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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076017
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】輸液制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20240529BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20240529BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A61M5/14 520
A61M5/168 540
A61M5/168 550
A61M5/172
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187348
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】武井 通泰
(72)【発明者】
【氏名】羽畑 元晴
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066GG10
4C066QQ01
4C066QQ22
4C066QQ44
4C066QQ48
4C066QQ72
4C066QQ73
4C066QQ74
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】本発明は、より実用的な輸液制御装置を、提供することを目的とする。
【解決手段】輸液制御装置30は、筐体1と、加速度センサ8と、撮像装置4と、プロセッサ6とを、備える。筐体1は、点滴筒20Bを収容する。加速度センサ8は、筐体1の動きを検出する。撮像装置4は、筐体1に収容された点滴筒20B内を撮像する。プロセッサ6は、撮像装置4からの撮像結果から取得される、点滴筒20Bに滴下される液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを用いて、点滴筒から供給される輸液量を計算する。プロセッサ6は、予め設定された周期で、第一の輸液量の計算を行う。プロセッサ6は、加速度センサ8の検出結果に基づいて、筐体1の動きの有無を判断する。プロセッサ6は、筐体1の動きを判断したとき、当該判断後に、第二の輸液量の計算を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滴筒を収容する筐体と、
前記筐体の動きを検出する加速度センサと、
前記筐体に収容された前記点滴筒内を撮像する撮像装置と、
前記加速度センサおよび前記撮像装置に接続されるプロセッサとを、備えており、
前記プロセッサは、
前記撮像装置からの撮像結果から取得される、前記点滴筒に滴下される液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを用いて、前記点滴筒から供給される輸液量を計算し、
予め設定された周期で、第一の前記輸液量の計算を行い、
前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記筐体の動きの有無を判断し、
前記筐体の動きを判断したとき、当該判断後に、第二の前記輸液量の計算を行う、
輸液制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサに接続され、前記点滴筒に接続されたチューブの開閉量を制御する開閉制御部を、さらに備えており、
前記プロセッサは、
前記第一の輸液量の計算の結果と、予め設定されている目標輸液量とに基づいて、前記開閉制御部を制御し、
前記第二の輸液量の計算の結果と、前記目標輸液量とに基づいて、前記開閉制御部を制御する、
請求項1に記載の輸液制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記筐体の動きを判断した後、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記筐体の動きが、停止したか又は安定したかを判断し、
前記筐体の動きが停止又は安定したと判断されたとき、前記第二の輸液量の計算を行い、前記第二の輸液量の計算の結果と、前記目標輸液量とに基づいて、前記開閉制御部を制御する、
請求項2に記載の輸液制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第二の輸液量の計算の結果と、前記目標輸液量とに基づいて、前記開閉制御部を制御したとき、前記第一の輸液量の計算のための前記周期のカウントをリセットし、前記周期の計測を再開する、
請求項2に記載の輸液制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
点滴筒内を滴下する液滴の体積の測定を通して、点滴の流量を制御する技術が存在する(特許文献1)。特許文献1に記載されている液滴測定システムは、画像データから、ノズルから滴下する液滴の体積を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号 WO2017/082381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、輸液制御装置に点滴筒を設置し、輸液制御を実施する場合、正確な流量で点滴を患者等に供給することが重要であり、より実用的な輸液制御装置が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、より実用的な輸液制御装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある側面によれば、輸液制御装置は、筐体と、加速度センサと、撮像装置と、プロセッサとを、備える。筐体は、点滴筒を収容する。加速度センサは、筐体の動きを検出する。撮像装置は、筐体に収容された点滴筒内を撮像する。プロセッサは、加速度センサおよび撮像装置に接続される。プロセッサは、撮像装置からの撮像結果から取得される、点滴筒に滴下される液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを用いて、点滴筒から供給される輸液量を計算する。プロセッサは、予め設定された周期で、第一の輸液量の計算を行う。プロセッサは、加速度センサの検出結果に基づいて、筐体の動きの有無を判断する。プロセッサは、筐体の動きを判断したとき、当該判断後に、第二の輸液量の計算を行う。
【発明の効果】
【0007】
定期的な第一の輸液量の計算および筐体の動き後の第二の輸液量の計算が、実施される。したがって、第一の輸液量の計算の結果および第二の輸液量の計算の結果を用いて、輸液供給の調整が実施されることにより、正確な流量で点滴を患者等に供給することが可能となる。つまり、定期的な輸液供給の調整および筐体の動き後の輸液供給の調整が、可能となる。したがって、より実用的な輸液制御装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】輸液供給システムの全体構成例を示す概略図である。
図2】輸液制御装置の外観構成を示す図である。
図3】輸液制御装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】輸液制御に係る構成の一部を示す図である。
図5】輸液制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】輸液制御装置の動作を示すフローチャートである。
図7】輸液制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、輸液供給システム100の全体構成例を示す概略図である。図1に例示する輸液供給システム100は、輸液バック10、経路20、および輸液制御装置30を、含む。
【0011】
輸液バック10には、点滴液が充填されている。図1から分かるように、点滴液は、輸液バック10から、経路20を経由して、患者へと供給される。たとえば、輸液バック10は、点滴供給中において、支持台等により、吊り下げられた状態で保持される。
【0012】
図1に示されているように、経路20は、第一のチューブ20Aと、点滴筒20Bと、第二のチューブ20Cとを、含んでいる。輸液バック10内の点滴液は、第一のチューブ20A、点滴筒20B、第二のチューブ20C、および患者の順に流れる。
【0013】
図2は、点滴筒20Bおよび輸液制御装置30を含む構成を例示する概略図である。
【0014】
第一のチューブ20Aは、輸液バック10の排出口10p(図1参照)と点滴筒20Bの供給口20Bp(図2参照)とを、接続する。したがって、輸液バック10内の点滴液は、第一のチューブ20A内と、点滴筒20Bの供給口20Bpとを通って、点滴筒20B内へ移動する。第一のチューブ20Aは、たとえば弾性材料により形成されており、柔軟性を有する。なお、当該供給口20Bpは、後述するノズル20Nの一部であると、把握できる。
【0015】
点滴筒20Bは、一例として、略円筒形である。図2に例示するように、当該点滴筒20Bは、上記供給口20Bpを含むノズル20Nを有する。当該ノズル20Nは、当該点滴筒20B内において、点滴の滴下を行う。点滴筒20Bは、第二のチューブ20Cと接続されている。当該点滴筒20B内に滴下された点滴液は、点滴筒20Bに設けられた排出口20Bs(図2参照)から、第二のチューブ20Cへと移動する。
【0016】
第二のチューブ20Cは、点滴筒20Bの排出口20Bsと患者との間に、配設される。したがって、点滴筒20Bからの点滴液は、第二のチューブ20Cを通って、患者へと移動する。第二のチューブ20Cは、たとえば弾性材料により形成されており、柔軟性を有する。
【0017】
本実施の形態に係る輸液制御装置30は、点滴液の供給量を、自動で制御することができる。当該点滴液の供給の制御は、点滴が実施されている間に、実施される。なお、本実施の形態に係る輸液制御装置30の動作は、後述される。
【0018】
図2に例示すように、本実施の形態に係る輸液制御装置30は、筐体1と、表示部2と、操作部3とを、含んでいる。
【0019】
筐体1は、点滴筒20Bを収容する。当該筐体1には、点滴筒装着部1Aが形成されている。当該点滴筒装着部1Aは、筐体1の第一の主面側(表示部2および操作部3が形成されている側の主面)に設けられている。点滴筒装着部1Aは、当該第一の主面の表面内に設けられた凹部である。点滴筒装着部1A(当該凹部)は、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caを着脱可能に収容する。図2では、点滴筒装着部1Aに、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caが、収容されている状態を、例示している。
【0020】
ここで、筐体1が備えるスライド27を図2の左方向に移動させることにより、点滴筒装着部1Aに、第二のチューブ20Cの一部20Caが収容できる状態となる。当該収容後、スライド27を右方向に移動することにより、点滴筒装着部1Aに第二のチューブ20Cの一部20Caが収容された状態を、維持することができる。
【0021】
表示部2は、液晶パネル等であり、所定の情報を視認可能に表示する。たとえば、表示部2は、点滴液の供給量、速度などを表示してもよい。また、表示部2は、点滴筒装着部1Aに、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Caが、正常に収容されているか否かを表示してもよい。
【0022】
操作部3は、ユーザから操作を受ける。当該操作部3は、たとえば、点滴開始を指示する入力部、および、点滴終了(一時停止を含む)を指示する入力部を、含んでいてもよい。また、操作部3は、手動で、点滴液の供給量を調整するために、点滴量の増減を指示する入力部を、含んでいてもよい。
【0023】
ここで、図2に示すように、輸液制御装置30は、電源ボタンPWを有していてもよい。輸液制御装置30は、内部にバッテリーを備えていてもよく、上記電源ボタンPWを操作することにより、バッテリーからの電力供給・停止などが制御され得る。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る輸液制御装置30の内部構成を例示するブロック図である。輸液制御装置30は、表示部2、操作部3、撮像装置4、開閉制御部25、プロセッサ6、メモリ7、および加速度センサ8を、備える。プロセッサ6は、バスBLを介して、表示部2、操作部3、撮像装置4、開閉制御部25、メモリ7、および加速度センサ8と、通信可能に接続されている。なお、表示部2および操作部3は、上記で説明した通りである。なお、図4は、撮像装置4、開閉制御部25、プロセッサ6、および加速度センサ8の概略構成を例示する。
【0025】
撮像装置4は、点滴筒装着部1Aに設置された点滴筒20Bを撮像する。撮像装置4は、たとえば、カメラと光源とを含む。光源は、点滴筒装着部1Aに設置された点滴筒20B内に、光を照射する。カメラは、点滴筒20B内を撮像する。より具体的には、カメラは、点滴筒20B内に設置されているノズル20Nの先端を含む領域を、撮像する。光源およびカメラは、通信可能に、プロセッサ6と接続されている。
【0026】
開閉制御部25は、点滴筒20Bに接続された第二のチューブ20Cの開閉量を制御する(図2,4参照)。図4に示すように、開閉制御部25は、当接部25aを有する。当接部25a(開閉制御部25)は、輸液制御装置30に収容されている第二のチューブ20Cの側面部を、外側から当接する(図2,4参照)。当接部25aは、第二のチューブ20Cを絞ることができ、当該絞り具合は、調整可能である。つまり、輸液制御装置30(より具体的には、プロセッサ6)は、当接部25aの絞り度合いを調整することにより、点滴量の供給量の増減を調整する。たとえば、供給量を増やす場合には、当接部25aの絞りを弱め、供給量を減らす場合には、当接部25aの絞りを強める。
【0027】
加速度センサ8は、筐体1の動きを検出する。加速度センサ8は、輸液制御装置30の筐体1内部に固定的に配設される。したがって、筐体1が動くと、当該動きと同様に加速度センサ8も動き、当該動きを加速度センサ8は検出する。加速度センサ8は、たとえば、輸液供給の間、筐体1の加速度を検出する。そして、加速度センサ8は、検出結果を、プロセッサ6に対して送信する。プロセッサ6は、たとえば、当該検出結果を、時系列に、メモリ7内に格納する。したがって、プロセッサ6は、当該検出結果の時系列変化を解析することにより、筐体1が動いているか、筐体1が停止しているか、筐体1の動き度合い、動き状態および/または停止状態が安定しているかを、判断することができる。
【0028】
メモリ7は、輸液制御装置30の動作・制御に係るプログラムを格納する。また、メモリ7は、動作・制御に必要な各種データを格納する。また、メモリ7は、記録等の観点で、所定のデータを格納する。メモリ7は、たとえば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む、メモリである。
【0029】
CPU(Central Processing Unit)であるプロセッサ6は、メモリ7に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、プロセッサ6は、所定のデータをメモリ7に記録する。また、プロセッサ6は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ6内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。また、プロセッサ6は、読み込んだプログラムに従い、各部2~5,7を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。たとえば、プロセッサ6は、メモリ7内の所定のプログラムに従い、後述する、輸液制御装置30の動作を実行させる。
【0030】
次に、図5のフローチャートを用いて、本実施の形態に係る輸液制御装置30における、輸液供給が開始されるまでの動作を説明する。
【0031】
まず、ユーザは、輸液供給システム100を所望のポジションに設置し、輸液制御装置30の電源PW(図2参照)を入れる。次に、ユーザは、輸液制御装置30の点滴筒装着部1A内に、点滴筒20Bおよび第二のチューブ20Cの一部20Ca(輸液セット)を、設置する(ステップS1)。そして、輸液制御装置30は、輸液供給を開始する(ステップS1)。
【0032】
ステップS2において、プロセッサ6は、撮像装置4を制御する。そして、ステップS2において、プロセッサ6は、撮像結果を用いて、開閉制御部25を制御する。つまり、輸液量が制御される。ステップS2の詳細な動作を、図6のフローチャートに示す。
【0033】
図6を参照して、ステップS21において、撮像装置4は、点滴筒20B内のノズル20Nを含む領域を撮像する。より具体的に、当該制御により、光源が、点滴筒20B内に対して光を出射し、当該光が出射されている状態において、カメラが、点滴筒20B内のノズル20Nを含む領域を撮像する。撮像装置4(カメラ)は、撮像結果を、プロセッサ6へ送信する。
【0034】
そして、ステップS22において、プロセッサ6は、受信した撮像結果(時系列の複数の画像)から、点滴筒20Bに滴下される液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを、取得する。そして、ステップS22において、当該液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを用いて、点滴筒20Bから供給される輸液量を計算する。
【0035】
そして、ステップS23において、プロセッサ6は、上記輸液量の計算(第一の輸液量の計算)の結果と、予め設定されている目標輸液量とに基づいて、開閉制御部25を制御する。このように開閉制御部25が制御されることにより、供給される輸液量は、目標輸液量となる。なお、当該制御の具体的な動作については、たとえば特許文献1に記載されている内容を採用してもよい。
【0036】
ここで、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、予め設定された周期で、ステップS2で説明した輸液量の計算(第一の輸液量の計算と把握できる)を行う。なお、当該周期は、ユーザにより任意に設定される。たとえば、患者が頻繁に動作することが予想される場合には、当該周期は、比較的短く設定される。他方、たとえば、患者が動作することがあまり想定されないケースでは、当該周期は、比較的長く設定される。なお、当該周期の設定は、たとえば、操作部3を操作することにより実施可能である。さらに、当該周期は、輸液供給中に、当該操作部3を操作することにより、再設定されてもよい。ここで、当該周期は、メモリ7に記録される。
【0037】
さて、図5を参照して、ステップS23(ステップS2)の終了後、プロセッサ6は、上記周期をカウントするために、タイマーの計測を開始する(ステップS3)。ここで、当該タイマーは、たとえば、輸液制御装置30内に内蔵されている。
【0038】
輸液供給が開始された後、加速度センサ8は、連続的または断続的に、筐体1の動きの加速度を検出する。そして、加速度センサ8は、当該検出結果を、随時、プロセッサ6へ送信する。図5を参照して、プロセッサ6は、筐体1が振動(動いた)か否かを判断する(ステップS4)。つまり、ステップS4において、プロセッサ6は、加速度センサ8からの検出結果に基づいて、筐体1の動きの有無を判断する。
【0039】
たとえば、輸液制御装置30(メモリ7)に、予め、閾値加速度レベルが設定されている。そして、ステップS4において、プロセッサ6は、加速度センサ8から送信された検出結果と、閾値加速度レベルとを、比較する。
【0040】
プロセッサ6が、筐体1が動いている(振動している)と、判断したとする(ステップS4で「YES」)。たとえば、プロセッサ6は、検出結果が、閾値加速度レベル以上であると、判断したとする(ステップS4で「YES」)。この場合には、ステップ5において、撮像装置4からの撮像結果を用いて、輸液量制御を実施する。ステップS5の詳細な動作を、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
プロセッサ6は、筐体1の動きを判断した後(ステップS4で「YES」)、すぐに、または、所定の時間経過後に、図7のステップS52~S54の動作を行ってもよい。しかしながら、本実施の形態の動作の説明では、プロセッサ6は、ステップS52の前に、ステップS51の判断を行う。つまり、プロセッサ6は、筐体1の動きを判断した後(ステップS4で「YES」)、加速度センサ8からの検出結果に基づいて、当該筐体1の動きが、停止したか又は安定したかを判断する(図7のステップS51)。
【0042】
たとえば、加速度センサ8からの検出結果が、所定の期間連続して、予め設定されている閾値未満であるとする。この場合に、プロセッサ6は、筐体1の動きが停止していると判断してよい。または、加速度センサ8からの検出結果において、振動レベルの変動範囲が、所定の期間連続して、所定のレベル範囲に収まっているとする。つまり、振動レベルの変動が安定しているとする。この場合に、プロセッサ6は、筐体1の動きが安定していると判断してもよい。
【0043】
ステップS51において、プロセッサ6は、加速度センサ8からの検出結果に基づいて、当該筐体1の動きが、停止も安定もしていないと判断したとする(図7のステップS51で「NO」)。この場合には、プロセッサ6は、再度、ステップS51の動作を繰り返す。これに対して、プロセッサ6が、加速度センサ8からの検出結果に基づいて、当該筐体1の動きが、停止又は安定したと判断したとする(図7のステップS51で「YES」)。この場合には、プロセッサ6は、ステップS52の動作へと移行する。
【0044】
ステップS52以降において、プロセッサ6は、撮像装置4を制御する。そして、プロセッサ6は、撮像結果を用いて、開閉制御部25を制御する。つまり、輸液量が制御される。以下、詳細に詳細な動作を説明する。
【0045】
ステップS52において、プロセッサ6は、撮像装置4は、点滴筒20B内のノズル20Nを含む領域を撮像する。より具体的に、当該制御により、光源が、点滴筒20B内に対して光を出射し、当該光が出射されている状態において、カメラが、点滴筒20B内のノズル20Nを含む領域を撮像する。撮像装置4(カメラ)は、撮像結果を、プロセッサ6へ送信する。
【0046】
そして、ステップS53において、プロセッサ6は、受信した撮像結果(時系列の複数の画像)から、点滴筒20Bに滴下される液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを、取得する。そして、ステップS53において、当該液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを用いて、点滴筒20Bから供給される輸液量を計算(第二の輸液量の計算)する。
【0047】
そして、ステップS54において、プロセッサ6は、上記第二の輸液量の計算の結果と、予め設定されている目標輸液量とに基づいて、開閉制御部25を制御する。このように開閉制御部25が制御されることにより、供給される輸液量は、目標輸液量となる。なお、当該制御の具体的な動作については、たとえば特許文献1に記載されている内容を採用してもよい。
【0048】
ここで、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、図5のステップS5で説明した輸液量の計算が、第二の輸液量の計算と把握できる。ステップS54の後、ステップS5は、終了する。そして、プロセッサ6は、ステップS6において、上記タイマーのカウントをリセットする。つまり、プロセッサ6は、ステップS5を実施したとき、第一の輸液量の計算のための上記周期のカウントをリセットする。そして、プロセッサ6は、当該周期のカウントを再開する。ステップS6において、周期のリセット、カウント再開を行った後、プロセッサ6は、ステップS7の動作へ移行する。
【0049】
なお、他の実施の形態において、プロセッサ6は、上記ステップS6の動作を省略してもよい。この場合には、プロセッサ6は、ステップS5の動作の後に、次に説明するステップS7を実施する。
【0050】
ステップS4に話を戻し、プロセッサ6が、筐体1が動いていない(振動していない)と、判断したとする(ステップS4で「NO」)。たとえば、プロセッサ6は、検出結果が、閾値加速度レベル未満であると、判断したとする(ステップS4で「NO」)。この場合には、ステップ7の動作が実施される。
【0051】
ステップS7において、プロセッサ6は、タイマーのカウントが、予め設定されている周期以上であるか、否かを判断する。
【0052】
タイマーのカウント数が、当該周期未満であるとする(ステップS7で「NO」)。この場合には、ステップS4の動作へと戻る。そして、ステップS4において「YES」と判断された場合には、ステップS5において、プロセッサ6は、第二の輸液量の計算、および、当該第二の輸液量の計算結果を用いた輸液量制御、を実施する。
【0053】
他方、タイマーのカウント数が、上記周期以上であるとする(ステップS7で「YES」)。この場合には、ステップS2の動作へと戻る。そして、ステップS2において、プロセッサ6は、第一の輸液量の計算、および、当該第一の輸液量の計算結果を用いた輸液量制御、を実施する。その後、ステップS3において、プロセッサ6は、タイマーのリセットを行い、カウントの再開を行う。
【0054】
たとえば、輸液制御装置30が、ユーザから輸液停止の指示を受けるまで、図5の動作は繰り返し実行される。または、輸液バック10内の点滴液がなくなるまで、図5の動作は繰り返し実行される。
【0055】
図5のフローチャートから分かるように、所定の周期経過する度に、プロセッサ6は、第一の輸液量の計算、および、当該第一の輸液量の計算結果を用いた輸液量制御、を実施する。また、筐体1の振動が検出される度に、プロセッサ6は、第二の輸液量の計算、および、当該第二の輸液量の計算結果を用いた輸液量制御、を実施する。
【0056】
以上のように、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、撮像装置4からの撮像結果から取得される、点滴筒2Bに滴下される液滴の体積および当該液滴の滴下サイクルを用いて、点滴筒2Bから供給される輸液量を計算する(第一の輸液量の計算または第二の輸液量の計算)。そして、プロセッサ6は、予め設定された周期で、第一の輸液量の計算を行う。そして、プロセッサ6は、筐体1の動きを判断したとき、当該判断後に、第二の輸液量の計算を行う。
【0057】
したがって、定期的な第一の輸液量の計算(ステップS2)および患者の動き(筐体1の動き)後の第二の輸液量の計算(ステップS5)が、実施される。したがって、第一の輸液量の計算の結果および第二の輸液量の計算の結果を用いて、輸液供給の調整が実施されることにより、正確な流量で点滴を患者等に供給することが可能となる。つまり、定期的な輸液供給の調整および患者の動き(筐体1の動き)後の輸液供給の調整が、可能となる。したがって、より実用的な輸液制御装置を、提供することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、第一の輸液量の計算の結果と、予め設定されている目標輸液量とに基づいて、開閉制御部を制御する。さらに、プロセッサ6は、第二の輸液量の計算の結果と、目標輸液量とに基づいて、開閉制御部を制御する。
【0059】
したがって、第一の輸液量の計算の結果を用いた輸液供給の調整後においても、第二の輸液量の計算の結果を用いた輸液供給の調整後においても、供給される輸液量を、目標輸液量とすることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、筐体1の動きが停止又は安定したと判断されたとき、プロセッサ6は、第二の輸液量の計算を行い、第二の輸液量の計算の結果を用いて、開閉制御部25を制御する。
【0061】
このように、筐体1が動いたのち、筐体1の動き安定後又は筐体1の動きの停止後に、輸液供給の調整が実施される。よって、筐体1の動きが、輸液供給の調整に影響を及ぼさない。したがって、より正確な輸液供給が実現される。
【0062】
また、本実施の形態に係る輸液制御装置30では、プロセッサ6は、第二の輸液量の計算の結果を用いて開閉制御部25を制御したとき、第一の輸液量の計算のための周期のカウントをリセットし、周期の計測を再開する(ステップS6)。
【0063】
したがって、電力の消費量を抑制することができる。つまり、たとえば、図5のステップS6を省略した実施の形態では、ステップS5による輸液供給調整後、当該周期未満で、ステップS2による輸液供給の調整が実施される。つまり、長期的な輸液供給に鑑みると、頻繁な輸液供給の調整が実施される。当該輸液供給の調整には、撮像装置4等を用いるため、頻繁な輸液供給の調整は、電力消費の増加という結果となる。
【0064】
これに対して、図5のステップS6が実施される実施の形態では、ステップS5による輸液供給調整後、周期以後に、ステップS2による輸液供給の調整が実施される。つまり、長期的な輸液供給に鑑みると、ステップS4で振動が検出されるケースが同じ数である場合、ステップS6が省略される実施の形態よりも、輸液供給の調整の頻度を抑制することができる。したがって、ステップS6が実行される輸液制御装置30は、電力消費を、より抑制することができる。輸液制御装置30が内蔵されたバッテリーからの電源で駆動する場合、当該効果はより有益である。
【符号の説明】
【0065】
1 筐体
4 撮像装置
6 プロセッサ6
7 メモリ
8 加速度センサ
20B 点滴筒
30 輸液制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7