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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076087
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
B67D3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187473
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD01
3E082EE02
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えることができるウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】天然水ボトル8から冷水タンク5に天然水を給水する天然水給水路9と、冷水タンク5内の低温の天然水を筐体1の外部に注出する冷水注出路28とを有するウォーターサーバーにおいて、浄水フィルタカートリッジ35に水道水を原水として流入させる原水流路36と、浄水フィルタカートリッジ35で原水を濾過して得られる浄水を筐体1の外部に注出する浄水流路23とを更に有し、天然水と浄水をいずれも使用可能としたことを特徴とするウォーターサーバー。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(1)と、
前記筐体(1)の内部に配置された冷水タンク(5)と、
天然水を充填した交換式の天然水容器(8)が載置される天然水容器載置部(7)と、
前記天然水容器載置部(7)に載置された天然水容器(8)から前記冷水タンク(5)に天然水を給水する天然水給水路(9)と、
前記冷水タンク(5)に収容された天然水を冷却する冷却装置(24)と、
前記冷水タンク(5)内の低温の天然水を前記筐体(1)の外部に注出する冷水注出路(28)と、を有するウォーターサーバーにおいて、
前記筐体(1)内に設けられた浄水フィルタカートリッジ(35)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(35)に水道水を原水として流入させる原水流路(36)と、
前記浄水フィルタカートリッジ(35)で原水を濾過して得られる浄水を前記筐体(1)の外部に注出する浄水流路(23)と、を更に有し、
天然水と浄水をいずれも使用可能としたことを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
水道水を原水として貯留する原水タンク(34)が前記筐体(1)の内部に配置され、
前記浄水流路(23)の浄水と、前記冷水タンク(5)内の低温の天然水との間で熱交換することで、前記筐体(1)の外部に注出する浄水の温度を下げる浄水天然水熱交換部を更に有する請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記冷水タンク(5)は、上端が開口する有底筒状のタンク本体(18)と、そのタンク本体(18)の上端開口を塞ぐ蓋体(19)とを有し、
前記浄水天然水熱交換部は、前記蓋体(19)から前記冷水タンク(5)内の天然水の中を通って前記蓋体(19)に戻るインナー配管(22)である請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記浄水天然水熱交換部は、前記冷水タンク(5)内に配置され、前記冷水タンク(5)内の天然水に浸かった状態で浄水を貯留するインナータンク(44)であり、
前記浄水流路(23)は、前記浄水フィルタカートリッジ(35)から前記インナータンク(44)に浄水を導入する浄水給水管(47)と、前記インナータンク(44)から前記筐体(1)の前面に設けられた浄水注出口(3)に浄水を注出する浄水注出管(48)とを有する請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
前記冷水タンク(5)は、上端が開口する有底筒状のタンク本体(18)と、そのタンク本体(18)の上端開口を塞ぐ蓋体(19)とを有し、
前記蓋体(19)には、前記冷水タンク(5)内に下向きに天然水を給水するように前記天然水給水路(9)の下流側端部が接続され、
前記インナータンク(44)は、前記天然水給水路(9)から下向きに流出する天然水の流れを遮るように前記冷水タンク(5)内で水平に張り出す水平張り出し部(45)を有する請求項4に記載のウォーターサーバー。
【請求項6】
前記筐体(1)は、32cm以下の幅を有する請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、筐体と、筐体の内部に配置された冷水タンクと、冷水タンクに収容された飲料水を冷却する冷却装置と、冷水タンク内の低温の飲料水を筐体の外部に注出する冷水注出路とを有し、その冷水注出路に設けられた冷水注出バルブを開くことで、いつでもすぐ美味しい冷水を利用することができる(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-228807号公報
【特許文献2】特開2014-169120号公報
【特許文献3】特開2020-083329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウォーターサーバーとして、天然水ボトルを使用するタイプのウォーターサーバー(特許文献1,2)と、水道水を浄化して使用するタイプのウォーターサーバー(特許文献3)とがある。
【0005】
天然水ボトルを使用するタイプのウォーターサーバーは、採水地で汲み上げた地下水に加熱殺菌などの処理を施した天然水を充填した天然水ボトルを使用するので、水の安心だけでなく、水の味も追求したいというユーザーのニーズに応えるものである。
【0006】
一方、水道水を浄化して使用するタイプのウォーターサーバーは、水道水を原水として貯留する原水タンクを有し、その原水タンク内の水道水を浄水フィルタカートリッジで濾過して使用するので、天然水ほどの水の味を追求するまでには至らないが、水の安心は追求したいというユーザーのニーズに応えるものである。
【0007】
上記のとおり、天然水ボトルを使用するタイプのウォーターサーバーは、水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えるものであるはずであるが、実際には、そのニーズに応えきれていない可能性があることに本願の発明者は着眼した。
【0008】
すなわち、天然水ボトルを使用するタイプのウォーターサーバーのユーザーは、水を飲んだり、米を炊いたりするときは、ウォーターサーバーの天然水を使用する。一方、野菜を洗ったり、米を研いだりするときは、使用後の水の大部分が下水に流れてしまうことから、その水に天然水を用いるのは経済的でない。そのため、野菜を洗ったり、米を研いだりするときは、ウォーターサーバーを使用せずに、水道水が使用されることが多い。この点で、天然水ボトルを使用するタイプのウォーターサーバーは、ユーザーのニーズに応えきれていない可能性がある。
【0009】
そこで、本願の発明者は、天然水を使用するタイプのウォーターサーバーに、浄水フィルタカートリッジで水道水を濾過して浄水を作る機能を追加すれば、水を飲んだり、米を炊いたりするときはウォーターサーバーの天然水を使用し、一方、野菜を洗ったり、米を研いだりするときはウォーターサーバーの浄水を使用するといったように、1台のウォーターサーバーで、水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えることが可能になるという着想を得た。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えることができるウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
[構成1]
筐体と、
前記筐体の内部に配置された冷水タンクと、
天然水を充填した交換式の天然水容器が載置される天然水容器載置部と、
前記天然水容器載置部に載置された天然水容器から前記冷水タンクに天然水を給水する天然水給水路と、
前記冷水タンクに収容された天然水を冷却する冷却装置と、
前記冷水タンク内の低温の天然水を前記筐体の外部に注出する冷水注出路と、を有するウォーターサーバーにおいて、
前記筐体内に設けられた浄水フィルタカートリッジと、
前記浄水フィルタカートリッジに水道水を原水として流入させる原水流路と、
前記浄水フィルタカートリッジで原水を濾過して得られる浄水を前記筐体の外部に注出する浄水流路と、を更に有し、
天然水と浄水をいずれも使用可能としたことを特徴とするウォーターサーバー。
【0012】
この構成を採用すると、ウォーターサーバーのユーザーは、天然水と浄水をいずれも使用することができるので、水を飲んだり、米を炊いたりするときはウォーターサーバーの天然水を使用し、一方、野菜を洗ったり、米を研いだりするときはウォーターサーバーの浄水を使用するといったように、1台のウォーターサーバーで、水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えることが可能となる。
【0013】
[構成2]
水道水を原水として貯留する原水タンクが前記筐体の内部に配置され、
前記浄水流路の浄水と、前記冷水タンク内の低温の天然水との間で熱交換することで、前記筐体の外部に注出する浄水の温度を下げる浄水天然水熱交換部を更に有する構成1に記載のウォーターサーバー。
【0014】
この構成を採用すると、ウォーターサーバーの筐体を大型化せずに、適温の浄水を得ることが可能となる。すなわち、水道水を原水として貯留する原水タンクを、ウォーターサーバーの筐体の内部に配置する場合、ウォーターサーバーの筐体の内部は、通常、冷却装置の排熱やそれ以外の電気部品の排熱で、外気よりも高い温度となっていることから、原水タンクに貯留した水道水も、比較的高い温度となる。そのため、原水タンクの水道水を浄水フィルタカートリッジで濾過し、その濾過により得られる浄水をそのまま筐体から注出したのでは、浄水の温度が比較的高いものとなってしまう。そこで、筐体から注出される浄水の温度を下げるため、浄水を冷却するための専用の冷却装置を追加して設けることも考えられるが、そのようにした場合、ウォーターサーバーの筐体が大型化し、家庭の限られた空間が狭くなってしまうという問題がある。このような問題に対し、浄水流路の浄水と、冷水タンク内の低温の天然水との間で熱交換する浄水天然水熱交換部を設けると、ウォーターサーバーの筐体を大型化せずに、適温の浄水を得ることが可能となる。
【0015】
[構成3]
前記冷水タンクは、上端が開口する有底筒状のタンク本体と、そのタンク本体の上端開口を塞ぐ蓋体とを有し、
前記浄水天然水熱交換部は、前記蓋体から前記冷水タンク内の天然水の中を通って前記蓋体に戻るインナー配管である構成2に記載のウォーターサーバー。
【0016】
この構成を採用すると、簡単な構成で浄水の温度を下げることが可能となる。
【0017】
[構成4]
前記浄水天然水熱交換部は、前記冷水タンク内に配置され、前記冷水タンク内の天然水に浸かった状態で浄水を貯留するインナータンクであり、
前記浄水流路は、前記浄水フィルタカートリッジから前記インナータンクに浄水を導入する浄水給水管と、前記インナータンクから前記筐体の前面に設けられた浄水注出口に浄水を注出する浄水注出管とを有する構成2に記載のウォーターサーバー。
【0018】
この構成を採用すると、インナータンクにいったん浄水を貯留するので、浄水フィルタカートリッジで濾過した浄水をタンク等に貯留せずに直接注出するよりも、単位時間あたりの浄水の注出量を大きく設定することが可能となる。
【0019】
[構成5]
前記冷水タンクは、上端が開口する有底筒状のタンク本体と、そのタンク本体の上端開口を塞ぐ蓋体とを有し、
前記蓋体には、前記冷水タンク内に下向きに天然水を給水するように前記天然水給水路の下流側端部が接続され、
前記インナータンクは、前記天然水給水路から下向きに流出する天然水の流れを受け止めるように前記冷水タンク内で水平に張り出す水平張り出し部を有する構成4に記載のウォーターサーバー。
【0020】
この構成を採用すると、インナータンクに設けられた水平張り出し部が、天然水給水路から下向きに流出する天然水の流れを受け止めるので、冷水タンクの下部に溜まった低温の天然水が撹拌されるのを防止することができる。そのため、筐体から低温の天然水を注出するときに、冷水タンク内の天然水の撹拌により、注出される天然水の温度がぬるくなるのを効果的に防止することが可能となる。
【0021】
[構成6]
前記筐体は、32cm以下の幅を有する構成1~5のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【0022】
この構成を採用すると、家庭の限られた居住空間で、天然水と浄水をいずれも使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のウォーターサーバーは、天然水と浄水をいずれも使用することができるので、水を飲んだり、米を炊いたりするときはウォーターサーバーの天然水を使用し、一方、野菜を洗ったり、米を研いだりするときはウォーターサーバーの浄水を使用するといったように、1台のウォーターサーバーで、水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の第1実施形態のウォーターサーバーの正面図
図2図1のウォーターサーバーの断面図
図3図2のIII-III線に沿った断面図
図4図3に示す天板を取り外して上方から見た図
図5図4の冷水タンクの近傍の断面図
図6図3に示す原水タンクおよび浄水フィルタカートリッジを取り外した状態を示す図
図7図6に示す原水タンクの斜視図
図8】この発明の第2実施形態を示す冷水タンクの近傍の断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、この発明の第1実施形態のウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、上下に細長い筐体1を有する。筐体1の前面には、低温の天然水を注出する冷水注出口2と、常温の浄水を注出する浄水注出口3と、高温の天然水を注出する温水注出口4とが設けられている。
【0026】
図2に示すように、筐体1の上部には、冷水タンク5および温水タンク6が収容され、筐体1の下部には、天然水ボトル載置部7と、天然水ボトル載置部7に載置した天然水ボトル8とが収容されている。天然水ボトル8と冷水タンク5の間には、天然水ボトル8から冷水タンク5に天然水を給水する天然水給水路9が設けられている。
【0027】
筐体1は、左右に対向する一対の側板10と、一対の側板10の上端に固定された天板11と、一対の側板10の下端に固定された底板12と、一対の側板10の前端同士を連結する前面パネル13と、一対の側板10の後端同士を連結する背面板14と、筐体1の内部を上下に仕切るように一対の側板10に水平に固定されたタンク固定板15とを有する。タンク固定板15には、冷水タンク5と温水タンク6が固定されている。筐体1の幅(図1に示す一対の側板10の外幅寸法)は、32cm以下に設定されている。
【0028】
前面パネル13と底板12の間には、筐体1の前面下部を開閉する前面扉16が取り付けられ、この前面扉16を開閉することで、天然水ボトル載置部7に載置された天然水ボトル8の交換作業をすることが可能となっている。天然水ボトル8は、採水地で汲み上げた地下水に加熱殺菌などの処理を施した天然水を充填したボトルである。
【0029】
天然水ボトル8には、天然水給水路9の上流側端部が接続されている。天然水給水路9には、天然水ボトル8の側から冷水タンク5の側に天然水を移送する汲み上げポンプ17が設けられている。図では、天然水給水路9として、天然水ボトル8から、直接、冷水タンク5に天然水を給水するものを例に挙げたが、天然水ボトル8と冷水タンク5の間に中間タンクを設け、その中間タンクを介して天然水ボトル8から冷水タンク5に天然水を給水する天然水給水路9を採用してもよい。
【0030】
図5に示すように、冷水タンク5は、上端が開口する有底筒状のタンク本体18と、そのタンク本体18の上端開口を塞ぐ蓋体19とを有する。蓋体19には、冷水タンク5内に下向きに天然水を給水するように天然水給水路9の下流側端部が接続されている。冷水タンク5には、空気と天然水とが、上下二層に収容されている。冷水タンク5には、冷水タンク5内の水位を検知する水位センサ20が設けられている。天然水給水路9の汲み上げポンプ17(図1参照)は、この水位センサ20で検出される水位が下がったときに作動するように制御される。冷水タンク5の内部には、天然水給水路9から下向きに流出する天然水の流れを受け止めるバッフル板21が水平に設けられている。また、冷水タンク5には、蓋体19から冷水タンク5内の天然水の中を通って蓋体19に戻るインナー配管22が取り付けられている。インナー配管22は、浄水流路23(後述)の一部を構成している。
【0031】
冷水タンク5には、天然水ボトル8から導入した天然水を冷却する冷却装置24が取り付けられている。冷水タンク5に収容された天然水は、冷却装置24で所定の低温(例えば10℃以下)に保たれている。
【0032】
図2に示すように、冷却装置24は、コンプレッサ25と熱交換器26と冷却管27(図5参照)とを有する。コンプレッサ25と熱交換器26と冷却管27は、順に冷媒が通過して循環するように図示しない配管で接続されている。コンプレッサ25は、冷却管27から冷媒を吸引し、その冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させ、高温高圧となった冷媒を熱交換器26の側に吐出する。熱交換器26は、コンプレッサ25から吐出された高温高圧の冷媒が流れる管路を筐体1の背面開口に沿って蛇行して配置した網板状の部材であり、コンプレッサ25から吐出された高温高圧の冷媒と外気との間で熱交換を行なうことで冷媒の温度を低下させ、凝縮させる。熱交換器26を通過した冷媒は、図示しない膨張弁で減圧して低温となり、冷却管27(図5参照)に流入する。冷却管27は、冷水タンク5の外周に螺旋状に巻き付けられ、冷却管27内の低温低圧の冷媒と冷水タンク5との間で熱交換を行なう。
【0033】
図5に示すように、冷水タンク5の底面には、冷水タンク5内の低温の天然水を筐体1の外部に注出する冷水注出路28が接続されている。冷水注出路28の下流側端部には、図1に示す冷水注出弁29が設けられ、この冷水注出弁29を開弁することで、冷水注出口2から低温の天然水を注出することが可能となっている。
【0034】
図5に示すように、温水タンク6は、冷水タンク5の下方に配置されている。温水タンク6と冷水タンク5は、タンク接続管30を介して接続され、そのタンク接続管30を通って、冷水タンク5から温水タンク6に天然水が導入されるようになっている。温水タンク6には、温水タンク6に収容された天然水を加熱する加熱装置31が取り付けられている。温水タンク6内の天然水は、加熱装置31によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれる。
【0035】
温水タンク6の上面には、温水タンク6内の高温の天然水を筐体1の外部に注出する温水注出路32が接続されている。温水注出路32の下流側端部には、図1に示す温水注出弁33が設けられ、この温水注出弁33を開弁することで、温水注出口4から高温の天然水を注出することが可能となっている。
【0036】
図2図3に示すように、筐体1の内部には、水道水を原水として貯留する原水タンク34と、浄水フィルタカートリッジ35(図3参照)と、原水タンク34から浄水フィルタカートリッジ35に原水を流入させる原水流路36とが設けられている。
【0037】
図6に示すように、原水タンク34は、筐体1の内部に設けられたタンク受け部材37に着脱可能にセットされている。筐体1の天板11には、原水タンク34を出し入れするための開口38が形成されている。原水タンク34の下部にはタンク開閉弁39が設けられ、タンク受け部材37には、タンク開閉弁39に対応する位置に開口する原水導入口40が設けられている。タンク開閉弁39は、原水タンク34をタンク受け部材37から持ち上げた状態では、原水タンク34の内部と外部の連通を遮断し、原水タンク34をタンク受け部材37にセットした状態では、原水タンク34の内部を原水導入口40に連通させる開閉弁である。原水タンク34は、図7に示すように、水平方向に扁平な四角筒状に形成され、図2に示すように、冷水タンク5と背面板14の間の隙間に配置されている。
【0038】
図3に示すように、原水流路36の上流側端部は、原水導入口40に接続され、原水流路36の下流側端部は、カートリッジヘッド41に接続されている。原水流路36には、原水導入口40の側からカートリッジヘッド41の側に水道水を移送する原水ポンプ42が設けられている。カートリッジヘッド41には、浄水フィルタカートリッジ35が着脱可能に取り付けられている。
【0039】
図4に示すように、カートリッジヘッド41には、浄水フィルタカートリッジ35で原水を濾過して得られる浄水を筐体1の外部に注出する浄水流路23の上流側端部が接続されている。浄水流路23は、インナー配管22を介して浄水フィルタカートリッジ35と浄水注出口3(図1参照)との間を連通している。
【0040】
図5に示すように、インナー配管22は、蓋体19からバッフル板21よりも下側に溜まった低温の天然水の内部を通過して蓋体19に戻るように設けられている。インナー配管22は、熱伝導性に優れる金属(アルミ合金、銅など)で形成されている。インナー配管22は、浄水流路23の浄水と冷水タンク5内の低温の天然水との間で熱交換することで浄水の温度を下げる浄水天然水熱交換部を構成している。
【0041】
図4に示すように、浄水流路23の下流側端部には、浄水注出弁43が設けられている。浄水注出弁43には、ユーザーによる浄水注出弁43の開弁操作を検出する図示しない開弁センサが取り付けられている。図3に示す原水ポンプ42は、この開弁センサで浄水注出弁43の開弁操作を検出したときに作動するように制御される。
【0042】
このウォーターサーバーは、図1に示す天然水ボトル8の天然水と、図3に示す原水タンク34の水道水を浄水フィルタカートリッジ35で濾過して作った浄水とを、いずれも使用することができるので、水を飲んだり、米を炊いたり、コーヒーを淹れたりするときは、図1に示す冷水注出口2または温水注出口4から天然水を注出して使用し、一方、野菜を洗ったり、米を研いだりするときは、図1に示す浄水注出口3から浄水を注出して使用するといったように、1台のウォーターサーバーで、水の味を追求するニーズと、水の安心を追求するニーズの両方に応えることが可能である。
【0043】
また、このウォーターサーバーは、天然水と浄水をいずれも使用可能でありながら、筐体1を大型化せずに、適温の浄水を得ることが可能となっている。すなわち、図2に示すように、水道水を原水として貯留する原水タンク34を、ウォーターサーバーの筐体1の内部に配置する場合、ウォーターサーバーの筐体1の内部は、通常、冷却装置24(コンプレッサ25や熱交換器26など)の排熱やそれ以外の電気部品(温水タンク6の加熱装置31など)の排熱で、外気よりも高い温度となっていることから、原水タンク34に貯留した水道水も、比較的高い温度(例えば30~40℃程度)となる。そのため、原水タンク34の水道水を浄水フィルタカートリッジ35で濾過し、その濾過により得られる浄水をそのまま筐体1から注出したのでは、浄水の温度が比較的高いものとなってしまう。そこで、筐体1から注出される浄水の温度を下げるため、浄水を冷却するための専用の冷却装置を追加して設けることも考えられるが、そのようにした場合、筐体1が大型化し、家庭の限られた空間が狭くなってしまうという問題がある。このような問題に対し、上記実施形態では、浄水流路23の浄水と、冷水タンク5内の低温の天然水との間で熱交換する浄水天然水熱交換部(インナー配管22)を設けているので、ウォーターサーバーの筐体1を大型化せずに、適温の浄水を得ることが可能となっている。
【0044】
また、このウォーターサーバーは、浄水流路23の浄水と冷水タンク5内の低温の天然水との間で熱交換する浄水天然水熱交換部として、図5に示すように、冷水タンク5の蓋体19から冷水タンク5内の天然水の中を通って蓋体19に戻るインナー配管22を採用しているので、簡単な構成で浄水の温度を下げることが可能となっている。
【0045】
図8に、この発明の第2実施形態を示す。第2実施形態は、第1実施形態と比べて浄水天然水熱交換部の構成のみが異なり、それ以外の構成は同一である。そのため、第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
冷水タンク5は、上端が開口する有底筒状のタンク本体18と、そのタンク本体18の上端開口を塞ぐ蓋体19とを有する。冷水タンク5のタンク本体18内には、冷水タンク5内の天然水に浸かった状態で浄水を貯留するインナータンク44が設けられている。インナータンク44は、金属(ステンレススチール、アルミ合金など)で形成されている。インナータンク44は、上方に開口する有底筒状に形成され、その上端が冷水タンク5の蓋体19に固定されている。
【0047】
蓋体19には、冷水タンク5内に下向きに天然水を給水するように天然水給水路9の下流側端部が接続されている。インナータンク44は、天然水給水路9から下向きに流出する天然水の流れを遮るように冷水タンク5内で水平に張り出す水平張り出し部45を有する。
【0048】
蓋体19には、インナータンク44内の水位を検知する第2水位センサ46が設けられている。原水ポンプ42(図1参照)は、この第2水位センサ46で検出される水位が下がったときに作動し、インナータンク44に浄水を導入するように制御される。浄水流路23は、浄水フィルタカートリッジ35(図4参照)からインナータンク44に浄水を導入する浄水給水管47と、インナータンク44から浄水注出口3(図1参照)に浄水を注出する浄水注出管48とを有する。
【0049】
浄水注出管48には、インナータンク44の側から浄水注出口3の側に向けて浄水を移送する浄水注出ポンプ49が設けられている。浄水注出ポンプ49は、浄水注出弁43に取り付けられた図示しない開弁センサで浄水注出弁43の開弁操作を検出したときに作動するように制御される。インナータンク44は、浄水流路23の浄水と冷水タンク5内の低温の天然水との間で熱交換することで浄水の温度を下げる浄水天然水熱交換部を構成している。
【0050】
このウォーターサーバーは、第1実施形態と同様、天然水と浄水をいずれも使用可能でありながら、筐体1を大型化せずに、適温の浄水を得ることが可能となっている。すなわち、図4に示す原水タンク34に貯留した水道水の温度が、図1に示す冷却装置24の排熱やそれ以外の電気部品の排熱で外気よりも高くなっている状況においても、図8に示す浄水流路23の浄水と冷水タンク5内の低温の天然水との間で熱交換する浄水天然水熱交換部(インナータンク44)を設け、筐体1の外部に注出する浄水の温度を下げるようになっているので、ウォーターサーバーの筐体1を大型化せずに、適温の浄水を得ることが可能となっている。
【0051】
また、このウォーターサーバーは、図8に示すように、インナータンク44にいったん浄水を貯留し、その浄水を浄水注出ポンプ49で注出する構成を採用しているので、図4に示すように、浄水フィルタカートリッジ35で濾過した浄水をタンク等に貯留せずに直接注出するよりも、単位時間あたりの浄水の注出量を大きく設定することが可能である。この実施形態では、浄水注出管48を、冷水タンク5の蓋体19を貫通するように設け、その浄水注出管48の途中に設けた浄水注出ポンプ49でインナータンク44内の浄水を注出するように構成したが、浄水注出管48は、冷水タンク5のタンク本体18の底面を貫通するように設け、インナータンク44内の浄水の自重で浄水を注出するように構成してもよい。
【0052】
また、このウォーターサーバーは、図8に示すように、インナータンク44に設けられた水平張り出し部45が、天然水給水路9から下向きに流出する天然水の流れを受け止めるので、冷水タンク5の下部に溜まった低温の天然水が撹拌されるのを防止することができる。そのため、筐体1から低温の天然水を注出するときに、冷水タンク5内の天然水の撹拌により、注出される天然水の温度がぬるくなるのを効果的に防止することが可能である。
【0053】
上記実施形態では、天然水ボトル載置部7を筐体1の内部に配置したウォーターサーバーを例に挙げて説明したが、この発明は、天然水ボトル載置部7を筐体1の天板11に配置したウォーターサーバーにも適用することができる。
【0054】
また、上記実施形態では、交換式の天然水容器として天然水ボトル8を例に挙げて説明したが、この発明は、天然水容器として、天然水を充填したフィルム製の袋体を採用したウォーターサーバーにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 筐体
3 浄水注出口
5 冷水タンク
7 天然水ボトル載置部(天然水容器載置部)
8 天然水ボトル(天然水容器)
9 天然水給水路
18 タンク本体
19 蓋体
22 インナー配管(浄水天然水熱交換部)
23 浄水流路
24 冷却装置
28 冷水注出路
34 原水タンク
35 浄水フィルタカートリッジ
36 原水流路
44 インナータンク(浄水天然水熱交換部)
45 水平張り出し部
47 浄水給水管
48 浄水注出管
49 浄水注出ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8