IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱交換器 図1
  • 特開-熱交換器 図2
  • 特開-熱交換器 図3
  • 特開-熱交換器 図4
  • 特開-熱交換器 図5
  • 特開-熱交換器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075918
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20240529BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F28F9/00 331
F28F9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187185
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 優一郎
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065BA07
3L065BA09
(57)【要約】
【課題】ヘッダタンク(タンクキャップ等)の側面にサイドプレートを好適に接続させた熱交換器を提供する。
【解決手段】本発明の熱交換器は、内部を熱媒体が流れる複数のチューブと、チューブの延在方向両端に設けられチューブが挿入される一対のヘッダタンクと、複数のチューブの積層方向両端よりも外側に設けられた一対のサイドプレートとを備える。サイドプレートは、ヘッダタンクの側面に設けられた突起部と係合する係合部を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を熱媒体が流れる複数のチューブと、
前記チューブの延在方向両端に設けられ前記チューブが挿入される一対のヘッダタンクと、
複数の前記チューブの積層方向両端よりも外側に設けられた一対のサイドプレートと、を備えた熱交換器であって、
前記サイドプレートは、前記ヘッダタンクの側面に設けられた突起部と係合する係合部を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記ヘッダタンクは、前記チューブの積層方向に沿う延在方向の両端において開口する筒状のタンク部材と、前記開口を塞ぐ一対のキャップとを有し、
前記係合部は、前記キャップの側面に設けられた前記突起部と係合することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記サイドプレートは、前記チューブの延在方向に沿って延在する本体部と、前記本体部の延在方向両端から前記ヘッダタンクの延在方向に沿って延在し、前記係合部により前記ヘッダタンクの側面に取り付けられる一対の取付部とを有し、
前記本体部は、前記取付部よりも前記チューブ側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記係合部は、前記本体部と前記取付部との境界部から前記本体部の延在方向に延在する第1孔部と、前記第1孔部に繋がり前記取付部の延在方向に延在する第2孔部とを有し、
前記チューブの積層方向両端よりも外側から前記チューブに向けて前記サイドプレートを移動させることで、前記第1孔部を介して前記第2孔部内に前記突起部が配置され、カシメにより前記第2孔部が前記突起部の先端と係合することを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
複数の前記チューブ間と前記チューブの積層方向両端の外側とに配置された複数のフィンを有し、
前記本体部は、前記チューブの積層方向両端の外側に位置する前記フィンに接触して配置されることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、複数のチューブを並列配置して、チューブの延在方向両端にヘッダタンクを接続し、ヘッダタンクを介して複数のチューブ内を流れる熱媒体(冷媒を含む)と複数のチューブ間を流れる流体(例えば、空気)との間で熱交換を行うものである。一対のヘッダタンクの間で複数のチューブが並列配置された領域は、熱交換器のコア部になっている。また、コア部におけるチューブの積層方向両端よりも外側には、一対のサイドプレートが設けられている(例えば、特許文献1参照)。なお、ここでは、状態が変化する冷媒や状態が変化しない流体(水等)を総称して熱媒体という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-028393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、このような熱交換器の製造においては、コア部を組み立てる際にサイドプレートもこれと一緒に組み立てており、この組み立てでは、ヘッダタンクにおける連結体(ロワータンク)に、複数のチューブと共にサイドプレートも挿入するようにして組み立てていた。
【0005】
しかしながら、このような組み立てにより製造された熱交換器において、チューブ内に高温又は低温の冷媒が流れると、連結体(ロワータンク)に挿入されたサイドプレートは、冷媒の熱の影響を受けて歪む虞があった。
【0006】
そのため、製造された熱交換器において、サイドプレートが冷媒の熱の影響を受けずに、サイドプレートと連結体(ロワータンク)との接続状態が安定して維持されるためには、ヘッダタンク(タンクキャップ等)の側面にサイドプレートをカシメ等により接続することが望まれる。一方で、コア部の組み立て時に連結体にチューブを挿入する際には、通常、連結体の内面におけるチューブとの接続部分にフラックスを塗布する必要がある。そのため、その時点ではタンクキャップの側面にサイドプレートを接続することができない。
【0007】
また、従来のサイドプレートの構造では、ヘッダタンクにタンクキャップを組み立てた後にサイドプレートをヘッダタンク(タンクキャップ等)の側面にカシメ等により接続しようとしても、サイドプレートの幅方向部分がカシメ爪等に干渉してしまうため、ヘッダタンクの側面に接続することができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッダタンク(タンクキャップ等)の側面にサイドプレートを好適に接続させた熱交換器を提供すること、を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る熱交換器は、内部を熱媒体が流れる複数のチューブと、前記チューブの延在方向両端に設けられ前記チューブが挿入される一対のヘッダタンクと、複数の前記チューブの積層方向両端よりも外側に設けられた一対のサイドプレートと、を備えた熱交換器であって、前記サイドプレートは、前記ヘッダタンクの側面に設けられた突起部と係合する係合部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヘッダタンク(タンクキャップ等)の側面にサイドプレートを好適に接続させた熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態における熱交換器の正面図である。
図2図1の正面図における係合部を有するサイドプレートの取り付け部分を拡大して示す部分拡大図である。
図3】係合部を含むサイドプレートの一部とこのサイドプレートを取り付けたヘッダタンクの一部を示す部分斜視図である。
図4】係合部(変形例1)を含むサイドプレートの一部とこのサイドプレートを取り付けたヘッダタンクの一部を示す部分斜視図である。
図5図2に代えて、係合部(変形例2)を有するサイドプレートの取り付け部分を拡大して示す部分拡大図である。
図6】係合部(変形例2)を含むサイドプレートの一部とこのサイドプレートを取り付けたヘッダタンクの一部を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は、同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0013】
[熱交換器の全体構成]
図1に示すように、本実施形態に係る熱交換器1は、内部を熱媒体が流れる複数のチューブ21を備えた熱交換コア部2と、チューブ21の延在方向(図示矢印X方向)の両端に設けられチューブ21が挿入される一対のヘッダタンク3と、複数のチューブ21の積層方向両端よりも外側に設けられた一対のサイドプレート4とを備える。熱交換器1は、ヘッダタンク3を介してチューブ21内を流れる熱媒体(冷媒を含む)と、複数のチューブ21間を通過する流体(例えば、空気)との間で熱交換を行うものである。
【0014】
熱交換コア部2のチューブ21は、一方向(図示矢印X方向)に延在すると共に、その延在方向(図示矢印X方向)に交差する方向(図示矢印Z方向)に沿って扁平な形状の管体である。チューブ21は、その延在方向(図示矢印X方向)に交差する方向(図示矢印Y方向)に所定間隔で複数並列配置されており、複数のチューブ21間の空間が熱交換対象となる流体の通過経路になる。
【0015】
熱交換対象の流体は、図示矢印Z方向に流れ、複数のチューブ21間を通過する間にチューブ21内を流れる熱媒体との間で熱交換を行う。熱交換コア部2における複数のチューブ21間の空間と、チューブ21の積層方向(図示矢印Y方向)両端の外側の空間には、熱交換効率を高めるために、通常、フィン22(例えば、コルゲートフィン)が設けられている。このように、熱交換コア部2は、チューブ21とフィン22とが交互に積層された構成を有している。
【0016】
ヘッダタンク3は、チューブ21の積層方向に沿う延在方向(図示矢印Y方向)の両端において開口する筒状のタンク部材31と、この開口(図示せず)を塞ぐ一対のキャップ(タンクキャップ)32とを有する。タンク部材31は、タンク成形体(アッパータンク)31Aと連結体(ロワータンク)31Bとからなる。タンク成形体31Aと連結体31Bとを結合し、その延在方向の両端をキャップ32で塞ぐことで、内部に熱媒体の溜まり空間が形成される。
【0017】
このようなタンク部材31の連結体(ロワータンク)31Bにチューブ21の延在方向(図示矢印X方向)端部が挿入され、その後に、連結体31Bの内面におけるチューブ21との接続部分にフラックスが塗布されてロウ付けされる。このようにして、連結体31Bとチューブ21とは接続される。
【0018】
一対のサイドプレート4は、一対のヘッダタンク3間に設けられ、ヘッダタンク3のキャップ32に接続されている。一対のサイドプレート4の内側には、複数のチューブ21及び複数のフィン22による熱交換コア部2が形成される。ヘッダタンク3のキャップ32の側面32Aには、突起部32Bが設けられている。
【0019】
一対のヘッダタンク3の延在方向(図示矢印Y方向)の同位置にあるキャップ32を、その突起部32B同士が対向するように配置させてタンク部材31に装着する。このようなキャップ32の突起部32Bにサイドプレート4の後述する係合部43を係合させる。
【0020】
図1に示すように、一対のヘッダタンク3は、一方(上側)のヘッダタンク3のタンク成形体(アッパータンク)31Aに流入口33が設けられ、他方(下側)のヘッダタンク3のタンク成形体31Aに流出口34が設けられている。流入口33から流入された熱媒体は、一方(上側)のヘッダタンク3を介してチューブ21に流れ、チューブ21を流れた熱媒体が他方(下側)のヘッダタンク3に溜って流出口34から流出する。
【0021】
サイドプレート4は、複数のチューブ21の延在方向(図示矢印X方向)に沿って延在する本体部41と、本体部41の延在方向両端からヘッダタンク3の延在方向(図示矢印Y方向)に沿って延在し、ヘッダタンク3におけるキャップ32の側面32Aに取り付けられる一対の取付部42とを有する。また、図2の拡大図に示すように、本体部41は、取付部42と対向する側とは反対側の面が、熱交換コア部2におけるチューブ21の積層方向(図示矢印Y方向)両端の外側に位置するフィン22に接触するように配置される。熱交換コア部2は、このように配置された一対のサイドプレート4によって支持される。
【0022】
[サイドプレート4の取り付け]
本実施形態における熱交換器1の組み立てでは、サイドプレート4の取り付けを行う前に、熱交換器1のその他の構成を組み立てる。具体的には図1に示すように、先ず、チューブ21をその延在方向(図示矢印X方向)に交差する方向(図示矢印Y方向)に所定間隔で複数並列配置し、その複数のチューブ21間とチューブ21の積層方向両端の外側とに複数のフィン22を配置して熱交換コア部2を形成する。
【0023】
次に、複数のチューブ21の延在方向両端に配置した連結体(ロワータンク)31Bに、これら複数のチューブ21の延在方向両端を挿入する。そして、連結体31Bの内面におけるチューブ21との接続部分にフラックスを塗布してロウ付けし、これにより、連結体31Bとチューブ21とを接続する。その後、連結体31Bにタンク成形体(アッパータンク)31Aを結合してタンク部材31を形成し、タンク部材31の延在方向(図示矢印Y方向)の両端をキャップ32で塞ぐ。このようにして組み立てられた構成にサイドプレート4を取り付ける。
【0024】
図1及び図2に示すように、サイドプレート4は、本体部41が取付部42よりもチューブ21側に配置された状態で、係合部43(図3)によってヘッダタンク3のキャップ32の側面32Aに取り付けられる。
【0025】
ここで、図3を参照しつつサイドプレート4の係合部43について述べる。図3では、説明に必要な構成部分を図示しており、適宜図示を省略している。係合部43の第1孔部43Aは、本体部41と取付部42との境界部Fから本体部41の延在方向(図示矢印X方向と反対方向)に延在している。
【0026】
第1孔部43Aの延在方向(図示矢印X方向と反対方向)及び幅方向(図示矢印Z方向)の長さは、キャップ32の側面32Aを起点として延在する突起部32Bの延在方向(図示矢印X方向と反対方向)及び幅方向(図示矢印Z方向)の長さよりも僅かに長くなっている。係合部43の第2孔部43Bは、境界部Fで第1孔部43Aに繋がり、取付部42の延在方向(図示矢印Y方向)に延在している。第2孔部43Bの幅方向(図示矢印Z方向)の長さは、突起部32Bの幅方向(図示矢印Z方向)の長さよりも僅かに長くなっている。
【0027】
図3の例では、キャップ32の側面32Aにおいて、間隔を開けて2つの突起部32Bが設けられている。サイドプレート4は、図3の(a)及び(b)に示すように、本体部41の延在方向(図示矢印X方向)に交差する幅方向(図示矢印Z方向)に、上述の係合部43の2つが間隔を開けて、2つの突起部32Bに対応する位置に設けられている。なお、キャップ32の側面32Aに設けられる突起部32Bの数(すなわち、サイドプレート4に設けられる係合部43の数)は、これに限定されず、単数又は何れの複数であってもよい。
【0028】
係合部43を有するサイドプレート4をキャップ32の側面32Aに取り付けるには、先ず、サイドプレート4を本体部41が取付部42よりもチューブ21側となるように配置し、一対のヘッダタンク3間において、側面32Aの突起部32Bが設けられた面32A-1(図2)に、取付部42における本体部41と対向する側とは反対側の面が接触するように、サイドプレート4を熱交換コア部2におけるチューブ21及びフィン22の積層方向(図示矢印Y方向)両端の外側からその積層方向両端のフィン22に向けて(そのフィン22に接触するまで)移動させる。
【0029】
この際、図3の例では、熱交換コア部2に取り付けたヘッダタンク3のキャップ32に対し、サイドプレート4を図示矢印Y方向と反対方向に動かす。突起部32Bは、その延在方向(図示矢印X方向と反対方向)が取付部42の面方向に対して略垂直であり、第1孔部43Aの延在方向(図示矢印X方向と反対方向)と略平行である。この状態の突起部32Bは、サイドプレート4のこのような動作により、取付部42に干渉することなく第1孔部43A内に配置された後、第1孔部43Aを介して第2孔部43Bの延在方向(図示矢印Y方向)端部に配置される(図3の(a))。その後、カシメ(例えば熱カシメ)により、突起部32Bの先端32B-1を屈曲させ、その屈曲した突起部32Bの先端32B-1と第2孔部43Bの延在方向端部とを係合固定させる(図3の(b))。
【0030】
なお、図3の(b)では、突起部32Bの先端32B-1を図示矢印Y方向側へと屈曲させているが、この例に限定されず、先端32B-1が第2孔部43Bと係合する方向であれば何れの方向側に屈曲してもよく、例えば図3の図示矢印Z方向側又はその反対方向側に屈曲してもよい。
【0031】
このように、本実施形態では、第1孔部43A及び第2孔部43Bからなる係合部43を有するサイドプレート4をキャップ32の突起部32Bに干渉することなく容易にヘッダタンク3のキャップ32の側面32Aに取り付けることができる。すなわち、本実施形態では、サイドプレート4がヘッダタンク3の側面に干渉することなく好適に接続された熱交換器1を構成することができる。
【0032】
以下に、本実施形態の変形例1、2について述べる。なお、変形例1、2において、上述の実施形態と同一の内容については説明を省略する。また、図4図6においても図3と同様に、説明に必要な構成部分のみを図示しており、適宜図示を省略する。
【0033】
[変形例1]
変形例1では、熱交換器1は、図3の2つの係合部43に代えて図4の(a)、(b)に示す2つの係合部44を設けたサイドプレート4Aを備える。図4に示すサイドプレート4Aの係合部44は、取付部42Aにおける本体部41側(境界部F側)とは反対側の端部から取付部42Aの延在方向(図示矢印Y方向と反対方向)に延在する第1孔部44Aと、第1孔部44Aに繋がり取付部42Aにおける第1孔部44Aの延在方向に交差する方向(取付部42Aの幅方向(図示矢印Z方向))に延在する第2孔部44Bとを有する。
【0034】
第1孔部44Aの幅方向(図示矢印Z方向)の長さは、キャップ32の側面32Aを起点として延在する突起部32Bの幅方向(図示矢印Z方向)の長さよりも僅かに長くなっている。第2孔部44Bの幅方向(図示矢印Y方向)の長さは、突起部32Bの高さ方向(図示矢印Y方向)の長さよりも僅かに長くなっている。
【0035】
変形例1では、上述の例とは異なり、次のようにして熱交換器1を組み立てる。具体的には、予め、サイドプレート4Aの取付部42Aをキャップ32に取り付けておく。ここで、サイドプレート4Aは、本体部41が取付部42Aよりもチューブ21側に配置される状態で、係合部44によってキャップ32の側面32Aに取り付けられる。
【0036】
次に、複数のチューブ21及び複数のフィン22により熱交換コア部2を形成し、連結体(ロワータンク)31Bに複数のチューブ21の延在方向両端を挿入する。そして、連結体31Bの内面におけるチューブ21との接続部分にフラックスを塗布して連結体31Bとチューブ21とを接続した後、連結体31Bにタンク成形体(アッパータンク)31Aを結合してタンク部材31を形成する。
【0037】
その後、タンク部材31の両端をキャップ32で塞ぐ。キャップ32は、サイドプレート4Aの延在方向両端に取り付けられていることから、熱交換コア部2に接続されている上下一対のタンク部材31の延在方向(図示矢印Y方向)両端において、上下2つの開口が同時に塞がれる。
【0038】
係合部44を有するサイドプレート4Aにキャップ32の側面32Aを取り付けるには、図4に示すように、サイドプレート4Aを本体部41が取付部42Aよりもチューブ21側となるように配置し、側面32Aの突起部32Bが設けられた面32A-1(図2)を取付部42Aにおける本体部41と対向する側とは反対側の面に接触させつつ、突起部32Bが第1孔部44Aを介して第2孔部44B内に配置されるように、サイドプレート4Aに対してキャップ32を動かす。なお、言うまでもないが、キャップ32に対してサイドプレート4Aを動かすようにしてもよく、その場合も同様の取り付けができる。
【0039】
この際、図4の例では、サイドプレート4Aに対し、キャップ32を図示矢印Y方向と反対方向に動かしてから図示矢印Z方向に動かす。突起部32Bは、その延在方向(図示矢印X方向と反対方向)が取付部42Aの面方向に対して略垂直である。この状態の突起部32Bは、キャップ32のこのような動作により、取付部42Aに干渉することなく第1孔部44A内におけるその本体部41側(境界部F側)とは反対側の端部からその延在方向(図示矢印Y方向と反対方向)端部へと配置された後、第1孔部44Aを介して第2孔部44B内におけるその延在方向(図示矢印Z方向)端部へと配置される。
【0040】
このようにして突起部32Bが、第1孔部44Aを介して第2孔部44Bの延在方向(図示矢印Z方向)端部に配置された後(図4の(a))、カシメ(例えば熱カシメ)により、突起部32Bの先端32B-1を屈曲させ、その屈曲した突起部32Bの先端32B-1と第2孔部44Bの延在方向端部とを係合固定させる(図4の(b))。
【0041】
なお、図4の(b)の例においても、突起部32Bの先端32B-1を図示矢印Y方向側へと屈曲させているが、この例に限定されず、先端32B-1が第2孔部44Bと係合する方向であれば何れの方向側に屈曲してもよく、例えば図4の図示矢印Z方向側、又は図示矢印Y方向と反対方向側に屈曲してもよい。
【0042】
このように、変形例1では、第1孔部44A及び第2孔部44Bからなる係合部44を有するサイドプレート4Aを容易にヘッダタンク3のキャップ32の側面32Aに取り付けることができ、サイドプレート4Aがヘッダタンク3の側面に干渉することなく好適に接続された熱交換器1を構成することができる。
【0043】
[変形例2]
変形例2では、熱交換器1は、図3のサイドプレート4に代えて図5図6のサイドプレート4Bを備える。サイドプレート4Bは、図4のサイドプレート4Aと基本的に同様の構成であるが、取付部42Bの延在方向(図5図6の図示矢印Y方向と反対方向)の長さが、図4のサイドプレート4Aの取付部42Aの延在方向(図4の図示矢印Y方向)の長さよりも短く、キャップ32の側面32Aの延在方向(図5図6の図示矢印Y方向と反対方向)の長さと略同一となっている。
【0044】
サイドプレート4Bの係合部45は、取付部42Bにおける本体部41側(境界部F側)とは反対側の端部から取付部42Bの延在方向(図6の図示矢印Y方向)に延在する第1孔部45Aと、第1孔部45Aに繋がり取付部42Bにおける第1孔部45Aの延在方向に交差する方向(取付部42Bの幅方向(図示矢印Z方向))に延在する第2孔部45Bとを有する。
【0045】
変形例2では、変形例1のサイドプレート4Aと基本的に同様の構成であるサイドプレート4Bを、サイドプレート4Aの配置状態とは異なり、取付部42Bを本体部41よりもチューブ21側に配置する。サイドプレート4Bは、このように配置することで、上述の実施形態の図1図3と同様に、熱交換コア部2Bに取り付けたヘッダタンク3のキャップ32の側面32Aに取り付けることができる。
【0046】
すなわち、変形例2では、上述の実施形態の図1図3の例と同様に、サイドプレート4Bの取り付けを行う前に、熱交換器1のその他の構成を組み立てる。サイドプレート4Bは、図5及び図6に示すように、取付部42Bが本体部41よりもチューブ21側に配置された状態で、係合部45によってキャップ32の側面32Aに取り付けられる。このような変形例2の熱交換器1は、図2の熱交換コア部2よりも多くのチューブ21及びフィン22を交互に有する熱交換コア部2Bを設ける。
【0047】
係合部45を有するサイドプレート4Bをキャップ32の側面32Aに取り付けるには、図5図6に示すように、先ず、サイドプレート4Bを取付部42Bが本体部41よりもチューブ21側となるように配置し、一対のヘッダタンク3間において、側面32Aの突起部32Bが設けられた面32A-1(図5)に、取付部42Bにおける本体部41と対向する側とは反対側の面が接触するように、サイドプレート4Bを熱交換コア部2Bにおけるチューブ21及びフィン22の積層方向(図示矢印Y方向)両端の外側からその積層方向両端のフィン22に向けて(そのフィン22に接触するまで)移動させる。
【0048】
この際、図6の例では、熱交換コア部2Bに取り付けたヘッダタンク3のキャップ32に対し、サイドプレート4Bを図示矢印Y方向と反対方向に動かしてから図示矢印Z方向と反対方向に動かす。突起部32Bは、その延在方向(図示矢印X方向と反対方向)が取付部42Bの面方向に対して略垂直である。この状態の突起部32Bは、サイドプレート4Bのこのような動作により、取付部42Bに干渉することなく第1孔部45A内における本体部41側(境界部F側)とは反対側の端部からその延在方向(図示矢印Y方向)端部へと配置された後、第1孔部45Aを介して第2孔部45B内におけるその延在方向(図示矢印Z方向)端部へと配置される(図6の(a))。
【0049】
そして、カシメ(例えば熱カシメ)により、突起部32Bの先端32B-1を屈曲させ、その屈曲した突起部32Bの先端32B-1と第2孔部45Bの延在方向(図示矢印Z方向)端部とを係合固定させる(図6の(b))。
【0050】
なお、図6の(b)の例においても、突起部32Bの先端32B-1を図示矢印Y方向側へと屈曲させているが、この例に限定されず、先端32B-1が第2孔部45Bと係合する方向であれば何れの方向側に屈曲してもよく、例えば図6の図示矢印Z方向側、又は図示矢印Y方向と反対方向側に屈曲してもよい。
【0051】
このように、変形例2では、第1孔部45A及び第2孔部45Bからなる係合部45を有するサイドプレート4Bをキャップ32の突起部32Bに干渉することなく容易にヘッダタンク3のキャップ32の側面32Aに取り付けることができる。すなわち、変形例2では、サイドプレート4Bがヘッダタンク3の側面に干渉することなく好適に接続された熱交換器1を構成することができる。
【0052】
以上、本実施形態及びその変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0053】
上述の実施形態、変形例1及び変形例2では、サイドプレート4、4A、4Bをヘッダタンク3におけるキャップ32の側面32Aに取り付ける例について説明したが、この例に限定されない。例えば、サイドプレート4、4A、4Bは、ヘッダタンク3における連結体(ロワータンク)31Bの側面に取り付けるようにしてもよい。その場合も、サイドプレート4、4A、4Bを連結体31Bの側面に設けた突起部(図示せず)に干渉することなく容易に連結体31Bの側面に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0054】
1:熱交換器、2,2B:熱交換コア部、3:ヘッダタンク、4,4A,4B:サイドプレート、21:チューブ、22:フィン、31:タンク部材、31A:タンク成形体(アッパータンク)、31B:連結体(ロワータンク)、32:キャップ(タンクキャップ)、32A 側面、32A-1:側面32Aの突起部32Bが設けられた面、32B:突起部、32B-1:先端、33:流入口、34:流出口、41:本体部、42,42A,42B:取付部、43~45:係合部、43A,44A,45A:第1孔部、43B,44B,45B:第2孔部、F:境界部
図1
図2
図3
図4
図5
図6