(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076140
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】画像配信装置、画像配信方法及び画像再生システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2668 20110101AFI20240529BHJP
H04N 21/24 20110101ALI20240529BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20240529BHJP
【FI】
H04N21/2668
H04N21/24
G06T19/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187550
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】北村 千夏
【テーマコード(参考)】
5B050
5C164
【Fターム(参考)】
5B050AA08
5B050BA08
5B050BA09
5B050BA11
5B050CA08
5B050EA07
5B050EA09
5B050EA24
5B050FA02
5B050FA05
5C164FA08
5C164GA07
5C164SB41P
5C164SC05P
5C164UD44S
5C164YA30
(57)【要約】
【課題】身近な場所で実際にイベントを体験しているような画像をユーザへ配信する。
【解決手段】画像配信装置は、再生装置3の位置情報を取得する位置取得部12と、イベント開催地の位置情報及びイベントのバーチャル画像を作成するための映像プログラムを格納する記憶部10と、前記映像プログラムを用いて、再生装置3の位置から前記イベント開催地の位置を見た状態のバーチャル画像を生成する画像生成部13と、画像生成部13により生成された前記バーチャル画像を再生装置3へ配信する配信部14と、を備える。再生装置3は、イベント開催地の景色にバーチャル画像を重ねて再生する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置の位置情報を取得する位置取得部と、
イベント開催地の位置情報及びイベントのバーチャル画像を作成するための映像プログラムを格納する記憶部と、
前記映像プログラムを用いて、前記再生装置の位置から前記イベント開催地の位置を見た状態のバーチャル画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された前記バーチャル画像を前記再生装置へ配信する配信部と、
を備える画像配信装置。
【請求項2】
前記イベントは花火大会であり、前記映像プログラムには複数の打ち上げ花火の各々についての、色、形状、大きさ、打ち上げ位置、打ち上がる高さ、及び打ち上げ順が定義されている、請求項1に記載の画像配信装置。
【請求項3】
前記位置取得部は、複数の再生装置の位置情報を取得し、
前記画像生成部は、前記複数の再生装置の各々の位置から前記イベント開催地の位置を見た状態のバーチャル画像を生成し、
前記配信部は、前記複数の再生装置へ、対応するバーチャル画像を配信する、請求項1又は2に記載の画像配信装置。
【請求項4】
前記配信部は、前記再生装置へクーポン情報を配信する、請求項1又は2に記載の画像配信装置。
【請求項5】
再生装置の位置情報を取得する工程と、
記憶部に格納されたイベントのバーチャル画像を作成するための映像プログラムを用いて、取得した前記再生装置の位置からイベント開催地の位置を見た状態のバーチャル画像を生成する工程と、
生成した前記バーチャル画像を前記再生装置へ配信する工程と、
を備える画像配信方法。
【請求項6】
請求項1に記載の画像配信装置と、
前記画像配信装置から受信した前記バーチャル画像をイベント開催地の景色に重ねて再生する再生装置と、
を備える画像再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像配信装置、画像配信方法及び画像再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のコロナ禍により、多くの観客を集める前提でスポンサーを募り、現地で観覧するという従来のタイプの花火大会の開催が難しい状況にある。同様に、店舗に多数の人を集めるイベントも開催が困難になっており、ソーシャルディスタンスを考慮した人数制限を行うと収益が減少し、また、感染状況によっては急に中止になるという問題がある。そのため、新しいイベントの在り方が求められている。
【0003】
花火大会の中継映像を放送するテレビ番組等はあるが、花火大会を実際に観覧することとは全く異なるものであり、自分事として価値あるイベントにはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、身近な場所で実際にイベントを体験しているような画像をユーザへ配信する画像配信装置、画像配信方法及び画像再生システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像配信装置は、再生装置の位置情報を取得する位置取得部と、イベント開催地の位置情報及びイベントのバーチャル画像を作成するための映像プログラムを格納する記憶部と、前記映像プログラムを用いて、前記再生装置の位置から前記イベント開催地の位置を見た状態のバーチャル画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された前記バーチャル画像を前記再生装置へ配信する配信部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の画像配信方法は、再生装置の位置情報を取得する工程と、記憶部に格納されたイベントのバーチャル画像を作成するための映像プログラムを用いて、取得した前記再生装置の位置からイベント開催地の位置を見た状態のバーチャル画像を生成する工程と、生成した前記バーチャル画像を前記再生装置へ配信する工程と、を備えるものである。
【0008】
本発明の画像再生システムは、本発明の画像配信装置と、前記画像配信装置から受信した前記バーチャル画像をイベント開催地の景色に重ねて再生する再生装置と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、身近な場所で実際にイベントを体験しているような臨場感のある画像をユーザへ配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像再生システムの概略構成図である。
【
図4】画像配信方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る画像再生システムは、サーバ装置1及び再生装置3を備える。再生装置3は、例えば、スマートフォン3Aやスマートグラス3B等である。再生装置3でイベントが開催される開催地2を所定の日時に見ると、サーバ装置1により生成され、再生装置3に配信されたイベントの画像が、実際の景色に重ねて表示・再生される。スマートグラス3Bは、スマートグラス3B自身がサーバ装置1と通信可能なものでもよいし、スマートフォンやPC等を介してサーバ装置1からイベント画像を受信してもよい。
【0013】
例えば、イベントが花火大会である場合、再生装置3には花火の映像が再生される。具体的には、ユーザU1がスマートフォン3Aで専用アプリを起動し、イベントを選択してスマートフォン3Aのカメラを用いて開催地2を見ると、
図2Aに示すように、スマートフォン3Aのディスプレイ(タッチパネル)には、花火画像F1が開催地2の景色(建物等)に重ねて表示される。
【0014】
また、ユーザU2がスマートグラス3Bをかけて開催地2を見ると、
図2Bに示すように、スマートグラス3Bのディスプレイには、花火画像F2が開催地2の景色に重ねて表示される。
【0015】
イベント開催中、何時にどのような花火画像(花火の形状パターン)になるかは予めプログラムされている。サーバ装置1は、開催地2の位置、ユーザU1,U2の現在位置、再生時刻等に基づいて、花火画像F1,F2をリアルタイムに生成する。そのため、ユーザU1とユーザU2とが異なる位置にいる場合、スマートフォン3Aに表示される花火画像F1と、スマートグラス3Bに表示される花火画像F2とは見え方の異なるものとなる。
【0016】
例えば、ユーザU1,U2が開催地2を挟んで反対の位置にいる場合、ユーザU1のスマートフォン3Aで手前に赤色の花火、奥に青色の花火が表示される時、ユーザU2のスマートグラス3Bには手前に青色の花火、奥に赤色の花火が表示される。また、ユーザU1のスマートフォン3Aで右側に黄色の花火、左側に緑色の花火が表示される時、ユーザU2のスマートグラス3Bには右側に緑色の花火、左側に黄色の花火が表示される。
【0017】
ユーザU1,U2は、実際に開催地2で花火大会が開催されているかのような臨場感のあるユーザ視点の映像を楽しむことができる。実際に花火を打ち上げることはないため、市街地など所望の場所を開催地に設定でき、ユーザの身近な場所でイベントを提供できる。
【0018】
イベント開催地が商業施設である場合、イベント画像の配信のため接続されたユーザに、商業施設のクーポンや商品の詳細・イベントなどの広告情報等を再生装置3へ配信してもよい。花火打ち上げ箇所となることで、商業施設の場所をユーザに強く印象付けることができ、さらにクーポンや広告情報を配信することで来店を促すことができる。また、それらの情報は、あらかじめイベント参加のために収集したユーザの属性情報やイベント参加時の位置情報に応じて内容を変更し、より効果の高い広告内容としてもよい。例えば、複数店舗を持つスーパーでは、ユーザの位置情報から、イベント開催店舗の情報だけでなく、ユーザの生活圏内にあるほかの店舗についての情報を送ることもできる。
【0019】
次に、
図3を用いて、サーバ装置1の構成について説明する。サーバ装置1は、CPU、記憶部10、通信部等を有するコンピュータであり、CPUが記憶部10に格納されている制御プログラムを実行することで、イベント情報登録部11、位置取得部12、画像生成部13及び配信部14を有する画像配信装置として機能する。
【0020】
記憶部10には、地図情報が格納されている。この地図情報は、標高や地形の起伏、河川や海岸線、道路や建物、土地利用の状態などの情報も含む。
【0021】
イベント情報登録部11は、イベント開催者が利用するPC等の端末から、イベント情報の登録を受け付け、イベント情報を記憶部10に格納する。イベント情報は、イベント開催地の位置情報、イベント開催日時、及びイベントで配信する映像プログラムを含む。イベント情報は、ユーザに配信するクーポン等のオプション情報を含んでいてもよい。
【0022】
映像プログラムは、イベントのバーチャル画像を作成するためのデザインプログラムである。例えば、イベントが花火の場合、デザインプログラムには、バーチャルに打ち上げる花火の各々について、色、形状、大きさ、打ち上げ位置、打ち上がる高さ、打ち上げ順(イベント開始からの経過時間)等が定義されている。このデザインプログラムに、花火を見る位置を設定することで、その位置から見た打ち上げ花火のバーチャル画像が生成可能となる。
【0023】
位置取得部12は、イベントに参加する(イベントを視聴する)ユーザが使用する再生装置の位置情報を(連続的に)取得する。例えば、位置取得部12は、ユーザが所有するスマートフォン等の再生装置3と通信を行い、再生装置3が有するGPS機能で求められた位置情報を取得する。また、位置取得部12は、再生装置3から、再生装置3に内蔵されている電子コンパスで計測された方位情報(再生装置3が向いている方向)を取得する。
【0024】
画像生成部13は、デザインプログラムと、イベント開催地の位置情報と、再生装置3の位置情報及び方位情報と、地図情報とを用いて、ユーザ視点のイベント画像(バーチャル画像)を生成する。例えば、画像生成部13は、イベント開催地の位置情報、再生装置3の位置情報、方位情報及び地図情報を用いて、ユーザを基準にした打ち上げ場所までの距離、高低差、方角のずれ等を計算し、この計算結果を用いて、デザインプログラムで定義された花火のバーチャル画像(映像)をユーザ視点となるように生成する。
【0025】
画像生成部13は、ユーザを基準にした打ち上げ場所までの距離を連続的に計算しており、ユーザが打ち上げ場所(イベント開催地)に近付くと、花火サイズが大きくなるように画像を生成する。
【0026】
配信部14は、画像生成部13が生成した画像を再生装置3へ配信する。画像は再生装置3で再生される。また、配信部14は、再生装置3へオプション情報を配信する。
【0027】
位置取得部12による位置情報及び方位情報の取得、画像生成部13によるユーザ視点の画像生成、及び配信部14による画像配信は、イベント参加者が複数いる場合、各参加者の再生装置3に対して並行して(同時に)行われる。
【0028】
次に、本実施形態による画像配信方法を
図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0029】
イベント開催者がサーバ装置1にイベント情報を登録する(ステップS1)。イベント情報は、イベント開催地の位置情報、イベント開催日時、及びイベントで配信する映像プログラムを含む。イベントは花火大会とする。
【0030】
イベントの参加(視聴)を希望するユーザは、再生装置3を用いて専用アプリを起動し、サーバ装置1にアクセスし、イベント参加処理を行う。サーバ装置1は、再生装置3から位置情報及び方位情報を取得する(ステップS2)。
【0031】
サーバ装置1は、ユーザを基準にした打ち上げ場所までの距離、高低差、方角のずれ等を計算し、この計算結果を用いて、映像プログラムで定義された花火のユーザ視点での画像をリアルタイムに生成する(ステップS3)。
【0032】
サーバ装置1は、生成した画像を再生装置3へ配信する(ステップS4)。これにより、イベント開催地の方向を向いた再生装置3では、
図2A、
図2Bに示すような、現実の景色に花火の映像が重ね合わされた映像が再生される。
【0033】
イベント終了後、サーバ装置1は再生装置3へオプション情報を配信する(ステップS5)。オプション情報の配信はイベント開始前や、イベントの途中でもよい。
【0034】
このように、本実施形態によれば、ユーザに対し、身近な場所で実際にイベントを体験しているような臨場感のある画像を配信することができる。
【0035】
また、イベント開催者は、自身の店舗をイベント開催地に設定することで、店舗の位置を多くのユーザに知らせることができる。実際に花火を打ち上げるのではなく、バーチャルな花火大会であるため、打ち上げ場所を自由に設定できる。
【0036】
イベントは花火大会に限定されず、例えば、アニメや映画のキャラクター画像がイベント開催地に表示されるものであってもよい。
図5は、イベント開催地であるタワーの隣に巨人の映像が再生される例を示す。ユーザが移動すると、再生装置3を介して、巨人を異なる角度から見ることができる。
【0037】
再生装置3は、展望フロアの窓に取り付けた透明ディスプレイや、壁に取り付けた窓ディスプレイでもよい。窓ディスプレイの場合は、別途ライブカメラ画像を取得し、ライブカメラ画像とイベント画像とを合成した合成画像を生成し、窓ディスプレイで表示する。
【0038】
サーバ装置1は、イベント開催位置とユーザ現在位置との間の距離や、地図情報に含まれる建物情報等を参照し、ユーザに移動を促すメッセージを通知してもよい。例えば、ユーザの現在位置とイベント開催位置との間にビル等の高い建物がある場合、イベント開催地が見えないため、イベント画像生成不可と判定し、移動を促すメッセージを通知する。
【0039】
サーバ装置1は、イベント開催位置とユーザ現在位置との間の距離や、地図情報に含まれる建物情報等に基づいて、デザインプログラムに定義されたバーチャルに打ち上げる花火の形状や打ち上がる高さ等のパラメータを調整してもよい。例えば、ユーザの現在位置とイベント開催位置との間にビル等の障害物があり、初期設定パラメータでは花火を見ることができない場合、自動的に高さやサイズ等のパラメータを調整し、現在のユーザの視点から見えるようにして、打ち上げ花火のバーチャル画像を生成してもよい。
【0040】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0041】
1 サーバ装置
3 再生装置