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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075968
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車両下部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B62D25/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187262
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】池田 英人
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正喜
(72)【発明者】
【氏名】武山 和樹
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB03
3D203BC09
(57)【要約】
【課題】スプラッシュカバーの組付作業を効率よく行うことが可能な車両下部構造を提供する。
【解決手段】車両下部構造100が備えるスプラッシュカバー102は、アンダカバー104の上側に設けられる本体部112と、本体部112の下部からアンダカバー104に沿って後方に膨出する膨出部114とを有する。本体部112は、アンダカバー104の側縁から上方に延びる本体主壁部118と、本体主壁部118の後縁から車幅方向内側に延びる本体後壁部120とを有する。膨出部114は、本体主壁部118から後方に延びる膨出側面部126と、膨出側面部126の後縁から車幅方向内側に屈曲して延びる膨出後面部128と、本体後壁部120から膨出側面部126の上縁および膨出後面部128の上縁にわたる膨出上面部130とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のパワープラントルームの下部を覆うアンダカバーと、該アンダカバーの側部に取り付けられるスプラッシュカバーとを備える車両下部構造において、
前記スプラッシュカバーは、
前記アンダカバーの上側に設けられる本体部と、
前記本体部の下部から前記アンダカバーに沿って後方に膨出する膨出部とを有し、
前記本体部は、
前記アンダカバーの側縁から上方に延びる本体主壁部と、
前記本体主壁部の後縁から車幅方向内側に延びる本体後壁部とを有し、
前記膨出部は、
前記本体主壁部から後方に延びる膨出側面部と、
前記膨出側面部の後縁から車幅方向内側に屈曲して延びる膨出後面部と、
前記本体後壁部から前記膨出側面部の上縁および前記膨出後面部の上縁にわたる膨出上面部とを有することを特徴とする車両下部構造。
【請求項2】
前記スプラッシュカバーはさらに、前記本体後壁部の車幅方向内側から後方に延びる延長部を有し、
前記延長部の下部は、前記膨出上面部の車幅方向内側につながっていることを特徴とする請求項1に記載の車両下部構造。
【請求項3】
前記膨出上面部は、前記延長部から車幅方向外側の下方に傾斜して延びていることを特徴とする請求項2に記載の車両下部構造。
【請求項4】
前記スプラッシュカバーはさらに、前記アンダカバーに所定の固定手段によって固定される複数の固定部を有し、
前記膨出部はさらに、前記膨出側面部の下縁から前記アンダカバーに沿って車幅方向内側に延びる膨出下面部を有し、
前記複数の固定部のうち少なくとも1つは、前記膨出下面部に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両下部構造。
【請求項5】
前記膨出部はさらに、前記膨出上面部から前記膨出側面部をわたって前記膨出下面部にまで延びる1または複数の補強リブを有することを特徴とする請求項4に記載の車両下部構造。
【請求項6】
前記延長部は、前記本体後壁部に沿って上下方向に延びる上下ビードを有することを特徴とする請求項2または3に記載の車両下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両下部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の前部のエンジンやモータ等が搭載されるパワープラントルームのうち、前輪のホイールハウスの付近には、スプラッシュカバーと呼ばれるカバー部材が組み付けられることがある。スプラッシュカバーは、パワープラントルームの底面を形成するアンダカバーの側部に取り付けられていて、空力抵抗の向上の他、泥や雨水等がパワープラントルームに浸入するのを防いでいる。
【0003】
例えば特許文献1の図3には、本願出願人による技術として、スプラッシュカバー120が開示されている。スプラッシュカバー120は、アンダカバー154の側部にクリップ166、168等を使用して組み付けられていて、エンジンルームの側壁の一部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-240589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1のスプラッシュカバー120は、アンダカバー154に組み付ける際に、複数の底部固定孔126、128の位置を合わせる必要がある。しかしながら、スプラッシュカバー120とアンダカバー154を重ねただけの初期位置においては孔同士が重なりきらず、作業者による微調整を必要とする場合もある。このとき、パワープラントルームには電気系統などの重要部品が多く搭載されているため、スプラッシュカバーの組付作業はなるべく簡単かつ速やかに完了することが望まれている。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、スプラッシュカバーの組付作業を効率よく行うことが可能な車両下部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両下部構造の代表的な構成は、車両のパワープラントルームの下部を覆うアンダカバーと、アンダカバーの側部に取り付けられるスプラッシュカバーとを備える車両下部構造において、スプラッシュカバーは、アンダカバーの上側に設けられる本体部と、本体部の下部からアンダカバーに沿って後方に膨出する膨出部とを有し、本体部は、アンダカバーの側縁から上方に延びる本体主壁部と、本体主壁部の後縁から車幅方向内側に延びる本体後壁部とを有し、膨出部は、本体主壁部から後方に延びる膨出側面部と、膨出側面部の後縁から車幅方向内側に屈曲して延びる膨出後面部と、本体後壁部から膨出側面部の上縁および膨出後面部の上縁にわたる膨出上面部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スプラッシュカバーの組付作業を効率よく行うことが可能な車両下部構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る車両下部構造の概要を示した図である。
図2図1のスプラッシュカバーを車両の側方から見て示した図である。
図3図2のスプラッシュカバーを後側下方から見上げた斜視図である。
図4図3のスプラッシュカバーの組付時の様子を示した図である。
図5図1のスプラッシュカバーを後方から見て示した図である。
図6図5の膨出部付近を車幅方向内側から見て示した図である。
図7図2のスプラッシュカバーの各断面図である。
図8図2等に示した膨出部の各断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両下部構造は、車両のパワープラントルームの下部を覆うアンダカバーと、アンダカバーの側部に取り付けられるスプラッシュカバーとを備える車両下部構造において、スプラッシュカバーは、アンダカバーの上側に設けられる本体部と、本体部の下部からアンダカバーに沿って後方に膨出する膨出部とを有し、本体部は、アンダカバーの側縁から上方に延びる本体主壁部と、本体主壁部の後縁から車幅方向内側に延びる本体後壁部とを有し、膨出部は、本体主壁部から後方に延びる膨出側面部と、膨出側面部の後縁から車幅方向内側に屈曲して延びる膨出後面部と、本体後壁部から膨出側面部の上縁および本体後壁部の上縁にわたる膨出上面部とを有することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、本体部の後方下部に膨出部を設けることで、作業者は膨出部に指をかけて押したり引き寄せたりすることができ、スプラッシュカバーの位置を簡単に調整可能になる。特に、膨出部は、膨出側面部、膨出後面部、および膨出上面部を有する箱型に形成されていて、剛性を高く保持することが可能になっている。よって、膨出部は作業者が膨出上面部を押しても変形し難く、作業者の操作を好適に受けることが可能になっている。
【0012】
上記のスプラッシュカバーはさらに、本体後壁部の車幅方向内側から後方に延びる延長部を有し、延長部の下部は、膨出上面部の車幅方向内側につながっていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、本体後壁部と延長部との内角を埋めるように膨出部が設けられていて、膨出部の剛性をより高めることが可能になっている。特に、膨出部に隣接する2方向に本体後壁部および延長部が存在していることで、膨出部を押したり引き寄せたりする力がスプラッシュカバーに広く作用し、スプラッシュカバーの位置調節を効率よく行うことが可能になっている。また、作業者が膨出上面部に指を乗せたときに延長部が奥の壁になるため、作業者の指がパワープラントルームの他の構造物に触れることを防止できる。
【0014】
上記の膨出上面部は、延長部から車幅方向外側の下方に傾斜して延びていてもよい。
【0015】
上記の傾斜した膨出上面部であれば、作業者が指を乗せたときに膨出上面部と延長部との内角等に荷重が集まり難く、かつ、指で奥に押し込みやすくなるため好適である。
【0016】
上記のスプラッシュカバーはさらに、アンダカバーに所定の固定手段によって固定される複数の固定部を有し、膨出部はさらに、膨出側面部の下縁からアンダカバーに沿って車幅方向内側に延びる膨出下面部を有し、複数の固定部のうち少なくとも1つは、膨出下面部に設けられていてもよい。
【0017】
上記の膨出部に固定部を設けることで、膨出部を指で押したり引き寄せたりして操作し、スプラッシュカバーのアンダカバーに対する固定位置を容易に調整することが可能になる。
【0018】
上記の膨出部はさらに、膨出上面部から膨出側面部をわたって膨出下面部にまで延びる1または複数の補強リブを有していてもよい。
【0019】
上記の補強リブによれば、膨出部の剛性をさらに向上させ、膨出上面部を指で押したときの変形を防いでスプラッシュカバーの位置調整を行いやすくすることができる。
【0020】
上記の延長部は、本体後壁部に沿って上下方向に延びる上下ビードを有してもよい。
【0021】
上記の上下ビードによれば、延長部の剛性を向上させることが可能になる。延長部の下方には前述した膨出部が設けられているため、延長部の剛性向上は膨出部の変形防止にも貢献する。
【実施例0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
図1は、本発明の実施例に係る車両下部構造100の概要を示した図である。以下、図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(Upward)、D(Downward)で例示する。
【0024】
当該車両下部構造100が備えるスプラッシュカバー102は、前輪のホイールハウス106の前側の奥に配置されている。スプラッシュカバー102は、当該ホイールハウス106の付近の空力抵抗の向上を図ったり、泥や雨水等がパワープラントルームに浸入するのを防いだりしている。
【0025】
図2は、図1のスプラッシュカバー102を車両の側方から見て示した図である。アンダカバー104は、パワープラントルームの下部を覆う部材である。スプラッシュカバー102は、ロアクロスメンバ108の後方かつサスペンションフレーム110の前方にて、アンダカバー104の側部に取り付けられ、パワープラントルームの側壁の一部を形成している。
【0026】
図3は、図2のスプラッシュカバー102を後側下方から見上げた斜視図である。本実施例のスプラッシュカバー102は、大きく分けて、アンダカバー104の上側に設けられる本体部112と、本体部112の下部からアンダカバー104に沿って後方に膨出する膨出部114、および本体部112からさらに後方に延びる延長部116とを有している。
【0027】
本体部112は、スプラッシュカバー102の主要な部位であって、アンダカバー104の側縁から上方に延びる本体主壁部118と、本体主壁部118の後縁から車幅方向内側に延びる本体後壁部120とを含んでいる。本体主壁部118の前側には、前側フランジ122が形成されている。前側フランジ122は、ボルトやクリップによって実現される複数の前側取付部124a、124bが設けられていて、前方の構造物に接続される。
【0028】
膨出部114は、スプラッシュカバー102のアンダカバー104への組付時に、作業者の操作を受け付ける部位である。膨出部114は、剛性の確保を考慮して箱型に形成され、延長部116の下方にて棚状に張り出た部位として形成されている。
【0029】
膨出部114は、壁部として、本体主壁部118から後方に延びる膨出側面部126と、膨出側面部126の後縁から車幅方向内側に屈曲して延びる膨出後面部128とを有している。膨出部114の上側には、天板として、本体後壁部120から膨出側面部126の上縁および本体後壁部120の上縁にわたる膨出上面部130が形成されている。
【0030】
膨出後面部128は、膨出側面部126から角を形成して車幅方向内側に屈曲してもよく、また丸みを描きながら車幅方向内側に曲がった構成であってもよい。膨出後面部128が膨出側面部126とは異なる方向に延びる壁部として形成されていることで、天板である膨出上面部130を高い剛性で支えることができる。
【0031】
図4は、図3のスプラッシュカバー102の組付時の様子を示した図である。図4には、組付作業の理解のために、作業者の手h1を登場させている。
【0032】
スプラッシュカバー102は、下側に複数の固定部132(図6参照)を有していて、アンダカバー104に対して、ボルト134a~134cやその他クリップなどの固定手段を使用して固定することが可能になっている。
【0033】
ボルト134a~134dの締結前において、スプラッシュカバー102は各固定部(図6の固定部132等)の位置をアンダカバー104のボルト孔136a~136cの位置に合わせる必要がある。しかしながら、スプラッシュカバー102とアンダカバー104とを合わせただけの初期位置においては、各固定部とボルト孔136a~136cの位置に誤差が生じるおそれもある。そこで、当該車両下部構造100では、スプラッシュカバー102の位置を、作業者が指で膨出部114を押したり引き寄せたりすることで調節可能になっている。
【0034】
本実施例のスプラッシュカバー102は、複数の固定部のうち、膨出部114の下方に固定部132(図6参照)を設けている。固定部132のように、部品の端部に位置する箇所は、部品の中央側の箇所よりも位置に誤差が生じやすい。本実施例では、端部の固定部132の上側に膨出部114を設けることで、スプラッシュカバー102のアンダカバー104に対する位置調節を行いやすくし、これによってスプラッシュカバー102の組付作業を効率よく行うことを可能にしている。
【0035】
図5は、図1のスプラッシュカバー102を後方から見て示した図である。膨出部114は、延長部116の下部から車幅方向外側に棚状に膨出した状態になっている。
【0036】
上述したように、作業者は、膨出部114の膨出上面部130に指を乗せて奥に押し込んだり、下方に押しながら手前に引き寄せたりして、膨出部114の下方のボルト34aの締結時における位置合わせをすることが可能になっている。このとき、膨出部114は、膨出後面部128が本体後壁部120と平行になるように設けられていることで剛性が保持され、作業者が膨出上面部130に力を加えたときのたわみを抑え、作業者の操作による移動を的確に受け付けることができる。
【0037】
図3に示すように、延長部116は、本体後壁部120部の車幅方向内側から後方に延びている。そして、図5に示すように、延長部116の下部は、膨出上面部130の車幅方向内側につながっている。よって、膨出部114は、本体後壁部120と延長部116との内角を埋めるように設けられた構成になっていて、剛性がより高められている。
【0038】
膨出部114の前側および車幅方向内側の隣接する2方向に本体後壁部120および延長部116が存在していることは、膨出部114を押し込んだり引き寄せたりする力をスプラッシュカバー102に広く作用させ、スプラッシュカバー102の位置調節を効率よく行うことを可能にしている。また、作業者が膨出上面部130に指を乗せたときに延長部116が奥のパワープラントルーム側の壁として存在するため、作業者の指がパワープラントルームの他の構造物に触れることを防止できる。
【0039】
図3に示すように、延長部116には、本体後壁部120に沿って上下方向に延びる上下ビード138が設けられている。上下ビード138は、延長部116の断面二次モーメントを高め、その剛性の向上に役立っている。延長部116の下方には前述した膨出部114が設けられているため、延長部116の剛性向上は膨出部114の変形防止にも貢献する。
【0040】
図6は、図5の膨出部114付近を車幅方向内側から見て示した図である。膨出部114の下側には、膨出側面部126の下縁からアンダカバー104に沿って車幅方向内側に延びる膨出下面部140が形成されている。
【0041】
膨出下面部140には、スプラッシュカバー102のアンダカバー104との固定部のうち、最も後方の固定部132が設けられている。固定部132の前後には補強リブ142a、142bが設けられていて、固定部132の周辺の剛性が高められている。
【0042】
図7は、図2のスプラッシュカバー102の各断面図である。図7(a)は、図2のスプラッシュカバー102のA-A断面図である。本体主壁部118は、車幅方向内側にやや湾曲しながら上下方向に延び、空力抵抗の向上や車幅方向内側のパワープラントルームへの泥や雨水の浸入防止などを行っている。
【0043】
図7(b)は、図2のスプラッシュカバー102のB-B断面図である。上述したように、膨出部114は、延長部116の下方に車幅方向外側に膨出するように設けられていて、作業者が指で操作することが可能になっている。
【0044】
図8は、図2等に示した膨出部114の各断面図である。図8(a)は、図7(b)に示した膨出部114の拡大図である。
【0045】
本実施例では、上述したように、膨出部114に固定部132を設けることで、膨出部114を指で操作することでスプラッシュカバー102のアンダカバー104に対する固定位置を容易に調整することが可能になっている。
【0046】
また、膨出部114は、膨出側面部126、膨出後面部128(図5参照)、および膨出上面部130を有する箱型に形成されていて、剛性を高く保持することが可能になっていて、膨出上面部130を押しても変形し難く、作業者の操作を好適に受けることが可能になっている。
【0047】
本実施例では、膨出上面部130は、延長部116から車幅方向外側の下方に傾斜して延びている。特に、傾斜した膨出上面部130は、下方の膨出下面部140とは平行にならないように形成されている。このように傾斜した膨出上面部130であれば、作業者が指を乗せたときに膨出上面部130と延長部116との内角に荷重が集まり難く、変形が抑制できる他、指で奥に押し込みやすくなるため好適である。
【0048】
図8(b)は、図6に示した膨出部114のC-C断面図である。補強リブ142aは、膨出上面部130から膨出側面部126をわたって膨出下面部140にまで延びている。この構成は、図6の補強リブ142bも同様である。
【0049】
上記の補強リブ142aおよび補強リブ142b(図6参照)によれば、膨出部114の剛性を内側からさらに向上させ、膨出上面部130を指で押したときの変形および固定部132の周辺の変形を防ぎ、スプラッシュカバー102の位置調整を行いやすくすることができる。
【0050】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、車両下部構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
100…車両下部構造、102…スプラッシュカバー、104…アンダカバー、106…ホイールハウス、108…ロアクロスメンバ、110…サスペンションフレーム、112…本体部、114…膨出部、116…延長部、118…本体主壁部、120…本体後壁部、122…前側フランジ、124a、124b…前側取付部、126…膨出側面部、128…膨出後面部、130…膨出上面部、132…固定部、134a~134d…ボルト、136a~136d…ボルト孔、138…上下ビード、140…膨出下面部、142a、142b…補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8