(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076004
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】輸液制御装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240529BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240529BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A61M5/14 520
A61M5/172
A61M5/168 540
A61M5/168 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187334
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】羽畑 元晴
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066GG10
4C066QQ01
4C066QQ48
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】本発明は、点滴供給を開始する前に、輸液制御装置における点滴筒などの設置状況を確認することができる輸液制御装置を、提供する。
【解決手段】輸液制御装置30は、筐体1と、撮像装置4と、チューブ検出装置5と、プロセッサ6とを、備える。筐体1は、点滴筒20Bおよびチューブ20Cの一部20Caを着脱可能に収容する凹部である、点滴筒装着部1Aが形成される。撮像装置4は、点滴筒装着部1Aに設置された点滴筒20Bを撮像する。チューブ検出装置5は、チューブ20Cの一部20Caが、点滴筒装着部1Aに設置されていることを検知する。プロセッサ6は、撮像装置4からの撮像結果およびチューブ検出装置5からの検出結果を、受信する。そして、プロセッサ6は、撮像結果および検出結果に基づいて、点滴供給が可能であるかを判断する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滴筒および当該点滴筒に接続されたチューブの一部を着脱可能に収容する凹部である、点滴筒装着部が形成された、筐体と、
前記点滴筒装着部に設置された前記点滴筒を撮像する、撮像装置と、
前記チューブの前記一部が、前記点滴筒装着部に設置されていることを検知する、チューブ検出装置と、
前記撮像装置および前記チューブ検出装置と接続される、プロセッサとを、備えており、
前記プロセッサは、
前記撮像装置からの撮像結果および前記チューブ検出装置からの検出結果を、受信し、
前記撮像結果および前記検出結果に基づいて、点滴供給が可能であるかを判断する、
輸液制御装置。
【請求項2】
前記点滴筒は、
当該点滴筒内部に配設される、点滴の滴下を行うノズルを含み、
前記プロセッサは、
前記撮像結果が、前記ノズルが予め設定された適正位置範囲に存在することを示しており、さらに、前記検出結果が、前記チューブの前記一部が前記点滴筒装着部内に設置されていることを示しているとき、点滴供給が可能であるかを判断する、
請求項1に記載の輸液制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記撮像結果が、前記ノズルが前記適正位置範囲外に存在していることを示しているとき、前記点滴筒が、前記点滴筒装着部に正常に設置されていないことを示す設置異常信号を生成する、
請求項2に記載の輸液制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記検出結果が、前記チューブの前記一部が前記点滴筒装着部内に設置されていないことを示しているとき、前記チューブの前記一部が、前記点滴筒装着部に正常に設置されていないことを示す設置異常信号を生成する、
請求項2に記載の輸液制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
点滴筒内を滴下する液滴の体積の測定を通して、点滴の流量を制御する技術が存在する(特許文献1)。特許文献1に記載されている液滴測定システムは、画像データから、ノズルから滴下する液滴の体積を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号 WO2017/082381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、輸液制御装置に点滴筒を設置し、輸液制御を実施する場合、正確な流量で点滴を患者等に供給するために、点滴筒などが輸液制御装置に正確に設置されていることが重要である。よって、点滴供給を開始する前に、輸液制御装置における点滴筒などの位置を確認することが重要となる。
【0005】
そこで、本発明は、点滴供給を開始する前に、輸液制御装置における点滴筒などの設置状況を確認することができる輸液制御装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある側面によれば、輸液制御装置は、筐体と、撮像装置と、チューブ検出装置と、プロセッサとを、備える。筐体は、点滴筒および当該点滴筒に接続されたチューブの一部を着脱可能に収容する凹部である、点滴筒装着部が形成される。撮像装置は、点滴筒装着部に設置された点滴筒を撮像する。チューブ検出装置は、チューブの一部が、点滴筒装着部に設置されていることを検知する。プロセッサは、撮像装置およびチューブ検出装置と接続される。また、プロセッサは、撮像装置からの撮像結果およびチューブ検出装置からの検出結果を、受信する。そして、プロセッサは、撮像結果および検出結果に基づいて、点滴供給が可能であるかを判断する。
【発明の効果】
【0007】
上記輸液制御装置は、点滴供給を開始する前に、点滴筒装着部内における点滴筒の設置状況と、点滴筒装着部内における第二のチューブの設置状況とを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】輸液供給システムの全体構成例を示す概略図である。
【
図3】輸液制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】撮像装置、チューブ検出装置、プロセッサなどの構成を示す図である。
【
図5】チューブ検出装置を含む構成例を示す拡大図である。
【
図6】輸液制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】ノズルが適正位置範囲外に存する様子を示す図である。
【
図8】ノズルが適正位置範囲以内に存する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、輸液供給システム100の全体構成例を示す概略図である。
図1に例示する輸液供給システム100は、輸液バック10、経路20、および輸液制御装置30を、含む。
【0011】
輸液バック10には、点滴液が充填されている。
図1から分かるように、点滴液は、輸液バック10から、経路20を経由して、患者へと供給される。たとえば、輸液バック10は、点滴供給中において、支持台等により、吊り下げられた状態で保持される。
【0012】
図1に示されているように、経路20は、第一のチューブ20Aと、点滴筒20Bと、第二のチューブ20Cとを、含んでいる。輸液バック10内の点滴液は、第一のチューブ20A、点滴筒20B、第二のチューブ20C、および患者の順に流れる。
【0013】
図2は、点滴筒20Bおよび輸液制御装置30を含む構成を例示する概略図である。
【0014】
第一のチューブ20Aは、輸液バック10の排出口10p(
図1参照)と点滴筒20Bの供給口20Bp(
図2参照)とを、接続する。したがって、輸液バック10内の点滴液は、第一のチューブ20A内と、点滴筒20Bの供給口20Bpとを通って、点滴筒20B内へ移動する。第一のチューブ20Aは、たとえば弾性材料により形成されており、柔軟性を有する。なお、当該供給口20Bpは、後述するノズル20Nの一部であると、把握できる。
【0015】
点滴筒20Bは、一例として、略円筒形である。
図2に例示するように、当該点滴筒20Bは、上記供給口20Bpを含むノズル20Nを有する。当該ノズル20Nは、当該点滴筒20B内において、点滴の滴下を行う。点滴筒20Bは、第二のチューブ20Cと接続されている。当該点滴筒20B内に滴下された点滴液は、点滴筒20Bに設けられた排出口20Bs(
図2参照)から、第二のチューブ20Cへと移動する。
【0016】
第二のチューブ20Cは、点滴筒20Bの排出口20Bsと患者との間に、配設される。したがって、点滴筒20Bからの点滴液は、第二のチューブ20Cを通って、患者へと移動する。第二のチューブ20Cは、たとえば弾性材料により形成されており、柔軟性を有する。
【0017】
輸液制御装置30は、点滴液の供給量を、たとえば自動で制御する。また、本実施の形態に係る輸液制御装置30は、後述するように、点滴筒20Bと、第二のチューブ20Cの一部20Caとが、当該輸液制御装置30に、正常に設置されているか否かを判断する。当該判断は、点滴液の供給を開始する前に、実施される。本実施の形態に係る輸液制御装置30の概略構成は、
図2に例示した通りである。なお、
図2に示すように、「第二のチューブ20Cの一部20Ca」とは、輸液制御装置30に設置される、第二のチューブ20Cの部分を意味する。
【0018】
図2に例示すように、本実施の形態に係る輸液制御装置30は、筐体1と、表示部2と、操作部3とを、含んでいる。
【0019】
筐体1には、点滴筒装着部1Aが形成されている。当該点滴筒装着部1Aは、筐体1の第一の主面側(表示部2および操作部3が形成されている側の主面)に設けられている。点滴筒装着部1Aは、当該第一の主面の表面内に設けられた凹部である。点滴筒装着部1A(当該凹部)は、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caを着脱可能に収容する。
図2では、点滴筒装着部1Aに、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caが、収容されている状態を、例示している。
【0020】
ここで、筐体1が備えるスライド27を
図2の左方向に移動させることにより、点滴筒装着部1Aに、第二のチューブ20Cの一部20Caが収容できる状態となる。当該収容後、スライド27を右方向に移動することにより、点滴筒装着部1Aに第二のチューブ20Cの一部20Caが収容された状態を、維持することができる。
【0021】
表示部2は、液晶パネル等であり、所定の情報を視認可能に表示する。たとえば、表示部2は、点滴液の供給量、速度などを表示してもよい。また、表示部2は、点滴筒装着部1Aに、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caが、正常に収容されているか否かを表示してもよい。
【0022】
操作部3は、ユーザから操作を受ける。当該操作部3は、たとえば、点滴開始を指示する入力部、および、点滴終了(一時停止を含む)を指示する入力部を、含んでいてもよい。また、操作部3は、手動で、点滴液の供給量を調整するために、点滴量の増減を指示する入力部を、含んでいてもよい。
【0023】
図3は、本実施の形態に係る輸液制御装置30の内部構成を例示するブロック図である。輸液制御装置30は、表示部2、操作部3、撮像装置4、チューブ検出装置5、プロセッサ6、およびメモリ7を、備える。プロセッサ6は、バスBLを介して、表示部2、操作部3、撮像装置4、チューブ検出装置5、およびメモリ7と、通信可能に接続されている。なお、表示部2および操作部3は、上記で説明した通りである。なお、
図4は、撮像装置4、チューブ検出装置5、およびプロセッサ6を含む概略構成を例示する。
【0024】
ここで、
図2,4に示すように、本実施の形態に係る輸液制御装置30は、バルブ25を有している。輸液制御装置30(より具体的には、プロセッサ6)は、当該バルブ25の開閉(絞り)度合いを調整することにより、点滴量の供給量の増減を調整する。
【0025】
撮像装置4は、点滴筒装着部1Aに設置された点滴筒20Bを撮像する。撮像装置4は、たとえば、カメラと光源とを含む。光源は、点滴筒装着部1Aに設置された点滴筒20B内に、光を照射する。カメラは、点滴筒20B内を撮像する。より具体的には、カメラは、点滴筒20B内に設置されているノズル20Nの先端を含む領域を、撮像する。光源およびカメラは、通信可能に、プロセッサ6と接続されている。
【0026】
図5は、チューブ検出装置5を含む領域の輸液制御装置30の構成を例示する概略図である。
図5では、点滴筒装着部1A内と、バルブ25、およびチューブ検出装置5が、示されている。なお、
図5では、点滴筒装着部1A内に、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caとは、設置されていない。また、筐体1の内部に存するチューブ検出装置5の一部の構成の概略輪郭は、点線にて、示されている。
【0027】
チューブ検出装置5は、第二のチューブ20Cの一部20Caが、点滴筒装着部1Aに設置されていることを検知する。一例として、
図5に示すように、チューブ検出装置5は、凸部5aと、遮光部5bと、フォトセンサ5sとを、備える。
【0028】
図5に示すように、凸部5aは、点滴筒装着部1Aの第二のチューブ20Cが設置される溝部に、設けられる。当該凸部5aは、
図5の左右方向に移動可能である。たとえば、当該溝部に、第二のチューブ20Cが設置されていない状態では、
図5に示すように、凸部5aは、当該溝部に突出するように、設置される。他方、当該溝部に、第二のチューブ20Cが設置される状態では、当該凸部5aは、筐体1内へと移動する(
図5の左方向に移動する)。
【0029】
より具体的に、第二のチューブ20Cの一部20Caが、点滴筒装着部1A内(上記溝部)に設置されると、凸部5aは、第二のチューブ20Cの側面に当接し、当該第二のチューブ20Cに押圧される。当該押圧により、凸部5aは、筐体1内へと移動する(
図5の左方向に移動する)。なお、第二のチューブ20Cが、点滴筒装着部1A内(上記溝部)から取除かれると、凸部5aと第二のチューブ20Cとの当接は解消される。よって、付勢により、凸部5aは、筐体1内部から溝部へと移動する(
図5の右側に移動する)。ここで、
図5に例示されるように、たとえば、凸部5aは、遮光部5bと接続されている。
【0030】
フォトセンサ5sは、凸部5aの上記移動に応じて、透光・遮光を検出する。たとえば、凸部5aが、溝部から筐体1内に移動する場合(第二のチューブ20Cが点滴筒装着部1A内に設置される場合)には、凸部5aに接続される遮光部5bは、フォトセンサ5s外に位置する。したがって、フォトセンサ5sは、「透光」を検出する。つまり、この例では、「透光」は、点滴筒装着部1A内に、第二のチューブ20Cが正確に設置されている状態を、意味する。
【0031】
これに対して、凸部5aが、溝部に設置されている場合(第二のチューブ20Cが点滴筒装着部1A内に設置されていない場合)には、凸部5aに接続される遮光部5bは、フォトセンサ5s内に位置する。したがって、フォトセンサ5sは、「遮光」を検出する。つまり、この例では、「遮光」は、点滴筒装着部1A内から、第二のチューブ20Cが取り外されている状態を、意味する。
【0032】
図3を参照して、メモリ7は、輸液制御装置30の動作・制御に係るプログラムを格納する。また、メモリ7は、動作・制御に必要な各種データを格納する。また、メモリ7は、記録等の観点で、所定のデータを格納する。メモリ7は、たとえば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む、メモリである。
【0033】
図3,4を参照して、CPU(Central Processing Unit)であるプロセッサ6は、メモリ7に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。プロセッサ6は、必要なデータを、メモリ7に記録する。また、プロセッサ6は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ6内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。また、プロセッサ6は、読み込んだプログラムに従い、各部2~5,7を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。たとえば、プロセッサ6は、メモリ7内の所定のプログラムに従い、後述する、輸液制御装置30の動作を実行させる。
【0034】
次に、
図6のフローチャートを用いて、輸液供給が開始されるまでの輸液制御装置30の動作を説明する。
【0035】
まず、ユーザは、輸液供給システム100を所望のポジションに設置し、輸液制御装置30の電源PW(
図2参照)を入れる。次に、ユーザは、輸液制御装置30の点滴筒装着部1A内に、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Ca(輸液セット)を、収容(設置)する(
図6のステップS1)。
【0036】
そして、プロセッサ6は、輸液供給を開始する前に、次のステップS2~ステップS6を実施する。つまり、プロセッサ6は、撮像装置4からの撮像結果およびチューブ検出装置5からの検出結果を受信する。そして、プロセッサ6は、撮像結果および検出結果に基づいて、点滴筒20Bから第二のチューブ20C等を介した点滴供給が可能であるか否かを判断する。
【0037】
ステップS2において、プロセッサ6は、撮像装置4を制御する。当該制御により、撮像装置4は、点滴筒20B内のノズル20Nを含む領域を撮像する。より具体的に、当該制御により、光源が、点滴筒20B内に対して光を出射し、当該光が出射されている状態において、カメラが、点滴筒20B内のノズル20Nを含む領域を撮像する。撮像装置4(カメラ)は、撮像結果を、プロセッサ6へ送信する。そして、ステップS2において、プロセッサ6は、受信した撮像結果において、ノズル20Nが予め設定された適正位置範囲に存在するか否かを、判断する。
【0038】
プロセッサ6が、撮像結果において、ノズル20Nが適正位置範囲外に存在していると判断したとする(ステップS2で「NO」)。つまり、
図7を参照して、ノズル20Nの外輪郭の少なくも一部が、適正位置範囲RS外に存すると、プロセッサ6が判断したとする。ここで、
図7において、撮像装置4の撮像範囲CRも図示している。この場合、プロセッサ6は、点滴筒20Bが点滴筒装着部1A内に、正常に設置されていないと判断する(ステップS3)。つまり、ステップS3において、プロセッサ6は、点滴筒20Bの設置異常状態を判断する。そして、プロセッサ6は、当該設置異常状態であることを示す第一の設置異常信号を生成する。そして、プロセッサ6は、第一の設置異常信号を、ユーザが認識できるように、輸液制御装置30から出力させる(
図6の終了)。たとえば、表示および/または音声を利用して、当該第一の設置異常信号は出力される。当該点滴筒20Bの設置異常状態を検知したユーザは、点滴筒20Bを点滴筒装着部1A内に正常に装着される(
図6のステップS1参照)。その後、プロセッサ6は、再度、ステップS2以降の動作を実施する。
【0039】
他方、プロセッサ6が、撮像結果において、ノズル20Nが適正位置範囲以内に存在していると判断したとする(ステップS2で「YES」)。つまり、
図8を参照して、ノズル20Nの外輪郭の全てが、適正位置範囲RS以内に存すると、プロセッサ6が判断したとする。ここで、
図8においても、撮像装置4の撮像範囲CRも図示している。この場合、プロセッサ6は、点滴筒20Bが点滴筒装着部1A内に、正常に設置されていると判断する(点滴筒20Bの設置正常状態)。そして、プロセッサ6は、ステップS4の動作へと移行する。
【0040】
ステップS4において、チューブ検出装置5は、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に正常に設置されているか否かを検出する。なお、上記で例示したように、本実施の形態では、チューブ検出装置5は、凸部5aとフォトセンサ5sとを備える。チューブ検出装置5は、検出結果を、プロセッサ6へ送信する。
【0041】
上記で例として説明したように、本実施の形態では、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に正常に設置されている場合には、凸部5aに接続されている遮光部5bが、フォトセンサ5s外に位置する。つまり、フォトセンサ5sは、透光であることを検出する。したがって、フォトセンサ5sの「透光」を示す検出結果は、点滴筒装着部1A内に、第二のチューブ20Cが正確に設置されている状態を、意味する。これに対して、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に正常に設置されていない場合には、凸部5aに接続されている遮光部5bが、フォトセンサ5s内に位置する。つまり、フォトセンサ5sは、遮光であることを検出する。したがって、フォトセンサ5sの「遮光」を示す検出結果は、点滴筒装着部1A内に、第二のチューブ20Cが正常に設置されていない状態を、意味する。
【0042】
そして、ステップS4において、プロセッサ6は、受信した検出結果に基づいて、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に正常に設置されているか否かを判断する。
【0043】
プロセッサ6が、検出結果に基づいて、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に正常設置されていないと判断したとする(ステップS4で「NO」)。つまり、プロセッサ6は、検出結果が「遮光」を示すものであると、判断したとする(第二のチューブ20Cの設置異常状態、ステップS3)。この場合、ステップS3において、プロセッサ6は、当該設置異常状態であることを示す第二の設置異常信号を生成する。そして、プロセッサ6は、第二の設置異常信号を、ユーザが認識できるように、輸液制御装置30から出力させる(
図6の終了)。たとえば、表示および/または音声を利用して、当該第二の設置異常信号は出力される。当該第二のチューブ20Cの設置異常状態を検知したユーザは、第二のチューブ20Cを点滴筒装着部1A内に正常に装着される(
図6のステップS1参照)。その後、プロセッサ6は、再度、ステップS2以降の動作を実施する。
【0044】
他方、プロセッサ6が、検出結果に基づいて、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に正常設置されていると判断したとする(ステップS4で「YES」)。つまり、プロセッサ6は、検出結果が「透光」を示すものであると、判断したとする(第二のチューブ20Cの設置正常状態)。この場合、プロセッサ6は、ステップS5において、点滴筒装着部1A内に、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Ca(輸液セット)が、正常に設置されていることを確認する。
【0045】
上記の説明からわかるように、ステップS2において、点滴筒20Bが点滴筒装着部1A内に正常に設置されており(ステップS2で「YES」)、および、ステップS4において、第二のチューブ20Cが点滴筒装着部1A内に正常に設置されている(ステップS4で「YES」)場合に、プロセッサ6は、ステップS5において、輸液セットの正常設置を確認する。
【0046】
ここで、
図6に示したフローチャートでは、ステップS2の後に、ステップS4を実施する動作を例示している。しかしながら、ステップS2とステップS4との動作は、同時に(並列に)実施されてもよく、または、ステップS4の後にステップS2を実施させてもよい。
【0047】
さて、ステップS6では、プロセッサ6は、点滴供給(輸液開始)が可能であるかを判断する。つまり、点滴筒20Bが点滴筒装着部1A内に正常に設置されており、さらに、第二のチューブ20Cが点滴筒装着部1A内に正常に設置されているので、輸液制御装置30が、輸液供給および輸液供給制御を開始できる状態であると、プロセッサ6は判断する。
【0048】
そして、プロセッサ6は、輸液制御装置30を、点滴供給開始可能モードに移行させ(ステップS6)、
図6の動作は終了する。なお、当該点滴供給開始可能モードにおいて、輸液制御装置30は、外部から、ユーザの輸液供給および輸液供給制御の開始指示を、受け付ける。したがって、点滴供給開始可能モードである輸液制御装置30において、ユーザが操作部3を操作し、輸液供給の開始を指示することができる。
【0049】
当該輸液供給の開始の指示を受けた輸液制御装置30は、ノズル20Nから滴下される液滴の体積、スピードなどを、撮像装置4を用いて、測定する。そして、当該測定結果に基づき、輸液の供給量を、予め設定された所望量となるように、制御を実施する。なお、当該制御の具体的な動作については、たとえば特許文献1に記載されている内容を採用してもよい。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、撮像装置4からの撮像結果およびチューブ検出装置5からの検出結果に基づいて、点滴供給が可能であるかを判断している。
【0051】
したがって、本実施の形態に係る輸液制御装置30は、点滴供給を開始する前に、点滴筒装着部1A内における点滴筒20Bの設置状況と、点滴筒装着部1A内における第二のチューブ20Cの設置状況とを確認することができる。
【0052】
たとえば、点滴筒20Bの上流部の位置または点滴筒20Bの下流部の位置が、適正位置外に設置される場合、撮像装置4がノズル20Nから出力する液滴の体積を正確に図れない可能性がある(これは、ノズル20Nから滴下される液滴の形状が歪むからである)。または、たとえば、当該場合には、輸液制御装置30における点滴筒20Bの設置が不安定となる。これらにより、たとえば特許文献1に記載されている方法で、輸液量を制御する場合、正確な輸液供給制御が達成できない。
【0053】
そこで、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、撮像結果が、ノズル20Nが予め設定された適正位置範囲RSに存在することを示しており、さらに、検出結果が、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に設置されていることを示しているとき、点滴供給が可能であるかを判断する。
【0054】
したがって、点滴筒20Bの上流部の位置および点滴筒20Bの下流部の位置が、適正位置以内に設置される場合に、輸液制御装置30は、点滴供給可能状態となる。よって、たとえば、撮像装置4がノズル20Nから出力する液滴の体積を正確に、安定的に、測定することができる。これらにより、たとえば特許文献1に記載されている方法で、輸液量を制御する場合、正確な輸液供給制御が達成できる。
【0055】
また、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、撮像結果が、ノズル20Nが適正位置範囲RS外に存在していることを示しているとき、設置異常信号を生成し、出力する。
【0056】
したがって、ユーザは、当該設置異常信号を認識することにより、点滴筒20Bが正常位置に設置されていないことを、認識することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、検出結果が、第二のチューブ20Cの一部20Caが点滴筒装着部1A内に設置されていないことを示しているとき、設置異常信号を生成し、出力する。
【0058】
したがって、ユーザは、当該設置異常信号を認識することにより、点第二のチューブ20Cが正常位置に設置されていないことを、認識することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 筐体
1A 点滴筒装着部
4 撮像装置
5 チューブ検出装置
6 プロセッサ
20B 点滴筒
20C 第二のチューブ20
20Ca (第二のチューブ20C)の一部
20N ノズル
30 輸液制御装置
RS 適正位置範囲