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特開2024-76143効率的な通信のための処理装置、制御装置、制御方法、及びプログラム
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  • 特開-効率的な通信のための処理装置、制御装置、制御方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076143
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】効率的な通信のための処理装置、制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/16 20090101AFI20240529BHJP
   H04W 72/52 20230101ALI20240529BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240529BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240529BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20240529BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W72/04 150
H04W72/04 131
H04W72/04 132
H04W88/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187554
(22)【出願日】2022-11-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度総務省、「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 晴久
(72)【発明者】
【氏名】新保 宏之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE66
5K067EE71
(57)【要約】
【課題】複数のスケジューラが複数の無線ユニットを共用する環境において効率的に通信制御を行うこと。
【解決手段】1つのRadio Unit(RU)が複数のDistributed Unit(DU)によって共用される無線通信システムにおける、DUとして機能する処理装置は、1つのRUを介して処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を制御装置へ通知し、制御装置から、1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースの処理装置への割り当てを示す第2の情報を受信し、第2の情報によって示された無線リソースの少なくとも一部を端末装置に割り当てて、1つのRUを介して端末装置と通信する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのRadio Unit(RU)が複数のDistributed Unit(DU)によって共用される無線通信システムにおける、前記DUとして機能する処理装置であって、
前記1つのRUを介して前記処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を制御装置へ通知する通知手段と、
前記制御装置から、前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す第2の情報を受信する受信手段と、
前記第2の情報によって示された前記無線リソースの少なくとも一部を前記端末装置に割り当てて、前記1つのRUを介して当該端末装置と通信する通信手段と、
を有することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができる物理リソースブロック(PRB)の位置をそれぞれ指定することにより、又は、前記処理装置が使用することができる周波数の範囲の上端および下端に対応する前記PRBの位置を指定することにより、又は、前記周波数の範囲の上端または下端に対応する前記PRBの位置と前記周波数の範囲の幅に対応する前記PRBの数とを指定することにより、周波数に関する前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができる周波数の範囲の上端および下端を指定することにより、または、前記周波数の範囲の上端または下端と前記周波数の範囲の幅を指定することにより、周波数に関する前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができるサブフレームの位置をそれぞれ指定することにより、又は、前記処理装置が使用することができる時間の範囲の開始タイミングおよび終了タイミングに対応する前記サブフレームの位置を指定することにより、又は、前記時間の範囲の開始タイミングまたは終了タイミングに対応する前記サブフレームの位置と前記時間の範囲の幅に対応する前記サブフレームの数とを指定することにより、時間に関する前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができる時間の範囲の開始タイミングおよび終了タイミングを指定することにより、または、前記周波数の範囲の開始タイミングまたは終了タイミングと前記時間の範囲の幅を指定することにより、前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記第2の情報は、前記処理装置が前記1つのRUに加えて他のRUを使用する場合、前記1つのRUおよび前記他のRUのそれぞれについての無線リソースの割り当てを示し、
当該無線リソースの割り当ては、前記1つのRUと前記他のRUによってそれぞれ形成されるセルがオーバーラップする領域に存在する端末装置へ前記処理装置が割り当てることができる第1の無線リソースと、セルがオーバーラップしない領域に存在する端末装置へ前記処理装置が割り当てることができる第2の無線リソースとを区別可能な形式で含み、
前記1つのRUについての前記第1の無線リソースと、前記他のRUについての前記第1の無線リソースとが共通する、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
1つのRadio Unit(RU)がそれぞれDistributed Unit(DU)として機能する複数の処理装置によって共用される無線通信システムにおける、前記複数の処理装置への無線リソースの割り当てを行う制御装置であって、
前記複数の処理装置のそれぞれから、前記1つのRUを介して当該処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を受信する受信手段と、
前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースを、前記複数の処理装置のそれぞれに対して個別に決定する決定手段と、
決定した前記無線リソースを示す第2の情報を、前記複数の処理装置のそれぞれへ通知する通知手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
前記第2の情報は、当該第2の情報の宛先の前記処理装置が使用することができる物理リソースブロック(PRB)の位置をそれぞれ指定することにより、又は、前記処理装置が使用することができる周波数の範囲の上端および下端に対応する前記PRBの位置を指定することにより、又は、前記周波数の範囲の上端または下端に対応する前記PRBの位置と前記周波数の範囲の幅に対応する前記PRBの数とを指定することにより、周波数に関する前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができる周波数の範囲の上端および下端を指定することにより、または、前記周波数の範囲の上端または下端と前記周波数の範囲の幅を指定することにより、周波数に関する前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができるサブフレームの位置をそれぞれ指定することにより、又は、前記処理装置が使用することができる時間の範囲の開始タイミングおよび終了タイミングに対応する前記サブフレームの位置を指定することにより、又は、前記時間の範囲の開始タイミングまたは終了タイミングに対応する前記サブフレームの位置と前記時間の範囲の幅に対応する前記サブフレームの数とを指定することにより、時間に関する前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第2の情報は、前記処理装置が使用することができる時間の範囲の開始タイミングおよび終了タイミングを指定することにより、または、前記周波数の範囲の開始タイミングまたは終了タイミングと前記時間の範囲の幅を指定することにより、前記無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す、ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第2の情報は、前記処理装置が前記1つのRUに加えて他のRUを使用する場合、前記1つのRUおよび前記他のRUのそれぞれについての無線リソースの割り当てを示し、
当該無線リソースの割り当ては、前記1つのRUと前記他のRUによってそれぞれ形成されるセルがオーバーラップする領域に存在する端末装置へ前記処理装置が割り当てることができる第1の無線リソースと、セルがオーバーラップしない領域に存在する端末装置へ前記処理装置が割り当てることができる第2の無線リソースとを区別可能な形式で含み、
前記1つのRUについての前記第1の無線リソースと、前記他のRUについての前記第1の無線リソースとが共通する、
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項13】
1つのRadio Unit(RU)が複数のDistributed Unit(DU)によって共用される無線通信システムにおける、前記DUとして機能する処理装置が実行する制御方法であって、
前記1つのRUを介して前記処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を制御装置へ通知することと、
前記制御装置から、前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す第2の情報を受信することと、
前記第2の情報によって示された前記無線リソースの少なくとも一部を前記端末装置に割り当てて、前記1つのRUを介して当該端末装置と通信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
1つのRadio Unit(RU)がそれぞれDistributed Unit(DU)として機能する複数の処理装置によって共用される無線通信システムにおける、前記複数の処理装置への無線リソースの割り当てを行う制御装置が実行する制御方法であって、
前記複数の処理装置のそれぞれから、前記1つのRUを介して当該処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を受信することと、
前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースを、前記複数の処理装置のそれぞれに対して個別に決定することと、
決定した前記無線リソースを示す第2の情報を、前記複数の処理装置のそれぞれへ通知することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
1つのRadio Unit(RU)が複数のDistributed Unit(DU)によって共用される無線通信システムにおける、前記DUとして機能する処理装置に備えられたコンピュータに、
前記1つのRUを介して前記処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を制御装置へ通知させ、
前記制御装置から、前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す第2の情報を受信させ、
前記第2の情報によって示された前記無線リソースの少なくとも一部を前記端末装置に割り当てさせて、前記1つのRUを介して当該端末装置と通信させる、
ためのプログラム。
【請求項16】
1つのRadio Unit(RU)がそれぞれDistributed Unit(DU)として機能する複数の処理装置によって共用される無線通信システムにおける、前記複数の処理装置への無線リソースの割り当てを行う制御装置に備えられたコンピュータに、
前記複数の処理装置のそれぞれから、前記1つのRUを介して当該処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を受信させ、
前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースを、前記複数の処理装置のそれぞれに対して個別に決定させ、
決定した前記無線リソースを示す第2の情報を、前記複数の処理装置のそれぞれへ通知させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の効率化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、様々なサービスの特性に適した無線アクセスネットワーク(RAN)の構成を効率的に提供することが要求されている。このために、各サービスに対する無線リソースの配分を決定するコントローラと、各サービスに対応し、そのコントローラによって配分された無線リソースを端末装置に割り当てるスケジューラ機能を有する機能部とを用いるネットワークが検討されている。このようなコントローラは、Open-Radio Access Network(O-RAN)におけるRAN Intelligent Controller(RIC)に対応し、スケジューラは、Distributed Unit(DU)に対応する。DUは、Radio Unit(RU)に接続され、自装置が管理する通信サービスのための無線リソースを、RUを介して端末装置に割り当てて、端末装置に通信サービスを提供する。なお、RUは、例えば、ベースバンド処理や無線周波数の処理などを実行し、無線リソースを使用して端末装置と通信を行うインタフェースとなる機能部である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Cloud Architecture and Deployment Scenarios for O-RAN Virtualized RAN、2022年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のネットワーク構成では、1つのRUが、1つのDUによって使用されることが想定されている。このようなネットワーク構成をさらに発展させて、1つのRUを、複数のDUが共有する構成が検討されている(非特許文献1)。このような構成では、例えば、複数のDUは互いに他のDUが使用する無線リソースを知らないため、複数のDUが、1つのRUにおいて使用可能な無線リソースのうちの同じ無線リソースの使用を試行しうる。このような条件では、少なくともいずれかのDUにおいて無線リソースを使用することができず、通信の効率が劣化してしまいうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のスケジューラが複数の無線ユニットを共用する環境における効率的な通信制御を可能とする技術を提供する。
【0006】
本発明の一態様による処理装置は、1つのRadio Unit(RU)が複数のDistributed Unit(DU)によって共用される無線通信システムにおける、前記DUとして機能する処理装置であって、前記1つのRUを介して前記処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を制御装置へ通知する通知手段と、前記制御装置から、前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースの前記処理装置への割り当てを示す第2の情報を受信する受信手段と、前記第2の情報によって示された前記無線リソースの少なくとも一部を前記端末装置に割り当てて、前記1つのRUを介して当該端末装置と通信する通信手段と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による制御装置は、1つのRadio Unit(RU)がそれぞれDistributed Unit(DU)として機能する複数の処理装置によって共用される無線通信システムにおける、前記複数の処理装置への無線リソースの割り当てを行う制御装置であって、前記複数の処理装置のそれぞれから、前記1つのRUを介して当該処理装置が通信サービスを提供する端末装置が送信または受信すべきトラフィックの量と無線品質とに関する第1の情報を受信する受信手段と、前記1つのRUについて、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースを、前記複数の処理装置のそれぞれに対して個別に決定する決定手段と、決定した前記無線リソースを示す第2の情報を、前記複数の処理装置のそれぞれへ通知する通知手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、複数のスケジューラが複数の無線ユニットを共用する環境における効率的な通信制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】DUの機能構成例を示す図である。
図4】RICの機能構成例を示す図である。
図5】システムにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、Open Radio Access Network(O-RAN)に基づく構成を有し、RIC101、DU111~DU113、及びRU121を含んで構成される。RIC101は、O-RANのRAN Intelligent Controllerであり、概ねリアルタイム(Near-RT)の制御を行うRT RICと、長周期的なポリシ制御などを実行する非リアルタイム(Non-RT) RICと、を含む。なお、ここでは、Near-RT RICの機能を用いて、各DUに対して使用すべき無線リソース(周波数・時間リソース)を指示する。DU111~DU113は、O-RANのDistributed Unitであり、RIC101によって割り当てられた無線リソースを、自装置が使用するRUを介して端末装置へ割り当てるスケジューリング機能を有する。RU121は、O-RANのRadio Unitであり、DUの制御の下で、端末装置(User Equipment、UE)との間の無線通信を実行する。なお、図1においては、DU111~DU113が、1つのRU121を共用し、それぞれ、UE群131~UE群133の通信を行う例を示している。なお、O-RANの構成では、これらの機能部の他に、Central Unit(CU)などを含むが、図1では、説明を簡単にするために、本実施形態に関連する機能部のみを示している。また、これらの構成は一例であり、例えばO-RANと異なる規格の同様の構成を用いるネットワークに対して以下の議論が適用されてもよい。また、当然ながら、DUとそのDUが使用するRUとの関係や、DUやRUの数などは、図1の例に限定されない。すなわち、以下で説明する議論の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更及び変形がなされうる。
【0012】
本無線通信システムでは、例えば、各UEの情報が、そのUEと通信を行うDUを介してRIC101へ通知される。UEの情報は、例えば、各UEが通信するトラフィックの量や無線品質を示す情報を含みうる。また、UEの情報は、例えば、そのUEが使用するネットワークスライスの情報を含んでもよい。そして、RIC101は、各UEへ割り当てるべき無線リソースの量を特定し、各DUの通信相手のUEについての無線リソースの総量に対応する量の無線リソースを使用するように、そのDUへ通知する。RICは、ネットワークスライスごとに、どの程度のリソース量を割り当てるべきか又は割り当てることが許容されるかを示す情報を、DUへ通知することが、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))の規格において規定されている。従来は、1つのRUが1つのDUのみによって使用されるため、このようなリソース量の情報のみが通知されるだけであっても、DUが、ネットワークスライスごとにその通知された量のリソースが周波数および時間領域において重ならないように割り当てることにより、適切に通信を行うことができる。しかしながら、本実施形態では、1つのRUが複数のDUによって共用されるため、DUに対して、そのDUが使用すべきリソースの量のみを指定すると、そのRUを通じて利用可能な周波数および時間リソースの少なくとも一部を、複数のDUが使用しようとすることが想定されうる。このような場合、複数のDUのうちの少なくともいずれかにおいて通信を行うことができなくなってしまい、通信の効率が著しく劣化してしまいうる。
【0013】
本実施形態では、このような事情に鑑み、RIC101から、DU111~DU113に対して、無線リソースの量ではなく、どの周波数および時間リソースを使用すべきかを示す情報を通知するようにする。RIC101は、例えば、物理リソースブロック(PRB)のインデクスを用いて、各DUに割り当てる周波数リソースを指定しうる。例えば、PRBのリストを用いて、割り当てられる周波数リソースの位置が指定されうる。RIC101は、例えば、AllocRB=[0、3、5、7、8]のような情報により、インデクスが0、3、5、7、8のPRBが割り当てられることを、DUに対して通知しうる。また、RIC101は、例えば、割り当てられる周波数の範囲をPRB単位で通知してもよい。例えば、RIC101は、周波数の範囲の下端を示すPRBのインデクスNstartと、範囲の上端を示すPRBのインデクスNendとを、DUへ通知しうる。RIC101は、例えば、Nstart=3、Nend=6のような情報により、インデクスが3~6のPRBが割り当てられることを、DUに対して通知しうる。また、RIC101は、範囲の下端又は上端に対応するPRBの位置を示す情報と、範囲の大きさを示すPRBの数Nwidthを用いて、割り当てられるPRBの範囲をDUへ通知してもよい。RIC101は、例えば、Nstart=3、Nwidth=4のような情報により、インデクスが3~6のPRBが割り当てられることを、DUに対して通知しうる。
【0014】
さらに、RIC101は、PRBの単位を用いずに、割り当てられる周波数範囲を示す情報を、DUへ通知してもよい。RIC101は、例えば、周波数範囲の上端を示す値fstartと下端を示す値fendとを、DUへ通知しうる。この場合、fstart~fendの周波数範囲が、DUへ割り当てられる。また、RIC101は、例えば周波数範囲の上端又は下端を示す値と、周波数幅を示す値fwidthとを、DUへ通知してもよい。この場合、fstart~fstart+fwidthの周波数範囲又はfend-fwidth~fendの周波数範囲が、DUへ割り当てられる。なお、周波数範囲によって無線リソースの割り当てを示す場合、不連続な複数の周波数範囲を示すために、複数の情報が用意されてもよい。
【0015】
これらの通知は一定の時間周期ごとに行われうる。この場合、上述のような周波数リソースの割り当ては、通知の受信時又はその通知の受信から所定のオフセット値だけ後のタイミングから、その一定の時間周期に相当する時間分だけ、維持されうる。例えば、その時間周期が5PRB分の時間に相当する場合に、DUは、周波数リソースの割り当ての通知を受信したタイミングの次のPRBから、5PRB分だけ、その周波数リソースの割り当てに従ってUEとの通信を行い、その5PRB分の期間内に受信した周波数リソースの割り当てを、次の5PRB分の期間において使用しうる。なお、この時間周期も、PRBの単位ではない時間単位で表現されてもよい。
【0016】
また、上述の例では、周波数リソースの割り当ての例を示したが、時間リソースについても同様の割り当てを行うことができる。例えば、RIC101は、各DUに対して、そのDUに対して割り当てられる時間リソースを示す情報を、サブフレームの単位で通知することができる。RIC101は、例えば、どのサブフレームをDUに割り当てるかを示す情報を、[ハイパーシステムフレーム番号(H-SFN)、システムフレーム番号(SFN)、サブフレーム番号]のような形式で通知しうる。例えば、RIC101は、[10、845、1、3]という情報により、H-SFN=10、SFN=845のフレームにおける、1番目及び3番目のサブフレームが、DUに割り当てられることを通知することができる。また、RIC101は、割り当てる時間リソースを、連続する時間範囲を示す情報によって通知してもよい。例えば、RIC101は、時間範囲の開始タイミングに対応する最初のサブフレームの位置を示す情報Sstartと時間範囲の終了タイミングに対応する最後のサブフレームの位置を示す情報Sendによって、割り当てる時間リソースを示しうる。この場合、Sstart=[10、845、1]及びSend=[10、845、3]により、H-SFN=10、SFN=845のフレームにおける、1番目から3番目のサブフレームが、DUに割り当てられることが通知されうる。なお、RIC101からフレーム単位で割り当てが通知される場合などのように、H-SFNやSFNが同じであることが明らかである場合には、Send=[3]のように、最後のサブフレームのH-SFN及びSFNが省略されてもよい。なお、最後のサブフレームを示す情報においてH-SFN及びSFNを通知し、最初のサブフレームを示す情報においてH-SFN及びSFNを省略するようにしてもよい。すなわち、最初のサブフレームを示す情報と最後のサブフレームを示す情報の少なくともいずれかにおいて、サブフレームの位置を一意に特定することができれば足り、重複する情報が省略されうる。また、上述のような時間範囲の最初又は最後を示す情報と、時間の幅を示す情報Ssizeによって、DUに割り当てられる時間範囲が通知されてもよい。例えば、Sstart=[10、845、1]及びSsize=3により、H-SFN=10、SFN=845のフレームにおける、1番目から3番目のサブフレームが、DUに割り当てられることが通知されうる。
【0017】
さらに、RIC101は、サブフレームの単位を用いずに、割り当てられる時間範囲を示す情報を、DUへ通知してもよい。RIC101は、例えば、時間範囲の開始のタイミングを示す値tstartと終了のタイミングを示す値tendとを、DUへ通知しうる。この場合、tstart~tendの時間範囲が、DUへ割り当てられる。また、RIC101は、例えば時間範囲の開始タイミング又は終了タイミングを示す値と、時間幅を示す値tsizeとを、DUへ通知してもよい。この場合、tstart~tstart+tsizeの時間範囲又はtend-tsize~tendの時間範囲が、DUへ割り当てられる。なお、時間範囲によって無線リソースの割り当てを示す場合、不連続な複数の時間範囲を示すために、複数の情報が用意されてもよい。
【0018】
また、上述の周波数リソースを指定する情報と時間リソースを指定する情報とを組み合わせて、DUに通知してもよい。例えば、[PRBの(周波数方向の)インデクス、H-SFN、SFN、サブフレーム番号]のような情報を用いて、1つのPRBが指定されうる。このような情報を複数用いて、DUに割り当てられる複数のPRBが、そのDUに通知されてもよい。また、例えば、[Nstart、Nend、Sstart、Send][fstart、fend、tstart、tend]のような範囲を指定する情報が用いられてもよい。ここで、上述のように、周波数幅や時間幅を示す情報が用いられてもよい。また、例えば周波数範囲を示す情報とサブフレーム番号を個別に示す情報とが組み合わされて用いられてもよく、同様に、PRBのインデクスを個別に示す情報と時間範囲を示す情報とが組み合わされて用いられてもよい。
【0019】
なお、上述のような情報は、その情報がどのDUに関するリソース割り当て情報であるかを示すために、DUを一意に識別可能な識別情報を含みうる。すなわち、識別情報と、リソース割り当て情報とが関連付けられて、RIC101からDUへ通知されうる。ただし、DUに対して個別にリソース割り当て情報が通知される場合など、無線リソースの割り当て情報がどのDUに宛てられたものかが明らかである場合には、その割り当て情報には、DUの識別情報が含まれなくてもよい。
【0020】
ここで、例えば、DUが、複数のRUを使用することができるものとする。この場合、その複数のRUがそれぞれ形成するセルがオーバーラップする領域に存在するUEの通信では、一方のセルで送受信される無線信号が他のセルで送受信される無線信号に干渉してしまいうる。このため、このような領域に存在するUEの通信において干渉が発生しないように、その複数のRUにおいて同じリソースを使用して、Coordinated Multi-Point(CoMP)通信を行うことができる。本実施形態では、RIC101が、CoMP用の無線リソースを、非CoMP用の無線リソースと区別して、DUへ通知するようにする。一例において、CoMP用の無線リソースと非CoMP用の無線リソースとを区別可能な形式で含んだ情報が、RIC101からDUへ通知されうる。これによれば、CoMP通信のために複数のRUにおいて共通して割り当てられたリソースを、DUが非CoMP通信のために割り当ててしまうことを防ぐことができ、それにより、CoMP通信のために利用可能な無線リソースが不足してしまうことを防ぐことができる。
【0021】
このようなCoMP用の通信のための無線リソースは、オーバーラップするセルの組み合わせに対して個別に確保されうる。例えば、3つのセルが存在する場合、(1)第1のセルと第2のセルとがオーバーラップすると共に第3のセルとはオーバーラップしない領域、(2)第1のセルと第3のセルとがオーバーラップすると共に第2のセルとはオーバーラップしない領域、(3)第2のセルと第3のセルとがオーバーラップすると共に第1のセルとはオーバーラップしない領域、(4)第1のセル~第3のセルが全てオーバーラップする領域、の4つの領域のそれぞれに対して別個に、CoMP用の無線リソースが割り当てられる。そして、そのセルの組み合わせごとに、上述のようにして割り当てる無線リソースを指定する情報を提供する。なお、上述の(1)~(4)のようなセルの組み合わせのそれぞれについて、セルのリストと識別情報とを関連付けておき、無線リソースの割り当て情報において、その識別情報と、割り当てる無線リソースとを関連付けた情報が、RIC101からDUへ通知されうる。例えば上述の(1)~(4)のそれぞれの領域に滞在するUEの数が大きく異なる場合、必要な無線リソースの量がそのUEの数に応じて大きく異なりうる。このような場合に、上述のように、セルの組み合わせとCoMP用の無線リソースとを関連付ける情報がRIC101からDUへ通知されることにより、DUが、それぞれの領域のUEの通信に対して、適切な量の無線リソースを割り当てることが可能となる。なお、RIC101は、他のセルとオーバーラップしない領域に存在するUEの非CoMP通信のための無線リソースの割り当てを、CoMP通信のために割り当てる無線リソースと重ならないように決定して、DUへ通知しうる。
【0022】
なお、DUは、各UEの状況を示す情報をRIC101へ通知し、RIC101が、各領域のUEの通信のための無線リソースの割り当てを決定する。例えば、DUは、自装置が通信サービスを提供するUE群について、各UEのトラフィック量や、ネットワークスライス、CoMP通信の対象であるか否か、CoMP通信の対象である場合、そのUEが存在する領域において相互に重複しているセルのリストなどの情報を、RIC101へ送信する。そして、RIC101は、各DUから受信した情報に基づいて、各DUに割り当てるべき無線リソースの量を決定し、干渉が生じないように、各DUに対して無線リソースを割り当てる。ここで、RIC101は、例えば、CoMP通信の対象とするUE群について、セルの組み合わせごとに割り当てる無線リソースを決定し、そのセルの組み合わせのそれぞれについて使用すべき無線リソースの時間又は周波数の位置を決定する。そして、RIC101は、その決定した無線リソースをDUへ通知する。また、RIC101は、CoMP通信の対象としないUE群についても、セルごとに使用すべき無線リソースの位置を決定して、DUへその無線リソースの位置を通知しうる。これにより、DUが、他のDUによって使用される無線リソースと異なる無線リソースを使用することが確実となり、効率的にUEに対して通信サービスを提供することが可能となる。
【0023】
(装置構成)
図2を用いて、DU及びRICのハードウェア構成例について説明する。DU及びRICは、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び、通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、DU及びRICが実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、O-RANや3GPP規格に従うシグナリングなどの通信のための回路によって構成される。
【0024】
図3は、DUの機能構成例を示す図である。DUは、例えば、情報通知部301、割り当て情報受信部302、及び、リソース割り当て部303を含んで構成される。なお、図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、DUが有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、DUは、O-RANのDUが一般的に有する他の機能を当然に有する。また、図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0025】
情報通知部301は、例えば、自装置がRUを介して通信サービスを提供しているセルに存在しているUEに関する情報を、RIC101へ通知する。情報通知部301は、例えば、各UEにおける無線通信品質を示す情報や、そのUEが通信すべきトラフィックの量を特定する情報を収集して、RIC101へ通知しうる。また、情報通知部301は、CoMPの対象とするUE群と、CoMPの対象としないUE群とを区別可能な形式で、RIC101へ情報を通知しうる。なお、情報通知部301は、例えば、CoMPの対象とするUE群が、それぞれ異なる組み合わせのセルがオーバーラップしている領域に存在する場合には、そのセルの組み合わせを特定可能な情報をさらにRIC101へ通知しうる。例えば、DUは、3つ以上のセルを用いて通信している場合、オーバーラップする領域が複数通り存在するため、それぞれ異なる組み合わせのセルがオーバーラップしている複数の領域のいずれにUEが存在しているかを示す情報と、トラフィックの量や無線通信品質を示す情報を、RIC101へ通知しうる。また、情報通知部301は、例えば、所定のネットワークスライスの通信を行うUEの情報と、それ以外のUEの情報とを区別可能な形式で、上述の情報をRIC101へ通知してもよい。同様に、情報通知部301は、例えば、所定の5QI(5G QoS Identifier)に対応する通信を行うUEの情報と、それ以外のUEの情報とを区別可能な形式で、上述の情報をRIC101へ通知してもよい。
【0026】
割り当て情報受信部302は、情報通知部301によって通知した情報に基づいて、RIC101から自装置に割り当てられた無線リソースを示す情報を受信する。この情報は、上述のように、DUがRUを介して使用可能な周波数及び/又は時間リソースの位置を一意に特定する情報でありうる。また、その情報は、例えば、CoMP通信の対象とするUEの通信に割り当てるべき無線リソースと、CoMP通信の対象としないUEの通信に割り当てるべき無線リソースとに対して、それぞれ異なる周波数及び/又は時間リソースの位置を指定する情報でありうる。また、CoMP通信の対象のUEの通信に割り当てるべき無線リソースは、セルの組み合わせごとの無線リソースの周波数及び/又は時間リソースの位置を含みうる。なお、ここでの無線リソースは、個別のUEに対して割り当てられるべき無線リソースが指定された情報ではなく、DUに対して割り当てられた無線リソースを示している。
【0027】
リソース割り当て部303は、割り当て情報受信部302によって受信された情報に基づいて、自装置に割り当てられた無線リソースの少なくとも一部を、通信相手のUEの通信のために割り当てる。また、リソース割り当て部303は、CoMP通信の対象とするUEの通信用の第1の無線リソースと、CoMP通信の対象としないUEの通信用の第2の無線リソースとが区別されて通知された場合は、CoMP通信の対象とするUEに第1の無線リソースを割り当て、CoMP通信の対象としないUEに第2の無線リソースを割り当てる。また、リソース割り当て部303は、例えば、セルの各組み合わせに対して無線リソースが割り当てられている場合、その無線リソースを、その組み合わせに含まれるセルがオーバーラップする領域に存在するUEのCoMP通信のために割り当てる。また、リソース割り当て部303は、割り当て情報受信部302によって受信された情報に基づいて、個別のセルに割り当てられた無線リソースを、いずれのセルともオーバーラップしない領域に存在するUEの非CoMP通信のために割り当てる。
【0028】
図4は、RICの機能構成例を示す図である。RICは、例えば、情報受信部401、割り当て決定部402、及び、割り当て情報通知部403を含んで構成される。なお、図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、RICが有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、RICは、O-RANのRICが一般的に有する他の機能を当然に有する。また、図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0029】
情報受信部401は、DUが通信するUEの情報を、そのDUから受信する。この情報は、例えば、そのUEの無線品質や送受信されるトラフィックの量などの情報を含む。また、この情報は、UEが、CoMPの対象であるか否かを示す情報を含んでもよい。また、CoMPの対象であるか否かが示される場合、情報受信部401は、CoMP通信を行うセルの組み合わせを示す情報をさらに受信しうる。割り当て決定部402は、受信した情報に基づいて、各DUに対して割り当てる無線リソースを決定する。割り当て決定部402は、例えば、複数のDUからの情報に基づいて、各DUに対して割り当てる周波数及び/又は時間リソースを、それらのリソースが互いにオーバーラップしないように決定しうる。また、CoMPの対象とするUEに関する情報を受信した場合、割り当て決定部402は、そのCoMP通信が行われるセルの組み合わせを特定し、その組み合わせに含まれるセルにおいて、同じ周波数/時間リソースをCoMP通信用に割り当てると決定しうる。なお、割り当て決定部402は、CoMP通信を行うセルの組み合わせが複数存在する場合、セルのそれぞれ異なる組み合わせについて、それぞれ異なる周波数及び/又は時間リソースを決定しうる。なお、割り当て決定部402は、さらに、ネットワークスライスや5QIなどの他の基準に基づいてUEを分類し、その分類ごとにそれぞれ異なる無線リソースを割り当ててもよい。割り当て情報通知部403は、割り当て決定部402によって決定された無線リソースの割り当てをDUに通知する。
【0030】
(処理の流れ)
続いて、図5を用いて、本実施形態に係るRICとDUにおいて実行される処理の流れの例について概説する。
【0031】
まず、DUは、自装置がスケジューリングを行う対象であるセルの範囲内に存在しているUEについて、情報を収集する(S501)。DUは、例えばスケジューリングを行う対象のセルを提供するRUに接続中のUEに対して送信する又はそのUEから送信されるトラフィック量や、そのUEにおける無線品質の情報などを取得する。そして、DUは、その情報を、RICへ通知する(S502)。RICは、複数のDUからそれぞれ受信し、それらの通知された情報に基づいて、各DUに割り当てる無線リソースの量を決定し、さらにその無線リソースの量に基づいて、各DUに割り当てる周波数及び/又は時間リソースの位置を個別に決定する(S503)。ここで、RICは、少なくとも1つのRUに対応する無線リソースについては、複数のDUのそれぞれに割り当てられた無線リソースが互いにオーバーラップしないように決定される。そして、RICは、決定した無線リソースの割り当てを示す情報を各DUへ通知する(S504)。ここでは、各DUへ通知される情報において、その情報の宛先のDUが通信サービスの端末装置への提供のために利用可能な、周波数と時間との少なくともいずれかに関する無線リソースが指定される。なお、RICは、上述のように、CoMPの対象とするUE群と、それ以外のUE群とで別個のリソースを割り当てうる。また、CoMPの対象とするUE群が、それぞれ異なる組み合わせのセルがオーバーラップする領域に存在する場合、そのセルの組み合わせごとに別個のリソースが割り当てられる。DUは、受信した割り当て情報に基づいて、自装置が端末装置へ通信サービスを提供する際に利用可能な無線リソースを特定することができる。そして、DUは、自装置がスケジューリングを行う対象であるUEに対して、自装置に割り当てられた無線リソースの少なくとも一部を割り当てる(S505)。なお、DUは、CoMPの対象とするUE群に割り当てられた無線リソースを、複数のセルがオーバーラップしている領域に存在するUEの通信のために割り当て、CoMPの対象としないUE群に割り当てられた無線リソースを、セルがオーバーラップしていない領域に存在するUEの通信のために割り当てる。
【0032】
以上のように、本実施形態では、複数のDUが1つのRUを共用する環境において、RICが、各DUが使用すべき無線リソースを、周波数及び/又は時間領域において、明確に指定する。これにより、複数のDUが使用する無線リソースの競合を防ぐことができ、このような環境において無線リソースを効率的に利用した通信を行うことが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0033】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5