(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076109
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】マルチコントロールバルブ
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
F15B11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187507
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】大島 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】東出 善之
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA60
3H089AA74
3H089BB27
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA02
3H089DB03
3H089DB13
3H089DB33
3H089DB43
3H089GG02
3H089HH05
3H089HH09
3H089HH10
3H089HH16
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】通路を容易に形成でき、且つコンパクトに形成できるマルチコントロールバルブを提供する。
【解決手段】マルチコントロールバルブでは、バケット用スプールと、アーム用スプールと、ブーム用スプールと、第1走行用スプールと、第2走行用スプールと、旋回用スプールと、を含む第1スプール群と、荷役側通路と走行側通路とが形成され、且つ第1スプール群の各スプールが挿通されるバルブブロックと、再生用スプールと、走行優先用スプールと、アンロード用スプールとを含む第2スプール群であって、第1スプール群の各スプールと互いに平行するように各スプールがバルブブロックに挿通される第2スプール群と、を備え、第1スプール群の各スプールは、バルブブロックにおいて所定方向に一列に配置され、第2スプール群の各スプールは、バルブブロックにおいて所定方向に一列に、且つ第1スプール群の各スプールと互いに異なる列を成すように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットシリンダに供給する作動液の流れを制御するバケット用スプールと、アームシリンダに供給する作動液の流れを制御するアーム用スプールと、ブームシリンダに供給する作動液の流れを制御するブーム用スプールと、第1走行モータに供給する作動液の流れを制御する第1走行用スプールと、第2走行モータに供給する作動液の流れを制御する第2走行用スプールと、旋回モータに供給する作動液の流れを制御する旋回用スプールと、を含む第1スプール群と、
前記バケット用スプール、前記アーム用スプール、前記ブーム用スプール、及び前記旋回用スプールが接続される荷役側通路と、前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールが接続される走行側通路とが形成され、前記第1スプール群の各スプールが互いに平行に挿通されるバルブブロックと、
前記アームシリンダのロッド側ポートからヘッド側ポートへ供給される作動液の流れを制御する再生用スプールと、前記荷役側通路に流れる作動液の流量を制御することによって作動液を前記走行側通路に優先的に流す走行優先用スプールと、前記走行側通路を流れる作動液を排出するアンロード用スプールとを含む第2スプール群であって、前記第1スプール群の各スプールと互いに平行するように各スプールが前記バルブブロックに挿通される前記第2スプール群と、を備え、
前記第1スプール群の各スプールは、前記バルブブロックにおいて所定方向に一列に配置され、
前記第2スプール群の各スプールは、前記バルブブロックにおいて所定方向に一列に、且つ前記第1スプール群の各スプールと互いに異なる列を成すように配置されている、マルチコントロールバルブ。
【請求項2】
前記第2スプール群は、前記走行側通路の圧力に応じて作動液を排出することによって前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールに導かれる作動液の流量を保持する圧力補償用弁体を更に含む、請求項1に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項3】
前記走行側通路は、所定方向に延在し、
前記圧力補償用弁体は、タンク通路に接続され、前記バルブブロックにおいて所定方向中間部分に配置されている、請求項2に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項4】
前記第1スプール群及び前記第2スプール群の各スプールを駆動すべくパイロット圧を出力する複数の電磁弁を含む電磁弁群を更に有し、
前記電磁弁群は、前記バルブブロックにおいて所定方向に複数列に並べられ、前記第1スプール群及び前記第2スプール群と異なる列を成すように配置されている、請求項1に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項5】
前記バルブブロックは、ブロック本体と、電磁弁ブロックとを含み、
前記第1スプール群及び前記第2スプール群は、前記ブロック本体に挿通され、
前記電磁弁群は、前記電磁弁ブロックに配置されている、請求項4に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項6】
前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールは、所定方向に互いに離して配置され、
前記バルブブロックには、前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向に見て、前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールとの間に位置するポンプポートが形成され、
前記走行優先用スプールは、列方向に見て前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールの間に配置され、前記第1スプール群に含まれ且つ前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールと別の何れかの前記スプールと列方向に見て重なるように配置されている、請求項1に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項7】
前記第1スプール群は、アクチュエータに作動液を供給する作動油の流れを制御するオプション用スプールを更に含み、
前記アンロード用スプールは、前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向に見て、前記オプション用スプールと重なるように配置されている、請求項1に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項8】
前記荷役側通路及び前記走行側通路は、前記バルブブロックであって、前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向において前記第1スプール群と前記第2スプール群との間に形成されている、請求項1に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項9】
前記荷役側通路及び前記走行側通路は、前記バルブブロックにおいて所定方向一端から他端まで貫通している、請求項1に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項10】
前記バルブブロックには、前記第1走行モータ及び前記第2走行モータに作動液を供給する際に前記第1走行モータと前記第2走行モータとを連通する連通路が形成され、
前記連通路は、前記バルブブロックにおいて前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向において前記第1スプール群と前記第2スプール群との間に形成されている、請求項8に記載のマルチコントロールバルブ。
【請求項11】
前記連通路は、前記バルブブロックにおいて所定方向一端から他端まで貫通している、請求項10に記載のマルチコントロールバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のスプールが挿通されるマルチコントロールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ショベル等の建設機械では、各アクチュエータへの作動液の流れを制御するマルチコントロールバルブが備わっている。マルチコントロールバルブの一例として、例えば特許文献1の油圧制御弁装置が知られている。油圧制御弁装置では、各アクチュエータへの作動液の流れを制御するスプール、即ち駆動系スプールが本体ブロックに一列に並べて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチコントロールバルブには、駆動系スプールの他に補助系スプールが備わっている。補助系スプールは、建設機械における省エネルギー化や操作性向上の等の様々な要望に伴ってマルチコントロールバルブに備え付けられているスプールである。補助系スプールとして例えば再生用スプール、走行優先用スプール、及びアンロードスプールがある。補助系スプールは、特定のスプールに接続される。それ故、補助系スプールが配される位置によって、マルチコントロールバルブに形成される通路が複雑になる。
【0005】
そこで本開示は、通路を容易に形成することができ、且つコンパクトに形成することができるマルチコントロールバルブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のマルチコントロールバルブは、バケットシリンダに供給する作動液の流れを制御するバケット用スプールと、アームシリンダに供給する作動液の流れを制御するアーム用スプールと、ブームシリンダに供給する作動液の流れを制御するブーム用スプールと、第1走行モータに供給する作動液の流れを制御する第1走行用スプールと、第2走行モータに供給する作動液の流れを制御する第2走行用スプールと、旋回モータに供給する作動液の流れを制御する旋回用スプールと、を含む第1スプール群と、前記バケット用スプール、前記アーム用スプール、前記ブーム用スプール、及び前記旋回用スプールが接続される荷役側通路と、前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールが接続される走行側通路とが形成され、前記第1スプール群の各スプールが互いに平行に挿通されるバルブブロックと、前記アームシリンダのロッド側ポートからヘッド側ポートへ供給される作動液の流れを制御する再生用スプールと、前記荷役側通路に流れる作動液の流量を制御することによって作動液を前記走行側通路に優先的に流す走行優先用スプールと、前記走行側通路を流れる作動液を排出するアンロード用スプールとを含む第2スプール群であって、前記第1スプール群の各スプールと互いに平行するように各スプールが前記バルブブロックに挿通される前記第2スプール群と、を備え、前記第1スプール群の各スプールは、前記バルブブロックにおいて所定方向に一列に配置され、前記第2スプール群の各スプールは、前記バルブブロックにおいて所定方向に一列に、且つ前記第1スプール群の各スプールと互いに異なる列を成すように配置されているものである。
【0007】
本開示に従えば、各シリンダ及び各モータであるアクチュエータを駆動する駆動系のスプールを一列に配置しているので、通路の形成を容易にすることができる。また、駆動系のスプール以外の補助系のスプールを駆動系スプールの列の横に一列に配置するので、マルチコントロールバルブのコンパクトに形成することができる。それ故、機器への搭載性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、通路を容易に形成することができ、且つコンパクトに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の本実施形態に係るマルチコントロールバルブを示す平面図である。
【
図2】
図1のマルチコントロールバルブに構成される液圧回路を示す回路図である。
【
図3】
図1のマルチコントロールバルブを切断線III-IIIで切断して見た断面図である。
【
図4】
図1のマルチコントロールバルブを切断線IV-IVで切断して見た断面図である。
【
図5】
図1のマルチコントロールバルブを切断線V-Vで切断して見た断面図である。
【
図6】
図5のマルチコントロールバルブを切断線VI-VIで切断して見た断面図である。
【
図7】
図5のマルチコントロールバルブを切断線VII-VIIで切断して見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態のマルチコントロールバルブ1について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明するマルチコントロールバルブ1は、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0011】
<マルチコントロールバルブ>
図1に示すようなマルチコントロールバルブ1は、ショベルのような建設機械等に備わっている。建設機械は、液圧シリンダ及び液圧モータ等の複数のアクチュエータ2~8を備えている。建設機械には、例えばバケットシリンダ2、アームシリンダ3、ブームシリンダ4等の液圧シリンダ、及び第1走行モータ5、第2走行モータ6、及び旋回モータ7等の液圧モータが備わっている。また、建設機械には、更にオプション用アクチュエータ(例えば、オプション用シリンダ)8が備わっている。バケットシリンダ2、アームシリンダ3、及びブームシリンダ4は、バケット、アーム、及びブーム(共に図示せず)を夫々作動させる。第1走行モータ5及び第2走行モータ6は、一対のクローラの一方及び他方を夫々作動させる。オプションシリンダ8は、例えばブレーカ及び二プラ等を作動させる。
【0012】
マルチコントロールバルブ1は、複数のアクチュエータ2~8に対して給排される作動液の流れを制御する。なお、マルチコントロールバルブ1は、本実施形態において、後述するように1つのポンプポート35を有する1ポンプシステムのマルチコントロールバルブである。マルチコントロールバルブ1は、主にバルブブロック11と、第1スプール群12と、第2スプール群13とを備えている。
【0013】
バルブブロック11には、後で詳述する各種通路21a~27a,21b~27b,32,33,34,36及び各ポート35,36aが形成されている。また、バルブブロック11は、例えば直方体状に形成されている。バルブブロック11は、高さ方向一方側から見た平面視で矩形状に形成されている。そして、バルブブロック11の短手方向一方側にある側面(即ち、一側面)には、液圧ポンプ16、タンク17が接続される。また、バルブブロック11の短手方向他方側にある側面(即ち、他側面)に複数のアクチュエータ2~8が接続される。
【0014】
第1スプール群12は、複数の駆動系のスプール21~27を含んでいる。より詳細に説明すると、第1スプール群12は、後で詳述する第1走行用スプール21と、第2走行用スプール22と、バケット用スプール23と、アーム用スプール24と、ブーム用スプール25と、旋回用スプール26と、オプション用スプール27とを含んでいる。他方、第2スプール群13は、複数の補助系のスプール28~30及び弁体31を含んでいる。より詳細に説明すると、第2スプール群13は、後で詳述する走行優先用スプール28と、アンロード用スプール29と、アーム再生用スプール30と、圧力補償用弁体31と、を含んでいる。
【0015】
各スプール21~30は、バルブブロック11に摺動可能に挿通されている。駆動系のスプール21~27は、位置を変えることによって、各アクチュエータ2~8への作動液の流れを制御する。他方、補助系のスプール28~30及び圧力補償用弁体31は、位置を変えることによって、後で詳述する種々の機能(再生機能、アンロード機能、走行優先機能、及び圧力保持機能)を達成する。
【0016】
また、マルチコントロールバルブ1は、複数の電磁弁14a~14sと、複数のリリーフ弁15a~15hとを備えている。電磁弁14a~14sの各々は、駆動系のスプール21~30の各々に対応させてバルブブロック11に設けられている。電磁弁14a~14sの各々は、入力される信号に応じたパイロット圧を対応するスプール21~27に出力する。これにより、電磁弁14a~14sの各々は、対応するスプール21~27の位置を変える。また、複数の電磁弁14a~14sは、後で詳述するように2つの電磁弁群14A,14Bを夫々構成している。
【0017】
複数のリリーフ弁15a~15hの各々は、駆動系のスプール21~27のうちの一部のスプール23~24,27に対応させてバルブブロック11に設けられている。リリーフ弁15a~15hの各々は、対応するスプール23~24,27からアクチュエータ2~4,8に供給される作動液が所定のリリーフ圧以上になった際に作動液をタンク17に排出する。複数のリリーフ弁15a~15hは、後で詳述するように第1リリーフ弁群15A及び第2リリーフ弁群15Bを夫々構成している。
【0018】
<マルチコントロールバルブにおける液圧回路>
以下では、
図2を参照しながらマルチコントロールバルブ1における液圧回路9が説明される。バルブブロック11には、主に走行側通路32、連通路33、荷役側通路34等の種々の通路が形成されている。走行側通路32は、ポンプポート35に繋がっている。ポンプポート35には、作動液を吐出する液圧ポンプ16が接続される。また、走行側通路32は、駆動系のスプール21~27のうち走行系スプール21,22が並列するように接続されている。走行系スプール21,22は、第1走行モータ5及び第2走行モータ6である走行系アクチュエータ5,6に流れる作動液を制御するスプールである。即ち、走行系スプール21,22には、第1走行用スプール21、及び第2走行用スプール22が含まれる。
【0019】
一方の走行系スプール21である第1走行用スプール21は、第1走行モータ5に供給する作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、第1走行用スプール21は、走行側通路32及びタンク通路36に接続される。タンク通路36は、バルブブロック11において長手方向に延在しており、バルブブロック11全体に形成されている。そして、タンク通路36は、タンクポート36aを介してタンク17に接続される。第1走行用スプール21は、給排通路21a,21bの各々を介して第1走行モータ5の第1給排ポート5a及び第2給排ポート5bに接続されている。第1走行用スプール21は、各電磁弁14a,14bから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、第1走行用スプール21は、ばね機構41によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、第1走行用スプール21は、各電磁弁14a,14bのパイロット圧に応じた位置にストロークする。第1走行用スプール21は、ストロークすることによって走行側通路32及びタンク通路36の接続先を切換え、また第1走行用スプール21の開度がその位置に応じた開度に調整される。これにより、第1走行用スプール21は、第1走行モータ5の第1給排ポート5a及び第2給排ポート5bに対する作動液の流れを制御する。
【0020】
他方の走行系スプール22である第2走行用スプール22は、第2走行モータ6に供給する作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、第2走行用スプール22は、走行側通路32及びタンク通路36に接続される。第2走行用スプール22は、給排通路22a,22bの各々を介して第2走行モータ6の第1給排ポート6a及び第2給排ポート6bに接続されている。第2走行用スプール22は、各電磁弁14c,14dから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、第2走行用スプール22は、ばね機構42によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、第2走行用スプール22は、各電磁弁14c,14dのパイロット圧に応じた位置にストロークする。第2走行用スプール22は、ストロークすることによって走行側通路32及びタンク通路36の接続先を切換え、また第2走行用スプール22の開度がその位置に応じた開度に調整される。これにより、第2走行用スプール22は、第2走行モータ6の第1給排ポート6a及び第2給排ポート6bに対する作動液の流れを制御する。
【0021】
連通路33は、第1走行用スプール21と第2走行用スプール22とに接続されている。そして、連通路33は、第1走行モータ5及び第2走行モータ6に作動液を供給する際に、第1走行モータ5及び第2走行モータ6を連通する。より詳細に説明すると、第1走行用スプール21は、ストロークすると、第1走行モータ5と走行側通路32とを繋ぐ給排通路21a,21bに連通路33を接続する。また、第2走行用スプール22は、ストロークすると、第2走行モータ6と走行側通路32とを繋ぐ給排通路22a,22bに連通路33を接続する。これにより、直進走行時において第1走行モータ5及び第2走行モータ6を同時に作動させる際に2つの走行モータ5,6に供給される作動液の流量に偏りが生じることが抑制される。従って、建設機械の走行直進性を向上させることができる。
【0022】
荷役側通路34は、後で詳述する走行優先用スプール28を介して走行側通路32が接続されている。即ち、荷役側通路34には、液圧ポンプ16の作動液が走行優先用スプール28を介して導かれる。また、荷役側通路34には、駆動系のスプール21~27のうち荷役系スプール23~27が並列するように接続されている。荷役系スプール23~27は、バケットシリンダ2,アームシリンダ3,ブームシリンダ4,旋回モータ7,及びオプションシリンダ8である荷役系アクチュエータ2~4,7,8に流れる作動液を制御するスプールである。即ち、荷役系スプール23~27には、バケット用スプール23,アーム用スプール24,ブーム用スプール25、旋回用スプール26,及びオプション用スプール27が含まれている。
【0023】
バケット用スプール23は、バケットシリンダ2に供給する作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、バケット用スプール23は、荷役側通路34及びタンク通路36に接続される。更に、バケット用スプール23は、ヘッド側通路23aを介してバケットシリンダ2のヘッド側ポート2aに接続され、且つロッド側通路23bを介してバケットシリンダ2のロッド側ポート2bに接続されている。また、バケット用スプール23は、各電磁弁14e,14fから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、バケット用スプール23は、ばね機構43によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、バケット用スプール23は、各電磁弁14e,14fのパイロット圧に応じた位置にストロークする。バケット用スプール23は、ストロークすることによって荷役側通路34及びタンク通路36の接続先を切換え、またバケット用スプール23の開度がその位置に応じた開度に調整される。これにより、バケット用スプール23は、バケットシリンダ2のヘッド側ポート2a及びロッド側ポート2bに対する作動液の流れを制御する。
【0024】
アーム用スプール24は、アームシリンダ3に供給する作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、アーム用スプール24は、第1スプール部材24c及び第2スプール部材24dを有している。第1スプール部材24c及び第2スプール部材24dは、荷役側通路34及びタンク通路36に夫々接続される。また、第1スプール部材24c及び第2スプール部材24dは、ヘッド側通路24aを介してアームシリンダ3のヘッド側ポート3aに接続されている。また、第1スプール部材24cは、ロッド側通路24bを介してロッド側ポート3bに接続されている。更に、第1スプール部材24cは、各電磁弁14g,14hから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、第2スプール部材24dは、各電磁弁14h,14iから出力されるパイロット圧を互いに抗するように受圧している。更に、第1スプール部材24c及び第2スプール部材24dには、受圧するパイロット圧に抗する付勢力を作用させるばね機構44,45が夫々設けられている。それ故、第1スプール部材24cは、各電磁弁14g,14hのパイロット圧に応じた位置にストロークし、また第2スプール部材24dは、各電磁弁14h,14iのパイロット圧に応じた位置にストロークする。第1スプール部材24c及び第2スプール部材24dは、ストロークすることによって荷役側通路34及びタンク通路36の接続先を切換え、また第1スプール部材24c及び第2スプール部材24dの各々の開度がその位置に応じて調整される。これにより、アーム用スプール24は、アームシリンダ3のヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bに対する作動液の流れを制御する。
【0025】
ブーム用スプール25は、ブームシリンダ4に供給する作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、ブーム用スプール25は、第1スプール部材25c及び第2スプール部材25dを有している。第1スプール部材25c及び第2スプール部材25dは、荷役側通路34及びタンク通路36の各々に接続される。更に、第1スプール部材25c及び第2スプール部材25dは、ヘッド側通路25aを介してブームシリンダ4のヘッド側ポート4aに接続されている。また、第1スプール部材25cは、ロッド側通路25bを介してロッド側ポート4bに接続されている。更に、第1スプール部材25cは、各電磁弁14j,14kから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、第2スプール部材25dは、各電磁弁14k,14lから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。更に、第1スプール部材25c及び第2スプール部材25dには、受圧するパイロット圧に抗する付勢力を作用させるばね機構46,47が設けられている。それ故、第1スプール部材25cは、各電磁弁14j,14kのパイロット圧に応じた位置にストロークし、また第2スプール部材25dは、各電磁弁14k,14lのパイロット圧に応じた位置にストロークする。第1スプール部材25c及び第2スプール部材25dは、ストロークすることによって荷役側通路34及びタンク通路36の接続先を切換え、また第1スプール部材25c及び第2スプール部材25dの各々の開度がその位置に応じて調整される。これにより、ブーム用スプール25は、ブームシリンダ4のヘッド側ポート4a及びロッド側ポート4bに対する作動液の流れを制御する。
【0026】
旋回用スプール26は、旋回モータ7に供給する作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、旋回用スプール26は、荷役側通路34及びタンク通路36に接続される。更に、旋回用スプール26は、給排通路26a,26bの各々を介して旋回モータ7の第1給排ポート7a及び第2給排ポート7bに接続されている。また、旋回用スプール26は、各電磁弁14m,14nから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、旋回用スプール26は、ばね機構48によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、旋回用スプール26は、各電磁弁14m,14nのパイロット圧に応じた位置にストロークする。旋回用スプール26は、ストロークすることによって荷役側通路34及びタンク通路36の接続先を切換え、また旋回用スプール26の開度がその位置に応じた開度に調整される。これにより、旋回用スプール26は、旋回モータ7の第1給排ポート7a及び第2給排ポート7bに対する作動液の流れを制御する。
【0027】
オプション用スプール27は、オプションシリンダ8に供給する作動油の流れを制御する。より詳細に説明すると、オプション用スプール27は、荷役側通路34及びタンク通路36に接続される。更に、オプション用スプール27は、ヘッド側通路27aを介してオプションシリンダ8のヘッド側ポート8aに接続され、ロッド側通路27bを介してロッド側ポート8bに夫々接続されている。また、オプション用スプール27は、各電磁弁14o,14pから出力されるパイロット圧を互いに抗する方向に受圧している。また、オプション用スプール27は、ばね機構49によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、オプション用スプール27は、各電磁弁14o,14pのパイロット圧に応じた位置にストロークする。オプション用スプール27は、ストロークすることによって荷役側通路34及びタンク通路36の接続先を切換え、またオプション用スプール27の開度がその位置に応じた開度に調整される。これにより、オプション用スプール27は、オプションシリンダ8のヘッド側ポート8a及びロッド側ポート8bに対する作動液の流れを制御する。
【0028】
走行優先用スプール28は、荷役側通路34に流れる作動液の流量を制御することによって作動液を走行側通路32に優先的に流す。より詳細に説明すると、走行優先用スプール28は、荷役側通路34及び走行側通路32に接続される。走行優先用スプール28は、電磁弁14qからのパイロット圧を受圧している。更に、走行優先用スプール28は、ばね機構50によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、走行優先用スプール28は、各電磁弁14qのパイロット圧に応じた位置にストロークし、走行優先用スプール28の開度が調整される。これにより、走行優先用スプール28は、荷役側通路34に流れる作動液の流量を制御することによって作動液を走行側通路32に優先的に流す。
【0029】
アンロード用スプール29は、走行側通路32を流れる作動液を排出する。より詳細に説明すると、アンロード用スプール29は、2つの走行用スプール21,22に並列するように走行側通路32に接続されている。また、アンロード用スプール29は、タンク通路36に接続されている。アンロード用スプール29は、電磁弁14rからのパイロット圧を受圧している。更に、アンロード用スプール29は、ばね機構51によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、アンロード用スプール29は、各電磁弁14rのパイロット圧に応じた位置にストロークする。これにより、アンロード用スプール29は、走行側通路32をタンク通路36に接続し、液圧ポンプ16をアンロード状態にする。
【0030】
アーム再生用スプール30は、アームシリンダ3のロッド側ポート3bからヘッド側ポート3aへ供給される作動液の流れを制御する。即ち、アーム再生用スプール30は、ロッド側ポート3bから排出される作動液をヘッド側ポート3aに再生する。より詳細に説明すると、アーム再生用スプール30は、アームシリンダ3に繋がるヘッド側通路24a及びロッド側通路24bに接続される。アーム再生用スプール30は、電磁弁14sからのパイロット圧を受圧している。更に、アーム再生用スプール30は、ばね機構52によって受圧するパイロット圧に抗するように付勢される。それ故、アーム再生用スプール30は、各電磁弁14sのパイロット圧に応じてヘッド側通路24aとロッド側通路24bとを連通する。これにより、アーム再生用スプール30は、ロッド側ポート3bから排出される作動液をヘッド側ポート3aに再生できる。
【0031】
圧力補償用弁体31は、作動液を排出することによって走行側通路32の圧力を保持する。より詳細に説明すると、圧力補償用弁体31は、走行側通路32に接続されている。圧力補償用弁体31は、走行側通路32の圧力に応じて走行側通路32とタンク通路36とを接続する。即ち、圧力補償用弁体31は、走行側通路32を流れる作動液の圧力を所定圧力に保持するように走行側通路32を流れる作動液を排出する。
【0032】
複数のリリーフ弁15a~15hは、各シリンダ2~4,8に対応させて設けられている。そして、複数のリリーフ弁15a~15hは、対応するシリンダ2~4,8に供給される作動液の圧力が所定のリリーフ圧を超えると、作動液をタンク17に排出する。より詳細に説明すると、複数のリリーフ弁15a~15hは、各ヘッド側通路23a~25a,27a及び各ロッド側通路23b~25b,27bに夫々接続されている。更に、複数のリリーフ弁15a~15hは、タンク通路36に接続されている。複数のリリーフ弁15a~15hは、接続される通路23a~25a,27a,23b~25b,27bが所定のリリーフ圧を超えると、作動液をタンク17に排出する。
【0033】
<マルチコントロールバルブにおける作動液の流れ>
マルチコントロールバルブ1は、荷役系アクチュエータ2~4,7,8が駆動される際、以下のように動作する。即ち、電磁弁14e~14nの何れかからパイロット圧が出力されると、対応するスプール23~27が作動する。例えば、電磁弁14eからパイロット圧が出力されると、バケット用スプール23が作動する。そうすると、液圧ポンプ16からの作動液がバケットシリンダ2のヘッド側ポート2aに供給され、またロッド側ポート2bから作動液が押し出されてタンク17に排出される。これにより、バケットシリンダ2が伸長する。
【0034】
また、電磁弁14g,14iからパイロット圧が出力されると、アーム用スプール24が作動する。そうすると、液圧ポンプ16からの作動液がアームシリンダ3のヘッド側ポート3aに供給され、またロッド側ポート2bから作動液が押し出される。この際、アーム再生用スプール30を作動させることによって、ロッド側ポート2bから押し出された作動液がヘッド側ポート3aに再生される。
【0035】
他方、走行系アクチュエータ5,6が駆動される際、及び走行系アクチュエータ5,6と荷役系アクチュエータ2~4,7,8とが同時に操作される際、以下のように動作する。即ち、電磁弁14a~14dの何れかからパイロット圧が出力されると、走行優先用スプール28が作動すると共に対応する走行用スプール21,22が作動する。走行優先用スプール28が作動することによって、荷役側通路34に流れる作動液の流量が制限され、走行側通路32に作動液が優先的に流される。また、パイロット圧に関して例えば電磁弁14a,14cから出力されると、走行用スプール21,22が作動し、液圧ポンプ16からの作動液が各走行モータ5,6に供給される。そして、各走行モータ5,6が建設機械を前進させる方向に回転する。この際、連通路33によって走行モータ5,6とが連通される。これにより、2つの走行モータ5,6に供給される作動液の流量に偏りが抑制されるので、建設機械の直進性を向上させることができる。
【0036】
更に、マルチコントロールバルブ1では、電磁弁14rからパイロット圧を出力させることによってアンロード用スプール29が作動する。これにより、走行側通路32がアンロード用スプール29を介してタンク17に接続される。これにより、液圧ポンプ16をアンロード状態にすることができる。
【0037】
<マルチコントロールバルブの具体的構成>
以下では、マルチコントロールバルブ1の具体的構成について説明する。前述の通り、マルチコントロールバルブ1のバルブブロック11は、例えば大略直方体状に形成されている。更に詳細に説明すると、バルブブロック11は、ブロック本体11aと、電磁弁ブロック11bとを含む。ブロック本体11aは、例えば大略直方体状に形成されている。ブロック本体11aは、高さ方向一方側から見た平面視において矩形状に形成されている。
【0038】
バルブブロック11(本実施形態においてブロック本体11a)には、第1スプール群12及び第2スプール群13の各スプール21~30及び圧力補償用弁体31が以下のように挿通されている。即ち、第1スプール群12の各スプール21~27は、
図3に示すように、平面視で所定方向の一例である長手方向に一列に並び且つ互いに平行にブロック本体11aに挿通されている。なお、
図1では、各スプール21~27の軸方向(即ち、高さ方向)一端に設けられるばね機構41~44,46,48,49が長手方向に一列に並んでいる。また、本実施形態において、第1スプール群12の各スプール21~27は、ブロック本体11aにおいて短手方向中央部分に一列に並べて挿通されている。
【0039】
また、第1スプール群12において、第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22は、長手方向に互いに離して配置されている。本実施形態において、第1走行用スプール21と第2走行用スプール22とは、それらの間に旋回用スプール26、ブーム用スプール25、オプション用スプール27が配置されている。第1スプール群12の各スプール21~27は、例えば長手方向一方側からアーム用スプール24,第1走行用スプール21,旋回用スプール26、ブーム用スプール25、オプション用スプール27、第2走行用スプール22、及びバケット用スプール23の順で並んでいる。なお、各スプール21~27が長手方向に並ぶ順番は一例であって、上記と異なる順番であってもよい。
【0040】
第2スプール群13の各スプール28~30及び圧力補償用弁体31は、
図4に示すように平面視で所定方向の一例である長手方向に一列に並ぶようにブロック本体11aに挿通されている。また、第2スプール群13の各スプール28~30及び圧力補償用弁体31は、第1スプール群12の各スプール21~27と互いに異なる列を成すようにブロック本体11aに挿通されている。より詳細に説明すると、第2スプール群13は、
図1に示すようにブロック本体11aにおいて第1スプール群12の短手方向一方側に配置されている。即ち、第2スプール群13の各スプール28~30及び圧力補償用弁体31は、第1スプール群12の各スプール21~27の短手方向一方側に列を成すようにブロック本体11aに挿通されている。
【0041】
また、第2スプール群13では、圧力補償用弁体31がブロック本体11aにおいて長手方向中間部分に配置されている。更に、走行優先用スプール28は、第1スプール群12及び前記第2スプール群13が並ぶ列方向(本実施形態において短手方向)に見て第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22の間に配置されている。更に、走行優先用スプール28は、本実施形態において短手方向においてブーム用スプール25と重なるように配置されている。但し、走行優先用スプール28が重なるように配置されるスプールは、ブーム用スプール25に限定されず、第1スプール群12に含まれ且つ第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22と別の他のスプール23,24,26,27であってもよい。更に、アンロード用スプール29は、本実施形態において短手方向に見てオプション用スプール27と重なるように配置されている。更に、アーム再生用スプール30は、本実施形態において短手方向に見てアーム用スプール24と重なるように配置されている。
【0042】
更にブロック本体11aには、リリーフ弁15a~15hが以下のようにして配置されている。即ち、リリーフ弁15a~15hのうちヘッド側通路23a,24a,25a,27aに接続されるヘッド側リリーフ弁15a,15c,15e,15gは、第1リリーフ弁群15Aを構成している。また、リリーフ弁15a~15hのうちロッド側通路23b,24b,25b,27bに接続されるロッド側リリーフ弁15b,15d,15f,15hは、第2リリーフ弁群15Bを構成している。
【0043】
第1リリーフ弁群15Aは、
図1に示すようにブロック本体11aの高さ方向一方側の主面11cに一列に並べて配置されている。また、第1リリーフ弁群15Aは、平面視で第1スプール群12及び第2スプール群13の各々と異なる列を成すようにブロック本体11aに配置されている。より詳細に説明すると、第1リリーフ弁群15Aは、
図1に示すようにブロック本体11aにおいて第1スプール群12の短手方向他方側に配置されている。即ち、第1リリーフ弁群15Aの各リリーフ弁15a,15c,15e,15gは、第1スプール群12の各スプール21~27の短手方向他方側に列を成すようにブロック本体11aに配置されている。他方、第2リリーフ弁群15Bは、図示しないブロック本体11aの高さ方向他方側の底面であって短手方向他方側に一列並べて配置されている。
【0044】
電磁弁ブロック11bは、第1電磁弁群14Aを取り付けるためのブロックである。なお、第1電磁弁群14Aは、複数の電磁弁14a,14c,14e,14g~14m,14o、14q~14sが含まれる。その他の電磁弁14b,14d,14f,14n,14pは、第2電磁弁群14Bを成している。電磁弁ブロック11bは、例えば長手方向に延びる角柱状に形成されている。電磁弁ブロック11bは、
図1に示す平面視でブロック本体11aの短手方向一方側にある一側面(バルブブロック11の一側面に対応)に設けられている。本実施形態において、電磁弁ブロック11bは、ブロック本体11aの一側面であって高さ方向一方側の部分に取り付けられている。
【0045】
第1電磁弁群14Aは、電磁弁ブロック11bの高さ方向一方側にある主面11dに並べて配置されている。より詳細に説明すると、第1電磁弁群14Aでは、複数の電磁弁14a,14c,14e,14g~14m,14o、14q~14sが複数列(本実施形態において、2列)に並べられている。そして、各列が長手方向に延在している。従って、第1電磁弁群14Aは、バルブブロック11において長手方向に複数列に並べられ、且つ第1スプール群12及び第2スプール群13と異なる列をなすように配置されている。なお、第2電磁弁群14Bは、
図3に示すようにブロック本体11aの高さ方向他方側の底面11eに配置されている。本実施形態において、第2電磁弁群14Bの各電磁弁14b,14d,14f,14n,14pは、アーム用スプール24及びブーム用スプール25のばね機構45,47と共に短手方向中間部分に一列並べて配置されている。
【0046】
また、バルブブロック11(本実施形態において、ブロック本体11a)には、各通路32,33,34が以下のように形成されている。即ち、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34は、短手方向において第1スプール群12と第2スプール群13との間に形成されている(
図1の切断線V-V及び
図5参照)。また、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34は、
図5に示すように長手方向に延在している。より詳細に説明すると、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34は、ブロック本体11aの長手方向一端から他端まで貫通している。そして、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34の両端がプラグ60又はプレート66によって夫々塞がれている。更に、各通路32,33,34は、高さ方向一方側から連通路33、走行側通路32,及び荷役側通路34の順で並んでいる。但し、各通路32,33,34が並ぶ順番は、前述する順番に限定されない。
【0047】
更に、
図6に示すようにブロック本体11aの一側面には、前述の通り、ポンプポート35が形成されている。本実施形態において、ポンプポート35は、長手方向中間部分に形成されている。更に詳細に説明すると、ポンプポート35は、幅方向に見て第1走行用スプール21と第2走行用スプールとの間に位置している。更に、ポンプポート35は、幅方向に見て走行優先用スプールに隣接するように配置されている。ポンプポート35は、走行側通路32の長手方向に延在する部分から分岐する部分に繋がっている。そして、走行側通路32は、本実施形態においてポンプポート35へと分岐する部分において圧力補償用弁体31及び走行優先用スプール28が接続されている。更に詳細に説明すると、圧力補償用弁体31は、高さ方向に直交する平面で切断した断面において、走行側通路32のポンプポート35へと分岐する部分に重なるように配置されている。それ故、圧力補償用弁体31は、ブロック本体11aの長手方向中間部分に配置されている。また、走行側通路32は、
図5に示す長手方向に延在する部分から分岐する分岐通路32a、32bの各々を介して第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22に接続されている。
【0048】
連通路33は、分岐通路33a,33bの各々を介して第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22に接続されている。そして、連通路33は、スプール23~30を跨ぐことなく第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22に接続されている。
【0049】
荷役側通路34は、バルブブロック11(本実施形態において、ブロック本体11a)において以下のように構成されている。即ち、荷役側通路34は、
図7に示すように5つの分岐通路34a~34eに繋がっている。各分岐通路34a~34eは、逆止弁61~65の各々を介して各スプール23~27に繋がっている(
図5の切断線VII-VII参照)。
【0050】
更に、ブロック本体11aには、図示しない他側面において各スプール21~27に繋がる通路21a~27a,21b~27bの開口が形成されている。そして、通路21a~27a,21b~27bの開口には、各アクチュエータ2~8が接続される。
【0051】
本実施形態のバルブブロック1において、アクチュエータ2~8を駆動する駆動系のスプール21~26を一列に配置しているので、通路32~34の形成を容易にすることができる。また、駆動系のスプール21~26以外の補助系のスプール28~30を駆動系のスプール21~26の列の横に一列に配置するので、マルチコントロールバルブ1のコンパクトに形成することができる。それ故、建設機械等への搭載性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態のバルブブロック1において、第2スプール群13は、作動液を排出することによって走行側通路32の圧力を保持する圧力補償用弁体31を更に含む。それ故、補助系のスプールの1つである圧力補償用弁体31が他の補助系のスプール28~30と共に一列に並べて配置される。これにより、第2スプール群13の各スプール28~30が並べられる列におけるスペースを有効に利用することができる。
【0053】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、圧力補償用弁体31は、前記走行側通路に接続され、且つバルブブロック11において長手方向中間部分に配置されている。それ故、建設機械等の暖機運転時に圧力補償用弁体31を作動することで温められた作動液がタンク通路36を介してバルブブロック11全体に流れる。これにより、温められた作動液の熱をバルブブロック11全体に均等に伝播させることができる。これにより、マルチコントロールバルブ1の暖機時間を短縮することができる。
【0054】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、電磁弁群14Aは、バルブブロック11において長手方向に2列に並べられ、第1スプール群12及び第2スプール群13と異なる列を成すように配置されている。それ故、各スプール21~26の近くに各電磁弁14a,14c,14e,14g~14m,14o、14q~14sを配置することができる。これにより、各スプール21~26にパイロット圧を供給する通路の形成が容易である。また、第1スプール群12及び第2スプール群13に隣接するように電磁弁群14Aを配置することができるので、バルブブロック11をコンパクトに形成することができる。
【0055】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、電磁弁群14Aは、電磁弁ブロック11bに配置されている。それ故、各スプール21~26にパイロット圧を供給する通路に関して、電磁弁ブロック11bに複雑な経路を構成することができる。これにより、電磁弁群14Aがバルブブロック11において長手方向に2列に並べられ、第1スプール群12及び第2スプール群13異なる列を成すように配置されている構成を容易に構成することができる。
【0056】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、ポンプポート35が列方向に見て第1走行用スプール21と第2走行用スプール22との間に配置されている。それ故、ポンプポート35から各走行用スプール21,22への通路の長さの差を小さくすることができる。即ち、ポンプポート35から各走行用スプール21,2までの通路圧損の差を小さくすることができる。また、走行優先用スプール28は、列方向に見て第1走行用スプール21と第2走行用スプール22との間に配置され、第1スプール群13に含まれ且つ第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22と別の何れかのスプール25と重なるように配置されている。それ故、走行優先用スプール28とポンプポート35との距離を短くすることができる。これにより、ポンプポート35から各荷役系スプール23~27までの通路圧損の増加が抑制される。
【0057】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、アンロード用スプール29は、第1スプール群12及び第2スプール群13が並ぶ短手方向に見て、オプション用スプール27と重なるように配置されている。それ故、第2スプール群13における空きスペースを有効に利用することができる。
【0058】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、荷役側通路34及び走行側通路32は、バルブブロックであって短手方向において第1スプール群12と第2スプール群13との間に形成されている。それ故、荷役側通路34及び走行側通路32の各々から第1スプール群12と第2スプール群13の各スプールに繋がる分岐通路32a,32b,34a~34eを短く形成することができる。また、本実施形態において、短手方向一方側の面にポンプポート35が形成されているので、走行側通路32とポンプポート35とを繋ぐ通路も短くすることができる。また、荷役側通路34及び走行側通路32が短手方向において第1スプール群12と第2スプール群13との間に形成されているので、バルブブロック11の短手方向両側のスペースを有効利用できる。
【0059】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、荷役側通路34及び走行側通路32は、バルブブロック11において長手方向一端から他端まで貫通している。それ故、荷役側通路34及び走行側通路32の形成が容易である。また、荷役側通路34及び走行側通路32の各々に接続される各スプール21~27の配置位置に関する制約を少なくすることができる。更に、マルチコントロールバルブ1から容易に作動液を取り出すことができる。例えば、マルチコントロールバルブ1に別置きの弁及び貼付け弁を接続した際に、マルチコントロールバルブ1から別置きの弁及び貼付け弁に作動液を容易に取り出すことができる。
【0060】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、連通路33は、バルブブロック11において短手方向において第1スプール群12と第2スプール群13との間に形成されている。それ故、連通路33を第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22の近くに形成することができるので、連通路33を短くすることができる。本実施形態において、第1走行用スプール21及び第2走行用スプール22の各々に繋がる分岐通路33a,33bを短くすることができる。また、連通路33が第1スプール群12と第2スプール群13との間に形成されているので、バルブブロックの短手方向両側のスペースを有効利用できる。更に、連通路33が第1スプール群12及び第2スプール群13に含まれる各スプール23~30を跨ぐことが無いので、他のスプール23~30が作動する場合における通路圧損変化の影響を抑制することができる。
【0061】
更に、本実施形態のバルブブロック1において、連通路33は、バルブブロック11において長手方向一端から他端まで貫通している。それ故、連通路33の形成が容易である。また、連通路33に接続される各走行用スプール21,22の配置位置に関する制約を少なくすることができる。
【0062】
<その他の実施形態について>
本実施形態のバルブブロック11の第1スプール群12及び第2スプール群13の各々に含まれる各スプール21~30は、一例であり、これ以外のスプール及び弁体が含まれてもよい。また、第1スプール群12及び第2スプール群13の各々において各スプール21~30及び圧力補償用弁体31の並ぶ順番も前述する順番に限定されず、どのような順番であってもよい。また、本実施形態のバルブブロック1では、第1スプール群12及び第2スプール群13の各々が並ぶ列方向は、短手方向であるが、高さ方向であってもよい。電磁弁14a~14sもまた、必ずしも前述するように配置されている必要はなく、第1スプール群12及び第2スプール群13の短手方向両側に夫々配置されてもよい。
【0063】
本実施形態のバルブブロック11では、バルブブロック11がブロック本体11aと電磁弁ブロック11bとを含んでいるが、それらが一体的に構成されてもよい。本実施形態のバルブブロック11では、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34が短手方向において第1スプール群12及び第2スプール群13との間に配置されているが、このように配置されている必要はない。例えば、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34の少なくとも1つが第1スプール群12の短手方向他方側に形成されてもよい。また、走行側通路32、連通路33、及び荷役側通路34の少なくとも1つが長手方向一端又は他端まで延在していなくてもよい。
【0064】
<例示的な実施形態>
第1の局面におけるマルチコントロールバルブは、バケットシリンダに供給する作動液の流れを制御するバケット用スプールと、アームシリンダに供給する作動液の流れを制御するアーム用スプールと、ブームシリンダに供給する作動液の流れを制御するブーム用スプールと、第1走行モータに供給する作動液の流れを制御する第1走行用スプールと、第2走行モータに供給する作動液の流れを制御する第2走行用スプールと、旋回モータに供給する作動液の流れを制御する旋回用スプールと、を含む第1スプール群と、前記バケット用スプール、前記アーム用スプール、前記ブーム用スプール、及び前記旋回用スプールが接続される荷役側通路と、前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールが接続される走行側通路とが形成され、前記第1スプール群の各スプールが互いに平行に挿通されるバルブブロックと、前記アームシリンダのロッド側ポートからヘッド側ポートへ供給される作動液の流れを制御する再生用スプールと、前記荷役側通路に流れる作動液の流量を制御することによって作動液を前記走行側通路に優先的に流す走行優先用スプールと、前記走行側通路を流れる作動液を排出するアンロード用スプールとを含む第2スプール群であって、前記第1スプール群の各スプールと互いに平行するように各スプールが前記バルブブロックに挿通される前記第2スプール群と、を備え、前記第1スプール群の各スプールは、前記バルブブロックにおいて所定方向に一列に配置され、前記第2スプール群の各スプールは、前記バルブブロックにおいて所定方向に一列に、且つ前記第1スプール群の各スプールと互いに異なる列を成すように配置されている。
【0065】
上記局面に従えば、各シリンダ及び各モータであるアクチュエータを駆動する駆動系のスプールを一列に配置しているので、通路の形成を容易にすることができる。また、駆動系のスプール以外の補助系のスプールを駆動系スプールの列の横に一列に配置するので、マルチコントロールバルブのコンパクトに形成することができる。それ故、機器への搭載性を向上させることができる。
【0066】
第2の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第1の局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記第2スプール群は、前記走行側通路の圧力に応じて作動液を排出することによって前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールに導かれる作動液の流量を保持する圧力補償用弁体を更に含む。
【0067】
上記局面に従えば、第2スプール群は、作動液を排出することによって走行側通路の圧力を保持する圧力補償用弁体を更に含む。それ故、補助系のスプールの1つである圧力補償弁が他の補助系のスプールと共に一列に並べて配置される。これにより、第2スプール群の各スプールが並べられる列におけるスペースを有効に利用することができる。
【0068】
第3の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第2の局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記走行側通路は、所定方向に延在し、前記圧力補償用弁体は、タンク通路に接続され、前記バルブブロックにおいて所定方向中間部分に配置されている。
【0069】
上記局面に従えば、圧力補償用弁体は、タンク通路に接続され、且つバルブブロックにおいて所定方向中間部分に配置されている。それ故、暖機運転時に圧力補償弁を作動することで温められた作動液がタンク通路を介してバルブブロック11全体に流れる。これにより、温められた作動液の熱をバルブブロック全体に均等に伝播させることができる。これにより、マルチコントロールバルブの暖機時間を短縮することができる。
【0070】
第4の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第1乃至3の何れかの局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記第1スプール群及び前記第2スプール群の各スプールを駆動すべくパイロット圧を出力する複数の電磁弁を含む電磁弁群を更に有し、前記電磁弁群は、前記バルブブロックにおいて所定方向に複数列に並べられ、前記第1スプール群及び前記第2スプール群と異なる列を成すように配置されている。
【0071】
上記局面に従えば、電磁弁群は、バルブブロックにおいて所定方向に複数列に並べられ、第1スプール群及び第2スプール群と異なる列を成すように配置されている。それ故、各スプールの近くに各電磁弁を配置することができる。これにより、各スプールにパイロット圧を供給する通路を形成することが容易である。また、第1スプール群及び第2スプール群に隣接するように電磁弁群を配置することができるので、バルブブロックをコンパクトに形成することができる。
【0072】
第5の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第4の局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記バルブブロックは、ブロック本体と、電磁弁ブロックとを含み、前記第1スプール群及び前記第2スプール群は、前記ブロック本体に挿通され、前記電磁弁群は、前記電磁弁ブロックに配置されている。
【0073】
上記局面に従えば、電磁弁群は、電磁弁ブロックに配置されている。それ故、各スプールにパイロット圧を供給する通路に関して、電磁弁ブロックに複雑な経路を構成することができる。これにより、電磁弁群がバルブブロックにおいて所定方向に複数列に並べられ、第1スプール群及び第2スプール群異なる列を成すように配置されている構成を容易に構成することができる。
【0074】
第6の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第1乃至5の何れかの局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールは、所定方向に互いに離して配置され、前記バルブブロックには、前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向に見て、前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールとの間に位置するポンプポートが形成され、前記走行優先用スプールは、列方向に見て前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールの間に配置され、前記第1スプール群に含まれ且つ前記第1走行用スプール及び前記第2走行用スプールと別の何れかの前記スプールと列方向に見て重なるように配置されている。
【0075】
上記局面に従えば、ポンプポートが列方向に見て第1走行用スプール及び第2走行用スプールの間に配置されている。それ故、ポンプポートから各走行用スプールへの通路の長さを差を小さくすることができる。即ち、ポンプポートから各走行用スプールへの通路圧損の差を小さくすることができる。また、走行優先用スプールは、列方向に見て第1走行用スプール及び第2走行用スプールの間に配置され、第2スプール群に含まれ且つ第1走行用スプール及び第2走行用スプールと別の何れかのスプールと重なるように配置されている。それ故、走行優先用スプールとポンプポートとの距離を短くすることができる。これにより、ポンプポートから各荷役系スプールまでの通路圧損の増加が抑制される。
【0076】
第7の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第1乃至6の何れかの局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記第1スプール群は、アクチュエータに作動液を供給する作動油の流れを制御するオプション用スプールを更に含み、
前記アンロード用スプールは、前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向に見て、前記オプション用スプールと重なるように配置されている。
【0077】
上記局面に従えば、アンロード用スプールは、第1スプール群及び第2スプール群が並ぶ列方向に見て、オプション用スプールと重なるように配置されている。それ故、第2スプール群における空きスペースを有効に利用することができる。
【0078】
第8の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第1乃至7の何れかの局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記荷役側通路及び前記走行側通路は、前記バルブブロックであって、前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向において前記第1スプール群と前記第2スプール群との間に形成されている。
【0079】
上記局面に従えば、荷役側通路及び走行側通路は、バルブブロックであって列方向において第1スプール群と第2スプール群との間に形成されている。それ故、荷役側通路及び走行側通路の各々から第1スプール群と第2スプール群の各スプールに繋がる通路を短く形成することができる。また、荷役側通路及び走行側通路が列方向において第1スプール群と第2スプール群との間に形成されているので、バルブブロックの列方向両側のスペースを有効利用できる。
【0080】
第9の局面におけるマルチコントロールバルブでは、第1乃至8の何れかの局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記荷役側通路及び前記走行側通路は、前記バルブブロックにおいて所定方向一端から他端まで貫通している。
【0081】
上記局面に従えば、荷役側通路及び走行側通路は、バルブブロックにおいて所定方向一端から他端まで貫通している。それ故、荷役側通路及び走行側通路の形成が容易である。また、荷役側通路及び走行側通路の各々に接続される各スプールの配置位置に関する制約を少なくすることができる。更に、マルチコントロールバルブから容易に作動液を取り出すことができる。
【0082】
第10の局面におけるマルチコントロールバルブは、第8の局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記バルブブロックには、前記第1走行モータ及び前記第2走行モータに作動液を供給する際に前記第1走行モータと前記第2走行モータとを連通する連通路が形成され、前記連通路は、前記バルブブロックにおいて前記第1スプール群及び前記第2スプール群が並ぶ列方向において前記第1スプール群と前記第2スプール群との間に形成されている。
【0083】
上記局面に従えば、連通路は、バルブブロックにおいて第1スプール群及び第2スプール群が並ぶ列方向において第1スプール群と第2スプール群との間に形成されている。それ故、連通路を第1走行用スプール及び第2走行用スプールの近くに形成することができるので、連通路の長さを短くすることができる。また、連通路が第1スプール群と第2スプール群との間に形成されているので、バルブブロックの列方向両側のスペースを有効利用できる。更に、連通路が第1スプール群及び第2スプール群に含まれる各通路を跨ぐことが無いので、他のスプールが作動する場合における通路圧損変化の影響を抑制することができる。
【0084】
第11の局面におけるマルチコントロールバルブは、第10の局面のマルチコントロールバルブにおいて、前記連通路は、前記バルブブロックにおいて所定方向一端から他端まで貫通している。
【0085】
上記局面に従えば、連通路は、バルブブロックにおいて所定方向一端から他端まで貫通している。それ故、連通路の形成が容易である。また、連通路に接続される各走行用スプールの配置位置に関する制約を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 マルチコントロールバルブ
2 バケットシリンダ
3 アームシリンダ
3a ヘッド側ポート
3b ロッド側ポート
4 ブームシリンダ
5 第1走行モータ
6 第2走行モータ
7 旋回モータ
8 アクチュエータ
11a ブロック本体
11b 電磁弁ブロック
12 第1スプール群
13 第2スプール群
14A 電磁弁群
14a~14s 電磁弁
21 第1走行用スプール
22 第2走行用スプール
23 バケット用スプール
24 アーム用スプール
25 ブーム用スプール
26 旋回用スプール
27 オプション用スプール
28 走行優先用スプール
29 アンロード用スプール
30 アーム再生用スプール(再生用スプール)
31 弁体
31 圧力補償用弁体
32 通路
32 走行側通路
33 連通路
34 荷役側通路
36a ポート