(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076106
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】研削盤
(51)【国際特許分類】
B24B 41/047 20060101AFI20240529BHJP
B23Q 1/54 20060101ALI20240529BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240529BHJP
B24B 7/02 20060101ALI20240529BHJP
B24B 55/04 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B24B41/047
B23Q1/54
B24B49/10
B24B7/02
B24B55/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187503
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000150604
【氏名又は名称】株式会社ナガセインテグレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 幸泰
(72)【発明者】
【氏名】新藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】井村 諒介
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C047
3C048
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB01
3C034BB15
3C034BB32
3C034BB71
3C034BB89
3C034BB92
3C034CA11
3C034CA13
3C034CA26
3C034CB08
3C034DD07
3C043BA01
3C043BA11
3C043BA15
3C043CC03
3C043DD02
3C043DD03
3C043DD04
3C043DD06
3C047FF03
3C047FF11
3C047HH01
3C047HH04
3C048DD15
(57)【要約】
【課題】回転砥石の位置制御が容易になる研削盤を提供すること。
【解決手段】研削盤の回転砥石30は第3軸γ上に支持される。研削盤は、第2軸βを中心に旋回される可動体22bと、その可動体22bに支持され第2ケーシング23とを備えている。前記第1軸αを第2軸βに対して45度の角度で傾斜させるとともに、第3軸γを第1軸αに対して45度の角度で傾斜させる。前記第1軸α,第2軸β及び第3軸γの軸線を1点で交差させるとともに、その交点Pを回転砥石30の回転中心で、かつ厚さ方向の中心に配置した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸を中心に旋回される第1部材と、
前記第1部材に支持され、前記第1軸に対して45度の角度で傾斜する第2軸を中心に旋回される第2部材と、前記第2軸に対して45度の角度で傾斜する第3軸上に支持された回転砥石とを備えた研削盤において、
前記第1軸,第2軸及び第3軸を1点で交差させるとともに、その交点を前記回転砥石の回転中心である前記第3軸上に位置させた研削盤。
【請求項2】
前記交点を前記回転砥石の厚さ方向の中心に位置させた請求項1に記載の研削盤。
【請求項3】
前記第1軸の軸線を鉛直線上に位置させた請求項2に記載の研削盤。
【請求項4】
前記回転砥石の研削加工部を除く部分を覆う砥石カバーを設けるとともに、その砥石カバーがワークと干渉することを回避させるために前記砥石カバーを回避動作させるための回避手段を設けた請求項1に記載の研削盤。
【請求項5】
前記回避手段は、前記砥石カバーを前記第3軸を中心に回動させるカバー動作駆動手段である請求項4に記載の研削盤。
【請求項6】
前記カバー動作駆動手段は、モータと、そのモータによって回転される駆動ギヤと、その駆動ギヤと噛合するように前記砥石カバーに設けられた被動ギヤとを有し、前記カバー動作駆動手段の駆動によって前記駆動ギヤ及び被動ギヤを介して前記砥石カバーが回動される請求項5に記載の研削盤。
【請求項7】
前記カバー動作駆動手段は、前記砥石カバーの位置を制御するための制御手段を有し、その制御手段は、前記砥石カバーの研削加工部側の開口縁がワークから離間するように、前記砥石カバーを動作させる請求項5に記載の研削盤。
【請求項8】
【数1】
【数2】
【数3】
前記第1軸の角度をA,前記第2軸の角度をB,前記回転砥石の研削加工部の前記第1軸と平行な面に対する角度をθとした場合、前記第1軸の角度が上記の数1の数式で表されるとともに、前記第2軸の角度が上記の数2の数式で表される条件において、前記砥石カバーの回動角度が上記の数3の数式で表される請求項7に記載の研削盤。
【請求項9】
前記砥石カバーには前記ワークの表面を検出するためのセンサを設けた請求項4に記載の研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転砥石によってワークを研削加工するための研削盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12(a),同図(b)に示すように、特許文献1には、研削盤の回転砥石部分が開示されている。この研削盤においては、第1軸1の周りを回転する上部回転体6が設けられるとともに、第1軸1に対して45度の傾斜角度の第2軸2の周りで回転される下部回転体7が設けられている。そして、第2軸2に対して45度の角度の第3軸3上に回転砥石4が支持されている。回転砥石4は第3軸3を中心に高速回転される。また、一点鎖線で示すように、前記第1軸1及び第2軸2が1つの点(交点)Dで交差されている。交点Dが回転砥石4の外周面である砥面4a上の研削加工部に位置している。
【0003】
そして、回転砥石4が第1軸1及び第2軸2の少なくとも一方を中心に回転されることにより、回転砥石4の外周の砥面4aが第1軸1及び第2軸2の交点Dを中心にして姿勢を変更することができる。このため、ワークWに対して異なる方向から研削加工を施すことができる。例えば、
図12(a)の実線位置から回転砥石4が第2軸2を中心に90度回転されることにより、回転砥石4は
図12(a)の2点鎖線位置V1に配置される。また、回転砥石4が
図12(a)の位置から第1軸1を中心に90度回転されることにより、回転砥石4は
図12(b)の実線位置に配置される。さらに、回転砥石4が
図12(a)の位置から第1軸1を中心に90度回転されるとともに、第2軸2を中心に90度回転されることにより、回転砥石4は
図12(a)の2点鎖線位置V2に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来構成においては、
図12(a)の実線位置から、同図(a)の2点鎖線位置V2に旋回させる場合、その旋回過程において砥面4a上の交点Dの位置は、大きく、かつ複雑に移動する。すなわち、この場合、交点Dは、第1軸1の延長方向から見て、水平面上を回転砥石4の直径分の高低差の曲線軌跡を描いて移動する。同時に、
図12の紙面の直交方向から見て、垂直面上を回転砥石4の半径分の高低差の曲線軌跡を描いて移動する。つまり、砥面4a上の交点Dは、2つの曲線の合成曲線上において複雑な軌跡を描いて移動する。言い換えれば、砥面4a上の交点Dは、3次元空間上を複雑な軌跡を描いて移動する。従って、
図12(a)の実線位置及び2点鎖線位置V2の間の位置に回転砥石4を移動させてワークを研削する場合、それらの位置への回転砥石4の移動制御は、複雑で困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、第1駆動手段によって第1軸を中心に旋回される第1部材と、前記第1部材に支持され、前記第1軸に対して45度の角度で傾斜する第2軸を中心に第2駆動手段によって旋回される第2部材と、前記第2軸に対して45度の角度で傾斜する第3軸上に支持された回転砥石とを備えた研削盤において、前記第1軸,第2軸及び第3軸を1点で交差させるとともに、その交点を前記回転砥石の回転中心である前記第3軸上に位置させたことを特徴とする。
【0007】
従って、本発明においては、回転砥石の位置を移動制御する場合、回転砥石は、その半径分に移動するのみであるから、回転砥石の制御は容易である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転砥石の位置制御が容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】(a)は、回転砥石と3軸の交点との位置関係を示す一部省略正面図、(b)は、砥面が傾斜した回転砥石を示す簡略図。
【
図8】(a)~(c)は、砥石カバーの回動位置が調節された状態を示す簡略図。
【
図9】(a)~(p)は、回転砥石が種々の向きに姿勢変更された状態を示す図。
【
図10】第1軸,第2軸及び第3軸の位置関係,回転砥石と交点との位置関係を示す模式図。
【
図12】(a),(b)は、それぞれ従来構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を
図1~
図10の図面に基づいて説明する。
〈第1実施形態の研削盤の機械的構成〉
第1実施形態の研削盤は以下のように構成されている。
【0011】
図1に示すように、機台11のZ軸方向(水平方向)に延びるガイドレール12にはサドル13が図示しないモータによって同Z軸方向に移動可能に支持されている。サドル13には図示しないモータによってY軸方向(鉛直方向)に延びる昇降体14が同じく図示しないガイドレールを介して同Y軸方向に昇降可能に支持されている。昇降体14の下方において、機台11にはワークWを搭載するテーブル16がX軸方向(左右方向)に延びるガイドレール15を介して図示しないモータによって同X軸方向に移動可能に支持されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、昇降体14には砥石ユニット21が支持されている。
図4に示すように、砥石ユニット21は、上部側の第1ケーシング22と、下部側の第2ケーシング23を備えており、第1ケーシング22が昇降体14の下端部に固定されている。
図2~
図4に示すように、第1ケーシング22は、昇降体14に固定された固定体22aと、その固定体22aの下部においてアンギュラベアリング24を介して旋回可能にした第1部材としての可動体22bとを備えている。可動体22bは、鉛直線に位置する第2軸βの周りにおいて旋回される。固定体22aには第1駆動手段としての第1モータ25が内装されており、その第1モータ25の駆動によって可動体22bが前記第2軸βの周りに旋回される。
【0013】
図3~
図5に示すように、第2部材としての第2ケーシング23はアンギュラベアリング26を介して可動体22bに対して第1軸αの周りにおいて旋回可能に支持されている。第1軸αは第2軸βに対して45度の角度で傾斜されている。第2ケーシング23の前記旋回は、可動体22bに内装された第2駆動手段としての第2モータ27によって駆動される。
【0014】
図4及び
図5に示すように、第2ケーシング23には第3モータ28が内装されており、その第3モータ28の出力軸29が第3軸γを中心に回転されるとともに、第2ケーシング23外に突出する。そして、その突出部に回転砥石30が固定されている。第3軸γは、第1軸αに対して45度の角度で傾斜するとともに、第2軸βに対して直角をなしている。
【0015】
図3及び
図10に示すように、第1軸α,第1軸α及び第3軸γは、回転砥石30の回転中心及び厚さ方向の中心で交差している。この交差点を交点Pとする。
図3~
図5に示すように、回転砥石30の外周面が研削加工を行う砥面30bになっており、その砥面30bの下端における第2軸β上の位置が研削加工部30aになっている。そして、第3モータ28の駆動によって回転砥石30が第3軸γの周りで回転されることにより、砥面30bの研削加工部30aにおいてワークWに対する研削加工が実行される。
【0016】
第2ケーシング23には、第3モータ28,回転砥石30等の荷重に対するバランスをとるためのバランスウェイト31が取付けられている。
図4及び
図5に示すように、第2ケーシング23の回転砥石30側の端部には、ローラベアリング32を介して砥石カバー33がそのリング部34において第3軸γを中心に回動可能に支持されている。
図2及び
図5に示すように、砥石カバー33は、回転砥石30の研削加工部30aを除く部分である上部側の全体を覆っている。このため、第3軸γより下側である回転砥石30の下端部が砥石カバー33の開口縁33aから外部に突出している。従って、回転砥石30の研削加工部30aを含む下端部が砥石カバー33の下端の開口縁33aから突出している。リング部34の側面にはローラベアリング32上に位置するリング状の被動ギヤ35が固定されている。
【0017】
図4~
図6に示すように、第2ケーシング23には第4モータ41が装設されており、その出力軸41aには駆動ギヤ42が取付けられている。この駆動ギヤ42は前記被動ギヤ35に噛合されており、第4モータ41の回転によって、被動ギヤ35が回転される。このため、被動ギヤ35とともに砥石カバー33が第3軸γを中心に回動されるので、砥石カバー33の開口縁33aの位置が第3軸γを中心に移動される。
【0018】
図2に示すように、砥石カバー33の外側面にはセンサ収容部56が設置されている。センサ収容部56には、センサ57がアクチュエータ58によって2点鎖線で示す突出位置と実線で示す収容位置とに起伏可能に収容されている。センサ57が突出位置に配置された際には、センサ57の検出子57aの先端が第3軸γ上に位置する。この検出子57aは先端においてワークWの表面の位置を検出する。
【0019】
〈実施形態の研削盤の電気的構成,回転砥石の姿勢変更及び砥石カバーの位置制御〉
図7に示すように、実施形態の研削盤の動作を制御する中央処理装置51及び記憶部52を有する制御装置53には、ディスプレイよりなる表示部54及びキーボード等よりなる操作部55が接続されている。また、制御装置53には、前記第1~第4モータ25,27,28,41が接続されている。また、制御装置53には、第1~第4モータ25,27,28,41に内蔵されたエンコーダ25a,27a,28a,41aが接続されている。このエンコーダ25a,27a,28a,41aにより、第1~第4モータ25,27,28,41の回転位置,回転量等が検出される。
【0020】
そして、中央処理装置51は、記憶部52に格納されたプログラムに基づいて、エンコーダ25a,27a,28a,41aからの検出データを参照しながら、第1~第4モータ25,27,28,41の動作を制御する。本実施形態においては、制御装置53によって制御手段が構成されている。
【0021】
さらに、本実施形態においては、
図8(a)~(c)及び
図9(a)~(p)に示すように、砥石カバー33の開口縁33aがワークWの被加工面Waに対して接触による干渉が回避されるようになっている。このために、前記第1モータ25,第2モータ27及び第4モータ41の動作が制御装置53の中央処理装置51の制御作用によって制御される。この制御の実行のため、制御装置53の記憶部52には、後述の数1,数2,数3の数式が記憶されており、第1モータ25,第2モータ27及び第4モータ41の動作は、これらの数式に従って制御される。
【0022】
本実施形態においては、砥石カバー33の開口縁33aがワークWと干渉しないように、砥石カバー33を回避動作させる回避手段としてカバー動作駆動手段が設けられている。このカバー動作駆動手段は、中央処理装置51,第2モータ27と、被動ギヤ35と、駆動ギヤ42とを有する。
【0023】
〈実施形態の作用〉
次に、実施形態の研削盤の作用を説明する。
図1に示すテーブル16上のワークWの研削に際して、第3モータ28によって回転砥石30が一方向に高速回転される。そして、例えば、回転砥石30の中心の第3軸γがZ軸方向に延びた状態で、テーブル16がX軸方向に往復移動される。また、回転砥石30の中心の第3軸γがX軸方向に延びた状態で、サドル13がZ軸方向に往復移動される。すなわち、回転砥石30が所要の高さに維持されたり、昇降されたりしながら、回転砥石30がZ軸方向,X軸方向,Y軸方向またはそれらの合成方向にワークWに対して相対移動される。ここで、例えば、第1モータ25の駆動による第1ケーシング22の可動体22bの第2軸βを中心とした旋回及び第2モータ27の駆動による第2ケーシング23の第1軸αを中心とした旋回のうちの少なくとも一方の旋回が実行される。これらの旋回によって、
図9(a)~(p)に示すように、回転砥石30の姿勢が変更される。このため、回転砥石30の研削加工部30aが360度の全方向を指向するように配置可能である。従って、ワークWの水平な被加工面Waや直立の被加工面Waだけではなく、傾斜した被加工面Waを研削加工できる。
【0024】
そして、第1軸α,第2軸β及び第3軸γの交点Pが回転砥石30の回転中心であって、かつ回転砥石30の厚さ方向の中心に位置している。従って、回転砥石30の姿勢変更に際して、回転砥石30は、交点Pを中心にして旋回するのみである。そして、
図9(a)~(p)に示すように、回転砥石30の姿勢変更において、交点Pの位置は移動することなく、定位置を維持する。
【0025】
また、回転砥石30の姿勢変更に際して、砥石カバー33の開口縁33aがワークWに接触するおそれがある。しかし、本実施形態においては、このようなおそれがある場合、第4モータ41の駆動による砥石カバー33の回動よって、砥石カバー33の開口縁33aが移動して、ワークWから離間する。すなわち、
図8(a)~(c)及び
図9(a)~(e)に示すように、ワークWの加工中の被加工面Waに対して平行をなすように、加工中の砥石カバー33が第3軸γを中心に回動される。このため、砥石カバー33とワークWとの干渉を回避できる。
【0026】
この干渉を避けるために、砥石カバー33の回動位置は、以下の数1~数3の数式に従って制御される。
ここで、
図3(a)及び同図(b)に示すように、第2軸βと平行な面Sに対する研削加工部30aの角度をθとすると、第1軸αの傾斜角度Aは、以下の数1の式で求められる。
【0027】
【0028】
このとき、第2軸βの角度Bは以下の数2の式で求められる。
【0029】
【0030】
そして、数1及び数2の数式の条件下において、砥石カバー33の開口縁33aがワークWの被加工面Waと平行になる砥石カバー33の回動角度Cは、以下の数3の数式で求められる。
【0031】
【0032】
なお、ワークWの被加工面Waの位置を計測する場合は、
図1に示すように、センサ57が収容位置から突出位置に配置される。そして、センサ57の検出子57aの接触によってワークWの被加工面Waの位置が測定される。測定後、センサ57は収容位置に戻される。
【0033】
(実施形態の効果)
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)第1軸α,第2軸β及び第3軸γの軸線の交点Pが回転砥石30の回転中心で、かつ厚さ方向の中心に位置している。このため、回転砥石30が姿勢変更して研削加工部30aがその向きを変更する場合、回転砥石30は交点Pを中心に旋回するのみである。従って、回転砥石30の位置制御が容易になる。
【0034】
(2)回転砥石30が姿勢変更される場合、砥石カバー33がワークWと干渉しないように移動される。従って、砥石カバー33の存在が障害になることを回避できるため、回転砥石30の姿勢を自在に変更できる。このため、砥石カバー33とワークWとの干渉を避けるために、テーブル16上においてワークWの位置や姿勢を変更する手間を省略できることになって、ワークWの表面研削を効率よく実行できる。
【0035】
(3)第3軸γ上においてワークWの被加工面Waの位置を計測するためのセンサ57を設けたことにより、回転砥石30の姿勢変更を利用して、被加工面Waの位置を計測できる。よって、被加工面Waの位置計測が容易になる。つまり、第3軸γ上において、被加工面Waの位置を計測するため、他の位置において計測する場合と比較して、検出データを補正する手順が容易になる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に説明する。
図11に示すように、本実施形態においては、砥石カバー33の両端面に、ワークWの表面を検出するためのセンサ61を設けたものである。このセンサ61の検出子61aは、回転砥石30の研削加工部30aより第2軸βの延長方向において後退した位置に配置されている。そして、検出子61aの先端がワークWに接触すると、第4モータ41が回転されて、ワークWと砥石カバー33との接触が回避される方向にその砥石カバー33が決められた量だけ回動される。
【0037】
従って、前記第1実施形態における数1~数3の数式を要することなく、ワークWに対する砥石カバー33の干渉を回避できる。
(変更例)
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。
【0038】
・第1軸α,第2軸β及び第3軸γの交点Pを第3軸γ上において回転砥石30の厚さ方向の中心以外のところに位置させること。
・第2実施形態において、センサ61の第2軸β方向の位置を調節できるようにすること。
【0039】
・第2軸βを鉛直方向以外の方向を向くように方向変更すること。この場合、第1軸αは第2軸βに対して45度の角度で傾斜し、第3軸γは第1軸αに対して45度の角度で傾斜するようにする。
【0040】
・第2軸β及び第3軸γに対する第1軸αの傾斜角度を変更すること。例えば、第2軸βに対する第1軸αの傾斜角度を60度、第3軸γに対する第1軸αの傾斜角度も同じ60度にすること。それ以外に、第2軸βに対する第1軸αの傾斜角度を90度以下の任意の角度、第3軸γに対する第1軸αの傾斜角度を90度以下の任意の角度にすること。
【符号の説明】
【0041】
22…第1ケーシング
23…第2ケーシング
25…第1モータ
27…第2モータ
28…加工モータ
30…回転砥石
33…砥石カバー
35…被動ギヤ
41…第4モータ
42…駆動ギヤ
53…制御装置
22a…固定体
22b…可動体
30a…研削加工部
33a…開口縁
57…センサ
A…角度
B…角度
C…回動角度
P…交点
S…面
W…ワーク
α…第1軸
β…第2軸
γ…第3軸
θ…角度