IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載装置及び音像定位位置調整方法 図1
  • 特開-車載装置及び音像定位位置調整方法 図2
  • 特開-車載装置及び音像定位位置調整方法 図3
  • 特開-車載装置及び音像定位位置調整方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007600
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車載装置及び音像定位位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240112BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B60R11/02 S
H04S7/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108764
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 伸隆
【テーマコード(参考)】
3D020
5D162
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BA20
3D020BC02
3D020BC05
3D020BC07
3D020BD05
3D020BE03
5D162AA07
5D162AA15
5D162CC19
5D162CD11
5D162EG02
(57)【要約】
【課題】車両に乗車する乗員の視線方向と車両における音響の音像定位位置とのずれを低減する。
【解決手段】
車両に搭載される車載装置であって、前記車両に乗車する乗員の視線方向を検出する視線検出センサと、前記車両の内部に出力される音響の音像定位位置を調整する制御部とを備え、前記制御部は、前記視線検出センサが検出した前記乗員の視線方向に基づいて、前記音像定位位置が、前記視線方向となるように調整する、車載装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両に乗車する乗員の視線方向を検出する視線検出センサと、
前記車両の内部に出力される音響の音像定位位置を調整する制御部とを備え、
前記制御部は、前記視線検出センサが検出した前記乗員の視線方向に基づいて、前記音像定位位置が、前記乗員の視線方向となるように調整する、
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記乗員の視線方向を含む所定の方向の範囲に含まれる位置を、前記音像定位位置として調整する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記乗員の視線方向が前記車両に設置されるディスプレイの方向であるときに、
前記ディスプレイの位置が、前記音像定位位置となるように調整する請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記ディスプレイが、前記ディスプレイの表面を直接振動させて当該表面から音響を出力するパネルスピーカであり、
前記制御部は、前記パネルスピーカから出力される音響を調整することにより前記音像定位位置を調整する、
請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車両には複数のディスプレイが設置されており、
前記制御部は、前記複数のディスプレイのうち、前記乗員の視線方向にあるディスプレイの位置が、前記音像定位位置となるように調整する、
請求項3に記載の車載装置。
【請求項6】
前記複数のディスプレイそれぞれが、ディスプレイの表面を直接振動させて当該表面から音響を出力するパネルスピーカであり、
前記制御部は、前記パネルスピーカから出力される音響を調整することにより前記音像定位位置を調整する、
請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
車両に搭載される車載装置が、
前記車両に乗車する乗員の視線方向を検出し、
検出した前記乗員の視線方向に基づいて、前記車両の内部に出力される音響の音像定位位置が、前記乗員の視線方向となるように調整する、
音像定位位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び音像定位位置調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車などの車両において、音楽や音声などの音響を出力するスピーカが設置されている。従来、車両における音響をよくするために、車両に合った音場チューニングがされている。音場チューニングは、音楽や音声が特定の位置から発生していると感じるように、車両に設置されるスピーカの出力を調整することである。特定の位置は、例えば、運転席や助手席に着席する乗員の目線の前方、もしくは、インストルメントパネル(インパネ)の奥中央などである任意の位置である。音楽や音声などの音響が発生していると、音響を聴く者が感じる位置は、音像定位位置といわれる。即ち、音場チューニングは、音像定位位置を調整することである。音場チューニングは、例えば、複数のスピーカの出力の大きさのバランス、遅延時間などを調整することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-50267号公報
【特許文献2】特開2014-127934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車両の停車時などで、乗員がCID(センターインフォメーションディスプレイ)で表示される映像コンテンツを視聴している際に、乗員が映像を見ている方向(視線方向)と、音響が発生していると感じる方向に差異があった。
【0005】
開示の実施形態は、車両に乗車する乗員の視線方向と車両における音響の音像定位位置とのずれを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、車両に搭載され、視線検出センサと制御部とを備える車載装置である。視線検出センサは、車両に乗車する乗員の視線方向を検出する。制御部は、視線検出センサが検出した乗員の視線方向に基づいて、車両の内部に出力される音響の音像定位位置が、視線方向となるように調整する。
【0007】
開示の態様は、プログラムが情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録した情報処理装置が読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。なお、情報処理装置は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、パソコンやサーバと呼ばれることもある。
【発明の効果】
【0008】
開示の実施形態は、車両に乗車する乗員の視線方向と車両における音響の音像定位位置とのずれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車載装置の構成例を示す図である。
図2図2は、車載装置100が搭載される車両1の例を示す図である。
図3図3は、車載装置100の動作フロー例を示す図である。
図4図4は、車載装置100の変形例2の動作フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0011】
〔実施形態〕
<構成例>
図1は、本実施形態に係る車載装置の構成例を示す図である。図1の車載装置100は、制御部102、記憶部104、入出力IF(Interface)106、通信IF(Interface)108、ディスプレイ122、スピーカ124、視線検出センサ126を含む。図1の車載装置100は、運転席、助手席を有する乗用車などの車両に搭載される。記憶部104、入出力IF106、通信IF108は、互いにバスによって接続される。ディスプレイ122、スピーカ124、視線検出センサ126は、入出力IF106を介して、制御部102等と接続される。車載装置100は、例えば、コンピュータを搭載するカーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータなどによって実現され得る。
【0012】
図2は、車載装置100が搭載される車両1の例を示す図である。図2は、車両1の内部を上方から見た図である。図2の例では、車両1は、左ドアミラー242、右ドアミラー244、バックミラー246、右前部座席(運転席)310、左前部座席(助手席)320、右後部座席330、左後部座席340を含む。また、車両1には、複数のスピーカ124が設置される。図2の例では、車両1の左前方及び右前方にスピーカ124が設置されている。スピーカ124は、車両1の前方だけでなく、車両1の側方や後方に設置されてもよい。スピーカ124は、ディスプレイ122の画面が振動することで音響を出力するパネルスピーカを含んでもよい。また、車両1には、乗員の視線を検出する視線検出センサ126が設置される。視線検出センサは、乗員毎に設置されてもよい。左ドアミラー242は、車両1の左前方のドアに設置されるミラーである。右ドアミラー244は、車両1の右前方のドアに設置されるミラーである。バックミラー246は、車両1の室内中央前方に設置されるミラーである。左ドアミラー242、右ドアミラー244、バックミラー246は、車両1に設置されるカメラによって撮影された画像を表示する電子ミラーであってもよい。このとき、左ドアミラー242、右ドアミラー244、バックミラー246は、ディスプレイである。左ドアミラー242、右ドアミラー244、バックミラー246は、パネルスピーカを含んでもよい。右前部座席310は、運転者が着席する運転席である。左前部座席320、右後部座席330、左後部座席340は、運転者以外の乗員が着席する座席である。運転者は、乗員の一人である。ディスプレイ122は、車両の右前部座席(運転席)310に着席する乗員(運転者)および左前部座席320に着席する乗員(助手席乗員)がディスプレイ122を見られる位置に設置される。本実施形態が適用される車両は、図2に示される車両1のような車両に限定されるものではなく、座席数や座席の配置が異なる車両であってもよい。また、ディスプレイ122、スピーカ124、視線検出センサ126の数や配置は、図2のようなものに限定されるものではなく、異なる数や配置であってもよい。
【0013】
車載装置100は、車両1の乗員の視線を検出し、音場チューニングにより音像定位位置を調整する。
【0014】
制御部102は、車載装置100全体の制御を行う中央処理演算装置(Central Processing Unit)である。制御部102はプロセッサとも呼ばれる。ただし、制御部102は
、単一のプロセッサに限定されるものではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一の制御部102がマルチコア構成であってもよい。制御部102は、記憶部104に記憶されたプログラムを作業領域に実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器等の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。制御部102は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用LSI(Large Scale Integration)、その他のデジタル回路等を含んでもよい。
【0015】
記憶部104は、制御部102が使用するプログラムやデータを記憶し、作業領域を展開し、動作の設定情報などを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard-disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。また、記憶部104は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、S
D(Secure Digital)メモリカード等である。また、記憶部104は、コンピュータ等が読み取り可能な可搬型記録媒体及び当該記録媒体にデータ等を読み書き可能なドライブ装置等の装置を含みうる。
【0016】
入出力IF106は、ディスプレイ122などの装置との間でデータの入出力を行うインタフェースである。入出力IF106は、キーボード、リモートコントローラ(リモコン)、ポインティングデバイス、タッチパネルなどの入力装置などと接続される。また、入出力IF106は、ディスプレイ122、スピーカ124などの出力装置などと接続される。また、入出力IF106は、視線検出センサ126などと接続される。制御部102は、入出力IF106を介して、ディスプレイ122、スピーカ124、視線検出センサ126と通信する。入出力IF106と、ディスプレイ122、スピーカ124、及び、視線検出センサ126とは、有線で通信可能に接続されても、無線(電波、赤外線など)で通信可能に接続されてもよい。
【0017】
通信IF108は、通信ネットワーク等を介して他の情報処理装置などと通信をする通信インタフェースである。通信IF108は、他の情報処理装置などと、無線LAN、Bluetooth(登録商標)などの周知の無線通信規格により無線通信可能に接続され得る。また、通信IF108は、CANなどの車載ネットワークに接続され、車両1に設けられる他の装置と通信し得る。
【0018】
ディスプレイ122は、映像や文字情報を表示する表示装置である。ディスプレイ122は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)パネ
ル、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)等である。ディスプレイ122は、例えば、車両1の前方中央部分に設置されるCID(Central Information Display)である。スピーカ124は、音楽や音声などを出力する出力装
置である。スピーカ124は、ディスプレイ122のディスプレイパネルを振動させることにより音響を出力するパネルスピーカを含んでもよい。パネルスピーカを使用することにより、音像定位位置をディスプレイ122の位置に調整することが容易になる。視線検出センサ126は、乗員の視線を検出するセンサである。視線検出センサ126は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の半導体撮像素子を有するカメラである。視線検出センサ126は、乗員の視線を検出するため、例えば、乗員の頭部の方向に向けられる。車載装置100は、複数の視線検出センサ126を有してもよい。
【0019】
なお、上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。また、上記の構成要素は、車両1に搭載される装置(例えば、カーナビゲーションシステム等)の構成要素に含まれるとしてもよい。
【0020】
(動作例)
図3は、車載装置100の動作フロー例を示す図である。ここでは、車載装置100の制御部102は、車両1に乗車する乗員の視線を検出し、検出した視線に応じた、車両1の音場チューニングを行う。音場チューニングは、音楽や音声が特定の位置(音像定位位置)から発生していると感じるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整することである。ここでは、車載装置100の制御部102は、車載装置100が搭載される車両1の前方、または、ディスプレイ122の位置が音像定位位置となるように、スピーカ124の出力を調整する。ここでは、車両1には、少なくとも、右前部座席310に着席する運転者及び左前部座席320に着席する助手席乗員が乗車しているものとする。
【0021】
S101では、車載装置100の制御部102は、音像定位位置が車載装置100が搭載される車両1の前方になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。車両1の前方は、例えば、フロントガラスの中央、インストルメントパネルの奥中央等の位置である。車両1に乗車する乗員は、音像定位位置(車両1の前方)から音響が出力されているように感じる。音像定位位置は、スピーカの出力を調整することにより調整される。スピーカの出力の調整は、例えば、スピーカ出力の大きさ、スピーカ間におけるスピーカ出力のバランス、スピーカ出力の遅延時間等を調整することにより行われる。例えば制御部102は、車両1のダッシュボード上の左右に設置されたスピーカ124から出る音の出力(音量)を大きくする。この時、制御部102は、車両1の他の位置に搭載されているスピーカから出る音の出力(音量)を小さくしてもよい。これにより、相対的に前方から出る音の大きさが大きくなり、運転者や助手席乗員などは車両1の前方から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置が車両1の前方になる。制御部102は、また、音の出力(音量)を制御することに加えて、または、出力(音量)の制御とは独立して、車両1の各スピーカから出る音のタイミング(遅延時間)を制御してもよい。例えば制御部102は車両1のダッシュボード上の左右に設置されたスピーカ124から出る音のタイミングを車両の他のスピーカから出る音のタイミングよりも早くする。言い替えれば、制御部102は車両のダッシュボード上の左右に設置されたスピーカ124から出る音に対して車両1の他のスピーカから出る音を遅延させる。これにより、車両1のダッシュボード上の左右に設置されたスピーカ124から出た音が、最も早く運転者や助手席乗員などに届くことになり、先行音効果により、運転者や助手席乗員などは車両1の前方から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置が車両1の前方になる。
【0022】
S102では、制御部102は、ディスプレイ122で表示されている画像が、映像コンテンツであるか否かを判定する。映像コンテンツは、例えば、テレビジョン放送、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体による動画コンテンツ、インターネット等からのストリーミング動画など、映像と音響とが一体となって出力されるコンテンツである。映像コンテンツには、例えば、映画やミュージックビデオなどが挙げられる。映像コンテンツ以外のコンテンツとして、例えば、車載装置100の操作画面、地図画面などが挙げられる。ディスプレイ122に映像コンテンツが表示されており、運転者等がディスプレイ122を見ている場合、映像コンテンツに伴う音響は、ディスプレイ122から再生されることが好ましい。制御部102は、ディスプレイ122で表示されている画像に映像コンテンツが含まれている場合に、当該画像が映像コンテンツであると判定する。制御部102は、テレビジョン放送などの映像コンテンツに基づいて、ディスプレイ122に画像を表示している場合、当該画像が映像コンテンツであると判定する。制御部102は、例えば、ディスプレイ122に表示している画像に対応付けられる情報等に基づいて
、当該判定を行う。制御部102は、ディスプレイ122に表示している画像が映像コンテンツであるか否かの情報を、当該画像のデータを提供する提供元(ソース)から取得して、当該判定を行ってもよい。ディスプレイ122で表示されている画像が映像コンテンツである場合(S102;YES)、処理がS103に進む。ディスプレイ122で表示されている画像が映像コンテンツでない場合(S102;NO)、処理がS101に進む。
【0023】
S103では、制御部102は、運転者及び助手席乗員(乗員)の視線方向を検出する。運転者は、車載装置100を搭載する車両1を運転する乗員である。運転者は、車両1の運転席に着席する乗員である。助手席乗員は、車両1の助手席に着席する乗員である。制御部102は、視線検出センサ126により、運転者及び助手席乗員の視線方向を検出する。制御部102は、周知の視線検出技術、画像認識技術などにより、乗員の視線方向を、乗員の頭部の位置、黒目の位置などから、検出する。乗員の視線方向は、乗員の頭部の位置から視線の方向であるとする。
【0024】
S104では、制御部102は、S103で検出した運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であるか否かを判定する。制御部102は、運転者の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線がディスプレイ122の表示画面の位置を通る場合、運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定する。運転者の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線がディスプレイ122の表示画面の位置を通る場合、運転者が映像コンテンツを視聴していると考えられる。なお、運転者の頭部の位置を中心に、視線方向に伸ばした直線に対して、ある角度範囲内(例えば30度以内)にディスプレイ122の表示画面が位置する場合でも、運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定してもよい。すなわち、運転者の視線方向を含む所定の方向の範囲内(例えば30度以内)にディスプレイ122の表示画面が位置する場合でも、運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定してもよい。運転者の視線方向がディスプレイ122の方向である場合(S104;YES)、処理がS105に進む。運転者の視線方向がディスプレイ122の方向でない場合(S104;NO)、処理がS101に進む。運転者がディスプレイ122を見ていない場合、運転者は車両の前方を見ている蓋然性が高いと判断できる。よって、S101で、音像定位位置が車両1の前方に設定される。なお、この場合、処理がS101に戻るため、S105以降の処理、すなわち助手席乗員の視線方向の判定は行われない。通常、運転者は運転中は前方を見ていることが多く、この時に助手席乗員の視線方向に合わせて音像定位位置が変わると、運転者が煩わしく感じる可能性がある。よって、運転者が前方を見ているときは、助手席乗員の視線方向にかかわらず、音像定位位置を車両1の前方に設定しておくことが好ましいと考えられるためである。なお、ディスプレイ122の表示画面の位置情報等は、あらかじめ、記憶部104に格納されている。
【0025】
S105では、制御部102は、S103で検出した助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向であるか否かを判定する。制御部102は、助手席乗員の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線がディスプレイ122の表示画面の位置を通る場合、助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定する。助手席乗員の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線がディスプレイ122の表示画面の位置を通る場合、助手席乗員が映像コンテンツを視聴していると考えられる。なお、助手席乗員の頭部の位置を中心に、視線方向に伸ばした直線に対して、ある角度範囲内(例えば30度以内)にディスプレイ122の表示画面が位置する場合でも、助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定してもよい。すなわち、助手席乗員の視線方向を含む所定の方向の範囲内(例えば30度以内)にディスプレイ122の表示画面が位置する場合でも、助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定してもよい。助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向である場合(S105;YES)、処理がS107に進む。助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向でない場合(S105;NO)、
処理がS106に進む。
【0026】
S106では、制御部102は、S103で検出した助手席乗員の視線方向が前方向であるか否かを判定する。制御部102は、助手席乗員の視線方向と車両1の進行方向とが平行またはほぼ平行である場合に、助手席乗員の視線方向が前方向であると判定する。ことで、ほぼ平行とは、例えば、助手席乗員の視線方向と車両1の進行方向とのなす角度が所定角度以内(例えば、30度以内)であることをいう。すなわち、助手席乗員の視線方向が、車両1の進行方向に対して所定の方向の範囲内(例えば、30度以内)であれば、助手席乗員の視線方向が前方向であると判定する。なお、助手席乗員の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線が、車両1のフロントウィンドウの位置または、フロントウィンドウの中の所定の領域を通る場合に、助手席乗員の視線方向が前方向であると判定することもできる。また、制御部102は、助手席乗員の視線方向を検出できない場合(例えば、助手席乗員が目を閉じている(寝ている)場合)、助手席乗員の視線方向が前方向でないと判定する。また、例えば、助手席乗員が手許のスマートフォンなどの携帯端末を操作している場合、視線方向が下方向となるため、助手席乗員の視線方向は前方向でない。助手席乗員の視線方向が前方向である場合(S106;YES)、処理がS101に進む。この状態では助手席乗員が前方を見ていて運転者がディスプレイ122を見ている状態であるが、この場合は助手席乗員の視線方向を優先し、S101で、音像定位位置が車両1の前方に設定される。一般に車両1の運転者は前方を見ていることが多く、ディスプレイ122を長時間見ていることは少ないと考えられるため、助手席乗員の視線方向(前方)が優先するのが好ましいと考えられるためである。助手席乗員の視線方向が前方向でない場合(S106;NO)、処理がS107に進む。この状態では、助手席乗員は、寝ていたり、スマートフォンなどの携帯端末を操作していたりしていて、前方もディスプレイ122も見ていない状態であり、運転者だけがディスプレイ122を見ている状態である。よって、S107で、制御部102は、運転者の視線方向に合わせて音像定位位置がディスプレイ122の位置になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。
【0027】
S107では、車載装置100の制御部102は、音像定位位置がディスプレイ122の位置になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。車両1の乗員は、音像定位位置(ディスプレイ122)から音響が出力されているように感じる。例えば、制御部102は、車両1のダッシュボード上の左右に設置されたスピーカ124から出る音の出力(音量)と、車両1の左右のフロントドアに設置されたスピーカ124から出る音の出力(音量)を大きくする。この時、制御部102は、車両1の他の位置に設置されているスピーカから出る音の出力(音量)を小さくしてもよい。これにより、ダッシュボードに設置されたスピーカ124と、フロントドアに設置されたスピーカ124との中間の高さであるディスプレイ122の位置から来る音が相対的に大きくなり、運転者や助手席乗員などはディスプレイ122の位置から音が来ているように感じる。すなわち、音像定位位置がディスプレイ122の位置になる。制御部102は、また、ディスプレイ122を直接振動させてディスプレイ122表面から音を放出するパネルスピーカから出る音の出力(音量)を、車両1の他のスピーカから出る音の出力(音量)よりも、相対的に大きくしてもよい。これにより、ディスプレイ122の位置から来る音が相対的に大きくなり、運転者や助手席乗員などはディスプレイ122の位置から音が来ているように感じる。すなわち、音像定位位置がディスプレイ122の位置になる。制御部102は、また、音の出力(音量)を制御することに加えて、または、出力(音量)の制御とは独立して、ディスプレイ122を直接振動させてディスプレイ122表面から音を放出するパネルスピーカから出る音のタイミングを車両1の他のスピーカから出力される音のタイミングよりも早くしてもよい。言い替えれば、制御部102は、ディスプレイ122を直接振動させてディスプレイ122表面から音を放出するパネルスピーカから出る音に対して、車両1の他のスピーカから出る音を遅延させる。これにより、当該パネルスピーカから
出た音が、最も早く運転者や助手席乗員などに届くことになり、先行音効果により、運転者や助手席乗員などは当該パネルスピーカ(つまりディスプレイ122)から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置がディスプレイ122の位置になる。その後、処理は、S102に進む。
【0028】
これにより、車両1のディスプレイ122に映像コンテンツが表示されている際に、運転者及び助手席乗員がディスプレイ122を見ている場合、音像定位位置をディスプレイ122の位置に変更することができる。このとき、音像定位位置は、運転者及び助手席乗員の視線方向に、存在する。即ち、車載装置100は、運転者及び助手席乗員がディスプレイ122を見ている場合、音像定位位置と視線方向とのずれを低減することができる。運転者及び助手席乗員は、映像コンテンツに興味がある際に音像定位位置がディスプレイ122の位置になることで、ディスプレイ122に表示される映像コンテンツを快適に視聴することができる。
【0029】
S106は、省略されてもよい。S106が省略されるとき、S105において、助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向でない場合(S105;NO)、処理がS101に進む。S106が省略されるとき、運転者及び助手席乗員の視線方向がディスプレイ122の方向である場合に、音像定位位置がディスプレイ122の位置に調整される。
以上のように本実施形態では、運転者および助手席乗員の両方がディスプレイ122の方向を見ているとき(または、運転者がディスプレイ122を見ていて助手席乗員は前方もディスプレイ122も見ていないとき)は音像定位位置がディスプレイ122の位置に調整される。また、運転者または助手席乗員のどちらか一方が前方を見ているときは、音像定位位置が前方に調整されるので、運転者および助手席乗員の両方の視線方向に合わせて適切に音像定位位置を設定できる。
なお、運転者および助手席乗員の両方が前方を見ているときに音像定位位置が前方に調整され、運転者または助手席乗員のどちらか一方がディスプレイ122の方向を見ているとき音像定位位置がディスプレイ122の位置に調整されるようにしてもよい。例えば自動運転レベル4では、運転者は常に前方を見ている必要はない。このような場合は走行中でも運転者および助手席乗員の両方がディスプレイ122に表示されるコンテンツを楽しむこともできるため、どちらか一方でもディスプレイ122の方向を見ているときは音像定位位置がディスプレイ122の位置に調整されるのが好ましいと考えられるためである。
本実施形態においては音像定位位置を車両1の前方またはディスプレイ122の位置とるす例を説明したが、音像定位位置はこれに限られない。例えば、制御部102は、車両1の運転者や助手席乗員などの視線方向が車両1の側方にあるときは、車両1の側方を音像定位位置としてもよいし、車両1の運転者や助手席乗員などの視線方向が車両1の後方にあるときは、車両1の後方を音像定位位置としてもよい。すなわち、制御部102は、車両1の運転者や助手席乗員などの視線方向が所定の方向にあるときに、当該所定の方向を音像定位位置とすることができる。例えば、制御部102は、車両1の所定の方向からくる音の大きさが、他の方向からくる音の大きさよりも相対的に大きくなるように、車両1に搭載された複数のスピーカから出る音の出力(音量)を調整する。具体的には車両1の所定の位置に設置されたスピーカから出る音の出力(音量)を車両1の他の位置に設置されたスピーカから出る音の出力(音量)よりも相対的に大きくする。これにより、車両1の運転者や助手席乗員などは車両1の所定の方向から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置が車両1の所定の方向になる。制御部102は、また、音の出力(音量)を制御することに加えて、または、出力(音量)の制御とは独立して、車両1の各スピーカから出る音のタイミング(遅延時間)を制御してもよい。例えば、制御部102は車両1の所定の位置に設置されたスピーカから出る音のタイミングを車両1の他の位置に設置されたスピーカから出る音のタイミングよりも早くする。言い替えれば、制御部102
は車両1の所定の位置に設置されたスピーカから出る音に対して車両1の他の位置に設置されたスピーカから出る音を遅延させる。これにより、車両1の所定の位置に設置されたスピーカから出た音が、最も早く運転者や助手席乗員などに届くことになり、先行音効果により、運転者や助手席乗員などは車両の所定の方向から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置が車両1の所定の方向になる。
【0030】
(変形例1)
上記の動作例では、乗員の視線方向にディスプレイ122が存在する場合に、音像定位位置を車両1の中央前方に設置されるディスプレイ122の位置とした。変形例1では、乗員の視線方向が所定方向である場合に、音像定位位置を調整する。
【0031】
変形例1の動作フローは、図3の動作フローと次の点を除いて同様である。S104では、運転者の視線方向が所定範囲内(所定範囲の方向、所定方向)である場合(S104;YES)、処理がS105に進み、所定範囲内でない場合(S104;NO)、処理がS101に進むとする。また、S105では、助手席乗員の視線方向が所定範囲内である場合(S105;YES)、処理がS107に進み、所定範囲内でない場合(S105;NO)、処理がS101に進むとする。所定範囲とは、例えば、車両1の進行方向と乗員の視線方向とのなす角が所定の角度(例えば、60度)以内であることである。すなわち、乗員の視線方向が、車両1の進行方向に対して所定の方向の範囲内(例えば、60度以内)であれば、乗員の視線方向が前方向であると判定する。なお、所定範囲は、車両の進行方向を含む範囲に限らず、車両の後方や側方を含む範囲であってもよい。S106の処理は、省略される。S107では、車載装置100の制御部102は、音像定位位置が所定範囲の方向内の所定位置になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。ここで、所定位置は、運転者の頭部の位置から所定範囲の方向と、助手席乗員の頭部の位置から所定範囲の方向とが重なる領域内の位置である。車両1の乗員は、音像定位位置(所定位置)から音響が出力されているように感じる。即ち、車両1の乗員の視線方向と音響が出力されていると感じる位置とのずれが小さくなる。
【0032】
(変形例2)
変形例2では、車載装置100は、運転者の視線方向を検出し、運転者の視線方向に基づいて、音像定位位置を調整する。なお、以下の説明では運転者を例としているが、運転者以外の乗員、例えば助手席乗員の視線方向を検出し、助手席乗員の視線方向に基づいて、音像定位位置を調整するようにしてもよい。
【0033】
図4は、車載装置100の変形例2の動作フロー例を示す図である。図4の動作フローは、図3の動作フローと共通点を有する。ここでは、主として、相違点について説明する。
【0034】
S201、S202は、それぞれ、図3の動作フローのS101、S102と同様である。
【0035】
S203では、制御部102は、運転者の視線方向を検出する。制御部102は、視線検出センサ126により、運転者の視線方向を検出する。ここでは、制御部102は、他の乗員の視線方向を検出しなくてもよい。
【0036】
S204では、制御部102は、S203で検出した運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であるか否かを判定する。制御部102は、運転者の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線がディスプレイ122の表示画面の位置を通る場合、運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であると判定する。運転者の視線方向がディスプレイ122の方向である場合(S204;YES)、処理がS205に進む。運転者の視線方向がデ
ィスプレイ122の方向でない場合(S204;NO)、処理がS201に進む。
【0037】
S205では、車載装置100の制御部102は、音像定位位置がディスプレイ122の位置になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。運転者は、音像定位位置(ディスプレイ122)から音響が出力されているように感じる。その後、処理は、S202に進む。
【0038】
これにより、車両1のディスプレイ122に映像コンテンツが表示されている際に、運転者がディスプレイ122を見ている場合、音像定位位置をディスプレイ122の位置に変更することができる。このとき、音像定位位置は、運転者の視線方向に、存在する。即ち、車載装置100は、運転者がディスプレイ122を見ている場合、音像定位位置と視線方向とのずれを低減することができる。運転者は、ディスプレイ122を見ている際に音像定位位置がディスプレイ122の位置になることで、ディスプレイ122に表示される映像コンテンツを快適に視聴することができる。
【0039】
(変形例3)
変形例3では、車両1に複数のディスプレイが設置されている場合について説明する。なお、以下の説明では運転者を例としているが、上記の実施形態と同様に、運転者以外の乗員、例えば助手席乗員の視線方向を検出し、助手席乗員の視線方向に基づいて、音像定位位置を調整するようにしてもよい。ここでは、車載装置100は、運転者の視線方向を検出し、運転者の視線方向に基づいて、音像定位位置を調整する。また、ここでは、車両1にディスプレイ122として第1ディスプレイ及び第2ディスプレイが設置されているとする。車両1に設置されるディスプレイの数は2つに限定されるものではなく、3以上のディスプレイ122が設置される場合も同様である。左ドアミラー242、右ドアミラー244、バックミラー246が電子ミラーである場合に、各ミラーがディスプレイ122の1つであってもよい。即ち、ディスプレイ122は、電子ミラーを含んでもよい。また、車両に設置された複数のディスプレイは、それぞれがディスプレイを直接振動させてディスプレイ122表面から音を放出するパネルスピーカであってもよい。
【0040】
変形例3は、変形例2と共通点を有する。ここでは、主として、変形例2の動作フロー(図4)との相違点について説明する。
【0041】
S204では、制御部102は、S203で検出した運転者の視線方向がディスプレイ122の方向であるか否かを判定する。さらに、制御部102は、運転者の視線方向が第1ディスプレイの方向であるか、第2ディスプレイの方向であるかを判定する。制御部102は、運転者の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線が第1ディスプレイの表示画面の位置を通る場合、運転者の視線方向が第1ディスプレイの方向であると判定する。同様に、制御部102は、運転者の頭部の位置から視線方向に伸ばした直線が第2ディスプレイの表示画面の位置を通る場合、運転者の視線方向が第2ディスプレイの方向であると判定する。運転者の視線方向がディスプレイ122の方向である場合(S204;YES)、処理がS205に進む。運転者の視線方向がディスプレイ122の方向でない場合(S204;NO)、処理がS201に進む。
【0042】
S205では、車載装置100の制御部102は、S204で検出した視線方向が第1ディスプレイの方向である場合、音像定位位置が第1ディスプレイの位置になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。また、車載装置100の制御部102は、S204で検出した視線方向が第2ディスプレイの方向である場合、音像定位位置が第2ディスプレイの位置になるように、車両1に設置されるスピーカ124の出力を調整する。
例えば、制御部102は、第1ディスプレイの位置を音像定位位置とする場合、第1デ
ィスプレイを直接振動させて第1ディスプレイ表面から音を放出するパネルスピーカから出る音の出力(音量)を、車両1の他のスピーカから出る音の出力(音量)よりも、相対的に大きくする。または、音量の制御とは独立して、第1ディスプレイを直接振動させて第1ディスプレイ表面から音を放出するパネルスピーカから出る音のタイミングを車両1の他のスピーカから出力される音のタイミングよりも早くする。これにより、運転者などは当該パネルスピーカ(つまり第1ディスプレイ)から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置が第1ディスプレイの位置になる。
制御部102はまた、第2ディスプレイの位置を音像定位位置とする場合、第2ディスプレイを直接振動させて第2ディスプレイ表面から音を放出するパネルスピーカから出る音の出力(音量)を、車両の他のスピーカから出る音の出力(音量)よりも、相対的に大きくする。または、音量の制御とは独立して、第2ディスプレイを直接振動させて第2ディスプレイ表面から音を放出するパネルスピーカから出る音のタイミングを車両の他のスピーカから出力される音のタイミングよりも早くする。これにより、運転者などは当該パネルスピーカ(つまり第2ディスプレイ)から音が来ているように感じる。すなわち音像定位位置が第2ディスプレイの位置になる。
【0043】
これにより、車両1のディスプレイ122に映像コンテンツが表示されている際に、運転者がディスプレイ122を見ている場合、音像定位位置を運転者が見ているディスプレイ122の位置に変更することができる。このとき、音像定位位置は、運転者の視線方向に、存在する。運転者は、音像定位位置が自身が見ているディスプレイ122の位置になることで、ディスプレイ122に表示される映像コンテンツを快適に視聴することができる。運転者は、見ているディスプレイ122を変更しても、見ているディスプレイ122から音響が出力しているように感じることができる。
【0044】
(その他)
上記の例では、車両1の乗員は、運転手及び助手席乗員の2人であったが、車両1の乗員は、3人以上であってもよい。また、車載装置100は、運転手及び助手席乗員の視線方向を検出したが、他の乗員の視線方向も検出して、音像定位位置を調整してもよい。このとき、例えば、各乗員の視線方向が重複する領域や多くの乗員(所定割合以上の乗員、所定人数(例えば2人)以上の乗員)の視線方向が重複する領域の位置を音像定位位置とする。これにより、車載装置100は、多くの乗員が見ている位置から音響が出力されているように感じさせることができる。また、車載装置100は、特定の乗員(例えば、運転者)の視線方向を優先して、当該特定の乗員の視線方向に基づいて、音像定位位置を調整してもよい。ここで、視線方向は、視線方向から所定角度(例えば30度)以内ずれた方向を含むとする。
【0045】
(実施形態の作用、効果)
本実施形態の車載装置100は、車両1に乗車する乗員の視線方向を検出し、検出した視線方向に基づいて、音像定位位置を調整する。車両1の乗員は、音像定位位置から音響が出力されているように感じる。また、車載装置100は、乗員の視線方向がディスプレイ122の方向である場合に、ディスプレイ122の位置を音像定位位置に調整する。これにより、車載装置100は、車両1の乗員がディスプレイ122を見ている際に、ディスプレイ122から音響が出力しているように感じさせることができる。このとき、音像定位位置は、運転者及び助手席乗員の視線方向に、存在する。即ち、車載装置100は、運転者及び助手席乗員がディスプレイ122を見ている場合、音像定位位置と視線方向とのずれを低減することができる。また、車載装置100は、助手席乗員がディスプレイ122や車両1の前方を見ていない場合、音像定位位置を車両1の前方の位置(通常の位置)にする。これにより、車載装置100は、助手席乗員が寝ている場合や助手席乗員が携帯端末を操作している場合に、音像定位位置を車両1の前方の位置にすることができる。助手席乗員が寝ている場合や助手席乗員が携帯端末を操作している場合は、助手席乗員が
ディスプレイ122に表示される映像コンテンツに興味がない場合である。
【0046】
開示の構成は、上記の実施形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。上記の実施形態は、適宜、可能な限り組み合わせて実施することができる。
【0047】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0048】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ
等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 車両
100 車載装置
102 制御部
104 記憶部
106 入出力IF
108 通信IF
122 ディスプレイ
124 スピーカ
126 視線検出センサ
図1
図2
図3
図4