IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新東工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-解枠システム及び解枠方法 図1
  • 特開-解枠システム及び解枠方法 図2
  • 特開-解枠システム及び解枠方法 図3
  • 特開-解枠システム及び解枠方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075978
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】解枠システム及び解枠方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/02 20060101AFI20240529BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240529BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B22D29/02
G01H17/00 Z
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187284
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】金山 祐二
(72)【発明者】
【氏名】青木 達行
(72)【発明者】
【氏名】大野 剛
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】鋳型を解砕機へ投入する作業の最適化を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】解枠システムは、鋳型が配置されるふるい格子とふるい格子を振動させる振動装置とを有する解砕機と、ふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力する振幅センサと、振幅センサによって出力された振幅データと予め定められた値とを比較する制御部と、制御部による比較結果を報知する報知部とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型が配置されるふるい格子と前記ふるい格子を振動させる振動装置とを有する解砕機と、
前記ふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力する振幅センサと、
前記振幅センサによって出力された前記振幅データと予め定められた値とを比較する制御部と、
前記制御部による比較結果を報知する報知部と、
を備える解枠システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記鋳型が前記ふるい格子に配置された状態で前記ふるい格子を振動させる解枠処理中において、前記鋳型の前記解砕機への投入が可であること又は不可であることを前記比較結果として出力する、請求項1に記載の解枠システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記鋳型が前記ふるい格子に配置された状態で前記ふるい格子を振動させる解枠処理中において、前記振幅センサによって出力された前記振幅データが前記予め定められた値以下となる場合に、次の前記鋳型の前記解砕機への投入が不可であることを示す情報を前記報知部に報知させる、請求項1又は2に記載の解枠システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記鋳型が前記ふるい格子に配置された状態で前記ふるい格子を振動させる解枠処理中において、前記振幅センサによって出力された前記振幅データが前記予め定められた値よりも大きい場合に、前記解砕機へ次の前記鋳型の投入が可であることを示す情報を前記報知部に報知させる、請求項1又は2に記載の解枠システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記ふるい格子に前記鋳型を配置せずに前記ふるい格子を振動させる空運転時に前記振幅センサによって出力された前記振幅データが予め定められた範囲内でない場合に、前記報知部に前記解砕機の異常を報知させる、請求項1又は2に記載の解枠システム。
【請求項6】
前記鋳型を前記ふるい格子に配置する搬送装置をさらに備え、
前記搬送装置は、前記振幅センサによって出力された前記振幅データが前記予め定められた値よりも大きい場合に次の鋳型を前記ふるい格子に配置する、
請求項1又は2に記載の解枠システム。
【請求項7】
前記振幅センサによって出力された前記振幅データを保存する記憶装置をさらに備える請求項1又は2に記載の解枠システム。
【請求項8】
鋳型をふるい格子に配置するステップと、
前記ふるい格子を振動装置によって振動させるステップと、
振幅センサを用いて前記ふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力するステップと、
前記振幅センサによって出力された前記振幅データと予め定められた値とを比較するステップと、
比較結果を報知するステップと、
を備える解枠方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、解枠システム及び解枠方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鋳型から製品を取り出す解枠システムを開示する。解枠システムは、ふるい格子を有する振動トラフを振動モータで振動させる解砕機、及び、解砕機へ鋳型を投入するシリンダを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-035923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の解枠システムにおいて、解枠処理の効率を向上させるために、できるだけ多くの鋳型を解砕機に投入し、一度に処理させることが考えられる。しかしながら、投入された鋳型の重さによって解砕機の振動が弱まり、かえって解枠処理の時間が延長し、解枠処理の効率が低下するおそれがある。本開示は、鋳型を解砕機へ投入する作業の最適化を図ることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る解枠システムは、解砕機、振幅センサ、制御部、及び報知部を備える。解砕機は、ふるい格子及び振動装置を有する。ふるい格子は、鋳型が配置される。振動装置は、ふるい格子を振動させる。振幅センサは、ふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力する。制御部は、振幅センサによって出力された振幅データと予め定められた値とを比較する。報知部は、制御部による比較結果を報知する。
【0006】
この解枠システムによれば、振幅センサによって出力された振幅データと予め定められた値との比較結果が報知部によって報知される。予め定められた値は、例えば、解枠処理の効率が低下することが確認されている振動に係る振幅である。作業員は、報知部によって報知された比較結果を確認し、十分な振動がなされているかを判断した上で次の鋳型を投入できる。このため、解枠システムは、鋳型を解砕機へ適切なタイミングで投入させることができる。よって、解枠システムは、鋳型を解砕機へ投入する作業の最適化を図ることができる。
【0007】
一実施形態においては、制御部は、鋳型がふるい格子に配置された状態でふるい格子を振動させる解枠処理中において、鋳型の解砕機への投入が可であること又は不可であることを比較結果として出力してもよい。この解枠システムは、鋳型の解砕機への投入可否を出力することにより、鋳型を解砕機へ適切なタイミングで投入させることができる。
【0008】
一実施形態においては、制御部は、鋳型がふるい格子に配置された状態でふるい格子を振動させる解枠処理中において、振幅センサによって出力された振幅データが予め定められた値以下である場合に、次の鋳型の解砕機への投入が不可であることを示す情報を報知部に報知させてもよい。振幅センサによって出力された振幅データが予め定められた値以下である場合には振幅が十分でないことから、投入された鋳型が予定時間内に十分に解砕されないおそれがある。作業員は、報知部による報知によって次の鋳型を投入しないと判断できる。このため、解枠システムは、鋳型が解砕機へ不適切なタイミングで投入されることを回避できる。
【0009】
一実施形態においては、制御部は、鋳型がふるい格子に配置された状態でふるい格子を振動させる解枠処理中において、振幅センサによって出力された振幅データが予め定められた値よりも大きい場合に、次の鋳型の解砕機への投入が可であることを示す情報を報知部に報知させてもよい。振幅センサによって出力された振幅データが予め定められた値よりも大きい場合には振幅が十分であることから、投入された鋳型が予定時間内に解砕されると想定される。作業員は、報知部による報知によって次の鋳型を投入すると判断できる。このため、解枠システムは、鋳型を解砕機へ適切なタイミングで投入させることができる。
【0010】
一実施形態においては、制御部は、ふるい格子に鋳型を配置せずにふるい格子を振動させる空運転時に振幅センサによって出力された振幅データが予め定められた範囲内でない場合に、報知部に解砕機の異常を報知させてもよい。空運転時の振幅データは、無負荷時におけるデータであるため、解砕機に不具合が発生していない場合には大きく変化しない。解枠システムは、空運転時の振幅データが予め定められた範囲内であるか否かを判定することで、解砕機の異常を検知できる。作業員は、報知部による報知によって解砕機の異常を認識することで、設備が故障する前に対策できる。このため、解枠システムは、設備の性能の劣化を発見できるため、設備の故障によるダウンタイムを削減でき、予防保全に貢献できる。
【0011】
一実施形態においては、解枠システムは、鋳型をふるい格子に配置する搬送装置をさらに備えてもよい。搬送装置は、振幅センサによって出力された振幅データが予め定められた値よりも大きい場合に次の鋳型をふるい格子に配置してもよい。この場合、解枠システムは、鋳型が解砕機へ不適切なタイミングで自動投入されることを回避できる。
【0012】
一実施形態においては、解枠システムは、振幅センサによって出力された振幅データを保存する記憶装置をさらに備えてもよい。この場合、解枠システムは、振幅データを事後的に検証させることができる。
【0013】
本開示の他の側面に係る解枠方法は、以下のステップを含む。
(1)鋳型をふるい格子に配置するステップ。
(2)ふるい格子を振動装置によって振動させるステップ。
(3)振幅センサを用いてふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力するステップ。
(4)振幅センサによって出力された振幅データと予め定められた値とを比較するステップ。
(5)比較結果を報知するステップ。
【0014】
この解枠方法によれば、上述した解枠システムと同一の効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、鋳型を解砕機へ投入する作業の最適化を図ることができる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る解枠システムの概要図である。
図2】一実施形態に係る解枠システムの動作を示すフローチャートである。
図3】一実施形態に係る解枠システムの動作を示すフローチャートである。
図4】振幅、速度、加速度に係る、振動数と観測量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附す。
【0018】
(解枠システムの構成)
図1は、一実施形態に係る解枠システムの概要図である。図1に示される解枠システム1は、鋳型MDから製品を取り出すシステムである。鋳型MDは、例えば砂型であり、一例として自硬性鋳型である。図1に示されるように、解枠システム1は、解砕機10、振幅センサ14、制御装置20、報知部30、及び搬送装置40を備える。
【0019】
解砕機10は、鋳型MDに振動を与えて砂をふるい落とし、製品を取り出す装置である。解砕機10は、鋳型MDが配置されるふるい格子11を有する。ふるい格子11は、本体フレーム10aに支持される。本体フレーム10aは、内部に空間が画成される。ふるい格子11は、本体フレーム10aの内部に連通する複数の穴を有する。複数の穴の形状は、円形であってもよいし、矩形であってもよい。
【0020】
解砕機10は、ふるい格子11を振動させる振動装置12を有する。振動装置12は、例えばふるい格子11を支持する本体フレーム10aに設けられる。振動装置12は、一例として直接振動を発生させる振動モータである。振動装置12は、振動モータに限定されず、電磁振動又は偏心クランク振動を発生させる装置であってもよい。解砕機10は、複数の振動装置12を備えてもよい。
【0021】
解砕機10は、本体フレーム10aを支持する弾性体13を有する。弾性体13は、一例としてバネである。弾性体13は、弾性力のある樹脂部材であってもよい。振動装置12が駆動した場合、弾性体13に支持された本体フレーム10a及びふるい格子11は振動する。ふるい格子11に配置された鋳型MDは振動によって解砕される。鋳型MDが解砕されることによって発生する砂は、ふるい格子11の複数の穴を介して本体フレーム10aの内部の空間に収容される。収容された砂は、本体フレーム10aの振動によって図示しない搬送路を搬送され、スクリュコンベアなどの別途の搬送装置へ供給される。砂がふるい落とされた製品は、ふるい格子11上に残り、解砕機10から取り出される。
【0022】
振幅センサ14は、本体フレーム10aの振動の振幅(ふるい格子11の振動の振幅)を検出し、振幅データを出力する。振幅データは、振幅値である。振幅センサ14は、一例として本体フレーム10aに設けられる。振幅センサ14は、振幅を検出できるセンサであれば特に限定されない。例えば、振幅センサ14は、加速度を検出し、検出した加速度を積分することで変位(振幅)を出力する。一例として、振幅センサ14は、圧電素子を有する。圧電素子は、振動が与えられると、振動の加速度に比例した電荷を発生する。圧電素子によって発生した電荷は、アンプで増幅され、電荷量が加速度に変換され、加速度が積分されて、変位(振幅)として検出される。
【0023】
振幅センサ14は、例えば、歪みゲージを用いたセンサであってもよい。重錘が板ばねなどでセンサ本体に支持されており、重錘に働く慣性力による板ばねの変形を、歪みゲージが歪みとして検出する。歪みの大きさは振幅と相関がある。
【0024】
振幅センサ14は、電磁誘導を利用した動電型センサであってもよい。磁石がセンサ本体に固定され、磁石の周りにコイルがバネなどで移動可能に支持されており、磁石とコイルとの相対移動によって生じる誘導起電力を検出する。誘導起電力の大きさは振動速度に比例しており、振動速度の変化から振幅が出力される。
【0025】
振幅センサ14によって検出された振幅データは、制御装置20に出力される。制御装置20は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(RandomAccess Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリと、タッチパネル、マウス、キーボード、ディスプレイなどの入出力装置と、ネットワークカードなどの通信装置とを含むコンピュータシステムとして構成されてもよい。制御装置20は、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御のもとで各ハードウェアを動作させることにより、制御装置20の機能を実現する。
【0026】
制御装置20は、制御部21及び記憶装置22を備える。制御部21は、振幅センサ14によって出力された振幅データと予め定められた値とを比較する。予め定められた値は、予め設定された振幅値であり、振幅データを判定するための閾値である。制御部21は、複数の閾値(上限値及び下限値)を用いて振幅センサ14によって出力された振幅データが範囲内であるか否かを判定してもよい。
【0027】
例えば、制御部21は、振幅センサ14によって出力された振幅データが予め定められた下限値以下であるか否かを判定する。下限値は、十分な振動であるか否かを判定するための閾値であり、例えば実績データに基づいて予め設定される。振幅センサ14によって出力された振幅データが下限値以下である場合、本体フレーム10aが十分に振動していないため、解枠処理の時間が長くなり、解枠処理の効率が低下すると判定される。
【0028】
報知部30は、制御部21による比較結果を報知する。制御部21は、報知部30を制御して、作業員などに報知させる。比較結果は、大小関係だけでなく、大小関係から導き出される結論(鋳型の投入可又は投入不可)も含む。報知部30は、視覚、聴覚、触覚などを通じて作業員に比較結果を報知する。報知部30は、例えば、ランプ、ディスプレイ装置、スピーカ、及び、バイブレータなどである。
【0029】
制御部21は、振幅センサ14によって出力された振幅データが予め定められた値以下であると判定されたことに応じて、次の鋳型の解砕機10への投入が不可であることを示す情報を報知部30に報知させる。以下では、報知部30が鋳型の投入可を判定した時に点灯する緑ランプと、鋳型の投入不可を判定した時に点灯する赤ランプとを有する場合を説明する。報知部30が視覚を通じて報知する場合、報知部30は、報知対象者である作業員の付近に設置される。制御部21は、振幅センサ14によって出力された振幅データが下限値以下である場合、赤ランプ(報知部30)を点灯させて、鋳型の投入不可を報知させる。制御部21は、振幅センサ14によって出力された振幅データが下限値以下でない場合、緑ランプ(報知部30)を点灯させて、鋳型の投入可を報知させる。なお、報知部30は、投入可又は投入不可の2値を報知する場合には、いずれか一方のランプを備えるだけでもよい。
【0030】
作業員は、ランプの状態を確認し、現在の解枠処理中において赤ランプが点灯しなければ今回の鋳型MDの解枠処理は正常に実行されていると判断できる。この場合、作業員は、製品を解砕機10から取り出し、次の鋳型MDを解砕機10へ投入する。解砕機10への投入は、搬送装置40が用いられる。搬送装置40は、例えばクレーン又はホイストである。
【0031】
作業員は、ランプの状態を確認し、現在の解枠処理中において赤ランプが点灯した場合、解砕機10の解砕能力が低下していると判断できる。この場合、作業員は、次の鋳型MDを解砕機10へ投入することを見合わせる。これにより、鋳型MDが解砕機10へ不適切なタイミングで投入されることが回避される。
【0032】
制御部21は、ふるい格子11に鋳型を配置せずにふるい格子11を振動させる空運転時に振幅センサ14によって出力された振幅データが、予め定められた範囲内であるか否かを判定してもよい。予め定められた範囲は、機器の故障又は異常のない基準となる解砕機が空運転したときに得られた振幅データ(以下、振幅データAという。)に基づいて設定された、振幅データの正常範囲である。振幅データAは、基準となる解砕機において取得され、解砕機10にインプットされる。解砕機10が空運転したときに得られた振幅データが、振幅データAと比較し、正常範囲内である場合、解砕機10は正常に運転できると判断され、解砕機10が空運転したときに得られた振幅データが、振幅データAと比較し、正常範囲外である場合、解砕機10は機器の故障又は異常が発生している可能性があると判定される。制御部21は、空運転時の振幅データが予め定められた範囲内でないと判定されたことに応じて報知部30に異常を報知させる。異常の報知は、適宜の態様で実行されればよい。例えば、報知部30は、赤ランプを点灯させてもよいし、赤ランプを点滅させるなど、赤ランプの表示態様を変更してもよいし、異常ランプを別途設け、異常ランプを点灯させてもよい。これにより、設備の性能の劣化を発見できるため、設備の故障によるダウンタイムを削減でき、予防保全に貢献できる。
【0033】
制御部21は、振幅センサ14によって出力された振幅データを例えば時刻と関連付けて記憶装置22に格納する。制御部21は、日付、砂データ、鋳型の種類などの種々のデータを振幅データと関連付けて記憶装置22に格納してもよい。これにより、制御部21は、振幅データを事後的に検証させることができる。
【0034】
搬送装置40は、制御部21の判定結果に応じて動作してもよい。例えば、搬送装置40は、振幅センサ14によって出力された振幅データが予め定められた値以下でないと制御部21によって判定されたことに応じて、次の鋳型MDをふるい格子11に配置する。このように、解砕機10への鋳型MDの投入が自動化されてもよい。
【0035】
(解枠方法)
図2は、解枠システムの動作を示すフローチャートである。図2に示される解枠方法は、解枠システム1によって実行される。解枠システム1は、図2に示される方法を実行する前に、準備工程として、鋳型MDをふるい格子11に配置し、ふるい格子11を振動装置12によって振動させる。あるいは、解枠システム1は、準備工程として、ふるい格子11を振動装置12によって振動させ、振動するふるい格子11に鋳型MDを配置してもよい。この状態で図2に示される方法がスタートする。
【0036】
最初に、振幅センサ14は、振幅測定処理(ステップS10)として、ふるい格子11の振動を検出する。
【0037】
続いて、制御部21は、比較処理(ステップS12)として、ステップS10で得られた振幅データが所定の範囲内であるか否かを判定する。例えば、制御部21は、ステップS10で得られた振幅データが下限値以下であるか否かを判定する。
【0038】
ステップS10で得られた振幅データが所定の範囲内であると判定された場合(ステップS12:YES)、制御部21は、投入可の報知処理(ステップS14)として、緑ランプを点灯させる。ステップS10で得られた振幅データが所定の範囲内でないと判定された場合(ステップS12:NO)、制御部21は、投入不可の報知処理(ステップS16)として、赤ランプを点灯させる。
【0039】
投入可の報知処理(ステップS14)、及び、投入不可の報知処理(ステップS16)が終了した場合、図2に示されるフローチャートが終了する。
【0040】
制御部21は、図2に示される一連の処理を繰り返し実行する。これにより、一つの鋳型MDの解枠処理中において、常に振幅の正常または異常を監視する状況となる。解枠処理が終了した場合、作業員は、赤ランプが点灯していないことを確認し、次の鋳型MDを投入する。なお、搬送装置40が、比較処理(ステップS12)の結果に基づいて鋳型MDを自動的に投入してもよい。
【0041】
図3は、一実施形態に係る解枠システムの動作を示すフローチャートである。図3に示されるフローチャートは、鋳型MDの投入前に実行される。図3に示されるように、振幅センサ14は、振幅測定処理(ステップS20)として、空運転時のふるい格子11の振動を検出する。
【0042】
続いて、制御部21は、比較処理(ステップS22)として、ステップS20で得られた振幅データが所定の範囲内であるか否かを判定する。例えば、制御部21は、ステップS20で得られた振幅データが、正常時の振幅データが取り得る範囲内であるか否かを判定する。
【0043】
ステップS20で得られた振幅データが所定の範囲内であると判定された場合(ステップS22:YES)、正常表示処理(ステップS24)として、緑ランプを点灯させる。ステップS20で得られた振幅データが所定の範囲内でないと判定された場合(ステップS22:NO)、制御部21は、異常表示処理(ステップS26)として、赤ランプを点灯させる。
【0044】
正常表示処理(ステップS24)、及び、異常表示処理(ステップS26)が終了した場合、図3に示されるフローチャートが終了する。解枠システム1は、設備の性能の劣化を発見できるため、設備の故障によるダウンタイムを削減でき、予防保全に貢献できる。
【0045】
(実施形態のまとめ)
この解枠システム1によれば、振幅センサ14によって出力された振幅データと予め定められた値との比較結果が報知部30によって報知される。作業員は、報知部30によって報知された比較結果を確認し、十分な振動がなされているかを判断した上で次の鋳型MDを投入できる。このため、解枠システム1は、鋳型MDを解砕機10へ適切なタイミングで投入させることができる。また、解枠システム1は、解砕機10の解砕能力を超えた重量の鋳型が投入されることを回避できる。
【0046】
また、振幅センサ14は、振幅を検出できるセンサであれば特に限定されないが、振幅センサ14として採用可能な、加速度を利用する振幅センサ、歪を利用する振幅センサ、電磁誘導を利用する振幅センサのそれぞれの特徴を概説する。振幅センサ14が、加速度を利用する振幅センサである場合には、歪を利用する振幅センサ、及び、電磁誘導を利用する振幅センサと比べて、解砕機10の概ね1kHz以上の周波数の振動を精度良く検出できる。振幅センサ14が歪を利用する振幅センサ、又は、電磁誘導を利用する振幅センサである場合には、加速度を利用する振幅センサと比べて、解砕機10の概ね100Hz以下の周波数の振動を精度良く検出することができる。
【0047】
図4は、振幅、速度、加速度に係る、振動数と観測量との関係を示すグラフである。横軸は振動数(Hz)であり、縦軸は観測量である。振幅グラフ60は、振動数と振幅の観測量との関係を示すグラフである。速度グラフ70は、振動数と速度の観測量との関係を示すグラフである。加速度グラフ80は、振動数と加速度の観測量との関係を示すグラフである。図4に示されるように、振幅グラフ60は、振動数に依存しないため、振動数を変化させたとしても一定の値となる。速度グラフ70は、振動数の変化とともに一次関数的に変化する。加速度グラフ80は、振動数の変化とともに二次関数的に変化する。
【0048】
上述のとおり、振動数の変化に対して、振幅、速度、加速度それぞれの変化量は異なるため、振動数に応じて観測しやすい物理量が存在する。例えば、振動数が0から第1振動数F1までの低振動領域R1においては、速度及び加速度は大きな値を取ることができないため、振幅、速度、加速度の順に観測しやすい。振動数が第1振動数F1から第2振動数F2までの中振動領域R2においては、加速度は大きな値を取ることができず、速度の観測量が振幅の観測量を超えるため、速度、振幅、加速度の順に観測しやすい。振動数が第2振動数F2よりも大きい高振動領域R3においては、加速度の観測量が速度の観測量を超えるため、加速度、速度、振幅の順に観測しやすい。
【0049】
解砕機10の物理的な異常、例えば、ねじの緩み又は破損の検知をする場合には、高振動領域R3、つまり、加速度を監視することにより、速度及び振幅を監視するよりも、監視の精度を向上できる。一方、解砕機10が所望の動作条件で稼働しているのか、例えば、所定の振幅範囲を満たしながら解枠しているかを監視する場合には、低振動領域R1、つまり、振幅を監視することにより、加速度及び速度を監視するよりも、監視の精度を向上できる。解枠システム1は、振幅センサ14を利用することにより、鋳型MDの解砕機10への投入タイミングを、適切なタイミングとすることができる。よって、解枠システム1は、鋳型MDを解砕機10へ投入する作業の最適化を図ることができる。
【0050】
上述したとおり、ふるい落とされた砂は、本体フレーム10aの振動によって図示しない搬送路を搬送され、スクリュコンベアなどの別途の搬送装置へ供給される。解枠システム1は、鋳型MDの投入タイミングを適切にすることにより、本体フレーム10aの振動が安定するため、スクリュコンベアまでの搬送の過程で砂詰まりが発生することを回避できる。
【0051】
さらに、解枠システム1は、空運転時の振幅を検出することで、設備の性能の劣化を発見できるため、設備の故障によるダウンタイムを削減でき、予防保全に貢献できる。
【0052】
以上、例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0053】
本開示に含まれる種々の例示的実施形態は以下の条項を含む。
[条項1]
鋳型が配置されるふるい格子と前記ふるい格子を振動させる振動装置とを有する解砕機と、
前記ふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力する振幅センサと、
前記振幅センサによって出力された前記振幅データと予め定められた値とを比較する制御部と、
前記制御部による比較結果を報知する報知部と、
を備える解枠システム。
[条項2]
前記制御部は、前記鋳型が前記ふるい格子に配置された状態で前記ふるい格子を振動させる解枠処理中において、前記鋳型の前記解砕機への投入が可であること又は不可であることを前記比較結果として出力する、条項1に記載の解枠システム。
[条項3]
前記制御部は、前記鋳型が前記ふるい格子に配置された状態で前記ふるい格子を振動させる解枠処理中において、前記振幅センサによって出力された前記振幅データが前記予め定められた値以下である場合に、次の前記鋳型の前記解砕機への投入が不可であることを示す情報を前記報知部に報知させる、条項1又は2に記載の解枠システム。
[条項4]
前記制御部は、前記鋳型が前記ふるい格子に配置された状態で前記ふるい格子を振動させる解枠処理中において、前記振幅センサによって出力された前記振幅データが前記予め定められた値よりも大きい場合に、前記解砕機へ次の前記鋳型の投入が可であることを示す情報を前記報知部に報知させる、条項1~3の何れか一項に記載の解枠システム。
[条項5]
前記制御部は、前記ふるい格子に前記鋳型を配置せずに前記ふるい格子を振動させる空運転時に前記振幅センサによって出力された前記振幅データが予め定められた範囲内でない場合に、前記報知部に前記解砕機の異常を報知させる、条項1~4の何れか一項に記載の解枠システム。
[条項6]
前記鋳型を前記ふるい格子に配置する搬送装置をさらに備え、
前記搬送装置は、前記振幅センサによって出力された前記振幅データが前記予め定められた値以下でないと前記制御部によって判定されたことに応じて、次の鋳型を前記ふるい格子に配置する、
条項1~5の何れか一項に記載の解枠システム。
[条項7]
前記振幅センサによって出力された前記振幅データを保存する記憶装置をさらに備える条項1~6に記載の解枠システム。
[条項8]
鋳型をふるい格子に配置するステップと、
前記ふるい格子を振動装置によって振動させるステップと、
振幅センサを用いて前記ふるい格子の振動の振幅を検出し、振幅データを出力するステップと、
前記振幅センサによって出力された前記振幅データと予め定められた値とを比較するステップと、
前記比較結果を報知するステップと、
を備える解枠方法。
【符号の説明】
【0054】
1…解枠システム、10…解砕機、11…ふるい格子、12…振動装置、14…振幅センサ、21…制御部、22…記憶装置、30…報知部、40…搬送装置。
図1
図2
図3
図4