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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007597
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240112BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240112BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108759
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シシー カマド
(72)【発明者】
【氏名】ゴメズカバレロ フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】的野 春樹
(72)【発明者】
【氏名】永崎 健
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE05
3D241CE08
3D241DA03Z
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DB32Z
3D241DC01Z
3D241DC30Z
3D241DC31Z
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】本開示は、過度な警告や通知による乗員の注意力の低下を抑制することが可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両1の動作を制御する車両制御装置15であって、対象物検知部152と、割込検知部153と、記憶部154と、類似度算出部155と、動作決定部156と、を備えている。対象物検知部152は、車両1に搭載された外界センサ11の出力に基づいて対象物を検知する。割込検知部153は、車両1の進路に対する対象物の割り込みを検知する。記憶部154は、割り込みが検知された対象物の軌跡を含む割込情報を記録する。類似度算出部155は、記憶部154に記録された割込情報の履歴情報と割込検知部153によって検知された直近の割込情報との類似度を算出する。動作決定部156は、類似度に応じて車両1の動作を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動作を制御する車両制御装置であって、
前記車両に搭載された外界センサの出力に基づいて対象物を検知する対象物検知部と、
前記車両の進路に対する前記対象物の割り込みを検知する割込検知部と、
前記割り込みが検知された前記対象物の軌跡を含む割込情報を記録する記憶部と、
前記記憶部に記録された前記割込情報の履歴情報と前記割込検知部によって検知された直近の前記割込情報との類似度を算出する類似度算出部と、
前記類似度に応じて前記車両の動作を決定する動作決定部と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記動作決定部は、前記類似度に応じて前記車両に搭載されたユーザインタフェースの動作を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記動作決定部は、前記類似度が閾値よりも高い場合に、前記類似度が前記閾値と等しいかまたは前記閾値よりも低い場合と比較して、前記ユーザインタフェースの動作を制限することを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースは、第1警告音を発生させる第1動作と、前記第1警告音よりも音圧が低い第2警告音を発生させる第2動作とを実施可能な音声出力装置を含み、
前記動作決定部は、前記類似度が前記閾値よりも低い場合に前記音声出力装置による前記第1動作を決定し、前記類似度が前記閾値と等しいか前記閾値よりも高い場合に前記音声出力装置による前記第2動作を決定することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記ユーザインタフェースは、音声出力装置と表示装置とを含み、
前記動作決定部は、前記類似度が閾値よりも低い場合に前記音声出力装置による警告音の発生を決定し、前記類似度が前記閾値と等しいかまたは前記閾値よりも高い場合に、前記表示装置による警告の表示を決定することを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両制御システムに関する発明が知られている。たとえば、下記特許文献1に記載された車両制御システムは、認識部と、特定部と、走行制御部と、を備える(第0006段落、請求項1、要約、および図1)。上記認識部は、自車両が存在する第1車線と異なる第2車線に存在する一以上の周辺車両を認識する。
【0003】
上記特定部は、上記認識部により認識された周辺車両について、自車両の前方への割込確率に基づく指標値を導出し、導出した指標値が閾値以上の周辺車両を割込車両として特定する。上記走行制御部は、上記特定部により特定された割込車両の存在に応じて自車両を減速させる。この走行制御部は、自車両を減速させる際に、対象となる割込車両の上記指標値に基づいて、自車両の減速度の変化の度合を決定する。
【0004】
この従来の車両制御システムによれば、自車両の前方への割込確率に基づく指標値が閾値以上の周辺車両を割込車両として特定する。そして、割込車両の存在に応じて自車両を減速させる際に、対象となる割込車両の指標値に基づいて、自車両の減速度の変化の度合を決定する。これにより、周辺車両の割り込みに応じて適切な速度制御を行うことができる(特許文献1、第0015段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/158875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、上記従来の車両制御システムのように割込車両が特定された場合や自車両を減速させる際には、通常、車両のユーザインタフェースを介し、車両の乗員に対して音声や表示による警告や通知が行われる。そのため、たとえば、交通渋滞など、頻繁に割り込みが発生するような状況では、警告や通知が頻繁に発せられることで、自車両の乗員の注意力が散漫になり、安全性が低下するおそれがある。
【0007】
本開示は、過度な警告や通知による乗員の注意力の低下を抑制することが可能な車両制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、車両の動作を制御する車両制御装置であって、前記車両に搭載された外界センサの出力に基づいて対象物を検知する対象物検知部と、前記車両の進路に対する前記対象物の割り込みを検知する割込検知部と、前記割り込みが検知された前記対象物の軌跡を含む割込情報を記録する記憶部と、前記記憶部に記録された前記割込情報の履歴情報と前記割込検知部によって検知された直近の前記割込情報との類似度を算出する類似度算出部と、前記類似度に応じて前記車両の動作を決定する動作決定部と、を備えることを特徴とする車両制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、過度な警告や通知による乗員の注意力の低下を抑制することが可能な車両制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る車両制御装置の実施形態を示すブロック図。
図2図1に示す車両制御装置の動作を説明するフロー図。
図3図1に示す車両の進路に対する対象物の割り込みを説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示に係る車両制御装置の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本開示に係る車両制御装置の実施形態を示すブロック図である。本実施形態の車両制御装置15は、たとえば、車両1に搭載され、車両1の各部の動作を制御する電子制御ユニット(ECU)である。車両1は、たとえば、外界センサ11と、車両センサ12と、アクチュエータ13と、ユーザインタフェース14と、車両制御装置15とを備えている。
【0013】
外界センサ11は、たとえば、撮像装置を含む。撮像装置は、たとえば、単眼カメラとステレオカメラの少なくとも一方を含む。また、外界センサ11は、たとえば、LiDAR(レーザレーダ)、ミリ波レーダ、超音波センサ、または赤外線センサの少なくとも一つを含むことができる。外界センサ11は、たとえば、車両1の周囲の物体を検出し、検出結果を外界センサ情報として車両制御装置15へ出力する。
【0014】
車両センサ12は、たとえば、位置センサ、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、エンジン回転センサ、操舵角センサ、ギアポジションセンサ、およびペダルストロークセンサなどを含む。位置センサは、たとえば、全球測位衛星システム(GNSS)の受信機を含む。速度センサは、たとえば、車輪速センサを含む。車両センサ12は、たとえば、車両1の位置、速度、加速度などを含む車両情報を検出し、検出結果を車両センサ情報として車両制御装置15へ出力する。
【0015】
アクチュエータ13は、たとえば、スロットルバルブの開閉、ブレーキの操作、変速機の操作、またはステアリングの操作など、車両1の各部の操作を行う各種のアクチュエータを含む。アクチュエータ13は、たとえば、車両制御装置15から入力される制御信号に基づいて車両1の各部を操作する。
【0016】
ユーザインタフェース14は、たとえば、音声出力装置と、表示装置とを含む。音声出力装置は、たとえば、スピーカやブザーなどを含む。表示装置は、たとえば、ヘッドアップディスプレイ、液晶表示装置、有機EL表示装置、インストルメントパネル、または表示ランプの少なくとも一つを含む。また、ユーザインタフェース14は、たとえば、シートやステアリングに内蔵された振動モータを含んでもよい。
【0017】
車両制御装置15は、たとえば、一つ以上のマイクロコントローラ(MCU)を含み、中央処理装置(CPU)、RAMやROMなどのメモリ、タイマー、および入出力部などを含む。また、車両制御装置15は、たとえば、ハードディスクなどの記憶装置を含んでもよい。車両制御装置15は、たとえば、外界センサ11または車両センサ12の少なくとも一方の出力に基づいて、車両1のアクチュエータ13またはユーザインタフェース14の少なくとも一方を含む車両1の各部を制御する。
【0018】
車両制御装置15は、たとえば、図1に示すように、センサ情報取得部151と、対象物検知部152と、割込検知部153と、記憶部154と、類似度算出部155と、動作決定部156と、制御信号生成部157と、を有している。これら車両制御装置15の各部は、たとえば、車両制御装置15のメモリや記憶装置に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現される車両制御装置15の各機能を表している。なお、車両制御装置15の各部は、たとえば、一つまたは複数の部分を一つの装置によって構成してもよく、一つの部分を複数の装置によって構成してもよい。
【0019】
以下、図2および図3を参照して、本実施形態の車両制御装置15の動作を説明する。図2は、図1に示す車両制御装置15の動作を説明するフロー図である。図3は、図1に示す車両1の進路に対する対象物の割り込みを説明する平面図である。
【0020】
車両制御装置15は、図2に示す処理フローを開始すると、まず、車両1の進路に対する対象物の割り込みの有無を判定する処理P1を実行する。ここで、対象物は、たとえば、自車両である車両1の進路に進入する乗用車、バス、またはトラックなどの車両、自動二輪車、自転車、荷車、歩行者、もしくは動物などの移動体を含む。
【0021】
この処理P1において、車両制御装置15のセンサ情報取得部151は、たとえば、車両1に搭載された外界センサ11の出力である外界センサ情報を取得する。より具体的には、センサ情報取得部151は、たとえば、外界センサ11に含まれる単眼カメラまたはステレオカメラから外界センサ情報としての画像を取得し、さらなる処理のために画像特性を調整する。
【0022】
この画像特性の調整処理は、たとえば、画像をダウンスケールまたはアップスケールし、結果として得られる画像サイズを変更する画像解像度調整処理や、入力画像の所定の領域を切り取るクロッピングを行う画像関心領域選択処理などを含む。これらの処理に使用されるパラメータは、たとえば、車両1の走行環境、速度、旋回速度などに応じて、適宜変更することができる。センサ情報取得部151は、たとえば、これらの処理を行った処理画像を含む外界センサ情報を対象物検知部152へ出力する。
【0023】
また、センサ情報取得部151は、たとえば、車両センサ12の出力である車両センサ情報を取得する。センサ情報取得部151は、たとえば、外界センサ11および車両センサ12から取得した外界センサ情報および車両センサ情報を含むセンサ情報を、対象物検知部152および動作決定部156へ出力する。
【0024】
さらに、この処理P1において、対象物検知部152は、センサ情報取得部151から入力された外界センサ情報に基づいて対象物を検知する。より詳細には、対象物検知部152は、たとえば、センサ情報取得部151から入力された外界センサ情報に含まれる処理画像を用いて、予め学習させた分類器を用いて、車両を含む対象物の検出を行う。分類器は、たとえば、畳み込みニューラルネットワーク、パターンマッチング、決定木などを含む。
【0025】
対象物検知部152は、検知した対象物のうち、自動車、トラック、バス、自動二輪車など、車両に分類される対象物を、その対象物に関する特徴量とともに、割込検知部153へ出力する。ここで、対象物に関する特徴量は、たとえば、対象物の位置や速度を含むが、対象物の軌跡や対象物の種別などを含むこともできる。本実施形態において、対象物の検知とは、たとえば、少なくとも、対象物の位置、対象物の種別、3次元空間における車両1から対象物までの距離、および対象物の速度を算出する処理を意味する。また、対象物検知部152は、たとえば、外界センサ11の出力に基づいて検出した車両1の周囲の物体の情報を、動作決定部156へ出力する。
【0026】
さらに、この処理P1において、割込検知部153は、車両1の進路に対する対象物の割り込みを検知する。図2に示すように、処理P1において、割込検知部153によって対象物の割り込みが判定されなかった場合(NO)、車両制御装置15は、図2に示す処理フローを終了する。車両制御装置15は、たとえば、図2に示す処理フローを所定の周期で繰り返し実行する。その後、図3に示すように、時刻T=T1において、車両1が走行している車線の隣の車線から、車両1と先行車両Va1との間の車両1の進路に対して、割込車両Vc1が割り込んだとする。
【0027】
割込検知部153は、たとえば、対象物検知部152から入力された割込車両Vc1の特徴量に含まれる横方向速度が、車両1の進路の所定の区間で、所定の時間にわたって、所定の閾値を超えた場合に、割込車両Vc1が割り込んだことを判定する。割込車両Vc1の割り込みを判定するための閾値は、たとえば、車両1の走行状態や割込車両Vc1の種類に応じて設定される。そして、たとえば、時刻T=T1に実行された処理P1において、割込検知部153によって割込車両Vc1の割り込みが判定されると(YES)、車両制御装置15は、割込情報を記録する処理P2を実行する。
【0028】
この処理P2において、記憶部154は、たとえば、割り込みが検知された対象物の軌跡を含む割込情報を記録する。より詳細には、この処理P2において、割込検知部153は、たとえば、対象物検知部152から入力された対象物の位置および速度を含む特徴量と、カーブフィッティングなどの軌跡生成方法を用いて割込車両Vc1の軌跡を算出する。割込検知部153は、算出した割込車両Vc1の軌跡を、割り込みが検知された時刻T=T1とともに、記憶部154へ出力する。
【0029】
記憶部154は、たとえば、割込検知部153から入力された割込車両Vc1の軌跡および時刻T=T1を含む対象物の割込情報を記録する。なお、記憶部154に記録される対象物の割込情報は、たとえば、対象物の位置、速度、移動方向、および種別など、対象物の軌跡以外の情報を含んでいてもよい。記憶部154は、たとえば、メモリや記憶装置に記録された割込情報を、所定の期間の経過後に削除する。割込情報を削除する所定の期間は、たとえば、車両1の走行条件によって異なるタイムスタンプの有効期限に基づいて設定される。
【0030】
その後、車両制御装置15は、図2に示すように、割込情報の履歴の有無を判定する処理P3を実行する。この処理P3において、類似度算出部155は、たとえば、記憶部154に記録された割込情報の履歴情報の有無を判定する。たとえば、前述のように、直近の時刻T=T1で記録された割込情報の他に、記憶部154に過去の割込情報が記録されていない場合、類似度算出部155は、処理P3において、割込情報の履歴情報がないこと(NO)を判定する。この場合、類似度算出部155は、たとえば、新しい割込情報と過去の割込情報の履歴情報との類似度をゼロに設定し、設定した類似度を動作決定部156へ出力する。
【0031】
その後、動作決定部156は、類似度算出部155から入力された類似度に基づいて、直近の時刻T=T1における割込車両Vc1の割込情報に優先度を付与する処理P4を実行する。ここでは、前の処理P3において、時刻T=T1における割込車両Vc1の割込情報に類似する過去の割込情報の履歴情報が存在せず、類似度がゼロに設定されている。そのため、動作決定部156は、直近の時刻T=T1における割込車両Vc1の割込情報に、過去の割込情報の履歴情報との低い類似度に応じた高い優先度を付与する。
【0032】
その後、動作決定部156は、たとえば、直近の時刻T=T1における割込車両Vc1の割込情報に付与した優先度に基づいて、車両1の各部の動作を決定する処理P5を実行する。この処理P5において、動作決定部156は、直近の割込情報に付与した高優先度に基づいて、アクチュエータ13およびユーザインタフェース14を含む車両の各部の動作を決定する。
【0033】
より具体的には、動作決定部156は、たとえば、ユーザインタフェース14の音声出力装置から、通常の音圧の第1警告音を発生させる動作を決定する。また、動作決定部156は、たとえば、ユーザインタフェース14の表示装置に、警告を表示させる動作を決定する。また、動作決定部156は、たとえば、車両1を減速させるアクチュエータ13の動作や、シートやステアリングに内蔵された振動モータを振動させる動作を決定してもよい。動作決定部156は、決定した動作を制御信号生成部157へ出力する。
【0034】
その後、制御信号生成部157は、動作決定部156から入力された動作に基づく制御信号を生成して、車両1の各部へ出力する処理P6を実行する。より具体的には、制御信号生成部157は、たとえば、ユーザインタフェース14の音声出力装置から通常の音圧の第1警告音を発生させる制御信号を生成して、ユーザインタフェース14の音声出力装置へ出力する。
【0035】
また、制御信号生成部157は、たとえば、ユーザインタフェース14の表示装置に警告を表示させる制御信号を生成して、ユーザインタフェース14の表示装置へ出力する。また、制御信号生成部157は、たとえば、アクチュエータ13に車両1を減速させる動作をさせる制御信号を生成して、アクチュエータ13へ出力する。また、制御信号生成部157は、たとえば、シートやステアリングに内蔵された振動モータを振動させる制御信号を生成して、振動モータへ出力する。
【0036】
その結果、図3に示す時刻T=T1における割込車両Vc1の割り込みに対し、たとえば、車両1のユーザインタフェース14の音声出力装置から通常の音圧の第1警告音が発せられ、ユーザインタフェース14の表示装置に警告が表示される。また、たとえば、車両1のアクチュエータ13が動作して車両1を減速させ、ステアリングやシートに内蔵された振動モータが振動する。このように、車両制御装置15は、過去の割込情報の履歴情報に類似しない割り込みに対して、通常の警告や通知を行って車両1の乗員の注意を喚起する。
【0037】
その後、図2に示す処理フローが終了し、再び開始される。その後、図3に示すように、時刻T=T2において、車両1と先行車両Va2との間の車両1の進路に割込車両Vc2が割り込んだとする。この場合、時刻T=T1における処理フローと同様に、処理P1において、割込検知部153によって割り込みあり(YES)と判定され、処理P2において、記憶部154に割込車両Vc2の割込情報が記録される。
【0038】
その後、処理P3において、記憶部154に時刻T=T1の割込情報の履歴情報が記憶されていることから、類似度算出部155は、割込情報の履歴あり(YES)と判定し、履歴情報の数が閾値よりも多いか否かを判定する処理P7を実行する。ここで、たとえば、履歴情報の数の閾値が1である場合、類似度算出部155は、記憶部154に過去の割込情報の履歴情報が時刻T=T1の一つしか記録されていないため、処理P7で履歴情報の数が閾値以下である(NO)と判定する。
【0039】
この場合、比較対象の過去の割込情報の履歴情報の数が不十分であることから、類似度算出部155は、たとえば、前述の時刻T=T1における割込車両Vc1の割り込みと同様に、直近の時刻T=T2の割込車両Vc2の割込情報と過去の履歴情報の類似度をゼロに設定する。類似度算出部155は、設定した類似度を動作決定部156へ出力する。その後、前述の時刻T=T1における処理フローと同様に、処理P4において、動作決定部156は、類似度算出部155から入力された過去の割込情報の履歴情報との低い類似度に応じて、直近の時刻T=T2の割込車両Vc2の割込情報に高優先度を付与する。
【0040】
その結果、前述の時刻T=T1における処理フローと同様に、処理P5およびP6を経て、図3に示す時刻T=T2における割込車両Vc2の割り込みに対し、たとえば、車両1のユーザインタフェース14の音声出力装置から通常の音圧の第1警告音が発せられる。また、ユーザインタフェース14の表示装置に警告が表示され、車両1のアクチュエータ13が動作して車両1を減速させ、シートやステアリングに内蔵された振動モータが振動する。このように、車両制御装置15は、過去の割込情報の履歴情報の数が十分でない場合に、直近の対象物の割り込みに対して通常の警告や通知を行って車両1の乗員の注意を喚起する。
【0041】
その後、図2に示す処理フローが終了し、再び開始される。その後、図3に示すように、時刻T=T3において、車両1と先行車両Va3との間の車両1の進路に割込車両Vc3が割り込んだとする。この場合、処理P1において、割込検知部153によって割り込みあり(YES)と判定され、処理P2において、記憶部154に割込車両Vc3の割込情報が記録される。
【0042】
その後、処理P3において、類似度算出部155は、記憶部154に時刻T=T1,T2の二つの割込情報の履歴情報が記憶されていることから、割込情報の履歴あり(YES)と判定し、履歴情報の数が閾値よりも多いか否かを判定する処理P7を実行する。ここでは、記憶部154に過去の時刻T=T1,T2の二つの割込情報の履歴情報が記録されている。そのため、処理P7において、たとえば、履歴情報の数の閾値が1である場合、類似度算出部155は、履歴情報の数が閾値より大である(YES)と判定する。
【0043】
その後、類似度算出部155は、記憶部154に記録された過去の割込情報の履歴情報と割込検知部153によって検知された直近の割込情報との類似度を算出する処理P8を実行する。この処理P8において、類似度算出部155は、たとえば、直近の割込情報に含まれる軌跡と、過去の割込情報の履歴情報に含まれる軌跡との間のユークリッド距離に基づいて、下記の式(1)により類似度の損失を算出する。
【0044】
損失=Σ(重み×比較結果) ・・・(1)
【0045】
上記の式(1)の重みは、過去の割込情報の履歴情報のそれぞれに割り当てられ、たとえば、割り込み発生時刻からの経過時間が短いほど大きく、割り込み発生時刻からの経過時間が長いほど小さくなる。また、上記の式(1)の比較結果は、たとえば、直近の割込情報の軌跡と、過去の割込情報の軌跡とのユークリッド距離が閾値より小さい場合に0となり、閾値以上の場合に1となる。類似度算出部155は、たとえば、過去のすべての割込情報の履歴情報に対して、類似度の損失を算出する。
【0046】
類似度算出部155は、たとえば、直近の割込情報と過去の割込情報との間の類似度の損失が所定の類似度定数よりも小さい場合に、その直近の割込情報に対して高い類似度を割り当てる。また、類似度算出部155は、たとえば、直近の割込情報と過去の割込情報との間の類似度の損失が所定の類似度定数以上である場合に、その割込情報に対して低い類似度を割り当てる。類似度算出部155は、直近の割込情報に割り当てた類似度を動作決定部156へ出力する。
【0047】
その後、動作決定部156は、類似度算出部155から入力された直近の割込情報と過去の割込情報の履歴情報との類似度が、閾値よりも高いか否かを判定する処理P9を実行する。ここでは、図3に示すように、過去の時刻T=T1,T2における割込車両Vc1,Vc2の割込情報と、直近の時刻T3における割込車両Vc3の割込情報が類似し、直近の割込情報に高い類似度が割り当てられている。この場合、動作決定部156は、処理P9において、類似度が閾値よりも高いこと(YES)を判定する。
【0048】
その後、動作決定部156は、直近の割込情報に対し、過去の割込情報との高い類似度に応じた低い優先度を付与する処理P10を実行する。その後、動作決定部156は、直近の時刻T=T3における割込情報に付与した優先度に基づいて、車両1の各部の動作を決定する処理P5を実行する。この処理P5において、動作決定部156は、割込情報に付与した低優先度に基づいて、アクチュエータ13およびユーザインタフェース14を含む車両1の各部の動作を決定する。
【0049】
より具体的には、動作決定部156は、たとえば、ユーザインタフェース14の音声出力装置から、通常の音圧の第1警告音よりも低い音圧の第2警告音を発生させる動作を決定する。または、動作決定部156は、たとえば、ユーザインタフェース14の音声出力装置から警告音を発生させず、ユーザインタフェース14の表示装置に警告を表示させる動作を決定してもよい。また、動作決定部156は、たとえば、アクチュエータ13によって車両1を減速させず、シートやステアリングに内蔵された振動モータを振動させない動作を決定してもよい。動作決定部156は、決定した動作を制御信号生成部157へ出力する。
【0050】
その後、制御信号生成部157は、動作決定部156から入力された動作に基づく制御信号を生成して、車両1の各部へ出力する処理P6を実行する。より具体的には、制御信号生成部157は、たとえば、ユーザインタフェース14の音声出力装置から通常の音圧の第1警告音よりも低い音圧の第2警告音を発生させる制御信号を生成して、ユーザインタフェース14の音声出力装置へ出力する。または、制御信号生成部157は、たとえば、ユーザインタフェース14の音声出力装置から警告音を発生させず、ユーザインタフェース14の表示装置に警告を表示させる制御信号を生成して、アクチュエータ13へ出力する。また、制御信号生成部157は、たとえば、アクチュエータ13に車両1を減速させる制御信号を出力せず、振動モータを振動させる制御信号を出力しない。
【0051】
その結果、図3に示す時刻T=T3における割込車両Vc3の割り込みに対し、たとえば、車両1のユーザインタフェース14の音声出力装置から通常の音圧の第1警告音よりも低い音圧の第2警告音が発せられる。または、たとえば、車両1のユーザインタフェース14の音声出力装置から警告音が発生されず、ユーザインタフェース14の表示装置に警告が表示される。また、車両1は減速せず、振動モータも振動しない。このように、車両制御装置15は、過去の割込情報の履歴情報に対する類似度が高い直近の割込車両Vc3の割り込みに対して、通常の警告や通知よりも抑制された警告や通知を行って、過度の警告や通知による車両1の乗員の注意低下を抑制する。
【0052】
その後、図2に示す処理フローが終了し、再び開始される。その後、図3に示すように、時刻T=T4において、車両1と先行車両Va4との間の車両1の進路に割込車両Vc4が割り込んだとする。この場合、処理P1において、割込検知部153によって割り込みあり(YES)と判定され、処理P2において、記憶部154に割込車両Vc4の割込情報が記録される。
【0053】
その後、処理P3において、類似度算出部155は、記憶部154に時刻T=T1,T2,T3の割込情報の履歴情報が記憶されていることから、割込情報の履歴あり(YES)と判定し、履歴情報の数が閾値よりも多いか否かを判定する処理P7を実行する。ここでは、記憶部154に過去の割込情報の履歴情報が時刻T=T1,T2,T3の三つ記録されている。そのため、たとえば、履歴情報の数の閾値が1である場合、類似度算出部155は、処理P7において、履歴情報の数が閾値より大である(YES)と判定する。
【0054】
その後、類似度算出部155は、記憶部154に記録された過去の割込情報の履歴情報と割込検知部153によって検知された直近の割込情報との類似度を算出する処理P8を実行する。図3に示す時刻T=T4における割込車両Vc4の割り込みの方向は、過去の時刻T1,T2,T3の割込車両Vc1,Vc2,Vc3の割り込みの方向と異なっている。そのため、類似度算出部155が、直近の時刻T=T4の割込情報に割り当てる類似度は、低くなる。
【0055】
その結果、処理P9において、動作決定部156は、たとえば、類似度算出部155から入力された類似度が閾値よりも低いこと(NO)を判定する。その後、処理P4において、動作決定部156は、直近の時刻T=T4の割込車両Vc4の割込情報の閾値よりも低い類似度に応じて、直近の割込情報に高優先度を付与する。
【0056】
その結果、処理P5およびP6を経て、図3に示す時刻T=T4における割込車両Vc4の割り込みに対し、たとえば、車両1のユーザインタフェース14の音声出力装置から通常の音圧の第1警告音が発せられ、ユーザインタフェース14の表示装置に警告が表示される。また、車両1のアクチュエータ13が動作して車両1を減速させ、シートやステアリングに内蔵された振動モータが振動する。このように、車両制御装置15は、過去の割込情報の履歴情報と直近の割込情報との類似度が低い場合に、直近の対象物の割り込みに対して通常の警告や通知を行って車両1の乗員の注意を喚起する。
【0057】
以下、本実施形態の車両制御装置15の作用を説明する。
【0058】
本実施形態の車両制御装置15は、前述のように、車両1の動作を制御する装置であり、対象物検知部152と、割込検知部153と、記憶部154と、類似度算出部155と、動作決定部156と、を備えている。対象物検知部152は、車両1に搭載された外界センサ11の出力に基づいて対象物を検知する。割込検知部153は、車両1の進路に対する対象物の割り込みを検知する。記憶部154は、割り込みが検知された対象物の軌跡を含む割込情報を記録する。類似度算出部155は、記憶部154に記録された割込情報の履歴情報と割込検知部153によって検知された直近の割込情報との類似度を算出する。動作決定部156は、類似度に応じて車両1の動作を決定する。
【0059】
このような構成により、本実施形態の車両制御装置15によれば、車両1の進路に割り込んだ対象物の過去の割込情報の履歴情報を蓄積し、その過去の割込情報の履歴情報と直近の割込情報との類似度に応じて、車両1の動作を決定することができる。これにより、たとえば、交通渋滞など、頻繁に割り込みが発生するような状況でも、直近の割込情報と過去の割込情報の履歴情報との類似度が高い場合には、類似度が低い場合と比較して警告や通知を抑制することができる。したがって、本実施形態の車両制御装置15によれば、過度な警告や通知による車両1の乗員の注意力の低下を抑制し、車両1の安全性を向上させることが可能になる。
【0060】
また、本実施形態の車両制御装置15において、動作決定部156は、上記類似度に応じて車両1に搭載されたユーザインタフェース14の動作を決定する。このような構成により、本実施形態の車両制御装置15は、上記類似度が低い場合には、それに応じてユーザインタフェース14による音声出力や表示を行い、上記類似度が高い場合には、それに応じてユーザインタフェース14による音声出力や表示を行うことが可能になる。したがって、本実施形態の車両制御装置15によれば、過度な警告や通知による車両1の乗員の注意力の低下を抑制し、車両1の安全性を向上させることが可能になる。
【0061】
また、本実施形態の車両制御装置15において、動作決定部156は、上記類似度が閾値よりも高い場合に、上記類似度が上記閾値と等しいかまたは上記閾値よりも低い場合と比較して、ユーザインタフェース14の動作を制限する。これにより、過去の割込情報の履歴情報と直近の割込情報との類似度が閾値よりも高い場合に、類似度が閾値以下の場合と比較して、ユーザインタフェース14による警告や通知を抑制することができる。したがって、本実施形態の車両制御装置15によれば、過度な警告や通知による車両1の乗員の注意力の低下を抑制し、車両1の安全性を向上させることが可能になる。
【0062】
また、本実施形態の車両制御装置15において、ユーザインタフェース14は、前述のように、第1警告音を発生させる第1動作と、その第1警告音よりも音圧が低い第2警告音を発生させる第2動作とを実施可能な音声出力装置を含んでいる。また、動作決定部156は、上記類似度が上記閾値よりも低い場合に音声出力装置による上記第1動作を決定し、上記類似度が上記閾値と等しいか上記閾値よりも高い場合に上記音声出力装置による上記第2動作を決定する。
【0063】
これにより、本実施形態の車両制御装置15は、上記類似度が閾値以上である場合に、ユーザインタフェース14の音声出力装置によって、上記類似度が閾値よりも低い場合に発生させる第1警告音と比較して、音圧が低い第2警告音を発生させることができる。したがって、本実施形態の車両制御装置15によれば、上記類似度が閾値以上である場合に音声出力装置による警告音の音圧を抑制し、過度な警告や通知による車両1の乗員の注意力の低下を抑制し、車両1の安全性を向上させることが可能になる。
【0064】
また、本実施形態の車両制御装置15において、ユーザインタフェース14は、前述のように、音声出力装置と表示装置とを含んでいる。また、動作決定部156は、前述のように、上記類似度が閾値よりも低い場合に音声出力装置による警告音の発生を決定し、前記類似度が前記閾値と等しいかまたは前記閾値よりも高い場合に、表示装置による警告の表示を決定する。
【0065】
これにより、本実施形態の車両制御装置15は、上記類似度が閾値以上である場合に、ユーザインタフェース14の音声出力装置によって警告音を発生させることなく、表示装置に警告を表示させることができる。したがって、本実施形態の車両制御装置15によれば、上記類似度が閾値以上である場合に音声出力装置による警告音の発生を制限し、過度な警告や通知による車両1の乗員の注意力の低下を抑制し、車両1の安全性を向上させることが可能になる。
【0066】
以上、図面を用いて本開示に係る車両制御装置の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 車両
11 外界センサ
14 ユーザインタフェース
15 車両制御装置
152 対象物検知部
153 割込検知部
154 記憶部
155 類似度算出部
Vc1 割込車両(対象物)
Vc2 割込車両(対象物)
Vc3 割込車両(対象物)
Vc4 割込車両(対象物)
図1
図2
図3