(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076177
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】入力画面作成システム、入力画面作成方法および入力画面作成用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20220101AFI20240529BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06T11/60 100B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187608
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】504091234
【氏名又は名称】株式会社無限
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 浩之
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA06
5B050BA16
5B050BA20
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA19
5B050FA02
5E555AA12
5E555AA13
5E555BA02
5E555BA63
5E555BA69
5E555BA73
5E555BB02
5E555BC18
5E555BC19
5E555CA18
5E555CA24
5E555CA48
5E555CB02
5E555CB45
5E555DB41
5E555DB53
5E555DB58
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】この開示は入力画面作成システムに関し、紙媒体等の様式を取り入れた既存の画像イメージを背景とする入力画面の作成支援を目的とする。
【解決手段】入力画面の背景として用いる画像イメージ46を読み込む。入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージ46に重ねて入出力欄50を表示し、その位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄50の位置を指令位置に設定する。前記入出力欄50を特定する識別子id_1を設定する。前記入出力欄50に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄50に重ねて当該入力データを表示する。識別子id_1を指定したデータの読み取り指令を受けたら、当該識別子id_1に対応する入出力欄50のデータを読み出す。識別子id_1と表示データを指定した表示指令を受けたら、当該表示データを当該識別子id_1に対応する入出力欄50に表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的な入力を受け付けるための入力画面の作成を支援する入力画面作成システムであって、
前記入力画面の背景として用いる画像イメージを読み込む処理と、
入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージに重ねて入出力欄を表示する処理と、
前記入出力欄の位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄の位置を、前記画像イメージ上の指令位置に設定する処理と、
前記入出力欄を特定する識別子を設定する処理と、
前記入出力欄に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄に重ねて当該入力データを表示する処理と、
識別子を指定したデータの読み取り指令を受けて、当該識別子に対応する入出力欄のデータを読み出す処理と、
識別子と表示データを指定した表示指令を受けて、当該表示データを当該識別子に対応する入出力欄に表示する処理と、
を実行するように構成されている入力画面作成システム。
【請求項2】
前記画像イメージは、紙媒体をスキャニングすることで取得したものである請求項1に記載の入力画面作成システム。
【請求項3】
前記入出力欄は、入力数値が書き込まれる入力欄と、表示数値を表示する出力欄とを含み、
前記入力数値を要素とする数値計算の定義を受け付ける処理と、
前記数値計算の結果を前記表示数値とする処理と、
を更に実行するように構成された請求項1または2に記載の入力画面作成システム。
【請求項4】
前記入出力欄の識別子と表計算ソフトのセルとの結び付きの定義を受け付ける処理と、
前記入出力欄のデータを、前記結び付きに従って前記表計算ソフトのセルに書き入れる処理と、
データの出力要求を受けて、前記表計算ソフトのデータを出力する処理と、
を更に実行するように構成された請求項1または2に記載の入力画面作成システム。
【請求項5】
データの読み込み要求を受けて、前記表計算ソフトのデータを、前記結び付きに従って前記入出力欄のデータとする処理を更に実行するように構成された請求項4に記載の入力画面作成システム。
【請求項6】
電子的な入力を受け付けるための入力画面の作成を支援するための入力画面作成方法であって、
コンピュータが、前記入力画面の背景として用いる画像イメージを読み込む工程と、
コンピュータが、入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージに重ねて入出力欄を表示する工程と、
コンピュータが、前記入出力欄の位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄の位置を、前記画像イメージ上の指令位置に設定する工程と、
コンピュータが、前記入出力欄を特定する識別子を設定する工程と、
コンピュータが、前記入出力欄に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄に重ねて当該入力データを表示する工程と、
コンピュータが、識別子を指定したデータの読み取り指令を受けて、当該識別子に対応する入出力欄のデータを読み出す工程と、
コンピュータが、識別子と表示データを指定した表示指令を受けて、当該表示データを当該識別子に対応する入出力欄に表示する工程と、
を含む入力画面作成方法。
【請求項7】
紙媒体をスキャニングすることで前記画像イメージを取得する工程を更に含む請求項6に記載の入力画面作成方法。
【請求項8】
前記入出力欄は、入力数値が書き込まれる入力欄と、表示数値を表示する出力欄とを含み、
コンピュータが、前記入力数値を要素とする数値計算の定義を受け付ける工程と、
コンピュータが、前記数値計算の結果を前記表示数値として前記出力欄のデータとする工程と、
を更に含む請求項6または7に記載の入力画面作成方法。
【請求項9】
コンピュータが、前記入出力欄の識別子と表計算ソフトのセルとの結び付きの定義を受け付ける工程と、
コンピュータが、前記入出力欄のデータを、前記結び付きに従って前記表計算ソフトのセルに書き入れる工程と、
コンピュータが、データの出力要求を受けて、前記表計算ソフトのデータを出力する工程と、
を更に含む請求項6または7に記載の入力画面作成方法。
【請求項10】
コンピュータが、データの読み込み要求を受けて、前記表計算ソフトのデータを、前記結び付きに従って前記入出力欄のデータとする工程を更に含む請求項9に記載の入力画面作成方法。
【請求項11】
電子的な入力を受け付けるための入力画面の作成をコンピュータに支援させるための入力画面作成用プログラムであって、
前記入力画面の背景として用いる画像イメージを読み込む処理と、
入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージに重ねて入出力欄を表示する処理と、
前記入出力欄の位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄の位置を、前記画像イメージ上の指令位置に設定する処理と、
前記入出力欄を特定する識別子を設定する処理と、
前記入出力欄に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄に重ねて当該入力データを表示する処理と、
識別子を指定したデータの読み取り指令を受けて、当該識別子に対応する入出力欄のデータを読み出す処理と、
識別子と表示データを指定した表示指令を受けて、当該表示データを当該識別子に対応する入出力欄に表示する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムを含む入力画面作成用プログラム。
【請求項12】
前記画像イメージは、紙媒体をスキャニングすることで取得したものである請求項11に記載の入力画面作成用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、入力画面作成システム、入力画面作成方法および入力画面作成用プログラムに係り、特に、紙媒体等の様式を取り入れた入力画面の作成支援に好適な入力画面作成システム、入力画面作成方法および入力画面作成用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の電子デバイスを用いて入力作業を行うためには、データを入力するための入力画面を準備する必要がある。特許文献1には、所望のデータを入力するための入力画面の作成を容易化するための入力画面管理方法が開示されている。また、特許文献2には、入力画面の変更や、入力画面への画面情報の追加を容易化するための入力画面作成方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-302013号公報
【特許文献2】特開平5-173777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1または特許文献2が開示する技術は、様式やレイアウトを含めて、入力画面の全ての要素を電子的に設計することを前提としている。このため、これらの技術は、入力画面の作成や変更を容易化するものではあるが、入力画面の作成者に、依然として高度な知識や技術を求めるものであった。
【0005】
また、近年では事務作業のペーパーレス化が求められるに伴い、紙媒体の帳票を用いて行っていた処理を電子的な処理に置き換える需要が高まっている。このような需要に対応する際には、紙媒体に記入していた項目を入力するための入力欄を設けた入力画面を電子的に設計して作成するのが通常である。そして、紙媒体の帳票に代わる入力画面を電視的に設計して作成した場合、画面のレイアウトや様式が無機的なものになりやすく、完成した入力画面は、紙媒体の様式に慣れた者にとって必ずしも扱い易いものにならないというデメリットが生じ易い。
【0006】
この開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、紙媒体等の様式を取り込んだ既存の画像イメージを背景とする入力画面を容易に作成するための入力画面作成システムを提供することを第一の目的とする。
【0007】
この開示は、紙媒体等の様式を取り込んだ既存の画像イメージを背景とする入力画面の作成を容易にするための入力画面作成方法を提供することを第二の目的とする。
【0008】
この開示は、紙媒体紙媒体等の様式を取り込んだ既存の画像イメージを背景とする入力画面の作成を容易にするための支援をコンピュータに実行させるための入力画面作成用プログラムを提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、上記の目的を達成するため、電子的な入力を受け付けるための入力画面の作成を支援する入力画面作成システムであって、
前記入力画面の背景として用いる画像イメージを読み込む処理と、
入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージに重ねて入出力欄を表示する処理と、
前記入出力欄の位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄の位置を、前記画像イメージ上の指令位置に設定する処理と、
前記入出力欄を特定する識別子を設定する処理と、
前記入出力欄に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄に重ねて当該入力データを表示する処理と、
識別子を指定したデータの読み取り指令を受けて、当該識別子に対応する入出力欄のデータを読み出す処理と、
識別子と表示データを指定した表示指令を受けて、当該表示データを当該識別子に対応する入出力欄に表示する処理と、
を実行するように構成されていることが望ましい。
【0010】
また、第2の態様は、電子的な入力を受け付けるための入力画面の作成を支援するための入力画面作成方法であって、
コンピュータが、前記入力画面の背景として用いる画像イメージを読み込む工程と、
コンピュータが、入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージに重ねて入出力欄を表示する工程と、
コンピュータが、前記入出力欄の位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄の位置を、前記画像イメージ上の指令位置に設定する工程と、
コンピュータが、前記入出力欄を特定する識別子を設定する工程と、
コンピュータが、前記入出力欄に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄に重ねて当該入力データを表示する工程と、
コンピュータが、識別子を指定したデータの読み取り指令を受けて、当該識別子に対応する入出力欄のデータを読み出す工程と、
コンピュータが、識別子と表示データを指定した表示指令を受けて、当該表示データを当該識別子に対応する入出力欄に表示する工程と、
を含むことが望ましい。
【0011】
また、第3の態様は、電子的な入力を受け付けるための入力画面の作成をコンピュータに支援させるための入力画面作成用プログラムであって、
前記入力画面の背景として用いる画像イメージを読み込む処理と、
入出力欄の表示指令を受けて、前記画像イメージに重ねて入出力欄を表示する処理と、
前記入出力欄の位置を指定する指令を受けて、前記入出力欄の位置を、前記画像イメージ上の指令位置に設定する処理と、
前記入出力欄を特定する識別子を設定する処理と、
前記入出力欄に入力データを書き込む指令を受けて、当該入出力欄に重ねて当該入力データを表示する処理と、
識別子を指定したデータの読み取り指令を受けて、当該識別子に対応する入出力欄のデータを読み出す処理と、
識別子と表示データを指定した表示指令を受けて、当該表示データを当該識別子に対応する入出力欄に表示する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムを含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1乃至第3の態様によれば、作成者は、高度な技術を必要とすることなく、紙媒体等の様式を取り込んだ既存の画像イメージを背景とする入力画面を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態1の入力画面作成システムを含むネットワークの構成を示す図である。
【
図2】
図1に示すサーバ装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】入力画面の作成を開始する際に表示される画面を示す。
【
図4】入力画面の背景とするために読み込んだ紙媒体の画像イメージを表示する画面を示す。
【
図5】
図4に示す画像イメージ上にテキストの入出力欄を配置した状態を示す。
【
図6】入力画面に配置した入出力欄と表計算ソフトのセルとを結びつけるための設定画面を示す。
【
図7】入力画面に配置したテキストの入出力欄と表計算ソフトのセルとの対応を視覚的に示した図である。
【
図8】入力画面から取り込んだデータセットが書き込まれた表計算ソフトのシートの一例を示す。
【
図9】
図8に示すシートを参照することで構成された、表計算ソフトの他のシートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本開示の実施の形態1の入力画面作成システムを含むネットワークの構成を示す。
図1に示す構成は、サーバ装置10を備えている。サーバ装置10は、インターネットに通じるネットワーク12に接続されている。
【0015】
ネットワーク12には、サービス提供PC14が接続されている。サービス提供PC14は、サービス提供者が使用するPCである。サービス提供者は、本実施形態の入力画面作成システムを利用して紙媒体の帳票を流用した入力画面を作成し、その入力画面を用いたサービスを提供する者である。サービス提供PC14は、一般的なコンピュータシステムで実現することができる。
【0016】
ネットワーク12には、また、ユーザ端末16が接続されている。ユーザ端末16は、サービス提供者が提供するサービスを利用するユーザが使用する端末である。ユーザ端末16には、PCの他、タブレット端末やスマートフォンが含まれてもよい。
【0017】
図2は、
図1に示すサーバ装置10のハードウェア構成を示す。
図1に示す通り、サーバ装置10は、CPU18を備えている。CPU18はバスライン20に接続されている。バスライン20には、ROM22、RAM24およびストレージ26のようなメモリ装置が接続されている。メモリ装置には、CPU18により実行される入力画面作成用プログラムが格納されている。サーバ装置10は、CPU18が、その入力画面作成用プログラムを実行することにより、本実施形態に特有な機能を実現する。
【0018】
バスライン20には、また、通信インターフェース28が接続されている。サーバ装置10は、通信インターフェース28を介して、ネットワーク12との通信を実現する。バスライン20には、更に、操作部30および表示部32が接続されている。操作部30および表示部32は、サーバ装置10を取り扱うためのユーザインターフェースとして機能する。
【0019】
[入力画面の作成支援]
本実施形態の入力画面作成システムは、紙媒体の帳票の様式をそのまま背景として用いた電子的な入力画面を簡易な作業で作成するための支援を提供する。本実施形態では、サービス提供者が、サービス提供PC14を用いてサーバ装置10にアクセスし、サーバ装置10が提供する支援機能を使って入力画面を作成する場合について説明する。
【0020】
図3は、入力画面の作成を開始する際に、サービス提供PC14のディスプレイ上に表示される画面40を示す。画面40には、様々なアイコンが表示されている。これらのアイコンには、帳票読み込みボタン42が含まれている。サービス提供PC14には、紙媒体の帳票の画像イメージがスキャニング等の処理により予め取り込まれているものとする。上記の帳票読み込みボタン42をクリックすると、予め取り込まれている画像イメージの中から、今回作成する入力画面の背景とするべき画像イメージを選択することが可能となる。
【0021】
図4は、選択した画像イメージ46が取り込まれた後の画面44を示す。画像イメージ46には、サービス提供者が従前使用していた紙媒体の様式がそのまま反映されている。この画像イメージ46には、例えば、下記のような事項が含まれる。
・種別(「解熱鎮痛薬」、「鼻炎薬」、「かぜ薬」等)
・品名(「〇〇鼻炎カプセル」、「××総合感冒薬」等)
・容量(「24錠」、「24包」、「18cc」等)
・希望小売価格(「¥3,080」、「オープン」等)
・購入希望のチェック欄(チェック印の入力欄)
・斡旋価格(「¥600」、「¥580」等)
・個数の入力欄(購入数の入力欄)
・金額の表示欄(購入数に応じた品物毎の合計金額)
【0022】
(以下、図示略)
・支払い総額の表示欄(全商品の合計金額)
・購入者氏名
・購入者住所
・購入者電話番号
・購入者メールアドレス
【0023】
図5に示す画面48は、
図4に示す画像イメージ46の上にテキストの入出力欄50を配置した状態を示す。画面48の左側の欄には、ツールメニューのボタン群が示されている。これらは、それぞれのボタンに記された機能を実現するためのボタンである。
【0024】
例えば、「テキスト」のボタンを操作すると、画面48上にテキストボックスが表れる。このテキストボックスは、ドラッグ処理により画面48上の任意の位置に移動させることができる。
図5に示す入出力欄50は、No.4の商品の「金額」欄に重なるようにテキストボックスを配置することで構成されている。
【0025】
図5に示す画面48には、同種の処理を繰り返すことにより、任意の数だけ任意の位置に入出力欄を配置することができる。ツールメニューに含まれている「ラジオボタン」、「チェックボックス」等を選択すれば、画像イメージ46の上にラジオボタンやチェックボックスを配置することも可能である。
【0026】
図5に示す画面48の右側の欄には、プロパティ設定欄が表示されている。プロパティ設定欄は、画像イメージ46の上に配置される入出力欄毎に表示される。つまり、
図5に示すプロパティ設定欄は、テキストボックスからなる上記の入出力欄50に対応して表示されている。
【0027】
入出力欄50は、画像イメージ46の上に配置した一つ目の入出力欄である。このため、プロパティ設定欄には、入出力欄50の識別子(ID)として「id_1」が自動的に設定されている。n個の入出力欄が設けられれば、それらの入出力欄には、「id_1」、「id_2」、「id_3」、・・・「id_n」のIDが順次与えられる。これにより、サーバ装置10およびサービス提供PC14は、個々の入出力欄を区別して認識することができ、個々の入出力欄に入力されたデータを、それぞれのIDとリンクさせて認識することができる。
【0028】
そして、サーバ装置10或いはサービス提供PC14は、IDが指定されると、そのIDが付された入出力欄に格納されているデータ(以下、「入出力欄データ」とする)を、当該IDに対応する入出力欄データとして読み出すことができる。また、サーバ装置10或いはサービス提供PC14は、特定のIDに対して特定のデータが与えられると、そのデータを、そのIDに対応する入出力欄データとして、当該IDが付された入出力欄に表示させることができる。
【0029】
プロパティ設定欄では、画像イメージ46に重ねて配置される入出力欄の特性を決めるための様々な要素を設定することができる。例えば、
図5に示す入出力欄50については、テキストボックスの位置、大きさ、テキストの色、フォントサイズ、塗りつぶしの有無などを定めることができる。他の種類の入出力欄についても、同様に、その入出力欄の特性に関する様々な要素を設定することができる。
【0030】
図5の左側の欄、下から二つ目の位置には、「数値計算」のツールメニューが示されている。「数値計算」を選択すると、設置した入出力欄を対象とした数値計算を定義することができる。例えば、「id_1」、「id_2」および「id_3」が何れもテキストボックスの入出力欄であり、(id_1)*(id_2)=(id_3)の数値計算を定義した場合を想定する。この場合、サーバ装置10、或いはサービス提供PC14は、「id_1」に対応する数値と、「id_2」に対応する数値を読み出して、それらの積を「id_3」に表示させることができる。
【0031】
また、
図5において、No.4の商品の「個数」欄に重ねて「id_2」の入出力欄を配置して、(580)*(id_2)=(id_1)の計算式を定義すれば、「個数」の入力に応じて合計金額を自動表示する機能が実現できる。また、全ての商品について同様の処理を施して、合計金額の和を表示する入出力欄を定義すれば、商品毎の「個数」入力に応じて支払総額を表示する機能が実現できる。
【0032】
サービス提供者は、何らかのデータを入力すべき箇所、および何らかのデータを表示する箇所の全てに入出力欄を配置して、それらのプロパティを設定したら、「保存」のアイコンをクリックすることで、入力画面のデータを保存することができる。本実施形態では、入力画面の生成処理はサーバ装置10において行われるため、作成された入力画面のデータは、サーバ装置10のストレージ26に格納される。以後、サービス提供者は、必要に応じて入力画面のデータを読み出して、自らのサービスを提供するWebサイトに表示させることができる。
【0033】
[入力画面の利用]
サービス提供者が提供するWebサイトにアクセスしたユーザ端末16には、申し込み画面において上記の入力画面が表示される。申し込み画面には、従前から慣れ親しんでいる紙媒体の様式がそのまま反映されているため、ユーザは、違和感なく必要な注文情報を入力することができる。また、商品毎に購入数(個数)を入力すれば、商品毎の合計金額や全商品の支払い総額が表示されるため、ユーザは安心して購入手続きを進めることができる。
【0034】
[入出力欄データの活用]
次に、
図6乃至
図9を参照して、入力画面の個々の入出力欄に格納されたデータ入出力欄データの活用方法について説明する。
【0035】
上記の通り、本実施形態の入力画面作成システムを用いて作成した入力画面は、サービス提供者にとって必要な情報(例えば、購入の個数)をユーザが入力すると、ユーザにとって必要な情報(例えば、支払い総額)を自動的に表示する機能を有している。本実施形態の入力画面作成システムは、この機能に加えて、入出力欄データを、取り扱いが容易な形態でサービス提供者に提供する機能を有している。
【0036】
本実施形態の入力画面作成システムは、紙媒体の様式を用いて作成した入力画面に配置した入出力欄と、表計算ソフトのセルとを結びつける機能を有している。ここでは、表計算ソフトとしてMicrosoft社が提供するExcel(商標名)を用いる例を説明する。また、セルを結びつけるプロセスを「Excel読み込みプロセス」と称する。
【0037】
図6は、Excel読み込みプロセスにおいて表示される画面52を示す。画面52の右側欄にはプロパティ設定欄が表示されている。このプロパティ設定欄には「データ」の項目が設けられている。また、「データ」の項目では、下記の記述によって入力画面の入出力欄とExcelのセルとの結びつきを定義することができる。
{“入出力欄ID”:“シート名.セル名”}
【0038】
例えば、{“id_1”:”Sheet1.D2”}の記述によれば、id_1の識別子を持つ入出力欄を、ExcelのSheet1におけるD2セルに結び付けることができる。また、同様の記述を繰り返して{“id_1”:”Sheet1.D2”,“id_2”:”Sheet1.E2”}のように記述すれば、id_1の識別子を持つ入出力欄をSheet1のD2セルに結び付け、かつ、id_2の識別子を持つ入出力欄をSheet1のE2セルに結び付けることができる。
【0039】
図6に示す画面52の上方領域には、複数の作業アイコンが並んで表示されている。これらのアイコンの中には、入力画面に表示されているデータをExcelに移行するためのExcel移行ボタン54や、Excel内のデータを入力画面の入出力欄に書き込むためのExcel取込ボタン56が含まれている。上記の処理によりセル同士の結び付けを定義した後にそれらのボタン54、56を操作すると、入力画面とExcelシートとの間でデータの授受が生ずる。
【0040】
図7は、入力画面58に設けた入出力欄50とExcelシート60上のセルとの対応を視覚的に示したものである。
【0041】
また、
図8は、入力画面から複数のデータの移行を受けたExcelシート62を示している。サービス提供者は、サーバ装置10から、
図8に示すExcelシート62のデータ(或いはCSVデータ)をダウンロードすることで、商品毎の購入個数や合計金額などサービスの提供に必要な情報を、取り扱いの容易な形態で取得することができる。
【0042】
図9は、サービス提供者が、
図8に示すExcelシート62を参照して作成した他のExcelシート64を示す。
図9に示すExcelシート64には、予め商品名や容量等の情報が書き込まれており、個数と合計金額の情報が、
図8のシートを参照して取り込まれている。
【0043】
このように、
図8に示す形式でデータが取得できれば、サービス提供者は、様々な目的に応じた形式にデータを加工することができる。このため、本実施形態の入力画面作成システムによれば、紙媒体の帳票を入力画面の背景とすることによる利便性を提供しつつ、各種データの有効活用を可能とするという利点を併せて提供することができる。
【0044】
[実施の形態1の変形例]
尚、上述した実施の形態1では、商品名、容量、希望小売価格等が予め印刷された帳票を読み込むこととしているが、これらについても入出力欄を配置することが可能である。そして、本実施形態のシステムは、上記の通りExcel上のデータを入力画面に取り込む機能を備えている。このため、商品名や容量などの情報を、Excelから取り込んで入力画面に表示させるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態1では、入力画面の作成支援に必要な処理をサーバ装置10が実行することとしているが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、入力画面の作成支援に必要な入力画面作成用プログラムをサービス提供PC14に提供して、サービス提供PC14にその処理を実行させることとしてもよい。
【0046】
また、上述した実施の形態1では、入出力欄に、個数や金額等の数値を格納する例を説明しているが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、医療機関が用いる問診票などを背景として、チェック項目や文言等を書き込むための入力画面を作成してもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態1では、紙媒体の帳票を入力画面の背景として取り込む例を説明しているが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、写真や絵などの画像を入力画面の背景として取り込んでもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態1では、入出力欄の表示を要求する指令、および入出力欄の位置を設定する指令を入力画面の作成者が発することとしているが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、OCR技術を利用して、紙媒体の帳票上に存在する文字等の入力箇所を機械的に読み取る機能を搭載して、機械的に読み取った箇所に入出力欄を自動的に配置させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 サーバ装置
12 ネットワーク
14 サービス提供PC
16 ユーザ端末
18 CPU
26 ストレージ
40、44、48、52 画面
42 帳票読み込みボタン
46 画像イメージ
50 入出力欄
54 Excel移行ボタン
56 Excel取込ボタン