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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075900
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20240529BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240529BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240529BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L27/06 102A
H01L29/78 613Z
H01L27/088 331E
H01L27/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187154
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 直仁
(72)【発明者】
【氏名】佃 栄次
(72)【発明者】
【氏名】山本 芳樹
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5F110
【Fターム(参考)】
5F038AR07
5F038AR09
5F038AR13
5F038AR21
5F038AR28
5F038EZ13
5F038EZ14
5F038EZ15
5F038EZ20
5F048AA01
5F048AC10
5F048BA16
5F048BB05
5F048BC06
5F048BF07
5F048BG01
5F048BG13
5F110CC02
5F110DD05
5F110DD13
5F110EE09
5F110EE32
5F110GG02
5F110GG12
5F110HJ13
5F110HJ23
5F110HK05
5F110HK40
5F110HL04
5F110HM02
5F110HM15
5F110NN65
5F110NN71
(57)【要約】
【課題】半導体装置が備える抵抗素子の抵抗値を増大させる。
【解決手段】SOI基板1の半導体層SMbと、半導体層SMb上に形成された半導体層EPとにより、抵抗素子3が形成されている。半導体層EPは、半導体層SMb上に互いに離間して形成された複数の半導体部EP2a,EP2bを有する。半導体層SMbは、その上に半導体部EP2aが形成された領域RG1aと、その上に半導体部EP2bが形成された領域RG1bと、その上にエピタキシャル半導体層が形成されていない領域RG2とを有する。各領域RG1a,RG1bは、領域RG2の隣に位置する低濃度領域R1を更に有する。低濃度領域R1における不純物濃度は、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度よりも低い。各半導体部EP2a,EP2bは、低濃度領域R1の上に位置する中濃度領域R2を有する。中濃度領域R2における不純物濃度は、低濃度領域R1における不純物濃度よりも高い。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1領域に形成された抵抗素子と、
前記基板の第2領域に形成されたMISFETと、
を備え、
前記基板は、
支持基板と、
前記支持基板上の絶縁層と、
前記絶縁層上の半導体層と、
を有し、
前記抵抗素子は、
前記第1領域に位置する前記半導体層と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成されたエピタキシャル半導体層と、
からなり、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成された第1半導体部と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第1半導体部から離間した第2半導体部と、
を有し、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、
その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、
その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、かつ、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない素子部と、
を有し、
前記第1半導体部、前記第2半導体部、前記第1接続部、前記第2接続部および前記素子部のそれぞれの導電型は、第1導電型であり、
前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれは、前記素子部の隣に位置する前記第1導電型の第1低濃度領域を更に有し、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれは、前記第1低濃度領域の上に位置する前記第1導電型の第1中濃度領域を更に有し、
前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれの前記第1低濃度領域における不純物濃度は、前記素子部における不純物濃度よりも低く、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第1中濃度領域における不純物濃度は、前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれの前記第1低濃度領域における不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1中濃度領域と前記素子部は、互いに同じ不純物濃度を有する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの表面に、金属シリサイド層が形成されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれは、前記第1低濃度領域の隣に位置する前記第1導電型の第1高濃度領域を更に有し、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれは、前記第1高濃度領域の上に位置する前記第1導電型の第2高濃度領域を更に有し、
前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれの前記第1高濃度領域における不純物濃度は、前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第1中濃度領域における不純物濃度よりも高く、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第2高濃度領域における不純物濃度は、前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第1中濃度領域における不純物濃度よりも高く、
前記第1低濃度領域は、前記素子部と前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれの前記第1高濃度領域との間に介在し、
前記金属シリサイド層は、前記第2高濃度領域の表面に形成されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記第1高濃度領域と前記第2高濃度領域は、互いに同じ不純物濃度を有する、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
前記基板に形成され、前記半導体層および前記絶縁層を貫通して底部が前記支持基板に達する素子分離領域を更に備え、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、平面視において、その周囲を前記素子分離領域により囲まれている、半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記第2領域に位置する前記半導体層は、平面視において、その周囲を前記素子分離領域により囲まれており、
前記第1領域に位置する前記半導体層と、前記第2領域に位置する前記半導体層とは、前記素子分離領域により互いに離間されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記エピタキシャル半導体層は、前記第2領域に位置する前記半導体層上にも形成されており、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成された第3半導体部と、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第3半導体部から離間した第4半導体部と、
を有し、
前記MISFETは、前記第2領域に位置する前記半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を有し、
前記MISFETのソース領域は、前記第2領域に位置する前記半導体層および前記第3半導体部に形成され、
前記MISFETのドレイン領域は、前記第2領域に位置する前記半導体層および前記第4半導体部に形成されている、半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記ソース領域は、前記半導体層に形成された前記第1導電型の第1低濃度ソース領域と、前記半導体層および前記第3半導体部に形成され、かつ、前記第1低濃度ソース領域よりも高い不純物濃度を有する前記第1導電型の第1高濃度ソース領域とからなり、
前記ドレイン領域は、前記半導体層に形成された前記第1導電型の第1低濃度ドレイン領域と、前記半導体層および前記第4半導体部に形成され、かつ、前記第1低濃度ドレイン領域よりも高い不純物濃度を有する前記第1導電型の第1高濃度ドレイン領域とからなる、半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
前記素子部、前記第1中濃度領域、前記第1低濃度ソース領域および前記第1低濃度ドレイン領域のそれぞれにおける不純物濃度は、互いに同じである、半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置において、
前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれは、前記第1低濃度領域の隣に位置する前記第1導電型の第1高濃度領域を更に有し、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれは、前記第1高濃度領域の上に位置する前記第1導電型の第2高濃度領域を更に有し、
前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれの前記第1高濃度領域における不純物濃度は、前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第1中濃度領域における不純物濃度よりも高く、
前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第2高濃度領域における不純物濃度は、前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれの前記第1中濃度領域における不純物濃度よりも高く、
前記第1低濃度領域は、前記素子部と前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれの前記第1高濃度領域との間に介在し、
前記第1高濃度領域、前記第2高濃度領域、第1高濃度ソース領域および第1高濃度ドレイン領域のそれぞれにおける不純物濃度は、互いに同じである、半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第2高濃度領域の表面に金属シリサイド層が形成されている、半導体装置。
【請求項13】
請求項8記載の半導体装置において、
前記素子部の厚さは、前記ゲート電極の厚さよりも薄い、半導体装置。
【請求項14】
請求項1記載の半導体装置において、
前記エピタキシャル半導体層は、前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第1半導体部および前記第2半導体部から離間して前記第1半導体部と前記第2半導体部との間に配置された第3半導体部を更に有し、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、その上に前記第3半導体部が形成された第3接続部を更に有し、
前記素子部の途中に前記第3接続部が存在し、
前記第3接続部における不純物濃度は、前記素子部における不純物濃度よりも低く、
前記第3半導体部における不純物濃度は、前記第3接続部における不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項15】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1半導体部の前記第2半導体部に対向する側の端部近傍において、前記第1半導体部とその下の前記半導体層との間に、隙間部が形成されている、半導体装置。
【請求項16】
請求項1記載の半導体装置において、
前記基板上に、前記半導体層および前記エピタキシャル半導体層を覆うように形成された層間絶縁膜を更に備え、
前記層間絶縁膜には、複数の導電性プラグが埋め込まれており、
前記複数の導電性プラグは、前記第1半導体部上に形成され、かつ、前記第1半導体部と電気的に接続された第1プラグと、前記第2半導体部上に形成され、かつ、前記第2半導体部と電気的に接続された第2プラグと、を含んでいる、半導体装置。
【請求項17】
基板と、
前記基板の第1領域に形成された第1抵抗素子と、
前記基板の第2領域に形成された第2抵抗素子と、
前記基板の第3領域に形成されたMISFETと、
を備え、
前記基板は、
支持基板と、
前記支持基板上の絶縁層と、
前記絶縁層上の半導体層と、
を有し、
前記第1抵抗素子は、
前記第1領域に位置する前記半導体層と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成されたエピタキシャル半導体層と、
からなり、
前記第2抵抗素子は、
前記第2領域に位置する前記半導体層と、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成された前記エピタキシャル半導体層と、
からなり、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成された第1半導体部と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第1半導体部から離間した第2半導体部と、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成された第3半導体部と、
前記第2領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第3半導体部から離間した第4半導体部と、
を有し、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、
その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、
その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、かつ、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない第1素子部と、
を有し、
前記第2領域に位置する前記半導体層は、
その上に前記第3半導体部が形成された第3接続部と、
その上に前記第4半導体部が形成された第4接続部と、
前記第3接続部と前記第4接続部の間に位置し、かつ、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない第2素子部と、
を有し、
前記第1素子部は、単結晶からなり、
前記第2素子部は、多結晶からなり、
前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子とは、直列または並列に接続されている、半導体装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板の第1領域に形成された抵抗素子と、
前記基板の第2領域に形成されたMISFETと、
を備え、
前記基板は、
支持基板と、
前記支持基板上の絶縁層と、
前記絶縁層上の半導体層と、
を有し、
前記抵抗素子は、
前記第1領域に位置する前記半導体層と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成されたエピタキシャル半導体層と、
からなり、
前記エピタキシャル半導体層は、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成された第1半導体部と、
前記第1領域に位置する前記半導体層上に形成され、かつ、前記第1半導体部から離間した第2半導体部と、
を有し、
前記第1領域に位置する前記半導体層は、
その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、
その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、かつ、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない素子部と、
を有し、
前記素子部は、単結晶からなる単結晶領域と、多結晶からなる多結晶領域とを有し、
前記第1接続部と前記第2接続部の間で、前記単結晶領域と前記多結晶領域とが直列に接続されている、半導体装置。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置において、
前記素子部の幅は、0.2μm以上である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、抵抗素子を有する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造するには、半導体基板に素子分離領域を形成し、素子分離領域で規定された半導体基板の活性領域にMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)や抵抗素子などの半導体素子を形成し、半導体基板上に多層配線構造を形成する。また、半導体基板としてSOI基板を用いる技術がある。
【0003】
特開2022-80908号公報報(特許文献1)には、SOI基板の半導体層を用いて抵抗素子を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-80908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置が備える抵抗素子の抵抗値を大きくすると、半導体装置において抵抗素子を配置するのに要する面積が増大するが、これは半導体装置の面積の増大を招くため、半導体装置の小型化に不利となる。半導体装置の面積の増大を招かずに、半導体装置が備える抵抗素子の抵抗値を増大させ得る技術を提供することが望まれる。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、基板と、前記基板の第1領域に形成された抵抗素子と、前記基板の第2領域に形成されたMISFETと、を備える。前記基板は、支持基板、前記支持基板上の絶縁層、および前記絶縁層上の半導体層を有する。前記抵抗素子は、前記第1領域に位置する前記半導体層と、前記第1領域に位置する前記半導体層上に互いに離間して形成された第1および第2半導体部とからなる。前記第1領域に位置する前記半導体層は、その上に前記第1半導体部が形成された第1接続部と、その上に前記第2半導体部が形成された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部の間に位置し、その上に前記エピタキシャル半導体層が形成されていない素子部と、を有する。前記第1半導体部、前記第2半導体部、前記第1接続部、前記第2接続部および前記素子部のそれぞれの導電型は、第1導電型である。前記第1接続部および前記第2接続部のそれぞれは、前記素子部の隣に位置する第1低濃度領域を有する。前記第1半導体部および前記第2半導体部のそれぞれは、前記第1低濃度領域の上に位置する第1中濃度領域を有する。前記第1低濃度領域における不純物濃度は、前記素子部における不純物濃度よりも低い。前記第1中濃度領域における不純物濃度は、前記第1低濃度領域における不純物濃度よりも高い。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の面積の増大を招かずに、半導体装置が備える抵抗素子の抵抗値を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図3】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図4】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図5】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図6】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図7】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図8】一実施の形態の抵抗素子の断面図である。
図9】一実施の形態の抵抗素子の断面図である。
図10図7の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図11】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図19図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図20図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図21図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図22図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図23図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図24図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図25図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図26図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図27】検討例の抵抗素子の部分拡大断面図である。
図28】抵抗素子のシート抵抗と、抵抗素子を構成する半導体層の素子部の長さとの相関を示すグラフである。
図29】抵抗素子のシート抵抗と、抵抗素子を構成する半導体層の素子部の長さとの相関を示すグラフである。
図30】変形例の抵抗素子の部分拡大断面図である。
図31】変形例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図32図31に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図33図32に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図34】他の実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図35】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図36】他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図37図36に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図38図37に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図39図38に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図40】他の実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図41】他の実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図42】他の実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図43】抵抗素子の抵抗値の温度依存性を示すグラフである。
図44】他の実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図45】他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図46】他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図47図46に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図48図47に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図49図48に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本実施の形態の半導体装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、図2図6は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。図1のA-A線の断面図が、図2にほぼ対応し、図1のB-B線の断面図が、図3にほぼ対応し、図1のC-C線の断面図が、図4にほぼ対応し、図1のD-D線の断面図が、図5にほぼ対応している。このため、図2図5は、SOI基板1の主面に略垂直な断面図である。図1図5は、抵抗素子3が形成された抵抗素子形成領域1Bの平面図および断面図に対応し、図6は、MISFET2が形成されたMISFET形成領域1Aの断面図に対応している。また、図1図5に示されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向であるが、X方向およびY方向は、SOI基板1の主面に略平行な方向であり、Z方向は、SOI基板1の主面に略垂直な方向である。
【0014】
図1図6に示される本実施の形態の半導体装置は、SOI(SOI:Silicon On Insulator)基板1を用いた半導体装置である。
【0015】
図2図6に示すように、SOI基板1は、支持基板としての半導体基板(支持基板)SBと、半導体基板SBの主面上に形成された絶縁層(埋め込み絶縁膜)BXと、絶縁層BXの上面上に形成された半導体層SMと、を有している。半導体基板SBは、絶縁層BXと絶縁層BXよりも上の構造とを支持する支持基板であるが、半導体基板でもある。
【0016】
半導体基板SBは、好ましくは単結晶シリコン基板であり、例えばp型の単結晶シリコンからなる。例えば、1Ω~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体基板SBを形成することができる。半導体基板SBの厚みは、例えば700μm~750μm程度とすることができる。絶縁層BXは、好ましくは酸化シリコン膜であり、絶縁層BXの厚さは、例えば10nm~20nm程度とすることができる。絶縁層BXが酸化シリコン膜の場合、絶縁層BXは、埋め込み酸化膜、すなわちBOX(Buried Oxide)層とみなすこともできる。半導体層SMは、単結晶シリコンなどからなる。例えば、1Ω~10Ωcm程度の比抵抗を有する単結晶シリコンにより、半導体層SMを形成することができる。半導体層SMは、SOI層とみなすこともできる。支持基板である半導体基板SBの厚さに比べて半導体層SMの厚さは薄く、半導体層SMの厚さは、例えば15nm~25nm程度とすることができる。これら半導体基板SB、絶縁層BXおよび半導体層SMにより、SOI基板1が形成されている。
【0017】
図2図6に示すように、SOI基板1には、素子分離領域(素子分離構造)STが形成されている。この素子分離領域STは、素子分離溝(素子分離用の溝)に埋め込まれた絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)により形成されている。素子分離溝およびそれを埋めている素子分離領域STは、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通して、その底部が半導体基板SBの厚みの途中に達している。すなわち、半導体層SM、絶縁層BXおよび半導体基板SBにかけて形成された素子分離溝に、素子分離領域STが埋め込まれた状態となっている。
【0018】
本実施の形態のSOI基板1は、MISFETが形成される領域であるMISFET形成領域1Aと、抵抗素子が形成される領域である抵抗素子形成領域1Bとを有している。MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bとは、同一のSOI基板1の主面における互いに異なる平面領域に対応している。MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bとは、それぞれ、素子分離領域STで区画されており、例えば図1に示すように、それぞれ素子分離領域STで周囲を囲まれている。従って、MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bとは、それぞれ、素子分離領域STで囲まれた活性領域とみなすことができる。
【0019】
MISFET形成領域1Aの半導体層SMに、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)2が形成されている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMにより、抵抗素子3が形成されている。SOI基板1において、MISFET形成領域1Aの半導体層SMと、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMとは、それぞれ、素子分離領域STに平面的に囲まれて区画されている。
【0020】
ここで、MISFET形成領域1Aの半導体層SMを、符号SMaを付して半導体層SMaと称し、また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMを、符号SMbを付して半導体層SMbと称することとする。半導体層SMaと半導体層SMbとは、互いに同じ厚さを有している。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「厚さ」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0021】
MISFET形成領域1Aの半導体層SM、すなわち半導体層SMaは、側面が素子分離領域STに接し、底面が絶縁層BXに接することで、絶縁層BXと素子分離領域STとで囲まれた状態になっている。すなわち、半導体層SMaの底面は絶縁層BXで覆われ、半導体層SMaの側面は、素子分離領域STで覆われている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SM、すなわち半導体層SMbは、側面が素子分離領域STに接し、底面が絶縁層BXに接することで、絶縁層BXと素子分離領域STとで囲まれた状態になっている。すなわち、半導体層SMbの底面は絶縁層BXで覆われ、半導体層SMbの側面は、素子分離領域STで覆われている。半導体層SMaと半導体層SMbとは、それぞれ平面視において周囲を素子分離領域STにより囲まれており、従って、素子分離領域STによって互いに離間されている。
【0022】
まず、MISFET形成領域1Aに形成されたMISFET2について説明する(図8参照)。
【0023】
MISFET2は、半導体層SMa上にゲート絶縁膜GFを介して形成されたゲート電極GEを有している。ゲート電極GEは、例えば多結晶シリコンからなる。ゲート電極GEの側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW2が形成されている。
【0024】
半導体層SMaのうち、ゲート電極GEとサイドウォールスペーサSW2とからなる構造体の両側に位置する領域上に、半導体層(エピタキシャル半導体)EPが形成されている。すなわち、半導体層SMaのうち、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2に覆われていない領域上に、半導体層EPが形成されている。半導体層EPは、エピタキシャル成長により形成されたエピタキシャル半導体層であり、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。
【0025】
ここで、ゲート電極GEとサイドウォールスペーサSW2とからなる構造体の両側に形成された半導体層EPの一方を、半導体部(エピタキシャル半導体部)EP1aと称し、他方を、半導体部(エピタキシャル半導体部)EP1bと称することとする。すなわち、半導体層SMa上に形成された半導体層EPは、半導体層SMa上に互いに離間して形成された半導体部EP1a,EP1bを有している。半導体部EP1aと半導体部EP1bとは、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2を間に介して、互いに離間している。このため、半導体部EP1aおよび半導体部EP1bは、互いに同じ材料(ここでは単結晶シリコン)からなり、また、互いに同じ厚さを有している。ゲート電極GEは、平面視において、半導体部EP1aと半導体部EP1bとの間に配置されている。
【0026】
MISFET形成領域1Aにおいて、MISFET2のソース・ドレイン領域(ソースまたはドレイン用の半導体領域)は、各半導体層EP,SMaに形成されている。具体的には、半導体層SMaに形成されている半導体領域EXと、半導体層EPおよび半導体層SMaにわたって形成されている半導体領域SDとにより、LDD(Lightly Doped Drain)構造のソース・ドレイン領域が形成されている。半導体領域SDにおける不純物濃度は、半導体領域EXにおける不純物濃度よりも高い。なお、本実施の形態では、半導体層SMaに形成されている半導体領域EXは、例えば、p型の半導体領域である。また、半導体層EPおよび半導体層SMaにわたって形成されている半導体領域SDについても、半導体領域EXと同じ、p型の半導体領域である。すなわち、本実施の形態のMISFET2は、pチャネル型のMISFETである。
【0027】
MISFET形成領域1Aにおいて、p型の半導体領域EXは、半導体層SMaにおいて、サイドウォールスペーサSW2の直下に位置する領域に形成されている。MISFET形成領域1Aにおいて、p型の半導体領域SDは、半導体層EPと、半導体層SMaのうちの半導体層EPの下に位置する領域とにわたって、形成されている。半導体層SMaのうち、ゲート電極GEの直下に位置する領域が、MISFET2のチャネル形成領域となる。p型の半導体領域EXは、このp型の半導体領域EXがチャネル形成領域に接するように、チャネル形成領域の両側(ゲート長方向における両側)に形成されている。そのため、MISFET2のチャネル形成領域と半導体領域EXとの間には、PN接合が形成されている。また、p型の半導体領域SDは、p型の半導体領域EXに隣接しており、p型の半導体領域SDとチャネル形成領域との間にp型の半導体領域EXが介在した状態となっている。なお、上記したように、本実施の形態のMISFET2はpチャネル型のMISFETであるため、このMISFET2のチャネル形成領域と半導体領域EXとの間には、PN接合が形成されている。
【0028】
なお、ゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2の両側に形成された2つ(一対)のp型の半導体領域SDのうち、一方はMISFET2を構成するソース領域であり、他方はMISFET2を構成するドレイン領域である。ソース領域を構成するp型の半導体領域SDは、半導体部EP1aとその下の半導体層SMaとにわたって形成され、ドレイン領域を構成するp型の半導体領域SDは、半導体部EP1bとその下の半導体層SMaとにわたって形成されている。
【0029】
ゲート電極GEおよびp型の半導体領域SDのそれぞれの表面(上層部)には、金属シリサイド層(金属化合物層)MSが形成されている。より特定的には、p型の半導体領域SDを構成する半導体層EP(半導体部EP1a,EP1a)の表面(上層部)に金属シリサイド層MSが形成されている。
【0030】
次に、抵抗素子形成領域1Bに形成された抵抗素子3について説明する(図1図5参照)。
【0031】
半導体層SMb上に半導体層(エピタキシャル半導体)EPが形成されている。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EPは、半導体層SMbの全体上に形成されているのではなく、半導体層SMb上に部分的に形成されている。半導体層EPは、エピタキシャル成長により形成されたエピタキシャル半導体層であり、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。
【0032】
半導体層SMb上に形成された半導体層EPは、半導体層SMb上に互いに離間して形成された半導体部(エピタキシャル半導体部)EP2a,EP2bを有している。このため、半導体部EP2aおよび半導体部EP2bは、エピタキシャル成長により形成されており、互いに同じ材料(ここでは単結晶シリコン)からなり、また、互いに同じ厚さを有している。
【0033】
抵抗素子形成領域1Bに形成されている半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)と、MISFET形成領域1Aに形成されている半導体層EP(各半導体部EP1a,EP1b)とは、同工程(同じエピタキシャル成長工程)で形成されている。このため、抵抗素子形成領域1Bに形成されている半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)と、MISFET形成領域1Aに形成されている半導体層EP(各半導体部EP1a,EP1b)とは、互いに同じ材料(ここでは単結晶シリコン)からなり、また、互いに同じ厚さを有している。
【0034】
抵抗素子3は、半導体層SMbと半導体層SMb上に形成された半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)とにより、されている。半導体層SMb,EPがシリコンからなる場合は、抵抗素子3は、シリコン抵抗素子とみなすことができる。
【0035】
図1図7の場合は、半導体層SMbの延在方向(X方向)における一方の端部において、半導体層SMb上に半導体部EP2aが形成され、半導体層SMbの延在方向(X方向)における他方の端部において、半導体層SMb上に半導体部EP2bが形成されている。半導体部EP2aと半導体部EP2bとは、互いに離間している。
【0036】
半導体層SMbは、半導体部EP2aの直下に位置する領域(接続部、端部)RG1aと、半導体部EP2bの直下に位置する領域(接続部、端部)RG1bと、領域RG1aと領域RG1bとの間に位置し、かつ、その上に半導体層EPが形成されていない領域(素子部、中央部)RG2と、を一体的に有している。半導体層SMbのうち、領域RG1a上には半導体部EP2aが形成され、領域RG1b上には半導体部EP2bが形成されているが、領域RG2上には半導体層EPは形成されていない。領域RG1aは、半導体層SMbのうち、その上に半導体部EP2aが形成された領域とみなすこともでき、また、領域RG1bは、半導体層SMbのうち、その上に半導体部EP2bが形成された領域とみなすこともでき、また、領域RG2は、半導体層SMbのうち、その上に半導層EPが形成されていない領域とみなすこともできる。
【0037】
半導体部EP2aおよび半導体部EP2bのそれぞれの表面(上層部)には、金属シリサイド層(金属化合物層)MSが形成されている。半導体層SMbの表面には、金属シリサイド層MSに相当するものは形成されていない。半導体層SMbのうち、半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域RG2の表面(上面)は、絶縁膜パターン(パターニングされた絶縁膜)ZMP2で覆われている。また、各半導体部EP2a,EP2bのそれぞれの表面(上面)のうち、金属シリサイド層MSが形成されていない領域も、絶縁膜パターンZMP2で覆われている。また、領域RG2に位置する半導体層SMbの表面上の絶縁膜パターンZMP2と、各半導体部EP2a,EP2bの表面上の絶縁膜パターンZMP2とが互いに、かつ、一体的につながるように、各半導体部EP2a,EP2bの側面(互いに対向する側面)上にも絶縁膜パターンZMP2が形成されている。このため、各半導体部EP2a,EP2bの表面のうち、絶縁膜パターンZMP2で覆われていない領域に、金属シリサイド層MSが形成されており、絶縁膜パターンZMP2は、金属シリサイド層MSの形成を防ぐシリサイドブロック層として機能する膜である。
【0038】
SOI基板1の主面上には、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW2、半導体層SM,EPおよび金属シリサイド層MSを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)L1が形成されている。絶縁膜L1には、絶縁膜L1を貫通するコンタクトホール(貫通孔、孔)CTが形成されており、コンタクトホールCT内には導電性のプラグ(コンタクトプラグ)PGが形成されている(埋め込まれている)。プラグPGは、複数形成されており、ゲート電極GEに接続されるプラグPG(以下PG1bと称す)、p型の半導体領域SDに接続されるプラグPG(以下PG1aと称す)、半導体部EP2aに接続されるプラグPG(以下PG2aと称す)、および、半導体部EP2aに接続されるプラグPG(以下PG2bと称す)を含んでいる。各プラグPGの底面は、金属シリサイド層MSと接している。また、プラグPG2aが埋め込まれるコンタクトホールCTを、以下ではコンタクトホールCT2aと称し、プラグPG2bが埋め込まれるコンタクトホールCTを、以下ではコンタクトホールCT2bと称する。
【0039】
プラグPG1aは、p型の半導体領域SDの表面に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介してp型の半導体領域SDと電気的に接続されている。また、プラグPG1bは、ゲート電極GEの表面に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介してゲート電極GEと電気的に接続されている。また、プラグPG2aは、半導体部EP2a上に配置されて、その半導体部EP2aの表面(上層部)に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2aと電気的に接続されている。また、プラグPG2bは、半導体部EP2b上に配置されて、その半導体部EP2bの表面(上層部)に形成された金属シリサイド層MSと接しており、その金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2bと電気的に接続されている。
【0040】
プラグPGが埋め込まれた絶縁膜L1上には、絶縁膜L2が形成されており、その絶縁膜L2に形成された溝(配線溝)に、配線M1が形成されている(埋め込まれている)。配線M1は、プラグPGを介して、p型の半導体領域SD、ゲート電極GE、半導体部EP2aまたは半導体部EP2bなどと電気的に接続されている。
【0041】
ここで、プラグPG2aに接続された配線M1を、以下では配線M1aと称する。また、プラグPG2bに接続された配線M1を、以下では配線M1bと称する。配線M1aは、プラグPG2aを介して、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに電気的に接続され、更にその金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2aと電気的に接続されている。また、配線M1bは、プラグPG2bを介して、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに電気的に接続され、更にその金属シリサイド層MSを介して半導体部EP2bと電気的に接続されている。
【0042】
配線M1よりも上層の配線も形成されているが、ここでは、絶縁膜L2および配線M1よりも上の構造については、図示および説明を省略する。
【0043】
次に、抵抗素子3を構成する半導体層SMbおよび半導体部EP2a,EP2bにおける不純物の濃度分布について、上記図2図7図10を参照して説明する。図7は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、上記図2と同じ断面が示されているが、図7では、抵抗素子3を構成する半導体層SMbおよび各半導体部EP2a,EP2bにおいて、不純物濃度が互いに異なる複数の領域R1,R2,R3,R4を示してある(但し領域R3と領域R4における不純物濃度は互いに同じ)。上記図2図7とを比べると、抵抗素子3を構成する半導体層SMbおよび各半導体部EP2a,EP2bのどの領域がどのような不純物濃度を有しているかを理解することができる。また、図8および図9は、本実施の形態の抵抗素子3の断面図である。図8および図9には、SOI基板1の主面に略平行な断面が示されているが、図7のE-E線の位置での断面図が図8にほぼ対応し、図7のF-F線の位置での断面図が図9にほぼ対応している。また、図10は、図7の一部を拡大した部分拡大断面図であり、抵抗素子3の一部が示されている。
【0044】
抵抗素子3を構成する半導体層SMbおよび各半導体部EP2a,EP2bのそれぞれの導電型は、互いに同じ導電型(ここではp型)である。すなわち、半導体部EP2a、半導体部EP2b、領域(接続部、端部)RG1a、領域(接続部、端部)RG1bおよび領域(素子部、中央部)RG2のそれぞれの導電型は、互いに同じ導電型(ここではp型)である。このため、各領域R1,R2,R3,R4の導電型も、互いに同じ導電型(ここではp型)である。なお、上記のように、本実施の形態では、抵抗素子3を構成する各領域R1,R2,R3,R4,RG2の導電型は、互いに同じ導電型であるため、各領域R1,R2,R3,R4,RG2のうち、互いに隣り合う2つの領域間には、PN接合が形成されていない。
【0045】
領域R3における不純物濃度(p型不純物濃度)は、領域R1および領域R2のそれぞれにおける不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。また、領域R4における不純物濃度(p型不純物濃度)は、領域R1および領域R2のそれぞれにおける不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。また、領域R2における不純物濃度(p型不純物濃度)は、領域R1における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。領域R3における不純物濃度(p型不純物濃度)と領域R4における不純物濃度(p型不純物濃度)は、互いに同じである。このため、各領域R1,R2,R3,R4のうち、領域R3と領域R4のそれぞれが最も不純物濃度(p型不純物濃度)が高い。また、各領域R1,R2,R3,R4のうち、領域R1が最も不純物濃度(p型不純物濃度)が低い。上記した点を考慮し、以下では、領域R3を高濃度領域R3と称し、領域R4を高濃度領域R4と称し、領域R2を中濃度領域R2と称し、領域R1を低濃度領域R1と称する。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「不純物濃度」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0046】
本実施の形態では、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度(p型不純物濃度)は、各高濃度領域R3,R4における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも低く、かつ、低濃度領域R1における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。より特定的には、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度(p型不純物濃度)と中濃度領域R2における不純物濃度(p型不純物濃度)は、互いに同じである。半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度は、ほぼ均一である。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「不純物濃度」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0047】
半導体層SMbの領域RG1aおよび半導体層SMbの領域RG1bのそれぞれは、低濃度領域R1と高濃度領域R3とで構成されている。また、半導体部EP2aおよび半導体部EP2bのそれぞれは、中濃度領域R2と高濃度領域R4とで構成されている。
【0048】
半導体層SMbの領域RG1aにおいて、低濃度領域R1と高濃度領域R3とはX方向において互いに隣り合っている。また、半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1は、この低濃度領域R1が半導体層SMbの領域RG2と接するように、半導体層SMbの領域RG2の隣に位置している。すなわち、半導体層SMbの領域RG1aの高濃度領域R3と半導体層SMbの領域RG2との間に、半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1が介在している。また、半導体部EP2aにおいて、中濃度領域R2と高濃度領域R4とはX方向において互いに隣り合っている。半導体部EP2aの中濃度領域R2は、半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1の上に位置しており、また、半導体部EP2aの高濃度領域R4は、半導体層SMbの領域RG1aの高濃度領域R3の上に位置している。従って、半導体部EP2aの中濃度領域R2と半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1とは上下に重なっており(整合しており)、また、半導体部EP2aの高濃度領域R4と半導体層SMbの領域RG1aの高濃度領域R3とは、上下に重なっている(整合している)。
【0049】
半導体層SMbの領域RG1bにおいて、低濃度領域R1と高濃度領域R3とはX方向において互いに隣り合っている。また、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1は、この低濃度領域R1が半導体層SMbの領域RG2と接するように、半導体層SMbの領域RG2の隣に位置している。すなわち、半導体層SMbの領域RG1bの高濃度領域R3と半導体層SMbの領域RG2との間に、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1が介在している。また、半導体部EP2bにおいて、中濃度領域R2と高濃度領域R4とはX方向において互いに隣り合っている。半導体部EP2bの中濃度領域R2は、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1の上に位置しており、また、半導体部EP2bの高濃度領域R4は、半導体層SMbの領域RG1bの高濃度領域R3の上に位置している。従って、半導体部EP2bの中濃度領域R2と半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1とは上下に重なっており(整合しており)、また、半導体部EP2bの高濃度領域R4と半導体層SMbの領域RG1bの高濃度領域R3とは、上下に重なっている(整合している)。
【0050】
ここで、半導体部EP2aは、半導体部EP2bに対向する端部(側面)E1を有し、また、半導体部EP2bは、半導体部EP2aに対向する端部(側面)E2を有している。半導体部EP2aの端部E1と半導体部EP2bの端部E2とは、互いに対向しており、上記図1の場合はX方向において互いに対向している。半導体部EP2aの中濃度領域R2は、半導体部EP2aの端部E1近傍領域であり、半導体部EP2aの端部E1に到達している。また、半導体部EP2bの中濃度領域R2は、半導体部EP2bの端部E2近傍領域であり、半導体部EP2bの端部E2に到達している。
【0051】
詳細は後述するが、中濃度領域R2は、p型の半導体領域EXを形成するためのイオン注入工程でp型不純物が導入されるが、p型の半導体領域SDを形成するためのイオン注入工程ではp型不純物は導入されなかった領域に対応している。また、高濃度領域R3,R4は、p型の半導体領域SDを形成するためのイオン注入工程でp型不純物が導入された領域に対応している。また、低濃度領域R1は、p型の半導体領域EXを形成するためのイオン注入工程でp型不純物が導入されず、かつ、p型の半導体領域SDを形成するためのイオン注入工程でもp型不純物が導入されなかった領域に対応している。このため、中濃度領域R2における不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型の半導体領域EXにおける不純物濃度(p型不純物濃度)と同じであり、また、各高濃度領域R3,R4のそれぞれにおける不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型の半導体領域SDにおける不純物濃度(p型不純物濃度)と同じである。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「不純物濃度」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0052】
次に、抵抗素子3の動作について説明する。
【0053】
抵抗素子3は、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SM(すなわち半導体層SMb)と、その半導体層SMb上に形成された半導体層EP(具体的には半導体部EP2a,EP2b)とにより、形成されている。配線M1aから、プラグPG2aを介して、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに所定の電位(電圧)が印加され、また、配線M1bから、プラグPG2bを介して、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに所定の電位(電圧)が印加される。配線M1aの電位(電圧)と配線M1bの電位(電圧)とに差があると、すなわち、プラグPG2aの電位(電圧)とプラグPG2bの電位(電圧)とに差があると、抵抗素子3に電流が流れる。例えば、配線M1aの電位(電圧)が配線M1bの電位(電圧)よりも高い場合は、プラグPG2aから半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに高電位(高電圧)が印加され、プラグPG2bから半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに低電位(低電圧)が印加される。その結果、プラグPG2aから、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSと、半導体部EP2aと、半導体層SMbと、半導体部EP2bと、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSと、を順に経由して、プラグPG2bへ電流が流れる。また、配線M1bの電位(電圧)が配線M1aの電位(電圧)よりも高い場合は、プラグPG2bから半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSに高電位(高電圧)が印加され、プラグPG2aから半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSに低電位(低電圧)が印加される。その結果、プラグPG2bから、半導体部EP2bの表面の金属シリサイド層MSと、半導体部EP2bと、半導体層SMbと、半導体部EP2aと、半導体部EP2aの表面の金属シリサイド層MSと、を順に経由して、プラグPG2aへ電流が流れる。
【0054】
抵抗素子3の抵抗値を主として決めるのは、半導体層SMbの領域RG2である。なぜなら、半導体層SMbの領域RG2は、厚さが薄いことから、半導体層SMbの領域RG2においては、電流が流れる方向に略垂直な断面の面積が小さくなるからである。半導体層SMbの領域RG2の厚さを薄くすることで、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。また、抵抗素子3の抵抗値は、半導体層SMbの領域RG2(中濃度領域R2)における不純物濃度によっても規定され、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度が小さければ、抵抗素子3の抵抗値は大きくなり、また、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度が大きければ、抵抗素子3の抵抗値は小さくなる。
【0055】
なお、本実施の形態では、MISFET2がpチャネル型のMISFETであり、かつ、抵抗素子3を構成する半導体層SMbおよび半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)のそれぞれの導電型がp型である場合について説明している。全ての導電型を逆にして、MISFET2がnチャネル型のMISFETであり、かつ、抵抗素子3を構成する半導体層SMbおよび半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)のそれぞれの導電型がn型であってもよい。
【0056】
<半導体装置の製造工程について>
本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。図11図26は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図11図26のそれぞれには、上記図6に相当する断面(MISFET形成領域1Aの断面)と、上記図2および図7に相当する断面(抵抗素子形成領域1Bの断面)とが、示されている。
【0057】
まず、図11に示されるように、SOI基板1を用意(準備)する。図11からも分かるように、SOI基板1は、支持基板としての半導体基板SBと、半導体基板SBの主面上に形成された絶縁層BXと、絶縁層BXの上面上に形成された半導体層SMと、を有している。
【0058】
次に、図12に示されるように、SOI基板1に素子分離領域STを形成する。
【0059】
素子分離領域STを形成するには、例えば、SOI基板1(半導体層SM)の主面に、半導体層SMおよび絶縁層BXを貫通して底部が基板SBに達する素子分離溝ST1を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いて形成する。基板SBの厚みの途中に素子分離溝ST1の底部が位置しているため、素子分離溝ST1の底部では、基板SBが露出される。それから、この素子分離溝ST1に、成膜技術およびCMP技術などを用いて絶縁膜を埋め込むことで、素子分離領域STを形成することができる。
【0060】
SOI基板1においては、素子分離領域STを形成したことで、半導体層SMは、複数の区画(すなわち活性領域)に分割され、それぞれの活性領域を構成する半導体層SMは、素子分離領域STにより周囲を囲まれた状態となっている。MISFET形成領域1Aに位置する半導体層SMが、半導体層SMaであり、抵抗素子形成領域1Bに位置する半導体層SMが、半導体層SMbである。半導体層SMa,SMbのそれぞれは、底面が絶縁層BXに接し、側面が素子分離領域STに接している。
【0061】
次に、図13に示されるように、MISFET形成領域1Aにおいて、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SM(SMa)の主面上に、ゲート絶縁膜GFを介してゲート電極GEを形成する。ゲート電極GEの上部には、ゲート電極GEと同じ平面形状の絶縁膜(キャップ絶縁膜)CPが形成されていてもよい。なお、本実施の形態のゲート電極GEの厚さは、例えば、100nmである。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「平面形状」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0062】
ゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GE形成工程の具体例について説明する。まず、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの主面上に、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜を形成してから、この絶縁膜上にゲート電極GE用の導電膜(例えばポリシリコン膜)を形成し、この導電膜上に絶縁膜(後で絶縁膜CPとなる絶縁膜)を形成する。この段階では、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜は、MISFET形成領域1Aと抵抗素子形成領域1Bの両方に形成されている。それから、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、パターニングされた導電膜からなるゲート電極GEを形成することができる。ゲート電極GEは、MISFET形成領域1Aに形成され、ゲート電極GEと半導体層SMとの間には、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜が残存し、これがゲート絶縁膜GFとなる。また、ゲート電極GE上には、ゲート電極GEと同じ平面形状にパターニングされた絶縁膜CPが形成されている状態となる。抵抗素子形成領域1Bでは、ゲート電極GE用の導電膜とその上の絶縁膜との積層膜の全体が除去される。また、ゲート絶縁膜GF用の絶縁膜のうち、ゲート電極GEで覆われた部分以外は、ゲート電極GE用の導電膜のパターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。これにより、ゲート絶縁膜GFおよびゲート電極GEは、SOI基板1において、MISFET形成領域1Aに形成されているが、抵抗素子形成領域1Bには、形成されていない状態になる。
【0063】
なお、以下では、MISFET形成領域1Aに形成されたゲート絶縁膜GFとその上のゲート電極GEとその上の絶縁膜CPとの積層体を、積層体LM1と称することとする。
【0064】
次に、図14に示されるように、SOI基板1の主面上に、すなわち半導体層SMの主面上に、積層体LM1を覆うように、酸化シリコン膜などからなる絶縁膜ZM1をCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成する。それから、絶縁膜ZM1上にフォトレジストパターンRP1をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。フォトレジストパターンRP1は、抵抗素子形成領域1Bに形成されるが、MISFET形成領域1Aには形成されない。
【0065】
次に、絶縁膜ZM1を異方性エッチング技術を用いてエッチバックする。このエッチバック工程により、図15に示されるように、MISFET形成領域1Aにおいて、積層体LM1の側壁上に絶縁膜ZM1がサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)SW1として残存し、抵抗素子形成領域1Bにおいて、フォトレジストパターンRP1の下に絶縁膜ZM1が絶縁膜パターン(パターニングされた絶縁膜)ZMP1として残存し、それ以外の絶縁膜ZM1は除去される。その後、フォトレジストパターンRP1はアッシングなどにより除去する。
【0066】
このようにして、MISFET形成領域1Aにおいて、積層体LM1の側壁上にサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)SW1が形成され、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SM上に絶縁膜パターンZMP1が形成される。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMは、絶縁膜パターンZMP1で覆われた部分と、絶縁膜パターンZMP1で覆われない部分とを、有している。
【0067】
次に、図16に示されるように、エピタキシャル成長法により、半導体層(エピタキシャル層)EPを形成する。半導体層EPは、半導体層SMの露出面上に形成される。MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EPは、半導体層SMaのうちの積層体LM1およびサイドウォールスペーサSW1で覆われない部分上に形成される。すなわち、MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EPは、半導体層SMaのうち、積層体LM1とその側壁上に形成されたサイドウォールスペーサSW1とからなる構造体の両側に位置する領域上に形成される。また、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体層EPは、半導体層SMbのうちの絶縁膜パターンZMP1で覆われない部分上に形成される。半導体層EPは、例えばシリコン(単結晶シリコン)からなる。上述したように、半導体層EPは、MISFET形成領域1Aに形成された半導体部EP1a,EP1bと、抵抗素子形成領域1Bに形成された半導体部EP2a,EP2bとを有している。
【0068】
次に、図17に示されるように、サイドウォールスペーサSW1および絶縁膜パターンZMP1をエッチングにより除去する。このエッチングの際、ゲート電極GE上の絶縁膜CPを除去することもできる。また、このエッチングでは、サイドウォールスペーサSW1および絶縁膜パターンZMP1に比べて、半導体層EP,SMおよびゲート電極GEがエッチングされにくい条件でエッチングを行うことにより、半導体層EP,SMおよびゲート電極GEがエッチングされるのを、抑制または防止することができる。
【0069】
次に、図18に示されるように、MISFET形成領域1Aおよび抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMにホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入する。このイオン注入を、以下ではイオン注入IM1と称し、図18では矢印で模式的に示してある。イオン注入IM1では、半導体層EPにp型不純物が導入されるが、半導体層EPの下の半導体層SMにはp型不純物が導入されないように、注入エネルギーを調整しておく。イオン注入IM1の注入エネルギーが大きい場合には、イオン注入IM1で、半導体層EPの下に位置する半導体層SMにもp型不純物が導入されるが、イオン注入IM1の注入エネルギーをある程度小さくすることにより、イオン注入IM1で、半導体層EPにp型不純物が導入されるが、半導体層EPの下に位置する半導体層SMにはp型不純物が導入されないようにすることができる。
【0070】
イオン注入IM1により、MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EP(各半導体部EP1a,EP1b)と、半導体層SMaのうちの半導体層EP(各半導体部EP1a,EP1b)およびゲート電極GEで覆われていない領域とに、p型不純物が注入されることにより、p型の半導体領域EXが形成される。
【0071】
また、イオン注入IM1により、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)と、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域とに、p型不純物が注入される。イオン注入IM1では、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われている領域には、p型不純物は、ほとんど導入されない。
【0072】
図18では、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbおよび半導体部EP2a,EP2bにおいて、イオン注入IM1でp型不純物が導入された領域を、中濃度領域R2として示し、イオン注入IM1でp型不純物が導入されなかった領域を、低濃度領域R1として示してある。中濃度領域R2のp型不純物濃度は、低濃度領域R1のp型不純物濃度よりも高い。図18からも分かるように、イオン注入IM1を行った段階では、抵抗素子形成領域1Bの各半導体部EP2a,EP2bは、そのほぼ全体が中濃度領域R2となり、また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域RG2は、そのほぼ全体が中濃度領域R2と同じ不純物濃度となっている。また、イオン注入IM1を行った段階では、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われている領域RG1a,RG1bは、そのほぼ全体が低濃度領域R1となっている。
【0073】
次に、図19に示されるように、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW2を形成する。サイドウォールスペーサSW2は、例えば、SOI基板1の主面上に、ゲート電極GEおよび半導体層EPを覆うように、サイドウォールスペーサSW2形成用の絶縁膜を形成してから、その絶縁膜を異方性エッチング技術によりエッチバックすることにより、形成することができる。サイドウォールスペーサSW2は、MISFET形成領域1Aにおいて、ゲート電極GEの側壁上に形成される。
【0074】
次に、図20に示されるように、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbおよび半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)上に、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP2を形成する。抵抗素子形成領域1Bにおいて、フォトレジストパターンRP2は、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域を覆い、かつ、半導体部EP2a,EP2bのそれぞれの一部を覆うように、形成される。
【0075】
半導体部EP2aのうち、端部E1近傍領域はフォトレジストパターンRP2で覆われるが、それ以外の領域は、フォトレジストパターンRP2で覆われずに露出される。また、半導体部EP2bのうち、端部E2近傍領域はフォトレジストパターンRP2で覆われるが、それ以外の領域は、フォトレジストパターンRP2で覆われずに露出される。ここで、半導体部EP2aの端部E1と半導体部EP2bの端部E2とは、X方向において互いに対向している。平面視において、半導体部EP2aの端部E1と半導体部EP2bの端部E2との間に、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域RG2が存在している。
【0076】
次に、図21に示されるように、MISFET形成領域1Aおよび抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMにホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入する。このイオン注入を、以下ではイオン注入IM2と称し、図21では矢印で模式的に示してある。イオン注入IM2では、半導体層EPの下の半導体層SMにもp型不純物が導入されるように、注入エネルギーを調整しておく。このため、イオン注入IM2の注入エネルギーは、イオン注入IM1の注入エネルギーよりも大きく、従って、イオン注入IM2の注入深さは、イオン注入IM1の注入深さよりも深い。また、イオン注入IM2のドーズ量は、イオン注入IM1のドーズ量よりも大きい。
【0077】
イオン注入IM2により、MISFET形成領域1Aにおいては、半導体層EP(半導体部EP1a,EP1b)と、半導体層SMaのうちのゲート電極GEおよびサイドウォールスペーサSW2で覆われていない領域とに、p型不純物が注入されることにより、p型の半導体領域SDが形成される。p型の半導体領域SDのp型不純物濃度は、p型の半導体領域EXのp型不純物濃度よりも高い。p型の半導体領域EXおよびp型の半導体領域SDにより、MISFETのソースまたはドレイン用の半導体領域が形成される。
【0078】
また、イオン注入IM2により、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)のうちのフォトレジストパターンRP2で覆われていない領域と、その領域の直下に位置する半導体層SMbとに、p型不純物が注入される。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)のうちのフォトレジストパターンRP2で覆われている領域と、その領域の直下に位置する半導体層SMbとには、イオン注入IM2でp型不純物は注入されない。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)で覆われていない領域RG2は、フォトレジストパターンRP2で覆われているため、イオン注入IM2でp型不純物は注入されない。イオン注入IM1の後、図22に示されるように、フォトレジストパターンRP2を除去する。
【0079】
図21および図22では、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbおよび半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)において、イオン注入IM2でp型不純物が導入された領域を、高濃度領域R3,R4として示してある。中濃度領域R2は、イオン注入IM1でp型不純物が導入されるが、イオン注入IM2でp型不純物は導入されなかった領域であり、低濃度領域R1は、イオン注入IM1,IM2のいずれでもp型不純物が導入されなかった領域である。高濃度領域R3,R4のそれぞれのp型不純物濃度は、中濃度領域R2のp型不純物濃度よりも高く、中濃度領域R2のp型不純物濃度は、低濃度領域R1のp型不純物濃度よりも高い。また、高濃度領域R3,R4のそれぞれのp型不純物濃度は、p型の半導体領域SDのp型不純物濃度と実質的に同じであり、また、中濃度領域R2のp型不純物濃度は、p型の半導体領域EXのp型不純物濃度と実質的に同じである。
【0080】
図22からも分かるように、イオン注入IM2を行った段階では、抵抗素子形成領域1Bの半導体部EP2aのうち、端部E1近傍領域は中濃度領域R2となり、端部E1近傍領域以外は、高濃度領域R4となっている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体部EP2bのうち、端部E2近傍領域は中濃度領域R2となり、端部E2近傍領域以外は、高濃度領域R4となっている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbの上記領域RG2(半導体層EPで覆われていない領域)は、ほぼ全体が中濃度領域R2と同じ不純物濃度となっている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbの上記領域RG1a(半導体部EP2aで覆われた領域)は、領域RG2と隣接する領域が、低濃度領域R1となり、それ以外の領域は高濃度領域R3となっている。また、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbの上記領域RG1b(半導体部EP2bで覆われた領域)は、領域RG2と隣接する領域が、低濃度領域R1となり、それ以外の領域は高濃度領域R3となっている。半導体部EP2aの高濃度領域R4と半導体層SMbの領域RG1aの高濃度領域R3とは、上下に重なり、半導体部EP2aの中濃度領域R2と半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1とは、上下に重なっている。また、半導体部EP2bの高濃度領域R4と半導体層SMbの領域RG1bの高濃度領域R3とは、上下に重なり、半導体部EP2bの中濃度領域R2と半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1とは、上下に重なっている。
【0081】
次に、必要に応じて、これまでに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0082】
次に、SOI基板1の主面上に、MISFET形成領域1Aにおいてはゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW2およびp型の半導体領域SDを覆うように、抵抗素子形成領域1Bにおいては半導体層EP,SMbを覆うように、絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を形成する。それから、その絶縁膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、図23に示されるように、パターニングされた絶縁膜からなる絶縁膜パターンZMP2を形成する。
【0083】
抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP,SMb上に絶縁膜パターンZMP2が形成される。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうち、半導体層EPで覆われていない領域RG2は、絶縁膜パターンZMP2で覆われている。また、抵抗素子形成領域1Bにおいて、絶縁膜パターンZMP2は、半導体部EP2a,EP2aのそれぞれの一部上に乗り上げている。半導体部EP2aの中濃度領域R2は、絶縁膜パターンZMP2で覆われるが、半導体部EP2aの高濃度領域R4の少なくとも一部は、絶縁膜パターンZMP2で覆われずに露出される。また、半導体部EP2bの中濃度領域R2は、絶縁膜パターンZMP2で覆われるが、半導体部EP2bの高濃度領域R4の少なくとも一部は、絶縁膜パターンZMP2で覆われずに露出される。
【0084】
次に、図24に示されるように、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、金属シリサイド層(金属化合物層)MSを形成する。MISFET形成領域1Aにおいては、金属シリサイド層MSは、p型の半導体領域SDの表面(上層部)、すなわち半導体層EPの表面(上層部)と、ゲート電極GEの表面(上層部)とに、形成される。また、抵抗素子形成領域1Bにおいては、金属シリサイド層MSは、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)の表面のうち、絶縁膜パターンZMP2で覆われていない部分に形成される。
【0085】
抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)の表面のうち、絶縁膜パターンZMP2で覆われていない部分には、金属シリサイド層MSが形成されるが、絶縁膜パターンZMP2で覆われている部分には、金属シリサイド層MSは形成されない。このため、半導体部EP2aの高濃度領域R4の表面に金属シリサイド層MSが形成され、また、半導体部EP2bの高濃度領域R4の表面に金属シリサイド層MSが形成される。半導体部EP2aの中濃度領域R2の表面と半導体部EP2bの中濃度領域R2の表面には、金属シリサイド層MSは形成されない。また、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうち、半導体層EPで覆われていない領域RG2は、絶縁膜パターンZMP2で覆われている。このため、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbの表面には、金属シリサイド層MSは形成されない。絶縁膜パターンZMP2は、金属シリサイド層MSの形成を防ぐシリサイドブロック層として機能することができる。
【0086】
このようにして、MISFET形成領域1AにMISFET2が形成され、抵抗素子形成領域1Bに抵抗素子3が形成される。
【0087】
次に、図25に示されるように、SOI基板1の主面上に、ゲート電極GE、半導体層EP,SM、サイドウォールスペーサSW2および金属シリサイド層MSを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)L1を形成する。絶縁膜L1の形成後、必要に応じて、絶縁膜L1の上面をCMP法で研磨するなどして絶縁膜L1の上面の平坦性を高めることもできる。
【0088】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて絶縁膜L1にコンタクトホール(貫通孔、孔)CTを形成する。コンタクトホールCTは、絶縁膜L1を貫通するように形成される。MISFET形成領域1Aにおいて、コンタクトホールCTは、ゲート電極GE上やp型の半導体領域SD上に形成される。また、抵抗素子形成領域1Bにおいて、コンタクトホールCTは、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2a)上に形成される。コンタクトホールCT形成工程では、絶縁膜L1に比べて金属シリサイド層MSおよび半導体層EP,SMがエッチングされにくい条件で、エッチングを行うことが好ましい。
【0089】
次に、図25に示されるように、コンタクトホールCT内に、接続用の導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。
【0090】
次に、図26に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜L1上に、配線形成用の絶縁膜L2を形成する。
【0091】
次に、図26に示されるように、シングルダマシン法を用いて第1層目の配線である配線M1を形成する。すなわち、絶縁膜L2に配線溝を形成してから、配線溝内に配線M1を形成する。
【0092】
その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0093】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0094】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態では、SOI基板を構成する半導体層SMと、半導体層SM上に形成したエピタキシャル半導体層(半導体層EP)とにより、抵抗素子3を形成している。
【0095】
具体的には、図2図5に示すように、抵抗素子形成領域1Bに位置する半導体層SMである半導体層SMbと、半導体層SMb上に形成された半導体層EP(エピタキシャル半導体層)とにより、抵抗素子3が形成されている。半導体層EPは、半導体層SMb上に互いに離間して形成された2つの半導体部EP2a,EP2bを有している。半導体層SMbは、その上に半導体部EP2aが形成された領域RG1a(第1接続部)と、その上に半導体部EP2bが形成された領域RG1b(第2接続部)と、領域RG1aと領域RG1bとの間に位置し、その上に半導体層EPが形成されていない領域RG2(素子部、中央部)と、を有している。
【0096】
本実施の形態では、抵抗素子3を構成する半導体層SMbは、その上に半導体層EPが形成されていない領域RG2(素子部、中央部)を有しており、この領域RG2によって、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。すなわち、領域RG2に位置する半導体層SMb上には半導体層EPが形成されておらず、領域RG2における抵抗素子3の厚さは各領域RG1a、RG1bにおける抵抗素子3の厚さよりも薄い。これにより、この領域RG2によって抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことができる。具体的には、半導体層SMbの厚さT1(図2参照)は、ゲート電極GEの厚さよりも薄く、好ましくは、30nm以下(T1≦30nm)である。領域RG2に位置し、かつ、その厚さT1が薄い(小さい)半導体層SMbを抵抗素子3の電流経路とすることで抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことができ、その結果、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。また、厚さT1が薄い半導体層SMbの領域RG2が、抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことにより、要求される抵抗値を確保するのに必要な抵抗素子3の長さ(電流が流れる方向に沿った長さ)を抑制することができる。これにより、半導体装置において、抵抗素子3を配置するのに要する面積を抑制することができるため、半導体装置の小型化(小面積化)に有利となる。
【0097】
また、SOI基板1の半導体層SMを用いて、MISFET2と抵抗素子3とを形成しており、MISFET2のチャネル領域は、ゲート電極GEの直下に位置する半導体層SMaに形成される。このため、半導体層SMbの領域RG2の厚さT1は、MISFETのゲート電極GEの直下に位置する半導体層SMaの厚さと同程度となる。半導体層SMaおよび半導体層SMbのそれぞれの厚さは、30nm以下が好ましく、3nm~30nmが好適である。
【0098】
ここで、本実施の形態とは異なり、半導体層SMb上に半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)を形成しなかった場合を仮定する。この場合は、プラグPG2a,PG2bは、半導体部EP2a,EP2bではなく、半導体層SMbに接続されることになる。しかしながら、この場合は、コンタクトホールCTを形成する際に、半導体層SMbの厚さが薄いことから、コンタクトホールCT2a,CT2bが半導体層SMbを突き抜けて(貫通して)しまうことが懸念されるが、これは、望ましくない。
【0099】
それに対して、本実施の形態では、半導体層SMbの領域RG1a上に半導体部EP2aが形成され、半導体層SMbの領域RG1b上に半導体部EP2bが形成されており、プラグPG2aは、半導体部EP2a上に配置されて半導体部EP2aと電気的に接続され、プラグPG2bは、半導体部EP2b上に配置されて半導体部EP2bと電気的に接続されている。このため、コンタクトホールCTを形成する際に、コンタクトホールCT2a,CT2bが半導体層EP,SMbを突き抜けて(貫通して)しまうことを的確に防止することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0100】
また、本実施の形態では、図2図5に示すように、半導体層SMb上に半導体部EP2a,EP2bが形成され、各半導体部EP2a,EP2bの表面(上層部)に金属シリサイド層MSが形成されている。このため、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体部EP2a,EP2bが存在する分、金属シリサイド層MSを形成するのに用いられる半導体領域(ここでは半導体層EPおよび半導体層SMb)の厚さを厚くすることができるため、金属シリサイド層MSを的確に形成することができる。
【0101】
半導体層SMb上に形成された半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)の厚さは、例えば20nm~60nm程度とすることができる。
【0102】
本実施の形態では、抵抗素子3は、半導体層SMbと半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)とにより形成されている。本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、半導体層SMbと半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)における不純物濃度を工夫することにより、抵抗素子3の抵抗を更に大きくしていることである。
【0103】
すなわち、本実施の形態では、半導体層SMbの各領域RG1a,RG1b(第1接続部および第2接続部)は、半導体層SMbの領域RG2(素子部、中央部)の隣に位置し、かつ、半導体層SMbの領域RG2(素子部、中央部)における不純物濃度よりも低い不純物濃度を有するp型の低濃度領域R1(第1低濃度領域)を有している。また、各半導体部EP2a,EP2bは、低濃度領域R1の上に位置し、かつ、低濃度領域R1における不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するp型の中濃度領域R2(第1中濃度領域)を有している。これにより、抵抗素子3の抵抗を大きくすることができる。以下、これについて図27および上記図10を参照して説明する。
【0104】
ここで、抵抗素子3を構成する半導体層SMbと半導体部EP2a,EP2bにおける不純物濃度が均一である場合を仮定し、これを以下では検討例と称することとする。また、検討例における抵抗素子3を抵抗素子103と称することとする。図27は、検討例の抵抗素子103の部分拡大断面図であり、上記図10に相当する断面図が示されている。
【0105】
検討例の抵抗素子103が本実施の形態の抵抗素子3と相違しているのは、検討例の抵抗素子103では、半導体層SMbおよび半導体部EP2a,EP2bにおける不純物濃度が均一である点である。
【0106】
検討例の抵抗素子103に電流を流した場合には、主として、図27に模式的に示した経路YG101で電流が流れる。なお、ここでは、上記プラグPG2aの電位がプラグPG2bの電位よりも高い場合で説明している。検討例の抵抗素子103の場合は、抵抗素子103全体で不純物濃度がほぼ均一であるため、半導体層SMbの領域RG2を通過した電流は、半導体層SMbの領域RG1bとその上の半導体部EP2bとに向かってスムースに流れ、半導体部EP2bの表面に形成された金属シリサイド層MSに至り、更に金属シリサイド層MSからその上のプラグPG2bへ流れる。
【0107】
それに対して、本実施の形態の抵抗素子3に電流を流した場合には、主として、図10に模式的に示した経路YG1で電流が流れる。なお、ここでも、上記プラグPG2aの電位よりもプラグPG2bの電位が高い場合で説明している。
【0108】
本実施の形態の抵抗素子3の場合は、半導体層SMbの領域RG1bは、半導体層SMbの領域RG2(素子部、中央部)と隣接する低濃度領域R1を有し、半導体部EP2bは、低濃度領域R1上に位置する中濃度領域R2を有している。半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1における不純物濃度は、半導体層SMbの領域RG2(素子部、中央部)における不純物濃度よりも低く、かつ、半導体層SMbの領域RG1bの中濃度領域R2における不純物濃度は、低濃度領域R1における不純物濃度よりも高い。このため、半導体層SMbの領域RG2を通過した電流は、主として、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1を避けながら半導体部EP2bの中濃度領域R2に向かって流れ、半導体部EP2bを通って半導体部EP2bの表面に形成された金属シリサイド層MSに至り、更に金属シリサイド層MSからその上のプラグPG2bへ流れる。
【0109】
半導体層SMbの領域RG2と隣接する領域RG1bの低濃度領域R1には、電流が流れにくく、電流の主経路とはならないため、電流の主経路は図10に示される領域R5で収束される。これは、電流経路の断面積(電流方向に略垂直な断面での面積)が、図10にされる領域R5で小さくなることを意味する。その結果、本実施の形態の抵抗素子3は、図10に示される領域R5で抵抗素子3の抵抗値を稼ぐことができる。このため、検討例の抵抗素子103よりも、本実施の形態の抵抗素子3の方が、抵抗値が大きくなる。なお、領域R5は、半導体層SMbの上面と半導体部EP2bの端部E2とが接する箇所の近傍領域に対応している。
【0110】
また、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1に電流が全く流れなくなるとは限らず、低濃度領域R1も主経路に比べて低い電流密度で電流が流れる場合もある。その場合でも、半導体層SMbの領域RG2よりも領域RG1bの低濃度領域R1における不純物濃度を低くしたことで、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1に流れる電流は小さくなる。
【0111】
半導体層SMbの領域RG1aおよび半導体部EP2aについても、同様の現象が発生する。但し、電流方向は逆であり、半導体部EP2aの表面に形成された金属シリサイド層MSから半導体部EP2aを通った電流は、主として、半導体部EP2aの中濃度領域R2から、半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1を避けながら半導体層SMbの領域RG2(素子部)に向かって流れる。その結果、抵抗素子3の抵抗は大きくなる。
【0112】
また、ここでは、上記プラグPG2aの電位がプラグPG2bの電位よりも高い場合について説明したが、上記プラグPG2aの電位よりもプラグPG2bの電位が高い場合も、抵抗素子3を流れる電流の方向は逆になるが、上記プラグPG2aの電位がプラグPG2bの電位よりも高い場合と同様の上記現象が生じ得る。
【0113】
このように、本実施の形態では、半導体層SMbと半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)における不純物濃度を工夫することで、抵抗素子3の寸法を変えずに、抵抗素子3の抵抗を大きくすることができる。このため、半導体装置において抵抗素子3を配置するのに要する面積を増大させずに、従って、半導体装置の面積の増大を招かずに、抵抗素子3の抵抗値を大きくすることができる。このため、半導体装置の小型化(小面積化)に有利となる。
【0114】
また、本実施の形態では、半導体層SMbの領域RG1a,RG1bのそれぞれは、低濃度領域R1と隣接し、かつ、中濃度領域R2よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域R3(第1高濃度領域)を更に有している。また、半導体部EP2a,EP2bのそれぞれは、高濃度領域R3上に位置し、かつ、中濃度領域R2よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域R4(第2高濃度領域)を更に有している。半導体層SMbの領域RG1aの低濃度領域R1は、半導体層SMbの領域RG2と半導体層SMbの領域RG1aの高濃度領域R3との間に介在している。また、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1は、半導体層SMbの領域RG2と半導体層SMbの領域RG1bの高濃度領域R3との間に介在している。そして、半導体部EP2aの高濃度領域R4の表面と半導体部EP2bの高濃度領域R4の表面のそれぞれに、金属シリサイド層MSが形成されている。
【0115】
プラグPG2a,PG2bと半導体部EP2a,EP2bとのコンタクト抵抗のばらつき(変動)は、抵抗素子3の抵抗値のばらつき(変動)の要因となり得る。本実施の形態では、半導体部EP2a,EP2bのそれぞれに高濃度領域R4を設け、その高濃度領域R4の表面に金属シリサイド層MSを形成している。これにより、プラグPG2a,PG2bと半導体部EP2a,EP2bとのコンタクト抵抗を低減することができ、プラグPG2a,PG2bと半導体部EP2a,EP2bとのコンタクト抵抗のばらつき(変動)を抑制することができる。その結果、抵抗素子3の抵抗値がばらつく(変動する)のを抑制または防止することができ、抵抗素子3の抵抗値が設計値からずれてしまうのを抑制または防止することができる。これにより、抵抗素子3を有する半導体装置の性能を向上させることができる。
【0116】
また、抵抗素子3を構成する各半導体部EP2a,EP2bは、MISFET2のソース・ドレイン領域(p型の半導体領域SD)を構成する半導体層EP(各半導体部EP1a,EP1b)と、同工程でエピタキシャル成長法により形成することができる。また、抵抗素子3を構成する各半導体部EP2a,EP2bの中濃度領域R3は、MISFET2用のp型の半導体領域EXを形成するためのイオン注入工程で形成することができる。また、抵抗素子3を構成する各半導体部EP2a,EP2bの高濃度領域R4と半導体層SMbの高濃度領域R3とは、MISFET2用のp型の半導体領域SDを形成するためのイオン注入工程で形成することができる。このため、半導体装置の製造工程数を抑制することができ、また、半導体装置の製造コストを抑制することができる。
【0117】
図28は、抵抗素子3のシート抵抗と半導体層SMbの領域RG2の長さD1との相関を示すグラフである。図28のラフの縦軸は、抵抗素子3のシート抵抗に対応している。また、図28のグラフの横軸は、抵抗素子3を構成する半導体層SMbの領域RG2の長さD1に対応している。但し、図28のグラフの縦軸のシート抵抗は、D1=5μmときのシート抵抗で規格化してある。長さD1は、SOI基板1の主面に略平行で、かつ電流方向に沿った長さであり、図1においては、X方向の長さ(寸法)に対応している。また、長さD1は、半導体部EP2aと半導体部EP2bとの間の間隔にも対応している。
【0118】
図28のグラフからも分かるように、抵抗素子3を構成する半導体層SMbの領域RG2の長さD1を短くするほど、抵抗素子3のシート抵抗は大きくなる。これは、上述したように半導体層SMbの領域RG1a,RG1bの低濃度領域R1に電流が流れにくくなったことによる抵抗増加が、抵抗素子3の全抵抗に占める割合は、上記長さD1が短くなるほど、大きくなるためと考えられる。このため、本実施の形態は、上記長さD1が短い場合に効果が大きい。上記長さD1は、5μm以下(すなわちD1≦5μm)が好ましく、3μm以下(すなわちD1≦3μm)がより好ましく、2μm以下(すなわちD1≦2μm)であれば、更に好ましい。
【0119】
図29は、抵抗素子3の発熱量と上記長さD1との相関を示すグラフである。図29のグラフの縦軸は、抵抗素子3の発熱量に対応している。また、図29のグラフの横軸は、抵抗素子3を構成する半導体層SMbの領域RG2の長さD1に対応している。但し、図29のグラフの縦軸の発熱量は、D1=5μmときの発熱量で規格化してある。
【0120】
図29では、上記長さD1が7μm以上になると、グラフの傾きが増加していることが分かる。このため、上記長さD1は、7μm以下(すなわちD1≦7μm)が好ましい。
【0121】
次に、本実施の形態の抵抗素子3の変形例について、図30を参照して説明する。図30は、本実施の形態の抵抗素子3の変形例を示す断面図であり、上記図10に相当する断面図が示されている。
【0122】
図30(変形例)の場合、半導体部EP2bの端部E2近傍において、半導体部EP2bとその下の半導体層SMbとの間に、隙間部SKが形成されている。また、半導体部EP2aの端部E1近傍において、半導体部EP2aとその下の半導体層SMbとの間に、隙間部SKが形成されているが、この構造は、図30において、符号EP2bを符号EP2aに置換し、符号E2を符号E1に置換し、符号RG1bを符号RG1aに置換した場合の構造に対応している。
【0123】
隙間部SKとは、半導体層SMb上方に半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)があるが、その半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b)の下面と半導体層SMbの上面とが離間している部分である。なお、隙間部SK内は、上記絶縁膜パターンZMP2で充填されている。
【0124】
上記図10の場合は、抵抗素子3に電流を流した場合には、主として、図10に模式的に示した経路YG2で電流が流れる。すなわち、半導体層SMbの領域RG2を通過した電流は、半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1を避けながら半導体部EP2bの中濃度領域R2に向かって流れ、半導体部EP2bを通って半導体部EP2bの表面に形成された金属シリサイド層MSに至る。
【0125】
一方、図30(変形例)の場合は、隙間部SKを電流が横断することはできない。このため、図30(変形例)の場合は、主として、図30に模式的に示した経路YG2で電流が流れる。すなわち、半導体層SMbの領域RG2を通過した電流は、隙間部SKを避けて半導体層SMbの領域RG1bの低濃度領域R1に一旦入ってから、低濃度領域R1上の半導体部EP2bの中濃度領域R2に向かって流れ、半導体部EP2bを通って半導体部EP2bの表面に形成された金属シリサイド層MSに至る。図30(変形例)の場合は、隙間部SKを設けたことで電流経路が低濃度領域R1の一部を通過するため、隙間部SKが無い図10の場合に比べて、抵抗素子3の抵抗値を更に大きくすることができる。このため、図30(変形例)の場合は、抵抗素子3の寸法を変えずに、抵抗素子3の抵抗値を更に大きくすることができる。このため、図30の変形例を適用した場合は、半導体装置において抵抗素子3を配置するのに要する面積を増大させずに、従って半導体装置の面積の増大を招かずに、抵抗素子3の抵抗値を更に大きくすることができるため、半導体装置の小型化(小面積化)に更に有利となる。
【0126】
図30の構造を得るための手法について、図31図33を参照して説明する。図31図33は、本実施の形態の変形例の半導体装置の製造工程中の要部南面図である。図31は、上記図15と同じ工程に対応し、図32は、上記図16と同じ工程に対応し、図33は、上記図17と同じ工程に対応している。
【0127】
変形例の場合は、図31に示されるように、上記絶縁膜ZM1をエッチングすることにより形成された絶縁膜パターンZMP1は、外周側面に裾引き部SHを有している。裾引き部SHは、絶縁膜パターンZMP1の側面の下部が外側に張り出した(突出した)部分である。これは、上記絶縁膜ZM1のエッチング条件を調整することにより、実現することができる。例えば、絶縁膜ZM1をエッチングする際のオーバーエッチング量を少なくする。
【0128】
絶縁膜パターンZMP1が裾引き部SHを有した状態で上記半導体層EPをエピタキシャル成長法により形成すると、図32に示されるように、絶縁膜パターンZMP1の裾引き部SHを覆うように、半導体層EP(半導体部EP2a,EP2b)が形成される。その後、上記サイドウォールスペーサSW1と絶縁膜パターンZMP1をエッチングにより除去すると、図33に示されるように、半導体部EP2bの端部E2近傍において、半導体部EP2bとその下の半導体層SMbとの間に隙間部SKが形成され、また、半導体部EP2aの端部E1近傍において、半導体部EP2aとその下の半導体層SMbとの間に隙間部SKが形成された状態となる。裾引き部SHが存在していた領域が、隙間部SKとなる。その後、上記絶縁膜パターンZMP2を形成すると、隙間部SK内は絶縁膜パターンZMP2で充填される。
【0129】
(実施の形態2)
図34は、本実施の形態2の半導体装置の要部平面図であり、図35は、本実施の形態2の半導体装置の要部断面図であり、抵抗素子3が形成された抵抗素子形成領域1Bの平面図(図34)および断面図(図35)が示されている。図34のG-G線の位置での断面図が、図35にほぼ対応している。但し、図35では、簡略化のために、上記絶縁膜L1,L2、絶縁膜パターンZMP2および配線M1については、図示を省略している。
【0130】
図34および図35を参照して、本実施の形態2の半導体装置が、上記実施の形態1の半導体装置と相違する点について、以下に説明する。
【0131】
本実施の形態2では、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMb上に形成された半導体層EPは、上記半導体部EP2a,EP2bだけでなく、半導体部EP2cを1つ以上有している。図34および図35の場合は、半導体部EP2cは2つ設けているが、半導体部EP2cの数は、1つであってもよく、また、3つ以上であってもよい。
【0132】
半導体部EP2cは、半導体層SMb上に形成されており、半導体部EP2a,EP2bから離間して、半導体部EP2aと半導体部EP2bとの間に配置されている。半導体部EP2cを複数設ける場合は、複数の半導体部EP2c同士は、互いに離間して配置される。半導体層SMbおよび半導体部EP2a,EP2b,EP2cの導電型は互いに同じであり、ここではp型である。
【0133】
半導体部EP2cを設けたことに伴い、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbは、上記領域RG1a,RG1b,RG2だけでなく、その上に半導体部EP2cが形成された領域(接続部)RG3も有している。半導体層SMbの領域RG3は、半導体部EP2cの直下に位置する領域であるため、領域RG3の数と半導体部EP2cの数は、一致している。半導体部EP2aと半導体部EP2bとの間に半導体部EP2cが配置されているため、半導体層SMbにおいて、領域RG1a,RG1bから離間して、領域RG1aと領域RG1bとの間に領域RG3が配置されている。すなわち、半導体層SMbの領域RG2(素子部)の途中に領域RG3が存在している。
【0134】
半導体層SMbの領域RG3における不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも低い。また、半導体部EP2cにおける不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体層SMbの領域RG3における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。より特定的には、半導体層SMbの領域RG3における不純物濃度(p型不純物濃度)は、上記低濃度領域R1における不純物濃度(p型不純物濃度)と同じであり、また、半導体部EP2cにおける不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体層SMbの領域RG2における不純物濃度(p型不純物濃度)と同じである。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「不純物濃度」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0135】
半導体部EP2a,EP2bのそれぞれは、その上にプラグPGが配置されてそのプラグPGと電気的に接続されているが、半導体部EP2c上にはプラグPGは配置されておらず、半導体部EP2cにプラグPGは接続されない。
【0136】
本実施の形態2の半導体装置の他の構成は、上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0137】
次に、本実施の形態2の半導体装置の製造工程が、上記実施の形態1の製造工程(図11図26)と相違する点について、図36図39を参照して説明する。図36図39は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図35に相当する断面が示されている。
【0138】
図36は、上記図17と同じ工程における断面図である。本実施の形態2では、エピタキシャル成長により半導体層EPを形成すると、図36に示されるように、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMb上に、半導体部EP2a,EP2b,EP2cが形成される。
【0139】
図37は、上記図18と同じ工程における断面図である。本実施の形態2では、上記p型の半導体領域EXを形成するための上記イオン注入IM1を行うと、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2c)と、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2c)で覆われていない領域RG2とに、p型不純物が注入される。このイオン注入IM1では、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2c)で覆われている各領域RG1a,RG1b,RG3には、p型不純物は、ほとんど導入されない。イオン注入IM1を行った段階では、抵抗素子形成領域1Bの各半導体部EP2a,EP2b,EP2cは、そのほぼ全体が中濃度領域R2となる。そして、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2c)で覆われていない領域RG2は、そのほぼ全体が中濃度領域R2と同じ不純物濃度となり、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2c)で覆われている各領域RG1a,RG1b,RG3は、そのほぼ全体が低濃度領域R1となる。
【0140】
図38は、上記図21と同じ工程における断面図である。本実施の形態2では、半導体部EP2cもフォトレジストパターンRP2で覆われている。p型の半導体領域SDを形成するための上記イオン注入IM2を行うと、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体部EP2cはフォトレジストパターンRP2で覆われているため、半導体部EP2cとその下の半導体層SMbの領域RG3にp型不純物は注入されない。それ以外については、本実施の形態2も上記実施の形態1の上記図21の工程と同様である。
【0141】
図39は、上記図24と同じ工程における断面図である。本実施の形態2では、半導体部EP2cは絶縁膜パターンZMP2で覆われる。このため、サリサイド技術により金属シリサイド層MSを形成すると、半導体部EP2cの表面に金属シリサイド層MSは形成されない。それ以外については、本実施の形態2も上記実施の形態1の上記図24の工程と同様である。
【0142】
本実施の形態2の抵抗素子3の場合は、半導体部EP2cの下に位置する領域RG3における不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体層SMbの領域RG2(半導体層EPで覆われていない領域)における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも低い。そして、半導体部EP2cにおける不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体層SMbの領域RG3における不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。具体的には、半導体層SMbの領域RG3における不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体層SMbの領域RG1a,RG1bの低濃度領域R1における不純物濃度(p型不純物濃度)と同じであり、半導体部EP2cにおける不純物濃度(p型不純物濃度)は、半導体部EP2a,EP2bの中濃度領域R2における不純物濃度(p型不純物濃度)と同じである。なお、ここで言う「同じ」とは、比較する2つ以上の対象物(ここでは、「不純物濃度」)が実質的に同じであることを意味している。すなわち、比較する2つ以上の対象物が設計上では互いに同じであるが、実際に製造される製品においては、製造バラつきによって、必ずしも互いに同じではないことを意味する。
【0143】
このため、抵抗素子3における半導体部EP2cおよび領域RG3とその近傍での電流の流れは、次のようになる。すなわち、半導体層SMbの領域RG2を通過した電流は、主として、半導体層SMbの領域RG3を避けながら半導体部EP2cに向かって流れる。そして、半導体部EP2cを通った電流は、半導体層SMbの領域RG3を避けながら半導体層SMbの領域RG2に向かって流れ、半導体層SMbの領域RG2を通って流れる。その結果、抵抗素子3の抵抗は更に大きくなる。
【0144】
このため、半導体部EP2cおよび領域RG3を設けなかった場合(上記実施の形態1)に比べて、半導体部EP2cおよび領域RG3を設けた場合(本実施の形態2)の方が、抵抗素子3の抵抗を、より大きくすることができる。このため、本実施の形態2では、抵抗素子3の寸法を変えずに、抵抗素子3の抵抗値を更に大きくすることができる。このため、半導体装置において抵抗素子3を配置するのに要する面積を増大させずに、従って半導体装置の面積の増大を招かずに、抵抗素子3の抵抗値を更に大きくすることができるため、半導体装置の小型化(小面積化)に更に有利となる。
【0145】
また、半導体部EP2cにプラグPGは接続されないため、半導体部EP2cに高濃度領域R4に相当するものは形成していない。
【0146】
また、上記実施の形態1では、上記長さD1は、半導体部EP2aと半導体部EP2bとの間の間隔に対応しており、上記長さD1は5μm以下が好ましかった。
【0147】
本実施の形態2では、半導体部EP2a,EP2b,EP2cの間隔D2は、5μm以下が好ましい。すなわち、本実施の形態2では、半導体部EP2cとその下の領域RG3とによって、半導体層SMbの領域RG2は複数領域に分けられているが、その複数領域のそれぞれの長さ(電流方向に沿った長さであり、ここではX方向の長さ)は、5μm以下が好ましい。
【0148】
(実施の形態3)
図40は、本実施の形態3の半導体装置の要部平面図であり、抵抗素子形成領域の平面図が示されている。
【0149】
本実施の形態3では、抵抗素子3は複数形成されており、それら複数の抵抗素子3は、配線M1(図40に示される配線M1a.M1b,M1c,M1d,M1e,M1f)によって直列に接続されている。図40では、5つの抵抗素子3が直列に接続されている場合を示してあるが、直列に接続する抵抗素子3の数は、変更可能である。図5において、5つの抵抗素子3は、図40の上から順に抵抗素子3a、抵抗素子3b、抵抗素子3c、抵抗素子3dおよび抵抗素子3eと称することとする。
【0150】
各抵抗素子3a,3b,3c,3d,3eは、互いに同じ構造を有している。また、各抵抗素子3a,3b,3c,3d,3eは、上記実施の形態1の抵抗素子3と同じ構造を有している。抵抗素子3a,3b,3c,3d,3eは、それぞれX方向に延在し、かつ、Y方向に並んでいる。抵抗素子3aの半導体部EP2aと抵抗素子3bの半導体部EP2aとが、プラグPGと配線M1cを介して互いに電気的に接続され、抵抗素子3bの半導体部EP2bと抵抗素子3cの半導体部EP2bとが、プラグPGと配線M1dを介して互いに電気的に接続されている。また、抵抗素子3cの半導体部EP2aと抵抗素子3dの半導体部EP2aとが、プラグPGと配線M1eを介して互いに電気的に接続され、抵抗素子3dの半導体部EP2bと抵抗素子3eの半導体部EP2bとが、プラグPGと配線M1fを介して互いに電気的に接続されている。また、抵抗素子3aの半導体部EP2bは、プラグPGを介して配線M1bと電気的に接続され、抵抗素子3eの半導体部EP2aは、プラグPGを介して配線M1aと電気的に接続されている。これにより、配線M1bと配線M1aとの間で、抵抗素子3aと抵抗素子3bと抵抗素子3cと抵抗素子3dと抵抗素子3eとが直列に接続され、それら全体により、大きな抵抗値を有する抵抗素子を形成することができる。例えば、配線M1aからプラグPGを介して抵抗素子3eの半導体部EP2aに低電圧を印加し、それよりも高い電圧を、配線M1bからプラグPGを介して抵抗素子3aの半導体部EP2bに印加した場合には、配線M1bから抵抗素子3a、抵抗素子3b、抵抗素子3c、抵抗素子3dおよび抵抗素子3eを順に通って配線M1aに電流が流れる。
【0151】
(実施の形態4)
図41および図42は、それぞれ、本実施の形態4の半導体装置の要部平面図であり、抵抗素子形成領域の平面図が示されている。
【0152】
図41および図42のそれぞれには、抵抗素子3fと抵抗素子3gが示されている。抵抗素子3fは、上記実施の形態1の抵抗素子3と同じ構造を有している。このため、抵抗素子3fを構成する半導体層SMbは、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)からなる。
【0153】
本実施の形態4の抵抗素子3gは、上記実施の形態1の抵抗素子3と類似した構造を有しており、抵抗素子3gは、上記半導体層SMbと上記半導体部EP2a,EP2bとで構成されている。しかしながら、抵抗素子3fとは異なり、抵抗素子3gを構成する半導体層SMbの領域RG2(半導体層EPで覆われてない領域)は、多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)からなる。図41では、理解を簡単にするために、多結晶半導体からなる半導体層SMbをドットのハッチングを付して示してある。
【0154】
単結晶からなる半導体層SMbに対してイオン注入でダメージを与え、それによって単結晶領域を多結晶領域に変えることにより、抵抗素子3gの多結晶半導体領域(すなわち半導体層SMbの領域RG2)を形成することができる。多結晶化のためのイオン注入では、抵抗素子3fはフォトレジストパターンで覆っておけばよい。これにより、抵抗素子3fを構成する半導体層SMbが多結晶化するのを防ぐことができる。
【0155】
図41の場合は、抵抗素子3fと抵抗素子3gとが、直列に接続されている。具体的には、抵抗素子3fの半導体部EP2aと抵抗素子3gの半導体部EP2aとが、プラグPGと配線M1gを介して互いに電気的に接続されている。また、抵抗素子3fの半導体部EP2bは、プラグPGを介して配線M1bと電気的に接続され、抵抗素子3gの半導体部EP2bは、プラグPGを介して配線M1aと電気的に接続されている。これにより、配線M1aと配線M1bとの間で、抵抗素子3fと抵抗素子3gとが直列に接続される。例えば、配線M1aからプラグPGを介して抵抗素子3gの半導体部EP2bに低電圧を印加し、それにより高い電圧を、配線M1aからプラグPGを介して抵抗素子3fの半導体部EP2bに印加した場合には、配線M1bから抵抗素子3fおよび抵抗素子3gを順に通って配線M1aに電流が流れる。
【0156】
一方、図42の場合は、抵抗素子3fと抵抗素子3gとが、並列に接続されている。具体的には、抵抗素子3fの半導体部EP2aと抵抗素子3gの半導体部EP2aとが、プラグPGと配線M1aを介して互いに電気的に接続され、抵抗素子3fの半導体部EP2bと抵抗素子3gの半導体部EP2bとが、プラグPGと配線M1bを介して互いに電気的に接続されている。これにより、配線M1aと配線M1bとの間で、抵抗素子3fと抵抗素子3gとが並列に接続される。例えば、配線M1bからプラグPGを介して抵抗素子3f,3gのそれぞれの半導体部EP2bに低電圧を印加し、それよりも高い電圧を、配線M1aからプラグPGを介して抵抗素子3f,3gのそれぞれの半導体部EP2aに印加した場合には、配線M1aから抵抗素子3gを通る経路と配線M1aから抵抗素子3fを通る経路の両方で配線M1bに電流が流れる。
【0157】
図43は、抵抗素子の抵抗値の温度依存性を示すグラフである。図43のグラフの横軸は、抵抗素子の温度に対応し、図43のグラフの縦軸は、抵抗素子の抵抗値に対応している。図43のグラフの縦軸の抵抗値は、27℃での抵抗値で規格化してある。また、図43のグラフでは、抵抗素子3f単独の場合を実線で示し、抵抗素子3g単独の場合を点線で示し、抵抗素子3fと抵抗素子3gを並列接続した場合(図42の場合)を一点鎖線で示し、抵抗素子3fと抵抗素子3gを直列接続した場合(図41の場合)を二点鎖線で示している。
【0158】
抵抗素子3fを構成する半導体層SMbは、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)からなるため、抵抗素子3fの抵抗値は、正の温度依存性を有している。一方、抵抗素子3gを構成する半導体層SMbの領域RG2は、多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)からなるため、抵抗素子3gの抵抗値は、負の温度依存性を有している。ここで、正の温度依存性とは、温度が高くなるほど抵抗値が増加する場合に対応し、負の温度依存性とは、温度が高くなるほど抵抗値が低下する場合に対応している。
【0159】
つまり、抵抗素子3fと抵抗素子3gとは、抵抗値の温度依存性が逆である。これは、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)の抵抗の温度依存性と多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)の抵抗の温度依存性とが逆になることに起因している。
【0160】
抵抗素子3fと抵抗素子3gを直列接続した場合には、抵抗素子3fの抵抗の温度依存性と抵抗素子3gの抵抗の温度依存性とが互いに打ち消し合うように作用する。このため、図43のグラフからも分かるように、直列接続された抵抗素子3f,3gで構成される抵抗素子の抵抗温度係数は、抵抗素子3f単独の抵抗温度係数や抵抗素子3g単独の抵抗温度係数よりも小さくすることができる。また、図43のグラフからも分かるように、並列接続された抵抗素子3f,3gで構成される抵抗素子の抵抗温度係数(の絶対値)は、抵抗素子3f単独の抵抗温度係数(の絶対値)や抵抗素子3g単独の抵抗温度係数(の絶対値)よりも小さくすることができる。ここで、抵抗温度係数とは、抵抗が温度1℃あたりどのくらいの割合で変化するかを表す係数に対応しており、図43のグラフの傾きが、抵抗温度係数にほぼ対応している。上述した正の温度依存性は、抵抗温度係数が正の値であることを意味し、また、上述した負の温度依存性は、抵抗温度係数が負の値であることを意味している。
【0161】
本実施の形態4では、抵抗素子3fと抵抗素子3gを直列接続または並列接続したことにより、抵抗素子全体の抵抗温度係数(の絶対値)を小さくすることができるため、半導体装置の環境温度の変化や、発熱などによる半導体装置の温度変化などに起因して、抵抗素子の抵抗値が変動するのを抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の高性能化(温度ドリフト改善)を実現させることができる。また、図43のグラフからも分かるように、抵抗素子3fと抵抗素子3gを並列接続した場合よりも直列接続した場合の方が、抵抗素子全体の抵抗温度係数(の絶対値)を更に小さくしやすい。
【0162】
また、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)に比べて、多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)は、大電流が流れた時に溶断しやすい。すなわち、単結晶半導体に比べて、多結晶半導体は、溶断電流が小さい。ここで、溶断電流とは、溶断が発生し得る電流の下限値に対応している。このため、多結晶領域を有さない抵抗素子3fよりも多結晶領域を有する抵抗素子3gの方が、溶断電流が低くなりやすい。
【0163】
このため、本実施の形態4では、抵抗素子3gを構成する半導体層SMbの領域RG2の幅W1(Y方向の寸法)は、0.2μm以上(W1≧0.2μm)とすることが好ましく、0.2μm以上で1.0μm以下(1.0μm≧W1≧0.2μm)であることがより好ましく、0.5μm以上で1.0μm以下(1.0μm≧W1≧0.5μm)であることが更に好ましい。これにより、多結晶領域を有する抵抗素子3gの溶断電流をある程度大きくすることができるため、大電流が流れた時に多結晶領域を有する抵抗素子3gが溶断するリスクを低減することができる。従って、半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0164】
一方、抵抗素子3fは、多結晶領域を有していないため、溶断現象は起こりにくい。このため、本実施の形態4では、抵抗素子3fを構成する半導体層SMbの領域RG2の幅W2(Y方向の寸法)は、抵抗素子3gを構成する半導体層SMbの領域RG2の幅W1より小さくてもよく、0.2μm以下も許容される。
【0165】
(実施の形態5)
図44および図45は、本実施の形態5の半導体装置の要部平面図(図44)および要部断面図(図45)であり、抵抗素子3が形成された抵抗素子形成領域1Bの平面図および断面図が示されている。図44のH-H線の位置での断面図が、図45にほぼ対応している。但し、図45では、簡略化のために、上記絶縁膜L1,L2、絶縁膜パターンZMP2および配線M1については、図示を省略している。また、図44および図45に示される抵抗素子3を、以下では抵抗素子3hと称することとする。
【0166】
図44および図45に示される抵抗素子3hは、上記実施の形態1の抵抗素子3と類似しているが、以下の点が、上記実施の形態1の抵抗素子3と相違している。
【0167】
図44および図45の場合は、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMb上に形成された半導体層EPは、上記半導体部EP2a,EP2bだけでなく、半導体部EP2dを有している。すなわち、半導体層SMb上に、半導体部EP2aと半導体部EP2bと半導体部EP2dとが形成されており、半導体部EP2aと半導体部EP2bと半導体部EP2dとは互いに離間している。半導体部EP2dは、半導体部EP2a,EP2bから離間して、半導体部EP2aと半導体部EP2bとの間に配置されている。
【0168】
半導体部EP2dを設けたことに伴い、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbは、上記領域RG1a,RG1b,RG2だけでなく、その上に半導体部EP2dが形成された領域(接続部)RG4も有している。半導体層SMbの領域RG4は、半導体部EP2dの直下に位置する領域である。半導体部EP2aと半導体部EP2bとの間に半導体部EP2dが配置されているため、半導体層SMbにおいて、領域RG1a,RG1bから離間して、領域RG1aと領域RG1bとの間に領域RG4が配置されている。すなわち、半導体層SMbの領域RG2(素子部)の途中に領域RG4が存在している。このため、半導体部EP2cとその下の領域RG4とによって、半導体層SMbの領域RG2は2つの領域RG2a,RG2bに分けられている。半導体層SMbの領域RG2のうち、領域RG1aと領域RG4との間に位置する部分が、領域RG2aに対応し、また、半導体層SMbの領域RG2のうち、領域RG1bと領域RG4との間に位置する部分が、領域RG2bに対応している。
【0169】
半導体層SMbの領域RG2のうち、領域RG1aと領域RG4との間に位置する領域RG2a(図44および図45においてドットのハッチングを付した領域に対応)は、多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)からなる。また、半導体層SMbの領域RG2のうち、領域RG1bと領域RG4との間に位置する領域RG2bは、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)からなる。すなわち、抵抗素子3hを構成する半導体層SMbの領域RG2(半導体層EPで覆われていない領域)は、多結晶からなる領域RG2aと、単結晶からなる領域RG2bとを有しており、領域RG1aと領域RG1bとの間で、多結晶からなる領域RG2aと、単結晶からなる領域RG2bとが、直列に接続されている。なお、多結晶からなる領域RG2aと、単結晶からなる領域RG2bとの間には、半導体部EP2dの下に位置する領域RG4が介在している。領域RG4は、単結晶半導体で構成されていても、あるいは、多結晶半導体で構成されていてもよいが、ここでは、領域RG4は、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)で構成されている。
【0170】
本実施の形態5では、多結晶からなる領域RG2aの抵抗は、負の温度依存性を有し、単結晶からなる領域RG2bの抵抗は、正の温度依存性を有している。このため、多結晶からなる領域RG2aと、単結晶からなる領域RG2bとは、抵抗値の温度依存性が逆である。その結果、、多結晶からなる領域RG2aの抵抗の温度依存性と、単結晶からなる領域RG2bの抵抗の温度依存性とが、互いに打ち消し合うように作用する。これにより、本実施の形態5の抵抗素子3hの抵抗温度係数(の絶対値)は、上記実施の形態1の抵抗素子3の抵抗温度係数(の絶対値)よりも小さくすることができる。このため、本実施の形態5の場合も、半導体装置の環境温度の変化や、発熱などによる半導体装置の温度変化などに起因して、抵抗素子の抵抗値が変動するのを抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の高性能化(温度ドリフト改善)を実現させることができる。
【0171】
次に、本実施の形態5の半導体装置の製造工程が、上記実施の形態1の製造工程(図11図26)と相違する点について、図46図49を参照して説明する。図46図49は、本実施の形態5の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図45に相当する断面が示されている。
【0172】
図46は、上記図17と同じ工程における断面図である。本実施の形態5では、エピタキシャル成長により半導体層EPを形成すると、図46に示されるように、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMb上に、半導体部EP2a,EP2b,EP2dが形成される。
【0173】
図47は、上記図18と同じ工程における断面図である。本実施の形態5では、上記p型の半導体領域EXを形成するための上記イオン注入IM1を行うと、抵抗素子形成領域1Bにおいては、半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2d)と、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2d)で覆われていない各領域RG2a,RG2bとに、p型不純物が注入される。このイオン注入IM1では、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbのうちの半導体層EP(各半導体部EP2a,EP2b,EP2d)で覆われている各領域RG1a,RG1b,RG4には、p型不純物は、ほとんど導入されない。
【0174】
図48は、上記図21と同じ工程における断面図である。本実施の形態5では、半導体層SMbの領域RG2bはフォトレジストパターンRP2で覆われているが、半導体層SMbの領域RG2aはフォトレジストパターンRP2で覆われずに露出されていてもよい。p型の半導体領域SDを形成するための上記イオン注入IM2を行うと、抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbの領域RG2bは、フォトレジストパターンRP2で覆われているため、p型不純物は注入されないが、半導体層SMbの領域RG2aはフォトレジストパターンRP2で覆われずに露出されているため、p型不純物は注入され得る。
【0175】
図49の工程は、上記実施の形態では行なわれない工程であり、図48の工程の後に行われる。本実施の形態5では、図48の工程(イオン注入IM2)を行った後、フォトレジストパターンRP2をアッシングなどにより除去してから、抵抗素子形成領域1Bの半導体層SMbおよび半導体層EP上に、フォトレジストパターンRP3をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。抵抗素子形成領域1Bにおいて、半導体層SMbの領域RG2bはフォトレジストパターンRP3で覆われるが、半導体層SMbの領域RG2aは、フォトレジストパターンRP3で覆われずに露出される。また、上記MISFET形成領域1Aは、フォトレジストパターンRP3で覆われる。
【0176】
フォトレジストパターンRP3の形成後、半導体層SMbの領域RG2aを多結晶化するためのイオン注入IM3を行う。イオン注入IM3では、例えば、ゲルマニウム(Ge)または二フッ化ホウ素(BF)をイオン注入する。このイオン注入IM3によって半導体層SMbの領域RG2aがダメージを受けることで、単結晶シリコンからなる半導体層SMbの領域RG2aは、アモルファス状態となる。その後、フォトレジストパターンRP3を除去してからアニール処理(熱処理)を行うことにより、半導体層SMbの領域RG2aは、アモルファス状態から多結晶状態に移行する。これにより、半導体層SMbの領域RG2aは、多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)により構成された状態となる。
【0177】
一方、半導体層SMbの領域RG2bは、フォトレジストパターンRP3で覆われているため、イオン注入IM3でダメージを受けることはなく、単結晶状態が維持される。また、上記MISFET形成領域1Aの半導体層SMa,EPは、フォトレジストパターンRP3で覆われているため、イオン注入IM3でダメージを受けることはなく、単結晶状態が維持される。
【0178】
その後、本実施の形態5でも、上記絶縁膜パターンZMP2形成工程や金属シリサイド層MSが行われるが、ここではその説明は省略する。なお、本実施の形態5では、半導体部EP2dは上記絶縁膜パターンZMP2で覆われるため、サリサイド技術により金属シリサイド層MSを形成すると、半導体部EP2dの表面に金属シリサイド層MSは形成されない。
【0179】
また、上記実施の形態4でも述べたように、単結晶半導体(例えば単結晶シリコン)に比べて、多結晶半導体(例えば多結晶シリコン)は、大電流が流れた時に溶断しやすい。
【0180】
このため、本実施の形態5では、抵抗素子3hを構成する半導体層SMbの領域RG2a(多結晶領域)の幅W3(Y方向の寸法)は、0.2μm以上(W3≧0.2μm)とすることが好ましく、0.2μm以上で1.0μm以下(1.0μm≧W3≧0.2μm)であることがより好ましく、0.5μm以上で1.0μm以下(1.0μm≧W3≧0.5μm)であることが更に好ましい。これにより、抵抗素子3hが有する多結晶領域(領域RG2a)の溶断電流をある程度大きくすることができるため、大電流が流れた時に多結晶領域(領域RG2a)が溶断するリスクを低減することができる。従って、半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0181】
一方、抵抗素子3hを構成する半導体層SMbの領域RG2bは、多結晶ではなく単結晶領域となっているため、溶断現象は起こりにくい。このため、本実施の形態5では、抵抗素子3hを構成する半導体層SMbの領域RG2bの幅W4(Y方向の寸法)は、抵抗素子3hを構成する半導体層SMbの領域RG2a(多結晶領域)の幅W3より小さくてもよく、0.2μm以下も許容される。しかしながら、抵抗素子3hにおいて、半導体層SMbの領域RG2bの幅W4が半導体層SMbの領域RG2a(多結晶領域)の幅W3と同じであれば、抵抗素子3hを形成しやすいという利点を得られる。
【0182】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0183】
1 SOI基板
1A MISFET形成領域
1B 抵抗素子形成領域
2 MISFET
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,103 抵抗素子
BX 絶縁層
CT,CT2a,CT2b コンタクトホール
CP 絶縁膜
E1,E2 端部
EP 半導体層
EP1a,EP1b,EP2a,EP2b,EP2c 半導体部
EX 半導体領域
GE ゲート電極
GF ゲート絶縁膜
L1,L2 絶縁膜
LM1 積層体
M1,M1a,M1b 配線
MS 金属シリサイド層
PG,PG1a,PG1b,PG2a,PG2b プラグ
R1 低濃度領域
R2 中濃度領域
R3,R4 高濃度領域
R5 領域
RG1a,RG1b,RG1c,RG2,RG3,RG4 領域
RP1,RP2,RP3 フォトレジストパターン
SB 半導体基板
SD 半導体領域
SM,SMa,SMb 半導体層
ST 素子分離領域
ST1 素子分離溝
SW1,SW2 サイドウォールスペーサ
YG1,YG2,YG101 経路
ZM1 絶縁膜
ZMP1,ZMP2 絶縁膜パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49