(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076166
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】吐出ヘッドおよび吐出装置
(51)【国際特許分類】
B65D 83/20 20060101AFI20240529BHJP
B65D 83/68 20060101ALI20240529BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B65D83/20 100
B65D83/68 100
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187588
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】重村 季代美
(72)【発明者】
【氏名】山口 寛
(72)【発明者】
【氏名】木下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 一禎
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB05
3E014PC08
3E014PD01
3E014PE30
3E014PF10
4F033RA02
4F033RC08
4F033RC16
4F033RC24
(57)【要約】
【課題】複数のステムに作用する力の均等化を図ることが可能な吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】吐出ヘッド6は、エアゾール缶2に取付可能な枠部62と、枠部62に対して移動可能に設けられ、下向きに移動された場合に第1ステム42および第2ステム43を押し下げるように構成されたノズル61と、ノズル61を下向きに移動させる際に使用者によって操作される操作片66とを備える。ノズル61は、第1ステム42および第2ステム43からの内容物の通路が設けられ、通路を通過した内容物が吐出口から吐出されるように構成されている。ノズル61には平坦な受け面67が設けられ、受け面67が操作片66の下方に配置されている。操作片66には下方に突出する突部66aが形成され、操作片66が使用者によって操作される場合に突部66aが受け面67に接触されるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステムを有して各ステムから個別の内容物を吐出可能に構成された容器に設けられ、前記複数のステムを押し下げて内容物を吐出させるための吐出ヘッドであって、
前記容器に取付可能な枠部と、
前記枠部に対して移動可能に設けられ、下向きに移動された場合に前記複数のステムを押し下げるように構成されたノズルと、
前記ノズルを下向きに移動させる際に使用者によって操作される操作片とを備え、
前記ノズルは、前記複数のステムからの内容物の通路が設けられ、前記通路を通過した内容物が吐出口から吐出されるように構成され、
前記ノズルには平坦な受け面が設けられ、前記受け面が前記操作片の下方に配置され、
前記操作片には下方に突出する突部が形成され、前記操作片が使用者によって操作される場合に前記突部が前記受け面に接触されるように構成されていることを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出ヘッドにおいて、
前記枠部が前記容器に取り付けられた場合に、前記操作片の幅方向に前記複数のステムが並ぶように構成されており、
前記突部は、前記幅方向において中央部が両端部に対して下方に位置するように弧状に湾曲されていることを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載の吐出ヘッドにおいて、
前記枠部は、前記操作片を挟んで対向するように配置された一対の立壁部を有し、
前記一対の立壁部の上端部は、前記操作片よりも上方に配置されていることを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載の吐出ヘッドにおいて、
前記ノズルには、前記通路を洗浄するための開閉部が形成され、
前記操作片は、前記開閉部に設けられていることを特徴とする吐出ヘッド。
【請求項5】
複数のステムを有して各ステムから個別の内容物を吐出可能に構成された容器と、
前記容器に設けられ、前記複数のステムを押し下げて内容物を吐出させるための吐出ヘッドとを備え、
前記吐出ヘッドは、請求項1~4のいずれか1つに記載の吐出ヘッドであることを特徴とする吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ヘッドおよび吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール缶に吐出ヘッドが取り付けられた二液吐出器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。エアゾール缶は、二本のステムを有して各ステムから個別の内容物を吐出可能に構成されている。吐出ヘッドは、二本のステムを押し下げて内容物を吐出させるためのものである。
【0003】
吐出ヘッドは、エアゾール缶に取付可能な枠部と、枠部に対して移動可能に設けられ、下向きに移動された場合に複数のステムを押し下げるように構成されたノズルと、ノズルを下向きに移動させる際に使用者によって操作される操作片とを備える。ノズルは、二本のステムからの内容物の通路が設けられ、通路を通過した内容物が吐出口から吐出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、たとえば、操作片の幅方向における端部が使用者によって操作されると、操作片の幅方向に並ぶ二本のステムにノズルを介して作用する力にばらつきが生じることから、二本のステムからの内容物の吐出量がばらつくことが考えられる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数のステムに作用する力の均等化を図ることが可能な吐出ヘッドおよび吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による吐出ヘッドは、複数のステムを有して各ステムから個別の内容物を吐出可能に構成された容器に設けられ、複数のステムを押し下げて内容物を吐出させるためのものである。吐出ヘッドは、容器に取付可能な枠部と、枠部に対して移動可能に設けられ、下向きに移動された場合に複数のステムを押し下げるように構成されたノズルと、ノズルを下向きに移動させる際に使用者によって操作される操作片とを備える。ノズルは、複数のステムからの内容物の通路が設けられ、通路を通過した内容物が吐出口から吐出されるように構成されている。ノズルには平坦な受け面が設けられ、受け面が操作片の下方に配置されている。操作片には下方に突出する突部が形成され、操作片が使用者によって操作される場合に突部が受け面に接触されるように構成されている。
【0008】
上記吐出ヘッドにおいて、枠部が容器に取り付けられた場合に、操作片の幅方向に複数のステムが並ぶように構成されており、突部は、幅方向において中央部が両端部に対して下方に位置するように弧状に湾曲されていてもよい。
【0009】
上記吐出ヘッドにおいて、枠部は、操作片を挟んで対向するように配置された一対の立壁部を有し、一対の立壁部の上端部は、操作片よりも上方に配置されていてもよい。
【0010】
上記吐出ヘッドにおいて、ノズルには、通路を洗浄するための開閉部が形成され、操作片は、開閉部に設けられていてもよい。
【0011】
本発明による吐出装置は、複数のステムを有して各ステムから個別の内容物を吐出可能に構成された容器と、容器に設けられ、複数のステムを押し下げて内容物を吐出させるための吐出ヘッドとを備える。吐出ヘッドは、上記した吐出ヘッドである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吐出ヘッドおよび吐出装置によれば、複数のステムに作用する力の均等化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態による二液吐出器を示した分解斜視図である。
【
図2】
図1の二液吐出器を別の角度から見た図である。
【
図3】
図1の二液吐出器の吐出ヘッドを示した平面図である。
【
図4】
図3の吐出ヘッドを後方側から見た図である。
【
図5】
図3の吐出ヘッドにおいて開閉部を開いた状態を示した斜視図である。
【
図6】
図5の吐出ヘッドを別の角度から見た図である。
【
図8】第1実施形態による二液吐出器を
図3のA-A線で切断した断面図である。
【
図9】第2実施形態による二液吐出器を示した斜視図である。
【
図10】
図9の二液吐出器を後方側から見た図である。
【
図11】第1実施形態の第1変形例による吐出ヘッドを示した平面図である。
【
図12】第1実施形態の第2変形例による吐出ヘッドを示した斜視図である。
【
図13】第1実施形態の第3変形例による吐出ヘッドを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第1実施形態)
まず、
図1~
図8を参照して、本発明の第1実施形態による二液吐出器1の構造について説明する。
【0016】
二液吐出器1は、
図1および
図2に示すように、エアゾール缶2およびノズルユニット3を備え、エアゾール缶2にノズルユニット3が取り付けられている。なお、二液吐出器1は本発明の「吐出装置」の一例であり、エアゾール缶2は本発明の「容器」の一例である。
【0017】
エアゾール缶2は、円柱形に形成され、たとえば二種類の内容物が収容されている。エアゾール缶2の内部には、たとえば、毛染め用のアルカリ剤、染料などを含有する第1剤(内容物)を収容する第1容器と、毛染め用の酸化剤などを含有する第2剤(内容物)を収容する第2容器とが隣り合うように配置された状態で収納されている。たとえば、第1容器および第2容器は、パウチ容器である。
【0018】
エアゾール缶2の中心軸線100に沿う方向(Z方向)の一端側(上端部)には、バルブ4が設けられている。バルブ4は、エアゾール缶2の二種類の内容物を吐出させない閉止状態と、エアゾール缶2の二種類の内容物を個別に吐出させる開放状態とに切替可能に構成されている。
【0019】
バルブ4は、バルブボディ41と、第1ステム42と、第2ステム43とを含んでいる。第1ステム42および第2ステム43は、内容物を吐出するための通路を有し、横方向(X方向)に隣り合うように設けられている。第1ステム42および第2ステム43は、バルブボディ41に対して昇降可能に設けられている。第1ステム42が第1容器と接続され、第2ステム43が第2容器と接続されている。このため、第1ステム42が押し下げられると、第1ステム42から第1容器の内容物が吐出され、第2ステム43が押し下げられると、第2ステム43から第2容器の内容物が吐出されるようになっている。なお、第1ステム42および第2ステム43は、本発明の「ステム」の一例である。
【0020】
ノズルユニット3は、使用者の操作を受け付けて、エアゾール缶2の内容物を吐出させるためのものである。ノズルユニット3は、台座5および吐出ヘッド6の二つの部品で構成されている。
【0021】
台座5は、エアゾール缶2の中心軸線100に沿う方向の一端側に、バルブ4の第1ステム42および第2ステム43を露呈するように着脱可能に装着されるものである。台座5は、二重筒構造であり、同心円状に離隔配置される内筒部51および外筒部52と、内筒部51および外筒部52を連結する連結部53(
図8参照)とを有する。
【0022】
内筒部51は、上下方向(Z方向)に延びる円筒形に形成され、その内周面がエアゾール缶2のバルブ4のバルブボディ41に装着可能に構成されている。内筒部51の上端には、中心に小判形孔51bを有する天板部51cが設けられている。外筒部52は、周方向における一部の領域(Y方向の一方側)が欠如されており、そのために不完全な円筒形になっている。連結部53は、内筒部51の下端と外筒部52の下端とを連結するように構成されている。
【0023】
台座5がエアゾール缶2に装着された場合には、天板部51cの小判形孔51bからエアゾール缶2の第1ステム42および第2ステム43が突出され、外筒部52の外周面がエアゾール缶2の外周面に面一に連なるようになっている。
【0024】
また、外筒部52において横方向(X方向)で対向する二箇所には、可動片521が設けられている。可動片521は、弾性変形可能な舌片状に形成され、その上端には周方向に平行に延びる二つの突条部522および523が設けられている。突条部522および523は径方向外側に突出するように形成され、突条部522が突条部523に対して上側に配置されている。そして、突条部522および523の間に吐出ヘッド6の後述する架橋部622が嵌め込まれることにより、台座5と吐出ヘッド6とが連結されるようになっている。なお、可動片521が径方向内側に弾性変形されると、突条部522と架橋部622との係合が解除されることにより、台座5と吐出ヘッド6とが分離可能になる。
【0025】
吐出ヘッド6は、台座5の上部に着脱可能に取り付けられるものであり、ノズル61および枠部62を有している。すなわち、吐出ヘッド6は、台座5を介してエアゾール缶2に着脱可能に設けられている。ノズル61は、枠部62の後述する第1連結部62c1に弾性アーム65(
図8参照)を介して片持ち梁状に支持されるようになっている。このため、ノズル61は、枠部62に対して上下方向(Z方向)に移動可能に設けられている。
【0026】
ノズル61には、エアゾール缶2の第1ステム42および第2ステム43が接続され、第1ステム42からの内容物と第2ステム43からの内容物とを合流させて吐出させるための通路が設けられている。この通路は、
図8に示すように、第1下開き凹部61aと、第2下開き凹部61bと、第1縦孔61cと、第2縦孔61dと、合流部61fと、横孔61eとで構成されている。
【0027】
第1下開き凹部61aおよび第2下開き凹部61bは、ノズル61において弾性アーム65と連結される部位の下側に設けられている。第1下開き凹部61aおよび第2下開き凹部61bは、ノズル61の幅方向(X方向)に間隔を隔てて配置されている。第1下開き凹部61aは第1ステム42と嵌合可能に構成され、第2下開き凹部61bは第2ステム43と嵌合可能に構成されている。このため、ノズル61は、下向きに移動された場合に第1ステム42および第2ステム43を押し下げるように構成されている。
【0028】
第1縦孔61cおよび第2縦孔61d(
図7参照)は、第1下開き凹部61aおよび第2下開き凹部61bと合流部61fとの間に配置されている。第1縦孔61cは、第1下開き凹部61aと合流部61fとを連通させるとともに、第2縦孔61dは、第2下開き凹部61bと合流部61fとを連通させるようになっている。合流部61fは、ノズル61において弾性アーム65と連結される部位の上側に設けられ、第1縦孔61cおよび第2縦孔61dと横孔61eとの間に配置されている。
【0029】
横孔61eは、前後方向(Y方向)に延びるように形成されている。横孔61eは、一端側(後方側)が合流部61fに臨み、他端側(前方側)が外へ向けて開放されている。すなわち、横孔61eの他端側(外側開口)が、二種類の内容物を合流させて外側に吐出させるための吐出口である。
【0030】
ノズル61において弾性アーム65と連結される部位の上部には、
図5および
図6に示すように、合流部61fを開閉するための開閉部63がヒンジ64を介して設けられている。開閉部63は、ヒンジ64を支点として後方側に伏せるように回動されることにより合流部61fを閉塞する状態にされる一方、ヒンジ64を支点として前方側に引き離すように回動されることにより合流部61fを開放する状態にされるようになっている。開閉部63には、矩形枠状の凸部631が設けられている。凸部631は、開閉部63を閉塞状態にしたときに、合流部61fに嵌入されるように形成されている。
【0031】
開閉部63におけるヒンジ64とは反対側には、ノズル61を下向きに移動させる際に使用者によって操作される操作片66が設けられている。操作片66は、開閉部63が閉塞状態のときに、開閉部63に対して後方側に配置されている。すなわち、開閉部63が閉塞状態のときに、操作片66がノズル61に対して後方側に配置されている。なお、操作片66に関する詳細については後述する。
【0032】
枠部62は、台座5を介してエアゾール缶2に取付可能であり、ノズル61を移動可能に支持している。枠部62は、
図4に示すように、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bを有している。第1立壁部62aおよび第2立壁部62bは、横方向(X方向)においてノズル61および操作片66を挟んで対向するように配置されている。なお、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bは、本発明の「立壁部」の一例である。
【0033】
第1立壁部62aは横方向と直交する内側面62a1を有し、内側面62a1がノズル61および操作片66と間隔を隔てて配置されている。第2立壁部62bは横方向と直交する内側面62b1を有し、内側面62b1がノズル61および操作片66と間隔を隔てて配置されている。第1立壁部62aおよび第2立壁部62bは、
図3に示すように、第1連結部62c1および第2連結部62c2により連結されている。
【0034】
第1連結部62c1は、前方側(
図3における左側)において、第1立壁部62aの下端部と第2立壁部62bの下端部とを連結するように構成されている。第2連結部62c2は、後方側(
図3における右側)において、第1立壁部62aの下端部と第2立壁部62bの下端部とを連結するように構成されている。第1連結部62c1には、
図8に示すように、弾性アーム65が形成されている。弾性アーム65は、第1連結部62c1から後方に向けて斜め上方に延びるように形成され、後端部(上端部)がノズル61と連結されている。
【0035】
また、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bは、ノズル61および操作片66の上端よりも高くなっている。第1立壁部62aおよび第2立壁部62bの外面(
図1および
図2参照)は、台座5の外筒部52の外周面と面一に連なるように丸みを帯びた形状に形成されている。
【0036】
そして、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bの外側面の下端にはそれぞれ係合孔621が設けられ、その係合孔621の下方に架橋部622が形成されている。この係合孔621は、周方向に延びるように形成され、可動片521の突条部522が嵌合可能に構成されている。
【0037】
[操作片]
操作片66の下方には、
図2に示すように、平坦な受け面67が設けられている。受け面67は、ノズル61の下側から後方に突出する板状体である。また、操作片66は、ノズル61の上側(開閉部63)から後方に突出する板状体であり、受け面67と平行に配置されている。このため、操作片66および受け面67は、ノズル61と前後方向(Y方向)に隣接するように設けられ、ノズル61に対して後方に配置されている。操作片66の上面は、たとえば平坦に形成されている。
【0038】
ここで、操作片66の下面には、
図4に示すように、下方に突出する突部66aが形成されている。突部66aは、開閉部63が閉塞状態のときに、受け面67と当接されるように形成されている。具体的に、突部66aは、操作片66の幅方向(X方向)において中央部が両端部に対して下方に位置するように弧状に湾曲されている。このため、突部66aは、受け面67の幅方向の中央部に接触されるようになっている。すなわち、突部66aと受け面67との接触位置が、横方向(X方向)における第1ステム42および第2ステム43の間の中間位置となるようにされている。
【0039】
また、
図8に示すように、突部66aは、前後方向(Y方向)において後方に進むほど突出量が大きくなるように形成されている。このため、突部66aと受け面67とが後方側(
図8における右側)で当接されている。すなわち、前方側(
図8における左側)では、突部66aと受け面67との間に隙間が形成され、その隙間が前方側に進むほど大きくなるようになっている。
【0040】
そして、前後方向において操作片66および受け面67と弾性アーム65との間に、第1ステム42および第2ステム43が配置されている。したがって、使用者により操作片66が押し下げられると、ノズル61において弾性アーム65と連結される部位が押し下げられることにより、第1ステム42および第2ステム43が押し下げられる。ここで、使用者による操作片66の押下時に、操作片66が歪むことから、押下力が突部66aを介して受け面67に伝達されるようになっている。このため、操作片66の幅方向の端部が押下されても、突部66aにより受け面67の幅方向の中央部を押すことが可能である。
【0041】
操作片66は、
図3に示すように、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bの間に配置されている。操作片66の後端部は、第2連結部62c2の外周に対して内側(前方側)に配置されている。
図8に示すように、操作片66は、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bの上端部よりも下方に配置されている。また、枠部62が台座5を介してエアゾール缶2に取り付けられた場合に、操作片66の幅方向に第1ステム42および第2ステム43が並ぶように構成されている。
【0042】
-取付手順-
次に、
図1を参照して、エアゾール缶2にノズルユニット3を取り付ける手順について説明する。
【0043】
まず、エアゾール缶2(
図1参照)にノズルユニット3の台座5(
図1参照)が装着される。具体的には、エアゾール缶2のバルブ4のバルブボディ41に台座5の内筒部51が嵌め合わされる。次に、台座5の上に吐出ヘッド6(
図1参照)が装着される。具体的には、台座5の可動片521を使用者が径方向内側に押し込むことにより、可動片521が径方向内側に弾性変形された状態で、台座5に吐出ヘッド6が嵌め合わされる。そして、可動片521の弾性変形が解除されると、可動片521の突条部522が係合孔621に嵌め込まれる。すなわち、突条部522が架橋部622と係合されることにより、吐出ヘッド6が台座5に取り付けられる。
【0044】
-使用時の動作-
次に、
図8を参照して、二液吐出器1の使用時の動作について説明する。
【0045】
使用者によって吐出ヘッド6(
図8参照)の操作片66が押されると、操作片66の突部66aによって受け面67が押される。このため、操作片66および受け面67とともにノズル61が、枠部62の第1連結部62c1を支点として下向きに移動(傾動)される。これにより、ノズル61によってエアゾール缶2の第1ステム42および第2ステム43が押し下げられる。このため、第1ステム42および第2ステム43からエアゾール缶2の二種類の内容物が同時に吐出される。第1ステム42からの内容物が第1縦孔61cを介して合流部61fに流入し、第2ステム43からの内容物が第2縦孔61dを介して合流部61fに流入する。合流部61fで合流した二種類の内容物は横孔61eに流入し、横孔61eの外側開口(ノズル61の吐出口)から吐出される。すなわち、第1ステム42および第2ステム43からの内容物がノズル61の通路を通過して吐出口から吐出される。
【0046】
-洗浄手順-
次に、
図1および
図6~
図8を参照して、ノズル61の洗浄を行う手順を説明する。
【0047】
まず、吐出ヘッド6(
図1参照)が台座5(
図1参照)から取り外される。具体的には、台座5の可動片521を使用者が径方向内側に押し込むと、可動片521が径方向内側に弾性変形されることにより、突条部522と架橋部622との係合が解除され、その状態で吐出ヘッド6が台座5から上方に引き離される。次に、開閉部63がヒンジ64を支点として回動されることにより、
図6に示すように、合流部61fが開放される。この状態で、合流部61f、第1縦孔61c(
図7参照)、第2縦孔61d(
図7参照)、第1下開き凹部61a(
図8参照)、第2下開き凹部61b(
図8参照)および横孔61eが水などで洗浄される。これにより、それらに付着した二種類の内容物を容易に洗い落とすことが可能になる。なお、ノズル61の洗浄作業は、吐出ヘッド6が台座5に取り付けられた状態で行われてもよい。
【0048】
-効果-
第1実施形態では、上記のように、ノズル61に平坦な受け面67が設けられ、受け面67が操作片66の下方に配置され、受け面67と当接される突部66aが操作片66に形成されている。このように構成することによって、使用者が操作片66を押し下げる力が突部66aを介して受け面67に伝達されるので、第1ステム42および第2ステム43に作用する力の均等化を図ることができる。
【0049】
また、第1実施形態では、幅方向において中央部が両端部に対して下方に位置するように突部66aが弧状に湾曲されることによって、使用者が操作片66を押し下げる際に、操作片66の幅方向の端部が押されても、突部66aにより受け面67の幅方向の中央部を押すことができる。これにより、操作片66の幅方向に並ぶ第1ステム42および第2ステム43にノズル61を介して作用する力のばらつきを抑制することができる。したがって、第1ステム42からの内容物の吐出量と第2ステム43からの内容物の吐出量との均等化を図ることができる。
【0050】
また、第1実施形態では、操作片66および受け面67がノズル61と一体的に形成されることによって、部品点数の増加を抑制することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bの上端部が操作片66よりも高くされることによって、第1立壁部62aおよび第2立壁部62bにより操作片66への意図しないアクセスが制限されるので、操作片66が誤操作されにくくすることができる。
【0052】
また、第1実施形態では、ノズル61に開閉部63が形成されることによって、内容物の通路を容易に洗浄することができる。
【0053】
また、第1実施形態では、ノズルユニット3が台座5および吐出ヘッド6の二つの部品で構成されることによって、構成部品点数が少なく、製造コストの低減を図ることができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、
図9および
図10を参照して、本発明の第2実施形態による二液吐出器200の構造について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、操作片223がノズル222と別体で構成されている。
【0055】
二液吐出器200は、
図9および
図10に示すように、2本のエアゾール缶210と、そのエアゾール缶210に設けられる吐出ヘッド220とを備えている。なお、二液吐出器200は本発明の「吐出装置」の一例であり、2本のエアゾール缶210は本発明の「容器」の一例である。
【0056】
2本のエアゾール缶210は、隣接した状態で組み付けられ、内部にそれぞれ異なる種類の内容物が収容されている。各エアゾール缶210は、ステム210a(
図10参照)を有し、ステム210aが押し下げられた場合にステム210aから内容物を吐出するように構成されている。
【0057】
吐出ヘッド220は、ケース221およびノズル222を含み、2本のステム210aを押し下げて内容物を吐出させるために設けられている。ケース221は、2本のエアゾール缶210の上部に取り付けられるケース本体221aと、ケース本体221aの上端面を覆うカバー221bとを有する。なお、ケース221は本発明の「枠部」の一例である。
【0058】
ノズル222は、ケース本体221aの内部に上下方向に移動可能に収容され、下向きに移動された場合にステム210aを押し下げるように構成されたている。また、ノズル222は、2本のステム210aからの内容物の通路(図示省略)が設けられ、その通路を通過した内容物が吐出口222a(
図9参照)から吐出されるように構成されている。ノズル222の上側には、平坦な受け面222b(
図10参照)が形成されている。
【0059】
カバー221bには、ノズル222を下向きに移動させる際に使用者によって操作される操作片223が形成されている。操作片223の下面には、下方に突出する突部223aが形成されている。操作片223の下方に受け面222bが配置され、突部223aが受け面222bに当接されている。具体的に、突部223aは、操作片223の幅方向において中央部が両端部に対して下方に位置するように弧状に湾曲されている。このため、突部223aは、受け面222bの幅方向の中央部に接触されるようになっている。すなわち、突部223aと受け面222bとの接触位置が、横方向における2本のステム210aの間の中間位置となるようにされている。
【0060】
そして、使用者による操作片223の押下時に、操作片223が歪むことから、押下力が突部223aを介して受け面222bに伝達されるようになっている。このため、操作片223の幅方向の端部が押下されても、突部223aにより受け面222bの幅方向の中央部を押すことが可能である。
【0061】
なお、第2実施形態の効果は、第1実施形態と同様である。
【0062】
(他の実施形態)
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
たとえば、第1実施形態では、本発明の容器の一例としてエアゾール缶2を示したが、これに限らず、本発明の容器が、加圧式ポンプが設けられた容器であってもよい。
【0064】
また、第1実施形態では、エアゾール缶2に二本のステム(第1ステム42および第2ステム43)が設けられる例を示したが、これに限らず、エアゾール缶に三本以上のステムが設けられていてもよい。
【0065】
また、第1実施形態では、ノズルユニット3が二つの部品で構成される例を示したが、これに限らず、ノズルユニットが三つ以上の部品で構成されていてもよい。また、台座が設けられておらず、吐出ヘッドのみからなっていてもよい。
【0066】
また、第1実施形態では、開閉部63が閉塞状態のときに、突部66aが受け面67に当接される例を示したが、これに限らず、操作片が押し下げられるときに突部が受け面に接触するようにすれば、開閉部が閉塞状態のときに突部が受け面と離間されていてもよい。
【0067】
また、第1実施形態において、
図11に示す第1変形例による吐出ヘッド6aのように、開閉部63と操作片66との間に脆弱部661が形成されていてもよい。脆弱部661は、幅方向の両端に形成された切欠き661aによって構成されている。このようにすれば、操作片66が歪みやすくすることができる。なお、脆弱部661が切欠き661aで構成される例を示したが、これに限らず、脆弱部が薄肉部で構成されていてもよい。
【0068】
また、第1実施形態では、操作片66の上面が平坦に形成される例を示したが、これに限らず、操作片の上面の形状はどのようなものであってもよい。たとえば、
図12に示す第2変形例による吐出ヘッド6bのように、操作片66の上面に球冠状の凹部662が形成されていてもよい。また、
図13に示す第3変形例による吐出ヘッド6cのように、操作片66の上面に複数の突起663が形成されていてもよい。複数の突起663は、幅方向に延びるように形成され、前後方向に間隔を隔てて配置されている。これらによれば、使用者の指が滑りにくくすることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、平坦な操作片66の下面に、下方に突出する突部66aが設けられる例を示したが、これに限らず、操作片が断面U字状に形成されることにより、下方に突出する突部が設けられていてもよい。
【0070】
なお、上記した各変形例を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、複数のステムを押し下げて内容物を吐出させるための吐出ヘッドおよびそれを備える吐出装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1、200 二液吐出器(吐出装置)
2、210 エアゾール缶(容器)
6、6a、6b、6c、220 吐出ヘッド
42 第1ステム(ステム)
43 第2ステム(ステム)
61、222 ノズル
62 枠部
62a 第1立壁部(立壁部)
62b 第2立壁部(立壁部)
63 開閉部
66、223 操作片
66a、223a 突部
67、222b 受け面
210a ステム
221 ケース(枠部)