(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075838
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】接続制御回路、及び接続制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3215 20190101AFI20240529BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20240529BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20240529BHJP
G06F 13/38 20060101ALI20240529BHJP
G06F 3/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
G06F1/3215
G06F1/26 306
G06F1/3287
G06F13/38 320A
G06F13/38 350
G06F3/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187027
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 高之
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DB19
5B011EA02
5B011EB06
5B011GG03
5B011LL11
5B011MA02
(57)【要約】
【課題】未接続時における消費電力を低減できる接続制御回路を提供すること。
【解決手段】一実施の形態にかかる接続制御回路1は、CC端子と接続されたノードN1、N2の電圧に基づいて自デバイスの動作モードを検出する動作モード検出回路11と、ノードN1、N2の電圧を受信するレシーバ回路12と、レシーバ回路12から出力された電圧レベルの変化を検出する電圧変化検出回路13と、電圧変化検出回路13の検出結果に応じて、動作モード検出回路11およびレシーバ回路12の動作状態を制御する動作状態制御回路14と、を備える。動作状態制御回路14は、自デバイスに他デバイスが接続されていない第1状態において、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11を停止状態とする。また、自デバイスに他デバイスが接続された第2状態において、レシーバ回路12を停止状態、動作モード検出回路11を動作状態とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB(Universal Serial Bus)Type-C規格に従う接続制御回路であって、
CC端子と、
前記CC端子と接続された第1ノードの電圧に基づいて自デバイスの動作モードを検出する動作モード検出回路と、
前記動作モード検出回路と並列に接続され、前記第1ノードの電圧を受信するレシーバ回路と、
前記レシーバ回路から出力された電圧レベルの変化を検出する電圧変化検出回路と、
前記電圧変化検出回路の検出結果に応じて、前記動作モード検出回路および前記レシーバ回路の動作状態を制御する動作状態制御回路と、を備え、
前記動作状態制御回路は、
前記自デバイスに他デバイスが接続されていない第1状態において、前記レシーバ回路を動作状態、前記動作モード検出回路を停止状態とし、
前記自デバイスに前記他デバイスが接続され、前記電圧変化検出回路が前記レシーバ回路から出力された電圧レベルが変化したことを検出した第2状態において、前記レシーバ回路を停止状態、前記動作モード検出回路を動作状態とし、
前記第2状態において前記動作モード検出回路は、前記第1ノードの電圧に基づいて前記自デバイスの動作モードを検出する、
接続制御回路。
【請求項2】
前記動作モード検出回路は、
前記第1ノードの電圧と所定の基準電圧とを比較するコンパレータと、
前記コンパレータの出力に応じて前記自デバイスの動作モードを決定するステートマシンと、を備える、
請求項1に記載の接続制御回路。
【請求項3】
前記動作モード検出回路は、
各々設定された所定の基準電圧と前記第1ノードの電圧とをそれぞれ比較する複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータの出力に応じて前記自デバイスの動作モードを決定するステートマシンと、
前記各々の基準電圧を生成し、当該各々の基準電圧を前記複数のコンパレータの各々に供給する基準電圧生成回路を備える、
請求項1に記載の接続制御回路。
【請求項4】
前記第1ノードがプルアップ抵抗を介して電源電位に接続される状態と、前記第1ノードがプルダウン抵抗を介して接地電位に接続される状態とを切り替え可能な第1切替回路を更に備える、請求項2に記載の接続制御回路。
【請求項5】
前記第1切替回路は、
前記自デバイスがソースとして動作する場合、前記第1ノードが前記プルアップ抵抗を介して前記電源電位と接続される状態とし、
前記自デバイスがシンクとして動作する場合、前記第1ノードが前記プルダウン抵抗を介して前記接地電位と接続される状態とする、
請求項4に記載の接続制御回路。
【請求項6】
前記CC端子は、CC1端子とCC2端子とを含み、
前記プルアップ抵抗、前記プルダウン抵抗、前記第1切替回路、前記コンパレータ、及び前記レシーバ回路はそれぞれ、前記CC1端子および前記CC2端子の各々と対応するように設けられている、
請求項4に記載の接続制御回路。
【請求項7】
前記動作モード検出回路と前記レシーバ回路とが同一のチップに内蔵されている、請求項1に記載の接続制御回路。
【請求項8】
前記レシーバ回路は、USB2.0規格に従うTransceiver回路に内蔵されたSingle-End Receiverを用いて構成されており、
前記Single-End Receiverの入力に、前記第1ノードが接続される状態とUSBバス端子とが接続される状態とを切り替え可能な第2切替回路を備える、
請求項1に記載の接続制御回路。
【請求項9】
USB(Universal Serial Bus)Type-C規格に従う接続制御回路を用いた接続制御方法であって、
前記接続制御回路は、
CC端子と接続された第1ノードの電圧に基づいて自デバイスの動作モードを検出する動作モード検出回路と、
前記動作モード検出回路と並列に接続され、前記第1ノードの電圧を受信するレシーバ回路と、を備え、
前記接続制御方法は、
前記自デバイスに他デバイスが接続されていない第1状態において、前記レシーバ回路を動作状態、前記動作モード検出回路を停止状態とし、
前記自デバイスに他デバイスが接続され、前記レシーバ回路から出力された電圧レベルが変化したことを検出した第2状態において、前記レシーバ回路を停止状態、前記動作モード検出回路を動作状態とし、
前記第2状態において前記動作モード検出回路は、前記第1ノードの電圧に基づいて前記自デバイスの動作モードを検出し、当該検出した動作モードに応じて前記自デバイスをソースまたはシンクとして動作させる、
接続制御方法。
【請求項10】
前記第2状態において前記動作モード検出回路は、各々設定された所定の基準電圧と前記第1ノードの電圧とをそれぞれ比較し、当該比較結果に応じて前記自デバイスの動作モードを決定する、請求項9に記載の接続制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は接続制御回路、及び接続制御方法に関し、例えばUSB Type-C規格に従う接続制御回路、及び接続制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)Type-C規格(非特許文献1参照)に準拠したUSBコネクタは、USB Type-A規格に準拠したコネクタよりも小型であり、コネクタの表裏の区別も不要となるため利便性が高い。また、USB Type-C規格では、VBUS電源からより多くの電力を給電、受電することができる。
【0003】
USB Type-C規格ではコネクタ形状に区別がない。このため、コネクタを用いて2つの機器を接続した際に、電力を供給する側(以下、ソース側とも記載する)と電力を受電する側(以下、シンク側とも記載する)とを判別する必要がある。このような動作は、USBコントローラが備える接続制御回路(以下、CCPHYとも記載する)で実施される。具体的には、CCPHYは、Configuration Channel用のCC1端子とCC2端子の状態を検出することで、自デバイスがソース側およびシンク側のいずれであるかを判別できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】”Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification”, Release 2.1, May 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、CCPHYは、CC1端子とCC2端子の状態を検出することで、自デバイスがソース側およびシンク側のいずれであるかを判別している。具体的には、CCPHYは、CC1端子とCC2端子(以下、総称してCC端子とも記載する)の電圧を検出し、検出されたCC端子の電圧に基づいて自デバイスの動作モード(つまり、ソースモードまたはシンクモード)を検出している。
【0006】
ここで、CC端子の電圧は、コンパレータを用いて構成された検出回路を用いて検出している。しかしながら、このような検出回路は待機時において所定の電力を消費し続けている。このため、未接続の状態においてCCPHYの消費電力が大きくなるという問題がある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態にかかる接続制御回路は、CC端子と、前記CC端子と接続された第1ノードの電圧に基づいて自デバイスの動作モードを検出する動作モード検出回路と、前記動作モード検出回路と並列に接続され、前記第1ノードの電圧を受信するレシーバ回路と、前記レシーバ回路から出力された電圧レベルの変化を検出する電圧変化検出回路と、前記電圧変化検出回路の検出結果に応じて、前記動作モード検出回路および前記レシーバ回路の動作状態を制御する動作状態制御回路と、を備える。前記動作状態制御回路は、前記自デバイスに他デバイスが接続されていない第1状態において、前記レシーバ回路を動作状態、前記動作モード検出回路を停止状態とし、前記自デバイスに前記他デバイスが接続され、前記電圧変化検出回路が前記レシーバ回路から出力された電圧レベルが変化したことを検出した第2状態において、前記レシーバ回路を停止状態、前記動作モード検出回路を動作状態とし、前記第2状態において前記動作モード検出回路は、前記第1ノードの電圧に基づいて前記自デバイスの動作モードを検出する。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、未接続時における消費電力を低減できる接続制御回路、及び接続制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】関連技術の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】実施の形態1にかかる接続制御回路の構成例を示す回路図である。
【
図4】実施の形態1にかかる接続制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態1にかかる接続制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】実施の形態2にかかる接続制御回路の構成例を示す回路図である。
【
図8】実施の形態2にかかる接続制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態2にかかる接続制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、関連技術の問題点について説明する。
図1は、関連技術を説明するための回路図である。
図1は、USB Type-Cの規格書(非特許文献1)に記載されたCCPHYの構成に対応しており、関連技術の課題を説明するために、発明者が一部変更して作成した回路図である。
図2は、関連技術の動作を説明するためのフローチャートである。
【0012】
図1に示すように、関連技術にかかる接続制御回路(CCPHY)101は、VBUS端子、CC1端子、CC2端子、GND端子、切替回路SW1、SW2、プルアップ抵抗Rp、プルダウン抵抗Rd、動作モード検出回路111、切替制御回路115、及びトランジスタTr1、Tr2を備える。
【0013】
CC1端子は切替回路SW1を介してプルアップ抵抗Rpの一端またはプルダウン抵抗Rdの一端と接続される。プルアップ抵抗Rpの他端は電源電位(5V)に接続される。プルダウン抵抗Rdの他端は接地電位(GND)に接続される。CC1端子の電圧CC1に関する情報は、動作モード検出回路111に供給される。
【0014】
同様に、CC2端子は切替回路SW2を介してプルアップ抵抗Rpの一端またはプルダウン抵抗Rdの一端と接続される。プルアップ抵抗Rpの他端は電源電位(5V)に接続される。プルダウン抵抗Rdの他端は接地電位(GND)に接続される。CC2端子の電圧CC2に関する情報は、動作モード検出回路111に供給される。
【0015】
このように、プルアップ抵抗Rp、プルダウン抵抗Rd、切替回路SW1、SW2は、CC1端子およびCC2端子のそれぞれに対応するように設けられている。つまり、USB Type-C規格ではコネクタがリバーシブルである。このため、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとを接続した際に、自デバイスのCC1端子およびCC2端子のいずれかが、他デバイスのCC1端子またはCC2端子と接続されるように構成している。このような構成とすることで、コネクタをリバーシブルにすることができる。なお、自デバイスとは接続制御回路(CCPHY)101が搭載されたデバイスであり、他デバイスとは自デバイスとUSBケーブルを介して接続される相手方のデバイスである。
【0016】
切替制御回路115は、動作モード検出回路111の制御に応じて、切替回路SW1および切替回路SW2を制御する。具体的には、切替制御回路115は、自デバイスがソースとして動作する場合、CC1端子およびCC2端子がプルアップ抵抗Rpと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。また、切替制御回路115は、自デバイスがシンクとして動作する場合、CC1端子およびCC2端子がプルダウン抵抗Rdと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。
【0017】
動作モード検出回路111は、コンパレータ121とステートマシン122とを備える。動作モード検出回路111は、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続された際、コンパレータ121を用いてCC1端子またはCC2端子(以下、CC端子)の電圧レベルを検出する。コンパレータ121で検出されたCC端子の電圧レベルに関する情報はステートマシン122に供給される。ステートマシン122は、CC端子の電圧レベルに応じて、自デバイスの動作モードを決定する。
【0018】
動作モード検出回路111は、自デバイスの動作モードがソースモードである場合、トランジスタTr1をオン状態、トランジスタTr2をオフ状態として、VBUS端子とVBUS Sourceとを接続し電力を供給する。一方、動作モード検出回路111は、自デバイスの動作モードがシンクモードである場合、トランジスタTr2をオン状態、トランジスタTr1をオフ状態として、VBUS端子とVBUS Sinkとを接続する。なお、動作モードを決定するプロセスの詳細については、USB Type-Cの規格書(非特許文献1)で定義されている。
【0019】
次に、
図2に示すフローチャートを用いて関連技術の動作について説明する。
図2は、接続制御回路(CCPHY)101がDRP(Dual Role Power)モードで動作する場合の動作を示している。DRPモードとは、自デバイスがソースまたはシンクとして選択的に動作可能なモードである。
【0020】
まず、接続制御回路101は、自デバイスの接続制御回路101の初期設定を確認する。接続制御回路101の初期設定がソースである場合(ステップS101:Yes)、切替制御回路115は、CC1端子、CC2端子がプルアップ抵抗Rpと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する(ステップS102)。
【0021】
次に、動作モード検出回路111のコンパレータ121は、CC端子の電圧(CC電圧)と基準電圧vRdとを比較する(ステップS103)。ここで、基準電圧vRdは、自デバイスがソースであると判定するための基準電圧であり、詳細はUSB Type-Cの規格書で定義されている。
【0022】
そして、CC電圧≦vRdの条件を満たす場合(ステップS104:Yes)、つまり、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続され、他デバイスの動作モードがシンクモードである場合、ソース接続を確立する(ステップS105:Yes)。なお、他デバイスの動作モードがシンクモードである場合とは、他デバイスのCC端子がプルダウン抵抗Rdに接続されている場合である。
【0023】
ソース接続が確立すると、自デバイスから他デバイスへのVBUS供給(電源供給)が開始される(ステップS106)。換言すると、自デバイスがUSB Hostとして動作する。
【0024】
一方、ステップS104においてCC電圧≦vRdの条件を満たさない場合(ステップS104:No)、例えば、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続されていない場合、ステップS107へと進む。そして、規定時間経過していない場合は(ステップS107:No)、ステップS104に戻り、CC電圧≦vRdの条件を満たすか否かの判定を繰り返す。一方、ステップS107において規定時間経過したと判断された場合(ステップS107:Yes)、ステップS108へと進む。ここで、ステップS107における規定時間は、DRPモードにおいて、接続制御回路(CCPHY)101がソースモードの場合とシンクモードの場合とを切り替えるタイミングに対応している。
【0025】
自デバイスの接続制御回路101の初期設定がソースでない場合(ステップS101:No)、または、ステップS107において規定時間経過したと判断された場合(ステップS107:Yes)、切替制御回路115は、CC1端子、CC2端子がプルダウン抵抗Rdと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する(ステップS108)。
【0026】
次に、動作モード検出回路111のコンパレータ121は、CC端子の電圧(CC電圧)と基準電圧vRaとを比較する(ステップS109)。ここで、基準電圧vRaは、自デバイスがシンクであると判定するための基準電圧であり、詳細はUSB Type-Cの規格書で定義されている。
【0027】
そして、CC電圧≧vRaの条件を満たす場合(ステップS110:Yes)、つまり、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続され、他デバイスの動作モードがソースモードである場合、シンク接続を確立する(ステップS111:Yes)。なお、他デバイスの動作モードがソースモードである場合とは、他デバイスのCC端子がプルアップ抵抗Rpに接続されている場合である。
【0028】
シンク接続が確立すると、他デバイスから自デバイスへのVBUS受電が開始される(ステップS112)。換言すると、自デバイスがUSB Peripheralとして動作する。
【0029】
一方、ステップS110においてCC電圧≧vRaの条件を満たさない場合(ステップS110:No)、例えば、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続されていない場合、ステップS113へと進む。そして、規定時間経過していない場合は(ステップS113:No)、ステップS110に戻り、CC電圧≧vRaの条件を満たすか否かの判定を繰り返す。一方、ステップS113において規定時間経過したと判断された場合(ステップS113:Yes)、ステップS102へと進み、同様の動作を繰り返す。ここで、ステップS113における規定時間は、DRPモードにおいて、接続制御回路(CCPHY)101がソースモードの場合とシンクモードの場合とを切り替えるタイミングに対応している。
【0030】
図2に示すフローチャートではDRPモードの動作について説明した。しかし、接続制御回路(CCPHY)101は、ソースオンリーモードやシンクオンリーモードで動作することも可能である。ソースオンリーモードは、自デバイスがソースとしてのみ動作するモードであり、この場合は、CC端子とプルアップ抵抗Rpとが接続された状態に固定される。ソースオンリーモードでは
図2に示したフローチャートのステップS102~S106の動作を実施する。また、シンクオンリーモードは、自デバイスがシンクとしてのみ動作するモードであり、この場合は、CC端子とプルダウン抵抗Rdとが接続された状態に固定される。シンクオンリーモードでは
図2に示したフローチャートのステップS108~S112の動作を実施する。
【0031】
ところで、
図1に示した関連技術において、接続制御回路(CCPHY)101は、CC1端子とCC2端子の状態を検出することで、自デバイスがソース側およびシンク側のいずれであるかを判別していた。具体的には、接続制御回路(CCPHY)101は、CC端子の電圧を検出し、検出されたCC端子の電圧に基づいて自デバイスの動作モード(ソースまたはシンク)を検出していた。
【0032】
ここで、CC端子の電圧は、動作モード検出回路111が備えるコンパレータ121を用いて検出している。しかしながら、コンパレータ121は待機時において、所定の電力を消費し続けている。このため、未接続の状態においてCCPHYの消費電力が大きくなるという問題があった。
【0033】
つまり、関連技術にかかる接続制御回路(CCPHY)101では、コンパレータ121を起動させておき、定期的にCC端子の電圧と基準電圧vRd、vRaと比較している(
図2のステップS104、S110参照)。一例を挙げると、コンパレータ121は、基準電圧vRd、vRaごとに設ける必要がある。また、コンパレータ121は、CC1端子とCC2端子のそれぞれに対応するように設ける必要がある。このため、例えば、コンパレータ121として、4つのコンパレータを設ける必要がある。また、コンパレータには基準電圧vRd、vRaを供給する必要があるので、基準電圧vRd、vRaを生成するための基準電圧生成回路が必要となる。このため、関連技術にかかるCCPHYでは、未接続の状態においてCCPHYの消費電力が大きくなるという問題があった。例えば、関連技術にかかるCCPHYでは、mAオーダーの定常電流が常に発生していた。
【0034】
本開示は、上記のような関連技術の課題を解決するものである。以下、本開示にかかる接続制御回路について説明する。
【0035】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。
図3は、実施の形態1にかかる接続制御回路の構成例を示す回路図である。
図3に示すように、本実施の形態にかかる接続制御回路1は、VBUS端子、CC1端子、CC2端子、GND端子、切替回路SW1、SW2、プルアップ抵抗Rp、プルダウン抵抗Rd、動作モード検出回路11、レシーバ回路12、電圧変化検出回路13、動作状態制御回路14、切替制御回路15、及びトランジスタTr1、Tr2を備える。
【0036】
本実施の形態にかかる接続制御回路1は、USB Type-C規格に従う接続制御回路である。本実施の形態にかかる接続制御回路1の少なくとも一部は、CCPHYを構成している。例えば、本実施の形態では、VBUS端子、CC1端子、CC2端子、GND端子、切替回路SW1、SW2、プルアップ抵抗Rp、プルダウン抵抗Rd、動作モード検出回路11、レシーバ回路12、切替制御回路15、及びトランジスタTr1、Tr2を含む回路がCCPHYを構成していてもよく、この場合は、電圧変化検出回路13、及び動作状態制御回路14をCCPHYとは異なるチップに設けてもよい。また、本実施の形態では、接続制御回路1の構成要素全てを含めてCCPHYを構成してもよい。
【0037】
図3に示すように、CC1端子は切替回路SW1を介してプルアップ抵抗Rpの一端またはプルダウン抵抗Rdの一端と接続される。プルアップ抵抗Rpの他端は電源電位(5V)に接続される。プルダウン抵抗Rdの他端は接地電位(GND)に接続される。CC1端子の電圧CC1(換言すると、CC1端子と接続されたノードN1の電圧CC1)に関する情報は、動作モード検出回路11に供給される。
【0038】
同様に、CC2端子は切替回路SW2を介してプルアップ抵抗Rpの一端またはプルダウン抵抗Rdの一端と接続される。プルアップ抵抗Rpの他端は電源電位(5V)に接続される。プルダウン抵抗Rdの他端は接地電位(GND)に接続される。CC2端子の電圧CC2(換言すると、CC2端子と接続されたノードN2の電圧CC2)に関する情報は、動作モード検出回路11に供給される。
【0039】
このように、プルアップ抵抗Rp、プルダウン抵抗Rd、切替回路SW1、SW2は、CC1端子およびCC2端子のそれぞれに対応するように設けられている。つまり、USB Type-C規格ではコネクタがリバーシブルである。このため、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとを接続した際に、自デバイスのCC1端子およびCC2端子のいずれかが、他デバイスのCC1端子またはCC2端子と接続されるように構成している。このような構成とすることで、コネクタをリバーシブルにすることができる。なお、自デバイスとは接続制御回路(CCPHY)1が搭載されたデバイスであり、他デバイスとは自デバイスとUSBケーブルを介して接続される相手方のデバイスである。
【0040】
切替制御回路15は、動作モード検出回路11の制御に応じて、切替回路SW1および切替回路SW2を制御する。具体的には、切替制御回路15は、自デバイスがソースとして動作する場合、CC1端子およびCC2端子がプルアップ抵抗Rpと接続されるように、つまり、プルアップ抵抗Rpを介して電源電位と接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。また、切替制御回路15は、自デバイスがシンクとして動作する場合、CC1端子およびCC2端子がプルダウン抵抗Rdと接続されるように、つまり、プルダウン抵抗Rdを介して接地電位(GND)と接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。
【0041】
動作モード検出回路11は、CC1端子と接続されたノードN1の電圧CC1またはCC2端子と接続されたノードN2の電圧CC2に基づいて自デバイスの動作モードを検出する。なお、以下ではCC1端子と接続されたノードN1の電圧CC1を単に「CC1端子の電圧CC1」とも記載し、CC2端子と接続されたノードN2の電圧CC2を単に「CC2端子の電圧CC2」とも記載する。また、これらを総称して、「CC端子の電圧CC」とも記載する。
【0042】
動作モード検出回路11は、自デバイスの動作モードがソースモードである場合、トランジスタTr1をオン状態、トランジスタTr2をオフ状態として、VBUS端子とVBUS Sourceとを接続し電力を供給する。一方、動作モード検出回路11は、自デバイスの動作モードがシンクモードである場合、トランジスタTr2をオン状態、トランジスタTr1をオフ状態として、VBUS端子とVBUS Sinkとを接続する。
【0043】
動作モード検出回路11は、コンパレータ21とステートマシン22とを備える。動作モード検出回路11は、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続された際、コンパレータ21を用いてCC端子の電圧レベルを検出する。コンパレータ21で検出されたCC端子の電圧レベルに関する情報はステートマシン22に供給される。ステートマシン22は、CC端子の電圧レベルに応じて、自デバイスの動作モードを決定する。なお、動作モードを決定するプロセスの詳細については、USB Type-Cの規格書(非特許文献1)で定義されている。
【0044】
本実施の形態では、コンパレータ21として複数のコンパレータを備えてもよい。例えば、CC1端子の電圧CC1と所定の基準電圧vRdとを比較するコンパレータ、CC1端子の電圧CC1と所定の基準電圧vRaとを比較するコンパレータ、CC2端子の電圧CC2と所定の基準電圧vRdとを比較するコンパレータ、及びCC2端子の電圧CC2と所定の基準電圧vRaとを比較するコンパレータを設けてもよい。
【0045】
ここで基準電圧vRdは、自デバイスがソースとして動作するか否かを判定するための基準電圧である。また、基準電圧vRaは、自デバイスがシンクとして動作するか否かを判定するための基準電圧である。基準電圧vRd、vRaは、動作モード検出回路11に設けられた基準電圧生成回路(不図示)で生成してもよい。基準電圧生成回路で生成された各々の基準電圧vRd、vRaは、各々のコンパレータに供給される。
【0046】
レシーバ回路12は、ノードN1、N2に対して動作モード検出回路11と並列に接続されるように設けられている。レシーバ回路12は、ノードN1、N2の電圧CC1、CC2をそれぞれ受信するように構成されている。具体的には、レシーバ回路Rec1の入力にノードN1の電圧CC1が、レシーバ回路Rec2の入力にノードN2の電圧CC2がそれぞれ供給されるように構成されている。レシーバ回路12は、例えばバッファ回路を用いて構成できる。また、レシーバ回路12は、コンパレータ21よりも低電流動作可能な回路(つまり、低消費電力な回路)を用いて構成する。
【0047】
本実施の形態では、CC1端子およびCC2端子の各々と対応するように、プルアップ抵抗Rp、プルダウン抵抗Rd、切替回路SW1、SW2、コンパレータ21、及びレシーバ回路12(Rec1、Rec2)がそれぞれ設けられている。
【0048】
電圧変化検出回路13は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2の変化を検出する。具体的には、自デバイスと他デバイスとが接続されていない未接続状態から、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続された接続状態となった際、CC端子の電圧が変化する。電圧変化検出回路13は、このときのCC端子の電圧の変化、つまり、電圧レベルVC1、VC2の変化を検出する。
【0049】
例えば自デバイスがソースに設定されている場合、CC1端子、CC2端子はプルアップ抵抗Rpに接続されている。この状態で、自デバイス(ソース側)が他デバイス(シンク側)と接続されるとCC1端子、CC2端子の電圧が低下する。電圧変化検出回路13は、このときのCC1端子、CC2端子の電圧の変化、つまり、電圧レベルVC1、VC2の変化を検出する。
【0050】
また、例えば自デバイスがシンクに設定されている場合、CC1端子、CC2端子はプルダウン抵抗Rdに接続されている。この状態で、自デバイス(シンク側)が他デバイス(ソース側)と接続されるとCC1端子、CC2端子の電圧が上昇する。電圧変化検出回路13は、このときのCC1端子、CC2端子の電圧の変化、つまり、電圧レベルVC1、VC2の変化を検出する。
【0051】
なお、レシーバ回路12はノイズでも反応する場合があるため、例えば、電圧変化検出回路13にデバウンス処理を実施する回路を設けてもよい。このようにデバウンス処理を実施することで、電圧変化検出回路13における検出精度を向上させることができる。
【0052】
動作状態制御回路14は、電圧変化検出回路13の検出結果に応じて、動作モード検出回路11およびレシーバ回路12の動作状態を制御する。具体的には、動作状態制御回路14は、自デバイスに他デバイスが接続されていない第1状態において、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11を停止状態とする。また、動作状態制御回路14は、自デバイスに他デバイスが接続され、電圧変化検出回路13がレシーバ回路12から出力された電圧レベルが変化したことを検出した第2状態において、レシーバ回路12を停止状態、動作モード検出回路11を動作状態とする。そして、第2状態において動作モード検出回路11は、CC1端子と接続されたノードN1の電圧CC1またはCC2端子と接続されたノードN2の電圧CC2に基づいて自デバイスの動作モードを検出する。
【0053】
本実施の形態では、動作モード検出回路11とレシーバ回路12とが同一のチップに内蔵されるように構成してもよい。
【0054】
次に、
図4、
図5に示すフローチャートを用いて、本実施の形態にかかる接続制御回路の動作について説明する。
図4は、接続制御回路1の動作モードがソースモードの場合の動作を示している。
図5は、接続制御回路1の動作モードがシンクモードの場合の動作を示している。
【0055】
まず、
図4を用いて、接続制御回路1の動作モードがソースモードの場合の動作について説明する。以下では、自デバイスが未接続状態から接続状態に変化した場合の動作について説明する。最初に接続制御回路1の切替制御回路15は、自デバイスがソースとして動作するので、CC1端子、CC2端子がプルアップ抵抗Rpと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。また、動作状態制御回路14は、自デバイスが未接続状態(第1の状態)であるので、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態とする(ステップS1)。
【0056】
その後、電圧変化検出回路13は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定する(ステップS2)。自デバイスに他デバイスが接続されていない場合は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2は変化しない(ステップS2:No)。この場合、電圧変化検出回路13は、一定の間隔で、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定し続ける。
【0057】
一方、自デバイスに他デバイスが接続されると、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化する(ステップS2:Yes)。動作状態制御回路14は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したことを検出すると、レシーバ回路12を停止状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を動作状態とする(ステップS3)。
【0058】
次に、動作モード検出回路11は、CC端子の電圧(CC電圧)と基準電圧vRdとを比較する(ステップS4)。ここで、基準電圧vRdは、自デバイスがソースであると判定するための基準電圧であり、詳細はUSB Type-Cの規格書で定義されている。
【0059】
そして、CC電圧≦vRdの条件を満たす場合(ステップS5:Yes)、つまり、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続され、他デバイスの動作モードがシンクモードである場合、ソース接続を確立する(ステップS6:Yes)。一方、CC電圧≦vRdの条件を満たさない場合(ステップS5:No)、ステップS1からの動作を繰り返す。なお、他デバイスの動作モードがシンクモードである場合とは、他デバイスのCC端子がプルダウン抵抗Rdに接続されている場合である。
【0060】
ソース接続が確立すると、自デバイスから他デバイスへのVBUS供給(電源供給)が開始される(ステップS7)。換言すると、自デバイスがUSB Hostとして動作する。
【0061】
図4に示した動作では、タイミングt1からタイミングt2の間において、動作状態制御回路14は、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態としている。ここでレシーバ回路12の消費電力は、動作モード検出回路11の消費電力よりも小さいので、タイミングt1からタイミングt2の間において接続制御回路1の消費電力を小さくすることができる。
【0062】
次に、
図5を用いて、接続制御回路1の動作モードがシンクモードの場合の動作について説明する。最初に接続制御回路1の切替制御回路15は、自デバイスがシンクとして動作するので、CC1端子、CC2端子がプルダウン抵抗Rdと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。また、動作状態制御回路14は、自デバイスが未接続状態(第1の状態)であるので、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態とする(ステップS11)。
【0063】
その後、電圧変化検出回路13は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定する(ステップS12)。自デバイスに他デバイスが接続されていない場合は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2は変化しない(ステップS12:No)。この場合、電圧変化検出回路13は、一定の間隔で、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定し続ける。
【0064】
一方、自デバイスに他デバイスが接続されると、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化する(ステップS12:Yes)。動作状態制御回路14は、レシーバ回路12から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したことを検出すると、レシーバ回路12を停止状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を動作状態とする(ステップS13)。
【0065】
次に、動作モード検出回路11は、CC端子の電圧(CC電圧)と基準電圧vRaとを比較する(ステップS14)。ここで、基準電圧vRaは、自デバイスがシンクであると判定するための基準電圧であり、詳細はUSB Type-Cの規格書で定義されている。
【0066】
そして、CC電圧≧vRdの条件を満たす場合(ステップS15:Yes)、つまり、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続され、他デバイスの動作モードがソースモードである場合、シンク接続を確立する(ステップS16:Yes)。一方、CC電圧≧vRaの条件を満たさない場合(ステップS15:No)、ステップS11からの動作を繰り返す。なお、他デバイスの動作モードがソースモードである場合とは、他デバイスのCC端子がプルアップ抵抗Rpに接続されている場合である。
【0067】
シンク接続が確立すると、他デバイスから自デバイスへのVBUS受電が開始される(ステップS17)。換言すると、自デバイスがUSB Peripheralとして動作する。
【0068】
図5に示した動作では、タイミングt11からタイミングt12の間において、動作状態制御回路14は、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態としている。ここでレシーバ回路12の消費電力は、動作モード検出回路11の消費電力よりも小さいので、タイミングt11からタイミングt12の間において接続制御回路1の消費電力を小さくすることができる。
【0069】
なお、
図4、
図5では一例として、接続制御回路1の動作モードがソースモードおよびシンクモードの場合について説明したが、本実施の形態は接続制御回路1の動作モードがDRPモードの場合についても同様に適用できる。
【0070】
以上で説明したように、本実施の形態では、動作モード検出回路11と並列に接続されるようにレシーバ回路12を設けている。そして、自デバイスが未接続状態(第1の状態)の場合、レシーバ回路12を動作状態、動作モード検出回路11を停止状態としている。つまり、自デバイスが未接続状態の場合は、消費電力が小さいレシーバ回路12を用いて、CC端子の電圧レベルの変化をモニターしている。そして、自デバイスが他デバイスと接続された際に、レシーバ回路12を停止状態、動作モード検出回路11を動作状態としている。一例を挙げると、動作モード検出回路11の消費電力はmAオーダーであるのに対して、レシーバ回路12の消費電力はμAオーダーである。よって、自デバイスが未接続の状態において、接続制御回路の消費電力を低減できる。
【0071】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。
図6は、実施の形態2にかかる接続制御回路の構成例を示す回路図である。
図6に示す実施の形態2にかかる接続制御回路2は、実施の形態1で説明した接続制御回路1(
図3参照)と比べて、切替回路31、トランシーバ32、USBコントローラ33を備える点が異なる。これ以外については、実施の形態1で説明した接続制御回路1と同様であるので重複した説明は適宜省略する。
【0072】
本実施の形態にかかる接続制御回路2は、レシーバ回路12(
図3参照)を設ける代わりに、トランシーバ32が備えるSingle-ended Receiversをレシーバ回路として用いている。ここでトランシーバ32は、USB2.0規格書で定義された「USB2.0 Transceiver」であり、
図7に示す回路構成を備える。
【0073】
図7に示すように、トランシーバ32は、1つの差動レシーバ41(Differential Receiver)、2つのレシーバ回路42(Single-ended Receivers)、2つの出力バッファ43(Output Buffers)、及び抵抗Rdtを備える。トランシーバ32には信号線D+、D-、信号線RxD、信号線RxD+、RxD-、信号線TxD+、TxD-が接続されている。
【0074】
具体的には、信号線D+、D-は、差動レシーバ41の入力側、レシーバ回路42の入力側、出力バッファ43の出力側に接続されている。また、信号線RxDは、差動レシーバ41の出力側に接続されている。信号線RxD+、RxD-は、レシーバ回路42の出力側に接続されている。信号線TxD+、TxD-は、出力バッファ43の入力側に接続されている。トランシーバ32およびUSBコントローラ33(
図6参照)は、USB2.0規格書で定義された各種動作を実施する。
【0075】
本実施の形態では、トランシーバ32が備える2つのレシーバ回路42(Single-ended Receivers)をレシーバ回路として用いる。このために本実施の形態では、トランシーバ32の前段に切替回路31(
図6参照)を設けている。切替回路31は、トランシーバ32にCC1端子の電圧CC1(ノードN1の電圧)およびCC2端子の電圧CC2(ノードN2の電圧)が入力される場合と、信号線D+、D-が接続される場合とを切り替える。切替回路31は、動作状態制御回路14によって制御される。
【0076】
本実施の形態において動作状態制御回路14は、電圧変化検出回路13の検出結果に応じて、動作モード検出回路11、トランシーバ32のレシーバ回路42、及び切替回路31の動作状態を制御する。具体的には、動作状態制御回路14は、自デバイスに他デバイスが接続されていない第1状態において、トランシーバ32のレシーバ回路42を動作状態、動作モード検出回路11を停止状態とする。また、動作状態制御回路14は、第1状態において、トランシーバ32(レシーバ回路42)にCC1端子の電圧CC1(ノードN1の電圧)およびCC2端子の電圧CC2(ノードN2の電圧)が入力されるように、切替回路31を制御する。また、第1状態では、トランシーバ32の抵抗Rdtがオフとなるように(つまり、抵抗Rdtが接地電位に接続されないように)してもよい。
【0077】
また、動作状態制御回路14は、自デバイスに他デバイスが接続され、電圧変化検出回路13がレシーバ回路42から出力された電圧レベルが変化したことを検出した第2状態において、トランシーバ32のレシーバ回路42を停止状態、動作モード検出回路11を動作状態とする。また、動作状態制御回路14は、第2状態において、トランシーバ32に信号線D+、D-が接続されるように、切替回路31を制御する。そして、第2状態において動作モード検出回路11は、CC1端子と接続されたノードN1の電圧CC1またはCC2端子と接続されたノードN2の電圧CC2に基づいて自デバイスの動作モードを検出する。また、第2状態においてトランシーバ32は、USB2.0規格書で定義された各種動作を実施する。
【0078】
次に、
図8、
図9に示すフローチャートを用いて、本実施の形態にかかる接続制御回路の動作について説明する。
図8は、接続制御回路2の動作モードがソースモードの場合の動作を示している。
図9は、接続制御回路2の動作モードがシンクモードの場合の動作を示している。
【0079】
まず、
図8を用いて、接続制御回路2の動作モードがソースモードの場合の動作について説明する。以下では、自デバイスが未接続状態から接続状態に変化した場合の動作について説明する。最初に接続制御回路2の切替制御回路15は、自デバイスがソースとして動作するので、CC1端子、CC2端子がプルアップ抵抗Rpと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。また、動作状態制御回路14は、自デバイスが未接続状態(第1の状態)であるので、トランシーバ32のレシーバ回路42を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態とする。また、動作状態制御回路14は、第1状態において、トランシーバ32(レシーバ回路42)にCC1端子の電圧CC1(ノードN1の電圧)およびCC2端子の電圧CC2(ノードN2の電圧)が入力されるように、切替回路C(31)を制御する(ステップS21)。
【0080】
その後、電圧変化検出回路13は、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定する(ステップS22)。自デバイスに他デバイスが接続されていない場合は、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2は変化しない(ステップS22:No)。この場合、電圧変化検出回路13は、一定の間隔で、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定し続ける。
【0081】
一方、自デバイスに他デバイスが接続されると、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化する(ステップS22:Yes)。動作状態制御回路14は、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したことを検出すると、トランシーバ32のレシーバ回路42を停止状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を動作状態とする。また、動作状態制御回路14は、トランシーバ32に信号線D+、D-が接続されるように、切替回路31を制御する(ステップS23)。
【0082】
次に、動作モード検出回路11は、CC端子の電圧(CC電圧)と基準電圧vRdとを比較する(ステップS24)。ここで、基準電圧vRdは、自デバイスがソースであると判定するための基準電圧であり、詳細はUSB Type-Cの規格書で定義されている。
【0083】
そして、CC電圧≦vRdの条件を満たす場合(ステップS25:Yes)、つまり、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続され、他デバイスの動作モードがシンクモードである場合、ソース接続を確立する(ステップS26:Yes)。一方、CC電圧≦vRdの条件を満たさない場合(ステップS25:No)、ステップS21からの動作を繰り返す。なお、他デバイスの動作モードがシンクモードである場合とは、他デバイスのCC端子がプルダウン抵抗Rdに接続されている場合である。
【0084】
ソース接続が確立すると、自デバイスはUSB Hostとして動作を開始する(ステップS27)。
【0085】
図8に示した動作では、タイミングt21からタイミングt22の間において、動作状態制御回路14は、レシーバ回路42を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態としている。ここでレシーバ回路42の消費電力は、動作モード検出回路11の消費電力よりも小さいので、タイミングt21からタイミングt22の間において接続制御回路2の消費電力を小さくすることができる。
【0086】
また、タイミングt21からタイミングt22の間において、切替回路C(31)は、トランシーバ32(レシーバ回路42)にCC1端子の電圧CC1(ノードN1の電圧)およびCC2端子の電圧CC2(ノードN2の電圧)が入力されるようにしている。この場合、トランシーバ32は、USB Type-Cのホストにより占有される。一方、タイミングt22以降において、切替回路C(31)は、トランシーバ32に信号線D+、D-が接続されるようにしている。この場合、トランシーバ32は、USB2.0のホストにより占有される。
【0087】
次に、
図9を用いて、接続制御回路2の動作モードがシンクモードの場合の動作について説明する。最初に接続制御回路2の切替制御回路15は、自デバイスがシンクとして動作するので、CC1端子、CC2端子がプルダウン抵抗Rdと接続されるように、切替回路SW1、SW2を制御する。また、動作状態制御回路14は、自デバイスが未接続状態(第1の状態)であるので、トランシーバ32のレシーバ回路42を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態とする。また、動作状態制御回路14は、第1状態において、トランシーバ32(レシーバ回路42)にCC1端子の電圧CC1(ノードN1の電圧)およびCC2端子の電圧CC2(ノードN2の電圧)が入力されるように、切替回路C(31)を制御する(ステップS31)。
【0088】
その後、電圧変化検出回路13は、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定する(ステップS32)。自デバイスに他デバイスが接続されていない場合は、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2は変化しない(ステップS32:No)。この場合、電圧変化検出回路13は、一定の間隔で、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したか否かを判定し続ける。
【0089】
一方、自デバイスに他デバイスが接続されると、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化する(ステップS32:Yes)。動作状態制御回路14は、レシーバ回路42から出力された電圧レベルVC1、VC2が変化したことを検出すると、トランシーバ32のレシーバ回路42を停止状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を動作状態とする。また、動作状態制御回路14は、トランシーバ32に信号線D+、D-が接続されるように、切替回路31を制御する(ステップS33)。
【0090】
次に、動作モード検出回路11は、CC端子の電圧(CC電圧)と基準電圧vRaとを比較する(ステップS34)。ここで、基準電圧vRaは、自デバイスがシンクであると判定するための基準電圧であり、詳細はUSB Type-Cの規格書で定義されている。
【0091】
そして、CC電圧≧vRaの条件を満たす場合(ステップS35:Yes)、つまり、USBケーブルを用いて自デバイスと他デバイスとが接続され、他デバイスの動作モードがソースモードである場合、シンク接続を確立する(ステップS36:Yes)。一方、CC電圧≧vRdの条件を満たさない場合(ステップS35:No)、ステップS31からの動作を繰り返す。なお、他デバイスの動作モードがソースモードである場合とは、他デバイスのCC端子がプルアップ抵抗Rpに接続されている場合である。
【0092】
シンク接続が確立すると、自デバイスはUSB Peripheralとして動作を開始する(ステップS37)。
【0093】
図9に示した動作では、タイミングt31からタイミングt32の間において、動作状態制御回路14は、レシーバ回路42を動作状態、動作モード検出回路11(コンパレータ)を停止状態としている。ここでレシーバ回路42の消費電力は、動作モード検出回路11の消費電力よりも小さいので、タイミングt31からタイミングt32の間において接続制御回路2の消費電力を小さくすることができる。
【0094】
また、タイミングt31からタイミングt32の間において、切替回路C(31)は、トランシーバ32(レシーバ回路42)にCC1端子の電圧CC1(ノードN1の電圧)およびCC2端子の電圧CC2(ノードN2の電圧)が入力されるようにしている。この場合、トランシーバ32は、USB Type-Cのホストにより占有される。一方、タイミングt32以降において、切替回路C(31)は、トランシーバ32に信号線D+、D-が接続されるようにしている。この場合、トランシーバ32は、USB2.0のホストにより占有される。
【0095】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる接続制御回路2では、レシーバ回路12(
図3参照)を設ける代わりに、トランシーバ32が備えるSingle-ended Receivers(レシーバ回路42)をレシーバ回路として用いている。よって、接続制御回路2を構成する際に、新たに設ける回路の数を削減できる。
【0096】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0097】
1、2 接続制御回路
11 動作モード検出回路
12 レシーバ回路
13 電圧変化検出回路
14 動作状態制御回路
15 切替制御回路
21 コンパレータ
22 ステートマシン
31 切替回路
32 トランシーバ
33 USBコントローラ
41 差動レシーバ
42 レシーバ回路
43 出力バッファ