(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076173
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
F16L 19/025 20060101AFI20240529BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16L19/025
F16L23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187603
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 聡
【テーマコード(参考)】
3H014
3H016
【Fターム(参考)】
3H014CA05
3H016AA05
3H016AB02
3H016AB07
3H016AC03
3H016AD04
(57)【要約】
【課題】
フィルター部材や自閉式弁部材等、可撓性を有する周縁を備えた配管部材を配管内に取り付ける配管構造において、接続に螺合など回転を利用した接続方法を利用する場合に、周縁に捩れが生じないよう作業者は注意する必要があり容易な接続を行うことが困難であった。
【解決手段】
配管構造を、略筒状の第一部材と、前記第一部材の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材と、前記第一部材と前記第二部材の間に配置され両者と水密的に当接する環状の止水部材と、前記第一部材の端面又は前記第二部材の端面又は前記止水部材の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部と、可撓性を有する周縁が前記窪み部に収納されると共に、少なくとも前記窪み部に収納された前記周縁が前記止水部材と水密的に当接する配管部材と、回転により前記第一部材と前記第二部材とを接続する接続構造と、を備えて構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状の第一部材と、
前記第一部材の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材の間に配置され両者と水密的に当接する環状の止水部材と、
前記第一部材の端面又は前記第二部材の端面又は前記止水部材の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部と、
可撓性を有する周縁が前記窪み部に収納されると共に、少なくとも前記窪み部に収納された前記周縁が前記止水部材と水密的に当接する配管部材と、
回転により前記第一部材と前記第二部材とを接続する接続構造と、
を備えてなることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
略筒状の第一部材と、
前記第一部材の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材と、
前記第一部材の端面又は前記第二部材の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部と、
可撓性を有する周縁が前記窪み部に収納されると共に、少なくとも前記窪み部に収納された前記周縁が前記第一部材及び前記第二部材に挟持される配管部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを前記第一部材及び前記第二部材の側面位置で水密的に当接させる止水部材と、
回転により前記第一部材と前記第二部材とを接続する接続構造と、
を備えてなることを特徴とする配管構造。
【請求項3】
前記周縁の軸方向の長さは、前記窪み部の軸方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記配管部材が、前記配管構造の流路上の不要物の通過を防止するフィルター部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【請求項5】
前記配管部材が、弾性を備えた自閉式弁部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【請求項6】
前記第二部材が、前記第一部材の端面に近接するものであって、端面を備えた略筒状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【請求項7】
前記第二部材が、前記第一部材の端面を覆うと共に、前記第二部材の開口が前記第一部材の内部に連通する状態で接続される端部用カバーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【請求項8】
前記配管部材の前記周縁が、前記窪み部に貼着されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の構造に関するものであって、更に詳しくは配管内の流体の通過を管理する弁部材やフィルター部材の取り付けを好適に行える配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気体や液体など、流体を通過させる配管には、配管内に備えられる配管部材として、流体の逆流を防止するための弁部材や、流体中の塵芥等を取り除くためのフィルター部材が配置される場合がある。
特許文献1の第四実施例に記載の配管構造では、配管部材として流体の逆流を防止するための弁部材を配管内に配置するための配管構造が記載されている。
特許文献1の第四実施例に記載の配管構造は、以下に記載する、弁部材(逆流防止弁本体)、第一部材(上流側筒部材)、第二部材(下流側筒部材)から構成される。
弁部材は所謂メンブレン弁と呼ばれる、ゴムなどの弾性素材からなる弁部材であって、弾性を備えた筒体の一方の端部の内面同士が当接して通常時は閉口し流体の通過時のみ開口する開閉部を備えて構成され、筒体の他方の端部は側面方向に周縁となる部分(鍔部)を設けてなる。
第一部材、第二部材はそれぞれ筒状体であって、第一部材は雄ネジ部を、第二部材は雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を、それぞれ備えてなる。
【0003】
上記従来の配管構造は以下のようにして接続される。
弁部材を第二部材の内部に配置し、第一部材の端面と第二部材の端面の間に弁部材の周縁を挟持した状態で、第一部材の雄ネジ部に第二部材の雌ネジ部を螺合させる。螺合が進むと第一部材と第二部材の間に弁部材の周縁が挟持されて、従来の配管構造の接続が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した配管構造の接続の際に、螺合のため第一部材を回転させると、弁部材の周縁の内、第二部材に当接している弁部材の周縁の下面は静止状態であるが、第一部材に接している弁部材の周縁の上面は第一部材に当接して摩擦により第一部材と共に回転し、周縁に捩れや捩れによる皺が生じる恐れがあるため、作業者は接続時に捩れが生じないように注意をする必要があり、接続作業の効率が悪いという問題があった。
【0006】
第二部材自体から雌ネジ部を無くし、代わりに雌ネジ部を備えた袋ナットを第二部材に回動可能に係止させることで、雌ネジ部を第二部材とは別部材とし、接続の際に第一部材及び第二部材が静止状態となるようにする方法も考えられるが、実際には螺合の最終段階で、袋ナットを係止している第二部材が袋ナットと供回りを起こし回転を生じるため、やはり作業者は接続時に捩れが生じないように注意をする必要があり、上記問題の解決には至らなかった。
【0007】
上記特許文献1に記載の発明では配管部材として弁部材が採用されているが、上記問題点は、例えばフィルター部材等、周縁の部分が可撓性を有する配管部材全般において生じる問題である。
本発明は上記事情に鑑み発明されたものであって、可撓性を有する周縁を備えた配管部材を配管内に取り付ける配管構造において、螺合など回転を利用した接続方法を利用した場合でも、配管部材の周縁に捩れや皺の生じない接続を容易に行うことのできる配管構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明は、略筒状の第一部材と、
前記第一部材の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材の間に配置され両者と水密的に当接する環状の止水部材と、
前記第一部材の端面又は前記第二部材の端面又は前記止水部材の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部と、
可撓性を有する周縁が前記窪み部に収納されると共に、少なくとも前記窪み部に収納された前記周縁が前記止水部材と水密的に当接する配管部材と、
回転により前記第一部材と前記第二部材とを接続する接続構造と、
を備えてなることを特徴とする配管構造を特徴とする。
【0009】
第二の発明は、略筒状の第一部材と、
前記第一部材の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材と、
前記第一部材の端面又は前記第二部材の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部と、
可撓性を有する周縁が前記窪み部に収納されると共に、少なくとも前記窪み部に収納された前記周縁が前記第一部材及び前記第二部材に挟持される配管部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを前記第一部材及び前記第二部材の側面位置で水密的に当接させる止水部材と、
回転により前記第一部材と前記第二部材とを接続する接続構造と、
を備えてなることを特徴とする配管構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、可撓性を有する周縁を備えた配管部材を配管内に取り付ける配管構造において、止水部材を用いて第一部材と第二部材とを水密に接続させると共に、窪み部に配管部材の周縁を配置し、配管部材と止水部材の当接を行うことで、螺合など回転を利用した接続方法を利用する場合でも、止水部材と配管部材の周縁との当接の強さを調整し、容易に配管部材の周縁に捩れや皺の生じない接続を行うことができる。
また、本発明によれば、可撓性を有する周縁を備えた配管部材を配管内に取り付ける配管構造において、第一部材と第二部材の側面位置に止水部材を用いて水密に当接させると共に、窪み部に配管部材の周縁を配置し、第一部材と第二部材とで配管部材の周縁を挟持することで、螺合など回転を利用した接続方法を利用する場合でも、第一部材及び第二部材と配管部材の周縁との当接の強さを調整し、容易に配管部材の周縁に捩れや皺の生じない挟持を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一の実施の形態の配管構造を示す断面図である。
【
図3】
図1のA部における、(a)止水部材がフィルター部材に当接する前の状態を、(b)配管構造の接続が完了した状態を、それぞれ示す拡大図である。
【
図4】第二の実施の形態の配管構造を示す断面図である。
【
図5】第二の実施の形態の第一部材近傍を示す断面図である。
【
図7】
図5のB部における、(a)止水部材がフィルター部材に当接する前の状態を、(b)配管構造の接続が完了した状態を、それぞれ示す拡大図である。
【
図8】第三の実施の形態の配管構造を示す断面図である。
【
図10】
図8のC部における、(a)自閉式弁部材の周縁が第一部材に当接する前の状態を、(b)配管構造の接続が完了した状態を、それぞれ示す拡大図である。
【
図11】止水部材に窪み部を設けた実施の形態の配管構造を示す断面図である。
【
図12】
図11のD部における、(a)自閉式弁部材の周縁が第一部材に当接する前の状態を、(b)配管構造の接続が完了した状態を、それぞれ示す拡大図である。
【
図13】第一の実施の形態の窪み部の深さがフィルター部材の厚みよりも深い場合における、(a)止水部材がフィルター部材に当接する前の状態を、(b)配管構造の接続が完了した状態を、それぞれ示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の態様に係る配管構造は、略筒状の第一部材1と、
前記第一部材1の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材2と、
前記第一部材1と前記第二部材2の間に配置され両者と水密的に当接する環状の止水部材3と、
前記第一部材1の端面又は前記第二部材2の端面又は前記止水部材3の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部4と、
可撓性を有する周縁が前記窪み部4に収納されると共に、少なくとも前記窪み部4に収納された前記周縁が前記止水部材3と水密的に当接する配管部材と、
回転により前記第一部材1と前記第二部材2とを接続する接続構造と、
を備えてなることを特徴とする配管構造である。
【0013】
本態様によれば、窪み部4に配管部材の周縁を配置することで、第一部材1と第二部材2との接続に螺合など回転を利用した接続方法を利用する場合でも、止水部材3と配管部材の周縁との当接の強さを調整し、配管部材の周縁に捩れや皺の生じない配管接続を行うことができる。
【0014】
また、本発明の第2の態様に係る配管構造は、略筒状の第一部材1と、
前記第一部材1の端面に近接するものであって、開口を有する第二部材2と、
前記第一部材1の端面又は前記第二部材2の端面の少なくともいずれか一つに備えられる窪み部4と、
可撓性を有する周縁が前記窪み部4に収納されると共に、少なくとも前記窪み部4に収納された前記周縁が前記第一部材1及び前記第二部材2に挟持される配管部材と、
前記第一部材1と前記第二部材2とを前記第一部材1及び前記第二部材2の側面位置で水密的に当接させる止水部材3と、
回転により前記第一部材1と前記第二部材2とを接続する接続構造と、
を備えてなることを特徴とする配管構造である。
【0015】
本態様によれば、窪み部4に配管部材の周縁を配置することで、第一部材1と第二部材2との接続に螺合など回転を利用した接続方法を利用する場合でも、第一部材1及び第二部材2と配管部材の周縁との当接の強さを調整し、配管部材の周縁に捩れや皺の生じない配管接続を行うことができる。
【0016】
また、本発明の第3の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記周縁の軸方向の長さを、前記窪み部4の軸方向の長さよりも長くなるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、配管部材の周縁の軸方向の長さを、窪み部4の軸方向の長さよりも長くしたことで、配管部材の周縁が止水部材3と確実に当接する、又は配管部材の周縁が第一部材1及び第二部材2に確実に挟持される構造にできる。
【0018】
また、本発明の第4の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記配管部材を、前記配管構造の流路上の不要物の通過を防止するフィルター部材5にて構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、配管部材をフィルター部材5とすることで、配管構造の流路上を通過する流体に含まれる不要物の通過を防止することができる。
【0020】
また、本発明の第5の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記配管部材を、弾性を備えた自閉式弁部材6として構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、配管部材を自閉式弁部材6とすることで、配管構造の流路上を通過する流体の逆流を防止することができる。
【0022】
また、本発明の第6の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記第二部材2を、前記第一部材1の端面に近接するものであって、端面を備えた略筒状として構成してもよい。
【0023】
本態様によれば、第二部材2を第一部材1の端面に近接する端面を備えた筒状の部材とすることで、配管構造の流路上に配管部材を配置することができる。
【0024】
また、本発明の第7の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記第二部材2を、前記第一部材1の端面を覆うと共に、第二部材2の開口が第一部材1の内部に連通する状態で接続される端部用カバー7として構成してもよい。
【0025】
本態様によれば、第二部材2が前記第一部材1の端面を覆うと共に、第二部材2の開口が第一部材1の内部に連通する状態で接続される端部用カバー7とすることで、配管内の流路を外部に解放することができる。
【0026】
また、本発明の第8の態様に係る排水装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記配管部材の前記周縁が、前記窪み部4に貼着されるように構成してもよい。
【0027】
本態様によれば、配管部材の周縁を窪み部4に容易に配置することができる。
【0028】
以下に、本発明の第一の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
尚、以下で説明する実施の形態は、包括的な、又は具体的な例を示すものであって、数値や形状、素材、構成要素とその配置・位置、接続形態、手順等は一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施の形態における各構成の内、独立項に記載されていない構成は、必要に応じて適宜変更可能な構成である。
また、以下の説明において「軸方向」と記載する場合は、第一部材1、第二部材2、又は止水部材3の中心軸の方向を意味するものである。
【0029】
まず、配管部材について説明する。本実施の形態における配管部材は、以下に説明するフィルター部材5である。
本実施の形態のフィルター部材5は、撥水機能を備えたテフロン(登録商標)と呼ばれる、表面の水接触角が90度以上となるポリ四フッ化エチレンを主原料とし、0.1マイクロメートル乃至10マイクロメートル程度の大きさの小孔を多数備えた多孔質膜に成型することでフィルター部材5として構成したものである。
本実施の形態のポリ四フッ化エチレンと主原料とした多孔質膜からなるフィルター部材5の厚み(軸方向の長さ)は、0.4ミリメートル程度であり、後述する窪み部4の形状に合致するように、直径32ミリメートル程度の円形形状に切断する。
上記したフィルター部材5は、その厚みが0.4ミリメートル程度であることと、ポリ四フッ化エチレンの素材に由来する樹脂弾性により、周縁5aを含むその全体が可撓性及び弾性を備えてなる。
更に、フィルター部材5は、その一方の面であって、外縁から内径側に約2ミリメートル程度の幅に貼着用の糊を塗布してなる。
【0030】
上記のように構成したフィルター部材5は、小孔からの気体の通過を許容すると共に、その撥水性によって湯水等液体を表面から弾くことで湯水等液体の通過を許容しない。
このようにして、本実施の形態のフィルター部材5は、流体の内、気体は通過させるが液体は不要物として通過させない、という機能を有する。また、気体の通過の際に気体の中に含まれる塵芥等も不要物として取り除く機能を有する。
【0031】
次に、第一の実施の形態の配管構造について、以下に記載する。
図1乃至
図3に図示した本実施の形態の配管構造は、前述した配管部材としてのフィルター部材5と、以下に記載する第一部材1、第二部材2、袋ナット10、止水部材3より構成される。
【0032】
第一部材1は、
図1、
図2に示したような円筒部分と、この円筒部分の端部から外側方向に拡径した円筒を成す収納部1aとから構成されてなる。
円筒部分は、内径約29ミリメートル、外径約36ミリメートル程度の管体であって、配管構造の管体を構成する。
また、収納部1aの内周の端部部分にはテーパー面1bを備えてなる。
また、第一部材1はその一端の端面に、同心円状に、円形形状の窪み部4を形成してなる。
窪み部4の形状は、外径が33ミリメートル程度であり、その深さ(軸方向の長さ)は約0.2ミリメートルである。尚、この窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は、事前にフィルター部材5を用いた試験によって、後述する螺合による第一部材1と第二部材2の接続の際に、フィルター部材5の周縁5aに捩れによる皺が生じない程度の強さで当接する深さを検証し、導き出した深さに設計されている。
収納部1aは、内径が約37ミリメートル程度の円筒形状を成す部分であって、後述する第二部材2の端部を収納する。また、収納部1aの外周部分には雄ネジ部9が形成されてなる。
【0033】
第二部材2は、
図1、
図2に示したような内径約29ミリメートル、外径約36ミリメートル程度の、端部に開口を備えた略円筒状の部材であって、配管構造の管体を構成する。第二部材2の外周部分には外側面に沿って鍔部8を形成してなる。
また、この鍔部8に、第一部材1の雄ネジ部9に螺合する雌ネジ部10aを備えた袋ナット10を回動可能に係止してなる。
【0034】
止水部材3は、ゴム等の弾性を有する素材からなり、内径が29ミリメートル、外径が36ミリメートル程度の断面が長方形を成す円環状の部材である。
【0035】
次に、第一の実施の形態の接続方法について、以下に記載する。
まず、フィルター部材5の糊を塗布された面を利用して、
図3(a)にあるように、窪み部4にフィルター部材5を貼着する。
次に、収納部1aに止水部材3を配置し、更に収納部1aに第二部材2の端部を挿入する。
更に、第一部材1の雄ネジ部9に、第二部材2に係止されている袋ナット10の雌ネジ部10aを螺合させることで、回転を利用した接続構造である螺合によって第一部材1と第二部材2が近接し、最終的に
図1及び
図3(b)にあるように、第一部材1の端面と第二部材2の端面がそれぞれ止水部材3に当接した状態となって本実施の形態の配管構造の施工が完了する。
【0036】
この施工が完了した状態では、止水部材3の第一部材1側は第一部材1の円筒部分の端面及びフィルター部材5の周縁5aの両方に水密的且つ気密的に当接し、止水部材3の第二部材2側は第二部材2の端面と水密的且つ気密的に当接している。
前述の通り、フィルター部材5の厚み(軸方向の長さ)が0.4ミリメートル程度に対し、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は0.2ミリメートル程度であり、
図3(a)に示したように、フィルター部材5は、第一部材1の円筒部分の端面に対して0.2ミリメートル程度突出した状態となる。
これに対して止水部材3の第一部材1及びフィルター部材5に当接する面は平坦面であるが、止水部材3はゴム等の弾性素材からなるため、接続の際に弾性変形することで、
図3(b)に示したように、突出しているフィルター部材5だけではなく第一部材1の端面にも同時に当接する。
【0037】
また、上記した第一部材1と第二部材2の接続に際して、螺合の最終段階では、袋ナット10を回転させる際に、袋ナット10と第二部材2の鍔部8が強く当接して摩擦を生じることで、袋ナット10の回転に併せて第二部材2全体が若干回転し、この回転により第二部材2に当接する止水部材3も若干回転する。
しかし、配管部材であるフィルター部材5は窪み部4に収納されており、第一部材1の円筒部分の端面に窪み部4が無い場合に比べ、フィルター部材5の周縁5aに作用する応力が小さい状態で止水部材3が第一部材1の円筒部分の端面に当接して接続が完了するため、フィルター部材5の周縁5aには捩れによる皺が生じることは無い。実際には、段落0032に記載したように、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は、事前に試験を通じてフィルター部材5に捩れによる皺が生じない程度の強さで当接する深さを導き出し、その深さに設計されている。
【0038】
上記した第一の実施の形態の配管構造内に、第一部材1又は第二部材2の一方から他方に気体が通過しようとする場合、フィルター部材5は気体の通過を許容し、気体は一方からフィルター部材5を通過し支障なく他方に流出する。その際に、気体に含まれていた煤などの塵芥はフィルター部材5に捕集される。
【0039】
また、上記した第一の実施の形態の配管構造内に、第一部材1又は第二部材2の一方から他方に湯水等の液体が通過しようとする場合、フィルター部材5はその撥水性によって水滴も含め液体の通過を許容しない。このため、湯水等の液体は水滴等の場合も含め、一方の管体に留まったままとなり他方の管体に流出することは無い。
【0040】
前述したように、施工が完了した状態では、止水部材3の第一部材1側は第一部材1の円筒部分の端面及び止水部材3の周縁5aの両方に水密的且つ気密的に当接し、止水部材3の第二部材2側は第二部材2の端面と水密的且つ気密的に当接している。このため、第一部材1の内部と第二部材2の内部はフィルター部材5によって区画され、第一部材1及びフィルター部材5と止水部材3の当接部分、又は第二部材2と止水部材3の当接部分から、配管構造内の流体が漏れることは無い。
【0041】
上記第一の実施の形態では、窪み部4を設け、窪み部4にフィルター部材5を貼着し、第一部材1とフィルター部材5の両方が、止水部材3の一つの面に当接する構成としている。窪み部4にフィルター部材5の周縁5aが配置されていることで、止水部材3とフィルター部材5の周縁5aの当接と回転が、フィルター部材5の周縁5aに捩れが生じるほどの強さとなる前に、第一部材1と止水部材3の当接が行われて接続が完了する。
窪み部4の深さ(軸方向の長さ)はフィルター部材5の周縁5aの寸法や素材の強度に基づいて自在に調整することで、フィルター部材5の周縁5aが止水部材3に当接する際の応力の強さと、第一部材1の端面が止水部材3に当接する際の応力の強さをそれぞれの部材ごとに調整し、それぞれの部材ごとに支障なく気密的且つ水密的な接続を行うことができる。
【0042】
次に、本発明の第二の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、
図5乃至
図7においては、説明また理解を容易にするため、第一部材1及び第二部材2である端部用カバー7の中心軸が上下方向となるように図示している。
本実施の形態の配管構造は、配管部材としてのフィルター部材5と、以下に記載する第一部材1を備えたY字管11、第二部材2としての端部用カバー7、袋ナット10、止水部材3より構成される。
この内、フィルター部材5及び止水部材3は第一の実施の形態の同部材と同じ構成のため説明は省略し、以下に、第一部材1を備えたY字管11、第二部材2としての端部用カバー7、及び袋ナット10について説明する。
【0043】
Y字管11は、
図4に示したように上下に向けて設けられた管体部分である縦管部11aと、この縦管部11aの側面方向であって縦管部11aに対し上向きに約45度傾斜して設けられた管体部分である第一部材1と、から構成されている。
第一部材1は、
図5及び
図6に示したような内径約29ミリメートル、外径約39ミリメートル程度の端部に開口を備えた略円筒状の管体部分であって、この第一部材1の外周部分には外側面に沿って鍔部8が設けられてなり、またこの鍔部8に、雌ネジ部10aを備えた袋ナット10を回動可能に係止してなる。
【0044】
第二部材2としての端部用カバー7は、
図5及び
図6に示したような内径約29ミリメートル、外径約42ミリメートル程度の両端に端部に開口を備えた円筒部分からなる部材であって、その外周に、袋ナット10の雌ネジ部10aと螺合する雄ネジ部9を形成してなる。
また、第二部材2の一方の端面には、円筒部分に対して同心円状に、円形形状の窪み部4を形成してなる。
窪み部4の形状は、外径が約33ミリメートル程度であり、その深さ(軸方向の長さ)は約0.2ミリメートルである。尚、この窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は、事前にフィルター部材5を用いた試験によって、後述する螺合による第一部材1と第二部材2の接続の際に、フィルター部材5に捩れによる皺が生じない程度の強さで当接する深さを検証し、導き出した深さに設計されている。
また、円筒部分の他端には円筒部分の端部を解放し、通気可能とした状態で覆うカバー部7aを備えてなる。
【0045】
まず、フィルター部材5の糊を塗布された面を利用して、
図7(a)にあるように、窪み部4にフィルター部材5を貼着する。
次に、第一部材1の端面に止水部材3を配置し、更に第一部材1に係止した袋ナット10の雌ネジ部10aを端部用カバー7の雄ネジ部9に螺合させることで、回転を利用した接続構造である螺合によって第一部材1と端部用カバー7が近接し、最終的に
図4及び
図7(b)にあるように、第一部材1の端面と第二部材2である端部用カバー7の端面がそれぞれ止水部材3に当接した状態となって本実施の形態の配管構造の施工が完了する。
【0046】
この施工が完了した状態では、止水部材3の第一部材1側は第一部材1の端面に水密的且つ気密的に当接し、止水部材3の端部用カバー7側は端部用カバー7の円筒部分の端面及び配管部材であるフィルター部材5の周縁5aの両方と水密的且つ気密的に当接している。
前述の通り、フィルター部材5の厚み(軸方向の長さ)が0.4ミリメートル程度に対し、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は0.2ミリメートル程度であり、
図7(a)に示したように、フィルター部材5は、端部用カバー7の円筒部分の端面に対して0.2ミリメートル程度突出した状態となる。
これに対して止水部材3の端部用カバー7の円筒部分及びフィルター部材5に当接する面は平坦面であるが、止水部材3はゴム等の弾性素材からなるため、接続の際に弾性変形することで、
図7(b)に示したように、突出しているフィルター部材5だけではなく端部用カバー7の円筒部分の端面にも同時に当接する。
【0047】
また、上記した第一部材1と端部用カバー7の接続に際して、螺合の最終段階では、袋ナット10を回転させる際に、袋ナット10と第一部材1の鍔部8が強く当接して摩擦を生じることで、袋ナット10の回転に併せて第一部材1全体が若干回転し、この回転により端部用カバー7に当接する止水部材3も若干回転する。
しかし、配管部材であるフィルター部材5は窪み部4に収納されており、端部用カバー7の円筒部分の端面に窪み部4が無い場合に比べ、フィルター部材5の周縁5aに作用する応力が小さい状態で止水部材3が端部用カバー7の円筒部分の端面に当接して接続が完了するため、フィルター部材5の周縁5aには捩れによる皺が生じることは無い。実際には、段落0044に記載したように、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は、事前に試験を通じてフィルター部材5に捩れによる皺が生じない程度の強さで当接する深さを導き出し、その深さに設計されている。
【0048】
上記した第二の実施の形態の配管構造において、Y字管11の縦管部11aに排水が通過することで縦管部11a内が正圧となった場合、配管構造内の気体が、縦管部11aに接続されている第一部材1からフィルター部材5を通過し端部用カバー7の円筒部分の解放された端部より排出されることで、配管構造内を外気と同じ常圧とすることができる。
また、上記した第二の実施の形態の配管構造において、Y字管11の縦管部11aに排水が通過することで縦管部11a内が負圧となった場合、端部用カバー7の円筒部分の解放された端部より外気を吸引し、フィルター部材5を介して第一部材1から縦管部11a内に給気を行うことで、配管構造内を外気と同じ常圧とすることができる。
これらフィルター部材5を介して通気が行われる際に、気体に含まれていた煤などの塵芥はフィルター部材5に捕集される。
【0049】
また、上記した第二の実施の形態の配管構造において、縦管部11aを通過する排水又は縦管部11aを逆流する排水が、第一部材1側に侵入した場合に、第一部材1の端部に配置されたフィルター部材5はその撥水性によって水滴も含め液体の通過を許容しないため、排水は水滴等の場合も含め、第一部材1内に留まり、配管構造外に流出することは無い。
【0050】
また、前述したように、施工が完了した状態では、止水部材3の第一部材1側は第一部材1の円筒部分の端面に水密的且つ気密的に当接し、止水部材3の端部用カバー7側は端部用カバー7の円筒部分及びフィルター部材5の周縁5aの両方と水密的且つ気密的に当接している。このため、第一部材1の内部と端部用カバー7の内部はフィルター部材5によって区画され、第一部材1と止水部材3の当接部分、又は端部用カバー7及びフィルター部材5と止水部材3の当接部分から、配管構造内の流体が漏れることは無い。
【0051】
上記第二の実施の形態では、窪み部4を設け、窪み部4にフィルター部材5を貼着し、第二部材2である端部用カバー7とフィルター部材5の両方が、止水部材3の一つの面に当接する構成としている。窪み部4にフィルター部材5が配置されていることで、止水部材3とフィルター部材5の周縁5aの当接と回転が、フィルター部材5の周縁5aに捩れが生じるほどの強さとなる前に、端部用カバー7と止水部材3の当接が行われて接続が完了する。
窪み部4の深さ(軸方向の長さ)はフィルター部材5の周縁5aの寸法や素材の強度に基づいて自在に調整することで、フィルター部材5の周縁5aが止水部材3に当接する際の応力の強さと、第二部材2の端面が止水部材3に当接する際の応力の強さをそれぞれの部材ごとに調整し、それぞれの部材ごとに支障なく気密的且つ水密的な接続を行うことができる。
【0052】
次に、本発明の第三の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0053】
まず、配管部材について説明する。本実施の形態における配管部材は、以下に説明する弾性を備えた自閉式弁部材6と呼ばれる弁部材である。
図8及び
図9に示した本実施の形態の自閉式弁部材6はゴム等の可撓性及び弾性を備えた素材からなり、弾性を備えた円筒である筒体部6aと、この筒体部6aの一方の端部が近接し内側面が当接して閉口状態となった開閉部6bと、筒体部6aの他方の端部から外側方向に延出した周縁6cを備えてなる。周縁6cは外径がおよそ直径32ミリメートル程度の円形形状であり、その厚み(軸方向の長さ)はおよそ1.5ミリメートル程度である。
【0054】
上記した自閉式弁部材6の筒体部6a内側に流体が流入し、流体の圧力が作用すると、素材に由来する弾性の作用により変形し、開閉部6bは内側面が当接した閉口状態から内側面が離間した開口状態となる。開閉部6bが開口したことで、筒体部6a内の流体が開閉部6bから排出される。また、開閉部6bからの流体の排出によって筒体部6a内の流体の圧力が低下すると、弾性によって再び内面が当接した閉口状態に戻る。
また、自閉式弁部材6の下流側、即ち筒体部6a及び開閉部6bの外部から流体の圧力が作用した場合、開閉部6bには外部から圧力が作用することで、開閉部6bの内側面の当接がより強く行われて閉口状態を維持し、開閉部6bから流体が筒体部6a側に逆流することが防止される。
上記のように、本実施の形態の弁部材は、流体の圧力が作用しない状態では開閉部6bが閉口し、流体の圧力が作用して開閉部6bが開口した場合でも流体の圧力が低下すると弾性の作用により開閉部6bが自動的に閉口することから自閉式と呼ばれる。即ち、本実施の形態の配管部材である弁部材は、自閉式弁部材6である。
【0055】
次に、第三の実施の形態の配管構造について、以下に記載する。
図8乃至
図10に図示した本実施の形態の配管構造は、前述した配管部材としての自閉式弁部材と、以下に記載する第一部材1、第二部材2、袋ナット10、止水部材3より構成される。
【0056】
第一部材1は、
図8、
図9に示したような円筒部分と、この円筒部分の端部から外側方向に拡径した円筒を成す収納部1aとから構成されてなる。
円筒部分は、内径約29ミリメートル、外径約36ミリメートル程度の管体であって、配管構造の管体を構成する。
収納部1aは、内径が約37ミリメートル程度の円筒形状を成す部分であって、後述する第二部材2の端部を収納する。また、収納部1aの外周部分には雄ネジ部9が形成されてなる。
また、収納部1aの内周の端部部分には、後述する止水部材3の傾斜面3aに当接するテーパー面1bを備えてなる。
【0057】
第二部材2は、
図8、
図9に示したような内径約29ミリメートル、外径約36ミリメートル程度の、端部に開口を備えた略円筒状の部材であって、配管構造の管体を構成する。
また、第二部材2はその一端の端面に、同心円状に、円形形状の窪み部4を形成してなる。
窪み部4の形状は、外径が33ミリメートル程度であり、その深さ(軸方向の長さ)は約1.3ミリメートルである。尚、この窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は、事前に自閉式弁部材6を用いた試験によって、後述する螺合による第一部材1と第二部材2の接続の際に、自閉式弁部材6の周縁6cに捩れによる皺が生じない程度の強さで当接する深さを検証し、導き出した深さに設計されている。
【0058】
袋ナット10は、その内部に第一部材1の雄ネジ部9に螺合する雌ネジ部10aを備えたナット部材である。
【0059】
止水部材3は、ゴム等の弾性を有する素材からなり、
図8、
図9に示したように、断面が略直角三角形を成す円環状の部材である。その内径は応力が作用しない状態で約34ミリメートル程度であり、応力を加えて拡径させることで、第二部材2の周囲に密着するようにして取り付けることができる。また前述のように断面が直角三角形を成すことから、その外側面は傾斜面3aを形成してなる。
【0060】
次に、第三の実施の形態の接続方法について、以下に記載する。
本実施の形態の配管構造は、第一部材1を上方、第二部材2を下方に配置し、上方から下方に向かって排水が流れる縦配管による排水配管である。尚、第一部材1の上流側端部、第二部材2の下流側端部は事前に排水配管に接続されてなる。
【0061】
まず、第二部材2の外周に袋ナット10を通した上で、止水部材3を第二部材2の周囲に取り付ける。
次に、自閉式弁部材6の筒体部6aと開閉部6bを第二部材2側に向けた上で、
図10(a)にあるように、自閉式弁部材6の周縁6cを第二部材2の窪み部4に配置する。更に、第一部材1の収納部1aに第二部材2を挿入し、袋ナット10の雌ネジ部10aを、第一部材1の雄ネジ部9に螺合させることで、回転を利用した接続構造である螺合によって第一部材1と第二部材2が近接し、最終的に
図8及び
図10(b)にあるように、第一部材1の端面と第二部材2の端面が当接した状態となって本実施の形態の配管構造の施工が完了する。
【0062】
上記の通り、第二部材2の側面に配置した止水部材3には傾斜面3aを、第一部材1の収納部1aには止水部材3の傾斜面3aに当接するテーパー面1bを、それぞれ備えてなる。このため、第一部材1と第二部材2の接続において、螺合による止水部材3を軸方向に圧縮する応力は、テーパー面1bと傾斜面3aの作用により、止水部材3が第二部材2を内径側に締め付ける応力に変換される。
結果として、止水部材3は第一部材1の収納部1aのテーパー面1bに水密的に当接すると共に、第二部材2の外側面に水密的に当接するため、配管構造内の流路を通過する排水が、配管構造外に漏れることは無くなる。
また、止水部材3は第二部材2を内径側に締め付けるように応力が作用するため、止水部材3と第二部材2の間には強い摩擦が働き、止水部材3に対して第二部材2が位置決めされ、第二部材2が配管構造から落下するような問題は生じない。
【0063】
また、この施工が完了した状態では、弾性を有する自閉式弁部材6の周縁6cの上方側の面は第一部材1の円筒部分の端面に、下方側の面は第二部材2の窪み部4に、それぞれ水密的且つ気密的に当接している。
前述の通り、自閉式弁部材6の周縁6cの厚み(軸方向の長さ)が1.5ミリメートル程度に対し、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は1.3ミリメートル程度であり、自閉式弁部材6の周縁6cは、第二部材2の端面に対して0.2ミリメートル程度突出した状態となる。
これに対して第一部材1の当接する面は平坦面であるが、自閉式弁部材6の周縁6cはゴム等の弾性素材からなり、軸方向に応力が加えられることで弾性変形し、軸方向に収縮する。結果、第一部材1の円筒部分の端面と第二部材2の端面とが当接すると共に、第一部材1の円筒部分の端面と第二部材2の窪み部4とで自閉式弁部材6の周縁6cを挟持し固定した状態となる。
【0064】
また、自閉式弁部材6の周縁6cはゴム等の弾性素材からなるため、前記のように第一部材1及び第二部材2に強く当接することで、自閉式弁部材6の周縁6cは第一部材1及び第二部材2に水密的且つ気密的に当接する。
【0065】
また、上記した第一部材1と第二部材2の接続に際して、螺合の最終段階では、袋ナット10を回転させる際に、袋ナット10と止水部材3、止水部材3と第二部材2とがそれぞれ強く当接して摩擦を生じることで、袋ナット10の回転に併せて第二部材2全体が若干回転し、この回転により第二部材2に当接する自閉式弁部材6の周縁6cも若干回転する。
しかし、配管部材である自閉式弁部材6は窪み部4に収納されており、第二部材2の端面に窪み部4が無い場合に比べ、自閉式弁部材6の周縁6cに作用する応力が小さい状態で止水部材3が第一部材1の円筒部分の端面に当接して接続が完了するため、自閉式弁部材6の周縁6cには捩れによる皺が生じることは無い。実際には、段落0057に記載したように、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は、事前に試験を通じて自閉式弁部材6に捩れによる皺が生じない程度の強さで当接する深さを導き出し、その深さに設計されている。
【0066】
上記した第三の実施の形態の配管構造内に、上流から下流に向けて排水が生じた場合、排水は第一部材1を通過し、自閉式弁部材6の内部に溜まる。自閉式弁部材6の内部に排水が充分に溜まり、開閉部6bに一定以上の水圧が作用すると、開閉部6bが開口し、自閉式弁部材6の内部に溜まった排水が第二部材2から更に下流側に排出される。
【0067】
また、上記した第三の実施の形態の配管構造内に、下流から上流に向けて排水又は臭気などを含んだ気体が逆流した場合、自閉式弁部材6の開閉部6bは閉口した状態を維持すると共に、第一部材1と第二部材2の流路は自閉式弁部材6の周縁6cによって水密的且つ気密的に接続されているため、排水又は臭気を含む空気は自閉式弁部材6を超えて第一部材1内に逆流することは無い。
【0068】
前述したように、施工が完了した状態では、第一部材1及び第二部材2は自閉式弁部材6の周縁6cにそれぞれ水密的且つ気密的に当接しているため、第一部材1の内部と第二部材2の内部は自閉式弁部材6によって区画され、第一部材1と自閉式弁部材6の周縁6cの当接部分、又は第二部材2と自閉式弁部材6の周縁6cの当接部分から、配管構造内の流体が漏れることは無い。
【0069】
上記第三の実施の形態では、窪み部4を設け、窪み部4に自閉式弁部材6の周縁6cを配置し、第一部材1と第二部材2とで気密的且つ水密的に当接する構成としている。窪み部4に自閉式弁部材6の周縁6cが配置されていることで、第一部材1と第二部材2の接続の際に、自閉式弁部材6の周縁6cに捩れが生じるほどの強さとなる前に、第一部材1と第二部材2の当接が行われて接続が完了する。
窪み部4の深さ(軸方向の長さ)は自閉式弁部材6の周縁6cの寸法や素材の強度に基づいて自在に調整することで、自閉式弁部材6の周縁6cが第一部材1と第二部材2に挟持される際に生じる応力の強さを調整し、支障なく気密的且つ水密的な接続を行うことができる。
【0070】
本発明の実施の形態は以上であるが、本発明の配管構造は発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更を加えても良い。
例えば、上記各実施の形態では、第一部材1又は第二部材2に窪み部4を設けて構成しているが、第一の実施の形態や第二の実施の形態のように、第一部材1と第二部材2の端面の間に止水部材3を配置する場合、
図11及び
図12に示した実施の形態のように、窪み部4を止水部材3の端面に設け、この止水部材3の窪み部4に配管部材の周縁を配置するように構成しても良い。
窪み部4を第一部材1、第二部材2、止水部材3のいずれに設けるかは必要に応じ自由に選択することができる。
また、例えば第一部材1と止水部材3の間に配管部材を配置する構成の配管構造の場合に、第一部材1と止水部材3の両方に窪み部4を設け、両方の窪み部4の間に配管部材を配置するなど、複数の部材に窪み部4を設ける構成としても良い。
【0071】
また、上記各実施の形態では、配管部材の周縁の厚み(軸方向の長さ)は、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)よりも厚く、つまり軸方向に長く構成され、窪み部4から配管部材の周縁が突出するように構成されているが、配管部材の周縁の厚み(軸方向の長さ)は、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)と同一、またはより薄くなるように構成しても良い。但し、このように構成する場合は、止水部材3が弾性変形することで、窪み部4内の配管部材の周縁が、他の部材と水密的且つ気密的に当接するように構成する必要がある。
【0072】
図13に、配管部材の周縁の厚み(軸方向の長さ)が、窪み部4の深さ(軸方向の長さ)より薄くなるように構成した実施の形態を示す。
図13の実施の形態は、第一部材1の窪み部4の深さ(軸方向の長さ)が0.6ミリメートル程度である以外は、第一の実施の形態と全て同じに構成した実施の形態であり、
図13は、第一の実施の形態の
図1のA部に相当する部分を拡大した図面である。
このように構成した場合、第一部材1と第二部材2を螺合により接続すると、止水部材3は第一部材1の円筒部分の端面に当接すると共に、止水部材3が弾性変形し、窪み部4に対向する位置の止水部材3は0.2ミリメートル分窪み部4内に突出することで、配管部材の周縁に水密的且つ気密的に当接することができる。
【0073】
また、上記第一の実施の形態、第二の実施の形態では、フィルター部材5を、撥水機能を有した素材から構成しているが、撥水機能を有さない、可撓性を備えたメッシュ体またはスポンジ体等からなる、塵芥を捕集する機能のみを有するフィルター部材5として構成しても良い。このようにすることで、気体又は液体などの流体を通過させつつ、流体中の塵芥を捕集し取り除くことのできるフィルター部材5とすることができる。
【0074】
また、元々は撥水機能を有さない、可撓性を備えたメッシュ体またはスポンジ体に撥水加工を施すことで、第一の実施の形態や第二の実施の形態のフィルター部材5と同様に、小孔から気体の通過を許容し、湯水等液体の通過を許容しないフィルター部材5としても良い。
【0075】
また上記各実施形態では、第一部材1と第二部材2の接続を、全て袋ナット10を利用した螺合によって行っているが、本発明は上記構造に限定されるものではなく、特許文献1のような、第一部材1と第二部材1に一体的に雄ネジ部9と雌ネジ部10aを設け、第一部材1と第二部材2を回転させて接続する方法や、突起と溝を利用した回転ロックによる嵌合接続等、螺合以外の回転を利用した接続方法を採用しても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 第一部材
1a 収納部
1b テーパー面
2 第二部材
3 止水部材
3a 傾斜面
4 窪み部
5 フィルター部材
5a 周縁
6 自閉式弁部材
6a 筒体部
6b 開閉部
6c 周縁
7 端部用カバー
7a カバー部
8 鍔部
9 雄ネジ部
10 袋ナット
10a 雌ネジ部
11 Y字管
11a 縦管部