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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075999
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/33 20180101AFI20240529BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20240529BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20240529BHJP
   F21S 41/27 20180101ALI20240529BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20240529BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240529BHJP
   F21W 102/20 20180101ALN20240529BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/143
F21S41/151
F21S41/27
F21S41/663
F21W102:13
F21W102:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187327
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 洋弥
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 和則
(57)【要約】
【課題】部分的に配光を調整することが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】本開示に係る車両用灯具は、複数の発光素子22を有する光源部20と、光源部20の前方に配置されるレンズ30と、複数の発光素子22よりも下方かつ光源部20とレンズ30との間に配置される反射面41と、を備え、反射面41の車幅方向の一部の領域である第1反射面41aは、レンズ光軸a対する傾斜角度θ1が第1反射面41aに車幅方向に隣接する隣接領域よりも小さい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に装備される車両用灯具であって、
車幅方向に水平に配列される複数の発光素子を有する光源部と、
前記光源部の前方に配置されるレンズと、
前記複数の発光素子よりも下方かつ前記光源部と前記レンズとの間に配置され、前記複数の発光素子から前記レンズに直射光として入射しない下方への光を反射して反射光として前記レンズに入射させる反射面と、を備え、
前記反射面の車幅方向の一部の領域は、前記レンズのレンズ光軸に対する傾斜角度が前記一部の領域に車幅方向に隣接する隣接領域よりも小さい
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記反射面の前記一部の領域からの反射光の光路を後方へ延長した逆光路と前記発光素子の発光中心を通りかつ前記レンズ光軸に直交する面に含まれる鉛直軸とが交わる交点は、前記一部の領域の前記傾斜角度を前記隣接領域と同じにした場合の前記交点よりも下方に位置し、
前記レンズは、前記反射面の前記一部の領域からの反射光を、前記一部の領域の前記傾斜角度を前記隣接領域と同じにした場合よりも上方へ出射させる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記反射面の前記一部の領域は、前記レンズ光軸よりも車幅方向内側に配置される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記反射面の前記一部の領域は、前記反射面の上端部に配置される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記反射面の上端部には、下方へ凹む凹部が形成され、
前記反射面の前記一部の領域は、前記凹部の底面である
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記反射面には、上方へ突出した状態で前記反射面の上端から下端まで延びる帯状の凸部が形成され、
前記反射面の前記一部の領域は、前記凸部の上端部の上面である
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記反射面は、前記発光素子の前記発光中心を通り前記レンズ光軸に平行な直線を含む鉛直断面において、前記発光素子からの直射光が入射する前記レンズの入射面の下端と前記発光素子の前記発光中心とを結ぶ直線よりも下方に配置される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、適応性のある走行ビーム(ADB(Adaptive Driving Beam))を車両の前方へ照射する走行用前照灯が開示されている。ADBの配光は、車両の前方の状況(先行車や対向車の有無、先行車や対向車までの距離等)に応じて変化するように自動制御される。この走行用前照灯の構成部品は、ヒートシンク、光源ユニット、セル構造体、及び投影レンズである。ヒートシンクの前面には、台座部が設けられ、この台座部には、光源ユニット、及び光源ユニットからの光を制御するセル構造体が取り付けられる。セル構造体には、光源ユニットからの車幅方向外側への光を前方の投影レンズへ反射し、光源ユニットからの車幅方向内側への光を前方の投影レンズへ反射する左右のリフレクタが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-115641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の走行用前照灯(車両用灯具)では、左右のリフレクタは、光源ユニットからの車幅方向外側への光、及び車幅方向内側への光を前方の投影レンズへ反射する。しかし、左右のリフレクタは、一様な形状をしており、部分的に配光を調整することが難しい。
【0005】
そこで、本開示は、部分的に配光を調整することが可能な車両用灯具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、車両の前部に装備される車両用灯具であって、車幅方向に水平に配列される複数の発光素子を有する光源部と、前記光源部の前方に配置されるレンズと、前記複数の発光素子よりも下方かつ前記光源部と前記レンズとの間に配置され、前記複数の発光素子から前記レンズに直射光として入射しない下方への光を反射して反射光として前記レンズに入射させる反射面と、を備え、前記反射面の車幅方向の一部の領域は、前記レンズのレンズ光軸に対する傾斜角度が前記一部の領域に車幅方向に隣接する隣接領域よりも小さい。
【0007】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の車両用灯具であって、前記反射面の前記一部の領域からの反射光の光路を後方へ延長した逆光路と前記発光素子の発光中心を通りかつ前記レンズ光軸に直交する面に含まれる鉛直軸とが交わる交点は、前記一部の領域の前記傾斜角度を前記隣接領域と同じにした場合の前記交点よりも下方に位置し、前記レンズは、前記反射面の前記一部の領域からの反射光を、前記一部の領域の前記傾斜角度を前記隣接領域と同じにした場合よりも上方へ出射させる。
【0008】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の車両用灯具であって、前記反射面の前記一部の領域は、前記レンズ光軸よりも車幅方向内側に配置される。
【0009】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の車両用灯具であって、前記反射面の前記一部の領域は、前記反射面の上端部に配置される。
【0010】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様の車両用灯具であって、前記反射面の上端部には、下方へ凹む凹部が形成され、前記反射面の前記一部の領域は、前記凹部の底面である。
【0011】
本発明の第6の態様は、上記第4の態様の車両用灯具であって、前記反射面には、上方へ突出した状態で前記反射面の上端から下端まで延びる帯状の凸部が形成され、前記リフレクタの前記反射面の前記一部の領域は、前記凸部の上端部の上面である。
【0012】
本発明の第7の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の車両用灯具であって、前記反射面は、前記発光素子の前記発光中心を通り前記レンズ光軸に平行な直線を含む鉛直断面において、前記発光素子からの直射光が入射する前記レンズの入射面の下端と前記発光素子の前記発光中心とを結ぶ直線よりも下方に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、部分的に配光を調整することが可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を装備した車両の平面図である。
図2】右側の灯具ユニットの概略的な水平断面図である。
図3図2の灯具ユニットの概略的なIII-III矢視断面図である。
図4】右側の灯具ユニットのレンズを除いた状態の正面図である。
図5】右側の灯具ユニットのリフレクタの斜視図である。
図6図5のVI-VI矢視断面図である。
図7】反射面が反射する反射光の説明図である。
図8】スクリーン上に投影された右側の灯具ユニットの配光パターンを示す図であって、(a)は凹部を設けていない状態を、(b)は凹部を設けた状態を、(c)は(a)に対する(b)の光の増加分をそれぞれ示す。
図9】車道における車両の配光パターン及び照度の変化を示す図であって、(a)は凹部を設けていない状態の配光パターンを、(b)は凹部を設けた状態の配光パターンを、(c)は歩道での鉛直方向の照度の変化をそれぞれ示す。
図10】リフレクタの変形例を示す斜視図である。
図11図10のXI-XI矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。また、車幅方向内側は、車両の車幅方向の中央へ向かう方向を意味し、車幅方向外側は、車両の車幅方向の中央から離間する方向を意味する。図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、かつハッチングの一部を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具を装備した車両の平面図である。なお、図1の車両用前照灯から前方への矢印は、車両用前照灯からの出射光を示している。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る車両用灯具を装備した車両1は、左右の車両用前照灯100L,100Rを車両1の前部に備える。左側の車両用前照灯100Lは、車両1の前部の左側に配置され、右側の車両用前照灯100Rは、車両1の前部の右側に配置される。
【0018】
(車両用前照灯)
車両用前照灯100L,100Rは、前方へ開口したランプハウジング101L,101Rと、ランプハウジング101L,101Rの開口を覆うアウターレンズ102L,102Rと、ランプハウジング101L,101Rとアウターレンズ102L,102Rとによって区画される灯室103L,103R内に配置される灯具ユニット10L,10Rとをそれぞれ備える。ランプハウジング101L,101Rは、光不透過性の樹脂部材から構成される。アウターレンズ102L,102Rは、光透過性の樹脂部材から構成される。なお、アウターレンズ102L,102Rは、光透過性の樹脂部材から構成されるアウターカバーであってもよい。
【0019】
(灯具ユニット)
左側の灯具ユニット10Lは、左側ハイビーム配光パターン(図示省略)を車両1の前方に照射する。一方、右側の灯具ユニット10Rは、右側ハイビーム配光パターン(図8(b)参照)を車両1の前方に照射する。左側ハイビーム配光パターンと右側ハイビーム配光パターンとは、互いに重畳されて1つの全体ハイビーム配光パターン(図9(b)参照)を形成する。全体ハイビーム配光パターンは、この例では、車両1の前側の近辺から前側遠方までの広い範囲を照射し、かつ、高光度で照射するワイドハイビーム配光パターンである。
【0020】
左右の車両用前照灯100L,100Rの灯具ユニット10L,10Rは、配光可変タイプの灯具ユニットであって、いわゆる、ADB(Adaptive Driving Beam)タイプの灯具ユニットである。左右の灯具ユニット10L,10Rは、対向車や先行車などの前方車両が存在しない時には、全体ハイビーム配光パターン(図9(b)参照)を照射する。一方、左右の灯具ユニット10L,10Rは、前方車両が存在する時には、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗くなるように制御し、前方車両に対するグレア光を抑制する。すなわち、左右の灯具ユニット10L,10Rは、後述する光源部20の複数の発光素子22の点灯、消灯、増光、及び減光等を制御装置(図示省略)によって制御され、全体ハイビーム配光パターンを変化させる。
【0021】
本実施形態に係る車両用灯具は、例えば、車両1の右側の車両用前照灯(車両用灯具)100Rに適用される。なお、本開示に係る車両用灯具を、左側の車両用前照灯100Lに適用してもよいし、或いは左右の車両用前照灯100L,100Rの双方に適用してもよい。
【0022】
図2は、右側の灯具ユニットの概略的な水平断面図である。図3は、図2の灯具ユニットの概略的なIII-III矢視断面図である。図4は、右側の灯具ユニットのレンズを除いた状態の正面図である。図2及び図3の一点鎖線aは、レンズ30のレンズ光軸aを示す。なお、断面のハッチングを一部省略している。
【0023】
図2図4に示すように、右側の車両用前照灯100Rの灯具ユニット10Rは、光源部20と、光源部20の前方に配置されるレンズ30と、光源部20とレンズ30との間に配置されるリフレクタ40と、ヒートシンク50と、ファンユニット60とを備える。リフレクタ40は、光源部20からの光をレンズ30へ反射する反射面41を有する。このように、車両用前照灯100Rは、光源部20とレンズ30と反射面41とを備える。灯具ユニット10Rは、ランプハウジング101Rに対して、フレーム部材やブラケット部材(図示せず)を介して取り付けられる。なお、左右の灯具ユニット10L,10Rは、車両1の左右に対称的に設けられ、リフレクタ40の形状を除いて、略同様の構成を有する。
【0024】
(光源部)
光源部20は、基板21と、基板21の一面(前面)上に車幅方向に水平に配列される複数の発光素子22とを有する。基板21の他面(後面)は、ヒートシンク50に取り付けられる。本実施形態の光源部20には、12個の発光素子22が設けられる。12個の発光素子22は、LED(Light Emitting Diode)アレイであって、基板21上に水平方向に並べられており、各発光素子22からの光によって12個の配光パターンが形成される。これら12個の配光パターンは、少なくとも隣接する配光パターンに一部が重なるように水平方向に並んでおり、全体の配光パターンを形成する。本実施形態では、水平方向に並ぶ発光素子22のうち、車幅方向外側から5番目の発光素子22が、レンズ30のレンズ光軸a上に位置している。なお、レンズ光軸aの位置は、車幅方向外側から5番目の発光素子22と重なる位置に限定されるものではない。例えば、レンズ光軸aは、隣り合う2つの発光素子22間に位置していてもよい。
【0025】
複数の発光素子22の発光面から放射(放出)される光(放射光、放出光)は、ランバーシアン状をなす。この結果、複数の発光素子22から光は、車両1の前方に上下左右に広い範囲に亘って放射される。複数の発光素子22からの大部分の光は、直射光として、レンズ30の入射面31(有効入射面)に入射する。また、複数の発光素子22からレンズ30に直射光として入射しない下方への光は、後述するリフレクタ40の反射面41で反射されて、反射光としてレンズ30の入射面31に入射する。
【0026】
なお、本実施形態では、1つの基板21上に複数の発光素子22を設けているが、これに限定されるものではない。例えば、1つの発光素子22が設けられた複数の基板を、水平方向に並べて光源部を構成してもよい。また、本実施形態では、発光素子22をLED(発光ダイオード)としたが、これに限定されるものではなく、例えば、発光素子22はLD(レーザダイオード)であってもよい。また、発光素子22の形状は、特に限定されるものではなく、正方形状であってもよいし、或いは長方形状であってもよい。また、本実施形態では、発光素子22を設ける数を、12個としたが、これに限定されるものではなく、11個以下であってもよいし、或いは13個以上であってもよい。
【0027】
(リフレクタ)
図5は、右側の灯具ユニットのリフレクタの斜視図である。図6は、図5のVI-VI矢視断面図である。図7は、反射面が反射する反射光の説明図である。なお、図7に示す直線T1,T2は、発光素子22からの光がレンズ30の入射面31に対して直射光として入射する範囲の上端及び下端を示す。
【0028】
図5及び図6に示すように、リフレクタ40は、リフレクタ本体42と、リフレクタ本体42の左右の両側に一体的に設けられる左右の固定部43L,43Rとを有する。
【0029】
左側の固定部43Lは、複数の発光素子22よりも左側(車幅方向内側)に位置し、ヒートシンク50に対して固定される(図2図4参照)。また、右側の固定部43Rは、複数の発光素子22よりも右側(車幅方向外側)に位置し、ヒートシンク50に対して固定される(図2図4参照)。これにより、リフレクタ40は、ヒートシンク50に対して固定される。リフレクタ本体42は、発光素子22の発光中心Oを通りレンズ光軸aに平行な直線を含む鉛直断面において、発光素子22からの光がレンズ30の入射面31に対して直射光として入射する範囲の下端(図7に直線T2で示す位置)よりも下方に配置される。
【0030】
(反射面)
リフレクタ本体42は、ヒートシンク50側(後側)から前下方へ延びる上面(反射面41)を有する。このリフレクタ本体42の上面は、複数の発光素子22からの光を反射光としてレンズ30に入射させる反射面41として機能する。リフレクタ本体42の反射面41は、複数の発光素子22よりも下方、かつ光源部20とレンズ30との間に配置される。反射面41は、発光素子22の発光中心Oを通りレンズ光軸aに平行な直線を含む鉛直断面において、発光素子22からの光がレンズ30の入射面31に対して直射光として入射する範囲の下端(図7に直線T2で示す位置)よりも下方に配置される。なお、光を反射する反射面41には、反射率を高めるようにアルミ蒸着が行われていることが好ましい。
【0031】
リフレクタ本体42の反射面41は、複数の発光素子22からレンズ30に直射光として入射しない下方への光(図7に示す直線T2よりも下方へ放射される光)を反射して反射光としてレンズ30の入射面31に入射させる。リフレクタ本体42の反射面41は、レンズ30の出射面32のうちレンズ光軸aよりも下側の領域から光を照射するように配光制御を行う。より具体的には、この反射面41は、レンズ30の入射面31のうち、レンズ光軸aよりも下側の出射面32から光が照射される領域(入射面31の所定領域)に向かって光を反射するように形成される。入射面31の上記所定領域は、本実施形態では、入射面31のうちレンズ光軸aよりも下側の領域である。反射面41で反射された光は、レンズ30の出射面32から上方光として照射される(図7参照)。この反射面41が反射している光は、本来であればレンズ30の入射面31に入射することなく配光パターンの形成に利用されない光である。このような本来であれば配光パターンの形成に利用されていない光を、リフレクタ40の反射面41によって利用して上方光を形成するので、光の利用効率を向上させることができる。
【0032】
リフレクタ本体42の上端部には、下方へ凹む凹部44が形成される。凹部44は、リフレクタ本体42の上端部の車幅方向の一部に形成される。本実施形態の凹部44は、レンズ光軸aよりも車幅方向の内側に配置される(図2参照)。本実施形態の凹部44は、車幅方向内側(左側)から2番目の発光素子22よりも車幅方向外側、かつ車幅方向内側から5番目の発光素子22よりも車幅方向内側に配置される。すなわち、本実施形態の凹部44は、車幅方向内側から3番目の発光素子22及び4番目の発光素子22の前下方に位置する。これにより、リフレクタ本体42の反射面41は、凹部44の底面によって構成される第1反射面(一部の領域)41aと、凹部44の外側に位置する第2反射面41bとを有する。第2反射面41bは、第1反射面41aに車幅方向に隣接する隣接領域41ba(以下、単に「隣接領域41ba」という。)を含む。本実施形態の隣接領域41baは、第1反射面41aの車幅方向の両側に設けられる。第1反射面41aは、側面視において(図6参照)、隣接領域41baよりも低い位置に位置する。なお、本実施形態では、第1反射面41aの車幅方向の両側に隣接領域41baを設けているが、車幅方向のいずれか一方(例えば外側)のみに隣接領域41baを設けてもよい。
【0033】
図6に示すように、第1反射面41aと隣接領域41baとは、レンズ30のレンズ光軸aに対する傾斜角度が互いに異なる。レンズ光軸aに対する第1反射面41aの傾斜角度θ1は、レンズ光軸aに対する隣接領域41baの傾斜角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)。すなわち、反射面41の車幅方向の一部の領域(本実施形態の第1反射面41a)は、レンズ30のレンズ光軸aに対する傾斜角度が上記一部の領域に車幅方向に隣接する隣接領域(本実施形態の隣接領域41ba)よりも小さい。なお、レンズ光軸aに対する傾斜角度とは、発光素子22の発光中心Oを通りレンズ光軸aに平行な直線を含む鉛直断面(図6に示す断面)におけるレンズ光軸aに対する傾斜角度を意味する。
【0034】
次に、第1反射面41aからの反射光について、図7に基いて説明する。なお、図7に示す直線矢印L1は、本実施形態に係る第1反射面41aに反射する反射光L1を示す。また、図7に示す二点鎖線矢印L2は、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2を示す。また、反射光L1,L2の光路から後方へ延びる破線は、各反射光L1,L2の光路を後方へ延長した逆光路をそれぞれ示す。
【0035】
図7に示すように、複数の発光素子22のうち、凹部44の後上方に位置する所定の発光素子22(例えば、車幅方向内側から3番目及び4番目の発光素子22)からレンズ30に直射光として入射しない下方への光の一部は、第1反射面41aに反射されて反射光L1としてレンズ30の入射面31に入射する。
【0036】
図7に示すように、上記所定の発光素子22の発光中心Oから第1反射面41aに反射する反射光L1は、凹部44を設けることなく第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2よりも上方へ照射される。すなわち、上記所定の発光素子22の発光中心Oから第1反射面41aに反射する反射光L1は、凹部44を設けない場合の仮想の反射光L2よりも上方へ照射される。そして、レンズ30は、第1反射面41aからの反射光L1を、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2よりも上方へ出射させる。
【0037】
図7に示すように、発光素子22の発光中心Oを通りかつレンズ光軸aに直交する面に含まれる鉛直軸V上には、第1反射面41aからの反射光L1の光路を後方へ延長した逆光路(以下、「反射光L1の逆光路」という。)との交点F1がある。これは、交点F1に発光中心を有する1つの疑似光源から光がレンズ30の入射面31の照射されていることと等しい。この交点F1は、発光中心Oよりも下方に位置する。また、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合(凹部44を設けない場合)の仮想の反射光L2の光路を後方へ延長した逆光路(以下、「仮想の反射光L2の逆光路」という。)と鉛直軸Vとが交わる交点F2は、発光中心Oよりも下方かつ交点F1よりも上方に位置する。すなわち、反射光L1の逆光路と上記所定の発光素子22の発光中心Oを通る鉛直軸Vとが交わる交点F1は、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の交点F2よりも下方に位置する。この交点F1と交点F2との鉛直方向の位置の違いは、疑似光源の高さ位置の違いに相当し、後述する配光パターンの鉛直方向の位置の違いとして現れる(図8参照)。レンズ30の焦点は、発光素子22の発光中心Oと同じ位置またはその近傍に位置している。なお、鉛直軸Vとは、レンズ光軸aに平行な直線を含む鉛直断面における仮想の軸を意味し、鉛直方向に延びる軸に限定されるものではない。また、本実施形態では、反射光L1の逆光路と上記所定の発光素子22の発光中心Oを通る鉛直軸Vとが交わる交点F1を、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の交点F2よりも下方に配置したが、これに限定されるものではない。
【0038】
複数の発光素子22のうち、上記所定の発光素子22以外の他の発光素子22からレンズ30に直射光として入射しない下方への光は、第2反射面41b(隣接領域41baを含む。)に反射されて反射光としてレンズ30の入射面31に入射する。
【0039】
なお、本実施形態では、ヒートシンク50とは別体のリフレクタ40をヒートシンク50に固定したが、これに限定されるものではなく、例えば、リフレクタとヒートシンクとを一体成形してもよい。すなわち、反射面41は、リフレクタ40として成形される部材に設けられるものに限定されない。
【0040】
(レンズ)
図2及び図3に示すように、レンズ30は、例えば、投影レンズであって、非球面レンズから構成される。レンズ30は、入射面31と、出射面32と、レンズ光軸aとを有する。レンズ30は、レンズホルダ(図示省略)を介してヒートシンク50に対して取り付けられる。なお、本実施形態のレンズ光軸aは、図2に示すように、車幅方向外側から5番目の発光素子22を通っている。また、レンズ30の焦点は、発光素子22の発光中心Oと同じ位置またはその近傍に位置している。
【0041】
入射面31は、非球面(本実施形態では、平面に近い非球面)で構成され、複数の発光素子22からの光を入射光としてレンズ30中に制御して入射させる。出射面32は、非球面(本実施形態では、球面に近い非球面)で構成され、入射面31に入射した入射光を、出射光として車両1の前方へ制御して出射させる。このように、レンズ30は、複数(本実施形態では、12個)の発光素子22からの直射光及び反射面41からの反射光を制御して、複数(本実施形態では、12個)の部分配光パターンとして、車両1の前方に照射する。上述したように、レンズ30は、第1反射面41aからの反射光L1を、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2よりも上方へ出射させる(図7参照)。なお、本実施形態では、レンズ30は、第1反射面41aからの反射光L1を、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2よりも上方へ出射させたが、これに限定されるものではない。
【0042】
レンズ30の正面形状(出射面32の正面形状)は、縦幅(上下幅)が狭く、かつ、横幅(左右幅)が広い横長形状をなす。また、レンズ30の肉厚(前後幅)は、中央部分が厚く、中央部分から周縁部分に行くに従って、徐々に薄くなっている。ADBタイプの灯具ユニット10L,10Rのレンズ30は、複数の発光素子22からの光を、入射面31から入射させ、かつ出射面32から車両1の前方に照射させる必要がある。このため、入射面31の曲率半径が大きく、出射面32の曲率半径が入射面31の曲率半径よりも小さい。
【0043】
(ヒートシンク)
図2図4に示すように、ヒートシンク50は、光源部20を冷却する部材であって、熱伝導性が高い部材(例えばアルミダイカスト製の部材)で構成される。ヒートシンク50は、板形状の取付部51とフィン形状の放熱部52とを一体的に有する。取付部51の前面には、光源部20の複数の発光素子22が基板21を介して取り付けられる。また、取付部51の前面には、リフレクタ40の左右の固定部43L,43Rが固定される。放熱部52は、取付部51の後面に一体に設けられる。本実施形態の放熱部52の複数枚のフィンは、上下方向に互いに平行に、又は略平行に設けられる。発光素子22から発生する光源部20の熱は、ヒートシンク50の放熱部52から放熱される。
【0044】
(ファンユニット)
図2図4に示すように、ファンユニット60は、ヒートシンク50の放熱部52の後方に配置されて、ヒートシンク50に対して取り付けられる。ファンユニット60は、ヒートシンク50に風を直接当てることにより、ヒートシンク50を冷却し、これにより、ヒートシンク50による発光素子22の冷却効果を高める。
【0045】
(配光パターン)
次に、配光パターンについて、図8及び図9に基づいて説明する。
【0046】
図8は、スクリーン上に投影された右側の灯具ユニットの配光パターンを示す図であって、(a)は凹部を設けていない状態を、(b)は凹部を設けた状態を、(c)は(a)に対する(b)の光の増加分をそれぞれ示す。図9は、車道における車両の配光パターン及び照度の変化を示す図であって、(a)は凹部を設けていない状態の配光パターンを、(b)は凹部を設けた状態の配光パターンを、(c)は歩道での鉛直方向の照度の変化をそれぞれ示す。なお、図8のVU-VD線は、スクリーン上での右側の灯具ユニットのレンズ光軸を通る垂直線を示し、HL-HR線は、スクリーン上での右側の灯具ユニットのレンズ光軸の高さの水平線を示す。
【0047】
図8(a)及び図9(a)は、本実施形態に係る配光パターンに対して比較対象となる凹部(第1反射面41a)を設けていない状態の配光パターンを示し、図8(b)及び図9(b)は、本実施形態に係る配光パターンを示す。図8及び図9では、配光パターンを等光度線で示しており、中央の等光度線の光度の値は高く、外側(外周)に行くに従って等光度線の光度の値は低くなる。図9(c)の実線は、図9(b)のIX(c)-IX(c)矢視断面における歩道での鉛直方向の照度の変化を示す。図9(c)の破線は、図9(a)のIX(c)-IX(c)矢視断面における歩道での鉛直方向の照度の変化を示す。なお、図8(a)及び図8(b)は、複数の発光素子22からレンズ30に直接入射する直射光で形成される配光パターンと、反射面41に反射される反射光で形成される配光パターンとを重ね合わせて形成される右側ハイビーム配光パターンである。
【0048】
図8に示すように、反射面41に第1反射面41aを設けた本実施形態の灯具ユニット10Rの右側ハイビーム配光パターン(図8(b)参照)は、反射面41に凹部(第1反射面41a)を設けていない場合の右側ハイビーム配光パターン(図8(a)参照)よりも、光度の値が部分的に高くなっている。本実施形態では、図8(c)に示すように、車両1の車幅方向中央(VU-VD線)よりも車幅方向の外側、かつ水平線(HL-HR線)よりも上側の一部の領域の光度の値が、部分的に高くなっている。図8(c)に示す差分の配光パターンは、第1反射面41aからの反射光L1による配光パターンである。
【0049】
図9に示すように、本実施形態に係る車両1の全体ハイビーム配光パターン(図9(b)参照)は、反射面41に凹部(第1反射面41a)を設けていない場合の全体ハイビーム配光パターン(図9(a)参照)よりも、対向車線側の歩道の光度の値が部分的に高くなっている。これにより、全体ハイビーム配光パターンのうち、対向車線側の歩道の光度の高い領域が、第1反射面41aを設けない場合(図9(a)参照)よりも、車幅方向外側へ拡がっている。また、図9(c)に示すように、本実施形態に係る車両1の全体ハイビーム配光パターンの対向車線側の歩道での照度(図9(c)に実線aで示す照度)は、第1反射面41aを設けない場合(図9(c)に破線bで示す照度)よりも部分的に上昇している。これらは、第1反射面41aからの反射光L1によるものである。
【0050】
上記のように構成された車両用前照灯100Rでは、リフレクタ40の反射面41の第1反射面41aのレンズ光軸aに対する傾斜角度θ1は、第1反射面41aに車幅方向に隣接する隣接領域41baよりも小さい。これにより、反射光L1の逆光路と上記所定の発光素子22の発光中心Oを通りかつレンズ光軸aに直交する面に含まれる鉛直軸Vとが交わる交点F1は、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2の逆光路と上記鉛直軸Vとが交わる交点F2よりも下方に位置する。そして、レンズ30は、第1反射面41aからの反射光L1を、第1反射面41aの傾斜角度θ1を隣接領域41baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2よりも上方へ出射させる。このように、交点F1と交点F2との鉛直方向の位置の違いは、疑似光源の位置の違いに相当し、配光パターンの鉛直方向の位置の違いとして現れるので(図8参照)、全体ハイビーム配光パターンの部分的な配光を調節することができる。
【0051】
また、第1反射面41aは、リフレクタ40の反射面41のうちの車幅方向の一部の領域であるので、反射面41に対する第1反射面41aの車幅方向の位置を適切に設定することによって、全体ハイビーム配光パターンの部分的な配光を調節することができる。例えば、本実施形態のように、全体ハイビーム配光パターンのうち対向車線側の歩道の配光を調節することができる。これにより、歩道に存在する歩行者等の視認性を高めて、安全性を向上させることができる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、部分的に配光を調整することが可能な車両用灯具を提供することができる。
【0053】
また、第1反射面41aは、リフレクタ40の反射面41の上端部に設けられる。光を増やしたい方向(図8(c)に現れている領域)から、レンズ30に向かって光線を入れると、リフレクタ40の反射面41の上端部に光が集まる(スクリーンからの逆光路)。このため、第1反射面41aの傾斜角度θ1を適切に設定し、リフレクタ40の反射面41の上端部での反射光をスクリーンからの逆光路に沿うように反射させることによって、スクリーン上の当該箇所(図8(c)に現れている領域)を明るくすることができる。
【0054】
また、第1反射面41aを、レンズ光軸aよりも車幅方向内側に配置するので、全体ハイビーム配光パターンのうち車幅方向外側の部分的な配光を調節することができる。これにより、歩道に存在する歩行者等の視認性を高めて、安全性を向上させることができる。
【0055】
また、リフレクタ本体42の反射面41に凹部44を形成し、凹部44の底面を第1反射面41aとして機能させるので、簡易な構成で反射面41に第1反射面41aを設けることができる。
【0056】
また、リフレクタ40の反射面41は、発光素子22の発光中心Oを通りレンズ光軸aに平行な直線を含む鉛直断面において、発光素子22からの光がレンズ30の入射面31に対して直射光として入射する範囲の下端(図7に直線T2で示す位置)よりも下方に配置される。このため、リフレクタ40の反射面41は、発光素子22からレンズ30に対して入射する直射光を遮ることがなく、かつ直射光としてレンズ30に入射しない下方への光(図7に示す直線T2よりも下方へ放射される光)を反射光としてレンズ30に入射させることができる。
【0057】
(リフレクタの変形例)
なお、本実施形態では、リフレクタ40の反射面に41に凹部44を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図10及び図11に示すように、リフレクタ400の反射面410に凸部440を設けてもよい。
【0058】
図10は、リフレクタの変形例を示す斜視図である。図11は、図10のXI-XI矢視断面図である。
【0059】
図10及び図11に示すように、リフレクタ400は、リフレクタ本体420と、ヒートシンク50に固定する左右の固定部430L,430Rとを有する。
【0060】
リフレクタ本体420の反射面410(上面)には、上方へ突出した状態で反射面410の上端から下端まで前後方向に延びる帯状の凸部440が形成される。凸部440は、リフレクタ本体420の車幅方向の一部に形成される。凸部440を配置する車幅位置(車幅方向の位置)は、例えば、上記リフレクタ40の凹部44と同様に、レンズ光軸aよりも車幅方向内側であってもよい。すなわち、凸部440を、車幅方向内側から3番目の発光素子22及び4番目の発光素子22の前下方に位置してもよい。
【0061】
凸部440の上端部の上面は、上端部から下方へ延びる下部領域410cの上面よりもレンズ光軸aに対する傾斜角度が小さくなっている。この凸部440の上端部の上面は、第1反射面(一部の領域)410aとして機能する。凸部440の車幅方向の両側には、第2反射面410bが設けられる。すなわち、リフレクタ本体420の反射面410は、凸部440の上端部の上面によって構成される第1反射面(一部の領域)410aと、第1反射面410aから下方へ延びる凸部440の下部領域410cと、凸部440の車幅方向の両側に位置する第2反射面410bとを有する。第2反射面410bは、第1反射面410aに車幅方向に隣接する隣接領域410baを含む。隣接領域410baは、第1反射面410aの車幅方向の両側に設けられる。本実施形態の第1反射面410aは、側面視において(図11参照)、隣接領域410baよりも高い位置に位置する。
【0062】
図11に示すように、第1反射面410aと隣接領域410baとは、レンズ30のレンズ光軸aに対する傾斜角度が互いに異なる。レンズ光軸aに対する第1反射面410aの傾斜角度θ1は、レンズ光軸aに対する隣接領域410baの傾斜角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)。すなわち、反射面410の車幅方向の一部の領域(本実施形態の第1反射面410a)は、レンズ光軸aに対する傾斜角度が上記一部の領域に車幅方向に隣接する隣接領域(本実施形態の隣接領域410ba)よりも小さい。このような反射面410であっても、第1反射面410aに反射する反射光L1の逆光路と上記鉛直軸Vとが交わる交点F1は、第1反射面410aの傾斜角度θ1を隣接領域410baの傾斜角度θ2と同じ角度にした場合の仮想の反射光L2の逆光路と上記鉛直軸Vとが交わる交点F2よりも下方に位置する。
【0063】
凸部440の下部領域410cは、第2反射面410bよりも厚さ方向に高い位置に配置される。本実施形態のレンズ光軸aに対する凸部440の下部領域410cの傾斜角度は、レンズ光軸aに対する第2反射面410bの傾斜角度と略同じである。
【0064】
このようなリフレクタ400を適用した車両用前照灯100Rであっても、上記実施形態のリフレクタ40を適用した場合と同様に、全体ハイビーム配光パターンの部分的な配光を調節することができる。このため、部分的に配光を調整することが可能な車両用灯具を提供することができる。
【0065】
また、反射面410に凸部440を設けることによって、第1反射面410aによる効果は、上記第1実施形態の第1反射面41aと同等の効果となり、下部領域410cでの反射光の上下方向の角度は、隣接領域410baと略同等となるので、配光への影響がほとんどない。すなわち、反射面410に凸部440を設けて第1反射面410aを構成することによって、第1反射面410aからの反射光が配光へ変化を与えるとともに、凸部440の突出量を調節することによって、下部領域410cによる配光への影響を変化させることができる。
【0066】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
1:車両
10R:灯具ユニット
20:光源部
22:複数の発光素子
30:レンズ
40,400:リフレクタ
41,410:反射面
41a,410a:第1反射面(一部の領域)
41ba,410ba:隣接領域
44:凹部
100R:車両用前照灯(車両用灯具)
440:凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11