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特開2024-76142モノコック構造を有する管と容器の断熱装置と断熱方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076142
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】モノコック構造を有する管と容器の断熱装置と断熱方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/14 20060101AFI20240529BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16L59/14
F16L59/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187553
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】517271935
【氏名又は名称】前田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 和幸
【テーマコード(参考)】
3H036
【Fターム(参考)】
3H036AB33
3H036AB35
3H036AC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、管を流動する物質及び、又は容器内部にある高温又は低温の状態にある物質の温度が周囲への熱移動により変化することを防止するための、モノコック構造を有する断熱装置と断熱方法に関する。
【解決手段】二重構造物と、二重構造物の両端又は周囲に設置された断面コ型及び、又は断面U型の部材から構成されるモノコック構造物において、二重構造物の両端又は周囲の一部に突起を持たせるとともに、断面コ型及び、又は断面U型の部材の凹部にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて突起部分を挿入し、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分を断面コ型及び、又は断面U型の部材に固定することにより、二重構造物を断面コ型及び、又は断面U型の部材に密着・固定させるという構造と機能を持たせることができることを特徴とする、モノコック構造を有する管と容器の断熱装置と断熱方法。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒と外筒からなる二重構造の円筒状物質と、その両端に設置された幅のある溝を有する板状物質から構成され、内筒と外筒の両端が溝に挿入されて固定されているという構造を有する二重構造の円筒状モノコック構造物。
【請求項2】
内筒と外筒からなる二重構造の円筒状物質の両端を、内筒と外筒の両端に設置された幅のある溝を有する板状物質の溝に挿入して固定するという方法を用いることを特徴とする、二重構造の円筒状モノコック構造物を形成する方法。
【請求項3】
二層の板状の物質と、その周囲に設置された幅のある溝を有する板状の物質から構成され、二層の板状物質の周囲が幅のある溝に挿入されて固定されているという構造を有する二重構造の容器状モノコック構造物。
【請求項4】
二層の板状物質の周囲を、二層の板状物質の周囲に設置された幅のある溝を有する板状物質の溝に挿入して固定するという方法を用いることを特徴とする、二重構造の容器状モノコック構造物を形成する方法。
【請求項5】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された内筒と外筒の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された内筒と外筒の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して内筒と外筒に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすことにより、内筒と外筒及び内筒と外筒の両端に設置されて密閉空間を構成している物質とを密着・固定させるという構造と機能を持たせるとともに、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有する、請求項1に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項6】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された内筒と外筒の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された内筒と外筒の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して内筒と外筒に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすという方法を用いることにより、内筒と外筒及び内筒と外筒の両端に設置されて密閉空間を構成している物質とによって構成される、請求項2に記載されたモノコック構造を用いて、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止する方法。
【請求項7】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造物の周囲に設置されて二重構造を構成する板状の物質が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された二重構造を構成する物質の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された二重構造を構成する板状の物質の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して、二重構造を構成する板状の物質をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の内面に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすことにより、板状の二重構造とコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とを密着・固定させるという構造と機能を持たせるとともに、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有する、請求項3に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項8】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造物の周囲に設置されて二重構造を構成する板状の物質が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された二重構造を構成する物質の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された二重構造を構成する板状の物質の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して、二重構造を構成する板状の物質をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の内面に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすという方法を用いることにより、容器の一部又は全部を構成する請求項4に記載されたモノコック構造を用いて、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止する方法。
【請求項9】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造物において、内筒と外筒の両端の一部に突起を持たせるとともに、コの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて、突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に固定することにより、内筒と外筒をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に密着・固定させるという構造と機能を持たせることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載された、モノコック構造を有する管の断熱装置。
【請求項10】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する二重構造物の周囲に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質をから構成されるモノコック構造物において、容器を構成する二重構造物の周囲の一部に突起を持たせるとともに、コの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて、突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に固定することにより、容器を構成する二重構造物をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に密着・固定させるという構造と機能を持たせることを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造を有する容器の断熱装置。
【請求項11】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒によって形成される二重管の両端に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間の圧力を大気圧よりも高くして外筒に外力が作用しても変形しないようにするという機能を有することを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載された、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有するモノコック構造の断熱装置。
【請求項12】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造を構成する板状の物質の周囲にコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質を設置することによって形成されるモノコック構造の密閉空間の圧力を大気圧よりも高くすることにより、二重構造を構成する板状の物質に外力が作用しても変形しないようにするという機能を有することを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載された、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有する、モノコック構造の断熱装置。
【請求項13】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒によって形成される二重管の両端に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間を真空にするとともに、内部が真空の二重構造物が大気圧によって変形するのを防止するために、構造物の間に支柱(スペーサ)の役割を持たせる物質を挿入することを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載された、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有するモノコック構造の断熱装置。
【請求項14】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造を構成する板状の物質の周囲にコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質を設置することによって形成されるモノコック構造の密閉空間を真空にするとともに、内部が真空の密閉空間が大気圧によって変形するのを防止するために、二重構造物の間に支柱(スペーサ)の役割を持たせる物質を挿入することを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載された、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有する、モノコック構造の断熱装置。
【請求項15】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分に、シール材が充填・塗布されていることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項16】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分が機械的に結合されていることを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項17】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分が溶着されていることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項18】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分がが溶着されていることを徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項19】
管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間において、内筒と外筒の温度差によって生じる内筒と外筒の膨張・収縮差を吸収するために、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に使用する材料として弾力性のある物質を用いることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【請求項20】
容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造物の周囲に設置されて二重構造を構成する板状の物質が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間において、板状の二重構造物が相互の温度差によって生じる膨張・収縮差を吸収するために、板状の二重構造物とコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に使用する材料として弾力性のある物質を用いることを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造の断熱装置。









【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管を流動する物質及び、又は容器内部にある高温又は低温の状態にある物質の温度が周囲への熱移動により変化することを防止するための、モノコック構造を有する断熱装置と断熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「モノコック構造」とは、骨組みを使わずに内部を空洞にし、貝殻のように側面を強くすることで形を保っている構造を指す。自動車、鉄道車両などの車体に使用され、外板に応力を受け持たせる構造であるため、効力外皮構造とも呼ばれており、建物においては、柱や梁で骨組みをつくり建物を支えるのではなく、建物を構成する「壁」で囲まれた4面と上下2面(床と天井)の合計6面で建物全体を支える構造となる。
例えば、特許文献1には「台枠の側梁、横梁が断面コ型の部材(断面ハット型部材)であるステンレス製セミモノコック車体構造体に関し、補強構造によって客室空間が狭められることなしに、横方向からの衝撃力に対する強度が高められるようにするステンレス製セミモノコック構造の鉄道車両の車輌構体管において、断熱層を構成する二重筒の間の真空層の形状を保持するために、複数の金属ワイヤ又は金網を設置する技術」が記載されている。
特許文献2には、「透明な熱可塑性樹脂組成物の一体成形物である上部ボディー並びに熱可塑性樹脂組成体の一体成形物である下部ボディー及びフロアを締結して形成されるモノコック構造の車体をもつ、軽量で、運転時の視界が良好で、製造が簡単であるとともに、車体として必要とされる剛性を確保した卵形状の車体構造に関する技術」が記載されている。
特許文献3には、「向上で均一生産された木質パネル同士を高分子接着剤と釘打ちにより面接合する、住宅のモノコック構造の強度を体験するために、従来の木造住宅の柱支持構造を、直方体の稜線部分を4本の柱と4本の天井梁と4本の床部分の梁に見立てて、該部分にゴム製の4本の柱と8本の梁を結合した模型体により構成し、これに対してモノコック構造を示す模型体は、該従来構造の12本のゴム製構造体の表面に合成樹脂製の薄い透明膜を貼設した構造とすることにより、両者の差を体験できる技術」が記載されている。
モノコック構造の意味は、ギリシャ語で「一つの~」という意味の「mono」と、フランス語で「貝殻」という意味の「coque」を組み合わせてできた単語で、閉じた貝殻の強度・剛性を理想とするが、特許文献1~3に示されるように、鉄道や自動車などの車輌においては前後左右の窓、ドアなどの大きな開口部があり、建物においても窓やドアなどの開口部を必要とするため、閉じた貝殻(完全な応力外皮構造)にはなり得ないため、セミモノコック構造と呼ばれている。
【0003】
また、冷暖房設備の普及により、外気温度に係わらず居住空間の温度を一定に保つことにより快適空間を得ることが可能になったが、近年、地球温暖化により外気温度が上昇傾向にあるため、これを保持するにはより多くのエネルギーを必要とする。また、近年、自動車等の動力として、地球温暖化の原因とされる化石燃料を用いない電気自動車の使用が義務づけられつつあるが、自動車の車内空間を快適に保つための冷暖房には多量のエネルギーを必要とするため、車内と外部における熱の移動を極力抑える必要がある。建造物や自動車等の内部と外部の熱の移動を低減するには自動車のボディや建造物の壁、天井、床を断熱構造にするのが最も効果的であるが、これを実施するには断熱材を含む空気層を必要とするため、材料の追加費用と設置容積が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-126027号公報
【特許文献2】特許第6104381号公報
【特許文献3】特開2002-91294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に示されるように、鉄道や自動車などの車輌においては前後左右の窓、ドアなどの大きな開口部があり、建物においても窓やドアなどの開口部を必要とするため、閉じた貝殻(完全な応力外皮構造)にはなり得ないため、セミモノコック構造と呼ばれているが、特許文献2に記載されているような「軽量で、製造が簡単であるとともに、車体として必要とされる剛性を確保した卵形状の車体構造」に関する技術開発が求められている。
また、近年は地球温暖防止対応という明確な数値目標が設定され、車輌や建造物における省エネルギー対応技術の開発が求められている。
【0006】
そこで本発明は、下記の要素を備えた、汎用性が高く、容積や重量の増加も比較的少ない構造を持ち、真空断熱構造を有する断熱装置にも適用可能な、モノコック構造を有する管と容器の断熱装置と断熱方法を提供することを目的とする。
1.異なる物質の一方に間隙(縦長の小穴)を設けて、もう一方の物質の一部をこの間隙に挿入して(貫通させて)、反対側に突出した部分を、間隙を設けた物質に固定するという方法を用いることにより、接合しようとする物質以外の物質を必要としないで異なる物質を接合できるという機能を有する構造物とすることが可能となる。
2.二重構造を構成する物質の周囲に設置されて密閉空間を形成する物質に溝を設置して、その溝の両端に二重構造を構成する物質を挿入することにより、二重構造を構成する物質と二重構造を構成する物質の周囲に設置されて密閉空間を形成する物質の相互位置を固定することが可能となる。
3.二重構造を構成する物質の周囲に設置されて密閉空間を形成する物質に溝を設置して、その溝の両端に二重構造を構成する物質を挿入するとともに、溝の両端に位置決めされた二重構造を構成する物質の間に物質を挿入することより、二重構造を構成する物質と二重構造を構成する物質の周囲に設置されて密閉空間を形成する物質を密着させることが可能となる。
4.二重構造を構成する物質と二重構造を構成する物質の周囲に設置されて密閉空間を形成する物質が接する部分にシール材を充填・塗布することにより、二重構造を構成する物質と二重構造を構成する物質の周囲に設置されて密閉空間を構成する物質との気密性を高めることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
密閉された容器の内部が大気圧と異なる場合、容器を構成する物質の接合面を接合させて密閉空間として、内部の圧力を維持する必要がある。
2種類の異なる物質を接合するための方法としては、機械的結合法と熔接結合に分けられ、機械的結合法には、ボルト・ナット締め、リベット締め、かしめ、接着結合などの方法があり、熔接結合には電気的エネルギーを利用する方法、化学的エネルギーを利用する方法、機械的エネルギーを利用する方法、超音波溶接、レーザー溶接があるが、これらの方法を用いると、密閉された空間を構成する2種類の物質以外の物質が必要になるとともに、特殊な装置と技術を要する場合もある。密閉空間が大気圧よりも高い場合(一般には数気圧から数十気圧)には、これらの方法のいずれかを用いる必要があるが、本発明が対象とする真空空間においては、最大圧力がマイナス1気圧となるため、これ以外の方法を用いても密閉空間の真空を維持することが可能となる。
【0008】
請求項1に記載の発明は、内筒と外筒からなる二重構造の円筒状物質と、その両端に設置された幅のある溝を有する板状物質から構成され、内筒と外筒の両端が溝に挿入されて固定されているという構造を有する二重構造の円筒状モノコック構造物を示している。
【0009】
請求項2に記載の発明は、内筒と外筒からなる二重構造の円筒状物質の両端を、内筒と外筒の両端に設置された幅のある溝を有する板状物質の溝に挿入して固定するという方法を用いることを特徴とする、二重構造の円筒状モノコック構造物を形成する方法を示している。
【0010】
請求項3に記載の発明は、二層の板状の物質と、その周囲に設置された幅のある溝を有する板状の物質から構成され、二層の板状物質の周囲が幅のある溝に挿入されて固定されているという構造を有する二重構造の容器状モノコック構造物を示している。
【0011】
請求項4に記載の発明は、二層の板状物質の周囲を、二層の板状物質の周囲に設置された幅のある溝を有する板状物質の溝に挿入して固定するという方法を用いることを特徴とする、二重構造の容器状モノコック構造物を形成する方法を示している。
【0012】
請求項5に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された内筒と外筒の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された内筒と外筒の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して内筒と外筒に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすことにより、内筒と外筒及び内筒と外筒の両端に設置されて密閉空間を構成している物質とを密着・固定させるという構造と機能を持たせるとともに、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を示している。
【0013】
請求項6に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された内筒と外筒の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された内筒と外筒の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して内筒と外筒に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすという方法を用いることにより、内筒と外筒及び内筒と外筒の両端に設置されて密閉空間を構成している物質とによって構成されることを示している。
【0014】
請求項7に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造物の周囲に設置されて二重構造を構成する板状の物質が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された二重構造を構成する物質の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された二重構造を構成する板状の物質の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して、二重構造を構成する板状の物質をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の内面に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすことにより、板状の二重構造とコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とを密着・固定させるという構造と機能を持たせるとともに、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有することを示している。
【0015】
請求項8に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造物の周囲に設置されて二重構造を構成する板状の物質が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間において、挿入された二重構造を構成する物質の間に、コの字型又はU字型の開口部の間隙から、挿入された二重構造を構成する板状の物質の厚さ(thickness)を合計した値を差し引いた厚さの物質を挿入して、二重構造を構成する板状の物質をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の内面に密着させるとともに、密閉空間の内部を固体や液体よりも熱伝導率特性に優れた(熱伝導率の値が小さい)気体で満たすという方法を用いることにより、容器の一部又は全部を構成する請求項4に記載されたモノコック構造を用いて、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止する方法。
【0016】
請求項9に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造物において、内筒と外筒の両端の一部に突起を持たせるとともに、コの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて、突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に固定することにより、内筒と外筒をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に密着・固定させるという構造と機能を持たせることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載された、モノコック構造を有する管の断熱装置。
【0017】
請求項10に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する二重構造物の周囲に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質をから構成されるモノコック構造物において、容器を構成する二重構造物の周囲の一部に突起を持たせるとともに、コの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて、突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に固定することにより、容器を構成する二重構造物をコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に密着・固定させるという構造と機能を持たせることを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造を有する容器の断熱装置。
【0018】
請求項11に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒によって形成される二重管の両端に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間の圧力を大気圧よりも高くして外筒に外力が作用しても変形しないようにするという機能を有することを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載された、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有するモノコック構造の断熱装置。
【0019】
請求項12に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造を構成する板状の物質の周囲にコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質を設置することによって形成されるモノコック構造の密閉空間の圧力を大気圧よりも高くすることにより、二重構造を構成する板状の物質に外力が作用しても変形しないようにするという機能を有することを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載された、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有する、モノコック構造の断熱装置。
【0020】
請求項13に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒(管を構成する物質又は管の外側に設置された円筒状の物質)と外筒(内筒の外側に設置された円筒状の物質)及び、内筒と外筒によって形成される二重管の両端に設置されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間を真空にするとともに、内部が真空の二重構造物が大気圧によって変形するのを防止するために、構造物の間に支柱(スペーサ)の役割を持たせる物質を挿入することを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載された、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有するモノコック構造の断熱装置。
【0021】
請求項14に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を板状の二重構造とし、二重構造を構成する板状の物質の周囲にコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質を設置することによって形成されるモノコック構造の密閉空間を真空にするとともに、内部が真空の密閉空間が大気圧によって変形するのを防止するために、二重構造物の間に支柱(スペーサ)の役割を持たせる物質を挿入することを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載された、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止するための機能を有する、モノコック構造の断熱装置。
【0022】
請求項15に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分に、シール材が充填・塗布されていることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【0023】
請求項16に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分が機械的に結合されていることを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【0024】
請求項17に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分が溶着されていることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【0025】
請求項18に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間の気密性を高めるために、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造を構成する板状の物質の周囲に挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質とが接触する部分が溶着されていることを徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【0026】
請求項19に記載の発明は、管を流動する物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質から構成されるモノコック構造の密閉空間において、内筒と外筒の温度差によって生じる内筒と外筒の膨張・収縮差を吸収するために、内筒と外筒及び、内筒と外筒の両端が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に使用する材料として弾力性のある物質を用いることを特徴とする、請求項1又は請求項5に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【0027】
請求項20に記載の発明は、容器内部にある物質と周囲との熱の移動を防止することを目的として、容器を構成する物質の一部又は全部を構成する板状の二重構造物と、二重構造物の周囲に設置されて二重構造を構成する板状の物質が挿入されたコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質によって形成されるモノコック構造の密閉空間において、板状の二重構造物が相互の温度差によって生じる膨張・収縮差を吸収するために、板状の二重構造物とコの字型及び、又はU字型の溝を有する板状の物質に使用する材料として弾力性のある物質を用いることを特徴とする、請求項3又は請求項7に記載されたモノコック構造の断熱装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明を用いることにより、容器内の物質や管を流動する流体の温度変化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】管を流動する流体の温度変化を防止することを目的とした、管用のモノコック構造断熱装置の例を示したものである。
図2】管用断熱装置を構成する内筒と外筒の両端の一部に突起を設けて、二重管の両端に設置された断面コ型及び、又は断面U型の部材を貫通させ、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に突出した部分を折り曲げることにより、内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材を密着固定させた状態を示したものである。
図3】容器用断熱装置を構成する二重構造物と、二重構造物の周囲に設置された断面コ型及び、又は断面U型の部材の相対位置(構造)を示したものである。
図4】容器用断熱装置を構成する二重構造物の一部に突起を設けて、突起部分を断面コ型及び、又は断面U型の部材に貫通させ、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に突出した部分を折り曲げることにより、二重構造物と断面コ型及び、又は断面U型の部材を密着固定させた状態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、管を流動する流体の温度変化を防止することを目的とした、管用のモノコック構造断熱装置の例を示したものである。
(1)図において、内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材から構成される二重構造物はモノコック構造であるため、内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材によらず、外力に対して強固な構造を有している。このため、管を流動する物質の温度によって最適な(耐熱性の)材料を選択することが可能となる。
(2)内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材から構成される密閉空間の圧力を、大気圧よりも高くすることにより、内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材の耐圧強度を向上させることが可能となる。
(3)内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材から構成される密閉空間の圧力を、大気圧よりも低くするとともに、内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材に作用する圧力によって、密閉空間が変形するのを防止するための支柱(スペーサー)を設置することにより、真空断熱装置としての機能を持たせることが可能になる。
【0031】
図2は、管用断熱装置を構成する内筒と外筒の両端の一部に突起を設けて、二重管の両端に設置された断面コ型及び、又は断面U型の部材を貫通させ、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に突出した部分を折り曲げることにより、内筒と外筒及び断面コ型及び、又は断面U型の部材を密着固定させた状態を示したものである。
内筒と外筒の両端の一部に突起を持たせるとともに、断面コ型及び、又は断面U型の部材の凹部にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて突起部分を挿入し、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分を断面コ型及び、又は断面U型の部材に固定することにより、内筒と外筒を断面コ型及び、又は断面U型の部材に密着・固定させるという構造と機能を持たせることが可能になる。
【0032】
図3は、容器用断熱装置を構成する二重構造物と、二重構造物の周囲に設置された断面コ型及び、又は断面U型の部材の相対位置(構造)を示したものである。
2枚の板状物質から構成される二重構造物の周囲に断面コ型及び、又は断面U型の部材を設置することにより、二重構造物とその周囲に設置された断面コ型及び、又は断面U型の部材を構成要素とするモノコック構造物となる。この際、二重構造物の周囲に断面コ型及び、又は断面U型の部材の形状を、図にしめすような断面U型とし、全ての部材を曲面仕上げとすることにより、応力集中が発生しやすい切り欠き部や曲がり部がなくなるため、外力に対してより強固な構造となる。また、二重構造物のそれぞれが接する部分の温度が異なる場合、熱膨張量の差により二重構造物に歪みが生じたばあいにおいても、断面U型の部材がそれを吸収するため、歪みによる劣化や亀裂等の損傷を防止することが可能になる。
【0033】
特許文献3には、「建造物において均一生産された木質パネル同士を高分子接着剤と釘打ちにより面接合する住宅のモノコック構造」が示されている。
本発明の容器用モノコック構造断熱装置を、「建造物において均一生産された木質パネル」とすることにより、断熱性能に優れたモノコック構造の建造物となる。
【0034】
図4は、容器用断熱装置を構成する二重構造物の一部に突起を設けて、突起部分を断面コ型及び、又は断面U型の部材に貫通させ、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に突出した部分を折り曲げることにより、二重構造物と断面コ型及び、又は断面U型の部材を密着固定させた状態を示したものである。
二重構造を構成する板状物質の周囲の一部に突起を持たせるとともに、断面コ型及び、又は断面U型の部材の凹部にこの突起の断面と同じ形状の穴をあけて突起部分を挿入し、断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分を断面コ型及び、又は断面U型の部材に固定することにより、二重構造物を断面コ型及び、又は断面U型の部材に密着・固定させるという構造と機能を持たせることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明を、管や容器に設置することにより、管を流動する物質及び、又は容器内部にある高温又は低温の状態にある物質の温度が周囲への熱移動により変化することを防止することが可能になる。
【符号の説明】
【0036】
1.内筒
2.外筒
3.断面コ型及び、又は断面U型の部材
4.断面コ型及び、又は断面U型の部材の外側に貫通・突出させ、外側に貫通・突出した突起部分を断面コ型及び、又は断面U型の部材に固定した状態
5.板状の二重構造物
6.断面U型の部材








































図1
図2
図3
図4