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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007583
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/861 20060101AFI20240112BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240112BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20240112BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240112BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01L29/91 K
H01L27/06 102A
H01L27/06 311B
H01L29/78 301D
H01L27/06 311A
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108742
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 良
(72)【発明者】
【氏名】土田 健祐
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC06
5F048AC10
5F048BB05
5F048BC03
5F048CC04
5F048CC05
5F048CC06
5F140AA25
5F140AA38
5F140AB06
5F140AC21
5F140BF04
5F140BF54
5F140BH04
5F140CD08
(57)【要約】
【解決手段】起動回路を備える半導体装置であって、前記起動回路は、半導体基板に設けられたトランジスタ部と、前記トランジスタ部のゲート電極とドレイン電極との間において直列に電気的に接続された複数のダイオード素子を有し、アノードが前記ゲート電極と電気的に接続され、カソードが前記ドレイン電極と電気的に接続されたダイオード部と、前記ゲート電極と電気的に接続され、前記トランジスタ部の動作を制御するためのゲート制御部と、前記ドレイン電極と前記ゲート制御部との間に電気的に接続されたフィールドプレート抵抗部と、を備える半導体装置を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動回路を備える半導体装置であって、
前記起動回路は、
半導体基板に設けられたトランジスタ部と、
前記トランジスタ部のゲート電極とドレイン電極との間において直列に電気的に接続された複数のダイオード素子を有し、アノードが前記ゲート電極と電気的に接続され、カソードが前記ドレイン電極と電気的に接続されたダイオード部と、
前記ゲート電極と電気的に接続され、前記トランジスタ部の動作を制御するためのゲート制御部と、
前記ドレイン電極と前記ゲート制御部との間に電気的に接続されたフィールドプレート抵抗部と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記ダイオード部の降伏電圧は、前記トランジスタ部の定格電圧よりも大きく、前記トランジスタ部のブレークダウン電圧よりも小さい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ドレイン電極および前記トランジスタ部のソース電極は、前記半導体基板の上方に設けられ、
前記ドレイン電極と前記ソース電極との距離は、上面視において、30μm以上、200μm以下である
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダイオード部は、上面視において、前記ドレイン電極から前記ゲート電極まで延伸した延伸部を有する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記延伸部は、上面視において、前記ドレイン電極と前記ゲート電極との間の最短距離で延伸している
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダイオード部は、上面視において、前記ゲート電極と前記トランジスタ部のドレイン電極との間に設けられた折り返し部を有する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ダイオード部および前記フィールドプレート抵抗部の材料は、ポリシリコンである
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ダイオード部は、第1導電型の第1導電型領域および前記第1導電型と異なる第2導電型の第2導電型領域を備え、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域の不純物濃度は、前記フィールドプレート抵抗部の不純物濃度と異なる
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ダイオード部は、第1導電型の第1導電型領域および前記第1導電型と異なる第2導電型の第2導電型領域を備え、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域の一方の不純物濃度は、前記フィールドプレート抵抗部の不純物濃度と同一であり、他方の不純物濃度は、前記フィールドプレート抵抗部の不純物濃度と異なる
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間において、前記ドレイン電極の外周を覆うように前記フィールドプレート抵抗部が設けられた第1領域と、
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間において、前記フィールドプレート抵抗部が設けられていない第2領域と、
を有し、
前記ダイオード部は、前記第2領域に設けられる
請求項1または2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「高耐圧のトランジスタ」を有する「起動回路付半導体装置」が開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特開2014-017962号公報
【0003】
静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)による素子の破壊を防止するためのダイオード部を備える半導体装置を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様においては、起動回路を備える半導体装置であって、前記起動回路は、半導体基板に設けられたトランジスタ部と、前記トランジスタ部のゲート電極とドレイン電極との間において直列に電気的に接続された複数のダイオード素子を有し、アノードが前記ゲート電極と電気的に接続され、カソードが前記ドレイン電極と電気的に接続されたダイオード部と、前記ゲート電極と電気的に接続され、前記トランジスタ部の動作を制御するためのゲート制御部と、前記ドレイン電極と前記ゲート制御部との間に電気的に接続されたフィールドプレート抵抗部と、を備える半導体装置を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例に係る半導体装置200の回路図の一例を示す。
図2】実施例に係る起動回路100の回路図の一例を示す。
図3】起動回路100の上面図の一例である。
図4】起動回路100の断面図の一例である。
図5】起動回路100の変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、実施例に係る半導体装置200の回路図の一例を示す。本例の半導体装置200は、起動回路100と、電源210と、ブリッジダイオード220と、力率改善部230と、負荷240とを備える。ブリッジダイオード220は、電源210からの交流電流を整流して、力率改善部230に出力する。ブリッジダイオード220は、ブリッジ接続された複数のダイオードを有する。
【0009】
力率改善部230は、入力された交流電流の力率を改善して力率を1に近づけるように動作する。力率改善部230は、スイッチング部231と、ゲート制御部232と、抵抗233と、インダクタLと、ダイオードDiとを有する。力率改善部230は、ブリッジダイオード220が整流した電流を受け取る。力率改善部230は、力率角(即ち、位相角)を0°に近づけることで、電圧と電流の位相差を小さくする。これにより、力率改善部230は高調波電流を抑制することができる。
【0010】
図2は、実施例に係る起動回路100の回路図の一例を示す。本例の起動回路100は、トランジスタ部10と、ゲート制御部20と、フィールドプレート抵抗部30と、ダイオード部40と、クランプダイオード50とを備える。
【0011】
トランジスタ部10は、後述する半導体基板110に設けられる。トランジスタ部10は、MOSFET等の任意のトランジスタであってよい。トランジスタ部10は、Nチャネルのトランジスタであってもよいし、Pチャネルのトランジスタであってもよい。本例のトランジスタ部10は、Nチャネル型のMOSFETである。トランジスタ部10は、高耐圧LDMOS(Lateral Double diffused MOSFET)であってよい。トランジスタ部10のドレイン端子は、端子Vhvと電気的に接続されている。トランジスタ部10のソース端子は、接続点Pを介してコンデンサ60の一端と電気的に接続されている。
【0012】
ゲート制御部20は、トランジスタ部10のゲート端子と電気的に接続され、トランジスタ部10の動作を制御する。ゲート制御部20は、フィールドプレート抵抗部30を介して端子Vhvと電気的に接続されている。本例のゲート制御部20は、端子Vhvに印加された電圧に応じてトランジスタ部10の動作を制御する。
【0013】
フィールドプレート抵抗部30は、トランジスタ部10のドレイン-ゲート間に設けられ、高耐圧且つ高抵抗の起動抵抗として機能する。また、フィールドプレート抵抗部30は、導電性の材料で形成され、トランジスタ部10の耐圧を向上するためのフィールドプレートとして機能してよい。フィールドプレート抵抗部30は、トランジスタ部10のドレイン端子とゲート制御部20との間に設けられる。
【0014】
ダイオード部40は、トランジスタ部10のゲート端子とドレイン端子との間において直列に電気的に接続された複数のダイオード素子を有する。ダイオード部40のアノードは、トランジスタ部10のゲート端子と電気的に接続される。ダイオード部40のカソードは、トランジスタ部10のドレイン端子と電気的に接続される。ゲート端子は、後述するゲート電極11と電気的に接続される。ドレイン端子は、後述するドレイン電極12と電気的に接続される。
【0015】
クランプダイオード50は、トランジスタ部10のゲート端子とグラウンド端子との間をクランプして、トランジスタ部10のゲート端子に予め定められたゲート電圧を印加する。これにより、トランジスタ部10のゲート端子に過電圧が印加されるのを防止する。クランプダイオード50を設けることでESDサージの影響を低減できる。本例のクランプダイオード50は、直列に接続された複数のツェナーダイオードを含む。
【0016】
コンデンサ60は、端子Vhvとグラウンド端子との間においてトランジスタ部10と直列に電気的に接続される。コンデンサ60は、起動回路100の起動時に充電されて起動用電圧Vccを生成する。このように、起動回路100は、力率改善部230からの電源の供給に応じて起動して、予め定められた起動用電圧Vccを生成する。起動回路100で生成した起動用電圧Vccは、外部の制御IC等において、スイッチング素子のオンオフ制御に用いられてよい。
【0017】
コンデンサ60は、起動回路100に外付けされてよい。即ち、コンデンサ60は、トランジスタ部10、ゲート制御部20、フィールドプレート抵抗部30、ダイオード部40およびクランプダイオード50が設けられた半導体チップの外部に設けられてよく、これらが格納された半導体パッケージの外部に設けられてよい。
【0018】
ここで、ダイオード部40の降伏電圧は、トランジスタ部10の定格電圧よりも大きく、トランジスタ部10のブレークダウン電圧よりも小さくてよい。これにより、起動回路100にESDサージが入った場合に、ブレークダウン電圧に達する前にダイオード部40が降伏して、トランジスタ部10を高速にターンオンすることができる。ESDチャージを素早く引き抜いて、起動回路100の破壊耐量を向上することができる。なお、トランジスタ部10の定格電圧とは、トランジスタ部10のゲートをオープンにした状態でドレイン端子とソース端子との間に印加できる最大の電圧であってよい。
【0019】
同様に、ダイオード部40およびクランプダイオード50の直列の降伏電圧は、トランジスタ部10の定格電圧よりも大きく、トランジスタ部10のブレークダウン電圧よりも小さくてよい。
【0020】
ここで、起動回路に設けられるMOSFETは、構造が比較的小さくて十分な容量を有さないのでESDの影響を受ける場合がある。起動回路に使用する自己起動型の高耐圧MOSFETは、端子Vhvへの電圧の印加に応じてゲートがオンする仕組みになっているが、ESDのような高速なサージには応答できない場合がある。
【0021】
本例の起動回路100は、トランジスタ部10のゲートドレイン間にダイオード部40を備えることにより、トランジスタ部10に対するESDの影響を抑制することができる。これにより、MOSFET単体の耐圧を高くしてESD耐量を持たせる必要がなくなるので、トランジスタ部10の性能を犠牲にすることなくESD対策を実現することができる。
【0022】
図3は、起動回路100の上面図の一例である。起動回路100は、半導体基板110の上方においてゲート電極11と、ドレイン電極12と、ソース電極13と、フィールドプレート抵抗部30と、ダイオード部40とを備える。本例のダイオード部40は、延伸部44を有する。
【0023】
ドレイン電極12は、上面視において、起動回路100の中心に設けられる。起動回路100の中心とは、上面視において、ゲート電極11、ドレイン電極12およびソース電極13等で構成されるトランジスタ部10の中心であってよい。上面視とは、半導体基板110の主面と垂直な方向において、半導体基板110の上面から下面側の視点を指してよい。半導体基板110の上面とは、MOSゲート構造が形成される側の半導体基板110の主面であってよい。本例のドレイン電極12の形状は円形であるが、これに限定されない。
【0024】
ソース電極13は、ドレイン電極12の外周を覆って設けられる。本例のソース電極13の形状は中空の円形であるが、これに限定されない。ソース電極13の材料は、ドレイン電極12の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0025】
ゲート電極11は、ドレイン電極12とソース電極13との間において、ドレイン電極12の外周を覆って設けられる。ゲート電極11は、ソース電極13の内周に沿って設けられてよい。ゲート電極11、ドレイン電極12およびソース電極13は、上面視において、同心円状に設けられてよい。
【0026】
フィールドプレート抵抗部30の一端は、ドレイン電極12と接続されており、他端は不図示のゲート制御部20に接続されてよい。フィールドプレート抵抗部30は、半導体基板110の上面において、予め定められた電位を与えることにより、ドレイン電極12から広がる空乏層による電界を緩和することができる。フィールドプレート抵抗部30は、上面視において、ドレイン電極12の外周に渦巻き状に配置されている。本例のフィールドプレート抵抗部30は、ダイオード部40の近傍において複数回折り返しながら渦巻き状に形成されている。
【0027】
フィールドプレート抵抗部30を渦巻き状に形成することにより、フィールドプレートとしての機能を保持しつつ、フィールドプレート抵抗部30の高抵抗化を実現できる。フィールドプレート抵抗部30を高耐圧且つ高抵抗となるように形成することで端子Vhvに直流の高電圧が印加された状態であってもブレークダウンすることなく、起動回路100を起動させることができる。
【0028】
第1領域101は、ゲート電極11とドレイン電極12との間において、ドレイン電極12の外周を覆うようにフィールドプレート抵抗部30が設けられた領域である。第1領域101においては、ドレイン電極12の中心からゲート電極11に向かって、フィールドプレート抵抗部30が予め定められた間隔で配置されてよい。
【0029】
第2領域102は、ゲート電極11とドレイン電極12との間において、フィールドプレート抵抗部30が設けられていない領域である。本例の第2領域102は、フィールドプレート抵抗部30が折り返されることにより、フィールドプレート抵抗部30が設けられていない領域である。第2領域102には、ダイオード部40が設けられている。
【0030】
第2領域102において、ダイオード部40とフィールドプレート抵抗部30との間隔は、第1領域101におけるフィールドプレート抵抗部30同士の間隔と略同一であってよい。即ち、第2領域102においてもフィールドプレート抵抗部30による電界緩和の効果が得られる程度に、第2領域102の近傍で折り返されるフィールドプレート抵抗部30同士が近接して配置されてよい。
【0031】
ダイオード部40は、第2領域102において、ドレイン電極12を起点として多段のダイオード素子を直線的にゲート電極11まで伸ばして接続する。ダイオード部40は、第1導電型領域41および第2導電型領域42を有する。
【0032】
第1導電型領域41および第2導電型領域42は、ポリシリコンにドーパントをイオン注入することで形成されてよい。第1導電型領域41はN型の領域であってよい。第1導電型領域41のドーパントは、リン、ヒ素またはアンチモン等であってよい。第2導電型領域42はP型の領域であってよい。第2導電型領域42のドーパントは、ホウ素またはインジウム等であってよい。
【0033】
第1導電型領域41および第2導電型領域42の不純物濃度は、フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と異なっていてよい。フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度は、第1導電型領域41および第2導電型領域42の不純物濃度よりも低くてよい。また、フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度は、第1導電型領域41または第2導電型領域42の少なくとも1つの不純物濃度よりも低くてよい。
【0034】
第1導電型領域41および第2導電型領域42の一方の不純物濃度は、フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と同一であり、他方の不純物濃度は、フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と異なっていてよい。例えば、第1導電型領域41および第2導電型領域42の一方の不純物濃度は、フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と同一であり、他方の不純物濃度は、フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度よりも低い。
【0035】
延伸部44は、上面視において、ドレイン電極12からゲート電極11まで延伸している。延伸部44は、上面視において、ドレイン電極12とゲート電極11との間の最短距離で延伸してよい。
【0036】
ドレイン電極12とソース電極13との距離は、起動回路100の耐圧等に応じて適宜設定されてよい。例えば、ドレイン電極12とソース電極13との距離は、上面視において、30μm以上、200μm以下である。ドレイン電極12とソース電極13との距離とは、ドレイン電極12の外周とソース電極13の内周までの最短距離であってよい。
【0037】
フィールドプレート抵抗部30およびダイオード部40の材料は、同一であってよく、異なっていてもよい。本例では、フィールドプレート抵抗部30およびダイオード部40の材料は、ポリシリコンである。ポリシリコンにドーパントをイオン注入することにより、任意の不純物濃度に調整してよい。
【0038】
ここで、フィールドプレート抵抗部30およびダイオード部40などのポリシリコンを形成する段階の少なくとも一部を共通のプロセスとすることで、製造プロセスを簡略化することができる。起動回路100は、ゲートポリシリコンを形成した後に、フィールドプレート抵抗部30のポリシリコンを形成して、その後にダイオード部40のイオン注入を行ってよい。ゲートポリシリコンとは、後述するゲート導電部121であってよい。
【0039】
フィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と同一であるポリシリコンは、フィールドプレート抵抗部30と同一のプロセスで形成されてよい。同一のプロセスとは、同一のポリシリコン形成工程で同時に形成することを指してよい。同一のプロセスとは、同一のイオン注入工程で同時にイオン注入することを指してよい。
【0040】
第1導電型領域41の不純物濃度がフィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と同一である場合、第1導電型領域41がフィールドプレート抵抗部30と同一のプロセスで形成されてよい。第2導電型領域42の不純物濃度がフィールドプレート抵抗部30の不純物濃度と同一である場合、第2導電型領域42がフィールドプレート抵抗部30と同一のプロセスで形成されてよい。
【0041】
フィールドプレート抵抗部30およびダイオード部40のポリシリコンは、同一のプロセスで形成されてよい。その後、パターニングにより選択的にイオン注入することで、不純物濃度の異なるフィールドプレート抵抗部30およびダイオード部40を形成してもよい。
【0042】
なお、第1導電型領域41および第2導電型領域42は、ゲートポリシリコンを形成した後にイオン注入されてよい。これにより、ダイオード部40を形成した後の熱処理によって、第1導電型領域41と第2導電型領域42との境界がぼやけることを回避することができる。
【0043】
図4は、起動回路100の断面図の一例である。本図は、図3のa-a'断面を示す。a-a'断面は、ダイオード部40を通過する断面である。起動回路100は、半導体基板110を備える。
【0044】
半導体基板110は、ドリフト領域111と、ドレインコンタクト領域112と、ソースコンタクト領域113と、ウェル領域114とを有する。半導体基板110の上方には、酸化膜120が設けられる。
【0045】
フィールドプレート抵抗部30は、酸化膜120の上面に設けられる。本例のフィールドプレート抵抗部30は、ゲート電極11とドレイン電極12との間において、等間隔に配線されているが、異なる間隔で配線されてもよい。フィールドプレート抵抗部30は、端子Vhvに高電圧が印加された場合に、酸化膜120を介して半導体基板110の上面付近にフィールド電位を与えて、ドレイン電極12からゲート電極11に向けて徐々に電位が変化するように分布させることができる。これにより、逆バイアスが印加されている状態においても、半導体基板110の上面に電位分布を与えて空乏層による電界を緩和して耐圧を向上することができる。
【0046】
ウェル領域114は、半導体基板110の上面の外周に設けられる。ソースコンタクト領域113は、半導体基板110の上面であって、ウェル領域114の内側に設けられる。ソースコンタクト領域113の不純物濃度は、ドリフト領域111の不純物濃度よりも高い。
【0047】
ドレインコンタクト領域112は、半導体基板110の上面に設けられる。ドレインコンタクト領域112は、半導体基板110の上面の中央付近に設けられる。ドレインコンタクト領域112の不純物濃度は、ドリフト領域111の不純物濃度よりも高い。
【0048】
ゲート導電部121は、ゲート電極11と電気的に接続され、ゲート電位に設定されている。ゲート導電部121は、酸化膜120の内部に埋め込まれてよい。ゲート導電部121は、ウェル領域114の上方に設けられてよい。本例のゲート導電部121は、半導体基板110の上面においてドレインコンタクト領域112とソースコンタクト領域113との間に設けられたウェル領域114の上方に設けられることにより、トランジスタ部10のオンオフを切り替える。本例のゲート導電部121の材料は、ポリシリコンであるがこれに限定されない。
【0049】
図5は、起動回路100の変形例の上面図である。本例のダイオード部40は、折り返し部46を有する点で図2の実施例と相違する。本例では、図2の実施例と相違する点について特に説明する。
【0050】
折り返し部46は、上面視において、ゲート電極11とドレイン電極12との間に設けられる。折り返し部46は、第1導電型領域41および第2導電型領域42の繰り返し構造において、複数の折り返された部分を有する。折り返し部46を設けることにより、ダイオード部40の長さを調整することができる。これにより、ダイオード部40の降伏電圧を調整することができる。
【0051】
(付記1)
起動回路を備える半導体装置であって、
前記起動回路は、
半導体基板に設けられたトランジスタ部と、
前記トランジスタ部のゲート電極とドレイン電極との間において直列に電気的に接続された複数のダイオード素子を有し、アノードが前記ゲート電極と電気的に接続され、カソードが前記ドレイン電極と電気的に接続されたダイオード部と、
前記ゲート電極と電気的に接続され、前記トランジスタ部の動作を制御するためのゲート制御部と、
前記ドレイン電極と前記ゲート制御部との間に電気的に接続されたフィールドプレート抵抗部と、
を備える半導体装置。
【0052】
(付記2)
前記ダイオード部の降伏電圧は、前記トランジスタ部の定格電圧よりも大きく、前記トランジスタ部のブレークダウン電圧よりも小さい
付記1に記載の半導体装置。
【0053】
(付記3)
前記ドレイン電極および前記トランジスタ部のソース電極は、前記半導体基板の上方に設けられ、
前記ドレイン電極と前記ソース電極との距離は、上面視において、30μm以上、200μm以下である
付記1または2に記載の半導体装置。
【0054】
(付記4)
前記ダイオード部は、上面視において、前記ドレイン電極から前記ゲート電極まで延伸した延伸部を有する
付記1または2に記載の半導体装置。
【0055】
(付記5)
前記延伸部は、上面視において、前記ドレイン電極と前記ゲート電極との間の最短距離で延伸している
付記4に記載の半導体装置。
【0056】
(付記6)
前記ダイオード部は、上面視において、前記ゲート電極と前記トランジスタ部のドレイン電極との間に設けられた折り返し部を有する
付記1または2に記載の半導体装置。
【0057】
(付記7)
前記ダイオード部および前記フィールドプレート抵抗部の材料は、ポリシリコンである
付記1または2に記載の半導体装置。
【0058】
(付記8)
前記ダイオード部は、第1導電型の第1導電型領域および前記第1導電型と異なる第2導電型の第2導電型領域を備え、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域の不純物濃度は、前記フィールドプレート抵抗部の不純物濃度と異なる
付記1または2に記載の半導体装置。
【0059】
(付記9)
前記ダイオード部は、第1導電型の第1導電型領域および前記第1導電型と異なる第2導電型の第2導電型領域を備え、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域の一方の不純物濃度は、前記フィールドプレート抵抗部の不純物濃度と同一であり、他方の不純物濃度は、前記フィールドプレート抵抗部の不純物濃度と異なる
付記1または2に記載の半導体装置。
【0060】
(付記10)
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間において、前記ドレイン電極の外周を覆うように前記フィールドプレート抵抗部が設けられた第1領域と、
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間において、前記フィールドプレート抵抗部が設けられていない第2領域と、
を有し、
前記ダイオード部は、前記第2領域に設けられる
付記1または2に記載の半導体装置。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0062】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0063】
10・・・トランジスタ部、11・・・ゲート電極、12・・・ドレイン電極、13・・・ソース電極、20・・・ゲート制御部、30・・・フィールドプレート抵抗部、40・・・ダイオード部、41・・・第1導電型領域、42・・・第2導電型領域、44・・・延伸部、46・・・折り返し部、50・・・クランプダイオード、60・・・コンデンサ、100・・・起動回路、101・・・第1領域、102・・・第2領域、110・・・半導体基板、111・・・ドリフト領域、112・・・ドレインコンタクト領域、113・・・ソースコンタクト領域、114・・・ウェル領域、120・・・酸化膜、121・・・ゲート導電部、200・・・半導体装置、210・・・電源、220・・・ブリッジダイオード、230・・・力率改善部、231・・・スイッチング部、232・・・ゲート制御部、233・・・抵抗、240・・・負荷
図1
図2
図3
図4
図5