(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075808
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】支持ブラケット
(51)【国際特許分類】
B62D 21/02 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
B62D21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059465
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】山梨 裕亮
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BA03
3D203BA06
3D203BA07
3D203CA52
3D203CA67
3D203CB03
3D203CB19
3D203DA73
3D203DA77
3D203DA86
3D203DA88
(57)【要約】
【課題】支持ブラケット40からサイドフレーム12に加わる応力の集中を緩和し、サイドフレーム12の損傷の防止を図る上で有利な支持ブラケット40を提供する。
【解決手段】支持ブラケット4040はリーフスプリング2222の前端の目玉部22Aを支持するものである。支持ブラケット4040に、一対の延長側板部4244を設け、それら延長側板部4244の上部がサイドフレーム12の両側面1202、1204に溶接されている。また、一対の延長側板部4244のうち車幅方向内側に位置する延長側板部4244の車両前方部分に、サイドフレーム12の上下方向の中間部に向かって突出する脚片部50を設けた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドフレームに接合されサスペンション部材を支持する支持ブラケットであって、
前記サスペンション部材を軸支する一対の側板部と、
前記一対の側板部の車両前後方向一方側の端部間に亘って設けられ、前記支持ブラケットの車両前後方向一方側を塞ぐ幅板部と、
を備え、
前記一対の側板部の上端部には、前記サイドフレームの両側面に沿って車両前後方向に延在し、該サイドフレームに接合される側板接合部がそれぞれ設けられ、
前記一対の側板部のうちの少なくとも一方は、前記側板接合部の車両前後方向一方側の端部から前記サイドフレームの側面に沿って上方に延在し、該サイドフレームに接合される長尺状の脚片部を有している、
ことを特徴とする支持ブラケット。
【請求項2】
前記脚片部は、車両前後方向一方側に向かって斜め上方に延在している、
ことを特徴とする請求項1に記載の支持ブラケット。
【請求項3】
前記脚片部は、先端に向かうにつれて先細りとなっている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の支持ブラケット。
【請求項4】
前記幅板部の車両前後方向一方側の端部には、前記サイドフレームの底面に沿って車幅方向に延在し、該サイドフレームに接合される板接合部が設けられ、
前記脚片部は、前記側板接合部と前記板接合部とによって形成される稜線から上方に延びている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の支持ブラケット。
【請求項5】
前記一対の側板部は、前記側板接合部が車両前後方向一方側に延長された延長側板部を有し、
前記幅板部は、上端部側が前記延長側板部に合わせて車両前後方向一方側に前記サイドフレームの底面に沿って延長され、一対の前記側板部の前記延長側板部を接続する延長幅板部を有し、
前記延長側板部および前記延長幅板部の車両前後方向の端部が前記サイドフレームの側面および底面に沿って接合されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の支持ブラケット。
【請求項6】
前記サスペンション部材が前記サイドフレームの車幅方向中央に対して車幅方向の一方側にオフセットした状態で配置され、
前記脚片部は、車両幅方向他方側の前記側板部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の支持ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一対のサイドフレームと複数のクロスメンバを備えるいわゆるフレーム車において、一対のサイドフレームに長手方向の両端が支持された一対のリーフスプリング(サスペンション部材)を設け、一対のリーフスプリングの中間部によりリアアクスルハウジングの車幅方向両側の筒部を支持するリアサスペンション構造が知られている(特許文献1参照)。
そして、この構造では、一対のサイドフレームに接合された支持ブラケットによりリーフスプリングの前端が支持されている。
支持ブラケットは、リーフスプリングの前端を軸支すると共に、その上端部がサイドフレームの両側面に沿って車両前後方向に延在してサイドフレームに接合される一対の側板部と、一対の側板部の前方の端部間に亘って設けられ、支持ブラケットの前方側を塞ぐ幅板部と、一対の側板部の後方の端部間を簡易的に接合する連結板とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、支持ブラケットの後部は、連結板で簡易的に接合されていることから比較的剛性が低いのに対して、支持ブラケットの前部は幅板部が設けられていることから支持ブラケットの後部に比較して剛性が非常に高く、走行時におけるサイドフレームの変形に対して追従しにくい構造となっている。
さらに、一般的に、支持ブラケットの前後方向の端部には応力が集中しやすい。
以上2つの理由が相まって、幅板部が設けられた支持ブラケットの前端部と重なるサイドフレームの箇所には、割れ等の損傷が生じ易くなる問題がある。
そのため、支持ブラケットが取り付けられたサイドフレームの箇所の損傷を抑制し、サイドフレームの耐久性の向上を図る上で図る上で何らかの改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、支持ブラケットからサイドフレームに加わる応力の集中を緩和し、サイドフレームの損傷の防止を図る上で有利な支持ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、車両のサイドフレームに接合されサスペンション部材を支持する支持ブラケットであって、前記サスペンション部材を軸支する一対の側板部と、前記一対の側板部の車両前後方向一方側の端部間に亘って設けられ、前記支持ブラケットの車両前後方向一方側を塞ぐ幅板部と、を備え、前記一対の側板部の上端部には、前記サイドフレームの両側面に沿って車両前後方向に延在し、該サイドフレームに接合される側板接合部がそれぞれ設けられ、前記一対の側板部のうちの少なくとも一方は、前記側板接合部の車両前後方向一方側の端部から前記サイドフレームの側面に沿って上方に延在し、該サイドフレームに接合される長尺状の脚片部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、一対の側板部のうちの少なくとも一方に、側板接合部の車両前後方向一方側の端部からサイドフレームの側面に沿って上方に延在し、該サイドフレームに接合される長尺状の脚片部を設けた。
したがって、応力集中が生じやすい支持ブラケットの端部において、端部から応力を受けるサイドフレームの部分の面積を脚片部によって増やすことができるため、応力集中を緩和できサイドフレームの損傷を防止する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る支持ブラケットが適用された車両の後半部の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る支持ブラケットが適用された車両の後半部の構成を示す側面図である。
【
図3】支持ブラケットを車幅方向内側から見た斜視図である。
【
図4】支持ブラケットを車幅方向外側から見た斜視図である。
【
図5】サイドフレームに取り付けられた支持ブラケットを車幅方向内側から見た斜視図である。
【
図6】サイドフレームに取り付けられた支持ブラケットとリーフスプリングの前端を車幅方向外側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係る支持ブラケットについて図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方、符号UPは車両上方、符号INは車幅方向内側、OUTは車幅方向外側を示す。
図1、
図2に示すように、本発明の支持ブラケット40が適用される車両10は、一対のサイドフレーム12と複数のクロスメンバとを備えるフレームに不図示のキャビンが搭載された車両であり、いわゆるフレーム車と呼ばれている。
一対のサイドフレーム12は、車幅方向両側に配置され車両前後方向に延在しており、一対のサイドフレーム12の延在方向の中間部には、車両後方に至るにつれて次第に上昇するキックアップ部12Aが形成されている。
サイドフレーム12は、矩形状の閉断面構造を呈しており、
図5、
図6に示すように、車幅方向で対向する一対の側面1202、1204と、一対の側面1202、1204の下端を接続する底面1206と、一対の側面1202、1204の上端を接続する上面1208とを備えている。
複数のクロスメンバは、車両前後方向において間隔をおいて配置され一対のサイドフレーム12を連結している。
本実施の形態では、複数のクロスメンバは、キックアップ部12Aを連結するセンタークロスメンバ14と、センタークロスメンバ14の車両後方に配置されるリアクロスメンバ16とを含んでいる。
【0009】
図1、
図2に示すように、車両10は、車体に対してリアアクスルハウジング18を懸架するリアサスペンション構造20を備えており、リアサスペンション構造20に本発明の支持ブラケット40が適用されている。
本実施の形態では、リアサスペンション構造20は、一対のリーフスプリング22、一対のショックアブソーバ24、一対のバンプラバー26を含んで構成されている。
なお、本実施の形態では、リーフスプリング22がサスペンション部材に相当している。
一対のリーフスプリング22は、それら一対のリーフスプリング22が弾性変形することにより路面からの振動や衝撃を吸収するものであり、車幅方向両側にそれぞれ配置され、車両前後方向に延在する複数の板ばねが上下方向に重ね合わされて構成されている。
リーフスプリング22の前端と後端には、それぞれ車幅方向に軸心を有する孔を構成する目玉部(スプリングアイ)22A、22Bがそれぞれ設けられている。
リーフスプリング22の前端の目玉部22Aの孔に、ボルト28Aで形成されたシャックルピン28(
図6参照)が挿通され、目玉部22Aは、このシャックルピン28と後述する支持ブラケット40を介してキックアップ部12Aの前端寄りの下部に取り付けられている。
したがって、リーフスプリング22の前端は、シャックルピン28を介してサイドフレーム12に揺動可能に支持されている。
図1、
図2に示すように、リアクロスメンバ16の後方に位置するサイドフレーム12の車幅方向外側を向いた側面1204にシャックルリンク30が揺動可能に設けられ、リーフスプリング22の後端の目玉部22Bはこのシャックルリンク30の自由端に枢支されている。
【0010】
図1に示すように、リーフスプリング22の中間部は、連結具32を介してリアアクスルハウジング18の車幅方向両側の筒部1802を支持している。
連結具32は、例えば、板状を呈しリアアクスルハウジング18の筒部1802の下部に当接された下部スプリングシート34と、下部スプリングシート34から起立しリアアクスルハウジング18の筒部1802を下部スプリングシート34とリーフスプリング22とにより上下方向から挟持させる2本の角Uボルト36とを含んで構成されている。
【0011】
図1、
図2に示すように、一対のショックアブソーバ24は、それらが伸縮することでリーフスプリング22の動きを抑制するものであり、車幅方向両側にそれぞれ設けられている。
ショックアブソーバ24の下端は、リーフスプリング22よりも車幅方向内側に位置するリアアクスルハウジング18の筒部1802に不図示の支軸を介して揺動可能に連結されている。
図2に示すように、ショックアブソーバ24の上端は、車両前後方向においてショックアブソーバ24の下端よりも前方または後方に変位した箇所でサイドフレーム12に支軸2402を介して揺動可能に連結されている。
【0012】
図1、
図2に示すように、一対のバンプラバー26は、悪路走行時などに路面から過大な荷重がリアアクスルハウジング18に入力してリーフスプリング22の中間部が上方に大きく撓んだときに、バンプラバー26がサイドフレーム12の下部に当接することでリーフスプリング22がサイドフレーム12の下部に直接当接することを抑制して衝撃を緩和するものである。
バンプラバー26は、ゴムなどの弾性体で構成され、2つの角Uボルト36の間に位置するリーフスプリング22の上面の箇所に取り付けられサイドフレーム12の底面1206に向かって突設されている。
サイドフレーム12の下部には、バンプラバー26の上端が当接可能なバンプブラケット38が設けられており、バンプラバー26の上端がバンプブラケット38の下部に安定して当接するように図られている。
【0013】
次に、リーフスプリング22の前端の目玉部22Aを支持する支持ブラケット40について説明する。
図3から
図6に示すように、支持ブラケット40は、一対の側板部42と、幅板部46と、脚片部50と、突出片部52と、連結板54とを含んで構成され、連結板54を除いて板金により一体成形されている。
【0014】
一対の側板部42は、シャックルピン挿通孔4002が形成され車幅方向において対向しつつ車両前後方向に延在している。
図6に示すように、リーフスプリング22の前端の目玉部22Aは、一対の側板部42の間に配置され、車幅方向外側に位置する側板部42のシャックルピン挿通孔4002を挿通したシャックルピン28(ボルト28A)が目玉部22Aを挿通して車幅方向内側に位置する側板部42のシャックルピン挿通孔4002に挿通されている。
そして、車幅方向内側のシャックルピン挿通孔4002から突出するシャックルピン28の先部の雄ねじ部(不図示)にナット(不図示)が締結されることで、リーフスプリング22の前端の目玉部22Aは、シャックルピン28と支持ブラケット40を介してサイドフレーム12の下部に取り付けられている。
したがって、一対の側板部42は、サスペンション部材を構成するリーフスプリング22を軸支している。
図5、
図6に示すように、本実施の形態では、支持ブラケット40がサイドフレーム12の下部に取り付けられた状態で、一対の側板部42のうちシャックルピン挿通孔4002の周縁部4004は、周縁部4004を除く部分に対して車幅方向の一方側である車幅方向外側に偏位して設けられている。
これにより、リーフスプリング22は、サイドフレーム12の車幅方向中央に対して車幅方向の一方側(外側)にオフセットした状態で配置されており、このような配置はリアサスペンション構造20の設計上の都合によるものである。
【0015】
一対の側板部42は、車両前後方向に延在する上縁4202と、各側板部42の車両前方の端部に位置する前縁4204と、各側板部42の車両後方の端部に位置する後縁4206とを有している。
一対の側板部42の上縁4202と、後縁4206の上部に位置する後縁上部4206Aは、サイドフレーム12の車幅方向の両側面1202、1204にアーク溶接されている。
したがって、上縁4202、前縁4204、後縁上部4206Aは、一対の側板部42の上端部に設けられ、サイドフレーム12の両側面1202、1204に沿って車両前後方向に延在し、サイドフレーム12に接合される側板接合部43を構成している。
【0016】
図5、
図6に示すように、幅板部46は、車幅方向に延在して一対の側板部42の前縁4204を接続している。
すなわち、幅板部46は、一対の側板部42の車両前後方向一方側の端部間に亘って設けられ、支持ブラケット40の車両前後方向一方側を塞いでいる。
幅板部46の車両前後方向一方側の端部には、サイドフレーム12の底面1206に沿って車幅方向に延在し、サイドフレーム12の底面1206に溶接により接合される板接合部47が設けられている。
【0017】
一対の側板部42は、それぞれ側板接合部43が車両前後方向一方側に延長された延長側板部44を有している。
詳細に説明すると、延長側板部44は、一対の側板部42の上部の車両前方の端部から車両前方に突出して設けられている。
延長側板部44の上縁4402は、一対の側板部42の上縁4202に連続して車両前方に延在し、一対の延長側板部44の車両前方に位置する前縁4404は、後述する延長幅板部48の前縁4802と連続している。
一対の延長側板部44の上縁4402は、一対の側板部42の上縁4202に連続してサイドフレーム12の両側面1202、1204にアーク溶接され、前縁4404はサイドフレーム12の両側面1202、1204にアーク溶接されている。
すなわち、延長側板部44の車両前後方向の端部がサイドフレーム12の両側面1202、1204に接合されている。
本実施の形態では、幅板部46は、上端部側が延長側板部44に合わせて車両前後方向一方側にサイドフレーム12の底面1206に沿って延長され、一対の側板部42の延長側板部44を接続する延長幅板部48を有している。
言い換えると、延長幅板部48は、幅板部46の上部の車両前方の端部から車両前方に突出して設けられ、車幅方向に延在して一対の延長側板部44の下部を接続している。したがって、本実施の形態では、延長幅板部48は、板接合部47の車両前方の端部に連続して設けられている。
延長幅板部48の車両前後方向の端部がサイドフレーム12の底面1206に沿って接合されている。
詳細には、延長幅板部48の車両前方の端部の前縁4802は、サイドフレーム12の底面1206にアーク溶接されている。
【0018】
脚片部50は、一対の側板部42のうちの少なくとも一方に設けられ、側板接合部43の車両前後方向一方側の端部である前方側の端部からサイドフレーム12の側面1202に沿って上方に延在し、該サイドフレーム12に接合され、長尺状を呈している。
脚片部50は、車両前後方向一方側である前方側に向かって斜め上方に延在している。
脚片部50は、先端に向かうにつれて先細りの形状を呈している。
脚片部50は、側板接合部43と板接合部47とによって形成される稜線から上方に延びている。
脚片部50は、車両幅方向の他方側である車幅方向内側の側板部42に設けられており、言い換えると、脚片部50は、車幅方向において、リーフスプリング22がオフセットされた側と反対側の側板部42に設けられている。
詳細に説明すると、脚片部50は、上部に位置する上縁5002と、上縁5002の車両前後方向の端部に接続されて下方に延在する前縁5004と後縁5006とを備えている。
脚片部50の上縁5002、前縁5004、後縁5006は、サイドフレーム12の車幅方向内側の側面1202にアーク溶接されている。
【0019】
図5に示すように、突出片部52は、脚片部50が設けられた側の側板部42の車両後方部分に上方に向かって突出して設けられている。
言い換えると、突出片部52は、脚片部50が設けられた側の側板部42の車両前後方向において脚片部50と反対側の端部に設けられている。
本実施の形態では、突出片部52は車両10の後方で斜め上方に突出している。
したがって、突出片部52は、上部に位置する上縁5202と、上縁5202の車両前後方向の端部に接続されて延在する前縁5204と後縁5206とを備えている。
突出片部52の上縁5202、前縁5204、後縁5206は、サイドフレーム12の内側の側面1202にアーク溶接されている。
なお、一対の側板部42の後縁上部4206Aは、アーク溶接によりサイドフレーム12の両側面1202、1204に溶接されており、したがって、サイドフレーム12の内側の側面1202では、突出片部52の後縁5206と側板部42の後縁上部4206Aとのサイドフレーム12へのアーク溶接は連続している。
すなわち、延長幅板部48の前縁4802、延長側板部44の前縁4404、脚片部50の前縁5004、上縁5002、後縁5006、延長側板部44の上縁4402、側板部42の上縁4202、突出片部52の前縁5204、上縁5202、後縁5206、側板部42の後縁上部4206Aのサイドフレーム12へのアーク溶接は連続している。
【0020】
図6に示すように、連結板54は、車幅方向に延在し一対の側板部42の上部の車両後方に位置する端部間に溶接により接合され、それら端部間を連結している。
連結板54の上縁5402はサイドフレーム12の底面1206にアーク溶接されている。
【0021】
次に作用効果について説明する。
悪路走行時、リアアクスルハウジング18からリーフスプリング22の中間部に上下方向の荷重が入力すると、リーフスプリング22の前端の目玉部22Aおよび後端の目玉部22Bがシャックルピン28およびシャックルリンク30で支持されているため、リーフスプリング22は中間部が上方あるいは下方にたわむように弾性変形する。
この弾性変形により、リーフスプリング22の前端においては、前端の目玉部22Aからシャックルピン28を介して支持ブラケット40に荷重が入力し、支持ブラケット40を介してサイドフレーム12に荷重が伝達される。
また、リーフスプリング22の後端においては、後端の目玉部22Bからシャックルリンク30を介してサイドフレーム12に荷重が伝達される。
【0022】
ここで、支持ブラケット40の後部は、連結板54で簡易的に接合されていることから比較的剛性が低いのに対して、支持ブラケット40の前部は幅板部46が設けられていることから支持ブラケット40の後部に比較して剛性が非常に高く、走行時におけるサイドフレーム12の変形に対して追従しにくい構造となっている。
さらに、本実施の形態では、支持ブラケット40でリーフスプリング22の前端を軸支しているため、支持ブラケット40の前端部には応力が集中しやすく、支持ブラケット40の前端部と重なるサイドフレーム12の箇所には、割れ等の損傷が生じ易くなる。
【0023】
そこで、本実施の形態では、支持ブラケット40の一対の側板部42のうちの少なくとも一方に、側板接合部43の車両前後方向一方側の端部からサイドフレーム12の側面1202に沿って上方に延在し、該サイドフレーム12に接合される長尺状の脚片部50を設けた。
そのため、応力集中が生じやすい支持ブラケット40の端部において、端部から応力を受けるサイドフレーム12の部分の面積を脚片部50によって増やすことができるため、応力集中を緩和できサイドフレーム12の損傷を防止する上で有利となる。
【0024】
また、脚片部50を真上に突出させてもよいが、本実施の形態のように、脚片部50を、車両前後方向一方側に向かって斜め上方に延在させると、脚片部50を真上に突出させる場合に比べ、悪路走行時に大きく作用する上下方向の荷重を脚片部50の前縁5004、上縁5002、後縁5006を介して車幅方向内側のサイドフレーム12の側面1202に広く分散する上で有利となる。
したがって、応力集中を緩和できサイドフレーム12の損傷を防止する上でより有利となる。
【0025】
また、本実施の形態では、脚片部50は、先端に向かうにつれて先細りとなっているため、悪路走行時において支持ブラケット40が衝撃的な荷重を受けた際、支持ブラケット40がサイドフレーム12に対してより追従するため、応力集中を緩和でき、サイドフレーム12の損傷を防止する上でより有利となる。
【0026】
また、本実施の形態では、脚片部50は、側板接合部43と板接合部47とによって形成される稜線から上方に延びているので、サイドフレーム12の底面1206に接合された板接合部47によって、より剛性の高くなった稜線周辺部への応力集中を緩和でき、サイドフレーム12の損傷を防止する上でより有利となる。
【0027】
また、本実施の形態では、延長側板部42および延長幅板部48の車両前後方向の端部がサイドフレーム12の側面1202および底面1206に沿って接合されている。
したがって、悪路走行時において支持ブラケット40が衝撃的な荷重を受けた際、延長側板部42および延長幅板部48によって、支持ブラケット40をサイドフレーム12に対してより追従させることができる。これにより、サイドフレーム12への応力集中を緩和でき、サイドフレーム12の損傷を防止する上でより有利となる。
【0028】
また、本実施の形態では、リーフスプリング22(サスペンション部材)がサイドフレーム12の車幅方向中央に対して車幅方向の一方側(車幅方向外側)にオフセットした状態で配置されているため、悪路走行時において、より遠い位置に配置されている車幅方向の他方側の側板部42に大きな負荷が生じる。
本実施の形態では、脚片部50は、車両幅方向他方側(車幅方向内側)の側板部42に設けられているので、このような負荷に伴うサイドフレーム12への応力集中を緩和でき、サイドフレーム12の損傷を防止する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、脚片部50が設けられた側の側板部42の車両前後方向において脚片部50と反対側の端部にサイドフレーム12に接合される突出片部52が設けられている。
したがって、支持ブラケット40から応力を受けるサイドフレーム12の部分の面積を突出片部52によってさらに増やすことができるため、上記負荷に伴うサイドフレーム12への応力集中をより緩和でき、サイドフレーム12の損傷を防止する上でより一層有利となる。
【0029】
なお、本実施の形態では、支持ブラケット40が支持するサスペンション部材がリーフスプリング22である場合について説明したが、支持ブラケット40が支持するサスペンション部材は限定されるものではなく、本発明は、従来公知の様々なサスペンション部材を支持する支持ブラケットに適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 車両
12 サイドフレーム
1202、1204 側面
1206 底面
18 リアアクスルハウジング
1802 筒部
20 リアサスペンション構造
22 リーフスプリング(サスペンション部材)
22A、22B 目玉部
24 ショックアブソーバ
26 バンプラバー
28 シャックルピン
28A ボルト
30 シャックルリンク
38 バンプブラケット
40 支持ブラケット
4002 シャックルピン挿通孔
4004 周縁部
42 一対の側板部
4202 上縁
4204 前縁
4206 後縁
4206A 後縁上部
43 側板接合部
44 一対の延長側板部
4402 上縁
4404 前縁
46 幅板部
47 板接合部
48 延長幅板部
4802 前縁
50 脚片部
5002 上縁
5004 前縁
5006 後縁
52 突出片部
5202 上縁
5204 前縁
5206 後縁
54 連結板
5402 上縁