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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076043
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240529BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187403
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】氏田 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】森脇 実
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045LA17
3L045MA10
3L345AA02
3L345AA23
3L345AA25
3L345EE53
3L345EE55
3L345FF19
3L345FF43
3L345FF44
3L345GG17
3L345GG27
3L345HH22
3L345HH38
3L345HH42
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】従来よりも遠い距離であっても人の近接を検知して所定動作を実行できるようにした冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る冷蔵庫は、人が近接したことを検知する複数種類の近接検知部と、所定動作を実行する動作部と、前記動作部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて前記動作部の動作を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が近接したことを検知する複数種類の近接検知部と、
所定動作を実行する動作部と、
前記動作部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて前記動作部の動作を制御する冷蔵庫。
【請求項2】
前記動作部は、前記所定動作として、貯蔵室内に紫外線を照射する動作を実行するものであり、
前記制御部は、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて前記動作部が照射する紫外線の出力を調整する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記動作部は、前記所定動作として、音を発生する動作を実行するものであり、
前記制御部は、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて前記動作部が発生する音の出力を調整する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記動作部は、前記所定動作として、貯蔵室内の空気を循環させる動作を実行するものであり、
前記制御部は、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて前記動作部による貯蔵室内の空気の循環量を調整する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記近接検知部の前部に貫通孔を備えている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記制御部は、音声認識機能を備えており、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況、および、前記音声認識機能による音声の認識状況に基づいて前記動作部の動作を制御する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記制御部は、外部端末との通信機能を備えており、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況、および、前記外部端末による設定状況に基づいて前記動作部の動作を制御する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
複数種類の前記近接検知部として、
第一の近接検知部と、
前記第一の近接検知部と比べて人が近接したことを検知可能な範囲がより広い近接検知部である第二の近接検知部と、
を備え、
前記動作部は、前記所定動作として、貯蔵室内に紫外線を照射する動作を実行するものであり、
前記制御部は、前記第一の近接検知部により人が近接したことが検知された場合に前記貯蔵室内に紫外線を照射する動作を停止させる一方で、前記第二の近接検知部により人が近接したことが検知されない場合に前記貯蔵室内に紫外線を照射する動作を開始させる請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
貯蔵室内の空気を循環させる送風部をさらに備える冷蔵庫であって、
前記制御部は、前記第二の近接検知部により人が近接したことが検知された場合に前記送風部の出力を低下させ、前記第二の近接検知部により人が近接したことが検知されない場合に前記送風部の出力を上昇させる請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記制御部は、前記第二の近接検知部により人が近接したことが検知された場合に貯蔵室内に紫外線を照射する動作を実行させる請求項8または9に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されている冷蔵庫は、人が近接したことを検知する電波センサを備え、電波センサによる検知状況に基づいて貯蔵室扉を自動的に開放する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-17020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、人が冷蔵庫にかなり近接しないと、例えば、5~20cm程の近距離に近付かないと、電波センサにより人を検知することができず、例えば貯蔵室扉を自動で開放するといった動作を行うことができない。電波センサではなく、いわゆる静電容量式の近接センサを備えた冷蔵庫も考えられているが、この場合も、人が冷蔵庫にかなり近接しないと、例えば、手指を10cm程の近距離に近付けたり手指を接触させたりしないと、静電容量式の近接センサにより人を検知することができず、例えば貯蔵室扉を自動で開放するといった動作を行うことができない。
【0005】
そこで、本実施形態は、従来よりも遠い距離であっても人の近接を検知して所定動作を実行できるようにした冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る冷蔵庫は、人が近接したことを検知する複数種類の近接検知部と、所定動作を実行する動作部と、前記動作部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、複数種類の前記近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて前記動作部の動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す正面図
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す平面図
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫による動作制御例を概略的に示すフローチャート(その1)
図5】第1実施形態に係る冷蔵庫による動作制御例を概略的に示すフローチャート(その2)
図6】第1実施形態に係る冷蔵庫による動作制御例を概略的に示すフローチャート(その3)
図7】第1実施形態に係る冷蔵庫による動作制御例を概略的に示すフローチャート(その4)
図8】第2実施形態に係る冷蔵庫および外部端末による動作制御例を概略的に示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
(第1実施形態)
【0009】
図1に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室12,13,14,15,16を備えている。貯蔵室12,13,14,15,16の内部には、例えば食品類などといった各種の貯蔵物を貯蔵することが可能である。詳しい図示は省略するが、断熱箱体11は、内箱と外箱との間に断熱材を備えた構成である。断熱箱体11を構成する断熱材としては、例えば、真空断熱パネル、発泡ウレタン、断熱性材料を成形した断熱成形体など、種々の断熱材を適用することができる。
【0010】
貯蔵室12は、この場合、冷蔵温度帯に維持される冷蔵室である。以下、貯蔵室12を「冷蔵室12」と称する場合がある。貯蔵室13は、この場合、冷蔵温度帯に維持される野菜室である。以下、貯蔵室13を「野菜室13」と称する場合がある。貯蔵室14は、この場合、冷凍温度帯に維持される製氷室である。以下、貯蔵室14を「製氷室14」と称する場合がある。貯蔵室15は、この場合、冷凍温度帯に維持される小冷凍室である。以下、貯蔵室15を「小冷凍室15」と称する場合がある。貯蔵室16は、この場合、冷凍温度帯に維持される大冷凍室である。以下、貯蔵室16を「大冷凍室16」と称する場合がある。
【0011】
冷蔵室12は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も上部に設けられた貯蔵室となっている。そして、野菜室13は、この冷蔵室12の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11の上下方向における中央部に位置して設けられている。そして、製氷室14と小冷凍室15は、この野菜室13の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11内において冷蔵庫10の横方向に沿って並んでいる。また、大冷凍室16は、断熱箱体11内において製氷室14および小冷凍室15の下側に設けられている。また、大冷凍室16は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も下部に設けられた貯蔵室となっている。
【0012】
冷蔵室12の前面開口部は、左右方向に回動可能である貯蔵室扉、いわゆる観音開き式の2つの冷蔵室扉12D[L],12D[R]によって開閉されるようになっている。また、野菜室13の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の野菜室扉13Dによって開閉されるようになっている。また、製氷室14の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の製氷室扉14Dによって開閉されるようになっている。また、小冷凍室15の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の小冷凍室扉15Dによって開閉されるようになっている。また、大冷凍室16の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の大冷凍室扉16Dによって開閉されるようになっている。
【0013】
冷蔵室扉12D[L],12D[R]の前面には、それぞれ操作部21が設けられている。操作部21は、それぞれタッチセンサ22および焦電センサ23を備えている。即ち、操作部21は、人が近接したことを検知する複数種類、この場合、2種類の近接検知部を備えた構成となっている。
【0014】
タッチセンサ22は、いわゆる静電容量式の近接センサであり、人が近接あるいは接触することに伴い静電容量が変化することに基づいて人の近接を検知する周知の構成である。タッチセンサ22は、人が手指などを所定の近距離、例えば、タッチセンサ22から10cm程の近距離に近付けることに基づいて、あるいは、人が手指などを直接接触させることに基づいて、人が冷蔵庫10に近接したことを検知する。
【0015】
焦電センサ23は、いわゆる焦電効果により赤外線を検出することに基づいて、人が近接したことを検知する周知の構成である。焦電センサ23は、例えば焦電型赤外線センサとも称される。焦電センサ23は、人が所定の遠距離、例えば、焦電センサ23から2m程の遠距離に近付くことに基づいて、人が冷蔵庫10に近接したことを検知する。
【0016】
以上の通り、タッチセンサ22は、冷蔵庫10に対し人が所定の近距離の範囲内に近接したことを検知する近距離検知型の近接センサとして備えられている。一方、焦電センサ23は、冷蔵庫10に対し人が所定の遠距離の範囲内に近接したことを検知する遠距離検知型の近接センサとして備えられている。即ち、冷蔵庫10は、それぞれ検知範囲が異なる複数種類の近接センサを備えた構成となっている。焦電センサ23は、タッチセンサ22よりも人が冷蔵庫10に近接したことを検知できる距離が長いため、タッチセンサ22と比べて人が近接したことを検知可能な範囲がより広い近接センサであるとも言える。また、焦電センサ23は、静電容量式のタッチセンサ22と比べて、より広い角度において人が冷蔵庫10に近接したことを検知できるという観点からも、タッチセンサ22と比べて人が近接したことを検知可能な範囲がより広い近接センサであるとも言える。タッチセンサ22は、第一の近接検知部の一例であり、焦電センサ23は、第一の近接検知部と比べて人が近接したことを検知可能な範囲がより広い第二の近接検知部の一例である。
【0017】
冷蔵庫10は、焦電センサ23の前部に貫通孔24を備えている。貫通孔24は、この場合、円形状に開口している。なお、貫通孔24の開口形状は、円形状に限られるものではなく、例えば、楕円形状、三角形状、四角形状、多角形状など、その形状を適宜変更して実施することができる。また、貫通孔24の大きさは、例えば数mm程開口していれば十分であるが、その大きさは、赤外線が通過可能な大きさであれば適宜変更して実施することができる。また、貫通孔24は、少なくとも赤外線を透過可能な材質により構成されたフィルム材やメッシュ材などによって覆うようにしてもよい。これにより、貫通孔24を介して内部に塵埃などの異物が進入することを抑制することができる。
【0018】
次に、冷蔵庫10の制御系の構成例について説明する。図2に例示する制御装置31は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定データなどに基づいて冷蔵庫10の動作全般を制御する。制御装置31は、制御部の一例である。制御装置31には、自動開扉装置32、音発生装置33、除菌装置34、循環ファン装置35、音声認識装置36、通信装置37、閉扉検知スイッチ38などが接続されている。また、制御装置31には、上述した複数種類の近接検知部、この場合、タッチセンサ22および焦電センサ23が接続されている。
【0019】
自動開扉装置32は、動作部の一例であり、所定動作として、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開く自動開扉動作を実行可能に構成されている。自動開扉装置32は、例えばタッチセンサ22により人が近接したことが検知されると、制御装置31からの指令に基づいて図示しないソレノイドを駆動して冷蔵室扉12D[L],12D[R]を前方に押し出す。これにより、自動開扉装置32は、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開放させる構成となっている。
【0020】
音発生装置33は、動作部の一例であり、所定動作として、例えば警告音などといった各種の音や音声を発生する音発生動作を実行可能に構成されている。音発生装置33は、制御装置31からの指令に基づいて図示しないブザーやスピーカーなどから所定の音や音声を発生する構成となっている。
【0021】
除菌装置34は、動作部の一例であり、所定動作として、貯蔵室12,13,14,15,16内に紫外線を照射する紫外線照射動作を実行可能に構成されている。除菌装置34は、制御装置31からの指令に基づいて図示しない紫外線照射管から紫外線を照射する構成となっている。
【0022】
循環ファン装置35は、動作部および送風部の一例であり、所定動作として、貯蔵室12,13,14,15,16内の空気を循環させる空気循環動作を実行可能に構成されている。循環ファン装置35は、制御装置31からの指令に基づいて図示しないプロペラファンを回転させることにより貯蔵室12,13,14,15,16内の空気を循環させる構成となっている。
【0023】
循環ファン装置35は、貯蔵室12,13,14,15,16内に供給する冷気を生成する図示しない冷却室内に配置されている。この冷却室内には、周知のヒートポンプ機構を構成する図示しない冷却器が配置されている。循環ファン装置35は、冷却室内で冷却器が生成する冷気を図示しない冷気ダクトを通して貯蔵室12,13,14,15,16内に供給する。また、循環ファン装置35は、貯蔵室12,13,14,15,16内の空気を図示しない戻りダクトを通して冷却室内に戻す。このように、循環ファン装置35によって貯蔵室12,13,14,15,16内の空気が冷却室を介して循環されることにより、貯蔵室12,13,14,15,16内に冷気が供給され、当該貯蔵室12,13,14,15,16内の冷却が行われる。
【0024】
音声認識装置36は、例えば人が発した音声を収集するマイク、および、人が発する音声のパターンデータを備えており、マイクにより収集した音声データと音声のパターンデータとを照合することにより、人が発した音声を認識可能に構成されている周知の構成である。音声認識装置36は、周知の学習機能を備えることにより、認識可能な音声のパターンデータを追加したり編集したりする機能を備えるようにするとよい。
【0025】
制御装置31は、この音声認識装置36と協働することにより音声認識機能を実現する。また、制御装置31は、図示しない音声認識ボタンが操作された場合に、音声認識装置36をオフ状態からオン状態つまり動作可能な状態に切り換える構成となっている。音声認識ボタンは、例えば、操作部21や後述する外部端末100にて動作するアプリケーションの操作画面などに設けることができる。
【0026】
通信装置37は、例えば周知の無線通信モジュールなどにより構成されており、例えばスマートフォンやタブレットなどといった冷蔵庫10外に存在する外部端末100との間で無線通信可能に構成されている。制御装置31は、この通信装置37と協働することにより外部端末100との通信機能を実現する。なお、通信装置37と外部端末100との通信接続の形態は、無線接続ではなく有線接続であってもよい。
【0027】
閉扉検知スイッチ38は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが貯蔵室12,13,14,15,16の前面開口部を閉じた閉扉状態となっているか否かを検知可能に構成されている。ひいては、閉扉検知スイッチ38は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが開いた状態であるのか、あるいは、閉じた状態であるのかを検知可能に構成されている。
【0028】
閉扉検知スイッチ38は、例えば、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16D側に設けられている磁石と、貯蔵室12,13,14,15,16側に設けられている磁気検知センサとの組み合わせにより構成することができる。あるいは、閉扉検知スイッチ38は、例えば、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが貯蔵室12,13,14,15,16の前面開口部を閉じることにより押圧される機械式のスイッチなどにより構成することができる。
【0029】
閉扉検知スイッチ38は、複数の貯蔵室12,13,14,15,16にそれぞれ対応して複数設けられており、これにより、制御装置31は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが閉扉状態であるか否かを個々に検知可能となっている。制御装置31は、何れかの閉扉検知スイッチ38により閉扉状態を検知できない場合には、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち何れかの貯蔵室扉が貯蔵室12,13,14,15,16のうち何れかの貯蔵室の前面開口部を閉じていない半扉状態であると判断し、上述した音発生装置33により所定の警告音を発生するように構成されている。
【0030】
図3に例示するように、自動開扉装置32は、断熱箱体11の上面の前部に配置されている。冷蔵庫10は、2つの冷蔵室扉12D[L],12D[R]にそれぞれ対応する2つの自動開扉装置32を備えている。2つの自動開扉装置32は、断熱箱体11の上面の前部のうち左右方向における概ね中央部に配置されている。2つの自動開扉装置32は、それぞれ、閉扉状態にある冷蔵室扉12D[L],12D[R]の回動自由端部の後部に対向する位置に配置されている。
【0031】
制御装置31は、断熱箱体11の上面の後部に配置されている。音発生装置33および音声認識装置36は、断熱箱体11の上面の前部に配置されている。この場合、音発生装置33および音声認識装置36は、断熱箱体11の上面の前部のうち左右方向における右端側に集中して配置されている。なお、音発生装置33および音声認識装置36は、断熱箱体11の上面の前部のうち左右方向における左端側に集中して配置されていてもよい。また、音発生装置33および音声認識装置36は、断熱箱体11の上面の前部のうち左右方向における両端側に分散して配置されていてもよい。
【0032】
詳しい図示は省略するが、除菌装置34は、冷蔵庫10が備えている全ての貯蔵室12,13,14,15,16内にそれぞれ配置されていてもよいが、複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち少なくとも何れか1つの貯蔵室内に設けられていればよい。また、除菌装置34は、例えば、冷蔵室12内に形成されている図示しないチルド室内や、野菜室13内に収容されている図示しない野菜ケース内などに配置されていてもよい。
【0033】
通信装置37は、冷蔵庫10の適宜の場所に設けることができるが、外部との通信を行いやすい部位、例えば、断熱箱体11の上部、冷蔵室扉12D[L],12D[R]の前面部、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を回動可能に支持するヒンジ部内などに配置するとよい。
【0034】
以上の通り、制御装置31は、各種の動作部の動作を制御可能に構成されている。そして、制御装置31は、上述した複数種類の近接検知部であるタッチセンサ22および焦電センサ23のうち何れか1種類の近接検知部による検知状況に基づいて各種の動作部の動作を制御するように構成されている。冷蔵庫10においては、制御装置31は、焦電センサ23による検知状況に基づいて各種の動作部の動作を制御するように構成されている。
【0035】
より具体的に説明すると、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて、除菌装置34が照射する紫外線の出力を調整可能に構成されている。なお、制御装置31は、近接検知部の検知状況によらず、例えば、除菌装置34から紫外線を間欠的に照射するように調整したり、除菌装置34から紫外線を継続的に照射しながらも出力の強度を増減させたりすることができる。また、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて、音発生装置33が発生する音の出力を調整可能に構成されている。また、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて、循環ファン装置35による貯蔵室12,13,14,15,16内の空気の循環量を調整可能に構成されている。次に、焦電センサ23による検知状況に基づく複数の動作制御例について詳細に説明する。
【0036】
図4に例示する動作制御例では、制御装置31は、例えば冷蔵室扉12D[L]あるいは冷蔵室扉12D[R]の半扉状態を検知して音発生装置33により所定の警告音を発生すると(ステップA1:YES)、焦電センサ23により人の近接が検知されたか否かを確認する(ステップA2)。制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップA2:YES)には、音発生装置33から発生する音の音量を上昇させて(ステップA3)、この制御を終了する。この場合、制御装置31は、例えば数秒~数分といった一時的な期間だけ音発生装置33から発生する音の音量を上昇させる。
【0037】
なお、制御装置31は、半扉状態が検知されず音発生装置33により所定の警告音を発生していない場合(ステップA1:NO)、および、焦電センサ23により人の近接が検知されなかった場合(ステップA2:NO)には、音発生装置33から発生する音の音量を上昇させることなく、この制御を終了する。
【0038】
また、制御装置31は、音発生装置33からの音の発生を、所定条件が満たされることに基づき終了する。所定条件は、例えば、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dの半扉状態が全て解消された場合、つまり、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが全て全閉状態となった場合、音発生装置33からの音の発生の開始から例えば数十分といった所定時間が経過した場合、などといった各種の条件を設定することができる。音発生装置33が音の発生を開始してからの経過時間は、例えば制御装置31が備えている図示しないタイマー回路により計時することができる。
【0039】
以上の通り、図4に例示する動作制御例によれば、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて、音発生装置33が発生する音の出力を調整可能に構成されている。
【0040】
図5に例示する動作制御例では、制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップB1:YES)には、図示しない音声認識ボタンが操作されたか否かを確認する(ステップB2)。制御装置31は、音声認識ボタンが操作された場合(ステップB2:YES)には、音声認識装置36をオフ状態からオン状態に切り換え、当該音声認識装置36により「開扉音声」が認識されたか否かを確認する(ステップB3)。「開扉音声」は、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開かせたい旨の使用者の意思が認められる音声であり、例えば「扉を開いてください。」などといった音声が想定される。
【0041】
制御装置31は、音声認識装置36により「開扉音声」が認識された場合(ステップB3:YES)には、自動開扉装置32を動作させて冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開放して(ステップB4)、この制御を終了する。なお、制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知されなかった場合(ステップB1:NO)、音声認識ボタンが操作されなかった場合(ステップB2:NO)、音声認識装置36により「開扉音声」が認識されなかった場合(ステップB3:NO)には、自動開扉装置32を動作させることなく、この制御を終了する。
【0042】
以上の通り、図5に例示する動作制御例によれば、制御装置31は、音声認識機能を備えており、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況、および、音声認識機能による音声の認識状況に基づいて、自動開扉装置32の動作を制御可能に構成されている。
【0043】
図6に例示する動作制御例では、制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップC1:YES)には、除菌装置34を動作させて貯蔵室12,13,14,15,16内への紫外線照射を開始つまり除菌動作を開始する(ステップC2)。なお、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップC1:YES)において除菌装置34が既に動作している場合、制御装置31は、ステップC2において、除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めてもよい。そして、制御装置31は、除菌装置34による除菌動作の開始から所定時間または除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めてから所定時間、例えば5秒程の時間が経過したか否かを確認する(ステップC3)。経過時間は、例えば制御装置31が備えている図示しないタイマー回路により計時することができる。
【0044】
制御装置31は、除菌装置34による除菌動作の開始から所定時間または除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めてから所定時間が経過する前(ステップC3:NO)においては、タッチセンサ22により人の近接が検知されたか否かを確認する(ステップC4)。そして、制御装置31は、タッチセンサ22により人の近接が検知されなかった場合(ステップC4:NO)には、閉扉検知スイッチ38の検知状況に基づき、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち少なくとも何れか1つの貯蔵室扉が開かれたか否かを確認する(ステップC5)。制御装置31は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが何れも開かれなかった場合(ステップC5:NO)には、ステップC3に戻る。なお、図6に例示する動作制御例のステップC4ではタッチセンサ22を利用して人の近接を検知するが、このステップC4では、焦電センサ23と比べて人が近接したことを検知可能な範囲がより狭い近接センサであれば他のセンサを利用してもよい。
【0045】
制御装置31は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち少なくとも何れか1つの貯蔵室扉が開かれた場合(ステップC5:YES)には、除菌装置34による除菌動作を停止させて(ステップC6)、この制御を終了する。
【0046】
なお、制御装置31は、除菌装置34による除菌動作の開始から所定時間または除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めてから所定時間が経過した場合(ステップC3:YES)、および、除菌動作の開始後または除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めた後にタッチセンサ22により人の近接が検知された場合(ステップC4:YES)も、除菌装置34による除菌動作を停止させて(ステップC6)、この制御を終了する。即ち、制御装置31は、除菌装置34の動作開始からまたは除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めてから人が近接することなく所定時間が経過したこと、除菌動作の開始後または除菌装置34から照射する紫外線の出力の強度を高めた後に人がさらに冷蔵庫10に近い位置に近接したこと、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち少なくとも何れか1つの貯蔵室扉が開かれたこと、のうち何れか1つの条件が満たされた場合には、除菌装置34からの紫外線の照射を停止するように構成されている。
【0047】
図7に例示する動作制御例では、制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップD1:YES)には、循環ファン装置35の出力を低下させる(ステップD2)。なお、循環ファン装置35の出力低下は、例えば、図示しないプロペラファンの回転速度を低下させることを含み、さらに、図示しないプロペラファンの回転を停止させることも含む。よって、このステップD2においては、図示しないプロペラファンの回転速度を低下させてもよいし、回転を停止させてもよい。
【0048】
そして、制御装置31は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち少なくとも何れか1つの貯蔵室扉が開かれたか否かを確認する(ステップD3)。制御装置31は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち何れの貯蔵室扉も開かれなかった場合(ステップD3:NO)には、ステップD1に移行する。
【0049】
制御装置31は、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dのうち少なくとも何れか1つの貯蔵室扉が開かれた場合(ステップD3:YES)には、その後、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dつまり全ての貯蔵室扉が閉じられた状態となったか否かを確認する(ステップD4)。制御装置31は、全ての貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが閉じられた状態となるまで待機する(ステップD4:NO)。そして、制御装置31は、全ての貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが閉じられた状態になると(ステップD4:YES)、焦電センサ23により人の近接が検知されたか否かを確認する(ステップD5)。
【0050】
制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップD5:YES)には、除菌装置34の出力を低下させて(ステップD6)、ステップD5に移行する。なお、除菌装置34の動作は、上述したステップD4において、全ての貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが閉じられた状態になったこと(ステップD4:YES)を条件に開始してもよいし、全ての貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが閉じられた状態になってから所定時間が経過したことを条件に開始してもよい。また、除菌装置34の出力低下は、例えば、図示しない紫外線照射管からの紫外線の照射強度を弱めることや、紫外線の照射強度を後述する所定レベルよりも弱いレベルに設定することを含み、さらには、図示しない紫外線照射管からの紫外線の照射を停止すること、または停止状態に維持することも含む。よって、このステップD6においては、図示しない紫外線照射管からの紫外線の照射強度を弱めてもよいし、紫外線の照射強度を所定レベルよりも弱いレベルに設定してもよいし、紫外線の照射を停止させてもよい。なお、所定レベルは、適宜変更して設定することができる。
【0051】
制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知されなかった場合(ステップD5:NO)には、除菌装置34の出力を上昇させる(ステップD7)。除菌装置34の出力上昇は、例えば、図示しない紫外線照射管からの紫外線の照射強度を強めることや、紫外線の照射強度を前述した所定レベルよりも強いレベルに設定することを含む。そして、制御装置31は、循環ファン装置35の出力を、通常の出力レベルつまりステップD2にて出力低下させる前の出力レベルに戻して(ステップD8)、この制御を終了する。
【0052】
以上の通り、図7に例示する動作制御例では、制御装置31は、循環ファン装置35の出力を低下させた状態で除菌装置34による除菌動作を実行し、その後、人が冷蔵庫10から離れると、循環ファン装置35の出力を元の出力レベルに戻す。なお、制御装置31は、図7に例示する動作制御例を、図6に例示する動作制御例と共に実行することができる。
【0053】
ここで、貯蔵室12,13,14,15,16内に入れられたばかりの貯蔵物を循環ファン装置35による冷気の送風により急激に冷却すると、当該貯蔵物が傷んでしまうことが懸念される。また、循環ファン装置35による冷気の送風により、貯蔵物の表面に付着している菌類が拡散されてしまうことが懸念される。
【0054】
図7に例示する動作制御例によれば、制御装置31は、焦電センサ23により人の近接が検知された場合(ステップD1:YES)には、つまり、冷蔵庫10に人が近接して貯蔵室12,13,14,15,16内に貯蔵物が入れられる可能性が高い場合には、循環ファン装置35の出力を低下させる(ステップD2)。これにより、貯蔵室12,13,14,15,16内に入れられたばかりの貯蔵物が循環ファン装置35による冷気の送風により急激に冷却されてしまうことを回避することができ、当該貯蔵物が傷んでしまうことを抑制することができる。
【0055】
また、冷蔵庫10に人が近接して貯蔵室12,13,14,15,16内に貯蔵物が入れられる可能性が高い場合に循環ファン装置35の出力を低下させることにより(ステップD1:YES,ステップD2)、貯蔵室12,13,14,15,16内における空気の流れを抑制することができる。そのため、貯蔵室扉12D[L],12D[R],13D,14D,15D,16Dが開かれたときに(ステップD3:YES)、貯蔵室12,13,14,15,16内の冷気が外部に流出しにくくなり、貯蔵室12,13,14,15,16内の温度上昇を抑制することができる。
【0056】
また、焦電センサ23により人の近接が検知された場合に循環ファン装置35の出力を低下させることにより(ステップD1:YES,ステップD2)、循環ファン装置35の駆動に伴う騒音の発生を抑制することができる。これにより、冷蔵庫10の近くに存在する人に対する騒音対策を行うことができる。
【0057】
なお、循環ファン装置35の出力を低下させた状態であっても、貯蔵室12,13,14,15,16内には冷気が残っているため、その冷気との熱交換により貯蔵物の温度上昇を抑制することができる。ここで、循環ファン装置35を動作させて貯蔵物に冷気を積極的に送ることにより当該貯蔵物を冷却する冷却方式は「直接冷却方式」などと称される場合があり、一方、循環ファン装置35を停止あるいは出力低下させて貯蔵室12,13,14,15,16内に残っている冷気により貯蔵物を冷却する冷却方式は「間接冷却方式」などと称される場合がある。
【0058】
また、図7に例示する動作制御例によれば、制御装置31は、循環ファン装置35の出力を低下させた状態で除菌装置34による除菌動作を実行する。これにより、循環ファン装置35による冷気の送風により貯蔵物の表面に付着している菌類が拡散されてしまうことが抑制された状態で、当該貯蔵物の表面を紫外線によって除菌することができる。そのため、その後に循環ファン装置35の出力を元に戻したとしても、除菌後の死滅した菌類が拡散するだけであるから、菌類が貯蔵物に与える悪影響を最小限に抑制することができる。
【0059】
以上に例示した冷蔵庫10によれば、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて、自動開扉装置32、音発生装置33、除菌装置34、循環ファン装置35などといった各種の動作部の動作を制御可能に構成されている。この構成例によれば、いわゆる静電容量式のタッチセンサ22よりも広い範囲において人の近接を検知することができ、従って、従来よりも遠い距離であっても人の近接を検知して各種の動作部による所定動作を実行することができる。そして、従来よりも遠い範囲で人の近接を検知して各種の動作部を制御することにより、動作部が動作することに伴い人に与えられる影響、例えば人に対する紫外線や音などの影響を最小限に抑制することができる。
【0060】
冷蔵庫10によれば、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて除菌装置34が照射する紫外線の出力を調整可能である。この構成例によれば、いわゆる静電容量式のタッチセンサ22よりも広い範囲で人の近接を検知する焦電センサ23の検知状況に基づき紫外線の出力を低下させたり上昇させたりすることができ、人に対する紫外線の影響を従来よりも一層抑制することができる。
【0061】
より具体的に説明すると、制御装置31は、焦電センサ23による検知状況がオン状態からオフ状態に切り換わったタイミングで、つまり、人が焦電センサ23による検知範囲内から検知範囲外に離れたタイミングで、除菌装置34からの紫外線の照射を開始あるいは紫外線の出力を上昇するようにするとよい。これにより、人が冷蔵庫10の近くに存在している状況において紫外線の照射が開始されたり出力が上昇されたりしてしまうことを回避することができ、人に対する紫外線の影響を一層抑制することができる。また、人が冷蔵庫10の近くに存在していない状況においては、除菌装置34が発生する紫外線により貯蔵室12,13,14,15,16内および内部の貯蔵物に付着している菌類を十分に殺菌することができる。
【0062】
また、制御装置31は、焦電センサ23による検知状況がオフ状態からオン状態に切り換わったタイミングで、つまり、人が焦電センサ23による検知範囲外から検知範囲内に入ったタイミングで、除菌装置34からの紫外線の照射を開始あるいは紫外線の出力を上昇するようにするとよい。この場合、人が冷蔵庫10に近付いて貯蔵室12,13,14,15,16内に貯蔵物を入れようとしている可能性が高い。そして、貯蔵室12,13,14,15,16内に貯蔵物が入れられた後においては、その貯蔵物の陰となる領域つまり除菌装置34とは反対側の領域には紫外線を照射しにくくなる。そのため、人が焦電センサ23による検知範囲外から検知範囲内に入ったタイミングで紫外線の照射を開始あるいは紫外線の出力を上昇することにより、貯蔵物の入庫前に、より詳細には入庫直前に貯蔵室12,13,14,15,16内の極力広い範囲を紫外線により十分に殺菌することができる。
【0063】
なお、この場合、紫外線を照射する時間は、例えば数秒程度の時間、つまり、焦電センサ23による検知範囲内に入った人が冷蔵庫10の直前領域あるいは直近領域に到達するまでの時間を想定して設定することが好ましい。これにより、冷蔵庫10の直前領域あるいは直近領域に人が存在しているにも関わらず、紫外線の照射が継続したままの状態あるいは紫外線の出力が上昇したままの状態となってしまうことを回避することができる。また、焦電センサ23と比べて狭い範囲において人の近接を検知することができるタッチセンサ22が人の近接を検知したタイミングで、つまり、人が焦電センサ23による検知範囲外から検知範囲内に入ったときよりもさらに冷蔵庫10に近接したタイミングで、除菌装置34からの紫外線の照射を停止させるようにするとよい。この場合、人が冷蔵庫10の扉を開く可能性が高いので、除菌装置34からの紫外線の照射を停止させることによって、人に対する紫外線の影響を抑制することができる。また、焦電センサ23と比べて狭い範囲において人の近接を検知することができるタッチセンサ22が人の近接を検知したタイミングで除菌装置34からの紫外線の照射を停止させる一方で、タッチセンサ22と比べて広い範囲において人の近接を検知することができる焦電センサ23により人の近接が検知されなくなったタイミングで除菌装置34からの紫外線の照射を開始するようにするとよい。つまり、人の検知範囲の大きさが異なる複数種類の近接センサを備え、除菌装置34の動作停止は一方の近接センサの検知結果に基づき行い、除菌装置34の動作開始は他方の近接センサの検知結果に基づき行うようにするとよい。これにより、同じ近接センサつまり単一の近接センサの検知結果に基づいて除菌装置34からの紫外線の照射を停止または開始する場合と比べて、該近接センサの検知範囲の境界の近くにおいて人が冷蔵庫10に接近したり離れたりするときに近接センサの検知結果が頻繁に変化して除菌装置34の停止と起動が頻繁に繰り返されてしまうことを抑制できる。これにより、出力を頻繁に変化させると他の部品と比べて寿命が縮みやすい紫外線照射装置などの部品をより一層長期にわたって保護できる。
【0064】
冷蔵庫10によれば、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて音発生装置33が発生する音の出力を調整可能である。この構成例によれば、いわゆる静電容量式のタッチセンサ22よりも広い範囲で人の近接を検知する焦電センサ23の検知状況に基づき音の出力を低下させたり上昇させたりすることができる。そのため、例えば、冷蔵庫10の近くに人が存在しているにも関わらず必要以上に大きな音が出力されてしまったり、あるいは、冷蔵庫10の近くに人が存在していないにも関わらず必要以上に小さな音が出力されてしまったりすることを回避することができる。
【0065】
冷蔵庫10によれば、制御装置31は、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況に基づいて循環ファン装置35による貯蔵室12,13,14,15,16内の空気の循環量を調整可能である。この構成例によれば、いわゆる静電容量式のタッチセンサ22よりも広い範囲で人の近接を検知する焦電センサ23の検知状況に基づき貯蔵室12,13,14,15,16内における空気の循環量を低下させたり上昇させたりすることができる。
【0066】
そのため、例えば冷蔵庫10の近くに人が存在している場合、つまり、貯蔵室12,13,14,15,16内への貯蔵物の出し入れが行われる可能性が高い場合には、循環ファン装置35の出力を低下あるいは停止させることで、開扉時に貯蔵室12,13,14,15,16内の冷気が外部に流出してしまうことを回避することができる。一方、冷蔵庫10の近くに人が存在していない場合、つまり、貯蔵室12,13,14,15,16内への貯蔵物の出し入れが行われる可能性が低い場合には、循環ファン装置35の出力を上昇させることで、貯蔵室12,13,14,15,16内への冷気の供給を促進することができ、内部の貯蔵物を効率良く冷却することができる。
【0067】
冷蔵庫10によれば、焦電センサ23の前部に貫通孔24を備えている。この構成例によれば、この貫通孔24を通して焦電センサ23に赤外線が到達しやすくなり、焦電センサ23による赤外線の検知精度の向上、ひいては、人の検知精度の向上を図ることができる。また、冷蔵室扉12D[L],12D[R]の内部に、例えば鋼板などといった赤外線を通さない材質あるいは赤外線を通しにくい材質の部材が配置されていたとしても、この貫通孔24を通して焦電センサ23に赤外線を十分に到達させることができ、焦電センサ23による検知機能が阻害されてしまうことを回避することができる。
【0068】
冷蔵庫10によれば、制御装置31は、音声認識機能を備えており、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況、および、音声認識機能による音声の認識状況に基づいて自動開扉装置32の動作を制御可能に構成されている。
【0069】
ここで、音声認識機能により人の音声を精度良く認識するためには、人が冷蔵庫10の極力近くに存在していることが望ましい。冷蔵庫10によれば、制御装置31は、焦電センサ23による検知状況に基づき人が近くに存在するか否かを確認した上で、音声認識機能による音声の認識状況に基づき自動開扉装置32の動作を制御する。これにより、冷蔵庫10の近くに存在する人の音声に基づき自動開扉装置32の動作を高精度で制御することができる。また、焦電センサ23による検知状況に基づき人が近くに存在していないことが確認された場合には、音声認識装置36の駆動を停止させることにより、無用に音声認識装置36が動作してしまうことを回避して消費電力の抑制を図ることができる。
【0070】
(第2実施形態)
第2実施形態では、制御装置31は、外部端末100との通信機能を活用して、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況、および、外部端末100による設定状況に基づいて各種の動作部の動作を制御可能に構成されている。
【0071】
即ち、上述した通り、外部端末100にて動作するアプリケーションの操作画面には、遠隔から音声認識装置36をオン状態つまり動作可能な状態に切り換えるための音声認識ボタンが設けられている。そして、図8に例示するように、外部端末100は、アプリケーションの操作画面において音声認識ボタンが操作されると(ステップE1:YES)、音声認識機能オン信号を制御装置31に送信する(ステップE2)。
【0072】
一方、制御装置31は、図5に例示したフローチャートにおけるステップB2に代えて、外部端末100から音声認識機能オン信号を受信したか否かを監視している(ステップB2a)。そして、制御装置31は、外部端末100から音声認識機能オン信号を受信すると(ステップB2a:YES)、音声認識装置36の動作を開始して、音声認識装置36により「開扉音声」が認識されたか否かを確認する(ステップB3)。
【0073】
以上に例示した第2実施形態によれば、制御装置31は、外部端末100との通信機能を活用して、複数種類の近接検知部のうち何れか1種類の近接検知部、この場合、焦電センサ23による検知状況、および、外部端末100による設定状況に基づいて音声認識装置36の動作を制御する。この構成例によれば、例えば外部端末100を携帯する親の外出中に在宅中の子供の音声に基づき例えば開扉などといった動作が自動的に行われてしまうことを回避することができ、親の外出中に意図せず動作が行われてしまうことを回避することができる。
【0074】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形や拡張を行うことができる。例えば、冷蔵庫10は、上述した複数の実施形態を適宜選択して組み合わせた構成としてもよい。
【0075】
近接検知部は、タッチセンサ22および焦電センサ23の2種類に限られるものではなく、3種類以上の複数種類であってもよい。即ち、複数種類の近接検知部は、タッチセンサ22や焦電センサ23に限られるものではなく、その他の種類の近接検知部であってもよい。また、制御装置31は、複数の近接検知部にうち焦電センサ23以外の近接センサによる検知状況に基づいて各種の動作部の動作を制御するようにしてもよいが、この場合、少なくともタッチセンサ22よりも広範囲の検知範囲を有する近接センサの検知状況に基づいて各種の動作部の動作を制御するようにするとよい。また、制御装置31が近接検知部の検知状況に基づき制御する対象となる動作部は、自動開扉装置32、音発生装置33、除菌装置34、循環ファン装置35に限られるものではなく、その他の動作部であってもよい。また、制御装置31は、近接検知部の検知状況に基づき複数の動作部の動作を同時に、あるいは、連携させながら制御してもよい。
【0076】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
図面において、10は冷蔵庫、22はタッチセンサ(近接検知部、第一の近接検知部)、23は焦電センサ(近接検知部、第二の近接検知部)、24は貫通孔、31は制御装置(制御部)、32は自動開扉装置(動作部)、33は音発生装置(動作部)、34は除菌装置(動作部)、35は循環ファン装置(動作部、送風部)、100は外部端末を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8