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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076076
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240529BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240529BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187451
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木佐 俊哉
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK12
4C160KK35
4C160KK70
4C267AA06
4C267BB28
4C267BB42
4C267CC21
(57)【要約】
【課題】拡径後のバルーンを従来よりもコンパクトに縮径させやすくすることができるバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】長手方向xに延在している筒状部材と、筒状部材の遠位部に固定されており、拡径と縮径が可能なバルーン20と、バルーン20の外面28に配置されている第1絶縁基材30と、第1絶縁基材30上に配置されている第1電極41と、を有しており、第1絶縁基材30は、第1電極41の遠位端から第1電極41の近位端まで延在している電極配置部31と、電極配置部31よりも遠位側および電極配置部31よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、筒状部材の長手方向に垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部32pを複数有している蛇行部32と、を有しているバルーンカテーテル1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在している筒状部材と、
前記筒状部材の遠位部に固定されており、拡径と縮径が可能なバルーンと、
前記バルーンの外面に配置されている第1絶縁基材と、
前記第1絶縁基材上に配置されている第1電極と、を有しており、
前記第1絶縁基材は、前記長手方向において前記第1電極の遠位端から前記第1電極の近位端まで延在している電極配置部と、前記電極配置部よりも遠位側および前記電極配置部よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部と、を有しているバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記第1絶縁基材は、前記電極配置部よりも遠位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している遠位側蛇行部と、前記電極配置部よりも近位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している近位側蛇行部と、を有している請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
拡径しているときの前記バルーンは、直管状の形をしている直管部と、前記直管部よりも遠位側に位置しており、遠位側に向かって外径が小さくなっている遠位側テーパー部と、前記直管部よりも近位側に位置しており、近位側に向かって外径が小さくなっている近位側テーパー部と、を有している、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部は前記遠位側テーパー部に配置されており、前記第1絶縁基材の近位側蛇行部は前記近位側テーパー部に配置されている請求項3に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記第1絶縁基材の電極配置部は前記直管部に配置されている請求項4に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記長手方向に垂直な方向から観察したときに、前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部の形は、前記長手方向における前記バルーンの遠位端と近位端を両端とする線分の中点を通り、前記長手方向に垂直な直線を軸として前記第1絶縁基材の近位側蛇行部の形を反転させた形と重なり合うように構成されている請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記バルーンカテーテルは、前記バルーンが拡径しているときの前記長手方向に垂直な断面において、前記バルーンの外面に配置されており、前記バルーンの周方向において前記第1絶縁基材の隣に位置している第2絶縁基材と、前記第2絶縁基材上に配置されている第2電極と、を有しており、
前記第2絶縁基材は、前記長手方向において前記第2電極の遠位端から前記第2電極の近位端まで延在している電極配置部と、前記電極配置部よりも遠位側および前記電極配置部よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部と、を有している請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記第2絶縁基材は、前記電極配置部よりも遠位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している遠位側蛇行部と、前記電極配置部よりも近位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している近位側蛇行部と、を有している請求項7に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部の近位端は、前記第2絶縁基材の遠位側蛇行部の遠位端よりも遠位側に位置している請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記第1絶縁基材の近位側蛇行部の遠位端は、前記第2絶縁基材の近位側蛇行部の近位端よりも近位側に位置している請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記第1絶縁基材の近位側蛇行部の近位端は、前記第2絶縁基材の近位側蛇行部の遠位端よりも遠位側に位置している請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記筒状部材には、長手方向に延在している外筒と、前記長手方向に延在しており、前記外筒の内腔に配置されている内筒が含まれており、
前記内筒の遠位部と前記バルーンの遠位部が互いに固定されており、前記外筒の遠位部と前記バルーンの近位部が互いに固定されている請求項1~11のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
前記バルーンは、前記長手方向に延在している複数の折り目を有しており、
前記第1絶縁基材の電極配置部は前記複数の折り目同士の間に配置されている請求項1~11のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
前記複数の折り目は、前記長手方向に垂直な方向に並列している請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項15】
前記第1絶縁基材は、前記電極配置部よりも遠位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している遠位側蛇行部と、前記電極配置部よりも近位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している近位側蛇行部と、を有しており、
前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部および近位側蛇行部は、前記複数の折り目同士の間に配置されている請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項16】
前記第1絶縁基材は前記折り目上に配置されていない請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
外面に電極が設けられたバルーンを有するバルーンカテーテルは、組織の焼灼に用いられる。例えば、心房細動の治療のための肺静脈隔離術では、バルーンを拡張して電極を肺静脈開口部に接触させた状態で電極に高周波電流を流すことによって、肺静脈開口部の組織を焼灼する。他の組織を焼灼するものとしては、例えば特許文献1に記載されている、カテーテル筒状部材と、拡張式バルーンと、バルーンがガイドカテーテル内に引き込まれるときにバルーンが所定の様式にて折り畳まれることを可能にする支持構造と、支持構造に連結されている複数のフレキシブル電極アセンブリと、を備えている腎組織アブレーション用医療器具などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-524515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような、外面に電極が設けられたバルーンを有するバルーンカテーテルは、搬送用のシースの内腔に入れられた状態で処置対象となる部分である処置部まで搬送され、シースから突出させられる。その後、バルーンカテーテルに設けられているバルーンに流体が注入されることでバルーンが拡径される。処置終了後には、バルーンカテーテルに備えられたバルーンは縮径され、再び搬送用のシースの内腔に入れられる。バルーンカテーテルは、搬送用のシースの内腔に入れられた状態で体腔を通過し、該体腔から抜去される。
【0005】
特許文献1に記載されている医療用具においては、バルーンを拡径させた後に縮径させたときのバルーンの外径が、拡径前のバルーンの外径、即ち、未使用のバルーンの外径よりもかなり大きくなる傾向にあった。このため、拡径後に縮径されたバルーンを挿入することができるよう、搬送用のシースの内径は拡径前のバルーンの外径よりもかなり大き目に設定される必要があり、シースの細径化が困難であった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、拡径後のバルーンを従来よりもコンパクトに縮径させやすくすることができるバルーンカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様に係るバルーンカテーテルは、以下の通りである。
[1]長手方向に延在している筒状部材と、
前記筒状部材の遠位部に固定されており、拡径と縮径が可能なバルーンと、
前記バルーンの外面に配置されている第1絶縁基材と、
前記第1絶縁基材上に配置されている第1電極と、を有しており、
前記第1絶縁基材は、前記長手方向において前記第1電極の遠位端から前記第1電極の近位端まで延在している電極配置部と、前記電極配置部よりも遠位側および前記電極配置部よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部と、を有しているバルーンカテーテル。
【0008】
縮径されたバルーンを有しているバルーンカテーテルは、搬送用のシースに挿入された状態で処置部まで搬送される。処置部まで搬送されたバルーンは、シースの遠位端部から突出させられて、処置部で拡径される。その後、該バルーンが抜去される前には、該バルーンは縮径され、シース内に挿入される必要がある。バルーンを縮径させるためにバルーンから流体を除去したときには、第1絶縁基材に対して筒状部材の長手方向に縮む力が付与される。このとき、蛇行部が筒状部材の長手方向に縮む力を吸収することで、電極配置部がバルーンの周方向に移動しやすくなる。バルーンの周方向における電極配置部の移動が起こることによって、バルーンが折り畳まれやすくなる。これにより、拡径後のバルーンをコンパクトに縮径させやすくすることができるため、バルーンカテーテルを処置部まで搬送する際に使用される搬送用のシースの内径を、従来よりも小さく設計しやすくすることができ、シースを細径化しやすくすることができる。
【0009】
本発明のバルーンカテーテルは、以下の[2]~[16]であることが好ましい。
[2]前記第1絶縁基材は、前記電極配置部よりも遠位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している遠位側蛇行部と、前記電極配置部よりも近位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している近位側蛇行部と、を有している[1]に記載のバルーンカテーテル。
[3]拡径しているときの前記バルーンは、直管状の形をしている直管部と、前記直管部よりも遠位側に位置しており、遠位側に向かって外径が小さくなっている遠位側テーパー部と、前記直管部よりも近位側に位置しており、近位側に向かって外径が小さくなっている近位側テーパー部と、を有している、[2]に記載のバルーンカテーテル。
[4]前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部は前記遠位側テーパー部に配置されており、前記第1絶縁基材の近位側蛇行部は前記近位側テーパー部に配置されている[3]に記載のバルーンカテーテル。
[5]前記第1絶縁基材の電極配置部は前記直管部に配置されている[3]または[4]に記載のバルーンカテーテル。
[6]前記長手方向に垂直な方向から観察したときに、前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部の形は、前記長手方向における前記バルーンの遠位端と近位端を両端とする線分の中点を通り、前記長手方向に垂直な直線を軸として前記第1絶縁基材の近位側蛇行部の形を反転させた形と重なり合うように構成されている[2]~[5]のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
[7]前記バルーンカテーテルは、前記バルーンが拡径しているときの前記長手方向に垂直な断面において、前記バルーンの外面に配置されており、前記バルーンの周方向において前記第1絶縁基材の隣に位置している第2絶縁基材と、前記第2絶縁基材上に配置されている第2電極と、を有しており、
前記第2絶縁基材は、前記長手方向において前記第2電極の遠位端から前記第2電極の近位端まで延在している電極配置部と、前記電極配置部よりも遠位側および前記電極配置部よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部と、を有している[2]~[6]のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
[8]前記第2絶縁基材は、前記電極配置部よりも遠位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している遠位側蛇行部と、前記電極配置部よりも近位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している近位側蛇行部と、を有している[7]に記載のバルーンカテーテル。
[9]前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部の近位端は、前記第2絶縁基材の遠位側蛇行部の遠位端よりも遠位側に位置している[8]に記載のバルーンカテーテル。
[10]前記第1絶縁基材の近位側蛇行部の遠位端は、前記第2絶縁基材の近位側蛇行部の近位端よりも近位側に位置している[8]または[9]に記載のバルーンカテーテル。
[11]前記第1絶縁基材の近位側蛇行部の近位端は、前記第2絶縁基材の近位側蛇行部の遠位端よりも遠位側に位置している[8]または[9]に記載のバルーンカテーテル。
[12]前記筒状部材には、長手方向に延在している外筒と、前記長手方向に延在しており、前記外筒の内腔に配置されている内筒が含まれており、
前記内筒の遠位部と前記バルーンの遠位部が互いに固定されており、前記外筒の遠位部と前記バルーンの近位部が互いに固定されている[1]~[11]のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
[13]前記バルーンは、前記長手方向に延在している複数の折り目を有しており、
前記第1絶縁基材の電極配置部は前記複数の折り目同士の間に配置されている[1]~[12]のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
[14]前記複数の折り目は、前記長手方向に垂直な方向に並列している[13]に記載のバルーンカテーテル。
[15]前記第1絶縁基材は、前記電極配置部よりも遠位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している遠位側蛇行部と、前記電極配置部よりも近位側に位置しており、前記長手方向に垂直な方向から観察したときに前記バルーンの周方向に蛇行し、前記バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している近位側蛇行部と、を有しており、
前記第1絶縁基材の遠位側蛇行部および近位側蛇行部は、前記複数の折り目同士の間に配置されている[13]または[14]に記載のバルーンカテーテル。
[16]前記第1絶縁基材は前記折り目上に配置されていない[13]~[15]のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【発明の効果】
【0010】
縮径されたバルーンを有しているバルーンカテーテルは、搬送用のシースに挿入された状態で処置部まで搬送される。処置部まで搬送されたバルーンは、シースの遠位端部から突出させられて、処置部で拡径される。その後、該バルーンが抜去される前には、該バルーンは縮径され、シース内に挿入される必要がある。バルーンを縮径させるためにバルーンから流体を除去したときには、第1絶縁基材に対して筒状部材の長手方向に縮む力が付与される。このとき、蛇行部が筒状部材の長手方向に縮む力を吸収することで、電極配置部がバルーンの周方向に移動しやすくなる。バルーンの周方向における電極配置部の移動が起こることによって、バルーンが折り畳まれやすくなる。これにより、拡径後のバルーンをコンパクトに縮径させやすくすることができるため、バルーンカテーテルを処置部まで搬送する際に使用される搬送用のシースの内径を、従来よりも小さく設計しやすくすることができ、シースを細径化しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルを示す側面図(一部断面図)を表す。
図2図2は、図1に示すバルーンカテーテルの一部を拡大した側面図を表す。
図3図3は、図2に示すバルーンカテーテルのIII-III線における断面図を表す。
図4図4は、図3に示すバルーンカテーテルが折り畳まれた状態を示す断面図を表す。
図5図5は、図1に示すバルーンカテーテルに設けられているバルーンが縮径されている態様を示す側面図(一部断面図)を表す。
図6図6は、図5に示すバルーンカテーテルに設けられているバルーンがシースの遠位端部から突出している態様を示す側面図(一部断面図)を表す。
図7図7は、図2に示すバルーンカテーテルの変形例を示す側面図を表す。
図8図8は、図2に示すバルーンカテーテルの他の変形例を示す側面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
本発明の一実施態様に係るバルーンカテーテルは、長手方向に延在している筒状部材と、筒状部材の遠位部に固定されており、拡径と縮径が可能なバルーンと、バルーンの外面に配置されている第1絶縁基材と、第1絶縁基材上に配置されている第1電極と、を有しており、第1絶縁基材は、筒状部材の長手方向において第1電極の遠位端から第1電極の近位端まで延在している電極配置部と、電極配置部よりも遠位側および電極配置部よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、筒状部材の長手方向に垂直な方向から観察したときにバルーンの周方向に蛇行し、バルーンの周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部と、を有している点に要旨を有する。
【0014】
図1図8を参照して本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテル1の全体構成について説明する。図1図2では、筒状部材10とバルーン20と、第1絶縁基材30と、第1電極41とを有しているバルーンカテーテル1を示す。本図面においては、筒状部材10の長手方向をx、径方向をyで示している。径方向yは、長手方向xに垂直な方向である。また、筒状部材10の周方向をzで示している。理解を容易にするため、本図面においては、筒状部材10の長手方向xとバルーン20の長手方向が一致しており、筒状部材10の径方向yとバルーン20の径方向が一致しており、筒状部材10の周方向zと拡径したバルーン20の周方向が一致している態様を示しているが、本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルはこの態様に限定されるものではない。なお、以下ではバルーンカテーテル1を単にカテーテル1ということがある。
【0015】
本明細書内において、近位側とは外筒の延在方向に対して使用者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対側、即ち処置対象側を指す。また、各部材の遠位部とは各部材のうちの遠位側半分を指し、各部材の近位部とは各部材のうちの近位側半分を指す。各部材の遠位端とは各部材のうち最も遠位側に位置している端である。各部材の近位端とは各部材のうち最も近位側に位置している端である。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルを示す側面図(一部断面図)を表す。図2は、図1に示すバルーンカテーテルの一部を拡大した側面図を表す。図3は、図2に示すバルーンカテーテルのIII-III線における断面図を表す。図4は、図3に示すバルーンカテーテルが折り畳まれた状態を示す断面図を表す。図5は、図1に示すバルーンカテーテルに設けられているバルーンが縮径されている態様を示す側面図(一部断面図)を表す。図6は、図5に示すバルーンカテーテルに設けられているバルーンがシースの遠位端部から突出している態様を示す側面図(一部断面図)を表す。図7は、図2に示すバルーンカテーテルの変形例を示す側面図を表す。図8は、図2に示すバルーンカテーテルの他の変形例を示す側面図を表す。
【0017】
図1に示すように、カテーテル1は、長手方向xに延在している筒状部材10を有している。筒状部材10は長手方向に遠位端10aと近位端10bを有していてもよい。
【0018】
図1図2に示すように、カテーテル1は、筒状部材10の遠位部に固定されており、拡径と縮径が可能なバルーン20を有している。図1図2に示すように、バルーン20は外側に面している外面28を有している。また、図3に示すように、バルーン20は内腔27を有しており、バルーン20の内腔27に面している内面29を有していることが好ましい。
【0019】
図1図2に示すように、カテーテル1は、バルーン20の外面28に配置されている第1絶縁基材30を有している。第1絶縁基材30は、後述する第1電極41をバルーン20に保持させるために設けられているもので、電気を通しにくい性質を持つ部材である。
【0020】
図1図2に示すように、カテーテル1は、第1絶縁基材30上に配置されている第1電極41を有している。第1電極41は、電界をつくったり、電流を流したり、電気信号を検知したりするのに用いられるものである。
【0021】
図2に示すように、第1絶縁基材30は、筒状部材10の長手方向xにおいて第1電極41の遠位端から第1電極41の近位端まで延在している電極配置部31を有している。図2に示すように、第1絶縁基材30は、筒状部材10の長手方向xにおいて、電極配置部31よりも遠位側および電極配置部31よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部32pを複数有している蛇行部32を有している。
【0022】
蛇行部32pの有無は、バルーン20が拡径している状態において、バルーン20の周方向に沿って蛇行している部分を第1絶縁基材30が有しているか否かで判断される。なお、バルーン20の周方向とは、図3に示すように、バルーン20が拡径している状態における周方向のことをいい、図3に示す態様では、バルーン20の周方向は外筒10の周方向zと同じ方向である。バルーン20は径方向も有しているが、具体的には、バルーン20が拡径している状態において、バルーン20の軸心から放射状に延びる方向がバルーン20の径方向である。図3に示す態様では、後述する内筒15から放射状に延びる方向がバルーン20の径方向である。例えば、バルーン20が拡径している状態において、第1絶縁基材30がバルーン20の径方向にのみ突出している構造を有していたとしても、当該突出構造は本願明細書内でいうところの頂部には含まれない。バルーン20が拡径している状態において、第1絶縁基材30がバルーン20の径方向とバルーン20の周方向のいずれの方向にも突出している構造を有している場合には、当該構造は本願明細書内でいうところの頂部に該当する。
【0023】
図5に示すように、縮径されたバルーン20を有しているバルーンカテーテル1は、搬送用のシース2に挿入された状態で処置部まで搬送される。処置部まで搬送されたバルーン20は、図6に示すようにシース2の遠位端部から突出させられる。シース2から突出させられたバルーン20は処置部で拡径されるが、バルーン20が拡径されている態様を示しているのが図1図3である。その後、該バルーン20が抜去される前には、該バルーン20は縮径され、シース2内に挿入される必要がある。バルーン20を縮径させるためにバルーン20から流体を除去したときには、第1絶縁基材30に対して筒状部材10の長手方向xに縮む力が付与される。このとき、蛇行部32が筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収することで、電極配置部31がバルーン20の周方向に移動しやすくなる。バルーン20の周方向における電極配置部31の移動が起こることによって、図4に示すようにバルーン20が折り畳まれやすくなる。これにより、図6に示すように、拡径後のバルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができるため、バルーンカテーテル1を処置部まで搬送する際に使用される搬送用のシース2の内径を、従来よりも小さく設計しやすくすることができ、シース2を細径化しやすくすることができる。
【0024】
上記バルーンカテーテル1は、例えば、生体組織を焼灼する際に使用されるアブレーションカテーテルとして使用することができる。バルーンカテーテル1の用途の一例としては、心房細動の治療法の一つである肺静脈隔離術が挙げられる。
【0025】
筒状部材10は、体内に挿入されるため、好ましくは可撓性を有している。これにより体腔の形状に沿って筒状部材10を変形させることができる。また、形状保持のため、筒状部材10は弾性を有していることが好ましい。
【0026】
筒状部材10としては、例えば一または複数の線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内側表面または外側表面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;樹脂チューブ;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらを長手軸方向に接続したものが挙げられる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが挙げられる。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。筒状部材10が樹脂チューブである場合、筒状部材10は単層または複数層から構成することができる。筒状部材10は長手方向xまたは周方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0027】
筒状部材10は、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂や、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成することができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
筒状部材10は一の筒状の部材のみから構成されていてもよいし、複数の筒状の部材から構成されていてもよい。図1では、筒状部材10が2つの筒状の部材から構成されている例を示している。
【0029】
図1に示すように、筒状部材10には、長手方向xに延在している外筒11と、長手方向xに延在しており、外筒11の内腔12に配置されている内筒15が含まれていてもよい。
【0030】
外筒11は、筒状の部材であって、外側に面している外面13と、内腔12に面している内面14を有していてもよい。
【0031】
内筒15は、筒状の部材であって、長手方向xに延在している内腔16を有していてもよい。また、内筒15は、外筒11側に面している外面17と、内腔16に面している内面18を有していてもよい。内筒15の内腔16は、例えばガイドワイヤの挿通路として使用することができる。
【0032】
図1に示すように、内筒15の遠位部とバルーン20の遠位部が互いに固定されており、外筒11の遠位部とバルーン20の近位部が互いに固定されていることが好ましい。バルーン20を縮径させる際に、内筒15に対して外筒11を近位側に移動させることでバルーン20に対して外筒11の長手方向xに伸びる力を付与すると、電極配置部31よりも遠位側に位置している蛇行部32および電極配置部31よりも近位側に位置している蛇行部32が外筒11の長手方向xに伸びるともに、電極配置部31がバルーン20の周方向に移動しやすくなる。この動作は、一般的に販売されている包装用シートに包まれている飴であって、包装用シートの一部が捩られることで包装されている飴を、包装用シートの両端を引っ張ることで捩りをほどいて取り出すときの、包装用シートの両端を引っ張る動作に似ているものである。上述のように、バルーン20の周方向における電極配置部31の移動が起こることによって、バルーン20が折り畳まれやすくなる。これにより、拡径後のバルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができるため、バルーンカテーテル1を処置部まで搬送する際に使用される搬送用のシース2の内径を、従来よりも小さく設計しやすくすることができ、シース2の外径を小さくしやすくすることができる。
【0033】
カテーテル1は、外筒11の内面14と内筒15の外面17の間の空間に、近位側から遠位側に向かって流体が通過可能に構成されていることが好ましい。これにより、バルー20の内腔27に流体を供給することができ、バルーン20を拡径させることができる。
【0034】
図1で示すように、筒状部材10の近位部は二又に分岐していてもよい。例えば、分岐の第1の側にバルーン20の内部に流体を供給したりバルーン20の内部から流体を除去したりするための流体調節器72が接続され、分岐の第2の側に操作部71が接続されている構成とすることができる。
【0035】
流体調節器72としては、シリンジやポンプ等があげられる。バルーン20の内部に流体を供給することでバルーン20を拡径させることができる。バルーン20の内部から流体を除去することでバルーン20を縮径させることができる。
【0036】
操作部71としては、例えば中空円柱状、中空多角柱状の部材が用いられることができる。図1に示すように、操作部71は、内筒15の近位部に接続されていてもよい。操作部71は、筒状部材10を構成することができる樹脂や金属等から構成されることができる。
【0037】
バルーン20は樹脂から構成されていることが好ましい。バルーン20を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。バルーンの薄膜化や柔軟性の点からはエラストマー樹脂を用いることができる。
【0038】
図2に示すように、拡径しているときのバルーン20は、直管状の形をしている直管部21と、直管部21よりも遠位側に位置しており、遠位側に向かって外径が小さくなっている遠位側テーパー部22と、直管部21よりも近位側に位置しており、近位側に向かって外径が小さくなっている近位側テーパー部23と、を有していてもよい。さらに、バルーン20は、遠位側テーパー部22よりも遠位側に位置しており、流体の流入によって拡径されず、内筒15の外面17に固定されている遠位側スリーブ部24と、近位側テーパー部23よりも近位側に位置しており、流体の流入によって拡径されず、外筒11の外面13に固定されている近位側スリーブ部25を有していてもよい。
【0039】
バルーン20の内部に供給される流体としては、例えば、生理食塩水、造影剤、またはこれらの混合液等の液体や、空気、窒素、炭酸ガス等の気体を挙げることができる。
【0040】
第1絶縁基材30は可撓性を有していることが好ましい。これにより、第1絶縁基材30がバルーン20の変形に追従しやすくすることができる。また、形状保持のため、第1絶縁基材30は弾性を有していてもよい。
【0041】
第1絶縁基材30は樹脂から構成されていることが好ましい。第1絶縁基材30の電気絶縁性を確保できるとともにバルーン20に固定しやすくすることができる。第1絶縁基材30を構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0042】
第1絶縁基材30はバルーン20の外面28に配置されている。詳細には第1絶縁基材30はバルーン20の外面28に固定されていることが好ましい。第1絶縁基材30は、バルーン20の外面28に直接接合されることで固定されていてもよく、間接的に接合されることで固定されていてもよい。第1絶縁基材30は、例えば、溶着または接着剤による接着等の方法でバルーン20の外面28に固定されることができる。
【0043】
第1絶縁基材30はバルーン20の外面28の一部のみに配置されていてもよい。第1絶縁基材30がバルーン20の外面28の一部にのみ配置されることで、バルーン20の柔軟性が確保されやすくなる。
【0044】
図1図2に示すように、第1絶縁基材30は電極配置部31を有している。電極配置部31の形状は特に限定されないが、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0045】
図1図2に示すように、第1絶縁基材30は頂部32pを複数有している蛇行部32を有している。蛇行部32は、周期性がある規則的な蛇行であってもよいし、周期性のない不規則な蛇行であってもよい。
【0046】
一の蛇行部32が有する頂部32pの数は、2個以上であってもよいし、3個以上であってもよいし、4個以上であってもよい。また、一の蛇行部32が有する頂部32pの数は、10個以下であってもよいし、8個以下であってもよいし、6個以下であってもよい。
【0047】
頂部32pを複数有していれば蛇行部32の形状は特に限定されないが、バルーン20の周方向において、蛇行部32を構成する第1絶縁基材30の幅が電極配置部31を構成する第1絶縁基材30の幅よりも小さいことが好ましい。これにより、電極配置部31の剛性を高め、蛇行部32の柔軟性を向上させることができるため、バルーン20から流体を除去することによって、第1絶縁基材30に対して筒状部材10の長手方向xに縮む力が付与されたときに、蛇行部32が筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収しやすくすることができる。これにより、バルーン20の周方向への電極配置部31の移動が起こりやすくなり、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0048】
電極配置部31と蛇行部32は、筒状部材10の長手方向xにおいて隣接していてもよいし、離隔していてもよい。
【0049】
図1図2に示すように、第1絶縁基材30は、電極配置部31よりも遠位側に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部32pを複数有している遠位側蛇行部32aと、電極配置部31よりも近位側に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部32pを複数有している近位側蛇行部32bと、を有していることが好ましい。上記構成とすることで、バルーン20から流体を除去することによって、第1絶縁基材30に対して筒状部材10の長手方向xに縮む力が付与されたときに、遠位側蛇行部32aと近位側蛇行部32bによって筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収することができる。これにより、バルーン20の周方向への電極配置部31の移動が起こりやすくなり、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。なお、図示しないが、蛇行部32は、電極配置部31よりも遠位側にのみ設けられていてもよいし、電極配置部31よりも近位側にのみ設けられていてもよい。このように、遠位側蛇行部32aまたは近位側蛇行部32bのいずれか一方のみが設けられている場合であっても筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収することができ、電極配置部31のバルーン20の周方向への移動を起こすことができるため、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0050】
第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aが有する頂部32pの数と第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bが有する頂部32pの数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0051】
図2に示すように、第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aは遠位側テーパー部22に配置されており、第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bは近位側テーパー部23に配置されていることが好ましい。第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aの一部が遠位側テーパー部22に配置されていてもよいが、第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aの全体が遠位側テーパー部22に配置されていることが好ましい。第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bの一部が近位側テーパー部23に配置されていてもよいが、第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bの全体が近位側テーパー部23に配置されていることが好ましい。
【0052】
図2に示すように、第1絶縁基材30の電極配置部31は直管部21に配置されていることが好ましい。第1絶縁基材30の電極配置部31の一部が直管部21に配置されていてもよいが、第1絶縁基材30の電極配置部31の全体が直管部21に配置されていることが好ましい。これにより、第1電極41が直管部21に配置されることになり、第1電極41を処置部に当接させやすくすることができる。
【0053】
筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときに、第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aの形は、筒状部材10の長手方向xにおけるバルーン20の遠位端とバルーン20の近位端を両端とする線分の中点を通り、筒状部材10の長手方向xに垂直な直線を軸として第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bの形を反転させた形と重なり合うように構成されていることが好ましい。上記構成とすることで、バルーン20から流体を除去することによって、第1絶縁基材30に対して筒状部材10の長手方向xに縮む力が付与されたときに、遠位側蛇行部32aと近位側蛇行部32bが筒状部材10の長手方向xに縮む力をほぼ同程度吸収することができるようになる。これにより、電極配置部31の遠位端部と電極配置部31の近位端部がほぼ同程度バルーン20の周方向へ移動することとなるため、バルーン20をバランスよくコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0054】
第1電極41を構成する材料は導電性を有していればよく、例えば金属、または樹脂と金属を含む混合物から構成することができる。中でも、導電性樹脂や、金、銀、銅、白金、白金イリジウム合金、ステンレス、タングステン等の金属を用いることが好ましい。
【0055】
第1電極41の形状は特に限定されないが、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0056】
第1電極41を第1絶縁基材30上に配置する方法としては、第1絶縁基材30上に薄膜を設ける方法が挙げられる。薄膜の形成には、エッチング法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法を用いることができる。
【0057】
第1電極41は、図2に示すように1つのみであってもよいし、図7および図8に示すように複数であってもよい。第1電極41が複数ある場合、筒状部材10の長手方向xにおいて、第1電極41のうち最も遠位側に位置している第1電極41の遠位端から、第1電極41のうち最も近位側に位置している第1電極41の近位端まで延在している第1絶縁基材30部分が電極配置部31である。例えば、図7に示すように、第1電極41として、第1-1電極411と、第1-1電極411よりも近位側に位置している第1-2電極412が存在している場合は、第1-1電極411の遠位端から第1-2電極412の近位端まで延在している第1絶縁基材30部分が電極配置部31である。図8に示すように、第1電極41として、第1-1電極411と、第1-1電極411よりも近位側に位置している第1-2電極412と、第1-1電極411および第1-2電極412よりも近位側に位置している第1-3電極413と、が存在している場合は、第1-1電極411の遠位端から第1-3電極413の近位端まで延在している第1絶縁基材30部分が電極配置部31である。
【0058】
詳細には図示しないが、第1電極41は導線の一端に接続されており、該導線は近位側まで延びて該導線の他端が高周波発生装置73に接続されている構成としてもよい。高周波電界を印加することで第1電極41を加熱することができる。高周波発生装置73は電源回路や高周波発振回路を含んでいてもよい。
【0059】
一端が第1電極41に接続されている導線の他端は、測定器74に接続されていてもよい。これにより第1電極41で測定された生体電位の信号を測定器74まで送ることができる。第1電極41が複数設けられている場合は、測定器74で2つの第1電極41の間におけるインピーダンスを測定することができる。
【0060】
導線は、導電ワイヤなどの導電性の線状体であってもよく、第1絶縁基材30にプリントされた導電性物質であってもよい。導線は、バルーン20の内面29上、バルーン20と第1絶縁基材30の間、または第1絶縁基材30の外面上に配置することができる。
【0061】
図2に示すように、バルーンカテーテル1は、バルーン20が拡径しているときの筒状部材10の長手方向xに垂直な断面において、バルーン20の外面28に配置されており、バルーン20の周方向において第1絶縁基材30の隣に位置している第2絶縁基材50を有していてもよい。第2絶縁基材50の構成については第1絶縁基材30の構成と同様であり、第2絶縁基材50の構成の説明については、第1絶縁基材30の構成の説明と内容が重複するため、省略する場合がある。第2絶縁基材50の説明として、第1絶縁基材30について記載されている部分を参照することができる。
【0062】
図2に示すように、カテーテル1は、第2絶縁基材50上に配置されている第2電極42を有していてもよい。第2電極42の構成については第1電極41の構成と同様であり、第2電極42の構成の説明については、第1電極41の構成の説明と内容が重複するため、省略する場合がある。第2電極42の説明として、第1電極41について記載されている部分を参照することができる。
【0063】
図2に示すように、第2絶縁基材50は、筒状部材10の長手方向xにおいて第2電極42の遠位端から第2電極42の近位端まで延在している電極配置部51と、電極配置部51よりも遠位側および電極配置部51よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部52pを複数有している蛇行部52と、を有していることが好ましい。バルーン20を縮径させるためにバルーン20から流体を除去したときには、第2絶縁基材50に対して筒状部材10の長手方向xに縮む力が付与される。このとき、蛇行部52が筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収することで、電極配置部51がバルーン20の周方向に移動しやすくなる。バルーン20の周方向における電極配置部51の移動が起こることによって、バルーン20が折り畳まれやすくなる。これにより、拡径後のバルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができるため、バルーンカテーテル1を処置部まで搬送する際に使用される搬送用のシース2の内径を、従来よりも小さく設計しやすくすることができ、シース2を細径化しやすくすることができる。
【0064】
図2に示すように、第2絶縁基材50は、電極配置部51よりも遠位側に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部52pを複数有している遠位側蛇行部52aと、電極配置部51よりも近位側に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部52pを複数有している近位側蛇行部52bと、を有していることが好ましい。上記構成とすることで、バルーン20から流体を除去することによって、第2絶縁基材50に対して筒状部材10の長手方向xに縮む力が付与されたときに、遠位側蛇行部52aと近位側蛇行部52bによって筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収することができる。これにより、バルーン20の周方向への電極配置部51の移動が起こりやすくなり、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。なお、図示しないが、蛇行部52は、電極配置部51よりも遠位側にのみ設けられていてもよいし、電極配置部51よりも近位側にのみ設けられていてもよい。遠位側蛇行部52aまたは近位側蛇行部52bのいずれか一方のみが設けられている場合であっても筒状部材10の長手方向xに縮む力を吸収することができ、バルーン20の周方向への電極配置部51の移動を起こすことができるため、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0065】
図7図8に示すように、第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aの近位端は、第2絶縁基材50の遠位側蛇行部52aの遠位端よりも遠位側に位置していてもよい。バルーン20を縮径させたときに、筒状部材10の径方向yにおいて複数の蛇行部同士が重なると嵩張りやすくなる傾向にあるが、上記構成とすることにより、筒状部材10の径方向yにおいて第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aと第2絶縁基材50の遠位側蛇行部53aが重なることがなくなるため、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0066】
図7に示すように、第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bの遠位端は、第2絶縁基材50の近位側蛇行部52bの近位端よりも近位側に位置していてもよい。バルーン20を縮径させたときに、筒状部材10の径方向yにおいて複数の蛇行部同士が重なると嵩張りやすくなる傾向にあるが、上記構成とすることにより、筒状部材10の径方向yにおいて第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bと第2絶縁基材50の近位側蛇行部52bが重なることがなくなるため、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0067】
図8に示すように、第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bの近位端は、第2絶縁基材50の近位側蛇行部52bの遠位端よりも遠位側に位置していてもよい。バルーン20を縮径させたときに、筒状部材10の径方向yにおいて複数の蛇行部同士が重なると嵩張りやすくなる傾向にあるが、上記構成とすることにより、筒状部材10の径方向yにおいて第1絶縁基材30の近位側蛇行部32bと第2絶縁基材50の近位側蛇行部52bが重なることがなくなるため、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0068】
図3に示すように、バルーンカテーテル1は、バルーン20が拡径しているときの筒状部材10の長手方向xに垂直な断面において、バルーン20の外面28に配置されており、バルーン20の周方向において第2絶縁基材50の隣に位置している第3絶縁基材80をさらに有していてもよい。また、バルーンカテーテル1は、バルーン20が拡径しているときの筒状部材10の長手方向xに垂直な断面において、バルーン20の外面28に配置されており、バルーン20の周方向において第3絶縁基材80の隣に位置している第4絶縁基材90をさらに有していてもよい。第3絶縁基材80と第4絶縁基材90の構成については第1絶縁基材30の構成と同様であり、第3絶縁基材80と第4絶縁基材90の構成の説明については、第1絶縁基材30の構成の説明と内容が重複するため、省略する場合がある。第3絶縁基材80と第4絶縁基材90の説明として、第1絶縁基材30について記載されている部分を参照することができる。
【0069】
図3に示すように、第3絶縁基材80上に配置されている第3電極43を有していてもよい。また、第4絶縁基材90上に配置されている第4電極44を有していてもよい。第3電極43と第4電極44の構成については第1電極41の構成と同様であり、第3電極43と第4電極44の構成の説明については、第1電極41の構成の説明と内容が重複するため、省略する場合がある。第3電極43と第4電極44の説明として、第1電極41について記載されている部分を参照することができる。
【0070】
第3絶縁基材80は、筒状部材10の長手方向xにおいて第3電極43の遠位端から第3電極43の近位端まで延在している電極配置部81と、電極配置部81よりも遠位側および電極配置部81よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部を有していてもよい。第3絶縁基材80は、蛇行部として、遠位側蛇行部と近位側蛇行部を有していてもよい。
【0071】
第4絶縁基材90は、筒状部材10の長手方向xにおいて第4電極44の遠位端から第4電極44の近位端まで延在している電極配置部91と、電極配置部91よりも遠位側および電極配置部91よりも近位側の少なくともいずれか一方に位置しており、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向から観察したときにバルーン20の周方向に蛇行し、バルーン20の周方向に突出している頂部を複数有している蛇行部を有していてもよい。図5に示すように、第4絶縁基材90は、蛇行部として、遠位側蛇行部92aと近位側蛇行部92bを有していてもよい。
【0072】
図1図4に示すように、バルーン20は、筒状部材10の長手方向xに延在している折り目26を有していてもよい。折り目26は、その全体が筒状部材10の長手方向xに延在していてもよいし、その一部のみが筒状部材10の長手方向xに延在していてもよい。折り目26は、バルーン20を折ったときにつく線のことである。折り目26は、例えば金型を用いてバルーン20に形成することができる。折り目26は、バルーン20に複数存在していることが好ましい。
【0073】
図3図4では、折り目26がバルーン20に8個設けられている態様を示しているが、折り目26の数はこれに限定されるわけではなく、バルーン20の大きさなどに合わせて適宜設定することができる。例えば、折り目26は、2個以上であってもよいし、4個以上であってもよいし、6個以上であってもよいし、8個以上であってもよい。バルーン20に設けられる折り目26は、例えば15個以下、10個以下等にすることができる。
【0074】
図3図4に示している例では、第1の折り目261、第2の折り目262、第3の折り目263、第4の折り目264、第5の折り目265、第6の折り目266、第7の折り目267、第8の折り目268を有しているバルーン20を示している。
【0075】
図4に示すように、バルーン20には、山折りの折り目26と谷折りの折り目26が交互に設けられていることが好ましい。ここで、山折りの折り目26とは、バルーン20の径方向外方に向かって突出するように折られて形成された折り目26のことをいい、谷折りの折り目26とはバルーンの径方向内方に向かって突出するように折られて形成された折り目26のことをいう。例えば、図4では、第1の折り目261と第3の折り目263と第5の折り目265と第7の折り目267が山折りの折り目26であり、第2の折り目262と第4の折り目264と第6の折り目266と第8の折り目268が谷折りの折り目26である。山折りの折り目26と谷折りの折り目26が交互に設けられていることにより、谷折りの折り目26部分を起点として山折りの折り目26部分を筒状部材10の周方向zに倒れやすくすることができるため、バルーン20をコンパクトに縮径させやすくすることができる。
【0076】
図1図4に示すように、第1絶縁基材30の電極配置部31は複数の折り目26同士の間に配置されていることが好ましい。これにより、バルーン20から流体を除去したときに、図4に示すようにバルーン20が折り目26に沿って折り畳まれやすくなり、バルーン20を小さく縮径させやすくすることができる。
【0077】
図1図2に示すように、複数の折り目26は、筒状部材10の長手方向xに垂直な方向に並列していてもよい。バルーン20に形成されている全ての折り目26が筒状部材10の長手方向xに延在していてもよいし、その一部のみが筒状部材10の長手方向xに延在していてもよい。
【0078】
第1絶縁基材30の遠位側蛇行部32aおよび近位側蛇行部32bは、複数の折り目26同士の間に配置されていることが好ましい。これにより、バルーン20から流体を除去したときに、図4に示すようにバルーン20が折り目26に沿って折り畳まれやすくなり、バルーン20を小さく縮径させやすくすることができる。
【0079】
第1絶縁基材30は折り目26上に配置されていないことが好ましい。これにより、バルーン20から流体を除去したときに、図4に示すようにバルーン20が折り目26に沿って折り畳まれやすくなり、バルーン20を小さく縮径させやすくすることができる。
【0080】
折り目26は、バルーン20の直管部21に設けられていることが好ましい。折り目26は、バルーン20の直管部21にのみ設けられていてもよいが、バルーン20の直管部21、遠位側テーパー部22および近位側テーパー部23に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1:バルーンカテーテル
2:シース
10:筒状部材
11:外筒
12:外筒の内腔
13:外筒の外面
14:外筒の内面
15:内筒
16:内筒の内腔
17:内筒の外面
18:内筒の内面
20:バルーン
21:直管部
22:遠位側テーパー部
23:近位側テーパー部
24:遠位側スリーブ部
25:近位側スリーブ部
26:折り目
27:バルーンの内腔
28:バルーンの外面
29:バルーンの内面
261:第1の折り目
262:第2の折り目
263:第3の折り目
264:第4の折り目
265:第5の折り目
266:第6の折り目
267:第7の折り目
268:第8の折り目
30:第1絶縁基材
31:電極配置部
32:蛇行部
32a:遠位側蛇行部
32b:近位側蛇行部
32p:頂部
41:第1電極
411:第1-1電極
412:第1-2電極
413:第1-3電極
42:第2電極
421:第2-1電極
422:第2-2電極
423:第2-3電極
43:第3電極
44:第4電極
50:第2絶縁基材
51:電極配置部
52:蛇行部
52a:遠位側蛇行部
52b:近位側蛇行部
52p:頂部
71:操作部
72:流体調節器
73:高周波発生装置
74:測定器
80:第3絶縁基材
81:電極配置部
90:第4絶縁基材
91:電極配置部
92a:遠位側蛇行部
92b:近位側蛇行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8