(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075920
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20240529BHJP
F28F 1/00 20060101ALI20240529BHJP
F28F 11/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F28F9/02 301D
F28F1/00 D
F28F11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187187
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 優一郎
(57)【要約】
【課題】ヘッダタンク201,202内に設けられる仕切部23のろう付け不良に起因したヘッダタンクにおける漏れを簡便且つ精度良く検出する。
【解決手段】 複数のチューブと、複数の前記チューブの両端に接続された一対のヘッダタンクと、を備えた熱交換器であって、前記ヘッダタンクには、内部を複数の領域に区分けする仕切部が設けられ、前記ヘッダタンクの内壁と前記仕切部との接合部は、前記複数の領域のうち、一方側の領域において前記仕切部と接合する第1接合部と、他方側の領域において前記仕切部と接合する第2接合部と、前記第1接合部と前記第2接合部との間に前記仕切部に沿って形成される間隙と、前記間隙と前記ヘッダタンクの外部と連通する連通孔と、を有する、熱交換器を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチューブと、複数の前記チューブの両端に接続された一対のヘッダタンクと、を備えた熱交換器であって、
前記ヘッダタンクには、内部を複数の領域に区分けする仕切部が設けられ、
前記ヘッダタンクの内壁と前記仕切部との接合部は、
前記複数の領域のうち、一方側の領域において前記仕切部と接合する第1接合部と、
他方側の領域において前記仕切部と接合する第2接合部と、
前記第1接合部と前記第2接合部との間に前記仕切部に沿って形成される間隙と、
前記間隙と前記ヘッダタンクの外部と連通する連通孔と、を有する、熱交換器。
【請求項2】
前記接合部は、前記ヘッダタンクの内壁に前記仕切部に沿って設けられた溝であり、
前記溝は、前記ヘッダタンクの内側に向かうほど拡幅し、
前記溝の一方の側壁と前記仕切部とが接合して第1接合部を構成し、
前記溝の他方の側壁と前記仕切部とが接合して第2接合部を構成する、請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記連通孔は、前記溝に沿って複数設けられ、
少なくとも1つの前記連通孔が、前記ヘッダタンクの長手方向一端側に設けられた、請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
前記ヘッダタンクの長手方向一端側に設けられた前記連通孔が鉛直方向の下側となるよう設置した、請求項3記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、特に、一対のヘッダタンクの間に複数のチューブを配列した熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対のヘッダタンクと、一対のヘッダタンクの間に並列に配置された複数のチューブからなる熱交換コア部と、を備えた熱交換器が知られている。このような熱交換器では、ヘッダタンクを介して熱交換コア部に冷媒などの熱媒体を流し、この熱媒体と複数のチューブ間を通過する空気などの他の熱媒体との間で熱交換を行わせる(例えば、特許文献1)。
【0003】
上述の熱交換器には、ヘッダタンク内部を仕切部によって複数の領域に区分けすると共に、区分けされた領域に対応させて熱交換コア部内のチューブを群分けすることで、例えば、一方のヘッダタンクから一部のチューブを介して他方のヘッダタンクへ向かう流れと、他方のヘッダタンクから残りのチューブを介して一方のヘッダタンクへ向かう流れ等の異なる方向の熱媒体の流れを形成するものがある。
ここで、ヘッダタンクでは、仕切部をヘッダタンク内部の所定の位置にろう付けして固定することで、ヘッダタンク内部に互いに独立した複数の領域を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の熱交換器において、仕切部とヘッダタンクとのろう付けが良好に行われていない場合は、ヘッダタンクから熱媒体が漏れたり、ヘッダタンク内の複数の熱媒体流路間にバイパス漏れが生じたりする等の虞がある。このため、ヘッダタンクと仕切部とのろう付けの良否を簡便且つ精度良く検査できることが望ましい。しかしながら、仕切部はヘッダタンク内部に設けられることから、仕切部のろう付けの良否の検査が煩雑且つ難しい、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッダタンク内に設けられる仕切部のろう付け不良に起因したヘッダタンクにおける漏れを簡便且つ精度良く検出すること、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、複数のチューブと、複数の前記チューブの両端に接続された一対のヘッダタンクと、を備えた熱交換器であって、前記ヘッダタンクには、内部を複数の領域に区分けする仕切部が設けられ、前記ヘッダタンクの内壁と前記仕切部との接合部は、前記複数の領域のうち、一方側の領域において前記仕切部と接合する第1接合部と、他方側の領域において前記仕切部と接合する第2接合部と、前記第1接合部と前記第2接合部との間に前記仕切部に沿って形成される間隙と、前記間隙と前記ヘッダタンクの外部と連通する連通孔と、を有する、熱交換器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヘッダタンク内に設けられる仕切部のろう付け不良に起因したヘッダタンクにおける漏れを簡便且つ精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器の外観を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る熱交換器に適用されるヘッダタンクであって、実施例1のヘッダタンクの外観を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る熱交換器に適用されるヘッダタンクであって、実施例2のヘッダタンクの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る熱交換器の概略構成の一例を示している。
図1に示すように、熱交換器1は、第1ヘッダタンク11と、第2ヘッダタンク12と、第1ヘッダタンク11と第2ヘッダタンク12との間に形成された熱交換コア部10とを備えている。
【0012】
熱交換コア部10は、複数のチューブ100と、隣り合うチューブ100の間に設けられたフィン(不図示)と、複数のチューブ100の配列方向の両端に設けられた一対のサイドプレート101とを有している。熱交換器1では、第1ヘッダタンク11又は第2ヘッダタンク12を介して熱交換コア部10のチューブ100を図中Z方向に流れる熱媒体(冷媒を含む)と、熱交換コア部10を図中Y方向に沿って通過する流体(例えば、空気)との間で熱交換が行われる。
【0013】
第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12は、図示X方向に延在する筒状の部材であり、この延在方向に沿って第1ヘッダタンク11と第2ヘッダタンク12との間に複数のチューブ100が並列配置されている。また、チューブ100は、第1ヘッダタンク11と第2ヘッダタンク12との間で図示Y方向(空気の通過方向)に沿って2列並べられている。各チューブ100は、図示Z方向に沿って延在し、各チューブ100の一端が第1ヘッダタンク11に接続され、他端が第2ヘッダタンク12に接続されている。
【0014】
第1ヘッダタンク11の内部には、複数の区分け領域が形成されている。具体的には、第1ヘッダタンク11の内部は、熱交換コア部10の図示Y方向に2列並べられた複数のチューブ100のうち、一方側の列に配置されたチューブ100に対応する領域と、他方側の列に配置されたチューブ100に対応する領域の2つの領域に区分けされている(
図2等参照)。第1ヘッダタンク11の長手方向の一端において、区分けされた一方の領域に熱媒体の流入口E1が設けられ、他方の領域に熱媒体の流出口(不図示)が設けられている。流入口E1には、流入配管2が接続され、流出口(不図示)には流出配管3が接続されている。
【0015】
第2ヘッダタンク12の内部にも、複数の区分け領域が形成されている。第2ヘッダタンク12の内部は、熱交換コア部10の図示Y方向に2列並べられた複数のチューブ100のうち、一方側の列に配置されたチューブ100に対応する領域と、他方側の列に配置されたチューブ100に対応する領域の2つの領域に区分けされている。
【0016】
以下、上述した熱交換器1の第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12として適用されるヘッダタンクの実施例について説明する。
【0017】
(実施例1)
実施例1に係るヘッダタンク201について、
図2から
図7を用いて説明する。
図2は、ヘッダタンク201について、チューブ100が接続される面が底面となるように示した斜視図であり、
図3は、ヘッダタンク201の上面図であって、チューブ100が接続される面と反対側の面を示しており、
図4は、ヘッダタンクの底面図であって、チューブ100が接続される面を示している。
図5は、
図4のA-A断面図であり、
図6は、
図5のC部の拡大図であり、
図7は、
図4のB-B断面図である。
【0018】
図2~
図7に示すように、ヘッダタンク201は、断面が矩形状であり、図示X方向に延在する筒状の部材である。ヘッダタンク201には、内部を複数の領域に区分けする仕切部23が設けられている。図示の例では、仕切部23は、ヘッダタンク201内部において長手方向(図示X方向)に沿って設けられる板状の部材であり、短手方向の中央部にて、仕切部23の一対の長辺がヘッダタンク201の上面(図示Z方向の上側面)及び底面(図示Z方向の下側面)の内壁にそれぞれ接合するように設けられる。これにより、ヘッダタンク201の内部が長手方向(図示X方向)に沿う第1領域21及び第2領域22の2つの領域に区分けされる。
【0019】
仕切部23と、ヘッダタンク201内壁との接合部について説明する。
図4~
図7に示すように、ヘッダタンク201の底面(図示Z方向の下側面)の内壁には、仕切部23が接合した際に、仕切部23の長辺に沿うように設けられた溝24が設けられている。
図6に示すように、溝24の側壁24A,24Bは、溝24の底面に向かって溝24の幅が狭まるように傾斜するテーパ面となっている。つまり、溝24はヘッダタンク201の内側に向かうほど拡幅している。
【0020】
ヘッダタンク201の内壁と仕切部23との接合部25は、第1領域21において仕切部23の縁部と溝24の一方の側壁24Aとが接合する第1接合部25Aと、第2領域22において仕切部23の縁部と溝24の他方の側壁24Bとが接合する第2接合部25Bとを含んでいる。
【0021】
また、第1接合部25Aと第2接合部25Bとの間に、仕切部23の溝24に対向する縁部23A、第1接合部25A、第2接合部25B、及び、溝24の底面によってヘッダタンク201の長手方向に沿う間隙26が形成される。溝24の底面には、間隙26とヘッダタンク201の外部とを連通する連通孔27が予め定められた間隔をあけて、複数設けられている。なお、図示の例では、連通孔27は、溝24に沿って等間隔に複数設けられているが、必ずしも等間隔に設ける必要はなく、例えば、少なくとも1つの連通孔27をヘッダタンク201の長手方向一端側に設けると共に、その他の連通孔27を所望の間隔で設けるようにしてもよい。
【0022】
ヘッダタンク201の底面には、連通孔27と干渉しない位置に、各チューブ100の一端部が挿入される複数のスリット28が所定の間隔をあけて設けられている。複数のスリット28の配列間隔は、熱交換器1におけるチューブ100の配列間隔に対応している。スリット28にチューブ100の端部が挿入されて固定されることで、各チューブ100とヘッダタンク201とが連通し、ヘッダタンク201とチューブ100との間で熱媒体が流通可能となる。
【0023】
ヘッダタンク201は、長手方向の両端部にキャップ29が設けられることで閉塞される。なお、図示の例では、キャップ29は、ヘッダタンク201の端部に嵌合する板状部材であり、キャップ29の周縁部がヘッダタンク201の内壁に接合すると共に、仕切部23の端部と接合する。これにより、ヘッダタンク201を閉塞すると共に、第1領域21及び第2領域22を互いに連通しない独立した領域とすることができる。
【0024】
(実施例2)
実施例2に係るヘッダタンク202について、
図8から
図11を用いて説明する。
図8は、ヘッダタンク202について、チューブ100が接続される面が上面となるように示した斜視図であり、
図9は、ヘッダタンク202の上面図であって、チューブ100が接続される面を示しており、
図10は、ヘッダタンクの底面図であって、チューブ100が接続される面と反対側の面を示している。
図11は、
図9のD-D断面図である。なお、
図10のE-E断面図は
図5と共通するので図示を省略し、
図5及び
図6を参照する。
【0025】
図8~
図11に示すように、ヘッダタンク202は、上述した実施例1に係るヘッダタンク201と同様に、断面が矩形状であり、図示X方向に延在する筒状の部材である。図中、ヘッダタンク202において、ヘッダタンク201と同一の機能の部位には同一符号を付している。ヘッダタンク201は、溝24、連通孔27、及び、スリット28が全てヘッダタンク201の底面に集約して設けられているが、ヘッダタンク202は、上面にスリット28が設けられると共に、底面に溝24と連通孔27が設けられる点で相違し、その他の点においては共通する。
【0026】
すなわち、ヘッダタンク202においても、内部を複数の領域に区分けする仕切部23が設けられ、図示の例では、仕切部23は、ヘッダタンク202内部において長手方向(図示X方向)に沿って設けられる板状の部材であり、短手方向の中央部にて、仕切部23の一対の長辺がヘッダタンク202の上面(図示Z方向の上側面)及び底面(図示Z方向の下側面)の内壁にそれぞれ接合するように設けられる。これにより、ヘッダタンク202の内部が長手方向(図示X方向)に沿う第1領域21及び第2領域22の2つの領域に区分けされる。
【0027】
また、ヘッダタンク202の底面(図示Z方向の下側面)の内壁には、仕切部23が接合した際に、仕切部23の長辺に沿う溝24が設けられている。溝24はヘッダタンク202の内側に向かうほど拡幅するように、溝24の側壁24A,24Bがテーパ面となっている。
【0028】
ヘッダタンクの内壁と仕切部23との接合部25は、第1領域21において仕切部23の縁部と溝24の一方の側壁24Aとが接合する第1接合部25Aと、第2領域22において仕切部23の縁部と溝24の他方の側壁24Bとが接合する第2接合部25Bとを含んでいる(
図5及び
図6参照)。
【0029】
また、第1接合部25Aと第2接合部25Bとの間に、仕切部23の溝24に対向する縁部23A、第1接合部25A、第2接合部25B、及び、溝24の底面によってヘッダタンク202の長手方向に沿う間隙26が形成される。溝24の底面には、間隙26とヘッダタンク202の外部とを連通する連通孔27が予め定められた間隔をあけて、複数設けられている。なお、図示の例では、連通孔27は、溝24に沿って等間隔に複数設けられているが、必ずしも等間隔に設ける必要はなく、例えば、少なくとも1つの連通孔27をヘッダタンク202の長手方向一端側に設けると共に、その他の連通孔27を所望の間隔で設けるようにしてもよい。
【0030】
ヘッダタンク202の上面には、各チューブ100の一端部が挿入される複数のスリット28が所定の間隔をあけて設けられている。複数のスリット28の配列間隔は、熱交換器1におけるチューブ100の配列間隔に対応している。スリット28にチューブ100の端部が挿入されて固定されることで、各チューブ100とヘッダタンク202とが連通し、ヘッダタンク202とチューブ100との間で熱媒体が流通可能となる。
【0031】
ヘッダタンク202は、長手方向の両端部にキャップ29が設けられることで閉塞される。なお、図示の例では、キャップ29は、ヘッダタンク202の端部に嵌合する板状部材であり、キャップ29の周縁部がヘッダタンク202の内壁に接合すると共に、仕切部23の端部と接合する。これにより、ヘッダタンク202を閉塞すると共に、第1領域21及び第2領域22を互いに連通しない独立した領域とすることができる。
【0032】
このように構成された実施例1に係るヘッダタンク201及び実施例2に係るヘッダタンク202は、いずれも
図1に示す熱交換器1の第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12として適用することができる。ヘッダタンク201又はヘッダタンク202は、熱交換器1の用途や配置方向に応じて、適宜選択して適用することが好ましい。
【0033】
以下、ヘッダタンク201又はヘッダタンク202を熱交換器1に適用する場合について説明する。なお、以下の説明は、ヘッダタンク201とヘッダタンク202の双方に共通する内容であるため、代表してヘッダタンク201について説明することとして重複説明を省略する。
【0034】
熱交換器1は、第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12として適用するヘッダタンク201の他に、チューブ100、サイドプレート101、及びポート(流入口E1及び流出口)を含む全ての部材が組み立てられた状態で、加熱炉内に挿入され、各部材がろう付けにより接合される。ヘッダタンク201と仕切部23との接合部にもろう材がクラッドされており、接合部25の縁部が溝24にろう付けされて仕切部23とヘッダタンク201とが接合される。
【0035】
このとき、
図5、
図6に示すように、ヘッダタンク201と仕切部23とは、第1領域21において仕切部23の縁部と溝24の一方の側壁24Aとが接合する第1接合部25Aと、第2領域22において仕切部23の縁部と溝24の他方の側壁24Bとが接合する第2接合部25Bとによって接合される。
【0036】
すなわち、ヘッダタンク201では、仕切部23とヘッダタンク201との接合箇所(ろう付け面)が第1接合部25Aと第2接合部25Bとの2箇所となり、仕切部23の縁部と接合する側壁24A,24Bがテーパ面であることから、仕切部23の位置決めが容易となり、ろう付け面の位置ずれが生じにくくなる。また、側壁24A,24Bのテーパ面により、ろう付け時にろう材が集まり易くなるため、ろう付け性が向上する。
【0037】
ヘッダタンク201と仕切部23とが、第1接合部25Aと第2接合部25Bとの2箇所において接合されることで、第1接合部25Aと第2接合部25Bとの間にヘッダタンク201の長手方向に沿う間隙26が形成される。間隙26は、連通孔27によってヘッダタンク201の外部と連通していることから、ろう付け不良が生じて第1接合部25A及び第2接合部25B少なくとも何れか一方が完全に接合されていない場合には、第1領域21及び第2領域22の少なくとも何れか一方がヘッダタンク201の外部と連通することとなる。
【0038】
このため、第1接合部25A又は第2接合部25Bが完全に接合されていないヘッダタンク201に熱媒体を流通させた場合には、第1領域21又は第2領域22を通過する熱媒体が、間隙26に漏れ出て、さらに、間隙26から連通孔27を介してヘッダタンク201の外部に漏出される。
【0039】
つまり、上述のように構成されたヘッダタンク201を備えた熱交換器1に対して、例えば、熱媒体に代えて空気等を流通させることで、漏れ検査を行うことができる。すなわち、熱交換器1の流入口E1に空気を流すと、ヘッダタンク201と仕切部23とのろう付けが良好で完全に接合されている場合には、連通孔27から空気が漏れ出ることがなく、空気圧が低下しない。
【0040】
一方で、ろう付け不良によって何れかの箇所が完全に接合されていない場合は、空気が連通孔27から漏れ出て、空気圧が低下することとなる。連通孔27からの空気の漏れ、空気圧の低下によりヘッダタンク201と仕切部23との接合が完全でないこと、すなわち、ろう付け不良を検出することができる。なお、連通孔27をヘッダタンク201の延在方向に複数設けた場合、ろう付け不良の発生箇所を特定し易くなるため、製造工程の改善がし易くなる。
【0041】
また、熱交換器1が蒸発器として用いられた場合には、間隙26に付着したドレン水を連通孔27によってヘッダタンク201の外部に排出することができる。特に、連通孔27をヘッダタンク201の端部に設けた場合には、当該端部に設けられた連通孔27が鉛直方向の下側となるように熱交換器1を設置することで、ドレン水を効率よく排出することができる。
【0042】
以上説明してきたように、本実施形態に係る熱交換器では、ヘッダタンク201,202内に設けられる仕切部23のろう付け不良に起因したヘッダタンクにおける漏れを簡便且つ精度良く検出することができると共に、熱交換器を蒸発器として用いた場合には、ヘッダタンクに付着するドレン水を効率よく排出することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1:熱交換器、10:熱交換コア部、23:仕切部、23A:縁部、
24:溝、24A,24B:側壁、25:接合部、26:間隙、27:連通孔、
28:スリット、29:キャップ、100:チューブ、101:サイドプレート、
201,202:ヘッダタンク