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  • 特開-仮想空間画像提供装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075992
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】仮想空間画像提供装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240529BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240529BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187311
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】宗形 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 優美
(72)【発明者】
【氏名】田所 一美
(72)【発明者】
【氏名】堀切 一輝
(72)【発明者】
【氏名】熊岡 泰佑
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優雅
【テーマコード(参考)】
5E555
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5E555AA27
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC08
5E555BD06
5E555DB32
5E555DC25
5E555DC35
5E555DC36
5E555FA00
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】アバターにアバターの視野から外れた領域に存在する他のアバターを気配として感じさせることができる仮想空間画像提供装置を提供する。
【解決手段】対象アバター抽出部113は、仮想空間画像における第1のアバターが見る視野範囲から外れた所定の範囲の領域内に、第2のアバターが存在するとき、第2のアバターを対象アバターとして抽出する。気配画像生成部114は、第1のアバターに、第2のアバターが視野範囲の外側に存在することを感じさせる気配画像を生成する。気配画像重畳部115は、気配画像を視野範囲内の端部に重畳する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間画像における第1のアバターが見る視野範囲から外れた所定の範囲の領域内に、第2のアバターが存在するとき、前記第2のアバターを対象アバターとして抽出する対象アバター抽出部と、
前記第1のアバターに、前記第2のアバターが前記視野範囲の外側に存在することを感じさせる気配画像を生成する気配画像生成部と、
前記気配画像を、前記視野範囲内の端部に重畳する気配画像重畳部と、
を備える仮想空間画像提供装置。
【請求項2】
前記気配画像生成部は、前記第2のアバターのアバター画像に基づいて前記気配画像を生成する請求項1に記載の仮想空間画像提供装置。
【請求項3】
前記気配画像生成部は、前記第1のアバターから前記第2のアバターまでの距離が短いほど大きく、長いほど小さい気配画像を生成する請求項1または2に記載の仮想空間画像提供装置。
【請求項4】
前記気配画像生成部は、前記第2のアバターの位置が前記視野範囲に近付くほど大きく、前記視野範囲から離れるほど小さない配画像を生成する請求項1または2に記載の仮想空間画像提供装置。
【請求項5】
前記気配画像生成部は、前記第2のアバターのアバター画像の輝度を低下させる第1の生成方法、前記アバター画像の色を変更する第2の生成方法、カラー画像である前記アバター画像を白黒画像とする第3の生成方法、前記アバター画像を小さくする第4の生成方法、前記アバター画像の形状を変更する第5の生成方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記気配画像を生成する請求項2に記載の仮想空間画像提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間画像提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内で各ユーザに対応するアバターを動作させる仮想空間画像提供装置が普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-120583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人間がある方向を見ているとき、視野の範囲内に存在するものを認識するだけでなく、視野から外れた領域に存在する他の人間を気配として感じることがある。アバターが仮想空間内である方向を見ているときも同様に、アバターにアバターの視野から外れた領域に存在する他のアバターを気配として感じさせることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、仮想空間画像における第1のアバターが見る視野範囲から外れた所定の範囲の領域内に、第2のアバターが存在するとき、前記第2のアバターを対象アバターとして抽出する対象アバター抽出部と、前記第1のアバターに、前記第2のアバターが前記視野範囲の外側に存在することを感じさせる気配画像を生成する気配画像生成部と、前記気配画像を、前記視野範囲内の端部に重畳する気配画像重畳部とを備える仮想空間画像提供装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の仮想空間画像提供装置によれば、アバターにアバターの視野から外れた領域に存在する他のアバターを気配として感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る仮想空間画像提供装置を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る仮想空間画像提供装置における仮想空間画像生成部の具体的な構成例を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る仮想空間画像提供装置における仮想空間画像生成部が背景画像に気配画像を重畳した状態の一例を示す概念図である。
図4】気配画像からアバター画像への切り替えを示す概念図である。
図5】一実施形態に係る仮想空間画像提供装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る仮想空間画像提供装置について、添付図面を参照して説明する。図1において、仮想空間画像提供サーバ10は、一実施形態に係る仮想空間画像提供装置を構成する。ネットワーク20には、仮想空間画像提供サーバ10及びユーザ端末30a~30cが接続されている。ユーザ端末30a~30c及び図示されていない他のユーザ端末を含む任意のユーザ端末をユーザ端末30と称することとする。典型的には、ネットワーク20はインターネットである。ネットワーク20を介して仮想空間画像提供サーバ10に接続されているユーザ端末30の数は限定されない。
【0009】
仮想空間画像提供サーバ10は、仮想空間画像生成部11、アバター画像保持部12、視野範囲設定部13、背景画像設定部14、アバター位置制御部15、方向指示部16、通信部17を備える。ユーザ端末30a~30cを使用するユーザUra~Urcは、それぞれ、ヘッドマウントディスプレイ40a~40cを頭に装着して、仮想空間画像提供サーバ10が提供する仮想空間画像を見る。ユーザUra~Urc及び図示されていないユーザ端末30を使用する任意のユーザをユーザUrと称することとする。任意のヘッドマウントディスプレイをヘッドマウントディスプレイ40と称することとする。
【0010】
仮想空間画像生成部11は、背景画像設定部14に設定されている背景画像に、アバター画像保持部12に保持されているアバター画像を重畳して、仮想空間画像を生成する。仮想空間画像生成部11は、各ユーザUrに対応するアバターのアバター画像を背景画像に重畳する。各ユーザUrは、各ユーザ端末30を操作してアバターを移動させることができる。アバター位置制御部15は、各ユーザUrの操作に応じて、背景画像内のアバターの位置を制御する。仮想空間画像生成部11は、アバター位置制御部15によるアバターの位置の制御に従って、背景画像内の所定の位置にアバターを位置させる。
【0011】
視野範囲設定部13は、全ての仮想空間画像のうちの、ユーザUrがヘッドマウントディスプレイ40によって見る視野範囲を設定している。視野範囲は、水平方向の所定の角度範囲及び垂直方向の所定の角度範囲である。視野範囲設定部13に設定されている視野範囲は固定であってもよいし、使用するヘッドマウントディスプレイ40に応じて可変であってもよい。使用するヘッドマウントディスプレイ40に応じて視野範囲が自動的に設定されるように構成されていてもよい。
【0012】
ヘッドマウントディスプレイ40を装着しているユーザUrが頭を動かして見る方向を変更すると、ユーザUrの向きを示す信号はネットワーク20及び通信部17を介して方向指示部16に供給される。方向指示部16は、ユーザUrの向きを示す信号に従って、仮想空間画像生成部11に方向指示信号を供給して、全ての仮想空間画像のうちの抽出する視野範囲の方向を指示する。仮想空間画像生成部11は、全ての仮想空間画像のうち、指示された方向の視野範囲の領域の画像を抽出して通信部17に供給する。抽出された視野範囲の領域の画像は、ネットワーク20及びユーザ端末30を介してヘッドマウントディスプレイ40に送信される。
【0013】
このようにして、各ユーザUrは、頭を動かすことにより、全ての仮想空間画像のうちの任意の方向の視野範囲の領域の画像を見ることができる。
【0014】
図2に示すように、仮想空間画像生成部11は、視野範囲背景画像抽出部111、アバター画像重畳部112、対象アバター抽出部113、気配画像生成部114、気配画像重畳部115を備える。視野範囲背景画像抽出部111には、背景画像設定部14から背景画像が供給され、視野範囲設定部13から視野範囲設定信号が供給され、方向指示部16から方向指示信号が供給される。視野範囲背景画像抽出部111は、指示された方向の視野範囲の背景画像を抽出する。
【0015】
アバター画像重畳部112には、アバター画像保持部12からアバター画像が供給され、アバター位置制御部15からアバター位置制御信号が供給される。アバター画像重畳部112は、抽出した背景画像内に重畳すべきアバターが存在する場合には、背景画像にアバター画像を重畳して、気配画像重畳部115に供給する。
【0016】
対象アバター抽出部113には、視野範囲設定信号、方向指示信号、アバター位置制御信号が供給される。対象アバター抽出部113は、各ユーザUrに対応するアバター(第1のアバター)が見る視野範囲から外れた所定の範囲の領域内に、他のアバター(第2のアバター)が存在するとき、他のアバターを対象アバターとして抽出する。気配画像生成部114には、アバター画像と、対象アバター抽出部113が抽出した対象アバターを示す情報が供給される。気配画像生成部114は、各ユーザUrに対応するアバターに、他のアバターが視野範囲の外側に存在することを感じさせる気配画像を生成して、気配画像重畳部115に供給する。
【0017】
気配画像重畳部115は、アバター画像重畳部112から供給される背景画像に気配画像生成部114が生成する気配画像を重畳する。このとき、気配画像重畳部115は、視野範囲内の端部に気配画像を重畳する。
【0018】
気配画像生成部114は、対象アバターのアバター画像とは無関係に気配画像を生成してもよい。気配画像は、例えば円、楕円等の所定の形状の画像であってもよい。気配画像はグレー等の比較的暗い画像であるのがよい。
【0019】
対象アバターのアバター画像に基づいて気配画像を生成するのがよい。気配画像生成部114は、第1の生成方法として、アバター画像の輝度を低下させて気配画像を生成してもよい。気配画像生成部114は、第2の生成方法として、アバター画像の色を変更して気配画像を生成してもよい。例えば、気配画像生成部114は、アバター画像の色をより寒色側の色に変更したり、彩度の低い色に変更したりしてもよい。
【0020】
気配画像生成部114は、第3の生成方法として、カラー画像であるアバター画像を白黒画像として気配画像を生成してもよい。気配画像生成部114は、第4の生成方法として、アバター画像を小さくして気配画像を生成してもよい。気配画像生成部114は、第5の生成方法として、アバター画像の形状を変更して気配画像を生成してもよい。気配画像生成部114は、第1~第5の生成方法のうちの少なくとも1つの方法を採用すればよく、第1~第5の生成方法のうちの任意の2またはそれ以上を組み合わせて気配画像を生成してもよい。
【0021】
図3は、気配画像生成部114が生成した気配画像を背景画像に気配画像を重畳した状態を概念的に示している。あるユーザに対応するアバターAv1は、角度θを視野範囲として仮想空間を見ている。対象アバター抽出部113は、視野範囲の外側である視野範囲に隣接する角度θexL及びθexRの範囲の領域を拡張領域として設定する。対象アバター抽出部113は、拡張領域内に他のアバターが存在するか否かを判定する。図3の例では、角度θexRの範囲の領域にアバターAv2が存在し、角度θexLの範囲の領域にアバターAv3が存在する。
【0022】
図3に示すように、気配画像生成部114はアバターAv2のアバター画像に基づいて気配画像Iav2を生成し、気配画像重畳部115は視野範囲内の端部に気配画像Iav2を重畳する。気配画像生成部114はアバターAv3のアバター画像に基づいて気配画像Iav3を生成し、気配画像重畳部115は視野範囲内の端部に気配画像Iav2を重畳する。気配画像重畳部115は、アバターAv1からアバターAv2までの距離と同じ距離の位置に気配画像Iav2を重畳し、アバターAv1からアバターAv3までの距離と同じ距離の位置に気配画像Iav3を重畳するのがよい。即ち、アバターAv2及びAv3を周方向に視野範囲内の端部まで移動させた位置に、気配画像Iav2及びIav3を配置すればよい。
【0023】
図3に示す仮想空間画像によれば、アバターAv1(アバターAv1に対応するユーザUr)は、アバターAv1の視野から外れた領域に存在する他のアバターAv2及びAv3を気配として感じることができる。気配画像Iav2及びIav3は、アバターAv2及びAv3のアバター画像とは異なる画像であるので、アバターAv1(アバターAv1に対応するユーザUr)は、アバターAv2及びAv3が視野範囲内に存在すると認識する可能性はほとんどない。
【0024】
気配画像生成部114は、アバターAv1から拡張領域内のアバターまでの距離が短いほど大きく、距離が長いほど小さい気配画像を生成するのがよい。気配画像生成部114は、拡張領域内のアバターが視野範囲に近付くほど大きく、視野範囲から離れるほど小さい気配画像を生成するのがよい。
【0025】
図3において、アバターAv1に対応するユーザが顔を右に回転させると、角度θの視野範囲は右に回転し、アバターAv2が視野範囲に入ってユーザはアバターAv2を見る。このとき、気配画像Iav2とアバターAv2とが連続して、気配画像Iav2からアバターAv2へと切り替わっていくように表示されるのがよい。図4は、気配画像Iav2からアバターAv2へと切り替わっていく状態を概念的に示している。気配画像Iav2は、気配画像Iav2とアバターAv2との中間の中間画像Iav2’へと順に変化し、さらに、アバターAv2へと順に変化する。
【0026】
図5に示すフローチャートを用いて、仮想空間画像生成部11が実行する処理を説明する。図5において、仮想空間画像提供サーバ10が動作を開始して仮想空間画像生成部11の処理が開始されると、仮想空間画像生成部11は、ステップS1にて、視野範囲設定信号及び方向指示信号に基づいて、背景画像より視野範囲の背景画像を抽出する。仮想空間画像生成部11は、ステップS2にて、視野範囲の背景画像内にアバターが存在するか否かを判定する。視野範囲の背景画像内にアバターが存在しなければ(NO)、仮想空間画像生成部11は処理をステップS4に移行させる。
【0027】
ステップS2にて視野範囲の背景画像内にアバターが存在すれば(YES)、仮想空間画像生成部11は、ステップS3にて、視野範囲の背景画像内にアバター画像を重畳して、処理をステップS4に移行させる。仮想空間画像生成部11は、ステップS4にて、視野範囲を外れた拡張領域内にアバターが存在するか否かを判定する。視野範囲を外れた拡張領域内にアバターが存在しなければ(NO)、仮想空間画像生成部11は処理をステップS6に移行させる。
【0028】
ステップS4にて視野範囲を外れた拡張領域内にアバターが存在すれば(YES)、仮想空間画像生成部11は、ステップS5にて、視野範囲内の端部にアバターの気配画像を重畳して、処理をステップS6に移行させる。仮想空間画像生成部11は、ステップS6にて、ユーザが向く方向を変えたか否かを判定する。ユーザが向く方向を変えなければ(NO)、仮想空間画像生成部11は処理をステップS7に移行させる。ユーザが向く方向を変えれば(YES)、仮想空間画像生成部11は処理をステップS1に戻し、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0029】
仮想空間画像生成部11は、ステップS7にて、仮想空間画像提供サーバ10の動作終了等によって動作を終了させるか否かを判定する。動作を終了させなければ(NO)、仮想空間画像生成部11はステップS2以降の処理を繰り返す。動作を終了させれば(YES)、仮想空間画像生成部11は処理を終了させる。
【0030】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。仮想空間画像提供サーバ10はコンピュータ機器で構成することができる。コンピュータ機器の中央処理装置がコンピュータプログラム(仮想空間画像提供プログラム)を実行することにより、以上説明した仮想空間画像生成部11の動作を含む仮想空間画像提供サーバ10の動作を実行してもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 仮想空間画像提供サーバ(仮想空間画像提供装置)
11 仮想空間画像生成部
12 アバター画像保持部
13 視野範囲設定部
14 背景画像設定部
15 アバター位置制御部
16 方向指示部
17 通信部
20 ネットワーク
30a,30b,30c ユーザ端末
40a,40b,40c ヘッドマウントディスプレイ
Ura,Urb,Urc ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5