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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075924
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】シート用空調流路ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20240529BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187193
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 悟
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA04
3B084JG02
3B084JG04
3B084JG06
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】接続部材を流路蓋に対して位置ずれが生じにくいように適切に組み付けられるシート用空調流路ユニットを提供すること。
【解決手段】空調流路ユニット3は、バックパッド2のパッド裏面22に被せられてパッド裏面22に形成された凹状の通気流路23に蓋をする面状の流路蓋4と、流路蓋4に形成された接続口44にシート裏側から接続されるブロワケース6と、流路蓋4にシート表側から当てられる当接部51と、ブロワケース6を一体的に取り付け可能な取付部52と、を備えた支持部材5と、を有する。当接部51が、流路蓋4をブロワケース6との間で押し挟む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート用空調流路ユニットであって、
シートパッドのパッド裏面に被せられて前記パッド裏面に形成された凹状の通気流路に蓋をする面状の流路蓋と、
前記流路蓋に形成された接続口にシート裏側から接続される接続部材と、
前記流路蓋にシート表側から当てられる当接部と、前記接続部材を一体的に取り付け可能な取付部と、を備えた支持部材と、を有し、
前記当接部が、前記流路蓋を前記接続部材との間で押し挟むシート用空調流路ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のシート用空調流路ユニットであって、
前記当接部が、前記接続口の周囲に沿って環状に当てられるシート用空調流路ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシート用空調流路ユニットであって、
前記流路蓋が、前記接続口の周囲にシート裏側に向かって円錐台状に凹む凹部を有し、
前記当接部が、前記凹部の傾斜した内周面に面当たりするシート用空調流路ユニット。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のシート用空調流路ユニットであって、
前記取付部が、前記流路蓋の前記接続口から外れた箇所に形成された貫通孔に前記シート裏側に突出するように通される突出部とされ、
該突出部が、前記当接部の周方向に複数設けられて、その先端に前記接続部材の嵌合孔にスナップフィット嵌合する嵌合爪部を有するシート用空調流路ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のシート用空調流路ユニットであって、
前記突出部は、前記当接部の周方向に沿った幅径が突出の基端から先端に向かって先細り状になるテーパ部を有し、
前記接続部材が、前記突出部の前記接続部材への差し込みにより前記テーパ部を周方向に挟み込む挟み込み部を有するシート用空調流路ユニット。
【請求項6】
請求項4に記載のシート用空調流路ユニットであって、
前記突出部が、前記当接部の径方向の内側に向かって延びるリブを有し、
前記リブが、前記支持部材の前記流路蓋に対する周方向及び径方向の位置決めをするように前記流路蓋の切欠に差し込まれるシート用空調流路ユニット。
【請求項7】
請求項4に記載にシート用空調流路ユニットであって、
前記嵌合爪部が、前記当接部の径方向の外側に向かって張り出すシート用空調流路ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート用空調流路ユニットに関する。詳しくは、シートパッドのパッド裏面に形成された凹状の通気流路に蓋をする面状の流路蓋と、流路蓋にシート裏側から接続される接続部材と、接続部材との間で流路蓋を挟み込むように接続部材を支持する支持部材と、を有するシート用空調流路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クッションパッドのパッド裏面に被せられてパッド裏面に形成された凹状の通気流路に蓋をする 流路蓋と、流路蓋の接続口に接続されて通気流路内に風を流すブロワ(接続部材)と、を有するシート用空調流路ユニットが開示されている。ブロワが通気流路内の空気を吸い込んでクッションパッド下部に排気することで、パッド内部を効率よく通気させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-144591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ブロワは、一般にシートのフレームに組み付けられて支持される。このため、ブロワは流路蓋の接続口に対して機械的な接合がされておらず単に配置が重なるように設けられている。そのため、着座荷重によるフレームのずれ等によりブロワと接続口の配置関係がずれることで、ブロワの吸排気性能が低下する懸念がある。そこで、接続部材を流路蓋に対して位置ずれが生じにくいように適切に組み付けられるシート用空調流路ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のシート用空調流路ユニットは次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明のシート用空調流路ユニットは、シートパッドのパッド裏面に被せられてパッド裏面に形成された凹状の通気流路に蓋をする面状の流路蓋と、流路蓋に形成された接続口にシート裏側から接続される接続部材と、流路蓋にシート表側から当てられる当接部と、接続部材を一体的に取り付け可能な取付部と、を備えた支持部材と、を有する。当接部が、流路蓋を接続部材との間で押し挟む。このように、接続部材を支持部材に取り付けて当接部との間で接続口を押し挟むことで、接続部材を接続口に対して適切に位置合わせした状態で組み付けることができる。
【0007】
また、本発明のシート用空調流路ユニットは、更に次のように構成されていても良い。当接部が、接続口の周囲に沿って環状に当てられる。これにより、当接部が接続部材との間で接続口の周囲を環状に押し挟む。このため、接続口の周囲に隙間が生じにくくしてシール性を高めることができる。
【0008】
また、本発明のシート用空調流路ユニットは、更に次のように構成されていても良い。流路蓋が、接続口の周囲にシート裏側に向かって円錐台状に凹む凹部を有する。当接部が、凹部の傾斜した内周面に面当たりする。このため、当接部が流路蓋の凹部に設けられることで通気流路の空間を広く確保することができる。また、当接部が凹部の内周面に面当たりすることで流路蓋との間に隙間を生じにくくできる。これらにより、通気流路の通気性能の低下を抑制できる。
【0009】
また、本発明のシート用空調流路ユニットは、更に次のように構成されていても良い。取付部が、流路蓋の接続口から外れた箇所に形成された貫通孔にシート裏側に突出するように通される突出部とされる。突出部が、当接部の周方向に複数設けられて、その先端に接続部材の嵌合孔にスナップフィット嵌合する嵌合爪部を有する。これにより、接続部材の嵌合孔に突出部の嵌合爪部を差し込む簡便な構成で接続部材を支持部材に取り付けることができる。
【0010】
また、本発明のシート用空調流路ユニットは、更に次のように構成されていても良い。突出部は、当接部の周方向に沿った幅径が突出の基端から先端に向かって先細り状になるテーパ部を有する。接続部材が、突出部の接続部材への差し込みによりテーパ部を周方向に挟み込む挟み込み部を有する。これにより、挟み込み部がテーパ部を周方向に挟み込むことで、接続部材の支持部材に対する周方向の位置決めを簡便に行うことができる。
【0011】
また、本発明のシート用空調流路ユニットは、更に次のように構成されていても良い。突出部が、当接部の径方向の内側に向かって延びるリブを有する。リブが、支持部材の流路蓋に対する周方向及び径方向の位置決めをするように流路蓋の切欠に差し込まれる。これにより、支持部材の流路蓋に対する位置決めを簡便に行うことができる。
【0012】
また、本発明のシート用空調流路ユニットは、更に次のように構成されていても良い。嵌合爪部が、当接部の径方向の外側に向かって張り出す。これにより、嵌合爪部を接続口周辺の構成に干渉させにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る空調流路ユニットが適用されるシートバックの斜視図である。
図2】シートバックの分解斜視図である。
図3図2を前方から見た分解斜視図である。
図4】シートバックの背面図である。
図5】空調流路ユニットを外した状態を示すシートバックの背面図である。
図6】空調流路ユニットの斜視図である。
図7図6を前方から見た斜視図である。
図8】リアケースを外した状態を示す空調流路ユニットの斜視図である。
図9】ブロワケースを外した状態を示す空調流路ユニットの斜視図である。
図10図9と同じ状態を示す空調流路ユニットの背面図である。
図11図4のXI-XI線断面図である。
図12図11のXII部拡大図である。
図13図4のXIII-XIII線断面図である。
図14図13のXIV部拡大図である。
図15図10のXV-XV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図1-15を用いて説明する。以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0015】
<第1の実施形態>
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシート用空調流路ユニット(空調流路ユニット3)について説明する。図1に示すように、空調流路ユニット3は、自動車シートのシートバック1に適用される。シートバック1は、骨格を成すバックフレーム(不図示)と、バックフレームに組み付けられてクッション材を成すバックパッド2と、バックパッド2に被せられるバックカバー(不図示)と、を有する。空調流路ユニット3は、バックパッド2の背面に組み付けられる。
【0016】
図2に示すように、空調流路ユニット3は、バックパッド2の背面を覆うように組み付けられる面状の流路蓋4と、流路蓋4の接続口44に接続されるブロワケース6と、を有する。ブロワケース6は、その内部にシート空調を行うためのブロワ(不図示)が収容されるようになっている。また、空調流路ユニット3は、流路蓋4にブロワケース6を一体的に取り付けるための支持部材5を有する。支持部材5は、流路蓋4にシート表側から組み付けられるようになっている。支持部材5は、シート裏側に向かって突き出る突出部52を有する。図9に示すように、突出部52は、支持部材5の流路蓋4への組み付けにより流路蓋4を貫通してシート裏側に向かって突出する。図6に示すように、この突出部52に、ブロワケース6が取り付けられる。これにより、ブロワケース6が流路蓋4に対して一体的に組み付けられるようになっている。ここで、突出部52が本発明の「取付部」に相当する。また、ブロワケース6が本発明の「接続部材」に相当する。
【0017】
図2及び図5に示すように、バックパッド2は、着座者の背部を弾性的に支持するパッド本体20と、パッド本体20のパッド裏面22に沿って延びる凹状の通気流路23と、を有する。パッド本体20は、ポリウレタン発泡成形体から成る。通気流路23は、シート裏側に向かって開口しており、その開口を流路蓋4により閉じられる構成とされる。また、バックパッド2は、通気流路23の底面23aの所々の箇所からパッド表面21(図3参照)まで貫通する複数の通気孔24を有する。ここで、バックパッド2が本発明の「シートパッド」に相当する。
【0018】
バックパッド2は、上記通気流路23と通気孔24とにより、ブロワによるシート空調が効率よく機能するようになっている。具体的には、ブロワがバックパッド2の後方に向かって風を送り出すことで、パッド表面21側から各通気孔24に空気が吸い込まれる。各通気孔24に吸い込まれた風は、通気流路23を通って流路蓋4の接続口44へと流されて、ブロワによりバックパッド2の後方に排気される。これにより、パッド本体20に籠る熱を風の流れと共に効率よく外部に逃がしてシートバック1の快適性を向上させることができる。本実施形態に係るブロワは、上述の通りパッド表面21側からパッド裏面22側に向かう風の流れを生じさせる構成としたが、例えばパッド裏面22側から空気を吸い込むことで着座者に向かって直接風を送り出す構成としてもよい。
【0019】
<バックパッド2>
以下、上述したシートバック1の各構成について詳しく説明する。図5に示すように、バックパッド2の通気流路23は、パッド裏面22に沿って六方向に分岐して延びる形に形成される。通気流路23は、その凹んだ先の底面23aと、底面23aの周縁から立壁状に立ち上がる側面23bと、を有する。通気流路23の周囲には、側面23bに沿ってパッド裏面22に対して窪んだ段差を形成する蓋合わせ溝23dが形成されている。蓋合わせ溝23dには、凹状の位置決め部23eが形成される。
【0020】
また通気流路23は、一部の流路幅が他の流路幅よりも比較的大きくなるように部分的に拡張された2つの拡張流路部23cを有する。各拡張流路部23cを含む通気流路23の大部分は、パッド裏面22の高さ方向の中央部よりも上部領域に設けられる。図5に示すように、各拡張流路部23cから下方に延びる流路には通気孔24が複数設けられている。このため、各通気孔24から多量の空気を通気流路23に流入できるようになっている。流入した多量の空気は、勢いよく各拡張流路部23cに流れ込む。各拡張流路部23cは、流路幅が拡張されていることにより、流れ込んだ風の流速を減少させることができるようになっている。流速が減少することで、ブロワが流入した風を適切に吸い込むことができるようになっている。上記構成により、通気流路23は、ブロワが十分な量の空気を吸い込みかつ効率よく排気できるように構成されている。
【0021】
パッド裏面22には、不織布等の面状部材から成る裏面材(不図示)が通気流路23の内周面を含めたパッド裏面22に密着するように一体成形される。裏面材は、パッド本体20の成形時にパッド本体20の発泡原料が含浸することでパッド裏面22と一体的に硬化する。これにより、パッド裏面22の剛性を高めることができる。
【0022】
<流路蓋4>
図2-4に示すように、流路蓋4は、通気流路23の形状に沿って延びるように形成された面状部材である。流路蓋4は、その面内方向の中央部に形成された蓋部41と、周縁部に形成されたパッド当接部42と、を有する。蓋部41は、通気流路23の流路空間にシート裏側から蓋をする。パッド当接部42は、通気流路23の蓋合わせ溝23dにシート裏側から重ねられるように当接する。パッド当接部42は、接着剤により蓋合わせ溝23dに接着される。これにより、流路蓋4がパッド裏面22に対して周縁が隙間なく密閉された状態に接合される。
【0023】
図4に示すように、蓋部41は、その上部領域に形成される張出蓋部41aと、下部領域に形成される面一蓋部41bと、を有する。面一蓋部41bは、パッド当接部42と略面一状に延びるように形成される。張出蓋部41aは、各拡張流路部23cを含む通気流路23の大部分を覆うように構成される。張出蓋部41aは、面一蓋部41b及びパッド当接部42からシート後方に向かって段差状に張り出した形状とされる。この段差形状により、蓋部41の曲げやねじれに対する剛性を高めることができる。また、張出蓋部41aが後方に張り出した分だけパッド本体20の厚さを確保することができる。これにより、通気流路23の流路深さをより大きく確保することができる。このため、通気流路23がシート前方からの着座荷重を受けて深さ方向に押し潰されたとしても、流路蓋4が平坦な面一形状である場合と比べて通気流路23の通風性能の低下を抑えることができる。
【0024】
図10及び図15に示すように、流路蓋4は、その上部領域に張出蓋部41a(図9参照)よりも更にシート後方に向かって段差状に張り出す凹部43を有する。凹部43は、シート後方に向かって円錐台状に張り出した形状とされる。凹部43は、その凹んだ先の底面43aと、底面43aの周囲から傾斜して広がるように延びる傾斜側面43bと、を有する。凹部43の底面43aには、中央部に比較的大きく円形状に開口する接続口44と、接続口44の上方の左右2箇所に丸孔状に小さく開口するピン孔43dと、接続口44を挟む左右2箇所に略矩形状に開口する貫通孔43cと、を有する。また、凹部43は、上下端部に互いに上下対称状に切り欠かれた切欠43eをそれぞれ有する。切欠43eは、台形状に切り欠かれた台形部43fと、台形部43fの先端から更に先細り状に切り欠かれた先鋭部43gと、を有する。
【0025】
<支持部材5>
図2-3に示すように、支持部材5は、リング板状に形成された当接部51を有する。当接部51は、その中央部に貫通する貫通孔51aを有する。図10及び図15に示すように、当接部51は、その後面の上部2箇所から後方に向かって突き出す裏側ピン54を有する。図7及び図9に示すように、当接部51は、流路蓋4の凹部43にシート前側から嵌合するように組み付けられる。この組み付けに伴い、各裏側ピン54が、凹部43のピン孔43dに差し込まれる。これにより、支持部材5が流路蓋4に対して周方向に回転しないように規制される。また図10に示すように、貫通孔51aは、接続口44に対して互いの開口の位置が背面視(面直視)で重なるように配置される。貫通孔51aの開口径は、接続口44の開口径に対して一回り小さく形成されている。図14に示すように、当接部51は、凹部43への組み付けにより接続口44の周囲に沿って環状に押し当てられる。図15に示すように、当接部51の周縁部は、凹部43の傾斜側面43bに沿って斜めにカットされている。これにより、当接部51の周縁部は、凹部43の傾斜側面43bに面当たりする。また周縁部は、傾斜側面43bの端部に覆い被さるように張り出した形状とされる。上記により、当接部51と凹部43との間に隙間を生じにくくできる。
【0026】
図7に示すように、当接部51は、凹部43への組み付けにより、その前面が蓋部41の前面との間に段差を生じることなく略面一状となるように設けられる。当接部51は、その前面の上部2箇所と下端部とから前方に向かって突き出す表側ピン55を有する。各表側ピン55は、空調流路ユニット3がバックパッド2に組み付けられる際に、バックパッド2の各位置決め部23e(図5参照)にそれぞれ差し込まれる。これにより、空調流路ユニット3をバックパッド2に対して適切に位置決めすることができる。また、当接部51は、貫通孔51aの下方の左右2箇所から前方に向かって筋状に張り出す流路リブ53を有する。
【0027】
図4に示すように、各流路リブ53は、貫通孔51aを中心に右斜め下方向又は左斜め下方向に放射状に延びる形状とされる。各流路リブ53は、各拡張流路部23cの流路内に向かって突出するように配置される。各流路リブ53は、支持部材5の剛性を高めることができる。また、各流路リブ53は、各拡張流路部23cを流れる風の障害物となることで流速を下げることができる。各流路リブ53は、各拡張流路部23cの流路幅方向における略中央箇所を通って流路軸方向に筋状に延びる形状とされる。これにより、各流路リブ53は、各拡張流路部23c内の風の流れを流路軸に沿った流れに整流できる。
【0028】
図2に示すように、支持部材5は、当接部51の後面から後方に向かって突出する突出部52を有する。各突出部52は、当接部51の周縁部に沿った4箇所の位置に設けられる。図9に示すように、各突出部52は、その先端に当接部51の径方向の外側に向かって張り出す嵌合爪部52aを有する。また、各突出部52は、その周方向の幅径が突出の基端から先端に向かって先細り状に形成されるテーパ部52bを有する。また、各突出部52は、突出方向の全域に亘って当接部51の径方向の内側に向かって張り出すリブ52cを有する。リブ52cは、その径方向の張り出し長さが突出の基端から先端に向かって先細り状となっている。
【0029】
<ブロワケース6>
図8-9に示すように、ブロワケース6は、フロントケース61とリアケース62とを有する。フロントケース61とリアケース62とは、ビス63によって互いに一体的に組み付けられる。フロントケース61は、その中央部を開口させる開口部61aを有する。フロントケース61は、その上下左右の端部に先鋭状の切欠61bをそれぞれ有する。また、フロントケース61は4つのビス受け61cを有する。
【0030】
リアケース62は、後方に向かって有底円筒状に凹む収容部62aと、収容部62aの周縁からフランジ状に張り出すフランジ部62bと、を有する。収容部62aには、不図示のブロワが収容されるようになっている。フランジ部62bは、収容部62aを挟む上下左右の4箇所の位置で矩形状に開口した貫通孔62dを有する。図6に示すように、各貫通孔62dには、支持部材5の突出部52が差し込まれて嵌合するようになっている。また、フランジ部62bは、フロントケース61の各ビス受け61cに対応する位置に丸孔状に小さく開口する貫通孔62dを有する。各ビス63は、各貫通孔62dを通って各ビス受け61cに接続される。
【0031】
<空調流路ユニット3の組み付け>
以下、上述した空調流路ユニット3の各構成の組み付け手順について詳しく説明する。まず、図9に示すように、支持部材5をシート表側から流路蓋4に組み付ける。具体的には、支持部材5の突出部52をシート裏側に向けた状態で、当接部51を流路蓋4の凹部43に嵌め付けるように組み付ける。これにより、図9-10に示すように、各突出部52が、貫通孔43c又は切欠43eに通されてシート裏側に貫通する。このとき、上下の突出部52のリブ52cが、切欠43eの先鋭部43gに差し込まれるように組み付けられる。また、リブ52cが貫通孔43cの内周縁に当接する。これらにより、支持部材5を流路蓋4に対して周方向及び径方向に適切に位置決めした状態で組み付けることができる。図14-15に示すように、当接部51が凹部43に嵌め付けられると、当接部51の周縁部が凹部43の傾斜側面43bに面当たりする。これにより、当接部51を凹部43に対して隙間なく設けることができる。このため、当接部51と凹部43との間から空気が漏れ出して通風性能が低下することを抑制できる。また、図15に示すように、当接部51の各裏側ピン54が、凹部43の各ピン孔43dに差し込まれる。これにより、当接部51の周方向のがたつきを抑えてより適切に凹部43に組み付けることができる。
【0032】
次に、ブロワケース6をシート裏側から流路蓋4に組み付ける。ブロワケース6は、実際にはフロントケース61とリアケース62とを予め一体的に組み付けた状態で流路蓋4に組み付けられる。しかし、本明細書では、説明の便宜上、図6及び図8に示すように、フロントケース61とリアケース62とを流路蓋4に別々に組み付けた状態で説明する。図8に示すように、フロントケース61は、その各切欠61bに凹部43を通って突出した各突出部52が差し込まれるように組み付けられる。各切欠61bは、各突出部52の差し込みに伴い、各突出部52のテーパ部52bを周方向の両側から挟み込むように押し当てられる。これにより、フロントケース61の支持部材5に対する周方向の位置決めを簡便に行うことができる。ここで、各切欠61bが本発明の「挟み込み部」に相当する。
【0033】
上記支持部材5との組み付けにより、図14に示すように、フロントケース61は流路蓋4の接続口44の周囲に沿って環状に押し当てられる。これにより、支持部材5の当接部51とフロントケース61との間で、接続口44の周囲が押し挟まれるようになっている。このため、接続口44の周囲に隙間が生じにくくなりシール性を高めることができる。それにより、接続口44の周囲から空気が漏れにくくなり、接続口44に接続されるブロワが適切に空気を吸い込むことができる。
【0034】
図6に示すように、リアケース62は、その各嵌合孔62cに各突出部52が差し込まれるように組み付けられる。各嵌合孔62cに差し込まれた各突出部52は、その先端の嵌合爪部52aが各嵌合孔62cにスナップフィット嵌合する。これにより、リアケース62が支持部材5に対して簡便かつ適切に位置決めされた状態で支持される。また、各嵌合爪部52aが径方向の外側に向かって張り出していることにより、各嵌合爪部52aがリアケース62の収容部62aに干渉することを抑制できる。
【0035】
上記のように、フロントケース61とリアケース62とが、支持部材5の突出部52により支持部材5及び流路蓋4に対して組み付けられる。すなわち、重量物であるブロワを内蔵するブロワケース6をシートバック1のバックフレームに組み付けなくても、流路蓋4への組み付けのみにより適切に支えた状態に組み付けられる。そして、組み付けられた空調流路ユニット3が、バックパッド2のパッド裏面22に対して適切に位置決めされた状態で組み付けられる。上記構成により、着座荷重等の外力により流路蓋4の接続口44とブロワの配置関係がずれることを抑制できる。これにより、位置ずれによるブロワの吸排気性能の低下を適切に抑制することができる。
【0036】
以上をまとめると、第1の実施形態に係るシート用空調流路ユニットは、次のような構成とされている。以下において、括弧書きで示す符号は上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0037】
すなわち、シート用空調流路ユニット(3)は、シートパッド(2)のパッド裏面(22)に被せられてパッド裏面(22)に形成された凹状の通気流路(23)に蓋をする面状の流路蓋(4)と、流路蓋(4)に形成された接続口(44)にシート裏側から接続される接続部材(6)と、流路蓋(4)にシート表側から当てられる当接部(51)と、接続部材(6)を一体的に取り付け可能な取付部(52)と、を備えた支持部材(5)と、を有する。当接部(51)が、流路蓋(4)を接続部材(6)との間で押し挟む。このように、接続部材(6)を支持部材(5)に取り付けて当接部(51)との間で接続口(44)を押し挟むことで、接続部材(6)を接続口(44)に対して適切に位置合わせした状態で組み付けることができる。
【0038】
また、当接部(51)が、接続口(44)の周囲に沿って環状に当てられる。これにより、当接部(51)が接続部材(6)との間で接続口(44)の周囲を環状に押し挟む。このため、接続口(44)の周囲に隙間が生じにくくしてシール性を高めることができる。
【0039】
また、流路蓋(4)が、接続口(44)の周囲にシート裏側に向かって円錐台状に凹む凹部(43)を有する。当接部(51)が、凹部(43)の傾斜した内周面に面当たりする。このため、当接部(51)が流路蓋(4)の凹部(43)に設けられることで通気流路(23)の空間を広く確保することができる。また、当接部(51)が凹部(43)の内周面に面当たりすることで流路蓋(4)との間に隙間を生じにくくできる。これらにより、通気流路(23)の通気性能の低下を抑制できる。
【0040】
また、取付部(52)が、流路蓋(4)の接続口(44)から外れた箇所に形成された貫通孔(43c)にシート裏側に突出するように通される突出部(52)とされる。突出部(52)が、当接部(51)の周方向に複数設けられて、その先端に接続部材(6)の嵌合孔(62c)にスナップフィット嵌合する嵌合爪部(52a)を有する。これにより、接続部材(6)の嵌合孔(62c)に突出部(52)の嵌合爪部(52a)を差し込む簡便な構成で接続部材(6)を支持部材(5)に取り付けることができる。
【0041】
また、突出部(52)は、当接部(51)の周方向に沿った幅径が突出の基端から先端に向かって先細り状になるテーパ部(52b)を有する。接続部材(6)が、突出部(52)の接続部材(6)への差し込みによりテーパ部(52b)を周方向に挟み込む挟み込み部(61b)を有する。これにより、挟み込み部(61b)がテーパ部(52b)を周方向に挟み込むことで、接続部材(6)の支持部材(5)に対する周方向の位置決めを簡便に行うことができる。
【0042】
また、突出部(52)が、当接部(51)の径方向の内側に向かって延びるリブ(52c)を有する。リブ(52c)が、支持部材(5)の流路蓋(4)に対する周方向及び径方向の位置決めをするように流路蓋(4)の切欠(43e)に差し込まれる。これにより、支持部材(5)の流路蓋(4)に対する位置決めを簡便に行うことができる。
【0043】
また、嵌合爪部(52a)が、当接部(51)の径方向の外側に向かって張り出す。これにより、嵌合爪部(52a)を接続口(44)周辺の構成に干渉させにくくすることができる。
【0044】
<その他の実施形態>
以上、本発明を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態の他に各種の形態で実施することができるものである。
【0045】
1.シート用空調流路ユニットは、シートバックではなくシートクッションに適用されるものであっても良い。
【0046】
2.シートパッドは、自動車のシートの他に、鉄道等の自動車以外の車両、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシート、もしくは映画館等の公共施設や家庭などで使用される乗物用以外のシートにも広く適用することができるものである。通気流路は、上記実施形態で示した形状の他、パッド裏面に沿って延びる凹形状であれば任意の形状であって良い。
【0047】
3.流路蓋の接続口は、真円形状でなく楕円形状や長円形状であっても良い。また接続口は、円形状でなく角形状やその他任意の形状とされても良い。流路蓋は、周縁部だけでなく蓋部のパッド裏面と当接する部分もパッド裏面に対して接着させる構成でも良い。流路リブは、拡張流路部の流路内に突出する構成であれば、任意の形状、位置及び個数で設けられる構成であって良い。
【0048】
4.支持部材は、シート表側から接続部材をねじ止めするビス等の固定具であっても良い。
【0049】
5.当接部は、流路蓋に直接的に当てられる構成でも良いし、シール材等の別部材を介して間接的に当てられる構成であっても良い。当接部は、接続部材との間で流路蓋を押し挟むように当接していればよく、接続口の周囲に沿って環状に当てられるものでなくても良い。当接部は、円形状でなくても良く任意の形状であって良い。当接部は、接続口の形状に沿った形に形成されなくても良い。
【0050】
6.取付部は、接続部材から流路蓋を貫通してシート表側に延びる突出部が差し込まれる孔部であっても良い。上記に伴い、リブや嵌合爪部が接続部材に設けられる構成であっても良い。嵌合爪部は、径方向の内側に向かって張り出す構成であっても良い。突出部はリブを有していなくても良い。突出部はテーパ部を有していなくても良い。
【0051】
7.接続部材は、接続口の全周に沿って当てられる構成でなくても良い。ブロワケースは、単一の部材から成る構成でも良い。
【符号の説明】
【0052】
1 シートバック
2 バックパッド(シートパッド)
3 空調流路ユニット
4 流路蓋
5 支持部材
6 ブロワケース(接続部材)
20 パッド本体
21 パッド表面
22 パッド裏面
23 通気流路
23a 底面
23b 側面
23c 拡張流路部
23d 蓋合わせ溝
23e 位置決め部
24 通気孔
41 蓋部
41a 張出蓋部
41b 面一蓋部
42 パッド当接部
43 凹部
43a 底面
43b 傾斜側面
43c 貫通孔
43d ピン孔
43e 切欠
43f 台形部
43g 先鋭部
44 接続口
51 当接部
51a 貫通孔
52 突出部(取付部)
52a 嵌合爪部
52b テーパ部
52c リブ
53 流路リブ
54 裏側ピン
55 表側ピン
61 フロントケース
61a 開口部
61b 切欠(挟み込み部)
61c ビス受け
62 リアケース
62a 収容部
62b フランジ部
62c 嵌合孔
62d 貫通孔
63 ビス
図1
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