(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075851
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 17/04 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
F16K17/04 C
F16K17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187052
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉橋 清裕
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 準弥
(72)【発明者】
【氏名】刑部 友敬
(72)【発明者】
【氏名】田口 佑介
(72)【発明者】
【氏名】杉本 遵吉
(72)【発明者】
【氏名】井上 重行
【テーマコード(参考)】
3H059
【Fターム(参考)】
3H059AA03
3H059BB03
3H059BB16
3H059CA05
3H059CC02
3H059CD05
3H059EE01
3H059FF05
3H059FF11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カバーの放出孔を全周にわたって設けつつ、カバーによる弁部材のガイド機能を確保できる、弁装置を提供する。
【解決手段】周方向に隣り合う脚部22間のそれぞれにカバー20の内側から外側に流体を放出可能な放出孔23が設けられているため、放出孔23を、脚部22を除く全周にわたって設けることができる。また、カバー20の脚部22におけるカバー20の内側の面のみに、第1ガイド41の動きをカバー天板部21の面直方向Dのみに規制する第2ガイドが設けられているため、脚部22以外の位置に設けられる場合に比べて、第2ガイドを長く設定できる。よって、第2ガイドで弁部材40の移動範囲の全域(開閉の全領域)にわたって弁部材40をガイド可能であり、カバー20による弁部材40のガイド機能を確保できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーと、弁部材と、を有しており、
前記カバーは、該カバーが取付けられる相手部材に固定して取付けられており、カバー天板部と、該カバー天板部の外周部から前記相手部材側に延びており延び方向先端部で前記相手部材に取付けられる脚部と、を有しており、
前記脚部は周方向に断続的に複数設けられており、周方向に隣り合う前記脚部間のそれぞれに前記カバーの内側から外側に流体を放出可能な放出孔が設けられており、
前記弁部材は、前記カバーに対して前記カバーの内側で前記カバー天板部の面直方向に平行移動可能となっており、
前記弁部材の外周端部に、第1ガイドが設けられており、前記カバーの前記脚部における前記カバーの内側の面に、前記第1ガイドの動きを前記カバー天板部の面直方向のみに規制する第2ガイドが設けられている、弁装置。
【請求項2】
前記第1ガイドと前記第2ガイドの一方は、前記第1ガイドと前記第2ガイドの他方側に突出しており前記カバー天板部の面直方向に延びるリブ形状となっており、前記第1ガイドと前記第2ガイドの他方は、前記第1ガイドと前記第2ガイドの前記一方を挟んでガイドする一対の突起形状となっている、請求項1記載の弁装置。
【請求項3】
前記カバーに固定して取付けられるベース部材と、該ベース部材に取付けられるシール部材と、をさらに有しており、
前記ベース部材は、全周にわたって連続しており軸芯が前記カバー天板部の面直方向と平行なベースリング状部を有しており、前記弁部材に対して前記カバー天板部と反対側に配置されており、
前記シール部材は、全周にわたって連続しており前記ベースリング状部と軸芯が一致するリング状となっており、前記ベースリング状部に取付けられている、請求項1記載の弁装置。
【請求項4】
前記カバーの脚部は、延び方向先端部にカバー締結部を有しており、
前記ベース部材は、ベース締結部を有しており、
前記カバーと前記ベース部材は、前記カバー締結部と前記ベース締結部が重ね合わされた状態で、前記相手部材に締結具を用いて共締めされている、請求項3記載の弁装置。
【請求項5】
前記弁部材は、前記カバー天板部と対向するカバー天板部対向面と、該カバー天板部対向面の裏側にあるシール部材接触面と、を有しており、該シール部材接触面が前記シール部材の軸方向一端部に接触して該シール部材の内側スペースを閉塞する閉位置と、前記シール部材接触面が前記シール部材の軸方向一端部から離れて前記シール部材の内側スペースを開放する開位置とに、前記カバー天板部の面直方向に移動可能となっている、請求項3記載の弁装置。
【請求項6】
前記シール部材接触面は、前記弁部材が前記閉位置にあるときに前記シール部材の軸方向一端部に接触する接触面外周部と、該接触面外周部より内径側にあり前記シール部材の軸方向一端部に接触しない接触面内側部と、を有しており、
前記接触面内側部は、前記シール部材側への膨出量が該接触面内側部の内径側に行く程大となる湾曲面となっている、請求項5記載の弁装置。
【請求項7】
前記第1ガイドは、前記シール部材接触面の外周端部から、前記カバー天板部の面直方向に前記カバー天板部側に延びて設けられている、請求項5記載の弁装置。
【請求項8】
前記弁部材は、前記カバー天板部対向面に、前記カバー天板部側に延びる第3ガイドを有しており、
前記カバーは、前記第3ガイドの動きを前記カバー天板部の面直方向のみに規制する第4ガイドを有している、請求項5記載の弁装置。
【請求項9】
前記弁部材と前記カバーとの間には、前記弁部材を前記カバーに対して前記カバー天板部の面直方向に前記シール部材側に付勢するバネ部材が設けられており、
前記弁部材に設けられる前記第3ガイド又は前記カバーに設けられる前記第4ガイドに、前記バネ部材が前記カバー天板部の面直方向と直交する方向に移動することを規制するバネ位置決め部が設けられている、請求項8記載の弁装置。
【請求項10】
前記シール部材は、前記ベースリング状部より前記弁部材側にあるシール部材第1部分を有しており、該シール部材第1部分に前記シール部材の軸方向一端部が設けられており、
前記シール部材第1部分は、前記弁部材が前記閉位置にあるとき前記ベースリング状部と前記弁部材とにより挟まれている、請求項5記載の弁装置。
【請求項11】
前記シール部材は、前記ベースリング状部より前記弁部材と反対側にあるシール部材第2部分と、前記シール部材第1部分と前記シール部材第2部分とを連結するシール部材橋渡し部と、をさらに有しており、
前記シール部材第2部分は、前記ベースリング状部と前記相手部材とにより挟まれている、請求項10記載の弁装置。
【請求項12】
前記シール部材橋渡し部は、前記ベースリング状部の内径側を通って前記シール部材第1部分と前記シール部材第2部分とを連結している、請求項11記載の弁装置。
【請求項13】
前記シール部材第1部分は、前記弁部材側に突出しており全周にわたって連続する第1内側突条と、該第1内側突条より外周側にあり前記弁部材側に突出しており全周にわたって連続する第1外側突条と、を有しており、
前記シール部材第2部分は、前記弁部材と反対側に突出しており全周にわたって連続する第2内側突条と、該第2内側突条より外周側にあり前記弁部材と反対側に突出しており全周にわたって連続する第2外側突条と、を有する、請求項11記載の弁装置。
【請求項14】
前記第1内側突条と前記第1外側突条は、それぞれ、横断面視における径方向内側の側面よりも径方向外側の側面の方が、前記カバー天板部の面直方向からの傾斜角度が小となっている、請求項13記載の弁装置。
【請求項15】
電池パックのパックケースに形成される開口部を閉塞可能に前記パックケースに取付けられる電池パック用圧力開放弁装置であり、
前記相手部材は、前記パックケースである、請求項1記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックのパックケースに形成される開口部を閉塞可能な電池パック用圧力開放弁装置などの、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-96520号公報は、
図13に示すように、カバー(ハウジング)2と、カバー2内でカバー2の天板部2aの面直方向に平行移動可能な弁部材(弁体)3と、を有する弁装置1を開示している。
【0003】
しかし、上記公報開示の技術には、つぎの問題点がある。
カバー2に形成された放出孔2bがカバー2の周方向の一部のみに設けられているため、弁部材3が開状態にあるときに、カバー2内の流体がカバー2外に抜ける方向が限定されてしまい、カバー2内の流体が抜け難くなってしまう。
【0004】
流体を抜け易くするととともに流体の抜ける方向が限定されることを抑制するためには、放出孔2bがカバー2の全周にわたって設けられることが望ましい。しかし、この場合、弁部材3の移動範囲の全域にわたって弁部材3をガイド可能なガイドを、カバー2に設けることが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カバーの放出孔を全周にわたって設けつつ、カバーによる弁部材のガイド機能を確保できる、弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) カバーと、弁部材と、を有しており、
前記カバーは、該カバーが取付けられる相手部材に固定して取付けられており、カバー天板部と、該カバー天板部の外周部から前記相手部材側に延びており延び方向先端部で前記相手部材に取付けられる脚部と、を有しており、
前記脚部は周方向に断続的に複数設けられており、周方向に隣り合う前記脚部間のそれぞれに前記カバーの内側から外側に流体を放出可能な放出孔が設けられており、
前記弁部材は、前記カバーに対して前記カバーの内側で前記カバー天板部の面直方向に平行移動可能となっており、
前記弁部材の外周端部に、第1ガイドが設けられており、前記カバーの前記脚部における前記カバーの内側の面に、前記第1ガイドの動きを前記カバー天板部の面直方向のみに規制する第2ガイドが設けられている、弁装置。
(2) 前記第1ガイドと前記第2ガイドの一方は、前記第1ガイドと前記第2ガイドの他方側に突出しており前記カバー天板部の面直方向に延びるリブ形状となっており、前記第1ガイドと前記第2ガイドの他方は、前記第1ガイドと前記第2ガイドの前記一方を挟んでガイドする一対の突起形状となっている、(1)記載の弁装置。
(3) 前記カバーに固定して取付けられるベース部材と、該ベース部材に取付けられるシール部材と、をさらに有しており、
前記ベース部材は、全周にわたって連続しており軸芯が前記カバー天板部の面直方向と平行なベースリング状部を有しており、前記弁部材に対して前記カバー天板部と反対側に配置されており、
前記シール部材は、全周にわたって連続しており前記ベースリング状部と軸芯が一致するリング状となっており、前記ベースリング状部に取付けられている、(1)記載の弁装置。
(4) 前記カバーの脚部は、延び方向先端部にカバー締結部を有しており、
前記ベース部材は、ベース締結部を有しており、
前記カバーと前記ベース部材は、前記カバー締結部と前記ベース締結部が重ね合わされた状態で、前記相手部材に締結具を用いて共締めされている、(3)記載の弁装置。
(5) 前記弁部材は、前記カバー天板部と対向するカバー天板部対向面と、該カバー天板部対向面の裏側にあるシール部材接触面と、を有しており、該シール部材接触面が前記シール部材の軸方向一端部に接触して該シール部材の内側スペースを閉塞する閉位置と、前記シール部材接触面が前記シール部材の軸方向一端部から離れて前記シール部材の内側スペースを開放する開位置とに、前記カバー天板部の面直方向に移動可能となっている、(3)記載の弁装置。
(6) 前記シール部材接触面は、前記弁部材が前記閉位置にあるときに前記シール部材の軸方向一端部に接触する接触面外周部と、該接触面外周部より内径側にあり前記シール部材の軸方向一端部に接触しない接触面内側部と、を有しており、
前記接触面内側部は、前記シール部材側への膨出量が該接触面内側部の内径側に行く程大となる湾曲面となっている、(5)記載の弁装置。
(7) 前記第1ガイドは、前記シール部材接触面の外周端部から、前記カバー天板部の面直方向に前記カバー天板部側に延びて設けられている、(5)記載の弁装置。
(8) 前記弁部材は、前記カバー天板部対向面に、前記カバー天板部側に延びる第3ガイドを有しており、
前記カバーは、前記第3ガイドの動きを前記カバー天板部の面直方向のみに規制する第4ガイドを有している、(5)記載の弁装置。
(9) 前記弁部材と前記カバーとの間には、前記弁部材を前記カバーに対して前記カバー天板部の面直方向に前記シール部材側に付勢するバネ部材が設けられており、
前記弁部材に設けられる前記第3ガイド又は前記カバーに設けられる前記第4ガイドに、前記バネ部材が前記カバー天板部の面直方向と直交する方向に移動することを規制するバネ位置決め部が設けられている、(8)記載の弁装置。
(10) 前記シール部材は、前記ベースリング状部より前記弁部材側にあるシール部材第1部分を有しており、該シール部材第1部分に前記シール部材の軸方向一端部が設けられており、
前記シール部材第1部分は、前記弁部材が前記閉位置にあるとき前記ベースリング状部と前記弁部材とにより挟まれている、(5)記載の弁装置。
(11) 前記シール部材は、前記ベースリング状部より前記弁部材と反対側にあるシール部材第2部分と、前記シール部材第1部分と前記シール部材第2部分とを連結するシール部材橋渡し部と、をさらに有しており、
前記シール部材第2部分は、前記ベースリング状部と前記相手部材とにより挟まれている、(10)記載の弁装置。
(12) 前記シール部材橋渡し部は、前記ベースリング状部の内径側を通って前記シール部材第1部分と前記シール部材第2部分とを連結している、(11)記載の弁装置。
(13) 前記シール部材第1部分は、前記弁部材側に突出しており全周にわたって連続する第1内側突条と、該第1内側突条より外周側にあり前記弁部材側に突出しており全周にわたって連続する第1外側突条と、を有しており、
前記シール部材第2部分は、前記弁部材と反対側に突出しており全周にわたって連続する第2内側突条と、該第2内側突条より外周側にあり前記弁部材と反対側に突出しており全周にわたって連続する第2外側突条と、を有する、(11)記載の弁装置。
(14) 前記第1内側突条と前記第1外側突条は、それぞれ、横断面視における径方向内側の側面よりも径方向外側の側面の方が、前記カバー天板部の面直方向からの傾斜角度が小となっている、(13)記載の弁装置。
(15) 電池パックのパックケースに形成される開口部を閉塞可能に前記パックケースに取付けられる電池パック用圧力開放弁装置であり、
前記相手部材は、前記パックケースである、(1)記載の弁装置。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)の弁装置によれば、周方向に隣り合う脚部間のそれぞれにカバーの内側から外側に流体を放出可能な放出孔が設けられているため、放出孔を、脚部を除く全周にわたって設けることができる。
また、カバーの脚部におけるカバーの内側の面に、第1ガイドの動きをカバー天板部の面直方向のみに規制する第2ガイドが設けられているため、脚部以外の位置に設けられる場合に比べて、第2ガイドを長く設定できる。よって、第2ガイドで弁部材の移動範囲の全域にわたって弁部材をガイド可能であり、カバーによる弁部材のガイド機能を確保できる。
また、弁部材がカバーに対してカバーの内側でカバー天板部の面直方向に平行移動可能となっているため、弁部材がフラップ式であるなど平行移動しない場合に比べて、弁部材がカバーの内側から外側への流体の通り道を限定することを抑制できる。
【0009】
上記(2)の弁装置によれば、第1ガイドと第2ガイドの一方が、他方側に突出しておりカバー天板部の面直方向に延びるリブ形状となっており、第1ガイドと第2ガイドの他方が、第1ガイドと第2ガイドの前記一方を挟んでガイドする一対の突起形状となっているため、弁部材が移動する時に弁部材を比較的スムーズに動かすことができ、弁部材がカバーに対してがたつくことを抑制できる。
【0010】
上記(3)の弁装置によれば、シール部材がカバーに固定して取付けられるベース部材に取付けられているため、弁部材が移動する際に弁部材とシール部材の両方を動かす必要が無くなり、可動する部材の重量を軽量化できる。
【0011】
上記(4)の弁装置によれば、カバーとベース部材が、カバー締結部とベース締結部が重ね合わされた状態で、相手部材に締結具を用いて共締めされているため、カバーとベース部材がそれぞれ別々の締結具を用いて相手部材に取付けられる場合に比べて、部品点数、組付け工数を低減できる。
【0012】
上記(5)の弁装置によれば、弁部材が閉位置と開位置とに移動可能となっているため、弁部材でシール部材の内側スペースを開閉できる。
【0013】
上記(6)の弁装置によれば、接触面内側部が、シール部材側への膨出量が該接触面内側部の内径側に行く程大となる湾曲面となっているため、接触面内側部がシール部材への膨出量が内径側に行く程小となる湾曲面又は平面となっている場合に比べて、弁部材が閉位置から開位置に移動してシール部材の内側スペースの流体がシール部材と弁部材との間を通るときに、流体を通りやすくすることができる。
【0014】
上記(7)の弁装置によれば、第1ガイドが、シール部材接触面の外周端部から、カバー天板部の面直方向にカバー天板部側(シール部材と反対側)に延びて設けられているため、シール部材接触面からシール部材側に突出して設けられる場合と異なり、弁部材が閉位置から開位置に移動してシール部材の内側スペースの流体がシール部材と弁部材との間を通るときに、第1ガイドが流体の流れを邪魔することを抑制できる。
【0015】
上記(8)の弁装置によれば、第1、第2ガイドだけでなく、第3,第4ガイドが設けられているため、弁部材のカバーに対する動きを、カバー天板部の面直方向のみに確実に規制することができる。
また、第3ガイドが、カバー天板部対向面に、カバー天板部側に延びて設けられているため、シール部材接触面からシール部材側に突出して設けられる場合と異なり、弁部材が閉位置から開位置に移動してシール部材の内側スペースの流体がシール部材と弁部材との間を通るときに、第3ガイドが流体の流れを邪魔することを抑制できる。
【0016】
上記(9)の弁装置によれば、バネ部材が設けられているため、シール部材の内側スペースとシール部材の外側の差圧が所定の圧力差に到達したときにのみ弁部材を閉位置から開位置に移動させることができる。
また、バネ位置決め部が、弁部材に設けられる第3ガイド又はカバーに設けられる第4ガイドに設けられているため、バネ位置決め部が第3ガイド又は第4ガイドと独立して設けられる場合に比べて、弁部材の形状を簡素化できる。
【0017】
上記(10)の弁装置によれば、シール部材第1部分が、弁部材が閉位置にあるときベースリング状部と弁部材とにより挟まれているため、シール部材の全周にわたって連続してベース部材と弁部材とをシール部材第1部分でシールできる。
【0018】
上記(11)の弁装置によれば、シール部材第2部分が、ベースリング状部と相手部材とにより挟まれているため、シール部材の全周にわたって連続してベース部材と相手部材とをシール部材第2部分でシールできる。
また、シール部材がシール部材第1部分だけでなく、シール部材第2部分とシール部材橋渡し部をさらに有するため、一部品構成のシール部材で、ベース部材と弁部材とをシールできるだけでなく、ベース部材と相手部材とをシールできる。よって、シール部材が複数部品構成である場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0019】
上記(12)の弁装置によれば、シール部材橋渡し部が、ベースリング状部の内径側を通ってシール部材第1部分とシール部材第2部分とを連結しているため、シール部材の横断面形状が略コ字状となり、シール部材第1部分とシール部材第2部分でベースリング状部を挟み込むことができる。よって、シール部材のベース部材への取付けを強固にできる。
また、ベースリング状部に貫通孔を設けることなくシール部材橋渡し部を配置でき、コスト上有利である。
【0020】
上記(13)の弁装置によれば、シール部材第1部分が、第1内側突条と第1外側突条を有しており、シール部材第2部分が、第2内側突条と第2外側突条を有しているため、シール部材第1部分とシール部材第2部分をそれぞれ2重シール構造にでき、シール性能を向上できる。
【0021】
上記(14)の弁装置によれば、第1内側突条と第1外側突条が、それぞれ、横断面視における径方向内側の側面よりも径方向外側の側面の方が、カバー天板部の面直方向(シール部材の軸方向)からの傾斜角度が小となっているため、弁部材が開位置にありシール部材の内側スペースの流体が弁部材とシール部材との間を通って流れる時に、第1内側突条と第1外側突条が流体流れ方向に倒れやすくなり、第1内側突条と第1外側突条が流体の流れを阻害することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本発明実施例の弁装置の、弁部材が閉位置にあるときにおける、弁部材とカバーのみを断面表示した側面図である。
【
図3】本発明実施例の弁装置の、弁部材が開位置にあるときにおける、バネ部材を省略して弁部材とカバーのみを断面表示した側面図である。
【
図4】本発明実施例の弁装置の、弁部材が閉位置にあるときにおける側面図である。
【
図5】本発明実施例の弁装置の、弁部材が開位置にあるときにおける側面図である。
【
図6】本発明実施例の弁装置の、弁部材が開位置にあるときにおける平面図である。
【
図7】本発明実施例の弁装置におけるカバーの底面図である。
【
図8】本発明実施例の弁装置における弁部材の斜視図である。
【
図9】本発明実施例の弁装置における弁部材の側面図である。
【
図10】本発明実施例の弁装置の、弁部材が閉位置にあるときにおける、バネ部材を省略した断面図である。
【
図12】本発明実施例の弁装置におけるシール部材の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の弁装置10について説明する。
【0024】
弁装置10は、特に限定されるものではないがたとえば、
図2、
図3に示すように、電池パック100のパックケース101に形成される開口部102を閉塞可能な電池パック用圧力開放弁装置である。電池パック100は、電気自動車(BEV)やハイブリッド自動車(HEV)等に搭載されており、図示略の複数の電池セルをパックケース101内に収容している。パックケース101に形成される開口部102は、各電池セルからの流体(ガス)の排出による過度なパックケース101内の圧力上昇を防ぐために設けられている。
【0025】
弁装置10は、カバー20と、ベース部材30と、弁部材40と、シール部材50と、バネ部材60と、を有する。
【0026】
カバー20は、たとえば樹脂製であり、一部品構成である。カバー20は、カバー20が取付けられる相手部材であるパックケース101に固定して取付けられている。カバー20は、平板状(略平板状を含む)のカバー天板部21と、カバー天板部21の外周部からパックケース101側に延びており延び方向先端部でパックケース101に取付けられる脚部22と、を有している。
【0027】
脚部22は、周方向に断続的に複数設けられている。そして、周方向に隣り合う脚部22間のそれぞれに、カバー20の内側から外側に流体を放出可能な放出孔23が設けられている。脚部22の数は複数であれば特に限定されるものではないが、カバー20のパックケース101への取付強度を確保しつつ、放出孔23の総開口面積を大にするために、3個であることが望ましい。
【0028】
カバー20は、脚部22間で周方向に延びており隣り合う脚部22同士を連結する連結部24を、さらに有していてもよい。連結部24は、カバー20の強度および剛性向上のために設けられている。ただし、連結部24が設けられていなくてもカバー20の強度、剛性を確保できる場合には、連結部24は設けられていなくてもよい。連結部24は、カバー20の強度、剛性を向上させるために、カバー天板部21の外周部にも連結されていてもよい。連結部24が設けられている場合、放出孔23は、隣り合う脚部22間であって連結部24を除く位置にある。
【0029】
カバー20の脚部22は、延び方向先端部にカバー締結部22aを有している。カバー締結部22aには、雌ねじが形成された金属製のカラー22bが取付けられている。カバー20は、締結具(ボルト)103をパックケース101の内側からカラー22bの雌ねじに螺合させることで、パックケース101に固定して取付けられている。ただし、雌ねじは、カラーではなく、図示略のナットに形成されていてもよい。
【0030】
ベース部材30は、たとえば樹脂製であり、一部品構成である。ベース部材30は、カバー20に固定して取付けられている。
図1に示すように、ベース部材30は、弁部材40に対してカバー天板部21と反対側に配置されている。ベース部材30は、全周にわたって連続しており軸芯がカバー天板部21の面直方向Dと平行なベースリング状部31と、ベースリング状部31からベースリング状部31の径方向外側に延びるベース締結部32と、を有する。
【0031】
ベースリング状部31は、全周にわたって連続するリング状であれば、平面視で円形であってもよく、楕円形であってもよく、長円形であってもよく、三角形以上の多角形であってもよい。ベースリング状部31の径は、パックケース101に形成される開口部102の径より大となっている。
【0032】
ベース締結部32には、カラー22bと締結具103が挿通可能な貫通孔32aが設けられるとともに、カバー締結部22aに形成される係合受け部22cに弾性変形して復元することで係合する係合突起32bが設けられている。カバー20とベース部材30は、カバー締結部22aとベース締結部32が重ね合わされ、係合突起32bが係合受け部22cに係合されてベース部材30がカバー20に仮止めされ、カラー22bが貫通孔32aとカバー締結部22aに挿し込まれた状態で、締結具103を用いてパックケース101に共締めされている。
【0033】
弁部材40は、たとえば樹脂製であり、一部品構成である。弁部材40は、カバー20に対してカバー20の内側でカバー天板部21の面直方向Dに平行(略平行を含む)移動可能となっている。弁部材40は、第1ガイド41と、第3ガイド42と、カバー天板部対向面43と、シール部材接触面44と、を有する。
【0034】
弁部材40は、
図2、
図3に示すように、シール部材接触面44がシール部材50の軸方向一端部51cに接触してシール部材50の内側スペースSを閉塞する閉位置40aと、シール部材接触面44がシール部材50の軸方向一端部51cから離れてシール部材50の内側スペースSを開放する開位置40bとに、カバー天板部21の面直方向Dに移動可能となっている。
【0035】
第1ガイド41は、
図8に示すように、弁部材40の外周端部に設けられている。第1ガイド41は、シール部材接触面44の外周端部から、カバー天板部21の面直方向Dにカバー天板部21側(シール部材50と反対側)に延びて設けられている。第1ガイド41は、カバー20に設けられる第2ガイド25に沿って移動可能である。第2ガイド25は、
図7に示すように、カバー20の脚部22におけるカバー20の内側の面のみに設けられている。第2ガイド25は、第1ガイド41の動きをカバー天板部21の面直方向Dのみに規制する。
【0036】
図7、
図8に示すように、第1ガイド41と第2ガイド25の一方は、第1ガイド41と第2ガイド25の他方側に突出しておりカバー天板部21の面直方向Dに延びるリブ形状となっており、第1ガイド41と第2ガイド25の他方は、第1ガイド41と第2ガイド25の前記一方を挟んでガイドする一対の突起形状となっている。なお、本発明図示例では、第2ガイド25がリブ形状となっており、第1ガイド41が一対の突起形状となっている場合を示している。
【0037】
図1~
図3に示すように、第3ガイド42は、筒形状であり、カバー天板部対向面43に、カバー天板部21側に延びて設けられている。第3ガイド42は、カバー20に設けられる第4ガイド26に沿って移動可能である。第4ガイド26は、筒形状であり、カバー天板部21から弁部材40側に延びて設けられている。第3ガイド42は弁部材40の補強リブとしても機能している。第4ガイド26は、第3ガイド42の動きをカバー天板部21の面直方向Dのみに規制する。なお、第3ガイド42は、1個だけでなく複数(図示例では2個)設けられていてもよく、この場合、第4ガイド26も第3ガイド42と同数設けられる。
【0038】
弁部材40とカバー20のカバー天板部21との間には、弁部材40をカバー20に対してカバー天板部21の面直方向Dにシール部材50側に付勢するバネ部材60が設けられている。バネ部材60は、特に限定されるものではないが、たとえば圧縮コイルスプリングである。バネ部材60には、防錆剤を塗布もしくはコーティング等をしてもよい。
【0039】
弁部材40とカバー20の一方には、バネ部材60がカバー天板部21の面直方向Dと直交する方向に移動することを規制するバネ位置決め部45が設けられている。バネ位置決め部45は、弁部材40に設けられる第3ガイド42又はカバー20に設けられる第4ガイド26に設けられている。バネ位置決め部45は、第3ガイド42又は第4ガイド26の内径面からなる。なお、図示例では、バネ位置決め部45は第3ガイド42が設けられる弁部材40に設けられており、第3ガイド42の内径面からなる場合を示している。バネ位置決め部45は、第3ガイド42と第4ガイド26がそれぞれ複数設けられる場合には最も内径側のガイドの内径面からなる。
【0040】
カバー天板部対向面43は、カバー天板部21と対向する面である。シール部材接触面44は、カバー天板部対向面43の裏側にある面である。
【0041】
シール部材接触面44は、
図9、
図10に示すように、弁部材40が閉位置40aにあるときにシール部材50の軸方向一端部51cに接触する接触面外周部44aと、接触面外周部44aより内径側にありシール部材50の軸方向一端部51cに接触しない接触面内側部44bと、を有する。接触面外周部44aは、シール部材50とのシール性確保のために平面形状となっている。接触面内側部44bは、シール部材50側への膨出(張り出し)量が接触面内側部44bの内径側(中央側)に行く程大となる湾曲面となっている。
【0042】
接触面内側部44bは、断面視でV字形状とはなっておらず、曲率が比較的小さくなだらかなU字状となっている。これは、V字形状となっている場合に比べてシール部材50側への膨出量を小さくして、弁部材40(弁装置10)をカバー天板部21の面直方向Dにコンパクト化させるためである。
【0043】
図10に示すように、シール部材50は、比較的容易に弾性変形可能なゴムなどの軟質樹脂製である。シール部材50は、一部品構成である。シール部材50は中空部を有しておらず中実である。シール部材50は、ベース部材30に取付けられる。
【0044】
シール部材50は、全周にわたって連続しており軸芯がベースリング状部31の軸芯と一致するリング状となっており、ベースリング状部31に取付けられている。なお、シール部材50は、ベースリング状部31と同様に、全周にわたって連続するリング状であれば、平面視で円形であってもよく、楕円形であってもよく、長円形であってもよく、三角形以上の多角形であってもよい。シール部材50の径(内径)は、パックケース101に形成される開口部102の径と同じか該径より大となっている。シール部材50の内側スペース(内径側スペース)Sは、パックケース101の開口部102を介してパックケース101内と常時連通している。
【0045】
シール部材50は、シール部材第1部分51と、シール部材第2部分52と、シール部材橋渡し部53と、を有する。
【0046】
シール部材第1部分51は、ベースリング状部31より弁部材40側にあるシール部分である。シール部材50の軸方向一端部51cは、シール部材第1部分51の弁部材40側の端部である。シール部材第1部分51は、弁部材40が閉位置40aにあるとき、ベースリング状部31と弁部材40とによりカバー天板部21の面直方向D(シール部材50の軸方向)に挟まれている。
【0047】
図11、
図12に示すように、シール部材第1部分51は、弁部材40側に突出しており全周にわたって連続する第1内側突条51aと、第1内側突条51aより外周側にあり弁部材40側に突出しており全周にわたって連続する第1外側突条51bと、を有している。このため、シール部材第1部分51は、ベースリング状部31には面接触するが、弁部材40にはベースリング状部31との接触面積に比べて接触面積が小さい線接触又は面接触となっている。
【0048】
第1内側突条51aと第1外側突条51bは、それぞれ、自由状態にあるとき、横断面視における径方向内側の側面51a1、51b1よりも、径方向外側の側面51a2,51b2の方が、カバー天板部21の面直方向Dからの傾斜角度が小となっている。
【0049】
シール部材第2部分52は、ベースリング状部31より弁部材40と反対側にあるシール部分である。シール部材第2部分52は、常時、ベースリング状部31とパックケース101とによりカバー天板部21の面直方向D(シール部材50の軸方向)に挟まれている。
【0050】
シール部材第1部分51がベースリング状31より弁部材40側にあり、シール部材第2部分52がベースリング状部31より弁部材40と反対側にあるため、シール部材第1部分51とシール部材第2部分52とでベースリング状部31を挟み込んでいる。
【0051】
シール部材第2部分52は、パックケース101側に突出しており全周にわたって連続する第2内側突条52aと、第2内側突条52aより外周側にありパックケース101側に突出しており全周にわたって連続する第2外側突条52bと、を有している。このため、シール部材第2部分52は、ベースリング状部31には面接触するが、パックケース101にはベースリング状部31との接触面積に比べて接触面積が小さい線接触又は面接触となっている。
【0052】
第2内側突条52aと第2外側突条52bは、それぞれ、自由状態にあるとき、横断面視における径方向内側の側面52a1、52b1と径方向外側の側面52a2,52b2の、カバー天板部21の面直方向Dからの傾斜角度が、同じ(ほぼ同じ)となっている。
【0053】
ここで、本発明実施例の作動を説明する。
図10に示すように、パックケース101内の圧力が所定値(閾値)未満のとき、弁部材40は閉位置40aにある。弁部材40は、シール部材50の軸方向一端部51cにバネ部材60(
図2)の付勢力で圧接されており、シール部材50の内側スペースSを閉塞している。そのため、パックケース101内および内側スペースSの流体は外部に流れることが防止されている。
【0054】
パックケース101内の圧力が所定値以上となったとき、
図3に示すように、弁部材40がバネ部材60の付勢力に抗して押されて開位置40b側に移動する。弁部材40が開位置40b側に移動すると、弁部材40とシール部材50とのシールが無くなり、パックケース101内および内側スペースSの流体が、シール部材50と弁部材40のシール部材接触面44との間から、全周にわたって放射状に流出する。そして、カバー20の放出孔23を通ってカバー20(弁装置10)の外側に全周にわたって放射状に流出する(
図6)。
【0055】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(A)周方向に隣り合う脚部22間のそれぞれにカバー20の内側から外側に流体を放出可能な放出孔23が設けられているため、放出孔23を、脚部22を除く全周にわたって設けることができる。
また、カバー20の脚部22におけるカバー20の内側の面のみに、第1ガイド41の動きをカバー天板部21の面直方向Dのみに規制する第2ガイド25が設けられているため、脚部22以外の位置に設けられる場合に比べて、第2ガイド22を長く設定できる。よって、第2ガイド22で弁部材40の移動範囲の全域(開閉の全領域)にわたって弁部材40をガイド可能であり、カバー20による弁部材40のガイド機能を確保できる。
【0056】
(B)弁部材40がカバー20に対してカバー20の内側でカバー天板部21の面直方向Dに平行移動可能となっているため、弁部材40がフラップ式であるなど平行移動しない場合に比べて、弁部材40がカバー20の内側から外側への流体の通り道を限定することを抑制できる。
【0057】
(C)第1ガイド41と第2ガイド25の一方が、他方側に突出しておりカバー天板部21の面直方向Dに延びるリブ形状となっており、第1ガイド41と第2ガイド25の他方が、第1ガイド41と第2ガイド25の前記一方を挟んでガイドする一対の突起形状となっているため、弁部材40が移動する時に弁部材40を比較的スムーズに動かすことができ、弁部材40がカバー20に対してがたつくことを抑制できる。
【0058】
(D)シール部材50がカバー20に固定して取付けられるベース部材30に取付けられているため、弁部材40が移動する際に弁部材40とシール部材50の両方を動かす必要が無くなり、可動する部材の重量を軽量化できる。
【0059】
(E)カバー20とベース部材30が、カバー締結部22aとベース締結部32が重ね合わされた状態で、相手部材であるパックケース101に締結具103を用いて共締めされているため、カバー20とベース部材30がそれぞれ別々の締結具を用いてパックケース101に取付けられる場合に比べて、部品点数、組付け工数を低減できる。
【0060】
(F)弁部材40が閉位置40aと開位置40bとに移動可能となっているため、弁部材40でシール部材50の内側スペースSを開閉できる。
【0061】
(G)接触面内側部44bが、シール部材50側への膨出量が接触面内側部44bの内径側に行く程大となる湾曲面となっているため、接触面内側部44bがシール部材50への膨出量が内径側に行く程小となる湾曲面又は平面となっている場合に比べて、弁部材40が閉位置40aから開位置40bに移動してシール部材50の内側スペースSの流体がシール部材50と弁部材40との間を通るときに、流体を通りやすくすることができる。
【0062】
(H)第1ガイド41が、シール部材接触面44の外周端部から、カバー天板部21の面直方向Dにカバー天板部21側(シール部材50と反対側)に延びて設けられているため、シール部材接触面44からシール部材50側に突出して設けられる場合と異なり、弁部材40が閉位置40aから開位置40bに移動してシール部材50の内側スペースSの流体がシール部材50と弁部材40との間を通るときに、第1ガイド41が流体の流れを邪魔することを抑制できる。
【0063】
(I)第1、第2ガイド41,25だけでなく、第3,第4ガイド42、26が設けられているため、弁部材40のカバー20に対する動きを、カバー天板部21の面直方向Dのみに確実に規制することができる。
【0064】
(J)第3ガイド42が、カバー天板部対向面43に、カバー天板部21側に延びて設けられているため、シール部材接触面44からシール部材50側に突出して設けられる場合と異なり、弁部材40が閉位置40aから開位置40bに移動してシール部材50の内側スペースSの流体がシール部材50と弁部材40との間を通るときに、第3ガイド42が流体の流れを邪魔することを抑制できる。
【0065】
(K)バネ部材60が設けられているため、シール部材50の内側スペースSとシール部材50の外側の差圧が所定の圧力差に到達したときにのみ弁部材40を閉位置40aから開位置40bに移動させることができる。
【0066】
(L)バネ位置決め部45が、弁部材40に設けられる第3ガイド42又はカバー20に設けられる第4ガイド26に設けられているため、バネ位置決め部45が第3ガイド42又は第4ガイド26と独立して設けられる場合に比べて、弁部材40の形状を簡素化できる。
【0067】
(M)シール部材第1部分51が、弁部材40が閉位置40aにあるときベースリング状部31と弁部材40とにより挟まれているため、シール部材50の全周にわたって連続してベース部材30と弁部材40とをシール部材第1部分51でシールできる。
【0068】
(N)シール部材第2部分52が、ベースリング状部31と相手部材であるパックケース101とにより挟まれているため、シール部材50の全周にわたって連続してベース部材30とパックケース101とをシール部材第2部分52でシールできる。
【0069】
(O)シール部材50がシール部材第1部分51だけでなく、シール部材第2部分52とシール部材橋渡し部53をさらに有するため、一部品構成のシール部材50で、ベース部材30と弁部材40とをシールできるだけでなく、ベース部材30と相手部材であるパックケース101とをシールできる。よって、シール部材50が複数部品構成である場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0070】
(P)シール部材橋渡し部53が、ベースリング状部31の内径側を通ってシール部材第1部分51とシール部材第2部分52とを連結しているため、シール部材50の横断面形状が略コ字状となり、シール部材第1部分51とシール部材第2部分52でベースリング状部31を挟み込むことができる。よって、シール部材50のベース部材31への取付けを強固にできる。
また、ベースリング状部31に貫通孔を設けることなくシール部材橋渡し部53を配置でき、コスト上有利である。
【0071】
(Q)シール部材第1部分51が、第1内側突条51aと第1外側突条51bを有しており、シール部材第2部分52が、第2内側突条52aと第2外側突52b条を有しているため、シール部材第1部分51とシール部材第2部分61をそれぞれ2重シール構造にでき、シール性能を向上できる。
【0072】
(R)第1内側突条51aと第1外側突条51bが、それぞれ、横断面視における径方向内側の側面51a1,51b1よりも径方向外側の側面51a2,51b2の方が、シール部材50の軸方向(カバー天板部21の面直方向D)からの傾斜角度が小となっているため、弁部材40が開位置40bにありシール部材50の内側スペースSの流体が弁部材40とシール部材50との間を通って流れる時に、第1内側突条51aと第1外側突条51bが流体流れ方向に倒れやすくなり、第1内側突条51aと第1外側突条51bが流体の流れを阻害することを抑制できる。
【符号の説明】
【0073】
10 弁装置
20 カバー
21 カバー天板部
22 脚部
22a カバー締結部
22b カラー
22c 係合受け部
23 放出孔
24 連結部
25 第2ガイド
26 第4ガイド
30 ベース部材
31 ベースリング状部
32 ベース締結部
40 弁部材
40a 閉位置
40b 開位置
41 第1ガイド
42 第3ガイド
43 カバー天板部対向面
44 シール部材接触面
44a 接触面外周部
44b 接触面内側部
45 バネ位置決め部
50 シール部材
51 シール部材第1部分
51a 第1内側突条
51a1 径方向内側の側面
51a2 径方向外側の側面
51b 第1外側突条
51b1 径方向内側の側面
51b2 径方向外側の側面
52 シール部材第2部分
52a 第2内側突条
52a1 径方向内側の側面
52a2 径方向外側の側面
52b 第2外側突条
52b1 径方向内側の側面
52b2 径方向外側の側面
53 シール部材橋渡し部
51c 軸方向一端部
60 バネ部材
100 電池パック
101 パックケース
102 開口部
103 締結具
D カバー天板部の面直方向
S 内側スペース