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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076001
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】血液測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187330
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】513139873
【氏名又は名称】LOOK TEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】大島 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 真琴
(72)【発明者】
【氏名】竹沢 幸一
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KY02
(57)【要約】
【課題】非侵襲法により血液の成分を正確に測定できる血液測定装置を提供する。
【解決手段】血液測定装置10の発光部11は、被測定部位18に向けて光線20を射出する。受光部19は、被測定部位18を透過した光線20を受光する。固定部22には、発光部11または受光部19の何れか一方が収納される。回動部23には、発光部11または受光部19の何れか他方が収納される。回動部23は、本体部21に対して回動可能とされる。固定側接触部24は、固定部22の一部であり、測定時に於いて、被測定部位18に接触する。回動側接触部25は、回動部23の一部であり、測定時に於いて、固定側接触部24の反対側から被測定部位18に接触する。押圧部26は、回動部23の一部であり、測定時に於いて、被測定部位18に押圧力を付与する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部位を透過した光線に基づいて血液に含まれる成分を測定する血液測定装置であり、
本体部と、発光部と、受光部と、固定部と、回動部と、固定側接触部と、回動側接触部と、押圧部と、を具備し、
前記発光部は、前記被測定部位に向けて前記光線を射出し、
前記受光部は、前記被測定部位を透過した前記光線を受光し、
前記固定部には、前記発光部または前記受光部の何れか一方が収納され、
前記回動部には、前記発光部または前記受光部の何れか他方が収納され、且つ、前記回動部は、前記本体部に対して回動可能とされ、
前記固定側接触部は、前記固定部の一部であり、測定時に於いて、前記被測定部位に接触し、
前記回動側接触部は、前記回動部の一部であり、前記測定時に於いて、前記固定側接触部の反対側から前記被測定部位に接触し、
前記押圧部は、前記回動部の一部であり、前記測定時に於いて、前記被測定部位に押圧力を付与することを具備することを特徴とする血液測定装置。
【請求項2】
前記押圧部は、錘部と、連結部と、係止部と、係止解除部と、操作部と、を有し、
前記連結部は、前記錘部と前記係止部とを連結し、
前記係止部は、前記錘部および前記回動側接触部を係止し、
前記係止解除部は、前記操作部が操作されたことにより、前記係止部による係止を解除し、前記錘部に作用する重力により、前記回動側接触部を前記被測定部位に押し付けることを特徴とする請求項1に記載の血液測定装置。
【請求項3】
リフト部を、更に具備し、
前記回動部が上回動する際に、
前記リフト部は、前記押圧部および前記錘部を上昇させ、
上昇した状態の前記錘部および前記回動側接触部を、前記係止部が係止することを特徴とする請求項2に記載の血液測定装置。
【請求項4】
前記操作部は、ユーザが押下可能に構成された釦を有することを特徴とする請求項2に記載の血液測定装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体等の被測定部位の内部に於ける血液中含有成分量を光学的に計測する血液測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定部位の内部における糖分を検出する方法として、侵襲法と非侵襲法がある。侵襲法とは、例えば人体の指先等より採血を行い、その血液を用いてグルコース量を測定する方法である。非侵襲法とは、人体から血液を採取すること無く、人体の外部に配置されたセンサでグルコース量を測定する方法である。正確なグルコース量算出のためには侵襲法が一般的であるが、ユーザの苦痛軽減や利便性向上のために非侵襲法による測定装置が望まれている。
【0003】
非侵襲法でグルコース量を測定する装置の一例として、近赤外光等を人体に照射することで光学的に測定するものが知られている。
【0004】
また、グルコース量の光学的測定装置として、近赤外光のグルコースによる吸収量の差異を検出するものがある。具体的には、この装置では、近赤外光をある部位において透過させ、その透過光量からグルコース量を測定する(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0005】
しかしながら、上記した各特許文献に記載された非侵襲法によるグルコース量の測定装置では、グルコース量を必ずしも正確に測定できるとは言えない課題があった。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載された測定技術では、グルコース酸化酵素法によりグルコース量を算出しているため、グルコース量の算出が煩雑である課題があった。また、特許文献2に記載された測定技術では、光学的手法によりグルコース量を計測しているものの、糖尿病の可能性を判定できる程度であり、グルコース量を定量的に測定できるには至っていない。
【0007】
上記事項を鑑みて、本出願人は、特許文献3に記載されている装置を発明した。当該装置は、波長が異なる複数の発光部位を有する受光部と、アクチュエータと、グルコース量を推定してアクチュエータの動作を制御する演算制御部と、を具備している。また演算制御部は、被測定部位に光線を照射する発光部位を、アクチュエータにより、被測定部位を貫通するように規定された光軸の軸上に移動させる。かかる装置により、波長が異なる各光線に於いて、各光線が通過する光路および光路長が統一される。よって、各光線の光学的条件が均一化されることから、被測定部位を透過した各光線の受光強度に基づいて、血液中含有成分量を正確に計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3093871号公報
【特許文献2】特許第3692751号公報
【特許文献3】特開2021-007486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した各特許文献に記載された発明では、正確に血液の成分を測定するためには改善の余地があった。
【0010】
具体的には、血液の成分を検出するための部位としてフィンガーウェブを採用することができる。フィンガーウェブにおいて、血液の成分を検出することにより、当該成分を安定的に検出できる。
【0011】
ところが、フィンガーウェブの厚さや大きさは、被検者により大きく異なる。例えば、子供や小柄な女性のフィンガーウェブは小さい。一方、大柄な男性のフィンガーウェブは大きい。よって、各人によるフィンガーウェブの形状および厚さが異なることから、このことがフィンガーウェブにおいて血中成分を安定的に計測することを阻害していた。
【0012】
係る課題は、フィンガーウェブ以外の人体の部位、例えば、指や耳たぶ等でも発生し得る。
【0013】
本発明はこの様な問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、非侵襲法により血液の成分を正確に測定できる血液測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の血液測定装置は、被測定部位を透過した光線に基づいて血液に含まれる成分を測定する血液測定装置であり、本体部と、発光部と、受光部と、固定部と、回動部と、固定側接触部と、回動側接触部と、押圧部と、を具備し、前記発光部は、前記被測定部位に向けて前記光線を射出し、前記受光部は、前記被測定部位を透過した前記光線を受光し、前記固定部には、前記発光部または前記受光部の何れか一方が収納され、前記回動部には、前記発光部または前記受光部の何れか他方が収納され、且つ、前記回動部は、前記本体部に対して回動可能とされ、前記固定側接触部は、前記固定部の一部であり、測定時に於いて、前記被測定部位に接触し、前記回動側接触部は、前記回動部の一部であり、前記測定時に於いて、前記固定側接触部の反対側から前記被測定部位に接触し、前記押圧部は、前記回動部の一部であり、前記測定時に於いて、前記被測定部位に押圧力を付与することを具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の血液測定装置では、前記押圧部は、錘部と、連結部と、係止部と、係止解除部と、操作部と、を有し、前記連結部は、前記錘部と前記係止部とを連結し、前記係止部は、前記錘部および前記回動側接触部を係止し、前記係止解除部は、前記操作部が操作されたことにより、前記係止部による係止を解除し、前記錘部に作用する重力により、前記回動側接触部を前記被測定部位に押し付けることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の血液測定装置では、リフト部を、更に具備し、前記回動部が上回動する際に、前記リフト部は、前記押圧部および前記錘部を上昇させ、上昇した状態の前記錘部および前記回動側接触部を、前記係止部が係止することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の血液測定装置では、前記操作部は、ユーザが押下可能に構成された釦を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の血液測定装置は、被測定部位を透過した光線に基づいて血液に含まれる成分を測定する血液測定装置であり、本体部と、発光部と、受光部と、固定部と、回動部と、固定側接触部と、回動側接触部と、押圧部と、を具備し、前記発光部は、前記被測定部位に向けて前記光線を射出し、前記受光部は、前記被測定部位を透過した前記光線を受光し、前記固定部には、前記発光部または前記受光部の何れか一方が収納され、前記回動部には、前記発光部または前記受光部の何れか他方が収納され、且つ、前記回動部は、前記本体部に対して回動可能とされ、前記固定側接触部は、前記固定部の一部であり、測定時に於いて、前記被測定部位に接触し、前記回動側接触部は、前記回動部の一部であり、前記測定時に於いて、前記固定側接触部の反対側から前記被測定部位に接触し、前記押圧部は、前記回動部の一部であり、前記測定時に於いて、前記被測定部位に押圧力を付与することを具備することを特徴とする。本発明の血液測定装置によれば、血液測定時に於いて、被測定部位に押圧力を付与する押圧部を有していることにより、被測定部位の厚さを所定のものにすることができ、血液に含まれる成分を正確に測定できる。
【0019】
また、本発明の血液測定装置では、前記押圧部は、錘部と、連結部と、係止部と、係止解除部と、操作部と、を有し、前記連結部は、前記錘部と前記係止部とを連結し、前記係止部は、前記錘部および前記回動側接触部を係止し、前記係止解除部は、前記操作部が操作されたことにより、前記係止部による係止を解除し、前記錘部に作用する重力により、前記回動側接触部を前記被測定部位に押し付けることを特徴とする。本発明の血液測定装置によれば、例えば、ユーザの操作に応じて、係止解除部が係止部による係止を解除することにより、錘部の重量により回動側接触部を下方に移動させることができる。よって、錘部に作用する重力により下方に移動した回動側接触部が、被測定部位を押圧するので、被測定部位に所定の荷重を与えることができる。従って、錘部の重量により規定される所定の押圧力を、被測定部位に対して付与でき、測定時に於いて押圧部が被測定部位の血流を阻害することがない。このことから、被測定部位を用いて正確に血液測定を行うことができる。
【0020】
また、本発明の血液測定装置では、リフト部を、更に具備し、前記回動部が上回動する際に、前記リフト部は、前記押圧部および前記錘部を上昇させ、上昇した状態の前記錘部および前記回動側接触部を、前記係止部が係止することを特徴とする。本発明の血液測定装置によれば、回転部を上回動する動作により、押圧部等を上昇させ且つ係止することが出来るので、測定時に加工した押圧部等を上昇させるための手間を省くことができる。
【0021】
また、本発明の血液測定装置では、前記操作部は、ユーザが押下可能に構成された釦を有することを特徴とする。本発明の血液測定装置によれば、血液を測定するに際し、ユーザが釦を押下する簡易な操作により、前記押圧部および前記錘部を落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る血液測定装置を、別の角度から示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る血液測定装置の接続構成を示す接続図である。
図4】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る血液測定装置の血液測定モジュールを示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る血液測定装置の血液測定モジュールを、別の角度から示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る血液測定装置の血液測定モジュールを示す分解斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る血液測定装置の血液測定モジュールを、別の角度から示す分解斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る血液測定装置において、係止部および係止解除部として機能する部位を示す分解斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第1状態を示す断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第1状態を複数の視点から示す斜視図である。
図12】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第2状態を示す断面図である。
図13】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第2状態を複数の視点から示す斜視図である。
図14】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第3状態を示す断面図である。
図15】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第3状態を複数の視点から示す斜視図である。
図16】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第3状態を複数の視点から示す斜視図である。
図17】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第4状態を示す断面図である。
図18】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第4状態を複数の視点から示す斜視図である。
図19】本発明の実施形態に係る血液測定装置を示す図であり、第4状態を複数の視点から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る血液測定装置10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。本実施形態では、血液測定装置10が計測する血中成分の一例として、グルコース量を採用している。
【0024】
本実施形態では、血液測定装置10の動作を説明するにあたり、第1状態ないし第4状態の各状態を用いる。第1状態とは、回動部23が下方側に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が上方側に配置された状態である。第2状態とは、回動部23が下方側に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が下方側に配置された状態である。第3状態とは、回動部23が上下方向における中間部に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が上方側に配置された状態である。第4状態とは、回動部23が更に上方側に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が上方側に配置された状態である。第1状態ないし第4状態は、図10以降の図を参照して説明する。
【0025】
図1は、血液測定装置10を示す斜視図である。図2は、血液測定装置10を、別の角度から示す斜視図である。
【0026】
図1および図2を参照して、血液測定装置10は、後述する被測定部位18を透過した光線20に基づいて血液に含まれる成分を測定する装置である。具体的には、血液測定装置10は、光線20を被測定部位18である人体に照射し、人体を透過または反射した光線20の強度から、非侵襲法により人体のグルコース量を計測する。ここで、グルコース量とは、血中あるいは間質のグルコース量である。また、グルコース量は、血糖値等と称されることもある。
【0027】
血液測定装置10は、本体部21と、発光部11(図3参照)と、受光部19(図3参照)と、固定部22と、回動部23と、固定側接触部24(図3参照)と、回動側接触部25(図3参照)と、押圧部26(図7参照)と、を具備する。血液測定装置10を構成する各構成部位は、射出成形された合成樹脂から成るカバーにより覆われているので、図1および図2では図示されない。血液測定装置10を構成する各構成部位は、図3以降の図を参照して説明する。
【0028】
血液測定装置10の概略形状を説明すると、血液測定装置10は、本体部21と、回動部23と、固定部22と、を有している。
【0029】
本体部21は、血液測定装置10の各部位を支える支持部として機能し、血液測定装置10の構成部位の大部分は本体部21に内蔵される。
【0030】
回動部23には、後述する発光部11が収納され、本体部21に対して回動可能とされる。回動部23の回動は、ユーザが手動で行う。回動部23の前方下端には、押圧部26が配設される。
【0031】
固定部22は、本体部21に固定された部位であり、押圧部26の直下に配設される。後述するように、ユーザが測定を行う際、ユーザのフィンガーウェブ55(図3参照)が、押圧部26と固定部22との間に配設される。固定部22には、後述する受光部19が収納される。
【0032】
図3は、血液測定装置10の接続構成を示す接続図である。
【0033】
積分球部14は、回動部23の一部である。積分球部14の内部には反射面が形成されている。反射面は、積分球部14の内面であり、球状または略球状の曲面形状を呈している。積分球部14の反射面は、好適には粗面とされている。反射面が粗面であることで、反射面で光線20を乱反射することができ、複数回の乱反射を行った光線20を、下方に向けて均一な状態で射出することができる。
【0034】
発光部11は、被測定部位18に向けて光線20を射出する。発光部11は、積分球部14の後方側に形成された開口から、内部に望んでいる。発光部11には、後述するように、波長が異なる光線20を照射する複数の発光点が形成されている。発光部11は、グルコース量を計測するために所定の波長の光線20を射出する。発光部11は、波長が異なる光線20を射出する第1発光部111、第2発光部112および第3発光部113を有している。第1発光部111、第2発光部112および第3発光部113は、夫々、発光ダイオードから成る。例えば、第1発光部111から射出される第1光線の波長は1310nmであり、第2発光部112から射出される第2光線の波長は1450nmであり、第3発光部113から射出される第3光線の波長は1550nmである。第1光線は生体中の成分に吸収されない光線20であり、第2光線および第3光線は生体中のグルコース、タンパク質および水に吸収される光線20である。
【0035】
モニタ受光部52は、積分球部14の前方上側に形成された開口に、外側から取りつけられている。モニタ受光部52はフォトダイオードを有する。
【0036】
筒状部141は、積分球部14の最下部から下方に連続する筒状の部位である。筒状部141の下端には、光線20を透過させるガラス等が固定される。
【0037】
回動側接触部25は、前述した回動部23の一部であり、測定時に於いて、固定側接触部24の反対側、即ち上方側から被測定部位18に接触する。回動側接触部25は、略摺鉢形状を呈しており、底部に貫通孔である光出口部16が形成されている。回動側接触部25の内径は、筒状部141の外径よりも若干大きくされている。回動側接触部25は、筒状部141が挿入された状態で、ユーザの操作に応じて上下方向に移動可能である。
【0038】
固定部22には、受光部19が収納される。また、受光部19の上方に対応する部分の固定部22は開口部とされ、当該開口部は、発光部11から発生された光線20を透過させるカバーにより覆われている。
【0039】
固定側接触部24は、固定部22の一部、例えば、受光部19の上方側を含む、固定部22の外面である。固定側接触部24は、測定時に於いて、被測定部位18に接触する。固定側接触部24は、例えば、前方に向かって下方に傾斜する傾斜面である。
【0040】
受光部19は、被測定部位18を透過した光線20を受光する。受光部19は、例えばフォトダイオードから成る半導体素子であり、固定部22に内蔵される。受光部19は、被測定部位18を透過した第1光線、第2光線および第3光線を受光し、その強度を検出する受光部位が形成されている。受光部19は、第1光線、第2光線および第3光線の受光強度に応じた信号を演算制御部17に伝送する。
【0041】
演算制御部17は、CPUから構成され、各種演算を行うと共に血液測定装置10を構成する各部位の動作を制御している。演算制御部17は、発光部11の第1発光部111、第2発光部112および第3発光部113から、第1光線、第2光線および第3光線を照射する信号を送る。また、演算制御部17は、受光部19等から入力される電気信号に基づいて、換算式等を用いて、グルコース量を推定する。
【0042】
記憶部13は、RAMやROMから成る半導体記憶装置等であり、受光部19の出力値からグルコース量を算出するための計算式、パラメータ、推定結果、グルコース量算出方法を実行するためのプログラム等を記憶している。
【0043】
表示部15は、算出したグルコース量を表示する部位である。表示部15にグルコース量を表示することで、血液測定装置10を使用するユーザは、自身のグルコース量の変化をリアルタイムに知ることができる。後述するように、表示部15としては、ユーザが所有するスマートフォン等の携帯端末の画面を採用できる。
【0044】
操作入力部12は、ユーザが演算制御部17に対して指示を与える部位であり、スイッチ等から構成される。
【0045】
モニタ受光部52は、発光部11から射出され、積分球部14の内面で反射した光の一部を受光し、受光強度を示す信号を演算制御部17に伝送する。演算制御部17は、モニタ受光部52で受光する光線20の強度が所定値となるように、発光部11の出力強度を制御する。
【0046】
ここで、血液測定装置10は温度センサを備えることもできる。当該温度センサは、図2に示す固定部22の全面裏側に配置される。測定時に於いて、当該温度センサは、固定部22に当接するユーザの手の温度を計測し、その温度を示す信号を演算制御部17に伝送する。演算制御部17は、グルコース量を算出するに際し、温度を加味して補正する。
【0047】
血液測定装置10による測定を行う方法を以下に説明する。先ず、被測定部位18であるフィンガーウェブ55を、回動側接触部25と固定側接触部24により挟み込む。この作業は、ユーザの操作により行われる。係る事項の詳細は、後述する。フィンガーウェブ55は、含有される脂肪分が少なく、厚みの個人差が小さく、且つ、太い血管が形成されていないので、被測定部位18として好適である。
【0048】
次に、演算制御部17は、ユーザの操作に応じて、発光部11から積分球部14の内部に向かって光線20を照射する。発光部11の第1発光部111、第2発光部112および第3発光部113から照射された光線20は、積分球部14の内面で複数回反射された後に、均一に拡散された光線20となり、光出口部16から下方に向かって放射される。
【0049】
その後、光線20は、被測定部位18を透過し、受光部19に照射される。受光部19は、各光線20の強度を示す信号を演算制御部17に伝送する。演算制御部17は、受光部19から伝送された信号等に基づいて、グルコース量を算出する。
【0050】
本実施形態では、第1光線、第2光線および第3光線は、同一の光軸に沿って、発光部11から受光部19まで照射される。すなわち、第1光線、第2光線および第3光線の、被測定部位18の内部における伝搬径路および伝搬長が同じである。
【0051】
上記のように各光線で光軸を共有することで、グルコース量を正確に計測することができる。具体的には、Lambert-Beerの法則により、グルコース量は以下の式1で算出される。
式1:C=-log10(I/I0)/(0.434×μa×r)
上記した式1に於いて、Cはグルコース量であり、Iは出射光パワーであり、I0は入射光パワーであり、μaは被測定部位18の吸光係数であり、rは光路長である。
【0052】
本実施形態では、第1光線、第2光線および第3光線で、光軸を共有することにより、光路長rを同一にすることで、算出するべき未知数を減少させ、正確且つ簡易にグルコース量Cを求めることができる。
【0053】
また、グルコース量の算出方法としては、例えば、統計学的手法を用いることができる。一例として、ユーザの採血グルコース量、各光線の受光強度、体温等を用いた統計学的分析により重回帰曲線を作成する。そして、当該回帰曲線を用いて各光線の受光強度および体温から、グルコース量を算出する。
【0054】
後述するように、本実施形態では、被測定部位18であるユーザのフィンガーウェブ55を、予め設定された所定の押圧力で、回動側接触部25により押圧する。よって、フィンガーウェブ55の内部における血流を妨げることなく、測定時に於けるフィンガーウェブ55の厚みを略一定にすることができる。従って、フィンガーウェブ55を透過する光線20を用いて、グルコース量を正確に測定できる。
【0055】
算出されたグルコース量を示す情報は、Wi-FiやBluetooth(登録商標)規格に準じた無線通信により、ユーザが所有するスマートフォン等の携帯端末に送信され、携帯端末に保存されると共に、携帯端末の表示部(例えば液晶ディスプレイ)にグルコース量が表示されるようにしても良い。更に、携帯端末では、インストールされたアプリケーションにより、血液測定装置10が測定したグルコース量の記憶、表示、統計データの生成等が行われ、これらが画面に表示されるようにしても良い。
【0056】
図4は、血液測定装置10を示す分解斜視図である。ここでは、血液測定装置10を構成する各部位を、上下前後左右に離して示している。
【0057】
血液測定装置10は、カバー27を有する。カバー27は、射出成形された板状の合成樹脂から成る。カバー27は、後述する血液測定モジュール35を保護し、血液測定装置10の外観意匠部分を構成する。
【0058】
カバー27は、本体部カバー28および可動部カバー29を有する。本体部カバー28は、本体部21を構成する各部位を保護するカバーである。可動部カバー29は、血液測定モジュール35に含まれる回動する部位を保護するカバーである。
【0059】
本体部カバー28は、前方側から、前方本体部カバー281、中間本体部カバー282および後方本体部カバー283を有する。前方本体部カバー281は、血液測定モジュール35を前方から保護する。中間本体部カバー282は、血液測定モジュール35に後方から組み込まれる。後方本体部カバー283は、中間本体部カバー282に後方から組み付けられる。前方本体部カバー281、中間本体部カバー282および後方本体部カバー283は、ネジなどの締結手段により、互いに結合される。
【0060】
前方当接部34は、前方本体部カバー281の前面下方部分に組み込まれる。前方当接部34は、ユーザの掌が好適に当接するような、突出形状を呈している。前方当接部34は、簡易な係合構造により、前方本体部カバー281に組み込まれる。前方当接部34は、ユーザの掌の大きさや形状に応じて、簡易に変更し得る。
【0061】
可動部カバー29は、血液測定モジュール35の後述する回動部23を保護する。可動部カバー29は、上部可動部カバー291と上部可動部カバー292とを有する。上部可動部カバー291は、血液測定モジュール35の回動部23を上方から保護する。上部可動部カバー292は、血液測定モジュール35の回動部23を下方から保護する。
【0062】
下方本体部カバー284は、前方本体部カバー281の下方開口を塞ぐ、略蓋状の部材である。血液測定装置10を、卓上等の設置面に載置する際には、下方本体部カバー284の下面が設置面に接触する。
【0063】
右側当接部30および左側当接部32は、測定を実施する際に、ユーザの親指および人差指が接触する部分である。ユーザの左手を被測定部位18とする場合、右側当接部30はユーザの親指に当接し、左側当接部32はユーザの人差指に当接する。右側当接部30および左側当接部32は、前方本体部カバー281に対して、上下方向に沿って移動可能に取り付けられている。このようにすることで、ユーザの手の形状及び大きさに応じて、右側当接部30および左側当接部32の位置を変更し、被測定部位18であるフィンガーウェブ55(図5参照)を所定の位置に配置できる。
【0064】
図5は、血液測定装置10の血液測定モジュール35を示す斜視図である。図6は、血液測定装置10の血液測定モジュール35を、別の角度から示す斜視図である。図7は、血液測定装置10の血液測定モジュール35を示す分解斜視図である。図8は、血液測定装置10の血液測定モジュール35を、別の角度から示す分解斜視図である。
【0065】
図5および図6を参照して、血液測定モジュール35は、血液を測定する電子部品および機械構造からなるモジュールである。血液測定モジュール35は、鋼板等から成る支持部37に、血液測定装置10の機能を実現するための各部品が組み付けられている。
【0066】
図7および図8を参照して、支持部37は、下方支持部371ないし上方支持部377を有する。支持部37は、所定形状に成形された鋼板等から成る。
【0067】
下方支持部371は、血液測定モジュール35の最下部に配置された支持部であり、上下方向を向く最大面を有する板状の部材である。
【0068】
中間支持部372は、下方支持部371の後端から上方に向かって伸びる板状の部材であり、前後方向を向く最大面を有する。
【0069】
受光支持部373は、鈎状に曲折された板状の部材である。受光支持部373の前端は下方支持部371に固定され、受光支持部373の後端は中間支持部372に固定される。受光支持部373の上面には、前述した受光部19が固定される。
【0070】
回動支持部374は、中間支持部372の上端から後方に向かって伸びる部位である。回動支持部374は、上下方向を向く最大面を有する。回動支持部374は、回動部23を回動可能に支持する。
【0071】
発光支持部375は、後述する上方支持部377の前端部分に取り付けられ部位であり、上下方向を向く最大面を有する。発光支持部375は、後述する積分球部14を支持する。
【0072】
軸支持部376は、後述する回動軸36の左方側端部および右方側端部に夫々配置される。軸支持部376は、左右方向を向く最大面を有する。軸支持部376には、回動軸36よりも大きな開口が形成され、当該開口に回動軸36の端部が配置される。
【0073】
上方支持部377は、中間支持部372の上端に配置され、上下方向を向く最大面を有する。上方支持部377の上面に、前述した回動部23が固定される。上方支持部377の前方部分は、中間支持部372よりも前方側に配置される。上方支持部377の後方部分は、中間支持部372よりも後方側に配置され、軸固定部53が固定される。
【0074】
発光支持部375には、積分球部14が固定される。積分球部14は、ネジなどの締結手段により発光支持部375の下面側に固定される。また、積分球部14の前方上部には、モニタ受光部52が配設される。
【0075】
上方支持部377の前端部の下面には、押圧部26が固定される。
【0076】
押圧部26は、回動部23の一部であり、グルコース量の測定時に於いて、被測定部位18に押圧力を付与する。押圧部26は、錘部261と、連結部262と、係止部263と、係止解除部264と、操作部265と、を有する。
【0077】
錘部261は、被測定部位18を押圧する為の押圧力を発生させる部位である。換言すると、錘部261に作用する重力により、当該押圧力を安定的に発生させることができる。錘部261は、比重の大きな金属粉(例えばタングステン)を含む合成樹脂から成る。このようにすることで、小型な錘部261により、大きな押圧力を効果的に得ることができる。回動側接触部25は、錘部261の下方前端部に接続する。
【0078】
連結部262は、錘部261と係止部263とを連結する部位である。連結部262としては、例えば、挿通軸42である。
【0079】
係止部263は、錘部261および回動側接触部25を係止する。係止部263としては、レバー49、ガイド51およびストッパ50を採用できる。係止部263の動作に関しては後述する。
【0080】
係止解除部264は、操作部265である釦266が操作されたことにより、係止部263による係止を解除し、錘部261に作用する重力により、回動側接触部25を被測定部位18に押し付ける。係止解除部264としては、レバー49、ガイド51およびストッパ50を採用できる。係止解除部264の動作に関しては後述する。
【0081】
操作部265は釦266であり、釦266は、ユーザが押下可能に構成されている。血液測定装置10の使用状況下では、ユーザが釦266を押下することで、回動側接触部25が降下し、測定が行われる。
【0082】
リフト部267は、回動部23が上回動する際に、回動側接触部25および錘部261を上昇させる。上昇した状態の錘部261および回動側接触部25は、係止部263が係止する。リフト部267は、例えば、レバー49である。
【0083】
挿通軸42は、錘部261の上面前方部分から上方に向かって伸びる柱状部材である。挿通軸42は、錘部261の上面前方部分において、2つが配置される。一方の挿通軸42は、錘部261の上面前方部分において左方側端部に配設される。他方の挿通軸42は、錘部261の上面前方部分において右方側端部に配設される。また、右方側に配設される挿通軸42は、筒状ベアリング43を貫通している。筒状ベアリング43は、挿通軸42と後述する挿通孔45との間に配置され、挿通軸42の摺動動作をスムーズにする。また、挿通軸42は、錘部261を他の部材と連結する連結部262として機能する。
【0084】
軸支持部44は、合成樹脂から成る支持部材であり、上方支持部377の下面に固定される。押圧部26を構成する各部材は、軸支持部44を介して上方支持部377に固定される。即ち、軸支持部44は、押圧部26の本体部として機能する。
【0085】
挿通孔45は、軸支持部44の前方部分に形成された上下方向に伸びる貫通孔である。挿通孔45は、左端側および右端側に2つが形成される。軸支持部44には、前述した挿通軸42および筒状ベアリング43が挿入される。
【0086】
バネ取付部46は、軸支持部44の右方側側面を部分的に右方に向かって突出させた部位である。バネ取付部46は、後述するバネ47に挿入される。
【0087】
バネ47は、トーションバネである。バネ47の巻回部位には、バネ取付部46が挿入される。また、バネ47は、レバー49の内部に収納される。そのようにすることで、バネ47は、右方から見た場合、レバー49を時計回りに回転させようとする付勢力を発生させる。換言すると、バネ47は、レバー49の前方部分を、上方に持ち上げようとする付勢力を発生させる。
【0088】
レバー49は、右方から見た場合、「くの字形状」を呈する部材である。レバー49にバネ47が挿入されることで、レバー49は回転可能な状態で、軸支持部44により支持される。レバー49は、錘部261および回動側接触部25を上昇させる、リフト部267として機能する。
【0089】
取付ネジ48は、レバー49の中心部分に形成された貫通孔を経由して、バネ取付部46に螺入される。これにより、レバー49は、軸支持部44に対して回転可能な状態で備えられる。
【0090】
ストッパ50は、左右方向に沿う長手方向を有する板状部材である。ストッパ50の下面には、挿通軸42の上端が固定される。
【0091】
ガイド51は、左右方向に沿って伸びる板状の部材である。ガイド51は、軸支持部44の上端後方側において、左右方向に沿って移動可能に配設される。ガイド51の構造および機能の詳細は後述する。
【0092】
ここで、回動部23を構成する各部位を説明する。
【0093】
回動軸36は、左右方向に沿って伸びる円柱部材である。回動部23は、回動軸36を中心として回動する。回動軸36の端部は、軸支持部376により支持される。また、回動軸36の中間部は、軸固定部53に挿入される。更に、回動軸36の右方側端部はガイドギア54に挿入される。回動軸36とガイドギア54とは相対回転不能に接続される。
【0094】
軸受38は、軸支持部376の開口に嵌め込まれた状態で、回動軸36を回転可能に支持する。
【0095】
軸カバー39は、回動軸36を支持する各部材を左方端部および右方端部から保護する。
【0096】
軸固定部53は、略箱状を呈する部材であり、回動軸36がその内部を挿通する。前述したように、軸固定部53は、上方支持部377の後端部正面に固定される。これにより、上方支持部377、発光支持部375およびこれらに固定される各構成部品は、回動軸36を中心として回動可能とされる。
【0097】
ガイドギア54は、ここでは図示しない油圧ダンパと駆動的に接続される。このようにすることで、回動部23が回転する際における節度感および高級感を演出できる。
【0098】
釦266は、回動部23の最上部に配置され、本実施形態における測定を実施する際にユーザが下方に向かって押下する部位である。
【0099】
押圧軸40は、釦266の下面から下方に向かって伸びる棒状の部位である。
【0100】
バネ41は、コイルバネである。バネ41には押圧軸40が挿入される。バネ41は、釦266およびバネ41を上昇させようとする付勢力を発生させる。
【0101】
図9は、血液測定装置10において、係止部263および係止解除部264として機能する各部位を示す分解斜視図である。図9に於いて、上図は、釦266、押圧軸40、ガイド51およびレバー49を上側右方から見た図である。また、図9に於いて、下図は、釦266、押圧軸40、ガイド51およびレバー49を上側左方から見た図である。
【0102】
前述したように、血液測定装置10は、係止部263および係止解除部264を有する。係止部263は、錘部261および回動側接触部25を係止する。係止解除部264は、操作部265が操作されたことにより、係止部263による係止を解除する。本実施形態では、釦266、押圧軸40、ガイド51およびレバー49が、係止部263および係止解除部264として機能する。
【0103】
押圧軸40の下端の左方側部分には、傾斜部401が形成されている。傾斜部401は、左方に向かって上方に傾斜する傾斜面である。
【0104】
ガイド51は、当接保持部511、筒状部512、傾斜部513、延伸部514、傾斜部515および本体部516を有する。
【0105】
本体部516は、左右方向に沿って伸びる長尺部位である。
【0106】
当接保持部511は、本体部516の左端から前方に向かって突出する部位である。当接保持部511の上面は、後述するストッパ50と当接する平坦面とされている。
【0107】
筒状部512は、本体部516の中間部を円筒状に成形した部位である。筒状部512の内径は、押圧軸40の外径よりも大きくされる。よって、筒状部512には、押圧軸40が上方から挿入することができる。
【0108】
傾斜部513は、本体部516の右端部の下方部分に形成された傾斜面である。傾斜部513は、右方に向かって下方に傾斜する傾斜面である。傾斜部513は、ガイド51を左右方向に沿ってスライドさせる際に、レバー49に接触する部位である。
【0109】
延伸部514は、本体部516の右端から下方に向かって伸びる略棒状の部位である。延伸部514は、左右方向におけるガイド51の移動を規制する部位である。
【0110】
傾斜部515は、筒状部512の左端近傍に形成された傾斜面である。筒状部512は、左方に向かって上方に傾斜する傾斜面である。後述するように、押圧軸40の傾斜部401が、ガイド51の傾斜部515に当接することで、ガイド51を左方にスライドできる。
【0111】
レバー49は、前方当接部491、後方当接部492および保持部493を有する。
【0112】
前方当接部491は、前方に向かって伸びる部位である。前方当接部491の上面は平坦面とされる。前方当接部491は、ガイド51の傾斜部513の下方に配置される。後述するように、前方当接部491が傾斜部513に下方から当接することで、ガイド51は右方に向かってスライドする。
【0113】
後方当接部492は、後方に向かって伸びる部位である。右方からレバー49を見た場合、後方当接部492の延伸方向は、前方当接部491の延伸方向に対して傾斜している。即ち、レバー49は、右方から見た場合、くの字形状を呈する。血液測定装置10が、前述した第1状態または第2状態の場合、後方当接部492は、図5に示す中間支持部372の前面に当接し、これにより、前方当接部491は下方に配置される。一方、血液測定装置10が、前述した第3状態または第4状態の場合、後方当接部492は、図5に示す中間支持部372の前面から離れ、これにより、前方当接部491は上方に配置される。ここで、中間支持部372の前面が合成樹脂板により覆われる場合、後方当接部492は当該合成樹脂板に当接する。
【0114】
保持部493は、前方当接部491の右方側面から、上方に向かって突出する略棒状の部位である。前方からレバー49を見た場合、保持部493は、鈎状に突出している。即ち、保持部493は、前方当接部491および後方当接部492の右端よりも、右方側に配置される。保持部493は、前述した第1状態および第2状態において、延伸部514の右方側に配置され、ガイド51が不用意に右方に移動してしまうことを防止する。
【0115】
以下に、血液測定装置10を用いてユーザの血液中に含まれるグルコース量を測定する方法を説明する。前述したように、血液測定装置10は、血液測定に際して、第1状態ないし第4状態を経る。
【0116】
図10は、血液測定装置10の第1状態を示す断面図である。図11は、血液測定装置10の第1状態を複数の視点から示す斜視図である。第1状態とは、回動部23が下方側に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が上方側に配置された状態である。
【0117】
図10を参照して、第1状態では、回動部23が下方側に配置される。即ち、回動部23は、回動軸36を回転中心として、反時計回りに回りきった状態となる。また、第1状態では、錘部261および回動側接触部25は、上方側に配置されている。よって、上下方向における回動側接触部25と固定側接触部24との距離は、フィンガーウェブ55の厚さよりも長くされている。
【0118】
図11を参照して、第1状態では、後方当接部492の後方当接部492は、図5に示す中間支持部372の前面に当接する。このことから、レバー49は反時計回りに回転された状態となり、前方当接部491は、ガイド51の傾斜部513よりも下方側に配置される。また、図11の下図を参照して、当接保持部511は、ストッパ50の左端の下方側に配置されている。具体的には、当接保持部511の上面が、ストッパ50の下面に当接している。換言すると、ストッパ50は当接保持部511により支持されている。これにより、挿通軸42を介してストッパ50と連結されている錘部261および回動側接触部25も、上下方向に於いて、当接保持部511により支持されている。
【0119】
図10を再び参照し、第1状態において、ユーザは、被測定部位18であるフィンガーウェブ55を、固定側接触部24と回動側接触部25との間に挿入する。
【0120】
前述したように、上下方向に於いて、固定側接触部24と回動側接触部25との間に形成される間隙は、フィンガーウェブ55の厚さよりも長い。また、固定側接触部24の上面は、前方に向かって下方に傾斜する傾斜面である。更に、回動側接触部25の下面は、前方に向かって上方に傾斜する傾斜面である。よって、固定側接触部24の上面、および、回動側接触部25の下面が、ガイドの如く機能し、フィンガーウェブ55は両者の間にスムーズに挿入される。また、ユーザが左手のフィンガーウェブ55を用いて測定する場合は、人差指が左側当接部32に当接し(図4)、親指が右側当接部30に当接する(図4)。このようにすることで、フィンガーウェブ55を安定的に所定位置に配置できる。
【0121】
図12は、血液測定装置10の第2状態を示す断面図である。図13は、血液測定装置10の第2状態を複数の視点から示す斜視図である。第2状態とは、回動部23が下方側に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が下方側に配置された状態である。血液測定装置10は、第2状態に於いて、グルコース量を測定する。
【0122】
図12を参照して、固定側接触部24と回動側接触部25との間にフィンガーウェブ55が配置された状態で、ユーザが釦266を下方に押下する。そうすると、図9に示したように、押圧軸40の傾斜部401が、ガイド51の傾斜部515に上方から当接する。従って、傾斜部401と傾斜部515の間で滑動運動が発生し、ガイド51は左方に向かってスライドする。
【0123】
その結果、図13の下図を参照して、ガイド51の当接保持部511は、ストッパ50の左端よりも左方側に移動し、ストッパ50を支えなくなる。その後、挿通軸42を介してストッパ50と連結された錘部261および回動側接触部25は、下方に落下する。その後、図13の上図を参照して、ストッパ50の右端部は、レバー49の前方当接部491により下方から支持される。これにより、錘部261および回動側接触部25の第2状態における位置が規定される。
【0124】
図12を参照して、錘部261および回動側接触部25が落下した後、回動側接触部25の下面は、錘部261に作用する重力に応じた押圧力を、フィンガーウェブ55に上方から加え続ける。錘部261の重量は、フィンガーウェブ55を十分に押圧すると共に、フィンガーウェブ55の内部における血流を妨げないものとされている。
【0125】
次に、演算制御部17は、発光部11から所定の光線20を発光し、フィンガーウェブ55を透過した光線20を受光部19で受光し、受光部19の出力結果等に基づき、グルコース量を算出する。グルコース量の算出方法は、図3を参照して説明した通りである。グルコース量の測定が終了すれば、ユーザは被測定部位18を血液測定装置10から離す。更に、ユーザは、記憶部13を上方に回動させる。これにより、以下に説明する第3状態および第4状態が実現される。
【0126】
図14は、血液測定装置10の第3状態を示す断面図である。図15は、血液測定装置10の第3状態を複数の視点から示す斜視図である。図16は、血液測定装置10の第3状態を複数の視点から示す斜視図である。第3状態とは、回動部23が上下方向における中間部に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が上方側に配置された状態である。
【0127】
図14の断面図に示す様に、第3状態は、回動部23が反時計回りに回動する際の途中段階である。ここでは、錘部261および回動側接触部25が、回動部23の内部で上方側に配置されている。
【0128】
図15および図16を参照して、第3状態において、後方当接部492が図5に示した中間支持部372の前面から離れることで、レバー49は時計回りに回動している。これにより、レバー49は、内蔵されたバネ47(図8参照)の付勢力により時計回りに回転する。よって、上昇する前方当接部491が、ストッパ50の右端部分を下方から持ち上げる。これにより、挿通軸42、錘部261および回動側接触部25も、上方に持ち上がる。この時、釦266および押圧軸40は、バネ41(図8参照)の付勢力により、上昇している。よって、図16に示す様に、押圧軸40は、ストッパ50の筒状部512から引き抜かれている。
【0129】
図17は、血液測定装置10の第4状態を示す断面図である。図18は、血液測定装置10の第4状態を複数の視点から示す斜視図である。図19は、血液測定装置10の第4状態を複数の視点から示す斜視図である。第4状態とは、回動部23が更に上方側に配置され、且つ、錘部261および回動側接触部25が上方側に配置された状態である。
【0130】
図17を参照して、当接感が得られるまで、ユーザが回動部23を反時計回りに回転しきることで、第4状態が実現される。
【0131】
図18および図19を参照して、レバー49は更に時計回りに回転している。特に図19の上図を参照すると、レバー49の前方当接部491が、ガイド51の傾斜部513を、下方から押している。その結果、前方当接部491に対して傾斜部513が滑り、ガイド51は右方に向かってスライドする。そのようになると、図19の下図を参照して、ストッパ50の左端部の下方に当接保持部511が配置される。よって、ストッパ50、挿通軸42、錘部261および回動側接触部25の位置が上方で係止される。
【0132】
以上が、血液測定装置10の状態が、第1状態から第4状態に遷移する状況に関する説明である。
【0133】
ユーザが再び血液測定装置10を利用してグルコース量を測定する際には、回動部23を、図17に示す状態から、図10に示す状態にする。このようにすることで、血液測定装置10は第1状態に戻る。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、上記した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0135】
図3を参照して、前述した実施形態では、回動部23に発光部11が内蔵され、固定部22に受光部19が内蔵されたが、これを逆にすることもできる。即ち、回動部23に受光部19が内蔵され、固定部22に発光部11が内蔵されても良い。
【0136】
前述した実施形態では、血液測定装置10によりグルコース量を測定したが、グルコース量以外の血液の成分、例えば、タンパク質、無機塩類、糖質、脂質等を測定することもできる。
【符号の説明】
【0137】
10 血液測定装置
11 発光部
111 第1発光部
112 第2発光部
113 第3発光部
12 操作入力部
13 記憶部
14 積分球部
141 筒状部
15 表示部
16 光出口部
17 演算制御部
18 被測定部位
19 受光部
20 光線
21 本体部
22 固定部
23 回動部
24 固定側接触部
25 回動側接触部
26 押圧部
261 錘部
262 連結部
263 係止部
264 係止解除部
265 操作部
266 釦
267 リフト部
27 カバー
28 本体部カバー
281 前方本体部カバー
282 中間本体部カバー
283 後方本体部カバー
284 下方本体部カバー
29 可動部カバー
291 上部可動部カバー
292 上部可動部カバー
30 右側当接部
32 左側当接部
34 前方当接部
35 血液測定モジュール
36 回動軸
37 支持部
371 下方支持部
372 中間支持部
373 受光支持部
374 回動支持部
375 発光支持部
376 軸支持部
377 上方支持部
38 軸受
39 軸カバー
40 押圧軸
401 傾斜部
41 バネ
42 挿通軸
43 筒状ベアリング
44 軸支持部
45 挿通孔
46 バネ取付部
47 バネ
48 取付ネジ
49 レバー
491 前方当接部
492 後方当接部
493 保持部
50 ストッパ
51 ガイド
511 当接保持部
512 筒状部
513 傾斜部
514 延伸部
515 傾斜部
516 本体部
52 モニタ受光部
53 軸固定部
54 ガイドギア
55 フィンガーウェブ

図1
図2
図3
図4
図5
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