(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076080
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】駐車補助装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/48 20060101AFI20240529BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20240529BHJP
B60Q 1/30 20060101ALI20240529BHJP
B60Q 1/32 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B60Q1/48
B60Q1/00 G
B60Q1/30
B60Q1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187460
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パタンカール ヤシャヴァルダン
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339AA28
3K339AA33
3K339AA34
3K339AA43
3K339BA09
3K339BA10
3K339BA22
3K339BA26
3K339CA12
3K339CA14
3K339CA30
3K339DA05
3K339EA01
3K339EA02
3K339EA05
3K339FA05
3K339FA07
3K339FA08
3K339GB21
3K339GC05
3K339JA21
3K339KA01
3K339KA21
3K339MA10
3K339MC43
3K339MC48
3K339MC68
(57)【要約】
【課題】後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とを高める。
【解決手段】前後方向に沿って長尺な車体2を有する車両1に搭載される駐車補助装置10であって、車体2の前端部における左側及び右側と前記車体の後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、路面へ向けて光線を照射する姿勢で取り付けられた複数の光源体11と、車両1を前進させる前進段及び後退させる後退段の一方から他方に切り替える変速手段12と、変速手段12からの情報に基づき変速手段12が後退段にあるとき光源体11のそれぞれを作動して、各光源体11から照射された光線により、少なくとも車体2の左右両側と後方との三方において車体2から外側へ所定のオフセット距離Xだけ離隔した位置で車体2を囲む枠状の安全枠20を、路面上に投影する制御手段15と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って長尺な車体を有する車両に搭載される駐車補助装置であって、
前記車体の前端部における左側及び右側と前記車体の後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、路面へ向けて光線を照射する姿勢で取り付けられた複数の光源体と、
前記車両を前進させる前進段及び後退させる後退段の一方から他方に切り替える変速手段と、
前記変速手段が前記後退段にあるとき前記光源体のそれぞれを作動させて、各前記光源体から照射された前記光線により、少なくとも前記車体の左右両側と後方との三方において前記車体から外側へ所定のオフセット距離だけ離隔した位置で前記車体を囲む枠状の安全枠を、前記路面上に投影する制御手段と、を備えた
ことを特徴とする駐車補助装置。
【請求項2】
前記車両はトラックである
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【請求項3】
前記車両はバスである
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【請求項4】
前記車両の速度を検出する車速検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記車速検出手段の検出した後退速度に応じて前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【請求項5】
前記車両の速度を制御する速度制御手段を更に備え、
前記制御手段は、前記速度制御手段の出力状態に応じて前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【請求項6】
前記車両は、トラクタと前記トラクタの後方に連結されたトレーラとからなるトラクタトレーラ型トラックであり、
前記複数の光源体は、前記トレーラの前端部における左側及び右側と前記トレーラの後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、
前記制御手段は、前記トレーラを囲む前記安全枠を前記路面上に照射する
ことを特徴とする請求項2に記載の駐車補助装置。
【請求項7】
前記複数の光源体は、前記トラクタの前端部における左側及び右側と前記トラクタの後端部における左側及び右側とのそれぞれに一つずつ配設されており、
前記制御手段は、少なくとも前記トラクタ及び前記トレーラそれぞれの左右両側と前記トレーラの後方との三方を囲む前記安全枠を前記路面上に照射する
ことを特徴とする請求項6に記載の駐車補助装置。
【請求項8】
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記車速検出手段の検出した後退速度と、前記操舵角検出手段の検出した前記操舵角とに応じて、前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の駐車補助装置。
【請求項9】
前記車両の速度を制御する速度制御手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記速度制御手段の出力状態と前記操舵角検出手段の検出した前記操舵角とに応じて、前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の駐車補助装置。
【請求項10】
前記複数の光源体のそれぞれは角度調整可能に取り付けられており、
前記制御手段は、前記光源体の角度を調整することで前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【請求項11】
前記複数の光源体は、前記車体のルーフにおいて前部の左右両側と後部の左右両側とに一つずつ配設された四つの前記光源体である
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【請求項12】
前記複数の光源体は、前記車体前部の左側及び右側のそれぞれに設けられたウインカーランプ用レンズ内と前記車体後部の左側及び右側のそれぞれに設けられたコンビネーションランプ用レンズ内とに一つずつ配設された四つの前記光源体である
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、トラックやバスなどのように前後方向に沿って長尺な車体を有する車両に搭載される駐車補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックやバスなどのように前後方向に長尺な車体を有する車両(以下、「長尺車両」とも言う)においては、車体の大きさ、視認性の乏しさ及び多くの死角の存在といった理由から、前後方向の寸法が短い車両に比べて後退運転が難しい傾向がある。特に狭いスペースでの後退では困難性が顕著である。そのため、例えば後退運転で駐車する際に車両外部の補助者による誘導が必要となる場合がある。
【0003】
車両の後退運転を補助する技術として、特許文献1には、車体から外部に向けて取り付けられた照射装置を有する車両において、車両が後退する際に後退を告げる表示物を路面上に照射する技術が開示されている。この技術によれば、車両が後退する際に、車両後部の直近エリアに可視光アニメーションを表示して、車両の周囲にいる人や他の車両の運転者に対し後退の意図を伝達し得るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の車両の後方路面上に表示物を照射する従来技術では、特にトラックやバスなどの前後方向に長尺な車体を有する車両において、運転席から表示物を目視確認するのが難しい。また、長尺車両を後退運転で駐車する場合、車両の後方路面上の表示物だけでは車両が移動し得る範囲を把握するのが難しい。
よって、前後方向に沿って長尺な車体を有する車両において後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とを高めるうえで、改善の余地があった。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、前後方向に沿って長尺な車体を有する車両において後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とを高めることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
(1)適用例に係る駐車補助装置は、前後方向に沿って長尺な車体を有する車両に搭載される駐車補助装置であって、前記車体の前端部における左側及び右側と前記車体の後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、路面へ向けて光線を照射する姿勢で取り付けられた複数の光源体と、前記車両を前進させる前進段及び後退させる後退段の一方から他方に切り替える変速手段と、前記変速手段が前記後退段にあるとき前記光源体のそれぞれを作動させて、各前記光源体から照射された前記光線により、少なくとも前記車体の左右両側と後方との三方において前記車体から外側へ所定のオフセット距離だけ離隔した位置で前記車体を囲む枠状の安全枠を、前記路面上に投影する制御手段と、を備えている。
【0007】
適用例に係る駐車補助装置では、車両を後退させるときに各光源体から発生した光線により、少なくとも車体の左右両側と後方との三方において車体から外側へ所定のオフセット距離だけ離隔した位置で車体を囲む枠状の安全枠が路面上に照射される。そのため、前後方向に沿って長尺な車体を有する長尺車両において、運転者は運転席から安全枠を目視確認できる。よって、長尺車両における後退運転に関する運転性が向上する。また、車両の周囲の歩行者や他の車両の運転者は安全枠により目視で車両が移動し得る範囲を確認できる。そのため、周囲に対する安全性が向上する。
【0008】
(2)本適用例に係る駐車補助装置において前記車両はトラックであってよい。
(3)また、本適用例に係る駐車補助装置において前記車両はバスであってよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、車体が前後方向に沿って長尺なトラックやバスに適した安全枠を照射することができる。そのため、トラックやバスにおいて後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とを高めることができる。
【0009】
(4)本適用例に係る駐車補助装置は、前記車両の速度を検出する車速検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記車速検出手段の検出した後退速度に応じて前記オフセット距離を変更してもよい。
(5)また、本適用例に係る駐車補助装置は、前記車両の速度を制御する速度制御手段を更に備え、前記制御手段は、前記速度制御手段の出力状態に応じて前記オフセット距離を変更してもよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、車速検出手段の検出した後退速度又は速度制御手段の出力状態に応じて、安全枠が車体から離隔するオフセット距離を変更できる。そのため、車両の後退速度に適した安全枠を照射することができる。よって、後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とをより高めることができる。
【0010】
(6)本適用例に係る駐車補助装置において前記車両は、トラクタと前記トラクタの後方に連結されたトレーラとからなるトラクタトレーラ型トラックであり、前記複数の光源体は、前記トレーラの前端部における左側及び右側と前記トレーラの後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、前記制御手段は、前記トレーラを囲む前記安全枠を前記路面上に照射してもよい。
トラクタトレーラ型トラックでは、操舵に応じてトラクタとトレーラとが連結部分で折れ曲がるので、後退時に安全枠で照射すべき範囲が、操舵角に応じてトラクタとトレーラとで変わりうる。この点、本適用例に係る駐車補助装置では、少なくともトレーラ側に安全枠を照射することでトラクタトレーラ型トラックに適した安全枠を照射することができる。
【0011】
(7)本適用例に係る駐車補助装置において、前記複数の光源体は、前記トラクタの前端部における左側及び右側と前記トラクタの後端部における左側及び右側とのそれぞれに一つずつ配設されており、前記制御手段は、少なくとも前記トラクタ及び前記トレーラそれぞれの左右両側と前記トレーラの後方との三方を囲む前記安全枠を前記路面上に照射してもよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、トレーラ側に加えてトラクタ側にも安全枠を照射することで、周囲に対する安全性をより高めることができる。
【0012】
(8)本適用例に係る駐車補助装置は、前記車両の速度を検出する車速検出手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを更に備え、前記制御手段は、前記車速検出手段の検出した後退速度と、前記操舵角検出手段の検出した操舵角とに応じて、前記オフセット距離を変更してもよい。
(9)本適用例に係る駐車補助装置は、前記車両の速度を制御する速度制御手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを更に備え、前記制御手段は、前記速度制御手段の出力状態と前記操舵角検出手段の検出した操舵角とに応じて、前記オフセット距離を変更してもよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、後退速度又は速度制御手段の出力状態と操舵角とに応じてオフセット距離を変更するので、トラクタトレーラ型トラックにおいて後退速度又は速度制御手段の出力状態と操舵角とを考慮した安全枠を照射することができる。そのため、トラクタトレーラ型トラックにおいて後退運転に関する運転性と周囲に対する安全性とをより高めることができる。
【0013】
(10)本適用例に係る駐車補助装置において、前記複数の光源体のそれぞれは角度調整可能に取り付けられており、前記制御手段は、前記光源体の角度を調整することで前記オフセット距離を変更してもよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、光源体の機械的な取り付け角度を調整するだけでオフセット距離を変更できるため、オフセット距離を変更するための構造及び制御が簡素である。
【0014】
(11)本適用例に係る駐車補助装置において、前記複数の光源体は、前記車体のルーフにおいて前部の左右両側と後部の左右両側とに一つずつ配設された四つの前記光源体であってもよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、光源体が車体のルーフに設けられており、光源体から路面までの距離を長くとることができる。そのため、光源体の光線照射範囲を広く確保できる。よって、より広い安全枠を照射することができるようになる。
【0015】
(12)本適用例に係る駐車補助装置において、前記複数の光源体は、前記車体前部の左側及び右側のそれぞれに設けられたウインカーランプ用レンズ内と前記車体後部の左側及び右側のそれぞれに設けられたコンビネーションランプ用レンズ内とに一つずつ配設された四つの前記光源体であってもよい。
本適用例に係る駐車補助装置では、光源体がウインカーランプ用レンズ内とコンビネーションランプ用レンズ内とに設けられているため、光源体が外部に対しレンズでカバーされる。そのため外部にむき出しで配設する構造に比べて、破損しにくい。また、外観のデザイン性を確保しやすい。
【発明の効果】
【0016】
適用例に係る駐車補助装置によれば、前後方向に沿って長尺な車体を有する車両において後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】適用例に係る駐車補助装置を搭載したトラックを駐車補助装置とともに示す説明図であって、トラックを上から見た図である。
【
図3】
図1のトラックに取り付けられた光源体の斜視図である。
【
図4】
図1の駐車補助装置における制御構成を説明するブロック図である。
【
図5】
図1の駐車補助装置における制御手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】適用例に係る駐車補助装置を搭載したトラクタトレーラ型トラックの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本件の適用例に係る駐車補助装置について説明する。以下の適用例はあくまでも例示に過ぎず、この適用例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の適用例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、下記の適用例の各構成は、必要に応じて取捨選択でき、あるいは公知技術に含まれる各種構成と適宜組み合わせられる。
なお、以下の説明では、本適用例に係る駐車補助装置を搭載した車両を基準にして前後方向D1(車両前後方向),左右方向D2(車両幅方向)及び上下方向D3(車両高さ方向)が定められている。図中符号FRは前方(前後方向D1の一方)を示し、符号RRは後方(前後方向D1の他方)を示す。符号LHは左方(左右方向D2の一方)を示し、符号RHは右方(左右方向D2の他方)を示す。符号UPは上方(上下方向D3の一方)を示し、符号DWは下方(上下方向D3の他方)を示す。
【0019】
[1.第一実施形態]
[1-1.構成]
図1は、第一実施形態に係る駐車補助装置10を搭載したトラック1を上から見た説明図であり、
図2は、
図1のトラックの側面図である。
トラック1は、前後方向に沿って長尺な車体2を有する車両(「長尺車両」とも言う)の一例である。トラック1は、キャブ2Aと荷台2Bとが一つのフレーム2C(
図2参照)で一体的に支持されたものである。車体2には、キャブ2Aと荷台2Bとが含まれている。なお、
図1及び
図2では、トラック1の一部を省略している。
【0020】
トラック1には、駐車補助装置10が搭載されている。駐車補助装置10は、トラック1を後退させるときに、車体2の周囲の路面5上に安全枠20(
図1において破線で示す)を投影(映写)して、後退運転に関する視覚的ガイドを運転者及び周囲にいる人や他の車両の運転者に提供するものである。なお、
図2に示すように、路面5はトラック1の車輪4の接地面である。
この駐車補助装置10には、複数の光源体11と、トラック1の変速手段12と、トラック1の速度を検出する車速検出手段13と、トラック1の速度を制御する速度制御手段14と、光源体11の作動を制御するための制御装置(制御手段)15とが含まれている。なお、
図1において駐車補助装置10の構成要素は二点鎖線で囲まれている。
【0021】
図1に示すトラック1では、車体2の四隅のそれぞれに1つずつ四つの光源体11が配設されている。各光源体11は、路面5へ向けて光線を照射して、光線により路面5上に安全枠20を投影するための投影装置である。具体的に言えば、各光源体11としては、レーザ光線を発生するためのレーザ光源体が挙げられる。レーザ光線の色は特に限定されないが、明所及び暗所の何れにおいても運転席及び周囲の双方から視認性を確保しうる色であることが好ましい。レーザ光線の色としては、例えば赤色や緑色が挙げられる。なお、上記のレーザ光線の色とは、路面5上に投影されたレーザ光線(安全枠20)の色を意味する。
各光源体11は共通に構成される。以下の説明で四つの光源体11を区別する場合、符号11FL,11FR,11RL,11RRを用いる。光源体11FL,11FR,11RL,11RRを区別しない場合は符号11を用いる。
【0022】
図1及び
図2に示すように、光源体11FLは、キャブ2A(車体2)の前端部における左側に配置されている。光源体11FRは、キャブ2A(車体2)の前端部における右側に配置されている。光源体11RLは、荷台2B(車体2)の後端部における左側に配置されている。光源体11RRは、荷台2B(車体2)の後端部における右側に配置されている。
これらの光源体11FL,11FR,11RL,11RRは、路面5へ向けて光線を照射する姿勢で車体2のルーフ3の前部及び後部に取り付けられている。ルーフ3は車体2の上部をなす部位である。
図2に示すように、光源体11はルーフ3のうち車幅方向外側を向いた面部(車体2の側面に沿う部位)に取り付けられている。すなわち、「ルーフ3に取り付けられている」とは、車体2における上方の部位に取り付けられていることを意味する。
【0023】
これらの光源体11FL,11FR,11RL,11RRから照射された光線により、安全枠20が路面5上に投影される。
図1の安全枠20は、車体2の左右両側と後方との三方を囲む形状であって、平面視でコの字型の枠状をなす。詳しくは、
図1の安全枠20は、車体2に対して車両幅方向の左側(一側)で前後方向D1に沿って直線状に延在する左縦辺と、車体2に対して車両幅方向の右側(他側)で前後方向D1に沿って直線状に延在する右縦辺と、車体2に対して後方で左右方向D2に沿って直線状に延在する後横辺と、を含む。
【0024】
光源体11FL,11FR,11RL,11RRのそれぞれで分担して、一つの安全枠20を投影している。すなわち、光源体11FL,11FR,11RL,11RRのそれぞれからの光線は、安全枠20をなす辺の一部を担当している。具体的に言えば、以下のような分担形態が例示される。すなわち、光源体11FLが安全枠20のうち左縦辺前部を担当し、光源体11FRが安全枠20のうち右縦辺前部を担当する。また、光源体11RLが安全枠20のうち左縦辺後部と後横辺の左側部分を担当し、光源体11RRが安全枠20のうち右縦辺後部と後横辺の右側部分を担当する。
光源体11FL,11FR,11RL,11RRのそれぞれは、自身の担当する辺の形状を路面5に投影し得る形状の光線を照射するように形成されている。
図2中符号Pは、光源体11FL,11RLからの光線が照射される範囲を例示している。
光線により任意の形状を投影する技術は公知の技術を適用してよい。なお、分担形態は一例であり、上記に限定されるものではない。
【0025】
図1に示すように、安全枠20は、車体2から外側へ所定のオフセット距離Xだけ離隔した位置に照射されている。オフセット距離Xは、車体2で外側を向いた面を基準として、車体2で外側を向いた面と安全枠20をなす各辺とが車両幅方向外側に離隔する寸法である。安全枠20をなす各辺は、車体2から外側へ所定のオフセット距離Xだけ離隔した位置に照射されている。具体的に言えば、安全枠20の左縦辺は、車体2の左側面に対して車両幅方向の左側へオフセット距離Xだけ離隔した位置に照射される。安全枠20の右縦辺は、車体2の右側面に対して車両幅方向の右側へオフセット距離Xだけ離隔した位置に照射される。安全枠20の後横辺は、車体2の後端面に対して車両後方方へオフセット距離Xだけ離隔した位置に照射される。本実施形態ではオフセット距離Xが車体2の左右側及び後方のそれぞれ共通である場合を例に挙げる。
【0026】
図3は、光源体11の構成例を説明するための斜視図である。
図3に示すように、光源体11には、レーザ光線30(
図3中破線で示す)を照射する光源モジュール31と、光源モジュール31を車体2に取り付けるためのブラケット32とが含まれている。ブラケット32は、路面5へ向けてレーザ光線30を照射する姿勢で光源モジュール31を支持している。
【0027】
ブラケット32は、固定部33と固定部33に対し車両幅方向外側に延出した腕部34とを含み、固定部33において車体側に固定され、腕部34の先端側にヒートシンク35を介して光源モジュール31(光源体11)が取り付けられている。ヒートシンク35は光源モジュール31の作動に伴い生じる熱を放熱する部材である。
腕部34は、固定部33から車両幅方向外側へ延出した基端部34Aと、基端部34Aの先端に回転軸34Bを介して回転自在に連結された先端部34Cとを含む。この先端部34Cにおいて光源モジュール31が支持されている。
【0028】
このため、光源モジュール31(光源体11)は、回転軸34Bを中心に角度調整可能に、車体2に取り付けられている。ここで、角度は、回転軸34Bの回転角度に対応するものである。この角度調整により、光源体11の姿勢、言い換えれば路面5に対するレーザ光線30の照射角度を調整できる。なお、光源体11には、光源モジュール31の角度調整するための駆動機構(図示省略)が含まれている。
【0029】
変速手段12は、運転者が変速操作を入力するためのシフトレバー(図示省略)と、シフトレバーの操作状態を検出するセンサとを含む。この変速手段12では、少なくとも、トラック1を前進させる前進段及び後退させる後退段の一方から他方に切り替える変速操作が入力されるとともに、後退段に切り替えられたこと(変速手段12が後退段にあること)を示す検出信号が出力される。
【0030】
車速検出手段13は、トラック1の速度を検出するセンサであり、車輪速に応じた検出信号を出力する。駐車補助装置10では、トラック1の後退時の車速検出手段13からの検出信号を、トラック1の後退速度として利用できる。後退速度とは、トラック1の後退時の速度である。
速度制御手段14は、運転者がトラック1の速度を制御する操作を入力するためのアクセルペダル(図示省略)と、アクセルの開度、すなわち、アクセルペダルの操作量を検出するセンサとを含み、アクセルペダルの操作量を検出信号として出力できる。この速度制御手段14の出力状態(アクセルペダルの操作量)から、トラック1の速度制御状態を判別できる。そのため、駐車補助装置10では、トラック1の後退時の速度制御手段14の出力状態を、トラック1の後退速度として利用できる。
【0031】
制御装置15は、光源体11の作動を制御するための電子制御装置(ECU)であり、例えばマイクロプロセッサやROM、RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成されている。制御装置15は、ROM、RAM等のメモリ装置に記憶されたソフトウェアプログラムを実行することにより、光源体11の作動制御を実施する。なお、制御装置15は、トラック1が備える各種装置を統括制御するための電子制御装置(VCU)の一部として構成されてもよいし、VCUとは別の電子制御装置により構成されてもよい。
【0032】
[1-2.制御]
図4は、駐車補助装置10における制御構成例を説明するブロック図である。
制御装置15内には、光源体11の作動制御を実施するための機能要素として、オンオフ制御部15Aと、オフセット制御部15Bとが設けられている。これらの機能要素15A,15Bは、制御装置15の機能を便宜的に分類して示したものであり、制御装置15のハードウェア資源を用いて実行されるソフトウェアとして設けられている。
制御装置15の入力側には、変速手段12,車速検出手段13及び速度制御手段14が接続されている。また、制御装置15の出力側には、レギュレータ16を介して光源体11が接続されている。
【0033】
オンオフ制御部15Aは、変速手段12からの検出信号に基づき、光源体11による光線照射のオンオフを切り替える。
具体的に言えば、オンオフ制御部15Aは、変速手段12が後退段にあることを示す検出信号が変速手段12から入力されたときに、光源体11へオン信号を出力する。変速手段12が前進段にあることを示す検出信号が変速手段12から入力されたときに、光源体11へオフ信号を出力する。これにより、トラック1の後退時に光源体11が作動して、安全枠20が照射される。一方、トラック1の前進時には光源体11が作動せず、安全枠20は照射されない。
【0034】
オフセット制御部15Bは、車速検出手段13の検出信号又は速度制御手段14の出力状態に基づくトラック1の後退速度に応じて、安全枠20のオフセット距離Xを変更するする。
具体的には、オフセット制御部15Bでは、トラック1の後退速度に応じて光源モジュール31(光源体11)の角度調整制御を行う。上述のように、この角度調整により、光源モジュール31の姿勢、言い換えれば路面5に対するレーザ光線30の照射角度を、機械的に調整できる。光源モジュール31の角度調整の結果、オフセット距離Xが変更される。すなわち、オフセット制御部15Bでは、トラック1の後退速度に応じたオフセット距離Xを設定するために、光源モジュール31の角度調整量を算出し、算出した角度調整量を示す制御信号を光源体11へ出力している。
【0035】
オフセット制御部15Bは、トラック1の後退速度に適した広さの安全枠20を照射する観点から、光源モジュール31の角度調整量を算出する。具体的に言えば、オフセット制御部15Bは、トラック1の後退速度が遅いほどオフセット距離Xを短く設定し、また、後退速度が速いほどオフセット距離Xを長く設定するように、光源モジュール31の角度調整量を算出している。トラック1の後退速度が速いほど時間当たりのトラック1の移動範囲が広くなり得る。そのため、トラック1の後退速度が速いほどオフセット距離Xを長く設定して、安全枠20を広げている。
なお、
図1及び
図4では、制御装置15の入力側に車速検出手段13及び速度制御手段14が接続された構成例を示しているが、制御装置15の入力側には車速検出手段13及び速度制御手段14の何れか一方が接続されていればよい。
【0036】
図5は、制御装置15が実施する光源体11の作動制御例を説明するフローチャートである。
本フローチャートは、変速手段12が後退段にあることを示す検出信号が変速手段12から入力されたときに、開始する。
ステップS1において、オフセット制御部15Bは、車速検出手段13の検出信号又は速度制御手段14の出力状態を取得して、トラック1の後退速度に応じたオフセット距離Xを設定する。そして、設定したオフセット距離Xに対応する光源モジュール31の角度調整量を算出する。
【0037】
ステップS2において、オフセット制御部15Bは、算出した角度調整量を示す制御信号を光源体11へ出力する。光源体11では、制御信号に基づき駆動機構(図示省略)が作動して、設定されたオフセット距離Xだけ離隔した位置に安全枠20が照射されるように、光源体11の姿勢(光源モジュール31の角度)が調整される。
【0038】
ステップS3において、オンオフ制御部15Aは、各光源体11を作動する(オンに設定)。これにより、オフセット距離Xだけ離隔した位置に安全枠20が照射される。
そして、変速手段12が後進段にある間(ステップS4のNo)、トラック1の後退速度が変更されなければ(ステップS5のNo)、ステップS3を繰り返して、オフセット距離Xだけ離隔した位置に安全枠20の照射を継続する。
【0039】
一方、変速手段12が後進段にある間(ステップS4のNo)、トラック1の後退速度が変更された場合(ステップS5のYes)、オフセット距離Xをオフセット距離X′に変更し(ステップS1)、変更後のオフセット距離X′だけ離隔した位置に安全枠20を照射する(ステップS2及びS3)。
変速手段12が前進段に変更された場合(ステップS4のYes)、ステップS6においてオンオフ制御部15Aは各光源体11の作動を終了(オフに設定)する。これにより、安全枠20の照射が終了する。そして、制御装置15は、本フローチャートの処理を終了する。
【0040】
[1-3.作用及び効果]
上記の適用例に係る駐車補助装置10では、トラック1を後退させるときに、各光源体11から発生した光線により、車体2の左右両側と後方との三方において車体2から外側へ所定のオフセット距離Xだけ離隔した位置で車体2を囲む枠状の安全枠20が路面5上に照射される。そのため、前後方向に沿って長尺な車体を有するトラック1(長尺車両)においても、運転席から安全枠20を目視確認できる。運転席から安全枠20を目視確認しながら車両を後退させることができるので、トラック1における後退運転に関する運転性が向上する。また、トラック1の周囲の歩行者や他の車両の運転者は、安全枠20により目視でトラック1が後退移動し得る範囲を確認できる。そのため、周囲に対する安全性が向上する。よって、トラック1において後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とを高めることができる。
【0041】
本適用例に係る駐車補助装置10では、車速検出手段13の検出信号又は速度制御手段14の出力状態に応じて、安全枠20が車体2から離隔するオフセット距離Xを変更できる。そのため、トラック1の後退速度に適した広さの安全枠20を照射することができる。よって、トラック1において後退運転する際の運転性と周囲に対する安全性とをより高めることができる。
【0042】
本適用例に係る駐車補助装置10では、複数の光源体11のそれぞれが角度調整可能に取り付けられており、光源体11の機械的な取り付け角度を調整するだけでオフセット距離Xを変更できるため、距離変更のための構造及び制御が簡素である。
また、本適用例に係る駐車補助装置10では、四つの光源体11が車体2のルーフ3に配設されているので、光源体11から路面5までの距離を長くとることができる。そのため、光源体の光線照射範囲を広く確保でき、より広い安全枠を照射することができるようになる。
【0043】
[2.第二実施形態]
図6は、第二実施形態に係る駐車補助装置10′の説明図であって、駐車補助装置10′を搭載したトラクタトレーラ型トラック1′を上から見た図である。
トラクタトレーラ型トラック1′は、トラクタ40とトラクタ40の後方に連結されたトレーラ50とを含んでいる。トラクタ40には運転席が設けられており、トラクタ40の図示しないカプラとトレーラの図示しないキングピンを連結することにより、トラクタ40がトレーラ50をけん引する。トレーラ50はトラクタ40にけん引される荷台部である。
【0044】
駐車補助装置10′には、光源体として、トラクタ40の四隅に配設された四つのトラクタ側光源体41とトレーラ50の四隅に配設された四つのトレーラ側光源体51とが設けられており、かつ、制御装置15の入力側に操舵角検出手段17が接続されている。
すなわち、第二実施形態に係る駐車補助装置10′は、車両がトラクタトレーラ型トラック1′であり、かつ、トラクタ側光源体41,トレーラ側光源体51及び操舵角検出手段17を有する点が、第一実施形態の駐車補助装置10とは異なり、その他は共通構成である。そのため、既述と共通の構成要素については、共通の符号を付与して説明を省略する。
【0045】
トラクタ側光源体41は、トラクタ40の前端部における左側と、トラクタ40の前端部における右側と、トラクタ40の後端部における左側と、トラクタ40の後端部における右側とのそれぞれに一つずつ配置されている。トラクタ側光源体41は、安全枠20′のうち、トラクタ40左右両側に位置する二辺を照射するものである。
トレーラ側光源体51は、トレーラ50の前端部における左側と、トレーラ50の前端部における右側と、トレーラ50の後端部における左側と、トレーラ50の後端部における右側とのそれぞれに一つずつ配置されている。トレーラ側光源体51は、安全枠20′のうち、トレーラ50左右両側に位置する二辺とトレーラ50後方に位置する一辺とを照射するものである。
【0046】
操舵角検出手段17は、トラクタトレーラ型トラック1′の運転者によるステアリングホイールの操作に応じた操舵角を検出するセンシング装置である。操舵角検出手段17の検出信号は、制御装置15の入力側に供給される。
制御装置15は、車速検出手段13の検出信号又は速度制御手段14の出力状態に基づく後退速度と、操舵角検出手段17で検出した操舵角とに応じて、安全枠20のオフセット距離Xを変更する。すなわち、各光源体41,51の角度が調整される(オフセット制御部15Bの動作)。
【0047】
トラクタトレーラ型トラック1′では、操舵に応じてトラクタ40とトレーラ50とが連結部分(上述のカプラとキングピン)で折れ曲がる。そのため、後退時にトラクタ40側に照射すべき安全枠の範囲とトレーラ50側に照射すべき安全枠の範囲とは、操舵角に応じて異なり得る。
図6において、トラクタ40とトレーラ50とが折れ曲がった時に照射される安全枠20′′とオフセット距離X′′の一例を一点鎖線で示している。
よって、第二実施形態に係る駐車補助装置10′では、トラクタ40側に設けたトラクタ側光源体41でトラクタ40側の安全枠20′(安全枠20′の一部)を照射し、トレーラ50側に設けたトレーラ側光源体51でトレーラ50側の安全枠20′(安全枠20′の他部)を照射している。そのため、トラクタ40とトレーラ50とが折れ曲がった時にも適切な安全枠20′′を照射することができる。すなわち、トラクタトレーラ型トラック1′に適した安全枠20′,20′′を照射することができる。後方のトレーラ50側だけでなく前方のトラクタ40側でも安全枠20′,20′′を照射することで、周囲に対する安全性をより高めることができる。
【0048】
第二実施形態に係る駐車補助装置10′では、車速検出手段13の検出信号又は速度制御手段14の出力状態に基づく後退速度と、操舵角検出手段17で検出した操舵角とに応じて、オフセット距離Xが変更される。そのため、トラクタトレーラ型トラック1′において後退速度だけでなく操舵角を考慮した安全枠20′,20′′を照射することができる。よって、トラクタトレーラ型トラック1′における後退運転に関する運転性と周囲に対する安全性とをより高めることができる。
第二実施形態に係る駐車補助装置10′では、上記の他、第一実施形態に係る駐車補助装置10と同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
[3.その他]
上記の第一実施形態では、駐車補助装置10がトラック1に搭載される場合を例に挙げたが、駐車補助装置10はバスに搭載されてもよい。この場合も、第一実施形態に係る駐車補助装置10と同様の作用効果を得ることができる。
上記の各実施形態に係る駐車補助装置10では、光源体11(光源体41,51)が車体2のルーフ3に配設された場合を例に挙げた。変形例として、光源体11(光源体41,51)は、ルーフ3に替えて、車体2前部の左側及び右側のそれぞれに設けられたウインカーランプ用レンズ(
図2の符号60)内と車体2後部の左側及び右側のそれぞれに設けられたコンビネーションランプ用レンズ(
図2の符号61)内とに一つずつ配設されていてもよい。この場合、光源体11(光源体41,51)がレンズによりカバーされるので、外部にむき出しで配設する構造に比べて、破損しにくい。また、外観のデザイン性を確保しやすい。
【0050】
安全枠20,20′,20′′は、車体2(トラクタ40及びトレーラ50)の左右両側と後方との三方を囲むものに限らず、車体2(トラクタ40及びトレーラ50)の左右両側と後方と前方との四方を囲むものであってもよい。
安全枠20,20′,20′′は、車体2(トラクタ40及びトレーラ50)を囲む形状であればよく、上述の形状に限定されない。例えば、安全枠20,20′は、角に丸みがある枠形状であってもよい。また、安全枠20,20′をなす線の色や、太さ,線種(直線、破線、点線など)は任意である。
また、安全枠20,20′,20′′として、線状の枠に加えて、その他の付加的情報が照射されてもよい。付加的情報の例としては、枠内を面状に塗りつぶしたものや,文字,進行方向を示す矢印,警告記号等が挙げられる。
【0051】
オフセット距離Xが車体2の左右側及び後方のそれぞれ共通である場合を例に挙げたが、オフセット距離Xは車体2の左右側及び後方で異なっていてもよい。例えば、後方のオフセット距離が、車体2の左右側のオフセット距離よりも長く設定されてもよい。
光源体11(光源体41,51)は、レーザ光線を発生するためのレーザ光源体に限らず、その他の投影装置であってもよい。例えば、光源体11(光源体41,51)の別の例として、安全枠20,20′,20′′の映像を路面5上に投影するプロジェクターであってもよい。プロジェクターには、いわゆるプロジェクションマッピングで用いられる周知の映像投影技術を適用してよい。
【0052】
[4.付記]
以上の実施形態に関する付記を開示する。
[付記1]
前後方向に沿って長尺な車体を有する車両に搭載される駐車補助装置であって、
前記車体の前端部における左側及び右側と前記車体の後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、路面へ向けて光線を照射する姿勢で取り付けられた複数の光源体と、
前記車両を前進させる前進段及び後退させる後退段の一方から他方に切り替える変速手段と、
前記変速手段が前記後退段にあるとき前記光源体のそれぞれを作動させて、各前記光源体から照射された前記光線により、少なくとも前記車体の左右両側と後方との三方において前記車体から外側へ所定のオフセット距離だけ離隔した位置で前記車体を囲む枠状の安全枠を、前記路面上に投影する制御手段と、を備えた
ことを特徴とする駐車補助装置。
[付記2]
前記車両はトラックである
ことを特徴とする付記1に記載の駐車補助装置。
[付記3]
前記車両はバスである
ことを特徴とする付記1に記載の駐車補助装置。
[付記4]
前記車両の速度を検出する車速検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記車速検出手段の検出した後退速度に応じて前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする付記1~3の何れか1つに記載の駐車補助装置。
[付記5]
前記車両の速度を制御する速度制御手段を更に備え、
前記制御手段は、前記速度制御手段の出力状態に応じて前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする付記1~4の何れか1つに記載の駐車補助装置。
[付記6]
前記車両は、トラクタと前記トラクタの後方に連結されたトレーラとからなるトラクタトレーラ型トラックであり、
前記複数の光源体は、前記トレーラの前端部における左側及び右側と前記トレーラの後端部における左側及び右側とのそれぞれに配設されており、
前記制御手段は、前記トレーラを囲む前記安全枠を前記路面上に照射する
ことを特徴とする付記2に記載の駐車補助装置。
[付記7]
前記複数の光源体は、前記トラクタの前端部における左側及び右側と前記トラクタの後端部における左側及び右側とのそれぞれに一つずつ配設されており、
前記制御手段は、少なくとも前記トラクタ及び前記トレーラそれぞれの左右両側と前記トレーラの後方との三方を囲む前記安全枠を前記路面上に照射する
ことを特徴とする付記6に記載の駐車補助装置。
[付記8]
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記車速検出手段の検出した後退速度と、前記操舵角検出手段の検出した前記操舵角とに応じて、前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする付記6又は7に記載の駐車補助装置。
[付記9]
前記車両の速度を制御する速度制御手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記速度制御手段の出力状態と前記操舵角検出手段の検出した前記操舵角とに応じて、前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする付記6~8の何れか1つに記載の駐車補助装置。
[付記10]
前記複数の光源体のそれぞれは角度調整可能に取り付けられており、
前記制御手段は、前記光源体の角度を調整することで前記オフセット距離を変更する
ことを特徴とする付記1~9の何れか1つに記載の駐車補助装置。
[付記11]
前記複数の光源体は、前記車体のルーフにおいて前部の左右両側と後部の左右両側とに一つずつ配設された四つの前記光源体である
ことを特徴とする付記1~10の何れか1つに記載の駐車補助装置。
[付記12]
前記複数の光源体は、前記車体前部の左側及び右側のそれぞれに設けられたウインカーランプ用レンズ内と前記車体後部の左側及び右側のそれぞれに設けられたコンビネーションランプ用レンズ内とに一つずつ配設された四つの前記光源体である
ことを特徴とする付記1~10の何れか1つに記載の駐車補助装置。
【符号の説明】
【0053】
1 トラック
1′ トラクタトレーラ型トラック
2 車体
2A キャブ
2B 荷台
2C フレーム
3 ルーフ
4 車輪
5 路面
10,10′ 駐車補助装置
11 光源体
11FL 光源体
11FR 光源体
11RL 光源体
11RR 光源体
12 変速手段
13 車速検出手段
14 速度制御手段
15 制御装置
15A オンオフ制御部
15B オフセット制御部
16 レギュレータ
17 操舵角検出手段
20,20′,20′′ 安全枠
30 レーザ光線
31 光源モジュール
32 ブラケット
33 固定部
34 腕部
34A 基端部
34B 回転軸
34C 先端部
35 ヒートシンク
40 トラクタ
41 トラクタ側光源体(光源体)
50 トレーラ
51 トレーラ側光源体(光源体)
D1 車両前後方向(前後方向)
D2 車両幅方向(左右方向)
D3 車両高さ方向(上下方向)
X,X′,X′′ オフセット距離
P 照射範囲