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特開2024-76019自律作業システム及び自律作業機を制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076019
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】自律作業システム及び自律作業機を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240529BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187353
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】松下 克己
(72)【発明者】
【氏名】三野 宏之
(72)【発明者】
【氏名】野村 篤司
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG14
5H301GG16
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】自律作業機の充電による作業効率の低下を抑えると共に、システムのコストを低減する。
【解決手段】自律作業システムは、自律作業機と、複数の継足し充電ステーションと、コントローラとを備える。自律作業機は、バッテリを含む。自律作業機は、複数の作業位置を順次通る作業経路に従って移動して、複数の作業位置のそれぞれにおいて所定の作業を行う。複数の継足し充電ステーションは、作業経路の途中に配置され、ワイヤレス電力伝送によりバッテリを充電する。コントローラは、自律作業機を制御する。コントローラは、バッテリの残容量を取得する。コントローラは、バッテリの残容量に基づいて、作業経路の途中でのバッテリの継足し充電の要否を判定する。コントローラは、継足し充電が必要と判定した場合には、作業経路の途中で複数の継足し充電ステーションのいずれかに自律作業機を移動させてバッテリの継足し充電を行うように作業経路を決定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを含み、複数の作業位置を順次通る作業経路に従って移動して、前記複数の作業位置のそれぞれにおいて所定の作業を行う自律作業機と、
前記作業経路の途中に配置され、ワイヤレス電力伝送により前記バッテリを充電する複数の継足し充電ステーションと、
前記自律作業機を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記バッテリの残容量を取得し、
前記バッテリの残容量に基づいて、前記作業経路の途中での前記バッテリの継足し充電の要否を判定し、
前記継足し充電が必要と判定した場合には、前記作業経路の途中で前記複数の継足し充電ステーションのいずれかに前記自律作業機を移動させて前記バッテリの継足し充電を行うように前記作業経路を決定する、
自律作業システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記所定の作業に関する作業工程情報を取得し、
前記作業工程情報と前記バッテリの残容量とに基づいて、前記作業経路の途中での前記バッテリの継足し充電の要否を判定する、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記作業工程情報と前記バッテリの残容量とに基づいて、前記継足し充電の充電時間を決定する、
請求項2に記載の自律作業システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記作業工程情報から前記自律作業機における予想消費電力量を算出し、
前記予想消費電力量と前記バッテリの残容量とに基づいて、前記作業経路の途中での前記バッテリの継足し充電の要否を判定する、
請求項2に記載の自律作業システム。
【請求項5】
前記作業工程情報は、前記複数の作業位置の間の距離を含む、
請求項2に記載の自律作業システム。
【請求項6】
前記作業工程情報は、前記所定の作業の作業量を含む、
請求項2に記載の自律作業システム。
【請求項7】
前記作業工程情報は、前記複数の作業位置と前記複数の継足し充電ステーションの位置とを含む、
請求項2に記載の自律作業システム。
【請求項8】
前記複数の作業位置は、第1作業位置と、前記第1作業位置の次の第2作業位置とを含み、
前記コントローラは、
前記バッテリの残容量が、前記第2作業位置までの必要電力量に足りているかを判定し、
前記バッテリの残容量が、前記第2作業位置までの必要電力量に足りている場合には、前記自律作業機を前記第1作業位置から前記第2作業位置まで直接的に移動するように前記自律作業機を制御し、
前記バッテリの残容量が、前記第2作業位置までの必要電力量に不足する場合には、前記自律作業機を前記第1作業位置から前記第2作業位置まで移動する途中で、前記複数の継足し充電ステーションのいずれかに前記自律作業機を移動させて前記バッテリの継足し充電を行うように前記作業経路を決定する、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記バッテリの残容量と、前記第2作業位置までの必要電力量とに基づいて前記継足し充電の充電時間を判定する、
請求項8に記載の自律作業システム。
【請求項10】
前記作業経路は、スタート位置を含み、
前記複数の作業位置は、前記スタート位置の次の第1作業位置を含み、
前記コントローラは、
前記バッテリの残容量が、前記第1作業位置までの必要電力量に足りているかを判定し、
前記バッテリの残容量が、前記第1作業位置までの必要電力量に足りている場合には、前記自律作業機を前記スタート位置から前記第1作業位置まで直接的に移動するように前記自律作業機を制御し、
前記バッテリの残容量が、前記第1作業位置までの必要電力量に不足する場合には、前記自律作業機を前記スタート位置から前記第1作業位置まで移動する途中で、前記複数の継足し充電ステーションのいずれかに前記自律作業機を移動させて前記バッテリの継足し充電を行うように前記作業経路を決定する、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項11】
前記作業経路は、スタート位置を含み、
前記スタート位置に配置される主充電ステーションをさらに備え、
前記複数の作業位置は、前記スタート位置の次の第1作業位置を含み、
前記コントローラは、
前記バッテリの残容量が、前記第1作業位置までの必要電力量に足りているかを判定し、
前記バッテリの残容量が、前記第1作業位置までの必要電力量に足りている場合には、前記自律作業機を前記スタート位置から前記第1作業位置まで直接的に移動するように前記自律作業機を制御し、
前記バッテリの残容量が、前記第1作業位置までの必要電力量に不足する場合には、前記自律作業機を前記主充電ステーションにおいて充電するように前記自律作業機を制御する、
請求項1に記載の自律作業システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記バッテリの残容量と前記第1作業位置までの必要電力量とに基づいて、前記主充電ステーションにおける充電時間を決定する、
請求項11に記載の自律作業システム。
【請求項13】
バッテリを含み、複数の作業位置を順次通る作業経路に従って移動して、前記複数の作業位置のそれぞれにおいて所定の作業を行う自律作業機を制御するための方法であって、
前記バッテリの残容量を取得することと、
前記バッテリの残容量に基づいて、前記作業経路の途中での前記バッテリの継足し充電の要否を判定することと、
前記継足し充電が必要と判定した場合には、前記作業経路の途中に配置され、ワイヤレス電力伝送により前記バッテリを充電する複数の継足し充電ステーションのいずれかに、前記作業経路の途中で前記自律作業機を移動させて、前記バッテリの継足し充電を行うように前記作業経路を決定すること、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律作業システム及び自律作業機を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律作業機を作業経路に従って自律走行させ、所定の作業位置において作業を行わせる自律作業システムが知られている。例えば、特許文献1では、自律移動ロボットを所定エリア内で自律走行させる自律移動システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-112212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律作業システムでは、自律作業機は、スタート位置において満充電される。自律作業機は、作業経路に従って複数の作業位置に順次移動し、各作業位置において作業を行う。作業の終了後、自律作業機は、再びスタート位置に戻って充電される。このような工程が繰り返されることで、自律作業機は継続的に作業を行う。
【0005】
しかし、上記のシステムでは、自律作業機の充電中には、作業が完全に停止してしまう。そのため、作業効率が低下してしまう。充電による作業効率の低下を抑えるためには、複数の自律作業機によって、充電と作業とを交代で行う必要がある。その場合、必要な自律作業機の台数が増大してしまう。また、広大な施設内においては、自律作業機の走行距離が長くなる。そのため、自律作業機に大きな容量のバッテリが必要となる。それにより、システムのコストが増大してしまう。本発明の目的は、自律作業機の充電による作業効率の低下を抑えると共に、自律作業システムのコストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自律作業システムは、自律作業機と、複数の継足し充電ステーションと、コントローラとを備える。自律作業機は、バッテリを含む。自律作業機は、複数の作業位置を順次通る作業経路に従って移動して、複数の作業位置のそれぞれにおいて所定の作業を行う。複数の継足し充電ステーションは、作業経路の途中に配置され、ワイヤレス電力伝送によりバッテリを充電する。コントローラは、自律作業機を制御する。コントローラは、バッテリの残容量を取得する。コントローラは、バッテリの残容量に基づいて、作業経路の途中でのバッテリの継足し充電の要否を判定する。コントローラは、継足し充電が必要と判定した場合には、作業経路の途中で複数の継足し充電ステーションのいずれかに自律作業機を移動させてバッテリの継足し充電を行うように作業経路を決定する。
【0007】
本発明の他の態様に係る方法は、自律作業機を制御するための方法である。自律作業機は、バッテリを含む。自律作業機は、複数の作業位置を順次通る作業経路に従って移動して、複数の作業位置のそれぞれにおいて所定の作業を行う。当該方法は、バッテリを含み、複数の作業位置を順次通る作業経路に従って移動して、複数の作業位置のそれぞれにおいて所定の作業を行うことと、バッテリの残容量を取得することと、バッテリの残容量に基づいて、作業経路の途中でのバッテリの継足し充電の要否を判定することと、継足し充電が必要と判定した場合には、作業経路の途中で、複数の継足し充電ステーションのいずれかに自律作業機を移動させて、バッテリの継足し充電を行うように作業経路を決定する。複数の継足し充電ステーションは、作業経路の途中に配置され、ワイヤレス電力伝送によりバッテリを充電する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、継足し充電が必要と判定された場合には、自律作業機は、作業経路の途中で、複数の継足し充電ステーションのいずれかに移動して、バッテリの継足し充電を行う。従って、自律作業機は、作業経路の移動中に、継足し充電が必要となるたびに、複数回に分けて、継足し充電を行う。そのため、長時間の充電により作業効率が低下することが抑えられる。また、必要な自律作業機の台数が少なくなると共に、自律作業機のバッテリに必要な容量が少なくなる。それにより、コストが低減される。
【0009】
また、本発明によれば、充電回数が増大する。そのため、接点方式による充電が用いられた場合には、経年による接触不良の懸念が生じる。しかし、本発明では、ワイヤレス電力伝送が用いられることで、このような懸念が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る自律作業システムと作業エリアとを示す平面図である。
図2】自律作業機と主充電ステーションとの構成を示すブロック図である。
図3】作業経路を決定するための処理を示すフローチャートである。
図4】作業経路の一例を示す図である。
図5】作業経路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態にかかる自律作業システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る自律作業システム100と、自律作業システム100が配置される作業エリア200とを示す平面図である。作業エリア200は、例えば工場内のエリアである。作業エリア200には、生産ライン201が配置されている。
【0012】
自律作業システム100は、自律作業機1と、主充電ステーション2と、複数の継足し充電ステーション3,4とを含む。自律作業機1は、例えば部品を運ぶ搬送車両である。主充電ステーション2は、作業エリア200内に配置される。主充電ステーション2は、自律作業機1に給電する。主充電ステーション2は、非作業時における自律作業機1の待機場所でもある。主充電ステーション2は、作業開始時におけるスタート位置P0に配置される。
【0013】
自律作業機1は、作業の開始時には、主充電ステーション2を出発して、作業エリア200内において、複数の作業位置P1,P2を順次通る作業経路に従って移動して、複数の作業位置P1,P2のそれぞれにおいて所定の作業を行う。所定の作業は、例えば部品の搬送である。自律作業機1は、各作業位置P1,P2に移動し、各作業位置P1,P2において生産ライン201上に部品を配置する。或いは、所定の作業は、部品の組付けを含んでもよい。
【0014】
複数の継足し充電ステーション3,4は、作業経路の途中に配置される。複数の継足し充電ステーション3,4は、ワイヤレス電力伝送により、自律作業機1に給電する。自律作業機1は、自動的に主充電ステーション2、或いは複数の継足し充電ステーション3,4に移動し、主充電ステーション2、或いは複数の継足し充電ステーション3,4で充電を受ける。
【0015】
図2は、自律作業機1と主充電ステーション2との構成を示すブロック図である。図2に示すように、自律作業機1は、走行モータ11と、作業モータ12と、バッテリ13とを含む。走行モータ11と作業モータ12とは、電動モータである。走行モータ11は、自律作業機1を走行させる。
【0016】
作業モータ12は、自律作業機1の作業用のアクチュエータを駆動する。それにより、自律作業機1が所定の作業を行う。アクチュエータは例えばロボットアームであってもよい。バッテリ13は、走行モータ11と作業モータ12とに電力を供給する。自律作業機1は、バッテリ13に蓄えられた電力により、自律的に各作業位置P1,P2まで走行し、各作業位置P1,P2において作業を行う。
【0017】
自律作業機1は、ワイヤレス電力伝送の受電ユニット21を含む。主充電ステーション2は、ワイヤレス電力伝送の送電ユニット31を含む。送電ユニット31は、送電コイル32と送電制御回路33とを含む。送電コイル32は、電力供給用のコイルである。送電制御回路33は、商用電源40から供給される電力を、送電コイル32において磁界を発生させるための所定周波数の電力に変換して送電コイル32に供給する。
【0018】
受電ユニット21は、受電コイル22と受電制御回路23とを含む。受電コイル22は、電力取出用のコイルである。受電コイル22は、送電コイル32と磁気結合し、電磁誘導方式によって、送電コイル32から電力を受け取る。なお、電磁誘導方式は、送電コイル32と受電コイル22との少なくとも一方に共振回路を構成する手段を含んでもよい。受電制御回路23は、受電コイル22で生じた電力を、バッテリ13を充電するための電力に変換して、バッテリ13に供給する。それにより、バッテリ13が充電される。
【0019】
自律作業機1は、作業機コントローラ24を含む。作業機コントローラ24は、自律作業機1の動作を制御する。作業機コントローラ24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーと、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等のメモリを含む。作業機コントローラ24は、自律作業機1による作業を行うためのデータ及びプログラムを記憶している。例えば、作業機コントローラ24は、主充電ステーション2の位置を記憶している。作業機コントローラ24は、作業の終了後に、自律作業機1を主充電ステーション2に帰還させる。
【0020】
自律作業機1は、位置センサ25を含む。位置センサ25は、自律作業機1の位置を検出する。位置センサ25は、例えば、IMU(Inertial Measurement Unit)を含む。或いは、位置センサ25は、GPS(Global Positioning System)などの受信機を含んでもよい。
【0021】
主充電ステーション2は、ステーションコントローラ34を含む。ステーションコントローラ34は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーと、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等のメモリを含む。ステーションコントローラ34は、送電ユニット31による送電を制御する。
【0022】
主充電ステーション2は、通信モジュール35を含む。自律作業機1は、通信モジュール26を含む。通信モジュール26,35は、例えば、赤外線、或いは電波によって、無線通信を行う。主充電ステーション2と自律作業機1とは、通信モジュール26,35を介してデータの送受信を行う。
【0023】
自律作業機1は、主充電ステーション2に到達すると、受電ユニット21と送電ユニット31とによるワイヤレス電力伝送により、バッテリ13を充電する。継足し充電ステーション3,4は、主充電ステーション2と同様の構成を有する。自律作業機1は、継足し充電ステーション3,4に到達すると、受電ユニット21と、継足し充電ステーション3,4の送電ユニットとによるワイヤレス電力伝送により、バッテリ13を充電する。
【0024】
次に、自律作業機1の作業経路の決定方法について説明する。図3は、作業経路を決定するための処理を示すフローチャートである。図3に示すように、ステップS101では、作業機コントローラは、作業工程情報を取得する。作業工程情報は、自律作業機1が行う作業に関する情報である。作業機コントローラ24は、スタート位置P0において、主充電ステーション2から作業工程情報を取得する。或いは、作業機コントローラ24は、無線LANなどの無線通信により、作業エリアの管理コンピュータから作業工程情報を取得してもよい。
【0025】
作業工程情報は、複数の作業位置P1,P2の位置を含む。作業工程情報は、複数の作業位置P1,P2の間の距離を含む。作業工程情報は、所定の作業の作業量を含む。作業量は、例えば作業による消費電力量で示される。作業工程情報は、複数の継足し充電ステーション3,4の位置を含む。ステップS102では、作業機コントローラ24は、バッテリ13の残容量を取得する。
【0026】
ステップS103では、作業機コントローラ24は、バッテリ13の継足し充電の要否を判定する。作業機コントローラ24は、作業工程情報とバッテリ13の残容量とに基づいて、作業経路の途中でのバッテリ13の継足し充電の要否を判定する。作業機コントローラ24は、作業工程情報から自律作業機1における予想消費電力量を算出する。予想消費電力量は、作業による消費電力量と移動による消費電力量とを含む。作業機コントローラ24は、予想消費電力量とバッテリ13の残容量とに基づいて、作業経路の途中でのバッテリ13の継足し充電の要否を判定する。
【0027】
例えば、図4に示すように、複数の作業位置P1,P2は、第1作業位置P1と第2作業位置P2とを含む。第1作業位置P1は、スタート位置P0の次の作業位置である。第2作業位置P2は、第1作業位置P1の次の作業位置である。複数の継足し充電ステーション3,4は、第1充電ステーション3と第2充電ステーション4とを含む。第1充電ステーション3は、スタート位置P0と第1作業位置P1との間に配置される。第2充電ステーション4は、第1作業位置P1と第2作業位置P2との間に配置される。
【0028】
作業機コントローラ24は、スタート位置P0でのバッテリ13の残容量が、第1作業位置P1までの必要電力量に足りているかを判定する。第1作業位置P1までの必要電力量は、スタート位置P0から第1作業位置P1までの移動に要する電力量と、第1作業位置P1での作業に要する電力量とを含む。作業機コントローラ24は、バッテリ13の残容量が、第1作業位置P1までの必要電力量に足りている場合には、スタート位置P0から第1作業位置P1まで直接的に移動する第1経路R1を決定する。
【0029】
作業機コントローラ24は、第1作業位置P1におけるバッテリ13の残容量が、第1作業位置P1から第2作業位置P2までの必要電力量に足りているかを判定する。第2作業位置P2までの必要電力量は、第1作業位置P1から第2作業位置P2までの移動に要する電力量と、第2作業位置P2での作業に要する電力量とを含む。作業機コントローラ24は、第1作業位置P1におけるバッテリ13の残容量が、第2作業位置P2までの必要電力量に不足する場合には、第1作業位置P1から第2作業位置P2までの途中で、最寄の第2充電ステーション4を経由する第2経路R2及び第3経路R3を決定する。第2経路R2は、第1作業位置P1から第2充電ステーション4までの経路である。第3経路R3は、第2充電ステーション4から第2作業位置P2までの経路である。以上のように、作業機コントローラ24は、各作業位置P1,P2間における継足し充電の要否を判定する。
【0030】
ステップS104では、作業機コントローラ24は、継足し充電の充電時間を決定する。図4に示す例では、作業機コントローラ24は、バッテリ13の残容量と第2作業位置P2までの必要電力量とに基づいて、第2充電ステーション4での継足し充電の充電時間を決定する。例えば、作業機コントローラ24は、バッテリ13の残容量が第2作業位置P2までの必要電力量以上となるように、継足し充電の充電時間を決定する。或いは、作業機コントローラ24は、バッテリ13の残容量が、複数の作業位置P1,P2までの必要電力量以上となるように、継足し充電の充電時間を決定してもよい。
【0031】
ステップS105では、作業機コントローラ24は、作業経路R0を決定する。図4に示すように、コントローラは、第1経路R1と第2経路R2と第3経路R3とを含む作業経路R0を決定する。作業機コントローラ24は、以上のように決定された作業経路R0に従って、自律作業機1を移動させる。
【0032】
それにより、自律作業機1は、第1経路R1に従って、スタート位置P0から第1作業位置P1に直接的に移動し、第1作業位置P1において作業を行う。第1作業位置P1での作業が終了すると、自律作業機1は、第2経路R2に従って、第1作業位置P1から第2充電ステーション4に移動する。自律作業機1は、第2充電ステーション4において、上述した充電時間の間、充電を行う。自律作業機1は、第3経路R3に従って、第2充電ステーション4から第2作業位置P2に移動し、第2作業位置P2において作業を行う。なお、作業位置の数は2つに限らない。作業機コントローラ24は、3つ以上の作業位置について、上記と同様の処理により、作業経路R0を決定してもよい。
【0033】
図5は、他の例に係る作業経路R0を示す図である。図5に示すように、作業機コントローラ24は、スタート位置P0でのバッテリ13の残容量が、スタート位置P0から第1作業位置P1までの必要電力量に不足する場合には、スタート位置P0から第1作業位置P1までの途中で、最寄の第1充電ステーション3を経由する第1経路R1及び第2経路R2を決定する。第1経路R1は、スタート位置P0から第1充電ステーション3までの経路である。第2経路R2は、第1充電ステーション3から第1作業位置P1までの経路である。
【0034】
作業機コントローラ24は、第1作業位置P1におけるバッテリ13の残容量が、第1作業位置P1から第2作業位置P2までの必要電力量に不足する場合には、第1作業位置P1から第2作業位置P2までの途中で、最寄の第2充電ステーション4を経由する第3経路R3及び第4経路R4を決定する。第3経路R3は、第1作業位置P1から第2充電ステーション4までの経路である。第4経路R4は、第2充電ステーション4から第2作業位置P2までの経路である。以上のように、作業機コントローラ24は、第1経路R1と第2経路R2と第3経路R3とを含む作業経路R0を決定する。作業機コントローラ24は、以上のように決定された作業経路R0に従って、自律作業機1を移動させる。
【0035】
なお、作業機コントローラ24は、スタート位置P0でのバッテリ13の残容量が、第1作業位置P1までの必要電力量に不足する場合には、自律作業機1を主充電ステーション2において充電するように自律作業機1を制御してもよい。その場合、作業機コントローラ24は、スタート位置P0でのバッテリ13の残容量と第1作業位置P1までの必要電力量とに基づいて、主充電ステーション2における充電時間を決定してもよい。
【0036】
以上説明した本実施形態に係る自律作業システム100によれば、継足し充電が必要と判定された場合には、自律作業機1は、作業経路R0の途中で、複数の継足し充電ステーション3,4のいずれかに移動して、バッテリ13の継足し充電を行う。従って、作業経路R0の移動中に、継足し充電が必要となるたびに、複数回に分けて自律作業機1は継足し充電を行う。そのため、長時間の充電により作業効率が低下することが抑えられる。また、必要な自律作業機1の台数が少なくなると共に、自律作業機1のバッテリ13に必要な容量が少なくなる。それにより、自律作業システム100のコストが低減される。
【0037】
また、上述した作業経路R0の決定方法によれば、充電回数が増大する。そのため、接点方式による充電が用いられた場合には、経年による接触不良の懸念が生じる。しかし、本実施形態に係る自律作業システム100では、ワイヤレス電力伝送が用いられることで、このような懸念が解消される。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
自律作業システム100の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。自律作業機1は、搬送車両に限らず、他の作業機であってもよい。例えば、自律作業機1は、芝刈り機であってもよい。その場合、作業エリアは、屋外のフィールドであってもよい。所定の作業は芝刈りであり、作業位置は、芝刈りの対象となる所定の区画であってもよい。
【0040】
継足し充電ステーション3,4の配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば継足し充電ステーション3,4は、移動経路上、或いは作業位置上に配置されてもよい。継足し充電ステーションの数は2つに限らず、2つより多くてもよい。
【0041】
作業経路R0を決定するための処理は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、作業機コントローラ24は、各作業位置での作業の終了後に、次の作業位置までの作業経路を決定してもよい。例えば、作業機コントローラ24は、スタート位置P0において第1作業位置P1までの作業経路を決定してもよい。作業機コントローラ24は、第1作業位置P1での作業の終了後に、第2作業位置P2までの作業経路を決定してもよい。
【0042】
作業経路R0を決定するための処理は、作業機コントローラ24に限らず、ステーションコントローラ34、或いは他のコンピュータによって実行されてもよい。その場合、作業機コントローラ24は、決定された作業経路R0を示すデータを受信し、作業経路R0に従って自律的に移動及び作業を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、自律作業機の充電による作業効率の低下が抑えられると共に、システムのコストが低減される。
【符号の説明】
【0044】
1:自律作業機
3,4:継足し充電ステーション
13:バッテリ
24:作業機コントローラ
34:ステーションコントローラ
P0:スタート位置
P1:第1作業位置
P2:第2作業位置
R0:作業経路
図1
図2
図3
図4
図5