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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076062
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】受光素子および光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240529BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187426
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】町長 賢一
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AA06
4M118AB01
4M118BA04
4M118CA03
4M118CB02
4M118EA14
4M118FA06
4M118FA27
4M118HA21
4M118HA31
5F149AA04
5F149AB07
5F149BA30
5F149BB03
5F149CB04
5F149CB14
5F149CB15
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5F149FA05
5F149GA06
5F149HA01
5F149HA12
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5F149XB18
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5F849AB07
5F849BA30
5F849BB03
5F849CB04
5F849CB14
5F849CB15
5F849DA02
5F849EA04
5F849EA07
5F849EA16
5F849FA05
5F849GA06
5F849HA01
5F849HA12
5F849XB01
5F849XB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画素間の感度の均一性を向上させる受光素子及び光検出装置を提供する。
【解決手段】受光素子100は、第1主面10aを有する基板10と、第1主面の上のn型コンタクト層21と、その上の受光層31と、その上の画素分離調整層33と、その上のp型コンタクト層22と、第1主面に平行な第1方向でp型コンタクト層及び画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝71と、第1方向での複数の第1溝の外側において、p型コンタクト層、画素分離調整層及び受光層に形成され、n型コンタクト層に達する第2溝72と、第1方向での複数の第1溝と第2溝との間において、p型コンタクト層及び受光層に形成された第3溝73と、第2溝の底において、n型コンタクト層に接する第1n電極51と、p型コンタクト層の上に設けられた第2n電極53と、を有する。第3溝は、複数の第1溝のうち、第1方向で最も外側に位置する第1溝につながる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する基板と、
前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、
前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、
前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、
前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、
前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、
前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、
前記第1方向での前記複数の第1溝と前記第2溝との間において、前記第2コンタクト層および前記受光層に形成された第3溝と、
前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、
前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、
を有し、
前記第3溝は、前記複数の第1溝のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する第1溝につながる、受光素子。
【請求項2】
前記複数の画素のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する画素の前記画素分離調整層は、前記第1主面に垂直な平面視で、
前記複数の第1溝のうちの2つの第1溝の間の第1領域と、
前記第1領域と前記第3溝との間の第2領域と、
を有し、
前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.5μm以上3.5μm以下である、請求項1に記載の受光素子。
【請求項3】
前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.7μm以上3.5μm以下である、請求項2に記載の受光素子。
【請求項4】
前記第3溝の底面に、前記第1コンタクト層が露出している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の受光素子。
【請求項5】
前記画素分離調整層は、
前記受光層の上に設けられた前記第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた前記第2導電型の第2半導体層と、
を有し、
前記第1溝の底面に、前記第1半導体層が露出している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の受光素子。
【請求項6】
第1主面を有する基板と、
前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、
前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、
前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、
前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、
前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、
前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、
前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、
前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、
を有し、
前記第2溝は、前記複数の第1溝のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する第1溝につながる、受光素子。
【請求項7】
前記複数の画素のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する画素の前記画素分離調整層は、前記第1主面に垂直な平面視で、
前記複数の第1溝のうちの2つの第1溝の間の第1領域と、
前記第1領域と前記第2溝との間の第2領域と、
を有し、
前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.5μm以上3.5μm以下である、請求項6に記載の受光素子。
【請求項8】
前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.7μm以上3.5μm以下である、請求項7に記載の受光素子。
【請求項9】
前記画素分離調整層は、
前記受光層の上に設けられた前記第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた前記第2導電型の第2半導体層と、
を有し、
前記第1溝の底面に、前記第1半導体層が露出している、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の受光素子。
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項7または請求項8に記載の受光素子と、
前記受光素子に接続された回路基板と、
を有する、光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受光素子および光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線を検知する受光素子として、受光層の上に設けられた半導体層に画素分離用の溝が形成された受光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-034644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光素子に対して、画素間の感度の均一性の向上が望まれている。
【0005】
本開示は、画素間の感度の均一性を向上できる受光素子および光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の受光素子は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝と前記第2溝との間において、前記第2コンタクト層および前記受光層に形成された第3溝と、前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、を有し、前記第3溝は、前記複数の第1溝のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する第1溝につながる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、画素間の感度の均一性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る受光素子を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る受光素子を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その1)である。
図4図4は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その2)である。
図5図5は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その3)である。
図6図6は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その4)である。
図7図7は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その5)である。
図8図8は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その6)である。
図9図9は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その7)である。
図10図10は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その8)である。
図11図11は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その9)である。
図12図12は、参考例に係る受光素子を示す断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る受光素子を示す断面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その1)である。
図15図15は、第2実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その2)である。
図16図16は、第2実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その3)である。
図17図17は、第2実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図(その4)である。
図18図18は、第3実施形態に係る光検出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る受光素子は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝と前記第2溝との間において、前記第2コンタクト層および前記受光層に形成された第3溝と、前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、を有し、前記第3溝は、前記複数の第1溝のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する第1溝につながる。
【0011】
受光層に光が入射すると、受光層においてホールおよび電子が生じ、各画素において第1コンタクト層と第2コンタクト層との間の電位差に応じてホールおよび電子が第1コンタクト層または第2コンタクト層に別々に向かって流れる。このとき、第3溝の外側の部分、すなわち画素の外側でもホールおよび電子が生じ得るが、第3溝が形成されているため、ホールおよび電子は第2コンタクト層に向かって流れにくい。各画素は、第3溝の外側の受光層で生じたホールおよび電子の影響を受けにくく、画素間の感度のばらつきが抑制され、画素間の感度の均一性を向上できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記複数の画素のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する画素の前記画素分離調整層は、前記第1主面に垂直な平面視で、前記複数の第1溝のうちの2つの第1溝の間の第1領域と、前記第1領域と前記第3溝との間の第2領域と、を有し、前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.5μm以上3.5μm以下であってもよい。この場合、最も外側に位置する画素における暗電流の抑制と、画素間の感度の均一性の向上とを両立しやすい。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.7μm以上3.5μm以下であってもよい。この場合、最も外側に位置する画素における暗電流の抑制と、画素間の感度の均一性の向上とを特に両立しやすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記第3溝の底面に、前記第1コンタクト層が露出していてもよい。この場合、特に画素間の感度の均一性を向上させやすい。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれかにおいて、前記画素分離調整層は、前記受光層の上に設けられた前記第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の上に設けられた前記第2導電型の第2半導体層と、を有し、前記第1溝の底面に、前記第1半導体層が露出していてもよい。この場合、画素分離を確実に行いやすい。
【0016】
〔6〕 本開示の他の一態様に係る受光素子は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられた第1導電型の第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層の上に設けられた受光層と、前記受光層の上に設けられた画素分離調整層と、前記画素分離調整層の上に設けられた第2導電型の第2コンタクト層と、前記第1主面に平行な第1方向で前記第2コンタクト層および前記画素分離調整層を複数の画素に分離する複数の第1溝と、前記第1方向での前記複数の第1溝の外側において、前記第2コンタクト層、前記画素分離調整層および前記受光層に形成され、前記第1コンタクト層に達する第2溝と、前記第2溝の底において、前記第1コンタクト層に接する第1電極と、前記第2コンタクト層の上に設けられた第2電極と、を有し、前記第2溝は、前記複数の第1溝のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する第1溝につながる。
【0017】
〔1〕と同じく、受光層に光が入射すると、受光層においてホールおよび電子が生じ、各画素において第1コンタクト層と第2コンタクト層との間の電位差に応じてホールおよび電子が第1コンタクト層または第2コンタクト層に別々に向かって流れる。このとき、第2溝の外側の部分、すなわち画素の外側でもホールおよび電子が生じ得るが、第2溝が形成されているため、ホールおよび電子は第2コンタクト層に向かって流れにくい。各画素は、第2溝の外側の受光層で生じたホールおよび電子の影響を受けにくく、画素間の感度のばらつきが抑制され、画素間の感度の均一性を向上できる。
【0018】
〔7〕 〔6〕において、前記複数の画素のうちで、前記第1方向で最も外側に位置する画素の前記画素分離調整層は、前記第1主面に垂直な平面視で、前記複数の第1溝のうちの2つの第1溝の間の第1領域と、前記第1領域と前記第2溝との間の第2領域と、を有し、前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.5μm以上3.5μm以下であってもよい。この場合、最も外側に位置する画素における暗電流の抑制と、画素間の感度の均一性の向上とを両立しやすい。
【0019】
〔8〕 〔7〕において、前記第2領域の前記第1方向での寸法は、2.7μm以上3.5μm以下であってもよい。この場合、最も外側に位置する画素における暗電流の抑制と、画素間の感度の均一性の向上とを特に両立しやすい。
【0020】
〔9〕 〔6〕から〔8〕のいずれかにおいて、前記画素分離調整層は、前記受光層の上に設けられた前記第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の上に設けられた前記第2導電型の第2半導体層と、を有し、前記第1溝の底面に、前記第1半導体層が露出していてもよい。この場合、画素分離を確実に行いやすい。
【0021】
〔10〕 本開示の更に他の一態様に係る光検出装置は、〔1〕から〔9〕のいずれかの受光素子と、前記受光素子に接続された回路基板と、を有する。光検出装置が上記の受光素子を有することで、画素間の感度の均一性を向上できる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、受光素子または光検出装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0023】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は受光素子に関する。図1は、第1実施形態に係る受光素子を示す模式図である。図2は、第1実施形態に係る受光素子を示す断面図である。図1は、メサ、バンプおよび溝の配置を平面視で示す。図2は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0024】
第1実施形態に係る受光素子100には、2次元アレイを構成する複数の画素1が形成されている。例えば、30μmピッチで256×320画素が形成されている。画素ピッチが、例えば50μmまたは90μmであってもよい。受光素子100に、例えば、512×640画素が形成されていてもよく、32×128画素が形成されていてもよい。
【0025】
図1に示されるように、受光素子100は、基板10と、n型コンタクト層21と、受光層31と、中間層32と、画素分離調整層33と、p型コンタクト層22とを有する。受光素子100は、更に、パッシベーション膜41と、反射防止膜36と、p電極52と、第1n電極51と、第2n電極53と、配線54と、インジウム(In)バンプ61と、Inバンプ62とを有する。
【0026】
基板10は、例えばn型のリン化インジウム(InP)基板である。基板10は、例えば硫黄(S)を5×1018cm-3程度の濃度で含有する。基板10は、第1主面10aと、第1主面10aとは反対の第2主面10bとを有する。基板10の厚さは、例えば300μm程度である。
【0027】
n型コンタクト層21は第1主面10aの上に設けられている。n型コンタクト層21は、例えば、n型のInP層である。n型コンタクト層21の厚さは、例えば2.0μm程度である。n型コンタクト層21は、例えばシリコン(Si)を1×1018cm-3以上の濃度で含有する。n型コンタクト層21は第1コンタクト層の一例である。
【0028】
受光層31はn型コンタクト層21の上に設けられている。受光層31は、例えば砒化インジウムガリウム(InGaAs)層である。受光層31の厚さは、例えば4.0μm程度である。受光層31には、不純物元素はドープされてはおらず、受光層31に含まれる不純物元素の濃度は、1×1015cm-3以下である。
【0029】
中間層32は受光層31の上に設けられている。中間層32は、例えば砒化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)層を含む。中間層32の厚さは、例えば0.05μm程度である。中間層32には、不純物元素はドープされてはおらず、中間層32に含まれる不純物元素の濃度は、2×1015cm-3以下である。中間層32のバンドギャップは、受光層31のバンドギャップよりも広く、画素分離調整層33のバンドギャップよりも狭い。中間層32が、組成が異なる複数のInGaAsP層を含んでもよい。この場合、複数のInGaAsP層の間では、中間層32に近いInGaAsP層ほどバンドギャップが狭い。すなわち、複数のInGaAsP層の間では、中間層32から離れるに連れて、段階的にバンドギャップが広くなる。
【0030】
画素分離調整層33は中間層32の上に設けられている。画素分離調整層33は、n型ワイドギャップ層34と、p型ワイドギャップ層35とを有する。n型ワイドギャップ層34は中間層32の上に設けられており、p型ワイドギャップ層35はn型ワイドギャップ層34の上に設けられている。n型ワイドギャップ層34は、例えばn型のInP層である。n型ワイドギャップ層34の厚さは、例えば0.5μm程度である。n型ワイドギャップ層34は、例えばSiを2×1015cm-3以下の濃度で含有する。p型ワイドギャップ層35は、例えばp型のInP層である。p型ワイドギャップ層35の厚さは、例えば0.3μm程度である。p型ワイドギャップ層35は、例えば亜鉛(Zn)を1×1018cm-3以上の濃度で含有する。n型ワイドギャップ層34とp型ワイドギャップ層35との界面にpn接合39がある。n型ワイドギャップ層34のバンドギャップおよびp型ワイドギャップ層35のバンドギャップは、中間層32のバンドギャップおよび受光層31のバンドギャップよりも広い。n型ワイドギャップ層34は第1半導体層の一例であり、p型ワイドギャップ層35は第2半導体層の一例である。
【0031】
p型コンタクト層22はp型ワイドギャップ層35の上に設けられている。p型コンタクト層22は、例えばp型のInGaAs層である。p型コンタクト層22は、例えばZnを2×1019cm-3以上6×1019cm-3の濃度で含有する。p型コンタクト層22の厚さは、例えば0.2μm程度である。p型コンタクト層22は第2コンタクト層の一例である。
【0032】
p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34の一部とに複数の第1溝71が形成されている。第1溝71はn型ワイドギャップ層34に達している。第1溝71の底面にn型ワイドギャップ層34が露出している。第1溝71はpn接合39を貫通している。第1溝71により、画素1ごとにメサ81が形成され、画素分離されている。第1溝71の一部は、X軸方向に一定のピッチで形成されており、Y軸方向に延びる。第1溝71の他の一部は、Y軸方向に一定のピッチで形成されており、X軸方向に延びる。第1溝71は、第1主面10aに平行なX軸方向またはY軸方向でp型コンタクト層22および画素分離調整層33を複数の画素1に分離する。例えば、第1溝71の深さは0.5μm程度であり、幅は5μm程度である。メサ81の平面形状は、例えば一辺の長さが85μmの正方形状である。
【0033】
X軸方向またはY軸方向での複数の第1溝71の外側において、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21の一部とに第2溝72が形成されている。第2溝72はn型コンタクト層21に達する。第2溝72の底面にn型コンタクト層21が露出している。第2溝72は、第1主面10aに垂直な平面視で、環状に形成され、すべての第1溝71を取り囲む。第2溝72により、画素領域11と電極接続領域12とが互いから分離されている。メサ81は画素領域11に形成されている。電極接続領域12にメサ82が形成されている。第2溝72の幅は、例えば450μm程度である。
【0034】
X軸方向またはY軸方向での複数の第1溝71と第2溝72との間において、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31とに第3溝73が形成されている。第3溝73はn型コンタクト層21に達する。第3溝73の底面にn型コンタクト層21が露出している。第3溝73は、第1主面10aに垂直な平面視で、環状に形成され、すべての第1溝71を取り囲む。第3溝73は、複数の第1溝71のうちで、X軸方向で最も外側に位置する第1溝71およびY軸方向で最も外側に位置する第1溝71につながる。2次元アレイの最外周に位置する画素1の受光層31は第3溝73に露出している。つまり、複数の画素1のうちで、X軸方向で最も外側に位置する画素1の受光層31およびY軸方向で最も外側に位置する画素1の受光層31は第3溝73に露出している。第3溝73の幅は、例えば1.5μm以上3.0μm以上である。第2溝72と第3溝73との間にメサ83が形成されている。メサ83の幅は、例えば60μmである。
【0035】
パッシベーション膜41は、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21と、基板10とを覆う。パッシベーション膜41は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。パッシベーション膜41の厚さは、例えば0.2μm程度である。パッシベーション膜41に、メサ81のp型コンタクト層22を露出する開口部41aと、画素領域11と電極接続領域12との間でn型コンタクト層21を露出する開口部41bとが形成されている。pn接合39の側面がパッシベーション膜41に接触している。
【0036】
メサ81の各々においてp型コンタクト層22の上にp電極52が形成されている。p電極52は開口部41aを通じてp型コンタクト層22に接する。p電極52は、例えばチタン(Ti)層および白金(Pt)層を順に積層した金属積層膜により構成されている。例えば、Ti層の厚さは50nm程度であり、Pt層の厚さは80nm程度である。
【0037】
画素領域11と電極接続領域12との間でn型コンタクト層21の上に第1n電極51が形成されている。第1n電極51は開口部41bを通じてn型コンタクト層21に接する。メサ82の上においてパッシベーション膜41の上に第2n電極53が形成されている。第1n電極51および第2n電極53は、例えばTi層およびPt層を順に積層した金属積層膜により構成されている。例えば、Ti層の厚さは50nm程度であり、Pt層の厚さは80nm程度である。
【0038】
配線54は、第1n電極51と第2n電極53とを接続する。配線54はパッシベーション膜41の上に形成されている。配線54は、例えばTi層および金(Au)層を順に積層した金属積層膜により構成されている。例えば、Ti層の厚さは50nm程度であり、Au層の厚さは600nm程度である。
【0039】
p電極52の上にInバンプ62が設けられている。画素領域11における画素1の各々において、メサ81の上面に平面形状が円形状のp電極52が形成されており、p電極52の上に平面形状が円形状のInバンプ62が形成されている。
【0040】
電極接続領域12においては、第2n電極53の上にInバンプ61が設けられている。第2n電極53の上に平面形状が円形状のInバンプ61が形成されている。
【0041】
第2n電極53およびp電極52は、それぞれInバンプ61および62を介して、読み出し回路基板400(図18参照)に設けられた電極に接続される。Inバンプ61および62の高さは、例えば10μm程度である。
【0042】
反射防止膜36は第2主面10bに設けられている。反射防止膜36は、例えばSiN膜である。
【0043】
次に、第1実施形態に係る受光素子100の製造方法について説明する。図3から図11は、第1実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図である。
【0044】
まず、図3に示されるように、基板10の第1主面10aに、エピタキシャル成長により、n型コンタクト層21、受光層31、中間層32、n型ワイドギャップ層34、p型ワイドギャップ層35およびp型コンタクト層22を順に形成する。上記の化合物半導体層のエピタキシャル成長には、有機金属気相エピタキシャル成長(metal organic vapor phase epitaxy:MOVPE)法が用いられる。基板10の厚さは、例えば400μm以上500μm以下である。
【0045】
次に、図4に示されるように、p型コンタクト層22の上に、プラズマ化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により、厚さが0.4μm程度のSiN膜191を形成する。次いで、SiN膜191の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、第1溝71が形成される領域と、第2溝72が形成される領域と、第3溝73が形成される領域とに開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜191を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜191からマスクを形成する。その後、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。
【0046】
次に、図5に示されるように、SiN膜191の開口部に露出するp型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34の一部とを反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)等のドライエッチングにより除去する。このRIEでは、例えば四塩化ケイ素(SiCl)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスの混合ガスを用いる。このようにして、画素分離するための第1溝71が形成される。また、第2溝72が形成される領域に仮溝72Xが形成され、第3溝73が形成される領域に仮溝73Xが形成される。第1溝71の形成に伴ってメサ81が形成され、各々の画素1(図1参照)が分離される。
【0047】
次に、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物を除去する。堆積物は、バッファードフッ酸を用いて除去できる。また、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34の第1溝71の近傍には、ドライエッチングの際にダメージが生じ得る。このため、堆積物の除去の後、ウェットエッチングを行って、ドライエッチングの際にダメージが生じた部分を除去する。例えば、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34の各々の第1溝71に露出する部分を0.1μmの厚さで除去する。その後、SiN膜191をバッファードフッ酸により除去する。
【0048】
次に、図6に示されるように、プラズマCVD法により、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34を覆う、厚さが0.8μm程度のSiN膜192を形成する。次いで、SiN膜192の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、第2溝72が形成される領域と、第3溝73が形成される領域とに開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜192を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜192からマスクを形成する。その後、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。
【0049】
次に、図7に示されるように、SiN膜192の開口部に露出するn型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21の一部とをRIE等のドライエッチングにより除去する。このRIEでは、例えばSiClガスおよびArガスの混合ガスを用いる。このようにして、第2溝72および第3溝73が形成され、メサ81からみて、第2溝72の外側にメサ82が形成される。また、第1溝71と第2溝72との間にメサ83が形成される。なお、第2溝72の幅よりも第3溝73の幅が狭いため、マイクロローディング効果により第2溝72と第3溝73との間でエッチング速度が相違するが、第2溝72および第3溝73の両方をn型コンタクト層21に達するように形成できる。
【0050】
次に、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物を除去する。堆積物は、バッファードフッ酸を用いて除去できる。また、n型ワイドギャップ層34、中間層32、受光層31およびn型コンタクト層21の第2溝72または第3溝73の近傍には、ドライエッチングの際にダメージが生じ得る。このため、堆積物の除去の後、ウェットエッチングを行って、ドライエッチングの際にダメージが生じた部分を除去する。例えば、n型ワイドギャップ層34、中間層32、受光層31およびn型コンタクト層21の各々の第2溝72または第3溝73に露出する部分を0.1μmの厚さで除去する。その後、SiN膜192をバッファードフッ酸により除去する。
【0051】
次に、図8に示されるように、パッシベーション膜41を形成する。具体的には、全面に、プラズマCVD法により不図示のSiN膜を成膜し、成膜されたSiN膜の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、p電極52が形成される領域と、第1n電極51が形成される領域とに開口部を有しており、レジストパターンの開口部におけるSiN膜をRIE等のドライエッチングにより除去する。この結果、メサ81のp型コンタクト層22の表面を露出する開口部41aと、n型コンタクト層21の表面を露出する開口部41bとを備えたパッシベーション膜41が形成される。
【0052】
次に、図9に示されるように、p型コンタクト層22の上にp電極52を形成し、n型コンタクト層21の上に第1n電極51を形成し、メサ82の上にパッシベーション膜41を介して第2n電極53を形成する。p電極52、第1n電極51および第2n電極53は、リフトオフ法により形成する。具体的には、p電極52が形成される領域と、第1n電極51が形成される領域と、第2n電極53が形成される領域とに開口部を有する不図示のレジストパターンを形成し、電子線(electron beam:EB)蒸着によりTi層およびPt層が順に積層された金属積層膜を成膜し、その後に有機溶剤等に浸漬させる。この結果、レジストパターンとともにレジストパターンの上の金属積層膜が除去され、残存している金属積層膜からp電極52、第1n電極51および第2n電極53が形成される。
【0053】
更に、第1n電極51と第2n電極53とを接続する配線54をリフトオフ法により形成する。具体的には、配線54が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成し、EB蒸着によりTi層およびAu層が順に積層された金属積層膜を成膜し、その後に有機溶剤等に浸漬させる。この結果、レジストパターンとともにレジストパターンの上の金属積層膜が除去され、残存している金属積層膜から配線54が形成される。配線54を形成するためのEB蒸着は、例えば第1主面10aに垂直な方向から傾斜した方向からの斜め蒸着である。
【0054】
次に、図10に示されるように、基板10の第2主面10bを研磨により鏡面にする。次に、第2主面10bに反射防止膜36を形成する。反射防止膜36はプラズマCVD法により形成する。
【0055】
次に、図11に示されるように、第2n電極53の上にInバンプ61を形成し、p電極52の上にInバンプ62を形成する。Inバンプ61および62はリフトオフ法により形成する。この後、チップに分割する。
【0056】
このようにして、第1実施形態に係る受光素子100を製造することができる。
【0057】
受光素子100は、p電極52と第2n電極53との間に、例えば-8Vの逆バイアス電圧が印加されて使用される。逆バイアス電圧が印加された状態で、近赤外光が基板10の第2主面10bから受光層31に入射すると、受光層31においてホールおよび電子が生じ、電子はn型コンタクト層21に向かって流れ、ホールはp型コンタクト層22に向かって流れる。
【0058】
ホールおよび電子は、画素領域11内のメサ81の下方の受光層31だけでなく、メサ83の下方の受光層31でも生じる。ただし、本実施形態では、メサ83の下方の受光層31が第3溝73によりメサ81の下方の受光層31から分離されている。このため、メサ83の下方の受光層31でホールおよび電子が生じても、このホールは画素領域11内のp型コンタクト層22に向かって流れず、ホールおよび電子は受光層31内で再結合して消滅する。従って、画素領域11内の各画素1は、メサ83の下方の受光層31で生じたホールおよび電子の影響を受けない。このため、同じ強度の光が入射した場合、各画素1には同じ大きさの光電流が流れる。つまり、画素1間の感度のばらつきが抑制される。
【0059】
ここで、第1実施形態との比較のために、参考例について説明する。図12は、参考例に係る受光素子を示す断面図である。図12は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0060】
参考例に係る受光素子100Xでは、第3溝73が形成されていない。従って、受光素子100Xでは、メサ83の下方の受光層31でホールおよび電子が生じると、ホールは最近接の画素1、すなわち2次元アレイの最外周に位置する画素1のp型コンタクト層22に向かって流れ得る。このため、同じ強度の光が入射した場合、最外周に位置する画素1では、他の画素1よりも大きな光電流が流れる。つまり、最外周に位置する画素1の感度が、他の画素1の感度よりも高い。
【0061】
このように、受光素子100によれば、感度のばらつきを抑制し、感度の均一性を向上できる。
【0062】
メサ83は、メサ81に対するダミーメサとして機能し、第1溝71の形成の際の露光およびエッチングの均一性の確保に寄与する。
【0063】
第1溝71の底面にn型ワイドギャップ層34が露出していることで、画素分離を確実に行いやすい。
【0064】
最外周に位置する画素1、すなわち第3溝73に最も近い画素1の画素分離調整層33は、第1主面10aに垂直な平面視で、2つの第1溝71の間の第1領域33aと、第1領域33aと第3溝73との間の第2領域33bとを有する。そして、第2領域33bのX軸方向での寸法およびY軸方向での寸法は、好ましくは2.5μm以上3.5μm以下である。第2領域33bのX軸方向での寸法およびY軸方向での寸法が2.5μm未満であると、当該画素1の側面を経路とする暗電流が流れやすくなるおそれがある。また、第2領域33bのX軸方向での寸法およびY軸方向での寸法が3.5μm超であると、当該画素1の感度が他の画素1の感度よりも高くなるおそれがある。第2領域33bの寸法は、より好ましくは2.7μm以上3.5μm以下である。
【0065】
第3溝73は、厚さ方向で少なくとも受光層31の一部を分離していればよく、n型コンタクト層21に達していなくてもよい。つまり、第3溝73の底面に受光層31が露出していてもよい。第3溝73が厚さ方向で少なくとも受光層31の一部を分離していれば、メサ83の下方の受光層31からの画素領域11内のp型コンタクト層22への流れを抑制でき、画素1間の感度のばらつきが抑制される。ただし、第3溝73の底面にn型コンタクト層21が露出していると、画素1間の感度の均一性を特に向上しやすい。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第1実施形態は、主としてメサ83が含まれない点で第1実施形態と相違する。図13は、第2実施形態に係る受光素子を示す断面図である。図13は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0067】
第2実施形態に係る受光素子200でも、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34の一部とに複数の第1溝71が形成されている。また、X軸方向またはY軸方向での複数の第1溝71の外側において、p型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21の一部とに第2溝72が形成されている。ただし、受光素子200には、第3溝73が形成されていない。第2溝72が、複数の第1溝71のうちで、X軸方向で最も外側に位置する第1溝71およびY軸方向で最も外側に位置する第1溝71につながる。2次元アレイの最外周に位置する画素1の受光層31は第2溝72に露出している。つまり、複数の画素1のうちで、X軸方向で最も外側に位置する画素1の受光層31およびY軸方向で最も外側に位置する画素1の受光層31は第2溝72に露出している。第2溝72の幅は、例えば450μm程度である。
【0068】
第2実施形態の他の構成は第1の実施形態と同一である。
【0069】
次に、第1実施形態に係る受光素子100の製造方法について説明する。図14から図17は、第2実施形態に係る受光素子の製造方法を示す断面図である。
【0070】
まず、第1実施形態と同じく、基板10の第1主面10aに、エピタキシャル成長により、n型コンタクト層21、受光層31、中間層32、n型ワイドギャップ層34、p型ワイドギャップ層35およびp型コンタクト層22を順に形成する(図3参照)。
【0071】
次に、図14に示されるように、p型コンタクト層22の上に、プラズマCVD法により、厚さが0.4μm程度のSiN膜291を形成する。次いで、SiN膜291の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、第1溝71が形成される領域と、第2溝72が形成される領域とに開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜291を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜291からマスクを形成する。その後、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。
【0072】
次に、図15に示されるように、SiN膜291の開口部に露出するp型コンタクト層22と、p型ワイドギャップ層35と、n型ワイドギャップ層34の一部とをRIE等のドライエッチングにより除去する。このようにして、画素分離するための第1溝71が形成される。また、第2溝72が形成される領域に仮溝72Xが形成される。第1溝71の形成に伴ってメサ81が形成され、各々の画素1(図1参照)が分離される。
【0073】
次に、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物を除去する。次に、ウェットエッチングを行って、ドライエッチングの際にダメージが生じた部分を除去する。次に、SiN膜291をバッファードフッ酸により除去する。
【0074】
次に、図16に示されるように、プラズマCVD法により、p型コンタクト層22、p型ワイドギャップ層35およびn型ワイドギャップ層34を覆う、厚さが0.8μm程度のSiN膜292を形成する。次いで、SiN膜292の上に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行うことにより、不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、第2溝72が形成される領域に開口部を有する。レジストパターンの開口部におけるSiN膜292を、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去することにより、SiN膜292からマスクを形成する。その後、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。
【0075】
次に、図17に示されるように、SiN膜292の開口部に露出するn型ワイドギャップ層34と、中間層32と、受光層31と、n型コンタクト層21の一部とをRIE等のドライエッチングにより除去する。このようにして、第2溝72が形成され、メサ81からみて、第2溝72の外側にメサ82が形成される。
【0076】
次に、第1実施形態と同じく、ドライエッチングで生成した不図示の堆積物の除去以降の処理を行う。
【0077】
このようにして、第2実施形態に係る受光素子200を製造することができる。
【0078】
受光素子200によっても、感度のばらつきを抑制し、感度の均一性を向上できる。
【0079】
最外周に位置する画素1において、第1実施形態と同じく、第2領域33bのX軸方向での寸法およびY軸方向での寸法は、好ましくは2.5μm以上3.5μm以下であり、より好ましくは2.7μm以上3.5μm以下である。
【0080】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態に係る受光素子100を含む光検出装置に関する。図18は、第3実施形態に係る光検出装置を示す断面図である。
【0081】
第3実施形態に係る光検出装置300は、受光素子100と、読み出し回路基板(read out integrated circuit:ROIC)400とを有する。読み出し回路基板400は、配線基板410と、画素電極452と、共通電極451とを有する。画素電極452および共通電極451は、配線基板410の一方の面に配列している。読み出し回路基板400は、受光素子100から出力された信号を読み出す回路、例えばマルチプレクサを含む。読み出し回路基板400は回路基板の一例である。
【0082】
光検出装置300は、更に、p電極52と画素電極452とを接続する接続部材352と、第2n電極53と共通電極451とを接続する接続部材351とを有する。接続部材351は、Inバンプ61と、接合前に読み出し回路基板400の共通電極451上に設けられていたInバンプとを含んで構成されている。接続部材352は、Inバンプ62と、接合前に読み出し回路基板400の画素電極452上に設けられていたInバンプとを含んで構成されている。
【0083】
第3実施形態によれば、画素間の感度の均一性を向上できる。
【0084】
なお、受光素子100に代えて受光素子200が用いられてもよい。
【0085】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1:画素
10:基板
10a:第1主面
10b:第2主面
11:画素領域
12:電極接続領域
21:n型コンタクト層
22:p型コンタクト層
31:受光層
32:中間層
33:画素分離調整層
33a:第1領域
33b:第2領域
34:n型ワイドギャップ層
35:p型ワイドギャップ層
36:反射防止膜
39:pn接合
41:パッシベーション膜
41a、41b:開口部
51:第1n電極
52:p電極
53:第2n電極
54:配線
61、62:Inバンプ
71:第1溝
72:第2溝
72X、73X:仮溝
73:第3溝
81、82、83:メサ
100、100X、200:受光素子
191、192、291、292:SiN膜
300:光検出装置
351、:352:接続部材
400:読み出し回路基板
410:配線基板
451:共通電極
452:画素電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18