(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075862
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
F25D19/00 550B
F25D19/00 530D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187070
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田口 翔一
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】岡留 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遵自
(72)【発明者】
【氏名】土井 康平
(57)【要約】
【課題】機械室凝縮器を構成する2つの放熱器との間の空気流量の偏りを抑制し、放熱量を増大させて省電力性能が高めることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】開閉扉の側から見て左右方向に延びるように形成された機械室7と、機械室7と繋がった冷蔵庫の左右方向の側面に形成された低通風抵抗開口部19と、機械室と繋がった冷蔵庫の下方向の底面に形成された、低通風抵抗開口部19に比べて通風抵抗が大きい高通風抵抗開口部17bと、低通風抵抗開口部19に対向し、主に低通風抵抗開口部19から取り入れられた空気で放熱される高通風抵抗放熱器71aと、高通風抵抗開口部17bに対向し、主に高通風抵抗開口部17bから取り入れられた空気で放熱される、高通風抵抗放熱器71aに比べて通風抵抗が小さい低通風抵抗放熱器71bとを備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、食品や飲料を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室に設けられた開閉扉と、圧縮機で圧縮された冷媒を空気と熱交換する放熱器を配置した機械室を備えた冷蔵庫において、
前記開閉扉の側から見て左右方向に延びるように形成された前記機械室と、
前記機械室と繋がった前記冷蔵庫の左右方向の一方の側面に形成された低通風抵抗開口部と、
前記機械室と繋がった前記冷蔵庫の下方向の底面、又は背面方向の背面に形成された、前記低通風抵抗開口部に比べて通風抵抗が大きい高通風抵抗開口部と、
前記低通風抵抗開口部に対向し、主に前記低通風抵抗開口部から取り入れられた空気で放熱される高通風抵抗放熱器と、
前記高通風抵抗開口部に対向し、主に前記高通風抵抗開口部から取り入れられた空気で放熱される、前記高通風抵抗放熱器に比べて通風抵抗が小さい低通風抵抗放熱器とを備えている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記高通風抵抗放熱器は、内部に冷媒を流す第1伝熱管と前記第1伝熱管に固定された複数のフィンから成る、第1フィン群を備え、
前記低通風抵抗放熱器は、前記第1伝熱管と接続された、内部に冷媒を流す第2伝熱管と前記第2伝熱管に固定された複数のフィンから成る、第2フィン群を備え、
前記第1フィン群のフィン総表面積が、前記第2フィン群の前記フィン総表面積より大きく設定されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記高通風抵抗放熱器は、内部に冷媒を流す第1伝熱管と前記第1伝熱管に固定された複数のフィンから成る、第1フィン群を備え、
前記低通風抵抗放熱器は、前記第1伝熱管と接続された、内部に冷媒を流す第2伝熱管と前記第2伝熱管に固定された複数のフィンから成る、第2フィン群を備え、
前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向の前記第1フィン群の列数が、前記低通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向の前記第2フィン群の列数より多く設定されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項2、又は請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向と直交する方向に複数の前記第1フィン群が設けられ、
複数の前記第1フィン群の夫々の前記第1伝熱管は、前記冷蔵庫の前記側面に沿った方向に延伸するように配置され、
夫々の前記第1フィン群の端部に、隣り合う前記第1フィン群を跨ぐ曲げ部を有する第1ベンド部を配置して、前記第1ベンド部によって夫々の前記第1伝熱管が接続されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の冷蔵庫において、
前記低通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向と直交する方向に複数の前記第2フィン群が設けられ、
複数の前記第2フィン群の夫々の前記第2伝熱管は、前記冷蔵庫の底面に沿った方向に延伸するように配置され、
夫々の前記第2フィン群の端部に、隣り合う前記第2フィン群を跨ぐ曲げ部を有する第2ベンド部を配置して、前記第2ベンド部によって夫々の前記第2伝熱管が接属されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記機械室の内部に圧縮機を備え、
前記圧縮機の吐出口に接続された圧縮機吐出配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も上流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の入口と接続され、
前記冷蔵庫の壁面放熱配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も下流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の出口と接続されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項6に記載の冷蔵庫において、
前記圧縮機から吐出された冷媒が、前記第1伝熱管の内部で気液二相の冷媒となって前記第2伝熱管に流れる
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記機械室の内部に圧縮機を備え、
前記圧縮機の吐出口に接続された圧縮機吐出配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も下流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の入口と接続され、
前記冷蔵庫の壁面放熱配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も上流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の出口と接続されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
少なくとも、食品や飲料を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室に設けられた開閉扉と、圧縮機と放熱器を配置した機械室を備えた冷蔵庫において、
前記機械室は、前記開閉扉の側から見て左右方向に延びるように形成され、
前記冷蔵庫の左右方向の一方の側面には、前記機械室と繋がった低通風抵抗開口部が形成され、
前記冷蔵庫の下方向の底面には、前記機械室と繋がった前記低通風抵抗開口部に比べて通風抵抗が大きい高通風抵抗開口部が形成され、
前記側面に沿って、前記低通風抵抗開口部に対向し、主に前記低通風抵抗開口部から取り入れられた空気で放熱される高通風抵抗放熱器が設けられ、
前記底面に沿って、前記高通風抵抗開口部に対向し、主に前記高通風抵抗開口部から取り入れられた空気で放熱される、前記高通風抵抗放熱器に比べて通風抵抗が小さい低通風抵抗放熱器が設けられている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項10】
請求項9に記載の冷蔵庫において、
前記低通風抵抗開口部の空気が流通する開口面積は、前記高通風抵抗開口部の空気が流通する開口面積より大きく設定されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項11】
請求項10に記載の冷蔵庫において、
前記低通風抵抗放熱器と前記高通風抵抗放熱器は、クロスフィンチューブ式の熱交換器であり、
前記高通風抵抗放熱器のフィンの総表面積は、前記低通風抵抗放熱器のフィンの総表面積より大きく設定されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項12】
請求項10に記載の冷蔵庫において、
前記高通風抵抗放熱器は、内部に冷媒を流す第1伝熱管と前記第1伝熱管に固定された複数のフィンから成る、第1フィン群を備え、
前記低通風抵抗放熱器は、前記第1伝熱管と接続された、内部に冷媒を流す第2伝熱管と前記第2伝熱管に固定された複数のフィンから成る、第2フィン群を備え、
前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向の前記第1フィン群の列数が、前記低通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向の前記第2フィン群の列数より多く設定されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項13】
請求項12に記載の冷蔵庫において、
前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向と直交する方向に複数の前記第1フィン群が設けられ、
複数の前記第1フィン群の夫々の前記第1伝熱管は、前記冷蔵庫の前記側面に沿った方向に延伸するように配置され、
夫々の前記第1フィン群の端部に、隣り合う前記第1フィン群を跨ぐ曲げ部を有する第1ベンド部を配置して、前記第1ベンド部によって夫々の前記第1伝熱管が接続されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項14】
請求項13に記載の冷蔵庫において、
前記低通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向と直交する方向に複数の前記第2フィン群が設けられ、
複数の前記第2フィン群の夫々の前記第2伝熱管は、前記冷蔵庫の底面に沿った方向に延伸するように配置され、
夫々の前記第2フィン群の端部に、隣り合う前記第2フィン群を跨ぐ曲げ部を有する第2ベンド部を配置して、前記第2ベンド部によって夫々の前記第2伝熱管が接属されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項15】
請求項14に記載の冷蔵庫において、
前記圧縮機の吐出口に接続された圧縮機吐出配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も上流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の入口と接続され、
前記冷蔵庫の壁面放熱配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も下流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の出口と接続されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項16】
請求項14に記載の冷蔵庫において、
前記圧縮機の吐出口に接続された圧縮機吐出配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も下流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の入口と接続され、
前記冷蔵庫の壁面放熱配管が、前記高通風抵抗放熱器を流れる空気の流れ方向で見て、最も上流側に位置する列の前記第1フィン群の前記第1伝熱管の出口と接続されている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品や飲料を貯蔵する冷蔵庫に係り、特に機械室に熱交換器を配置した冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の冷蔵庫では、冷蔵庫を構成する箱体内部の上部に冷蔵室、中間部に冷凍室(或いは野菜室)、下部に野菜室(或いは冷凍室)等の貯蔵室を配置し、それぞれの貯蔵室同士は熱の移動が少ないように断熱仕切壁により区画されている。また、冷蔵庫として一般的に主流である間冷式冷蔵庫(冷却器で冷やされた冷気を、送風ファンによって冷凍室、冷蔵室、野菜室に吹き出す方式の冷蔵庫)では、冷蔵庫内部に冷気を生成する冷凍サイクルを備え、この冷凍サイクルの冷却器で生成された冷気を送風機により各貯蔵室に循環させて貯蔵物の冷却を行っている。
【0003】
そして、冷凍サイクルを構成する冷媒を圧縮する圧縮機や、圧縮された冷媒を空気と熱交換する機械室凝縮器は、冷蔵庫の下部に設けた機械室に配置されている。冷蔵庫の機械室に設けられる機械室凝縮器の放熱に関して、例えば、特開2003-42636号公報(特許文献1)に記載の技術が知られている。
【0004】
特許文献1に記載されている機械室は、冷蔵庫の正面(開閉扉側)から見て、冷蔵庫の背面側で、左右方向の横幅寸法が上下寸法より長い略直方体形状の空間に形成されている。また、機械室下面に下面吸込口、機械室側面に側面吸込口を備えている。
【0005】
機械室内には、圧縮機と機械室凝縮器が左右の横幅方向に併設して配置されている。機械室凝縮器は、家屋の設置床と略平行な水平放熱器と、これに略直交する垂直放熱器を有する略L字状に形成されている。そして、機械室の送風機を運転すると、下面吸込口から機械室に吸い込まれた空気が主に機械室凝縮器の水平放熱器で熱交換し、側面吸込口から機械室に吸い込まれた空気が主に機械室凝縮器の垂直放熱器で熱交換する。
【0006】
このような形態をとることで、横幅方向に機械室凝縮器を大きくすることができ、収納性が良好となる。これにより、大きな機械室凝縮器を狭い機械室に収納できることになり、放熱量を増大することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の構成では、下面吸込口から機械室に吸い込まれた空気が主に機械室凝縮器の水平放熱器に流入し、背面吸込口から機械室に吸い込まれた空気が主に機械室凝縮器の垂直放熱器に流入する構成である。
【0009】
ところで、背面吸込口は家屋の壁面に近接して配置されることが多く、通風抵抗が大きくなり放熱効率が悪化することが予想される。このため、冷蔵庫の側面に側面吸込口を設けることが考えられる。
【0010】
しかしながら、冷蔵庫は家屋の床面に狭い隙間を有して設置されるため、冷蔵庫の下面吸込口の通風抵抗は、冷蔵庫の側面吸込口の通風抵抗に比べて大きくなる。このため、下面吸込口と側面吸込口の間の通風抵抗が偏ると、機械室凝縮器の水平放熱器と垂直放熱器との間に空気流量の偏りができてしまい、放熱効率が減少するという課題を生じる。
【0011】
また、特許文献1のように背面に背面吸込口を設けた場合も、冷蔵庫が家屋の壁面に近接して配置されるため、冷蔵庫の背面吸込口の通風抵抗は、冷蔵庫の側面吸込口の通風抵抗に比べて大きくなり、同様の課題を生じる。
【0012】
尚、上述の記載では機械室凝縮器の水平放熱器と垂直放熱器と記載しているが、垂直放熱器、水平放熱器に限らず、2つの放熱器を備えるものであれば、同じような課題を生じる。
【0013】
本発明は、機械室凝縮器を構成する2つの放熱器との間の空気流量の偏りを抑制し、放熱効率を向上して省電力性能を高めることができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用するものであり、少なくとも、食品や飲料を貯蔵する貯蔵室と、貯蔵室に設けられた開閉扉と、圧縮機で圧縮された冷媒を空気と熱交換する放熱器を配置した機械室を備えた冷蔵庫であって、開閉扉の側から見て左右方向に延びるように形成された機械室と、機械室と繋がった冷蔵庫の左右方向の一方の側面に形成された低通風抵抗開口部と、機械室と繋がった冷蔵庫の下方向の底面、又は背面方向の背面に形成された、低通風抵抗開口部に比べて通風抵抗が大きい高通風抵抗開口部と、低通風抵抗開口部に対向し、主に低通風抵抗開口部から取り入れられた空気で放熱される高通風抵抗放熱器と、高通風抵抗開口部に対向し、主に高通風抵抗開口部から取り入れられた空気で放熱される、高通風抵抗放熱器に比べて通風抵抗が小さい低通風抵抗放熱器とを備えている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、機械室凝縮器の2つの放熱器の間の空気流量の偏りを抑制し、放熱効率を向上した省電力性能が高い冷蔵庫を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
【
図4】
図1の冷蔵庫の庫内の構成を示す正面図である。
【
図5】
図1の冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。
【
図6】
図1の冷蔵庫の機械室の構成を示す背面図である。
【
図7】
図1の冷蔵庫の機械室ベースの構成を示す上面図である。
【
図8】
図1の冷蔵庫の庫外放熱器の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫の庫外放熱器の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0018】
以下、本発明の実施例について、
図1乃至
図9を用いて説明する。なお、以下の説明では、冷蔵庫1を正面(開閉扉の側)から見た場合に、右側に見える方を右方向、左側に見える方を左方向として説明を進める。
【実施例0019】
本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫1について、
図1を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫1の正面図である。
【0020】
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から、冷蔵室2、左右に併設された製氷室3及び上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順に貯蔵室を有している。したがって、冷蔵庫1の外観は、断熱箱体10と後述する夫々の貯蔵室を開閉する開閉扉とから構成されている。
【0021】
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する開閉扉を備えている。これらの扉は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6の各開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aである。これら複数の扉の内部材料は主に発泡ウレタンで構成されている。また、各扉は図示しないシール部材を内面外周部に備えている。
【0022】
冷蔵室2と製氷室3及び上段冷凍室4との間は断熱仕切壁27によって隔てられ、下段冷凍室5と野菜室6との間は断熱仕切壁28によって隔てられている。また、製氷室3と、上段冷凍室4との間の前縁部には、製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4aを閉じた状態において、製氷室扉3aの右端内面のシール部材と、上段冷凍室扉4aの左端内面のシール部材と当接する位置に仕切部29を備えている。
【0023】
製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間の前縁部には、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a及び下段冷凍室扉5aを閉じた状態において、製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4aの下端内面の各シール部材と、下段冷凍室扉5aの上端内面のシール部材と当接する位置に、仕切部30を備えている。
【0024】
断熱箱体10の天面庫外側の前方と、断熱仕切壁27の前縁とには、冷蔵庫1と扉2a、2bとを固定するための扉ヒンジ(図示せず)が配設されており、天面庫外側に設けられた上部の扉ヒンジは扉ヒンジカバー16で覆われている。
【0025】
製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、基本的に庫内を冷凍温度(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした貯蔵室、野菜室6は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に7℃程度にした貯蔵室である。以下本明細書中では、冷凍温度の貯蔵室である製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5の総称として冷凍室60と呼ぶことがある。
【0026】
図2は
図1の冷蔵庫1の背面図である。冷蔵庫1は、野菜室6の後方に冷凍サイクルの構成要素である後述する圧縮機24や庫外放熱器71を収めた機械室7を有している。機械室7には下方に機械室ベース17、後方に機械室カバー18をそれぞれ有しており、機械室7は、断熱箱体10、外箱10a、機械室ベース17及び機械室カバー18で囲まれている。
【0027】
機械室カバー18は機械室7内の空気を排出するための機械室カバー開口18aを備えており、機械室カバー18の前方には機械室カバー18と隣接するように冷蔵庫1の制御基板ケース31が設けられている。制御基板ケース31内には、冷蔵庫1の運転を制御する電気部品である基板が収められている。
【0028】
図3は
図1の冷蔵庫1の縦断面図であり、
図1のA-A断面図である。
図4は
図1の冷蔵庫1の庫内の構成を示す正面図であり、
図1の冷蔵庫1から扉及び容器を外した状態の正面図である。
図3及び
図4を参照しながら、冷蔵庫1の構成を説明する。
【0029】
図3に示すように、冷蔵庫1は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製(例えばABS樹脂)の内箱10bとの間に発泡断熱材(本実施形態の冷蔵庫では発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内とが隔てられている。
【0030】
断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。本実施形態では、断熱箱体10の背面、上面、下面、両側面、及び下段冷凍室扉5aに真空断熱材25を実装している。
【0031】
また、断熱仕切壁27の内部の断熱材は発泡ポリスチレンであり、断熱仕切壁28の内部には断熱材として発泡ウレタンが充填されている。なお、断熱仕切壁28の内部の発泡ウレタンは、断熱箱体10の外箱10aと内箱10bとの間にウレタンを発泡充填する工程において、断熱箱体10の発泡ウレタンとともに充填される。
【0032】
冷蔵室扉2a、2bは、庫内側に複数の扉ポケット33a、33b、33cを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a、34b、34c、34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器3b、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b及び野菜室容器6bを備えている。
【0033】
冷蔵室2の背部に、フィンチューブ式の冷蔵室冷却器14aが収納された冷蔵室風路131を備え、冷蔵室風路131(
図4参照)には、冷蔵室ファン9aを備えている。冷蔵室風路131には、前方の冷蔵室2に冷気を吹き出す上段冷蔵室吹き出し口111a、下段冷蔵室吹き出し口111bをそれぞれ備えている。
【0034】
冷蔵室風路131の下部前方には、冷蔵室2からの戻り冷気が流れる冷蔵室戻り風路115が形成されている。冷蔵室戻り風路115は、冷蔵室冷却器14aの幅と略等しい幅に形成されており、冷蔵室2からの戻り冷気が冷蔵室冷却器14aに効率よく流入するようにしている。
【0035】
冷蔵庫1は、下段冷凍室5の背部に、フィンチューブ式の冷凍室冷却器14bが収納された冷却器室8を備え、冷却器室8の上部には、冷凍室ファン9bを備えている。冷凍室ファン9a下流には、冷凍室60に吹き出す冷気が流れる冷凍室風路100が備えられている。
【0036】
冷凍室風路100には、上下に延在する野菜室風路132が接続され、野菜室風路132の下部には、風量を調整する手段(風量調整手段)として、野菜室ダンパ160(
図4参照)を備える。冷凍室風路100には、前方の製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5に冷気を吹き出す製氷室吹き出し口(製氷室吐き出し口)101、上段冷凍室吹き出し口(上段冷凍室吐き出し口)102及び下段冷凍室吹き出し口(下段冷凍室吐き出し口)103をそれぞれ備えている。
【0037】
冷却器室8の下部前方には、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5からの戻り冷気が流れる冷凍室戻り風路105が形成されている。冷凍室戻り風路105は、冷凍室冷却器14bの幅と略等しい幅に形成されており、冷凍室60からの戻り冷気が冷凍室冷却器14bに効率よく流入するようにしている。
【0038】
また、野菜室風路132の出口には野菜室吹き出し口133を備えている。下段冷凍室5と野菜室6の間の断熱仕切壁28の下面には野菜室戻り口136が開口しており、野菜室戻り口136から冷却器室8の下部前方に至る野菜室戻り風路135を、断熱仕切壁28内に備えている。
【0039】
冷蔵室2、上段冷凍室4及び野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43及び野菜室温度センサ45が設けられ、冷蔵室冷却器14aの上部には冷蔵室冷却器温度センサ42が設けられ、冷凍室冷却器14bの上部には冷凍室冷却器温度センサ44が設けられる。
【0040】
本実施例では冷凍室温度センサ43は上段冷凍室4に設けられているが、下段冷凍室5に設けられてもよい。これらのセンサにより、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6、冷却器室8、冷凍室冷却器14b、冷蔵室風路131、及び冷蔵室冷却器14aの温度が検知される。
【0041】
また、冷蔵庫1の天井部の扉ヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ37と外気湿度センサ38とが設けられ、外気(庫外空気)の温度と湿度とが検知される。その他にも、扉センサ(図示せず)が設けられることで、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態がそれぞれ検知される。
【0042】
冷却器室8内の冷凍室冷却器14b下方には、冷凍室冷却器14bを加熱する除霜ヒータ21が備えられている。冷却器室8の下面には冷凍室樋23が形成されており、冷蔵室風路131の下面には冷蔵室樋25が形成されている。
【0043】
冷凍室樋23の下端部からは、機械室7と連通する冷凍室排水管22が下方に向けて設けられており、冷蔵室樋25の下端部からは、機械室7と連通する冷蔵室排水管24が下方に向けて設けられている。また、機械室7には、圧縮機24と、圧縮機24の上部に配置された蒸発皿32とが設置されている。
【0044】
除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータを採用すれば良く、本実施形態では120Wのラジアントヒータとしている。冷凍室冷却器14b及び冷蔵室冷却器14aの除霜時に発生した除霜水は、それぞれ冷凍室樋23、冷凍室排水管22、冷蔵室樋25、冷蔵室排水管24を介して圧縮機24の上部の蒸発皿32に排出され、圧縮機24からの放熱や、機械室ファンによる通風等の作用により蒸発する。
【0045】
冷蔵室2内の、断熱仕切壁27の上部には、内部が-1℃程度に維持される容器36が備えられており、容器36の前方は蓋体36aにより開閉可能となっている。蓋体36aの外周にはパッキン(図示せず)が備えられており、蓋体36aを閉鎖状態とした場合、パッキンにより蓋体36aと容器36とが隙間なく接触し、容器36はその内部空間が密閉される構造となっている。
【0046】
また、容器36の背部には、容器36内の空気を吸引するポンプ(図示せず)が備えられており、蓋体36aが閉鎖された状態でポンプを駆動することで、容器36内の気圧が約0.8気圧に減圧されるようになっている。これにより容器36内は、蓋体36aにより冷気が直接送風されなくなるとともに、減圧環境となるので、食品の乾燥と酸化を抑制する収納スペースとなる。
【0047】
図5は、冷蔵庫1の冷凍サイクル(冷媒流路)の構成を表す図である。
図5を参照しながら冷蔵庫1の冷凍サイクルについて説明する。
【0048】
冷蔵庫1では、圧縮機24、冷媒と庫外の空気を熱交換させて、冷媒から空気への放熱を行う庫外放熱器(機械室凝縮器に該当する)71、壁面放熱配管72、断熱仕切壁27、28と仕切部29の前縁部への結露を抑制する結露抑制配管73(庫外放熱器71、壁面放熱配管72、結露抑制配管73を放熱手段70と呼ぶ)、水分を除去するドライヤ51、冷媒流制御手段である三方弁92、冷媒を減圧させる減圧手段である冷蔵用キャピラリチューブ75a、冷凍用キャピラリチューブ75b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱する冷蔵室冷却器14a、及び、冷凍室冷却器14bを備えている。
【0049】
また、冷蔵室冷却器14aの下流と、冷凍用冷却器14bの下流には、それぞれ液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する冷蔵用気液分離器28a、冷凍用気液分離器28bを備えている。さらに冷凍用気液分離器28bの下流には逆止弁89を備えている。これらの構成要素を冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
【0050】
尚、本実施例の冷蔵庫においては、冷蔵用冷却器14a及び冷凍室冷却器14bの温度を、圧縮機24、冷蔵用ファン9a、冷凍用ファン9bの回転速度によって調整するため、圧縮機24、冷蔵用ファン9a、冷凍用ファン9bを蒸発器温度調整手段と呼ぶ。また、冷媒には可燃性冷媒のイソブタンを用いており、冷媒量封入量は88gである。
【0051】
冷媒は、圧縮機24により圧縮され気相として吐出され、機械室に配置された庫外放熱器71内で気液二相に変化し、庫外放熱器71、壁面放熱配管72及び結露抑制配管73で放熱し液相に相変化する。その後、冷媒は冷蔵用キャピラリチューブ75a又は、冷凍用キャピラリチューブ75bで減圧され、冷蔵室冷却器14a又は、冷凍用冷却器14b内で気相に相変化しつつ空気の熱を吸熱する。
【0052】
図6は本実施形態の特徴部分となる、
図2の冷蔵庫1から機械室カバー18及び制御基板ケース31を外した状態の機械室近傍の背面図、
図7は機械室ベース17の上面図、
図8は庫外放熱器71の斜視図である。
【0053】
尚、
図6に示す破線矢印は、機械室内の空気の流れる向きを示しており、
図8に示す実線矢印は冷媒の流れる向きを示している。
図2、
図6、
図7及び
図8を用いて第1の実施形態に係る冷蔵庫1の機械室の構成について説明する。
【0054】
図6に示すように、機械室7は、断熱箱体10の外表面を形成する外箱10a、機械室ベース17及び機械室カバー18(
図2参照)に囲まれた領域である。この機械室7は、冷蔵庫の正面、つまり開閉扉の側からみて、左右の横幅方向に延びるように形成されている。機械室7は、奥行D1(
図3参照)=150mm、奥行D2(
図3参照)=190mm、高さH=190mmの略台形形状の断面(
図3参照)を持ち、この断面形状が幅W=880mmに渡って延びた空間領域である。
【0055】
機械室7は、幅方向(左右方向)に長く、高さ及び奥行が短い空間形状である。即ち、上下寸法及び奥行寸法と比較し、横幅寸法が大きい空間で形成されている。更に、機械室7の上方の奥行寸法D1が、機械室7の下方の奥行寸法D2より短い空間で形成されている。尚、外箱10aは右方側面に外箱入口開口部19と、左方側面に外箱出口開口部35が設けられている。
【0056】
機械室7には、左方から右方に向かって、圧縮機24と、機械室ファン78と、庫外放熱器71が、所定の間隔を空けて順次配置されている。後述する庫外放熱器71の伝熱管77は庫外放熱器71に対して左方にある圧縮機24の吐出配管177と、右方にある壁面放熱配管72への接続配管178にそれぞれ接続されている。また、庫外放熱器71の後方には、制御基板ケース31(
図2参照)が備えられており、庫外放熱器71の設置可能空間の奥行寸法は、幅寸法W及び上下寸法Hと比較して、小さく設定されている。
【0057】
圧縮機24の上方には、蒸発皿32が備えられており、冷蔵室冷却器14aと冷凍室冷却器14bの除霜水が冷凍室排水管22及び冷蔵室排水管24を介して蒸発皿32に貯留される。蒸発皿32は一定の水位を超えると水を下方に排出するようにできており、排出された水は機械室ベース17に備えられた機械室ベース貯水部17aに貯留される。蒸発皿32と機械室ベース貯水部17aに貯水された水は、機械室ファン78により送風された空気により蒸発される。
【0058】
機械室7内の機械室ファン78を駆動することにより、外箱入口開口部19及び機械室ベース開口部17bを介して機械室7内に空気が流入する。機械室7に流入した空気は庫外放熱器71を通り、機械室ファン78で昇圧され、圧縮機24周辺を流れる。この気流によって庫外放熱器71と、圧縮機24からの放熱が促進される。庫外放熱器71と圧縮機24と熱交換して、温度が上昇した空気は、外箱出口開口部35及び機械室カバー開口部18a(
図2参照)より機械室7外に排出される。
【0059】
図6及び
図7を用いて機械室ベース17の構成について更に説明を加える。機械室ベース17は機械室7の下面に設けられており、設置床の床面と機械室ベース17の間には、空気が流れる床面流路190が形成されており、床面流路の流路高さLは、L=17mmとなっており、機械室7の高さH(H=190mm)の10分の1以下の狭い流路となっている。
【0060】
機械室ベース17は、
図7にある通り下面にスリット状の開口である機械室ベース開口部17bを設けており、機械室内に空気を取り込む孔として機能する。機械室ベース開口部17bから機械室7に流入する空気は、床面と機械室ベース17の間の比較的狭い流路を通過する。
【0061】
また、機械室ベース開口部17bの空気が流通する開口面積は1230mm2であり、床面付近に堆積した埃が機械室7内に流入し難くするため、外箱入口開口部19の空気が流通する開口面積(本実施例では13000mm2)と比較して小さくなっている。開口面積が小さいほど通風抵抗が大きくなるので、機械室ベース開口部17bは外箱入口開口部19と比較して通風抵抗が大きくなっている。
【0062】
図6及び
図8を用いて庫外放熱器71の構成について説明する。
図6に示すように、庫外放熱器71は、外箱入口開口部19及び機械室ベース開口部17bから機械室7内に吸い込まれた空気により放熱する。
図8に示すように、機械室7に設置される庫外放熱器71は、冷媒を流す伝熱管77と、伝熱管77に固定され、空気との熱交換を促進する複数のフィンを備えたクロスフィンチューブ式の熱交換器である。
【0063】
このように、庫外放熱器71として、クロスフィンチューブ式の熱交換器を用いることで放熱の効率を高めることができる。伝熱管77は、主にフィンが設置された熱交換部と伝熱管77を曲げたベンド部を備えている。以下では、熱交換部に設けられた複数のフィンをフィン群と呼称することがある。本実施例では、全てのフィンは独立しており、1枚のフィンは1本の伝熱管77に固定されて設けられている。また、ベンド部は、隣り合うフィン群を跨いで夫々の伝熱管77を接続するものである。
【0064】
庫外放熱器71は幅W71が192mm、高さH71が172mm、奥行A71が83mmである。また、垂直放熱部71aの熱交換部は幅W1が53mm、高さH1が114mm、奥行A1は83mmであり、水平放熱部71bの熱交換部は幅W2が111mm、高さH2が26mm、奥行A2は83mmとなっている。
【0065】
図6に示すように、庫外放熱器71は、外箱入口開口部19に対向する熱交換部である垂直放熱部71aと、機械室ベース開口部17bに対向する熱交換部である水平放熱部71bを備え、略L字状に構成されている。尚、庫外放熱器71は垂直放熱器71aと水平放熱器71bから構成されているが、垂直放熱器71a、水平放熱器71bに限らず、2つの放熱器を備えるものであっても良い。
【0066】
本実施形態では、機械室7は、冷蔵庫の開閉扉の方から見て左右方向の横幅方向に延在しており、冷蔵庫の側面に形成された外箱入口開口部19と外箱出口開口部35と連通されている。そして、垂直放熱部71aは、外箱入口開口部19と対向するように、冷蔵庫の側面に沿って設けられている。つまり、設置床に対して垂直方向に、冷蔵庫の側面に沿って設けられている。一方、水平放熱部71bは、機械室ベース開口部17bと対向するように、冷蔵庫の底面に沿って設けられている。つまり、設置床に対して平行方向に設置床に沿って設けられている。
【0067】
本実施例では、
図8に示すように、垂直放熱部71aと水平放熱部71bは互いに伝熱管77のベンド部を介して接続され、一体に形成されている。また、垂直放熱部71aは空気流れ方向に2列、空気流れと直交する方向に4段の伝熱管77a~77hを備え、水平放熱部71bは、空気流れ方向に1列、空気流れと直交する方向に4段の伝熱管77i~77lを備えている。
【0068】
本実施例では、垂直放熱部71aの空気流れ方向の上流側の列を垂直放熱部第1列201、下流側の列を垂直放熱部第2列202、水平放熱部71bの列を水平放熱部第1列211と呼ぶことがある。ベンド部には空気の流れを抑制するための図示しない遮蔽部材を設置して、熱交換部に空気の流れが集まるようにしている。
【0069】
冷媒は、伝熱管77a、77b、77c、77d、77e、77i、77j、77f、77g、77k、77l、77gの順に流れるようにしてある。
図6に示す圧縮機24の吐出配管177は、伝熱管77aに接続され、伝熱管77lは壁面放熱配管72への接続配管178に接続される。
【0070】
圧縮機から吐出された高温の冷媒は、吐出配管178を流れ、伝熱管77a、77b、77cを流れることで放熱して温度が下がり、伝熱管77dにおいて気液二相状態に至る。伝熱管77f以降は気液二相状態で放熱されるので、略一定の温度が保たれる。
【0071】
垂直放熱部71aのフィン群のフィン間隔G1と、水平放熱部71bのフィン群のフィン間隔G2はともに3mmである。また、垂直放熱部71aのフィン群の総表面積は281500mm2、水平放熱部71bのフィン群の総表面積は140750mm2である。このように構成された庫外放熱器71は、垂直放熱部71aの通風抵抗が水平放熱部71bの通風抵抗に対して大きくなる。
【0072】
水平放熱部伝熱管77i~77lは水平放熱部71bを構成し、左右方向に延伸している。これにより、水平放熱部伝熱管77i~77lのベンド部が機械室7の幅、奥行、高さのうちもっとも大きい寸法が確保されている幅(左右)方向に突出するため収納性が良好となる。また、垂直放熱部伝熱管77a~77hは垂直放熱部71aを構成しつつ上下方向に延伸しているので、水平放熱部71bの右側と垂直放熱部71aの下部のベンド部を介して互いを接続しやすくなるので、接続性が良く、一体に製造しやすくなる。
【0073】
尚、庫外放熱器71の垂直放熱部71aは主に外箱入口開口部19から吸い込んだ空気により放熱し、水平放熱部71bは機械室ベース開口部17bから吸い込んだ空気により放熱する。
【0074】
以上で、本実施例の冷蔵庫1の構成を説明したが、次に、本実施例の冷蔵庫1の奏する作用、効果について説明する。
【0075】
本実施例の冷蔵庫1は、左方向に開いた外箱入口開口部19(低通風抵抗開口部)と、下方向に開いた機械室ベース開口部17b(高通風抵抗開口部)と、外箱入口開口部19(低通風抵抗開口部)に対向し、主に外箱入口開口部19から取り入れられた空気で放熱する庫外放熱器71の垂直放熱部71a(高通風抵抗放熱器)と、機械室ベース開口部17b(高通風抵抗開口部)に対向し、主に機械室ベース開口部17bから取り入れられた空気で放熱する庫外放熱器71の水平放熱部71b(低通風抵抗放熱器)と、「庫外放熱器71の垂直放熱部71aの通風抵抗>庫外放熱器71の水平放熱部71bの通風抵抗」が成り立つ機械室7を備える、ことを特徴としている。(請求項1に記載の構成)
機械室ベース開口部17bは比較的高通風抵抗であるため通過する空気の流量は、外箱入口開口部19を通過する空気の流量より小さくなる。一方、外箱入口開口部19に対向する垂直放熱部71aの通風抵抗に比べて機械室ベース開口部17bに対向する水平放熱部71bの通風抵抗が小さくなっている。これにより、垂直放熱部71aと、水平放熱部71bを通過する空気流量の偏りを抑制し、庫外放熱器71の放熱効率を向上させることができる。
【0076】
つまり、従来の冷蔵庫に比べて、水平放熱部71bの通風抵抗が小さいので、機械室ベース開口部17bから流入してくる空気を多く流すことができ、また、垂直放熱部71aの通風抵抗が大きいので、外箱入口開口部19から流入してくる空気を絞って流すことができ、これらの作用によって垂直放熱部71aと、水平放熱部71bを通過する空気流量の偏りを抑制することができる。
【0077】
尚、本実施例では、高通風抵抗開口部を床面に隣接する機械室ベース開口部17bとしているが、高通風抵抗開口部は必ずしも床面に隣接する位置に限定されず、例えば、機械室7の背面側に配置された機械室カバー18に高通風抵抗開口部を設けても良い。この場合は、低通風抵抗放熱器を機械室カバー18に備えられた高通風抵抗開口部に対向して配置することで同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、本実施例の冷蔵庫1では、放熱器71の垂直放熱部71a(高通風抵抗放熱器)は、内部に冷媒を流す垂直放熱部伝熱管77a~77h(第1伝熱管)と、垂直放熱部伝熱管77a~77hに固定された複数のフィンからなるフィン群(第1フィン群)を備え、庫外放熱器71の水平放熱部71bは、内部に冷媒を流す水平放熱部伝熱管77i~77l(第2伝熱管)と、水平放熱部伝熱管77bに固定された複数のフィンから成るフィン群(第2フィン群)を備えて、第1フィン群のフィン総表面積が、第2フィン群のフィン総表面積より大きくしている、ことを特徴とする。(請求項2に記載の構成)
このような実施形態をとることで、フィン表面における摩擦抵抗によって、垂直放熱部71aの通風抵抗を水平放熱部71bの通風抵抗に比べて大きくすることができ、空気流量の偏りを抑制することができる。
【0079】
ここで、垂直放熱部71aフィン総表面積を水平放熱部71bのフィン総表面積より大きくする手段は本実施例の形態に限らず、例えば、垂直放熱部71aと、水平放熱部71bの伝熱管77をともに1列として、垂直放熱部71aを構成するフィン群のフィン間隔G1を1.5mmとし、水平放熱部71bを構成するフィン群のフィン間隔G2を3.0mmとするように、垂直放熱部71aのフィン間隔を、水平放熱部71bのフィン間隔より小さくしても良い。この場合は、放熱器71をよりコンパクトにすることが可能となる。
【0080】
また、本実施例の冷蔵庫1では、庫外放熱器71の垂直放熱部71a(高通風抵抗放熱器)の列数が水平放熱部71b(低通風抵抗放熱器)の列数より大きくなるようにしている。具体的には垂直放熱部71aは空気流れ方向に2列の伝熱管(伝熱管77a~77dと伝熱管77e~77h)により構成し、水平放熱部71bは空気流れ方向に1列の伝熱管(伝熱管77i~伝熱管77l)で構成している、ことを特徴としている。(請求項3に記載の構成)
このような実施形態をとることで、伝熱管の形状抵抗によって、垂直放熱部71aの通風抵抗を水平放熱部71bの通風抵抗に比べて大きくすることができるので、垂直放熱部71aと水平放熱部71bの通風抵抗を調整でき、通過する空気流量の偏りを抑制することができる。
【0081】
また、本実施例の冷蔵庫1では、垂直放熱部伝熱管77a~77h(第1伝熱管)は、管の曲げ部である垂直放熱部伝熱管ベンド部(第1ベンド部)を有し、垂直放熱部伝熱管77a~77hを略垂直に配置して、垂直放熱部伝熱管ベンド部を、垂直放熱部71aの上下に形成し、且つ、垂直放熱部伝熱管77a~77hと水平放熱部伝熱管77i~77lを一体に形成している、ことを特徴としている。(請求項4に記載の構成)
このような形態をとることで、上方の奥行寸法が高さ寸法より短い機械室7において、垂直放熱部伝熱管ベンド部が寸法の大きい高さ方向に突出することになるので、垂直放熱部71aの熱交換部を大きくすることができ放熱性能を向上させることができる。
【0082】
また、本実施例の冷蔵庫1では、水平放熱部伝熱管77i~77l(第2伝熱管)は、管の曲げ部である水平放熱部伝熱管ベンド部(第2ベンド部)を有し、水平放熱部伝熱管77i~77lを略水平に配置して、水平放熱部伝熱管ベンド部を、水平放熱部71bの左右に形成している、ことを特徴としている。(請求項5に記載の構成)
このような形態をとることで、水平放熱部伝熱管ベンド部が機械室7の幅、高さ、奥行のうち最も寸法が大きい幅方向に突出することになるので、庫外放熱器71の収納性が良好となる。
【0083】
また、本実施例の冷蔵庫1では、機械室7の内部に圧縮機24を備え、圧縮機24の吐出口に接続された圧縮機吐出配管177を、垂直放熱部71aの伝熱管77a~77h(第1伝熱管)の空気流れ方向で見て上流側(ここでは最上流側)の列の伝熱管77aに接続し、圧縮機24から吐出された気相冷媒が、垂直放熱部伝熱管77a~77hの内部で二相冷媒になり、水平放熱部71bの伝熱管77i~77l(第2伝熱管)に接続するように形成されている。更に、垂直放熱部71aを流れる空気の流れ方向で見て、最も下流側に位置する列の第1伝熱管77hの出口と冷蔵庫の壁面放熱配管が接続されている、ことを特徴としている。(請求項6、7に記載の構成)
圧縮機24から吐出される冷媒はガス(気相)であり、気相の冷媒が庫外放熱器71に流入する、その後、垂直放熱部伝熱管77a、77b、77cを流れることで放熱して温度が下がり、垂直放熱部伝熱管77dにおいて気液二相状態に至る。気液二相冷媒の熱伝達率は重力の影響を受け、水平管内では凝縮液が管の下部に流下するために、管内の液膜による熱抵抗が小さくなる。一方で、垂直管内では管の内面全周が液膜で覆われるため熱抵抗が水平管に比べて大きくなる。
【0084】
したがって、水平管と垂直管から構成される放熱器では、水平管の部分で気液二相となるように放熱を行うことが有効である。そこで、本実施例の冷蔵庫では、圧縮機24から吐出された気相冷媒を垂直放熱部71aの伝熱管77cで気液二相に変化させて、熱伝達率が高い水平放熱部71bの伝熱管77i~77lには気液二相の冷媒を流すようにして庫外放熱器71の放熱効率を高くしている。
本実施形態の冷蔵庫1は、機械室7の内部であって、庫外放熱器71の左側に圧縮機24を備えるとともに、庫外放熱器71の右側に壁面放熱配管72を備え、圧縮機24の吐出口に接続された接続配管177(圧縮機吐出配管)を垂直放熱部71aの伝熱管のうち、最も空気の流れ方向で見て最も下流に位置する列の伝熱管(伝熱管77h)に接続すると共に、壁面放熱配管72に接続される接続配管178を、最も空気の流れ方向で見て最も上流に位置する垂直放熱部71aの伝熱管77aに接続している、ことを特徴としている。(請求項8に記載の構成)
このような構成をとることで、第1の実施形態と同様の作用、効果が得られると共に、配管の接続が容易となり製造性が良くなる。
以上の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることも可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を適宜に加えることも可能である。本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。また、した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。