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特開2024-76095作業状態判別装置、作業状態判別方法および作業車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076095
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】作業状態判別装置、作業状態判別方法および作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/85 20060101AFI20240529BHJP
   E02F 3/76 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
E02F3/85 A
E02F3/76 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187482
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬込 亨志
(72)【発明者】
【氏名】山口 康太
(72)【発明者】
【氏名】田島 謙太郎
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA03
2D003AB07
2D003AC02
2D003BA02
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】作業中であるか否かを適切に判定することができる作業状態判別装置、作業状態判別方法および作業車両を提供する。
【解決手段】作業状態判別装置は、作業車両が搭載するブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部の検出結果を取得する取得部と、前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定する作業状態判別部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両が搭載するブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部の検出結果を取得する取得部と、
前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定する作業状態判別部と、
を備える作業状態判別装置。
【請求項2】
前記作業状態判別部は、前記油圧検出部が検出した油圧と前記第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダがいずれも前記ブレードを接地させた状態ではないと判定され、かつ、検出された油圧の変化量が第1判定圧と比較して小さい場合、または、前記油圧検出部が検出した油圧と前記第1基準圧より地面からの距離が離れているときに対応する第3基準圧とに基づいて前記油圧シリンダがいずれも前記ブレードを接地させた状態ではないと判定された場合、前記ブレードの作業状態が非作業中であると判定する
請求項1に記載の作業状態判別装置。
【請求項3】
前記作業状態判別部は、前記作業中であると判定した場合に、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧の差が、第1判定閾値以上であるとき、前記ブレードの作業種類が溝掘り作業であると判定する
請求項1または2に記載の作業状態判別装置。
【請求項4】
前記作業状態判別部は、前記作業中であると判定した場合に、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧の差が、第2判定閾値未満であるとき、前記ブレードの作業種類が整地または巻き広げ作業であると判定する
請求項3に記載の作業状態判別装置。
【請求項5】
前記複数の油圧シリンダは、前記ブレードを支持するドローバーを概ね上下方向に駆動する左右1対のリフトシリンダである
請求項4に記載の作業状態判別装置。
【請求項6】
作業車両が搭載するブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部の検出結果を取得するステップと、
前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定するステップと、
を含む作業状態判別方法。
【請求項7】
ブレードと、
前記ブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダと、
前記複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部と、
前記油圧検出部の検出結果を取得する取得部と、
前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定する作業状態判別部と、
を備える作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業状態判別装置、作業状態判別方法および作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブレードを駆動する油圧シリンダに供給される油圧が所定の閾値未満の場合に車両が走行状態にあると判定し、所定の閾値以上である場合に車両が作業状態にあると判定する制御部を備えるモータグレーダが記載されている。この特許文献1に記載されているモータグレーダでは、車両が走行状態にあると判定された場合には走行状態に対応した油圧波形にてクラッチに供給される油圧が制御され、作業状態にあると判定された場合には作業状態に対応した油圧波形にてクラッチに供給される油圧が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-248918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、閾値に対する大小関係のみで走行状態と作業状態とを判定する場合には、特許文献1の段落0008に記載されているように、閾値の大きさによっては、走行状態と判定される場合であっても、ブレードが地面に接触し、比較的軽い負荷を受けながら走行を行っている場合が含まれてしまうことがある。すなわち、作業中であると判定されるべき場合に、作業中ではなく走行中であると判定されてしまうことがある。油圧波形の選択という目的では問題はないが、作業中であるか否かを正確に判定したい場合には判定精度を向上させることが課題となる。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業中であるか否かを適切に判定することができる作業状態判別装置、作業状態判別方法および作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一態様は、作業車両が搭載するブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部の検出結果を取得する取得部と、前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定する作業状態判別部と、を備える作業状態判別装置である。
【0007】
また、本開示の一態様は、作業車両が搭載するブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部の検出結果を取得するステップと、前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定するステップと、を含む作業状態判別方法である。
【0008】
また、本開示の一態様は、ブレードと、前記ブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダと、前記複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部と、前記油圧検出部の検出結果を取得する取得部と、前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定する作業状態判別部と、を備える作業車両である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の作業状態判別装置、作業状態判別方法および作業車両によれば、作業中であるか否かを適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るモータグレーダの基本的構成例を示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係るモータグレーダの作業機の基本的構成例を示す斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図である。
図4】本開示の一実施形態に係る油圧制御弁ユニットの構成例を示すブロック図である。
図5】本開示の一実施形態に係るブレードリフトシリンダの動作例を示す模式図である。
図6】本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の構成例を示すブロック図である。
図7】本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を示す状態遷移図である。
図8】本開示の一実施形態に係る作業機の動作例を示す模式図である。
図9】本開示の一実施形態に係る作業機の動作例を示す模式図である。
図10】本開示の一実施形態に係る作業機の動作例を示す模式図である。
図11】本開示の一実施形態に係る作業機の動作例を示す模式図である。
図12】本開示の一実施形態に係る作業機の動作例を示す模式図である。
図13】本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を説明するための模式図である。
図14】本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を説明するための模式図である。
図15】本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を示すフローチャートである。
図16】本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図16を参照して本開示の実施形態について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るモータグレーダの基本的構成例を示す斜視図である。図2は、本開示の一実施形態に係るモータグレーダの作業機の基本的構成例を示す斜視図である。図3は、本開示の一実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図である。図4は、本開示の一実施形態に係る油圧制御弁ユニットの構成例を示すブロック図である。図5は、本開示の一実施形態に係るブレードリフトシリンダの動作例を示す模式図である。図6は、本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の構成例を示すブロック図である。図7は、本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を示す状態遷移図である。図8図12は、本開示の一実施形態に係る作業機の動作例を示す模式図である。図13および図14は、本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を説明するための模式図である。図15および図16は、本開示の一実施形態に係る作業状態判別装置の動作例を示すフローチャートである。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0012】
[作業機械の概要]
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す。図2は、実施形態に係る作業機械1の作業機10の基本的構成例を示す。実施形態に係る作業機械1は、モータグレーダ(単にグレーダともいう)である。以下の説明において、作業機械1を適宜、モータグレーダ1、と称する。また、モータグレーダ1は、作業車両の一例である。
【0013】
なお、本実施形態においては、図1に示すように、モータグレーダ1の車両本体2を基準として車幅方向を左右方向とし、左右方向に直交する鉛直方向を上下方向とし、左右方向と上下方向に直交する車長方向を前後方向とする。
【0014】
図1に示すように、モータグレーダ1は、車両本体2と、キャブ3と、走行装置4と、作業機10とを有する。モータグレーダ1は、走行装置4により、作業現場を走行する。モータグレーダ1は、作業現場において、作業機10を用いて作業を実施する。モータグレーダ1は、作業機10を用いて、道路施工(路床、路盤、法面の切削整形)、道路維持補修(砂利道の切削、砂利敷均し)、除雪(積雪および圧雪の除去)、その他(広場の整地、溝掘り、除草等)の作業を実施することができる。なお、作業機械1は、複数の油圧シリンダで駆動されるブレード(土工板、排土板等とも呼ばれる)を有する作業機10を備えるものであればよく、モータグレーダ1に限定されない。
【0015】
キャブ3は、車両本体2に支持される。キャブ3の内部には、オペレータが着座する運転席31と、モータグレーダ1を動作させるためにオペレータによって操作されるオペレータ操作装置30(図3)が配置される。
【0016】
走行装置4は、車両本体2を支持する。本実施形態において走行装置4は、回転可能な2個の前輪5と、4個の後輪6とを有する。モータグレーダ1は、走行装置4の前輪5と後輪6とによって路面RSを走行可能である。なお、作業機械の走行装置は、車輪に限らず、履帯等であってもよい。
【0017】
作業機10は、車両本体2に支持される。図1および図2に示すように、作業機10は、メインフレーム11と、ドローバー12と、サークル13と、ブレード14と、右ブレードリフトシリンダ15と、左ブレードリフトシリンダ16と、ドローバーシフトシリンダ17と、リフタ21と、リフタ22と、玉軸23と、ブレードシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25と、サークル回転モータ26とを備える。右ブレードリフトシリンダ15と、左ブレードリフトシリンダ16と、ドローバーシフトシリンダ17は、ドローバー12の動きを生成する3本のアクチュエータである。右ブレードリフトシリンダ15と、左ブレードリフトシリンダ16と、ドローバーシフトシリンダ17と、ブレードシフトシリンダ24と、ブレードチルトシリンダ25は、油圧シリンダである。また、サークル回転モータ26は、油圧モータである。ただし、一部は、油圧シリンダや油圧モータでなくてもよい。また、右ブレードリフトシリンダ15と左ブレードリフトシリンダ16を総称する場合、ブレードリフトシリンダあるいはリフトシリンダという。また、以下では、右ブレードリフトシリンダ15を右リフトシリンダ、左ブレードリフトシリンダ16を左リフトシリンダという場合がある。また、右ブレードリフトシリンダ15と、左ブレードリフトシリンダ16は、ブレード14を支持するドローバー12を概ね上下方向に駆動する左右1対のリフトシリンダである。
【0018】
メインフレーム11は、各部を支える保持部であり、キャブ3付近でピン結合した2つの部分フレームから構成され、屈折(アーティキュレート)することができる。
【0019】
ブレード14は、ドローバー12に対してシフトおよびチルトができるように支持され、掘削、運土、整形等をする。サークル13は、内側に歯を持つ大歯車であり、ブレード14を保持し、サークル回転モータ26によって矢印A6の方向にブレード14を360°回転させる。この場合、ブレード14は、サークル13を介してドローバー12に取り付けられている。
【0020】
ドローバー12は、1つの玉軸23を介して端部をメインフレーム11に対して揺動および回転自在(以下、揺動自在という)に拘束され、サークル13を支持し、けん引力を受ける。玉軸23は、玉継手、ボールジョイント等とも呼ばれ、メインフレーム11とドローバー12を連結する。この場合、ドローバー12は、モータグレーダ1のメインフレーム11に取り付けられている。また、ドローバー12は、メインフレーム11と1つの玉軸23によって拘束されている。
【0021】
右ブレードリフトシリンダ15は、中間部がリフタ21を介してメインフレーム11に対して揺動自在に支持されるとともに、一方の端部がドローバー12に対して揺動自在に支持され、矢印A1の方向に伸縮する。左ブレードリフトシリンダ16は、中間部がリフタ22を介してメインフレーム11に対して揺動自在に支持されるとともに、一方の端部がドローバー12に対して揺動自在に支持され、矢印A2の方向に伸縮する。ドローバーシフトシリンダ17は、一端がメインフレーム11に対して揺動自在に支持されるとともに、他端がドローバー12に対して揺動自在に支持され、矢印A3の方向に伸縮する。右ブレードリフトシリンダ15と、左ブレードリフトシリンダ16と、ドローバーシフトシリンダ17は、さらに矢印A7の方向にバンクさせる等、ドローバー12の位置と姿勢を制御する。
【0022】
ブレードシフトシリンダ24は、一端がドローバー12に連結されるとともに、他端がブレード14に支持され、矢印A4方向に伸縮し、ブレード14を横送りする。ブレードチルトシリンダ25は、一端がドローバー12に連結されるとともに、他端がブレード14に支持され、矢印A5の回転方向にブレード14の切削角を変化させる。切削角は、ブレード14が路面(地面)RSに接したとき、切刃の刃先と路面RSとのなす角である。
【0023】
[制御システムの構成]
図3は、実施形態に係るモータグレーダ1の制御システム300の構成例を示す。図3に示すように、モータグレーダ1は、動力源201と、PTO(Power Take Off)202と、走行装置4と、油圧ポンプ203と、油圧制御弁ユニット204と、コントローラ100と、オペレータ操作装置30と、位置情報検出部508と、作業状態判別装置400と、外部通信システム520とを備える。コントローラ100および作業状態判別装置400は、例えば、マイクロコンピュータ等のコンピュータと、その周辺回路や周辺装置とを用いて構成することができ、コンピュータ等のハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせによって各種機能を実装する。なお、作業状態判別装置400は、例えば、コントローラ100が実装する機能の一つとして構成されていてもよい。なお、図3では、2本のスラッシュ「//」を付した実線が電気信号の流れを示し、実線が作動油の流れを示し、また、白抜きの太線が機械的動力の流れを示す。
【0024】
動力源201は、作業機械1を動作させるための動力を発生する。動力源201として、内燃機関や電動機が例示される。なお、動力源201は、内燃機関や電動機に限定されない。動力源201は、例えば内燃機関と発電電動機と蓄電装置とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド方式の装置であってもよい。また、動力源201は、内燃機関を有さず、蓄電装置と発電電動機とを組み合わせた構成を有していてもよい。
【0025】
PTO202は、動力源201の動力の少なくとも一部を油圧ポンプ203に伝達する。PTO202は、動力源201の動力を走行装置4と油圧ポンプ203とに分配する。
【0026】
走行装置4は、例えば、変速機、駆動軸、ブレーキ、後輪6等を有する。走行装置4は、例えば、前進速度段が1~8で後進速度段が1~8の変速機を備える。速度段の数字が小さいほど低速向けである。なお、前輪5は、例えば、図示していない油圧モータによって駆動される。
【0027】
オペレータ操作装置30は、図示していない複数の操作レバー、操作ペダル、操作スイッチ等を有し、動力源201、走行装置4、油圧制御弁ユニット204等に対するオペレータによる入力操作を受け付け、入力操作の内容を示す信号をコントローラ100へ出力する。この場合、オペレータ操作装置30は、フロート作動SW(スイッチ)504と、アキュムレータSW(スイッチ)507とを有する。なお、本実施形態では、コントローラ100を介して油圧制御弁ユニット204が制御されるが、これに限定されない。また、フロート作動SW504は、オンまたはオフの状態となる左フロート作動信号と右フロート作動信号を生成する。また、アキュムレータSW507は、オンまたはオフの状態となる左右共通のアキュムレータSW信号を生成する。
【0028】
コントローラ100は、オペレータ操作装置30の出力信号、図示していない各種センサの出力信号等を入力し、油圧制御弁ユニット204を制御する。また、コントローラ100は、図示していない動力源201、走行装置4等の制御装置と所定の制御信号をやりとりする。また、コントローラ100は、作業状態判別装置400に対して、日時を表す信号である時刻情報、モータグレーダ1の走行停車状態または走行速度を示す信号である車両停車信号または車速信号、変速機の前進または後進の速度段を示す速度段信号、フロート作動SW504のオンまたはオフの状態を示す左フロート作動信号と右フロート作動信号、アキュムレータSW507のオンまたはオフの状態を示すアキュムレータSW信号等を出力する。
【0029】
油圧制御弁ユニット204は、油圧ポンプ203が出力した作動油を入力し、コントローラ100の制御の下、右ブレードリフトシリンダ15、左ブレードリフトシリンダ16、ドローバーシフトシリンダ17、ブレードシフトシリンダ24、ブレードチルトシリンダ25、および、サークル回転モータ26のそれぞれに供給する作動油の流量や圧力および方向を制御する。
【0030】
図4は、油圧制御弁ユニット204内の油圧制御回路の一部を示す。図4に示す油圧回路71は、右ブレードリフトシリンダ15または左ブレードリフトシリンダ16へ供給または右ブレードリフトシリンダ15または左ブレードリフトシリンダ16から吐出される作動油を制御する。油圧制御弁ユニット204は、油圧回路71を2個有し、右ブレードリフトシリンダ15と左ブレードリフトシリンダ16を制御する。この場合、油圧回路71については、右ブレードリフトシリンダ15が入出力する油圧を制御する場合を例として説明する。
【0031】
なお、右ブレードリフトシリンダ15は、ピストン151と、ロッド152と、ヘッド側容積室153と、ボトム側容積室154とを備える。また、右ブレードリフトシリンダ15は、ヘッド側容積室153に接続されたポートBと、ボトム側容積室154に接続されたポートAを備える。また、右ブレードリフトシリンダ15には、ヘッド側容積室153の油圧を計測する右ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ51と、ボトム側容積室154の油圧を計測する右ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ52が取り付けられている。なお、左ブレードリフトシリンダ16にも同様に、左ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ61と、左ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ62が取り付けられている。なお、本実施形態では、右ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ51、右ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ52、左ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ61および左ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ62を総称する場合、油圧検出部(図6の油圧検出部501)という。
【0032】
油圧回路71は、流量圧力制御部711と、方向制御弁712~714と、油圧アキュムレータ715を備える。流量圧力制御部711へは、タンク205に蓄積された作動油が油圧ポンプ203と操作弁72を介して供給され、流量および圧力を制御して、ヘッド側容積室153とボトム側容積室154へ供給する。右ブレードリフトシリンダ15のポートAは、方向制御弁713を介してタンク205に接続されているとともに、方向制御弁714を介して油圧アキュムレータ715に接続されている。右ブレードリフトシリンダ15のポートBは、方向制御弁712を介してタンク205に接続されている。
【0033】
油圧回路71は、例えば、オペレータ操作装置30が備える所定の操作レバーの操作に応じてコントローラ100による制御の下、右ブレードリフトシリンダ15のポートAおよびポートBへ供給する作動油を制御する。また、油圧回路71は、アキュムレータSW507がオンされた場合、コントローラ100による制御の下、右ブレードリフトシリンダ15のポートAを油圧アキュムレータ715に接続し、ボトム側容積室154の油圧は一定の圧力に制御される。この場合、右ブレードリフトシリンダ15は、一定圧の押しつけ力をブレード14に与える。本実施形態では、このブレードの動作状態での作業をブレードアキュムレータ作業という。
【0034】
また、フロート作動SW504がオン状態の右フロート作動信号を生成するようオンされた場合、コントローラ100による制御の下、油圧回路71は、右ブレードリフトシリンダ15のポートAとポートBをタンク205に接続する。この場合、ブレード14は、自重で下がり地面に追従する。本実施形態では、このブレードの動作状態での作業をフロート作業という。
【0035】
図5は、ブレードアキュムレータ作業およびフロート作業における右ブレードリフトシリンダ15(または左ブレードリフトシリンダ16)とブレード14の動作例を模式的に示す。ブレードアキュムレータ作業でもフロート作業でもブレード14は地面に追従して上下するが、ブレードアキュムレータ作業ではブレードリフトシリンダによってブレード14に対して一定の押し付け力が与えられている。
【0036】
図3に示す位置情報検出部508は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)を利用してモータグレーダ1の位置を検出し、検出結果を示す位置情報(以下、位置情報5081という)を出力する。
【0037】
作業状態判別装置400は、後述するようにして、モータグレーダ1の作業状態等を判別する。作業状態判別装置400は、判別結果等を示すデータを外部通信システム520を介して外部の所定のサーバ等へ送信する。
【0038】
外部通信システム520は、例えば携帯通信網等を利用して外部の所定のサーバ等と通信する。
【0039】
[作業状態判別装置の構成]
図6は、作業状態判別装置400の構成例を示す。作業状態判別装置400は、上述したようにコンピュータ等を用いて構成することができ、コンピュータ等のハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせ等から構成される機能的構成として取得部401と、作業状態判別部402と、閾値記憶部403と、記憶・出力部404とを備える。
【0040】
取得部401は、油圧検出部501から、右ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ51、右ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ52、左ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ61および左ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ62の各検出信号を取得する。また、取得部401は、コントローラ100から、車両停車信号または車速信号502、速度段信号503、フロート作動SW信号504、アキュムレータSW信号507、位置情報5081および時刻情報509を取得する。なお、本実施形態では、取得部401が取得した1または複数の情報を入力情報という。また、フロート作動SW信号504は、左フロート作動SW信号505と右フロート作動SW信号506を含む。
【0041】
作業状態判別部402は、取得部401が取得した入力情報に基づき、モータグレーダ1が停車しているのか走行しているのかを示す「走行状態」、ブレード14を用いた作業中なのか非作業中なのかを示す「作業状態」、および、ブレード14を用いた作業の種類を示す「作業種類」を後述するようにして判別する。
【0042】
閾値記憶部403は、作業状態判別部402が各種判定で用いる油圧、油圧変化量、時間、速度、速度段等に係る閾値等の基準値を記憶する。
【0043】
記憶・出力部404は、作業状態判別部402による判別結果と時刻情報と位置情報を所定時間分記憶する。また、記憶・出力部404は、例えばその所定時間毎に外部通信システム520を介して、所定時間分の判別結果と時刻情報と位置情報の時系列を所定のサーバへ送信する。なお、送信の周期は、例えば、所定の分単位、所定の時間単位、所定の日数単位等とすることができる。
【0044】
[作業状態判別装置の動作]
図7は、作業状態判別部402における判定処理の流れを状態遷移図として示す。作業状態判別部402は、「走行状態」が「停車」状態ST1または「走行」状態ST2のいずれであるかを判別する。「停車」状態ST1で走行判定条件が成立した場合に「停車」状態ST1から「走行」状態ST2へ遷移する。また、「走行」状態ST2で走行判定条件が不成立となった場合に「走行」状態ST2から「停車」状態ST1へ遷移する。なお、初期状態は、「停車」状態ST1である。
【0045】
また、作業状態判別部402は、「作業状態」が「作業中」状態ST3または「非作業中」状態のいずれであるかを判別する。なお、「非作業中」状態は、「停車」状態ST1または「走行」状態ST2のいずれかに含まれる。「走行」状態ST2で作業中判定条件が成立した場合、「走行」状態ST2から「作業中」状態ST3へ遷移する。「作業中」状態ST3で作業中解除判定条件が成立した場合、走行判定条件が成立しているときは「作業中」状態ST3から「走行」状態ST2へ遷移する。「作業中」状態ST3で作業中解除判定条件が成立した場合、走行判定条件が不成立であるときは「作業中」状態ST3から「停車」状態ST1へ遷移する。
【0046】
また、作業状態判別部402は、「作業状態」が「作業中」状態ST3である場合、「作業種類」を判別する。本実施形態では、作業状態判別部402は、「作業種類」を、「フロート作業」状態ST31、「ブレードアキュムレータ作業」状態ST32、「溝掘り作業」状態ST33、「整地/巻き広げ作業」状態ST34、または、「その他の作業」状態ST35のいずれかに判別(分類)する。ここで、図8図12を参照して、フロート作業、ブレードアキュムレータ作業、溝掘り作業および整地/巻き広げ作業における作業機10の動作例について説明する。
【0047】
なお、本実施形態では、右リフトシリンダ圧は、右ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ51が検出した油圧から、右ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ52が検出した油圧を差し引いた値である。左リフトシリンダ圧は、左ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ61が検出した油圧から、左ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ62が検出した油圧を差し引いた値である。なお、右リフトシリンダ圧と左リフトシリンダ圧を総称する場合、リフトシリンダ圧という。また、リフトシリンダ圧は、ヘッドとボトムの差分に限定されず、ヘッドの圧力そのもの(ヘッド圧ともいう)、あるいは、ボトムの圧力そのもの(ボトム圧ともいう)としてもよい。ただし、その場合は閾値等の基準値を調整することになる。
【0048】
図8は、ブレード14を空中で保持した状態の動作例を示す。この場合、「走行状態」は「走行」又は「停車」、「作業状態」は「非作業中」である。空中保持時は、作業機が下降しないように、ヘッド側に油圧が供給され、ヘッド圧は上がり、ボトム圧が下がる(この状態でのリフトシリンダ圧を保持圧という)。よって、リフトシリンダ圧は、ブレード14を接地させた状態の値(これを接地圧という)と比較して上昇する。接地圧の値は、油圧をボトム側に供給し、ブレード14をシリンダで地面に押し付けている状態のシリンダ圧から、油圧をヘッド側に供給し、ブレード14を持ち上げ、作業機が地面から離れる直前の状態のシリンダ圧までの幅を持っている。接地圧は、地面からの反力を受け、シリンダを押し上げる作用にも影響される。
【0049】
図9は、フロート作業での作業機10の動作例を示す。左右のフロート作動SWがオンした場合(操作された場合)、リフトシリンダ圧制御によって、リフトシリンダヘッドの保持圧を抜くことで作業機10を自重接地させながら作業が行われる。このため、路面に対して追従させる形で作業を行うことができる。よって、リフトシリンダ圧は、ヘッド圧が自重接地させる直前と比較して下降し、ボトム圧は上昇する。なお、フロート作業は比較的高い接地圧を必要としない場合の作業である。ここでの接地圧は、ブレード14を地面に押し付ける圧力である。また、比較の基準値として用いる場合の「接地圧」は、リフトシリンダ圧が「接地圧」未満である場合にはブレード14が地面に接地した状態であると判定することができる状態であることを意味する。本実施形態において、比較の基準値としての「接地圧」は、シリンダによる押しつけ力が発生しておらず、ブレードを自重で接地させた場合の値に相当する。
【0050】
図10は、ブレードアキュムレータ作業での作業機10の動作例を示す。地面に接地しているためリフトシリンダが反力を受け、ボトム圧は上がり、ヘッド圧は下がる。ただし、アキュムレータSWがオンした場合(操作された場合)、ボトム側に一定の押しつけ圧が発生する。
【0051】
図11は、溝掘り作業での作業機10の動作例を示す。溝掘り作業は、ブレード14の左右の一方を接地させ、溝を掘る作業である。地面に接地している側のリフトシリンダが反力を受け、ボトム圧は上がり、ヘッド圧は下がる。地面から浮いている側のヘッド圧は、保持圧がかかり上昇、ボトム圧は低下する。このため、掘削時は左右のヘッド圧の差が大きくなる。
【0052】
図12は、整地/巻き広げ作業での作業機10の動作例を示す。整地/巻き広げ作業は、ブレード14の下端部(切刃の刃先)全体を接地させ、地面を整地したり、排土した土砂等を巻き広げる作業である。ブレード14を地面に押し付けることで発生する地面からの反力を、左右のリフトシリンダが受けることでヘッド圧は下がり、ボトム圧は上がる。
【0053】
図13は、図7を参照して説明した走行判定条件、作業中判定条件、および、作業中解除判定条件の一例を示す。
【0054】
走行判定条件は、車速が「走行判定閾値」より大きい場合に「走行」と判定し、車速が「走行判定閾値」以下の場合に「停車」と判定するという条件である。「走行判定閾値」は、車速が0より大きいことを示す値(例えば1km/h等)である。
【0055】
作業中判定条件は、第1判定時間以上継続して下記条件(1)~(3)がすべて成立した場合に「作業中」と判定するという条件である。第1判定時間は、入力信号が安定するのに要する時間であり、例えば0.5秒程度とすることができる。
【0056】
(1)車両が前進中。(2)速度段が1~4。(3)左右どちらかのリフトシリンダ圧が「接地圧」未満、または、左リフトシリンダ圧と右リフトシリンダ圧の合計値が「作業判定圧」未満。
【0057】
左右どちらかのリフトシリンダ圧が「接地圧」未満の場合、ブレード14が接地していると判定することができる。ただし、左右のリフトシリンダ圧がいずれも「接地圧」未満とならない場合でも、ブレード14が接地している状態となることがある。そこで、本実施形態では、左リフトシリンダ圧と右リフトシリンダ圧の合計値と、所定の基準値である「作業判定圧」とを比較することで、左右のリフトシリンダ圧がいずれも「接地圧」未満とならずにブレード14が接地している状態を認識している。
【0058】
作業中解除判定条件は、第2判定時間以上継続して下記条件(1)が成立した場合に「非作業中」と判定するという条件である。第2判定時間は、入力信号が安定するのに要する時間であり、例えば1秒程度とすることができる。
【0059】
(1)左右両方のリフトシリンダ圧が「接地圧」以上、かつ、左右リフトシリンダ圧油圧変化量和(※)が「非変化判定閾値」未満、または、左右両方のリフトシリンダ圧が「中空保持判定閾値圧」より大きい(※左右リフトシリンダ圧油圧変化量和=左リフトシリンダ圧変化量+右リフトシリンダ圧変化量)。
【0060】
ここで、非変化判定閾値は、油圧の単位時間当たりの変化量が安定的となったことを判定するための閾値である。中空保持判定閾値圧は、接地圧よりも高い圧力の値に対応し、図8に示すようにブレード14が空中に保持されていると判定することができる値に対応する。
【0061】
図14は、図7を参照して説明した各作業種類の判定条件(判別条件)の一例を示す。
【0062】
フロート作業判定条件は、下記条件(1)~(2)がすべて成立した場合に「フロート作業」と判定するという条件である。
【0063】
(1)左右どちらかのフロート作動SWがオン。(2)速度段が1~8(前進)。
【0064】
ブレードアキュムレータ作業判定条件は、下記条件(1)~(3)がすべて成立した場合に「ブレードアキュムレータ作業」と判定するという条件である。
【0065】
(1)左右どちらかのリフトシリンダ圧が「接地圧」未満、または、(左リフトシリンダ圧+右リフトシリンダ圧)が「作業判定圧」未満。(2)ブレードアキュムレータSWがオン。(3)速度段が1~4(前進)。
【0066】
溝掘り作業判定条件は、下記条件(1)~(3)がすべて成立した場合に「溝掘り作業」と判定するという条件である。
【0067】
(1)左右どちらかのリフトシリンダ圧が「接地圧」未満、または、(左リフトシリンダ圧+右リフトシリンダ圧)が「作業判定圧」未満。(2)左右リフトシリンダ圧の差が「溝掘り判定閾値」以上。(3)速度段が1~3(前進)。
【0068】
溝掘り判定閾値は、図11に示すように、ブレード14が左右水平方向に対して溝掘り作業で通常用いられる程度傾斜していると判定することができる閾値である。
【0069】
整地/巻き広げ作業判定条件は、下記条件(1)~(3)がすべて成立した場合に「整地/巻き広げ作業」と判定するという条件である。
【0070】
(1)左右どちらかのリフトシリンダ圧が「接地圧」未満、または、(左リフトシリンダ圧+右リフトシリンダ圧)が「作業判定圧」未満。(2)左右リフトシリンダ圧の差が「整地判定閾値」未満。(3)速度段が1~4(前進)。
【0071】
整地判定閾値は、ブレード14が左右水平方向に対して整地/巻き広げ作業で通常用いられる程度傾斜が小さいと判定することができる閾値である。
【0072】
次に、図15および図16を参照して、作業状態判別装置400の動作例について説明する。図15に示す処理は、所定の周期で繰り返し実行される。図16に示す処理は、図15のステップS107の処理で実行される処理である。
【0073】
図15に示す処理が開始されると、まず、取得部401が、入力情報を取得する(S101)。次に、作業状態判別部402が、走行判定条件が成立しているか否かを判定する(S102)。走行判定条件が成立している場合(S102:YES)、作業状態判別部402は、「走行状態」を「走行」に設定する(S103)。次に、作業状態判別部402は、「作業状態」が「非作業中」であるか否かを判定する(S104)。「作業状態」が「非作業中」である場合(S104:YES)、作業状態判別部402は、第1判定時間以上継続的に作業中判定条件が成立したか否かを判定する(S105)。第1判定時間以上継続的に作業中判定条件が成立した場合(S105:YES)、作業状態判別部402は、「作業状態」を「作業中」に設定する(S106)。次に、作業状態判別部402は、「作業種類」を判別する(S107)。ステップS107の後、作業状態判別部402は、第2判定時間以上継続的に作業中解除判定条件が成立しているか否かを判定する(S108)。第2判定時間以上継続的に作業中解除判定条件が成立した場合(S108:YES)、作業状態判別部402は、「作業状態」を「非作業中」に設定する(S109)。次に、記憶・出力部404が、「走行状態」、「作業状態」、「作業種類」等を出力(所定の記憶装置に記憶または記憶装置に記憶して外部通信システム520を用いて送信)して(S110)、図15に示す処理を終了する。
【0074】
なお、走行判定条件が成立していない場合(S102:NO)、作業状態判別部402は、「走行状態」を「停車」に設定する(S111)。次に、作業状態判別部402は、「作業状態」が「非作業中」であるか否かを判定する(S112)。「作業状態」が「非作業中」である場合(S112:YES)、記憶・出力部404が、「走行状態」、「作業状態」、「作業種類」等を出力して(S110)、図15に示す処理を終了する。
【0075】
また、「作業状態」が「非作業中」でない場合(S104:NO)、または、「作業状態」が「非作業中」でない場合(S112:NO)、作業状態判別部402は、「作業種類」を判別する(S107)。次に、ステップS108以降の処理が実行される。
【0076】
また、第1判定時間以上継続的に作業中判定条件が成立していない場合(S105:NO)、または、第2判定時間以上継続的に作業中解除判定条件が成立していない場合(S108:YES)、記憶・出力部404が、「走行状態」、「作業状態」、「作業種類」等を出力して(S110)、図15に示す処理を終了する。
【0077】
また、図16に示す処理が開始されると、作業状態判別部402が、フロート作業判定条件が成立したか否かを判定する(S201)。フロート作業判定条件が成立した場合(S201:YES)、作業状態判別部402は、「作業種類」を「フロート作業」に設定し(S202)、図16に示す処理を終了する。フロート作業判定条件が成立しなかった場合(S201:NO)、作業状態判別部402は、ブレードアキュムレータ作業判定条件が成立したか否かを判定する(S203)。ブレードアキュムレータ作業判定条件が成立した場合(S203:YES)、作業状態判別部402は、「作業種類」を「ブレードアキュムレータ作業」に設定し(S204)、図16に示す処理を終了する。
【0078】
ブレードアキュムレータ作業判定条件が成立しなかった場合(S203:NO)、作業状態判別部402は、溝掘り作業判定条件が成立したか否かを判定する(S205)。掘り作業判定条件が成立した場合(S201:YES)、作業状態判別部402は、「作業種類」を「溝掘り作業」に設定し(S206)、図16に示す処理を終了する。溝掘り作業判定条件が成立しなかった場合(S205:NO)、作業状態判別部402は、整地/巻き広げ作業判定条件が成立したか否かを判定する(S207)。整地/巻き広げ作業判定条件が成立した場合(S207:YES)、作業状態判別部402は、「作業種類」を「整地/巻き広げ作業」に設定し(S208)、図16に示す処理を終了する。整地/巻き広げ作業判定条件が成立しなかった場合(S207:NO)、作業状態判別部402は、「作業種類」を「その他の作業」に設定し(S209)、図16に示す処理を終了する。
【0079】
以上の動作例によれば、作業状態判別装置400は、「走行状態」、「作業状態」、および「作業種類」を判別することができる。
【0080】
その際、作業状態判別部402は、油圧検出部501が検出した油圧と「接地圧」(第1基準圧)とに基づいてブレードリフトシリンダ(油圧シリンダ)のいずれかがブレード14を接地させた状態であると判定された場合、または、油圧検出部501が複数のブレードリフトシリンダ(油圧シリンダ)で検出した複数の油圧に基づく合計値(計算値)と「接地圧」(第1基準圧)とは異なる作業判定圧(第2基準圧)とに基づいて油圧シリンダのいずれかがブレード14を接地させた状態であると判定された場合、ブレード14の作業状態が作業中であると判定する。この構成によれば、作業中であるか否かを適切に判定することができる。なお、合計値は、例えば、複数の油圧の差分値等の他の計算値に代えてもよい。
【0081】
また、作業状態判別部402は、油圧検出部501が検出した油圧と「接地圧」(第1基準圧)とに基づいてブレードリフトシリンダ(油圧シリンダ)がいずれもブレード14を接地させた状態ではないと判定され、かつ、検出された油圧の変化量が非変化判定閾値(第1判定圧)と比較して小さい場合、または、油圧検出部501が検出した油圧と「接地圧」(第1基準圧)より地面からの距離が離れているときに対応する中空保持判定閾値(第3基準圧)とに基づいてブレードリフトシリンダ(油圧シリンダ)がいずれもブレード14を接地させた状態ではないと判定された場合、ブレード14の作業状態が非作業中であると判定する。この構成によれば、作業中を解除するか否かを適切に判定することができる。
【0082】
また、作業状態判別部402は、作業中であると判定した場合に、油圧検出部501が複数のブレードリフトシリンダ(油圧シリンダ)で検出した複数の油圧の差が、溝掘り判定閾値(第1判定閾値)以上であるとき、ブレード14の作業種類が溝掘り作業であると判定する。この構成によれば、溝掘り作業を適切に判別することができる。
【0083】
また、作業状態判別部402は、作業中であると判定した場合に、油圧検出部501が複数のブレードリフトシリンダ(油圧シリンダ)で検出した複数の油圧の差が、整地判定閾値(第2判定閾値)未満であるとき、ブレード14の作業種類が整地または巻き広げ作業であると判定する。この構成によれば、整地または巻き広げ作業を適切に判別することができる。
【0084】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上記実施形態でコンピュータが実行するプログラムの一部または全部は、コンピュータ読取可能な記録媒体や通信回線を介して頒布することができる。
【0085】
<付記>
上記実施形態に記載の作業状態判別装置400は、例えば以下のように把握される。
【0086】
(1)作業状態判別装置400は、作業車両が搭載するブレードを油圧で駆動する複数の油圧シリンダの油圧を検出する油圧検出部の検出結果を取得する取得部と、前記油圧検出部が検出した油圧と第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、または、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧に基づく計算値と前記第1基準圧とは異なる第2基準圧とに基づいて前記油圧シリンダのいずれかが前記ブレードを接地させた状態であると判定された場合、前記ブレードの作業状態が作業中であると判定する作業状態判別部と、を備える。
【0087】
(2)作業状態判別装置400は、(1)の作業状態判別装置400であって、前記作業状態判別部は、前記油圧検出部が検出した油圧と前記第1基準圧とに基づいて前記油圧シリンダがいずれも前記ブレードを接地させた状態ではないと判定され、かつ、検出された油圧の変化量が第1判定圧と比較して小さい場合、または、前記油圧検出部が検出した油圧と前記第1基準圧より地面からの距離が離れているときに対応する第3基準圧とに基づいて前記油圧シリンダがいずれも前記ブレードを接地させた状態ではないと判定された場合、前記ブレードの作業状態が非作業中であると判定する。
【0088】
(3)作業状態判別装置400は、(1)または(2)の作業状態判別装置400であって、前記作業状態判別部は、前記作業中であると判定した場合に、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧の差が、第1判定閾値以上であるとき、前記ブレードの作業種類が溝掘り作業であると判定する。
【0089】
(4)作業状態判別装置400は、(1)~(3)の作業状態判別装置400であって、前記作業状態判別部は、前記作業中であると判定した場合に、前記油圧検出部が複数の前記油圧シリンダで検出した複数の油圧の差が、第2判定閾値未満であるとき、前記ブレードの作業種類が整地または巻き広げ作業であると判定する。
【0090】
(5)作業状態判別装置400は、(1)~(4)の作業状態判別装置400であって、前記複数の油圧シリンダは、前記ブレードを支持するドローバーを概ね上下方向に駆動する左右1対のリフトシリンダである。
【符号の説明】
【0091】
1…モータグレーダ(作業車両)、11…メインフレーム、12…ドローバー、14…ブレード、15…右ブレードリフトシリンダ、16…左ブレードリフトシリンダ、17…ドローバーシフトシリンダ、23…玉軸、100…コントローラ、300…制御システム、400…作業状態判別装置、401…取得部、402…作業状態判別部、403…閾値記憶部、404…記憶・出力部、51…右ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ、52…右ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ、61…左ブレードリフトシリンダヘッド圧力センサ、62…左ブレードリフトシリンダボトム圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16