IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-入力装置及びそのプログラム 図1
  • 特開-入力装置及びそのプログラム 図2
  • 特開-入力装置及びそのプログラム 図3
  • 特開-入力装置及びそのプログラム 図4
  • 特開-入力装置及びそのプログラム 図5
  • 特開-入力装置及びそのプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000761
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】入力装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20220101AFI20231226BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20231226BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/023 460
G09B21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099649
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】横手 聡
(72)【発明者】
【氏名】河田 賢人
(72)【発明者】
【氏名】星野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊勢山 遥
【テーマコード(参考)】
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
5B020AA01
5B020AA15
5B020BB02
5B020DD04
5B020DD30
5E555AA13
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC19
5E555BE08
5E555CA11
5E555CA12
5E555CA22
5E555CB09
5E555CB12
5E555CC03
5E555DA01
5E555DB20
5E555DB53
5E555DC21
5E555DC51
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】視覚障害者であっても暗証番号等の入力に使用できるソフトキータイプの入力装置を提供する。
【解決手段】第1表示制御部は、表示部の画面に第1モード用のソフトキーボードを表示させる。第1検出部は、第1モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する第1操作を検出する。第2表示制御部は、第1操作が検出されたことに応じて、画面に当該画面の中心を示唆する画像を表示させる。第2検出部は、画面の中心を示唆する画像が表示された画面に対する第2操作を検出する。第3表示制御部は、第2操作が検出されたことに応じて、画面の第2操作が検出された位置を基準に第2モード用のソフトキーボードを表示させる。第3検出部は、第2モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する第3操作を検出する。受付部は、第3操作が検出された位置に配置されたキーの入力を受け付ける。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を有する表示部と、
前記画面に第1モード用のソフトキーボードを表示させる第1表示制御部と、
前記第1モード用のソフトキーボードが表示された前記画面に対する第1操作を検出する第1検出部と、
前記第1操作が検出されたことに応じて、前記画面に、当該画面の中心を示唆する画像を表示させる第2表示制御部と、
前記画面の中心を示唆する画像が表示された前記画面に対する第2操作を検出する第2検出部と、
前記第2操作が検出されたことに応じて、前記画面の前記第2操作が検出された位置を基準に、第2モード用のソフトキーボードを表示させる第3表示制御部と、
前記第2モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する第3操作を検出する第3検出部と、
前記第3操作が検出された位置に配置されたキーの入力を受け付ける受付部と、
を具備する入力装置。
【請求項2】
前記画面の中心を示唆する画像が表示された画面に対する第4操作を検出する第4検出部と、
前記第4操作が検出されたことに応じて、前記受付部で受け付けたキーの入力データを出力する出力部と、
をさらに具備する請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1表示制御部は、前記画面の一部である第1領域に第1モード用のソフトキーボードを表示させ、
前記第1検出部は、前記画面の前記第1領域とは重複しない第2領域に対する第1操作を検出する、請求項1記載の入力装置。
【請求項4】
前記第2表示制御部は、さらに、前記第2モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する前記第3操作が検出された場合に、前記画面に、当該画面の中心を示唆する画像を再度表示させる、請求項1記載の入力装置。
【請求項5】
前記第2モード用のソフトキーボードは、複数のキーを規則性のある配列で配置したキーボードであり、
前記第3表示制御部は、前記複数のキーのうち基準となる1つのキーを前記第2操作が検出された位置に配置し、残りのキーを規則性のある配列で配置することにより前記第2モード用のソフトキーボードを表示させる、請求項1乃至4のうちいずれか一記載の入力装置。
【請求項6】
画面を有する表示部を備えた入力装置のコンピュータを、
前記画面に第1モード用のソフトキーボードを表示させる第1表示制御手段、
前記第1モード用のソフトキーボードが表示された前記画面に対する第1操作を検出する第1検出手段、
前記第1操作が検出されたことに応じて、前記画面に、当該画面の中心を示唆する画像を表示させる第2表示制御手段、
前記画面の中心を示唆する画像が表示された前記画面に対する第2操作を検出する第2検出手段、
前記第2操作が検出されたことに応じて、前記画面の前記第2操作が検出された位置を基準に、第2モード用のソフトキーボードを表示させる第3表示制御手段、
前記第2モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する第3操作を検出する第3検出手段、及び、
前記第3操作が検出された位置に配置されたキーの入力を受け付ける受付手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、入力装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、クレジットカード決済に必要な暗証番号の入力用として、「0」から「9」までの数字がそれぞれ割り当てられた10個の数字キーを配置した入力装置がある。従来のこの種の入力装置は、ハードキーからなる数字キーを規則性のある配列で配置したハードキータイプの入力装置が主流である。
【0003】
ハードキータイプの入力装置は、例えば「5」の数字キーに対して触知できるような突起を設けることにより、視覚障害者も使用可能となる。しかし、ハードキータイプの入力装置は、オペレータの指の動きから入力した数字列、つまりは暗証番号を第三者により推測されるという懸念がある。
【0004】
そこで昨今では、タッチパネルを利用したソフトキータイプの入力装置が開発されている。ソフトキータイプの入力装置は、数字キーの配列を適宜変更することができる。数字キーの配列が変更されることにより規則性がなくなるので、第三者がオペレータの指の動きから暗証番号を推測することはできなくなる。しかし、数字キーの配列に規則性がないと、視覚障害者は、どの位置にどの数字のキーがあるのかわからないため、使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-006710号公報
【特許文献2】特開2012-238267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、視覚障害者であっても暗証番号等の入力に使用することができるソフトキータイプの入力装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、入力装置は、画面を有する表示部と、第1表示制御部と、第1検出部と、第2表示制御部と、第2検出部と、第3表示制御部と、第3検出部と、受付部とを備える。第1表示制御部は、表示部の画面に第1モード用のソフトキーボードを表示させる。第1検出部は、第1モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する第1操作を検出する。第2表示制御部は、第1操作が検出されたことに応じて、表示部の画面に、当該画面の中心を示唆する画像を表示させる。第2検出部は、画面の中心を示唆する画像が表示された画面に対する第2操作を検出する。第3表示制御部は、第2操作が検出されたことに応じて、画面の第2操作が検出された位置を基準に、第2モード用のソフトキーボードを表示させる。第3検出部は、第2モード用のソフトキーボードが表示された画面に対する第3操作を検出する。受付部は、第3操作が検出された位置に配置されたキーの入力を受け付ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る入力装置の要部回路構成を示すブロック図である。
図2図2は、入力装置のプロセッサが制御プログラムにしたがって実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図3図3は、入力装置の表示部であるディスプレイに表示される画面の遷移例を示す模式図である。
図4図4は、第2画面の他の実施形態を示す模式図である。
図5図5は、第2画面の他の実施形態を示す模式図である。
図6図6は、第2画面の他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、入力装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、本実施形態は、クレジットカード、あるいはデビットカード等の決済用カードを用いて商取引の決済を行う際に必要な暗証番号の入力に使用される入力装置を例示する。
【0010】
[入力装置の構成説明]
図1は、本実施形態に係る入力装置1の要部回路構成を示すブロック図である。入力装置1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、通信インターフェース14、タッチパネル15、カードリーダ16、スピーカ17及びシステムバス18を備える。システムバス18は、アドレスバス、データバス等を含む。入力装置1は、プロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インターフェース14とをシステムバス18で接続することにより、コンピュータを構成する。そして、このコンピュータに、タッチパネル15、カードリーダ16及びスピーカ17等のデバイスを接続することによって、入力装置1が構成される。なお、入力装置1に接続されるデバイスは、タッチパネル15、カードリーダ16及びスピーカ17に限定されない。他のデバイスが入力装置1に接続されてもよい。表示部となるタッチパネル15は必須であるものの、カードリーダ16又はスピーカ17は省いてもよい。
【0011】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、入力装置1としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0012】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域及び揮発性のメモリ領域を含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域では、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを記憶する。この種のデータは、不揮発性のメモリ領域で記憶される場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0013】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス13としては、例えばSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)又はEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)等の周知の記憶デバイスを単独で、あるいは複数組み合わせて用いられる。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって生成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、アプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0014】
通信インターフェース14は、上位機との間でデータ信号を授受するインターフェースである。本実施形態において、上位機は、POS(Point Of Sales)端末、会計機等と称される決済装置である。例えば、カードリーダ16で読み取られた決済用カードのデータ信号が、通信インターフェース14を介して決済装置へと出力される。また、タッチパネル15を介して入力された暗証番号のデータ信号が、通信インターフェース14を介して決済装置へと出力される。
【0015】
タッチパネル15は、表示部としてのディスプレイ151と、検知部としてのタッチセンサ152とを組み合わせた入出力デバイスである。ディスプレイ151は、オペレータの入力を受け付けるための画像を表示するための画面を有する。タッチセンサ152は、オペレータによってタッチされた画面上の位置を検知する。タッチパネル15は、タッチセンサ152によって検知された画面上の位置と、その位置に表示されている画像の情報とから、オペレータによって入力されたデータを取得する。
【0016】
カードリーダ16は、クレジットカード、デビットカード等の決済用カードに記録されたデータを読み取るための入力デバイスである。カードリーダ16は、接触式又は非接触式のICカードに対応したICカードリーダである。カードリーダ16は、磁気カードに対応した磁気カードリーダであってもよい。
【0017】
スピーカ17は、操作音、警告音等の電子音、あるいは音声合成装置によって合成された音声を再生する出力デバイスである。
【0018】
かかる構成の入力装置1は、タッチパネル15のディスプレイ151にソフトキーボードを表示して、暗証番号の入力を受け付ける。ソフトキーボードは、暗証番号の入力に必要な「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」及び「9」の数字キーを配置したキーボードの画像である。ソフトキーボードには、数字キーを規則性の無い配列で配置した第1モード用のソフトキーボードと、数字キーを規則性のある配列で配置した第2モード用のソフトキーボードとがある。
【0019】
規則性の無い配列とは、「1」乃至「9」の数字キーが「1」から「9」の順では並んでいない配列、つまりは数字キーがランダムな配列を言う。数字キーを規則性の無い配列で配置することにより、第三者がオペレータの指の動きから暗証番号を推測したり、オペレータがキー入力したときの指紋の場所で推測したりすることはできなくなる。しかし、数字キーがランダムに配列されてしまうと、視覚障害者は数字キーの位置を認識できないため使用することができない。そこで、第2モード用のソフトキーボードは、視覚障害者であってもブラインドタッチによって暗証番号を入力できるように、数字キーを規則性のある配列で配置している。
【0020】
ここで、規則性のある配列とは、「1」乃至「9」の数字キーが「1」から「9」の順で並び、「0」の数字キーは決められた位置に配置された配列を言う。例えば、「1」乃至「9」の数字キーを3×3のマトリクス状に配置する場合、左上から横並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、左上から縦並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、右上から横並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、右上から縦並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、左下から横並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、左下から縦並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、右下から横並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、右下から縦並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」とする配列、等が規則性のある配列であると言える。
【0021】
このように、暗証番号入力用のソフトキーボードとして、第1モード用のソフトキーボードと第2モード用のソフトキーボードとを使い分けることによって、入力装置1の用途を格段と向上させることができる。このような使い分けを可能とするために、プロセッサ11は、第1表示制御部111、第1検出部112、第2表示制御部113、第2検出部114、第3表示制御部115、第3検出部116、受付部117、第4検出部118及び出力部119としての機能を有する。
【0022】
第1表示制御部111は、ディスプレイ151の画面に第1モード用のソフトキーボード33を表示させる機能である。第1表示制御部111は、第1表示制御手段と言い換えることができる。図3において、画面30は、第1モード用のソフトキーボード33が表示された画面の一例である。以下では、画面30を第1画面30と称する。図示するように第1画面30は、第1領域31と第2領域32とに区分けされている。第1領域31と第2領域32とは重複していない。第1領域31には、第1モード用のソフトキーボード33が表示される。第2領域32には、決済金額34、入力暗証番号35等が表示される。決済金額34は、カードリーダ16で読み取った決済用カードで決済する商取引の金額である。金額データは、通信インターフェース14に接続された決済装置から取得する。入力暗証番号35は、ソフトキーボード33のタップ操作により入力された数字の集まりである。数字は、例えば記号「*」に置き換えた伏字によって表示される。
【0023】
第1検出部112は、タッチセンサ152と協働して、第1画面30に対する第1操作を検出する機能である。第1検出部112は、第1検出手段と言い換えることができる。第1操作は、第1モード用のソフトキーボード33で暗証番号を入力する際に用いられるタップ操作以外の操作である。第1操作は、例えば第1画面30における第2領域32の長押し操作である。第1操作は、例えば第2領域32のトリプルタップ操作、フリック操作、スワイプ操作、ピンチ操作等であってもよい。第1操作は、第2領域32に対する操作である。第1領域31に対する操作は、第1操作とはならない。なお、ダブルタップ操作は、暗証番号を入力する際に発生しやすいので、第1操作から除外することが好ましい。
【0024】
第2表示制御部113は、第1検出部112の作用により第1操作が検出されたことに応じて、ディスプレイ151の画面に、当該画面の中心を示唆する画像を表示させる機能である。第2表示制御部113は、第2表示制御手段と言い換えることができる。図3において、画面40は、画面の中心を示唆する画像41が表示された画面の一例である。以下では、画面40を第2画面40と称する。図示するように第2画面40の画像41は、十字の画像411と、二重円の画像412とからなる。また第2画面40は、第2モード用の画面であることを示すモード名のテキストデータ、例えば「ブラインドタッチモード」を表示する。モード名は「ブラインドタッチモード」に限定されない。例えば「アクセシビリティモード」等の他のモード名であってもよい。画像411は、十字の交点が画面40の中心に位置するように表示される。画像412は、画像411の十字が交わる交点に二重円の中心が位置するように表示される。そして二重円の内側の円は、例えば赤色で塗り潰されている。因みに第2画面40は、例えば第1画面30に対し、画面を切り替えて表示されてもよいし、半透明な状態で重畳表示されてもよい。
【0025】
第2検出部114は、タッチセンサ152と協働して、第2画面40に対する第2操作を検出する機能である。第2検出部114は、第2検出手段と言い換えることができる。第2操作は、視覚障害者が第2画面40の中心位置を指示するのに適した操作である。第2操作は、例えば第2画面40の長押し操作である。第2操作は、例えば第2画面40のタップ操作、ダブルタップ操作、あるいはトリプルタップ操作等であってもよい。
【0026】
第3表示制御部115は、第2検出部114の作用により第2操作が検出されたことに応じて、タッチパネル15の画面における第2操作が検出された位置を基準に、第2モード用のソフトキーボード51を表示させる機能である。第3表示制御部115は、第3表示制御手段と言い換えることができる。図3において、画面50は、第2モード用のソフトキーボード51が表示された画面の一例である。本実施形態において、ソフトキーボード51は、「1」乃至「9」の数字キーを、左上から横並びに「1」・「2」・「3」、「4」・「5」・「6」「7」・「8」・「9」と3×3のマトリクス状に配置する。またソフトキーボード51は、「8」の数字キーの下に「0」の数字キーを配置し、「0」の数字キーの下に「←」のファンクションキーを配置し、「←」のファンクションキーの左隣に「X」のファンクションキーを配置し、「←」のファンクションキーの右隣に「V」のファンクションキーを配置する。「←」のファンクションキーは直前取消の宣言キーであり、「X」のファンクションキーは入力中止の宣言キーであり、「V」のファンクションキーは入力確定の宣言キーである。以下では、画面50を第3画面50と称する。
【0027】
図示するように第3画面50は、第2操作が検出された位置に「5」の数字キーが配置されるようにソフトキーボード51を表示する。また第3画面50は、第2画面40と同様に、第2モード用のソフトキーボード51であることを示すモード名のテキストデータ、例えば「ブラインドタッチモード」を表示する。このモード名も、前述したように「アクセシビリティモード」等であってもよい。また第3画面50は、例えば第2画面40に対し、画面を切り替えて表示されてもよいし、非透明な状態で重畳表示されてもよい。また第3画面50は、例えば、背景色を白色とし、数値キーを黒丸のボタンの中に白文字で表示されるようにしてもよい。
【0028】
繰り返しとなるが、ソフトキーボード51は、数字キーを規則性のある配列で配置している。したがって、視覚障害者であっても、「5」の数字キーの位置がわかれば、他の数字キー及びファンクションキーの位置を容易に推測できるので、所望のキーを入力することができる。なお、数字キーの配列は、図3に示す配列に限定されない。前述したような様々な規則性のある配列のなかのいずれかであればよい。また、ファンクションキーの位置も図3に示す位置に限定されないのは言うまでもないことである。
【0029】
なお、第3表示制御部115は、第2検出部114の作用により第2操作を検出するための操作入力を検出するにあたり、第2画面40へのタッチ操作を検出している間、第2画面40の表示形態を異ならせて表示してもよい。例えば、第3表示制御部115は、第2操作が長押しである場合、タッチ操作を検出している間、第2画面40の表示色を異ならせて表示する。一例として、タッチ操作を検出していない状態の第2画面の表示色が、十字の交点が画面40の中心に位置するように表示される画像411が白色で表示され、画像411の十字が交わる交点に二重円の中心が位置するように表示される画像412が内側の円が赤色、外側の円が画像411と同じ白色で表示されて、その他の背景領域が黒色で表示されているとする。ここで第2画面40へのタッチ操作を検出している間、背景領域を異なる色で表示する、といったように表示形態を変更する。また、オペレータがタッチパネルから指を離すことで表示形態は元の状態に戻るものとする。このように、第2画面40へのタッチ操作を検出している間、第2画面40の表示形態を異ならせて表示することで、装置が第2画面40に対するタッチ操作を検知していることをオペレータに直感的に伝えることができる。
【0030】
また第3画面50は、例えば第2画面40に対し、半透明または透明な状態で重畳表示されてもよい。第3画面50が第2画面40に対し、半透明または透明な状態で重畳表示される場合、第3表示制御部115は、第3操作を検出するための操作入力である第3画面へのタッチ操作を検出している間、重畳表示される第3画面50の背面側に表示されている第2画面40に対する前述した表示形態の変更処理を行ってもよい。因みに、例えば第2操作および第3操作が長押し操作である場合、第2操作と第3操作を検出するためのタッチ操作は連続して検出される。このため、第2画面40の表示形態の変更処理は、タッチ操作が検出されなくなるまで、言い換えると第3操作が検出されるまで継続されることとなる。
【0031】
第3検出部116は、タッチセンサ152と協働して、第3画面50に対する第3操作を検出する機能である。第3検出部116は、第3検出手段と言い換えることができる。第3操作は、「5」の数字キーの位置を把握した視覚障害者がソフトキーボード51の数字キーまたはファンクションキーを入力するために行う操作である。第3操作は、典型的には、第3画面50に触れている指先を離す操作である。視覚障害者は、第2画面40に対して第2操作を行うことにより、その操作位置に「5」の数字キーが配置されたソフトキーボード51が表示されたと認識する。すなわち視覚障害者は、第3画面50が表示されたと認識する。ここで、第3画面50から「5」の数字キーを入力する場合、視覚障害者は第3画面50から指先を離す。「5」以外の数字キー又はファンクションキーを入力する場合、視覚障害者は指先を第3画面50から離さずに所望のキーが配置されていると推測される位置までスライドさせる。そして視覚障害者は、所望の位置で第3画面50から指先を離す。第3検出部116は、このような第3操作を検出する機能である。なお、タッチセンサ152が押圧力を検知できるのであれば、第3操作は、第3画面50を指で強く押す操作であってもよい。
【0032】
受付部117は、第3検出部116の作用により第3操作が検出された位置に配置されているキーの入力を受け付ける機能である。受付部117は、受付手段と言い換えることができる。例えば、「5」の数字キーが配置されている位置において第3操作が検出された場合、受付部117は、「5」の数字キーが入力されたとして処理する。例えば、「V」のファンクションキーが配置されている位置において第3操作が検出された場合、受付部117は、入力確定の宣言キーが入力されたとして処理する。なお、いずれのキーも配置されていない位置において第3操作が検出された場合には、受付部117は、キー入力を受け付けない。
【0033】
第4検出部118は、タッチセンサ152と協働して、第2画面40に対する第4操作を検出する機能である。第4検出部118は、第4検出手段と言い換えることができる。第4操作は、視覚障害者が暗証番号の入力終了を指示するのに適した操作である。第4操作は、第2操作とは異なる操作であればよい。例えば、第2操作が長押し操作である場合、第4操作は、ダブルタップ操作、トリプルタップ操作、フリック操作、スワイプ操作、ピンチ操作等であってもよい。
【0034】
出力部119は、第4検出部118の作用により第4操作が検出されたことに応じて、受付部117で受け付けたキーの入力データを出力する機能である。出力部119は、出力手段と言い換えることができる。入力データの出力先は、通信インターフェース14に接続された決済装置である。決済装置は、入力装置1から出力されたデータをクレジットカード決済用の暗証番号として処理する。
【0035】
第1表示制御部111、第1検出部112、第2表示制御部113、第2検出部114、第3表示制御部115、第3検出部116、受付部117、第4検出部118及び出力部119としての各機能は、プロセッサ11が、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールされた制御プログラムに従って実行する情報処理によって実現される。メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に制御プログラムをインストールする方法は特に限定されない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、制御プログラムをメインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールすることができる。記録媒体は、SDメモリカード、USBメモリ等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0036】
[入力装置の動作説明]
図2は、入力装置1のプロセッサ11が制御プログラムにしたがって実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。図3は、入力装置1の表示部であるディスプレイ151に表示される画面の遷移例を示す模式図である。以下、図1乃至図3を用いて、入力装置1の動作を説明する。なお、以下に説明する動作は一例である。同様の機能を奏し得るのであれば、その手順及び内容は適宜変更することができる。また、画面のレイアウト、テキスト等も一例であり、図示するものに限定されないのは言うまでもない。
【0037】
制御プログラムが起動すると、プロセッサ11は、ACT1としてデバイスの初期化を行う。この初期化により、タッチパネル15のディスプレイ151に初期画面20(図3を参照)が表示される。初期画面20は、例えば図3に示すように、「いらっしゃいませ」等の任意の画像が表示された画面である。初期画面20は、画像が何も表示されていない画面であってもよい。
【0038】
初期化を終えたプロセッサ11は、ACT2として所定の信号を通信インターフェース14で受信するのを待ち受ける。所定の信号は、例えば決済装置から出力される暗証番号要求信号である。決済装置は、商取引の代金支払い方法としてクレジットカード支払いが宣言されると、入力装置1に対して暗証番号要求信号を出力する。
【0039】
通信インターフェース14を介して暗証番号要求信号を受信すると、プロセッサ11は、ACT2においてYESと判定し、ACT3へと進む。プロセッサ11は、ACT3として、第1表示制御部111としての機能により、タッチパネル15のディスプレイ151を初期画面20から第1画面30(図3を参照)へと切り替える。そしてプロセッサ11は、ACT4として第1操作が行われたか否かを確認する。
【0040】
前述したように、第1操作は、第1画面30に表示された第1モード用のソフトキーボード33で暗証番号を入力する際に用いられるタップ操作以外の操作である。ソフトキーボード33は、数字キーを規則性の無い配列で配置したキーボードである。したがって、視覚障害者のようにブラインドタッチによって暗証番号を入力するオペレータは、ソフトキーボード33を使用することができない。このようなオペレータは、第1画面30に対して第1操作を行う。
【0041】
逆に、ブラインドタッチによって暗証番号を入力しなくてもよいオペレータは、ソフトキーボード33を用いて暗証番号を入力することができる。ソフトキーボード33を用いて暗証番号を入力することで、第三者に指の動きが見られても、暗証番号を推測されることはない。プロセッサ11は、第1操作以外の操作としてソフトキーボード33に対する操作を検知した場合、ACT4においてNOと判定し、他の処理を実行する。他の処理とは、典型的には、ソフトキーボード33の操作により入力された暗証番号を決済装置へと出力する処理である。他の処理は、上述した処理以外の処理であってもよい。
【0042】
プロセッサ11は、第1検出部112としての機能により、第1画面30に対して第1操作が行われたことを検知すると、ACT4においてYESと判定し、ACT5へと進む。プロセッサ11は、ACT5として、第2表示制御部113としての機能により、タッチパネル15のディスプレイ151を第1画面30から第2画面40(図3を参照)へと切り替える。このときプロセッサ11は、スピーカ17から第1の報知音を発する。第1の報知音は、ディスプレイ151の画面が第1画面30から第2画面40へと切り替わったことをオペレータに知らせるための音である。ディスプレイ151に第2画面40が表示された入力装置1のプロセッサ11は、ACT6として第2操作が行われるか、ACT7として第4操作が行われるのを待ち受ける。
【0043】
前述したように第2操作は、第2画面40の中心位置を指示する操作である。第2操作は、第2画面40に対して暗証番号の入力終了を指示する操作である。第2画面40には、画面の中心を示唆する画像41が表示される。全ての視覚障害者は、全く眼が見えないというわけではない。むしろ、二重円の画像412の赤色で塗り潰されている円を視認できる視覚障害者は多い。このような視覚障害者は、第2画面40の中心を的確に指示することができる。なお、全く眼が見えない視覚障害者の場合には、タッチパネル15の画面を指でなぞる等して画面のサイズを確認することにより、略中心となる位置を指示することは可能である。
【0044】
ACT6及びACT7の待ち受け状態において、プロセッサ11は、第2検出部114としての機能により、第2画面40に対して第2操作が行われたことを検知すると、ACT6においてYESと判定し、ACT8へと進む。プロセッサ11は、ACT8として、第3表示制御部115としての機能により、タッチパネル15のディスプレイ151を第2画面40から第3画面50(図3を参照)へと切り替える。このときプロセッサ11は、スピーカ17から第2の報知音を発する。第2の報知音は、ディスプレイ151の画面が第2画面40から第3画面50へと切り替わったことをオペレータに知らせるための音である。第2の報知音は、第1の報知音と異なる報知音であってもよいし、同一の報知音であってもよい。ディスプレイ151に第3画面50が表示された入力装置1のプロセッサ11は、ACT9として第3操作が行われるのを待ち受ける。
【0045】
前述したように第3操作は、オペレータがソフトキーボード51の数字キーまたはファンクションキーを入力するために、例えば画面から指を離す操作である。ソフトキーボード51は、数字キーを規則性のある配列で配置した第2モード用のキーボードである。そして、第2画面40に対してオペレータが画面の中心であると指示した位置に「5」の数字キーが配置されている。したがってオペレータが視覚障害者であっても、「5」の数字キーの位置を基準とすることで、他の数字キー又はファンクションキーの位置を把握することができる。オペレータは、中心を示唆した指を所望のキーの位置までスライドさせてから指を離す。このような操作をタッチセンサ152からの信号により検知した場合に、プロセッサ11は、第3操作が行われたと認識する。
【0046】
プロセッサ11は、第3検出部116としての機能により、第3画面50のソフトキーボード51に対して第3操作が行われたことを検知すると、ACT9においてYESと判定し、ACT10へと進む。プロセッサ11は、ACT10として、受付部117としての機能により、第3操作が行われたキーのデータ入力を受け付ける。例えばプロセッサ11は、ソフトキーボード51の数字キー「1」が配置されている画面上で第3操作が行われると、データ「1」の入力を受け付ける。例えばプロセッサ11は、ソフトキーボード51の数字キー「5」が配置されている画面上で第3操作が行われると、データ「5」の入力を受け付ける。他の数字キー又はファンクションキーが配置されている画像上で第3操作が行われた場合も同様である。
【0047】
プロセッサ11は、1つのキーのデータ入力を受け付けたならば、ACT5に戻る。すなわちプロセッサ11は、タッチパネル15のディスプレイ151を第3画面50から第2画面40へと切り替える。このときプロセッサ11は、スピーカ17から第3の報知音を発する。第3の報知音は、ディスプレイ151の画面が第3画面50から第2画面40へと切り替わったことをオペレータに知らせるための音である。第3の報知音は、第1の報知音又は第2の報知音と異なる報知音であってもよいし、同一の報知音であってもよい。ディスプレイ151に第2画面40が表示されたプロセッサ11は、ACT6及びACT7の待ち受け状態となる。
【0048】
ACT6及びACT7の待ち受け状態において、再度、第2操作が行われたことが検知された場合、プロセッサ11は、ACT8乃至ACT10の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、例えばソフトキーボード51の数字キー「9」が配置されている第3画面50の画面上で第3操作が行われると、プロセッサ11は、データ「9」の入力を受け付ける。そしてプロセッサ11は、タッチパネル15のディスプレイ151を第3画面50から第2画面40へと切り替えて、ACT6及びACT7の待ち受け状態となる。従って、オペレータは暗証番号の入力を行う場合、暗証番号の桁数に応じた回数、例えば、4桁の暗証番号であれば4回、第2操作および第3操作を繰り返す。
【0049】
前述したように第4操作は、暗証番号の入力終了を指示するための操作である。暗証番号の1桁毎に第2画面40に対する第2操作と第3画面50に対する第3操作を行って、必要な桁数の暗証番号を入力し終えたオペレータは、第2画面40に対して第4操作を行う。
【0050】
ACT6及びACT7の待受状態において、プロセッサ11は、第4検出部118としての機能により、第2画面40に対して第4操作が行われたことを検知すると、ACT7においてYESと判定し、ACT11へと進む。プロセッサ11は、ACT11として、出力部119としての機能により、ソフトキーボード51に対する第3操作により入力を受け付けたデータを、決済装置へと出力するように制御する。この制御により、ソフトキーボード51に対する1回以上の第3操作により入力された暗証番号が通信インターフェース14を介して決済装置へと出力される。
【0051】
決済装置においては、暗証番号の有効性が判定される。その結果、正当な暗証番号であると判定された場合には、決済装置から入力装置1にリセット信号が出力される。これに対し、例えば番号が間違えていたり桁数が不足していたりして不当な暗証番号であると判定された場合には、決済装置から入力装置1にエラー信号が出力される。
【0052】
決済装置に暗証番号を出力した入力装置1のプロセッサ11は、ACT12としてエラー信号を受信するか、ACT13としてリセット信号を受信するのを待ち受ける。ACT12及びACT13の待ち受け状態において、エラー信号を受信すると、プロセッサ11は、ACT12からACT14へと進む。プロセッサ11は、ACT14として、入力を受け付けたキーのデータをクリアする。このときタッチパネル15のディスプレイ151には、第2画面40が表示されている。そこでプロセッサ11は、スピーカ17から暗証番号を入力し直すことを通知する音声、例えば「もう一度暗証番号を入力してください」という内容の音声を発する。そしてプロセッサ11は、ACT6へと戻る。したがって、暗証番号の入力を間違えたオペレータは、再度、第2画面40の中心を示唆してソフトキーボード51を表示させることで、暗証番号を入力し直すことができる。
【0053】
一方、リセット信号を受信したプロセッサ11は、図2の流れ図で示す手順の情報処理を終了する。その後、プロセッサ11は、次のオペレータに備えてACT1から処理を再開する。プロセッサ11は、デバイスの初期化を行う。この初期化により、タッチパネル15のディスプレイ151は、第2画面40から初期画面20に戻る。
【0054】
[入力装置の効果説明]
以上詳述したように、入力装置1は、第1モード用のソフトキーボード33が表示された第1画面30に対して第1操作が行われると、タッチパネル15の画面が、その画面の中心を示唆する画像41を表示した第2画面40に切り替わる。この第2画面40に対して第2操作が行われると、タッチパネル15の画面が、第2モード用のソフトキーボード51が表示された第3画面50に切り替わる。
【0055】
視覚障害者は、数字キーが規則性のない配列で配置される第1モード用のソフトキーボード33からは暗証番号を入力するのが困難である。しかし、多くの視覚障害者は、第2画面40に表示される画像41により、第2画面40の中心となる位置を認識することはできる。そこで、例えば視覚障害者であるオペレータは、画像41により示唆される第2画面40の中心となる位置に対して第2操作を行う。第2操作を行うと、タッチパネル15に第2モード用のソフトキーボード51が表示される。第2モード用のソフトキーボード51は、数字キーが規則性のある配列で配置されている。したがって、視覚障害者であっても、第2操作を行った位置を基準として各数字キーの位置を推測することができる。すなわちオペレータは、ソフトキーボード51から暗証番号としての数字を入力することができる。しかも、第2画面40に対して第2操作が行われている間、第2画面40の表示色等、表示形態を異ならせる。そうすることにより、全盲ではない視覚障害者は、第2画面40に対する第2操作が正しく検知されていることを認識することができる。
【0056】
ソフトキーボード51から1桁の数字が入力されると、タッチパネル15の画面が、第3画面から第2画面40に戻る。そこでオペレータは、再度、第2画面40の中心となる位置に対して第2操作を行い、続いて第2操作を行った位置を基準として第3操作を行う。かような操作を繰り返すことにより、オペレータは、ソフトキーボード51から暗証番号としての数字を1桁ずつ入力することができる。
【0057】
こうして、暗証番号として必要な桁数の数字を入力し終えたならば、オペレータは、第2画面に対して第4操作を行う。第4操作を行うことにより、暗証番号が上位機の決済装置へと出力される。
【0058】
かくして、本実施形態によれば、視覚障害者であっても暗証番号等の入力に使用することができるソフトキータイプの入力装置1を提供することができる。
【0059】
その上、入力装置1は、第1画面30の第1モード用のソフトキーボード33が表示されている第1領域31とは区分けされた第2領域32に対して第1操作が行われると、タッチパネル15の画面を第1画面30から第2画面40へと切り替える。しかし、第1領域31に対して第2操作が行われても、入力装置1は、タッチパネル15の画面を切り替えない。したがって、オペレータがソフトキーボード33から暗証番号を入力する際に、第1領域31内で例えば第1操作に相当する長押し操作をしてしまっても、タッチパネル15の画面は第2画面40に切り替わらない。すなわち本実施形態によれば、意図せずにタッチパネル15の画面が第2画面40へと切り替わるのを未然に防ぐことができる。
【0060】
[変形例]
入力装置の用途は、決済用カードを用いて商取引の決済を行う際に必要な暗証番号の入力に限定されない。例えば、金融機関の現金自動預け払い機(ATM:Automatic Teller Machine)に対して利用者が暗証番号を入力する場合、又は、スマートフォン等の情報端末に対して利用者が暗証番号を入力する場合、等にも本実施形態の機能を有した入力装置を適用することができる。
【0061】
また、入力装置は、暗証番号等の番号を入力するための装置に限定されない。アルファベット、ひらがな、カタカナ等の文字入力の際にも、その文字キーのうち基準となる1つのキーを第2操作が検出された位置に配置し、残りのキーを規則性のある配列で配置することにより、視覚障害者であっても文字入力に使用することができるソフトキータイプの入力装置を提供することができる。
【0062】
第1操作は、必ずしも第1画面30の第2領域32に対する操作である必要はない。第1画面30の第1領域31に対する操作であっても、第1モード用のソフトキーボード33で暗証番号を入力する際に用いられるタップ操作とは大きく異なる操作であれば、第1操作と定義してもよい。
【0063】
画面の中心を示唆する画像は、図3に示す第2画面40の画像41に限定されない。例えば、図4に示すように、二重円の画像412だけで画面の中心を示唆してもよい。この場合においても、二重円の内側の円を赤色等の目立つ色で塗り潰すことによって、多くの視覚障害者が画面の中心を認識することができる。また、図5に示すように、十字の画像411だけで画面の中心を示唆してもよい。この場合においても、十字の画像411の線を赤色等の目立つ色で表示することによって、多くの視覚障害者が画面の中心を認識することができる。勿論、二重円以外の形状の画像で画面の中心を示唆してもよいし、十字ではなくX字の画像で画面の中心を示唆してもよい。
【0064】
前記実施形態では、図2において、ACT14の処理の後、ACT6の処理へと戻る場合を例示した。この点に関しては、プロセッサ11がACT14の処理の後、ACT3の処理へと戻るようにしてもよい。
【0065】
前記実施形態では、第2画面40に対する第2操作の範囲を特に制限していない。この点については、第2画面40に対して第2操作が可能なエリアと不可能なエリアとを設定してもよい。第2操作が可能なエリアとは、第3画面50において第2モード用のソフトキーボード51を展開可能なエリアである。例えば、画面の中心から一定の範囲外で第2操作が行われた場合には、第3画面50に第2モード用のソフトキーボード51を展開できなくなる。そこで、第2画面40を、第3画面50においてソフトキーボード51を展開可能なエリアと、展開不可能なエリアとに区分する。そして、展開不可能なエリアに対して第2操作が行われた場合には、エラー音が発せられるようにする。
【0066】
また視覚障害者は、通常、入力装置1の外観形状、あるいはタッチパネル15の画面の位置等を指先でなぞる等して確認する。このため、タッチパネル15の画面端部をタッチしてしまうということは容易に起こり得る。その際、エラー音が発せられてしまっては、使い勝手が悪くなる。
【0067】
そこで、図6に示すように、第2画面40の外周に沿った領域をタッチ無効エリア42とする。そして、タッチ無効エリア42よりも内側の領域を、第2モード用のソフトキーボード51を展開不可能なキー表示不可エリア43と、展開可能なキー表示可能エリア44と、に区分する。このように第2画面40の領域を区分けすることによって、入力装置1の使い勝手を向上させることができる。
【0068】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…入力装置、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…通信インターフェース、15…タッチパネル、16…カードリーダ、17…スピーカ、18…システムバス、20…初期画面、30…第1画面、40…第2画面、50…第3画面、111…第1表示制御部、112…第1検出部、113…第2表示制御部、114…第2検出部、115…第3表示制御部、116…第3検出部、117…受付部、118…第4検出部、119…出力部、151…ディスプレイ、152…タッチセンサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6