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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076180
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】クサビ緊結式足場用クランプ
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/32 20060101AFI20240529BHJP
   E04G 7/22 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
E04G7/32 A
E04G7/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187613
(22)【出願日】2022-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】516288044
【氏名又は名称】株式会社クリス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 龍男
(57)【要約】
【課題】部品点数及び製造工数を削減しながら、クサビのクランプに対する固定強度と、クランプの支柱に対する固定強度の両方を高める。
【解決手段】第1挟持部材10は、径方向に延びる第1上板部11~13及び第1下板部と第1縦板部17とを有し、第1上板部11~13、第1下板部及び第1縦板部17が1枚の板材により一体成形されている。第2挟持部材20は、第2上板部21~23、第2下板部及び第2縦板部27が1枚の板材により一体成形されている。周方向に隣合う第1上板部部11~13の間と周方向に隣合う第1下板部の間とに第1ポケットP1が構成されている。第1縦板部17は、クサビの側面に沿って傾斜している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場構成部材が有するクサビを支柱に設けられたポケットに上方から差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用されるクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記支柱を径方向に挟持する第1挟持部材及び第2挟持部材と、
前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、
前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを含み、
前記第1挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向一側から当接する第1上板部及び第1下板部と、前記第1上板部の前記径方向外端部から前記第1下板部の前記径方向外端部まで連続した第1縦板部とを有し、前記第1上板部、前記第1下板部及び前記第1縦板部が1枚の板材により一体成形され、
前記第2挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向他側から当接する第2上板部及び第2下板部と、前記第2上板部の前記径方向外端部から前記第2下板部の前記径方向外端部まで連続した第2縦板部とを有し、前記第2上板部、前記第2下板部及び前記第2縦板部が1枚の板材により一体成形され、
前記第1上板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられ、
前記第1下板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられ、
前記周方向に隣合う前記第1上板部の間と前記周方向に隣合う前記第1下板部の間とに第1ポケットが構成され、
前記第1縦板部における前記第1ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項2】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記周方向に隣合う前記第2上板部の間と前記周方向に隣合う前記第2下板部の間とに第2ポケットが構成され、
前記第2縦板部における前記第2ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項3】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1上板部の前記径方向外端部の幅は、前記第1上板部の前記径方向内端部の幅よりも広く設定されていることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項4】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1縦板部は、前記第1ポケットに対応する部分以外の部分も、前記第1ポケットに対応する部分と同角度で傾斜していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項5】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1上板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2上板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されていることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項6】
請求項5に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1下板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2下板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されていることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項7】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記周方向に隣合う前記第1上板部の互いに対向する縁部は、前記第1ポケットの幅方向両縁部を構成していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クサビ緊結式足場を構築する際に使用されるクサビ緊結式足場用クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場等では作業員用の仮設足場を構築した後、各種作業が行われている。仮設足場を構築する場合には、例えば、支柱、布材、布枠、先行手摺ブレース等の足場構成部材が使用され、支柱に対して布材等が連結される。この連結構造として、例えば布材の端部に下方へ突出するように固定されたクサビと、支柱の外周面に固定されたポケットとを使用する構造が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1には、支柱を径方向に挟む第1、第2の挟持材が回動自在に連結されたクランプが開示されている。各挟持材は、水平板部と垂直板部とを有しており、水平板部には、クサビ挿入口が90度間隔に形成され、また垂直板部にはクサビ挿入口に挿入されたクサビの側面に接触する凸部が形成されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されているクランプは、上板部及び下板部を備えており、上板部及び下板部にはクサビが差し込まれる切欠部が形成されている。さらにこのクランプには、上板部及び下板部とは支柱で構成された傾斜板部がクサビの側面に沿って傾斜するように設けられている。
【0005】
また、特許文献3に開示されているクランプは、縦方向に延びる板材を屈曲させることにより、クサビの差込が可能なポケットを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-134502号公報
【特許文献2】特許第7127920号公報
【特許文献3】特開平9-242330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的に、クサビは、クサビ挿入口への挿入のし易さを考慮して、当該クサビの下端が上端に比べて細くなっているので、クサビの側面は、その下端に近づけば近づくほど支柱の外面に接近する方向に傾斜している。一方、特許文献1のクランプは、クサビの側面に対向する部分が垂直板部となっており、この垂直板部は支柱の外面と平行になっている。つまり、クサビの側面と垂直板部とは同方向に延びていない。そして、特許文献1では、垂直板部に形成された凸部がクサビの側面に接触することになるので、垂直板部とクサビの側面とは点接触になり、接触面積が極めて狭くなる。よって、クサビの固定強度が低くなるおそれがある。
【0008】
そこで、特許文献2のように、クサビの側面に沿って傾斜する傾斜板部を設けることが考えられる。ところが、傾斜板部は、上板部及び下板部とは別部材で構成されているので、部品点数が増加するとともに傾斜板部を上板部と下板部に溶接する溶接工程が必要になり、製造工数も増加する。
【0009】
この点、特許文献3のクランプでは、縦方向に延びる1枚の板材でポケットを形成しているので、部品点数及び製造工数は特許文献2に比べて削減できると考えられる。しかしながら、支柱に接触する部分も縦方向に延びる板材で構成されていることから、支柱の外周面への接触面積が広くなり、その結果、面圧が低下してしまうおそれがある。
【0010】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、部品点数及び製造工数を削減しながら、クサビのクランプに対する固定強度と、クランプの支柱に対する固定強度の両方を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、足場構成部材が有するクサビを支柱に設けられたポケットに上方から差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用されるクサビ緊結式足場用クランプを前提とすることができる。クサビ緊結式足場用クランプは、前記支柱を径方向に挟持する第1挟持部材及び第2挟持部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを含んでいる。前記第1挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向一側から当接する第1上板部及び第1下板部と、前記第1上板部の前記径方向外端部から前記第1下板部の前記径方向外端部まで連続した第1縦板部とを有し、前記第1上板部、前記第1下板部及び前記第1縦板部が1枚の板材により一体成形されている。また、前記第2挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向他側から当接する第2上板部及び第2下板部と、前記第2上板部の前記径方向外端部から前記第2下板部の前記径方向外端部まで連続した第2縦板部とを有し、前記第2上板部、前記第2下板部及び前記第2縦板部が1枚の板材により一体成形されている。前記第1上板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられ、前記第1下板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。前記周方向に隣合う前記第1上板部の間と前記周方向に隣合う前記第1下板部の間とに第1ポケットが構成されており、前記第1縦板部における前記第1ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜している。
【0012】
この構成によれば、第1挟持部材を構成している第1上板部、第1下板部及び第1縦板部が1枚の板材により一体成形され、また、第2挟持部材を構成している第2上板部、第2下板部及び第2縦板部が1枚の板材により一体成形されているので、部品点数が削減されるとともに、溶接工程が不要になり、製造工数も削減される。
【0013】
また、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに離れる方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側との間隔が広がるので、支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置することが可能になる。支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置した後、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに接近する方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の第1上板部及び第1下板部と、第2挟持部材の第2上板部及び第2下板部とがそれぞれ支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側及び他側からそれぞれ当接する。そして、締結部材により第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結することで、本クランプが支柱に固定される。
【0014】
支柱に固定された状態では、第1上板部、第1下板部、第2上板部及び第2下板部がそれぞれ支柱の径方向に延びているので、支柱に対する接触面積が小さくなり、面圧が高まる。これにより、第1上板部、第1下板部、第2上板部及び第2下板部が支柱に対して強固に固定される。
【0015】
ここで、一般的なクサビは、差し込み方向先端を下端としたとき、下端が上端に比べて細くなっているので、クサビにおける支柱と反対側に位置する側面は、その下側へ行くほど支柱の外面に接近する方向に傾斜している。
【0016】
上記のような形状を持ったクサビを本クランプの第1ポケットに差し込むと、第1縦板部における第1ポケットに対応する部分がクサビの側面に沿って同方向に傾斜しているので、クサビの側面と第1縦板部とが面接触することになり、両者の接触面積が広くなる。よって、クサビの固定強度が高くなる。
【0017】
本開示の他の態様では、前記周方向に隣合う前記第2上板部の間と前記周方向に隣合う前記第2下板部の間とに第2ポケットが構成されていてもよい。この場合、前記第2縦板部における前記第2ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜した形状にすることができる。これにより、第2ポケットに差し込んだクサビも強固に固定できる。尚、第3ポケット、第4ポケットが設けられていてもよい。
【0018】
また、前記第1上板部の前記径方向外端部の幅は、前記第1上板部の前記径方向内端部の幅よりも広く設定されていてもよい。言い換えると、前記第1上板部の前記径方向内端部の幅を、前記第1上板部の前記径方向外端部の幅よりも狭くすることができるので、支柱に対する接触面積がより一層小さくなり、面圧を更に高めることができる。
【0019】
また、前記第1縦板部は、前記第1ポケットに対応する部分以外の部分も、前記第1ポケットに対応する部分と同角度で傾斜していてもよい。これにより、第1縦板部の全体が同じ角度で傾斜した形状になるので、成形しやすくなり、成形性が良好になる。
【0020】
また、前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1上板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2上板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定することができる。これにより、第1上板部の少なくとも一部が、第2上板部と厚み方向に重なることになるので、第1挟持部材と第2挟持部材との上下方向のずれが抑制される。
【0021】
また、前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1下板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2下板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されていてもよい。これにより、第1下板部の少なくとも一部が、第2下板部と厚み方向に重なることになるので、第1挟持部材と第2挟持部材との上下方向のずれを抑制する効果がより一層高まる。
【0022】
また、前記周方向に隣合う前記第1上板部の互いに対向する縁部は、前記第1ポケットの幅方向両縁部を構成していてもよい。この構成によれば、クサビを第1ポケットに上方から差し込むと、クサビの幅方向両面がそれぞれ第1上板部の縁部に当接することで、クサビを所定位置に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、第1挟持部材の第1上板部、第1下板部及び第1縦板部を1枚の板材により一体成形し、第2挟持部材の第2上板部、第2下板部及び第2縦板部を1枚の板材により一体成形したので、部品点数及び製造工数を削減することができる。そして、第1上板部、第1下板部、第2上板部及び第2下板部が径方向に延びているので、クランプの支柱に対する固定強度を高めることができる。さらに、第1縦板部におけるポケットに対応する部分がクサビの側面に沿って傾斜しているので、クサビのクランプに対する固定強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るクサビ緊結式足場用クランプが閉状態にある場合の平面図である。
図2】クサビ緊結式足場用クランプが開状態にある場合の平面図である。
図3】クサビ緊結式足場用クランプを支柱に取り付けて布材を連結した状態を示す斜視図である。
図4】布材のクサビ近傍を拡大して示す側面図である。
図5】第1挟持部材の平面図である。
図6】第1挟持部材を支柱に当接する側から見た図である。
図7】基端側第1上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図8】先端側第1上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図9】第2挟持部材の平面図である。
図10】第2挟持部材を支柱に当接する側から見た図である。
図11】基端側第2上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図12】先端側第2上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図13図1におけるXIII-XIII線断面図である。
図14】ナット固定板の側面図である。
図15】先端側ブラケットの平面図である。
図16】先端側ブラケットの側面図である。
図17】実施形態の変形例に係る図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1は、クサビ緊結式足場用クランプ1が閉状態にある場合の平面図であり、図2は、クサビ緊結式足場用クランプ1が開状態にある場合の平面図である。図3に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、例えば布材(足場構成部材)100を支柱200に固定し、連結する場合等に使用することが可能な部材である。支柱200は、金属製の円管部材で構成されており、通常は、鉛直方向に延びるように配設されるが、傾斜していても構わない。また、布材100も支柱200と同様な円管部材で構成されており、通常は略水平方向に延びるように配設されるが、傾斜していても構わない。足場構成部材は、布材100に限られるものではなく、図示しないが、布枠、ブレース等、他の足場構成部材であってもよい。
【0027】
例えば、布材100、支柱200、布枠(図示せず)、先行手摺ブレース(図示せず)、幅木(図示せず)、壁つなぎ(図示せず)、ジャッキ(図示せず)、階段(図示せず)及びクサビ緊結式足場用クランプ1等によってクサビ緊結式足場が構築される。
【0028】
クサビ緊結式足場は、図3に示す布材100の両端部にそれぞれ設けられたクサビ101を、支柱200に設けられたポケット201、P1~P4に上方から差し込んで固定することによって構築される。図示しないが、上記布枠、先行手摺ブレース等にもクサビが設けられており、これらクサビをポケット201、P1~P4に差し込んで固定することもできる。布材100の端部に設けられるクサビ101の形状や構造は様々である。本発明は、どのクサビ101に対しても適用することができる。
【0029】
図4に布材100の端部に設けられているクサビ101及びその近傍を示している。一点鎖線Xは、支柱200の軸線である。クサビ101は、布材100の端部に対して上下方向に移動可能に支持されている。クサビ101の下側は、布材100の下部から下方へ突出している。
【0030】
クサビ101は全体として下端(差し込み方向先端)が上端に比べて細くなっているので、クサビ101における支柱200と反対側に位置する側面101aは、その下側へ行くほど支柱200の外面に接近する方向に傾斜している。尚、クサビ101は、クサビケーシング(図示せず)を有していてもよく、この場合、クサビ101の側面はクサビケーシングの側面となる。
【0031】
(クサビ緊結式足場用クランプ1の全体構成)
図1図2に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、支柱200を径方向に挟持する第1挟持部材10及び第2挟持部材20と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動可能に連結する連結部材30と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を締結する締結部材40とを含んでいる。本実施形態では、第1挟持部材10及び第2挟持部材20で支柱200を径方向に挟持するようにしているが、これに限らず、図示しないが、第3挟持部材や第4挟持部材を更に連結し、3つ以上の挟持部材で支柱200を挟持してもよい。
【0032】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20は、支柱200の外周面に対して該支柱200の径方向(水平方向)一側及び他側からそれぞれ当接することにより、支柱200を径方向に挟持(クランプ)する部材である。クサビ緊結式足場用クランプ1は、布材100のクサビ101が差し込まれる第1~第4ポケットP1~P4を有している。第1~第4ポケットP1~P4は、全て同じ形状及び大きさである。このため、クサビ101は、第1~第4ポケットP1~P4の任意のポケットに差し込むことができ、任意のポケットに差し込んだ状態でクサビ緊結式足場用クランプ1に固定される。
【0033】
図1に示すように、第1挟持部材10に第1ポケットP1と第3ポケットP3とが設けられ、また、第2挟持部材20に第2ポケットP2と第4ポケットP4とが設けられている。第1~第4ポケットP1~P4は、支柱200の軸線X周りに等間隔(90°間隔)で配置されている。尚、ポケットの数は4つに限られるものではなく、1つ、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。ポケットの数が1つの場合、第1挟持部材10と第2挟持部材20のいずれか一方にのみ第1ポケットを設ければよい。ポケットの数が2つの場合、第1挟持部材10と第2挟持部材20にそれぞれ第1ポケットと第2ポケットを設けてもよいし、第1挟持部材10と第2挟持部材20のいずれか一方にのみ2つのポケットを設けてもよい。ポケットの数が3つの場合、第1挟持部材10と第2挟持部材20のいずれか一方に1つの第1ポケットを設け、他方に第2ポケット及び第3ポケットを設ければよい。
【0034】
尚、この実施形態の説明では、図2に示すようにクサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に取り付けた状態で、クサビ緊結式足場用クランプ1の下になる側を単に「下」といい、クサビ緊結式足場用クランプ1の上になる側を単に「上」というものとする。また、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「基端側」といい、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側とは反対側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「先端側」というものとする。
【0035】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が本発明の一端側に相当し、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の基端側が本発明の他端側に相当する。このようにクサビ緊結式足場用クランプ1の方向を定義するのは説明の便宜を図るためだけであり、クサビ緊結式足場用クランプ1の使用状態を限定するものではなく、図示した姿勢以外の姿勢でクサビ緊結式足場用クランプ1を使用することも可能である。例えば、図示した姿勢を上下反転させて使用することもできる。
【0036】
(第1挟持部材10の構成)
図5及び図6に示すように、第1挟持部材10は、第1上板部11~13と、第1下板部14~16と、第1縦板部17とを備えている。第1上板部11~13と、第1下板部14~16は、クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200へ取り付けた状態を基準とした時、当該支柱200の径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、支柱200の外周面に径方向一側から当接する部分である。この例では、第1上板部11~13と、第1下板部14~16が、支柱200の軸線Xに対して直交する方向に延びている。
【0037】
以下の説明では、特に断らない限り、「径方向」とは、支柱200への取り付け時を基準として当該支柱200の径方向に対応する方向であり、「周方向」とは、支柱200への取り付け時を基準として当該支柱200の周方向に対応する方向である。
【0038】
第1縦板部17は、第1上板部11~13の径方向外端部から第1下板部14~16の径方向外端部まで連続して上下方向に延びている。第1上板部11~13と、第1下板部14~16と、第1縦板部17とは、1枚の板材により一体成形されている。使用可能な板材は例えば鋼板等であり、その厚みは特に限定されるものではないが、例えば2mm以上8mm以下の範囲で設定することができる。第1上板部11~13、第1下板部14~16及び第1縦板部17を1枚の板材から一体成形する場合には、例えばプレス成形法を用いることができる。プレス成形法を用いることで、溶接工程を経ることなく、第1上板部11~13、第1下板部14~16及び第1縦板部17が一体となった第1挟持部材10を得ることができる。
【0039】
すなわち、図5に示すように、第1挟持部材10は平面視で支柱200の外周面に対応するように屈曲形成されており、第1上板部11~13は支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第1挟持部材10の基端側の端部の上部には、基端側第1上板部11が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の基端側と先端側との中間部には、中間第1上板部12が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の先端側の端部には、先端側第1上板部13が径方向内方へ延びるように設けられている。図5に示すように、基端側第1上板部11と先端側第1上板部13とは互いに対向するように配置されている。
【0040】
基端側第1上板部11と中間第1上板部12とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置され、中間第1上板部12と先端側第1上板部13とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間隔と、中間第1上板部12と先端側第1上板部13との間隔は等しく設定されている。基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間に第1ポケットP1の上側部分が構成されており、また中間第1上板部12と先端側第1上板部13との間に第3ポケットP3の上側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第1上板部11と中間第1上板部12の互いに対向する縁部11a、12aは、第1ポケットP1の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第1上板部12と先端側第1上板部13の互いに対向する縁部12a、13aは、第3ポケットP3の幅方向両縁部を構成している。
【0041】
基端側第1上板部11の幅方向の両縁部11a、11aは、基端側第1上板部11の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)11c側に行くほど互いに接近するように形成されており、したがって、基端側第1上板部11の径方向外端部の幅は、基端側第1上板部11の径方向内端部(先端部11c)の幅よりも広く設定されている。言い換えると、基端側第1上板部11は、径方向外端部の幅が広く、径方向内端部の幅が狭くなっている。
【0042】
図7に示すように、基端側第1上板部11の先端部11cは、支柱200の外周面に沿って延びる第1面11dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第2面11eとで構成されている。基端側第1上板部11の先端部11cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線300を想定すると、この仮想線300よりも第2挟持部材20側に第1面11dが形成され、第1面11dとは反対側に第2面11eが形成されている。また、図5に示すように、基端側第1上板部11の径方向中間部には、円形の第1上側貫通孔11fが形成されている。
【0043】
中間第1上板部12の幅方向の両縁部12a、12aは、中間第1上板部12の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)12c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、中間第1上板部12も、基端側第1上板部11と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部12c)の幅よりも広く設定されている。
【0044】
先端側第1上板部13の幅方向の両縁部13a、13aは、先端側第1上板部13の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)13c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、先端側第1上板部13も、基端側第1上板部11と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部13c)の幅よりも広く設定されている。
【0045】
図8に示すように、先端側第1上板部13の先端部13cは、支柱200の外周面に沿って延びる第3面13dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第4面13eとで構成されている。先端側第1上板部13の先端部13cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線301を想定すると、この仮想線301よりも第2挟持部材20側に第3面13dが形成され、第3面13dとは反対側に第4面13eが形成されている。
【0046】
図6に示すように、基端側第1上板部11と先端側第1上板部13の高さは、中間第1上板部12よりも低く設定されており、その高さの差は、第1挟持部材10を構成する板材の厚みと同じである。また、基端側第1上板部11の高さと先端側第1上板部13の高さとは同じに設定されている。
【0047】
第1下板部14~16も第1上板部11~13と同様に、支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第1挟持部材10の基端側の端部の下部には、基端側第1下板部14が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の基端側と先端側との中間部には、中間第1下板部15が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の先端側の端部には、先端側第1下板部16が径方向内方へ延びるように設けられている。
【0048】
基端側第1下板部14は、基端側第1上板部11の真下に位置付けられており、基端側第1上板部11と同様に、幅方向の両縁部14aは、基端側第1下板部14の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)14c側に行くほど互いに接近するように形成されている。基端側第1下板部14の径方向中間部には、円形の第1下側貫通孔14fが形成されている。第1下側貫通孔14fは、第1上側貫通孔11fの同芯状に配置される。
【0049】
中間第1下板部15は、中間第1上板部12の真下に位置付けられており、中間第1上板部12と同様に、幅方向の両縁部15aは、中間第1下板部15の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)15c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0050】
先端側第1下板部16は、先端側第1上板部13の真下に位置付けられており、先端側第1上板部13と同様に、幅方向の両縁部16aは、先端側第1下板部16の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)16c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0051】
図6に示すように、基端側第1下板部14と先端側第1下板部16の高さは、中間第1下板部15よりも高く設定されており、その高さの差は、第1挟持部材10を構成する板材の厚みと同じである。また、基端側第1下板部14の高さと先端側第1下板部16の高さとは同じに設定されている。
【0052】
基端側第1下板部14と中間第1下板部15との間に第1ポケットP1の下側部分が構成されており、また中間第1下板部15と先端側第1下板部16との間に第3ポケットP3の下側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第1下板部14と中間第1下板部15の互いに対向する縁部14a、15aは、第1ポケットP1の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第1下板部15と先端側第1下板部16の互いに対向する縁部15a、16aは、第3ポケットP3の幅方向両縁部を構成している。
【0053】
第1縦板部17は、第1挟持部材10の基端側の端部から先端側の端部まで連続して延びている。第1縦板部17における第1ポケットP1に対応する部分は、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第1傾斜部17aで構成されている。「第1ポケットP1に対応する部分」とは、平面視で第1縦板部17における基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間に位置する部分、第1縦板部17における基端側第1下板部14と中間第1下板部15との間に位置する部分である。図4に示すように、第1傾斜部17aの傾斜角度と、クサビ101の側面101aの傾斜角度とは等しくなっている。
【0054】
第1縦板部17における第3ポケットP3に対応する部分も、第1ポケットP1に対応する部分と同様に、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第2傾斜部17bで構成されている。「第3ポケットP3に対応する部分」とは、平面視で第1縦板部17における中間第1上板部12と先端側第1上板部13との間に位置する部分、第1縦板部17における中間第1下板部15と先端側第1下板部16との間に位置する部分である。
【0055】
第1縦板部17は、第1ポケットP1に対応する部分(第1傾斜部17a)以外の部分も、第1傾斜部17aと同角度で傾斜している。「第1ポケットP1に対応する部分以外の部分」とは、第1縦板部17における基端側第1上板部11と基端側第1下板部14との間の基端側第1連結部17c、第1縦板部17における中間第1上板部12と中間第1下板部14との間の中間第1連結部17d、及び、第1縦板部17における先端側第1上板部13と先端側第1下板部16との間の先端側第1連結部17eである。
【0056】
基端側第1連結部17cは、基端側第1上板部11と基端側第1下板部14とを連結する部分であり、基端側第1上板部11から基端側第1下板部14まで延びている。また、中間第1連結部17dは、中間第1上板部12と中間第1下板部14とを連結する部分であり、中間第1上板部12から中間第1下板部14まで延びている。また、先端側第1連結部17eは、先端側第1上板部13と先端側第1下板部16とを連結する部分であり、先端側第1上板部13から先端側第1下板部16まで延びている。
【0057】
図1に示すように、先端側第1連結部17eには、ナット固定板18が例えば溶接等によって固定されている。ナット固定板18は、第1挟持部材10の先端部から径方向外方へ向けて突出するとともに上下方向に延びている。
【0058】
図14に示すように、ナット固定板18には、後述する締結軸部41を挿入するための軸部挿入用切欠部18aが形成されている。軸部挿入用切欠部18aは、ナット固定板18の先端側に向けて開放している。ナット固定板18の先端部には、軸部挿入用切欠部18aの上方及び下方にそれぞれ上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cが形成されている。上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cは、取り付け状態にある第2挟持部材20から離れる方向に屈曲している。この上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cの形成により、後述する締結状態にあるナット42が上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cに係合して締結軸部41が軸部挿入用切欠部18aから抜け難くなる。
【0059】
図6に示すように、第1傾斜部17aの上部には、上方へ突出する第1突出部17fが形成されている。第1ポケットP1に差し込まれたクサビ101の側面101aは第1突出部17fにも当接するようになっている。また、第2傾斜部17bの上部には、上方へ突出する第2突出部17gが形成されている。第3ポケットP3に差し込まれたクサビ101の側面101aは第2突出部17gにも当接するようになっている。
【0060】
(第2挟持部材20の構成)
図9及び図10に示すように、第2挟持部材20は、第2上板部21~23と、第2下板部24~26と、第2縦板部27とを備えている。第2上板部21~23と、第2下板部24~26は、径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、支柱200の外周面に径方向他側から当接する部分である。この例では、第2上板部21~23と、第2下板部24~26が、支柱200の軸線Xに対して直交する方向に延びている。
【0061】
第2縦板部27は、第2上板部21~23の径方向外端部から第2下板部24~26の径方向外端部まで連続して上下方向に延びている。第2上板部21~23と、第2下板部24~26と、第2縦板部27とは、第1挟持部材10と同様に、1枚の板材により一体成形されている。
【0062】
図9に示すように、第2挟持部材20は平面視で支柱200の外周面に対応するように屈曲形成されており、第2上板部21~23は支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。すなわち、第2挟持部材20の基端側の端部の上部には、基端側第2上板部21が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の基端側と先端側との中間部には、中間第2上板部22が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の先端側の端部には、先端側第2上板部23が径方向内方へ延びるように設けられている。基端側第2上板部21と先端側第2上板部23とは互いに対向するように配置されている。
【0063】
基端側第2上板部21と中間第2上板部22とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置され、中間第2上板部22と先端側第2上板部23とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。基端側第2上板部21と中間第2上板部22との間隔と、中間第2上板部22と先端側第2上板部23との間隔は、基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間隔と同じである。基端側第2上板部21と中間第2上板部22との間に第2ポケットP2の上側部分が構成されており、また中間第2上板部22と先端側第2上板部23との間に第4ポケットP4の上側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第2上板部21と中間第2上板部22の互いに対向する縁部21a、22aは、第2ポケットP2の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第2上板部22と先端側第2上板部23の互いに対向する縁部22a、23aは、第4ポケットP4の幅方向両縁部を構成している。
【0064】
基端側第2上板部21の幅方向の両縁部21a、21aは、基端側第2上板部21の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)21c側に行くほど互いに接近するように形成されており、したがって、基端側第2上板部21の径方向外端部の幅は、基端側第2上板部21の径方向内端部(先端部21c)の幅よりも広く設定されている。言い換えると、基端側第2上板部21は、径方向外端部の幅が広く、径方向内端部の幅が狭くなっている。
【0065】
図11に示すように、基端側第2上板部21の先端部21cは、支柱200の外周面に沿って延びる第5面21dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第6面21eとで構成されている。基端側第2上板部21の先端部21cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線302を想定すると、この仮想線302よりも第1挟持部材10側に第5面21dが形成され、第5面21dとは反対側に第6面21eが形成されている。また、図9に示すように、基端側第2上板部21の径方向中間部には、円形の第2上側貫通孔21fが形成されている。
【0066】
中間第2上板部22の幅方向の両縁部22a、22aは、中間第2上板部22の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)22c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、中間第2上板部22も、基端側第2上板部21と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部22c)の幅よりも広く設定されている。
【0067】
先端側第2上板部23の幅方向の両縁部23a、23aは、先端側第2上板部23の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)23c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、先端側第2上板部23も、基端側第2上板部21と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部23c)の幅よりも広く設定されている。
【0068】
図12に示すように、先端側第2上板部23の先端部23cは、支柱200の外周面に沿って延びる第7面23dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第8面23eとで構成されている。先端側第2上板部23の先端部23cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線303を想定すると、この仮想線303よりも第1挟持部材10側に第7面23dが形成され、第7面23dとは反対側に第8面23eが形成されている。
【0069】
図10に示すように、基端側第2上板部21と中間第2上板部22と先端側第2上板部23の高さは同じに設定されている。
【0070】
第2下板部24~26も第2上板部21~23と同様に、支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第2挟持部材20の基端側の端部の下部には、基端側第2下板部24が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の基端側と先端側との中間部には、中間第2下板部25が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の先端側の端部には、先端側第2下板部26が径方向内方へ延びるように設けられている。第2下板部24~26の高さは同じである。
【0071】
基端側第2下板部24は、基端側第2上板部21の真下に位置付けられており、基端側第2上板部21と同様に、幅方向の両縁部24aは、基端側第2下板部24の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)24c側に行くほど互いに接近するように形成されている。基端側第2下板部24の径方向中間部には、円形の第2下側貫通孔24fが形成されている。第2下側貫通孔24fは、第2上側貫通孔21fの同芯状に配置される。
【0072】
中間第2下板部25は、中間第2上板部22の真下に位置付けられており、中間第2上板部22と同様に、幅方向の両縁部25aは、中間第2下板部25の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)25c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0073】
先端側第2下板部26は、先端側第2上板部23の真下に位置付けられており、先端側第2上板部23と同様に、幅方向の両縁部26aは、先端側第2下板部26の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)26c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0074】
基端側第2下板部24と中間第2下板部25との間に第2ポケットP2の下側部分が構成されており、また中間第2下板部25と先端側第2下板部26との間に第4ポケットP4の下側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第2下板部24と中間第2下板部25の互いに対向する縁部24a、25aは、第2ポケットP2の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第2下板部25と先端側第2下板部26の互いに対向する縁部25a、26aは、第4ポケットP4の幅方向両縁部を構成している。
【0075】
第2縦板部27は、第2挟持部材20の基端側の端部から先端側の端部まで連続して延びている。第2縦板部27における第2ポケットP2に対応する部分は、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第3傾斜部27aで構成されている。「第2ポケットP2に対応する部分」とは、平面視で第2縦板部27における基端側第2上板部21と中間第2上板部22との間に位置する部分、第2縦板部27における基端側第2下板部24と中間第2下板部25との間に位置する部分である。第3傾斜部27aの傾斜角度と、クサビ101の側面101aの傾斜角度とは等しくなっている。
【0076】
第2縦板部27における第4ポケットP4に対応する部分も、第2ポケットP2に対応する部分と同様に、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第4傾斜部27bで構成されている。「第4ポケットP4に対応する部分」とは、平面視で第2縦板部27における中間第2上板部22と先端側第2上板部23との間に位置する部分、第2縦板部27における中間第2下板部25と先端側第2下板部26との間に位置する部分である。
【0077】
第2縦板部27は、第2ポケットP2に対応する部分(第3傾斜部27a)以外の部分も、第3傾斜部27aと同角度で傾斜している。「第2ポケットP2に対応する部分以外の部分」とは、第2縦板部27における基端側第2上板部21と基端側第2下板部24との間の基端側第2連結部27c、第2縦板部27における中間第2上板部22と中間第2下板部24との間の中間第2連結部27d、及び、第2縦板部27における先端側第2上板部23と先端側第2下板部26との間の先端側第2連結部27eである。
【0078】
基端側第2連結部27cは、基端側第2上板部21と基端側第2下板部24とを連結する部分であり、基端側第2上板部21から基端側第2下板部24まで延びている。また、中間第2連結部27dは、中間第2上板部22と中間第2下板部24とを連結する部分であり、中間第2上板部22から中間第2下板部24まで延びている。また、先端側第2連結部27eは、先端側第2上板部23と先端側第2下板部26とを連結する部分であり、先端側第2上板部23から先端側第2下板部26まで延びている。
【0079】
図10に示すように、第3傾斜部27aの上部には、上方へ突出する第3突出部27fが形成されている。第2ポケットP2に差し込まれたクサビ101の側面101aは第3突出部27fにも当接するようになっている。また、第4傾斜部27bの上部には、上方へ突出する第4突出部27gが形成されている。第4ポケットP4に差し込まれたクサビ101の側面101aは第4突出部27gにも当接するようになっている。
【0080】
図13に示すように、第1挟持部材10の周方向の端部に位置する基端側第1上板部11と、第2挟持部材20の周方向の端部に位置する基端側第2上板部21とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されている。具体的には、基端側第1上板部11が基端側第2上板部21の下に配置されるように、基端側第1上板部11の高さが基端側第2上板部21よりも低く設定されている。また、基端側第1下板部14が基端側第2下板部24の上に配置されるように、基端側第1下板部14の高さが基端側第2下板部24よりも高く設定されている。尚、基端側第1上板部11と基端側第2上板部21との上下関係は反対であってもよく、また、基端側第1下板部14と基端側第2下板部24との上下関係は反対であってもよい。
【0081】
同様に、先端側第1上板部13が先端側第2上板部23の下に配置されるように、先端側第1上板部13の高さが先端側第2上板部23よりも低く設定されている。また、先端側第1下板部16が先端側第2下板部26の上に配置されるように、先端側第1下板部16の高さが先端側第2下板部26よりも高く設定されている。尚、先端側第1上板部13と先端側第2上板部23との上下関係は反対であってもよく、また、先端側第1下板部16と先端側第2下板部26との上下関係は反対であってもよい。
【0082】
図4に示すように、第2挟持部材20の先端部には、先端側ブラケット29が固定されている。図15及び図16に示すように、先端側ブラケット29は、上板部29aと、下板部29bと、上板部29aの縁部から下板部29bの縁部まで延び、上板部29a及び下板部29bを連結する連結板部29cとを有している。連結板部29cが第2挟持部材20の先端部に対して溶接等により固定されている。上板部29a及び下板部29bは、第2挟持部材20の先端部から支柱200の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。
【0083】
(連結部材30の構成)
図1に示すように、連結部材30は、例えば金属製の丸棒材等からなる高強度な軸で構成することができ、上端部には径方向に張り出した上側抜け止め部30aが形成され、下端部には径方向に張り出した下側抜け止め部(図示せず)が形成されている。尚、連結する前の連結部材30には、上側抜け止め部30aまたは下側抜け止め部のどちらかが形成されておらず、連結後に例えばかしめ等によって形成される。
【0084】
連結部材30は、上下方向に延びる姿勢とされている。第1挟持部材10と第2挟持部材20とを連結部材30で連結する際には、基端側第2上板部21と基端側第2下板部24との間に、基端側第1上板部11及び基端側第1下板部14を差し込む。これにより、基端側第1上板部11及び基端側第1下板部14が基端側第2上板部21と基端側第2下板部24とで上下方向に挟まれることになるので、第1挟持部材10と第2挟持部材20の上下方向のガタツキを抑制できる。尚、この基端部における差込構造は必要に応じて設ければよく、必須な構造ではない。
【0085】
この状態で、例えば下側抜け止め部が形成されていない連結部材30を、第1上側貫通孔11f、第1下側貫通孔14f、第2上側貫通孔21f、第2下側貫通孔24fに挿通する。その後、下側抜け止め部を形成することで、連結部材30が抜けなくなり、第1挟持部材10と第2挟持部材20とが連結された状態で維持される。尚、本実施形態では、クサビ緊結式足場用クランプ1は2ピース構造となっているが、これに限らず3ピース構造であってもよい。
【0086】
連結部材30は、第1上側貫通孔11f、第1下側貫通孔14f、第2上側貫通孔21f、第2下側貫通孔24fに挿通された状態で相対的に回動可能になっている。したがって、図2に示すように、例えば、第1挟持部材10を固定しておき、第2挟持部材20を連結部材30周りに回動させることや、第2挟持部材20を固定しておき、第1挟持部材10を連結部材30周りに回動させることが可能になる。つまり、連結部材30によって第1挟持部材10の基端側と第2挟持部材20の基端側とが連結され、この連結された状態で、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに接離する方向に回動可能になる。
【0087】
連結部材30の抜け止め構造は、かしめ以外であってもよく、例えば連結部材30の上端部及び下端部に止め輪(図示せず)を嵌合させる方法であってもよい。また、例えばネジ軸とナット等(図示せず)で連結部材30が構成されていてもよく、この場合、ナットを螺合させる前のネジ軸を第1上側貫通孔11f、第1下側貫通孔14f、第2上側貫通孔21f、第2下側貫通孔24fに挿通し、その後、ナットをネジ軸に螺合させればよい。
【0088】
(締結部材40の構成)
図1図2に示すように、締結部材40は、締結軸部41、ナット42及び支軸43を少なくとも備えている。締結軸部41の基端部には大径部41aが形成されている。締結軸部41における大径部41a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット42は、締結軸部41に螺合する部材である。ナット42のフランジ部42aがナット固定板18における軸部挿入用切欠部18aの周縁部に当接するようになっている。
【0089】
支軸43は、締結軸部41の大径部41aを第2挟持部材20の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸43は、上記連結部材30と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されており、上端部には径方向に張り出した上側抜け止め部43aが形成され、下端部には径方向に張り出した下側抜け止め部(図示せず)が形成されている。抜け止め構造は、連結部材30と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
支軸43の上下方向中間部は、締結軸部41の大径部41aを上下方向に貫通しており、支軸43と締結軸部41の大径部41aとは相対的に回動可能になっている。支軸43の上端部は、先端側ブラケット29の上板部29aを貫通して当該上板部29aの上面から上方へ突出しており、一方、支軸43の下端部は、先端側ブラケット29の下板部29bを貫通して当該下板部29bの下面から下方へ突出している。上側抜け止め部43a及び下側抜け止め部によって支軸43の抜けが抑制されている。支軸43と先端側ブラケット29とは相対的に回動可能になっている。
【0091】
締結軸部41を支軸43回りに回動させることにより、図1に示すように、締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aに挿入した状態と、図2に示すように、締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aから抜いた状態とに切り替えることができる。
【0092】
(足場用クランプ1の使用方法)
足場用クランプ1を支柱200に取り付ける際には、まず、図2に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が互いに離れるように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させる。その後、支柱200を径方向に挟むように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させていき、図1に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側を互いに接近させる。さらに、締結部材40の締結軸部41を回動させ、締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aに挿入する。締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aに挿入した状態でナット42を締め込むと、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが接近する方向に締結される。
【0093】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側を互いに接近させると、先端側第2上板部23と先端側第2下板部26との間に、先端側第1上板部13及び先端側第1下板部16が差し込まれる。これにより、先端側第1上板部13及び先端側第1下板部16が先端側第2上板部23と先端側第2下板部26とで上下方向(厚み方向)に挟まれることになるので、第1挟持部材10と第2挟持部材20の上下方向のガタツキを抑制できる。
【0094】
クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に固定すると、第1上板部11~13、第1下板部14~16、第2上板部21~23及び第2下板部24~26が支柱200の外周面に強く接触する。そして、クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に固定した後、クサビ101を第1~第4ポケットP1~P1に差し込むことで布材100を支柱200に連結できる。
【0095】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1挟持部材10を構成している第1上板部11~13、第1下板部14~16及び第1縦板部17が1枚の板材により一体成形され、また、第2挟持部材20を構成している第2上板部21~23、第2下板部24~26及び第2縦板部27が1枚の板材により一体成形されているので、部品点数が削減されるとともに、溶接工程が不要になり、製造工数も削減される。
【0096】
また、第1上板部11~13、第1下板部14~16は、それぞれ平板状であり、屈曲した部分が無いので、高い精度を確保しやすくなる。よって、第1挟持部材10と第2挟持部材20とのはめ合い部分の寸法精度の微調整もしやすくなり、品質の高いクサビ緊結式足場用クランプ1を大量生産できる。
【0097】
第1上板部11~13、第1下板部14~16、第2上板部21~23及び第2下板部24~26は、支柱200の径方向に延びているので、クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に固定した状態で、支柱200に対する接触面積が小さくなり、面圧が高まる。これにより、第1上板部11~13、第1下板部14~16、第2上板部21~23及び第2下板部24~26が支柱200に対して強固に固定される。
【0098】
クサビ101を第1ポケットP1に差し込むと、図4に仮想線で示すように、第1縦板部17の第1傾斜部17aがクサビ101の側面101aに沿って同方向に傾斜しているので、クサビ101の側面101aと第1傾斜部17aとが面接触することになり、両者の接触面積が広くなる。よって、クサビ101の固定強度が高くなる。第2~第4ポケットP2~P4についても同様である。
【0099】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。図17は、実施形態の変形例を示しており、この変形例では、第1挟持部材10の中間第1上板部12の先端部に、支柱200の周方向に沿って延長する延長部12dが設けられている。図示しないが、中間第1下板部15、中間第2上板部22、中間第2下板部25の先端部にも同様に延長部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本開示に係るクサビ緊結式足場用クランプは、例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場で作業員用の仮設足場を構築する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 クサビ緊結式足場用クランプ
10 第1挟持部材
11~13 第1上板部
14~16 第1下板部
17 第1縦板部
17a 第1傾斜部
17b 第2傾斜部
20 第2挟持部材
30 連結部材
40 締結部材
100 布材(足場構成部材)
101 クサビ
200 支柱
P1~P4 第1~第4ポケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クサビ緊結式足場を構築する際に使用されるクサビ緊結式足場用クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場等では作業員用の仮設足場を構築した後、各種作業が行われている。仮設足場を構築する場合には、例えば、支柱、布材、布枠、先行手摺ブレース等の足場構成部材が使用され、支柱に対して布材等が連結される。この連結構造として、例えば布材の端部に下方へ突出するように固定されたクサビと、支柱の外周面に固定されたポケットとを使用する構造が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1には、支柱を径方向に挟む第1、第2の挟持材が回動自在に連結されたクランプが開示されている。各挟持材は、水平板部と垂直板部とを有しており、水平板部には、クサビ挿入口が90度間隔に形成され、また垂直板部にはクサビ挿入口に挿入されたクサビの側面に接触する凸部が形成されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されているクランプは、上板部及び下板部を備えており、上板部及び下板部にはクサビが差し込まれる切欠部が形成されている。さらにこのクランプには、上板部及び下板部とは支柱で構成された傾斜板部がクサビの側面に沿って傾斜するように設けられている。
【0005】
また、特許文献3に開示されているクランプは、縦方向に延びる板材を屈曲させることにより、クサビの差込が可能なポケットを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-134502号公報
【特許文献2】特許第7127920号公報
【特許文献3】特開平9-242330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的に、クサビは、クサビ挿入口への挿入のし易さを考慮して、当該クサビの下端が上端に比べて細くなっているので、クサビの側面は、その下端に近づけば近づくほど支柱の外面に接近する方向に傾斜している。一方、特許文献1のクランプは、クサビの側面に対向する部分が垂直板部となっており、この垂直板部は支柱の外面と平行になっている。つまり、クサビの側面と垂直板部とは同方向に延びていない。そして、特許文献1では、垂直板部に形成された凸部がクサビの側面に接触することになるので、垂直板部とクサビの側面とは点接触になり、接触面積が極めて狭くなる。よって、クサビの固定強度が低くなるおそれがある。
【0008】
そこで、特許文献2のように、クサビの側面に沿って傾斜する傾斜板部を設けることが考えられる。ところが、傾斜板部は、上板部及び下板部とは別部材で構成されているので、部品点数が増加するとともに傾斜板部を上板部と下板部に溶接する溶接工程が必要になり、製造工数も増加する。
【0009】
この点、特許文献3のクランプでは、縦方向に延びる1枚の板材でポケットを形成しているので、部品点数及び製造工数は特許文献2に比べて削減できると考えられる。しかしながら、支柱に接触する部分も縦方向に延びる板材で構成されていることから、支柱の外周面への接触面積が広くなり、その結果、面圧が低下してしまうおそれがある。
【0010】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、部品点数及び製造工数を削減しながら、クサビのクランプに対する固定強度と、クランプの支柱に対する固定強度の両方を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、足場構成部材が有するクサビを支柱に設けられたポケットに上方から差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用されるクサビ緊結式足場用クランプを前提とすることができる。クサビ緊結式足場用クランプは、前記支柱を径方向に挟持する第1挟持部材及び第2挟持部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを含んでいる。前記第1挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向一側から当接する第1上板部及び第1下板部と、前記第1上板部の前記径方向外端部から前記第1下板部の前記径方向外端部まで連続した第1縦板部とを有し、前記第1上板部、前記第1下板部及び前記第1縦板部が1枚の板材により一体成形されている。また、前記第2挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向他側から当接する第2上板部及び第2下板部と、前記第2上板部の前記径方向外端部から前記第2下板部の前記径方向外端部まで連続した第2縦板部とを有し、前記第2上板部、前記第2下板部及び前記第2縦板部が1枚の板材により一体成形されている。前記第1上板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられ、前記第1下板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。前記周方向に隣合う前記第1上板部の間と前記周方向に隣合う前記第1下板部の間とに第1ポケットが構成されており、前記第1縦板部における前記第1ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜する平板状をなすとともに当該側面に面接触している。
【0012】
この構成によれば、第1挟持部材を構成している第1上板部、第1下板部及び第1縦板部が1枚の板材により一体成形され、また、第2挟持部材を構成している第2上板部、第2下板部及び第2縦板部が1枚の板材により一体成形されているので、部品点数が削減されるとともに、溶接工程が不要になり、製造工数も削減される。
【0013】
また、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに離れる方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側との間隔が広がるので、支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置することが可能になる。支柱を第1挟持部材と第2挟持部材との間に配置した後、第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とが互いに接近する方向に第1挟持部材及び第2挟持部材を回動させると、第1挟持部材の第1上板部及び第1下板部と、第2挟持部材の第2上板部及び第2下板部とがそれぞれ支柱の外周面に対して該支柱の径方向一側及び他側からそれぞれ当接する。そして、締結部材により第1挟持部材の一端側と第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結することで、本クランプが支柱に固定される。
【0014】
支柱に固定された状態では、第1上板部、第1下板部、第2上板部及び第2下板部がそれぞれ支柱の径方向に延びているので、支柱に対する接触面積が小さくなり、面圧が高まる。これにより、第1上板部、第1下板部、第2上板部及び第2下板部が支柱に対して強固に固定される。
【0015】
ここで、一般的なクサビは、差し込み方向先端を下端としたとき、下端が上端に比べて細くなっているので、クサビにおける支柱と反対側に位置する側面は、その下側へ行くほど支柱の外面に接近する方向に傾斜している。
【0016】
上記のような形状を持ったクサビを本クランプの第1ポケットに差し込むと、第1縦板部における第1ポケットに対応する部分がクサビの側面に沿って同方向に傾斜しているので、クサビの側面と第1縦板部とが面接触することになり、両者の接触面積が広くなる。よって、クサビの固定強度が高くなる。
【0017】
本開示の他の態様では、前記周方向に隣合う前記第2上板部の間と前記周方向に隣合う前記第2下板部の間とに第2ポケットが構成されていてもよい。この場合、前記第2縦板部における前記第2ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜した形状にすることができる。これにより、第2ポケットに差し込んだクサビも強固に固定できる。尚、第3ポケット、第4ポケットが設けられていてもよい。
【0018】
また、前記第1上板部の前記径方向外端部の幅は、前記第1上板部の前記径方向内端部の幅よりも広く設定されていてもよい。言い換えると、前記第1上板部の前記径方向内端部の幅を、前記第1上板部の前記径方向外端部の幅よりも狭くすることができるので、支柱に対する接触面積がより一層小さくなり、面圧を更に高めることができる。
【0019】
また、前記第1縦板部は、前記第1ポケットに対応する部分以外の部分も、前記第1ポケットに対応する部分と同角度で傾斜していてもよい。これにより、第1縦板部の全体が同じ角度で傾斜した形状になるので、成形しやすくなり、成形性が良好になる。
【0020】
また、前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1上板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2上板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定することができる。これにより、第1上板部の少なくとも一部が、第2上板部と厚み方向に重なることになるので、第1挟持部材と第2挟持部材との上下方向のずれが抑制される。
【0021】
また、前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1下板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2下板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されていてもよい。これにより、第1下板部の少なくとも一部が、第2下板部と厚み方向に重なることになるので、第1挟持部材と第2挟持部材との上下方向のずれを抑制する効果がより一層高まる。
【0022】
また、前記周方向に隣合う前記第1上板部の互いに対向する縁部は、前記第1ポケットの幅方向両縁部を構成していてもよい。この構成によれば、クサビを第1ポケットに上方から差し込むと、クサビの幅方向両面がそれぞれ第1上板部の縁部に当接することで、クサビを所定位置に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、第1挟持部材の第1上板部、第1下板部及び第1縦板部を1枚の板材により一体成形し、第2挟持部材の第2上板部、第2下板部及び第2縦板部を1枚の板材により一体成形したので、部品点数及び製造工数を削減することができる。そして、第1上板部、第1下板部、第2上板部及び第2下板部が径方向に延びているので、クランプの支柱に対する固定強度を高めることができる。さらに、第1縦板部におけるポケットに対応する部分がクサビの側面に沿って傾斜しているので、クサビのクランプに対する固定強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るクサビ緊結式足場用クランプが閉状態にある場合の平面図である。
図2】クサビ緊結式足場用クランプが開状態にある場合の平面図である。
図3】クサビ緊結式足場用クランプを支柱に取り付けて布材を連結した状態を示す斜視図である。
図4】布材のクサビ近傍を拡大して示す側面図である。
図5】第1挟持部材の平面図である。
図6】第1挟持部材を支柱に当接する側から見た図である。
図7】基端側第1上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図8】先端側第1上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図9】第2挟持部材の平面図である。
図10】第2挟持部材を支柱に当接する側から見た図である。
図11】基端側第2上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図12】先端側第2上板部の先端部を拡大して示す平面図である。
図13図1におけるXIII-XIII線断面図である。
図14】ナット固定板の側面図である。
図15】先端側ブラケットの平面図である。
図16】先端側ブラケットの側面図である。
図17】実施形態の変形例に係る図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1は、クサビ緊結式足場用クランプ1が閉状態にある場合の平面図であり、図2は、クサビ緊結式足場用クランプ1が開状態にある場合の平面図である。図3に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、例えば布材(足場構成部材)100を支柱200に固定し、連結する場合等に使用することが可能な部材である。支柱200は、金属製の円管部材で構成されており、通常は、鉛直方向に延びるように配設されるが、傾斜していても構わない。また、布材100も支柱200と同様な円管部材で構成されており、通常は略水平方向に延びるように配設されるが、傾斜していても構わない。足場構成部材は、布材100に限られるものではなく、図示しないが、布枠、ブレース等、他の足場構成部材であってもよい。
【0027】
例えば、布材100、支柱200、布枠(図示せず)、先行手摺ブレース(図示せず)、幅木(図示せず)、壁つなぎ(図示せず)、ジャッキ(図示せず)、階段(図示せず)及びクサビ緊結式足場用クランプ1等によってクサビ緊結式足場が構築される。
【0028】
クサビ緊結式足場は、図3に示す布材100の両端部にそれぞれ設けられたクサビ101を、支柱200に設けられたポケット201、P1~P4に上方から差し込んで固定することによって構築される。図示しないが、上記布枠、先行手摺ブレース等にもクサビが設けられており、これらクサビをポケット201、P1~P4に差し込んで固定することもできる。布材100の端部に設けられるクサビ101の形状や構造は様々である。本発明は、どのクサビ101に対しても適用することができる。
【0029】
図4に布材100の端部に設けられているクサビ101及びその近傍を示している。一点鎖線Xは、支柱200の軸線である。クサビ101は、布材100の端部に対して上下方向に移動可能に支持されている。クサビ101の下側は、布材100の下部から下方へ突出している。
【0030】
クサビ101は全体として下端(差し込み方向先端)が上端に比べて細くなっているので、クサビ101における支柱200と反対側に位置する側面101aは、その下側へ行くほど支柱200の外面に接近する方向に傾斜している。尚、クサビ101は、クサビケーシング(図示せず)を有していてもよく、この場合、クサビ101の側面はクサビケーシングの側面となる。
【0031】
(クサビ緊結式足場用クランプ1の全体構成)
図1図2に示すように、クサビ緊結式足場用クランプ1は、支柱200を径方向に挟持する第1挟持部材10及び第2挟持部材20と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動可能に連結する連結部材30と、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を締結する締結部材40とを含んでいる。本実施形態では、第1挟持部材10及び第2挟持部材20で支柱200を径方向に挟持するようにしているが、これに限らず、図示しないが、第3挟持部材や第4挟持部材を更に連結し、3つ以上の挟持部材で支柱200を挟持してもよい。
【0032】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20は、支柱200の外周面に対して該支柱200の径方向(水平方向)一側及び他側からそれぞれ当接することにより、支柱200を径方向に挟持(クランプ)する部材である。クサビ緊結式足場用クランプ1は、布材100のクサビ101が差し込まれる第1~第4ポケットP1~P4を有している。第1~第4ポケットP1~P4は、全て同じ形状及び大きさである。このため、クサビ101は、第1~第4ポケットP1~P4の任意のポケットに差し込むことができ、任意のポケットに差し込んだ状態でクサビ緊結式足場用クランプ1に固定される。
【0033】
図1に示すように、第1挟持部材10に第1ポケットP1と第3ポケットP3とが設けられ、また、第2挟持部材20に第2ポケットP2と第4ポケットP4とが設けられている。第1~第4ポケットP1~P4は、支柱200の軸線X周りに等間隔(90°間隔)で配置されている。尚、ポケットの数は4つに限られるものではなく、1つ、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。ポケットの数が1つの場合、第1挟持部材10と第2挟持部材20のいずれか一方にのみ第1ポケットを設ければよい。ポケットの数が2つの場合、第1挟持部材10と第2挟持部材20にそれぞれ第1ポケットと第2ポケットを設けてもよいし、第1挟持部材10と第2挟持部材20のいずれか一方にのみ2つのポケットを設けてもよい。ポケットの数が3つの場合、第1挟持部材10と第2挟持部材20のいずれか一方に1つの第1ポケットを設け、他方に第2ポケット及び第3ポケットを設ければよい。
【0034】
尚、この実施形態の説明では、図2に示すようにクサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に取り付けた状態で、クサビ緊結式足場用クランプ1の下になる側を単に「下」といい、クサビ緊結式足場用クランプ1の上になる側を単に「上」というものとする。また、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「基端側」といい、第1挟持部材10及び第2挟持部材20における連結部材30によって連結される側とは反対側を、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の「先端側」というものとする。
【0035】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が本発明の一端側に相当し、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の基端側が本発明の他端側に相当する。このようにクサビ緊結式足場用クランプ1の方向を定義するのは説明の便宜を図るためだけであり、クサビ緊結式足場用クランプ1の使用状態を限定するものではなく、図示した姿勢以外の姿勢でクサビ緊結式足場用クランプ1を使用することも可能である。例えば、図示した姿勢を上下反転させて使用することもできる。
【0036】
(第1挟持部材10の構成)
図5及び図6に示すように、第1挟持部材10は、第1上板部11~13と、第1下板部14~16と、第1縦板部17とを備えている。第1上板部11~13と、第1下板部14~16は、クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200へ取り付けた状態を基準とした時、当該支柱200の径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、支柱200の外周面に径方向一側から当接する部分である。この例では、第1上板部11~13と、第1下板部14~16が、支柱200の軸線Xに対して直交する方向に延びている。
【0037】
以下の説明では、特に断らない限り、「径方向」とは、支柱200への取り付け時を基準として当該支柱200の径方向に対応する方向であり、「周方向」とは、支柱200への取り付け時を基準として当該支柱200の周方向に対応する方向である。
【0038】
第1縦板部17は、第1上板部11~13の径方向外端部から第1下板部14~16の径方向外端部まで連続して上下方向に延びている。第1上板部11~13と、第1下板部14~16と、第1縦板部17とは、1枚の板材により一体成形されている。使用可能な板材は例えば鋼板等であり、その厚みは特に限定されるものではないが、例えば2mm以上8mm以下の範囲で設定することができる。第1上板部11~13、第1下板部14~16及び第1縦板部17を1枚の板材から一体成形する場合には、例えばプレス成形法を用いることができる。プレス成形法を用いることで、溶接工程を経ることなく、第1上板部11~13、第1下板部14~16及び第1縦板部17が一体となった第1挟持部材10を得ることができる。
【0039】
すなわち、図5に示すように、第1挟持部材10は平面視で支柱200の外周面に対応するように屈曲形成されており、第1上板部11~13は支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第1挟持部材10の基端側の端部の上部には、基端側第1上板部11が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の基端側と先端側との中間部には、中間第1上板部12が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の先端側の端部には、先端側第1上板部13が径方向内方へ延びるように設けられている。図5に示すように、基端側第1上板部11と先端側第1上板部13とは互いに対向するように配置されている。
【0040】
基端側第1上板部11と中間第1上板部12とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置され、中間第1上板部12と先端側第1上板部13とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間隔と、中間第1上板部12と先端側第1上板部13との間隔は等しく設定されている。基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間に第1ポケットP1の上側部分が構成されており、また中間第1上板部12と先端側第1上板部13との間に第3ポケットP3の上側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第1上板部11と中間第1上板部12の互いに対向する縁部11a、12aは、第1ポケットP1の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第1上板部12と先端側第1上板部13の互いに対向する縁部12a、13aは、第3ポケットP3の幅方向両縁部を構成している。
【0041】
基端側第1上板部11の幅方向の両縁部11a、11aは、基端側第1上板部11の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)11c側に行くほど互いに接近するように形成されており、したがって、基端側第1上板部11の径方向外端部の幅は、基端側第1上板部11の径方向内端部(先端部11c)の幅よりも広く設定されている。言い換えると、基端側第1上板部11は、径方向外端部の幅が広く、径方向内端部の幅が狭くなっている。
【0042】
図7に示すように、基端側第1上板部11の先端部11cは、支柱200の外周面に沿って延びる第1面11dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第2面11eとで構成されている。基端側第1上板部11の先端部11cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線300を想定すると、この仮想線300よりも第2挟持部材20側に第1面11dが形成され、第1面11dとは反対側に第2面11eが形成されている。また、図5に示すように、基端側第1上板部11の径方向中間部には、円形の第1上側貫通孔11fが形成されている。
【0043】
中間第1上板部12の幅方向の両縁部12a、12aは、中間第1上板部12の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)12c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、中間第1上板部12も、基端側第1上板部11と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部12c)の幅よりも広く設定されている。
【0044】
先端側第1上板部13の幅方向の両縁部13a、13aは、先端側第1上板部13の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)13c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、先端側第1上板部13も、基端側第1上板部11と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部13c)の幅よりも広く設定されている。
【0045】
図8に示すように、先端側第1上板部13の先端部13cは、支柱200の外周面に沿って延びる第3面13dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第4面13eとで構成されている。先端側第1上板部13の先端部13cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線301を想定すると、この仮想線301よりも第2挟持部材20側に第3面13dが形成され、第3面13dとは反対側に第4面13eが形成されている。
【0046】
図6に示すように、基端側第1上板部11と先端側第1上板部13の高さは、中間第1上板部12よりも低く設定されており、その高さの差は、第1挟持部材10を構成する板材の厚みと同じである。また、基端側第1上板部11の高さと先端側第1上板部13の高さとは同じに設定されている。
【0047】
第1下板部14~16も第1上板部11~13と同様に、支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第1挟持部材10の基端側の端部の下部には、基端側第1下板部14が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の基端側と先端側との中間部には、中間第1下板部15が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第1挟持部材10の先端側の端部には、先端側第1下板部16が径方向内方へ延びるように設けられている。
【0048】
基端側第1下板部14は、基端側第1上板部11の真下に位置付けられており、基端側第1上板部11と同様に、幅方向の両縁部14aは、基端側第1下板部14の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)14c側に行くほど互いに接近するように形成されている。基端側第1下板部14の径方向中間部には、円形の第1下側貫通孔14fが形成されている。第1下側貫通孔14fは、第1上側貫通孔11fの同芯状に配置される。
【0049】
中間第1下板部15は、中間第1上板部12の真下に位置付けられており、中間第1上板部12と同様に、幅方向の両縁部15aは、中間第1下板部15の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)15c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0050】
先端側第1下板部16は、先端側第1上板部13の真下に位置付けられており、先端側第1上板部13と同様に、幅方向の両縁部16aは、先端側第1下板部16の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)16c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0051】
図6に示すように、基端側第1下板部14と先端側第1下板部16の高さは、中間第1下板部15よりも高く設定されており、その高さの差は、第1挟持部材10を構成する板材の厚みと同じである。また、基端側第1下板部14の高さと先端側第1下板部16の高さとは同じに設定されている。
【0052】
基端側第1下板部14と中間第1下板部15との間に第1ポケットP1の下側部分が構成されており、また中間第1下板部15と先端側第1下板部16との間に第3ポケットP3の下側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第1下板部14と中間第1下板部15の互いに対向する縁部14a、15aは、第1ポケットP1の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第1下板部15と先端側第1下板部16の互いに対向する縁部15a、16aは、第3ポケットP3の幅方向両縁部を構成している。
【0053】
第1縦板部17は、第1挟持部材10の基端側の端部から先端側の端部まで連続して延びている。第1縦板部17における第1ポケットP1に対応する部分は、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第1傾斜部17aで構成されている。「第1ポケットP1に対応する部分」とは、平面視で第1縦板部17における基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間に位置する部分、第1縦板部17における基端側第1下板部14と中間第1下板部15との間に位置する部分である。図4に示すように、第1傾斜部17aの傾斜角度と、クサビ101の側面101aの傾斜角度とは等しくなっている。
【0054】
第1縦板部17における第3ポケットP3に対応する部分も、第1ポケットP1に対応する部分と同様に、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第2傾斜部17bで構成されている。「第3ポケットP3に対応する部分」とは、平面視で第1縦板部17における中間第1上板部12と先端側第1上板部13との間に位置する部分、第1縦板部17における中間第1下板部15と先端側第1下板部16との間に位置する部分である。
【0055】
第1縦板部17は、第1ポケットP1に対応する部分(第1傾斜部17a)以外の部分も、第1傾斜部17aと同角度で傾斜している。「第1ポケットP1に対応する部分以外の部分」とは、第1縦板部17における基端側第1上板部11と基端側第1下板部14との間の基端側第1連結部17c、第1縦板部17における中間第1上板部12と中間第1下板部14との間の中間第1連結部17d、及び、第1縦板部17における先端側第1上板部13と先端側第1下板部16との間の先端側第1連結部17eである。
【0056】
基端側第1連結部17cは、基端側第1上板部11と基端側第1下板部14とを連結する部分であり、基端側第1上板部11から基端側第1下板部14まで延びている。また、中間第1連結部17dは、中間第1上板部12と中間第1下板部14とを連結する部分であり、中間第1上板部12から中間第1下板部14まで延びている。また、先端側第1連結部17eは、先端側第1上板部13と先端側第1下板部16とを連結する部分であり、先端側第1上板部13から先端側第1下板部16まで延びている。
【0057】
図1に示すように、先端側第1連結部17eには、ナット固定板18が例えば溶接等によって固定されている。ナット固定板18は、第1挟持部材10の先端部から径方向外方へ向けて突出するとともに上下方向に延びている。
【0058】
図14に示すように、ナット固定板18には、後述する締結軸部41を挿入するための軸部挿入用切欠部18aが形成されている。軸部挿入用切欠部18aは、ナット固定板18の先端側に向けて開放している。ナット固定板18の先端部には、軸部挿入用切欠部18aの上方及び下方にそれぞれ上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cが形成されている。上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cは、取り付け状態にある第2挟持部材20から離れる方向に屈曲している。この上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cの形成により、後述する締結状態にあるナット42が上側屈曲部18b及び下側屈曲部18cに係合して締結軸部41が軸部挿入用切欠部18aから抜け難くなる。
【0059】
図6に示すように、第1傾斜部17aの上部には、上方へ突出する第1突出部17fが形成されている。第1ポケットP1に差し込まれたクサビ101の側面101aは第1突出部17fにも当接するようになっている。また、第2傾斜部17bの上部には、上方へ突出する第2突出部17gが形成されている。第3ポケットP3に差し込まれたクサビ101の側面101aは第2突出部17gにも当接するようになっている。
【0060】
(第2挟持部材20の構成)
図9及び図10に示すように、第2挟持部材20は、第2上板部21~23と、第2下板部24~26と、第2縦板部27とを備えている。第2上板部21~23と、第2下板部24~26は、径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、支柱200の外周面に径方向他側から当接する部分である。この例では、第2上板部21~23と、第2下板部24~26が、支柱200の軸線Xに対して直交する方向に延びている。
【0061】
第2縦板部27は、第2上板部21~23の径方向外端部から第2下板部24~26の径方向外端部まで連続して上下方向に延びている。第2上板部21~23と、第2下板部24~26と、第2縦板部27とは、第1挟持部材10と同様に、1枚の板材により一体成形されている。
【0062】
図9に示すように、第2挟持部材20は平面視で支柱200の外周面に対応するように屈曲形成されており、第2上板部21~23は支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。すなわち、第2挟持部材20の基端側の端部の上部には、基端側第2上板部21が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の基端側と先端側との中間部には、中間第2上板部22が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の先端側の端部には、先端側第2上板部23が径方向内方へ延びるように設けられている。基端側第2上板部21と先端側第2上板部23とは互いに対向するように配置されている。
【0063】
基端側第2上板部21と中間第2上板部22とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置され、中間第2上板部22と先端側第2上板部23とが支柱200の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。基端側第2上板部21と中間第2上板部22との間隔と、中間第2上板部22と先端側第2上板部23との間隔は、基端側第1上板部11と中間第1上板部12との間隔と同じである。基端側第2上板部21と中間第2上板部22との間に第2ポケットP2の上側部分が構成されており、また中間第2上板部22と先端側第2上板部23との間に第4ポケットP4の上側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第2上板部21と中間第2上板部22の互いに対向する縁部21a、22aは、第2ポケットP2の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第2上板部22と先端側第2上板部23の互いに対向する縁部22a、23aは、第4ポケットP4の幅方向両縁部を構成している。
【0064】
基端側第2上板部21の幅方向の両縁部21a、21aは、基端側第2上板部21の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)21c側に行くほど互いに接近するように形成されており、したがって、基端側第2上板部21の径方向外端部の幅は、基端側第2上板部21の径方向内端部(先端部21c)の幅よりも広く設定されている。言い換えると、基端側第2上板部21は、径方向外端部の幅が広く、径方向内端部の幅が狭くなっている。
【0065】
図11に示すように、基端側第2上板部21の先端部21cは、支柱200の外周面に沿って延びる第5面21dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第6面21eとで構成されている。基端側第2上板部21の先端部21cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線302を想定すると、この仮想線302よりも第1挟持部材10側に第5面21dが形成され、第5面21dとは反対側に第6面21eが形成されている。また、図9に示すように、基端側第2上板部21の径方向中間部には、円形の第2上側貫通孔21fが形成されている。
【0066】
中間第2上板部22の幅方向の両縁部22a、22aは、中間第2上板部22の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)22c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、中間第2上板部22も、基端側第2上板部21と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部22c)の幅よりも広く設定されている。
【0067】
先端側第2上板部23の幅方向の両縁部23a、23aは、先端側第2上板部23の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)23c側に行くほど互いに接近するように形成されている。したがって、先端側第2上板部23も、基端側第2上板部21と同様に、径方向外端部の幅が径方向内端部(先端部23c)の幅よりも広く設定されている。
【0068】
図12に示すように、先端側第2上板部23の先端部23cは、支柱200の外周面に沿って延びる第7面23dと、支柱200の外周面から離れるように延びる第8面23eとで構成されている。先端側第2上板部23の先端部23cの幅方向中央を通って径方向に延びる仮想線303を想定すると、この仮想線303よりも第1挟持部材10側に第7面23dが形成され、第7面23dとは反対側に第8面23eが形成されている。
【0069】
図10に示すように、基端側第2上板部21と中間第2上板部22と先端側第2上板部23の高さは同じに設定されている。
【0070】
第2下板部24~26も第2上板部21~23と同様に、支柱200の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。より具体的には、第2挟持部材20の基端側の端部の下部には、基端側第2下板部24が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の基端側と先端側との中間部には、中間第2下板部25が径方向内方へ延びるように設けられ、また、第2挟持部材20の先端側の端部には、先端側第2下板部26が径方向内方へ延びるように設けられている。第2下板部24~26の高さは同じである。
【0071】
基端側第2下板部24は、基端側第2上板部21の真下に位置付けられており、基端側第2上板部21と同様に、幅方向の両縁部24aは、基端側第2下板部24の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)24c側に行くほど互いに接近するように形成されている。基端側第2下板部24の径方向中間部には、円形の第2下側貫通孔24fが形成されている。第2下側貫通孔24fは、第2上側貫通孔21fの同芯状に配置される。
【0072】
中間第2下板部25は、中間第2上板部22の真下に位置付けられており、中間第2上板部22と同様に、幅方向の両縁部25aは、中間第2下板部25の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)25c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0073】
先端側第2下板部26は、先端側第2上板部23の真下に位置付けられており、先端側第2上板部23と同様に、幅方向の両縁部26aは、先端側第2下板部26の先端部(支柱200の外周面に当接する部分)26c側に行くほど互いに接近するように形成されている。
【0074】
基端側第2下板部24と中間第2下板部25との間に第2ポケットP2の下側部分が構成されており、また中間第2下板部25と先端側第2下板部26との間に第4ポケットP4の下側部分が構成されている。つまり、周方向に隣合う基端側第2下板部24と中間第2下板部25の互いに対向する縁部24a、25aは、第2ポケットP2の幅方向両縁部を構成しており、また、周方向に隣合う中間第2下板部25と先端側第2下板部26の互いに対向する縁部25a、26aは、第4ポケットP4の幅方向両縁部を構成している。
【0075】
第2縦板部27は、第2挟持部材20の基端側の端部から先端側の端部まで連続して延びている。第2縦板部27における第2ポケットP2に対応する部分は、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第3傾斜部27aで構成されている。「第2ポケットP2に対応する部分」とは、平面視で第2縦板部27における基端側第2上板部21と中間第2上板部22との間に位置する部分、第2縦板部27における基端側第2下板部24と中間第2下板部25との間に位置する部分である。第3傾斜部27aの傾斜角度と、クサビ101の側面101aの傾斜角度とは等しくなっている。
【0076】
第2縦板部27における第4ポケットP4に対応する部分も、第2ポケットP2に対応する部分と同様に、クサビ101の側面101aに沿って傾斜した第4傾斜部27bで構成されている。「第4ポケットP4に対応する部分」とは、平面視で第2縦板部27における中間第2上板部22と先端側第2上板部23との間に位置する部分、第2縦板部27における中間第2下板部25と先端側第2下板部26との間に位置する部分である。
【0077】
第2縦板部27は、第2ポケットP2に対応する部分(第3傾斜部27a)以外の部分も、第3傾斜部27aと同角度で傾斜している。「第2ポケットP2に対応する部分以外の部分」とは、第2縦板部27における基端側第2上板部21と基端側第2下板部24との間の基端側第2連結部27c、第2縦板部27における中間第2上板部22と中間第2下板部24との間の中間第2連結部27d、及び、第2縦板部27における先端側第2上板部23と先端側第2下板部26との間の先端側第2連結部27eである。
【0078】
基端側第2連結部27cは、基端側第2上板部21と基端側第2下板部24とを連結する部分であり、基端側第2上板部21から基端側第2下板部24まで延びている。また、中間第2連結部27dは、中間第2上板部22と中間第2下板部24とを連結する部分であり、中間第2上板部22から中間第2下板部24まで延びている。また、先端側第2連結部27eは、先端側第2上板部23と先端側第2下板部26とを連結する部分であり、先端側第2上板部23から先端側第2下板部26まで延びている。
【0079】
図10に示すように、第3傾斜部27aの上部には、上方へ突出する第3突出部27fが形成されている。第2ポケットP2に差し込まれたクサビ101の側面101aは第3突出部27fにも当接するようになっている。また、第4傾斜部27bの上部には、上方へ突出する第4突出部27gが形成されている。第4ポケットP4に差し込まれたクサビ101の側面101aは第4突出部27gにも当接するようになっている。
【0080】
図13に示すように、第1挟持部材10の周方向の端部に位置する基端側第1上板部11と、第2挟持部材20の周方向の端部に位置する基端側第2上板部21とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されている。具体的には、基端側第1上板部11が基端側第2上板部21の下に配置されるように、基端側第1上板部11の高さが基端側第2上板部21よりも低く設定されている。また、基端側第1下板部14が基端側第2下板部24の上に配置されるように、基端側第1下板部14の高さが基端側第2下板部24よりも高く設定されている。尚、基端側第1上板部11と基端側第2上板部21との上下関係は反対であってもよく、また、基端側第1下板部14と基端側第2下板部24との上下関係は反対であってもよい。
【0081】
同様に、先端側第1上板部13が先端側第2上板部23の下に配置されるように、先端側第1上板部13の高さが先端側第2上板部23よりも低く設定されている。また、先端側第1下板部16が先端側第2下板部26の上に配置されるように、先端側第1下板部16の高さが先端側第2下板部26よりも高く設定されている。尚、先端側第1上板部13と先端側第2上板部23との上下関係は反対であってもよく、また、先端側第1下板部16と先端側第2下板部26との上下関係は反対であってもよい。
【0082】
図4に示すように、第2挟持部材20の先端部には、先端側ブラケット29が固定されている。図15及び図16に示すように、先端側ブラケット29は、上板部29aと、下板部29bと、上板部29aの縁部から下板部29bの縁部まで延び、上板部29a及び下板部29bを連結する連結板部29cとを有している。連結板部29cが第2挟持部材20の先端部に対して溶接等により固定されている。上板部29a及び下板部29bは、第2挟持部材20の先端部から支柱200の径方向外方へ向けて突出するように設けられている。
【0083】
(連結部材30の構成)
図1に示すように、連結部材30は、例えば金属製の丸棒材等からなる高強度な軸で構成することができ、上端部には径方向に張り出した上側抜け止め部30aが形成され、下端部には径方向に張り出した下側抜け止め部(図示せず)が形成されている。尚、連結する前の連結部材30には、上側抜け止め部30aまたは下側抜け止め部のどちらかが形成されておらず、連結後に例えばかしめ等によって形成される。
【0084】
連結部材30は、上下方向に延びる姿勢とされている。第1挟持部材10と第2挟持部材20とを連結部材30で連結する際には、基端側第2上板部21と基端側第2下板部24との間に、基端側第1上板部11及び基端側第1下板部14を差し込む。これにより、基端側第1上板部11及び基端側第1下板部14が基端側第2上板部21と基端側第2下板部24とで上下方向に挟まれることになるので、第1挟持部材10と第2挟持部材20の上下方向のガタツキを抑制できる。尚、この基端部における差込構造は必要に応じて設ければよく、必須な構造ではない。
【0085】
この状態で、例えば下側抜け止め部が形成されていない連結部材30を、第1上側貫通孔11f、第1下側貫通孔14f、第2上側貫通孔21f、第2下側貫通孔24fに挿通する。その後、下側抜け止め部を形成することで、連結部材30が抜けなくなり、第1挟持部材10と第2挟持部材20とが連結された状態で維持される。尚、本実施形態では、クサビ緊結式足場用クランプ1は2ピース構造となっているが、これに限らず3ピース構造であってもよい。
【0086】
連結部材30は、第1上側貫通孔11f、第1下側貫通孔14f、第2上側貫通孔21f、第2下側貫通孔24fに挿通された状態で相対的に回動可能になっている。したがって、図2に示すように、例えば、第1挟持部材10を固定しておき、第2挟持部材20を連結部材30周りに回動させることや、第2挟持部材20を固定しておき、第1挟持部材10を連結部材30周りに回動させることが可能になる。つまり、連結部材30によって第1挟持部材10の基端側と第2挟持部材20の基端側とが連結され、この連結された状態で、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが互いに接離する方向に回動可能になる。
【0087】
連結部材30の抜け止め構造は、かしめ以外であってもよく、例えば連結部材30の上端部及び下端部に止め輪(図示せず)を嵌合させる方法であってもよい。また、例えばネジ軸とナット等(図示せず)で連結部材30が構成されていてもよく、この場合、ナットを螺合させる前のネジ軸を第1上側貫通孔11f、第1下側貫通孔14f、第2上側貫通孔21f、第2下側貫通孔24fに挿通し、その後、ナットをネジ軸に螺合させればよい。
【0088】
(締結部材40の構成)
図1図2に示すように、締結部材40は、締結軸部41、ナット42及び支軸43を少なくとも備えている。締結軸部41の基端部には大径部41aが形成されている。締結軸部41における大径部41a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット42は、締結軸部41に螺合する部材である。ナット42のフランジ部42aがナット固定板18における軸部挿入用切欠部18aの周縁部に当接するようになっている。
【0089】
支軸43は、締結軸部41の大径部41aを第2挟持部材20の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸43は、上記連結部材30と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されており、上端部には径方向に張り出した上側抜け止め部43aが形成され、下端部には径方向に張り出した下側抜け止め部(図示せず)が形成されている。抜け止め構造は、連結部材30と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
支軸43の上下方向中間部は、締結軸部41の大径部41aを上下方向に貫通しており、支軸43と締結軸部41の大径部41aとは相対的に回動可能になっている。支軸43の上端部は、先端側ブラケット29の上板部29aを貫通して当該上板部29aの上面から上方へ突出しており、一方、支軸43の下端部は、先端側ブラケット29の下板部29bを貫通して当該下板部29bの下面から下方へ突出している。上側抜け止め部43a及び下側抜け止め部によって支軸43の抜けが抑制されている。支軸43と先端側ブラケット29とは相対的に回動可能になっている。
【0091】
締結軸部41を支軸43回りに回動させることにより、図1に示すように、締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aに挿入した状態と、図2に示すように、締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aから抜いた状態とに切り替えることができる。
【0092】
(足場用クランプ1の使用方法)
足場用クランプ1を支柱200に取り付ける際には、まず、図2に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側が互いに離れるように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させる。その後、支柱200を径方向に挟むように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を回動させていき、図1に示すように、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側を互いに接近させる。さらに、締結部材40の締結軸部41を回動させ、締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aに挿入する。締結軸部41をナット固定板18の軸部挿入用切欠部18aに挿入した状態でナット42を締め込むと、第1挟持部材10の先端側と第2挟持部材20の先端側とが接近する方向に締結される。
【0093】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20の先端側を互いに接近させると、先端側第2上板部23と先端側第2下板部26との間に、先端側第1上板部13及び先端側第1下板部16が差し込まれる。これにより、先端側第1上板部13及び先端側第1下板部16が先端側第2上板部23と先端側第2下板部26とで上下方向(厚み方向)に挟まれることになるので、第1挟持部材10と第2挟持部材20の上下方向のガタツキを抑制できる。
【0094】
クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に固定すると、第1上板部11~13、第1下板部14~16、第2上板部21~23及び第2下板部24~26が支柱200の外周面に強く接触する。そして、クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に固定した後、クサビ101を第1~第4ポケットP1~P1に差し込むことで布材100を支柱200に連結できる。
【0095】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1挟持部材10を構成している第1上板部11~13、第1下板部14~16及び第1縦板部17が1枚の板材により一体成形され、また、第2挟持部材20を構成している第2上板部21~23、第2下板部24~26及び第2縦板部27が1枚の板材により一体成形されているので、部品点数が削減されるとともに、溶接工程が不要になり、製造工数も削減される。
【0096】
また、第1上板部11~13、第1下板部14~16は、それぞれ平板状であり、屈曲した部分が無いので、高い精度を確保しやすくなる。よって、第1挟持部材10と第2挟持部材20とのはめ合い部分の寸法精度の微調整もしやすくなり、品質の高いクサビ緊結式足場用クランプ1を大量生産できる。
【0097】
第1上板部11~13、第1下板部14~16、第2上板部21~23及び第2下板部24~26は、支柱200の径方向に延びているので、クサビ緊結式足場用クランプ1を支柱200に固定した状態で、支柱200に対する接触面積が小さくなり、面圧が高まる。これにより、第1上板部11~13、第1下板部14~16、第2上板部21~23及び第2下板部24~26が支柱200に対して強固に固定される。
【0098】
クサビ101を第1ポケットP1に差し込むと、図4に仮想線で示すように、第1縦板部17の第1傾斜部17aがクサビ101の側面101aに沿って同方向に傾斜しているので、クサビ101の側面101aと第1傾斜部17aとが面接触することになり、両者の接触面積が広くなる。よって、クサビ101の固定強度が高くなる。第2~第4ポケットP2~P4についても同様である。
【0099】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。図17は、実施形態の変形例を示しており、この変形例では、第1挟持部材10の中間第1上板部12の先端部に、支柱200の周方向に沿って延長する延長部12dが設けられている。図示しないが、中間第1下板部15、中間第2上板部22、中間第2下板部25の先端部にも同様に延長部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本開示に係るクサビ緊結式足場用クランプは、例えば各種建築物の建設現場や土木工事現場で作業員用の仮設足場を構築する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 クサビ緊結式足場用クランプ
10 第1挟持部材
11~13 第1上板部
14~16 第1下板部
17 第1縦板部
17a 第1傾斜部
17b 第2傾斜部
20 第2挟持部材
30 連結部材
40 締結部材
100 布材(足場構成部材)
101 クサビ
200 支柱
P1~P4 第1~第4ポケット
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場構成部材が有するクサビを支柱に設けられたポケットに上方から差し込んで固定することによって構築されるクサビ緊結式足場に使用されるクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記支柱を径方向に挟持する第1挟持部材及び第2挟持部材と、
前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該第1挟持部材の他端側と該第2挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、
前記第1挟持部材の一端側と前記第2挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを含み、
前記第1挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向一側から当接する第1上板部及び第1下板部と、前記第1上板部の前記径方向外端部から前記第1下板部の前記径方向外端部まで連続した第1縦板部とを有し、前記第1上板部、前記第1下板部及び前記第1縦板部が1枚の板材により一体成形され、
前記第2挟持部材は、前記径方向に延びるとともに互いに上下方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の外周面に前記径方向他側から当接する第2上板部及び第2下板部と、前記第2上板部の前記径方向外端部から前記第2下板部の前記径方向外端部まで連続した第2縦板部とを有し、前記第2上板部、前記第2下板部及び前記第2縦板部が1枚の板材により一体成形され、
前記第1上板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられ、
前記第1下板部は、前記支柱の周方向に互いに間隔をあけて複数設けられ、
前記周方向に隣合う前記第1上板部の間と前記周方向に隣合う前記第1下板部の間とに第1ポケットが構成され、
前記第1縦板部における前記第1ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜する平板状をなすとともに当該側面に面接触することを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項2】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記周方向に隣合う前記第2上板部の間と前記周方向に隣合う前記第2下板部の間とに第2ポケットが構成され、
前記第2縦板部における前記第2ポケットに対応する部分は、前記クサビにおける前記支柱と反対側に位置する側面に沿って傾斜していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項3】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1上板部の前記径方向外端部の幅は、前記第1上板部の前記径方向内端部の幅よりも広く設定されていることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項4】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1縦板部は、前記第1ポケットに対応する部分以外の部分も、前記第1ポケットに対応する部分と同角度で傾斜していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項5】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1上板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2上板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されていることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項6】
請求項5に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記第1挟持部材の周方向の端部に位置する第1下板部と、前記第2挟持部材の周方向の端部に位置する第2下板部とのうち、一方の高さは他方の下に配置されるように設定されていることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。
【請求項7】
請求項1に記載のクサビ緊結式足場用クランプにおいて、
前記周方向に隣合う前記第1上板部の互いに対向する縁部は、前記第1ポケットの幅方向両縁部を構成していることを特徴とするクサビ緊結式足場用クランプ。