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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076136
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】巻き爪治療器
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/11 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
A61F5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187543
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】501461623
【氏名又は名称】メディカルトラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】前田 俊也
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB10
4C098BB12
4C098BC08
4C098BC17
4C098BD04
4C098BD15
(57)【要約】
【課題】装着性を確保しつつも、使用時の脱落の可能性を低減できる巻き爪治療器を提供する。
【解決手段】
自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体1と、ベース体1の幅方向D1に互いに間隔をあけてベース体1に接続され、ベース体1との間に爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体2と、を備え、引っ掛け体2の各々は、ベース体1の前後方向D2の後端縁となる引っ掛け体後端縁21aを有し、引っ掛け体後端縁21aは、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、引っ掛け体後端縁21aにおける少なくとも幅方向D1の内側端21a1は、ベース体1における後端よりも前側に位置し、幅方向D1の少なくとも中央部において、ベース体1の前後方向D2の長さ寸法L1が5.0mm以上となっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の前側から該爪に装着することにより、巻き爪を矯正する巻き爪治療器であって、
自身の裏面が前記爪の表面に対向するように配置されて、該爪の表面における面方向に広がる板状をなし、自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体と、
爪幅方向に一致するベース幅方向に互いに間隔をあけて前記ベース体に接続され、該ベース体との接続部分から、前記ベース幅方向に交差する方向であって前記爪の前後方向に一致するベース前後方向の後側まで延び、前記ベース体との間に前記爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体と、
を備え、
一対の前記引っ掛け体の各々は、該引っ掛け体における前記ベース前後方向の後端縁となる引っ掛け体後端縁を有し、
前記引っ掛け体後端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、前記引っ掛け体後端縁における少なくとも前記ベース幅方向の内側端は、前記ベース体における後端よりも前側に位置し、
前記ベース幅方向の少なくとも中央部において、前記ベース体の前記ベース前後方向の長さ寸法が5.0mm以上となっている巻き爪治療器。
【請求項2】
前記引っ掛け体後端縁の全体が、前記ベース体における後端よりも前側に位置する請求項1に記載の巻き爪治療器。
【請求項3】
一対の前記引っ掛け体の各々は、前記爪配置隙間における前記ベース前後方向の前端縁となる隙間前端縁をさらに有し、
前記隙間前端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延びている請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項4】
一対の前記引っ掛け体の各々は、前記隙間前端縁に接続され、前記ベース体に対して該ベース体の板厚方向に対向して前記爪配置隙間の底を画定する隙間内底面を有し、
前記隙間内底面は、前記ベース前後方向に前側から後側に向かって前記ベース体から漸次離間するように傾斜するテーパ面となっている請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項5】
一対の前記引っ掛け体の各々における前記隙間前端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ曲率半径が10mm以上30mm以下で、前記ベース前後方向の前側へ凹状をなして湾曲して延びる請求項3に記載の巻き爪治療器。
【請求項6】
前記爪配置隙間における前記ベース前後方向の最大長さ寸法は、3.0mm以上となっている請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項7】
前記ベース幅方向の中央部における前記ベース体の前記ベース前後方向の長さ寸法をL1とし、前記爪配置隙間の前記ベース前後方向の最大長さ寸法をL2としたとき、L1―L2≧2.0mmを満足する請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項8】
前記ベース体における前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側の端は、前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側へ向けて凸状をなすように湾曲している請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項9】
一対の前記引っ掛け体の各々における前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側の端は、前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側へ向けて凸状をなすように湾曲している請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項10】
前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の前端縁となるベース体前端縁を有し、
前記ベース体前端縁における前記ベース幅方向の中央点に対して、前記隙間前端縁の全体が前記ベース前後方向の後側に位置する請求項3に記載の巻き爪治療器。
【請求項11】
前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の前端縁となるベース体前端縁を有し、
前記ベース体前端縁における前記ベース幅方向の両外側端に対して、前記ベース体前端縁の前記ベース幅方向の中央点が前記ベース前後方向の前側に位置する請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項12】
前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の後端縁となるベース体後端縁を有し、
前記ベース体後端縁における前記ベース幅方向の両外側端に対して、前記ベース体後端縁の前記ベース幅方向の中央点が前記ベース前後方向の前側に位置する請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項13】
前記ベース体では、前記ベース幅方向の両外側から該ベース幅方向の中央部に向かうにしたがって、前記ベース前後方向の長さ寸法が漸次大きくなる請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項14】
前記ベース体は、
該ベース体における前記ベース前後方向の前端縁となるベース体前端縁と、
該ベース体における前記ベース前後方向の後端縁となるベース体後端縁と、
を有し、
前記ベース体前端縁は、前記ベース幅方向の中央部において最も前側に位置するように前側に向けて凸状に湾曲または屈曲し、
前記ベース体後端縁は、前記ベース幅方向に延びる直線状をなしている請求項13に記載の巻き爪治療器。
【請求項15】
前記爪の表面に対向する前記ベース体における前記裏面は、前記爪へ非装着の状態において、前記ベース体の板厚方向に前記爪の表面および前記引っ掛け体から離れる側に凹状をなすように湾曲または屈曲している請求項1または2に記載の巻き爪治療器。
【請求項16】
前記爪の表面に対向する前記ベース体における前記裏面は、前記爪へ非装着の状態において、前記ベース幅方向の中央部において、前記ベース体の板厚方向に前記爪の表面および前記引っ掛け体から最も遠い位置に配置されている請求項15に記載の巻き爪治療器。
【請求項17】
爪の前側から該爪に装着することにより、巻き爪を矯正する巻き爪治療器であって、
自身の裏面が前記爪の表面に対向するように配置されて、該爪の表面における面方向に広がる板状をなし、自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体と、
爪幅方向に一致するベース幅方向に互いに間隔をあけて前記ベース体に接続され、該ベース体との接続部分から、前記ベース幅方向に交差する方向であって前記爪の前後方向に一致するベース前後方向の後側まで延び、前記ベース体との間に前記爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体と、
を備え、
一対の前記引っ掛け体の各々は、該引っ掛け体における前記ベース前後方向の後端縁となる引っ掛け体後端縁を有し、
前記引っ掛け体後端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、前記引っ掛け体後端縁における少なくとも前記ベース幅方向の内側端は、前記ベース体における後端よりも前側に位置し、
前記ベース体では、前記ベース幅方向の両外側から該ベース幅方向の中央部に向かうにしたがって、前記ベース前後方向の長さ寸法が漸次大きくなる巻き爪治療器。
【請求項18】
爪の前側から該爪に装着することにより、巻き爪を矯正する巻き爪治療器であって、
自身の裏面が前記爪の表面に対向するように配置されて、該爪の表面における面方向に広がる板状をなし、自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体と、
爪幅方向に一致するベース幅方向に互いに間隔をあけて前記ベース体に接続され、該ベース体との接続部分から、前記ベース幅方向に交差する方向であって前記爪の前後方向に一致するベース前後方向の後側まで延び、前記ベース体との間に前記爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体と、
を備え、
一対の前記引っ掛け体の各々は、該引っ掛け体における前記ベース前後方向の後端縁となる引っ掛け体後端縁を有し、
前記引っ掛け体後端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、前記引っ掛け体後端縁における少なくとも前記ベース幅方向の内側端は、前記ベース体における後端よりも前側に位置し、
前記爪の表面に対向する前記ベース体における前記裏面は、前記爪へ非装着の状態において、前記ベース体の板厚方向に前記爪の表面および前記引っ掛け体から離れる側に凹状をなすように湾曲または屈曲している巻き爪治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き爪を矯正するための巻き爪治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪の端が内側に巻き込むように変形する「巻き爪」が知られている。このような巻き爪を放置した場合、皮膚が損傷して細菌が侵入し、炎症をおこしてしまう可能性があり、できるだけ早期治療を行うことが好ましい。
【0003】
ここで巻き爪の治療において病院の受診が難しい場合などに、自身で巻き爪の予防や治療が可能な巻き爪治療器が一般に普及している。この種の治療器は、例えば特許文献1に示されているように伸ばした爪の先端に装着可能な一対の係止具と、これら係止具同士を弾性作用部材で連結してなる。そしてこのような治療器を爪に装着した際には、弾性作用部材の弾性力(復元力)によって爪の端を上方に持ち上げることで巻き爪を治療することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-11911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の巻き爪治療器を爪に装着した際には、爪への固定力が十分でなく、爪から治療器が脱落してしまい十分な治療を行うことができない可能性があった。
【0006】
そこで本発明は、装着性を確保しつつも、使用時に脱落し難い巻き爪治療器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る巻き爪治療器は、爪の前側から該爪に装着することにより、巻き爪を矯正する巻き爪治療器であって、自身の裏面が前記爪の表面に対向するように配置されて、該爪の表面における面方向に広がる板状をなし、自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体と、爪幅方向に一致するベース幅方向に互いに間隔をあけて前記ベース体に接続され、該ベース体との接続部分から、前記ベース幅方向に交差する方向であって前記爪の前後方向に一致するベース前後方向の後側まで延び、前記ベース体との間に前記爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体と、を備え、一対の前記引っ掛け体の各々は、該引っ掛け体における前記ベース前後方向の後端縁となる引っ掛け体後端縁を有し、前記引っ掛け体後端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、前記引っ掛け体後端縁における少なくとも前記ベース幅方向の内側端は、前記ベース体における後端よりも前側に位置し、前記ベース幅方向の少なくとも中央部において、前記ベース体の前記ベース前後方向の長さ寸法が5.0mm以上となっている。
【0008】
上記巻き爪治療器では、前記引っ掛け体後端縁の全体が、前記ベース体における後端よりも前側に位置していてもよい。
【0009】
上記巻き爪治療器では、一対の前記引っ掛け体の各々は、前記爪配置隙間における前記ベース前後方向の前端縁となる隙間前端縁をさらに有し、前記隙間前端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延びていてもよい。
【0010】
上記巻き爪治療器では、一対の前記引っ掛け体の各々は、前記隙間前端縁に接続され、前記ベース体に対して該ベース体の板厚方向に対向して前記爪配置隙間の底を画定する隙間内底面を有し、前記隙間内底面は、前記ベース前後方向に前側から後側に向かって前記ベース体の前記裏面から漸次離間するように傾斜するテーパ面となっていてもよい。
【0011】
上記巻き爪治療器では、一対の前記引っ掛け体の各々における前記隙間前端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ曲率半径が10mm以上30mm以下で、前記ベース前後方向の前側へ凹状をなして湾曲して延びていてもよい。
【0012】
上記巻き爪治療器では、前記爪配置隙間における前記ベース前後方向の最大長さ寸法は、3.0mm以上となっていてもよい。
【0013】
上記巻き爪治療器では、前記ベース幅方向の中央部における前記ベース体の前記ベース前後方向の長さ寸法をL1とし、前記爪配置隙間の前記ベース前後方向の最大長さ寸法をL2としたとき、L1―L2≧2.0mmを満足してもよい。
【0014】
上記巻き爪治療器では、前記ベース体における前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側の端は、前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側へ向けて凸状をなすように湾曲していてもよい。
【0015】
上記巻き爪治療器では、一対の前記引っ掛け体の各々における前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側の端は、前記ベース幅方向の外側かつ前記ベース前後方向の後側へ向けて凸状をなすように湾曲していてもよい。
【0016】
上記巻き爪治療器では、前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の前端縁となるベース体前端縁を有し、前記ベース体前端縁における前記ベース幅方向の中央点に対して、前記隙間前端縁の全体が前記ベース前後方向の後側に位置してもよい。
【0017】
上記巻き爪治療器では、前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の前端縁となるベース体前端縁を有し、前記ベース体前端縁における前記ベース幅方向の両外側端に対して、前記ベース体前端縁の前記ベース幅方向の中央点が前記ベース前後方向の前側に位置してもよい。
【0018】
上記巻き爪治療器では、前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の後端縁となるベース体後端縁を有し、前記ベース体後端縁における前記ベース幅方向の両外側端に対して、前記ベース体後端縁の前記ベース幅方向の中央点が前記ベース前後方向の前側に位置してもよい。
【0019】
上記巻き爪治療器では、前記ベース体では、前記ベース幅方向の両外側から該ベース幅方向の中央部に向かうにしたがって、前記ベース前後方向の長さ寸法が漸次大きくなってもよい。
【0020】
上記巻き爪治療器では、前記ベース体は、該ベース体における前記ベース前後方向の前端縁となるベース体前端縁と、該ベース体における前記ベース前後方向の後端縁となるベース体後端縁と、を有し、前記ベース体前端縁は、前記ベース幅方向の中央部において最も前側に位置するように前側に向けて凸状に湾曲または屈曲し、前記ベース体後端縁は、前記ベース幅方向に延びる直線状をなしていてもよい。
【0021】
上記巻き爪治療器では、前記爪の表面に対向する前記ベース体における前記裏面は、前記爪へ非装着の状態において、前記ベース体の板厚方向に前記爪の表面および前記引っ掛け体から離れる側に凹状をなすように湾曲または屈曲していてもよい。
【0022】
また上記巻き爪治療器では、前記爪の表面に対向する前記ベース体における前記裏面は、前記爪へ非装着の状態において、前記ベース幅方向の中央部において、前記ベース体の板厚方向に前記爪の表面および前記引っ掛け体から最も遠い位置に配置されていてもよい。
【0023】
本発明の他の態様に係る巻き爪治療器は、爪の前側から該爪に装着することにより、巻き爪を矯正する巻き爪治療器であって、自身の裏面が前記爪の表面に対向するように配置されて、該爪の表面における面方向に広がる板状をなし、自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体と、爪幅方向に一致するベース幅方向に互いに間隔をあけて前記ベース体に接続され、該ベース体との接続部分から、前記ベース幅方向に交差する方向であって前記爪の前後方向に一致するベース前後方向の後側まで延び、前記ベース体との間に前記爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体と、を備え、一対の前記引っ掛け体の各々は、該引っ掛け体における前記ベース前後方向の後端縁となる引っ掛け体後端縁を有し、前記引っ掛け体後端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、前記引っ掛け体後端縁における少なくとも前記ベース幅方向の内側端は、前記ベース体における後端よりも前側に位置し、前記ベース体では、前記ベース幅方向の両外側から該ベース幅方向の中央部に向かうにしたがって、前記ベース前後方向の長さ寸法が漸次大きくなる。
【0024】
本発明の他の態様に係る巻き爪治療器は、爪の前側から該爪に装着することにより、巻き爪を矯正する巻き爪治療器であって、自身の裏面が前記爪の表面に対向するように配置されて、該爪の表面における面方向に広がる板状をなし、自身の板厚方向に弾性変形可能なベース体と、爪幅方向に一致するベース幅方向に互いに間隔をあけて前記ベース体に接続され、該ベース体との接続部分から、前記ベース幅方向に交差する方向であって前記爪の前後方向に一致するベース前後方向の後側まで延び、前記ベース体との間に前記爪を配置可能な爪配置隙間を形成する一対の引っ掛け体と、を備え、一対の前記引っ掛け体の各々は、該引っ掛け体における前記ベース前後方向の後端縁となる引っ掛け体後端縁を有し、前記引っ掛け体後端縁は、前記ベース幅方向の内側から外側に向かうにしたがって前記ベース前後方向の後側へ向かって漸次傾斜するように延び、かつ、前記引っ掛け体後端縁における少なくとも前記ベース幅方向の内側端は、前記ベース体における後端よりも前側に位置し、前記爪の表面に対向する前記ベース体における前記裏面は、前記爪へ非装着の状態において、前記ベース体の板厚方向に前記爪の表面および前記引っ掛け体から離れる側に凹状をなすように湾曲または屈曲していてもよい。
【発明の効果】
【0025】
上記の巻き爪治療器によれば、装着性を確保しつつも、使用時の脱落の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第一実施形態に係る巻き爪治療器の斜視図であって、(a)は巻き爪治療器を斜め上方から見た状態の斜視図であり、(b)は巻き爪治療器を斜め下方から見た状態の斜視図である。
図2】上記巻き爪治療器を上下方向から見た図であって、(a)は上面図を示し、(b)は底面図を示す。
図3】上記巻き爪治療器の前後方向から見た図であって、(a)は前方から見た正面図を示し、(b)は後方から見た背面図を示す。
図4】上記巻き爪治療器の側面図であって、図2(a)のA矢視図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る巻き爪治療器の斜視図であって、(a)は巻き爪治療器を斜め上方から見た状態の斜視図であり、(b)は巻き爪治療器を斜め下方から見た状態の斜視図である。
図6】上記巻き爪治療器を上下方向から見た図であって、(a)は上面図を示し、(b)は底面図を示す。
図7】上記巻き爪治療器の前後方向から見た図であって、(a)は正面図を示し、(b)は背面図を示す。
図8】上記巻き爪治療器の側面図であって、図6(a)のB矢視図である。
図9】上記各実施形態に係る巻き爪治療器の変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第一実施形態〕
以下、図面を参照しながら本発明の第一実施形態に係る巻き爪治療器100について説明する。
(全体構成)
【0028】
巻き爪治療器100は、使用者の爪Nの前側から爪Nに装着されることによって、巻き爪を矯正する器具である。
【0029】
図1(a)および図1(b)に示すように巻き爪治療器100は、自身の板厚方向に弾性変形可能な板状をなすベース体1と、ベース体1に設けられた一対の引っ掛け体2とを備えている。
(ベース体)
【0030】
ベース体1は、巻き爪治療器100が爪Nに装着された状態において、爪Nの表面に自身の裏面1xが対向するように配置されて、爪Nの表面の面方向に広がる板状部材である。本実施形態においてベース体1は、例えばチタン合金によって形成されている。
【0031】
以下、巻き爪治療器100が爪Nに装着された使用時の状態を基準として、ベース体1における爪Nの幅方向に一致する方向をベース幅方向(以下、単に幅方向)D1とし、ベース幅方向D1に交差(直交)し、爪Nの前後方向に一致する方向をベース前後方向(以下、単に前後方向)D2と定義する。また便宜上、幅方向D1および前後方向D2に交差(直交)する方向をベース上下方向(以下、単に上下方向)D3と定義し、爪Nの厚さ方向に爪Nの表面の側を上側、裏面の側を下側とする。
【0032】
また以下の各構成の形状に関しては、巻き爪治療器100が爪Nに装着されていない非装着の状態(ベース体1が弾性変形していない状態)を基準として説明する。
【0033】
図2(a)および図2(b)に示すようにベース体1は、使用時において自身の板厚方向が上下方向D3に一致するように配置される。具体的には使用時においてベース体1は、前側を向く前端面11と、前端面11に対して後側に配置されて後側を向く後端面12と、前端面11と後端面12とを接続する一対の側端面13と、これら端面11、12、13によって囲まれるように配置されて下側を向く裏面1xおよび上側を向く表面1yとを有している。
【0034】
前端面11は、自身の幅方向D1の中央部が最も前側に位置するように、前側に向けて凸状に湾曲する曲面状をなしている。より具体的には前端面11は幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ曲率半径r1=10mm以上30mm以下、好ましくはr1=10mm以上20mm以下、より好ましくはr1=10mm以上15mm以下、本実施形態ではr1=14.6mmで、前後方向D2の前側へ凸状をなして湾曲して延びている。なお前端面11は凸状に屈曲する面であってもよい。
【0035】
ここで前端面11は、ベース体1における前後方向D2の前端縁となるベース体前端縁11aを、自身の上側縁(および下端縁)として形成している。よって、ベース体前端縁11aは、幅方向D1の中央部において最も前側に位置するように前側に向けて凸状に湾曲(または屈曲)していることになる。そしてベース体前端縁11aにおける幅方向D1の両外側端P0に対して、ベース体前端縁11aの幅方向D1の中央点P1が前後方向D2の前側に位置しており、両外側端P0と中央点P1との前後方向D2の距離dは例えば2.5mm以上となっている。なお本実施形態ではベース体1の裏面1xには、ベース体前端縁11aに沿って幅方向D1に弓状に延びる裏面前側段部11xが形成されており(図1(b)参照)、この裏面前側段部11xが前端面11を形成している。また前端面11から後側に向かって表面1yの一部領域は面取りされ、前端面11につながる曲面11yが形成されている
【0036】
後端面12は、幅方向D1に延びる平面状をなしている。ここで後端面12は、ベース体1における前後方向D2の後端縁となるベース体後端縁12aを、自身の上側縁(および下端縁)として形成している。よってベース体後端縁12aは、幅方向D1に延びる直線状をなしていることになる。
【0037】
一対の側端面13の各々は、前後方向D2に延びる平面状をなしている。そして各々の側端面13と後端面12とが接続される部分、すなわちベース体1における幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側の端は、例えば半径3.0mm以下、本実施形態では0.2mmのR面取りが施され、幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側へ向けて凸状をなすように湾曲する曲面RF1となっている。
【0038】
すなわちベース体1は、上下方向D3から見た平面視で上記端面11、12、13によって囲まれる形状をなし、幅方向D1の中央部を基準として幅方向D1に左右対称形状をなしている。そしてベース体1では幅方向D1の両外側から幅方向D1の中央部に向かうにしたがって前後方向D2の長さ寸法が漸次大きくなっていく。換言すると、ベース体1は幅方向D1の中央部において最も表面積が大きくなっており、当該中央部における前後方向D2の長さ寸法L1が5.0mm以上となっており、本実施形態では例えばL1=6.5mmとなっている。
【0039】
図3(a)および図3(b)に示すようにベース体1の裏面1xは、ベース体1の板厚方向、すなわち上下方向D3に爪Nの表面および引っ掛け体2から離れる側となる上側に凹状をなすように湾曲または屈曲している。そして裏面1xの幅方向D1の中央部において、上下方向D3に爪Nの表面および引っ掛け体2から最も遠い位置に配置されている。ベース体1の表面1yについても同様の形状をなしている。よってベース体1全体が板厚方向に爪Nの表面から離れる側となる上側に凸状をなして湾曲または屈曲し、ベース体1における幅方向D1の中央部が最も上側に位置している。
(引っ掛け体)
【0040】
図1(a)および図1(b)に戻って各々の引っ掛け体2は、幅方向D1に互いに間隔をあけて一対がベース体1に接続され、ベース体1との接続部分となるベース体1の前端面11から後側に向かって、当該接続部分の後側まで延びる板状をなしている。本実施形態において各々の引っ掛け体2は、ベース体1の裏面1xとの間に爪Nを配置可能な爪配置隙間Sを形成している。そして各々の引っ掛け体2とベース体1とを幅方向D1から見た際には略U字状または略V字状をなしている。
【0041】
各々の引っ掛け体2は、例えばベース体1と同じチタン合金によって形成されている。各々の引っ掛け体2は、例えば一枚の板状部材を曲げることによりベース体1と一体に形成される。
【0042】
図2(b)に示すように各々の引っ掛け体2は、使用状態において最も後側に位置して後側を向く後端面21と、後端面21における幅方向D1の外側端から前側に延びて幅方向D1の外側を向き、ベース体1の前端面11に接続される外側端面22と、後端面21における幅方向D1の内側端から前側に延びて幅方向D1の内側を向き、ベース体1の前端面11に接続される内側端面23と、これら端面11、21、22、23によって囲まれるようにして、上側を向く内面2xおよび下方を向く外面2y(図3(b)参照)とを有している。
【0043】
後端面21は、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ向かって漸次傾斜するように延びている。より具体的に後端面21は、ベース体1の前端面11の湾曲形状に沿って前側に凹状をなして湾曲し、幅方向D1の外側に向かうにしたがってベース体1の後端面12から漸次前側に遠ざかっていく。
【0044】
ここで後端面21は、引っ掛け体2における前後方向D2の後端縁となる引っ掛け体後端縁21aを、自身の上側縁(および下端縁)として形成している。よって引っ掛け体後端縁21aは、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ向かって漸次傾斜するように延びていることになる。
【0045】
そして引っ掛け体後端縁21aにおける全体が、ベース体1における後端となるベース体後端縁12aよりも前側に位置している。なお、引っ掛け体後端縁21aにおける少なくとも幅方向D1の内側端21a1が、ベース体1における後端よりも前側に位置していればよい。すなわち引っ掛け体後端縁21aにおける幅方向D1の外側端21a2は、ベース体1の後端よりも後側に位置してもよい。そして、引っ掛け体後端縁21aの内側端21a1と外側端21a2との前後方向D2の距離d0は3.0mm以上となっているとよい。またこれら内側端21a1と外側端21a2とを結ぶ仮想直線VL1が、幅方向D1に延びる直線に対してなす角αは25度以上、好ましくは30度以上、より好ましくは35度以上となっているとよい。
【0046】
外側端面22は、ベース体1の側端面13上に配置され、当該側端面13に沿って前後方向D2に延びる(広がる)平面状をなしている。外側端面22と後端面21とが接続される部分、すなわち引っ掛け体2における幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側の端は、例えば半径3.0mm以下、本実施形態では0.2mmのR面取りが施され、幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側へ向けて凸状をなすように湾曲する曲面RF2となっている。そして外側端面22と後端面21とのなす角は鋭角となっている。
【0047】
内側端面23は、外側端面22と幅方向D1に間隔をあけて平行に配置された平面状をなしている。また内側端面23はベース体1の幅方向D1の中央部に対して幅方向D1の外側に配置されている。ここで一対の引っ掛け体2の内側端面23同士の幅方向D1の距離d1は6mm以上10mm以下であり、本実施形態では例えば10mmに設定される。そして内側端面23と後端面21とのなす角は鈍角となっている。
【0048】
図3(b)に示すように、内面2xは、隙間内底面24と、隙間内底面24に接続された隙間前端面25とを有している。
【0049】
図4に示すように、隙間内底面24は、ベース体1の裏面1xに対して上下方向D3に対向する平面状をなし、爪配置隙間Sの下部となる底を画定している。隙間内底面24は、前後方向D2に前側から後側に向かってベース体1の裏面1xから漸次離間するように傾斜するテーパ面となっている。すなわち後側に向かうにしたがって爪配置隙間Sの上下方向D3の距離は漸次大きくなっていく。
【0050】
隙間前端面25は、ベース体1の裏面前側段部11x(図1(b)参照)における後側を向く面に一体となって段差なく滑らかに接続されている。図2(b)に戻って隙間前端面25は、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ向かって漸次傾斜するように延びている。より具体的に隙間前端面25は、前後方向D2の後側を向き、ベース体1の前端面11に沿って、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ曲率半径r2=10mm以上30mm以下、好ましくはr2=10mm以上20mm以下、より好ましくはr2=10mm以上15mm以下で、前後方向D2の前側へ凹状をなして湾曲して延びている。本実施形態では例えば曲率半径r2は14.6mmに設定され、隙間前端面25の曲率半径r2は、ベース体1の前端面11の幅方向D1への曲率半径r1に一致している。
【0051】
そして隙間前端面25は、自身の前端縁であって、爪配置隙間Sにおける前後方向D2の前端縁となる隙間前端縁25aを形成している。よって隙間前端縁25aは、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ向かって漸次傾斜するように延びていることになる。
【0052】
またベース体前端縁11aにおける幅方向D1の中央点P1に対して、隙間前端縁25aの全体が前後方向D2の後側に位置している。また、隙間前端縁25aにおける幅方向D1の内側端25a1と外側端25a2との前後方向D2の距離d2は3.0mm以上となっているとよく、本実施形態では距離d2は、引っ掛け体後端縁21aの内側端21a1と外側端21a2との前後方向D2の距離d0よりも小さくなっている。また隙間前端縁25aにおける内側端25a1と外側端25a2とを結ぶ仮想直線VL2が、幅方向D1に延びる直線に対してなす角βは15度以上、好ましくは20度以上、より好ましくは25度以上となっているとよい。本実施形態においてこのなす角βは、引っ掛け体後端縁21aの内側端21a1と外側端21a2とを結ぶ仮想直線VL1が幅方向D1に延びる直線に対してなす角αに比べて小さくなっている。
【0053】
図4に示すように外面2yは、ベース体1の前端面11の下端縁(ベース体前端縁11a)に接続されるとともに、内面2xに沿って形成されている。
【0054】
ここで図2(b)に戻って、爪配置隙間Sの前後方向D2の最大長さ寸法、すなわち隙間前端縁25aから引っ掛け体後端縁21aまでの前後方向D2の最大距離L2は、3.0mm以上となっている。本実施形態では、爪配置隙間Sの前後方向D2の長さ寸法は、幅方向D1の外側に向かうにつれて大きくなっている。またベース体1の幅方向D1の中央部における前後方向D2の長さ寸法である上記L1と、爪配置隙間Sの前後方向D2の最大長さ寸法である上記の寸法L2とは、L1―L2≧2.0mmを満足している。
(作用効果)
【0055】
以上説明した本実施形態の巻き爪治療器100によれば、引っ掛け体2における引っ掛け体後端縁21aが幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ向かって漸次傾斜するように延びている。したがって爪Nを特殊な形状(矩形等)に加工することなく、爪Nをある程度の長さに自然に伸ばし、爪Nの先端縁を円弧状としたままで、巻き爪治療器100を爪Nに装着することができるため装着性を確保できる。
【0056】
そして引っ掛け体後端縁21aが、ベース体1における後端(ベース体後端縁12a)よりも前側に位置している。換言すると、引っ掛け体2を爪Nに対して前側から引っ掛けて巻き爪治療器100を爪Nに装着した際には、引っ掛け体2よりも後側までベース体1が位置することになり、ベース体1の裏面1xが爪Nの表面に対向する面積を大きくすることができる。特に本実施形態では幅方向D1の中央部において、ベース体1の前後方向D2の長さ寸法L1が5.0mm以上となっているため、巻き爪治療器100が、使用時に爪Nから脱落してしまう可能性を低減することができる。またベース体1の前後方向D2の寸法を5.0mm以上とすることでベース体1の弾性変形による復元力を大きくでき、巻き爪の治療効果を高めることができる。
【0057】
さらに各々の引っ掛け体2の隙間前端縁25aおよび引っ掛け体後端縁21aの双方が、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって、前後方向D2の後側へ向かって漸次傾斜するように延びており、引っ掛け体2を平面視した状態で、引っ掛け体2を略平行四辺形となるように形成できる。よって引っ掛け体2が皮膚に食い込むことなく、自然に伸ばした爪Nに巻き爪治療器100を装着でき、装着性をさらに向上することができる。
【0058】
また本実施形態では、ベース体前端縁11aにおける幅方向D1の中央点P1に対して、隙間前端縁25aの全体が前後方向D2の後側に位置している。このため、自然に伸ばした爪Nの先端縁の形状に巻き爪治療器100を沿わせることができ、装着時の違和感を低減できる。
【0059】
さらに引っ掛け体2の隙間内底面24は、前後方向D2に前側から後側に向かってベース体1から漸次離間するように傾斜するテーパ面となっている。このため、爪Nに対して前側から引っ掛け体2を引っ掛け、巻き爪治療器100に対して爪Nを前側に押し込んだ際には、爪Nの先端縁が、ベース体1の裏面1xと引っ掛け体2の隙間内底面24とによって徐々に挟み込まれて固定される。よって引っ掛け体2を爪Nに引っ掛け易くなるとともに、巻き爪治療器100に爪Nをしっかりと固定でき、装着性を確保しつつも、巻き爪治療器100の爪Nからの脱落の可能性をさらに低減できる。
【0060】
また引っ掛け体2の隙間前端面25(隙間前端縁25a)の幅方向D1への曲率半径r2が10mm以上30mm以下、好ましくは10mm以上20mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、特に本実施形態ではr2=14.6mmとなっていることで、自然に伸ばした爪Nの先端縁に隙間前端面25を沿わせることができる。したがって爪Nへの巻き爪治療器100の装着性をさらに向上できる。
【0061】
また爪配置隙間Sにおける前後方向D2の最大長さ寸法L2が3.0mm以上となっているため、引っ掛け体2が爪Nの裏面に対向する面積を十分に確保でき、引っ掛け体2の爪Nへの「引っ掛けしろ」を十分に確保でき、巻き爪治療器100の脱落を回避できる。
【0062】
本実施形態では特に、この最大長さ寸法L2と、幅方向D1の中央部におけるベース体1の前後方向D2の長さ寸法L1がL1―L2≧2.0mmを満足することで、巻き爪治療器100の脱落を回避する効果をさらに高めることができる。
【0063】
また引っ掛け体2における幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側の端はR面取りされて湾曲している。したがって巻き爪治療器100を装着した際に、引っ掛け体2の角部によって皮膚や爪Nを傷つけてしまうことを回避できる。同様にベース体1における幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側の端についてもR面取りされて湾曲しているため、ベース体1の角部によって爪Nを傷つけてしまうことを回避できる。
【0064】
またベース体1では、ベース体前端縁11aは幅方向D1の中央部において最も前側に位置するように前側に向けて凸状に湾曲し、一方でベース体後端縁12aは、幅方向D1に延びる直線状をなしている。そしてベース体1では、幅方向D1の両外側から幅方向D1の中央部に向かうにしたがって前後方向D2の長さ寸法が漸次大きくなっていく。このため、ベース体1の幅方向D1の中央部においては爪Nの表面に対向する面積を大きくして巻き爪治療器100の脱落を回避できつつも、幅方向D1の外側では爪Nの表面に対向する面積を中央部に比べて小さくして、爪Nへの装着を容易化できる。
【0065】
またベース体1では、ベース体前端縁11aにおける幅方向D1の両外側端P0に対して、ベース体前端縁11aの幅方向D1の中央点P1が前後方向D2の前側に位置している。このため、ベース体前端縁11aの形状を自然に伸ばした爪Nの先端縁の形状に沿わせることができ、巻き爪治療器100の装着時に、爪Nの先端部分全体を保護することができる。
【0066】
さらには、ベース体1における爪Nの表面に対向する裏面1xは、上側に凹状をなして湾曲または屈曲している。このため、ベース体1の裏面1xを爪Nの表面形状に沿わせることができ、巻き爪治療器100の装着性を向上できる。特に本実施形態ではベース体1全体が上側に凸状をなして湾曲または屈曲している。よってベース体1を幅方向の中央部で折り曲げるように加工することで、湾曲または屈曲する裏面1xを容易に形成することができる。
〔第二実施形態〕
【0067】
次に、図面を参照しながら本発明の第二実施形態に係る巻き爪治療器100Aについて説明する。図5(a)および図5(b)に示すように本実施形態の巻き爪治療器100Aは、第一実施形態の巻き爪治療器100に対してベース体1Aおよび引っ掛け体2Aの形状が異なっている。なお第一実施形態の巻き爪治療器100と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
(ベース体)
【0068】
図6(a)および図6(b)に示すようにベース体1Aでは、第一実施形態のベース体1に対して後端面12A(ベース体後端縁12Aa)の形状が異なっている。すなわち後端面12Aは、自身の幅方向D1の中央部が最も前側に位置するように湾曲する曲面状をなしている。より具体的には後端面12Aは、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ曲率半径r3=10mm以上30mm以下、好ましくはr3=10mm以上20mm以下、より好ましくはr3=10mm以上15mm以下で、前後方向D2の前側へ凹状をなして湾曲して延びている。そして本実施形態では、後端面12Aは前端面11に沿って湾曲しており、曲率半径r3は前端面11の曲率半径r1に一致している。なお後端面12A(ベース体後端縁12Aa)は、前側へ凹状をなして屈曲していてもよい。
【0069】
またベース体後端縁12Aaにおける幅方向D1の両外側端P2(曲面RF1における幅方向D1の内側端)に対して、ベース体後端縁12Aaの幅方向D1の中央点P3が前後方向D2の前側に位置している。
【0070】
ベース体1Aは幅方向D1の中央部において、例えば前後方向D2の長さ寸法L1=5.0mmとなっている。
【0071】
さらには、前端面11と後端面12Aとが接続される部分、すなわちベース体1Aにおける幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側の端におけるR面取りされた曲面RF1の半径は例えば3.0mm以下、本実施形態では1.0mmとなっている。
(引っ掛け体)
【0072】
各々の引っ掛け体2Aでは、後端面21A(引っ掛け体後端縁21Aa)、および隙間前端面25(隙間前端縁25a)が、互いに略同じ曲率半径で湾曲して幅方向D1に延びている。また本実施形態では、外側端面22と後端面21Aとが接続される部分、すなわち引っ掛け体2Aにおける幅方向D1の外側かつ前後方向D2の後側の端におけるR面取りされた曲面RF2の半径は例えば3.0mm以下、本実施形態では0.5mmとなっている。
【0073】
また本実施形態において引っ掛け体2Aはベース体1の前端面11に接続されて前端面11から前側に突出している。そして引っ掛け体2Aにおける外面2AyはU字状をなし、外面2Ayの最も前側には、幅方向D1の内側から外側に向かうにしたがって前後方向D2の後側へ向かって延びる引っ掛け体前端縁2Azが形成されている。引っ掛け体前端縁2Azは隙間前端縁25aに沿って、隙間前端縁25aと同じ曲率半径で湾曲して幅方向D1に延びている。そして引っ掛け体前端縁2zとベース体1の前端面11との前後方向D2の距離d3は、例えば1.0mm以下、好ましくは0.3mm以上0.7mm以下の範囲に設定されているとよい。
【0074】
なお図7(a)および図7(b)に示すように、本実施形態においてベース体1Aの裏面1Axおよび表面1Ayは、上下方向D3に湾曲および屈曲していない。さらにベース体1Aは、第一実施形態における裏面前側段部11x(図1(b)参照)に相当する構成を有していない。また図8に示すように、本実施形態においても隙間内底面24は、前後方向D2に前側から後側に向かってベース体1Aの裏面1Axから漸次離間するように傾斜するテーパ面となっている。
(作用効果)
【0075】
本実施形態の巻き爪治療器100Aによれば、第一実施形態と同様に、爪Nを特殊な形状に加工することなく、ある程度の長さに自然に伸ばした状態で巻き爪治療器100Aを装着することができ、装着性を確保できる。また引っ掛け体2Aを爪Nに対して前側から引っ掛けて巻き爪治療器100Aを爪Nに装着した際には、引っ掛け体2Aよりも後側までベース体1Aが位置することになり、ベース体1Aの裏面1Axが爪Nの表面に対向する面積を大きくすることができ、巻き爪治療器100Aが、使用時に爪Nから脱落してしまう可能性を低減することができる。
【0076】
さらに本実施形態では、ベース体1Aの後端面12A(ベース体後端縁12Aa)は、自身の幅方向D1の中央部が最も前側に位置するように湾曲する曲面状をなしており、特に本実施形態ではベース体後端縁12Aaにおける幅方向D1の両外側端P2(曲面RF1における幅方向D1の内側端)に対して、ベース体後端縁12Aaの幅方向D1の中央点P3が前後方向D2の前側に位置している。したがって、巻き爪治療器100Aを使用する際には、ベース体1Aの裏面1Axが爪Nの表面に対向する面積をある程度確保しつつも、ベース体後端縁12Aaを爪Nの表面形状に沿って配置できるため、装着性を高めることができる。
【0077】
ここで本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0078】
例えばベース体1、1Aについては、少なくとも幅方向D1の中央部の長さ寸法L1が5.0mm以上となっていればよく、その他の部分における前後方向D2の長さ寸法は5.0mm未満となっていてもよい。具体的には例えば図9に示すように、幅方向D1の中央部においてベース体1A(1)の後端面12、12Aから後側に突出する凸部1zを形成することで、ベース体1A(1)における中央部の長さ寸法L1を5.0mm以上としてもよい。
【0079】
またベース体1(1A)では、必ずしも中央部の長さ寸法L1が5.0mm以上となっていなくともよく、ベース体1では少なくとも幅方向D1の両外側から幅方向D1の中央部に向かうにしたがって、前後方向D2の長さ寸法が漸次大きくなる形状をなしていればよく、ベース体後端縁12a(12Aa)が、例えば幅方向D1の中央部において最も後側に位置するように湾曲または屈曲して形成されていてもよい。
【0080】
またベース体1(1A)では、必ずしも中央部の長さ寸法L1が5.0mm以上となっていなくともよく、少なくともベース体1の裏面1xが、上側に凹状に湾曲または屈曲する形状をなしていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の巻き爪治療器によれば、装着性を確保しつつも、使用時の脱落の可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A…ベース体
1z…凸部
2、2A…引っ掛け体
11a…ベース体前端縁
12a、12Aa…ベース体後端縁
21a、21Aa…引っ掛け体後端縁
24…隙間内底面
25…隙間前端面
25a…隙間前端縁
100、100A…巻き爪治療器
D1…(ベース)幅方向
D2…(ベース)前後方向
N…爪
S…爪配置隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9