(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076147
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】画像読取装置、重送状態の判定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240529BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240529BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
B65H7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187558
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 優
(72)【発明者】
【氏名】根岸 知樹
【テーマコード(参考)】
3F048
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB02
3F048BA13
3F048BB02
3F048BC03
3F048BC08
3F048CA03
3F048CC06
3F048DA06
3F048DB13
3F048DC13
3F048DC17
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB29
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC58
5C062AC66
5C062AC70
5C072AA01
5C072BA05
5C072DA25
5C072EA07
5C072NA01
5C072RA04
5C072UA13
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】重送が生じた際に重送状態を判定する技術を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、搬送路を搬送される原稿を読み取る読取手段と、前記搬送路の第1位置に前記原稿が存在しているか否かを検知する第1検知手段と、第1原稿と、前記第1原稿の次に前記搬送路に搬送される第2原稿と、の重送を検知する第2検知手段と、前記第1検知手段による第1検知結果と、前記第2検知手段による第2検知結果と、に基づき、前記重送が生じているか否かと、前記重送が生じている場合には、前記原稿の搬送方向において、前記重送が生じていない前記第1原稿の第1長さを判定する判定手段と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を搬送される原稿を読み取る読取手段と、
前記搬送路の第1位置に前記原稿が存在しているか否かを検知する第1検知手段と、
第1原稿と、前記第1原稿の次に前記搬送路に搬送される第2原稿と、の重送を検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段による第1検知結果と、前記第2検知手段による第2検知結果と、に基づき、前記重送が生じているか否かと、前記重送が生じている場合には、前記原稿の搬送方向において、前記重送が生じていない前記第1原稿の第1長さを判定する判定手段と、
を備えている、画像読取装置。
【請求項2】
前記第2検知手段は、前記搬送路の第2位置において超音波又は光により前記重送を検知する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記第2検知手段が前記重送を検知した場合、前記第1検知手段が前記第1原稿の先端を検知した第1タイミングと、前記第2検知手段が前記重送を検知した第2タイミングと、に基づき、前記第1長さを判定する、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記第1タイミングと、前記第2タイミングと、前記第1位置と前記第2位置との前記搬送方向における距離と、前記原稿の搬送速度と、に基づき前記第1タイミングから前記重送が生じるまでの期間を判定し、前記期間に基づき前記第1長さを判定する、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第2検知手段は、前記第1検知手段が前記原稿を検知していた期間に基づき判定される前記原稿の前記搬送方向の長さと、前記第1原稿及び前記第2原稿の前記搬送方向の長さとに基づき、前記重送が生じているか否かを判定し、
前記判定手段は、前記原稿の前記搬送方向の長さと、前記第1原稿及び前記第2原稿の前記搬送方向の長さとに基づき前記第1長さを判定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿の第1面に印刷を行う印刷手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記第2検知手段が前記重送を検知した場合、前記第1長さに基づき、前記第1原稿に印刷する予定の第1画像が、前記第1原稿と前記第2原稿にどの様に印刷されたかを判定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第1画像が、前記第1原稿と前記第2原稿にどの様に印刷されたかについての前記判定手段による判定結果を通知する通知手段をさらに備えている、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第2検知手段が前記重送を検知した場合、前記第1長さに基づき、前記第1画像が、前記第1原稿のみに印刷されたのか、前記第2原稿のみに印刷されたのか、前記第1原稿と前記第2原稿に跨って印刷されたのかを判定する、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1画像は、印刷設定に従い、前記第1原稿の前記搬送方向の先端から前記搬送方向において第1距離だけ離れた位置から前記第1距離より大きい第2距離だけ離れた位置まで形成され、
前記判定手段は、前記第1長さが前記第1距離と前記第2距離との和より大きい場合、前記第1画像が前記第1原稿のみに印刷されたと判定し、前記第1長さが前記第1距離より小さい場合、前記第1画像が前記第2原稿のみに印刷されたと判定し、それ以外の場合、前記第1画像が前記第1原稿と前記第2原稿に跨って印刷されたと判定する、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記第1画像が前記第1原稿のみに印刷されたと前記判定手段が判定した場合、前記印刷手段による印刷が行われていない未印刷原稿と、前記未印刷原稿の前に搬送された前記原稿との両方に読み取りエラーが生じたことを通知し、前記第1画像が前記第2原稿のみに印刷されたと前記判定手段が判定した場合、前記未印刷原稿と、前記未印刷原稿の次に搬送された前記原稿との両方に読み取りエラーが生じたことを通知する通知手段をさらに備えている、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記第1画像が、前記第1原稿と前記第2原稿にどの様に印刷されたかについての前記判定手段による判定結果に基づき、前記第1原稿及び前記第2原稿の再読取りの際に前記印刷手段が第1原稿及び前記第2原稿に印刷する画像を制御する制御手段をさらに備えている、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記第1画像が前記第1原稿のみに印刷されたと前記判定手段が判定した場合、前記再読取りの際に、前記第1原稿には印刷が行われず、前記第2原稿には前記第2原稿に印刷する予定であった第2画像が印刷される様に前記印刷手段を制御する、請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第1画像が前記第2原稿のみに印刷されたと前記判定手段が判定した場合、前記再読取りの際に、前記第1原稿には前記第2原稿に印刷する予定であった第2画像が印刷され、前記第2原稿には印刷が行われない様に前記印刷手段を制御する、請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記第1画像が前記第2原稿のみに印刷されたと前記判定手段が判定した場合、前記再読取りの際に、前記第1原稿には前記第1画像が印刷され、前記第2原稿には、前記第2原稿に印刷された前記第1画像に重ねて前記第1画像の取り消しを示す画像が印刷され、かつ、前記第2原稿の前記第1画像とは異なる位置に前記第2原稿に印刷する予定であった第2画像が印刷される様に前記印刷手段を制御する、請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記第1画像が前記第1原稿と前記第2原稿に跨って印刷されたと判定した場合、前記第1原稿に印刷された前記第1画像の第1部分と、前記第2原稿に印刷された前記第1画像の第2部分と、を判定し、前記再読取りの際に、前記第1原稿には前記第1部分に続いて前記第2部分が印刷され、前記第2原稿には、前記第2原稿に印刷された前記第2部分に重ねて前記第2部分の取り消しを示す画像が印刷され、かつ、前記第2原稿の前記第2部分とは異なる位置に前記第2原稿に印刷する予定であった第2画像が印刷される様に前記印刷手段を制御する、請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記読取手段は、前記第2検知手段が前記重送を検知した場合、前記読取手段が読み取った前記原稿の画像データを廃棄する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記読取手段は、前記第2検知手段が前記重送を検知した場合、前記第1長さが閾値より小さいか否かを判定し、前記第1長さが前記閾値より小さい場合、前記読取手段が読み取った前記第1原稿の前記第1面とは異なる第2面の画像データを廃棄しない、或いは、廃棄するか否かを前記画像読取装置のユーザに問い合わせる、請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項18】
搬送路を搬送される原稿を読み取る読取手段と、
第1原稿と、前記第1原稿の次に前記搬送路に搬送される第2原稿と、の重送を検知し、前記重送を検知すると、前記原稿の搬送方向において、前記重送が生じていない前記第1原稿の第1長さを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記読取手段が読み取った画像において、前記第1原稿及び前記第2原稿の内の少なくとも一方の原稿に生じた他方の原稿による、前記搬送方向とは直交する方向の影を検出することで前記重送を検知し、前記一方の原稿の前記搬送方向の端部から前記影までの前記搬送方向の距離に基づき前記第1長さを判定する、画像読取装置。
【請求項19】
搬送路を搬送される原稿を読み取る装置の1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を請求項1から18のいずれか1項に記載の画像読取装置として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項20】
搬送路を搬送される原稿を読み取る画像読取装置における重送状態の判定方法であって、
前記搬送路の第1位置に前記原稿が存在しているか否かを検知する第1検知ステップと、
第1原稿と、前記第1原稿の次に前記搬送路に搬送される第2原稿と、の重送を検知する第2検知ステップと、
前記第1検知ステップでの第1検知結果と、前記第2検知ステップでの第2検知結果と、に基づき、前記重送が生じているか否かと、前記重送が生じている場合には、前記原稿の搬送方向において、前記重送が生じていない前記第1原稿の第1長さを判定する判定ステップと、
を含む、判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、重送状態の判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に積載された原稿を順に搬送しながら原稿を読み取る画像読取装置が知られている。この様な画像読取装置においては、複数枚の原稿が重ねて搬送される重送が生じ得る。特許文献1は、重送を検知すると共に、どの原稿が重送となったかをユーザに通知する構成を開示している。重送となった原稿は、通常、正しく読み取られていないため、ユーザは、重送となった原稿を原稿台に載置して再読取りを行う。
【0003】
また、特許文献2は、原稿を読み取った後、当該原稿に対して文字等の画像を印刷する画像読取装置を開示している。この様な画像読取装置において、重送した原稿の再読取りを行うと、原稿の略同じ領域に2つの画像が重ねて印刷され、画像の内容が不鮮明になり得る。このため、特許文献2は、重送した原稿の再読取りにおいては、位置をずらして画像を印刷する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-303375号公報
【特許文献2】特許第5188738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2は、重送の際に印刷された画像を間違って印刷された画像(以下、不要画像)として扱い、再読取りの際には、必要な画像(以下、必要画像)を新たに形成するものである。しかしながら、重送の際に印刷された画像であっても必要画像として利用できるのであれば、必要画像として使用することで不要画像が印刷された原稿を減らすことができる。ここで、重送が生じた際に、重送した2つの原稿に対してどの様に画像が印刷されるかは、重送状態に応じて異なる。
【0006】
なお、本開示において、重送状態は、重送した2つの原稿の重なりの程度により区別される。以下の説明においては、重送している部分の原稿の搬送方向における長さを"重送長"と表記し、各原稿において、重送していない部分の搬送方向における長さを"非重送長"と表記する。"重送長"と"非重送長"との和は、原稿の搬送方向の長さに等しい。この場合、重送状態を判定するとは、"重送長"及び"非重送長"の内の少なくとも1つを判定することを意味する。例えば、第1原稿と第2原稿が重送した場合、画像は、重送状態に応じて、第1原稿のみに、第2原稿のみに、或いは、第1原稿と第2原稿に跨って印刷され得る。
【0007】
この様に、重送の際に印刷された画像を必要画像として利用するには、重送状態を判定することが必要なる。また、重送状態に基づき、重送した2つの原稿に対してどの様に画像が形成されたかを判定する必要がある。
【0008】
本発明は、重送が生じた際に重送状態を判定する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、画像読取装置は、搬送路を搬送される原稿を読み取る読取手段と、前記搬送路の第1位置に前記原稿が存在しているか否かを検知する第1検知手段と、第1原稿と、前記第1原稿の次に前記搬送路に搬送される第2原稿と、の重送を検知する第2検知手段と、前記第1検知手段による第1検知結果と、前記第2検知手段による第2検知結果と、に基づき、前記重送が生じているか否かと、前記重送が生じている場合には、前記原稿の搬送方向において、前記重送が生じていない前記第1原稿の第1長さを判定する判定手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、重送が生じた際に重送状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】幾つかの実施形態による画像読取装置の構成図。
【
図2】幾つかの実施形態による画像読取装置の制御構成図。
【
図3】幾つかの実施形態による重送状態の判定処理の説明図。
【
図4】幾つかの実施形態による重送状態の判定結果の説明図。
【
図5】重送状態に応じて印刷状態が異なることの説明図。
【
図6】幾つかの実施形態による通知画面例を示す図。
【
図7】幾つかの実施形態による原稿の読取処理のフローチャート。
【
図8】幾つかの実施形態によるジャム処理のフローチャート。
【
図9】幾つかの実施形態による重送処理のフローチャート。
【
図10】幾つかの実施形態による重送処理における通知画面例を示す図。
【
図11】幾つかの実施形態による再読取処理での後続原稿への印刷例を示す図。
【
図12】幾つかの実施形態による再読取処理での先行原稿への印刷例の説明図。
【
図13】幾つかの実施形態による再読取処理での後続原稿への印刷例を示す図。
【
図14】幾つかの実施形態による重送処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による画像読取装置1の概略的な断面図である。原稿台6には、読取対象となる複数の原稿7が載置される。以下の説明において、原稿7の原稿台6側の面を"表面"と表記し、表面とは反対側の面を"裏面"と表記する。給送ローラ2は、複数の原稿7の内の原稿台6に接している原稿7を順に画像読取装置1の搬送路に給送する。搬送ローラ13は、給送された原稿7を下流側に搬送する。分離ローラ3は、重送を抑えるために設けられる。搬送ローラ4及び12は、原稿7をさらに下流側に搬送する。搬送路の両側に設けられた読取部5は、それぞれ、原稿7の表面及び/又は裏面を読み取る。以下の説明において、原稿7の表面側を読み取ることで得られた画像を表面画像と表記し、原稿7の裏面側を読み取ることで得られた画像を裏面画像と表記する。レジストレーションセンサ15は、搬送ローラ4と読取部5との間に設けられ、対向する搬送路上に原稿7が存在しているか否かを検知する。レジストレーションセンサ15が原稿7の先端を検知したタイミングは、読取部5による原稿7の読取タイミングを判定するために使用される。読取部5が読み取った原稿7の表面画像及び/又は裏面画像を示す画像データは、図示しないメモリに格納される、或いは、ネットワークを介して外部のコンピュータ等に送信される。
【0014】
読取部5による原稿7の読み取り後、原稿7は、搬送路に沿って設けられたローラによりさらに下流側に搬送される。印刷部9は、搬送路に沿って搬送される原稿7の裏面に画像を印刷する。以下、印刷部9によって印刷される画像を印刷画像と称することがある。印刷部9が原稿7に印刷するタイミングもレジストレーションセンサ15が原稿7の先端を検知したタイミングに基づき判定される。印刷部9による印刷後、原稿7は、排出ローラ8によって排出台11に排出される。重送検知センサ16は、搬送ローラ4と搬送ローラ13との間に設けられ、対向位置を搬送されている原稿7の枚数が1枚であるか、2枚以上であるか、つまり、重送が生じているか否かを検知する。重送検知センサ16は、例えば、超音波センサであり得る。重送検知センサ16が超音波センサである場合、重送検知センサ16は、送信部と受信部とを有する。送信部は超音波を出力し、受信部は原稿7を介して送信部が出力する超音波を受信する。受信部が受信する超音波の強度に基づき、原稿7が一枚であるか、2枚又はそれ以上であるかを判定することができる。
【0015】
なお、印刷部9は、原稿7に印刷画像を印刷できる限り、その構成は任意である。印刷部9は、原稿7の幅方向(搬送方向とは直交する方向)の全体に渡る印刷画像を印刷できるものであっても、幅方向において所定長(所定幅)の印刷画像を印刷するものであっても良い。印刷部9が所定幅の印刷画像を印刷するものである場合、印刷部9は、幅方向に移動可能に構成され得る。この様に構成することで、幅方向の任意の位置において、所定幅の印刷画像を形成することができる。また、印刷部9は、文字や記号を印刷するものであっても良い。
【0016】
一例として、印刷部9としてインクジェットプリンタを使用することができる。この場合、印刷部9は、幅方向に配置された所定数のインク吐出機構を有する。原稿7を搬送しながら各インク吐出機構によるインクの吐出を制御することで、複数のドットによる文字等を形成することができる。一例として、印刷部9は、1mm間隔で配置された8つのインク吐出機構を有し、幅方向8ドット、かつ、搬送方向8ドットの計64ドットで1つの文字を形成する構成とし得る。
【0017】
図2は、本実施形態による画像読取装置1の機能ブロック図である。CPU100は、メモリ103に格納されているプログラムを実行することで画像読取装置1の全体を制御する。メモリ103は、不揮発性メモリデバイス及び揮発性メモリデバイスを含み、CPU100が実行するプログラムに加えて、画像読取装置1の制御に必要な各種データを格納する。ユーザによる原稿7の読取制御は、図示しない画像読取装置1の入出力デバイスを介して行われ得る。また、ユーザによる原稿7の読取制御は、画像読取装置1と通信可能なコンピュータ等の外部装置を介して行うことができる。この場合、外部装置は、画像読取装置1の入出力デバイスとして機能する。ユーザは、これら入出力デバイスによって入力された指示を入出力インターフェースであるI/O部104を介して受信し、原稿7の読取開始を画像読取装置1に指示することができる。また、ユーザは、入出力デバイスを介して、読取解像度や、原稿7のサイズ等の読取設定を入力することができる。また、ユーザは、入出力デバイスを介して、印刷部9による印刷設定を行うことができる。
【0018】
印刷設定は、印刷を行うか否かの設定を含み得る。また、印刷設定は、印刷画像に関する情報を含み得る。なお、印刷画像は、文字で構成された画像(以下、文字列とも表記する)であり得る。さらに、印刷設定は、原稿7への印刷画像の印刷位置の設定を含み得る。印刷位置は、原稿の搬送方向とは直交する幅方向における印刷位置と、印刷を開始する原稿7の先端からの距離とで指定され得る。印刷画像は、総ての原稿7に対して同じとする設定であっても、原稿7毎に異ならせる設定であっても良い。例えば、原稿7を搬送する度にカウントアップするカウンタの値を含む文字列を原稿7に印刷する構成とすることができる。印刷制御部102は、印刷設定に基づき印刷部9による原稿7への印刷を制御する。
【0019】
異常検出部101は、搬送に関する原稿7の異常状態を検出する。異常状態は、"重送"と"ジャム"と、を含む。異常検出部101は、重送検知センサ16からの出力に基づき重送を検知する。また、異常検出部101は、レジストレーションセンサ15による原稿7の検知結果に基づきジャムの発生を検知する。具体的には、搬送を開始してから所定時間が経過してもレジストレーションセンサ15が原稿7の先端を検知しない場合、異常検出部101は、ジャムが生じたと判定する。また、原稿7の先端を検知してから所定時間が経過しても原稿7を検知し続けている場合、異常検出部101は、ジャムが生じたと判定する。状態判定部105は、異常検出部101が重送を検知した場合、原稿7の重送状態等を判定する。
【0020】
以下、状態判定部105が実行する処理について説明する。
図3(A)及び
図3(B)は、原稿7を搬送した際の、レジストレーションセンサ15及び重送検知センサ16の検知結果を示している。なお、実線はレジストレーションセンサ15の検知結果であり、点線は重送検知センサ16の検知結果である。ハイレベルは、原稿7や重送を検知していることを表し、ローレベルは、原稿7や重送を検知していないことを表している。
図3(A)及び
図3(B)では、図を見やすくするため、レジストレーションセンサ15のハイレベルをH1とし、重送検知センサ16のハイレベルをH1とは異なるH2としている。しかしながら、これは、レジストレーションセンサ15のハイレベルと重送検知センサ16のハイレベルを異ならせる必要があることを意味するものではない。
図3(A)は、重送が生じなかった場合であり、レジストレーションセンサ15は、原稿7の搬送方向の長さに対応する期間、原稿7を検出する。
【0021】
一方、
図3(B)は、重送が生じた場合を示している。なお、レジストレーションセンサ15の検知位置と、重送検知センサ16の検知位置は異なるが、
図3(B)では、この位置の違いを補正して、原稿の先頭位置からの経過時間を横軸にとって表示している。当該補正は、レジストレーションセンサ15の検知位置と重送検知センサ16の検知位置との間の距離と、原稿7の搬送速度に基づき行うことができる。より具体的には、
図1に示す様に、レジストレーションセンサ15の検知位置が重送検知センサ16の検知位置より下流側であり、以下その距離をDとする。また、原稿7の搬送速度をSとする。この場合、重送検知センサ16の検知タイミングをD/Sだけ遅いものとして扱うことで、重送検知センサ16の検知位置がレジストレーションセンサ15の検知位置と同じである場合の
図3(B)に示す様な結果が得られる。
図3(B)においては、レジストレーションセンサ15が原稿7の先端を検知してから期間T
Xの間、重送検知センサ16は重送を検知していないが、その後、期間T
Yの間、重送検知センサ16は重送を検知している。また、レジストレーションセンサ15は、期間T
Hの間、原稿7を検知している。
【0022】
図3(B)の検知結果から、状態判定部105は、
図4に示す様な重送状態であると判定することができる。
図4において、参照符号81は先行する原稿7であり、以下では先行原稿81と表記する。また、参照符号82は後続する原稿7であり、以下では後続原稿82と表記する。
図4は、原稿7の裏面側から見た状態を示しており、よって、後続原稿82は、先行原稿81より図の手前側にある。このため、先行原稿81の後端は、後続原稿82に覆われており、
図4では点線で示している。
【0023】
図4によると、先行原稿81の搬送方向の先端から長さXまでの範囲において重送は生じていない。同様に、後続原稿82の搬送方向の後端から長さXまでの範囲において重送は生じていない。つまり、非重送長はXである。非重送長Xは、期間T
Xと原稿7の搬送速度とを乗ずることで求められる。また、
図4によると、後続原稿82の搬送方向の先端から長さYまでの範囲において重送が生じている。つまり、重送長はYである。重送長Yは、期間T
Yと原稿7の搬送速度とを乗ずることで求められる。長さHは、期間T
Hと原稿7の搬送速度とを乗じた値である。原稿7の搬送方向の実際の長さがH
Tであると、Hは、H
T+Xである。この様に、
図3(B)に示す検知結果から、状態判定部105は重送状態、つまり、非重送長Xや、重送長Y等を判定することができる。
【0024】
状態判定部105は、さらに、判定した重送状態に基づき先行原稿81に形成する予定であった印刷画像が実際にはどの様に形成されたかを判定することができる。
図5は、先行原稿81に形成する予定であった印刷画像が実際にはどの様に形成されたかを判定する処理の説明図である。なお、
図5においては、先行原稿81に印刷する予定であった印刷画像を文字列"N0005"としている。また、印刷設定による印刷の開始位置を、原稿7の先端から距離P
Nの位置とし、文字"N0005"の印刷に必要な搬送方向の長さをP
Lとしている。搬送方向の長さP
Lは、形成する文字数と、1文字の搬送方向の長さとの積として求められる。印刷画像をインクのドットで形成する場合、1文字の搬送方向の長さは、搬送方向におけるドット間の距離と、1文字を構成する搬送方向のドット数との積で求められる。
【0025】
図5(A)は、非重送長XがP
N+P
Lがより大きい場合である。
図5(A)に示す様に、非重送長XがP
N+P
Lがより大きい場合、状態判定部105は、文字列が先行原稿81の裏面のみに印刷されたと判定する。
図5(B)は、非重送長XがP
Nより小さい場合である。
図5(B)に示す様に、非重送長XがP
Nより小さい場合、状態判定部105は、文字列が後続原稿82の裏面のみに印刷されたと判定する。
図5(C)は、非重送長XがP
N以上であり、かつ、P
N+P
L以下の場合である。
図5(C)に示す様に、この場合、状態判定部105は、文字列が先行原稿81の裏面と後続原稿82の裏面とに跨って印刷されたと判定する。
【0026】
状態判定部105は、例えば、画像読取装置1の入出力デバイスに印刷画像の印刷状態の判定結果を示すエラーメッセージを表示することができる。なお、画像読取装置1の入出力デバイスとは、画像読取装置1に設けられた入出力デバイスのみならず、画像読取装置1と通信可能に構成され、かつ、画像読取装置1を制御するプログラムがインストールされたコンピュータ等を含む。
図6は、印刷画像の印刷状態を示すエラーメッセージの例である。
図6(A)は、
図5(A)に対応し、印刷画像が先行原稿81に印刷されたことをユーザに通知するエラーメッセージである。
図6(B)は、
図5(B)に対応し、印刷画像が後続原稿82に印刷されたことをユーザに通知するエラーメッセージである。
図6(C)は、
図5(C)に対応し、印刷画像が先行原稿81と後続原稿82とに跨って印刷されたことをユーザに通知するエラーメッセージである。
【0027】
なお、通知するエラーメッセージは
図6に示すものに限定されない。例えば、重送が生じた場合においても搬送を中断することなく、重送した先行原稿81及び後続原稿82を排出台11に排出するものとする。この場合、先行原稿81及び後続原稿82は、先に排出台11に排出した1つ以上の原稿7の上に排出され得る。さらに、後続の原稿7が重送した先行原稿81及び後続原稿82の上に排出される場合もある。重送となった先行原稿81及び後続原稿82は、読取部5によって1つの表面画像及び/又は1つの裏面画像の様に正しく読み取られていないため、ユーザは、排出台11に積載された原稿7の束から先行原稿81及び後続原稿82を見つけ出して再読取りを行わなければならない。
【0028】
ここで、
図5(C)の様に、印刷画像が先行原稿81と後続原稿82とに跨って印刷されている場合、1つの印刷画像の一部のみが印刷されている2つの原稿が連続して排出台11に排出される。したがって、状態判定部105は、部分的な印刷が行われている連続した2つの原稿の読取りがエラーとなっていることをユーザに通知することができる。また、
図5(A)の様に、後続原稿82に印刷が行われていない場合、状態判定部105は、印刷が行われていない原稿(未印刷原稿)と、未印刷原稿より1つ前に搬送された原稿7の2つの原稿7の読み取りがエラーとなっていることをユーザに通知することができる。さらに、
図5(B)の様に、先行原稿81が未印刷原稿である場合、状態判定部105は、未印刷原稿と、未印刷原稿より1つ後に搬送された原稿7の2つの原稿7の読み取りがエラーとなっていることをユーザに通知することができる。この様な通知により、ユーザは、排出台11に積載された原稿7の束から先行原稿81及び後続原稿82を容易に見つけ出すことができる。
【0029】
なお、本実施形態では、重送検知センサ16を超音波センサとしたが、重送検知センサ16は、他のタイプのセンサであっても良い。例えば、重送検知センサ16として、透過式の光学的センサを使用することができる。この場合、重送検知センサ16は、発光素子と受光素子とを有する。発光素子は原稿7に向けて光を射出し、受光素子は原稿7を透過した光を受光する。受光素子が受光する光の強度に基づき重送が発生しているか否かを判定することができる。
【0030】
また、例えば、読取部5が読み取った画像に現れる影に基づき重送が生じているか否かと、重送状態と、を判定することもできる。
図4に示す様に、裏面側から見ると、先行原稿81の先端から距離Xの位置に後続原稿82の先端による影が幅方向の全体に直線的に生じる。また、図示していないが、表面側から見ると、後続原稿82の後端から距離Xの位置に先行原稿81の後端による影が幅方向の全体に直線的に生じる。したがって、読取部5が読み取った裏面画像及び表面画像の両方において幅方向全体の影による直線が検出され、裏面画像における先行原稿81の先端部から影までの距離と、表面画像における後続原稿82の後端部から影までの距離が略同じであると重送が生じていると判定することができる。この場合、裏面画像における先行原稿81の先端部から影までの距離が非重送長Xであると判定される。なお、裏面画像及び表面画像の内の一方において、先行原稿81及び後続原稿82の内の一方の原稿に生じた他方の原稿による影を検出することで重送を検知する構成であっても良い。この場合、一方の原稿の搬送方向の端部から影までの搬送方向における距離に基づき非重送長Xを判定する。
【0031】
また、
図4の長さHに基づき重送が生じているか否かと、重送状態と、を判定することもできる。具体的には、先行原稿81及び後続原稿82の搬送方向の長さが同じH
Tであり、かつ、画像読取装置1において値H
Tが既知であるものとする。重送が生じていない場合、
図4のHはH
Tに略等しくなる。一方、重送が生じている場合、HはH
Tより大きくなる。また、非重送長Xは、H-H
Tとして求められる。なお、画像読取装置1は、先行原稿81及び後続原稿82の搬送方向の長さH
Tを、例えば、読取設定により取得することができる。また、画像読取装置1は、先行原稿81より前に重送なく搬送した原稿7について検知したレジストレーションセンサ15の検知結果に基づき得られた当該原稿7の搬送方向における長さを先行原稿81及び後続原稿82の搬送方向の長さH
Tとすることができる。
【0032】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について、第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態においては、重送状態の判定方法と、重送を検知した際のエラーメッセージについて述べた。本実施形態では、重送を検知した際の再読取処理を中心に説明する。
【0033】
図7は、CPU100が1つの原稿7の読み取りを行う際に実行する処理のフローチャートである。原稿台6に複数の原稿7が載置されている場合、CPU100は、原稿台6に載置されている全ての原稿7を読み取るまで
図7の処理を繰り返す。CPU100は、S10において再搬送カウンタを0に設定し、S11で、印刷設定を読み込むことで、印刷画像、本実施形態では文字列を取得する。なお、本実施形態では、原稿7の裏面に
図5に示す様な"Nxxxx"との文字列を印刷するものとする。ここで、"xxxx"は原稿7の搬送が正常に完了する度にカウントアップされるカウンタが示す数字である。したがって、S11において、CPU100は、これから搬送する原稿7に印刷する文字列をカウンタの値に基づき判定する。例えば、最初の原稿7であると、CPU100は、S11で、文字列"N0001"を印刷すると判定する。最初の原稿7が異常なく搬送されると、次の原稿7の搬送開始時、CPU100は、S11で、文字列"N0002"を印刷すると判定する。印刷する文字列に基づき、CPU100は、
図5の長さP
Lも判定できる。さらに、CPU100は、印刷設定に基づき
図5のP
Nを取得する。
【0034】
S12において、CPU100は、原稿台6に接する原稿7、つまり、原稿台6に載置されている原稿7の束の内の一番下にある原稿7を搬送路に給送し、搬送路に沿って搬送する。CPU100は、原稿7を搬送しながら、読取部5を制御し、読取設定に従い表面画像のみ、裏面画像のみ、或いは、表面画像と裏面画像の両方と、を読み取る制御を行う。また、CPU100は、原稿7を搬送しながら、原稿7の裏面に印刷設定に従う印刷画像を印刷する様に印刷制御部102を制御する。
【0035】
CPU100は、S13において、異常検出部101が搬送異常を検出したか否かを判定する。異常検出部101が搬送異常を検出することなく原稿7が排出台11に排出されると、CPU100は、S17において、読み取った画像データを外部のコンピュータ等の所定装置に送信する。なお、画像データを所定装置に送信するのではなく、画像読取装置1の図示しないメモリに格納する構成であっても良い。一方、異常検出部101が搬送異常を検出すると、CPU100は、S14で異常がジャムであるか重送であるかを判定する。ジャムである場合、CPU100は、S15で、後述するジャム処理を行う。また、重送である場合、CPU100は、S16で、後述する重送処理を行う。
【0036】
図8は、
図7のS15のジャム処理を示すフローチャートである。CPU100は、S20において、原稿7の搬送、原稿7の読取り、原稿7への印刷等の総ての処理を中断する。また、CPU100は、原稿7を既に読み取っていた場合、S21において、読み取った画像データを廃棄する。S22において、CPU100は、ジャムの発生を画像読取装置1の入出力デバイスに表示し、再読取を行うか否かのユーザ入力を取得する。ユーザが再読取を行わないことを示すユーザ入力を入力した場合、CPU100は、
図8の処理を終了する。
【0037】
一方、ユーザが再読取を行うことを示すユーザ入力を入力した場合、CPU100は、S23において再搬送カウンタを1に設定し、S24で、印刷設定を読み込む。なお、この印刷設定は、S11で読み込んだ印刷設定と同じとし得る。つまり、ジャムとなった原稿7に対して予定されていた元の印刷設定をそのまま使用する構成とすることができる。或いは、S24で読み込む印刷設定は、S11で読み込んだ印刷設定とは異なるものとし得る。この場合、例えば、S22において、原稿7の再読取りにおいて使用する新たな印刷設定をユーザが画像読取装置1の入出力デバイスを介して入力できる構成とし得る。例えば、ジャムが生じた際、既に原稿7に対する印刷が行われていた場合、ユーザは、再読取処理においては印刷を行わない設定に変更することができる。ユーザは、ジャムとなった原稿7を原稿台6の最下部に載置し、画像読取装置1の入出力デバイスを介して読取処理の開始を指示する。
【0038】
これにより、CPU100は、S25で、ジャムとなった原稿7の搬送を開始し、原稿7の読取りと、必要に応じて印刷と、を行う。CPU100は、S26で読み取った画像データを所定装置に送信し、S27で、再搬送カウンタを1だけ減らして処理を終了する。なお、再度ジャムが発生した場合、S20から処理が繰り返される。
【0039】
図9は、
図7のS16の重送処理を示すフローチャートである。CPU100は、原稿7を既に読み取っていた場合、S30において、読み取った画像データを廃棄する。なお、重送が発生しても搬送に影響が無いことが一般的であるため、CPU100は、重送した2つの原稿7をそのまま搬送して排出台11に排出し、処理を中断する。CPU100は、S31において、状態判定部105を制御して重送状態を判定し、重送状態に基づき印刷状態、つまり、文字列がどの様に印刷されたかを判定する。CPU100は、S32において、
図10に示す様に、重送の発生を画像読取装置1の入出力デバイスに表示する。CPU100は、S32において、さらに、再読取を行うか否かのユーザ入力を取得する。ユーザが再読取を行わないことを示すユーザ入力を入力した場合、CPU100は、
図9の処理を終了する。
【0040】
一方、ユーザが再読取を行うことを示すユーザ入力を入力した場合、CPU100は、S33において再搬送カウンタを2に設定し、S34で、重送用の印刷設定を判定する。重送用の印刷設定は、再読取りの際に先行原稿81に適用する先行原稿用印刷設定と、後続原稿82に適用する後続原稿用印刷設定と、を含む。重送用の印刷設定の詳細については後述する。ユーザは、重送となった先行原稿81を原稿台6の最下部に載置し、その上に後続原稿82を載置した後、画像読取装置1の入出力デバイスを介して再読取処理の開始を指示する。
【0041】
これにより、CPU100は、S35で、先行原稿81の搬送を開始し、先行原稿81の読取りと、印刷と、を行う。なお、印刷は、先行原稿用印刷設定に従う。CPU100は、S36で読み取った先行原稿81の画像データを所定装置に送信し、S37で、再搬送カウンタを1だけ減らして、S38で再搬送カウンタが0であるかを判定する。再搬送カウンタが0ではないと、CPU100は、S35で、後続原稿82の搬送を開始し、後続原稿82の読取りと、印刷と、を行う。なお、印刷は、後続原稿用印刷設定に従う。CPU100は、S36で読み取った後続原稿82の画像データを所定装置に送信し、S37で、再搬送カウンタを1だけ減らして、S38で再搬送カウンタが0であるかを判定する。後続原稿82の搬送が完了することにより、再搬送カウンタは0となるため、CPU100は
図9の処理を終了する。なお、再度、重送が発生した場合、S30から処理が繰り返される。また、何らかの原因により重送状態が判定できない場合、
図8に示すジャム処理と同様の処理を先行原稿81及び後続原稿82のそれぞれに対して行う。以下、S34における重送用の印刷設定について説明する。
【0042】
[先行原稿のみに印刷されている場合]
図5(A)に示す様に、先行原稿81のみに印刷画像が印刷されている場合、CPU100は、先行原稿用印刷設定を"印刷無し"に設定し、後続原稿用印刷設定については、元々、後続原稿82に印刷することが予定されていた印刷設定をそのまま使用する。したがって、再読取処理がエラーなく完了した場合、先行原稿81及び後続原稿82には、元の印刷設定に従う印刷が行われ不要画像は生じない。
【0043】
[後続原稿のみに印刷されている場合]
図5(B)に示す様に、後続原稿82のみに印刷画像が印刷されている場合、CPU100は、先行原稿用印刷設定として、後続原稿82に対して予定されていた印刷設定を使用し、後続原稿用印刷設定については"印刷無し"に設定する。したがって、再読取処理がエラーなく完了した場合、先行原稿81には、後続原稿82に予定されていた印刷画像が印刷され、後続原稿82には、先行原稿81に予定されていた印刷画像が印刷される。例えば、先行原稿81に文字列"N0005"の印刷が予定され、後続原稿82に文字列"N0006"の印刷が予定されていた場合、後続原稿82には文字列"N0005"が印刷され、先行原稿81には文字列"N0006"が印刷される。この様に、印刷内容の入れ替わりが生じるが、印刷内容の重複は生じず、よって、不要画像も生じない。なお、本実施形態では、原稿7毎に印刷内容を異ならせているが、総ての原稿7に同じ内容を印刷する場合には印刷内容の入れ替わりも生じない。
【0044】
また、後続原稿82のみに印刷画像が印刷されている場合、CPU100は、先行原稿用印刷設定として、元々、先行原稿81に印刷することが予定されていた印刷設定をそのまま使用する構成とすることができる。この場合、CPU100は、後続原稿用印刷設定については、
図11に示す様に、重送が生じた際に印刷された文字列に重ねて不要画像であることを示す記号を印刷し、それに続いて、元々、後続原稿82に印刷することが予定されていた文字列を印刷する設定とし得る。なお、
図11においては、2重の取り消し線を不要画像であることを示す記号としている。この場合、後続原稿82には不要画像が生じるが、先行原稿81には不要画像が生じない。また、印刷内容についても重複や入れ替わりは生じない。なお、
図11においては、不要画像に続けて必要画像である文字列を印刷しているが、不要画像と必要画像の間にスペースを設けても良い。
【0045】
[先行原稿と後続原稿に跨って印刷されている場合]
図5(C)に示す様に、印刷画像が先行原稿81と後続原稿82に跨って画像が印刷されている場合、CPU100は、先行原稿81に元々印刷することが予定されていた印刷画像の内の既に印刷された部分以外の残りの部分を、既に印刷された部分に続けて印刷する様に先行原稿用印刷設定を設定する。例えば、重送時、
図12(A)に示す様に先行原稿81に印刷されたものとする。この場合、先行原稿用印刷設定が示す内容は、
図12(B)に示す様になる。つまり、CPU100は、先行原稿81に元々印刷することが予定されていた印刷画像の内、先行原稿81の先端より非重送長Xに対応する距離だけ離れた位置から印刷する予定であった部分画像を判定する。そして、CPU100は、再読取処理の際に先行原稿81の先端より距離Xの位置から判定した部分画像を印刷する。
【0046】
さらに、CPU100は、後続原稿用印刷設定については、
図13に示す様に、重送が生じた際に印刷された文字列に重ねて不要画像であることを示す記号を印刷し、それに続いて、元々、後続原稿82に印刷することが予定されていた文字列を使用する。具体的には、
図13に示す様に、後続原稿82の先端から距離P
N+P
L-Xまでの領域に不要画像は印刷されている。したがって、後続原稿82の先端から距離P
N+P
L-Xまでの領域に不要画像であることを示す記号を印刷し、それに続いて、元々、後続原稿82に印刷することが予定されていた文字列を使用する。なお、
図13においては、2重の取り消し線を不要画像であることを示す記号としている。この様に印刷することで、後続原稿82には不要画像が生じるが、先行原稿81には不要画像が生じない。なお、
図11においては、不要画像に続けて必要画像である文字列を印刷しているが、不要画像と必要画像の間にスペースを設けても良い。
【0047】
以上、CPU100は、重送が生じると、まず、重送状態を判定し、判定した重送状態に基づき印刷状態を判定する。そして、CPU100は、判定した印刷状態に基づき再読取処理の際の先行原稿用印刷設定及び後続原稿用印刷設定を決定する。判定した印刷状態に基づき、CPU100は、不要画像を少なくする先行原稿用印刷設定及び後続原稿用印刷設定を決定することができる。また、再読取処理の際、ユーザによる印刷設定の再入力が不要であり、原稿の読取作業効率を上げることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、不要画像であることを示すために、2重の取り消し線といった不要画像を示す記号を不要画像に重ねて印刷していた。しかしながら、不要画像が印刷された後続原稿82に対する再読取処理においては、必要画像の色を不要画像とは異ならせることでユーザが必要画像と不要画像を区別できる様にする構成であっても良い。
【0049】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について、第二実施形態との相違点を中心に説明する。第二実施形態では重送が生じた場合、CPU100は、原稿の画像データを常に廃棄していた(
図9のS30)。しかしながら、非重送長Xが非常に小さい場合、先行原稿81の表面画像については正しく読み取ることができたものとして扱うことができる。このため、本実施形態では、各原稿7の表面のみを読み取る場合において、非重送長Xが閾値以下の場合、先行原稿81の表面画像の画像データを廃棄しない。
【0050】
図14は、本実施形態による重送処理を示すフローチャートである。なお、
図14のフローチャートは、読取設定により表面画像のみを読み取る場合に適用される。CPU100は、重送した2つの原稿7をそのまま搬送して排出台11に排出し、S40において、重送状態を判定する。CPU100は、S41で、非重送長Xが所定の閾値より小さいかを判定する。非重送長Xが所定の閾値より小さくない場合、CPU100は、画像データは正しくないと判定し、S42において、読み取った画像データを廃棄する。その後、CPU100は、第二実施形態と同様に、
図9のS32~S38の処理を実行する。一方、非重送長Xが所定の閾値より小さい場合、CPU100は、先行原稿81の表面画像の画像データは正しいと判定し、S44において、先行原稿81の表面画像の画像データを所定装置に送信する。
【0051】
その後、CPU100は、例えば、後続原稿82の画像が読み取られていないことを入出力デバイスに表示し、後続原稿82の再読取りが必要なことをユーザに通知する。なお、この場合、後続原稿82には、
図11に示す様に、重送の際に後続原稿82に印刷された印刷画像が不要画像であることを示す記号と、元々、後続原稿82に印刷する予定であった印刷画像を印刷する構成とすることができる。また、後続原稿82については重送の際に後続原稿82に印刷された印刷画像をそのまま必要画像として使用する構成であっても良い。
【0052】
また、S44で送信した画像データによる画像を入出力デバイスに表示し、ユーザに画像データを保存するかどうか選択させるように構成することもできる。ユーザが保存を選択しなかった場合、CPU100は、画像データを廃棄して、
図9のS32からの処理を行う。なお、ユーザが保存を選択した場合、先行原稿81の裏面には印刷が行われないままとなる。したがって、ユーザに先行原稿81と後続原稿82の両方を原稿台6に載置させて、先行原稿81については裏面への印刷のみを行う構成とし得る。さらには、先行原稿81の裏面への印刷の要否をユーザに選択させ、ユーザが印刷要を選択した場合に、先行原稿81と後続原稿82の両方を原稿台6に載置させて、先行原稿81については裏面への印刷のみを行う構成とし得る。
【0053】
なお、本発明による画像読取装置は、1つ以上のプロセッサを有する画像読取装置の当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を上記各実施形態で説明した画像読取装置として機能させるコンピュータプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。また、本開示によると、上記各実施形態で説明した重送状態の判定方法が提供される。
【0054】
なお、
図1に示す画像読取装置は、原稿7の表面を下側して原稿台6に載置し、下側の原稿7から順に搬送するものであったが、原稿7の表面を上側して原稿台6に載置し、上側の原稿7から順に搬送するものであっても良い。また、上記各実施形態で説明した重送状態の判定方法は、画像読取装置以外にも重送状態の判定が必要なシート搬送装置に対して適用可能である。
【0055】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
5:読取部、15:レジストレーションセンサ、16:重送検知センサ、100:CPU、105:状態判定部