子56,56の先端部が下方に向かって露出している。嵌合部60は、下方に向かって開口する筒形状を有し、外側周壁61aと内側周壁61bを有する2重壁構造である。一方、電線側ハウジング58は、他端側である後端側に電線保持部62を有している、電線側ハウジング58は、電線保持部62から、機器側コネクタ14と電線側コネクタ16の嵌合方向と交差する方向である後方に向かって、一対の電線54,54が延出している。さらに、
図1から
図5に示すように、電線側ハウジング58の前方側の上方には、ロックレバー64が取り付けられている。
(コメント:「発明と直接関係がないレバーに多数の符号が振られている」件について、不要な符号や説明を削除しましたが、最低限説明に必要な符号は残しています。)
【0026】
図1に示すように、電線側ハウジング58の嵌合部60の外側周壁61aの前面には、左右方向の中央部において上下方向の全長に亘って位置決め突条66aが突設されている。位置決め突条66aの左側には、位置決め突条66aよりも幅広の位置決め突条66bが位置決め突条66aに隣接して突設されている。また、
図5に示すように、位置決め突条66a,66bの内面には、位置決め溝部68a,68bが形成されている。さらに、電線側ハウジング58の嵌合部60における外側周壁61aの後面における左右方向中央部には、下端部に向かって門状に延びる位置決め突条66cが形成されている。位置決め突条66cの内面には、位置決め溝部68cが形成されている。電線側ハウジング58の電線保持部62における下面の左右方向中央部には、位置決め突条66cの上端部に連接されて後方に向かって延びるリブ70が設けられている。
【0027】
<ロックレバー64>
ロックレバー64は合成樹脂製とされており、
図1に示すように、上面視でU字形状を有し、前方に向かって平行に延び出す矩形平板状の一対の脚部80,80を備えている。また、ロックレバー64は、片持ち梁状の固定片82を有している。一対の脚部80,80の中央部にはそれぞれ、前後方向に延びる横長の貫通孔86が貫設されている。さらに、貫通孔86の下方側には前方側斜め上方に向かって円弧状に延びるガイド孔88が貫設されている。ガイド孔88は、前方側斜め上方に向かって開口されている。なお、理解を容易とするため、
図4および
図5においても、その他の図面と同様に嵌合状態のロックレバー64を記載している。実際には、
図4および
図5に示す、電線側コネクタ16と機器側コネクタ14の嵌合前には、ロックレバー64は、一対の脚部80,80が下方に突出するように配向されている。
【0028】
<電線側端子56>
図6に示すように、電線側端子56は、帯状の金属部材からなる電線側端子金具90と、帯状の金属部材を逆U字状に屈曲してなるクリップ92と、を有している。電線側端子金具90の基端部には、電線54の端末に露出された芯線94が固着され電気的に接続されている。クリップ92の対向する側壁には、前後方向に延びかつ対向方向に向かって突出するエンボス96が設けられている。クリップ92の対向する側壁は、一方が他方よりも上下方向に長く形成されている。電線側端子56は、まず電線側ハウジング58内の所定の場所に、一対のクリップ92,92を上下方向に長く形成された側壁が隣接するように配置する。次に、電線54が接続された電線側端子金具90を、先端部がクリップ92の上下方向に長く形成された側壁に近接または当接するように配置する。
【0029】
<コネクタユニット10の組み付け方法>
図4に示すように、まず一対の機器側端子18,18が上下方向に延出した状態で機器側ハウジング20に収容され保持された機器側コネクタ14を準備する。機器側コネクタ14の固定部22のボルト挿通孔24に図示しないボルトを締結して、機器側コネクタ14を機器11の筐体12に固定する。次に、電線54が接続された一対の電線側端子56,56が収容され保持された電線側ハウジング58を準備する。この電線側ハウジング58に対して、ロックレバー64を組み付ける。すなわち、まず電線側ハウジング58に対して、ロックレバー64を一対の脚部80,80を下にした状態で一対の脚部80,80を左右方向に広げて、一対の貫通孔86,86に対してロックレバー保持突部74を挿入する。これにより、ロックレバー64は、電線側ハウジング58に対してロックレバー保持突部74を中心にして回動自在に支持されている。ロックレバー64は、固定片82を有しており、固定片82により、ロックレバー64が図示された位置で電線側ハウジング58に保持される。これにより、電線側コネクタ16が完成する。
【0030】
最後に、機器側コネクタ14に対して、電線側コネクタ16を組み付ける。はじめに、電線側コネクタ16のロックレバー64を回動し、ロックレバー64に設けられた一対のガイド孔88,88の下方開口部を機器側コネクタ14側に向ける。その後、後述するように、電線側コネクタ16と機器側コネクタ14を相互に接近させて組み付け、一対のガイド孔88,88内に機器側コネクタ14のロック係合突部34を挿入する。この状態で、ロックレバー64を時計方向に回転させて機器側コネクタ14のロック係合突部34をガイド孔88の最奥部まで挿入する。これにより、ロックレバー64のてこ作用を利用して、電線側コネクタ16が機器側コネクタ14に対して嵌合される。その結果、電線側端子56も機器側端子18に対して安定的に接続される。すなわち、
図4に示す組み付け前の状態では、ロックレバー64は実際には、一対の脚部80,80が下方に突出するように配向され、電線側コネクタ16と機器側コネクタ14を重ね合わせた後、ロックレバー64を図示された嵌合状態の位置に移動させることにより、電線側コネクタ16と機器側コネクタ14の組み付けが完成する。以上により、コネクタユニット10が完成される。
【0031】
なお、電線側コネクタ16を機器側コネクタ14に対して組み付ける際には、まず電線側コネクタ16の位置決め突条66a,66bの内面に設けられた位置決め溝部68a,68bに、機器側コネクタ14の位置決め突条28,30を挿入する。併せて、電線側コネクタ16の内側周壁61bの前方側を、前方側筒状部26aと一対の筒部38,38との間に挿入する。この状態で、ロックレバー64を回転しながら電線側コネクタ16を機器側コネクタ14に近付け、電線側コネクタ16の位置決め突条66cの内面に設けられた位置決め溝部68cに、機器側コネクタ14の位置決め突条32を挿入する。併せて、電線側コネクタ16の内側周壁61bの後方側を、後方側筒状部26bの前方側に挿入する。この結果、電線側コネクタ16の位置決め突条66a,66bがそれぞれ、機器側コネクタ14の前側突条部44の左側および変位規制部44a,44b間に配設される。また、電線側コネクタ16の位置決め突条66cが、機器側コネクタ14の後方側筒状部26bの位置決め突条32を後方側から囲むように配設される。さらに、電線側コネクタ16のリブ70が、機器側コネクタ14の一対の変位規制部46a,46aの間に設けられた変位規制部46b上に配設される。このように、ロックレバー64の回転支持軸となるロックレバー保持突部74,74に対して前後方向の両側に位置決め溝部68a,68b,68cと位置決め突条28,30,32が設けられている。それゆえ、位置決め溝部68a,68b,68cと位置決め突条28,30,32の隙間によるガタツキが生じやすい、前後方向の両側に変位規制部44a,44b,46a,46bが設けられているのである。
【0032】
図3および
図4に示すように、機器側コネクタ14の前側突条部44の変位規制部44a,44bおよび後側突条部46の変位規制部46a,46bが、機器側コネクタ14の載置面37から嵌合方向である上方に突出している。これらの変位規制部44a,44bおよび変位規制部46a,46bが、電線54の延出方向である前後方向で電線側コネクタ16の嵌合部60の外側周壁61aの外周面に接触している。すなわち、電線54の延出方向である前後方向で電線側コネクタ16の嵌合部60を間に配置した両側の部位に、変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bがそれぞれ設けられている。また、変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bは、電線54の延出方向に直交する方向である左右方向に延在して設けられている。さらに、機器側コネクタ14には、前方側筒状部26aと後方側筒状部26bが、機器側コネクタ14の載置面37から嵌合方向である上方に突出している。前方側筒状部26aと後方側筒状部26bによって、電線54の延出方向である前後方向で隙間を隔てて変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bに対向して配置され、嵌合部60の外側周壁61aの内周面に接触する対向壁部が構成されている。
【0033】
このような構造とされた本開示のコネクタユニット10によれば、電線側コネクタ16の嵌合部60が載置される機器側コネクタ14の載置面37において、変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bが嵌合方向である上方に突設されている。変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bは、電線54の延出方向である前後方向で電線側コネクタ16の嵌合部60の外側周壁61aの外周面に接触している。これにより、電線側コネクタ16の嵌合部60を中心として嵌合部60から離隔する方向に延び出す電線54をアームとする回転変位力が電線側コネクタ16に及ぼされても、嵌合部60の外側周壁61aの外周面が変位規制部44a,44b,46a,46bに押圧される。それゆえ、電線側コネクタ16の回転方向の変位が防止または抑制される。したがって、機器側コネクタ14の載置面37に突出する変位規制部44a,44b,46a,46bを設けるという簡易な構造により、機器側コネクタ14に対する電線側コネクタ16の回転方向の変位を防止または抑制することができる。これにより、機器側端子18と電線側端子56の接点間に微摺動摩擦が生じることを防止または抑制できる。それゆえ、機器側端子18と電線側端子56の良好な接触抵抗値を安定して維持し得る。
【0034】
また、電線54の延出方向である前後方向で電線側コネクタ16の嵌合部60を間に配置した両側の部位に、変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bがそれぞれ設けられている。これにより、電線54の延出方向の両側で、電線側コネクタ16の嵌合部60における外側周壁61aの外周面が変位規制部44a,44b,46a,46bに押圧されている。それゆえ、電線側コネクタ16の嵌合部60を中心として電線54をアームとする電線側コネクタ16の回転方向の変位を一層安定して防止または抑制することができる。さらに、変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bは、電線54の延出方向に直交する方向である左右方向に延在して設けられている。それゆえ、電線側コネクタ16の嵌合部60の外側周壁61aを広い範囲で安定して保持することができ、電線側コネクタ16の回転方向の変位を一層安定して防止または抑制することができる。さらに、変位規制部44a,44b,46a,46bの剛性の向上を図ることもできる。
【0035】
機器側コネクタ14の前方側筒状部26aと後方側筒状部26bによって、前後方向で隙間を隔てて変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bに対向して配置され、嵌合部60の外側周壁61aの内周面に接触する対向壁部が構成されている。すなわち、前後方向において、変位規制部44a,44b,46a,46bと対向壁部の間に嵌合部60の外側周壁61aが挟まれている構造となる。これにより、電線側コネクタ16の回転方向の変位があっても、変位規制部44a,44b,46a,46bに押圧された嵌合部60の外側周壁61aを、対向壁部で保持することができる。それゆえ、電線側コネクタ16の嵌合部60の外側周壁61aの変形を阻止して、電線側コネクタ16の回転方向の変位をより一層安定して防止または抑制することができる。
【0036】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0037】
(1)上記実施形態1では、変位規制部44a,44bと変位規制部46a,46bは、電線54の延出方向に直交する方向である左右方向に延在して設けられていたが、これに限定されない。例えば、
図7および
図8に示す実施形態2のコネクタユニット100のように、突起状の変位規制部102と突起状の変位規制部104が、電線54の延出方向に直交する方向である左右方向で相互に離隔する複数箇所に点在して設けられていてもよい。この場合も、変位規制部102と変位規制部104は、電線54の延出方向である前後方向で電線側コネクタ16の嵌合部60の外側周壁61aの外周面に接触している。これにより、電線側コネクタ16の嵌合部60を中心として嵌合部60から離隔する方向に延び出す電線54をアームとする回転変位力が電線側コネクタ16に及ぼされても、嵌合部60の外側周壁61aの外周面が変位規制部102,104に押圧される。それゆえ、電線側コネクタ16の回転方向の変位が防止または抑制される。加えて、変位規制部102と変位規制部104が左右方向で相互に離隔する複数箇所に点在して設けられていることから、電線側コネクタ16の嵌合部60の外側周壁61aを広い範囲で安定して保持することができる。それゆえ、電線側コネクタ16の回転方向の変位をより一層安定して防止または抑制することができる。また、電線側コネクタ16の電線側ハウジング58が合成樹脂製である場合には、変位規制部102と変位規制部104の射出成型時のひけ等の変形を有利に抑制できる。
【0038】
(2)上記実施形態1および上記実施形態2では、電線54の延出方向である前後方向で電線側コネクタ16の嵌合部60を間に配置した両側の部位に、変位規制部がそれぞれ設けられていたが、これに限定されず、どちらか一方側だけに設けられていてもよい。
(3)また、上記実施形態1および上記実施形態2では、前方側筒状部26aと後方側筒状部26bによって前後方向で隙間を隔てて変位規制部に対向して配置され、嵌合部60の外側周壁61aの内周面に接触する対向壁部が構成されていたが、これに限定されない。対向壁部は、どちらか一方側に設けられていてもよいし、無くてもよい。
【0039】
(1)上記実施形態1および上記実施形態2では、機器側コネクタ14と電線側コネクタ16の嵌合方向と交差する方向に電線54が延出されていたが、これに限定されない。例えば、
図9に示す実施形態3のコネクタユニット106のように、機器側コネクタ14と電線側コネクタ108の嵌合方向に電線54が延出されていてもよい。実施形態3のコネクタユニット106においても、機器側ハウジング20は、嵌合方向(
図9中、上下方向)で電線側コネクタ108の嵌合部110が載置される載置面112を有している。そして、載置面112から嵌合方向に突出して、嵌合部110の周壁114の外周面に接触する変位規制部116,118を有している。これにより、本実施形態3においても、上記実施形態1および上記実施形態2のコネクタユニット10,106が享受しうる作用効果を同様に有することができる。すなわち、機器側コネクタ14に対する電線側コネクタ108の回転方向の変位を、変位規制部116,118が電線側コネクタ108の嵌合部110の周壁114を押圧することにより防止または抑制することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 コネクタユニット(実施形態1)
11 機器
12 筐体
14 機器側コネクタ
16 電線側コネクタ
18 機器側端子
20 機器側ハウジング
22 固定部
24 ボルト挿通孔
26a 前方側筒状部(対向壁部)
26b 後方側筒状部(対向壁部)
28 位置決め突条
30 位置決め突条
32 位置決め突条
34 ロック係合突部
37 載置面
38 筒部
40 スリット
44 前側突条部
44a 変位規制部
44b 変位規制部
46 後側突条部
46a 変位規制部
46b 変位規制部
48 機器側端子保持部
50 隔壁
52 キャップ
54 電線
56 電線側端子
58 電線側ハウジング
60 嵌合部
61a 外側周壁
61b 内側周壁
62 電線保持部
64 ロックレバー
66a 位置決め突条
66b 位置決め突条
66c 位置決め突条
68a 位置決め溝部
68b 位置決め溝部
68c 位置決め溝部
70 リブ
74 ロックレバー保持突部
80 脚部
82 固定片
86 貫通孔
88 ガイド孔
90 電線側端子金具
92 クリップ
94 芯線
96 エンボス
100 コネクタユニット(実施形態2)
102 変位規制部
104 変位規制部
106 コネクタユニット(実施形態3)
108 電線側コネクタ
110 嵌合部
112 載置面
114 周壁
116 変位規制部
118 変位規制部