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特開2024-75977乳幼児用シートおよび座席付き育児器具の座席構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075977
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】乳幼児用シートおよび座席付き育児器具の座席構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240529BHJP
   A47D 1/00 20060101ALI20240529BHJP
   A47D 7/01 20060101ALN20240529BHJP
【FI】
B60N2/28
A47D1/00
A47D7/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187278
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】310019730
【氏名又は名称】グラコ・チルドレンズ・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】生野 敦士
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 忠義
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087CE06
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で、乳幼児の成長に応じた位置調節を適切に行うことができる乳幼児用シートを提供すること。
【解決手段】乳幼児用シート(5)は、座席付き育児器具の座席本体(4)の上に取り付けられるものである。乳幼児用シート(5)は、乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口(52)を有する第1シート(51)と、第1シート(51)に対して相対的に上下動可能に設けられる第2シート(55)と、第1シート(51)と第2シート(55)との相対移動を案内するためのガイド部とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席付き育児器具の座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートであって、
乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口を有する第1シートと、
前記第1シートに対して相対的に上下動可能に設けられる第2シートと、
前記第1シートと前記第2シートとの相対移動を案内するためのガイド部とを備える、乳幼児用シート。
【請求項2】
前記第1シートと前記第2シートとは、重なり合っている、請求項1に記載の乳幼児用シート。
【請求項3】
前記第1シートおよび前記第2シートのいずれか一方には、上下に長い長孔が設けられており、いずれか他方には、前記長孔を貫通し、上下に移動可能なピン部材が設けられている、請求項2に記載の乳幼児用シート。
【請求項4】
前記ピン部材は、前記第1シートおよび前記第2シートを厚み方向に連結する、請求項3に記載の乳幼児用シート。
【請求項5】
前記第1シートおよび前記第2シートのいずれか一方には、いずれか他方の上下方向の端部領域全体を受け入れて相対的な上下動を案内する袋部が設けられている、請求項2に記載の乳幼児用シート。
【請求項6】
前記第1シートと前記第2シートとは、上下方向に分離して設けられ、
前記第1シートと前記第2シートの対向する端部を連結する柔軟性を有する連結部材をさらに備える、請求項1に記載の乳幼児用シート。
【請求項7】
前記第1シートおよび前記第2シートの少なくともいずれか一方は、板状の形態を有する、請求項1または2に記載の乳幼児用シート。
【請求項8】
前記第2シートは、乳幼児の体を拘束する股ベルトを通過させる股ベルト通し開口を含む、請求項1または2に記載の乳幼児用シート。
【請求項9】
座席本体と、
前記座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートとを備える座席付き育児器具の座席構造であって、
乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口を有する第1シートと、
前記第1シートに対して相対的に上下動可能に設けられる第2シートとを含み、
前記第1シートと前記第2シートとは、連結されている、座席付き育児器具の座席構造。
【請求項10】
前記第1シートと前記第2シートとは、上下方向に分離して設けられ、
前記第1シートと前記第2シートの対向する端部を連結する柔軟性を有する連結部材をさらに備える、請求項9に記載の座席付き育児器具の座席構造。
【請求項11】
座席本体と、
前記座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートとを備える座席付き育児器具の座席構造であって、
乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口を有する第1シートと、
前記第1シートに対して相対的に上下動可能に設けられる第2シートと、
前記第1シートと前記第2シートとの相対移動を案内するためのガイド部とを含む、座席付き育児器具の座席構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳幼児用シートおよび座席付き育児器具の座席構造に関し、特に座席本体と、座席付き育児器具の座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シート、および、座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートとを備える座席付き育児器具の座席構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、子供の成長に応じて肩ベルトの高さ位置を調節することが可能な育児器具が提案されている。たとえば、特許文献1(特開2013-141834号公報)、特許文献2(特開2013-216297号公報)、および特許文献3(特開2017-065279号公報)には、肩ベルトの挿通孔が設けられたヘッドレストの高さ位置を変更させることで、肩ベルトの高さ位置を変更することが可能なチャイルドシートについて開示されている。
【0003】
一方で、育児器具に取り付け可能であり、子供の体型に応じて長さ調節可能なインナーシートが提案されている。たとえば、特許文献4(特開2016-14197号公報)には、上半身サポートと下半身サポートとが調整手段により高さ方向の距離を調節可能なおくるみについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-141834号公報
【特許文献2】特開2013-216297号公報
【特許文献3】特開2017-065279号公報
【特許文献4】特開2016-14197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1~3に開示されたチャイルドシートは、いずれもヘッドレストの高さ位置を変更させるための構造が複雑である。また、上記特許文献4に開示されたおくるみは、乳幼児の成長に応じて適切に育児器具に取り付けることができるものの、股ベルトを介して高さ調節しており、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構造で、乳幼児の成長に応じた位置調節を適切に行うことができる乳幼児用シートおよび座席付き育児器具の座席構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明の一態様に係る乳幼児用シートは、座席付き育児器具の座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートであって、乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口を有する第1シートと、第1シートに対して相対的に上下動可能に設けられる第2シートと、第1シートと第2シートとの相対移動を案内するためのガイド部とを備える。
【0008】
好ましくは、第1シートと第2シートとは、重なり合っている。
【0009】
好ましくは、第1シートおよび第2シートのいずれか一方には、上下に長い長孔が設けられており、いずれか他方には、長孔を貫通し、上下に移動可能なピン部材が設けられている。
【0010】
好ましくは、ピン部材は、第1シートおよび第2シートを厚み方向に連結する。
【0011】
好ましくは、第1シートおよび第2シートのいずれか一方には、いずれか他方の上下方向の端部領域全体を受け入れて相対的な上下動を案内する袋部が設けられている。
【0012】
好ましくは、第1シートと第2シートとは、上下方向に分離して設けられ、第1シートと第2シートの対向する端部を連結する柔軟性を有する連結部材をさらに備える。
【0013】
好ましくは、第1シートおよび第2シートの少なくともいずれか一方は、板状の形態を有する。
【0014】
好ましくは、第2シートは、乳幼児の体を拘束する股ベルトを通過させる股ベルト通し開口を含む。
【0015】
本発明の一態様に係る座席付き育児器具の座席構造は、座席本体と、座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートとを備える乳幼児用の座席構造であって、乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口を有する第1シートと、第1シートに対して相対的に上下動可能に設けられる第2シートとを含み、第1シートと第2シートとは、連結されている。
【0016】
好ましくは、第1シートと第2シートとは、上下方向に分離して設けられ、第1シートと第2シートの対向する端部を連結する柔軟性を有する連結部材をさらに備える。
【0017】
本発明の他の態様に係る座席付き育児器具の座席構造は、座席本体と、座席本体の上に取り付けられる乳幼児用シートとを備える乳幼児用の座席構造であって、乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルトを通過させる一対の肩ベルト通し開口を有する第1シートと、第1シートに対して相対的に上下動可能に設けられる第2シートと、第1シートと第2シートとの相対移動を案内するためのガイド部とを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な構造で、乳幼児の成長に応じた位置調節を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態の乳幼児用シートが用いられる座席付き育児器具の斜視図である。
図2】本実施の形態の乳幼児用シートが用いられた座席付き育児器具に乳幼児を乗せた状態を示す模式的な縦断面図である。
図3】本実施の形態1に係る乳幼児用シートを示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図3(A)のIII-III線の断面図である。
図4】本実施の形態1に係る乳幼児用シートの変位を示す断面図であり、(A)は第1シートが上方位置にある状態であり、(B)は第1シートが中間位置にある状態であり、(C)は第1シートが下方位置にある状態である。
図5】本実施の形態2に係る乳幼児用シートを示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図5(A)のV-V線の断面図である。
図6】本実施の形態2に係る乳幼児用シートの背面図である。
図7】本実施の形態2に係る乳幼児用シートの変位を示す断面図であり、(A)は第1シートが上方位置にある状態であり、(B)は第1シートが中間位置にある状態であり、(C)は第1シートが下方位置にある状態である。
図8】本実施の形態3に係る乳幼児用シートを示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図8(A)のVIII-VIII線の断面図である。
図9】本実施の形態3に係る乳幼児用シートの変位を示す断面図であり、(A)は第1シートが上方位置にある状態であり、(B)は第1シートが中間位置にある状態であり、(C)は第1シートが下方位置にある状態である。
図10】乳幼児用シートを股ベルトで位置決めしていることを示す正面図であり、(A)は第1シートが下方位置にある状態であり、(B)は第1シートが上方位置にある状態である。
図11】乳幼児用シートを腰ベルトで位置決めしていることを示す正面図であり、(A)は第1シートが下方位置にある状態であり、(B)は第1シートが上方位置にある状態である。
図12】乳幼児用シートを肩ベルトで位置決めしていることを示す正面図であり、(A)は第1シートが上方位置にある状態であり、(B)は第1シートが下方位置にある状態である。
図13】乳幼児用シートをヘッドレストで位置決めしていることを示す正面図であり、(A)は乳幼児用シートの上下方向の長さが短い状態であり、(B)は乳幼児用シートの上下方向の長さが長い状態である。
図14】本実施の形態1に係る乳幼児用シートの固定方法を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図14(A)のXIV-XIV線の断面図である。
図15】本実施の形態1に係る乳幼児用シートの他の固定方法を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図14(A)のXV-XV線の断面図である。
図16図15に示す乳幼児用シートの変位を示す正面図である。
図17】本実施の形態1に係る乳幼児用シートのさらに他の固定方法を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図17(A)のXVII-XVII線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
(座席付き育児器具の概要について)
図1図2を参照して、本実施の形態に係る座席付き育児器具の概要について説明する。本実施の形態の座席付き育児器具の種類としては、たとえばチャイルドシート、乳母車、ベビーチェア(ハイローチェア)などの乳幼児を収容する座席構造が設けられた乳幼児用の座席付き育児器具であるが、以下の説明では、チャイルドシート(特に、乳幼児用ベビーシート)を例示的に説明する。
【0022】
なお、以下の説明において、前後方向は、チャイルドシートに着座する乳幼児の前後方向に対応する。上下方向は、チャイルドシートに着座する乳幼児の上半身側を上方、下半身側を下方という。幅方向は、チャイルドシートに着座する乳幼児の左右方向に対応する。また、内側は、チャイルドシートに着座する乳幼児に向かう側に対応する。外側は、チャイルドシートに着座する乳幼児とは反対側に対応する。
【0023】
本実施形態に係るチャイルドシート1の基本構造としては、一般的なチャイルドシートの構造と同様であってよく、自動車に用いられ、特に自動車の座席の上に配置され、乳児や幼児などの子供を安全に乗車させるための装置である。
【0024】
本実施の形態のチャイルドシート1は、自動車のシート上に直接載置されることが好ましいが、自動車のシート上に載置されるベース部に着脱自在に取り付けられる構成であってもよい。チャイルドシート1は、子供が着座する座席部2と、座席部2を保持するとともに、座席部2の剛性を保持するためのシェル(座席本体)4とを含む。
【0025】
座席部2は、乳幼児を受け入れるための受け入れ空間(子供収容部)を形成している。特に図2に示すように、座席部2は、乳幼児用シート5により形成されている。本実施の形態の乳幼児用シート5は、たとえば、クッションの内部に内包されており、芯材としての役割を果たしてもよいし、後述するような布製のシートなどであってもよい。また、乳幼児用シート5は、シェル4に対して上下動可能に固定されていてもよいし、着脱可能に設けられていてもよい。
【0026】
乳幼児用シート5は、第1シート51と第2シート55とを有している。第1シート51は、乳幼児の上半身を保持し、第2シート55は、乳幼児の下半身を保持する。図1に示すように、第1シート51の両側方には、乳幼児の両側方を保護する一対の立ち上がり部51aが設けられていてもよい。
【0027】
第1シート51の上方には、子供の頭部を支持する頭部シート59が設けられていてもよい。頭部シート59は、中央領域に位置し、子供の頭部の後方を保護するための後頭部保護部59aと、側部領域に位置し、後頭部保護部59aの両端から前方に突出し、子供の頭部の側方を保護するための一対の側頭部保護部59bとを含む。
【0028】
チャイルドシート1の座席部2上には、子供の両肩を拘束する1対の肩ベルト10と、座席部2を左右方向に横断するように延びて子供の腰を拘束する一対の腰ベルト11と、座席部2に着座した子供の両太腿の間を延びる股ベルト12とが設けられる。これらのベルト10,11,12の他端同士は、股ベルト12の先端に設けられるバックル13により、子供の腹部付近で着脱可能に連結される。
【0029】
図2に示すように、乳幼児用シート5の第1シート51には、一対の肩ベルト10が通過する肩ベルト通し開口52が設けられている。また、乳幼児用シート5の第2シート55には、一対の腰ベルト11が通過する腰ベルト通し開口57、および、股ベルト12が貫通する股ベルト通し開口56が設けられる。
【0030】
次に、座席部2を外方から支持するシェル4について説明する。シェル4は、本実施の形態の「座席本体」であり、たとえばプラスチックなどの剛性素材で形成されており、座席部2を外方から包み込む。シェル4の内部には、上述した乳幼児用シート5を下方から支持する芯材30が設けられる。芯材30は、乳幼児用シート5の第1シート51を下方から支持する第1芯材31と、乳幼児用シート5の第2シート55を下方から支持する第2芯材32とを含んでいる。第1芯材31と第2芯材32とは、一体的に形成されていることが好ましい。なお、芯材30は、チャイルドシート1の説明の便宜上設けられるものであって、シェル4の必須の構成ではなく、シェル4自体であってもよい。
【0031】
図2に示すように、シェル4には、上述した肩ベルト10、腰ベルト11、および股ベルト12の端部が固定されていることが好ましい。そのため、シェル4の第1芯材31には、一対の肩ベルト10の他端が貫通する第1貫通孔33と、一対の腰ベルト11の他端が貫通する第2貫通孔35と、股ベルト12の他端が貫通する第3貫通孔34とが形成されている。これにより、これらのベルト10,11,12は、シェル4に固定される。
【0032】
シェル4の外部には、座席部2の第1シート51の外方(後方)に位置する上壁部41と、座席部2の第2シート55の外方に位置する下壁部42と、上壁部41と下壁部42との間に位置し、自動車のシート上に載置される底壁部43とを含む。上壁部41、下壁部42、および底壁部43により、座席部2の外周は覆われている。
【0033】
図1に示すように、シェル4の両側方には、持ち運び用の取っ手44が設けられる。具体的には、取っ手44は、U字状に形成される棒状部44aと、棒状部44aの両端を回転可能にシェル4に固定する回転軸44bとを含む。回転軸44bは、底壁部43の両側方に設けられている。取っ手44は、上方に向かって突出する位置と、後方に向かって突出する位置の少なくとも2つの位置で固定可能である。図1では、取っ手44が後方に向かって突出する位置が示されている。取っ手44が上方に向かって突出する位置で、持ち運びすることが可能である。
【0034】
図2に示すように、チャイルドシート1のシェル(座席本体)4の上には、乳幼児用シート5が取り付けられている。以下、乳幼児用シート5の形態について、複数の例を挙げて詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図3および図4を参照して、実施の形態1に係る乳幼児用シート5について説明する。上述のように、本実施の形態の乳幼児用シート5は、シェル(座席本体)4の上に取り付けられ、概略として、第1シート51と、第2シート55と、それらの相対移動を案内するためのガイド部54とを含んでいる。つまり、第1シート51および第2シート55は、相対移動可能に設けられる。
【0036】
本実施の形態の第1シート51は、板状の形態を有する。具体的には、第1シート51は、たとえばプラスチック、圧縮ウレタン、発泡スチロールなどの硬質の部材であってもよいし、ファブリックなどの柔軟性を有する部材であってもよい。また、第1シート51が硬質の部材である場合、第1シート51の乳幼児側の表面は、本実施の形態のように柔らかいクッションなどで覆われていることが好ましい。なお、板状の形態とは、水平方向に対して大きい広がりを有することを意味し、必ずしも平板である必要はなく、湾曲していていたり、突起や凹凸が形成されていたりしてもよいし、材質としては、上述のような硬質の部材であってもよい。
【0037】
上述のように、第1シート51は、乳幼児の体を拘束する一対の肩ベルト10を通過させる一対の肩ベルト通し開口52を有している。肩ベルト通し開口52は、必ずしも肩ベルト10を貫通させる貫通孔である必要はなく、第1シート51の両端部から内側に向かって切り欠かれる切欠き部であってもよい。
【0038】
本実施の形態の第2シート55は、第1シート51と同様に、板状の形態を有する。これにより、第2シート55と第1シート51は、相対移動しやすく設けられる。具体的には、第2シート55は、第1シート51と同様の素材であってもよい。第2シート55が硬質の部材である場合、第2シート55の乳幼児側の表面は、本実施の形態のように柔らかいクッションなどで覆われていることが好ましい。また、第2シート55は、単独でクッションに覆われていてもよいし、第1シート51と共にクッションに覆われていてもよい。なお、第1シート51および第2シート55のいずれもが板状の形態であることが好ましいが、少なくともいずれか一方が板状の形態で形成されていればよい。その場合であっても、第1シート51および第2シート55は、相対移動しやすく設けられる。
【0039】
第2シート55は、第1シート51と重なり合っている。具体的には、第2シート55は、その上端の幅方向全領域が第1シート51の下端の幅方向全領域と重なり合っている。重なり合っている部分は、第2シート55がシェル4側に位置し、第1シート51が乳幼児側に位置していることが好ましい。この重なり合う部分の上下方向の長さは、第1シート51および第2シート55の全長の3分の1以上であることが好ましい。なお、第2シート55と第1シート51とは、少なくとも部分的に重なっていればよく、全体的に重なっていてもよい。
【0040】
上述のように、第2シート55は、乳幼児の体を拘束する一対の腰ベルト11を通過させる一対の腰ベルト通し開口57と、乳幼児の体を拘束する股ベルト12を通過させる股ベルト通し開口56とが設けられていてもよい。腰ベルト通し開口57および股ベルト通し開口56は、必ずしも腰ベルト11または股ベルト12を貫通する貫通孔である必要はなく、第2シート55の両端部または下端部から内側に向かって切り欠かれる切欠き部であってもよい。
【0041】
第1シート51および第2シート55には、それらの相対移動を案内するためのガイド部54が形成されている。具体的には、ガイド部54は、上下に長い一対の長孔58と、一対の長孔58に沿って上下に移動可能なピン部材53とを有する。
【0042】
一対の長孔58は、一対の肩ベルト通し開口52の下方に設けられているが、少なくとも幅方向に整列して一対以上設けられていることが好ましい。長孔58は、第1シート51と第2シート55が重なり合っている部分に設けられている。
【0043】
特に図3(B)に示すように、ピン部材53は、第1シート51および第2シート55を厚み方向に連結する。ピン部材53は、一対の頭部と、一対の頭部を連結する棒状部とを有し、たとえばリベットやネジなどである。頭部の直径は、長孔の横寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、第1シート51と第2シート55とは、分離不能に設けられる。さらに、ピン部材53は、長孔58から外れることなく、長孔58に沿って上下に移動することができる。なお、本実施の形態では、第2シート55に長孔58が形成されたが、第1シート51に形成されていてもよい。
【0044】
第2シート55の下端は、一対の固定ピン81により座席本体4の芯材30に取り付けられている。これにより、第2シート55は位置固定され、第1シート51は第2シート55に対して上下動可能に設けられる。なお、第1シート51がシェル(座席本体)4に固定されて、第2シート55が上下動可能に設けられていてもよいが、その形態については後述する。
【0045】
次に、図4を参照して、第1シート51を第2シート55に対して上下動させることについて説明する。図4(A)は第2シート55を一番上方に移動させている場合であり、図4(B)は中間位置に移動させている場合であり、図4(C)は一番下方に移動させている場合を示している。
【0046】
図4(A)に示すように、ピン部材53が長孔58の上方に位置する場合は、乳幼児用シート5の上下方向の長さ(第1シート51の上端から第2シートの下端までの長さ)を長くすることができる。図4(B)に示すように、ピン部材53が長孔58の中央付近に位置する場合は、乳幼児用シート5の上下方向の長さを中間程度にすることができる。さらに、図4(C)に示すように、ピン部材53が長穴の下方に位置する場合は、乳幼児用シート5の上下方向の長さを小さくすることができる。
【0047】
図4(C)から図4(A)の順で第1シート51を上方に移動させることで、乳幼児の成長に応じて乳幼児用シート5の上下方向の長さを変更させることができる。さらに、乳幼児の成長に応じて、肩ベルト通し開口52の高さ位置を高く変更させることができる。これにより、簡易な構造で、乳幼児の成長に応じた位置調節を適切に行うことが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態の乳幼児用シート5は、予め組み立てられた状態でシェル4上に取り付けることができるため、製造工程を簡略化することができる。さらに、乳幼児用シート5だけで、乳幼児の成長に合わせて上下方向の長さを調整することができるため、仮にシェル4の大きさが一定であったとしても、適用年齢の範囲を広くすることが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
図5図7を参照して、実施の形態2に係る乳幼児用シート5Aの構成について説明する。以下に実施の形態1に示した乳幼児用シート5との相違点のみ説明する。
【0050】
まず、図5および図6を参照して、本実施の形態の乳幼児用シート5Aは、ガイド部54Aが袋部61Aで形成されている。特に図6に示すように、袋部61Aは、第1シート51Aの下端側の裏面(シェル4)側に縫い付けられている。具体的には、袋部61Aは、下方に向かって開口し、第2シート55Aの上端部領域全体を受け入れる。なお、袋部61Aは第2シート55Aの上端側に縫い付けられて、上方に向かって開口していてもよい。
【0051】
第2シート55Aと第1シート51Aとは、分離不能に設けられる。具体的には、第2シート55Aの幅方向両端部かつ上方は、袋部61A内に設けられる一対のひも部62Aを介して第1シート51Aに縫い付けられている。一対のひも部62Aは、柔軟性を有する素材、具体的には布製であることが好ましい。袋部61Aは、第2シート55Aの上下動を案内するものである。なお、第1シート51Aと第2シート55Aとを連結する連結部材は、ひもである必要ではなく、柔軟性を有する素材であればよく、たとえば第1シート51Aと第2シート55Aとの幅方向全面を連結するものであってもよい。
【0052】
図7を参照して、第1シート51Aを上下動させることについて説明する。図7(A)は第1シート51Aを一番上方に移動させている場合であり、図7(B)は中間位置に移動させている場合であり、図7(C)は一番下方に移動させている場合を示している。
【0053】
図7(A)に示すように、一対のひも部62Aが真っ直ぐに引っ張られ、第2シート55Aの大部分が袋部61Aから引き出された状態では、乳幼児用シート5Aの上下方向の長さを長くすることができる。図7(B)に示すように、一対のひも部62Aが若干緩んで、第2シート55Aが袋部61Aにやや挿入された状態では、乳幼児用シート5の上下方向の長さを中間程度にすることができる。図7(C)に示すように、一対のひも部62Aが袋部61Aの上端部分で折り畳まれ、第2シート55Aが袋部61Aに挿入された状態では、乳幼児用シート5の上下方向の長さを小さくすることができる。
【0054】
乳幼児の成長に応じて、図7(C)から図7(A)の順で第1シート51Aを上方に移動させることで、乳幼児用シート5Aの上下方向の長さを変更させることができる。
【0055】
(実施の形態3)
図8図9を参照して、実施の形態3に係る乳幼児用シート5Bの構成について説明する。以下に実施の形態1,2に示した乳幼児用シート5,5Aとの相違点のみ説明する。
【0056】
図8を参照して、乳幼児用シート5Bは、第1シート51Bと第2シート55Bとが上下方向に分離して設けられており、第1シート51Bと第2シート55Bは連結部材63Bで連結されている。つまり、第1シート51Bと第2シート55Bとは重なっておらず、その重なっていない部分に連結部材63Bが設けられている。これにより、第1シート51Bと第2シート55Bとは分離不能に設けられる。
【0057】
連結部材63Bは、柔軟性を有する素材、たとえば布製であることが好ましい。これにより、第1シート51Bと第2シート55Bとの距離を近づけた場合に、連結部材63Bは、自動的に折り畳まれ、第1シート51Bと第2シート55Bとの間の距離を狭めることができる。連結部材63Bは、第1シート51Bと第2シート55Bの対向する端部に縫い付けられている。具体的には、連結部材63Bの上端部は、第1シート51Bの下端と第1縫い付け部64Bにより縫い付けられており、連結部材63Bの下端部は、第2シート55Bの上端と第2縫い付け部65Bにより縫い付けられている。
【0058】
図9を参照して、第1シート51Bを第2シート55Bに対して上下動させることについて説明する。図9(A)は第1シート51Bを一番上方に移動させている場合であり、図9(B)は中間位置に移動させている場合であり、図9(C)は一番下方に移動させている場合を示している。
【0059】
図9(A)に示すように、連結部材63Bが真っ直ぐに引っ張られ、平坦な状態では、乳幼児用シート5Bの上下方向の長さは長くなる。図9(B)に示すように、連結部材63Bが若干緩んだ状態では、乳幼児用シート5Bの上下方向の長さを中間程度にすることができる。図9(C)に示すように、連結部材63Bが折り畳まれて縮んだ状態では、乳幼児用シート5Bの上下方向の長さを短くすることができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、連結部材63Bに加えて、第1シート51Bと第2シート55Bとの相対移動を案内するためのガイド部が設けられていてもよい。たとえば、連結部材63Bの両側端にそれぞれ第1シート51Bと第2シート55Bの上下方向の移動を案内するレールや、連結部材63Bの全体を覆う袋部などが取り付けられていてもよい。
【0061】
(乳幼児用シートの位置決め方法について)
図10図13を参照して、実施の形態1の乳幼児用シート5をシェル(座席本体)4の上に位置決めする方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1の乳幼児用シート5を用いて説明したが、実施の形態2,3の乳幼児用シート5A,5Bについても同様の方法で位置決めすることができる。
【0062】
まず、図10および図11を参照して、第2シート55を位置決めして、第1シート51を上下動させる例について説明する。
【0063】
図10に示すように、乳幼児用シート5には、股ベルト12を通過させるための股ベルト通し開口56が設けられている。股ベルト通し開口56は、切り欠き部ではなく、貫通孔である。股ベルト通し開口56に股ベルト12(図1および図2)を通過させることで、第2シート55を乳幼児の臀部を支持するシェル4の第2芯材32上に位置決めすることができる。その状態で、第1シート51を上方に移動させることで、肩ベルト通し開口52の高さ位置を調整することができる。
【0064】
図11に示すように、乳幼児用シート5には、腰ベルト11を通過させるための腰ベルト通し開口57が設けられている。腰ベルト通し開口57は、貫通孔である。また、股ベルト12を通過させるための股ベルト通し開口56が設けられていてもよいが、股ベルト通し開口56は、下端から切り欠かれる切欠き部であってもよい。腰ベルト通し開口57に腰ベルト11を通過させることで、第2シート55を乳幼児の臀部を支持するシェル4の第2芯材32上に位置決めすることができる。その状態で、第1シート51を上方に移動させることで、肩ベルト通し開口52の高さ位置を調整することができる。
【0065】
次に、図12を参照して、第1シート51を位置決めして、第2シート55を上下動させる例について説明する。
【0066】
図12に示すように、乳幼児用シート5には、肩ベルト10を通過させるための肩ベルト通し開口52が設けられている。肩ベルト通し開口52は、貫通孔であることが好ましいが、その両端から切り欠かれる切欠きであってもよい。肩ベルト通し開口52に肩ベルト10を通過させることで、第1シート51を乳幼児の背中を支持するシェル4の第1芯材31上に位置決めすることができる。その状態で、第2シート55を下方に移動させることで、肩ベルト通し開口52の高さ位置を調整することができる。
【0067】
次に、図13を参照して、第1シート51および第2シート55の位置をいずれも位置決めせず、両方のシート51,55を上下動させる例について説明する。
【0068】
図13に示すように、シェル4には、シェル4の芯材30に対して上下動可能に設けられるヘッドレスト24が設けられる。ヘッドレスト24には、一対の肩ベルト通り開口52が設けられている。そのため、この形態では、ヘッドレスト25を上下動させることで、肩ベルト通し開口52の高さ位置を調整することができる。また、具体的には、ヘッドレスト24は、子供の頭部の後方を保護するための後頭部保護部24aと、側部領域に位置し、後頭部保護部24aの両端から前方に突出し、子供の頭部の側方を保護するための一対の側頭部保護部24bとを含む。
【0069】
幼児用シート5の第1シート51には、ヘッドレスト24の後頭部保護部24aおよび側頭部保護部24bを覆う覆い部25が設けられている。ヘッドレスト24に覆い部25を固定することで、具体的には、ヘッドレスト24に頭部シート部59を被せることで、ヘッドレスト24の上下移動に伴って、第1シート51を上下に移動させることができる。第2シート55は、座席本体(シェル)4の芯材30に固定されていないため、上下に移動することができる。これにより、第1シート51および第2シート55の両方を上下に移動させることができるため、より広範囲での高さ調節が可能となる。
【0070】
(乳幼児用シートの固定方法について)
図14図17を参照して、固定部材を用いていずれか一方のシート51,55を座席本体4に固定する方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1の乳幼児用シート5に固定部材7C,7D,7Eのいずれか一つを追加した例を説明するが、実施の形態2,3の乳幼児用シート5A,5Bについても同様の方法で位置決めすることができる。
【0071】
まず、図14を参照して、乳幼児用シート5を座席本体4に固定する方法を説明する。
【0072】
図14に示すように、乳幼児用シート5の第1シート51は、固定部材7Cを介して座席本体4の芯材30に位置固定されている。固定部材7Cは、係合部70Cと被係合部72Cとを含む。係合部70Cは、第1シート51の上方に固定されており、被係合部72C側に向かって突出する突起部71Cを含む。特に図14(B)に示すように、被係合部72Cは、座席本体4の芯材30に固定されており、突起部71Cを受け入れる複数の受け入れ穴73Cを含む。複数の受け入れ穴73Cは、具体的には3つ設けられており、上下に整列している。固定部材7Cは、たとえばバックル、ホック、ファスナ、ボタン、サンテナック、面ファスナなどの一般的な係合部材であることが好ましい。なお、第2シート55と座席本体4とは固定ピン81で固定されているが、着脱可能に設けられていてもよい。このように、乳幼児用シート5と座席本体4とは、上下方向に沿って少なくとも2箇所以上で連結されていることが好ましい。
【0073】
上方の受け入れ穴73Cに突起部71Cを固定すれば、第1シート51を上方位置で固定させることができ、乳幼児用シート5の上下方向の長さを大きくした状態で固定することができる。一方で、下方の受け入れ穴73Cに突起部71Cを固定すれば、第1シート51を下方位置で固定させることができ、乳幼児用シート5の上下方向の長さを小さくした状態で固定することができる。
【0074】
次に、図15および図16を参照して、乳幼児用シート5を座席本体4に固定する他の方法について説明する。
【0075】
図15に示すように、乳幼児用シート5の第1シート51は、固定部材7Dを介して第2シート55に位置固定されている。具体的には、固定部材7Dは、係合部70Dと、係合部70Dに係合する被係合部72Dとを含む。係合部70Dは、上下に延びる棒状部材であり、その途中位置を第1シート51に回動可能に固定する回動部75Dと、被係合部72Dに向かって突出する突起部76Dとを含む。係合部70Dは、第1シート51よりも上方に突出していることが好ましく、その突出した部分が係合部70Dの操作部となる。係合部70Dは、被係合部72Dと係合する位置に付勢部材により付勢されていることが好ましい。
【0076】
被係合部72Dは、第2シート55に固定されており、突起部76Dを受け入れる複数の受け入れ穴78Dと、受け入れ穴78Dを連結するレール部79Dとを含む。この受け入れ穴78Dとレール部79Dは、連続する凹部である。複数の受け入れ穴78Dは、具体的には3つ設けられており、上下に整列している。
【0077】
図16(A)に示すように、第1シート51よりも上方に突出している操作部を時計回り(紙面上の右側)に移動させると、回動部75Dを支点に回動し、突起部76Dが時計回り(紙面上の左側)に回動して、受け入れ穴78Dとの係合が解除される。さらに、図16(B)に示すように、その状態のまま、第1シート51を上方に移動させると、突起部76Dはレール部79Dに沿って上方に移動する。図16(C)に示すように、付勢部材により回動部75Dを中心に係合部70Dが反時計回り(紙面上の左側)に回転することで、突起部76Dが反時計回り(紙面上の右側)に移動して、受け入れ穴78Dと係合する。
【0078】
このように、第1シート51と第2シート55とを上下方向に沿って少なくとも2箇所以上の位置を固定することで、結果として乳幼児用シート5を座席本体4の芯材30に固定することができるとともに、係合部70Dを操作することで乳幼児用シート5の上下方向の長さを調節することができる。
【0079】
最後に、図17を参照して、乳幼児用シート5を座席本体4の芯材30に固定するさらに他の方法について説明する。
【0080】
乳幼児用シート5の第1シート51は、固定部材7Eを介して第2シート55に位置固定されている。図14に示す乳幼児用シート5との違いは、第1シート51が、座席本体4の芯材30に固定されるのではなく、第2シート55の上端から延長する延出部(被係合部72E)に固定されている点である。
【0081】
具体的には、固定部材7Eは、係合部70Eと、係合部70Eに係合する被係合部72Eとを含む。係合部70Eは、第1シート51の上方に固定されており、被係合部72E側に向かって突出する突起部71Eを含む。被係合部72Eは、第2シート55の上端から帯状に延出する延出部に設けられており、突起部71Eを受け入れる複数の受け入れ穴73Eを含む。複数の受け入れ穴73Eは、具体的には3つ設けられており、上下に整列している。固定部材7Eは、たとえばホックなどである。なお、第2シート55の下端は、たとえば面ファスナ82などにより座席本体4の芯材30に固定されていてもよい。
【0082】
上方の受け入れ穴73Eに突起部71Eを固定すれば、第1シート51を上方位置で固定させることができ、乳幼児用シート5の上下方向の長さを大きくした状態で固定することができる。一方で、下方の受け入れ穴73Eに突起部71Eを固定すれば、第1シート51を下方位置で固定させることができ、乳幼児用シート5の上下方向の長さを小さくした状態で固定することができる。
【0083】
(変形例)
実施の形態1~3の乳幼児用シート5,5A,5Bは、座席付き育児器具とともに用いられたが、乳幼児用シート単体として個別に提供されるものであってもよい。その場合、乳幼児用シートは、座席付き育児器具の座席の上に載置され、座席に対して着脱可能に設けられるような、たとえば汗取りマットのようなものであってもよい。
【0084】
実施の形態1~3の乳幼児用シート5,5A,5Bは、第1シート51が乳幼児の背中を支持するものであり、第2シート55が乳幼児の臀部を支持するものであるとして説明したが、たとえば、第1シート51および第2シート55のいずれもが乳幼児の背中を支持するものであってもよく、その配置については限定されない。
【0085】
実施の形態1~3の乳幼児用シート5,5A,5Bは、第1シート51,51A,51Bと第2シート55,55A,55Bと分離不能に設けられていたが、分離可能に設けられていてもよい。たとえば、第1シート51,51A,51Bと第2シート55,55A,55Bとが、たとえばホックやバックルなどの一般的な連結部材で連結されていてもよい。
【0086】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 座席付き育児器具(チャイルドシート)、4 座席本体(シェル)、5,5A,5B 乳幼児用シート、7C,7D,7E 固定部材、10 肩ベルト、11 腰ベルト、12 股ベルト、51,51A,51B 第1シート、52 肩ベルト通し開口、53 ピン部材、54,54A ガイド部、55,55A,55B 第2シート、56 股ベルト通し開口、57 腰ベルト通し開口、58 長孔、63B 連結部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17