IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 一丸ファルコス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-皮膚の糖化を抑制するための剤 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075916
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】皮膚の糖化を抑制するための剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20240529BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240529BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240529BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240529BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20240529BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/37
A61Q19/00
A61P17/00
A61K31/216
A61K31/7048
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187180
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸子
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC331
4C083AD391
4C083CC02
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA08
4C086EA11
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB20
4C206DB54
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA28
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
(57)【要約】
【課題】ヒト等に用いるための皮膚の糖化を抑制するための剤、などを提供する。
【解決手段】(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.2~1.5である、皮膚の糖化を抑制するための剤。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ロスマリン酸及び/又は(B)ルテオニングルクロニドを含有する、皮膚の糖化を抑制するための剤。
【請求項2】
(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.1~2.0である、皮膚の糖化を抑制するための剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の剤を含有する、皮膚外用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト等に用いるための、ロスマリン酸及び/又はルテオニングルクロニドを含有する皮膚の糖化を抑制するための剤、などに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の糖化はさまざまな皮膚老化に関与する。加齢、糖化ストレスによる皮膚蛋白の糖化や糖化最終生成物(advanced glycation end products; AGEs)の蓄積は、皮膚の色調を黄色化してクスミの原因などになる(特許文献1、非特許文献2)。真皮の主成分であるコラーゲンやエラスチンなどの蛋白は、半減期が長いため糖化の影響を受けやすい。コラーゲンやエラスチンは組織中の線維形成過程にリジンやヒドロキシリジン残基を介した線維化架橋を形成する。一方、ペントシジンなどの架橋性 AGEsの生成は、無秩序な蛋白架橋を形成し、蛋白を硬化させる。このため皮膚蛋白の糖化は線維組織の安定性に維持に関与し、ハリ、弾力の低下など物理的な障害の要因になる。(非特許文献1、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-006036
【特許文献2】特許6786193
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Mizutani K, Ono T, Ikeda K, et al. Photo-enhanced modification of human skin elastin in actinic elastosis by N(epsilon)-(carboxymethyl)lysine, one of the glycoxidation products of the Maillard reaction. J Clin Invest. 1997; 108: 797-802.
【非特許文献2】Masayuki Yagi, Yoshikazu Yonei, Anti-Aging Medical Research Center and Glycative Stress Research Center, Faculty of Life and Medical Sciences, Doshisha University, Kyoto, Japan,Glycative Stress Research 2018; 5 (1): 050-054.
【非特許文献3】Shimasaki S, Kubota M, Yoshitomi M, Takagi K, Suda K, Mera K, Fujiwara Y, Nagai R. N ω -(carboxymethyl)arginine Accumulates in Glycated Collagen and Klotho-deficient Mouse Skin. Anti-Aging Medicine 8 (6) : 82-87, 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、皮膚の糖化を抑制するための剤などを提供すること、などである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ロスマリン酸及び/又はルテオニングルクロニドを含有する剤が皮膚の糖化を抑制することを新たに確認できたことから、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、以下の項を含む。
〔項1〕(A)ロスマリン酸及び/又は(B)ルテオニングルクロニドを含有する、皮膚の糖化を抑制するための剤。
〔項2〕(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.1~2.0である、皮膚の糖化を抑制するための剤。
〔項3〕〔項1〕又は〔項2〕記載の剤を含有する、皮膚外用のための組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、新規の皮膚の糖化を抑制するための剤などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】AGEsの作用機構を示した模式図である。図面において、試験1、試験2及び試験3との記載は、下記実施例で示す試験で確認した領域である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
(皮膚の糖化を抑制すること)
皮膚の糖化を抑制することは、例えば、ペントシジンなどの架橋性AGEsの生成を抑制すること、Nε-carboxymethyllysine(CML)などの非架橋性AGEsの生成を抑制すること、である。
架橋性AGEsの生成は、無秩序なタンパク質架橋を形成し、タンパク質を硬化させる。このため皮膚のタンパク質の糖化は線維組織の安定性に維持に関与し、ハリ、弾力の低下など物理的な障害の要因になる。CMLが蓄積したエラスチンは、好中球エラスターゼによって分解されにくく、凝集能の亢進、線維径の増加、弾性率や伸長率の低下などを起こす。AGEsが蓄積したタンパク質は架橋形成が進むため、プロテアーゼによる分解を受けにくくなる。これらにより皮膚ではターンオーバーが遅延する(非特許文献2)。AGEsの作用機構を示した模式図を図1に示す。
なお、カルボキシメチルアルギニン(Nω-carboxymethylarginine(CMA))は、コラーゲンの糖化のマーカーと考えられている(非特許文献3)。
【0012】
(ペパーミント、ロスマリン酸、ルテオニングルクロニド)
本発明で用いられるロスマリン酸及びルテオニングルクロニドは、例えばペパーミントの抽出物に含有されている(特許文献2)。
【0013】
ペパーミント(別名:セイヨウハッカ、コショウハッカ)は、シソ科ハッカ属植物:ペパーミント(Mentha piperita L.)である。ペパーミントの抽出物を製造する際には、材料として、例えば、根、根茎、葉、茎、花全草、又はこれらの混合物を用いるが、有効成分も葉に多くあると考えられることから、材料として葉を用いるのが好ましいと考えられる。
【0014】
ペパーミントの抽出物は、例えば、材料を生のまま又は乾燥したものを粉砕後搾取して作製、材料を生のまま又は乾燥したものを粉砕後溶媒で抽出して作製、する。例えば、以下製造例により、ペパーミントの抽出物を製造する。なお、以下実施例で用いるペパーミントの抽出物は、以下製造例に従い、製造された。以下実施例で用いられるペパーミントの抽出物中には、ロスマリン酸403.55ppm、ルテオニングルクロニド166.35ppmが含有され、(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.41、であった。ペパーミントの抽出物は、本発明において、例えば、皮膚の糖化を抑制するための剤として用いることができる。
【0015】
ペパーミントの抽出物は、例えば、所望の効果(皮膚の糖化を抑制する効果など)を発揮するために、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上含有される。また、本発明の剤に含有されるペパーミントの抽出物は、例えば、所望の毒性などを考慮して、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下含有される。
【0016】
ペパーミントの抽出物が1%の場合、剤における(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドの含有量を算出した結果を以下表1に記載する。
【0017】
【表1】
【0018】
本発明の剤に含有されるペパーミントの抽出物が0.5%の場合、剤における(A)ロスマリン酸と(B)ルテオニングルクロニドの含有量を算出した結果を以下表2に記載する。
【0019】
【表2】
【0020】
(ペパーミントの抽出物の製造例)
ペパーミントの葉を粉砕し、粉砕物を作製する。この粉砕物100gを50%エタノール溶液2kgに浸漬する。約10℃~約30℃の環境で、5~10日間、この浸漬を行う。この浸漬を経て得られる溶液を、カラム(HP-20)にて分画して、ロスマリン酸とルテオニングルクロニドとが含有されている画分を取り出す。この取り出す画分を、更にカラム(HP-20)にて精製する。
精製後の溶液は、好ましくは「(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.1~2.0((A)が1の際に、(B)が0.1以上2.0以下)」となっている。
なお、下記実施例で用いるペパーミントの抽出物は、(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.41である。
【0021】
(ロスマリン酸)
ロスマリン酸(Rosmaric acid)は、ポリフェノール類で、エタノールに可溶性である。本発明の組成物に含有されるロスマリン酸は、例えば、所望の効果(皮膚の糖化を抑制する効果など)を発揮するために、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.2ppm以上、より好ましくは0.3ppm以上、更に好ましくは0.4ppm以上含有される。また、本発明の組成物に含有されるロスマリン酸は、例えば、所望の毒性などを考慮して、好ましくは20ppm以下、より好ましくは19ppm以下、より好ましくは18ppm以下、更に好ましくは17ppm以下含有される。
【0022】
(ルテオニングルクロニド)
ルテオリングルクロニド(Luteolin glucuronide)は、フラボノイドで、例えば、ルテオリン7-グルクロニドや、ルテオリン3′‐グルクロニドが挙げられる。本発明の組成物に含有されるルテオリングルクロニドは例えば、所望の効果(皮膚の糖化を抑制する効果など)を発揮するために、好ましくは0.08ppm以上、より好ましくは0.12ppm以上、更に好ましくは0.16ppm以上含有される。また、本発明の組成物に含有されるルテオリングルクロニドは、例えば、所望の毒性などを考慮して、好ましくは16ppm以下、より好ましくは14ppm以下、より好ましくは12ppm以下、更に好ましくは10ppm以下含有される。
【0023】
(ロスマリン酸とルテオニングルクノニドとの含有比率)
本発明の組成物は、活性を発揮させる観点で、好ましくは、(A)ロスマリン酸と、(B)ルテオニングルクロニドとの含有比率が、重量比にて、(A):(B)=1:0.1~2.0((A)が1の際に、(B)が0.1以上2.0以下)、より好ましくは(A):(B)=1:0.12~1.2((A)が1の際に、(B)が0.12以上1.2以下)、より好ましくは(A):(B)=1:0.14~1.18((A)が1の際に、(B)が0.14以上1.18以下)、更に好ましくは(A):(B)=1:0.16~1.16((A)が1の際に、(B)が0.16以上1.16以下)である。
【0024】
(ペパーミントの抽出物の製造の際に用いる抽出溶媒)
抽出溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量100~10万)等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、フェノール、トルエン等の各種有機溶媒や、適宜規定度を調製した酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸等)やアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液が挙げられるが、溶媒を置換するケースも想定できるようにする観点で、エタノールを用いるのが好ましい。
【0025】
(その他)
本発明で用いるペパーミントの抽出物は、溶媒抽出後、更に適宜精製操作を施すことも可能である。精製操作は、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、有機酸等)又はアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)添加による分解、微生物による発酵又は代謝変換、イオン交換樹脂や活性炭、ケイ藻土等による成分吸着、種々の分離モード(イオン交換、親水性吸着、疎水性吸着、サイズ排除、配位子交換、アフィニティー等)を有するクロマトグラフィーを用いた分画、濾紙やメンブランフィルター、限外濾過膜等を用いた濾過、加圧又は減圧、加温又は冷却、乾燥、pH調整、脱臭、脱色、長時間の静置保管等であり、これらを任意に選択し、組合わせた処理を行うことも可能である。
【0026】
(組成物の形態)
本発明の組成物(皮膚外用のための組成物など)は、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、液体、ゲル、気泡、エマルジョン、シート、ミスト、スプレー剤等利用上の適当な形態の1)医薬品類、2)医薬部外品類、3)局所用又は全身用の皮膚外用剤類(例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、固形石鹸、液体ソープ、ハンドウォッシュ等の洗顔料や皮膚洗浄料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、除毛剤、脱毛剤、髭剃り処理料、アフターシェーブローション、プレショーブローション、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料、香水類、美爪剤、美爪エナメル、美爪エナメル除去剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、貼付剤、エアゾール剤等)、4)頭皮・頭髪に適用する薬用又は/及び化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、ヘアートリートメント剤、プレヘアートリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤等)、5)浴湯に投じて使用する浴用剤、6)その他、腋臭防止剤や消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。
【0027】
(組成物の構成成分)
また、本発明の組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で以下に例示する成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。
【0028】
(1)各種油脂類
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタン又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)等。
【0029】
(2)ロウ類
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス等。
【0030】
(3)鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等。
【0031】
(4)脂肪酸類
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸。
【0032】
(5)アルコール類
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール。
【0033】
(6)多価アルコール類
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等。
【0034】
(7)エステル類
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等。
【0035】
(8)金属セッケン類
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等。
【0036】
(9)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C~C)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C~C)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等。
【0037】
(10)界面活性剤
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等。
【0038】
(11)各種ビタミン類
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等。
【0039】
(12)各種アミノ酸類
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体等。
【0040】
(13)添加物
添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色等を任意に選択、組み合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すれば良い。
【0041】
尚、抽出に用いる溶媒については、供する製品の使用目的、種類、或いは後に行う加工処理等を考慮した上で選択すれば良いが、通常では、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。但し、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、若しくは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独又は水との任意の混液で用いたりすれば良く、又、搾取抽出したものでも良い。
【0042】
尚、植物又は動物系原料由来の添加物を、全身用又は局所用の外用剤、化粧品類に供する場合、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止及びその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果等の美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝等の効果も期待できる。
【0043】
さらにこの他にも、これまでに知られている各原料素材の様々な美容的、薬剤的効果を期待し、これらを組み合わせることによって、本発明の目的とする効果の増進を図り、多機能的な効果を期待した製品とすることも可能である。
【0044】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
【実施例0045】
以下試験結果を用いて、本発明の実施例について、説明する。
【0046】
(試験1:抗糖化の有無の確認)
コラーゲンAGEs抗糖化アッセイキット(CMA特異的、グリオキサール、コスモバイオ、AAS-AGE-K03)を用いて、ペパーミントの抽出物の添加により、抗糖化が起きるかの確認を行った。試験群と試験結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表1に示す数値(相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表1中の*印は、Dunnett検定において、コントロール群(数値を100.0)との比較による有意差(p<0.05)を示す。コントロール群と比べて、ペパーミントの抽出物を添加した群(試料1及び試料2)では、有意に、糖化度が下がったこと(糖化抑制効果があること)を確認した。
【0049】
(試験2:抗糖化の有無の確認)
エラスチン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド、コスモバイオ、AAS-AGE-K05)を用いて、ペパーミントの抽出物の添加により、抗糖化が起きるかの確認を行った。試験群と試験結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示す数値(相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表4中の*印は、Dunnett検定において、コントロール群(数値を100.0)との比較による有意差(p<0.05)を示す。コントロール群と比べて、ペパーミントの抽出物を添加した群(試料1及び試料2)では、有意に、糖化度が下がったこと(糖化抑制効果があること)を確認した。
【0052】
(試験3:抗糖化の有無の確認)
エラスチン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド、コスモバイオ、AAS-AGE-K05)を用いて、ロスマリン酸又はルテオニングルクロニドの添加により、抗糖化が起きるかの確認を行った。試験群と試験結果を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
表5に示す数値(相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表3中の*印は、Dunnett検定において、コントロール群(数値を100.0)との比較による有意差(p<0.05)を示す。表3中の†印は、Student検定において、コントロール群(数値を100.0)との比較による有意差(p<0.05)を示す。コントロール群と比べて、ロスマリン酸を添加した群(試料3-1、試料3-2)及びルテオニングルクロニドを添加した群(試料4)では、有意に、糖化度が下がったこと(糖化抑制効果があること)を確認した。
【0055】
(試験4:抗糖化の有無の確認)
SOD Assay Kit-WST(抗酸化能測定キット、同仁化学研究所、S311)を用いて、ペパーミントの抽出物の添加により、抗糖化が起きるかの確認を行った。試験群と試験結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
表6に示す数値(酸化抑制率、相対値)を次のように算出した。先ず、各群(n=3)の測定結果の吸光度を算出した。次に、当該平均値について、各群のコントロール群の数値を100として、各群の数値はコントロール群と比較しての相対値を算出した。表3中の*印は、Dunnett検定において、コントロール群(数値を100.0)との比較による有意差(p<0.05)を示す。コントロール群と比べて、ペパーミントの抽出物を添加した群(試料5、試料6及び試料7)では、有意に、酸化抑制率が高かったこと(糖化抑制効果があること)を確認した。
【0058】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、主にヒトなどの皮膚で用いるための皮膚の糖化を抑制するための剤、などとして利用される。
図1