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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076160
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車両用紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240529BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A61L2/10
H05K9/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187577
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
【テーマコード(参考)】
4C058
5E321
【Fターム(参考)】
4C058AA24
4C058BB06
4C058EE02
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK50
5E321AA21
5E321AA23
5E321BB23
5E321BB31
5E321CC16
5E321CC22
5E321GG05
(57)【要約】
【課題】発生した電磁波が電子機器に到達するのを抑制することができる車両用紫外線照射装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な放電ランプと;絶縁性を有し、前記放電ランプを収納する筐体と;導電性を有し、前記筐体の外壁に設けられたシールドと;前記筐体の外壁に設けられた複数の絶縁部と;を具備している。前記シールドは、前記複数の絶縁部の頂面には設けられていない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射可能な放電ランプと;
絶縁性を有し、前記放電ランプを収納する筐体と;
導電性を有し、前記筐体の外壁に設けられたシールドと;
前記筐体の外壁に設けられた複数の絶縁部と;
を具備し、
前記シールドは、前記複数の絶縁部の頂面には設けられていない車両用紫外線照射装置。
【請求項2】
前記複数の絶縁部は、柱状を呈し、前記筐体と一体に形成されている請求項1記載の車両用紫外線照射装置。
【請求項3】
前記複数の絶縁部の頂面に設けられ、前記シールドと電気的に接続されない第1のブラケット;
または、
前記複数の絶縁部の頂面に設けられ、導電性を有し、前記シールドと電気的に接続される第2のブラケット;
をさらに具備した請求項1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【請求項4】
前記筐体に収納された点灯回路と;
前記点灯回路と電気的に接続され、前記筐体に設けられた孔を介して、前記筐体の外部に引き出された配線と;
をさらに具備し、
前記筐体に設けられた前記孔の内壁には、前記シールドが設けられていない請求項1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【請求項5】
前記筐体に収納され、前記放電ランプと、前記点灯回路と、が設けられる基板をさらに具備し、
前記基板の、前記放電ランプ、および前記点灯回路が設けられる側とは反対側の面には、グランドパターンが設けられ、
前記筐体の内壁には、複数の凸部が設けられ、
前記複数の凸部の少なくともいずれかの頂面には、前記シールドが設けられ、
前記グランドパターンは、前記頂面に設けられた前記シールドと電気的に接続されている請求項1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を照射する放電ランプを備えた紫外線照射装置がある。近年においては、健康意識の高まりを反映して、紫外線照射装置が、物の表面に付着した細菌の殺菌やウイルスの不活性化などに用いられるようになってきている。また、感染防止などのために、自動車の車内や鉄道車両の車内などの比較的狭い閉鎖空間において、車内の雰囲気や、車内にある物の表面などを浄化する要望が高まっている。
【0003】
ここで、放電ランプを点灯させると、紫外線とともに電磁波が放射される。また、紫外線照射装置が、自動車や鉄道などの車両に設けられる車両用紫外線照射装置の場合には、車室内などの狭いスペースに、車両用紫外線照射装置と、車両の運行などに用いられる電子機器とが一緒に設けられる場合が多い。
【0004】
そのため、車両用紫外線照射装置と電子機器との間の距離が短くなる場合があり、車両用紫外線照射装置から放射された電磁波が電子機器に到達し易くなるおそれがある。電磁波が電子機器に到達すると、電磁波ノイズとなって電子機器の誤動作などが生じるおそれがある。
そこで、発生した電磁波が電子機器に到達するのを抑制することができる車両用紫外線照射装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-195825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、発生した電磁波が電子機器に到達するのを抑制することができる車両用紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用紫外線照射装置は、紫外線を照射可能な放電ランプと;絶縁性を有し、前記放電ランプを収納する筐体と;導電性を有し、前記筐体の外壁に設けられたシールドと;前記筐体の外壁に設けられた複数の絶縁部と;を具備している。前記シールドは、前記複数の絶縁部の頂面には設けられていない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、発生した電磁波が電子機器に到達するのを抑制することができる車両用紫外線照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用紫外線照射装置を紫外線が出射する側から見た場合の模式平面図である。
図2図1における車両用紫外線照射装置のA-A線方向の模式断面図である。
図3】車両用紫外線照射装置を紫外線が出射する側とは反対側から見た場合の模式平面図である。
図4】基板のグランドパターンと、シールドとの電気的な接続を例示するための模式平面図である。
図5】筐体からの配線の引き出しを例示するための模式斜視図である。
図6】他の実施形態に係る車両用紫外線照射装置を例示するための模式斜視図である。
図7図6における車両用紫外線照射装置のB-B線方向の模式断面図である。
図8】他の実施形態に係る車両用紫外線照射装置を例示するための模式斜視図である。
図9図8における車両用紫外線照射装置のC-C線方向の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本実施の形態に係る車両用紫外線照射装置は、自動車や鉄道などの車両に設けることができる。例えば、車両用紫外線照射装置は、自動車の車室内やトランクルームなどに設けたり、鉄道車両の車室内などに設けたりすることができる。ただし、車両用紫外線照射装置の設置場所は、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る車両用紫外線照射装置1を紫外線が出射する側から見た場合の模式平面図である。
図2は、図1における車両用紫外線照射装置1のA-A線方向の模式断面図である。
図3は、車両用紫外線照射装置1を紫外線が出射する側とは反対側から見た場合の模式平面図である。
図1図3に示すように、車両用紫外線照射装置1には、例えば、筐体2、基板3、放電ランプ4、ランプカバー5、点灯回路6、窓7、およびシールド8が設けられている。
【0012】
筐体2は、箱状を呈し、内部に、基板3、放電ランプ4、ランプカバー5、および点灯回路6を収納する空間を有する。筐体2の平面形状は、例えば、略四角形とすることができる。ただし、筐体2の平面形状は、車両用紫外線照射装置1が設けられるスペースに応じて適宜変更することができる。例えば、筐体2の平面形状は、円や楕円などの曲線から構成される形状、曲線と直線から構成される形状などとしてもよい。筐体2の厚み寸法Tは、筐体2の平面寸法よりも小さくすることができる。筐体2の厚み寸法Tを小さくすれば、車両の運行などに用いられる電子機器と、車両用紫外線照射装置1とを一緒に設けることが容易となる。
【0013】
また、筐体2は、複数の部分に分割することができる。例えば、図2に示すように、筐体2の厚み方向において、筐体2を2つに分割することができる。筐体2の厚み方向において、筐体2が2つに分割されていれば、筐体2の内部に、基板3、放電ランプ4、ランプカバー5、および点灯回路6を取り付けるのが容易となる。
【0014】
例えば、筐体2は、第1の部分21、および第2の部分22に分割することができる。 第1の部分21は、例えば、基板3、放電ランプ4、ランプカバー5、および点灯回路6が取り付けられるベースとなる。
【0015】
第2の部分22は、例えば、第1の部分21の開口側を覆うカバーとなる。第2の部分22には、紫外線を出射させるための孔22aを設けることができる。孔22aは、放電ランプ4と対向する位置に設けられる。
【0016】
第2の部分22は、第1の部分21に着脱可能に設けられる。例えば、第2の部分22は、弾性力を用いて、第1の部分21に着脱可能に設けることができる。例えば、第2の部分22は、ネジなどの締結部材を用いて、第1の部分21に着脱可能に設けることができる。図1、および図2に例示をした第1の部分21と第2の部分22は、開口部分同士を嵌め合わせることで発生させた弾性力により、着脱可能に接続されている。
【0017】
また、第2の部分22は、接着剤などを用いて、第1の部分21に固定することもできる。ただし、第2の部分22が、第1の部分21に着脱可能に設けられていれば、放電ランプ4の交換などのメンテナンスが容易となる。
【0018】
筐体2の内部には、基板3、放電ランプ4、および点灯回路6が設けられる。そのため、筐体2(第1の部分21、および第2の部分22)を、アルミニウム合金などの金属から形成すると、筐体2と、基板3、放電ランプ4、および点灯回路6と、の間で漏電や短絡などが発生するおそれがある。そのため、筐体2は、絶縁性を有する樹脂から形成することが好ましい。また、絶縁性を有する樹脂から筐体2を形成すれば、車両用紫外線照射装置1の軽量化や製造コストの低減を図ることもできる。なお、第2の部分22の材料は、第1の部分21の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
基板3は、板状を呈している。基板3は、例えば、第1の部分21の内壁に設けられた複数の凸部21aに設けることができる。基板3の材料には特に限定がない。基板3は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板3は、金属板の表面を絶縁材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。
【0020】
また、基板3の、放電ランプ4および点灯回路6が設けられる側とは反対側の面(第1の部分21側の面)には、グランドパターン(ベタグランド)を設けることができる。また、グランドパターンは、後述するシールド8(シールド8a)と電気的に接続することができる。
【0021】
図4は、基板3のグランドパターンと、シールド8(シールド8a)との電気的な接続を例示するための模式平面図である。
図4は、筐体2の第1の部分21を、内側から見た場合の模式平面図である。
図4に示すように、複数の凸部21aは、第1の部分21の内壁に設けられている。複数の凸部21aのそれぞれには、凸部21aの頂面に露出するインサート(埋込み型の雌ネジ)21a1を設けることができる。基板3は、複数の凸部21aに設けられたインサート21a1にネジ止めされる。凸部21aにインサート21a1が設けられていれば、凸部21aが樹脂から形成されていても、ネジによる締結で凸部21aが破損するのを抑制することができる。
【0022】
また、複数の凸部21aの少なくともいずれかの頂面には、シールド8(シールド8a)を設けることができる。基板3を複数の凸部21aに取り付けた際には、基板3のグランドパターンが、凸部21aの頂面に設けられたシールド8(シールド8a)と電気的に接続される。基板3のグランドパターンとシールド8(シールド8a)とを電気的に接続すれば、後述する電磁波のシールド効果を向上させることができる。
この場合、図4に示すように、少なくとも2つの凸部21aの頂面に、シールド8(シールド8a)を設けることが好ましい。この様にすれば、基板3のグランドパターンとシールド8(シールド8a)との間の電気的な接続に関する信頼性を向上させることができる。
【0023】
図2に示すように、放電ランプ4は、基板3の、第2の部分22側に設けられる。放電ランプ4は、基板3と第2の部分22との間に位置している。放電ランプ4は、第2の部分22の孔22aと対向する位置に設けられている。放電ランプ4は、一対の端子ホルダ41に着脱可能に設けることができる。一対の端子ホルダ41は、例えば、基板3に設けることができる。なお、図2においては、1つの放電ランプ4が設けられる場合を例示したが、複数の放電ランプ4が設けられるようにしてもよい。放電ランプ4は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0024】
放電ランプ4は、紫外線を照射可能なものであれば特に限定はない。放電ランプ4は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、誘電体バリア放電ランプなどとすることができる。
ここで、細菌やウイルスのDNAやRNAに紫外線100を吸収させれば、細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができる。細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができれば、高い除菌率を得ることができる。例えば、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が260nm程度の紫外線100を吸収し易い。そのため、放電ランプ4は、ピーク波長が230nm以上、300nm以下の紫外線100を照射するものとすることが好ましい。例えば、放電ランプ4が、熱陰極型の低圧水銀ランプであれば、ピーク波長が254nm程度の紫外線100を照射することができる。
放電ランプ4は、例えば、一方向に延びる形状を有する。一方向に延びる形状を有する放電ランプ4とすれば、筐体2の厚み寸法Tを小さくするのが容易となる。
【0025】
ランプカバー5は、基板3の、放電ランプ4が設けられる側の面に設けられている。ランプカバー5は、基板3と第2の部分22との間に設けられている。ランプカバー5は、箱状を呈し、基板3側とは反対側の端部が開口している。ランプカバー5の開口は、第2の部分22の孔22aと対向している。ランプカバー5の内部には、放電ランプ4と一対の端子ホルダ41が設けられる。例えば、ランプカバー5は、絶縁性を有する樹脂から形成される。ここで、ランプカバー5は、放電ランプ4から照射された紫外線に曝される。そのため、ランプカバー5の材料は、筐体2の材料よりも紫外線に対する耐性の高い材料とすることが好ましい。
【0026】
ランプカバー5が設けられていれば、放電ランプ4から照射された紫外線が、筐体2の内壁、基板3、および点灯回路6に入射するのを抑制することができる。そのため、これらが紫外線により劣化するのを抑制することができる。
【0027】
また、ランプカバー5にリフレクタの機能を持たせることもできる。例えば、ランプカバー5を白色の樹脂から形成したり、ランプカバー5の内壁に反射膜を形成したり、ランプカバー5の内壁を曲面としたりすることができる。ランプカバー5にリフレクタの機能を持たせれば、放電ランプ4から照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。
【0028】
点灯回路6は、筐体2の内部に収納されている。点灯回路6は、基板3の、放電ランプ4が設けられる側の面に設けられている。この様にすれば、筐体2の厚み寸法Tを小さくするのが容易となる。点灯回路6は、例えば、配線61を介して、車両のバッテリーなどと電気的に接続される。
【0029】
また、点灯回路6は、例えば、配線コードや金属板などの配線部材を介して、一対の端子ホルダ41と電気的に接続されている。そのため、放電ランプ4を一対の端子ホルダ41に装着することで、点灯回路6と放電ランプ4とを電気的に接続することができる。
【0030】
点灯回路6は、放電ランプ4に、所定の周波数の駆動電圧を印加する。放電ランプ4に駆動電圧が印加されると、例えば、放電ランプ4に設けられた一対の電極間に放電が生じて、放電ランプ4から紫外線が放射される。
【0031】
点灯回路6は、例えば、車両のバッテリーからの直流電圧を所定の周波数の交流電圧、例えば、正弦波電圧などに変換する。正弦波電圧とすれば、電磁波ノイズの発生量を低減させることができる。正弦波電圧の周波数は、例えば、100kHz~300kHz程度とすることができる。点灯回路6は、例えば、共振型の各種インバータとすることができる。
【0032】
窓7は、筐体2(第2の部分22)の孔22aと対向している。例えば、窓7は、孔22aを覆っている。窓7は、板状を呈し、厚み方向を貫通する複数の開口7a(孔)を有する。放電ランプ4から照射された紫外線は、複数の開口7aを介して、車両用紫外線照射装置1の外部に照射される。
【0033】
ここで、放電ランプ4を点灯させた際に、放電ランプ4の電極間において放電が生じると、紫外線とともに電磁波が放射される場合がある。また、放電ランプ4を点灯させた際に、点灯回路6に設けられたインバータから電磁波が放射される場合がある。
【0034】
そのため、窓7は、導電性を有している。窓7の材料は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、炭素鋼などの金属とすることができる。この場合、アルミニウムや銅などの導電率の高い金属を用いて窓7を形成すれば、後述する反射損失を大きくすることができるので、電磁波の透過を効果的に抑制することができる。また、ステンレスなどを用いて窓7を形成すれば、窓7の剛性を高めることができる。
【0035】
複数の開口7aの開口率を小さくすると、電磁波の透過を抑制する効果が高くなる。一方、複数の開口7aの開口率を小さくすると、紫外線が窓7を透過し難くなる。そのため、複数の開口7aの開口率は、例えば、10%以上、90%以下とすることが好ましい。なお、窓7に設けられた複数の開口7aの開口率は、「(複数の開口7aの総面積/窓7の面積)×100」である。
【0036】
複数の開口7aの平面形状は、平面充填が可能な同じ大きさの多角形とすることができる。この様にすれば、所望の開口率を得るのが容易となり、且つ、窓7の面内において、紫外線の透過量にバラツキが生じるのを抑制することができる。複数の開口7aの平面形状は、例えば、同じ大きさの正三角形、同じ大きさの正方形、同じ大きさの正六角形のいずれかとすることができる。図1に例示をした開口7aの平面形状は、同じ大きさの正六角形である。
【0037】
シールド8は、筐体2の内部において発生した電磁波が、筐体2の外部に放射されるのを抑制する。シールド効果は、シールド8における反射損失、吸収損失、および多重反射損失が関係するが、電磁波をシールドする場合のシールド効果は、反射損失が支配的となる。反射損失を大きくするためには、シールド8の反射係数を大きくすればよい。シールド8の反射係数を大きくするためには、シールド8のインピーダンスを低くすればよい。そのため、シールド8は、導電性を有している。シールド8の材料は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、炭素鋼などの金属とすることができる。この場合、シールド8の材料を、アルミニウムや銅などの導電率の高い金属とすれば、反射損失を大きくすることができるので、電磁波の透過を効果的に抑制することができる。シールド8の材料は、窓7の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
シールド8は、例えば、導電性材料を含む板材またはフィルム、導電性フィラーを含む導電性塗料、導電性を有するめっき層や蒸着層などとすることができる。導電性材料を含む板材またはフィルムは、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて筐体2に接合することができる。導電性材料を含む板材は、例えば、インサート成形法などを用いて筐体2と一体成形することもできる。導電性塗料は、例えば、筐体2に塗布することができる。導電性を有するめっき層は、例えば、無電解めっき法などにより筐体2の表面に設けることができる。導電性を有する蒸着層は、例えば、スパッタリング法などにより筐体2の表面に設けることができる。
【0039】
シールド8は、例えば、筐体2の外壁および筐体2の内壁の少なくともいずれかに設けることができる。この場合、筐体2の外壁にシールド8を設ければ、シールド8と、筐体2の内部に設けられた放電ランプ4、端子ホルダ41、および点灯回路6などとの間の絶縁を確保することができる。
【0040】
また、筐体2が、第1の部分21と第2の部分22とに分割されている場合には、第1の部分21の外壁にシールド8aを設け、第2の部分22の外壁にシールド8bを設けることができる。この場合、第1の部分21と第2の部分22の接続部分2aにおいて、シールド8aとシールド8bが電気的に接続される。
【0041】
また、シールド8(シールド8b)と、窓7を電気的に接続すれば、窓7のシールド効果を向上させることができる。例えば、第2の部分22の内壁の孔22aの周囲にもシールド8bを設け、孔22aの周囲において、窓7とシールド8bを接触させればよい。
【0042】
ここで、車両には、車両用紫外線照射装置1の他にも車両の運行などに用いられる電子機器が設けられる。車両用紫外線照射装置1と電子機器は、車室内などの狭いスペースに設けられることになるので、車両用紫外線照射装置1と電子機器との間の距離が短くなり易い。そのため、筐体2の内部において発生した電磁波が、車両用紫外線照射装置1の外部に放射されると、車両用紫外線照射装置1の近傍に設けられた電子機器に電磁波が到達し易くなる。電磁波が電子機器に到達すると、電磁波ノイズとなって電子機器に誤動作などが生じるおそれがある。
【0043】
この場合、シールド効果を有するシールド8と窓7が設けられていれば、筐体2の内部において発生した電磁波が、車両用紫外線照射装置1の外部に放射されるのを抑制することができる。そのため、車両用紫外線照射装置1と電子機器との間の距離が短くなっても、電子機器に誤動作が発生するのを抑制することができる。
【0044】
ここで、シールド8を、車両のグランド(例えば、車体フレーム)に電気的に接続することもできる。この場合、窓7も、シールド8を介して、車両のグランドに電気的に接続される。シールド8と窓7が、車両のグランドに電気的に接続されていれば、シールド効果を向上させることができる。シールド効果が向上すれば、電子機器において、電磁波ノイズによる誤動作が発生するのを抑制することができる。
【0045】
ところが、シールド8を車両のグランドに電気的に接続すると、電子機器において、電磁波ノイズがかえって発生し易くなることが判明した。例えば、車両用紫外線照射装置1の近傍に設けられた電子機器において、電子機器に設けられた回路基板のグランドが車両のグランドに電気的に接続される場合がある。この様な場合には、シールド8と、電子機器に設けられた回路基板のグランドとが、例えば、車体フレームなどを介して電気的に接続される場合がある。すなわち、ノイズ経路のループ(グラウンドループ)が形成される場合がある。そのため、車両用紫外線照射装置1と電子機器との間の距離や配置などによっては、シールド8を車両のグランドに電気的に接続すると、電子機器において、電磁波ノイズがかえって発生し易くなる場合がある。
【0046】
この様な場合には、シールド8をフローティングにすればよい。シールド8をフローティングにすれば、ノイズ経路のループが遮断されるので、ノイズ経路のループに起因する電磁波ノイズを減少させることができる。
【0047】
例えば、図2、および図3に示すように、筐体2の、紫外線が出射する側とは反対側の外壁に、複数の絶縁部21bを設けることができる。例えば、複数の絶縁部21bは、筐体2(第1の部分21)の外壁から突出している。
【0048】
例えば、複数の絶縁部21bは、柱状を呈し、絶縁性を有する樹脂から形成される。例えば、複数の絶縁部21bは、筐体2(第1の部分21)と一体に形成することができる。なお、複数の絶縁部21bが筐体2と一体に形成される場合には、複数の絶縁部21bが、筐体2(第1の部分21)の内壁からも突出するようにしてもよい。
また、例えば、複数の絶縁部21bを筐体2(第1の部分21)に接着したり、複数の絶縁部21bを筐体2(第1の部分21)に溶着したりすることもできる。
【0049】
また、例えば、複数の絶縁部21bをスペーサとし、車両用紫外線照射装置1を車体フレームなどに取り付ける際に、筐体2(第1の部分21)またはシールド8(シールド8a)と、車体フレームなどとの間に、複数の絶縁部21bが挟まれるようにしてもよい。 ただし、複数の絶縁部21bが、筐体2(第1の部分21)と一体に形成されていたり、筐体2(第1の部分21)に固定されていたりすれば、車両用紫外線照射装置1を車体フレームなどに取り付ける際の作業が容易となる。
【0050】
柱状を呈する絶縁部21bとする場合には、絶縁部21bの数を3つ以上とすることが好ましい。この様にすれば、車両用紫外線照射装置1の姿勢を安定させたり、車両用紫外線照射装置1の取り付け強度を大きくしたりすることができる。図3に例示をした車両用紫外線照射装置1には、4つの柱状の絶縁部21bが設けられている。
【0051】
絶縁部21bが突出する方向と直交する方向における絶縁部21bの形状(断面形状)には、特に限定はない。絶縁部21bの断面形状は、例えば、円や四角形などとすることができる。絶縁部21bの高さ寸法は、シールド8(シールド8a)の厚み寸法よりも大きくすることができる。この様にすれば、車両用紫外線照射装置1を車体フレームなどに取り付けた際に、シールド8(シールド8a)が車体フレームなどに接触するのを抑制することができる。絶縁部21bの高さ寸法は、例えば、1.0mm以上、10mm以下とすることができる。
【0052】
筐体2(第1の部分21)に固定された絶縁部21bには、絶縁部21bの頂面に露出するインサート(埋込み型の雌ネジ)21b1を設けることができる。絶縁部21bにインサート21b1が設けられていれば、絶縁部21bが樹脂から形成されていても、ネジによる締結で絶縁部21bが破損するのを抑制することができる。
【0053】
少なくとも絶縁部21bの頂面には、シールド8(シールド8a)が設けられていない。この様にすれば、シールド8をフローティングにすることができる。この場合、シールド8(シールド8a)は、絶縁部21bの頂面と側面に設けられないようにすることが好ましい。この様にすれば、シールド8をより確実にフローティングにすることができる。この場合、図3に示すように、シールド8(シールド8a)は、絶縁部21bの周囲を囲むように設けることができる。
【0054】
また、シールド8が、配線61と接触していると、シールド8と、電子機器に設けられた回路基板のグランドとが、例えば、配線61および車体フレームを介して電気的に接続される場合がある。すなわち、ノイズ経路のループが形成される場合がある。
【0055】
図5は、筐体2からの配線61の引き出しを例示するための模式斜視図である。
図5に示すように、第1の部分21と第2の部分22の接続部分2aには、孔2cが設けられている。図2に示すように、孔2cは、第1の部分21と第2の部分22の接続部分2aにおいて、筐体2の外壁と筐体2の内壁との間を貫通している。点灯回路6と電気的に接続された配線61は、孔2cを介して、筐体2の外部に引き出されている。
【0056】
この場合、少なくとも孔2cの内壁には、シールド8(シールド8a、8b)が設けられていない。この様にすれば、シールド8をフローティングにすることができる。この場合、図3に示すように、シールド8(シールド8a、8b)は、孔2cの周囲を囲むように設けることもできる。この様にすれば、シールド8をより確実にフローティングにすることができる。
【0057】
図6は、他の実施形態に係る車両用紫外線照射装置1aを例示するための模式斜視図である。
図7は、図6における車両用紫外線照射装置1aのB-B線方向の模式断面図である。 図6に示すように、車両用紫外線照射装置1aには、ブラケット23(第1のブラケットの一例に相当する)が設けられている。すなわち、車両用紫外線照射装置1aは、前述した車両用紫外線照射装置1に、ブラケット23をさらに追加したものである。ブラケット23は、例えば、一対設けることができる。
【0058】
図6に示すように、ブラケット23の両側の端部の近傍は、筐体2の外方に位置している。また、ブラケット23の両側の端部のそれぞれには、取り付け孔23aが設けられている。そのため、車両用紫外線照射装置1aを車体フレームなどに取り付ける際には、筐体2の外方において、ネジなどによる締結を行うことができる。そのため、車両用紫外線照射装置1aの取り付け作業が容易となる。
【0059】
ブラケット23は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。ブラケット23は、例えば、金属板を塑性加工することで形成することができる。なお、ブラケット23の両側の端部の近傍が、筐体2側に屈曲したブラケット23を例示したが、ブラケット23の形状は、車両用紫外線照射装置1aの設置場所などに応じて適宜変更することができる。例えば、ブラケット23は、平板状を呈するものとしてもよいし、両側の端部の近傍が、筐体2側とは反対側に屈曲したものとしてもよい。
【0060】
図6、および図7に示すように、ブラケット23は、絶縁部21bの頂面に設けることができる。ブラケット23は、例えば、絶縁部21bに設けられたインサート21b1にネジ止めすることができる。ブラケット23が、絶縁部21bの頂面に設けられていれば、図7に示すように、ブラケット23とシールド8(シールド8a)とが接触するのを抑制することができる。すなわち、ブラケット23は、絶縁部21bの頂面に設けられ、シールド8(シールド8a)と電気的に接続されない。そのため、ブラケット23の材料が金属であっても、シールド8をフローティングにすることができるので、ノイズ経路のループが形成されるのを抑制することができる。
【0061】
図8は、他の実施形態に係る車両用紫外線照射装置1bを例示するための模式斜視図である。
図9は、図8における車両用紫外線照射装置1bのC-C線方向の模式断面図である。 図8に示すように、車両用紫外線照射装置1bには、ブラケット24(第2のブラケットの一例に相当する)が設けられている。すなわち、車両用紫外線照射装置1bは、前述した車両用紫外線照射装置1に、ブラケット24をさらに追加したものである。ブラケット24は、例えば、一対設けることができる。
【0062】
図8に示すように、ブラケット24の両側の端部の近傍は、筐体2の外方に位置している。また、ブラケット24の両側の端部のそれぞれには、取り付け孔24aが設けられている。そのため、車両用紫外線照射装置1bを車体フレームなどに取り付ける際には、筐体2の外方において、ネジなどによる締結を行うことができる。そのため、車両用紫外線照射装置1bの取り付け作業が容易となる。
【0063】
ブラケット24は、導電性を有している。ブラケット24は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。ブラケット24は、例えば、金属板を塑性加工することで形成することができる。なお、ブラケット24の両側の端部の近傍が、筐体2側に屈曲したブラケット24を例示したが、ブラケット24の形状は、車両用紫外線照射装置1bの設置場所などに応じて適宜変更することができる。例えば、ブラケット24は、平板状を呈するものとしてもよいし、両側の端部の近傍が、筐体2側とは反対側に屈曲したものとしてもよい。
【0064】
図8、および図9に示すように、ブラケット24は、絶縁部21bの頂面に設けることができる。ブラケット24は、例えば、絶縁部21bに設けられたインサート21b1にネジ止めすることができる。
例えば、車両用紫外線照射装置1bは、前述した車両用紫外線照射装置1aのブラケット23をブラケット24に置き換えたものである。
【0065】
ここで、車両用紫外線照射装置1bと電子機器との間の距離や配置などによっては、ノイズ経路のループが形成され難い場合もある。この様な場合には、シールド8を車両のグランド(例えば、車体フレーム)に電気的に接続することが好ましい。そのため、ブラケット24は、シールド8と電気的に接続されている。例えば、図8、および図9に示すように、ブラケット24の、シールド8(シールド8a)と対向する部分が、シールド8(シールド8a)側に屈曲したものとすればよい。この場合、シールド8(シールド8a)と対向し、シールド8(シールド8a)側に屈曲した部分が、シールド8(シールド8a)と接触する様にすればよい。
【0066】
以上に説明した様に、車両用紫外線照射装置1、1aとすれば、筐体2の外壁に設けられたシールド8をフローティングにすることができる。
また、車両用紫外線照射装置1bとすれば、筐体2の外壁に設けられたシールド8を車両のグランドと電気的に接続することができる。
すなわち、絶縁部21bを介して、車両用紫外線照射装置1を車体フレームなどに直接設けたり、絶縁部21bとブラケット23を介して、車両用紫外線照射装置1aを車体フレームなどに設けたりすることで、筐体2の外壁に設けられたシールド8をフローティングにすることができる。
また、絶縁部21bとブラケット24を介して、車両用紫外線照射装置1bを車体フレームなどに設けることで、筐体2の外壁に設けられたシールド8を車両のグランドと電気的に接続することができる。
そのため、車両用紫外線照射装置の構成の大部分を変えずに、車両用紫外線照射装置の設置場所などに応じて、適切なノイズ対策を施すことができる。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0068】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0069】
(付記1)
紫外線を照射可能な放電ランプと;
絶縁性を有し、前記放電ランプを収納する筐体と;
導電性を有し、前記筐体の外壁に設けられたシールドと;
前記筐体の外壁に設けられた複数の絶縁部と;
を具備し、
前記シールドは、前記複数の絶縁部の頂面には設けられていない車両用紫外線照射装置。
【0070】
(付記2)
前記複数の絶縁部は、柱状を呈し、前記筐体と一体に形成されている付記1記載の車両用紫外線照射装置。
【0071】
(付記3)
前記複数の絶縁部の頂面に設けられ、前記シールドと電気的に接続されない第1のブラケット;
または、
前記複数の絶縁部の頂面に設けられ、導電性を有し、前記シールドと電気的に接続される第2のブラケット;
をさらに具備した付記1または2に記載の車両用紫外線照射装置。
【0072】
(付記4)
前記筐体に収納された点灯回路と;
前記点灯回路と電気的に接続され、前記筐体に設けられた孔を介して、前記筐体の外部に引き出された配線と;
をさらに具備し、
前記筐体に設けられた前記孔の内壁には、前記シールドが設けられていない付記1~3のいずれか1つに記載の車両用紫外線照射装置。
【0073】
(付記5)
前記筐体に収納され、前記放電ランプと、前記点灯回路と、が設けられる基板をさらに具備し、
前記基板の、前記放電ランプ、および前記点灯回路が設けられる側とは反対側の面には、グランドパターンが設けられ、
前記筐体の内壁には、複数の凸部が設けられ、
前記複数の凸部の少なくともいずれかの頂面には、前記シールドが設けられ、
前記グランドパターンは、前記頂面に設けられた前記シールドと電気的に接続されている付記1~4のいずれか1つに記載の車両用紫外線照射装置。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用紫外線照射装置、1a 車両用紫外線照射装置、1b 車両用紫外線照射装置、2 筐体、2c 孔、3 基板、4 放電ランプ、6 点灯回路、8 シールド、8a シールド、8b シールド、21 第1の部分、21a 凸部、21b 絶縁部、22 第2の部分、23 ブラケット、24 ブラケット、61 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9